説明

架橋性スルホン化共重合体とその製造方法、架橋性スルホン化共重合体の硬化生成物とその製造方法、高分子電解質膜、膜電極接合体、及び燃料電池

【課題】イオン伝導度特性に優れ、かつメタノールクロスオーバーを顕著に減らせる架橋性スルホン化共重合体及び前記共重合体の重合物を含む燃料電池を提供する。
【解決手段】本発明は、(a)1種以上の芳香族エーテル反復単位と、(b)スルホン酸基またはスルホン酸塩基含有芳香族エーテル反復単位とを含み、一末端または両末端が重合性不飽和官能基を含むとともに、重合性官能基は、(メタ)アクリレート、ケイ皮酸、フルフリル、エポキシ、またはシアネート系官能基であり、(a)1種以上の芳香族エーテル反復単位は、所定の構造を有する芳香族エーテル反復単位であり、(b)スルホン酸基またはスルホン酸塩基含有芳香族エーテル反復単位は、所定の構造を有する反復単位であり、重合度が、3から1,000であるスルホン化共重合体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋性スルホン化共重合体とその製造方法、架橋性スルホン化共重合体の硬化生成物とその製造方法、高分子電解質膜、膜電極接合体、及び燃料電池に係り、特に、スウェリングを減らすことによってメタノールクロスオーバーを顕著に減少させ、寸法安定性に優れ、かつイオン伝導度を高く維持させうる架橋官能基を含むスルホン化共重合体及び前記共重合体の重合物を含む燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、メタノール、エタノール、天然ガスのような炭化水素系の物質内に含まれている水素及び酸素の化学エネルギーを直接電気エネルギーに転換する電気化学装置である。燃料電池のエネルギー転換工程は、非常に効率的かつ環境にやさしいため、去る数十年間注目されており、多様な種類の燃料電池が試みられた。
【0003】
燃料電池は、使われる電解質の種類によって、リン酸型燃料電池(PAFC:Phosphoric Acid Fuel Cell)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC:Molten Carbonate Fuel Cell)、固体酸化物型燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)、高分子電解質型燃料電池(PEMFC:Polymer Electrolyte Membrance Fuel Cell)及びアルカリ型燃料電池(AFC:Alkaline Fuel Cell)に分類される。これらそれぞれの燃料電池は、根本的に同じ原理によって作動されるが、使われる燃料の種類、運転温度、触媒、電解質が異なる。このうちで、PEMFCは、小規模据置型発電装備だけでなく、輸送システムにも最も有望であると知られている。これは、PEMFCの有する低温作動、高出力密度、迅速な始動、及び出力要求の変化に対する機敏な応答のような長所に起因する。
【0004】
PEMFCの核心部は、膜電極接合体(MEA:Membrane and Electrode Assembly)である。MEAは、通常、高分子電解質膜と、その両面に付着されてそれぞれカソード及びアノードの役割を行う2個の電極とで構成される。
【0005】
高分子電解質膜は、酸化剤と還元剤との直接接触を防止する隔離膜の役割及び二つの電極を電気的に絶縁する役割だけでなく、プロトン伝導体の役割も担当する。したがって、優秀な高分子電解質膜は、(1)高いプロトン伝導度、(2)高い電気絶縁性、(3)低い反応物透過性、(4)燃料電池運転条件で優れた熱的、化学的、機械的安定性及び(5)低コストなどの条件を備えることが望ましい。
【0006】
前記のような条件を満足するために、多様な高分子電解質膜が開発され、ナフィオン(Nafion)膜のような高フッ化ポリスルホン酸膜は、優れた耐久性及び性能によって、現在標準的な地位を占めている。しかし、前記ナフィオン膜は、性能確保のために十分に加湿させねばならず、水分の損失を防止するために80℃以下で使われねばならないという短所がある。
【0007】
また、直接メタノール燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)の場合、メタノール水溶液が燃料としてアノードに供給されるが、未反応メタノール水溶液のうち一部は、高分子電解質膜に浸透する。高分子電解質膜に浸透したメタノール水溶液は、電解質膜にスウェリング現象を起こしつつ広がってカソード触媒層まで伝えられる。このような現象を‘メタノールクロスオーバー’というが、これは、水素イオンと酸素との電気化学的還元が進められねばならないカソードでメタノールの直接酸化を起こすので、カソードの電位を落とし、その結果、電池の性能を深刻に低下させうる。
【0008】
このような問題は、メタノールだけでなく、他の極性有機燃料を含む液体燃料を使用する燃料電池に共通する問題である。
【0009】
このような理由で、メタノール、エタノールのような極性有機液体燃料のクロスオーバーを遮断するための努力が活発に進められており、無機物を利用したナノ複合素材を利用して物理的に遮断する方法など、色々な方法が試みられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、これまで公知の高分子電解質膜は、スウェリング、寸法安定性、イオン伝導度、メタノールクロスオーバーを低下させる程度などの特性が満足すべきレベルに至らずに、これに対する改善が依然として要求されている。
【0011】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、イオン伝導度特性に優れ、かつメタノールクロスオーバーを顕著に減らせる架橋官能基を含むスルホン化共重合体を提供することにある。
【0012】
また、本発明の第2の目的は、前記架橋官能基を含むスルホン化共重合体の製造方法を提供することにある。
【0013】
また、本発明の第3の目的は、前記スルホン化共重合体の重合結果物である硬化生成物とその製造方法を提供することにある。
【0014】
また、本発明の第4の目的は、イオン伝導度の犠牲なしにメタノールクロスオーバーを顕著に減らし、寸法安定性が改善された高分子電解質膜を提供することにある。
【0015】
また、本発明の第5の目的は、前記重合結果物を含む膜電極接合体を提供することにある。
【0016】
また、本発明の第6の目的は、前記重合結果物を含む燃料電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を達成するために、本発明の第1の観点によれば、(a)1種以上の芳香族エーテル反復単位と、(b)スルホン酸基またはスルホン酸塩基含有芳香族エーテル反復単位と、を含み、一末端または両末端が重合性官能基を含むとともに、前記重合性官能基は、(メタ)アクリレート、ケイ皮酸、フルフリル、エポキシ、またはシアネート系官能基であり、前記(a)1種以上の芳香族エーテル反復単位は、下記化学式(4)の芳香族エーテル反復単位であり、前記(b)スルホン酸基またはスルホン酸塩基含有芳香族エーテル反復単位は、下記化学式1の反復単位であり、重合度が、3から1,000である、架橋性スルホン化共重合体が提供される。
【0018】
【化1】

