説明

架橋組成物

【化1】


本発明は、式:A’−NR−R(ここで、A’は線状あるいは環状尿素、シアヌル酸、置換シアヌル酸、線状あるいは環状アミド、グリコールウリル、ヒダントイン、線状あるいは環状カーバメートおよびこれらの混合物、または(I)(ここで、RはR、水素、1〜20個の炭素原子のアルキルであるか、あるいはまたはA’と一緒になって環状化合物を形成する)を含んでなる部分から誘導される部分であって;Rは−CHROR(ここで、Rは水素、1〜約24個の炭素原子を有するアルキル、アリール、アラルキル、またはアルカリールであり、そしてRは1〜約24個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン化アルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン化アラルキル、アルコキシアルキルまたはアルカリールである)であり;Aは線状あるいは環状尿素、シアヌル酸、置換シアヌル酸、線状あるいは環状アミド、グリコールウリル、ヒダントイン、線状あるいは環状カーバメートおよびこれらの混合物からなる群から誘導される部分であり;Bはn個のアルデヒド基を持つポリ(アルキルアルデヒド)の残基であり;nは2〜約8の整数であり;RはR、水素、1〜20個の炭素原子のアルキルであるか、あるいはまたはAと一緒になって環状化合物を形成し;RはCHRORまたは(II)(ここで、Rは水素、1〜約24個の炭素原子を有するアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシアルキルまたはアルカリールであり、そしてRは1〜約24個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン化アルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン化アラルキル、アルコキシアルキルまたはアルカリールである)であり;そして各基中のアルキルあるいはアリール基は場合によってはこれらの構造中でヘテロ原子を有し得る)の構造を有する化合物を含んでなる架橋組成物に関する。本発明は、また、アミノ基を含有するアミノ化合物;モノ(アルキルアルデヒド)および/またはポリ(アルキルアルデヒド);およびアルコールを反応させることを含んでなり;前記アミノ化合物が線状あるいは環状尿素、シアヌル酸、置換シアヌル酸、線状あるいは環状アミド、グリコールウリル、ヒダントイン、線状あるいは環状カーバメートおよびこれらの混合物からなる群から選択される架橋組成物を製造するための方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノプラストをベースとする架橋組成物およびこれらの製造方法を指向する。特に、本発明は、メラミンおよび/またはグアナミンとモノ(アルキルアルデヒド)および/またはポリ(アルキルアルデヒド)およびアルコールとを反応させることにより製造されるアミノプラストをベースとする架橋組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
長年、在来の工業用コーティングは、アミノ−1,3,5−トリアジンの種々の誘導体により架橋される活性水素基を有する骨格樹脂にかなりの部分基づくものであった。アミノ−1,3,5−トリアジン誘導体のうちで最も著名であるのは、メラミンとグアナミンのアルコキシメチル誘導体などのアミノプラストであるが、これは、多数の局面において優れた結果をもたらす一方で、硬化条件下でホルムアルデヒドを揮発性副生物として放出し、そしてこの膜の適切な架橋のためには比較的高温を必要とする難点を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
アミノプラストで架橋した系で達成可能な優れた膜コーティング性質にも拘わらず、コーティング業界は環境的に望ましくないホルムアルデヒドの放出を低減するように強い圧力を受けている。加えて、高温架橋系は、硬化および/または架橋するのに多くのエネルギーを必要とし、生産量の低下をもたらす。結果として、ホルムアルデヒドを全くあるいは少量しか放出せず、そして低温で硬化する許容できる代替の架橋体およびコーティング系を見出すことが当業界の長年の願望であった。
【0004】
(特許文献1)および(特許文献2)は、メラミンとモノ(アルキルアルデヒド)およびアルコールとを反応させることにより製造される樹脂の製造を開示している。しかしながら、いずれの特許も非メラミンベースのアミノ化合物とモノ(アルキルアルデヒド)および/またはポリ(アルキルアルデヒド)とを反応させることを開示あるいは教示していない。
【0005】
(特許文献3)は、アミドあるいはイミド化合物とポリ(アルキルアルデヒド)(例えば、グルタルアルデヒド)とを反応させることにより製造される抗菌性化合物の製造を開示している。しかしながら、この特許は、アミノベースの化合物とモノ(アルキルアルデヒド)および/またはポリ(アルキルアルデヒド)およびとを反応させて、架橋組成物を形成することを開示あるいは教示していない。
【特許文献1】米国特許第3,806,508号
【特許文献2】米国特許第4,180,488号
【特許文献3】米国特許第4,454,133号
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、式I
【0007】
【化1】

【0008】
(ここで、A’は線状あるいは環状尿素、シアヌル酸、置換シアヌル酸、線状あるいは環状アミド、グリコールウリル、ヒダントイン、線状あるいは環状カーバメートおよびこれ
らの混合物、または
【0009】
【化2】

【0010】
(ここで、RはR、水素、1〜20個の炭素原子のアルキルであるか、あるいはまたはA’と一緒になって環状化合物を形成する)
の構造を含んでなる部分からなる群から誘導される部分であって;
は−CHROR
(ここで、Rは水素、1〜約24個の炭素原子を有するアルキル、アリール、アラルキル、またはアルカリールであり、そしてRは1〜約24個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン化アルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン化アラルキル、アルコキシアルキルまたはアルカリールである)であり;
Aは線状あるいは環状尿素、シアヌル酸、置換シアヌル酸、線状あるいは環状アミド、グリコールウリル、ヒダントイン、線状あるいは環状カーバメートおよびこれらの混合物からなる群から誘導される部分であり;
Bはn個のアルデヒド基を持つポリ(アルキルアルデヒド)の残基であり;
nは2〜約8の整数であり;
はR、水素、1〜20個の炭素原子のアルキルであるか、あるいはまたはAと一緒になって環状化合物を形成し;
はCHRORまたは
【0011】
【化3】

