架空設備用支持物の負荷応力推定方法及び柱状構造物の形状測定方法
【課題】架空設備用支持物の負荷応力を簡便な手順で精度良く推定する方法を提供する。
【解決手段】架空設備用の支持物に対して、支持物を中心とする方位角で50°以上離され、かつ支持物との距離が支持物の高さの0.2倍以上60倍以下の範囲内である少なくとも2箇所の測定点から、測距方式の三次元形状測定装置を用いて支持物の表面形状を測定する工程と、測定した支持物の形状情報から、支持物の高さ方向に沿って支持物の水平方向断面の中心位置を結ぶ計測中心線と、支持物の地際位置における中心を通って鉛直方向に延びる基準中心線とを算出する工程と、計測中心線と、基準中心線とを比較することにより、支持物の各高さ位置における水平方向の変位値を算出する工程と、変位値を用いて、支持物と同等品の実測データに基づく検量線を参照することにより、測定対象の支持物の負荷応力を推定する工程と、を有することを特徴とする。
【解決手段】架空設備用の支持物に対して、支持物を中心とする方位角で50°以上離され、かつ支持物との距離が支持物の高さの0.2倍以上60倍以下の範囲内である少なくとも2箇所の測定点から、測距方式の三次元形状測定装置を用いて支持物の表面形状を測定する工程と、測定した支持物の形状情報から、支持物の高さ方向に沿って支持物の水平方向断面の中心位置を結ぶ計測中心線と、支持物の地際位置における中心を通って鉛直方向に延びる基準中心線とを算出する工程と、計測中心線と、基準中心線とを比較することにより、支持物の各高さ位置における水平方向の変位値を算出する工程と、変位値を用いて、支持物と同等品の実測データに基づく検量線を参照することにより、測定対象の支持物の負荷応力を推定する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架空設備用支持物の負荷応力推定方法及び柱状構造物の形状測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリート柱や鋼管柱に代表される架空設備用の支持物には、変圧器などの機材、腕がねなどの金物類、電線や通信線などの架線が装柱されるため、様々な応力に曝される。実環境に設置された状態の支持物への負荷応力を把握することは、保守管理上重要である。このような支持物の実負荷応力の測定として、いくつかの方法が知られている。例えば特許文献1には、電柱内に設置した光ファイバーにパルス光を入射させ、その反射光を計測することにより電柱の応力を評価する方法が開示されている。また特許文献2には、写真撮影による電柱の画像を解析することで、電柱の湾曲程度を測定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−183166号公報
【特許文献2】特開平6−94442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の光ファイバーを用いる方法は、予め光ファイバーが埋設された電柱にしか適用することができず、既存の電柱全般に適用できないという課題があった。一方、特許文献2記載の画像解析を利用する方法では、電柱の写真を解析して輪郭の湾曲の程度を測定しているため、撮影方向によっては正確な湾曲程度が得られない場合があった。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、架空設備用支持物の負荷応力を簡便な手順で精度良く推定する方法と、柱状構造物の形状測定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の架空設備用支持物の負荷応力推定方法は、架空設備用の支持物に対して、前記支持物を中心とする方位角で50°以上離され、かつ前記支持物との距離が前記支持物の高さの0.2倍以上60倍以下の範囲内である少なくとも2箇所の測定点から、測距方式の三次元形状測定装置を用いて前記支持物の表面形状を測定する工程と、測定した前記支持物の形状情報から、前記支持物の高さ方向に沿って前記支持物の水平方向断面の中心位置を結ぶ計測中心線と、前記支持物の地際位置における中心を通って鉛直方向に延びる基準中心線とを算出する工程と、前記計測中心線と、前記基準中心線とを比較することにより、前記支持物の各高さ位置における水平方向の変位値を算出する工程と、前記変位値を用いて、前記支持物と同等品の実測データに基づく検量線を参照することにより、測定対象の前記支持物の負荷応力を推定する工程と、を有することを特徴とする。
【0007】
この方法によれば、屋外等に設置されている支持物を三次元形状測定装置で測定し、得られた形状データに基づいて支持物の変位値を求めるので、目視や写真画像を解析する手法と比較して簡便な手順で高精度の変位値を得ることができる。そして、かかる変位値を用いて実測データに基づく検量線を参照することで負荷応力を求めるので、上記の手法と比較して著しく高精度に負荷応力を推定することが可能である。
また、支持物の表面形状から基準中心線と測定中心線とを求め、これらの中心線を利用して変位値及び負荷応力を求めるので、支持物全体の表面形状が得られない場合であっても精度良く負荷応力を推定することが可能である。
【0008】
本発明の架空設備用支持物の負荷応力推定方法は、架空設備用の支持物に対して、前記支持物を中心とする方位角で50°以上離され、かつ前記支持物との距離が前記支持物の高さの0.2倍以上60倍以下の範囲内である少なくとも2箇所の測定点から、測距方式の三次元形状測定装置を用いて前記支持物の表面形状を測定する工程と、測定した前記支持物の形状情報から、前記支持物の高さ方向に沿って前記支持物の水平方向断面の中心位置を結ぶ計測中心線を算出する工程と、前記計測中心線と、前記支持物の建設時の中心線である建設時中心線とを比較することにより、前記支持物の各高さ位置における水平方向の変位値を算出する工程と、前記変位値を用いて、前記支持物と同等品の実測データに基づく検量線を参照することにより、測定対象の前記支持物の負荷応力を推定する工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
この方法では、先の方法の基準中心線に代えて、建設時中心線を用いているので、現実に即した基準を設定することができる。これにより、変位値の誤差を小さくすることができ、その結果、負荷応力の推定精度を高めることができる。
【0010】
本発明の架空設備用支持物の負荷応力推定方法は、架空設備用の支持物に対して、前記支持物を中心とする方位角で50°以上離され、かつ前記支持物との距離が前記支持物の高さの0.2倍以上60倍以下の範囲内である少なくとも2箇所の測定点から、測距方式の三次元形状測定装置を用いて前記支持物の表面形状を測定する工程と、測定した前記支持物の形状情報から、前記支持物の地際位置における中心を通って鉛直方向に延びる基準中心線とを算出する工程と、前記支持物の各高さ位置において前記支持物の表面と前記基準中心線との最大距離である最大変位値を算出する工程と、前記最大変位値を用いて、前記支持物と同等品の実測データに基づく検量線を参照することにより、測定対象の前記支持物の負荷応力を推定する工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
このように、支持物の各高さ位置において、支持物の表面と基準中心線との最大距離を規定し、これを最大変位値として用いて応力を推定する方法としてもよい。これにより、さらに簡便な手順で負荷応力を推定することができる。
【0012】
本発明の架空設備用支持物の負荷応力推定方法は、架空設備用の支持物に対して、前記支持物を中心とする方位角で50°以上離され、かつ前記支持物との距離が前記支持物の高さの0.2倍以上60倍以下の範囲内である少なくとも2箇所の測定点から、測距方式の三次元形状測定装置を用いて前記支持物の表面形状を測定する工程と、前記支持物の各高さ位置において、前記支持物の表面と前記支持物の建設時の中心線である建設時中心線との最大距離である最大変位値を算出する工程と、前記最大変位値を用いて、前記支持物と同等品の実測データに基づく検量線を参照することにより、測定対象の前記支持物の負荷応力を推定する工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
このように、支持物の各高さ位置において、支持物の表面と基準中心線との最大距離を規定し、これを最大変位値として用いて応力を推定する方法としてもよい。これにより、さらに簡便な手順で負荷応力を推定することができる。
【0014】
前記支持物の表面形状を測定する工程において、前記支持物の表面又は前記支持物の近傍に、少なくとも2箇所のマーカーを設定し、複数の前記マーカーを前記三次元形状測定装置を用いて測定することにより、前記マーカーを基準とする三次元座標空間を設定する方法としてもよい。
この方法によれば、三次元座標空間を一義的に規定することができるため、異なる測定機会で共通の三次元座標空間を形成することが可能である。
【0015】
少なくとも一つの前記マーカーを、前記支持物の周囲に存在する他の架空設備用支持物の表面に設定する方法としてもよい。
この方法によれば、ユーザーが管理対象としている支持物にマーカーを設定するので、マーカーが除去されてしまう可能性が低くなる。
【0016】
本発明の柱状構造物の形状測定方法は、測距方式の三次元形状測定装置を用いて、屋外に設置された柱状構造物の表面形状を測定する方法であって、前記柱状構造物の表面又は前記柱状構造物の近傍に少なくとも2箇所のマーカーを設定し、前記マーカーを測定することにより三次元座標を設定する工程と、前記柱状構造物を中心とする方位角で50°以上離され、かつ前記柱状構造物との距離が前記柱状構造物の高さの0.2倍以上60倍以下の範囲内である少なくとも2箇所の測定点から、前記柱状構造物の表面形状を測定する工程と、を有することを特徴とする。
【0017】
