説明

梱包箱

【課題】被梱包物を内袋に入れながら同時に梱包箱に収納する際、内袋がずれないようにする。
【解決手段】被梱包物が載置される底パッド13に切り込み14を形成し、内袋2の一部を切り込み14に差し込むことによって、内袋2を取り外し自在に固定する。被梱包物が大型の場合には、梱包箱として、被梱包物が載置される下箱11と、下箱11に載置された被梱包物の上から覆い被せる上箱12とを備えたものを用い、下箱11の内底面に切り込み14を形成するのが好ましい。内袋2のずれを一層防止する観点から、切り込み14を、平面視において内底面の略中央部に形成するのが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は梱包箱に関し、より詳細には被梱包物を内袋で包んだ状態で収納する梱包箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機やファクシミリ、プリンタなどの画像形成装置を梱包する場合、輸送中に装置が結露することによって生じる装置動作の不具合を防止するため、密封性の高い内袋で装置を封止した後、段ボール紙などで形成された梱包箱に収納していた。
【0003】
梱包箱への装置の収納は具体的には、内袋の上面開口を開けた状態で梱包箱内に内袋を予め配置しておき、装置を内袋に入れながら同時に梱包箱に収納するようにしていた。
【特許文献1】特開2002−211675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、装置を内袋に入れる際に内袋がずれて、内袋の底辺の中心と装置の中心とが一致せず、内袋の位置修正をする必要が生じることがあった。この内袋の位置修正は、装置の重量のある場合には、装置の一部を持ち上げたりするのに大きな労力を要し作業性が悪かった。
【0005】
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、装置を内袋に入れながら同時に梱包箱に収納する際、内袋がずれないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、被梱包物を内袋で包んだ状態で収納する梱包箱において、被梱包物が載置される内底面に切り込みを形成し、前記内袋の一部を前記切り込みに差し込むことによって、前記内袋を取り外し自在に固定可能としたことを特徴とする梱包箱が提供される。
【0007】
被梱包物が大型の場合には、梱包箱として、被梱包物が載置される下箱と、下箱に載置された被梱包物の上から覆い被せる上箱とを備えたものを用い、下箱の内底面に切り込みを形成するのが好ましい。
【0008】
内袋のずれを一層防止しながら作業性を向上させる観点から、前記切り込みを、平面視において前記内底面の略中央部に形成するのが望ましい。
【0009】
内袋の梱包箱への差し込み作業性と固定強度を向上させる観点から、前記切り込みの形状を略「コ」字状とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の梱包箱では、被梱包物が載置される内底面に切り込みを形成し、内袋の一部を前記切り込みに差し込むことによって、前記内袋を取り外し自在に固定可能としたので、内袋がずれることなく、被梱包物を内袋に入れながら同時に梱包箱に収納できるようになった。また内袋は、内底面の切り込みに差し込んで固定されているだけなので、取り外しが可能で、被梱包物を内袋に入れる際に内袋が若干ずれたとしても容易に修正することができる。
【0011】
前記切り込みを、平面視において前記内底面の略中央部に形成すると、内袋の内底面への取り付け作業が簡便となり、また内袋のずれを一層防止できるようになる。
【0012】
また前記切り込みの形状を略「コ」字状とすると、内袋の梱包箱への差し込み作業性と固定強度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る梱包箱について図に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0014】
図1に、本発明に係る梱包箱の一実施形態を示す組立斜視図を示す。図1の梱包箱は、段ボール紙で形成された下箱11と上箱12とを備える。上面開口の下箱11の4隅には緩衝部材17が取り付けられ、下箱11の中央部には画像形成装置3を載置する底パッド13が取り付けられている。そして底パッド13の中央部には、「コ」字状の切り込み14が形成されている。
【0015】
図2に示すように、底パッド13に形成された切り込み14によって、切り込み14の両端を結ぶ直線を折り曲げ線として、押さえ片15が揺動可能となる。同図(a)に示すように、押さえ片15を起こした状態で、内袋2の底辺の略中央部を押さえ片15の下側に位置させる。そして同図(b)に示すように、押さえ片15を元の状態に戻すことによって内袋2の略中央部を押さえ片15で固定する。このような切り込み14を底パッド13に形成するには、例えば金型による打ち抜きにより底パッド13の形成と同時に形成するのが生産効率上望ましい。もちろん、底パッド13の形成後にカッタ等の刃物によって切り込み14を形成しても構わない。
