説明

架橋性ゴム組成物及びその製造方法、並びに、ゴム成形品及びその製造方法

【課題】本発明は、耐熱性、摺動性及び燃料バリア性に優れるゴム成形品を、安価に製造することができる架橋性ゴム組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、ニトリルブタジエンゴム(A)とフッ素樹脂(B)と化合物(C)とからなり、フッ素樹脂(B)は、テトラフルオロエチレンに由来するテトラフルオロエチレン単位とエチレンに由来するエチレン単位とからなる共重合体であり、化合物(C)は、極性基を有する重合体であって、該極性基が、カルボニル基、及び、アミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の基であることを特徴とする組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋性ゴム組成物及びその製造方法、並びに、ゴム成形品及びその製造方法に関する。該ゴム成形品は各種のシール材や摺動部品、非粘着部品、撥水撥油性表面を有する部品、ホース等として好適である。
【背景技術】
【0002】
ニトリルブタジエンゴム(NBR)は、耐油性、耐摩耗性、耐老化性が良好なゴムとして知られており、オイルシール、ガスケット、耐油ホース、コンベアベルト、印刷ロール、紡績用トップロールなどの耐油製品等に用いられている。しかしながら、フッ素ゴムと比較すると、耐熱性、摺動性、燃料バリア性等の特性において劣り、使用する用途によっては改善が求められるところである。
【0003】
一方、フッ素樹脂は、摺動性、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、耐候性、柔軟性、電気的性質等の特性に優れ、自動車、産業機械、OA機器、電気電子機器等の幅広い分野で使用されている。フッ素樹脂は、とりわけ摺動性に優れており、その低い摩擦係数は樹脂の中でも突出している。しかしながら、フッ素樹脂は、結晶性の耐熱性熱可塑性樹脂に比べ、機械的特性や荷重たわみ温度で示されるような物理的な耐熱性に劣る場合が多く、また非晶性の耐熱性熱可塑性樹脂に比べて寸法安定性に劣っている場合があり、使用範囲が限定されているのが実情であった。
【0004】
そのような中で、フッ素樹脂とフッ素ゴムとを使用することによって、その特性を改善することも考えられている。例えば、特許文献1には、フッ素樹脂(ビニリデンフルオライド〔VdF〕系ゴム)とフッ素樹脂〔ETFE〕と含フッ素熱可塑性エラストマーとを配合したフッ素ゴム組成物をプレス架橋(160℃10分間)し、ついでオーブン架橋(180℃4時間)して熱時強度が改善された架橋ゴムを製造する方法が記載されている。しかしながら、特許文献1では、架橋ゴムの表面性状、特に摩擦特性については触れていない。これは、ゴムは本来そのエラストマー性により摩擦係数が高いからである。
【0005】
そこで、シール材などの分野では、フッ素ゴムの特性を活かしながら摩擦係数を低下させる方法として、たとえばフッ素樹脂(またはフッ素樹脂繊維層)をフッ素ゴムの表面に積層する方法(特許文献2、3)、フッ素ゴムの表面にフッ素樹脂の塗膜を形成する方法(特許文献4)などが提案されている。
【0006】
また、特許文献5及び6では、水素化ニトリルゴムに、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド系の熱可塑性フッ素樹脂をブレンドしてなる組成物が開示されている。特許文献7では、水素化ニトリルゴムに、ポリフッ化ビニリデンをブレンドしてなる組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−25500号公報
【特許文献2】特開平7−227935号公報
【特許文献3】特開2000−313089号公報
【特許文献4】特開2006−292160号公報
【特許文献5】特開2003−96438号公報
【特許文献6】特開2008−281023号公報
【特許文献7】特開2003−226781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2〜4に開示されているように、フッ素樹脂をフッ素ゴムの表面に積層又は塗装してフッ樹脂層を形成した場合、フッ素樹脂とフッ素ゴムとの界面での接着性が低く、耐久性に劣るという課題があった。
また、フッ素ゴムは、ニトリルブタジエンゴム等の汎用ゴムより高価であり、低コスト化が求められているところであるが、汎用ゴムは、フッ素ゴムと比較して耐熱性、燃料バリア性等に劣るため、安価でかつ種々の特性に優れるゴム成形品とすることができる形成材料が求められるところであった。
【0009】
特許文献5〜7では、水素化ニトリルゴムに、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド系の熱可塑性フッ素樹脂若しくはポリフッ化ビニリデンをブレンドして得られる組成物から成形されたゴム成形品を得ているが、このようにして得られるゴム成形品は、耐熱性、柔軟性、燃料バリア性等において充分でなかった。
【0010】
本発明者等は、上記課題を解決するため、汎用ゴムに、フッ素樹脂としてエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体をブレンドした組成物から成形品を得ることを考えたが、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体と汎用ゴムとが均一に分散せず、ゴム成形品を得るための好適な形成材料を得ることができなかった。
【0011】
本発明は、耐熱性、摺動性及び燃料バリア性に優れるゴム成形品を、安価に製造することができる架橋性ゴム組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ニトリルブタジエンゴム(A)とフッ素樹脂(B)と化合物(C)とからなり、フッ素樹脂(B)は、テトラフルオロエチレンに由来するテトラフルオロエチレン単位とエチレンに由来するエチレン単位とからなる共重合体であり、化合物(C)は、極性基を有する重合体であって、該極性基が、カルボニル基、及び、アミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の基であることを特徴とする組成物である。
【0013】
フッ素樹脂(B)は、テトラフルオロエチレン単位とエチレン単位とのモル比が20:80〜90:10の共重合体であることが好ましい。
【0014】
化合物(C)は、無水マレイン酸変性ポリエチレンであることが好ましい。
【0015】
本発明はまた、上記架橋性ゴム組成物を架橋して得られることを特徴とするゴム成形品でもある。
【0016】
本発明は更に、(I)ニトリルブタジエンゴム(A)、フッ素樹脂(B)及び化合物(C)を、フッ素樹脂(B)の融点以上で混練して架橋性ゴム組成物を得る混練工程を含み、
