説明

椅子型マッサージ装置

【課題】 踵の後部を施療するのに適した構成であり、被施療者が着座しているときには、被施療者の下肢が屈曲されているか否かを問わず、当該被施療者の足底を支持することができる椅子型マッサージ装置を提供する。
【解決手段】 椅子型マッサージ装置1は、被施療者が着座する座部2と、該座部2前方に配されて被施療者の足首から足先までを支持するフットレスト4とを備え、フットレスト4は、被施療者の足底を支持する足底支持面37と、該足底支持面37の後側に立設されて被施療者の踵の後部を支持する踵支持面38と、該踵支持面38に設けられて被施療者の踵の後部に押圧刺激を与える踵施療部(空気袋43)とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座部及びフットレストを有して被施療者の脚部を施療する椅子型マッサージ装置に関し、特に被施療者の踵を施療するフットレストを有する椅子型マッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の椅子型マッサージ装置の多くは、主として被施療者の背中及び肩に対して押圧刺激を与える構成となっている。しかしながら、被施療者の血行促進、疲労回復、及びリラックス等の効果をより効率的に得るためには、被施療者の腕部及び脚部等の身体部位に対しても施療を行うことが重要であり、近年腕部及び脚部等を施療することが可能な椅子型マッサージ装置が開発されている。
【0003】
この種の椅子型マッサージ装置の1つとして、特許第3012127号公報に開示されたエアマッサージ装置がある。当該公報に開示されているエアマッサージ装置は、マッサージ椅子と、マッサージ椅子の前側に配置して使用者(被施療者)の脹脛(ふくらはぎ)等の下肢をマッサージさせる下肢マッサージ器と、エア給排気装置を有し、前記下肢マッサージ器に左右脚用の保持溝(凹状受部)を設け、該保持溝の対向する部分に各々一対の空気袋を対向させて設けた構成となっている。前記保持溝は、上方が開放されるとともに前後端が開放されており、使用者の脹脛を保持することが可能となっている。かかる構成によって、前記空気袋の膨張により、使用者の下肢の脹脛を両側部から挟み込むように掴み揉みすることが可能である。
【0004】
また、特許第3012780号公報にも、使用者の下肢をマッサージすることが可能なエアーマッサージ機が開示されている。当該公報に開示されているエアーマッサージ機は、座部及び背凭れ部を有した椅子本体と、前記座部前側に配置して前記椅子本体に取り付けられた脚載置部とを備えた構成となっている。脚載置部は、その幅方向両側に夫々側壁を有しているとともに、幅方向中央位置に中間壁を有しており、これら側壁と中間壁との間に略U字状の施療凹部が夫々形成されている。施療凹部は、その上面及び前後両端が夫々開放された構成であって、その内部に使用者の下肢を収納支持するのに使用される。また、側壁と中間壁との互いに対向する凹部側面及び凹部の底面には夫々空気袋が設けられており、椅子本体に設けられたエアー給排気装置によって各空気袋を膨張させて使用者の下肢をマッサージするように構成されている。
【0005】
また、特開2002−238963号公報には、下腿に対するマッサージだけでなく、足先部に対するマッサージを行うことが可能な椅子式マッサージ機が開示されている。当該公報に開示されている椅子式マッサージ機は、座部の前方に上下に回動自在に配されて座部への着座者(被施療者)の下肢(下腿)を保持するレッグレストと、レッグレストの先端に上下に回動自在に配されて着座者の足先部を保持するフットレストとを備え、レッグレストには着座者の下腿を収める溝部が設けられており、フットレストには、着座者の足裏(足底)又は足首背面側を底面に接触させる溝部が設けられた構成となっている。また、かかる椅子式マッサージ機は、レッグレストの回動に連動してレッグレストに対してフットレストが回動し、フットレストが略水平状態を常時保つように構成されており、これにより、レッグレストが鉛直下向きにある時には、フットレストの溝部底面に着座者の足底が接触し、レッグレストが略水平状態にある時には、フットレストの溝部底面に着座者の足首背面側が接触するようになっている。更に、レッグレスト及びフットレストには空気袋が夫々設けられており、これによりレッグレスト着座者の下腿及び足先部を当該空気袋にてマッサージすることが可能となっている。
【特許文献1】特許第3012127号公報
【特許文献2】特許第3012780号公報
