説明

染料感応太陽電池用酸化物電極の製造方法及び染料感応太陽電池

【課題】染料感応型太陽電池の効率を向上させることを課題とする。
【解決手段】本発明は、粉砕機を利用して製造された金属酸化物ナノ粒子を含む染料感応太陽電池用酸化物電極の製造方法及びこれを利用した染料感応太陽電池に関する。より詳しくは、本発明は(a)ナノ粒子を有する金属酸化物、バインダー樹脂、及び溶媒を混合して金属酸化物ペーストを準備し、(b)前記金属酸化物ペーストを粉砕機に投入し、金属酸化物ナノ粒子を粉砕して、金属酸化物のナノ粒子が均一に分散されたペーストを製造し、及び(c)前記金属酸化物のナノ粒子が分散されたペーストを伝導性透明基板にコーティングして熱処理した後、染料を吸着して、伝導性電極を製造する段階を有する、染料感応太陽電池酸化物電極の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属酸化物ナノ粒子ペーストを利用した染料感応太陽電池及びその製造方法に関し、より詳しくは、染料感応型太陽電池の核心素材の一つであるナノ粒子形態の金属酸化物を粉砕した後、ペースト内に均等に分散させて利用することによって、太陽電池の効率を向上させることのできる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
染料感応太陽電池(Dye−sensitized Solar Cell)は、1991年スイスのGratzelらによって発表された光電気化学太陽電池であって、その生産単価が安価であるため既存のシリコン太陽電池を代替できる次世代太陽電池として脚光を浴びている。染料感応太陽電池は、染料分子が吸着された金属酸化物ナノ粒子(metal oxide nanoparticle)からなる伝導性電極(第1電極)と、白金または炭素などがコーティングされた対向電極(第2電極)、及びヨード系の酸化及び還元電解質で構成される。
【0003】
一般に、前記染料感応太陽電池の伝導性電極は、ナノ粒子チタン酸化物を利用し、ガラス基板上に次のように形成される。
より詳しくは、ナノ粒子のチタン酸化物のコロイド溶液を準備した後、前記チタン酸化物コロイド溶液に高分子を混合して、粘度の高いチタン酸化物ペーストを作る。次に、透明伝導性ガラス基板上に前記粘度の高いチタン酸化物ペーストをコーティングした後、空気下または酸素下で450乃至500℃の高温で約30分間熱処理して、ナノ粒子チタン酸化物電極を形成する。
前記の熱処理過程中、金属酸化物ナノ粒子は部分的に互いに接合されてナノ気孔を有する構造となるが、このようなナノ構造の形態は金属酸化物ペーストの分散程度に多くの影響を受け、最終的に染料感応型太陽電池の特性に影響を与えるようになる。
【0004】
前記金属酸化物ナノ粒子ペーストは、分散された金属酸化物コロイド溶液とバインダーの役割を果たす高分子物質とを混合して作った後、溶媒を除去することで得られる。金属酸化物コロイド溶液の分散方法は、超音波分散法、ビードミル(bead mill)分散方法などの種々の方法が知られている。しかし、このような方法を利用する場合、ペーストを製作した後、金属酸化物ナノ粒子がペースト内で互いに固まる場合があるが、これを再び分散させる方法は開発されていない状態である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来技術における問題点を解決するために、本発明の目的は、金属酸化物ナノ粒子ペーストを製造した後、これをペースト内に含まれているナノ粒子をもう一度均等に再分散させることのできる粉砕機を利用した粉砕方法によって均等に分散させ、均一なナノ気孔を有する金属酸化物ナノ粒子の構造の形成を誘導することにより、染料感応型太陽電池に使用する際に効率を向上させることのできる3ロール粉砕機を利用して製造された、金属酸化物ナノ粒子を含む染料感応太陽電池用酸化物電極の製造方法及びこれを利用した染料感応太陽電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、(a)ナノ粒子を有する金属酸化物、バインダー樹脂、及び溶媒を混合して金属酸化物ペーストを準備し、(b)前記金属酸化物ペーストを粉砕機に投入し、金属酸化物ナノ粒子を粉砕して、金属酸化物のナノ粒子が均一に分散されたペーストを製造し、及び(c)前記金属酸化物のナノ粒子が分散されたペーストを伝導性透明基板にコーティングして熱処理した後、染料を吸着して、伝導性電極を製造する段階を有する、染料感応太陽電池酸化物電極の製造方法を提供する。
【0007】
