説明

棚札表示変更装置

【課題】棚札表示変更装置が設置される店舗における作業性を向上させる。
【解決手段】ESLシステム10は、複数のESL14と、ESLサーバー11とを備える。ESL14は、商品情報を表示するために各商品の近傍に配置される。ESLサーバー11は、CPUと、表示画面と、商品情報を記憶する記憶部とを有し、商品情報をESL14に対して送信するとともにESL14からの送信を受け取る。また、ESL14は、その上端部および下端部を商品陳列棚の取付用レールの上下の爪に噛み込ませることによって取付用レールに装着される。さらに、ESL14は、商品の価格を含む情報を表示する表画面と、商品の在庫数を含む情報を表示する裏画面とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚札表示変更装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗においては、いわゆるPOS(Point Of Sales)システムが広く普及している。このPOSシステムは、主として複数のPOSターミナル(レジスタ)とバックヤードに置かれるストアコントローラとから構成されるもので、商品を販売する際のPOSターミナルにおける入力操作に基づいてストアコントローラが販売商品のデータの表示や集計などを行うシステムである。このPOSシステムでは、商品に付けられた商品コード(バーコード)を使用することによって商品管理をおこなっているため、商品コードと価格等の商品に関する情報とをリンクさせることができ、個々の商品に値札を付ける必要がない。このため、POSシステムを採用している店舗においては、商品が陳列されている棚に商品の値段などを記載した棚札を配置することによって、客に対して商品の値段等を示すようにしている。
【0003】
また、最近では、POSシステムに加えてESLシステム(Electric Shelf Label System;電子棚札システム)を採用する店舗も現れている。このESLシステムでは、店舗内に設置したトランシーバーと各商品に付けられるESL(電子棚札)とが無線で交信し、トランシーバーにつながったサーバーを介して各ESLがストアコントローラやその上位にある本部コンピュータ(複数の店舗をとりまとめるチェーン本部のコンピュータ)と連動する。ここでは、サーバーが、ストアコントローラ等から商品マスタにある商品の情報を得て、これをESLに送信してESLに商品価格等を表示させる。したがって、このESLシステムを使えば、POSターミナルでの実際の販売金額(以下、実売価という。)と各商品のESLの表示金額(以下、表示売価という。)とを自動的に一致させることができる。これにより、紙の棚札を特売等のときに付け替える手間が解消されるとともに、棚札の付け替えミスや実売価変更と棚札と付け替えとの時間差により実売価と棚札の表示売価とが一致しない状態が発生して客の信用を損なうといった不具合を最小限に留めることができる。
【0004】
なお、商品マスタとは、商品に関する情報(データ)の集合であり、各商品に対して、商品コード、商品名、通常価格、特売価格等のデータを有しているものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、棚札表示変更装置が設置される店舗における作業性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る棚札表示変更装置は、複数の電子棚札と、サーバーとを備えている。電子棚札は、商品情報を表示するために各商品の近傍に配置される。サーバーは、CPUと、表示画面と、商品情報を記憶する記憶部とを有し、商品情報を電子棚札に対して送信するとともに電子棚札からの送信を受け取る。また、電子棚札は、その上端部および下端部を商品陳列棚の取付用レールの上下の爪に噛み込ませることによって取付用レールに装着される。さらに、電子棚札は、商品の価格を含む情報を表示する表画面と、商品の在庫数を含む情報を表示する裏画面とを有する。
【0007】
請求項4に係る棚札表示変更装置は、複数の電子棚札と、サーバーと、送受信機とを備えている。電子棚札は、商品情報を表示するために各商品の近傍に配置される。サーバーは、CPUと、表示画面と、商品情報を記憶する記憶部とを有し、商品情報を電子棚札に対して送信するとともに電子棚札からの送信を受け取る。送受信機は、サーバーが有する商品情報を電子棚札に送信し、電子棚札からのフィードバック信号をサーバーに伝える。送受信機は、電子棚札への送信機能と電子棚札からのフィードバック信号の受信機能を併せ持っている。また、電子棚札は、商品陳列棚に取り付けられるものであり、受信部と、送信部と、商品の価格を含む情報を表示する表画面と、商品の在庫数を含む情報を表示する裏画面とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、ESL14をESL取付用レール18に装着することができるようになったり、ESL14の裏画面を使うことによって作業性を向上させることが可能になったりする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の一実施形態であるESLシステム(棚札表示変更システム)10及びこれを含む店舗オペレーションシステムの一部を図1に示す。この店舗オペレーションシステムは、スーパーマーケット等の店舗において採用される商品管理を行うシステムである。