【0019】
式(4)のうち、R25からR32は、それぞれ独立的に、水素またはC−C10のアルキル基を表し、Xは、単結合、−S−、−O−、−(C=O)−、−SO−、またはC10のアルキレン基を表す。
【0020】
【化2】

【0021】
式(1)のうち、RからRは、それぞれ独立的に、水素またはC−C10のアルキル基を表し、これらのうち少なくとも一つ以上は、−SOYを表し、前記Yは、水素またはアルカリ金属を表し、Xは、単結合、−S−,−O−,−(C=O)−,−SO−、C−C30のアリーレン基、C−C20のアルキレン基、またはC−C30のヘテロアリーレン基を表す。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明の第2の観点によれば、1種以上の芳香族ジオール系、ジニトロ系またはジハライド系単量体と、スルホン酸基もしくはスルホン酸塩基含有芳香族ジオール系、ジニトロ系またはジハライド系単量体と、を縮重合させる工程と、前記縮重合物の両末端にヒドロキシ基を付加して、末端にヒドロキシ基を有するスルホン化ポリアリーレンエーテルを製造する工程と、前記スルホン化ポリアリーレンエーテルの末端ヒドロキシ基に、(メタ)アクリレート系化合物、ケイ皮酸系化合物、シアネート系化合物、またはエポキシ系化合物から選択される架橋性誘導体を共有結合させる工程と、を含む架橋性スルホン化共重合体の製造方法が提供される。
【0023】
上記課題を解決するために、本発明の第3の観点によれば、前記架橋性スルホン化共重合体の硬化反応生成物が提供される。
【0024】
上記課題を解決するために、本発明の第4の観点によれば、上記製造方法により得られた架橋性スルホン化共重合体を重合開始剤の存在下で硬化させて硬化反応生成物を形成するスルホン化共重合体硬化生成物の製造方法が提供される。
【0025】
上記課題を解決するために、本発明の第5の観点によれば、前記架橋性スルホン化共重合体自体の硬化反応生成物、または高分子マトリックスと、前記架橋性スルホン化共重合体の硬化反応生成物とを含む高分子電解質膜が提供される。
【0026】
上記課題を解決するために、本発明の第6の観点によれば、触媒層及び拡散層を備えるカソードと、触媒層及び拡散層を備えるアノードと、前記カソードと前記アノードとの間に位置する高分子電解質膜と、を備える膜電極接合体において、前記高分子電解質膜は、前記本発明の架橋性スルホン化共重合体の硬化反応生成物を含むことを特徴とする膜電極接合体が提供される。
【0027】
上記課題を解決するために、本発明の第7の観点によれば、触媒層及び拡散層を備えるカソードと、触媒層及び拡散層を備えるアノードと、前記カソードと前記アノードとの間に位置する高分子電解質膜と、を備える燃料電池において、前記高分子電解質膜が前記架橋性スルホン化共重合体の硬化反応生成物を含むことを特徴とする燃料電池が提供される。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、架橋性スルホン化共重合体及びその硬化生成物を提供することによって、液体との接触によるスウェリングを抑制して寸法安定性に優れるだけでなく、メタノールクロスオーバーを顕著に減少させ、イオン伝導度を高く維持する優れた性能の高分子電解質膜、これを含む膜電極接合体及び燃料電池を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0030】
本発明による架橋性スルホン化共重合体は、両末端に架橋官能基を含んでいるので、これを硬化させた重合物の場合、水に対する不溶性が増加し、高い温度での燃料によるスウェリングを防止して、メタノールのような燃料のクロスオーバーを抑制でき、寸法安定性が向上し、高いイオン伝導度を維持し、変形のない高分子電解質膜の形成が可能になる。
【0031】
本発明による架橋性スルホン化共重合体は、(a)1種以上の芳香族エーテル反復単位と、(b)スルホン酸基あるいはスルホン酸塩基含有芳香族エーテル反復単位とを含み、一末端あるいは両末端が重合性不飽和官能基を含んでいる。
【0032】
本発明で、前記(a)1種以上の芳香族エーテル反復単位と、(b)スルホン酸基あるいはスルホン酸塩基含有芳香族エーテル反復単位とのモル比は、99:1から5:95であることが望ましく、95:5から15:85であることがさらに望ましく、90:10から55:45であることが最も望ましい。もし、前記(b)反復単位のモル数、前記範囲を逸脱して過度に少なければ、伝導性膜において、水素イオン伝導度特性が悪くなり、また膜抵抗が大きく増加しうる。逆に、モル数が過度に多ければ、水及びメタノールのような燃料によるスウェリング及び透過度特性が増加して膜の効率を低下させうる。
【0033】
前記共重合体で、(b)スルホン酸基あるいはスルホン酸塩基含有芳香族エーテル反復単位は、下記化学式1から化学式3の反復単位からなる群から選択される一つ以上を表し、重合度は、3から1,000の実数である。
【0034】
【化3】