【特許文献3】特開2002−238963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許第3012127号公報に開示されているエアマッサージ装置、及び特許第3012780号公報に開示されているエアーマッサージ機にあっては、下肢マッサージ用の下肢マッサージ器及び脚載置部に、保持溝及び施療凹部の凹状部分が形成されており、当該凹状部分が何れも上方及び前後端が開放された構成とされているので、被施療者(使用者)の下肢のうちでもその中間部分である下腿、即ち膝から足首までの部分を支持し、これを施療するのに適した構成ではあるが、踵(かかと)の後部を施療するのに適した構成とはなっていない。
【0007】
また、特開2002−238963号公報に開示されている椅子式マッサージ機にあっては、レッグレストが鉛直下向きにある時には、被施療者(着座者)の下肢が膝で屈曲された状態にあり、レッグレストが略水平状態にある時には、被施療者の下肢が略真っ直ぐに延びた状態にある。ここで、被施療者の下腿の回動中心である膝と、レッグレストの回動中心とが異なる位置にあるため、レッグレストが鉛直下向きにある時よりも略水平状態にある時の方が、被施療者の下肢の上方(即ち、被施療者の躯幹(くかん)側)の部位がレッグレストによって保持されることとなる。従って、当該公報に開示されている椅子式マッサージ機にあっては、レッグレストが鉛直下向きにある時に被施療者が無理なく足底をフットレストの溝部底面に置くことができる状態で、レッグレストを略水平状態とした場合には、フットレストが略水平状態を保つようにレッグレストに対して相対的に回動して、被施療者が下肢を自然に略真っ直ぐに延ばすことができるように構成されているが、かかる構成によりレッグレストが略水平状態にある時には被施療者の足底を支持することができなかった。
【0008】
また、その一方でレッグレストが鉛直下向きにある時には、フットレストの溝部底面に被施療者の足底が接触しているため、踵の後部、即ち足首背面側が溝部底面に接触せず、当該踵の後部を施療することができない。従って、被施療者の踵の後部を施療する場合には、レッグレストを略水平状態となるまで回動させる必要があり、不便であった。
【0009】
また、踵の後部には、例えば僕参、足踵、女膝、太鐘と呼ばれる複数の経穴が存在し、この部分に刺激を与えることによって血行促進、疲労回復、及びリラックス等の効果だけでなく、各種内臓の機能調整等の効果をも得ることができるとされているが、上述した如き従来の椅子型マッサージ装置においては、足底を支持した状態で踵の後部を施療し得る構成のものは存在しなかった。
【0010】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、踵の後部を施療するのに適した構成であり、被施療者が着座しているときには、被施療者の下肢が屈曲されているか否かを問わず、当該被施療者の足底を支持することができる椅子型マッサージ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係る椅子型マッサージ装置は、被施療者が着座する座部と、該座部前方に配されるフットレストとを備える椅子型マッサージ装置であって、前記フットレストは、被施療者の足底を支持する足底支持面と、該足底支持面の後側に立設されて被施療者の踵の後部を支持する踵支持面と、該踵支持面に設けられて被施療者の踵の後部に押圧刺激を与える踵施療部とを有している。
【0012】
このような構成とすることにより、足底を支持した状態で踵の後部を施療することができるため、施療時の踵位置が安定して適切な施療を行うことができる。また、踵の後部を適切に施療することにより、血行促進、疲労回復、リラックス、及び各種内臓の機能調整等の様々なマッサージ効果を得ることが期待できる。なお、ここでいう「踵の後部」とは、足首後部、アキレス腱の周辺部分まで含むものとしている。
【0013】
また、前記踵施療部は、被施療者の踵の後部を挟んで当該踵の後部に押圧刺激を与えるよう構成されていてもよい。このような構成とすることにより、被施療者が座部に着座して足底支持面に足底を置き、踵支持面にて踵を支持させた自然な姿勢で踵の後部の施療を受けることができる。
【0014】
また、前記踵支持面は、被施療者の両脚の踵の後部を夫々支持すべく構成されており、左右の踵の夫々を支持する踵支持位置の間に、被施療者の両脚の踵を前記踵支持位置へ案内すべく突設された突出面を有していてもよい。このような構成とすることにより、座部に着座した被施療者の踵は自然に踵支持位置へ導かれるため、踵の施療を受ける際に煩わしい位置合わせ等が不要である。
【0015】