この方法によれば、柱状構造物の表面形状を、周方向の少なくとも2/3以上の長さにわたって測定することができる。これにより、柱状構造物の断面が円形であるとみなすことで、直接測定していない領域の表面形状を実用上十分な精度で推定することが可能になる。したがって、柱状構造物の表面形状を効率良く測定することができる。
【0018】
少なくとも一つの前記マーカーを、前記柱状構造物の近傍の地面に設けられた物体、又は前記柱状構造物の周囲に設けられた他の柱状構造物の表面に設定する方法としてもよい。
この方法によれば、三次元座標空間を一義的に規定することができるため、異なる測定機会で共通の三次元座標空間を形成することが可能である。
【0019】
測定により得られた前記柱状構造物の形状情報から、前記柱状構造物の水平断面の中心位置を結ぶ中心線を算出する工程を有する方法としてもよい。
この方法によれば、柱状構造物の形状を曲線で代替させることができ、柱状構造物の姿勢を精度良く求めることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、架空設備用支持物の負荷応力を簡便な手順で精度良く推定する方法、及び柱状構造物を簡便な手順で精度良く測定できる形状測定方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】架空設備用支持物の負荷応力推定方法の一実施の形態を示すフロー図。
【図2】実施形態の負荷応力推定方法における測定対象物と測定装置を示す図。
【図3】負荷応力推定方法における形状測定ステップの説明図。
【図4】最小二乗中心法による円フィッティングの説明図。
【図5】検量線作成のための曲げ試験の説明図。
【図6】第1実施例に係る測定対象物及び測定機器の配置を示す平面図。
【図7】荷重250kgの条件で各高さ位置の変位値を測定した結果を示すグラフ。
【図8】荷重500kgの条件で各高さ位置の変位値を測定した結果を示すグラフ。
【図9】第2実施例における測定対象の支持物と測定機器の配置を示した平面図。
【図10】荷重250kgの条件で各高さ位置の変位値を測定した結果のグラフ。
【図11】荷重500kgの条件で各高さ位置の変位値を測定した結果のグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、架空設備用支持物の負荷応力推定方法の一実施の形態を示すフロー図である。図2は、本実施形態の負荷応力推定方法における測定対象物と測定装置を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の負荷応力推定方法は、三次元座標空間設定ステップST11と、表面形状測定ステップST12と、基準中心線算出ステップST13と、測定中心線算出ステップST14と、中心線変位算出ステップST15と、負荷応力取得ステップST16と、を有する。
【0023】
図2に示すように、本実施形態の負荷応力推定方法において、測定対象物である支持物10は、電線や変圧器などの架空設備を空中で支持する電柱等の柱状構造物であり、より具体的には、コンクリート柱や鋼管柱である。
本実施形態の負荷応力推定方法は、屋外に立設され、変圧器や腕がねの重量、電線や通信線の張力等に起因する応力により湾曲した状態の支持物10(コンクリート柱、鋼管柱)について、三次元形状測定装置100を用いて表面形状を測定し、その三次元形状測定の結果から支持物10に作用している負荷応力を推定する方法である。
【0024】
本実施形態で使用する三次元形状測定装置100は、測距式の三次元形状測定装置である。具体的には、三次元形状測定装置100は、測定対象物に対してパルスレーザー光などの測距光を放射し、測定対象物表面で反射した測距光を受光することにより測定対象物表面の光照射位置までの距離を測定する距離計測計を備えている。そして、上記の距離計測計を用いて測定対象物の表面を走査することにより、測定対象物表面までの距離を連続的に測定し、測定した距離を三次元座標に変換する。得られた三次元座標から、測定対象物表面の三次元画像を形成することができる。このような三次元形状測定装置100としては、例えば、トプコン社製の三次元レーザースキャナーGLS−1500、GLS−1000などを用いることができる。
【0025】
以下、各ステップごとに詳細に説明する。
まず、三次元座標空間設定ステップST11では、三次元形状測定装置100によって測定した支持物10の表面を三次元画像として構築するための三次元座標空間を設定する。具体的には、三次元形状測定装置100の機能を使用して、支持物10の表面又は周辺(三次元形状測定装置100により測定可能な範囲)に設置された複数のマーカー(基準点)を測定することにより、三次元座標系を設定する。
【0026】
マーカーとしては、三次元形状測定装置100が基準標識として認識可能な物体であれば任意のものを用いることができる。例えば、地面に埋め込まれた標識や、測定対象の支持物10周辺に設置されている他の支持物(電柱)などの構造物の一部、家屋などの建築物の一部などを用いることができる。あるいは、特定の模様や反射部を備えた三次元形状測定装置100専用のターゲットを設置してもよい。
【0027】
ここで図3は、負荷応力推定方法における形状測定ステップの説明図である。図3(a)は、2つのマーカーを用いた場合、図3(b)は3つのマーカーを用いた場合の測定機器の平面配置が示されている。図3(a)には、支持物10と、三次元形状測定装置100が設置される測定点P1、P2、P3と、マーカーM1、M2とが示されている。図3(b)には、図3(a)の機器に加えて、マーカーM3がさらに示されている。
【0028】
図3(a)に示すように、本実施形態の負荷応力推定方法では、少なくとも2個のマーカーM1、M2が、三次元形状測定装置100により測定可能な位置に設定される。この場合に、三次元形状測定装置100が自身の位置を取得可能であれば、マーカーM1、M2と三次元形状測定装置100自身の位置を基準とする三次元座標空間を設定することができる。三次元形状測定装置100が、自身の位置を取得できない場合には、図3(b)に示すように3個のマーカーを設定すればよい。
【0029】
予め設置されている地上の標識や構造物をマーカーとして利用することで、異なる測定機会の間で共通の三次元座標空間を用いることができる。これにより、期間をおいて測定した複数のデータを容易に比較できるようになり、支持物10の保守管理をより細やかに実施することが可能になる。
【0030】
恒常的に屋外に設置されているマーカーは、経時的な劣化や、事故による損傷を受ける可能性がある。そこで、三次元座標空間の設定に必要な個数(2個又は3個)よりも多く設定しておくことが好ましい。これにより、一部のマーカーが損傷を受けて使用不能になったとしても、2個又は3個のマーカーが残存していれば、同一の三次元座標空間を復元することができる。一方、マーカーを多く設定するほど測定の手間が大きくなるため、マーカー個数は3個以上6個以下とすることが好ましい。
【0031】
次に、表面形状測定ステップST12では、三次元形状測定装置100を用いて、支持物10の表面の形状測定が実行される。表面形状測定ステップST12における測定点の数は、少なくとも2点以上とし、少なくとも2つの測定点P1、P2については、図3に示すように、支持物10を中心とする方位角θが50°以上離れるように設定する。
【0032】
測定点を複数箇所とするのは、1点からの測定だと、支持物10の表面のごく狭い範囲の形状データ(形状情報)しか取得できないため、取得した形状データから支持物10の中心点を算出する差異の誤差が大きくなる。一方、測定点を2箇所以上設けることで、支持物10の周回りに180°を超える範囲の形状データを測定できる。これにより、支持物10の中心点の算出精度を高めることができ、支持物10の測定精度を高めることができる。
【0033】
測定点の数は、3箇所以上とすることが好ましく、測定点の数を増やすことで測定精度を高めることができる。ただし、測定点の数を6箇所を超えて設定しても測定精度を高める効果はほとんど得られなくなるため、3箇所以上6箇所以下の範囲で設定することが好ましく、4箇所又は5箇所とすることがより好ましい。
【0034】
また本実施形態において、複数箇所設定される測定点のうち、少なくとも2つの測定点は、方位角で50°以上離れるように配置される。すなわち、図3(a)及び図3(b)に示す測定点P1、P2間の方位角θが、50°以上となるように、測定点P1、P2が配置される。
これにより、図3(a)に示すように支持物10の周囲の領域において測定点P1〜P3が偏って配置されている場合にも、支持物10の周面を240°以上の範囲で測定することができる。すなわち、支持物10の表面を周方向に2/3以上の長さにわたって測定することができる。これにより、測定した形状データに基づいて、直接測定できなかった範囲の支持物10の表面形状(三次元座標)を、実用的な精度で推定することが可能になる。
【0035】
なお、測定精度を向上させる観点からは、支持物10を全周にわたって測定できるように測定点を設定することが好ましい。具体的に、2箇所の測定点P1、P2を設定する場合には、測定点P1と測定点P2と支持物10の中心とが、平面視で一直線上に並ぶように配置することが好ましい。また、3箇所の測定点P1、P2、P3を設定する場合には、支持物10を中心とする方位角方向において、隣り合う測定点P1、P2、P3同士の角度が、方位角で180°以上離れないように配置することが好ましい。4箇所以上設定する場合も、3箇所の場合と同様である。
【0036】
また、図2に示す測定点Pと支持物10との距離La[m]は、支持物10の高さLs[m](直立状態の高さ)の0.2倍以上60倍以下の範囲とすることが好ましい。距離Laが0.2×Ls未満であると、測定点Pと支持物10とが近すぎるために、支持物10の上端側において測距光(レーザー光)の反射強度が弱くなって測定誤差が増大する。一方、距離Laが60×Ls以上であると、測距光の走査角度に対する支持物10表面での移動距離が大きくなることによる解像度が低下によって測定誤差が増大する。