フッ素樹脂(B)は、テトラフルオロエチレンに由来するテトラフルオロエチレン単位とエチレンに由来するエチレン単位とからなる共重合体であり、化合物(C)は、極性基を有する重合体であって、該極性基が、カルボニル基、及び、アミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の基であることを特徴とする架橋性ゴム組成物の製造方法でもある。
【0017】
本発明はそして、(I)ニトリルブタジエンゴム(A)、フッ素樹脂(B)及び化合物(C)を、フッ素樹脂(B)の融点以上で混練して架橋性ゴム組成物を得る混練工程、(II)架橋性ゴム組成物を成形し、架橋して、架橋成形品を得る成形架橋工程、及び、(III)架橋成形品をフッ素樹脂(B)の融点以上の温度に加熱してゴム成形品を得る熱処理工程を含み、フッ素樹脂(B)は、テトラフルオロエチレンに由来するテトラフルオロエチレン単位とエチレンに由来するエチレン単位とからなる共重合体であり、化合物(C)は、極性基を有する重合体であって、該極性基が、カルボニル基、及び、アミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の基であることを特徴とするゴム成形品の製造方法でもある。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、架橋性ゴム組成物が上記構成を有するため、耐熱性、摺動性及び燃料バリア性に優れるゴム成形品を、安価に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の架橋性ゴム組成物は、ニトリルブタジエンゴム(A)(以下、「NBR(A)」ともいう。)とフッ素樹脂(B)と化合物(C)とからなり、フッ素樹脂(B)は、テトラフルオロエチレン(TFE)に由来するテトラフルオロエチレン単位(以下、「TFE単位」ともいう。)とエチレンに由来するエチレン単位とからなる共重合体であり、
化合物(C)は、極性基を有する重合体であって、該極性基が、カルボニル基、及び、アミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の基である。通常、NBR(A)とフッ素樹脂(B)を混合しても、NBR(A)とフッ素樹脂(B)とが均一に分散した架橋性組成物を得ることはできない。しかしながら、本発明者等が鋭意検討した結果、NBR(A)及びフッ素樹脂(B)に、更に化合物(C)を添加して混合すると、NBR(A)とフッ素樹脂(B)とが均一に分散した架橋性ゴム組成物を得ることができることが見出され、本発明は完成したものである。
以下、本発明の架橋性ゴム組成物の成分について説明する。
【0020】
(A)ニトリルブタジエンゴム
ニトリルブタジエンゴムは、耐油性、耐摩耗性、耐老化性が良好なゴムであり、また、フッ素ゴムと比較すると、耐寒性に優れ、安価である。NBR(A)としては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンドゴム(NBR−PVC)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
NBR(A)は、通常、アクリロニトリル( 以下、「AN」と言う。)とブタジエンとの共重合により製造されるものである。そのAN量は特に限定されないが、NBR(A)は、一般に、AN量の増加とともに、ゴムとしての耐燃料透過性(バリア性)や機械的強度が向上する反面、耐寒性、伸び、弾性が低下することから、AN量が多すぎるのも好ましくない。NBR(A)のAN量は、通常、15〜50重量%であることが好ましい。なお、上記NBR−PVCのようなブレンドゴムである場合には、ブレンドゴム中に含まれるNBR(PVC等のブレンドされるゴムは除く)に対するANの含有量が15〜50重量%であればよい。
【0022】
(B)フッ素樹脂
上記フッ素樹脂(B)は、エチレンに由来するエチレン単位とTFEに由来するTFE単位とからなるフッ素樹脂である。フッ素樹脂(B)は、化合物(C)と共に混合することで、NBR(A)とフッ素樹脂(B)とが均一に分散した架橋性組成物を得ることができるものであり、得られるゴム成形品の耐熱性、摺動性及び燃料バリア性を優れたものとすることができる。例えば、EFEPのようなフッ素樹脂を用いる場合、化合物(C)を添加しなければNBR(A)とEFEPとが均一に分散した組成物を得ることができない。また、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド系の熱可塑性フッ素樹脂を用いた場合、得られるゴム成形品の耐熱性、摺動性、燃料バリア性等を充分に優れたものとすることができない。
【0023】
フッ素樹脂(B)は、TFE単位とエチレン単位との含有モル比が20:80〜90:10が好ましく、37:63〜85:15がより好ましく、38:62〜80:20が特に好ましい。フッ素樹脂(B)としては、全単量体単位に対するTFE単位及びエチレン単位の合計が90〜100モル%であることが好ましく、95〜100モル%であることがより好ましく、96〜100モル%であることが更に好ましい。エチレン単位が多すぎると、得られるゴム成形品の耐熱性等が充分に優れたものとすることができなくなるおそれがある。エチレン単位が少なすぎると、NBR(A)との混合が困難になるおそれがある。
【0024】
フッ素樹脂(B)の融点は、150〜250℃であることが好ましく、150〜200℃であることがより好ましい。フッ素樹脂(B)の融点が低すぎると、架橋や成形する際の加熱時に、フッ素樹脂(B)がブリードアウトするおそれがあり、高すぎるとNBR(A)との混合が困難になるおそれがあり、NBRが熱劣化するおそれもある。
【0025】
上記フッ素樹脂(B)は、エチレン及びTFEと共重合可能な単量体由来の構造単位を有してもよく、このような単量体としては、式(1):
CF=CF−R (1)
(式中、Rは、−CFまたは−ORを表す。Rは、炭素原子数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)
で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物などの1種または2種以上のパーフルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニリデン〔VdF〕、フッ化ビニル、式(2):
CH=CX(CF (2)
(式中、Xは、水素原子またはフッ素原子を表し、Xは、水素原子、フッ素原子または塩素原子を表し、nは、1〜10の整数を表す。)
で表されるフルオロオレフィンなどが例示される。
耐熱性に優れるゴム成形品を製造する観点からは、フッ素樹脂(B)は、VdFに由来する構造単位を有さないことが好ましい。
【0026】
エチレン及びTFEと共重合可能な好ましい単量体としては、下記式
CH=CX、CF=CFR、CF=CFOR、又は、CH=C(R
(式中、Xは水素原子またはフッ素原子、Rはエーテル結合性酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基を表す。)