また、前記踵支持面は、被施療者の左右の踵の後部を夫々支持すべく、前記突出面の左右に並設されて前方へ開口した凹状面を有し、該凹状面は、前方へ向かうに従って左右の対向面間の距離が大きくなるように構成されていてもよい。このような構成とすることにより、座部に着座した被施療者の踵は、より一層自然に踵支持位置へ導かれることとなって利便性が向上する。
【0016】
また、前記踵施療部は、給排気されることにより膨張及び収縮する空気袋が、被施療者の踵を支持する踵支持位置の左右両側に夫々配されて構成されていてもよい。このような構成とすることにより、踵の後部は痛みに対して比較的敏感であるため、空気袋によって圧迫することにより、被施療者に殆ど痛みを感じさせずに効果的なマッサージが可能となる。
【0017】
また、前記空気袋は、給気されることによって略扁平な状態から略扇状に膨張するよう構成され、1つの踵支持位置に対して少なくとも一対の前記空気袋が、膨張したときに被施療者の踵を押圧する押圧面が互いに近接するようにして前記踵支持面に取り付けられていてもよい。このような構成とすることにより、簡単な構成で、被施療者の踵の後部を各空気袋の押圧面によって挟むように押圧することができる。
【0018】
また、前記フットレストは、前記座部の前部又はその近傍に設けられた回動軸を中心として前後に回動可能に構成されていてもよい。このような構成とすることにより、着座した被施療者の下肢が屈曲されている場合も伸ばされている場合も、足底を支持した状態で踵の後部を施療することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る椅子型マッサージ装置による場合は、踵の後部を施療するのに適した構成であり、被施療者が着座しているときには、被施療者の下肢が屈曲されているか否かを問わず、当該被施療者の足底を支持することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ装置の全体の構成を示す斜視図である。図1に示す如く、本実施の形態に係る椅子型マッサージ装置1は、椅子型をなしており、座部2,背凭れ部3,フットレスト4,及びアームレスト(肘掛け部)5から主として構成されている。座部2は、その下部両側に夫々脚部2aを有する基台(図示せず)の上部に、上面が座面2bとして用いられるように略平坦に形成されたクッション部2cが配されて構成されている。クッション部2cは、ウレタンフォーム,スポンジ,又は発泡スチロール製の内装材(図示せず)が前記基台の上面に載置されており、更にこれをポリエステル製の起毛トリコット,合成皮革,又は天然皮革等からなる外装材(カバー)にて覆って構成されている。
【0022】
座部2の上部前側(椅子型マッサージ装置1に着座した被施療者から見たときの前側をいう。また、以下において左とは椅子型マッサージ装置1に着座した被施療者から見たときの左をいい、右とは同被施療者から見たときの右をいう。)には、被施療者の足首及び脹脛(ふくらはぎ)をマッサージするためのフットレスト4の上端部が枢着されている。これにより、フットレスト4は、その上端部を中心にして前後に回動可能とされている。
【0023】
かかるフットレスト4は、被施療者の脹脛部分を支持する脹脛載せ部材4aと、被施療者の足、即ち足首から足先までの部分を支持する足載せ部材4bとを有しており、詳しくは後述するように、複数の空気袋が設けられていて、これらの空気袋が座部2又は背凭れ部3に内蔵されたポンプ及びバルブ等からなる給排気装置9(図14参照)にエアホース(図示せず)によって接続されていて、該給排気装置9からの給排気によって膨張又は収縮するように構成されている。これにより、被施療者が着座したときに、該空気袋が膨張及び収縮を繰り返すことによって、被施療者の脹脛並びに足底及び踵(かかと)の後部に対して押圧刺激を与えるようになっている。
【0024】
また、複数の空気袋が、座部2の座面奥側にも配されている。これらの空気袋もまた、エアホース(図示せず)を介して給排気装置9に接続されており、給排気装置9からの給排気によって膨張又は収縮するように構成されている。また、座部2の座面中央の奥側には、前述したものと同様の構成のバイブレータ(図示せず)が設けられている。このような構成により、被施療者が座部2に着座した状態で前記空気袋の膨張・収縮を繰り返すことで、被施療者の臀部に押圧刺激を与えることができ、同状態でバイブレータを駆動することで、被施療者の肛門部に振動刺激を与えることができる。
【0025】
