説明

梱包ケース

【課題】開口の寸法を大きく確保でき、且つ、載荷重に対する強度が大きい梱包ケースを提供する。
【解決手段】梱包ケース1は、段ボール板紙から形成される箱体2を有する。箱体2は、底壁4と、底壁4に対向する第1,2頂壁9,10と、底壁4の周縁から第1,2頂壁9,10の周縁に達して、相対向する一対の第1,2側壁5,6とを備える。箱体2には、開口3が形成される。開口3の外縁は、第1,2側壁5,6の上端辺42,43の中間部分42c,43cからなる第1,2辺と、第1,2頂壁9,10の端辺46,47からなる第3,4辺からなる。第1,2側壁5,6における開口3の第1,2辺に沿う範囲では、第1,2重合片11,12が接着されることで、段ボール板紙が複数重ね合わされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール板紙から形成される梱包ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
直管型蛍光灯等の長尺物を梱包するケースとして、PET(Polyethylene Terephthalate)から形成されたケース(以下、PETケース)が使用される。PETは透明な材料であるため、PETケースは外部から内容物を視認できる。このため、PETケースは、内容物を運搬したり保管する目的の他、内容物を展示するためにも使用される。
【0003】
また、食品や化粧品等を梱包するケースとして、段ボール板紙から組み立てられるケース(以下、段ボールケース)が使用される。段ボール板紙はPETのように透明ではないため、段ボール板紙に覆われた内容物の範囲は、外部から視認できない。
【0004】
特許文献1,2には、開口を設けて内容物を視認可能とすることで、内容物の展示に使用される段ボールケースが開示される。これら段ボールケースは、直方体形状を呈して、その頂面に開口を有する。開口は、頂面を構成する段ボール板紙の中央が、くり抜かれることで形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−85568号公報
【特許文献2】特開平11−171171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
PETケースは、載荷重に対する強度が小さい。このため、PETケースを積み上げて、直管型蛍光灯を輸送したり保管した場合、PETケースに変形が生じ、直管型蛍光灯が破損する問題が生じていた。また、この問題を解決するために、ケース壁面と内容物との間の隙間を大きく確保することが考えられる。しかしながら、この対応を行った場合には、PETケースの容積が増加することで、車両に搭載できるPETケースの数が少なくなる。このため、車両による輸送頻度が多くなって、CO2の排出量が増加する問題が生じ得る。
【0007】
また特許文献1,2では、開口の全周囲に、頂面を構成する段ボール板紙が設けられるため、段ボールケースの幅が小さい場合、開口の寸法を大きく確保することが困難である。また、これを解決すべく、開口周囲の段ボール板紙を省略するだけの対応を行った場合、段ボールケースは、強度が低下して、変形を生じやすくなる。
【0008】
本発明は、こうした状況に鑑みてなされたものであり、段ボール板紙から形成される梱包ケースであって、開口の寸法を大きく確保でき、且つ、載荷重に対する強度が大きい梱包ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明にかかる梱包ケースは、段ボール板紙から形成される、底壁と、該底壁に対向する頂壁と、前記底壁の周縁から前記頂壁の周縁に達する側壁とを備え、
前記側壁のうち相対向する一対の側壁の端、及び前記頂壁の端を外縁とする開口が形成され、
前記一対の側壁は、前記開口の外縁に沿う範囲において、前記段ボール板紙が複数重ね合わされる、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、開口が、相対向する一対の側壁の端、及び頂壁の端を外縁として形成されることで、一対の側壁が相対向する方向では、開口の外側に、段ボール板紙が存在しない。このため、箱体の幅が狭い場合でも、開口寸法を大きく確保できる。また、一対の側壁は、開口外縁に沿う範囲に段ボール板紙が複数重ね合わされることで、剛性が高められる。このため、一対の側壁が上下方向に延びるように梱包ケースが設置された場合、梱包ケースは、載荷重に対する強度が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる梱包ケースを示す斜視図である。