【0037】
上記の表面形状測定ステップST12によれば、図2に示した支持物10の表面10sとの距離データに基づいて、表面10s上の各点の三次元座標を取得することができる。
【0038】
次に、基準中心線算出ステップST13では、表面形状測定ステップST12において計測された支持物10の形状データ(表面の各点の三次元座標)から、基準中心線が算出される。本実施形態の場合、基準中心線は図2に符号CLを付して示す直線である。より具体的には、支持物10の地際位置10eにおける輪郭線の中心位置Eの三次元座標を算出し、かかる中心位置Eを通る鉛直方向の直線を、基準中心線CLとして規定する。
【0039】
中心位置Eは、例えば、地際位置10eにおける輪郭線の座標データを用いた最小二乗中心法により算出することができる。
ここで、図4は、最小二乗中心法による円フィッティングの説明図である。
最小二乗中心法によれば、表面形状測定ステップST12により得られた形状データにおける地際位置での輪郭線が、例えば図4に示す輪郭線C1であるときに、輪郭線C1に最もよくフィットする真円Cfの中心Aと、半径Rを求めることができる。
【0040】
具体的には、まず、輪郭線C1に対して仮想中心Qを設定し、輪郭線C1を仮想中心Q周りに等角度(図示では15°間隔)でN分割する。このときのi番目の点piの座標(xi,yi)は、仮想中心Qと点piとを結ぶ線分の長さρiと、上記線分とX軸とのなす角度をφiとしたとき、以下の式(1)、(2)のように表される。そして、輪郭線C1に最もよくフィットする真円の中心座標(a,b)と真円の半径Rは、図4右側に示す式で与えられる。
【0041】
xi=ρicosφi …(1)
yi=ρisinφi …(2)
【0042】
なお、上記では、中心Aから鉛直方向に延びる直線を基準中心線CLとしたが、これに限られない。例えば、支持物10の建柱時の中心線である建設時中心線(架空設備が設置されていない状態の中心線)が分かっている場合には、これを基準中心線CLに代えて用いることが好ましい。これにより、変位値の算出精度を高めることができ、負荷応力の推定精度を向上させることができる。特に、支持物10が鉛直方向から傾いた状態で設置されている場合に有効である。
また、建設時中心線が入手できない場合であっても、支持物10が傾いた状態で設置されていることが分かっている場合には、地際位置の中心から延びる基準中心線CLを、建柱時の傾き角度分だけ傾けるように補正することが好ましい。
【0043】
次に、測定中心線算出ステップST14では、表面形状測定ステップST12において測定した支持物10の形状データから、支持物10の各高さ位置における輪郭線の中心位置を算出する。中心位置の算出方法は、先の基準中心線算出ステップST13と同様である。すなわち、支持物10の高さhj(j=1,2,3,…)の位置における水平方向断面の輪郭線の各座標から、高さhjに対応する支持物10の中心座標Aj(Xahj,Yahj,Zahj)を、最小二乗中心法等を用いて算出する。なお、添字jは、複数の高さ位置について中心座標Ajの算出を行うことを明確にするために便宜的に付したものであり、具体的な座標を示すものではない。
上記の中心座標Ajを支持物10の高さ方向にわたって算出することで、応力が作用した状態の支持物10の中心線である測定中心線ML(図2参照)を取得することができる。
【0044】
次に、中心線変位算出ステップST15では、基準中心線算出ステップST13で算出した基準中心線CLに対する、測定中心線算出ステップST14で算出した測定中心線MLの変位値ΔDahj(ただしj=1,2,3,…)を、支持物10の各高さ位置において算出する。
具体的には、高さhj(Z座標:Zhj)における測定中心線MLの座標は(Xahj,Yahj,Zhj)で与えられる。一方、基準中心線CLの座標は、高さ位置によらずX座標とY座標が一定であるから(Xsh,Ysh,Zhj)で与えられる。これらから、高さhjにおける中心線の変位値ΔDahjは、ΔDahj={(Xahj−Xsh)2+(Yahj−Ysh)2}0.5と算出することができる。
【0045】
なお、高さhjにおける支持物10表面の各点の座標(Xhj,Yhj,Zhj)と基準中心線CLの座標(Xsh,Ysh,Zhj)との距離ΔDhj={(Xhj−Xsh)2+(Yhj−Ysh)2}0.5を算出し、これらの距離ΔDhjのうちの最大値Dhmaxを、上記の変位値ΔDahjに代えて用いてもよい。上記の最大値Dhmaxは、支持物10の最大応力負荷方向における変位(最大変位値)であり、変位値Dahjと同等に扱うことができる。
【0046】
この方法では、支持物10の各高さにおける中心位置のフィッティングが不要であるため、簡便に変位値を取得することができる利点がある。ただし、支持物10の表面を全周にわたって測定していない場合には、最大応力負荷方向を誤って認識するおそれがあるため、先に記載した中心位置の変位ΔDahjを用いることが好ましい。
【0047】
次に、負荷応力取得ステップST16では、中心線変位算出ステップST15で算出した各高さ位置での変位値ΔDahjを用いて、支持物10に作用している負荷応力を推定する。具体的には、測定対象である支持物10と同等の支持物(コンクリート柱、鋼管柱)を用いた曲げ試験等により作成した検量線を参照することにより、測定対象の支持物10に作用している負荷応力を推定する。
【0048】
ここで図5は、検量線作成のための曲げ試験の説明図である。
まず、図5(a)に示す支持物10Aは、図2に示した支持物10と同等品の柱状構造物(コンクリート柱や鋼管柱)である。支持物10Aの基端部は固定装置201により固定され、支持物10Aの胴体部分は台車202上に載置されている。また支持物10Aの先端部近傍に、先端がリング状のワイヤー203が掛けられている。ワイヤー203は図示略の駆動装置に接続されており、駆動装置によりワイヤー203を引っ張ることで、支持物10Aに水平方向の引張力を作用させることができるように構成されている。また支持物10Aの先端には三角形状の標識204が設けられており、標識204の先端はスケール205の原点位置に合わされている。
なお、図5(a)では支持物10Aの陰になっているが、支持物10Aの胴体部分にも、支持物10Aの長さ方向に沿って所定間隔で複数の標識204が取り付けられている。
【0049】
次いで、図5(b)に示すように、ワイヤー203を図示右方向に水平に引っ張ることで支持物10Aに応力を作用させる。そうすると、支持物10Aは上記の応力に応じて湾曲する。この湾曲の程度(変位値)は、支持物10Aの先端に取り付けられた標識204のスケール205上の位置を読み取ることにより取得することができる。また、支持物10Aの胴体部分に取り付けられた標識204のスケール205上の支持位置を読み取ることにより、胴体部分の変位値についても取得することができる。
【0050】
上記の曲げ試験を、ワイヤー203を介して作用させる応力を変えて複数回実施することにより、支持物10Aについての応力と変位値との関係を示す検量線を作成することができる。
そして、中心線変位算出ステップST15で算出した変位値ΔDhjと、上記のようにして作成した検量線とを比較することで、測定対象の支持物10に作用している負荷応力を推定することができる。
【0051】
以上に説明した本実施形態の負荷応力推定方法では、支持物10の表面形状を三次元形状測定装置100を用いて測定し、得られた形状データを用いて鉛直方向(基準中心線)に対する支持物10の変位値を取得しているので、目視や写真画像解析により支持物10の湾曲の程度を推定する場合と比較して、著しく高精度の支持物10の変位値を取得することができる。そして、この変位値を用いて、実柱のデータに基づく検量線を参照し、支持物10に作用している負荷応力を推定するので、極めて高精度に支持物10の負荷応力を推定することが可能である。
【0052】
また本実施形態の負荷応力推定方法では、三次元形状測定装置100で得られた形状データから測定中心線MLを設定し、この測定中心線MLの基準中心線CLからの変位値を評価している。このように支持物10の中心線を利用する方法とすれば、支持物10の全体形状を取得できなくても、支持物10の表面の一部から中心位置を推定可能であるため、負荷応力を推定することができる。
この点、本実施形態では、三次元形状測定装置100による形状測定を、支持物10を中心とする方位角で50°以上離れた2箇所を含む位置から測定している。この方法によれば、支持物10の表面を、周方向に2/3以上の長さにわたって測定することができるので、得られた形状データに基づいて、実用上十分な精度で支持物10の中心位置を算出することができ、負荷応力を推定することができる。
【0053】
また、上記のように周方向の2/3以上の長さにわたって表面の形状データが得られれば、支持物10の直接測定できない部分について、形状データに基づいて実用的な精度で推定することも可能である。したがって本実施形態によれば、簡便に支持物(柱状構造物)の表面形状を測定する方法を提供することができる。
【0054】
なお、支持物(柱状構造物)の形状測定方法としては、上記のように直接測定できなかった部分を補完するのではなく、測定した形状データから支持物の中心線(測定中心線ML)を算出し、かかる中心線により支持物の形状を表すこととしてもよい。このように支持物の形状を中心線により代替させた場合にも、支持物の姿勢を把握することができる。
【実施例】
【0055】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0056】
(第1実施例)
図6は、実施例に係る測定対象物及び測定機器の配置を示す平面図である。
図6に示すように、地際位置からの高さ12m、地際位置での直径50cmのコンクリート柱10Xを建柱し、荷重により柱頂部に水平方向の応力を与えた。この状態で、三次元形状測定装置100を用いて、複数の荷重条件について、各高さ位置での最大変位値Dhmaxを求めた。