【0012】
(ここで、Rは水素、1〜約24個の炭素原子を有するアルキル、アリール、アラルキル、またはアルカリールであり、そしてRは1〜約24個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン化アルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン化アラルキル、アルコキシアルキルまたはアルカリールである)であり;そして
各基中のアルキルあるいはアリール基は場合によってはこれらの構造中でヘテロ原子を有し得る)
の構造を有する化合物を含んでなる架橋組成物に関する。
【0013】
本発明は、また、アミノ基を含有するアミノ化合物;モノ(アルキルアルデヒド)および/またはポリ(アルキルアルデヒド)、およびアルコールを反応させることにより架橋組成物を製造する方法であって;前記アミノ化合物が線状あるいは環状尿素、シアヌル酸、置換シアヌル酸、線状あるいは環状アミド、グリコールウリル、ヒダントイン、線状あるいは環状カーバメートおよびこれらの混合物からなる群から選択される方法にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明においては、用語「モノ(アルキルアルデヒド)」は、一般式R−CHO(ここで、Rは1〜約24個の炭素原子、または約1〜12個の炭素原子、または約1〜4個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン化アルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン化アラルキル、アルコキシアルキルまたはアルカリールである)を有するアルデヒドである。
【0015】
用語「ポリ(アルキルアルデヒド)」は、一般式B−[−CHO](ここで、Bはn個のアルデヒド基を持つポリ(アルキルアルデヒド)の有機残基であり、そしてnは2〜約8の整数である)を有するアルデヒドである。ポリ(アルキルアルデヒド)の非限定的な例は、構造OHC−(CH−CHOを有するグルタルアルデヒドであり、Bは−(CH−であり、そしてnは2に等しい。
【0016】
用語「および/または」はいずれかあるいは両方を意味する。例えば、「Aおよび/またはB」はAまたはB、あるいはAおよびBの両方を意味する。
【0017】
用語「ヒドロカルビル」は、本明細書で使用されるように、原子価が炭素から水素を引き抜くことにより由来する一価の炭化水素基である。ヒドロカルビルは、例えば、炭化水素、脂肪族(直鎖および分岐鎖)、シクロ脂肪族、芳香族および混合した性質の基(例えば、アラルキルおよびアラカリール)を含む。ヒドロカルビルは、また、内部不飽和結合および活性化不飽和結合を含む群も含む。特に、ヒドロカルビルは、限定ではないが、通常1〜約24個の炭素原子を有する、好ましくは1〜約12個の炭素原子または1〜約4個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アラカリール、アルケニル、シクロアルケニル、およびアルキニルを含む。ヒドロカルビルは、1つ以上のカルボニル基(炭素のカウントに含まれる)および/またはヘテロ原子またはヘテロ原子(少なくとも1つの酸素、窒素、イオウ、またはケイ素などの)を鎖または環中に含有してもよい。加えて、ヒドロカルビルは、炭化水素基の1つ以上の水素を有機分子中で普通に見られる官能基により置換したものであってもよい。語句「有機分子中で普通に見られる官能基」は、有機分子に通常見られる非ヒドロカルビル基を意味し、限定ではないが、ハライド、シアノ基、アミノ基、チオール基、カロキシレート基、ヒドロキシル群、スルホネート基、ニトロソ基、ニトロ基などを含む。
【0018】
本発明は、式I
【0019】
【化4】

【0020】
(ここで、A’は線状あるいは環状尿素、シアヌル酸、置換シアヌル酸、線状あるいは環状アミド、グリコールウリル、ヒダントイン、線状あるいは環状カーバメートおよびこれらの混合物、または
【0021】
【化5】

【0022】
(ここで、RはR、水素、1〜20個の炭素原子のアルキルであるか、あるいはまたはA’と一緒になって環状化合物を形成する)
の構造を含んでなる部分からなる群から誘導される部分であって;
は−CHROR
(ここで、Rは水素、1〜約24個の炭素原子を有するアルキル、アリール、アラルキル、またはアルカリールであり、そしてRは1〜約24個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン化アルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン化アラルキル、アルコキシアルキルまたはアルカリールである)であり;
Aは線状あるいは環状尿素、シアヌル酸、置換シアヌル酸、線状あるいは環状アミド、グリコールウリル、ヒダントイン、線状あるいは環状カーバメートおよびこれらの混合物からなる群から誘導される部分であり;
Bはn個のアルデヒド基を持つポリ(アルキルアルデヒド)の残基であり;
nは2〜約8の整数であり;
はR、水素、1〜20個の炭素原子のアルキルであるか、あるいはまたはAと一緒になって環状化合物を形成し;
はCHRORまたは
【0023】
【化6】

【0024】
(ここで、Rは水素、1〜約24個の炭素原子を有するアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシアルキルまたはアルカリールであり、そしてRは1〜約24個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン化アルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン化アラルキル、アルコキシアルキルまたはアルカリールである)であって;そして
各基中のアルキルあるいはアリール基は場合によってはこれらの構造中でヘテロ原子を有し得る)
構造を有する化合物を含んでなる架橋組成物に関する。
【0025】
本発明は、また、また、アミノ基を含有するアミノ化合物;モノ(アルキルアルデヒド)および/またはポリ(アルキルアルデヒド)、およびアルコールを反応させることにより架橋組成物を製造する方法であって;前記アミノ化合物が線状あるいは環状尿素、シアヌル酸、置換シアヌル酸、線状あるいは環状アミド、グリコールウリル、ヒダントイン、線状あるいは環状カーバメートおよびこれらの混合物からなる群から選択される方法にも関する。上記の反応物は、一段あるいは多段法で反応させることにより製造され得る。好ましくは、この反応物は、アミノ化合物をモノおよび/またはポリ(アルキルアルデヒド)と最初に反応させる多段法で反応させることにより製造され得る。次に、この反応生成物を場合によっては酸触媒の存在下でアルコールと反応させる。
【0026】
一般に、このメラミンまたはグアナミンからの1つの−NH基をこのモノ−あるいはポリ(アルキルアルデヒド)中のアルデヒド基と下記に示すように反応させる。
【0027】
【化7】

【0028】
ここで、AおよびRは上記に定義したものである。
【0029】
このエーテル化反応時に、ヒドロキシル基を反応するアルコール(R−OH)によりエーテル化してもよい。
【0030】
【化8】