更に座部2の後部には、背凭れ部3が設けられている。背凭れ部3は、被施療者の上半身を支持すべく、一般的な体格の成人が椅子型マッサージ装置1に着座した際に、該成人の身体の一部がその外部にはみ出ない程度の大きさとされており、前面視略長方形をなしている。背凭れ部3の下端部は、座部2の後部に横方向の枢軸によって枢支されており、この枢軸を中心に背凭れ部3が回動することにより、前後にリクライニングが可能とされている。また背凭れ部3の両側部には、座部2の基台に固定支持されたアームレスト5が夫々設けられている。このアームレスト5は、背凭れ部3の両側部から前方へ延びていて、被施療者が椅子型マッサージ装置1に着座したときに、肘置きとして用いることができるようになっている。
【0026】
背凭れ部3の内部には、図2に示す如きマッサージ機構6が設けられている。図2は、本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ装置1が有するマッサージ機構6の構成を示す分解斜視図である。マッサージ機構6は被施療者の身体に機械的刺激を与える4つのローラ状の施療子10を有している。また、この施療子10を変位駆動するDCサーボモータのモータ11、12が設けられている。施療子10は2つのV字状のアーム13の先端それぞれに取り付けられている。夫々のアーム13は、略V字状をなす2つのコンロッド14に所定の範囲内で回転可能であるように夫々取り付けられている。各コンロッド14には、嵌合孔15が設けられており、この嵌合孔15に回転軸16の両端に設けられた傾斜部17が遊嵌されている。この傾斜部17は、回転軸16に対して所定角度傾斜した状態で設けられたものである。回転軸16の中間部分には、ヘリカルギヤ18aが同軸的に設けられており、このヘリカルギヤ18aがウォーム18bと噛合している。このように、ヘリカルギヤ18aとウォーム18bとでウォームギヤ機構18が構成されている。
【0027】
ウォーム18bの一端には、プーリ19aが同軸的に設けられており、ベルト19bによってこのプーリ19aとモータ11の出力軸に設けられたプーリ19cとが連結されている。従って、モータ11の回転運動はベルト19bを介してウォーム18bへ伝達され、ウォーム18bの回転によって回転軸16が回転する。そして、回転軸16の回転に伴い、傾斜部17が円錐形の軌跡を描くように変位し、これによってコンロッド14が規則的に動作して、左右の施療子10が近接・離反するように左右及び上下方向へ略楕円を描くように移動する。これが施療子10の揉み動作となる。なお、施療子10の揉み動作には、左右の施療子10が近接するときに前方(施療者側)へ移動し、左右の施療子10が離反するときに後方へ移動する動作も含まれる。このように、揉み動作では、施療子10が3次元的に移動することとなる。
【0028】
また、図2に示すように、コンロッド14の下部には嵌合穴20が設けられており、この嵌合穴20に連結部材21に設けられた突出部22が挿入されている。連結部材21には、横方向の孔23が設けられており、この孔23に、回転軸24の両端部に設けられた偏心部25が遊嵌している。また、回転軸24の中間部分にはプーリ26aが同軸的に設けられており、ベルト26bによってこのプーリ26aとモータ12の出力軸に設けられたプーリ26cとが連結されている。従って、モータ12の回転運動はベルト26bを介して回転軸24に伝達され、回転軸24の両端の偏心部25の公転によって連結部材21が略上下に移動する。この結果、コンロッド14が嵌合孔15を中心に往復回動するので施療子10が円弧を描くように略上下に往復移動する。モータ12を一定速度で回転させたときには、一定の周期で施療子10が往復移動することとなり、こが施療子10のたたき動作となる。また、モータ12をその回転速度を変化させながら回転させたときには、変則的な周期で施療子10が往復移動することとなり、これが施療子10の指圧動作となる。
【0029】
このように、モータ11の駆動によって施療子10の揉み動作が、モータ12の駆動によって施療子10のたたき動作及び指圧動作が行われ、モータ11,12を同時に駆動することにより、揉み動作及びたたき動作又は揉み動作及び指圧動作が合成されて行われることとなる。もちろん、各動作を独立に行うことも可能である。
【0030】
このようなマッサージ機構6は、図1に示すように昇降台28に取り付けられており、この昇降台28の両側端にはローラ28aが設けられている。該ローラ28aは、ガイドレール29に転動することが可能であるように支持されている。また昇降台28には図示しないナットが設けられており、このナットに前記ガイドレール29と平行に設けられたねじ棒30が螺合せしめられている。該ねじ棒30その上下端が枢支されており、またその下端が背凭れ部3の下部に設けられたモータ(図示せず)の出力軸に連結されている。従って、該モータの駆動によってねじ棒30が回転したときには、ローラ28aがガイドレール29に係合していることによって、前記ナットを有する昇降台28がねじ棒30と一体的に回転することが規制され、前記ナットと前記ねじ棒30とが相対的に回転して、昇降台28及びマッサージ機構6が昇降することとなる。このような構成により、被施療者が背凭れ部3に上半身を凭れかけた状態でマッサージ機構6を昇降させることで、被施療者の背中を上下に施療子10が転動するローリング動作を行うことができる。