また、本発明は上記方法によって製造され、染料が吸着された1nm乃至500nmの金属酸化物のナノ粒子を含む伝導性電極(第1電極);前記第1電極に互いに対向して配置された伝導性透明基板を含む対向電極(第2電極);及び前記伝導性電極(第1電極)と対向電極(第2電極)との間の空間に充填する電解質を含む、染料感応太陽電池を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により製造された金属酸化物ペーストは、金属酸化物ナノ粒子が一定の大きさで均等に分散されているので、染料感応型太陽電池の効率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態による3ロール粉砕機の断面図を簡略に示した図面である。
【図2】本発明の一実施形態による3ロール粉砕機を使用して金属酸化物ナノ粒子ペーストを分散させる方法を概略的に示した図面である。
【図3】本発明の一実施形態による染料感応太陽電池の構成を概略的に示した断面図である。
【図4】本発明の一実施形態による金属酸化物ナノ粒子を含む染料感応型太陽電池の構造を示した図面である。
【図5】本発明による金属酸化物ナノ粒子を含む染料感応型太陽電池と、従来の染料感応型太陽電池との光電流密度−電圧特性を比較して示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。
本発明は、染料感応太陽電池の製造において、太陽電池の効率を向上させ、金属酸化物ナノ粒子がペースト内で互いに固まる現象を防止するために、前記ペーストを均等に分散させることのできる粉砕機を利用して、染料感応太陽電池に用いられる金属酸化物のナノ粒子ペーストをさらに均一かつ均等に分散する方法に関する。
【0011】
前記ペーストを均等に分散させることができる粉砕機としては、基本的にペーストを均等に分散させることができるものであれば、いずれも使用可能であり、例えば、3ロール粉砕機、ビード(bead)粉砕機などが使用でき、好ましくは、3ロール粉砕機を使用する。つまり、本発明で使用する粉砕機は、ペースト内の小さい粒子が固まっていることを分散させる役割を果たすものであって、粉砕機を通過しても金属酸化物粒子の大きさは大きく変わらない。
【0012】
したがって、本発明は、金属酸化物ナノ粒子、バインダー樹脂、溶媒を含む金属酸化物ナノ粒子ペーストを準備した後、前記ペーストを均等に分散させることができる粉砕機に投入し、前記金属酸化物ナノ粒子を一定の大きさで均一に粉砕することにより、金属酸化物ナノ粒子がペースト内に均一に分散された金属酸化物ナノ粒子ペーストを製造することができる。
【0013】
以下、添付した図面を参照して、好ましい一実施形態による本願発明の金属酸化物ナノ粒子ペーストの製造方法について、さらに具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態による3ロール粉砕機の好ましい一実施形態の構造を簡略に示したものである。図2は、本発明の一実施形態による3ロール粉砕機を使用して金属酸化物ナノ粒子ペーストを分散させる方法を概略的に示したものである。図1において、符番10乃至12は3個のロールで構成された分散装置であり、符番13はスクレーパーナイフ(Scraper Knife)であり、符番14は分散する前の準備された金属酸化物ナノ粒子ペーストであり、符番15は金属酸化物ナノ粒子が粉砕されて均一に分散された金属酸化物ナノ粒子ペーストである。
【0014】
本発明は、上記のように、溶媒から構成された金属酸化物ナノ粒子ペーストを準備した後、準備された金属酸化物ナノ粒子ペースト(図1、2の符番14)を一定の間隔を維持しながら、一定の速度で回転している3ロール粉砕機(図1、2の符番10乃至12)に投入する。粉砕機に投入された酸化物ナノ粒子ペーストは、狭い間隔を維持しているロール間を通過しながら、酸化物ナノ粒子ペースト内に固まっているTiOナノ粒子の塊まりが粉砕され、ロールの表面に金属酸化物ナノ粒子が均等に分散されて塗布される。ロールの表面に塗布されたペーストは、最後のロール(図1、2の符番12)を通過してスクレーパーナイフ(図1、2の符番13)に集まるようになり、このような過程を数回繰り返すことによって、金属酸化物ナノ粒子が均一に分散されたペースト(図1、2の符番15)が得られる。
【0015】
この時、3ロール粉砕機において、ロールとロールとの間の間隔がナノ粒子の塊りの大きさよりあまりに大きいならば、3ロール粉砕機による分散効果を期待し難い。また、粉砕時間をあまりに長くすれば、ペースト内に存在する溶媒が蒸発し、最後のペーストの濃度が変わることがある。
【0016】
