説明

梱包容器

【課題】被梱包体の取出作業の作業性を向上させること。
【解決手段】内部に被梱包体(4)が収容可能な収容空間(3)が形成された外装容器(2)と、被梱包体(4)を収容可能な袋部(7)と、利用者が把持可能な取手部(9)と、を有し、被梱包体(4)を収容した状態で外装容器(2)内に収容される収容袋(6)と、被梱包体(4)と収容空間(3)の通過口(3a)との間に配置され、且つ、収容空間(3)に収容された内梱体(13)と、を備え、取手部(9)の少なくとも一部が内梱体(13)よりも通過口(3a)側に配置され、内梱体(13)が外装容器(2)から取り外される場合に、取手部(9)が、内梱体(13)と共に通過口(3a)側に移動する梱包容器(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包容器に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等の画像形成装置やパーソナルコンピュータ等の情報処理装置のような精密機器を、梱包する技術に関して、以下の特許文献1記載の技術が従来公知である。
【0003】
特許文献1としての特開2009−35269号公報には、画像記録装置(1)を、袋状の保護シート(7)で被覆してから、梱包用緩衝体(3,4)で両側から挟み込み、梱包箱(2)に収容する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−35269号公報(「0024」、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、被梱包体の取出作業の作業性を向上させることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するために、請求項1記載の発明の梱包容器は、
内部に被梱包体が収容可能な収容空間が形成され、前記被梱包体が通過可能な通過口を有する箱状の外装容器と、
前記被梱包体を収容可能な袋部と、前記袋部に形成され且つ前記被梱包体が通過可能な開口部と、利用者が把持可能な取手部と、を有し、前記被梱包体を収容した状態で前記外装容器内に収容される収容袋と、
前記被梱包体と前記通過口との間に配置され、且つ、前記収容空間に収容された内梱体と、
を備え、
前記取手部の少なくとも一部が前記内梱体よりも通過口側に配置され、前記内梱体が外装容器から取り外される場合に、前記取手部が、前記内梱体と共に前記通過口側に移動する、
ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の梱包容器において、
前記取手部が前記被梱包体側から前記通過口側に通過可能な開口部と、前記開口部を通過した前記取手部を前記被梱包体側から支持する支持部と、を有する前記内梱体、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の梱包容器において、
前記取手部が前記内梱体と前記外装容器との隙間を通じて、前記内梱体よりも前記通過口側に配置された、
ことを特徴とする。
【0009】
前記技術的課題を解決するために、請求項4に記載の発明の梱包容器は、
内部に被梱包体が収容可能な収容空間が形成され、前記被梱包体が通過可能な通過口を有する箱状の外装容器と、
前記被梱包体を収容可能な袋部と、前記袋部に形成され且つ前記被梱包体が通過可能な開口部と、利用者が把持可能な取手部と、を有し、前記被梱包体を収容した状態で前記外装容器内に収容される収容袋と、
前記被梱包体と前記通過口との間に配置され、且つ、前記収容空間に収容された内梱体と、
を備え、
前記取手部は、前記内梱体に着脱可能に支持され、前記内梱体が前記外装容器から取り出される場合に、前記内梱体の移動に伴って前記通過口側に移動すると共に、前記内梱体が前記外装容器から取り出された場合に前記内梱体から脱落する、
ことを特徴とする。
【0010】
前記技術的課題を解決するために、請求項5に記載の発明の梱包容器は、
内部に被梱包体が収容可能な収容空間が形成され、前記被梱包体が通過可能な通過口を有する箱状の外装容器と、
前記被梱包体を収容可能な袋部と、前記袋部に形成され且つ前記被梱包体が通過可能な開口部と、利用者が把持可能な取手部と、を有し、前記被梱包体を収容した状態で前記外装容器内に収容される収容袋と、
を備え、