【0035】
式(1)のうち、RからRは、それぞれ独立的に、水素、C−C10のアルキル基、C−C30のアリール基を表し、これらのうち少なくとも一つ以上は、−SOYを表し、前記Yは、水素またはアルカリ金属を表し、Xは、単結合、−S−,−O−,−(C=O)−,−SO−、置換もしくは非置換のC−C30のアリーレン基、置換もしくは非置換のC−C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC−C30のヘテロアリーレン基、置換もしくは非置換のC−C20のヘテロアルキレン基、置換もしくは非置換のC−C30のアルキルアリーレン基、置換もしくは非置換のC−C30のヘテロアルキルアリーレン基、置換もしくは非置換のC−C30のアルキルヘテロアリーレン基、置換もしくは非置換のC−C30のアルキルアリールアルキレン基、または置換もしくは非置換のC13−C30のアリールアルキルアリーレン基を表す。
【0036】
【化4】

【0037】
式(2)のうち、RからR20は、それぞれ独立的に、水素、置換または非置換のC−C10のアルキル基、置換または非置換のC−C30のアリール基を表し、これらのうち少なくとも一つ以上は、−SOYを表し、前記Yは、水素あるいはアルカリ金属を表し、X及びXは、それぞれ独立的に、単結合、−S−、−O−、−(C=O)−、−SO−、置換もしくは非置換のC−C30のアリーレン基、置換もしくは非置換のC−C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC−C30のヘテロアリーレン基、置換もしくは非置換のC−C20のヘテロアルキレン基、置換もしくは非置換のC−C30のアルキルアリーレン基、置換もしくは非置換のC−C30のヘテロアルキルアリーレン基、置換もしくは非置換のC−C30のアルキルヘテロアリーレン基、置換もしくは非置換のC−C30のアルキルアリールアルキレン基、または置換もしくは非置換のC13−C30のアリールアルキルアリーレン基を表す。
【0038】
【化5】

【0039】
式(3)のうち、R21からR24は、それぞれ独立的に、水素、置換または非置換のC−C10のアルキル基、置換または非置換のC−C30のアリール基を表し、これらのうち少なくとも一つ以上は、−SOYを表し、前記Yは、水素あるいはアルカリ金属を表す。
【0040】
前記化学式1から化学式3の反復単位内に含まれているスルホン酸基あるいはスルホン酸塩基は、伝導度及び熱的特性の向上のような性質を前記反復単位に付与しうる。前記スルホン酸塩基は、陽イオンであってアルカリ金属を含んでおり、例えば、リチウム、ナトリウムまたはカルシウムを使用しうる。
【0041】
このような化学式1から化学式3の反復単位は、共重合体の形成時に前記化学式1から化学式3の反復単位からなる群から選択される一つ以上の反復単位のモル分率が0.01から0.95であることが望ましいところ、前記モル分率が0.95を超える場合、スルホン酸基の含有量が過度に増加して燃料によるスウェリング及び透過度の向上、及び膜特性の低下のような問題があり、0.01未満である場合には、伝導度特性の低下のような問題があって望ましくない。このような反復単位を含む共重合体は、ブロック共重合体あるいはランダム共重合体の如何なる形態でも可能である。
【0042】
前記スルホン酸基あるいはスルホン酸塩基を含む前記化学式1の反復単位としては、例えば、下記化学式11または12の構造を有する反復単位が望ましい。
【0043】
【化6】