【図2】実施の形態1の梱包ケースを構成する段ボール板紙の展開図である。
【図3】実施の形態1の梱包ケースを組み立てる手順を示す平面図である。
【図4】実施の形態1の梱包ケースを組み立てる手順を示す断面図である。
【図5】折目線が形成された部分を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態2にかかる梱包ケースを示す斜視図である。
【図7】実施の形態2の梱包ケースを構成する段ボール板紙の展開図である。
【図8】本発明の実施の形態3にかかる梱包ケース1を示す斜視図である。
【図9】実施の形態3の梱包ケースを構成する段ボール板紙の展開図である。
【図10】実施の形態3の梱包ケースを組み立てる手順を示す平面図である。
【図11】本発明の変形例を示す斜視図である。
【図12】本発明の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付す。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態1にかかる梱包ケース1を示す斜視図である。
【0014】
梱包ケース1は、直管型蛍光灯等の長尺物を梱包するために使用される。梱包ケース1は、段ボール板紙から組み立てられる箱体2からなる。箱体2には、長尺物を外部から視認するための開口3(ハッチング範囲)が設けられる。箱体2は、底壁4と、底壁4に相対向する第1,2頂壁9,10と、底壁4の周縁から第1,2頂壁9,10の周縁に達する周壁60とを備える。
【0015】
底壁4は、長方形状を呈する。以下、底壁4の長手方向を「長手方向」と記し、長手方向と直交する方向を「幅方向」と記す。また長手方向の一方側を「一方側」と記し、長手方向の他方側を「他方側」と記す。
【0016】
周壁60は、底壁4の長辺40から立設されて、相対向する一対の第1,2側壁5,6と、底壁4の短辺41から立設されて、相対向する一対の第3,4側壁7,8とから構成される。周壁60は、第1〜4側壁5〜8の隣り合う壁が連なることで、筒状を呈する
【0017】
第1頂壁9は、第1,2側壁5,6の上端辺42,43における一方側部分42a,43aと、第3側壁7の上端辺44とに連設されて、底壁4の一方側範囲に相対向する。第2頂壁10は、第1,2側壁5,6の上端辺42,43における他方側部分42b,43bと、第4側壁8の上端辺45とに連設されて、底壁4の他方側範囲に相対向する。
【0018】
開口3は、外縁の第1〜4辺が、第1,2側壁5,6の端と、第1,2頂壁9,10の端とにより構成される。
【0019】
すなわち、第1辺は、第1側壁5の上端辺42における一方側部分42aと他方側部分42bとの間の中間部分42cにより構成される。第2辺は、第2側壁6の上端辺43における一方側部分43aと他方側部分43bとの間の中間部分43cにより構成される。第3辺は、上端辺42,43の中間部分42c,43c(第1,2辺)の一方端同士の間を延びる第1頂壁9の端辺46により構成される。第4辺は、上端辺42,43の中間部分42c,43c(第1,2辺)の他方端同士の間を延びる第2頂壁10の端辺47により構成される。
【0020】
第1側壁5の内面には、第1辺(上端辺42の中間部分42c)に沿う範囲において、第1重合片11が接着される。この接着により、第1側壁5の第1辺に沿う範囲では、第1側壁5を構成する段ボール板紙と、第1重合片11を構成する段ボール板紙とが、重ね合わされた状態にある。
【0021】
第2側壁6の内面には、第2辺(上端辺43の中間部分43c)に沿う範囲において、第2重合片12が接着される。この接着により、第2側壁6の第2辺に沿う範囲では、第2側壁6を構成する段ボール板紙と、第2重合片12を構成する段ボール板紙とが、重ね合わされた状態にある。
【0022】
図2は、実施の形態1の梱包ケース1を構成する段ボール板紙80の展開図である。
【0023】