前記取手部は、前記通過口を閉塞する前記外装容器の閉塞部に着脱可能に支持され、前記前記閉塞部が開放される場合に、前記閉塞部の移動に伴って前記通過口側に移動すると共に、前記通過口が開放される開放位置に前記閉塞部が移動した場合に前記閉塞部から脱落する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1、4、5記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、被梱包体の取出作業の作業性を向上させることができる。
請求項2、3に記載の発明によれば、内梱体が取り外される場合に、支持部が取手部を通過口側に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施例1の梱包容器の全体説明図であり、各部材が外装容器から取り出された状態の説明図である。
【図2】図2は、実施例1の梱包容器の説明図であり、図2Aは梱包された状態から外装容器の上部が開かれた状態の平面図、図2Bは梱包された状態における要部断面図である。
【図3】図3は、実施例1の梱包容器の説明図であり、梱包された状態から、上側の緩衝材と被梱包体とが外装容器から取り出された状態の説明図である。
【図4】図4は、実施例1の被梱包体が外装容器から取り出され且つ収容袋から取り出される前の状態の説明図である。
【図5】図5は、実施例1の作用説明図であり、図5Aは内梱体の取出が開始された状態の説明図、図5Bは内梱体を取り出す途中の説明図、図5Cは内梱体の取出が完了した状態の説明図である。
【図6】図6は従来の梱包容器から被梱包体を取り出す状態の説明図である。
【図7】図7は実施例2の梱包容器の説明図であり、実施例1の図2Aに対応する平面図である。
【図8】図8は実施例3の梱包容器の説明図であり、図8Aは実施例1の図2Aに対応する平面図、図8Bは実施例1の図2Bに対応する要部断面図である。
【図9】図9は実施例4の梱包容器の説明図であり、図9Aは実施例1の図2Bに対応する要部断面図、図9Bは実施例1の図5Aに対応する内梱体の取出が開始された状態の説明図、図9Cは実施例1の図5Cに対応する内梱体の取出が完了した状態の説明図である。
【図10】図10は実施例5の梱包容器の説明図であり、図10Aは実施例1の図2Bに対応する要部断面図、図10Bは実施例1の図5Aに対応する蓋部の開放が開始された状態の説明図、図10Cは実施例1の図5Cに対応する蓋部の開放が完了した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例1の梱包容器の全体説明図であり、各部材が外装容器から取り出された状態の説明図である。
図2は、実施例1の梱包容器の説明図であり、図2Aは梱包された状態から外装容器の上部が開かれた状態の平面図、図2Bは梱包された状態における要部断面図である。
図1、図2において、実施例1の梱包容器1は、外装容器の一例としての直方体状の外装箱2を有する。実施例1の外装箱2は、段ボールにより構成されているが、段ボールに限定されず、樹脂容器等、従来公知の任意の容器を採用可能である。前記外装箱2は、底部2aと、前後左右の側部2bと、各側部2bの上端に一体的に形成された蓋部2cとを有し、閉塞部の一例としての蓋部2cが閉じられた状態で、底部2a、側部2bおよび蓋部2cにより囲まれる空間により収容空間3が構成される。したがって、図2に示すように、蓋部2cが開放されると収容空間3の上部に、通過口3aが形成される。
【0015】
前記外装箱2の内部の収容空間3には、被梱包体の一例であって、画像形成装置の一例としてのプリンタ4が収容される。前記プリンタ4は、装置本体4aと、画像が記録される媒体が収容される収容部の一例として、装置本体4aの下部に着脱可能に支持された給紙トレイ4bと、画像が記録された媒体が排出される排出部の一例として、装置本体4aの上面に形成された排出トレイ4cと、を有する。
図2Aにおいて、実施例1のプリンタ4は、左右方向の長さLaの方が、前後方向の長さLbよりも長く構成されている。すなわち、プリンタ4や収容される外装箱2も、左右方向が長手方向、前後方向が短手方向となっている。
【0016】
図3は、実施例1の梱包容器の説明図であり、梱包された状態から、上側の緩衝材と被梱包体とが外装容器から取り出された状態の説明図である。
図4は、実施例1の被梱包体が外装容器から取り出され且つ収容袋から取り出される前の状態の説明図である。
図1〜図4において、前記プリンタ4は、収容袋の一例としてのポリ袋6に収容された状態で外装箱2の内部に収容されている。実施例1のポリ袋6は、プリンタ4が収容される袋部7と、プリンタ4が袋部7から出し入れされる際に通過可能な開口部8と、取手部9と、を有する。