【0044】
【化7】

【0045】
前記スルホン酸基あるいはスルホン酸塩基を含む前記化学式2の反復単位としては、例えば、下記化学式21の構造を有する反復単位が望ましい。
【0046】
【化8】

【0047】
また、前記化学式3の反復単位としては、下記化学式31の構造を有する反復単位が望ましい。
【0048】
【化9】

【0049】
本発明による前記架橋性スルホン化共重合体で、一末端あるいは両末端には、重合性不飽和官能基が含まれるところ、これらは、他の鎖に存在する官能基と相互結合して硬化による重合反応生成物を形成する。このような役割を行う重合性不飽和官能基としては、(メタ)アクリレート、スチリル、ケイ皮酸、フルフリル、ビニル、アセチレン、エポキシ、またはシアネート系官能基を例として挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
本発明による架橋性スルホン化共重合体は、前述したような化学式1から化学式3の反復単位を含む以外に、スルホン酸基あるいはスルホン酸塩基を含有していない一般的な芳香族エーテルを反復単位として1種以上含むことができ、これらは、主鎖内に芳香族環を一つ以上含み、一末端には、エーテル基(−O−)が形成されている。このような一般的な芳香族エーテル反復単位の例としては、下記化学式(a)から(w)の構造から選択された一つ以上を例として挙げられる。
【0051】
【化10】


【化11】


【化12】


【化13】


【化14】

【0052】
これらのうち、特に、望ましい場合の一般式としては、下記化学式4の芳香族エーテル反復単位である。
【0053】
【化15】

【0054】
式(4)のうち、R25からR32は、それぞれ独立的に、水素、置換または非置換のC−C10のアルキル基、置換または非置換のC−C30のアリール基を表し、Xは、単結合、−S−、−O−、−(C=O)−、−SO−、置換もしくは非置換のC10のアルキレン基、置換もしくは非置換のC10のヘテロアルキレン基、置換もしくは非置換のC−C30のアリーレン基、またはC−C30のヘテロアリーレン基を表す。
【0055】
前記化学式4の芳香族エーテルの望ましい例としては、下記化学式41から43の芳香族エーテル反復単位がある。
【0056】
【化16】

【化17】

【化18】

【0057】
以下では、前記架橋性スルホン化共重合体の製造方法を説明する。
【0058】
前述したような本発明による架橋性スルホン化共重合体は、1種以上の芳香族ジオール系、ジニトロ系あるいはジハライド系単量体と、スルホン酸基またはスルホン酸塩基含有芳香族ジオール系、ジニトロ系あるいはジハライド系単量体とを縮重合させて末端にヒドロキシ基を有するスルホン化ポリアリーレンエーテルを製造した後、得られたポリアリーレンエーテルの末端に架橋性誘導体を共有結合させることによって製造しうる。
【0059】
前記縮重合工程は、一般的な重合体製造工程で使われる方法を制限なしに使用でき、特別の制限はない。例えば、前記芳香族ジオール、ジニトロあるいはジハライド化合物と、前記スルホン酸基あるいはスルホン酸塩基含有化合物とを適切な混合比で混合した後に溶媒に溶解させ、望ましくは、塩基物質である炭酸カリウム(KCO)のような金属性塩基触媒の存在下で重合させてスルホン酸塩基形態の共重合体を製造しうる。前記重合は、140℃から220℃の温度で1時間から36時間行うことが望ましい。
【0060】
原料として使われる1種以上の芳香族ジオール系、ジニトロ系またはジハライド系単量体は、少なくとも2個以上の反応性作用基を有する芳香族環化合物ならば、制限なしに使用でき、例えば、次のような化学式(a)から(w)の化合物を使用しうる。
【0061】
【化19】

【化20】

【化21】

【0062】
前記化学式(a)から(w)で、R及びRは、それぞれ独立的にヒドロキシ基、ニトロ基またはハロゲン基を表し、互いに同一でもよく、異なってもよい。
【0063】
前記縮重合に使われるスルホン酸基またはスルホン酸塩基含有芳香族ジオール系、ジニトロ系あるいはジハライド系化合物は、ヒドロキシ基を2個以上有するか、ニトロ基を2個以上、あるいはハライド基を2個以上分子内に有している化合物であって、少なくとも一つ以上の水素原子がスルホン酸基あるいはスルホン酸塩基に置換されているものならば、制限なしに使用でき、例えば、下記化学式1aから3aの構造を有する化合物からなる群から選択された一つ以上を使用しうる。
【0064】
【化22】