で表される含フッ素ビニルモノマーが好ましく、なかでも、CF=CFRで表される含フッ素ビニルモノマーが好ましく、Rが炭素数1〜8のフルオロアルキル基であるCF=CFRで表される含フッ素ビニルモノマーがより好ましい。Rが炭素数1のフルオロアルキル基であるヘキサフルオロプロペンが更に好ましい。
【0027】
上記式で示される含フッ素ビニルモノマーの具体例としては、1,1−ジヒドロパーフルオロプロペン−1、1,1−ジヒドロパーフルオロブテン−1、1,1,5−トリヒドロパーフルオロペンテン−1、1,1,7−トリヒドロパーフルオロへプテン−1、1,1,2−トリヒドロパーフルオロヘキセン−1、1,1,2−トリヒドロパーフルオロオクテン−1、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルビニルエーテル、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、ヘキサフルオロプロペン、パーフルオロブテン−1、3,3,3−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)プロペン−1、2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテン(CH=CFCFCFCFH)があげられる。
【0028】
また、TFE及びエチレンと共重合可能な単量体としては、イタコン酸、無水イタコン酸等の脂肪族不飽和カルボン酸であってもよい。
【0029】
TFE及びエチレンと共重合可能な単量体は、全単量体単位に対して0.1〜10モル%が好ましく、0.1〜5モル%がより好ましく、0.2〜4モル%が特に好ましい。フッ素樹脂(B)が、エチレン及びTFEと共重合可能な単量体由来の構造単位を有する場合、全単量体単位に対するTFE単位及びエチレン単位の合計は90〜99.9モル%であることが好ましく、95〜99.9モル%であることがより好ましく、96〜99.8モル%であることが更に好ましい。
【0030】
フッ素樹脂(B)としては、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)又はエチレン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(EFEP)が特に好ましい。なお、本明細書中で、「ETFE」は、エチレン単位及びTFE単位のみからなるフッ素樹脂である。
【0031】
(C)化合物
本発明の架橋性ゴム組成物は、化合物(C)からなることによって、NBR(A)とフッ素樹脂(B)との相溶性が向上し、均一に混合されたものとなる。
【0032】
上記化合物(C)は、極性基を有する重合体であって、該極性基が、カルボニル基、及び、アミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の基である。上記極性基は、カルボニル基であることがより好ましい。カルボニル基は、アミド基が有するカルボニル基であってもよいし、グリシジルメタクリレート基が有するカルボニル基であってもよいし、酸無水物結合が有するカルボニル基であってもよい。上記極性基は、アミド基、グリシジルメタクリレート基、及び、酸無水物結合に基づくカルボニル基からなる群より選択される少なくとも1種の基であることが好ましい。より好ましくは、酸無水物結合が有するカルボニル基である。また、化合物(C)は、グラフト重合体であることがより好ましい。
上記化合物(C)としては、例えば、ナイロン、無水マレイン酸変性ポリエチレン、及び、グリシジルメタクリレート変成ポリエチレンからなる群より選択させる少なくとも1種の化合物が好ましく、中でも、無水マレイン酸変性ポリエチレンがより好ましい。
【0033】
上記化合物(C)は、架橋性ゴム組成物に対して、0.1〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、1〜5質量%である。
【0034】
(D)架橋剤
本発明の架橋性ゴム組成物を架橋するための架橋系としては、硫黄架橋系、パーオキサイド架橋系、イミダゾール架橋系、トリアジン架橋系、オキサゾール架橋系、チアゾール架橋系のいずれも採用できるが、未架橋ゴムに架橋性基(キュアサイト)が含まれる場合はキュアサイトの種類によって、または架橋された架橋成形品に付与する特性や用途により適宜選択すればよい。
【0035】
架橋剤(D)としては、架橋系に合わせて硫黄系架橋剤、パーオキサイド架橋剤、イミダゾール架橋剤、トリアジン架橋剤、オキサゾール架橋剤、チアゾール架橋剤のいずれも採用でき、単独で使用または併用してもよい。架橋剤(D)の添加量はNBR(A)100質量部に対して0.1〜10.0質量部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜3.0質量部である。
【0036】
ニトリルブタジエンゴムの場合には、硫黄架橋系又はパーオキサイド架橋系が通常採用されるので、架橋剤(D)は、硫黄系架橋剤又はパーオキサイド架橋剤であることが好ましく、硫黄系架橋剤がより好ましい。
【0037】
硫黄系架橋剤としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄、塩化硫黄、二塩化硫黄、ジスルフィド化合物及びポリスルフィド化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい硫黄系架橋剤として挙げられる。
【0038】
硫黄系架橋剤の配合量は、NBR(A)100質量部に対して、0.1〜10.0質量部が好ましく、特に好ましくは0.2〜3.0質量部である。
【0039】
パーオキサイド架橋剤としては、熱や酸化還元系の存在下で容易にパーオキシラジカルを発生する有機過酸化物が好ましくあげられる。
【0040】
有機過酸化物としては、たとえば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロキシパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどを例示することができる。そのなかでも好ましいものはジアルキル化合物である。一般に活性−O=O−の量、分解温度などから種類ならびに配合量が選ばれる。配合量は通常、NBR(A)100質量部に対して0.1〜15.0質量部、好ましくは0.3〜5.0質量部である。
【0041】
架橋性ゴム組成物は、架橋を補助するために、架橋促進剤、架橋助剤、共架橋剤、受酸剤等の添加剤を含むものであってもよい。
【0042】
架橋剤、架橋促進剤、架橋助剤及び共架橋剤は、ニトリルブタジエンゴムを架橋するために用いられるものである。ここで、架橋とは、架橋剤によりニトリルブタジエンゴムの同一または異なるポリマー鎖同士を架橋するものであり、このように架橋することにより、前記ニトリルブタジエンゴムは、引張り強さが向上し、良好な弾性を有するものとなる。
【0043】