段ボール板紙80では、底壁4と、第1側壁5と、第1,2頂壁9,10・第1,2重合片11,12を構成する部分と、第2側壁6と、糊代片13とが、折目線14,15,16,17を介して順次連設される。
【0024】
折目線14は、底壁4の一方の長辺40を構成する線である。
【0025】
折目線17は、底壁4に接着される糊代方13を、折り曲げるために設けられる。糊代方13が底壁4に接着された状態では、折目線17は、底壁4の他方の長辺40になる端線90に重ね合わされる。
【0026】
折目線15は、折目線15a,15b,15cが長手方向に順次連続する線であり、折目線15a,15b,15cにより、上端辺42の一方側部分42a・中間部分42c・他方側部分42bが構成される。
【0027】
折目線16は、折目線16a,16b,16cが長手方向に順次連続する線であり、折目線16a,16b,16cにより、上端辺43の一方側部分43a・中間部分43c・他方側部分43bが構成される。
【0028】
また段ボール板紙80には、梱包ケース1を組み立てる際、切れ込みを入れる切断誘導線18,19,20が形成される。
【0029】
切断誘導線18は、段ボール板紙80の一方側で幅方向に延びて、折目線15a,15bの境界位置と、折目線16a,16bの境界位置とを繋ぐ。この切断誘導線18により、第1頂壁9と、第1,2重合片11,12を構成する部分とは、区分される。
【0030】
切断誘導線19は、段ボール板紙80の他方側で幅方向に延びて、折目線15b,15cの境界位置と、折目線16b,16cの境界位置とを繋ぐ。この切断誘導線19により、第2頂壁10と、第1,2重合片11,12を構成する部分とは、区分される。
【0031】
切断誘導線20は、長手方向に延びて、切断誘導線18の中央位置と、切断誘導線19の中央位置とを繋ぐ。この切断誘導線20により、第1重合片11と第2重合片12とは、区分される。
【0032】
また、段ボール板紙80の一方側端部には、第3側壁7を構成する第1〜4フラップ21,22,23,24が設けられる。第1〜4フラップ21,22,23,24は、それぞれ折目線25,26,27,28を介して、底壁4、第1側壁5、第1頂壁9、第2側壁6に連設される。また、第3フラップ23には、折目線29を介して、差込片38が連設される。
【0033】
段ボール板紙80の他方側端部には、第4側壁8を構成する第5〜8フラップ30,31,32,33が設けられる。第5〜8フラップ30,31,32,33は、それぞれ折目線34,35,36,37を介して、底壁4、第1側壁5、第2頂壁10、第2側壁6に連設される。
【0034】
図3は、実施の形態1の梱包ケース1を組み立てる手順を示す平面図である。図4は、実施の形態1の梱包ケース1を組み立てる手順を示す断面図である。図4(a)〜(d)は、図3(a)〜(e)のA−A線断面図である。以下、図3,4を用いて、梱包ケース1を組み立てる手順について説明する。
【0035】
まず、第1重合片11と第2重合片12とを切断誘導線20に沿って切り離す(図3(a),図4(a))。また、第1頂壁9と第1,2重合片11,12とを切断誘導線18に沿って切り離す。また、第2頂壁10と第1,2重合片11,12とを切断誘導線19に沿って切り離す。
【0036】
ついで、第1,2重合片11,12を、折目線15b,16bに沿って180度折り曲げる(図3(a)〜(c),図4(a)〜(c))。この折り曲げにより、第1,2側壁5,6及び第1,2頂壁9,10の端を第1〜4辺とする開口3が形成される(図3(c),図4(c))。
【0037】
ついで、第1,2重合片11,12を、第1,2側壁5,6に接着する(図3(c),図4(c))。この接着により、第1,2側壁5,6は、開口3の第1,2辺に沿う範囲で、段ボール板紙が2層重ね合わされた状態になる。
【0038】
ついで、第1側壁5と底壁4とを、折目線15に沿って直角に折り曲げ、第2側壁6と糊代片13とを合わせた部分を、折目線16に沿って直角に折り曲げる(図3(c)→(d),図4(c)→(d))。
【0039】
ついで、糊代片13を折目線17に沿って直角に折り曲げる(図4(d)→(e))。また、底壁4を折目線14に沿って直角に折り曲げて、折目線17が端辺90に重なるように、糊代片13を底壁4の内面に接着する。
【0040】