【0031】
次に、フットレスト4の構成について更に詳しく説明する。なお、以下の記載においては、説明を簡単にするために、フットレスト4を座面2bの前端から略鉛直下方へ延ばした状態について説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ装置1が有するフットレスト4の構成を示す斜視図である。図3に示すように、本実施の形態に係るフットレスト4は、脹脛載せ部材4a、足載せ部材4b及び伸縮機構4cによって主として構成されている。脹脛載せ部材4aは、座部2の座面2bの前下方に配されており、更にその下方に足載せ部材4bが配されている(図1参照)。かかる脹脛載せ部材4a及び足載せ部材4bは、座部2の上部前側に枢軸31によって回動することが可能であるように取り付けられた伸縮機構4cの前側に夫々上下に並べられた状態で取り付けられている。
【0032】
図4及び図5は、脹脛載せ部材4a及び足載せ部材4bの構成を示す正面図であり、図6はその平面図である。また、図7は、脹脛載せ部材4aの構成を示す平面図であり、図8及び図9は、足載せ部材4bの構成を示す平面図である。図4乃至図7に示す如く、脹脛載せ部材4aは、被施療者の両脚の脹脛を夫々支持する脹脛支持面34と、該脹脛支持面34の両側端から前方へ延びた2つの側壁33とによって、前方及び上下端が夫々開放された1つの凹状溝部を形成するように構成されている。
【0033】
また、図7に示す如く、脹脛載せ部材4aの凹状溝部底面である脹脛支持面34は、被施療者の左右の脹脛を載せやすいように丸みを帯びた窪み34aが左右に並設されている。これらの窪み34aの大きさは脹脛載せ部材4aの凹状溝部の大きさに比して非常に小さく、このため脹脛支持面34は略平坦となっている。従って、被施療者が両脚の脹脛を脹脛載せ部材4aに置いたときに、脹脛支持面34の両方の窪み34aの間に形成された前方へ僅かに突出した部分によって脹脛が拘束されるようなことはなく、被施療者は下腿を脹脛載せ部材4aの凹状溝部内で自由に移動させることができ、自由な姿勢をとることが可能である。なお、ここでいう略平坦とは、被施療者の下腿の移動性を著しく損なうような突出部分が実質的に存在しない程度のものをいう。
【0034】
脹脛支持面34の窪み34aの夫々には空気袋35が配されており、両方の側壁33の対向面には、夫々空気袋36が配されている。空気袋35,36は夫々一端が蛇腹状に展開することが可能であり、他端が展開しないように構成されていて、略扁平な状態から給気されたときに扇状に膨張することが可能となっている。2つの空気袋35は、互いに展開可能な一端を近接させて、即ち当該一端を互いに内側へ向けて、脹脛支持面34の窪み34aに夫々固着されている。また、空気袋36は、展開可能な一端を前方へ向けて、側壁33の内側面に固着されている。各空気袋35,36は、前述した給排気装置9に連通されており、該給排気装置9を駆動することによって空気袋35,36を膨張又は収縮させることが可能となっている(図14参照)。
【0035】
右側の空気袋35,36は被施療者の右脚の脹脛の施療に用いられ、左側の空気袋35,36は被施療者の左脚の脹脛の施療に用いられる。空気袋35の前面及び2つの空気袋36の互いに対向する面は、夫々被施療者の脹脛の後部及び外側部を押圧する押圧面35a,36aとなっている。右側の空気袋35,36は夫々給気されたときに、押圧面35a,36aが近接するように扇状に膨張する。また、左側の空気袋35,36も夫々給気されたときに押圧面35a,36aが近接するように扇状に膨張する。これにより、被施療者の脹脛を挟んで当該脹脛に押圧刺激を与えることができるようになっている。
【0036】
このように、空気袋35,36によって、本発明に係る脹脛施療部が構成されている。
【0037】
一方、図4,図5,図6,図8及び図9に示す如く、足載せ部材4bは、被施療者の足底を夫々支持する足底支持面37と、該足底支持面37の後側に立設された踵支持面38と、足底支持面37の両側端から上方へ延びた2つの側壁39とによって、前方及び上方が夫々開放された1つの凹部を形成するように構成されている。なお、ここでいう足とは、足首から下の部分を意味するものとしている。