また、上記コンクリート柱10Xと同型式のコンクリート柱を用意し、図5に示した方法で柱頂部に水平方向の応力を与えて曲げ試験を行い、各応力での曲げ方向に対する各高さ位置での最大変位の実測値Dtmaxを求めた。
【0057】
最大変位値Dhmaxの計測は、図6に示すように、測定対象のコンクリート柱を中心とした半径6×Ls[m]の円周上の90°毎に区切った4カ所にマーカーM1〜M4を設定して3次元座標空間を作成し、半径3×Ls[m]の円周上の90°毎に区切った4カ所の測定点P1〜P4から、コンクリート柱10X全体について、柱の表面を約2cmピッチで計測した。
本実施例の場合、コンクリート柱10Xの全体を測定しているため、最大変位値Dhmaxは、コンクリート柱10Xの測定中心線MLの基準中心線CLからの変位値ΔDajと等価である。そこで本実施例では、計算の簡素化のために最大変位値Dhmaxを用いている。
【0058】
図7は、荷重250kgの条件で各高さ位置のDhmaxとDtmaxを測定した結果を示すグラフである。図8は、荷重500kgの条件で各高さ位置のDhmaxとDtmaxを測定した結果を示すグラフである。
図7及び図8において、凡例に示す標識1−L、2−J等のうち、数字「1」「2」「3」はコンクリート柱の種類(型式)を示す。また、添字「L」は、曲げ試験の測定データ(Dtmax)であることを示し、添字「J」は、三次元形状測定装置による測定データ(Dhmax)であることを示す。
【0059】
図7及び図8に示されるように、三次元形状測定装置の測定データから算出した最大変位値Dhmaxと、曲げ試験による変位の実測値Dtmaxは良い一致を示す。このことから、本発明による手法はコンクリート柱や鋼管柱にかかる負荷応力を推定する手法として有効であることが判る。
【0060】
(第2実施例)
次に、複数の支持物の一括測定が可能であることを検証するために、図9に示す配置において三次元形状測定装置による表面形状測定を実施し、それぞれの支持物における変位値を求めた。
図9は、第2実施例における測定対象の支持物と測定機器の配置を示した平面図である。
図9に示すように、8mの間隔を空けて立設された2本の同型式のコンクリート柱10X1、10X2の周囲に、4個のマーカーM1〜M4を設定して三次元座標空間を作成し、2本のコンクリート柱10X1、10X2を同時に視野内に収められる4箇所の測定点P1〜P4から、三次元形状測定装置100による表面形状測定を行った。
【0061】
その後、第1実施例と同様にして、得られた形状データから最大変位値Dhmaxを算出した。
図10は、荷重250kgの条件で各高さ位置の最大変位値Dhmaxを測定した結果を示すグラフである。図11は、荷重500kgの条件で各高さ位置の最大変位値Dhmaxを測定した結果を示すグラフである。
【0062】
図10及び図11に示されるように、同時に測定した2本のコンクリート柱10X1、10X2の最大変位値Dhmaxは非常によい一致を示す。このことから、本発明による手法では、複数の支持物を一括して測定することができ、極めて効率良く負荷応力の推定を行えることが判る。
【0063】
(第3実施例)
次に、負荷応力の推定に関する評価を実施した結果について説明する。評価時の測定条件を下記の表1に示す。
表1に示すように、測定点設置数、2測定点間の最大角度、測定点最大距離、測定点最小距離、地面上のマーカー個数、及び、支持物(測定対象ではない他の支持物も含む)上のマーカー個数の各条件を異ならせて、三次元形状測定装置によるコンクリート柱の表面形状測定を行い、得られた形状データから、最大変位値Dhmaxと実測値Dtmaxを求めた。
【0064】
【表1】
【0065】
表1中の項目「ΔDhtに関する評価」は、負荷応力の推定に関する評価である。
具体的には、実柱(測定対象のコンクリート柱と同型式の柱)の曲げ試験で求めた各荷重に対する各高さ位置での荷重負荷方向への柱表面の最大変位の実測値Dtmaxと、測定対象のコンクリート柱の頂部に水平に一方向の負荷荷重をかけた時に三次元形状測定装置で測定した各高さ位置での荷重負荷方向への柱中心点の水平方向の最大変位値Dhmaxとの差異ΔDhtを求め、ΔDhtが20%、あるいは50mm以内である場合に○とした。
誤差が上記の範囲内に収まる測定精度が得られていれば、通常建柱されている支持物が、設計荷重以上の負荷がかかった状態にあるか否かを識別することができる。
【0066】
一方、表1中の項目「ΔDhsに関する評価」は、三次元形状測定装置による測定条件に関する評価である。
具体的には、測定対象のコンクリート柱の頂部に水平に一方向の負荷荷重をかけた時の各高さ位置での水平方向の最大変位を三次元形状測定装置による精密実測条件で実測した場合の最大変位値Dhsmaxを基準として、各種測定条件で得られる最大変位値Dhmaxとの差異ΔDhsを求め、ΔDhsが20%、あるいは50mm以内である場合に○とした。
ここでいう精密実測条件は、測定柱を中心とした3×Lsの円周上の90°毎に区切った4カ所を測定点かつマーカー位置として、4カ所から柱全体を柱表面上で約2cmピッチで計測する測定条件である。
【0067】
表1に示すように、各測定機器の条件を、先の実施形態で規定された範囲内とすることで、コンクリート柱にかかる負荷応力の推定および表面形状の測定を精度良く実施できることが判る。
【符号の説明】
【0068】
A…中心、E…中心位置、P,P1,P2,P3,P4…測定点、10,10A…支持物、10e…地際位置、10s…表面、CL…基準中心線、La…距離、M1,M2,M3,M4…マーカー、100…三次元形状測定装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、架空設備用支持物の負荷応力推定方法及び柱状構造物の形状測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリート柱や鋼管柱に代表される架空設備用の支持物には、変圧器などの機材、腕がねなどの金物類、電線や通信線などの架線が装柱されるため、様々な応力に曝される。実環境に設置された状態の支持物への負荷応力を把握することは、保守管理上重要である。このような支持物の実負荷応力の測定として、いくつかの方法が知られている。例えば特許文献1には、電柱内に設置した光ファイバーにパルス光を入射させ、その反射光を計測することにより電柱の応力を評価する方法が開示されている。また特許文献2には、写真撮影による電柱の画像を解析することで、電柱の湾曲程度を測定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−183166号公報
【特許文献2】特開平6−94442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の光ファイバーを用いる方法は、予め光ファイバーが埋設された電柱にしか適用することができず、既存の電柱全般に適用できないという課題があった。一方、特許文献2記載の画像解析を利用する方法では、電柱の写真を解析して輪郭の湾曲の程度を測定しているため、撮影方向によっては正確な湾曲程度が得られない場合があった。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、架空設備用支持物の負荷応力を簡便な手順で精度良く推定する方法と、柱状構造物の形状測定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の架空設備用支持物の負荷応力推定方法は、架空設備用の支持物に対して、前記支持物を中心とする方位角で50°以上離され、かつ前記支持物との距離が前記支持物の高さの0.2倍以上60倍以下の範囲内である少なくとも2箇所の測定点から、測距方式の三次元形状測定装置を用いて前記支持物の表面形状を測定する工程と、測定した前記支持物の形状情報から、前記支持物の高さ方向に沿って前記支持物の水平方向断面の中心位置を結ぶ計測中心線と、前記支持物の地際位置における中心を通って鉛直方向に延びる基準中心線とを算出する工程と、前記計測中心線と、前記基準中心線とを比較することにより、前記支持物の各高さ位置における水平方向の変位値を算出する工程と、前記変位値を用いて、前記支持物と同等品の実測データに基づく検量線を参照することにより、測定対象の前記支持物の負荷応力を推定する工程と、を有することを特徴とする。
【0007】
この方法によれば、屋外等に設置されている支持物を三次元形状測定装置で測定し、得られた形状データに基づいて支持物の変位値を求めるので、目視や写真画像を解析する手法と比較して簡便な手順で高精度の変位値を得ることができる。そして、かかる変位値を用いて実測データに基づく検量線を参照することで負荷応力を求めるので、上記の手法と比較して著しく高精度に負荷応力を推定することが可能である。
また、支持物の表面形状から基準中心線と測定中心線とを求め、これらの中心線を利用して変位値及び負荷応力を求めるので、支持物全体の表面形状が得られない場合であっても精度良く負荷応力を推定することが可能である。
【0008】
本発明の架空設備用支持物の負荷応力推定方法は、架空設備用の支持物に対して、前記支持物を中心とする方位角で50°以上離され、かつ前記支持物との距離が前記支持物の高さの0.2倍以上60倍以下の範囲内である少なくとも2箇所の測定点から、測距方式の三次元形状測定装置を用いて前記支持物の表面形状を測定する工程と、測定した前記支持物の形状情報から、前記支持物の高さ方向に沿って前記支持物の水平方向断面の中心位置を結ぶ計測中心線を算出する工程と、前記計測中心線と、前記支持物の建設時の中心線である建設時中心線とを比較することにより、前記支持物の各高さ位置における水平方向の変位値を算出する工程と、前記変位値を用いて、前記支持物と同等品の実測データに基づく検量線を参照することにより、測定対象の前記支持物の負荷応力を推定する工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