次に、第3側壁7を形成する作業を行う(図3(d)→(e))。この作業では、まず、第2フラップ22を、折目線26に沿って直角に折り曲げ、第4フラップ24を、折目線28に沿って直角に折り曲げる。ついで、第3フラップ23を折目線27に沿って直角に折り曲げる。この際には、差込片38を、折目線29に沿って折り曲げて、第2,4フラップ22,24と底壁4との間に差し込む。ついで、第1フラップ21を、折目線25に沿って直角に折り曲げて、先に折り曲げた第3フラップ23に接着する。以上の作業により、第3側壁7が形成される。
【0041】
次に、第4側壁8を形成する作業を行う(図3(d)→(e))。この作業では、まず、第7フラップ32を、折目線36に沿って直角に折り曲げる。ついで、第6,8フラップ31,33を、それぞれ折目線35,37に沿って直角に折り曲げる。ついで、第5フラップ30を、折目線34に沿って直角に折り曲げて、先に折り曲げた第6〜8フラップ31〜33に接着する。以上の作業により、第4側壁8が形成されて、梱包ケース1の組み立てが完了する。
【0042】
図5は、折目線15bが形成された部分を示す断面図である。図5(a)は、図4(a)のB範囲を拡大して示す。図5(b)は、図4(c)のC範囲を拡大して示す。
【0043】
梱包ケース1を組み立てる際には、予め、段ボール板紙80の一方の表面に、凹み38が折目線15b,16bに沿って形成される(図4(a),図5(a))。凹み38は、例えば、押付具39を折目線15b,16bに押し付けることで形成される。開口3を形成する手順(図3(a)→(c),図4(a)→(c))では、凹み38が形成された表面が外側(外面)になるように、第1,2重合片11,12が折り曲げられる。これにより、開口3の第1,2辺は、第1,2側壁5,6の面に垂直な断面が、略円弧状を呈するようになる(図4(c),図5(b))。
【0044】
また図2に示すように、第5〜8フラップ30,31,32,33には、内側に凹む切欠30a,31a,32a,33aが形成される。この切欠30a,31a,32a,33aにより、第4側壁8を開封する際に、第5〜8フラップ30,31,32,33を、指で摘んで引き剥がすことが容易になる。
【0045】
本実施の形態によれば、図1に示すように、相対向する第1,2側壁5,6の端辺42c,43cと、第1,2頂壁9,10の端辺46,47とによって、開口3の外縁(第1〜4辺)が形成される。このため、箱体2の頂面では、幅方向(第1,2側壁5,6が相対向する方向)において、開口3の外側に段ボール板紙が存在しない。このため、箱体2の幅が狭い場合でも、開口寸法を大きく確保できる。また、第1,2側壁5,6の第1,2辺に沿う範囲に段ボール板紙が複数重ね合わされることで、第1,2側壁5,6の剛性が高められる。このため、第1,2側壁5,6が上下方向に延びるように梱包ケース1が設置された場合、梱包ケース1は、載荷重に対する強度が大きい。
【0046】
また、第1,2重合片11,12が第1,2側壁5,6に接着されるため、長尺物を箱体2に梱包する際に、第1,2重合片11,12が邪魔にならない。このため、高い作業効率で、長尺物を梱包できる。
【0047】
また、図4(c),図5(b)に示すように、第1,2辺(上端辺42,43の中間部分42c,43c)の断面が、角の無い滑らかな略円弧状を呈するため、第1,2辺への接触により、手を切ることがない。
【0048】
また、段ボール板紙は、PETに比して、大きな強度を有し、変形を生じにくい。これにより、段ボール板紙からなる箱体2は、壁面と内容物(長尺物)との間の隙間を大きく確保する必要がないため、梱包ケース1(箱体2)の容積は小さく抑えられる。よって、長尺物の梱包に梱包ケース1を用いることで、車両に積載できる長尺物の数が多くなるため、少ない輸送頻度で多くの長尺物を輸送でき、CO2の排出量や輸送コストが低減される。
【0049】
また、箱体2は、段ボール板紙から形成されることで、PETケースのように固定用の淵を設けることなく、ホッチキス等により土台の厚紙に固定できる。この点からも、梱包ケース1(箱体2)の容積は小さく抑えられる。
【0050】
また、梱包ケース1(箱体2)が段ボール板紙から構成されることで、梱包ケース1を焼却処分しても、公害成分を放出しない。
【0051】