【0016】
そして図1に示すように、底パッド13に底辺が固定された内袋2を、上面開口が開いた状態として、被梱包物である画像形成装置3を不図示のクレーン等で上方から内袋2に入れながら、画像形成装置3の角が緩衝部材17の内側に位置するように底パッド13上に載置する。このとき、内袋2の底辺が底パッド13に固定されているから、画像形成装置3を内袋2に入れる際に、内袋2がずれることが従来に比べ格段に抑えられる。また内袋2は押さえ片15で挟着されているだけなので、例えば左右方向に引っ張ることによって比較的簡単に移動させることができ、たとえ内袋2がずれたとしても容易に位置を修正することができる。
【0017】
画像形成装置3が内袋2内に収納されると、内袋2の上面開口をチャックシール(不図示)で封止する。これによって保管中や輸送中における画像形成装置3の結露が防止される。そして、画像形成装置3を覆うように上箱12を上方から被せる。その後不図示のベルトを上箱12および下箱11の外側の周回させて締着する。
【0018】
以上説明した実施形態では、底パッド13に切り込み14を形成していたが、切り込み14を形成するのは、梱包箱の、被梱包物が載置される内底面であればよく、底パッド13を用いない場合には梱包箱の底面に直接形成すればよい。また前記実施形態では、梱包箱が上箱12と下箱11に別れていたが、一つの箱からなるものであっても勿論構わない。
【0019】
切り込み14の形状は、内袋2を取り外し自在に固定できるものであれば特に限定はない。例えば図3に示すように、平面視が台形状のもの(同図(a))や中心点から放射状に形成したもの(同図(b))であってもよい。なお、同図(b)の形状の場合には、押さえ片15を起こして内袋2を入れるのではなく、内袋2をそのまま押し入れることによって固定することになる。また同図(c)及び同図(d)は、押さえ片15を起こし易くするために、指の入る開口16を設けたものである。
【0020】
切り込み14の形成位置及び形成個数は、被梱包物が載置される内底面上であれば特に限定はなく、梱包箱の形状および内袋の大きさ・材質等から適宜決定すればよい。例えば図4に示すように、内底面の幅方向に所定間隔で2つ切り込み14a,14bを形成したり(同図(a))、あるいは内底面の対角線上に所定間隔で3つの切り込み14a,14b,14cを形成してもよい。なお、内底面に内袋をしっかりと固定する観点からは、複数個の切り込みを形成するのがよいが、内袋を内底面に固定させる作業は煩雑となる。そこで、内袋の固定性と作業性とを考慮すると、図1及び図2で示した実施形態のように、内底面の略中央に1つの切り込みを形成することが推奨される。
【0021】
本発明の梱包箱を構成する材料としては段ボール紙や厚紙など従来公知のものを使用することができ、被梱包物の大きさや重さ、耐衝撃性などから適宜決定すればよい。
【0022】
また本発明で使用する内袋の材料としては特に限定はなく、その用途から適宜決定すればよい。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどからなる無伸延又は伸延された基材フィルムに、帯電防止層を積層させたラミネート構造のものなどが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る梱包箱の一実施形態を示す組立斜視図である。
【図2】切り込みを用いて底パッドに内袋を取り付ける説明図である。
【図3】切り込みに他の形態を示す平面図である。
【図4】切り込みの形成位置の他の例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0024】
2 内袋
3 複写機(被梱包物)
11 下箱
12 上箱
13 底パッド
14 切り込み
15 押さえ片
16 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被梱包物を内袋で包んだ状態で収納する梱包箱において、被梱包物が載置される内底面に切り込みを形成し、前記内袋の一部を前記切り込みに差し込むことによって、前記内袋を取り外し自在に固定可能としたことを特徴とする梱包箱。
【請求項2】
前記梱包箱が、被梱包物が載置される下箱と、下箱に載置された被梱包物の上から覆い被せる上箱とを備え、前記下箱の内底面に前記切り込みが形成されている請求項1記載の梱包箱。
【請求項3】
前記切り込みが、平面視において前記内底面の略中央部に形成されている請求項1又は2記載の梱包箱。
【請求項4】
前記切り込みの形状が略「コ」字状である請求項1〜3のいずれかに記載の梱包箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−246116(P2007−246116A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−70539(P2006−70539)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】