この方法では、先の方法の基準中心線に代えて、建設時中心線を用いているので、現実に即した基準を設定することができる。これにより、変位値の誤差を小さくすることができ、その結果、負荷応力の推定精度を高めることができる。
【0010】
本発明の架空設備用支持物の負荷応力推定方法は、架空設備用の支持物に対して、前記支持物を中心とする方位角で50°以上離され、かつ前記支持物との距離が前記支持物の高さの0.2倍以上60倍以下の範囲内である少なくとも2箇所の測定点から、測距方式の三次元形状測定装置を用いて前記支持物の表面形状を測定する工程と、測定した前記支持物の形状情報から、前記支持物の地際位置における中心を通って鉛直方向に延びる基準中心線とを算出する工程と、前記支持物の各高さ位置において前記支持物の表面と前記基準中心線との最大距離である最大変位値を算出する工程と、前記最大変位値を用いて、前記支持物と同等品の実測データに基づく検量線を参照することにより、測定対象の前記支持物の負荷応力を推定する工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
このように、支持物の各高さ位置において、支持物の表面と基準中心線との最大距離を規定し、これを最大変位値として用いて応力を推定する方法としてもよい。これにより、さらに簡便な手順で負荷応力を推定することができる。
【0012】
本発明の架空設備用支持物の負荷応力推定方法は、架空設備用の支持物に対して、前記支持物を中心とする方位角で50°以上離され、かつ前記支持物との距離が前記支持物の高さの0.2倍以上60倍以下の範囲内である少なくとも2箇所の測定点から、測距方式の三次元形状測定装置を用いて前記支持物の表面形状を測定する工程と、前記支持物の各高さ位置において、前記支持物の表面と前記支持物の建設時の中心線である建設時中心線との最大距離である最大変位値を算出する工程と、前記最大変位値を用いて、前記支持物と同等品の実測データに基づく検量線を参照することにより、測定対象の前記支持物の負荷応力を推定する工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
このように、支持物の各高さ位置において、支持物の表面と基準中心線との最大距離を規定し、これを最大変位値として用いて応力を推定する方法としてもよい。これにより、さらに簡便な手順で負荷応力を推定することができる。
【0014】
前記支持物の表面形状を測定する工程において、前記支持物の表面又は前記支持物の近傍に、少なくとも2箇所のマーカーを設定し、複数の前記マーカーを前記三次元形状測定装置を用いて測定することにより、前記マーカーを基準とする三次元座標空間を設定する方法としてもよい。
この方法によれば、三次元座標空間を一義的に規定することができるため、異なる測定機会で共通の三次元座標空間を形成することが可能である。
【0015】
少なくとも一つの前記マーカーを、前記支持物の周囲に存在する他の架空設備用支持物の表面に設定する方法としてもよい。
この方法によれば、ユーザーが管理対象としている支持物にマーカーを設定するので、マーカーが除去されてしまう可能性が低くなる。
【0016】
本発明の柱状構造物の形状測定方法は、測距方式の三次元形状測定装置を用いて、屋外に設置された柱状構造物の表面形状を測定する方法であって、前記柱状構造物の表面又は前記柱状構造物の近傍に少なくとも2箇所のマーカーを設定し、前記マーカーを測定することにより三次元座標を設定する工程と、前記柱状構造物を中心とする方位角で50°以上離され、かつ前記柱状構造物との距離が前記柱状構造物の高さの0.2倍以上60倍以下の範囲内である少なくとも2箇所の測定点から、前記柱状構造物の表面形状を測定する工程と、を有することを特徴とする。
【0017】
この方法によれば、柱状構造物の表面形状を、周方向の少なくとも2/3以上の長さにわたって測定することができる。これにより、柱状構造物の断面が円形であるとみなすことで、直接測定していない領域の表面形状を実用上十分な精度で推定することが可能になる。したがって、柱状構造物の表面形状を効率良く測定することができる。
【0018】
少なくとも一つの前記マーカーを、前記柱状構造物の近傍の地面に設けられた物体、又は前記柱状構造物の周囲に設けられた他の柱状構造物の表面に設定する方法としてもよい。
この方法によれば、三次元座標空間を一義的に規定することができるため、異なる測定機会で共通の三次元座標空間を形成することが可能である。
【0019】
測定により得られた前記柱状構造物の形状情報から、前記柱状構造物の水平断面の中心位置を結ぶ中心線を算出する工程を有する方法としてもよい。
この方法によれば、柱状構造物の形状を曲線で代替させることができ、柱状構造物の姿勢を精度良く求めることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、架空設備用支持物の負荷応力を簡便な手順で精度良く推定する方法、及び柱状構造物を簡便な手順で精度良く測定できる形状測定方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】架空設備用支持物の負荷応力推定方法の一実施の形態を示すフロー図。
【図2】実施形態の負荷応力推定方法における測定対象物と測定装置を示す図。
【図3】負荷応力推定方法における形状測定ステップの説明図。
【図4】最小二乗中心法による円フィッティングの説明図。
【図5】検量線作成のための曲げ試験の説明図。
【図6】第1実施例に係る測定対象物及び測定機器の配置を示す平面図。
【図7】荷重250kgの条件で各高さ位置の変位値を測定した結果を示すグラフ。
【図8】荷重500kgの条件で各高さ位置の変位値を測定した結果を示すグラフ。
【図9】第2実施例における測定対象の支持物と測定機器の配置を示した平面図。
【図10】荷重250kgの条件で各高さ位置の変位値を測定した結果のグラフ。
【図11】荷重500kgの条件で各高さ位置の変位値を測定した結果のグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、架空設備用支持物の負荷応力推定方法の一実施の形態を示すフロー図である。図2は、本実施形態の負荷応力推定方法における測定対象物と測定装置を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の負荷応力推定方法は、三次元座標空間設定ステップST11と、表面形状測定ステップST12と、基準中心線算出ステップST13と、測定中心線算出ステップST14と、中心線変位算出ステップST15と、負荷応力取得ステップST16と、を有する。
【0023】
図2に示すように、本実施形態の負荷応力推定方法において、測定対象物である支持物10は、電線や変圧器などの架空設備を空中で支持する電柱等の柱状構造物であり、より具体的には、コンクリート柱や鋼管柱である。
本実施形態の負荷応力推定方法は、屋外に立設され、変圧器や腕がねの重量、電線や通信線の張力等に起因する応力により湾曲した状態の支持物10(コンクリート柱、鋼管柱)について、三次元形状測定装置100を用いて表面形状を測定し、その三次元形状測定の結果から支持物10に作用している負荷応力を推定する方法である。
【0024】
本実施形態で使用する三次元形状測定装置100は、測距式の三次元形状測定装置である。具体的には、三次元形状測定装置100は、測定対象物に対してパルスレーザー光などの測距光を放射し、測定対象物表面で反射した測距光を受光することにより測定対象物表面の光照射位置までの距離を測定する距離計測計を備えている。そして、上記の距離計測計を用いて測定対象物の表面を走査することにより、測定対象物表面までの距離を連続的に測定し、測定した距離を三次元座標に変換する。得られた三次元座標から、測定対象物表面の三次元画像を形成することができる。このような三次元形状測定装置100としては、例えば、トプコン社製の三次元レーザースキャナーGLS−1500、GLS−1000などを用いることができる。
【0025】
以下、各ステップごとに詳細に説明する。
まず、三次元座標空間設定ステップST11では、三次元形状測定装置100によって測定した支持物10の表面を三次元画像として構築するための三次元座標空間を設定する。具体的には、三次元形状測定装置100の機能を使用して、支持物10の表面又は周辺(三次元形状測定装置100により測定可能な範囲)に設置された複数のマーカー(基準点)を測定することにより、三次元座標系を設定する。
【0026】
マーカーとしては、三次元形状測定装置100が基準標識として認識可能な物体であれば任意のものを用いることができる。例えば、地面に埋め込まれた標識や、測定対象の支持物10周辺に設置されている他の支持物(電柱)などの構造物の一部、家屋などの建築物の一部などを用いることができる。あるいは、特定の模様や反射部を備えた三次元形状測定装置100専用のターゲットを設置してもよい。
【0027】
ここで図3は、負荷応力推定方法における形状測定ステップの説明図である。図3(a)は、2つのマーカーを用いた場合、図3(b)は3つのマーカーを用いた場合の測定機器の平面配置が示されている。図3(a)には、支持物10と、三次元形状測定装置100が設置される測定点P1、P2、P3と、マーカーM1、M2とが示されている。図3(b)には、図3(a)の機器に加えて、マーカーM3がさらに示されている。
【0028】
図3(a)に示すように、本実施形態の負荷応力推定方法では、少なくとも2個のマーカーM1、M2が、三次元形状測定装置100により測定可能な位置に設定される。この場合に、三次元形状測定装置100が自身の位置を取得可能であれば、マーカーM1、M2と三次元形状測定装置100自身の位置を基準とする三次元座標空間を設定することができる。三次元形状測定装置100が、自身の位置を取得できない場合には、図3(b)に示すように3個のマーカーを設定すればよい。
【0029】