したがって、本発明で使用する3ロール粉砕機のロール間の間隔は、1ミクロン乃至5ミリメートルであることが好ましい。また、前記3ロール粉砕機の粉砕時間は、1分乃至2時間であることが好ましい。また、前記3ロール粉砕機のロールの回転速度は1分当り回転数が10乃至10000rpmで実施してこそ効果的にナノ粒子を分散させることができる。
【0017】
前記3ロール粉砕機に投入される金属酸化物ペーストは、通常の方法により、ナノ粒子を有する金属酸化物と溶媒とを混合して、金属酸化物が分散された粘度5×10乃至5×10cpsのコロイド溶液を製造した後、バインダー樹脂を混合し溶媒を除去して製造することができる。
【0018】
また、本発明は、前記分散方法によって得られた金属酸化物のナノ粒子が分散されたペーストを、伝導性透明基板にコーティングして乾燥した後、染料を吸着させて金属酸化物伝導性電極を製造する。
【0019】
本発明において、前記ナノ粒子を有する金属酸化物21は、Ti、Zr、Sr、Zn、In、Yr、La、V、Mo、W、Sn、Nb、Mg、Al、Y、Sc、Sm、及びGaからなる群より選択されるいずれか一つの金属酸化物、またはこれらの複合酸化物が用いられる。さらに好ましくは、前記ナノ粒子を有する金属酸化物は、チタン酸化物(TiO)、亜鉛酸化物(ZnO)、錫酸化物(SnO)、及びタングステン酸化物(WO)からなる群より選択して用いられる。前記金属酸化物の粒子のサイズは、平均粒径500nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは1nm乃至500nmである。また、前記バインダー樹脂の種類は、特に限定されず、通常のバインダー役割を果たす高分子を用いれば良い。例えば、バインダー樹脂としては、エチルセルロース、ポリエチレングリコールなどがある。上記溶媒も、コロイド溶液の製造に用いられるものであれば、特に限定されずに使用でき、例えば、エタノール、メタノール、テルピネオール(terpineol)、ラウリン酸(Lauric Acid)、THF、水などがある。
【0020】
本発明において、金属酸化物ナノ粒子ペーストの組成の一例を挙げれば、酸化チタン、テルピネオール、エチルセルロース、及びラウリン酸含む組成、または酸化チタン、エタノール及びエチルセルロースの組成であり得る。
【0021】
また、前記伝導性透明基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド(PI)、及びトリアセチルセルロース(TAC)からなる群より選択された透明プラスチック基板またはガラス基板を含むことが好ましい。また、前記伝導性透明基板のいずれか一面には、インジウム錫酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、ZnO−Ga、ZnO−Al、及びSnO−Sbからなる群より選択した伝導性フィルムがコーティングされていることが好ましい。
【0022】
また、染料感応太陽電池において、太陽電池が駆動される最初の段階は光エネルギーから光電荷を生成する過程である。通常、光電荷生成のために染料物質を用い、前記染料物質は伝導性透明基板を透過した光を吸収して励起される。したがって、前記染料は、前記金属酸化物ナノ粒子または多孔質膜の形成時に使用される導電性微粒子及び光散乱剤を吸着することができ、可視光線の吸収によって電子が励起されるようにする染料であれば、その種類が特に限定されない。前記染料の例としては、Ru複合体または有機物質を含んで可視光線を吸収できる物質を含むものが好ましく、例えば、Ru(4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)(NCS)を用いることができる。染料の吸着方法は、一般的な染料感応太陽電池で用いられる方法が利用でき、例えば、染料を含む分散液に金属酸化物ナノ粒子が形成された第1電極を浸漬させた後、少なくとも12時間程度が経過するようにして自然吸着させる方法を利用することができる。前記染料を分散させる溶媒は、特に限定されないが、好ましくはアセトニトリル、ジクロロメタン、またはアルコール系溶媒などを用いることができる。前記染料を吸着させた後には、溶媒洗浄などの方法で吸着しない染料を洗浄する過程を含むことができる。
【0023】
上記で、3ロール粉砕機によって均等に分散された金属酸化物ナノ粒子を伝導性透明基板にコーティングする際に、ドクターブレードまたはスクリーン印刷などの方法を実施することができ、透明膜形成のためにスピンコーティングまたはスプレーコーティングを利用することも可能である。上記で、コーティング後の熱処理は、空気下または酸素下で450℃乃至500℃の高温で約30分間実施することが好ましい。