また、開口3の外側に第1,2頂壁9,10が設けられることで、長尺物を箱体2に収容した状態は、安定して維持される。
【0052】
なお、箱体2を形成する段ボール板紙は、最表層が白色の白ライナを外側に備えた段ボール板紙を使用することが好ましい。このようにすることで、箱体2は見栄えに優れ、長尺物の商品価値を高めることができる。
【0053】
なお、長尺物を運搬・保管する際には、第1,2重合片11,12・第1,2頂壁9,10が切断誘導線18,19,20に接続されたままの状態で、箱体2は組み立てられ得る。この場合、箱体2に開口3が形成されないことで、長尺物が外部に露出せず、また箱体2の変形が抑制されるため、長尺物に損傷が生じることを防止できる。また、この後、長尺物を展示する際には、第1,2重合片11,12を、第1,2頂壁9,10から切り離して、折り曲げることで、開口3を形成する。なお、箱体2の壁面と長尺物との間に隙間を設けることで、長尺物を収容した状態で、第1,2重合片11,12の折り曲げが可能となり、開口3を形成できる。
【0054】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2にかかる梱包ケース48を示す斜視図である。実施の形態2の梱包ケース48は、実施の形態1の箱体2に、吊り下げ板49を一体に設けたものである。吊り下げ板49は、底壁4の一方の短辺41から、箱体2の外側に延びる。
【0055】
図7は、実施の形態2の梱包ケース48を構成する段ボール板紙81の展開図である。段ボール板紙81の一方側には、吊り下げ板49を構成する第9,10フラップ50,51が設けられる。第9フラップ50は、第1フラップ21の端辺52に連設される。第10フラップ51は、第9フラップ50における一方側端部に、折目線53を介して連設される。第9,10フラップ50,51は、貫通孔50a,51bを有する。貫通孔50a,51bは、折目線53を中心として対称な位置に形成される。
【0056】
梱包ケース48を組み立てる際には、まず、図3(a)〜(e)と同様の手順により、箱体2を組み立てる。そして、この後、第10フラップ51を、折目線53に沿って180度折り曲げ、第9フラップ50に接着することで、吊り下げ板49を形成する。以上で、梱包ケース48の組み立てが完了する。なお、第9,10フラップ50,51の接着が行われた後では、貫通孔50a,51bは、前後に連なる。
【0057】
本実施の形態によれば、吊り下げ板49の貫通孔50a,51bに什器のピンを挿通することで、梱包ケース48を什器に吊り下げることができる。これにより、小さい面積のスペースでも、多くの長尺物を展示することができる。
【0058】
なお、吊り下げ板49を設ける位置は、底壁4の短辺41に限らない。例えば、吊り下げ板49は、第3,4側壁7,8の上端辺44,45や、底壁4の長辺40や、第1〜4側壁5〜8における中央高さ位置に設けられてもよい。
【0059】
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3にかかる梱包ケース54を示す斜視図である。梱包ケース54は、第1,2側壁5,6の内面に加えて、第1,2頂壁9,10の内面にも、重合片が接着された箱体70からなる。すなわち、箱体70では、第1側壁5の内面の第1辺(上端辺42c)に沿う範囲に、第3重合片56が接着される。また、第2側壁6の内面には、第2辺(上端辺43c)に沿う範囲に、第4重合片57が接着される。また、第1頂壁9の内面には、第3辺(上端辺46)に沿う範囲に、第5重合片58が接着される。また、第2頂壁10の内面には、第4辺(上端辺47)に沿う範囲に、第6重合片59が接着される。以上の第3〜6重合片56〜59の接着により、箱体70は、開口3の第1〜4辺に沿う範囲に、段ボール板紙が2層重ね合わされた状態にある。
【0060】
図9は、実施の形態3の梱包ケース54を構成する段ボール板紙82の展開図である。図9の段ボール板紙82は、図2の段ボール板紙80から、開口3を構成する範囲(折目線15b,16bの間の範囲)の形状を変更したものである。この範囲では、第3〜6重合片56〜59が、切断誘導線61〜63により区分される。
【0061】