【化23】

【化24】

【0065】
式のうち、X、X、X、RからR24は、前記定義した通りであり、Yは、ヒドロキシ基、ニトロ基、あるいはハライド基を表す。
【0066】
前記架橋性スルホン化共重合体の製造工程において、芳香族ジオールに存在するヒドロキシ基はハロゲン基またはニトロ基と反応する。したがって、ヒドロキシ基のモル数とニトロ基及びハロゲン基のモル数との比は、4.0:6.0から6.0:4.0であることが望ましく、4.8:5.2から5.2:4.8がさらに望ましく、5.0:5.0であることが最も望ましい。もし、ヒドロキシ基のモル数とニトロ基及びハロゲン基のモル数との比が前記範囲を逸脱すれば、未反応単量体及び低分子量の重合体が生じるため、共重合体の物性に悪影響を及ぼす。
【0067】
また、前記スルホン酸基を含有していない芳香族化合物とスルホン酸基あるいはスルホン酸塩基含有芳香族化合物とのモル比は、99:1から5:95であることが望ましく、95:5から15:85であることがさらに望ましく、90:10から55:45であることが最も望ましい。もし、前記スルホン酸基あるいはスルホン酸塩基含有化合物のモル数が99:1より小さければ、伝導性膜において、水素イオン伝導度特性が悪くなり、また膜抵抗が大きく増加しうる。逆に、5:95を超えれば、水及びメタノールのような燃料によるスウェリング及び透過度特性が向上して膜の効率を低下させうる。
【0068】
但し、前記のようにスルホン酸塩を含む化合物を利用して共重合体を製造する場合、イオン伝導性を付与するために1価の陽イオンを水素イオンに置換する過程が必要である。水素イオンに置換する方法は、例えば、希塩酸または希硫酸のような強酸を利用しうる。
【0069】
このような共重合工程を経た後に、前記共重合体の末端には、ヒドロキシ基が存在するところ、ここに架橋性官能基を共有結合させて、本発明による架橋性スルホン化共重合体を得る。このような共有結合の形成工程は、(メタ)アクリレート系化合物、スチリル系化合物、ケイ皮酸系化合物、シアネート系化合物、エポキシ系化合物またはビニル系化合物をNaHやアミンのような塩基性雰囲気及び反応溶液の常温または加熱条件と同じ条件で行うところ、前記ヒドロキシ基の水素の代りに、重合可能な不飽和官能基が置換された形態の下記化学式10の本発明による架橋性スルホン化共重合体を最終的に得ることができる。
【0070】
【化25】