【0010】
図1は、店舗オペレーションシステムのうち、レジにおける実際の実売価(販売価格)と各商品の売場において価格表示を行う電子棚札(以下、ESLという。)に表示される表示売価(表示価格)とを自動的に一致させるシステムの部分を示している。この店舗オペレーションシステムは、店舗内に配備されたバックボーンLAN(イーサーネット)2に接続されるストアコントローラ4,ESLサーバー11,プリンター8等を備え、ストアコントローラ4を含むPOSシステム3とESLサーバー11を含むESLシステム10とを有している。
【0011】
<POSシステム>
POSシステム3は、主として、ストアコントローラ4と、POSターミナルである複数台の電子キャッシュレジスタ(以下、ECR(Electric Cash Register)という。)6とから構成されている。
【0012】
ストアコントローラ4には、各商品の商品名や商品価格、商品コード等の商品情報から成る商品マスタファイルや、後述する各ECR6の登録情報を集計する集計ファイル等が備えられている。ストアコントローラ4は、これらのファイルを基に、商品の売価情報、売り上げ情報、発注情報等を管理する。なお、管理情報が膨大なときには、このストアコントローラ4にさらにホストコンピュータを接続し、管理を分担するようにしてもよい。また、店舗がスーパーマーケットチェーンの一店舗であるときには、通常、チェーンの本部から商品マスタファイルが通信によって各店舗のストアコントローラ4に送られてくる。
【0013】
実際に買い物客が商品の代金を支払うレジ(図2のレジ95参照)に配備されている複数台のECR6は、このストアコントローラ4に接続されている。ECR6は、商品コード(バーコード)を読取るスキャナーを備えており、そのスキャナーで商品に付された商品コードを読取り、その商品コードに関する情報を表示する。ECR6からの問合わせがあると、ストアコントローラ4は、商品マスタファイルを検索し、問い合わせのあった商品名や売価等を読出してECR6へ送信する。一方、ECR6は、商品コード及び受信した商品名や売価等に基づいて、部門別の登録や表示器への表示、またプリンタによる印字出力を行い、さらに登録したデータをストアコントローラ4へ送信する。そして、ストアコントローラ4は、ECR6からの登録データを集計ファイルに累計する。
【0014】
<ESLシステムの構成>
ESLシステム10は、主として、ESLサーバー11と、中継器であるベースステーション12と、送受信機であるトランシーバー13と、棚札表示器であるESL14とから構成されている。
【0015】
(ESLサーバー)
ESLサーバー11は、ワークステーションやパーソナルコンピュータ等のコンピュータにESLシステム10を制御するソフトウェアをインストールしたものであって、図3に示すように、CPU41と、CPU41に接続されるROM42、RAM43、ハードディスク(記憶部)44、表示画面45、操作入力部(キーボード)46、アラーム発生部47等とから構成されている。
【0016】
ESLサーバー11のハードディスク44には、商品情報ファイル48が作成される。商品情報ファイル48は、図4に示すような商品の情報を記憶するためのファイルであって、商品に固有の商品コード、後述するESLに固有のESLコード、商品の品名、商品の通常売価、特売のときの商品の特売売価、商品の単価、商品の特売の期間などが各商品毎に記憶されているものである。この商品情報ファイル48は、ESLシステム10を立ち上げたときにストアコントローラ4の商品マスタファイルから情報を得て作成されるもので、ストアコントローラ4の商品マスタファイルが更新される度に、その更新情報を基にして更新される。すなわち、特売期間になって、あるいは特売期間が終了して商品の売価等の情報が商品マスタファイルにおいて更新されると、それに従って、ESLサーバー11の商品情報ファイル48も自動的に更新される。そして、商品情報ファイル48の情報が更新されると、ESLサーバー11は、ベースステーション12及びトランシーバー13を介して、各ESL14に対して商品情報の変更を送信する。