パーオキサイド架橋剤を使用する場合には、p−キノンジオキシム、p,p′−ジベンゾイルキノンジオキシム、ラウリルメタアクリレート、エチレングリコールアクリルレート、トリエチレングリコールジメタアクリルレート、テトラエチレングリコールジメタクリルレート、ポリエチレングリコールジメタクリルレート、トリメチロールプロペントリメタアクリルレート、メチロールメタアクリルレート、ジアリールフマレート、ジアリールフタレート、テトラアリールオキシエタン、トリアリールシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、マレイミド、フェニールマレイミド、N,N′−m−フェニレンビスマレイミド、無水マレイン酸、イタコン酸、ジビニールベンゼン、ビニールトルエン、1,2−ポリブタジエン等の架橋助剤を使用することもできる。
【0044】
架橋性ゴム組成物は、更に、充填剤、加工助剤、可塑剤、着色剤、安定剤、接着助剤、離型剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、表面非粘着剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤、老化防止剤などの各種添加剤を含んでもよく、前記のものとは異なる常用の架橋剤や架橋促進剤を1種またはそれ以上配合してもよい。これらの添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲で使用すればよい。
【0045】
架橋性ゴム組成物におけるNBR(A)とフッ素樹脂(B)の質量割合(A)/(B)は、60/40〜97/3が好ましい。フッ素樹脂(B)が(A)/(B)=97/3よりも小さくなりすぎると架橋性ゴム組成物から得られる成形品における耐熱性向上、摩擦係数低減の効果が充分に得られないおそれがある。フッ素樹脂(B)が(A)/(B)=60/40よりも大きくなると、本来のゴム弾性が著しく損なわれ、柔軟性が失われるおそれがある。摩擦性が低くなる観点から、(A)/(B)は、65/35〜95/5であることがより好ましく、70/30〜90/10であることがさらに好ましい。
【0046】
本発明の架橋性ゴム組成物の製造方法は、NBR(A)とフッ素樹脂(B)とを均一に混合することができる方法であれば限定されないが、後述する混練工程(I)を含む製造方法により好適に製造することができる。架橋性ゴム組成物は、下記混練工程(I)を含む架橋性ゴム組成物の製造方法により得られるものであることが好ましい。
【0047】
本発明は、(I)NBR(A)、TFEに由来するTFE単位とエチレンに由来するエチレン単位とを必須とするフッ素樹脂(B)及び化合物(C)を、フッ素樹脂(B)の融点以上で混練して架橋性ゴム組成物を得る混練工程を含むことを特徴とする架橋性ゴム組成物の製造方法でもある。NBR(A)、フッ素樹脂(B)及び化合物(C)を、フッ素樹脂(B)の融点以上で混練することで、NBR(A)とフッ素樹脂(B)とをより均一に混合することができるため、架橋性ゴム組成物から成形されたゴム成形品は、耐熱性、摺動性及び燃料バリア性に優れたものとなる。混練工程(I)の詳細については後述する。
【0048】
本発明は、上記架橋性ゴム組成物を架橋して得られるゴム成形品でもある。上記架橋性ゴム組成物は、化合物(C)を含むことにより、NBR(A)とフッ素樹脂(B)とが均一に混合されたものとなるため、得られるゴム成形品が、従来のゴム成形品と比較して、耐熱性、摺動性及び燃料バリア性に優れる。
本発明のゴム成形品は、上記架橋性ゴム組成物を架橋して得られるものであれば限定されず、例えば、後述する混練工程(I)及び成形架橋工程(II)を含む製造方法により製造することができる。また、本発明のゴム成形品がシール材等の摺動性が求められる分野で用いられるものである場合、後述するゴム成形品の製造方法により得られたものであることがより好ましい。
【0049】
本発明は、(I)NBR(A)、テトラフルオロエチレンに由来するテトラフルオロエチレン単位とエチレンに由来するエチレン単位とを必須とするフッ素樹脂(B)及び化合物(C)を、フッ素樹脂(B)の融点以上で混練して架橋性ゴム組成物を得る混練工程、(II)架橋性ゴム組成物を成形し、架橋して、架橋成形品を得る成形架橋工程、及び、(III)架橋成形品をフッ素樹脂(B)の融点以上の温度に加熱してゴム成形品を得る熱処理工程を含むことを特徴とするゴム成形品の製造方法でもある。
以下、各工程について説明する。
【0050】
(I)混練工程
混練工程(I)は、NBR(A)、フッ素樹脂(B)及び化合物(C)を、フッ素樹脂(B)の融点以上で混練することにより、架橋性ゴム組成物を調製するものである。通常、NBR(A)とフッ素樹脂(B)とは、フッ素樹脂(B)の融点以上の温度で混練しても均一に混合することができない。しかしながら、NBR(A)及びフッ素樹脂(B)に、更に化合物(C)を加えて、フッ素樹脂(B)の融点以上で混練した場合には、NBR(A)とフッ素樹脂(B)とが均一に分散した架橋性ゴム組成物を得ることができる。
これにより、後述する熱処理工程(III)で加熱したときに、NBR(A)の表面にフッ素樹脂(B)が均一に析出した、低摩擦性で、非粘着性でかつ表面撥水撥油性のゴム成形品を製造することができる。また、均一に混練されるため、得られる成形品の耐熱性も向上する。なお、フッ素樹脂(B)の融点は、示差走査熱量計〔DSC〕を用いて、ASTM D−4591に準拠して、10℃/分の速度で昇温したときの吸熱曲線のピークに対応する温度である。
【0051】
混練工程(I)において、NBR(A)、フッ素樹脂(B)及び化合物(C)を混練する際の温度は、フッ素樹脂(B)の融点以上であって、NBR(A)の架橋が生じない温度であれば特に限定されないが、例えば、100℃以上、通常120℃以上で、NBR(A)とフッ素樹脂(B)とを混練することが好ましい。
【0052】
混練工程(I)において、混練温度の上限は、NBR(A)及びフッ素樹脂(B)のいずれか低い方の熱分解温度であることが好ましい。混練温度の上限は260℃であってもよいし、210℃であってもよく、用いられるNBR(A)、フッ素樹脂(B)等の性質によって適宜決定される。場合によっては、180℃であってもよい。また、例えば、フッ素樹脂(B)の融点よりも10℃高い温度であることも好ましい。
【0053】
混練工程(I)は、NBR(A)、フッ素樹脂(B)及び化合物(C)に加えて、更に、架橋剤(D)を混練するものであることが好ましい。架橋剤(D)を加えて混練する場合、混練工程(I)は、架橋剤(D)をNBR(A)の架橋反応が進行しない条件で混練することが好ましい。架橋反応を進行させないで混練することによって、ゴム成形品の機械的強度を更に向上させ、摩擦係数を更に低下させることができる。架橋剤(D)の混練は、架橋反応が進行しなければ、NBR(A)、フッ素樹脂(B)、化合物(C)及び架橋剤(D)を、フッ素樹脂(B)の融点以上で同時に混練してもよいし、NBR(A)、フッ素樹脂(B)及び化合物(C)をフッ素樹脂(B)の融点以上の温度で混練して予備混合物を得たのち、予備混合物と架橋剤(D)とを架橋反応を進行させない条件で混練してもよい。
【0054】