予め設置されている地上の標識や構造物をマーカーとして利用することで、異なる測定機会の間で共通の三次元座標空間を用いることができる。これにより、期間をおいて測定した複数のデータを容易に比較できるようになり、支持物10の保守管理をより細やかに実施することが可能になる。
【0030】
恒常的に屋外に設置されているマーカーは、経時的な劣化や、事故による損傷を受ける可能性がある。そこで、三次元座標空間の設定に必要な個数(2個又は3個)よりも多く設定しておくことが好ましい。これにより、一部のマーカーが損傷を受けて使用不能になったとしても、2個又は3個のマーカーが残存していれば、同一の三次元座標空間を復元することができる。一方、マーカーを多く設定するほど測定の手間が大きくなるため、マーカー個数は3個以上6個以下とすることが好ましい。
【0031】
次に、表面形状測定ステップST12では、三次元形状測定装置100を用いて、支持物10の表面の形状測定が実行される。表面形状測定ステップST12における測定点の数は、少なくとも2点以上とし、少なくとも2つの測定点P1、P2については、図3に示すように、支持物10を中心とする方位角θが50°以上離れるように設定する。
【0032】
測定点を複数箇所とするのは、1点からの測定だと、支持物10の表面のごく狭い範囲の形状データ(形状情報)しか取得できないため、取得した形状データから支持物10の中心点を算出する差異の誤差が大きくなる。一方、測定点を2箇所以上設けることで、支持物10の周回りに180°を超える範囲の形状データを測定できる。これにより、支持物10の中心点の算出精度を高めることができ、支持物10の測定精度を高めることができる。
【0033】
測定点の数は、3箇所以上とすることが好ましく、測定点の数を増やすことで測定精度を高めることができる。ただし、測定点の数を6箇所を超えて設定しても測定精度を高める効果はほとんど得られなくなるため、3箇所以上6箇所以下の範囲で設定することが好ましく、4箇所又は5箇所とすることがより好ましい。
【0034】
また本実施形態において、複数箇所設定される測定点のうち、少なくとも2つの測定点は、方位角で50°以上離れるように配置される。すなわち、図3(a)及び図3(b)に示す測定点P1、P2間の方位角θが、50°以上となるように、測定点P1、P2が配置される。
これにより、図3(a)に示すように支持物10の周囲の領域において測定点P1〜P3が偏って配置されている場合にも、支持物10の周面を240°以上の範囲で測定することができる。すなわち、支持物10の表面を周方向に2/3以上の長さにわたって測定することができる。これにより、測定した形状データに基づいて、直接測定できなかった範囲の支持物10の表面形状(三次元座標)を、実用的な精度で推定することが可能になる。
【0035】
なお、測定精度を向上させる観点からは、支持物10を全周にわたって測定できるように測定点を設定することが好ましい。具体的に、2箇所の測定点P1、P2を設定する場合には、測定点P1と測定点P2と支持物10の中心とが、平面視で一直線上に並ぶように配置することが好ましい。また、3箇所の測定点P1、P2、P3を設定する場合には、支持物10を中心とする方位角方向において、隣り合う測定点P1、P2、P3同士の角度が、方位角で180°以上離れないように配置することが好ましい。4箇所以上設定する場合も、3箇所の場合と同様である。
【0036】
また、図2に示す測定点Pと支持物10との距離La[m]は、支持物10の高さLs[m](直立状態の高さ)の0.2倍以上60倍以下の範囲とすることが好ましい。距離Laが0.2×Ls未満であると、測定点Pと支持物10とが近すぎるために、支持物10の上端側において測距光(レーザー光)の反射強度が弱くなって測定誤差が増大する。一方、距離Laが60×Ls以上であると、測距光の走査角度に対する支持物10表面での移動距離が大きくなることによる解像度が低下によって測定誤差が増大する。
【0037】
上記の表面形状測定ステップST12によれば、図2に示した支持物10の表面10sとの距離データに基づいて、表面10s上の各点の三次元座標を取得することができる。
【0038】
次に、基準中心線算出ステップST13では、表面形状測定ステップST12において計測された支持物10の形状データ(表面の各点の三次元座標)から、基準中心線が算出される。本実施形態の場合、基準中心線は図2に符号CLを付して示す直線である。より具体的には、支持物10の地際位置10eにおける輪郭線の中心位置Eの三次元座標を算出し、かかる中心位置Eを通る鉛直方向の直線を、基準中心線CLとして規定する。
【0039】
中心位置Eは、例えば、地際位置10eにおける輪郭線の座標データを用いた最小二乗中心法により算出することができる。
ここで、図4は、最小二乗中心法による円フィッティングの説明図である。
最小二乗中心法によれば、表面形状測定ステップST12により得られた形状データにおける地際位置での輪郭線が、例えば図4に示す輪郭線C1であるときに、輪郭線C1に最もよくフィットする真円Cfの中心Aと、半径Rを求めることができる。
【0040】
具体的には、まず、輪郭線C1に対して仮想中心Qを設定し、輪郭線C1を仮想中心Q周りに等角度(図示では15°間隔)でN分割する。このときのi番目の点piの座標(xi,yi)は、仮想中心Qと点piとを結ぶ線分の長さρiと、上記線分とX軸とのなす角度をφiとしたとき、以下の式(1)、(2)のように表される。そして、輪郭線C1に最もよくフィットする真円の中心座標(a,b)と真円の半径Rは、図4右側に示す式で与えられる。
【0041】
xi=ρicosφi …(1)
yi=ρisinφi …(2)
【0042】
なお、上記では、中心Aから鉛直方向に延びる直線を基準中心線CLとしたが、これに限られない。例えば、支持物10の建柱時の中心線である建設時中心線(架空設備が設置されていない状態の中心線)が分かっている場合には、これを基準中心線CLに代えて用いることが好ましい。これにより、変位値の算出精度を高めることができ、負荷応力の推定精度を向上させることができる。特に、支持物10が鉛直方向から傾いた状態で設置されている場合に有効である。
また、建設時中心線が入手できない場合であっても、支持物10が傾いた状態で設置されていることが分かっている場合には、地際位置の中心から延びる基準中心線CLを、建柱時の傾き角度分だけ傾けるように補正することが好ましい。
【0043】
次に、測定中心線算出ステップST14では、表面形状測定ステップST12において測定した支持物10の形状データから、支持物10の各高さ位置における輪郭線の中心位置を算出する。中心位置の算出方法は、先の基準中心線算出ステップST13と同様である。すなわち、支持物10の高さhj(j=1,2,3,…)の位置における水平方向断面の輪郭線の各座標から、高さhjに対応する支持物10の中心座標Aj(Xahj,Yahj,Zahj)を、最小二乗中心法等を用いて算出する。なお、添字jは、複数の高さ位置について中心座標Ajの算出を行うことを明確にするために便宜的に付したものであり、具体的な座標を示すものではない。
上記の中心座標Ajを支持物10の高さ方向にわたって算出することで、応力が作用した状態の支持物10の中心線である測定中心線ML(図2参照)を取得することができる。
【0044】
次に、中心線変位算出ステップST15では、基準中心線算出ステップST13で算出した基準中心線CLに対する、測定中心線算出ステップST14で算出した測定中心線MLの変位値ΔDahj(ただしj=1,2,3,…)を、支持物10の各高さ位置において算出する。
具体的には、高さhj(Z座標:Zhj)における測定中心線MLの座標は(Xahj,Yahj,Zhj)で与えられる。一方、基準中心線CLの座標は、高さ位置によらずX座標とY座標が一定であるから(Xsh,Ysh,Zhj)で与えられる。これらから、高さhjにおける中心線の変位値ΔDahjは、ΔDahj={(Xahj−Xsh)2+(Yahj−Ysh)2}0.5と算出することができる。
【0045】
なお、高さhjにおける支持物10表面の各点の座標(Xhj,Yhj,Zhj)と基準中心線CLの座標(Xsh,Ysh,Zhj)との距離ΔDhj={(Xhj−Xsh)2+(Yhj−Ysh)2}0.5を算出し、これらの距離ΔDhjのうちの最大値Dhmaxを、上記の変位値ΔDahjに代えて用いてもよい。上記の最大値Dhmaxは、支持物10の最大応力負荷方向における変位(最大変位値)であり、変位値Dahjと同等に扱うことができる。
【0046】
この方法では、支持物10の各高さにおける中心位置のフィッティングが不要であるため、簡便に変位値を取得することができる利点がある。ただし、支持物10の表面を全周にわたって測定していない場合には、最大応力負荷方向を誤って認識するおそれがあるため、先に記載した中心位置の変位ΔDahjを用いることが好ましい。
【0047】
次に、負荷応力取得ステップST16では、中心線変位算出ステップST15で算出した各高さ位置での変位値ΔDahjを用いて、支持物10に作用している負荷応力を推定する。具体的には、測定対象である支持物10と同等の支持物(コンクリート柱、鋼管柱)を用いた曲げ試験等により作成した検量線を参照することにより、測定対象の支持物10に作用している負荷応力を推定する。
【0048】
ここで図5は、検量線作成のための曲げ試験の説明図である。
まず、図5(a)に示す支持物10Aは、図2に示した支持物10と同等品の柱状構造物(コンクリート柱や鋼管柱)である。支持物10Aの基端部は固定装置201により固定され、支持物10Aの胴体部分は台車202上に載置されている。また支持物10Aの先端部近傍に、先端がリング状のワイヤー203が掛けられている。ワイヤー203は図示略の駆動装置に接続されており、駆動装置によりワイヤー203を引っ張ることで、支持物10Aに水平方向の引張力を作用させることができるように構成されている。また支持物10Aの先端には三角形状の標識204が設けられており、標識204の先端はスケール205の原点位置に合わされている。