【0071】
式(10)のうち、Rは、重合性不飽和官能基を表し、Yは、水素またはアルカリ金属を表し、−Ar−O−は、芳香族エーテル反復単位を表し、Xは、単結合、−S−、−O−、−(C=O)−、−SO−、置換もしくは非置換のC−C30のアリーレン基、置換もしくは非置換のC−C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC−C30のヘテロアリーレン基、置換もしくは非置換のC−C20のヘテロアルキレン基、置換もしくは非置換のC−C30のアルキルアリーレン基、置換もしくは非置換のC−C30のヘテロアルキルアリーレン基、置換もしくはC−C30の非置換のアルキルヘテロアリーレン基、置換もしくは非置換のC−C30のアルキルアリールアルキレン基、または置換もしくは非置換のC13−C30のアリールアルキルアリーレン基を表し、aは、0.01から0.99;b及びcは、0から0.99であり、a+b+c=1及びb+c>0.01を満たし、k1は、3から1000の実数を表す。
【0072】
前述したような架橋性スルホン化共重合体は、必要に応じて高分子マトリックスと共に硬化して高分子電解質膜を形成する。このとき、硬化反応は、熱、光または電子線によって実施され、通常の硬化工程で使われる方法ならば、制限なしに使用しうる。熱照射による硬化工程を採択する場合には、40から120℃の温度範囲が望ましく、光照射によって行う場合には、紫外線を使用することが良い。
【0073】
特に、前記硬化工程は、重合開始剤を加えて行うことが望ましいところ、このとき、使用可能な重合開始剤としては、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメタルケタール、ジエトキシアセトフェノン、またはAIBNを使用しうる。このとき、前記重合開始剤の含有量は、前記架橋性スルホン化共重合体の含有量100質量部を基準として0.01から10質量部を使用することが望ましい。
【0074】
前記高分子マトリックスは、高分子電解質膜の形成に使われる通常のものならば制限なしに使用でき、例えば、スルホン化ポリ(エーテルエーテルケトン)(SPEEK)、スルホン化ポリ(エーテルエーテルスルホン)(SPEES)、スルホン化ポリエミド(SPI)、ポリエミド、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトンを使用しうる。
【0075】
前記高分子電解質膜の一具現例は、本発明の架橋性スルホン化共重合体の硬化生成物と他の高分子とが相互浸透(Interpenetration:IPN)された構造になりうる。本発明の架橋性スルホン化共重合体の硬化生成物とIPN構造をなす他の高分子は、本発明の架橋性スルホン化共重合体の硬化生成物の物性のうち補完しようとする物性を考慮して選択されうる。例えば、イオン伝導度をさらに向上させる必要がある場合には、イオン伝導度に優れた高分子を利用しうる。
【0076】
前記高分子電解質膜の他の一具現例は、例えば、リン酸のようなイオン伝導性物質を含浸させうる。イオン伝導性物質を含浸させる方法は、当業界に公知の方法により、例えば、リン酸溶液に本発明の架橋性スルホン化共重合体膜を浸漬させる方法でありうる。
【0077】
前記高分子電解質膜の他の一具現例は、例えば、本発明の架橋性スルホン化共重合体の硬化生成物からなる高分子膜と他の高分子膜とを複数の層に積層させうる。本発明の共重合体からなる高分子膜に積層される前記高分子膜は、補完しようとする物性によって高分子電解質膜として従来に公知の材料から適切に選択されうる。
【0078】
このように本発明による架橋性スルホン化共重合体の硬化生成物を含む高分子電解質膜は、高分子鎖間の架橋結合の導入による分子量の増加の効果によって膜の機械的な物性の増大及び水に対する不溶性のような特性を有するので、高い伝導度特性を有する高いスルホン酸基の条件でも、燃料によるスウェリング防止のような効果を発揮する。
【0079】
以下では、前記架橋性スルホン化共重合体を含む膜電極接合体について説明する。
【0080】
本発明は、触媒層及び拡散層を備えるカソードと、触媒層及び拡散層を備えるアノードと、前記カソードと前記アノードとの間に位置する高分子電解質膜と、を備える膜電極接合体において、前記高分子電解質膜が本発明の架橋性スルホン化共重合体の硬化生成物を含む膜電極接合体を提供する。
【0081】
触媒層及び拡散層を備える前記カソード及びアノードは、燃料電池分野に周知のものでありうる。また、前記高分子電解質膜は、本発明の架橋性スルホン化共重合体の硬化生成物を含む。本発明の高分子電解質膜は、単独で使われてもよく、イオン伝導性を有する他の膜と結合して使われてもよい。
【0082】
以下では、架橋性スルホン化共重合体の硬化生成物を含む燃料電池について説明する。
【0083】
本発明は、触媒層及び拡散層を備えるカソードと、触媒層及び拡散層を備えるアノードと、前記カソードと前記アノードとの間に位置する高分子電解質膜とを備える燃料電池において、前記高分子電解質膜が本発明の架橋性スルホン化共重合体の硬化生成物を含む燃料電池を提供する。
【0084】
触媒層及び拡散層を備える前記カソード及びアノードは、燃料電池分野に周知のものでありうる。また、前記高分子電解質膜は、本発明の架橋性スルホン化共重合体の硬化生成物を含む。前記高分子電解質膜は、単独で使われてもよく、イオン伝導性を有する他の膜と結合して使われてもよい。
【0085】
このような燃料電池の製造は、各種文献に公示されている通常的な方法を利用しうるので、本明細書では、それについての詳細な説明を省略する。
【実施例】
【0086】
以下、具体的な実施例及び比較例をして本発明の構成及び効果をさらに詳細に説明するが、これら実施例は、単に本発明をさらに明確に理解させるためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0087】
(実施例1)
【化26】

