説明

栽培ベッド及び栽培ベッド走行用台車

【課題】栽培ベッド自体で強度を維持できる栽培ベッド、及びこの栽培ベッド上を走行できる、汎用性のある栽培ベッド走行用台車を提供する。
【解決手段】栽培ベッド1の両側壁3の内側及び/又は外側に補強部4を一体に設ける。また、栽培ベッド1上を走行可能な栽培ベッド走行用台車5は、耕耘機10や栽培用資材を必要に応じて搭載脱着できるフレーム6とこのフレーム6の4隅に、栽培ベッドの両側壁の上部を両側から挟むフランジ7aが形成されている車輪7を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、養液栽培などに使用する栽培ベッド及びこの栽培ベッド上を走行可能な走行用台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
植物の養液栽培には上方に向けて開放された断面略コ字状の栽培ベッドが使用され、栽培ベッドに培地を収納して植物の栽培が行われている(特許文献1参照)。養液栽培用の栽培ベッドには、例えば、発泡スチロール製栽培ベッドが使用されており、側壁の厚みは20〜25mm程度である。栽培ベッド内に培地を収容した際に培地の荷重により両側壁が外側へ膨らむことがある。このような状態になると栽培途中で培地内に隙間が発生して乾燥気味になるなどの問題が生じる。そのため、パイプ等の保持支柱により両側壁の外側を保持のために押さえ込む施工を行っている。
【0003】
また、栽培ベッド内の培地を耕したり、苗を運搬したりするために、耕耘機搭載用台車が使用されるが、耕耘機搭載用台車は栽培ベッドの両側に別途設けたパイプなどのレール上を走行させている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平7−111839号公報
【特許文献2】特開2004−113063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の栽培ベッドでは、必要な強度を保持するための保持支柱や台車の走行用レールの施工が面倒で、施工費も増大するという問題があった。また、側壁の強度を増すために側壁の厚み自体を増すことは、栽培ベッドそのものの製作コストを増大することとなって限界があった。また、発泡スチロール製栽培ベッド内の培地を耕耘したり、苗を運搬したりする際に使用できる、汎用性のある栽培ベッド走行用台車はなかった。
【0005】
そこで、本発明は、栽培ベッド自体で必要な強度を維持できる栽培ベッド、及びこの栽培ベッド上を走行できる、汎用性のある栽培ベッド走行用台車を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の栽培ベッドは、栽培ベッドの両側壁の内側及び/又は外側に補強部を一体に設けたことを特徴とする。栽培ベッドの補強部は、例えば、棒状の肉厚部を一定間隔で複数設ける。
【0007】
また、前記栽培ベッド上を走行可能な栽培ベッド走行用台車は、汎用の耕耘機や栽培用資材を必要に応じて搭載脱着できるフレームとこのフレームの4隅の下部に、栽培ベッドの両側壁の上部を両側から挟むフランジが形成されている車輪を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の栽培ベッドは、側壁の内側及び/又は外側に補強部を側壁と一体構造で設けたことにより、培地や耕耘時の荷重によって側壁が破損したり、外側へ膨らむのを防止できるとともに、保持支柱なしで栽培ベッドの端部を連結するだけで必要長さの栽培ベッドが得られるため、施工が従来の栽培ベッドに比べて容易となり、またコストを押さえることができる。
【0009】
本発明の栽培ベッドにより別途レールを設けることなく栽培ベッド上を栽培ベッド走行用台車が走行可能となり、栽培ベッド走行用台車に汎用耕耘機を搭載することにより栽培ベッド内の培地耕耘ができ、また耕耘時以外には耕耘機を取り外して、資材運搬用に使用するなどの各種の作業に利用でき、汎用性に優れている。
【0010】
従来の養液栽培用ベッドよりも培地量を約2倍に増やす必要があったため、培地や耕耘時の荷重による側壁の破損が懸念されていたが、本発明により、今後、普及拡大が見込まれる隔離養液土耕栽培において、設営のための保持用架台を必要としない構造的補強を施した栽培ベッドと、その栽培ベッド内を汎用の耕耘機で耕耘したり、その他の作業に使用できる、汎用性のある栽培ベッド走行用台車の提供が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の栽培ベッド及び栽培ベッド走行用台車について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0012】
図1(a)は本発明の栽培ベッドの第1実施例を示す斜視図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【0013】
図1において、栽培ベッド1は、排水溝2aが形成された底部2とその両側に対向して一体に設けられた側壁3により上方が開放された断面コ字状に形成されている。栽培ベッド1の材質は特に限定されるものではないが、合成樹脂、特に通常よく使用されている発泡スチロールがよい。栽培ベッドは端部を長手方向に連結して使用される。
【0014】
栽培ベッド1の側壁3の内側には、間隔をおいて垂直方向に補強部4として補強凸条が一体に形成される。補強凸条は、棒状の肉厚部を一定間隔で複数設け、その断面は、半円形、四角形でよい。補強部4の上端は、側壁3の上端より下方に位置するようにして、後述する栽培ベッド走行用台車の車輪のフランジに当たらないようにする。側壁3の厚みは、補強部4を設けるので、従来の栽培ベッドと同じ厚さでよく、厚くする必要はない。
【0015】
本実施例の栽培ベッドは、側壁1に一体の補強部4を設けることにより、培地量を従来よりも増やすために栽培ベッド1の幅を広げても、保持支柱等を設けることなく、側壁3が外側へ膨らむことを防止でき、培地や耕耘時の荷重による側壁1の破損や膨らみを防止することができる。
【実施例2】
【0016】
図2(a)は本発明の栽培ベッドの第2実施例を示す斜視図、(b)は(a)のB−B断面図である。