なお、図5(a)では支持物10Aの陰になっているが、支持物10Aの胴体部分にも、支持物10Aの長さ方向に沿って所定間隔で複数の標識204が取り付けられている。
【0049】
次いで、図5(b)に示すように、ワイヤー203を図示右方向に水平に引っ張ることで支持物10Aに応力を作用させる。そうすると、支持物10Aは上記の応力に応じて湾曲する。この湾曲の程度(変位値)は、支持物10Aの先端に取り付けられた標識204のスケール205上の位置を読み取ることにより取得することができる。また、支持物10Aの胴体部分に取り付けられた標識204のスケール205上の支持位置を読み取ることにより、胴体部分の変位値についても取得することができる。
【0050】
上記の曲げ試験を、ワイヤー203を介して作用させる応力を変えて複数回実施することにより、支持物10Aについての応力と変位値との関係を示す検量線を作成することができる。
そして、中心線変位算出ステップST15で算出した変位値ΔDhjと、上記のようにして作成した検量線とを比較することで、測定対象の支持物10に作用している負荷応力を推定することができる。
【0051】
以上に説明した本実施形態の負荷応力推定方法では、支持物10の表面形状を三次元形状測定装置100を用いて測定し、得られた形状データを用いて鉛直方向(基準中心線)に対する支持物10の変位値を取得しているので、目視や写真画像解析により支持物10の湾曲の程度を推定する場合と比較して、著しく高精度の支持物10の変位値を取得することができる。そして、この変位値を用いて、実柱のデータに基づく検量線を参照し、支持物10に作用している負荷応力を推定するので、極めて高精度に支持物10の負荷応力を推定することが可能である。
【0052】
また本実施形態の負荷応力推定方法では、三次元形状測定装置100で得られた形状データから測定中心線MLを設定し、この測定中心線MLの基準中心線CLからの変位値を評価している。このように支持物10の中心線を利用する方法とすれば、支持物10の全体形状を取得できなくても、支持物10の表面の一部から中心位置を推定可能であるため、負荷応力を推定することができる。
この点、本実施形態では、三次元形状測定装置100による形状測定を、支持物10を中心とする方位角で50°以上離れた2箇所を含む位置から測定している。この方法によれば、支持物10の表面を、周方向に2/3以上の長さにわたって測定することができるので、得られた形状データに基づいて、実用上十分な精度で支持物10の中心位置を算出することができ、負荷応力を推定することができる。
【0053】
また、上記のように周方向の2/3以上の長さにわたって表面の形状データが得られれば、支持物10の直接測定できない部分について、形状データに基づいて実用的な精度で推定することも可能である。したがって本実施形態によれば、簡便に支持物(柱状構造物)の表面形状を測定する方法を提供することができる。
【0054】
なお、支持物(柱状構造物)の形状測定方法としては、上記のように直接測定できなかった部分を補完するのではなく、測定した形状データから支持物の中心線(測定中心線ML)を算出し、かかる中心線により支持物の形状を表すこととしてもよい。このように支持物の形状を中心線により代替させた場合にも、支持物の姿勢を把握することができる。
【実施例】
【0055】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0056】
(第1実施例)
図6は、実施例に係る測定対象物及び測定機器の配置を示す平面図である。
図6に示すように、地際位置からの高さ12m、地際位置での直径50cmのコンクリート柱10Xを建柱し、荷重により柱頂部に水平方向の応力を与えた。この状態で、三次元形状測定装置100を用いて、複数の荷重条件について、各高さ位置での最大変位値Dhmaxを求めた。
また、上記コンクリート柱10Xと同型式のコンクリート柱を用意し、図5に示した方法で柱頂部に水平方向の応力を与えて曲げ試験を行い、各応力での曲げ方向に対する各高さ位置での最大変位の実測値Dtmaxを求めた。
【0057】
最大変位値Dhmaxの計測は、図6に示すように、測定対象のコンクリート柱を中心とした半径6×Ls[m]の円周上の90°毎に区切った4カ所にマーカーM1〜M4を設定して3次元座標空間を作成し、半径3×Ls[m]の円周上の90°毎に区切った4カ所の測定点P1〜P4から、コンクリート柱10X全体について、柱の表面を約2cmピッチで計測した。
本実施例の場合、コンクリート柱10Xの全体を測定しているため、最大変位値Dhmaxは、コンクリート柱10Xの測定中心線MLの基準中心線CLからの変位値ΔDajと等価である。そこで本実施例では、計算の簡素化のために最大変位値Dhmaxを用いている。
【0058】
図7は、荷重250kgの条件で各高さ位置のDhmaxとDtmaxを測定した結果を示すグラフである。図8は、荷重500kgの条件で各高さ位置のDhmaxとDtmaxを測定した結果を示すグラフである。
図7及び図8において、凡例に示す標識1−L、2−J等のうち、数字「1」「2」「3」はコンクリート柱の種類(型式)を示す。また、添字「L」は、曲げ試験の測定データ(Dtmax)であることを示し、添字「J」は、三次元形状測定装置による測定データ(Dhmax)であることを示す。
【0059】
図7及び図8に示されるように、三次元形状測定装置の測定データから算出した最大変位値Dhmaxと、曲げ試験による変位の実測値Dtmaxは良い一致を示す。このことから、本発明による手法はコンクリート柱や鋼管柱にかかる負荷応力を推定する手法として有効であることが判る。
【0060】
(第2実施例)
次に、複数の支持物の一括測定が可能であることを検証するために、図9に示す配置において三次元形状測定装置による表面形状測定を実施し、それぞれの支持物における変位値を求めた。
図9は、第2実施例における測定対象の支持物と測定機器の配置を示した平面図である。
図9に示すように、8mの間隔を空けて立設された2本の同型式のコンクリート柱10X1、10X2の周囲に、4個のマーカーM1〜M4を設定して三次元座標空間を作成し、2本のコンクリート柱10X1、10X2を同時に視野内に収められる4箇所の測定点P1〜P4から、三次元形状測定装置100による表面形状測定を行った。
【0061】
その後、第1実施例と同様にして、得られた形状データから最大変位値Dhmaxを算出した。
図10は、荷重250kgの条件で各高さ位置の最大変位値Dhmaxを測定した結果を示すグラフである。図11は、荷重500kgの条件で各高さ位置の最大変位値Dhmaxを測定した結果を示すグラフである。
【0062】
図10及び図11に示されるように、同時に測定した2本のコンクリート柱10X1、10X2の最大変位値Dhmaxは非常によい一致を示す。このことから、本発明による手法では、複数の支持物を一括して測定することができ、極めて効率良く負荷応力の推定を行えることが判る。
【0063】
(第3実施例)
次に、負荷応力の推定に関する評価を実施した結果について説明する。評価時の測定条件を下記の表1に示す。
表1に示すように、測定点設置数、2測定点間の最大角度、測定点最大距離、測定点最小距離、地面上のマーカー個数、及び、支持物(測定対象ではない他の支持物も含む)上のマーカー個数の各条件を異ならせて、三次元形状測定装置によるコンクリート柱の表面形状測定を行い、得られた形状データから、最大変位値Dhmaxと実測値Dtmaxを求めた。
【0064】
【表1】
【0065】
表1中の項目「ΔDhtに関する評価」は、負荷応力の推定に関する評価である。
具体的には、実柱(測定対象のコンクリート柱と同型式の柱)の曲げ試験で求めた各荷重に対する各高さ位置での荷重負荷方向への柱表面の最大変位の実測値Dtmaxと、測定対象のコンクリート柱の頂部に水平に一方向の負荷荷重をかけた時に三次元形状測定装置で測定した各高さ位置での荷重負荷方向への柱中心点の水平方向の最大変位値Dhmaxとの差異ΔDhtを求め、ΔDhtが20%、あるいは50mm以内である場合に○とした。
誤差が上記の範囲内に収まる測定精度が得られていれば、通常建柱されている支持物が、設計荷重以上の負荷がかかった状態にあるか否かを識別することができる。
【0066】
一方、表1中の項目「ΔDhsに関する評価」は、三次元形状測定装置による測定条件に関する評価である。
具体的には、測定対象のコンクリート柱の頂部に水平に一方向の負荷荷重をかけた時の各高さ位置での水平方向の最大変位を三次元形状測定装置による精密実測条件で実測した場合の最大変位値Dhsmaxを基準として、各種測定条件で得られる最大変位値Dhmaxとの差異ΔDhsを求め、ΔDhsが20%、あるいは50mm以内である場合に○とした。
ここでいう精密実測条件は、測定柱を中心とした3×Lsの円周上の90°毎に区切った4カ所を測定点かつマーカー位置として、4カ所から柱全体を柱表面上で約2cmピッチで計測する測定条件である。
【0067】
表1に示すように、各測定機器の条件を、先の実施形態で規定された範囲内とすることで、コンクリート柱にかかる負荷応力の推定および表面形状の測定を精度良く実施できることが判る。
【符号の説明】
【0068】
A…中心、E…中心位置、P,P1,P2,P3,P4…測定点、10,10A…支持物、10e…地際位置、10s…表面、CL…基準中心線、La…距離、M1,M2,M3,M4…マーカー、100…三次元形状測定装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架空設備用の支持物に対して、前記支持物を中心とする方位角で50°以上離され、かつ前記支持物との距離が前記支持物の高さの0.2倍以上60倍以下の範囲内である少なくとも2箇所の測定点から、測距方式の三次元形状測定装置を用いて前記支持物の表面形状を測定する工程と、
測定した前記支持物の形状情報から、前記支持物の高さ方向に沿って前記支持物の水平方向断面の中心位置を結ぶ計測中心線と、前記支持物の地際位置における中心を通って鉛直方向に延びる基準中心線とを算出する工程と、