また、本発明は、前記染料が吸着した金属酸化物のナノ粒子を含む伝導性電極を利用して染料感応太陽電池を提供する。
【0024】
図3は、本発明の一実施形態による染料感応太陽電池の構成を概略的に示す断面図である。また、図4は、本発明の一実施形態による金属酸化物ナノ粒子を含む染料感応型太陽電池の構造を示したものである。
【0025】
図3を参照すると、本発明の染料感応太陽電池は、伝導性基板21、伝導性フィルム22、及び金属酸化物ナノ粒子層23が下から順次に積層された伝導性電極20と、前記伝導性電極20と対向するように配置された伝導性基板31と、伝導性フィルム32が積層された対向電極30と含み、伝導性電極20と対向電極30との間には電解質40を含み、伝導性電極と対向電極とは接着剤で接合される。
【0026】
より詳しくは、図4を参照して、本発明の染料感応太陽電池構造の好ましい一実施形態は、上記方法で製造され、染料24が吸着した金属酸化物のナノ粒子層23を含む伝導性電極(第1電極)20;前記第1電極20に互いに対向して配置された伝導性透明基板を含む対向電極(第2電極)30;及び前記第1電極20と第2電極30との間の空間に充填する電解質40を含み、これらは接着剤50で接合され、前記金属酸化物ナノ粒子は3ロール粉砕機によって分散され、伝導性透明基板上にも均一かつ均等に分散されてコーティングされている。図3における符番30は対向電極を示し、便宜上、基板31と伝導性フィルム32は図示しない。
【0027】
また、本発明は、前記第1電極のいずれか一面に多孔質膜を形成することができ、この場合には導電性微粒子を添加したり、多孔質膜と同一物質であり平均粒径が150nm以上である光散乱子を添加したり、または導電性微粒子及び光散乱子全てを添加することができる。
【0028】
前記第1電極及び第2電極の伝導性透明基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド(PI)、及びトリアセチルセルロース(TAC)からなる群より選択された透明プラスチック基板またはガラス基板を含むことが好ましい。
【0029】
前記第1電極20は、前記伝導性透明基板のいずれか一面にインジウム錫酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、ZnO−Ga、ZnO−Al、及びSnO−Sbからなる群より選択された伝導性フィルムがコーティングされていることが好ましい。
【0030】
前記第2電極30は、前記伝導性透明基板のいずれか一面にインジウムチンオキシド(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、ZnO−Ga、ZnO−Al、及びSnO−Sbからなる群より選択された第1伝導性フィルムがコーティングされ;及び前記第1伝導性フィルム上にはPtまたは貴金属物質を含む第2伝導性フィルムがコーティングされていることが好ましい。前記第2伝導性フィルムにコーティングされる金属としては、Pt、Au、Ni、Cu、Ag、In、Ru、Pd、Rh、Ir、Os、C、伝導性高分子、及びこれらの組み合わせからなる群より選択された物質を用いることができる。
【0031】
前記電解質40は、通常のヨード系酸化及び還元電解質を用いることができ、ヨードをアセトニトリルに溶解した溶液などを用いることができるが、これに限定されるわけではなく、ホール電導機能があるものならば制限なしに使用可能である。例えば、ヨウ化物(iodide)/三ヨウ化物(triiodide)を用いて、酸化、還元によって対向電極から電子を受けて染料に伝達する役割を果たすようにし、この時、開放回路の電圧は染料のエネルギー準位と電解質の酸化、還元準位との差によって決定される。前記電解液は、第1電極と第2電極との間に均一に分散されており、金属酸化物のナノ粒子に浸潤し得る。
【0032】
前記の構造を有する本発明の一実施形態による染料感応太陽電池の製造方法は、前記金属酸化物ナノ粒子ペースト(図1、2の符番14)を、図1の3ロール粉砕機(図1、2の符番10乃至12)に投入して、均一に分散されたペースト(図1、2の符番15)を製造する段階と、前記均一に分散されたペーストを伝導性透明基板21にコーティングされた多数の伝導性フィルム22の一面にコーティングし、高い温度での焼結過程を経た後に染料24を吸着して、ナノ粒子酸化物23を含む伝導性電極(第1電極)20を製造する段階と、また他の透明伝導性基板31にナノ粒子金属伝導性フィルム32をコーティングした後、熱処理して対向電極(第2電極)30を製造し、前記第2電極の上に接着剤50を利用して前記第1電極が対向するように整列させて接合し、前記第2電極と第1電極との接合によって対向する前記ナノ結晶酸化物フィルムとナノ粒子金属フィルムとの間に電解液40を注入する段階とを有する方法で製造できる。また、本発明は前記対向するナノ結晶酸化物フィルムとナノ粒子金属フィルムとで構成される単位セルの負極と正極を配線で接続する段階を追加的に有する。
