説明

柵の構造

【課題】完全な目隠し性を確保することができるとともに、通風性も十分に確保することができ、かつ外観上もユニークで、経済性や製造工程上も有利な柵の構造を提供する。
【解決手段】複数の板部材21、22が長手方向に連接されてなる柵部材20が端枠部11、12内に並設された柵であって、前記柵部材20は、互いに非接触であるとともに、前記板部材21,22によって柵の面方向10Aすべてに対して透視性が遮断される位置関係で重合配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、塀や垣根等の構築用に用いられる柵(フェンス)の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外の庭園の塀や垣根に各種の柵(フェンス)が用いられている。近年、外観性のよいものが強く求められる傾向にあるが、目隠し性や通風性はフェンスとして不可欠の基本的機能である。しかるに、この外観性や目隠し性、通風性の要求は、しばしば相反することもあり、すべての要請を同時に満たすことは容易ではない。
【0003】
この課題を達成するものとして、例えば、縦断面H字型の横枠材と半透明の目隠し板とを通風用の隙間を介して配設してなるフェンスが提案されている。しかしながら、上の構造では、風の流れが目隠し板によって一旦遮断され、横枠材のH字溝の隙間によって通風性が得られのであるが、風の流通性がよくないことは多言を要しない。風の流通性を高めるために横枠材と目隠し板との隙間を大きくすると、目隠し性能が低下する。また、横枠材と目隠し板との複合材による構成は、製造上のコストや工程上の不利益もある。(例えば特許文献1参照)
【特許文献1】特開2004-204499公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、完全な目隠し性を確保することができるとともに、通風性も十分に確保することができ、かつ外観上もユニークで、経済性や製造工程上も有利な柵の構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、請求項1の発明は、複数の板部材が長手方向に連接されてなる柵部材が端枠部内に並設された柵であって、前記柵部材は、互いに非接触であるとともに、前記板部材によって柵の面方向すべてに対して透視性が遮断される位置関係で重合配置されていることを特徴とする柵の構造に係る。
【0006】
また、請求項2の発明は、前記柵部材の板面部によって柵の面方向に対して傾斜状の通風路が形成されている請求項1に記載の柵の構造に係る。
【0007】
請求項3の発明は、前記柵部材が2つの板面部によって断面略V字状に形成されたものであって、該柵部材のV字形状が柵の面方向に対して横方向となるように連続V字状に重合配置された請求項1又は2に記載の柵の構造に係る。
【0008】
さらに、請求項4の発明は、前記柵部材が3つの板面部によって断面略Y字状に形成されたものであって、該柵部材のY字形状が柵の面方向に対して横方向となるように連続Y字状に重合配置された請求項1又は2に記載の柵の構造に係る。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、複数の板部材が長手方向に連接されてなる柵部材が互いに非接触であるので、通風性が確保されているとともに、前記板部材によって柵の面方向すべてに対して透視性が遮断される位置関係で重合配置されていることより、柵としての完全な目隠し性が確保される。また、柵部材は複数の板部材が長手方向に連接されてなるのであるから、板部材の配置によりユニークな外観性が得られる一方において、経済性や製造工程上の有利性がある。
【0010】
請求項2の発明によれば、前記柵部材の板面部によって柵の面方向に対して傾斜状の通風路が形成されているものであるから、直交状の通風路に比して、通風効果に優れかつ通風の効率も高い。
【0011】
請求項3の発明によれば、前記柵部材が2つの板面部によって断面略V字状に形成されたものであって、該柵部材のV字形状が柵の面方向に対して横方向となるように連続V字状に重合配置されたものであるから、通風性と目隠し性を十分確保しながら、ユニークな外観性が得られかつ経済性に優れ製造工程上の有利性がある。
【0012】
さらに、請求項4の発明によれば、前記柵部材が3つの板面部によって断面略Y字状に形成されたものであって、該柵部材のY字形状が柵の面方向に対して横方向となるように連続Y字状に重合配置されたものであるから、上と同様に、通風性と目隠し性を十分確保しながら、ユニークな外観性が得られかつ経済性に優れ製造工程上の有利性がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下添付の図面に従ってこの発明を詳細に説明する。
図1はこの発明の柵の構造の一実施例を示す一部を切欠いた斜視図、図2はその要部の拡大断面図、図3は柵部材の配置構造を表す断面図、図4はこの発明の他の実施例の柵構造を示す一部切欠斜視図、図5は図4の要部の拡大断面図、図6は図4の柵部材の配置構造を表す断面図である。
【0014】
図1に図示したように、この発明の柵10の構造は、複数の板部材21,22が長手方向に連接されてなる柵部材20が端枠部11,12内に並設されたものであって、前記柵部材20は、互いに非接触であるとともに、前記板部材21,22によって柵の面方向10Aすべてに対して透視性が遮断される位置関係で重合配置されていることを特徴とする。図において、符号11A,12Aは端枠部材11,12と一体に配された筒状の端部材、13は柱部材である。