【0088】
反応式1のうちm、nは、モル比m/n=1/1である。
【0089】
前記反応式1に表したように、ディーン・スターク装置が設置された250mLの3口フラスコに前記化学式51のジオール化合物5.406g(23.68mmol)、前記化学式52のジハライド化合物2.583g(11.84mmol)、前記化学式54のスルホン酸塩基含有ジハライド化合物5.000g(11.84mmol)及び無水KCO 4.25gを投入して、溶媒としてジメチルスルホキシド(DMSO)65mL及びトルエン30mLを混合した。
【0090】
前記混合物を窒素雰囲気下で140℃で4時間還流させて生成された水を除去させた後、トルエンを除去した。反応温度を180℃に上げた後、その温度で16時間重合した。この後、化学式51のジオール化合物0.54g(2.368mmol)及びトルエン30mLを加え、付加的に12時間還流反応させて両末端にヒドロキシ基を有する前記化学式54のスルホン化共重合体を製造した。
【0091】
常温まで冷却した後、反応溶液をメタノール内に沈殿させ、無機物を除去するために沈殿された共重合体を加熱した蒸溜水で3回洗浄した。形成された共重合体を100℃で24時間乾燥した。
【0092】
(実施例2)
前記実施例1で得られた化学式54のスルホン化共重合体5gを窒素雰囲気下で乾燥された1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)30mLに溶かした後、NaH(60% dispersion in mineral oil)1.42gを反応溶液に付加した。反応混合物を常温で6時間混合し、氷水で前記混合物を冷却させた後に塩化メタクリロイル5.4gを徐々に加えた。全部加えた後に常温で12時間反応させた。反応沈殿物をガラスフィルタを通じて分離し、濾過された濾液をメタノールと水との混合溶液に沈殿させ、常温で減圧乾燥した後に、前記化学式55のメタクリル系末端がキャッピングされた架橋性スルホン化ポリ共重合体を製造した。合成されたメタクリル系末端がキャッピングされた前記重合体の構造を、核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)分析を利用して確認し、下記のようにメタクリル基の特性ピークがあるということが分かる。
【0093】
1H NMR(DMSO−d6)(300MHz)data:δ5.8〜6.2(2H,H2C=C−)及び2.0(3H,C=C−CH3)
(Mw=82,000、Mn=52,000)
【0094】
(実施例3から5)
前記実施例2で得られた化学式54の架橋性スルホン化共重合体と下記化学式61または62の共重合体とを、下記表1に記載されたジメチルスルホキシド(DMSO)に完全に溶解させた後にキャスティングして、60℃のオーブンで12時間乾燥して高分子電解質膜を製造した。次いで、この膜を1.5Mの硫酸水溶液に24時間漬浸してプロトン化させ、蒸溜水に24時間浸漬させて下記表1の厚さを有する高分子膜を製造した。
【0095】
【化27】

【0096】
式(61)のうちm、nは、m/n=4/1である。
【0097】
【化28】

【0098】
式(62)のうちa、b、c、dは、a/c=5/95であり、b/d=33.3/66.6である。
【0099】
(比較例1)
前記化学式61の酸性高分子を単独で実施例3と同じ方法でキャスティングして、35μmの厚さを有する高分子膜を製造した。
【0100】
(比較例2)
前記化学式62の酸性高分子を単独で実施例3と同じ方法でキャスティングして、109μmの厚さを有する高分子膜を製造した。
【0101】
前記のように製造した高分子膜に対して、膜厚さ、プロトン伝導度(4−point probe cellを利用して測定)及びメタノール透過度を常温(25℃、RH=95%)で測定した。その結果を下記表1に整理した。
【0102】
【表1】

【0103】
前記表1から分かるように、本発明による架橋性スルホン化共重合体の硬化生成物を含む実施例3から5の場合、従来の酸性高分子を単独で使用した比較例1及び2に比べて、プロトン伝導度が向上しつつも、メタノール透過度の数値が従来と同じレベルを表す。
【0104】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、燃料電池関連の技術分野に好適に適用可能である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1種以上の芳香族エーテル反復単位と、
(b)スルホン酸基またはスルホン酸塩基含有芳香族エーテル反復単位と、
を含み、
一末端または両末端が重合性官能基を含むとともに、
前記重合性官能基は、(メタ)アクリレート、ケイ皮酸、フルフリル、エポキシ、またはシアネート系官能基であり、
前記(a)1種以上の芳香族エーテル反復単位は、下記化学式(4)の芳香族エーテル反復単位であり、
前記(b)スルホン酸基またはスルホン酸塩基含有芳香族エーテル反復単位は、下記化学式1の反復単位であり、重合度が、3から1,000であることを特徴とする、架橋性スルホン化共重合体。
【化1】

式(4)のうち、
25からR32は、それぞれ独立的に、水素またはC−C10のアルキル基を表し、
は、単結合、−S−、−O−、−(C=O)−、−SO−、またはC10のアルキレン基を表し、
【化2】

式(1)のうち、
からRは、それぞれ独立的に、水素またはC−C10のアルキル基を表し、これらのうち少なくとも一つ以上は、−SOYを表し、前記Yは、水素またはアルカリ金属を表し、
は、単結合、−S−,−O−,−(C=O)−,−SO−、C−C30のアリーレン基、C−C20のアルキレン基、またはC−C30のヘテロアリーレン基を表す。
【請求項2】
前記化学式(1)の反復単位は、下記化学式(11)または(12)の構造式を有することを特徴とする、請求項1に記載の架橋性スルホン化共重合体。
【化3】

【化4】

【請求項3】
前記(a)1種以上の芳香族エーテル反復単位は、下記化学式(a)〜(e)、(h)〜(j)、(l)、(m)および(o)からなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の架橋性スルホン化共重合体。
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【請求項4】
前記(a)1種以上の芳香族エーテル反復単位は、下記化学式(41)、(42)、または(43)の芳香族エーテル反復単位であることを特徴とする、請求項1に記載の架橋性スルホン化共重合体。
【化9】