なお、実施例1のポリ袋6は、ポリエチレンにより構成されているが、これに限定されず従来公知の樹脂材料により構成可能である。また、ポリ袋6は、0.02〜0.1mm程度、特に、5kg程度のプリンタ4の場合、0.04〜0.06mm程度の厚さのポリエチレンを使用することが好ましいが、プリンタ4を内部に収容した状態で取手部9を持っても破断しない程度の強度を有するように、任意の樹脂材料や厚さとすることが可能である。
【0017】
また、実施例1のポリ袋6では、取手部9は、帯の両端が前記開口部8の縁の前後に離れた2つの位置で、袋部7に接続された環状の構成を2つ有する。したがって、取手部9は、いわゆるループ状の形状となっており、内側に利用者が指や腕を通すことが可能な空間9aが形成される。なお、実施例1の取手部9は、取手部9どうしの間隔である左右方向の間隔が、取手部9と袋部7との接続部9bどうしの間隔である前後方向の間隔よりも長く設定されている。すなわち、実施例1の取手部9は、長手方向の両側に一対設けられている。
なお、実施例1の取手部9は、製作費用の低減のため、袋部7に一体形成されているが、別体構成の帯状の取手部を袋部7に接着剤や接着テープ等で接続する構成とすることも可能である。
【0018】
さらに、実施例1の取手部9は、図3、図4に示すように、プリンタ4が収容されたポリ袋6が外装箱2内に収容され、且つ、取手部9を通過口3aを通過する方向である上方に延ばした場合に、プリンタ4の通過口3a側の面である上面よりも通過口3a側に突出する長さに形成されている。
また、実施例1の取手部9は、プリンタ4が収容されたポリ袋6が外装箱2内に収容され、且つ、取手部9を通過口3aに沿った方向である水平方向に延ばした場合に、プリンタ4の通過口3aに沿った長さである幅Laの半分以上の長さL1に形成されている。すなわち、取手部9の長さL1が、プリンタ4の長手方向の幅Laの半分以上の長さに設定されており、L1≧La/2に設定されている。ここで、実施例1の取手部9は、図2Bに示すように、外装箱2の通過口3aが閉じられた場合に、通過口3aに沿った方向である水平方向に延びた状態で収容されており、図2Aに示すように、L1≧La/2に設定された左右の取手部9は、水平方向に沿って延びた状態では、取手部9どうしの先端部分が上下に重なった状態で畳まれる。
【0019】
さらに、実施例1の取手部9では、取手部9と袋部7との接続部分9bの位置は、図4に示すように、プリンタ4が収容されたポリ袋6が外装箱2内に収容され、且つ、取手部9を上方に延ばした場合に、プリンタ4の通過口3aの面よりも通過口3a側である上側に配置されている。すなわち、実施例1では、ポリ袋6にプリンタ4が収容された状態では、プリンタ4の上面の角4dが外部に露出せず、ポリ袋6に覆われた状態となるように、ポリ袋6の大きさが設定されている。したがって、実施例1のポリ袋6では、図2Bに示すように、外装箱2が閉じられた状態では、接続部分9bは、プリンタ4の外端の角4dよりも内側に配置される。
【0020】
図2B、図3、図4において、実施例1のポリ袋6では、取手部9が通過口3aに沿った方向である水平方向に延びた状態において、袋部7のだぶついた部分7aが、接続部分9bよりも、袋部7のプリンタ4の外面に沿った部分7bよりも、外側に配置されている。したがって、取手部9を片手でつかんだ状態のように、前記複数の取手部9がまとめて把持された場合に、袋部7のだぶついた部分7aが、図3に示すように、取手部9の延長上且つプリンタ4の外表面に沿って帯状に配置されるように畳まれている。
【0021】
図1、図2において、実施例1の梱包容器1では、外装箱2には、ポリ袋6に収容されたプリンタ4が収容される場合に、外力を緩衝するための緩衝部材の一例としてのクッション材11を介して収容されている。実施例1のクッション材11は、外装箱2の底部の四つ角に配置された4つの下クッション12と、内梱体の一例として、プリンタ4の上部に装着された上クッション13と、を有する。
図1、図2において、上クッション13は、通過口3aの外周に沿って枠状に形成された枠部13aと、枠部13aの下面の四つ角に形成され且つ下クッション12と上下対称の形状の緩衝本体部13bと、を有する。前記枠部13aの左右方向の中央部には、支持部の一例として、前後方向に延びるブリッジ部13cが形成されており、ブリッジ部13cと枠部13aとの間には、上下方向に貫通する左右一対の開口部13dが形成されている。
【0022】