【0017】
本実施例は、栽培ベッド1の側壁の外側に、間隔をおいて垂直方向に補強部4を一体に形成した例である。
【0018】
本実施例においても、第1実施例と同様に、培地量を従来よりも増やすために栽培ベッドの幅を広げても、側壁に一体の補強部を設けることにより、保持支柱等を設けることなく、側壁が外側へ膨らむことを防止でき、培地や耕耘時の荷重による側壁の破損を防止することができる。
【0019】
また、外側に補強部を設けたので、栽培ベッドの幅が実施例1に比べて広くなり、耕耘機の作業がし易くなる。
【実施例3】
【0020】
図3(a)は本発明の栽培ベッドの第3実施例を示す斜視図、(b)は(a)のC−C断面図である。
【0021】
本実施例は、補強部3を側壁2の内側及び外側に設けた例である。強度が第1実施例及び第2実施例に比べて大きくなるので、栽培ベッド1の幅を広くすることができ、それに伴って培地量が増加しても、側壁が外側へ膨らむことを防止でき、培地や耕耘時の荷重による側壁の破損を防止することができる。
【実施例4】
【0022】
本発明の栽培ベッドを走行する栽培ベッド走行用台車台車(以下「台車」という。)について説明する。
【0023】
栽培ベッドでは、栽培ベッドの列に沿って移動しながら、苗を植えたり、培地を入れたりあるいは耕したり、収穫したりするなどの各種の作業が行われる。作業を行う際には、耕耘機の移動、苗、培地あるいは資材の容器の運搬が必要となる。
【0024】
第1〜3実施例に示すように、側壁に補強部を一体に設けることにより側壁の強度が大きくなり、耕耘機や各種容器を搭載した台車を側壁の上部に支持して栽培ベッドの長手方向に走行させることが可能となる。
【0025】
図4(a)は本発明の台車に耕耘機を搭載した例を示す正面図、(b)は同平面図、(c)は同側面図及び車輪の拡大図である。
【0026】
台車5は耕耘機や運搬容器を搭載する四角形フレーム6と、この四角形フレーム6の4隅の下部に取り付けられ、栽培ベッドの側壁3の上を走行する車輪7とで構成される。
【0027】
四角形フレーム6は、栽培ベッドの幅と同程度の幅を有し、四角形フレーム6には耕耘機や運搬容器を支持する支持フレーム6aが設けられている。
【0028】
四角形フレーム6の四隅の下部にそれぞれ設けられた垂直の支柱6bの下端に昇降可能に車輪7が取り付けられる。四角形フレーム6の高さは車輪高さ調整プラグ8で調節できるようにする。四角形フレーム6の高さは、植物の高さや培地の深さ、耕耘機の種類などに応じて調整することにより、作業しやすくする。支柱6bには、台車5を所定の位置に停止させるストッパー9を設けて、作業中などに台車5が移動しないようにする。
【0029】
車輪7の両側には、側壁3の上部の内側及び外側に位置するフランジ7aが設けられる。車輪7のフランジ7aにより側壁3の上部を内側及び外側から挟まれて台車7の脱輪を防止して栽培ベッド1に沿って走行させることができる。
【0030】
耕耘を行う場合、台車5の車輪7を栽培ベッド1の側壁3の上に走行可能に載せた後、耕耘機10を四角形フレーム6の上に載せて固定する。耕耘機10の耕耘用スクリュー10aは四角形フレーム6のフレームの間から培地へ降ろすことができる。こうして耕耘機10をセットした後、台車5をハンドル13で押して栽培ベッド1に沿って耕耘作業を行っていく。
【0031】
本発明の台車5は耕耘機だけでなく、苗や資材を運搬する運搬容器なども搭載できる用に汎用性を持たせている。
【0032】
図5は苗の運搬容器を搭載した例を示す正面図である。
【0033】
図5に示すように、運搬容器11に並べた苗12を台車5に載せ、ハンドル13で押して栽培ベッド上を移動させながら作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】(a)は本発明の栽培ベッドの第1実施例を示す斜視図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図2】(a)は本発明の栽培ベッドの第2実施例を示す斜視図、(b)は(a)のB−B断面図である。
【図3】(a)は本発明の栽培ベッドの第3実施例を示す斜視図、(b)は(a)のC−C断面図である。
【図4】(a)は本発明の栽培ベッド上を走行可能な台車を示す正面図、(b)は同平面図、(c)は同側面図及び車輪の拡大図である。
【図5】苗の運搬容器を搭載した例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 栽培ベッド
2 底部
3 側壁
4 補強部(補強凸条)
5 台車
6 四角形フレーム
6a 支持フレーム
6b 支柱
7 車輪
7a フランジ
8 車輪高さ調整プラグ
9 ストッパー
10 耕耘機
10a 耕耘用スクリュー
11 運搬容器
12 苗
13 ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培ベッドの側壁に垂直の補強部を一体に設けたことを特徴とする栽培ベッド。
【請求項2】
前記補強部は側壁の内側及び/又は外側に設けることを特徴とする請求項1記載の栽培ベッド。
【請求項3】
前記補強部は、棒状の肉厚部を一定間隔で複数設けることを特徴とする請求項1又は2記載の栽培ベッド。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の栽培ベッドの上を走行可能な栽培ベッド走行用台車であって、栽培ベッド走行用台車は、汎用の耕耘機や栽培用資材を搭載できるフレームと、このフレームの4隅の下部に、栽培ベッドの両側壁の上部を両側から挟むフランジが形成されている車輪を備えたことを特徴とする栽培ベッド走行用台車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−20431(P2007−20431A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−204125(P2005−204125)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【出願人】(000164438)九州電力株式会社 (245)
【Fターム(参考)】