切断誘導線61は、他方側に凸の略コの字状に屈曲して、幅方向に延び、折目線15a,15bの境界位置と折目線15a,15bの境界位置とを繋ぐ。この切断誘導線61により、第5重合片58と、第3,4重合片56,57を構成する部分とが、区分される。
【0062】
切断誘導線62は、一方側に凸の略コの字状に屈曲して、幅方向に延び、折目線15a,15bの境界位置と折目線15a,15bの境界位置とを繋ぐ。この切断誘導線62により、第6重合片59と、第3,4重合片56,57を構成する部分とが、区分される。
【0063】
切断誘導線63は、長手方向に延びて、切断誘導線61,62の中央位置を繋ぐ。この切断誘導線63により、第3重合片56と第4重合片57とは、区分される。
【0064】
そして、第3重合片56は、折目線15bを介して第1側壁5に連設され、第4重合片57は、折目線16bを介して第2側壁6に連設される。
【0065】
第5重合片58は、折目線91を介して第1頂壁9に連設される。折目線91は、折目線15a,15bの境界位置と、折目線16a,16bの境界位置とを結ぶ幅方向の直線上を延びて、両端が切断誘導線61の途中位置に連なる。
【0066】
第6重合片59は、折目線92を介して第10頂壁10に連設される。折目線92は、折目線15b,15cの境界位置と、折目線16b,16cの境界位置とを結ぶ幅方向の直線上を延びて、両端が切断誘導線62の途中位置に連なる。
【0067】
図10は、実施の形態3の梱包ケース54を組み立てる手順を示す平面図である。以下、図10を用いて、梱包ケース54を組み立てる手順について説明する。
【0068】
まず、第3〜6重合片56〜59を、切断誘導線61〜63に沿って切り離す(図10(a))。
【0069】
ついで、第3〜6重合片56〜59を、それぞれ折目線15b,16b,91,92に沿って180度折り曲げる(図10(a)〜(c))。この折り曲げにより、開口3が形成される。
【0070】
ついで、第3〜6重合片56〜59を、それぞれ、第1側壁5、第2側壁6、第1頂壁9、第2頂壁10に接着する(図10(c))。
【0071】
ついで、図3(c)→(d)と同様、第1側壁5・底壁4を折目線15に沿って折り曲げ、第2側壁6・糊代片13を折目線16に沿って折り曲げる(図10(c)→(d))。
【0072】
ついで、図3(d)→(e)と同様、第3,4側壁7,8を形成する(図10(d)→(e))。以上で梱包ケース54の組み立ては完了する。
【0073】
なお本実施の形態では、予め、段ボール板紙82の一方の表面に、凹み38(図5(a))が、折目線15b,16b,91,92に沿って形成される。開口3を形成する手順(図10(a)→(c))では、凹み38が形成された表面が外側(外面)になるように、第3〜6重合片56〜59が折り曲げられる。これにより、開口3の第1,2辺は、第1,2側壁5,6の面に垂直な断面が、略円弧状を呈し、開口3の第3,4辺は、第1,2頂壁9,10の面に垂直な断面が、略円弧状を呈するようになる。
【0074】
本実施の形態では、箱体70は、開口3の第1〜4辺に沿う範囲で、段ボール板紙が複数重ね合わされるため、より載荷重に対する強度が大きくなる。
【0075】
また、第3〜6重合片56〜59が、第1,2側壁5,6及び第1,2頂壁9,10に接着されることで、内容物を箱体2に梱包する際に、第3〜6重合片56〜59が邪魔にならない。このため、高い作業効率で、長尺物を梱包できる。
【0076】
また、開口3の第1〜4辺の断面が、角の無い滑らかな略円弧状を呈するため、開口3外縁のいずれの部位に触れても、手を切ることがない。
【0077】
本発明は、上述の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲において種々改変することができる。
【0078】
図11,12は、本発明の変形例を示す斜視図である。以下、図11,12を用いて、実施の形態1の変形例について説明する。なお、下記変更内容は、実施の形態2,3にも同様に適用可能である。
【0079】
例えば、第1,2重合片11,12は、箱体2と別個に設けられてもよい((図11(a))。この場合、箱体2の組み立て後において、第1,2重合片11,12を構成する段ボール板紙が、第1,2側壁5,6に接着される。
【0080】
また、第1,2重合片11,12を構成する段ボール板紙の枚数、すなわち第1,2側壁5,6に接着する段ボール板紙の枚数は、複数であってもよい。