図2において、実施例1の梱包容器1では、蓋部2cが閉じられた状態では、左右の取手部9は、上クッション13の左右の開口部13dを上方に通過してブリッジ部13cに下面が支持された状態で支持されている。
図2において、実施例1のクッション材11は、外装箱2の内面とプリンタ4の外面との隙間S1が20mmとなるように、厚さ、大きさが設定されている。なお、隙間S1の大きさは、20mmに限定されず、従来の梱包容器1で採用されていた大きさである40mmよりも小さい30mm以下であることが好ましく、クッション材11の加工精度等に応じて、10mm以下とすることも可能である。
なお、実施例1のクッション材11は、発泡スチロールや段ボール等、従来公知の任意の材料により作製可能である。
【0023】
(実施例1の作用)
図5は、実施例1の作用説明図であり、図5Aは内梱体の取出が開始された状態の説明図、図5Bは内梱体を取り出す途中の説明図、図5Cは内梱体の取出が完了した状態の説明図である。
前記構成を備えた実施例1の梱包容器1では、プリンタ4が取り出される場合、先ず、外装箱2の蓋部2cが開放され、図2Aに示す状態となる。そして、プリンタ4よりも通過口3a側に配置されている上クッション13が、プリンタ4よりも先に取り出される。このとき、図5Aに示すように、上クッション13の取出が開始されると、上クッション13のブリッジ部13cに支持された取手部9が、上クッション13の移動に伴って、ブリッジ部13cに持ち上げられる。そして、図5Bに示す状態を経て、図5Cに示すように、上クッション13の取出が完了すると、持ち上げられた取手部9どうしが、互いにもたれ合った状態となる。そして、2つの取手部9を作業者が把持して持ち上げると、ポリ袋6と共にプリンタ4が外装箱2から取り出される。そして、取手部9を持ってプリンタ4を、設置場所まで移動させた後、図4に示すように、ポリ袋6の開口部8からプリンタ4を取り出すと、プリンタ4が設置される。
【0024】
図6は従来の梱包容器から被梱包体を取り出す状態の説明図である。
図6において、特許文献1に示すような従来の構成では、外装箱01から、取手が設けられていない収納袋02に収納された被梱包体03を取り出す場合に、外装箱01と被梱包体03との間に手04を差し込んで取り出す必要があった。したがって、従来技術では、外装箱01と被梱包体03との隙間が狭すぎると、手04を差し入れることができず、被梱包体03が取り出せなくなったり、無理矢理出そうとすると、被梱包体03を落下させて破損させる等の事故が発生したりする問題があった。よって、外装箱01と被梱包体03との間の隙間は、人の手の厚さを考慮して、一般的には約40mm以上に設定され、手04を差し入れられるように構成されていた。したがって、図6に示すように、両側から手04を差し入れられるように、外装箱01の外形は、被梱包体03に対して、40mm×2=80mm程度大きく構成されており、外装箱01が大型化する問題があった。
【0025】
これに対して、実施例1では、プリンタ4に埃等が侵入しないよう外表面を覆うポリ袋6に取手部9が設けられており、従来技術のように手を差し込まなくても、取手部9を掴んで、持ち上げるだけで、プリンタ4を取り出すことが可能になっている。したがって、外装箱2とプリンタ4との隙間S1は、従来に比べて狭くすることが可能となっており、従来に比べて外装箱2の小型化が可能になっている。よって、外装箱2の小型化に伴って、倉庫に収容可能な数量を増大させることが可能となり、保管に必要な面積が低減され、保管に必要な費用も抑制される。また、外装箱2の小型化に伴って、外装箱2の材料費が低減されると共に、プリンタ4の設置後にゴミとなる外装箱2も省容量化され、ゴミの減量にも繋がる。
【0026】
また、プリンタ4のように、ある程度の大きさと重量がある被梱包体では、外装箱2から取り出す場合に、従来技術のように、両手で持ち上げる必要があり、作業時に両手が塞がる問題がある。したがって、プリンタ4と外装箱2との間の静電気や摩擦で取り出す際の抵抗が大きい場合、両手が塞がった状態では、一人では外装箱2を押さえることが困難であり、二人以上の作業者が必要であったりして、作業性が悪い問題があった。また、かがんだ状態で両手で持ち上げると、腰を痛める恐れもある。
これに対して、実施例1では、2つの取手部9を片手で掴むことが可能であり、別の片手で外装箱2を押さえながら、取手部9を掴んだ片手でプリンタ4を取り出すことが可能であり、作業性が向上する。
【0027】