【0031】
このアミノ基が線状であるか、あるいは環の一部を形成するかによって、Aおよび/またはA’は一価あるいは二価の基であってもよいことを注目すべきである。
【0032】
下記の表は本発明で使用され得る多数の種々のアミノ化合物を例示する。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
ここで、R’は水素またはヒドロカルビル基であり、そしてRは水素またはヒドロカルビル基である。上記の化合物の開示は単に例示の目的のものであり、本発明の範囲を限定する解釈されるべきでないことを注目すべきである。
【0036】
使用され得るアミド化合物の非限定的な例は、アクリルアミド、アジポアミド、p−トルエンスルホンアミド、メチルアクリルアミドなどである。
【0037】
本発明で使用され得る尿素化合物の例は、限定ではないが、尿素、エチレン尿素、ジヒドロキシエチレン尿素、ジメチル尿素などを含む。
【0038】
使用され得るカーバメート化合物の非限定的な例は、メチルカーバメート、エチルカーバメート、ブチルカーバメート、トリメチロールプロパン−トリスカーバメート、ブタンジオールジカーバメートなどである。
【0039】
本発明で使用され得るトリアジン化合物の例は、限定ではないが、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、シクロヘキシルグアナミン、ジ−あるいはトリ−アルキルメラミンなどを含む。
【0040】
使用され得るヒダントイン化合物の非限定的な例は、ヒダントイン、メチルヒダントイン、エチルヒダントイン、プロピルヒダントイン、ブチルヒダントインおよび他の置換ヒダントインである。
【0041】
本発明で使用され得るグリコールウリル化合物の例は、限定ではないが、グリコールウリル、メチルグリコールウリル、エチルグリコールウリルおよび他の置換グリコールウリルを含む。
【0042】
使用され得るシアヌル酸化合物の非限定的な例は、シアヌル酸、メチルシアヌル酸、エチルシアヌル酸および他の置換シアヌル酸である。
【0043】
1つ以上のポリ(アルキルアルデヒド)をメラミンおよび/またはグアナミンと反応させ、オリゴマーを生成することができることを注目すべきである。用語「オリゴマー」は、この出願においては2つ以上のメラミンおよび/またはグアナミン部分を有する化合物を意味する。好ましくは、このオリゴマーは、約200〜約5000の、あるいは約600〜約3000の、あるいは約600〜約2000の数平均分子量を有する。
【0044】
好ましくは、上記の式Iにおいては、Bはメチレン、エチレン、プロピレンまたはクロトンアルデヒドとトリメチロールプロパンとの1,4ミハエル付加物である式
【0045】
【化9】

【0046】
の構造のものである。同様に、クロトンアルデヒドとグリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,4−ブタンジオール、シュガー、デンプン、セルロースなどの多価アルコールの反応生成物;またはα,β−不飽和アルデヒドの付加物およびポリマーを使用することができる。
【0047】
また、RおよびRがC〜Cアルキルであり、RおよびRがC〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシアルキルであり、そしてAおよびA’が尿素、グリコールウリルまたはこれらの混合物から誘導される部分である場合が好ましい。また好ましくは、RおよびRが独立にメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、シクロヘキサノール、フェノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールまたはプロピレングリコールのモノアルキルエーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択される2つ以上のアルコールから誘導される場合も好ましい。
【0048】
加えて、モル基準で約10%〜約90%の、あるいは約15%〜約70%の、あるいは約30%〜約50%の前記RおよびR基がそれぞれ−CHRORおよび−CHRCRであることも好ましい。
【0049】
本発明のもう一つの態様においては、式I中のA’およびAは、群1および群2の化合物の混合物であって、群1の化合物がメラミンおよびグアナミンからなる群から選択され、そして群2の化合物が線状あるいは環状尿素、シアヌル酸、置換シアヌル酸、線状あるいは環状アミド、グリコールウリル、ヒダントイン、線状あるいは環状カーバメートおよびこれらの混合物、または式
【0050】
【化10】