【0017】
このESLサーバー11は、例えば、図2に示す店舗90において、バックヤード98の一画に設けられた部屋99内に設置される。このバックヤード98にある部屋99は買い物客が買い物をする売場から隔離されているため、ESLサーバー11に店舗の管理者や担当者等の店員以外がアクセスすることはできない。なお、図2に示す店舗90は一般的なスーパーマーケットを簡易に表したもので、入口91、出口92、生鮮食品売場93、一般商品売場94、レジ95、バックヤード98等を有している。前述のECR6は、各レジ95に配置されるものである。
【0018】
(トランシーバー)
トランシーバー13は、ESL14への送信機能とESL14からのフィードバック信号の受信機能を併せ持った送受信機であり、ESLサーバー11が有する商品情報を赤外線を使用した無線によって各ESL14に送信し、また各ESL14からのフィードバック信号をESLサーバー11に伝える。このトランシーバー13は、赤外線の周波数及び強度や建物の構造等により赤外線の到達距離に制限があることを考慮して、各ESLに確実に送信できるように店舗内に配置しなければならない。通常トランシーバー13は、店舗の売場天井に、区画毎に取り付けられる。これらのトランシーバー13はパラレルに設置されており、それぞれケーブルによってベースステーション12を介してESLサーバー11に接続されている(図1参照)。したがって、あるトランシーバー13が故障した場合にも、他のトランシーバー13の機能には影響を与えない。
【0019】
(ESL)
ESL14は、図2に示す店舗90内の売場(生鮮食品売場93、一般商品売場94)に陳列されている各商品の近傍に配置されるものであり、従来の紙の値札に代わるものである。したがって、ESL14は、一般商品売場94にあるような通常の商品陳列棚の他、生鮮食品売場やペグ・フックにも取り付けられる。このESL14の大きさや形状は、売場や商品に応じてある程度選択することが可能とされている。
【0020】
ESL14は、図5に示すように、外見的には、液晶の第1〜第7表示部31〜37と、太陽電池21と、無線受信部22と、無線送信部23と、ラベル25,26とを有している。
【0021】
ラベル25は、商品名が印字されたものであり、図5に示すようにESL14の表面左下側に貼付される。ラベル26は、商品コード(バーコード)等が印字されたものであり、ESL14の表面右下側に貼付される。なお、これらのラベル25,26は一体のラベルであってもよい。また、図示しないが、ESL14の裏面には、そのESL14に固有のESLコード(アドレスデータ)を表すバーコードが貼付されている。
【0022】
第1表示部31は、4桁の7セグメント表示が可能であり、実際の売価を表示する。第2表示部32は、4桁の7セグメント表示が可能であり、通常売価を表示する。第3表示部33は、4桁の7セグメント表示が可能であり、単価を表示する。第4表示部34は、3桁の7セグメント表示が可能であり、商品の陳列個数、あるいは商品の陳列レイアウト及び陳列個数が表示される。第5表示部35は、第2表示部32欄の表示が通常売価であることを表す「通常売価」という表示を行う(図8参照)。第6表示部36は、その商品が特売であるときに「謝恩品」という表示を出す(図9参照)。第7表示部37は、7セグメント表示が可能であり、特売のときに、特売期間が月間であるときは「M」、特売期間が週間であるときは「W」、特売期間がその日だけであるときは「D」を模式的に表示する。
【0023】
また、ESL14は、価格等の情報を表示する第1表示部31〜第7表示部37から成る第1液晶層の表画面(第1表示面)の他に、商品の在庫数や注文情報といった任意の情報を表示することができる第2液晶層の裏画面(第2表示面)を備えている。これらの第1及び第2液晶層は重ねて配置されている。
【0024】
ESL14は、内部に小型のCPUを有しており、上記の表示機能の他、受信機能、比較機能、及び送信機能を備えている。ESL14の内部メモリにはそのESL14に固有のESLコードが記憶されており、無線受信部22により受信するトランシーバー13からの商品情報に含まれるESLコードを自己に設定したESLコードと比較し、一致したときに受信した売価や単価等を更新して各表示部31〜37に表示する。なお、この場合、以前に表示されていた商品情報はクリアされて、新たな商品情報が内部メモリに記憶される。また、トランシーバー13からの商品情報を受信して表示を更新した後に、ESL14は無線送信部23からトランシーバー13に向けて正常に処理が終了したことを示すフィードバック信号を送信する。
【0025】