また、実施例1では、上クッション13が取り外されると、取手部9が連動して持ち上げられており、取手部9が持ち上げられない場合に比べて、取手部9の空間9aに指を入れやすく、掴みやすい。特に、実施例1では、L1≧La/2に設定されており、持ち上げられた取手部9どうしの先端が接触して、互いにもたれ合った状態となりやすくなっている。したがって、取手部9がL1<La/2に設定されている場合に比べて、もたれ合った状態となりやすく、取手部9を掴みやすくなっている。
なお、取手部9の先端どうしが滑って取手部9どうしがもたれ合った状態とならなくても、一度取手部9が持ち上げられると、持ち上げられない場合に比べて、取手部9はプリンタ部4の上面から離れた状態、すなわち、浮いた状態となりやすい。したがって、取手部9が持ち上げられない場合に比べて、浮いた状態の2つの取手部9を持ち上げやすくなっており、2つの取手部9を片手で掴みやすくなっている。
【0028】
さらに、実施例1では、上クッション13が取り外される際に、取手部9が持ち上げられており、持ち上げられる取手部9を作業者が視認しやすく、ポリ袋6に取手部9が設けられていることに気づきやすくなっている。したがって、取手部9が持ち上げられない場合では、取手部9に気づかずに、作業を行ってしまう恐れもあるが、実施例1では、取手部9に気づきやすくなっており、作業者が取手部9を使用しやすく、プリンタ4の作業性が向上しやすくなっている。
【0029】
また、図3、図4に示すように、実施例1では、ポリ袋6は、プリンタ4を収容しても余裕のある大きさに形成されており、取手部9が掴まれて持ち上げられた場合に、袋部7のだぶついた部分7aが発生する。そして、袋部7のだぶついた部分7aが、プリンタ4の外面に沿った部分7bの外側に重なるように配置されており、取手部9を掴んで持ち上げる際に力が掛かる部分が、だぶついた部分7aと外面に沿った部分7bの二重になっており、強度が向上している。したがって、取手部9bを掴んで持ち上げる際に、ポリ袋6が破断しにくく、作業時にポリ袋6が破れて、プリンタ4が落下して破損する等の不測の事故の発生が低減されている。
特に、実施例1では、図2Bに示すように、プリンタ4が外装箱2内に収容された状態で、だぶついた部分7aが、外面に沿った部分7bの外側に沿って帯状に配置された状態となっており、取手部9をそのまま持ち上げると、だぶついた部分7aと外面に沿った部分7bとが二重になった帯状部分が自然に形成されやすくなっている。
【0030】
また、実施例1では、2つの取手部9が、長手方向に離れた位置に配置されており、短手方向の両側に配置される場合に比べて、だぶついた部分7aの帯が形成されやすく、帯も大きくなりやすくなっている。したがって、短手方向の両側に配置される場合に比べて、ポリ袋6が破断しにくくなっている。
さらに、実施例1では、取手部9と袋部7との接続部分9bが、プリンタ4の角4aよりも上方に配置されており、プリンタ4の角4aが外部に露出しない状態でポリ袋6に収容されている。したがって、プリンタ4の角4aが露出している場合に比べて、プリンタ4が袋部7から脱落、落下し難くなっている。
【実施例2】
【0031】
次に、本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
【0032】
図7は実施例2の梱包容器の説明図であり、実施例1の図2Aに対応する平面図である。
図7において、実施例2の梱包容器1では、2つの取手部9が、重なり合わないように、互いに前後にずれた状態で収容されている。
【0033】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の梱包容器1でも、実施例1と同様に、上クッション13が取り外される際に、取手部9が持ち上げられ、取手部9の存在に気づきやすい。そして、取手部9がもたれ合った状態となると、もたれ合わない状態に比べて、掴みやすく、作業性が向上する。また、取手部9がもたれ合わなくても、プリンタ4の上面に対して浮いた状態となりやすく、浮いた状態とならない場合に比べて、取手部9を持ち上げやすくなっており、作業性が向上する。
【実施例3】
【0034】
次に、本発明の実施例3の説明をするが、この実施例3の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例3は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
【0035】
図8は実施例3の梱包容器の説明図であり、図8Aは実施例1の図2Aに対応する平面図、図8Bは実施例1の図2Bに対応する要部断面図である。