【0033】
前記第1電極及び第2電極の透明基板で伝導性物質を形成する方法は、スパッタリング、電子ビーム蒸着などの物理気相蒸着法を利用することができる。
前記で用いられる接着剤も、当該分野に広く知られているものを用いることができ、例えば、熱可塑性高分子フィルム、エポキシ樹脂などを用いることができる。
【0034】
以下、実施形態と比較例を通し、本発明をさらに詳細に説明する。但し、実施形態は本発明を例示するためのものであって、これらに限定されない。
(実施形態1)
<金属酸化物ナノ粒子が均一かつ均等に分散されたペーストの製造>
チタン酸化物ナノ粒子ペーストを、図1の3ロール粉砕機を使用して均一に分散させた。
具体的には、20nmの粒子の大きさを有するチタン酸化物のTiOペースト3gを製造した後、図1のドイツのEXAKT社のEXAKT50の3ロール粉砕機を使用して、ロール間の間隔を20μmに維持しながら20分間ペーストを分散させて金属酸化物ペーストを製造した。この時、ロールの回転速度は1分当り450rpmとした。前記TiOペーストは、前記20nmの粒子の大きさを有するTiOと溶媒でエタノールを混合し、金属酸化物が分散されたコロイド溶液を製造した後、バインダー樹脂でエチルセルロースを混合して溶媒を除去し、通常の方法によって製造した。
【0035】
<染料感応太陽電池の製造>
第1透明電極のFTOの上に、前記で製造された金属酸化物ナノ粒子ペーストをドクターブレード法で塗布し、500℃で15分間の熱処理過程を経て、第1透明電極に遮断層と酸化チタンのナノ構造を形成した。形成されたナノ構造をエタノールに溶解された0.3mMのRu(4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)(NCS)染料溶液に12時間以上浸漬して染料を吸着させ、第1電極を形成した。
【0036】
第2電極は、FTOがコーティングされた透明電極上に、HPtClをスピンコーティングで塗布した後、500℃で30分間の熱処理を経て製造した。25μmの厚さの熱可塑性高分子フィルムを第1電極と第2電極との間に置いて、100℃で15秒程度圧着して二つの電極を接合させた。その後、電解質としてヨウ化物(iodide)/三ヨウ化物(triiodide)を注入して太陽電池製造を完成した後、電池特性を測定した。この時、前記太陽電池の面積は0.1〜0.3cmであった。
【0037】
(比較例1)
ペーストを分散させないことを除いては、前記実施形態1と同じ方法で電池を製造した後、電池特性を測定した。
【0038】
(実験例)
実施形態1及び比較例1の太陽電池について、光電流密度−電圧特性を比較して図5のグラフで表した。また、太陽電池における重要な特性である光電流密度(Jsc)、開放回路(open circuit)電圧(Voc)、充填係数(FF)、及びエネルギー変換効率(Eff)を測定した結果を、下記表1に表した。
【表1】

【0039】
前記表1及び図5に示したように、本発明の3ロール粉砕機を使用して製作されたペーストを含む太陽電池の光電流密度が増加し、これによってエネルギー変換効率が増加したことが分かる。
【符号の説明】
【0040】
10,11,12…3個のロールで構成された分散装置、13…スクレーパーナイフ(Scraper Knife)、14…分散前の金属酸化物ナノ粒子ペースト、15…均一に分散された金属酸化物ナノ粒子ペースト、20…伝導性電極(第1電極)、21,31…伝導性基板、22,32…伝導性フィルム、23…金属酸化物ナノ粒子層、24…染料、30…対向電極(第2電極)、40…電解質、50…接着剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)金属酸化物のナノ粒子、バインダー樹脂、及び溶媒を混合して製造された金属酸化物ペーストを準備し、
(b)前記金属酸化物ペーストを粉砕機に投入し、金属酸化物ナノ粒子を粉砕して、金属酸化物のナノ粒子が均一に分散されたペーストを製造し、及び
(c)前記金属酸化物のナノ粒子が分散されたペーストを伝導性透明基板にコーティングして熱処理した後、染料を吸着して、伝導性電極を製造する段階を有する、染料感応太陽電池用酸化物電極の製造方法。