【化10】

【化11】

【請求項5】
前記(a)1種以上の芳香族エーテル反復単位と、前記(b)スルホン酸基またはスルホン酸塩基含有芳香族エーテル反復単位とのモル比は、99:1から5:95であることを特徴とする、請求項1に記載の架橋性スルホン化共重合体。
【請求項6】
下記化学式(10)の構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の架橋性スルホン化共重合体。
【化12】

式(10)のうち、
は、重合性官能基を表し、
Yは、水素またはアルカリ金属を表し、
−Ar−O−は、下記化学式(4)の芳香族エーテル反復単位であり、
【化13】

式(4)のうち、
25からR32は、それぞれ独立的に、水素またはC−C10のアルキル基を表し、
は、単結合、−S−、−O−、−(C=O)−、−SO−、またはC10のアルキレン基を表し、
Xは、単結合、−S−、−O−、−(C=O)−、−SO−、C−C30のアリーレン基、C−C20のアルキレン基、またはC−C30のヘテロアリーレン基を表し、
aは、0.01から0.99;b及びcは、0から0.99であり、a+b+c=1及びb+c>0.01を満たし、k1は、3から1000の数を表す。
【請求項7】
請求項1から6のうち何れか1項に記載の架橋性スルホン化共重合体の硬化生成物。
【請求項8】
1種以上の芳香族ジオール系、ジニトロ系またはジハライド系単量体と、スルホン酸基もしくはスルホン酸塩基含有芳香族ジオール系、ジニトロ系またはジハライド系単量体と、を縮重合させる工程と、
前記縮重合物の両末端にヒドロキシ基を付加して、末端にヒドロキシ基を有するスルホン化ポリアリーレンエーテルを製造する工程と、
前記スルホン化ポリアリーレンエーテルの末端ヒドロキシ基に、(メタ)アクリレート系化合物、ケイ皮酸系化合物、シアネート系化合物、またはエポキシ系化合物から選択される架橋性誘導体を共有結合させる工程と、
を含むことを特徴とする、架橋性スルホン化共重合体の製造方法。
【請求項9】
前記縮重合工程で、芳香族ジオール化合物、スルホン酸基もしくはスルホン酸塩基含有芳香族ジオール系、ジニトロ系またはジハライド系化合物に存在するヒドロキシ基のモル数とニトロ基及びハロゲン基のモル数との比は、4.0:6.0から6.0:4.0であることを特徴とする、請求項8に記載の架橋性スルホン化共重合体の製造方法。
【請求項10】
芳香族ジオール系、ジニトロ系またはジハライド系単量体と、スルホン酸基もしくはスルホン酸塩基含有芳香族ジオール系、ジニトロ系またはジハライド系化合物とのモル数の比は、99:1から5:95であることを特徴とする、請求項8に記載の架橋性スルホン化共重合体の製造方法。
【請求項11】
請求項8から10のうち何れか1項に記載の製造方法により得られた架橋性スルホン化共重合体を硬化させて硬化反応生成物を形成することを特徴とする、スルホン化共重合体硬化生成物の製造方法。
【請求項12】
重合開始剤の存在下で硬化反応生成物を形成することを特徴とする、請求項11に記載のスルホン化共重合体硬化生成物の製造方法。
【請求項13】
前記重合開始剤は、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ジエトキシアセトフェノン、及びAIBNからなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする、請求項12に記載のスルホン化共重合体硬化生成物の製造方法。
【請求項14】
前記重合開始剤の含有量は、前記架橋性スルホン化共重合体100質量部を基準として0.01から10質量部であることを特徴とする、請求項12に記載のスルホン化共重合体硬化生成物の製造方法。
【請求項15】
請求項1から6の何れか1項に記載の架橋性スルホン化共重合体を含む、高分子電解質膜。
【請求項16】
請求項7に記載の架橋性スルホン化共重合体の硬化生成物を含む、高分子電解質膜。
【請求項17】
触媒層及び拡散層を備えるカソードと、
触媒層及び拡散層を備えるアノードと、
前記カソードと前記アノードとの間に位置する高分子電解質膜と、
を備える膜電極接合体において、
前記高分子電解質膜は、請求項7に記載の架橋性スルホン化共重合体の硬化生成物を含むことを特徴とする、膜電極接合体。
【請求項18】
触媒層及び拡散層を備えるカソードと、
触媒層及び拡散層を備えるアノードと、
前記カソードと前記アノードとの間に位置する高分子電解質膜と、
を備える燃料電池において、
前記高分子電解質膜は、請求項7に記載の架橋性スルホン化共重合体の硬化生成物を含むことを特徴とする、燃料電池。



【公開番号】特開2011−21199(P2011−21199A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215690(P2010−215690)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【分割の表示】特願2007−42757(P2007−42757)の分割
【原出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】