このESL14は、売場に設置されているESL取付用レール18(図6参照)やその他の取付用治具に取り付けられる。ESL14は、商品の並び替えが自由にできるように取り外し自在とされているが、取り付け及び取り外しには店員の持つ特殊な工具が必要である。図6のESL取付用レール18には上下に爪18a,18bが形成されており、これらの爪18a,18bにESL14の上端部及び下端部を噛み込ませることによって、ESL14をESL取付用レール18に装着することができる。
【0026】
またここでは、特売等の商品にはESL14とともにPOP広告19を付すという特売の広告方法を採用するので(図6参照)、各ESL14のコストを下げるために、ESL14の液晶表示をカラー表示ではなくモノクロ表示としている。POP広告19については、ESL14とともにESL取付用レール18の爪18aに噛み込ませることによって、商品の近傍に配置されるようにしている。
【0027】
また、ESL14には、数年の使用が可能な長寿命バッテリーが内蔵されているか、あるいはこの長寿命バッテリーに加えて太陽電池21が組み込まれている。このような電源によって、ESL14は、数年間バッテリー交換なしに作動し続けることができる。
【0028】
<通常のESLシステムの動作>
このような構成のESLシステム10において、ESLサーバー11は、各商品の商品コード、単価、売価等のストアコントローラ4が持つ商品マスタファイルからの情報にESL14を特定するESLコードを付した情報を、商品情報ファイル48としてハードディスク44内に記憶している(図4参照)。この商品情報ファイル48は、上述のように商品マスタファイルの更新に従って、直ちに更新される。なお、商品マスタファイルからの情報にESLコードを付加する作業は、各ESL14の表面に貼付されている商品コード(バーコード)と裏面に貼付されているESLコード(バーコード)とをハンディスキャナー等で読み込むことによって行うことになる。
【0029】
チェーンの本部からの商品マスタファイルの変更指示や各店舗での販売戦略により、所定の商品が特売となって実売価が下がったり、特売であった商品が通常売価に戻されて実売価が上がったりした場合には、商品マスタファイル内の情報が書き換えられ、それに従ってESLサーバー11の商品情報ファイル48も変更される。
【0030】
すると、実売価や特売であるか否かの情報が変更された商品に付けられたESL14に対して、ESLサーバー11が表示変更をさせるために商品情報を送信する。このときには、変更が必要なESL14のESLコードを含んだ実売価等の商品情報が、順次トランシーバー13を介して各ESL14に送信されていく。なお、全てのトランシーバー13が一度に送信を行うと使用電力のピーク値が大きくなる恐れがあるため、各トランシーバー13が順次ESL14に対して送信を行っていく。
【0031】
各ESL14では、トランシーバー13から受信した商品情報に含まれるESLコードと自己に設定されているESLコードとを比較し、一致していればその商品情報を取込んで更新された実売価や単価等の情報を各表示部31〜37に表示する。
【0032】
特売ではなく通常売価が実売価となっている場合には、図7に示すように、第1表示部31に実売価である通常売価(580円)が表示され、第3表示部33に単価(252円)が表示される。なお、ここで第4表示部34に示されているものは、左端に表示されている数字(1)が何列に陳列されているかという陳列のレイアウトを示しており、右の2つの数字によって表示されているもの(26)が陳列されている商品の個数を示している。
【0033】
一方、商品が週間(あるいは月間)の特売品である場合には、図8に示すように、第1表示部31に実売価である特売売価(500円)が、第2表示部32に通常売価(580円)が、第3表示部33に特売価格に応じた単価(217円)が、第5表示部35に「通常売価」の表示が、第7表示部37に特売期間が週間であることを示す印(W)が表示される。さらに、商品が日替わりの特売謝恩品である場合には、図9に示すように、第1表示部31に実売価である特売売価(480円)が、第2表示部32に通常売価(580円)が、第3表示部33に特売価格に応じた単価(208円)が、第5表示部35に「通常売価」の表示が、第6表示部36に「謝恩品」の表示が、第7表示部37に特売期間がその日だけであることを示す印(D)が表示される。これらの特売の表示(図8及び図9の表示)は、店舗の営業時間中は、買い物客に特売であることをアピールするために点滅表示となっている。
【0034】
このようにして、各ESL14には、陳列されている商品の売価や特売に関する情報等が表示される。
【0035】
<ESLからの応答がない場合の警告表示及び警報>