架橋反応が進行しない条件で混練するためには、架橋に最低限必要とされる成分を添加せずに混練するか、または、架橋反応に必要な温度未満で混練すればよい。架橋反応が進行しない条件は主に架橋剤の種類によって決まる。例えば、架橋剤(D)として硫黄系架橋剤を使用する場合、フッ素樹脂(B)の融点以上の温度で混練する際に硫黄系架橋剤が存在すると、通常架橋反応が進行するので、後述の2段階混練工程において、予備混合物を得た後、架橋性ゴム組成物(フルコンパウンド)を得る工程で硫黄系架橋剤を添加することが好ましい。
また、パーオキサイド架橋剤を使用する場合にも、フッ素樹脂(B)の融点以上の温度で混練する際にパーオキサイド架橋剤が存在すると、通常架橋反応が進行するので、後述の2段階混練工程において、予備混合物を得た後、架橋性ゴム組成物(フルコンパウンド)を得る工程でパーオキサイド架橋剤を添加することが好ましい。
【0055】
混練工程(I)は、
(a) NBR(A)、フッ素樹脂(B)及び化合物(C)を、フッ素樹脂(B)の融点以上で混練して予備混合物(プレコンパウンド)を得た後、予備混合物に架橋剤(D)及び任意の他の添加剤を添加し、架橋温度未満で混練して架橋性ゴム組成物(フルコンパウンド)を得る2段階混練工程、
(b) NBR(A)、フッ素樹脂(B)、化合物(C)及び架橋剤(D)を、フッ素樹脂(B)の融点以上、かつ、架橋反応が進行しない条件下で混練して予備混合物(プレコンパウンド)を得た後、予備混合物に任意の他の添加剤を添加し、架橋温度未満で混練して架橋性ゴム組成物(フルコンパウンド)を得る2段階混練工程、又は、
(c) NBR(A)、フッ素樹脂(B)、化合物(C)、架橋剤(D)及び任意の他の添加剤を、フッ素樹脂(B)の融点以上、かつ、架橋反応が進行しない条件下で混練して架橋性ゴム組成物(フルコンパウンド)を得る1段階混練工程、であることが好ましい。また、上記(a)又は(b)の2段階混練工程であることがより好ましく、(a)の2段階混練工程であることが更に好ましい。
【0056】
2段階混練工程における予備混合物(プレコンパウンド)を調製するための混練では、架橋反応が進行しない条件下で混練することが重要であり、フッ素樹脂(B)の融点以上の温度で架橋反応が進行しない成分(たとえば特定の架橋剤のみ、架橋剤と架橋促進剤の組合せのみ、など)を添加することは妨げられない。
【0057】
2段階混練工程における予備混合物(プレコンパウンド)を得るための混練は、例えば、フッ素樹脂(B)の融点以上、たとえば100℃以上、通常120〜260℃で、NBR(A)と混練することにより行うことができる。また、混練温度は、120〜260℃であることが好ましい。また、120〜180℃であってもよい。
【0058】
上記混練には、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、押出機等を使用できるが、高剪断力を加えることができる点で、加圧ニーダー又は二軸押出機等の押出機を用いることが好ましい。
【0059】
2段階混練工程における架橋性ゴム組成物(フルコンパウンド)を得るための混練は、架橋剤(D)の反応温度未満、たとえば100℃以下の温度でオープンロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダーなどを用いて行うことができる。
【0060】
本発明における混練工程(I)と類似の処理として、フッ素樹脂中でフッ素ゴムをフッ素樹脂の溶融条件下で架橋する処理(動的架橋)がある。両者を対比すると、動的架橋が熱可塑性樹脂のマトリックス中にゴムをブレンドし、混練しながらゴムを架橋させる処理であるのに対し、本発明における混練工程(I)は、NBR(A)の架橋を引き起こさない条件(架橋に必要な成分の不存在、またはその温度で架橋反応が起こらない配合など)で混練するものであり、本質的に異なる。
【0061】
本発明における混練工程(I)で得られる架橋性ゴム組成物は、NBR(A)が連続相を形成し、かつフッ素樹脂(B)が分散相を形成している構造、またはNBR(A)とフッ素樹脂(B)が共に連続相を形成している構造をとっているものと推定される。この点でもマトリックス中に架橋ゴムがミクロに分散した組成物が得られる動的架橋とは異なる。
【0062】
上記架橋性ゴム組成物がこのような構造を有すると、成形架橋工程(II)での架橋反応をスムーズに行うことができ、得られる架橋物の架橋状態も均一になり、また熱処理工程(III)におけるフッ素樹脂(B)の表面移行現象が均一に行われる結果、フッ素樹脂(B)が均一に析出した表面を持つゴム成形品が得られるものと考えられる。
【0063】
(II)成形架橋工程
この工程は、混練工程(I)で得られた架橋性ゴム組成物を成形し架橋して架橋成形品を製造する工程である。成形及び架橋の順序は限定されず、成形した後架橋してもよいし、架橋した後成形してもよいし、成形と架橋とを同時に行ってもよい。
【0064】
たとえばホース、長尺板ものなどの場合は押出成形した後架橋する方法が適切であり、異形の成形品の場合は、ブロック状の架橋物を得た後切削などの成形処理を施す方法も採れる。また、ピストンリングやオイルシールなどの比較的単純な成形品の場合、金型などで成形と架橋を同時に並行して行うことも通常行われている方法である。
【0065】
成形方法としては、たとえば押出成形法、金型などによる加圧成形法、インジェクション成形法などが例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0066】
架橋方法も、スチーム架橋、加圧成形法、加熱により架橋反応が開始される通常の方法が採用できる。なお、常温常圧での放射線架橋法もよく知られた架橋方法であるが、本発明においては、フッ素樹脂の表面層への移行がスムーズに起こる点から、架橋剤(D)の反応温度以上での加熱による架橋反応が特に優れている。
【0067】
架橋性ゴム組成物の成形及び架橋の方法及び条件は、採用する成形及び架橋において公知の方法及び条件の範囲内でよい。
【0068】
限定されない具体的な架橋条件としては、通常、150〜200℃の温度範囲、1分間〜24時間の架橋時間内で、使用する架橋剤などの種類により適宜決めればよい。
【0069】
フッ素ゴムの架橋において、最初の架橋処理(1次架橋という)を施した後に2次架橋と称される後処理工程を施すことがあるが、通常、ニトリルブタジエンゴムの架橋では2次架橋を行うことはない。また、熱処理工程(III)で説明するように、従来の2次架橋工程と本発明における成形架橋工程(II)及び熱処理工程(III)とは異なる処理工程である。
【0070】
(III)熱処理工程
この熱処理工程では、成形架橋工程で得られた架橋成形品をフッ素樹脂(B)の融点以上の温度に加熱してゴム成型品を得る。通常、NBR等の汎用ゴムを用いる場合、架橋後に更なる加熱処理を行うことはない。
【0071】
本発明における熱処理工程(III)は、架橋成形品表面のフッ素樹脂比率を高めるために行う処理工程であり、この目的に即して、フッ素樹脂(B)の融点以上かつNBR(A)及びフッ素樹脂(B)の熱分解温度未満の温度が加熱温度として採用される。