【0051】
(ここで、A、B、RおよびRは上記に定義されるものである)
の構造を含んでなる部分からなる群から選択される部分である。
【0052】
本発明は、また、また、アミノ基を含有するアミノ化合物;モノ(アルキルアルデヒド)および/またはポリ(アルキルアルデヒド)、およびアルコールを反応させることにより架橋組成物を製造する方法であって;前記アミノ化合物が線状あるいは環状尿素、シアヌル酸、置換シアヌル酸、線状あるいは環状アミド、グリコールウリル、ヒダントイン、線状あるいは環状カーバメートおよびこれらの混合物からなる群から選択される方法にも関する。
【0053】
更なる態様においては、上記に開示したアミノ化合物に加えてメラミンおよび/またはグアナミンが追加され得る。
【0054】
本発明において使用され得るモノ(アルキルアルデヒド)の非限定的な例は、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、クロラール、カプロアルデヒド、オクチルアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒドおよびこれらの混合物である。
【0055】
本発明において使用され得るポリ(アルキルアルデヒド)の非限定的な例は、グルタルアルデヒド;クロトンアルデヒドとグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,4−ブタンジオール、シュガー、デンプン、セルロースなどの多価アルコールの反応生成物;またはα,β−不飽和アルデヒドの付加物およびポリマーである。
【0056】
本発明において使用され得るアルコールの非限定的な例は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、シクロヘキサノール、フェノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールまたはプロピレングリコールのモノアルキルエーテルおよびこれらの混合物である。
【0057】
上記の反応において、モノ(アルキルアルデヒド)に対するメラミンおよび/またはグアナミンを含むすべてのアミノ化合物中のアミノ基のモル比は、約1:0.1〜約1:30、あるいは約1:0.25〜約1:10あるいは約1:0.5〜約1:5である。この出願においては、「アミノ基」は、1級および/または2級アミン、すなわちそれぞれ−NHおよび−NHR基を持つ基を含む。
【0058】
加えて、このポリ(アルキルアルデヒド)中のアルデヒド基に対するこのアミノ化合物中のアミノ基のモル比は、約0.1:1〜約50:1、あるいは約0.5:1〜約25:1あるいは約1:1〜約10:1である。
【0059】
アルコールに対するこのモノ(アルキルアルデヒド)とポリ(アルキルアルデヒド)中のアルデヒド基のモル比は、約1:0.2〜約1:50、あるいは約1:0.5〜約1:5あるいは約1:1〜約1:3である。
【0060】
グアナミンおよび/またはメラミンをこの方法で使用する場合には、このアミノ化合物に対するグアナミンおよび/またはメラミンのモル比は、約50:1〜約1:50、あるいは約20:1〜約1:20であるか、あるいは約10:1〜約1:10である。
【0061】
上記の反応物の量は一般的な指標であり、そして反応物の実際の量は、架橋組成物の生成に使用される反応物のタイプと条件に依存することを注目すべきである。通常、この反応は架橋組成物に対して悪影響を及ぼすゲル化を防止するように行われなければならない。例えば、このアミノ化合物が多数のアミノ基を含有する場合には、アミノ基を末端キャップして、不溶性の架橋ゲルが生成しないように比較的少量の多官能性ポリ(アルキルアルデヒド)を使用しなければならない。逆に、ゲル化を防止するために、大過剰のポリ(アルキルアルデヒド)を装填して、アルデヒドにより有効に末端キャップすることができる。加えて、反応温度が高いほど、自己縮合と可能性としてゲル化を起こす傾向もある。当業者ならば、適切な反応物量と条件を選んで、ゲル生成を低減させるか、あるいは無くすことができる。
【0062】
上記の反応物は一段あるいは多段法で製造され得る。多段反応の一つの態様においては、このアミノ化合物をモノ(アルキルアルデヒド)および/またはポリ(アルキルアルデヒド)化合物と最初に反応させ、(アルキロール化反応)およびこのエーテル化段階をアルコールとの反応により行う。多段反応のもう一つの態様においては、このアミノ化合物をモノ(アルキルアルデヒド)と最初に反応させ、続いてアルコールによるエーテル化を行い、次にポリ(アルキルアルデヒド)と反応させ、続いてアルコールによるもう一つのエーテル化段階を行う。多段反応の更なる一つの態様においては、このメラミンおよび/またはグアナミンをポリ(アルキルアルデヒド)と最初に反応させ、続いてアルコールによるエーテル化を行い、次にモノ(アルキルアルデヒド)と反応させ、続いてアルコールによるもう一つのエーテル化段階を行う。
【0063】
このアルキロール化反応は好ましくは触媒の存在下で行われる。酸あるいは塩基触媒が使用され得る。
【0064】
酸触媒の非限定的な例は、p−トルエンスルホン酸、スルファミン酸、氷酢酸、モノあるいはポリ塩素化酢酸、硫酸、硝酸、ナフタレンスルホン酸、アルキルホスホン酸、リン酸およびギ酸である。
【0065】
塩基触媒の非限定的な例は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムの水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩などの無機塩基性塩、またはアミンおよびグアニジン、四級アンモニウム、ホスホニウムの水酸化物および(重)炭酸塩などの有機塩基および塩基性塩である。
【0066】
このエーテル化反応は好ましくは酸触媒の存在下で行われる。アルキロール化反応に対して上述したのと同一の酸触媒もこのエーテル化反応で使用され得る。
【0067】
この反応は、約0℃〜約125℃の、あるいは約25℃〜約100℃の、約50℃〜約75℃の温度で約0.5時間〜約48時間、あるいは約1時間〜約24時間、あるいは約1時間〜約12時間行われる。
【0068】
本明細書に述べる化合物と組成物の重要な使用は、硬化型組成物、特に活性水素基を有する材料またはポリマーを含有するこれらの硬化型組成物において架橋剤として作用する能力に基づく。本発明の架橋体は活性水素含有材料あるいはポリマーを架橋する能力がある。
【0069】
この硬化型組成物の活性水素含有材料は、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アミド、カルバマト、メルカプトなどの少なくとも1つの類の反応性官能基、または前出の反応性官能基のいずれかに変換可能なブロックされた官能基を好ましくは含有する。これらの活性水素含有材料は、アミノ樹脂コーティングにおいて慣用的に使用されるものであり、そして一般に関連業者によく知られていると考えられる。
【0070】