前記計測中心線と、前記基準中心線とを比較することにより、前記支持物の各高さ位置における水平方向の変位値を算出する工程と、
前記変位値を用いて、前記支持物と同等品の実測データに基づく検量線を参照することにより、測定対象の前記支持物の負荷応力を推定する工程と、
を有することを特徴とする架空設備用支持物の負荷応力推定方法。
【請求項2】
架空設備用の支持物に対して、前記支持物を中心とする方位角で50°以上離され、かつ前記支持物との距離が前記支持物の高さの0.2倍以上60倍以下の範囲内である少なくとも2箇所の測定点から、測距方式の三次元形状測定装置を用いて前記支持物の表面形状を測定する工程と、
測定した前記支持物の形状情報から、前記支持物の高さ方向に沿って前記支持物の水平方向断面の中心位置を結ぶ計測中心線を算出する工程と、
前記計測中心線と、前記支持物の建設時の中心線である建設時中心線とを比較することにより、前記支持物の各高さ位置における水平方向の変位値を算出する工程と、
前記変位値を用いて、前記支持物と同等品の実測データに基づく検量線を参照することにより、測定対象の前記支持物の負荷応力を推定する工程と、
を有することを特徴とする架空設備用支持物の負荷応力推定方法。
【請求項3】
架空設備用の支持物に対して、前記支持物を中心とする方位角で50°以上離され、かつ前記支持物との距離が前記支持物の高さの0.2倍以上60倍以下の範囲内である少なくとも2箇所の測定点から、測距方式の三次元形状測定装置を用いて前記支持物の表面形状を測定する工程と、
測定した前記支持物の形状情報から、前記支持物の地際位置における中心を通って鉛直方向に延びる基準中心線とを算出する工程と、
前記支持物の各高さ位置において前記支持物の表面と前記基準中心線との最大距離である最大変位値を算出する工程と、
前記最大変位値を用いて、前記支持物と同等品の実測データに基づく検量線を参照することにより、測定対象の前記支持物の負荷応力を推定する工程と、
を有することを特徴とする架空設備用支持物の負荷応力推定方法。
【請求項4】
架空設備用の支持物に対して、前記支持物を中心とする方位角で50°以上離され、かつ前記支持物との距離が前記支持物の高さの0.2倍以上60倍以下の範囲内である少なくとも2箇所の測定点から、測距方式の三次元形状測定装置を用いて前記支持物の表面形状を測定する工程と、
前記支持物の各高さ位置において、前記支持物の表面と前記支持物の建設時の中心線である建設時中心線との最大距離である最大変位値を算出する工程と、
前記最大変位値を用いて、前記支持物と同等品の実測データに基づく検量線を参照することにより、測定対象の前記支持物の負荷応力を推定する工程と、
を有することを特徴とする架空設備用支持物の負荷応力推定方法。
【請求項5】
前記支持物の表面形状を測定する工程において、
前記支持物の表面又は前記支持物の近傍に、少なくとも2箇所のマーカーを設定し、複数の前記マーカーを前記三次元形状測定装置を用いて測定することにより、前記マーカーを基準とする三次元座標空間を設定することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の架空設備用支持物の負荷応力推定方法。
【請求項6】
少なくとも一つの前記マーカーを、前記支持物の周囲に存在する他の架空設備用支持物の表面に設定することを特徴とする請求項5に記載の負荷応力推定方法。
【請求項7】
測距方式の三次元形状測定装置を用いて、屋外に設置された柱状構造物の表面形状を測定する方法であって、
前記柱状構造物の表面又は前記柱状構造物の近傍に少なくとも2箇所のマーカーを設定し、前記マーカーを測定することにより三次元座標を設定する工程と、
前記柱状構造物を中心とする方位角で50°以上離され、かつ前記柱状構造物との距離が前記柱状構造物の高さの0.2倍以上60倍以下の範囲内である少なくとも2箇所の測定点から、前記柱状構造物の表面形状を測定する工程と、
を有することを特徴とする柱状構造物の形状測定方法。
【請求項8】
少なくとも一つの前記マーカーを、前記柱状構造物の近傍の地面に設けられた物体、又は前記柱状構造物の周囲に設けられた他の柱状構造物の表面に設定することを特徴とする請求項7に記載の柱状構造物の形状測定方法。
【請求項9】
測定により得られた前記柱状構造物の形状情報から、前記柱状構造物の水平断面の中心位置を結ぶ中心線を算出する工程を有することを特徴とする請求項7又は8に記載の柱状構造物の形状測定方法。
【請求項1】
架空設備用の支持物に対して、前記支持物を中心とする方位角で50°以上離され、かつ前記支持物との距離が前記支持物の高さの0.2倍以上60倍以下の範囲内である少なくとも2箇所の測定点から、測距方式の三次元形状測定装置を用いて前記支持物の表面形状を測定する工程と、
測定した前記支持物の形状情報から、前記支持物の高さ方向に沿って前記支持物の水平方向断面の中心位置を結ぶ計測中心線と、前記支持物の地際位置における中心を通って鉛直方向に延びる基準中心線とを算出する工程と、
前記計測中心線と、前記基準中心線とを比較することにより、前記支持物の各高さ位置における水平方向の変位値を算出する工程と、
前記変位値を用いて、前記支持物と同等品の実測データに基づく検量線を参照することにより、測定対象の前記支持物の負荷応力を推定する工程と、
を有することを特徴とする架空設備用支持物の負荷応力推定方法。
【請求項2】
架空設備用の支持物に対して、前記支持物を中心とする方位角で50°以上離され、かつ前記支持物との距離が前記支持物の高さの0.2倍以上60倍以下の範囲内である少なくとも2箇所の測定点から、測距方式の三次元形状測定装置を用いて前記支持物の表面形状を測定する工程と、
測定した前記支持物の形状情報から、前記支持物の高さ方向に沿って前記支持物の水平方向断面の中心位置を結ぶ計測中心線を算出する工程と、
前記計測中心線と、前記支持物の建設時の中心線である建設時中心線とを比較することにより、前記支持物の各高さ位置における水平方向の変位値を算出する工程と、
前記変位値を用いて、前記支持物と同等品の実測データに基づく検量線を参照することにより、測定対象の前記支持物の負荷応力を推定する工程と、
を有することを特徴とする架空設備用支持物の負荷応力推定方法。
【請求項3】
架空設備用の支持物に対して、前記支持物を中心とする方位角で50°以上離され、かつ前記支持物との距離が前記支持物の高さの0.2倍以上60倍以下の範囲内である少なくとも2箇所の測定点から、測距方式の三次元形状測定装置を用いて前記支持物の表面形状を測定する工程と、
測定した前記支持物の形状情報から、前記支持物の地際位置における中心を通って鉛直方向に延びる基準中心線とを算出する工程と、
前記支持物の各高さ位置において前記支持物の表面と前記基準中心線との最大距離である最大変位値を算出する工程と、
前記最大変位値を用いて、前記支持物と同等品の実測データに基づく検量線を参照することにより、測定対象の前記支持物の負荷応力を推定する工程と、
を有することを特徴とする架空設備用支持物の負荷応力推定方法。
【請求項4】
架空設備用の支持物に対して、前記支持物を中心とする方位角で50°以上離され、かつ前記支持物との距離が前記支持物の高さの0.2倍以上60倍以下の範囲内である少なくとも2箇所の測定点から、測距方式の三次元形状測定装置を用いて前記支持物の表面形状を測定する工程と、
前記支持物の各高さ位置において、前記支持物の表面と前記支持物の建設時の中心線である建設時中心線との最大距離である最大変位値を算出する工程と、
前記最大変位値を用いて、前記支持物と同等品の実測データに基づく検量線を参照することにより、測定対象の前記支持物の負荷応力を推定する工程と、
を有することを特徴とする架空設備用支持物の負荷応力推定方法。
【請求項5】
前記支持物の表面形状を測定する工程において、
前記支持物の表面又は前記支持物の近傍に、少なくとも2箇所のマーカーを設定し、複数の前記マーカーを前記三次元形状測定装置を用いて測定することにより、前記マーカーを基準とする三次元座標空間を設定することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の架空設備用支持物の負荷応力推定方法。
【請求項6】
少なくとも一つの前記マーカーを、前記支持物の周囲に存在する他の架空設備用支持物の表面に設定することを特徴とする請求項5に記載の負荷応力推定方法。
【請求項7】
測距方式の三次元形状測定装置を用いて、屋外に設置された柱状構造物の表面形状を測定する方法であって、
前記柱状構造物の表面又は前記柱状構造物の近傍に少なくとも2箇所のマーカーを設定し、前記マーカーを測定することにより三次元座標を設定する工程と、
前記柱状構造物を中心とする方位角で50°以上離され、かつ前記柱状構造物との距離が前記柱状構造物の高さの0.2倍以上60倍以下の範囲内である少なくとも2箇所の測定点から、前記柱状構造物の表面形状を測定する工程と、
を有することを特徴とする柱状構造物の形状測定方法。
【請求項8】
少なくとも一つの前記マーカーを、前記柱状構造物の近傍の地面に設けられた物体、又は前記柱状構造物の周囲に設けられた他の柱状構造物の表面に設定することを特徴とする請求項7に記載の柱状構造物の形状測定方法。
【請求項9】
測定により得られた前記柱状構造物の形状情報から、前記柱状構造物の水平断面の中心位置を結ぶ中心線を算出する工程を有することを特徴とする請求項7又は8に記載の柱状構造物の形状測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−98182(P2012−98182A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246656(P2010−246656)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】
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