【0081】
また、第1,2重合片11,12は、底壁4に接する位置まで、下方へ延びていてもよい(図11(b))。また、第1,2重合片11,12は、開口3の縁に沿う範囲だけでなく、この外側範囲にも設けられてもよい(図11(c))。このようにすることで、箱体2の強度は、より一層大きくなる。
【0082】
また、開口3は、箱体2の側面と頂面とに跨るように形成されてもよい(図12(a))。このようにすることで、長尺物が視認できる範囲は、より一層大きくなる。
【0083】
また、箱体2は、第3,4側壁7,8が省略されて、一方側・他方側の端部が開口するものであってもよい(図12(b))。このようにすることで、長尺物の出し入れが容易になる。
【0084】
また、本発明は、長尺物を梱包するケースだけではなく、食品や化粧品等などを梱包するケースとしても適用できる。この場合、箱体2は、例えば、底壁4が正方形を呈する立方体形状に形成される(図12(c))。
【0085】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0086】
(付記1)
段ボール板紙から形成される、底壁と、該底壁に対向する頂壁と、前記底壁の周縁から前記頂壁の周縁に達する側壁とを備え、
前記側壁のうち相対向する一対の側壁の端、及び前記頂壁の端を外縁とする開口が形成され、
前記一対の側壁は、前記開口の外縁に沿う範囲において、前記段ボール板紙が複数重ね合わされる、
ことを特徴とする梱包ケース。
【0087】
(付記2)
前記底壁は、長方形を呈し、
前記一対の側壁は、前記底壁の長辺から立設される第1,2側壁であることを特徴とする付記1に記載の梱包ケース。
【0088】
(付記3)
前記頂壁は、前記第1,2側壁の上端辺における一方側部分に連設されて、前記底壁の一方側範囲と相対向する第1頂壁と、前記第1,2側壁の上端辺における他方側部分に連設されて、前記底壁の他方側範囲と相対向する第2頂壁と、から構成され、
前記開口の外縁は、前記第1側壁の上端辺における前記一方側部分と前記他方側部分との間の中間部分により構成される第1辺と、前記第2側壁の上端辺における前記一方側部分と前記他方側部分との間の中間部分により構成される第2辺と、前記第1,2側壁の上端辺における中間部分の一方端同士の間を延びる前記第1頂壁の端辺より構成される第3辺と、前記第1,2側壁の上端辺における中間部分の他方端同士の間を延びる前記第2頂壁の端辺により構成される第4辺と、から構成され、
前記第1,2側壁は、それぞれ前記第1,2辺に沿う範囲において、前記段ボール板紙が複数重ね合わされることを特徴とする付記2に記載の梱包ケース。
【0089】
(付記4)
前記第1,2側壁における前記上端辺の中間部分には、それぞれ第1,2重合片が連設され、
前記第1重合片が、前記第1側壁における前記上端辺の中間部分を折目として折り曲げられ、且つ、前記第2重合片が、前記第2側壁における前記上端辺の中間部分を折目として折り曲げられることで、前記開口が形成され、
前記折り曲げられた第1,2重合片が、それぞれ前記第1,2側壁に接着されることで、前記第1,2側壁は、前記第1,2辺に沿う範囲において、前記段ボール板紙が2層重ね合わされることを特徴とする付記3に記載の梱包ケース。
【0090】
(付記5)
前記一対の側壁に構成される前記開口の外縁は、前記一対の側壁の面に垂直な断面が略円弧状を呈することを特徴とする付記1乃至4のいずれか1つに記載の梱包ケース。
【0091】
(付記6)
段ボール板紙から構成されて、前記箱体と一体に設けられて、前記箱体の外側に延びる吊り下げ板をさらに有することを特徴とする付記1乃至5のいずれか1つに記載の梱包ケース。
【0092】
(付記7)
前記頂壁は、前記開口の外縁に沿う範囲において、前記段ボール板紙が複数重ね合わされることを特徴とする付記1乃至6のいずれか1つに記載の梱包ケース。
【符号の説明】
【0093】
1,48,54 梱包ケース
2,70 箱体
3 開口
4 底壁
5 第1側壁
6 第2側壁
7 第3側壁
8 第4側壁
9 第1頂壁
10 第2頂壁
11 第1重合片
12 第2重合片
13 糊代片
14,15,15a,15b,15c,16,16a,16b,16c,17,25,