【0072】
加熱温度が融点よりも低い場合は、架橋成形品表面のフッ素樹脂比率が十分に高くならないおそれがある。好ましい加熱温度は、短時間で低摩擦化が容易な点から、フッ素樹脂(B)の融点より5℃以上高い温度である。また、ニトリルブタジエンゴム及びフッ素樹脂の熱分解を回避するため、上記加熱温度は、NBR(A)またはフッ素樹脂(B)のいずれか低い方の熱分解温度未満の温度であることが好ましく、例えば、200℃以下であることが好ましく、180℃以下であることがより好ましい。
【0073】
上記の加熱温度の上限は、通常のニトリルブタジエンゴムの場合であり、超耐熱性を有するゴムの場合は、上限温度は超耐熱性を有するゴムの分解温度であるので、上記上限温度はこの限りではない。
【0074】
加熱温度は加熱時間と密接に関係しており、加熱温度が比較的下限に近い温度では比較的長時間加熱を行い、比較的上限に近い加熱温度では比較的短い加熱時間を採用することが好ましい。このように加熱時間は加熱温度との関係で適宜設定すればよいが、加熱処理をあまり長時間行うとニトリルブタジエンゴムが熱劣化することがあるので、加熱処理時間は、耐熱性に優れたニトリルブタジエンゴムを使用する場合を除いて実用上48時間までである。通常、1分間〜48時間が好ましく、生産性が良好な点から1分間〜24時間がより好ましい。
【0075】
ところで、従来フッ素ゴムを用いる際に行われている2次架橋は1次架橋終了時に残存している架橋剤を完全に分解しニトリルブタジエンゴムの架橋を完結し、架橋成形品の機械的特性や圧縮永久ひずみ特性を向上させるために行う処理である。
【0076】
したがって、フッ素樹脂(B)の共存を想定していない従来の2次架橋条件は、その架橋条件が偶発的に本発明における熱処理工程の加熱条件と重なるとしても、2次架橋ではフッ素樹脂の存在を架橋条件設定の要因として考慮せずにニトリルブタジエンゴムの架橋の完結(架橋剤の完全分解)という目的の範囲内での加熱条件が採用されているにすぎず、フッ素樹脂(B)を配合した場合にゴム架橋物(ゴム未架橋物ではない)中でフッ素樹脂(B)を加熱軟化または溶融する条件を導き出せるものではない。また、通常、ニトリルブタジエンゴムを用いる場合に2次架橋を行うことはない。
【0077】
また、熱処理工程(III)において、残存する架橋剤(D)の分解が起こりNBR(A)の架橋が完結する場合もあるが、熱処理工程(III)におけるかかるNBR(A)の架橋はあくまで副次的な効果にすぎない。
【0078】
かくして本発明の製造方法により得られるゴム成形品は、表面領域でフッ素樹脂比率が増大した状態になっているものと推定される。
【0079】
この表面領域でフッ素樹脂比率が増大した状態は、たとえば熱処理後の架橋成形品をESCAやIRで化学的に分析することで検証できる。
【0080】
そして、表面領域のフッ素樹脂比率が高いことにより、フッ素樹脂の特性、たとえば低摩擦性や非粘着性、撥水撥油性が、熱処理をしないものより、格段に向上する。しかも、表面領域以外では逆にニトリルブタジエンゴムの特性が発揮でき、全体として、低摩擦性や非粘着性、撥水撥油性、エラストマー性、のいずれにもバランスよく優れたゴム成形品が得られる。さらに、フッ素樹脂とニトリルブタジエンゴムの明確な界面状態が存在しないので、表面のフッ素樹脂に富む領域が脱落することもなく、耐久性に優れている。
【0081】
本発明の組成物を架橋して得られるゴム成形品は、その低摩擦性、非粘着性、撥水撥油性(高接触角)を利用して、シール材、摺動部材、非粘着性部材などとして有用である。
【0082】
具体的には、つぎの成形品が例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0083】
シール材:
半導体製造装置、液晶パネル製造装置、プラズマパネル製造装置、プラズマアドレス液晶パネル、フィールドエミッションディスプレイパネル、太陽電池基板等の半導体関連分野では、O(角)−リング、パッキン、ガスケット、ダイアフラム、その他の各種シール材等があげられ、これらはCVD装置、ドライエッチング装置、ウェットエッチング装置、酸化拡散装置、スパッタリング装置、アッシング装置、洗浄装置、イオン注入装置、排気装置に用いることができる。具体的には、ゲートバルブのO−リング、シール材として、クォーツウィンドウのO−リング、その他の各種シール材として、チャンバーのO−リング、その他の各種シール材として、ゲートのO−リング、その他の各種シール材として、ベルジャーのO−リング、その他の各種シール材として、カップリングのO−リング、その他の各種シール材として、ポンプのO−リング、ダイアフラム、その他の各種シール材として、半導体用ガス制御装置のO−リング、その他の各種シール材として、レジスト現像液、剥離液用のO−リング、その他の各種シール材として用いることができる。
【0084】
自動車分野では、エンジンならびに周辺装置に用いるガスケット、シャフトシール、バルブステムシール、各種シール材や、AT装置の各種シール材に用いることができる。燃料系統ならびに周辺装置に用いるシール材としては、O(角)−リング、パッキン、ダイアフラムなどがあげられる。具体的には、エンジンヘッドガスケット、メタルガスケット、オイルパンガスケット、クランクシャフトシール、カムシャフトシール、バルブステムシール、マニホールドパッキン、酸素センサー用シール、インジェクターO−リング、インジェクターパッキン、燃料ポンプO−リング、ダイアフラム、クランクシャフトシール、ギアボックスシール、パワーピストンパッキン、シリンダーライナーのシール、バルブステムのシール、自動変速機のフロントポンプシール、リアーアクスルピニオンシール、ユニバーサルジョイントのガスケット、スピードメーターのピニオンシール、フートブレーキのピストンカップ、トルク伝達のO−リング、オイルシール、排ガス再燃焼装置のシール、ベアリングシール、キャブレターのセンサー用ダイアフラム等として用いることができる。
【0085】
航空機分野、ロケット分野及び船舶分野では、ダイアフラム、O(角)−リング、バルブ、パッキン、各種シール材等があげられ、これらは燃料系統に用いることができる。具体的には、航空機分野では、ジェットエンジンバルブステムシール、ガスケット及びO−リング、ローテーティングシャフトシール、油圧機器のガスケット、防火壁シール等に用いられ、船舶分野では、スクリューのプロペラシャフト船尾シール、ディーゼルエンジンの吸排気用バルブステムシール、バタフライバルブのバルブシール、バタフライ弁の軸シール等に用いられる。
【0086】
化学プラント分野では、バルブ、パッキン、ダイアフラム、O(角)−リング、各種シール材等があげられ、これらは医薬、農薬、塗料、樹脂等化学品製造工程に用いることができる。具体的には、化学薬品用ポンプ、流動計、配管のシール、熱交換器のシール、硫酸製造装置のガラス冷却器パッキング、農薬散布機、農薬移送ポンプのシール、ガス配管のシール、メッキ液用シール、高温真空乾燥機のパッキン、製紙用ベルトのコロシール、燃料電池のシール、風洞のジョイントシール、ガスクロマトグラフィー、pHメーターのチューブ結合部のパッキン、分析機器、理化学機器のシール、ダイアフラム、弁部品等として用いることができる。