好適な活性水素含有材料は、例えばポリオールなどの多官能性ヒドロキシ基含有材料、ペンダントあるいは末端のヒドロキシ官能基を有するヒドロキシ官能性アクリル樹脂、ペンダントあるいは末端のヒドロキシ官能基を有するヒドロキシ官能性ポリエステル樹脂、ヒドロキシ官能性ポリウレタンプレポリマー、エポキシ化合物とアミンとの縮合から誘導される生成物、およびこれらの混合物を含む。アクリルあるいはポリエステル樹脂が好ましい。この多官能性ヒドロキシ基含有材料の例は、DURAMAC(登録商標)203−1385アルキッド樹脂(Eastman Chemical Co);Becksol(登録商標)12−035ココナッツ油アルキッド(Richhold Chemical Co.Durham,NC.);JONCRYL(登録商標)500アクリル樹脂(S.C.Johnson & Sons,Rcine,Wis.);AT−400アクリル樹脂(Rohm & Haas,Philadelphia,Pa.);CYPLEX(登録商標)ポリエステル樹脂(Cytec Industries,West Paterson,N.J.);CARGILL(登録商標)3000および5776ポリエステル樹脂(Cargill,Minneapolis,Minn.);TONE(登録商標)ポリエステル樹脂(Union Carbide,Danbury,Conn.);K−FLEX(登録商標)XM−2302およびXM−2306樹脂(King Industries,Norwalk,Conn.);CHEMPOL(登録商標)11−1369樹脂(Cook Composites and Polymers(Port Washington,Wis.);CRYLCOAT(登録商標)3494固体ヒドロキシ末端ポリエステル樹脂(UCB CHEMICALS USA,Smyrna,Ga.);RUCOTE(登録商標)101ポリエステル樹脂(RUCOpolymer,Hicksville,N.Y.);JONCRYL(登録商標)SCX−800−AおよびSCX−800−Bヒドロキシ末端固体アクリル樹脂(S.C.Johnson & Sons,Racine,Wis.)などを含む。
【0071】
カルボキシ官能性樹脂の例は、CRYLCOAT(登録商標)固体カルボキシ末端ポリエステル樹脂(UCB CHEMICALS USA,Smyrna,Ga.)を含む。これらに変換可能な基を含めてアミノ、アミド、カルバマトあるいはメルカプト基を含有する好適な樹脂は一般に当業者によく知られ、そして好適に官能基化されたモノマーとこれらと共重合可能なコモノマーとを共重合することを含めて、既知の方法により製造され得る。
【0072】
本発明の硬化型組成物は場合によっては硬化触媒を更に含んでなってもよい。本発明において使用可能な硬化触媒は、スルホン酸、アリール、アルキル、およびアラルキルスルホン酸;アリール、アルキル、およびアラルキルリン酸およびホスホン酸;アリール、アルキル、およびアラルキル酸ピロリン酸エステル;カルボン酸;スルホンイミド;鉱酸およびこれらの混合物を含む。上記の酸のうちで、触媒を用いる場合にはリン酸とホスホン酸が好ましい。このスルホン酸の例は、ベンゼンスルホン酸、パラ−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、およびこれらの混合物を含む。このアリール、アルキル、およびアラルキルリン酸エステルおよびリン酸エステルの例は、フェニル、パラ−トリル、メチル、エチル、ベンジル、ジフェニル、ジ−パラ−トリル、ジ−メチル、ジエチル、ジベンジル、フェニル−パラ−トリル、メチル−エチル、フェニル−ベンジルのリン酸エステルおよびピロリン酸エ
ステルを含む。このカルボン酸の例は、安息香酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸などのジカルボン酸、トリフルオロ酢酸などのフッ素化酸などを含む。このスルホンイミドの例は、ジベンゼンスルホンイミド、ジ−パラ−トルエンスルホンイミド、メチル−パラ−トルエンスルホンイミド、ジメチルスルホンイミドなどを含む。この鉱酸の例は硝酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸などを含む。
【0073】
この硬化型組成物は、他の随意の構成成分、例えば充填剤、光安定剤、顔料、流動制御剤、可塑剤、金型脱離剤、腐食防止剤なども含有し得る。この硬化型組成物は、他の随意の構成成分、例えば随意の構成成分、この硬化型組成物の均一な塗布および輸送を助けるための液体媒体などの媒体なども含有し得る。この硬化型組成物の構成成分のいずれかあるいは全部をこの液体媒体と接触させてもよい。更には、この液体媒体によれば、ディスパージョン、エマルジョン、逆エマルジョン、またはこの硬化型組成物の構成成分の溶液の形成が可能となる。特に好ましいのは、この硬化型組成物の構成成分の溶剤である液体媒体である。好適な溶剤は、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ケトン、エステル、エーテル、アミド、アルコール、水、エーテルおよびエステル基を有するものなどの複数の官能基を有する化合物、およびこれらの混合物を含む。
【0074】
好ましくは、架橋組成物に対する活性水素含有材料の重量比は、約99:1〜約0.5:1あるいは約10:1〜約0.8:1あるいは約4:1〜約0.8:1の範囲内にある。
【0075】
この硬化触媒の重量パーセントは、存在する場合には、架橋体および活性水素含有材料成分の重量基準で約0.01〜約3.0重量%の範囲内にある。
【0076】
本発明のコーティング組成物は、溶剤などの液体媒体を使用するか、あるいは液体を通常含有しない粉末コーティングにおけるように固体構成成分を使用し得る。接触は、浸漬、スプレー、パジング、刷毛塗布、ローラーコーティング、流動コーティング、カーテンコーティング、静電コーティングまたは静電スプレーにより行われ得る。
【0077】
好適な方法により、例えば液体組成物の場合スプレーすることにより、そして粉末組成物の場合静電スプレーすることによりこの硬化型組成物を基材上に塗布することによって、液体あるいは粉末のコーティング組成物およびコーティング対象の基材を接触させる。粉末コーティングの場合、この粉末組成物により被覆される基材を少なくともこの硬化型組成物の溶融温度まで加熱し、これを溶融し、流延し、そして基材上に均一なコーティングを形成させる。通常、約120℃〜約220℃の範囲の温度で約5分間〜約30分間の間、好ましくは10〜20分間の範囲の間更に加熱することにより、その後コーティングを充分に硬化させる。
【0078】
液体組成物の場合、溶剤を部分的に蒸発させて、基材上に均一なコーティングを生成させる。その後、この被覆された基材を約20℃〜約150℃の、あるいは約25℃〜約120℃の温度で温度に依って約20秒〜約30日の範囲の間硬化させて、硬化膜を得る。特に有利な態様においては、本発明の組成物を含有する架橋体により配合されたコーティング組成物は、好ましくは約20℃〜約90℃の範囲の低下した温度で熱硬化可能である。
【0079】
本発明の熱硬化された組成物は、自動車用コーティングを含む相手先商標製品製造(OEM)などのコーティングの全般的な領域、工業用メンテナンスコーティング、建築用コーティング、粉末コーティング、コイルコーティング、缶コーティング、木材コーティングを含む全般的な工業コーティング、および低温硬化自動車用塗り替えコーティングでコーティングとして使用され得る。これらは、電線、器具、自動車部品、家具、パイプ、機
械などのコーティングとして使用可能である。好適な表面は、鋼およびアルミニウムなどの金属、プラスチック、木材、およびガラスを含む。
【0080】
本発明の硬化型組成物は、先行技術の熱硬化型組成物において多用される高い硬化温度で変質あるいは全体に破壊され得るプラスチックおよび木材などの感熱性基材をコーティングするのに特に好適である。
【0081】
これから本発明を次の実施例により例示する。これらの実施例は本発明の範囲を制限するようには意図されていない。上記の全般的および詳細な説明と一緒に、この実施例は本発明の更なる理解を提供する。