26,27,28,29,34,35,36,37,53,91,92 折目線
18,19,20,61,62,63 切断誘導線
21 第1フラップ
22 第2フラップ
23 第3フラップ
24 第4フラップ
30 第5フラップ
31 第6フラップ
32 第7フラップ
33 第8フラップ
30a,31a,32a,33a 切欠
38 差込片
39 押付具
40 底壁の長辺
41 底壁の短辺
42,43,44,45 側壁の上端辺
42a,43a 上端辺の一方側部分
42b,43b 上端辺の他方側部分
42c,43c 上端辺の中間部分
46,47 頂壁の端辺
49 吊り下げ板
50 第9フラップ
50a,51a 貫通孔
51 第10フラップ
52 端辺
56 第3重合片
57 第4重合片
58 第5重合片
59 第6重合片
60 周壁
80,81,82 段ボール板紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボール板紙から形成される、底壁と、該底壁に対向する頂壁と、前記底壁の周縁から前記頂壁の周縁に達する側壁とを備え、
前記側壁のうち相対向する一対の側壁の端、及び前記頂壁の端を外縁とする開口が形成され、
前記一対の側壁は、前記開口の外縁に沿う範囲において、前記段ボール板紙が複数重ね合わされる、
ことを特徴とする梱包ケース。
【請求項2】
前記底壁は、長方形を呈し、
前記一対の側壁は、前記底壁の長辺から立設される第1,2側壁であることを特徴とする請求項1に記載の梱包ケース。
【請求項3】
前記頂壁は、前記第1,2側壁の上端辺における一方側部分に連設されて、前記底壁の一方側範囲と相対向する第1頂壁と、前記第1,2側壁の上端辺における他方側部分に連設されて、前記底壁の他方側範囲と相対向する第2頂壁と、から構成され、
前記開口の外縁は、前記第1側壁の上端辺における前記一方側部分と前記他方側部分との間の中間部分により構成される第1辺と、前記第2側壁の上端辺における前記一方側部分と前記他方側部分との間の中間部分により構成される第2辺と、前記第1,2側壁の上端辺における中間部分の一方端同士の間を延びる前記第1頂壁の端辺より構成される第3辺と、前記第1,2側壁の上端辺における中間部分の他方端同士の間を延びる前記第2頂壁の端辺により構成される第4辺と、から構成され、
前記第1,2側壁は、それぞれ前記第1,2辺に沿う範囲において、前記段ボール板紙が複数重ね合わされることを特徴とする請求項2に記載の梱包ケース。
【請求項4】
前記第1,2側壁における前記上端辺の中間部分には、それぞれ第1,2重合片が連設され、
前記第1重合片が、前記第1側壁における前記上端辺の中間部分を折目として折り曲げられ、且つ、前記第2重合片が、前記第2側壁における前記上端辺の中間部分を折目として折り曲げられることで、前記開口が形成され、
前記折り曲げられた第1,2重合片が、それぞれ前記第1,2側壁に接着されることで、前記第1,2側壁は、前記第1,2辺に沿う範囲において、前記段ボール板紙が2層重ね合わされることを特徴とする請求項3に記載の梱包ケース。
【請求項5】
前記一対の側壁に構成される前記開口の外縁は、前記一対の側壁の面に垂直な断面が略円弧状を呈することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の梱包ケース。
【請求項6】
段ボール板紙から構成されて、前記箱体と一体に設けられて、前記箱体の外側に延びる吊り下げ板をさらに有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の梱包ケース。
【請求項7】
前記頂壁は、前記開口の外縁に沿う範囲において、前記段ボール板紙が複数重ね合わされることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の梱包ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−251738(P2011−251738A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126662(P2010−126662)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】