各ESL14は主にバッテリーにより作動するものであり、また各ESL14とトランシーバー13との間は赤外線による無線で交信が為されている。このため、ESL14の故障や電圧低下、あるいは無線交信を妨害する障害物(店員、買い物客、ワゴン等)があった場合には、ESL14からのフィードバック信号がトランシーバー13及びESLサーバー11に返ってこないケースが想定される。これに対応すべく、本ESLシステム10においては、図11に示すような制御を行い、ESLシステム10を管理する管理者や担当者に警告を行ってESLシステム10の異常を速やかに解消させるようにしている。
【0036】
図11に示すように、商品マスタファイルの商品情報が変更されることにより、あるいは店舗担当者の手入力によりESLサーバー11の商品情報ファイルの商品情報が変更されると、ESLサーバー11は、トランシーバー13を介してESL14に更新された商品情報を送信する(ステップS1)。各トランシーバー13がESL14に順次送信を行っていくため、送信が完了してESL14からのフィードバック信号が返るまでには若干の時間がかかる。この間は、ESLサーバー11の表示画面45には、返信待ちの表示が出る(ステップS2)。
【0037】
そして、ステップS3に移ると、商品情報の変更があり更新された商品情報を送ったESL14について返信があったか否かについてESLサーバー11が確認を行う。ここで、返信がなければならないESL14全てからフィードバック信号が届いていれば、ESLサーバー11の表示画面に正常に商品情報の更新が為された旨を表示して(ステップS4)、処理を完了させる。
【0038】
一方、ステップS3において該当するESL14のうち1つでも返信を返してこないESL14があれば、ステップS5に移行してまず再送回数n(最初はn=0)に1が加算される。ステップS6では再送回数nが所定の最大再送回数mを超えているか否かがチェックされ、超えていなければ再度ESLサーバー11から返信のないESL14に対して商品情報が送信される(ステップS8)。このときには、ESLサーバー11の表示画面45には、該当するESL14が特定された上で、そのESL14に対して現在n回目の再送中であることが表示される。
【0039】
ステップS8の再送後所定時間内にそのESL14からの返信がなければ、ステップS3から再びステップS5に移る。このようにして、返信がなければ最大再送回数mまで何度でも商品情報がそのESL14に対して送信される。そして、再送の結果返信があれば、ステップS3からステップS4に移って処理の終了に移行するが、最大再送回数mだけ再送しても返信がない場合にはステップS6からステップS7に移る。
【0040】
ステップS7では、所定のESL14に対して更新された商品情報を送ったにもかかわらず返信がないことから、そのESL14の表示が更新されておらず買い物客や作業員(店員)に誤った商品情報を認識させる恐れがあると認定して、ESLサーバー11の表示画面45にエラー警告を出させるとともに、アラーム発生部47により警報を鳴らす。このときの表示画面45には、図12に示すような警告が掲示されるとともに、文字表示の部分以外の背景部分のほとんどが赤色に変わってその背景部分が点滅する。このように、警報が鳴って表示画面45の一部が点滅するため、ESLサーバー11の近くにいる担当者は、確実に異常に気づくことになる。
【0041】
なお、このエラー警告は、ESLサーバー11の操作入力部46を操作して担当者がこれを解除するまでは、継続して行われる。このため、担当者がESLサーバー11のそばを少しの間離れていた場合でも、帰ってくれば異常に気づくことになる。
【0042】
また、返信までの時間や再送回数などの各ESL14の応答に関する履歴は、ESLサーバー11のハードディスク44に作成されるログファイル49に全て記録される。したがって、このログファイル49の情報を基に、たびたび複数の再送が必要となるESL14について、図11に示す制御とは別にエラー警告を出す制御を行うこともできる。
【0043】
<POP広告の取り付け及び取り外し時のESLシステムの動作>
本ESLシステム10では、特売を買い物客にアピールするために特売商品に付くESL14の表示を上述のように点滅表示としているが、コスト等の理由からESL14の大きさや表示能力に限界がある場合が多く、点滅表示だけでは必ずしも十分なアピールができない。このため、このESLシステム10においては、ESL14による広告表示に加えて、図6に示すように紙のPOP広告19を作業員(店員)がセットして回る販売広告方法を想定している。これに従い、ESLサーバー11にインストールされるソフトウェアには、上述の通常のESLシステムの動作を制御するプログラムとともに、POP広告の取り付け作業及び取り外し作業を補助するプログラムが内包されている。以下、ESLサーバー11によるPOP広告の取り付け作業及び取り外し作業の補助の内容について説明する。