【実施例】
【0082】
[実施例1]
グリコールウリル−尿素アルキルアルデヒド樹脂の製造
好適なフラスコの中に1.5グラムのNaCOと139グラムの水を室温で入れた。このよく攪拌した溶液に150グラムの50%グルタルアルデヒド水溶液を添加した。氷浴中で冷却することにより、温度を低下させ、そしてほぼ25℃で維持し、そこで72.5グラムのプロピオンアルデヒドと次に35.5グラムのグリコールウリルを攪拌しながら添加した。次に、温度をほぼ35℃まで上昇させ、そしてこの溶液が透明になるまでその温度で保持した。次に、ほぼ30グラムの尿素を添加し、そして反応物をほぼ0.5時間反応させた。
【0083】
その後、2.5グラムの97%HSOを添加しながら250グラムの無水MeOHをこの混合物に攪拌しながら添加し、そして温度を25℃(氷浴)で約1時間維持した。次に、この反応混合物を50%NaOHによりpH8〜8.2まで中和した。次に、この反応混合物を良好な真空下約40゜〜50℃の温度でストリッピングして、すべてのMeOHとできるだけ多くの水を除去した。ストリッピング後、約36グラムのプロピオンアルデヒドを添加し、そしてこの反応混合物を約40℃の温度まで温めた。
【0084】
次に、この反応混合物を2.0グラムのHSOの添加と共に250グラムの無水MeOHと25゜〜30℃でほぼ1時間第2のアルキル化にかけた。その後、このバッチをNaOHによりpH8〜8.2まで中和し、次に良好な真空下約55゜〜60℃の温度でストリッピングして、残存メタノールと水を除去した。次に、この樹脂をトルエン中の50重量%エタノールによりほぼ60%固体に調整し、そしてNaSO塩を濾別した。この樹脂は予期される組成と一致する13CNMRおよびIRスペクトルを有し、そして69.6%固体を含有することが判明した。
[実施例2]
グリコールウリル−尿素アルキルアルデヒド樹脂を含有するコーティング組成物
3.0グラムのDynotol(登録商標) T−49 empアルキッド骨格樹脂(アルコール中85%の固体)を3.0グラムの実施例1の架橋樹脂、0.3グラムのCYCAT(登録商標)4040触媒(イソプロピルアルコール中40.0%のパラ−トルエンスルホン酸一水和物)および1.0グラムのアセトン溶剤に添加することにより、実施例1の架橋樹脂によりコーティング配合物を製造した。この配合物を線巻塗布器(#52)によりほぼ2ミル厚の薄膜をリン酸鉄処理の冷延鋼板に塗布した。次に、この板を室温(23゜〜25℃)で7日間硬化させた。この膜は変色することなく、そして100回以上のダブルラブメチルエチルケトン(MEK)の耐溶剤性を有するものであった。Dynotol T−49 empプラス0.3グラムのCYCAT4040触媒と1.0グラムのアセトン溶剤を含有する架橋樹脂無しのコントロール板は、3回未満のMEKダブルラブ耐溶剤性を有し、そして黄変した。
[実施例3]
メラミン−尿素アルキルアルデヒド樹脂の製造
好適なフラスコに35グラムの水と0.50グラムのKCOを装填した。生成する溶液を40℃まで温め、そして30.0グラムの尿素を装填し、そしてよく攪拌しながら溶解させた。この反応混合物に12.6グラムのメラミンをよく攪拌しながら装填した。温度を55℃〜57℃以下に保持しながら、このスラリーに40.6グラムのプロピオンアルデヒドをゆっくりと添加した。添加の完結後、この反応混合物を1時間還流し、そして室温まで冷却した後30.0グラムの50%グルタルアルデヒドを添加した室温(22゜〜25℃)で数時間攪拌した後には、この反応混合物は均質となり、そして135グラムの無水メタノールを添加し、そして5.5グラムの70%HNOによりpHを4.3に調整した。このバッチを室温で約1時間反応させ、次に5.5グラムの50%HNOによりpHを8.1に調整した。次に、良好な真空下約40゜〜50℃の温度でストリッピングして、過剰なメタノールとできるだけ多くの水を除去した。この生成物に別の30.0グラムの50%グルタルアルデヒドと2滴の50%NaOHを添加した。更に12.2グラムの水が除去されるまで、この混合物を真空ストリッピングした。温度を35゜〜40℃の間に保持しながら、生成する反応混合物に第2の135グラムの無水メタノールをよく攪拌しながら添加した。この攪拌した溶液に5.0グラムの70%HNOを添加し、ほぼ4.0のpHを得た。この反応を35゜〜40℃で30分間継続させ、次に約4.4グラムの50%NaOHによりpH8.5にpHを調整した。次に、このバッチを良好な真空下ストリッピングして、過剰の水とメタノールを50℃の終了温度まで除去した。次に、1:1wt/wtトルエン−エタノール溶剤を添加して、固体含量を60重量%まで低下させた。次に、この混合物を濾過して、架橋樹脂を得た。この樹脂は予期される組成と一致する13CNMRおよびIRスペクトルを有し、そして57.1%固体を含有することが判明した。
[実施例4]
メラミン−尿素アルキルアルデヒド樹脂を含有するコーティング組成物
3.0グラムのDynotol T−49 empアルキッド樹脂を3.0グラムの実施例3の架橋樹脂、0.3グラムのCYCAT 4040および1.5グラムのアセトン溶剤に添加することにより、コーティング配合物を作製した。薄膜(ほぼ2ミル)をリン酸鉄処理の冷延鋼板に塗布し、そして室温(23゜〜25℃)で7日間硬化させた。この膜は変色せず、そして180回以上のMEKダブルラブメチルエチルケトンの耐溶剤性を有するものであった。架橋体を含まない配合物は変色し、耐溶剤性を有しないものであった。
[実施例5]
グリコールウリルアルキルアルデヒド樹脂の製造
好適なフラスコに0.6グラムのNaCOと10.0グラムの水を装填した。このよく攪拌した溶液に116グラムのプロピオンアルデヒドと20.0グラムの水をほぼ22℃で添加した。このよく攪拌した反応混合物に14.2グラムのグリコールウリルを添加した。この混合物を約25℃で4.5時間攪拌した後、このグリコールウリルはほぼ全部反応し、溶解した。この攪拌した反応混合物に20グラムの50%グルタルアルデヒド水溶液を添加し、そしてこの混合物を室温で2時間攪拌した。この後、軽く真空蒸留することによりほぼ35℃の終了温度となるようにこのバッチから過剰のプロピオンアルデヒドを除去した。冷水浴により温度を約15゜〜20℃の間に保持しながら、このバッチの残りに1.0グラムの97%HSOを含有する100グラムの無水MeOHをゆっくりと装填した。添加の完結後、このバッチを22゜〜25℃まで温め、1時間攪拌した。次に、1.55グラムの50%NaOHによりpHを8.5まで調整し、そして良好な真空下ストリッピングして、ほぼ全部の過剰のMeOHとの水を45℃の終了温度で除去した。次に、1.33グラムの97%HSOを含有する更に100グラムのメタノールによりこの反応混合物を第2のアルキル化にかけた。次に、このバッチを1時間攪拌した後、1.44グラムの50%NaOHを添加し、pHを8.5に調整した。次に、このバッチを良好な真空下ストリッピングして、50℃の終了温度となるように全部の過剰のM
eOHと水を除去した。次に、このバッチを1:1wt/wtエタノール−トルエン溶剤混合物によりほぼ50%固体まで調整し、そして濾過して架橋樹脂を得た。生成する樹脂は予期される組成と一致する13CNMRおよびIRスペクトルを有し、そして47.4%固体を含有することが判明した。
[実施例6〜7]
コーティング配合物(比較)
実施例5の樹脂を含有するコーティング組成物を市販の尿素−ホルムアルデヒド架橋樹脂をベースとする配合物と比較した。これらの配合物を下記で表1に示す。
【0085】
【表3】