図8において、実施例3の梱包容器1では、ポリ袋6の取手部9は、上クッション13の緩衝本体部13bの外面と外装箱2の側部2bの内面との間の隙間を通じて、上クッション13よりも上側に配置されている。すなわち、上クッション13の外側を回り込むようにして取手部9が上側に支持されている。なお、実施例3の上クッション13では、ブリッジ部13cが省略されている。
【0036】
(実施例3の作用)
前記構成を備えた実施例3の梱包容器1でも、実施例1と同様に、上クッション13が取り外される際に、取手部9が持ち上げられ、取手部9の存在に気づきやすい。そして、実施例3の梱包容器1でも、取手部9が持ち上げられない場合に比べて、取手部9が浮いた状態となりやすく、取手部9を持ち上げやすくなっており、作業性が向上する。
【実施例4】
【0037】
次に、本発明の実施例4の説明をするが、この実施例4の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例4は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
【0038】
図9は実施例4の梱包容器の説明図であり、図9Aは実施例1の図2Bに対応する要部断面図、図9Bは実施例1の図5Aに対応する内梱体の取出が開始された状態の説明図、図9Cは実施例1の図5Cに対応する内梱体の取出が完了した状態の説明図である。
図9において、実施例4の梱包容器1では、ポリ袋6の取手部9は、上クッション13のブリッジ部13c′の下面に接着剤21を介して、取手部9の先端が支持されている。なお、接着剤21は、上クッション13を取り外す際に、上クッション13を持ち上げて、取手部9が張った状態になると、接着剤21が剥がれて、取手部9が脱落する程度の接着力となるように、接着剤の材料及び接着剤の量が設定されている。すなわち、実施例1の取手部9は、上クッション13に対して、取手部9に作用する張力で取手部9が離脱可能な程度の接着力の接着剤21を介して、着脱可能に支持されている。
【0039】
(実施例4の作用)
前記構成を備えた実施例4の梱包容器1でも、実施例1と同様に、上クッション13が取り外される際に、上クッション13の移動に伴って、図9B、図9Cに示すように、取手部9が持ち上げられ、取手部9の存在に気づきやすい。そして、上クッション13が持ち上げられて、取手部9が張った状態になると、接着剤21が剥がれ、取手部9の先端が脱落する。そして、図5Cに示す状態と同様に、取手部9どうしがもたれ合った状態になりやすくなっている。したがって、実施例4でも、実施例1と同様に、取手部9を掴みやすく、作業性が向上している。
【実施例5】
【0040】
次に、本発明の実施例5の説明をするが、この実施例5の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例5は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
【0041】
図10は実施例5の梱包容器の説明図であり、図10Aは実施例1の図2Bに対応する要部断面図、図10Bは実施例1の図5Aに対応する蓋部の開放が開始された状態の説明図、図10Cは実施例1の図5Cに対応する蓋部の開放が完了した状態の説明図である。
図10において、実施例5の梱包容器1では、ポリ袋6の外側にクッション材11が装着された実施例1と異なり、クッション材11が、ポリ袋6の内部に収容されている。そして、ポリ袋6の取手部9は、外側の蓋部2cの内面に接着剤21を介して、実施例4と同様に、着脱可能に支持されている。なお、接着剤21で貼り付けられる位置については、前後方向の中央部が蓋部2cどうしの接続部分となっており、接着剤21を配置しにくいため、実施例5では、前後方向の中央部の近傍で、中央からずれた位置に接着剤21を配置して貼り付けられている。
【0042】
(実施例5の作用)
前記構成を備えた実施例5の梱包容器1では、蓋部2cが開放される際に、蓋部2cの移動に伴って、取手部9が持ち上げられて上方に移動し、図10Cに示すように蓋部2cが開放位置に移動すると、取手部9が蓋部2cから脱落する。したがって、実施例5でも、実施例1等と同様に、取手部9の存在が気づかれやすいと共に、取手部9が掴みやすく、作業性が向上している。
【0043】