【0044】
例えば、月初めの店舗の開店前において、その日に特売を行う商品に対して作業員がPOP広告を取り付けて回る場合を想定する。
【0045】
このような場合には、ESLサーバー11はまず、商品情報ファイル48にあるPOP広告の取り付け時のデータ(図4参照)を基に、その日にPOP広告が付けられるべき商品のリストを出して、表示画面45及びプリンター8に出力する。作業員は、このプリンター8から出力された商品リストを持ってPOP広告の取り付け作業を行うことになる。この商品リスト例を図10に示す。なお、商品リストは、月間、週間、日替わりの各特売期間に応じて、それぞれ出力されることが望ましいが、取り付けるPOP広告の形態や種類等によっては、さらに細かく分類してリストを出したり、商品名の他に特売期間の記載欄を有する商品リストを出力することも選択することができる。
【0046】
次に、ESLサーバー11の操作入力部46を操作すると、最初に月間という特売期間を有する商品に付いているESL14を指定して商品情報がESL14に送られる。この商品情報が送信されるときには、月間特売であることを示す第7表示部37の「M」の表示が点滅するように、ESLサーバー11からESL14に対して同時に指令信号が送られる。これを受けた該当するESL14が第7表示部37の「M」の表示を点滅させるため、作業員は、「M」の表示が点滅しているESL14に対して、店舗を回りながらの月間特売用のPOP広告を取り付けていく。
【0047】
月間特売用のPOP広告の取り付けが完了した後、ESLサーバー11の操作入力部46を操作すると、次は週間という特売期間を有する商品に付いているESL14を指定して商品情報がESL14に送られる。すると今度は、該当するESL14の第7表示部37が週間特売であることを示す「W」を表示しつつ点滅を始める。よって、作業員は、「W」の表示が点滅しているESL14を確認しながら、週間特売用のPOP広告(図6のPOP広告19参照)を取り付けて回る。
【0048】
こうして週間特売用のPOP広告の取り付けが終了した後、さらに操作入力部46を操作すると、同様に日替わり特売に該当するESL14の第7表示部37の「D」の表示が点滅する。この「D」の点滅表示にしたがって作業員が日替わり特売用のPOP広告を取り付ければ、全てのPOP広告の取り付けが完了する。
【0049】
このような一連のPOP広告の取り付け作業において、あるいはPOP広告の取り付けの確認作業において、POP広告が付いているのに点滅表示していないESL14があったり、点滅表示しているのにPOP広告が付けられていないESL14があったりすれば、作業ミスが発生しているということがわかる。また、最初に作業を行わなければならない商品リストが出力されるため、これによっても確認作業をすることができる。また、確認の時間があまり取れないような場合であっても、取り付けたPOP広告の数と商品リストの商品の数との一致・不一致を確認することで、簡易的な作業チェックが可能である。
【0050】
また、POP広告の取り外し時においても、ESLシステム10による同様の作業補助が可能である。ここではまず、商品情報ファイル48にあるPOP広告の取り外し時のデータを基に、その日にPOP広告が外されるべき商品のリストが出力される。そして、ESLサーバー11の操作入力部46を操作すると、特売が終了する商品に対応するESL14に更新された商品情報が送られ、該当するESL14が特売を示す点滅表示を止める。したがって、作業者は、POP広告が付けられているにもかかわらず点滅表示を行っていないESL14を確認してそのESL14からPOP広告を外すことにより、POP広告の取り外しの作業を容易に行うことが可能となる。また、商品リストに記載されている商品の数と取り外したPOP広告の数との比較等によって、作業ミスがないかどうかのチェック作業も行うことができる。
【0051】
<その他の作業を行う時のESLシステムの動作>
上記のように、POP広告の取り付け及び取り外し時の作業に関しては、この作業を補助する表示をESLシステム10のESL14に出させるようにしているが、これ以外の作業に対しても、同様にESL14の表示機能を使ってESLシステム10に補助させることが可能である。
【0052】
例えば、ESL14の第4表示部34による表示によって、作業員に陳列棚への商品補充を行わせることができる。この表示の数がある個数以下に減った場合に商品補充をすることに決めておけば、作業員はいちいち商品の数を数えることなく商品補充の作業を行うことができる。
【0053】
また、商品の入れ替えや棚卸しの作業についても、ESL14の裏画面を使うことによって作業員に作業指示を出し、作業性を向上させることが可能である。
【0054】
<本ESLシステムの特徴>