【0087】
現像機等の写真分野、印刷機械等の印刷分野及び塗装設備等の塗装分野では、乾式複写機のシール、弁部品等として用いることができる。
【0088】
食品プラント機器分野では、バルブ、パッキン、ダイアフラム、O(角)−リング、各種シール材等があげられ、食品製造工程に用いることができる。具体的には、プレート式熱交換器のシール、自動販売機の電磁弁シール等として用いることができる。
【0089】
原子力プラント機器分野では、パッキン、O−リング、ダイアフラム、バルブ、各種シール材等があげられる。
【0090】
一般工業分野では、パッキング、O−リング、ダイアフラム、バルブ、各種シール材等があげられる。具体的には、油圧、潤滑機械のシール、ベアリングシール、ドライクリーニング機器の窓、その他のシール、六フッ化ウランの濃縮装置のシール、サイクロトロンのシール(真空)バルブ、自動包装機のシール、空気中の亜硫酸ガス、塩素ガス分析用ポンプのダイアフラム(公害測定器)等に用いられる。
【0091】
電気分野では、具体的には、新幹線の絶縁油キャップ、液封型トランスのベンチングシール等として用いられる。
【0092】
燃料電池分野では、具体的には、電極、セパレーター間のシール材や水素・酸素・生成水配管のシール等として用いられる。
【0093】
電子部品分野では、具体的には、放熱材原料、電磁波シールド材原料、コンピュータのハードディスクドライブのガスケット等に用いられる。
【0094】
現場施工型の成形に用いることが可能なものとしては特に限定されず、例えばエンジンのオイルパンのガスケット、磁気記録装置用のガスケット、クリーンルーム用フィルターユニットのシーリング剤等があげられる。
【0095】
また、磁気記録装置(ハードディスクドライブ)用のガスケット、半導体製造装置やウェハー等のデバイス保管庫等のシールリング材等のクリーン設備用シール材に特に好適に用いられる。
【0096】
さらに、燃料電池セル電極間やその周辺配管等に用いられるパッキン等の燃料電池用のシール材等にも特に好適に用いられる。
【0097】
摺動部材:
自動車関連分野では、ピストンリング、シャフトシール、バルブステムシール、クランクシャフトシール、カムシャフトシール、オイルシールなどがあげられる。
一般に、他材と接触して摺動を行う部位に用いられるフッ素ゴム製品があげられる。
【0098】
非粘着性部材:
コンピュータ分野での、ハードディスククラッシュストッパーなどがあげられる。
【0099】
撥水撥油性を利用する分野:
自動車のワイパーブレード、屋外テントの引き布などがあげられる。
【0100】
また、本発明のゴム成形品は、ホースであることも好ましい。特に自動車用のホースであることが好ましい。具体的には、以下に列記する用途に使用可能である。
【0101】
自動車用途としては、エンジン本体のコントロールホースなどのホース;潤滑・冷却系のエンジンオイルクーラーのエンジンオイルクーラーホース、オイルリターンホース;ラジエータ周辺のウォーターホース;バキュームポンプのバキュームポンプオイルホース;燃料系のフィラー(ネック)ホース、燃料供給ホース、燃料リターンホース、ベーパー(エバポ)ホースなどの燃料ホース;燃料タンクのインタンクホース;燃料配管チューブのチューブ本体やコントロールホース;吸気・排気系のコントロールホース、エミッションコントロールホース;ターボチャージャーのターボオイルホース(供給)、ターボオイルホース(リターン)、ターボエアホース、インタークーラーホース;トランスミッション関連のトルコンホース、ATのミッションオイルホース、ATFホース;ステアリング系のパワーステアリングオイルホース;ブレーキ系のブレーキオイルホース;装備電装品の、カーエアコンのO−リング、パッキン、クーラーホース;等が挙げられる。
【0102】
また自動車用途以外では、たとえば、船舶、航空機などの輸送機関における耐油、耐薬品、耐熱、耐スチーム、あるいは耐候用のホース、また化学プラントにおける同様のホース、食品プラント機器および食品機器(家庭用品を含む)における同様のホース、原子力プラント機器における同様のホース、一般工業部品における同様のホースなどへの用途に好適である。
【実施例】
【0103】
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0104】
本明細書における各種の特性については、つぎの方法で測定した。
【0105】
(1)架橋(加硫)特性
キュラストメーターII型(JSR(株)製)にて最低トルク(ML)、最高トルク(MH)、誘導時間(T10)及び最適加硫時間(T90)を測定した。
【0106】
(2)100%モジュラス(M100)
JIS K6251に準じて測定した。
【0107】
(3)引張破断強度(Tb)
JIS K6251に準じて測定した。
【0108】
(4)引張破断伸び(Eb)
JIS K6251に準じて測定した。
【0109】
(5)硬度〔Hs(ピーク)、Hs(1s)、Hs(3s)〕
JIS K6253に準じ、デュロメータ タイプAにて測定した。
【0110】
(6)摩擦係数
レスカ社製フリクションプレーヤーFPR2000で、加重20g、回転モード、回転数60rpm、回転半径10mmで測定を行い、5分間以上安定した摩擦係数が得られたことが確認できた後にその数値を読み取り、摩擦係数とした。
【0111】
また、表及び明細書中の各名称は、それぞれ次に示すものである。
【0112】
NBR N640:ニトリルブタジエンゴム(商品名:JSR N640、JSR社製、MV=50、AN=25%)
RP4020:EFEP(商品名:ネオフロンEFEP、ダイキン工業株式会社製、融点:160℃)
ステアリン酸:架橋促進剤(日油株式会社製)
硫黄:架橋剤(四国化成株式会社製)
アンテージRD:老化防止剤(川口化学工業株式会社製)
アンテージMB:老化防止剤(川口化学工業株式会社製)
サンワックス171P:加工助剤(三洋化成工業株式会社製)
アサヒ#70L:カーボン(旭カーボン株式会社製)
ニプシールVN3(日本シリカ工業株式会社製)
アクターR:架橋促進剤(川口化学工業株式会社製)
サンセラーCM−G:架橋促進剤(三新化学工業株式会社製)
サンセラーTT−G:架橋促進剤(三新化学工業株式会社製)
酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製)
無水マレイン酸変性ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製アドテックス)
【0113】
実施例1
(I)混練工程
(プレコンパウンドの調製)
内容積3リットルの加圧型ニーダーにNBR N640を70質量部、RP4020を30質量部、無水マレイン酸変性ポリエチレンを3質量部投入し、RP4020の融点(160℃)よりも10℃高い170℃の温度で5分間溶融混練し、プレコンパウンドを調製した。ローターの回転数は50rpmとした。
【0114】
(フルコンパウンドの調製)