また、実施例5の梱包容器1では、クッション材11がポリ袋6内に収容されており、ポリ袋6の取手部9を掴んで持ち上げると、クッション材11もプリンタ4と共に取り出される。したがって、外装箱2から取り出した後、プリンタ4の設置場所まで取手部9を掴んで移動させたり、床等に置く場合に、机に接触させたり、手が滑ったり、手荒に扱ったり等して衝撃が発生しても、クッション材11が緩衝し、プリンタ4が破損等することが低減される。なお、実施例5では、外装箱2の内面に、ポリ袋6が接触しており、クッション材11が接触する場合に比べて、摩擦抵抗が小さくなることが期待できる。すなわち、ポリ袋6を取り出す作業が容易になることが期待できる。
【0044】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H014)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、被梱包体として、画像形成装置の一例としてのプリンタを例示したが、これに限定されず、複写機、FAX等の画像形成装置や、トナーカートリッジ等の交換部品、あるいは、パーソナルコンピュータや液晶ディスプレイ等の電子機器等の任意の商品にも適用可能である。
【0045】
(H02)前記実施例において、取手部9の数は2つとする構成が取り扱いがわかりやすく好ましいが、これに限定されず、3つ以上とすることも可能である。例えば、被梱包体の形状が大きなものは、前後左右の4箇所に設けたり、被梱包体が三角形状や5角形状等の多角形状である場合は、3つや5つ以上とすることも可能である。なお、このとき、3つ以上の取手部9の全てを片手で掴むことが可能なように、取手部9の長さを設定することも可能であるが、両手でそれぞれ掴むことができるような長さや、それぞれの手で掴む取手部9の個数が異なるような長さ設定とすることも可能である。
(H03)前記実施例において、取手部9の長さL1は、L1≧La/2であることが好ましいが、これに限定されず、L1<La/2とすることも可能である。
【0046】
(H04)前記実施例において、取手部9と袋部7との接続部分9bの位置は、プリンタ4の角部4aよりも上方に配置される構成とすることが好ましいが、これに限定されず、角部よりも下方に配置することも可能である。
(H05)前記実施例において、だぶついた部分7aを利用して、ポリ袋6の強度を向上させる構成とすることが望ましいが、これに限定されず、例えば、ポリ袋6の強度が十分である場合には、だぶついた部分7aが、外面に沿った部分7bと重ならないように配置することも可能である。
【0047】
(H06)前記実施例において、取手部9を長手方向の両側に配置することが望ましいが、これに限定されず、短手方向の両側に配置する構成とすることも可能である。
(H07)前記実施例3において、クッション材11の両方をポリ袋6内に収容する構成を例示したが、これに限定されず、例えば、下クッション12のみをポリ袋6内に収容し、上クッション13は、実施例1、2と同様に、ポリ袋6の外に装着する構成とすることも可能である。
(H08)前記実施例において、クッション材11の構成は、実施例に例示した形状に限定されず、被梱包体の外形に応じて、任意の形状のものを任意の個数採用可能である。また、上クッション13は、枠部13aを有する一体の構成を例示したが、これに限定されず、下クッション12と同様の構成としたり、右側の2つが接続された右側上クッションと、左側の2つが接続された左側上クッションとからなる構成とする等、任意の変更が可能である。
【0048】
(H09)前記実施例において、支持部の一例としてのブリッジ部13cの形状や位置、数は、実施例に例示した形状や位置に限定されず、取手部9を支持可能な形状であれば、例えば、突起状や棒状、かぎ爪状等、任意の形態としたり、ブリッジ部13の数を2以上としたり、位置も左右方向や前後方向の位置を変更することも可能である。
(H010)前記実施例において、内梱体の一例として、上クッションを例示したが、これに限定されず、例えば、取扱説明書や接続ケーブル等の添付物が収容された箱等の内梱体等を利用することも可能である。
【0049】
(H011)前記実施例4,5において、取手部9を上クッション13や蓋部2cに着脱可能に支持する構成として、接着剤を利用したが、これに限定されず、着脱可能に支持可能な任意の構成を採用可能であり、例えば、両面テープを使用したり、爪状、フック状の部材を配置して取手部9を引っ掛けておき、上クッション13等が移動すると、引っ掛かりが外れる構成を採用することも可能である。