(1)
ストアコントローラ4が持つ商品マスタファイルの商品情報にESLサーバー11の商品情報ファイルの商品情報が連動し、ECR6で使われる実売価とESL14に表示される表示売価とが自動的に一致するため、買い物客の店舗に対する信頼が向上する。すなわち、ECR6での売価価格が売場での表示価格よりも高い場合には買い物客からのクレームとなり、これがレジの行列の中で発生した場合には、その列に並んでいる全ての買い物客が店舗に不信感を持つことになる。しかし、本店舗オペレーションシステムでは上記のようなESLシステム10を導入しているため、商品マスタファイル内の売価変更とESL14の表示売価変更とが自動的にリンクし、ECR6での売価と売場でのESL14の表示売価とが即座に一致する。したがって、買い物客が店舗に対して信頼を寄せるようになる。
【0055】
また、店長、部門担当者、バイヤー等が買い物客の要望を判断して、特売の実施及びその結果の測定をリアルタイムに行うことも可能となる。
【0056】
(2)
近年、POP広告の多様化、商品改廃の増加等、店舗オペレーションが複雑化しているが、本ESLシステム10ではESL14の表示機能を利用してPOP広告の取り付けや取り外し、商品入れ替え等の作業を効率よく行うことができるようにしているため、買い物客に対する極め細かい販売サービスを行うことが可能となる。
【0057】
(3)
本ESLシステム10では、POP広告を商品に付ける場合や商品の棚卸し・入れ替えの場合等における商品やその商品の広告に対する作業が必要となるときには、その作業にあった作業指示をESL14を使って表示させ、その作業を補助している。このため、作業を行う作業員が作業を行いやすくなり、作業にかかる時間が短くなるとともに、作業ミスも少なくなる。
【0058】
これにより、作業の正確性や省力化を図ることができ、作業ミスが少なくなることによって店舗に対する顧客のより高い信頼を得ることができる。
【0059】
(4)
本ESLシステム10では、所定のESL14に対して更新された商品情報を送ったにもかかわらず返信がない場合には、ESLサーバー11の表示画面45に異常があるESL14を特定してエラー警告を出させるとともに、アラーム発生部47により警報を鳴らすように制御を行っている。これにより、ESLサーバー11の近くにいる担当者は、確実に異常に気づくことになる。
【0060】
そして、異常に気づいた担当者が表示画面45を見れば、図12に示すように返信のないESL14が具体的に特定されて表示されているため、自分自身で、あるいは作業員に依頼して、表示が更新されていない可能性の高いエラー警告の表示がされているESL14についてすぐにチェックを行うことができる。すなわち、図12に示されているエラー警告の画面を見れば、どのESL14が異常であるかが一目瞭然であるため、間髪を入れずにすぐさまそれに対処することができる。さらに、エラー警告画面には、変更時間、ESLコード、商品コード、商品名、表示内容、エラー内容といったチェックに必要な事項がピックアップされて表示されるため、異常のあるESL14の情報をいちいち操作入力部46の操作によって画面に呼び出す手間を省くことができる。
【0061】
これにより、ESL14の異常や交信状態の異常を交換や障害物の除去等により速やかに解消することができるようになり、ESL14が誤った表示を出して買い物客からクレームが出るといった不具合が抑えられることになる。
【0062】
(5)
本ESLシステム10では、ESLサーバー11の商品情報ファイル48に売価変更等の商品情報の変更があったときにこれをESL14に送信するタイミングで、図11に示す制御を行いESL14やESL14との交信の異常を確認している。
【0063】
このため、各商品に関する更新情報がESL14に更新表示されないときには、ESL14や交信状態の異常として、その異常がESLサーバー11の表示画面45に直ちに表示されることになる(図12)。したがって、売価変更等の変更がされた商品の情報がESL14に表示されず、放置しておくと顧客からのクレームの対象になるようなときにも、管理者や担当者がこのことを速やかに認知して、このような状態を解消する作業に移ることができる。
【0064】
[他の実施形態]
(A)
上記実施形態においては、ESLサーバー11の商品情報ファイル48に売価変更等の商品情報の変更があったときにこれをESL14に送信するタイミングで、ESL14やESL14との交信の異常を確認している。これにより、商品の実売価変更が為されているのにESL14による表示売価が変わらないといった緊急事態に対処することができるようになっている。
【0065】
これに加えて、以下のような異常チェックを行えば、上記のような緊急事態の発生やそれに付随する緊急の異常解消処理の回数を抑えることが可能である。