【0038】
足底支持面37は横方向中央部分が若干上方へ突出しており、図9に示す如く、この突出部分37aによって、被施療者の右の足底を支持する右足底支持位置37bと、左の足底を支持する左足底支持位置37cとが規定されている。また、右足底支持位置37bには、前後に離隔した2箇所に空気袋40,41が取り付けられており、これらの空気袋40,41の間にバイブレータ42が取り付けられている。左足底支持位置37cにも、空気袋40、バイブレータ42及び空気袋41がこの順番で前方から後方へ並べて配されている。
【0039】
空気袋40,41は、夫々前述した空気袋35,36とは異なり、蛇腹部分を有しておらず、扁平な状態から給気されたときに略楕円状に膨張するように構成されている。かかる空気袋40,41もまた、給排気装置9に連通されており、給排気装置9を駆動することによって膨張又は収縮することが可能とされている。バイブレータ42は、例えばDCサーボモータの出力軸に偏心質量が取り付けられた如き構成のものであり、駆動されることによって微振動を発生することができる。かかる構成によって、空気袋40,41の膨張及び収縮を繰り返すことにより、被施療者の足底に対して押圧刺激をその強弱を変化させながら与えることができ、またバイブレータ42を動作させることにより、被施療者の足底に振動刺激を与えることができる。
【0040】
このように、空気袋40,41及びバイブレータ42によって、本発明に係る足底施療部が構成されている。
【0041】
踵支持面38は、被施療者の両方の踵の後部を夫々支持すべく、2つの凹状面38aが左右に並設された形状をなしており、図5に示す如く、夫々の凹状面38aによって、被施療者の右側の踵を支持する右踵支持位置38bと、左側の踵を支持する左踵支持位置38cとが規定されている。換言すれば、踵支持面38は、両方の凹状面38aの間に形成された突出面38dを有しており、この突出面38dによって、右踵支持位置38bと、左踵支持位置38cとが規定されている。これらの右踵支持位置38b及び左踵支持位置38cは、被施療者が椅子型マッサージ装置1を使用するときに、被施療者の両脚の踵置きとして用いられる。このとき、突出面38dが設けられていることにより、着座時に被施療者の踵が夫々右踵支持位置38b及び左踵支持位置38cに案内されることとなる。
【0042】
前記突出面38dは、足載せ部材4bの後端から前後方向中央より若干後方の箇所まで突出しており、それより前方は突出部分37aに連なっている。また、突出部分37aは、突出面38dに比べて高さが十分に低いため、突出面38dより前方は開放されており、中間壁のような被施療者の足先を拘束する部分が存在しない。よって、被施療者は、足先を自由に置くことができ、椅子型マッサージ装置1に着座しているときに様々な姿勢をとることが可能である。
【0043】
また、凹状面38aの対向部分には、給排気装置9に連通された空気袋43が夫々取り付けられている。即ち、1つの凹状面38aにつき2つの空気袋43が設けられており、踵支持面38には合計4つの空気袋43が設けられていることとなる。夫々の空気袋43は、前述した空気袋35,36と同様の構成とされており、蛇腹状の展開可能な一端を前方へ向けて踵支持面38に固着されている。凹状面38aは、前方へ向けて幅が広くなるように、その対向部分がテーパ面とされており、これによって1つの凹状面38aに取り付けられた2つの空気袋43は、展開可能な前端同士の離隔距離が、展開不能な後端同士の離隔距離に比して大きくなるように、互いに傾斜して配置されている。かかる一対の空気袋43の夫々の対向面は、被施療者の踵の後部を押圧する押圧面43aとなっており、夫々の空気袋43は給気されたときに押圧面43aが互いに近接するように扇状に膨張する。これにより、被施療者の踵の後部を挟んで当該踵の後部に押圧刺激を与えることができるようになっている。
【0044】
このように、空気袋43によって、本発明に係る踵施療部が構成されており、空気袋40,41,43及びバイブレータ42によって、本発明に係る足施療部が構成されている。
【0045】
側壁39は、踵支持面38の両側端部分、即ち、4つの空気袋43のうちの両外側に配された2つが取り付けられた部分から前方へ連なって設けられており、かかる側壁39に被施療者の足の外側部分が対向するようになっている。夫々の側壁39の対向面には、給排気装置9に連通された空気袋44が夫々取り付けられている。夫々の空気袋44は、空気袋35,36,43と同様の構成とされており、蛇腹状の展開可能な一端を上方へ向けて側壁39の内側面に固着されている。両方の空気袋44の対向面は、夫々被施療者の足の甲を押圧する押圧面44aとなっている。これによって、空気袋43が扁平な状態から給気された場合には、押圧面44aが傾斜角度を変化させながら下方へ向けて移動することとなり、該押圧面44aによって被施療者の足の甲が押圧される。