【0086】
上記の配合物を用いてコーティングを作製し、外周温度で乾燥し、そして下記の条件下でケーニッヒ硬度を測定した。
塗布方法:ブロック塗布150ミクロン(未乾燥)
基材:ガラス板
硬化スケジュール:耐候試験室22−23℃および50−55%RH
このコーティングから収集したケーニッヒ硬度測定値を下記の表2に示す。
【0087】
【表4】

【0088】
50℃の上昇させた温度で60分間下記の条件下で硬化した実施例6、6Cおよび7の配合物から製造したコーティングについてもケーニッヒ硬度測定を行った。
塗布方法:ブロック塗布150ミクロン(未乾燥)
基材:ガラス板
硬化スケジュール:50℃で60分間、次に耐候試験室22゜〜23℃および50%〜55%RH
このコーティングを50℃で60分間ベークした後、この試料を冷却し、そして最初の直接測定値を収集した。次に、下記の表3に示すように以降の定期的な硬度測定を行うためにこの試料を耐候試験室に入れた。
【0089】
【表5】

【0090】
実施例6および6Cの比較によって、本発明のホルムアルデヒドを含まない架橋樹脂の例を用いて製造したコーティングが実施例6Cの市販の架橋樹脂を超える卓越した性能を有することが実証される。
【0091】
これらの態様は本発明のいくつかの局面の例示として意図されているので、本明細書中で説明し、請求した本発明は、本明細書中で開示した特定の態様により範囲として制約されるべきでない。いかなる同等の態様も本発明の範囲内となるように意図されている。事実、本明細書中で示し、説明したものに加えて本発明の種々の改変は、先行の説明によって当業者には明白になるであろう。このような改変も添付の請求の範囲の範囲内に入るように意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

(ここで、A’は線状あるいは環状尿素、シアヌル酸、置換シアヌル酸、線状あるいは環状アミド、グリコールウリル、ヒダントイン、線状あるいは環状カーバメートおよびこれらの混合物からなる群から誘導される部分、または構造
【化2】

(ここで、RはR、水素、1〜20個の炭素原子のアルキルであるか、あるいはまたはA’と一緒になって環状化合物を形成する)
を含んでなる部分であって;
は−CHROR
(ここで、Rは水素、1〜約24個の炭素原子を有するアルキル、アリール、アラルキル、またはアルカリールであり、そして
は1〜約24個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン化アルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン化アラルキル、アルコキシアルキルまたはアルカリールである)
であり;
Aは線状あるいは環状尿素、シアヌル酸、置換シアヌル酸、線状あるいは環状アミド、グリコールウリル、ヒダントイン、線状あるいは環状カーバメートおよびこれらの混合物からなる群から誘導される部分であり;
Bはn個のアルデヒド基を持つポリ(アルキルアルデヒド)の残基であり;
nは2〜約8の整数であり;
はR、水素、1〜20個の炭素原子のアルキルであるか、あるいはまたはAと一緒になって環状化合物を形成し;
はCHRORまたは
【化3】

(ここで、Rは水素、1〜約24個の炭素原子を有するアルキル、アリール、アラルキル、またはアルカリールであり、そしてRは1〜約24個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン化アルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン化アラルキル、アルコキシアルキルまたはアルカリールである)であり;そして
各基中のアルキルあるいはアリール基は場合によってはこれらの構造中でヘテロ原子を有し得る)
の構造を含んでなる架橋組成物。
【請求項2】
式Iを有する前記化合物が約200〜約5000の数平均分子量を有するオリゴマーである請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
AおよびA’が尿素とグリコールウリルの混合物から誘導される部分である請求項1に
記載の組成物。
【請求項4】
およびRが独立にメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、シクロヘキサノール、フェノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールまたはプロピレングリコールのモノアルキルエーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択されるアルコールから誘導される請求項1に記載の架橋組成物。
【請求項5】
Bがグルタルアルデヒド、クロトンアルデヒドと多価アルコールの反応生成物またはα,β−不飽和アルデヒドの付加物およびポリマーから誘導される請求項1に記載の架橋組成物。
【請求項6】
およびRが独立にC〜Cアルキルであり、そしてRおよびRが独立にC〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシアルキルである請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
【化4】

(ここで、A’は群1および群2の化合物の混合物から誘導される部分であり、群1の化合物はメラミンおよびグアナミンからなる群から選択され、そして群2の化合物は線状あるいは環状尿素、シアヌル酸、置換シアヌル酸、線状あるいは環状アミド、グリコールウリル、ヒダントイン、線状あるいは環状カーバメートおよびこれらの混合物、または
【化5】