【0066】
この異常チェックは、図11に示すような制御を売価変更等の商品情報の変更がないときにも、定期的に各ESL14に対して商品に関する情報を送信して、ESL14に返信をさせるというものである。このような異常チェックを行えば、長い間商品情報が変更されずESLサーバー11に長らくフィードバック信号の送信を行っていないようなESL14についても、定期的にその故障等の不具合がないかについてチェックを行うことができる。
【0067】
(B)
上記実施形態においてはESL14からの返信の有無によってESL14の異常等を判断しているが、トランシーバー13が受信するESL14からのフィードバック信号の強さやログファイル49に記録される再送回数のデータを基にESL14のバッテリーの電圧低下を推測して、これをエラー警告、あるいは要注意のESL14として、表示画面45に表示させるようにすることもできる。
【0068】
(C)
上記実施形態においては図12に示すようにエラー警告をESLサーバー11の表示画面45に出させるようにしているが、これに代えて、あるいはこれとともに、エラー警告(エラーレポート)をプリンター8からプリントアウトさせることもできる。こうすれば、例えば常に店員がいる場所にプリンター8をセットすることにより、ESLサーバー11の周囲に店員が常駐しないような場合であっても、担当者にエラー警告を認知させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施形態のシステムを含む店舗オペレーションシステムのブロック図。
【図2】店舗の簡易平面図。
【図3】ESLサーバーのブロック図。
【図4】商品情報ファイルの構成図。
【図5】ESLの正面図。
【図6】ESL及びPOP広告の取り付け図。
【図7】ESLの一表示状態図。
【図8】ESLの一表示状態図。
【図9】ESLの一表示状態図。
【図10】商品リスト例。
【図11】ESLシステムの動作のフローチャート。
【図12】エラー警告の一例。
【符号の説明】
【0070】
10 ESLシステム(無線棚札表示変更システム)
11 ESLサーバー(サーバー)
13 トランシーバー
14 ESL
41 CPU
44 ハードディスク(記憶部)
45 表示画面
47 アラーム発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品情報を表示するために各商品の近傍に配置される、複数の電子棚札と、
CPUと、表示画面と、商品情報を記憶する記憶部とを有し、商品情報を前記電子棚札に対して送信するとともに前記電子棚札からの送信を受け取る、サーバーと、
を備え、
前記電子棚札は、その上端部および下端部を商品陳列棚の取付用レールの上下の爪に噛み込ませることによって前記取付用レールに装着され、商品の価格を含む情報を表示する表画面と、商品の在庫数を含む情報を表示する裏画面とを有する、
棚札表示変更装置。
【請求項2】
前記電子棚札は、取り外し自在とされており、取り付け及び取り外しには特殊な工具が必要である、
請求項1に記載の棚札表示変更装置。
【請求項3】
前記裏画面は、作業員への作業指示のために用いられ得る、
請求項1又は2に記載の棚札表示変更装置。
【請求項4】
商品情報を表示するために各商品の近傍に配置される、複数の電子棚札と、
CPUと、表示画面と、商品情報を記憶する記憶部とを有し、商品情報を前記電子棚札に対して送信するとともに前記電子棚札からの送信を受け取る、サーバーと、
前記サーバーが有する商品情報を前記電子棚札に送信し、前記電子棚札からのフィードバック信号を前記サーバーに伝える、前記電子棚札への送信機能と前記電子棚札からのフィードバック信号の受信機能を併せ持った送受信機と、
を備え、
前記電子棚札は、商品陳列棚に取り付けられるものであり、受信部と、送信部と、商品の価格を含む情報を表示する表画面と、商品の在庫数を含む情報を表示する裏画面とを有する、
棚札表示変更装置。
【請求項5】
前記裏画面は、作業員への作業指示のために用いられ得る、
請求項4に記載の棚札表示変更装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−37624(P2009−37624A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220204(P2008−220204)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【分割の表示】特願平11−50488の分割
【原出願日】平成11年2月26日(1999.2.26)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】