(H012)前記実施例5において、閉塞部の一例としての外側の蓋部2cに取手部9を支持する構成を例示したが、これに限定されず、内側の蓋部2cに支持する構成とすることも可能である。また、実施例1〜3と実施例4,5を組み合わせて、実施例1〜3の形態において、接着剤等を使用して、着脱可能に支持する構成とすることも可能である。
【0050】
(H013)前記実施例4,5において、取手部9がもたれ合いやすくするために、取手部9を上クッション13等に接着し、且つ、取手部9の先端どうしを接着剤で接着しておくことも可能である。他にも、実施例1、2において、取手部9どうしを接着剤で接着しておき、上クッション13が持ち上がる際には、接着された状態で取手部9が持ち上がり、上クッション13を更に持ち上げることで、ブリッジ部13cが接着を切断して、その後に、もたれ合いやすくすることも可能である。
(H014)前記実施例5において、上クッション13や下クッション12は、ポリ袋6の内部に収容しない構成とすることも可能である。また、実施例1〜4において、下クッション12をポリ袋6の内部に収容したり、上クッション13をポリ袋6の中に入れ且つ上クッション13を先に取り出す構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0051】
1…梱包容器、
2…外装容器、
2c…閉塞部、
3…収容空間、
3a…通過口、
4…被梱包体、
6…収容袋、
7…袋部、
8…開口部、
9…取手部、
13…内梱体、
13c…支持部、
13d…開口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に被梱包体が収容可能な収容空間が形成され、前記被梱包体が通過可能な通過口を有する箱状の外装容器と、
前記被梱包体を収容可能な袋部と、前記袋部に形成され且つ前記被梱包体が通過可能な開口部と、利用者が把持可能な取手部と、を有し、前記被梱包体を収容した状態で前記外装容器内に収容される収容袋と、
前記被梱包体と前記通過口との間に配置され、且つ、前記収容空間に収容された内梱体と、
を備え、
前記取手部の少なくとも一部が前記内梱体よりも通過口側に配置され、前記内梱体が外装容器から取り外される場合に、前記取手部が、前記内梱体と共に前記通過口側に移動する、
ことを特徴とする梱包容器。
【請求項2】
前記取手部が前記被梱包体側から前記通過口側に通過可能な開口部と、前記開口部を通過した前記取手部を前記被梱包体側から支持する支持部と、を有する前記内梱体、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の梱包容器。
【請求項3】
前記取手部が前記内梱体と前記外装容器との隙間を通じて、前記内梱体よりも前記通過口側に配置された、
ことを特徴とする請求項1に記載の梱包容器。
【請求項4】
内部に被梱包体が収容可能な収容空間が形成され、前記被梱包体が通過可能な通過口を有する箱状の外装容器と、
前記被梱包体を収容可能な袋部と、前記袋部に形成され且つ前記被梱包体が通過可能な開口部と、利用者が把持可能な取手部と、を有し、前記被梱包体を収容した状態で前記外装容器内に収容される収容袋と、
前記被梱包体と前記通過口との間に配置され、且つ、前記収容空間に収容された内梱体と、
を備え、
前記取手部は、前記内梱体に着脱可能に支持され、前記内梱体が前記外装容器から取り出される場合に、前記内梱体の移動に伴って前記通過口側に移動すると共に、前記内梱体が前記外装容器から取り出された場合に前記内梱体から脱落する、
ことを特徴とする梱包容器。
【請求項5】
内部に被梱包体が収容可能な収容空間が形成され、前記被梱包体が通過可能な通過口を有する箱状の外装容器と、
前記被梱包体を収容可能な袋部と、前記袋部に形成され且つ前記被梱包体が通過可能な開口部と、利用者が把持可能な取手部と、を有し、前記被梱包体を収容した状態で前記外装容器内に収容される収容袋と、
を備え、
前記取手部は、前記通過口を閉塞する前記外装容器の閉塞部に着脱可能に支持され、前記前記閉塞部が開放される場合に、前記閉塞部の移動に伴って前記通過口側に移動すると共に、前記通過口が開放される開放位置に前記閉塞部が移動した場合に前記閉塞部から脱落する、
ことを特徴とする梱包容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−246037(P2012−246037A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121080(P2011−121080)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】