【0046】
このように、空気袋44によって、本発明に係る足背押圧部が構成されている。
【0047】
以上説明した如き構成の脹脛載せ部材4a及び足載せ部材4bは、図3に示す如く伸縮機構4cに取り付けられており、互いに近接又は離反するように相対移動することが可能となっている。図10〜図13は、伸縮機構4cの構成を示す斜視図であり、図10及び図11は、最も縮短された状態の伸縮機構4cを斜め前方及び斜め後方からみたときの図であり、図12及び図13は、最も伸長された状態の伸縮機構4cを斜め前方及び斜め後方からみたときの図である。図10及び図12に示す如く、伸縮機構4cは、上部部材45と、中間部材46と、下部部材47とによって主として構成されている。上部部材45は、2つの平行な縦長の角管48を有しており、該角管48の上端部分が互いに連結部材49によって連結された構成となっている。また、強度確保のために、棒状の強度部材50が、2つの角管48の中間部分の間を渡すように設けられている。
【0048】
連結部材49はその中間部分において前方へ突出するように屈曲せしめられており、この突出部分49aに伸縮腕51の一端の関節が、前後方向へ延びる枢軸によって枢着されている。伸縮腕51は、3つの菱形が連続したパンタグラフ機構である。
【0049】
また、夫々の角管48の中間部分の前側には、取付部材48aが夫々固着されている。夫々の取付部材48aは前方へ向かった平面部分を有しており、この平面部分に前述した脹脛載せ部材4aを取り付けるようになっている(図4参照)。
【0050】
更に、夫々の角管48の上端部外側には、前述した枢軸31が横方向へ延びている。これによって、上部部材45は座部2に対して前後方向へ回動することが可能となっている。また、この枢軸31は、座部2に内蔵された図示しない回動装置に連結されており、椅子型マッサージ装置1に設けられた操作部66(図14参照)に対して被施療者が所定の操作入力を行うことにより、自動的にフットレスト4を前後へ回動させることが可能となっている。
【0051】
一方、中間部材46は、平行な縦長の角棒状をなす2つのスライド棒52と、両スライド棒52の下端を連結する横長の連結棒53とを有している。スライド棒52は、夫々角管48に挿入されており、これによって2つのスライド棒52が一体的に夫々の角管48に進入及び退出することが可能となっている。また、連結棒53の横方向中央には、縦長のナット54の下端が取り付けられている。該ナット54にはねじ棒55が螺合しており、ナット54の上端からこのねじ棒55の上部が突出している。
【0052】
ねじ棒55は、連結部材49の突出部分49aの裏側、即ち凹状に窪んだ部分に、軸心を中心として回転することが可能であるように枢着されている。また、連結部材49のねじ棒55の取付箇所の側方には、モータ56が取り付けられており、該モータ56とねじ棒55とが、ベルト及びプーリによって構成された回転伝達機構56aにて連結されている。これにより、モータ56の出力軸の回転運動がねじ棒55に伝達され、ねじ棒55をナット54に進入及び退出させることが可能である。
【0053】
また、ナット54はその外観が角棒状となっており、その長手方向中央部分において伸縮腕51の中間の2つのリンクが交差した関節が、前後方向へ延びる枢軸によって枢着されている。これにより、モータ56を駆動させることによって中間部材46が下降又は上昇し、これに伴って伸縮腕51が伸長又は縮短することとなる。
【0054】
夫々の角管48の対向面、即ち内側面の下端から中央部分にかけて、上下に長い切り欠き48bが設けられている。また、スライド棒52の夫々の長手方向中央部分からは、連結板52aが内側へ、即ち他方のスライド棒52側へ延設されており、この連結板52aにスライド棒52と平行な丸孔を有するガイド57が設けられている。連結板52aは切り欠き48bを貫通して角管48の内外へ渡されており、これによって、連結板52aと角管48とが干渉することなく、スライド棒52を角管48に進入させ留ことが可能であり、またスライド棒52を角管48から退出させることが可能となっている。このようにして、スライド棒52,連結板52a及びガイド57は昇降することが可能とされている。
【0055】