得られたプレコンパウンドを8インチロール2本を備えたオープンロールに巻き付け、下記表1に示す割合で酸化亜鉛、ステアリン酸、硫黄、アンテージRD、アンテージMB、サンワックス171P、アサヒ#70L、ニプシールVN3、アクターR、サンセラーCM−G及びサンセラーTT−Gを添加し、20分間混練りして架橋性ゴム組成物(フルコンパウンド)を調製した。
【0115】
このフルコンパウンドの架橋(加硫)特性を調べた。結果を表2に示す。
【0116】
(II)成形架橋工程
(成形工程)
得られたフルコンパウンドを8インチオープンロールにより最終的に3mmの厚さの未架橋ニトリルブタジエンゴムシートに成形した。
【0117】
(架橋工程)
この未架橋ニトリルブタジエンゴムシートを金型で160℃にて10分間プレス架橋し、厚さが2mmの架橋ニトリルブタジエンゴムシートを得た。
【0118】
得られた架橋ニトリルブタジエンゴムシートについて、100%モジュラス(M100)、引張破断強度(Tb)、引張破断伸び(Eb)、硬度〔Hs(ピーク)、Hs(1s)、Hs(3s)〕及び摩擦係数を調べた。結果を表3に示す。
【0119】
(III)熱処理工程
架橋ニトリルブタジエンゴムシート(含まれるRP4020の融点:160℃)を180℃に維持された加熱炉中に4時間、8時間又は16時間入れ、それぞれ熱処理を行った。
【0120】
熱処理した架橋ニトリルブタジエンゴムシート(180℃4時間熱処理、180℃8時間熱処理及び180℃16時間熱処理)のそれぞれについて、100%モジュラス(M100)、引張破断強度(Tb)、引張破断伸び(Eb)、硬度〔Hs(ピーク)、Hs(1s)、Hs(3s)〕及び摩擦係数を調べた。結果を表4〜6に示す。
【0121】
比較例1
NBR N640を8インチロール2本を備えたオープンロールに巻き付け、表1に示す割合で酸化亜鉛、ステアリン酸、硫黄、アンテージRD、アンテージMB、サンワックス171P、アサヒ#70L、ニプシールVN3、アクターR、サンセラーCM−G及びサンセラーTT−Gを添加し、20分間混練りして架橋性ゴム組成物を調製した。その後、実施例1と同様にして架橋ニトリルブタジエンゴムシートを製造した。
【0122】
得られた架橋ニトリルブタジエンゴムシートを、180℃で4時間、180℃で8時間、180℃で16時間、それぞれ加熱処理をした。
【0123】
熱処理していない架橋ニトリルブタジエンゴムシート及び熱処理を施した架橋ニトリルブタジエンゴムシート(180℃4時間熱処理、180℃8時間熱処理及び180℃16時間熱処理)のそれぞれについて、100%モジュラス(M100)、引張破断強度(Tb)、引張破断伸び(Eb)、硬度〔Hs(ピーク)、Hs(1s)、Hs(3s)〕及び摩擦係数を調べた。
【0124】
架橋性ゴム組成物の架橋(加硫)特性を表2に、成形架橋工程後、熱処理工程前の架橋ニトリルブタジエンゴムシートの特性を表3に、熱処理工程後の特性を表4〜表6に示す。
【0125】
比較例2
無水マレイン酸を添加しなかったこと以外は実施例1と同じ方法で架橋性ゴム組成物(フルコンパウンド)を調製した。このフルコンパウンドの架橋(加硫)特性を調べた。結果を表2に示す。その後、実施例1と同様にして架橋ニトリルブタジエンゴムシートを製造し、100%モジュラス(M100)、引張破断強度(Tb)、引張破断伸び(Eb)、硬度〔Hs(ピーク)、Hs(1s)、Hs(3s)〕及び摩擦係数を調べた。結果を表3に示す。
【0126】
【表1】

【0127】
【表2】

【0128】
【表3】

【0129】
【表4】

【0130】
【表5】

【0131】
【表6】

【0132】
表2〜5の結果から、フッ素樹脂を用いていない比較例1と、フッ素樹脂を用いた実施例1とを比較すると、実施例1の摩擦係数が優れていることがわかる。また、無水マレイン酸変性ポリエチレンを添加しなかった比較例2では、均一な混合ができず、摩擦係数が高く、測定限界以上であった。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明の製造方法により得られるゴム成形品は、シール材、摺動部材、非粘着性部材、ホース等として利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニトリルブタジエンゴム(A)とフッ素樹脂(B)と化合物(C)とからなり、
フッ素樹脂(B)は、テトラフルオロエチレンに由来するテトラフルオロエチレン単位とエチレンに由来するエチレン単位とからなる共重合体であり、
化合物(C)は、極性基を有する重合体であって、該極性基が、カルボニル基、及び、アミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の基である
ことを特徴とする架橋性ゴム組成物。
【請求項2】
フッ素樹脂(B)は、テトラフルオロエチレン単位とエチレン単位とのモル比が20:80〜90:10の共重合体である請求項1記載の架橋性ゴム組成物。
【請求項3】
化合物(C)は、無水マレイン酸変性ポリエチレンである請求項1又は2記載の架橋性ゴム組成物。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載の架橋性ゴム組成物を架橋して得られることを特徴とするゴム成形品。
【請求項5】
(I)ニトリルブタジエンゴム(A)、フッ素樹脂(B)及び化合物(C)を、フッ素樹脂(B)の融点以上で混練して架橋性ゴム組成物を得る混練工程を含み、
フッ素樹脂(B)は、テトラフルオロエチレンに由来するテトラフルオロエチレン単位とエチレンに由来するエチレン単位とからなる共重合体であり、
化合物(C)は、極性基を有する重合体であって、該極性基が、カルボニル基、及び、アミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の基である
ことを特徴とする架橋性ゴム組成物の製造方法。
【請求項6】
(I)ニトリルブタジエンゴム(A)、フッ素樹脂(B)及び化合物(C)を、フッ素樹脂(B)の融点以上で混練して架橋性ゴム組成物を得る混練工程、
(II)架橋性ゴム組成物を成形し、架橋して、架橋成形品を得る成形架橋工程、及び、
(III)架橋成形品をフッ素樹脂(B)の融点以上の温度に加熱してゴム成形品を得る熱処理工程を含み、
フッ素樹脂(B)は、テトラフルオロエチレンに由来するテトラフルオロエチレン単位とエチレンに由来するエチレン単位とからなる共重合体であり、
化合物(C)は、極性基を有する重合体であって、該極性基が、カルボニル基、及び、アミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の基である
ことを特徴とするゴム成形品の製造方法。

【公開番号】特開2011−190412(P2011−190412A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59905(P2010−59905)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】