【請求項2】
前記粉砕機が3ロール粉砕機及びビード粉砕機で構成される群より選択されるものである、請求項1に記載の染料感応太陽電池用酸化物電極の製造方法。
【請求項3】
前記3ロール粉砕機のロール間の間隔は1ミクロン乃至5ミリメートルである、請求項2に記載の染料感応太陽電池用酸化物電極の製造方法。
【請求項4】
前記3ロール粉砕機のロールの回転速度は、1分当り回転数が10乃至10000rpmである、請求項2に記載の染料感応太陽電池用酸化物電極の製造方法。
【請求項5】
前記3ロール粉砕機の粉砕時間が1分乃至2時間である、請求項2に記載の染料感応太陽電池用酸化物電極の製造方法。
【請求項6】
前記ナノ粒子を有する金属酸化物が、Ti、Zr、Sr、Zn、In、Yr、La、V、Mo、W、Sn、Nb、Mg、Al、Y、Sc、Sm、及びGaからなる群より選択されるいずれか一つの金属酸化物またはこれらの複合酸化物である、請求項1に記載の染料感応太陽電池用酸化物電極の製造方法。
【請求項7】
前記金属酸化物ナノ粒子のサイズが1nm乃至500nmである、請求項1または6に記載の、染料感応太陽電池用酸化物電極の製造方法。
【請求項8】
前記バインダー樹脂が、エチルセルロース及びポリエチレングリコールからなる群より選択される、請求項1に記載の染料感応太陽電池用酸化物電極の製造方法。
【請求項9】
前記溶媒が、エタノール、メタノール、THF、及び水からなる群より選択される、請求項1に記載の染料感応太陽電池用酸化物電極の製造方法。
【請求項10】
前記伝導性透明基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド(PI)、及びトリアセチルセルロース(TAC)からなる群より選択された透明プラスチック基板またはガラス基板を含む、請求項1に記載の染料感応太陽電池用酸化物電極の製造方法。
【請求項11】
前記伝導性透明基板のいずれか一面に、インジウム錫酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、ZnO−Ga、ZnO−Al、及びSnO−Sbからなる群より選択された伝導性フィルムがコーティングされている、請求項1に記載の染料感応太陽電池用酸化物電極の製造方法。
【請求項12】
前記染料が、Ru複合体または有機物質を含んで可視光線を吸収できる物質を含む、請求項1に記載の染料感応太陽電池用酸化物電極の製造方法。
【請求項13】
前記コーティング後の熱処理は、空気下または酸素下で450℃乃至500℃の高温で約30分間行われる、請求項1に記載の染料感応太陽電池用酸化物電極の製造方法。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一つの請求項の方法で製造され、染料が吸着された1nm乃至500nmの金属酸化物のナノ粒子を含む伝導性電極(第1電極);
前記第1電極に互いに対向して配置された伝導性透明基板を含む対向電極(第2電極);及び
前記伝導性電極(第1電極)と対向電極(第2電極)との間の空間に充填する電解質を含む、染料感応太陽電池。
【請求項15】
前記対向電極は、前記伝導性透明基板のいずれか一面に、インジウム錫酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、ZnO−(Ga又はAl)、及びSnO−Sbからなる群より選択された第1伝導性フィルムがコーティングされ、;及び前記第1伝導性フィルム上には、Ptまたは貴金属物質を含む第2伝導性フィルムがコーティングされる、請求項14に記載の染料感応太陽電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−507893(P2010−507893A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534469(P2009−534469)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【国際出願番号】PCT/KR2006/005346
【国際公開番号】WO2008/050931
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(591074116)韓国科学技術研究院 (17)
【氏名又は名称原語表記】KOREA INSTITUTE OF SCIENCE AND TECNOLOGY
【住所又は居所原語表記】39−1 Hawolgok−dong,Seongbuk−gu,Seoul 136−791KOREA
【Fターム(参考)】