(ここで、RはR、水素、1〜約20個の炭素原子のアルキル、またはA’と一緒になって環状化合物を形成する)
の構造を含んでなる部分からなる群から誘導される部分から選択され;
は−CHROR
(ここで、Rは水素、1〜約24個の炭素原子を有するアルキル、アリール、アラルキル、またはアルカリールであり、そしてRは1〜約24個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン化アルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン化アラルキル、アルコキシアルキルまたはアルカリールである)であり;
Aは群1および群2の化合物の混合物から誘導される部分であって、群1の化合物はメラミンおよびグアナミンからなる群から選択され、そして群2の化合物は線状あるいは環状尿素、シアヌル酸、置換シアヌル酸、線状あるいは環状アミド、グリコールウリル、ヒダントイン、線状あるいは環状カーバメートおよびこれらの混合物から選択されるものであり;
Bはn個のアルデヒド基を持つポリ(アルキルアルデヒド)の残基であり;
nは2〜約8の整数であり;
はR、水素、1〜約20個の炭素原子のアルキル、またはAと一緒になって環状化合物を形成するものであり;
はCHRORまたは
【化6】

(ここで、Rは水素、1〜約24個の炭素原子を有するアルキル、アリール、アラルキル、またはアルカリールであり、そしてRは1〜約24個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン化アルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン化アラルキル、アルコキシアルキルまたはアルカリールである)
であり;そして
各基中のアルキルあるいはアリール基は場合によってはこれらの構造中でヘテロ原子を有し得るものである)
の構造を含んでなる架橋組成物。
【請求項8】
AおよびA’がメラミン、尿素およびグリコールウリルの混合物から誘導される部分である請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
およびRが独立にメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、シクロヘキサノール、フェノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールまたはプロピレングリコールのモノアルキルエーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択されるアルコールから誘導される請求項7に記載の架橋組成物。
【請求項10】
Bがグルタルアルデヒド、クロトンアルデヒドと多価アルコールの反応生成物またはα,β−不飽和アルデヒドの付加物およびポリマーから誘導される請求項7に記載の架橋組成物。
【請求項11】
およびRが独立にC〜Cアルキルであり、そしてRおよびRが独立にC〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシアルキルである請求項7に記載の組成物。
【請求項12】
(i)アミノ基を含有するアミノ化合物;
(ii)モノ(アルキルアルデヒド)および/またはポリ(アルキルアルデヒド);および
(iii)アルコール
を反応させることを含んでなり、前記アミノ化合物が線状あるいは環状尿素、シアヌル酸、置換シアヌル酸、線状あるいは環状アミド、グリコールウリル、ヒダントイン、線状あるいは環状カーバメートおよびこれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載の架橋組成物を製造するための方法。
【請求項13】
前記アミノ化合物が尿素とグリコールウリルの混合物である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記アルコールがメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、シクロヘキサノール、フェノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールまたはプロピレングリコールのモノアルキルエーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択される請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリ(アルキルアルデヒド)がグルタルアルデヒド、クロトンアルデヒドと多価アルコールの反応生成物またはα,β−不飽和アルデヒドの付加物およびポリマーから誘導される請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記モノ(アルキルアルデヒド)がアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、クロラール、カプロアルデヒド、オクチルアルデヒド、アクロレインおよびクロトンアルデヒドからなる群から選択される請求項12に記載の方法。
【請求項17】
モノ(アルキルアルデヒド)に対する前記アミノ基のモル比が約1:0.1〜約1:30であり、前記ポリ(アルキルアルデヒド)中のアルデヒド基に対する前記アミノ基のモル比が約0.1:1〜約50:1であり、そしてアルコールに対する前記モノ(アルキルアルデヒド)と前記ポリ(アルキルアルデヒド)中のアルデヒド基のモル比が約1:0.2〜約1:50である請求項12に記載の方法。
【請求項18】
(i)メラミンおよび/またはグアナミン;
(ii)線状あるいは環状尿素、シアヌル酸、置換シアヌル酸、線状あるいは環状アミド、グリコールウリル、ヒダントイン、線状あるいは環状カーバメートおよびこれらの混合物からなる群から選択されるアミノ化合物;
(iii)ポリ(アルキルアルデヒド)および/またはモノ(アルキルアルデヒド);および
(iv)アルコール
を反応させる段階を含んでなる請求項7に記載の架橋組成物を製造するための方法。
【請求項19】
前記アルコールがメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、シクロヘキサノール、フェノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールまたはプロピレングリコールのモノアルキルエーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択される請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記モノ(アルキルアルデヒド)がアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、クロラール、カプロアルデヒド、オクチルアルデヒド、アクロレインおよびクロトンアルデヒドからなる群から選択される請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記アミノ化合物に対する前記グアナミンおよび/またはメラミンのモル比が約20:1〜約1:20であり、モノ(アルキルアルデヒド)に対する前記グアナミンまたはメラミンおよびアミノ化合物中のアミノ基のモル比が約0.1:1〜約1:30であり、前記ポリ(アルキルアルデヒド)中のアルデヒド基に対する前記グアナミンまたはメラミンおよびアミノ化合物中のアミノ基のモル比が約0.1:1〜約50:1であり、そしてアルコールに対する前記モノ(アルキルアルデヒド)および/または前記ポリ(アルキルアルデヒド)中のアルデヒド基のモル比が約1:0.2〜約1:50である請求項18に記載の方法。
【請求項22】
(i)請求項1に記載の架橋組成物;
(ii)活性水素含有材料;および
(iii)場合によっては硬化触媒
を含んでなる硬化型組成物。
【請求項23】
(iv)請求項7に記載の架橋組成物;
(v)活性水素含有材料;および
(vi)場合によっては硬化触媒
を含んでなる硬化型組成物。

【公表番号】特表2006−523261(P2006−523261A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508845(P2006−508845)
【出願日】平成16年2月26日(2004.2.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/005718
【国際公開番号】WO2004/094497
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(594060532)サイテク・テクノロジー・コーポレーシヨン (36)
【Fターム(参考)】