【0015】
柵部材20を構成する板部材21,22は、木、プラスチック、金属など、柵(フェンス)を構成するものであれば材質は問わない。また、柵10を構成する他の部材は従来公知のもので、特に限定されるものでない。
【0016】
柵部材20は、図2及び図3からもよりよく理解されるように、互いに非接触に配置される。図示し請求項2の発明として規定したように、柵部材20の板面部23,24によって柵10の面方向10Aに対して傾斜状の通風路Bが形成されているものが、好ましい。前記したように、傾斜状の通風路Bは、直交状の通風路に比して、通風効果に優れ高くかつ通風の効率も高いからである。なお、図2において符号S1、S2、S3は柵を構成する端枠部材及び柱部材の取付部材である。
【0017】
この実施例の柵部材20は、請求項3の発明として規定したように、柵部材20が2つの板面部23,24によって断面略V字状に形成されたものであって、該柵部材20のV字形状が柵の面方向10Aに対して横方向となるように連続V字状に重合配置されている。このように配置することによって、板部材21,22によって柵の面方向10Aすべてに対して透視性が遮断される位置関係を簡単に作出することができる。
【0018】
図3の符号A1とA2は、柵10の表裏面方向からの視認直線を示すものであるが、横方向の連続V字状に配置された柵部材20,20において、一の柵部材20のV溝内に他の柵部材のV底部をわずかに重合することによって、柵の面方向10Aすべてに対して透視性を遮断することができる。同時に、符号B1,B2の通風線で示したように、前記傾斜状の通風路Bが効果的に形成されて、柵の垂直方向10Sの風を効果的に流通させることができる。
【0019】
なお、断面V字状の柵部材20のV字角度αは、上に述べた透視遮断性と通風性を考慮して、重量や経済性さらには製造効率等を勘案して決定されるが、概ね45度から90度位が一般的である。この実施例のV字角度αは約60度である。
【0020】
図4ないし図6は、請求項4の発明として規定したように、前記柵部材30が3つの板面部34,35、36によって断面略Y字状に形成され、該柵部材のY字形状が柵15の面方向15Aに対して横方向となるように連続Y字状に重合配置されたものである。図のように、V字を構成する板面部34,35に縦部の板面部36が連接されることによって、一つの柵部材30によって横方向の距離を大きくとることができ、柵全体の重量を減じ経済性を高めることが可能となる。なお、図4ないし図6において符号31、32、33は柵部材30を構成する板部材である。
【0021】
図5及び図6からわかるように、横方向の連続Y字状に配置された柵部材30,30の一の柵部材30のV溝部(板面部34、35)内に他の柵部材30の縦部(板面部36)の先端を重合することによって、柵15の表裏面方向からの視線A1とA2のすべてを遮断することができる。同時に、通風線B1,B2のように、前記した傾斜状の通風路Bが形成されて、柵の垂直方向15Sの風を効果的に流通させることができる。
【0022】
このように、この発明の構造によれば、通風性と目隠し性という相反する機能を十分確保しながら、従来にないユニークな柵の外観が得られる。加えて、簡単な構造で、素材上も有利で、経済性に優れ、製造工程上の有利性も大きい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の柵の構造の一実施例を示す一部を切欠いた斜視図である。
【図2】図1の要部の拡大断面図である。
【図3】図1の柵部材の配置構造を表す断面図である。
【図4】この発明の他の実施例の柵構造を示す一部切欠斜視図である。
【図5】図4の要部の拡大断面図である。
【図6】柵部材の配置構造を表す断面図である。
【符号の説明】
【0024】
10,15 柵
10A,15A 面方向
10S,15S 垂直方向
11,12 端枠部
20 柵部材
21,22,31〜33 板部材
23,24,34〜36 板面部
A1,A2 視認直線
B 通風路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の板部材が長手方向に連接されてなる柵部材が端枠部内に並設された柵であって、前記柵部材は、互いに非接触であるとともに、前記板部材によって柵の面方向すべてに対して透視性が遮断される位置関係で重合配置されていることを特徴とする柵の構造。
【請求項2】
前記柵部材の板面部によって柵の面方向に対して傾斜状の通風路が形成されている請求項1に記載の柵の構造。
【請求項3】
前記柵部材が2つの板面部によって断面略V字状に形成されたものであって、該柵部材のV字形状が柵の面方向に対して横方向となるように連続V字状に重合配置された請求項1又は2に記載の柵の構造。
【請求項4】
前記柵部材が3つの板面部によって断面略Y字状に形成されたものであって、該柵部材のY字形状が柵の面方向に対して横方向となるように連続Y字状に重合配置された請求項1又は2に記載の柵の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−291712(P2007−291712A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−120394(P2006−120394)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(392010142)グローベン株式会社 (3)
【Fターム(参考)】