下部部材47は、2つのスライド棒58と、2つの取付部材59と、支持枠60とによって主として構成されている。スライド棒58は、ガイド57に設けられた丸孔よりも若干直径が小さい丸棒状をなしており、ガイド57の丸孔に挿通されている。夫々のスライド棒58の下端は、横長の連結部材58aによって連結されている。また、各スライド棒58の下端部分には、夫々取付部材59が取り付けられている。これらの取付部材59は、前方へ向かった平面部分を有しており、この平面部分に前述した足載せ部材4bを取り付けるようになっている(図4参照)。
【0056】
また、取付部材59の下端からは、略水平面を構成する支持枠60が前方へ延設されている。この支持枠60には、足載せ部材4bの下底面が載せられるようになっている(図4参照)。図4に示す如く、脹脛載せ部材4a及び足載せ部材4bの横幅は略同寸であり、また図には示していないが、脹脛載せ部材4a及び足載せ部材4bが伸縮機構4cに取り付けられたときには、脹脛支持面34よりも踵支持面38の奥部の方が若干後方に位置している。これにより、被施療者の踵を足載せ部材4bに置きやすい構造となり、被施療者がフットレスト4に容易に両脚を載せることができる。
【0057】
また、両方の取付部材59の下端外側には、夫々車輪61を横方向の枢軸回りに回動することが可能であるように枢着してある。これらの車輪61は、伸縮機構4cを最も縮短した状態のときには接地していない。
【0058】
夫々の取付部材59の上端は、横長の連結板59aによって連結されており、この連結板59aには、伸縮腕51の下端の関節が、前後方向へ伸びる枢軸によって枢着されている。従って、モータ56の駆動によって中間部材46が上部部材45に対して離反又は近接する方向へ移動し、伸縮腕51が伸長又は縮短したときに、下部部材47も中間部材46に対して離反又は近接する方向へスライドし、伸縮機構4cが全体として伸長又は縮短することとなる。
【0059】
図14は、本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ装置の構成の一部を示すブロック図である。図14に示す如く、椅子型マッサージ装置1には、制御回路62が設けられている。該制御回路62は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インタフェース等から構成されており、座部2又は背凭れ部3の内部に配されている。該制御回路62は、駆動回路63に接続されており、該駆動回路63が給排気装置9に接続されている。給排気装置9は、電磁弁等の切替バルブ及びエアポンプ等によって構成されており、エアホースによって各空気袋35,36,40,41,43,44に連通せしめられている。また、給排気装置9は、空気袋35,36,40,41,43,44に対して各々独立的に吸気及び排気を行うことが可能となっている。また、駆動回路63は、制御回路62から受信した制御信号に応じて給排気装置9を駆動すべく構成されている。
【0060】
また、制御回路62は、駆動回路64に接続されており、該駆動回路64がバイブレータ42に接続されている。駆動回路64は、制御回路62から受信した制御信号に応じてバイブレータ42を各々独立に駆動すべく構成されている。
【0061】
また、制御回路62は、駆動回路65に接続されており、該駆動回路65がモータ56に接続されている。駆動回路65は、制御回路62から受信した制御信号に応じてモータ56を駆動すべく構成されている。
【0062】
更に、制御回路62には、複数の操作キーが設けられた操作部66が接続されている。操作キー及びその組み合わせに対応して椅子型マッサージ装置1の動作が予め設定されており、被施療者が所望の動作に対応する操作キーを押下したときに、この操作信号が制御回路62に送信され、制御回路62は当該操作入力に対応する制御信号を出力するようになっている。
【0063】
次に、本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ装置1の動作について説明する。被施療者が椅子型マッサージ装置1を使用する場合には、被施療者は座面2bに着座し、両脚をフットレスト4に載せる。このとき、被施療者は両脚を目視して右踵支持位置38b及び左踵支持位置38cに夫々の踵を載せなくても、両方の踵を足載せ部材4bの突出面38dに当てて奥側(後方)へ移動させるだけで、容易に両足底を右足底支持位置37b及び左足底支持位置37cに夫々載せることができる。
【0064】
また、脹脛支持面34が略平坦に構成されており、左右の脹脛を拘束する中間壁等が存在しないため、被施療者は脹脛載せ部材4aの凹状溝部内で脹脛を自由に動かすことができ、膝を合わせる等の楽な姿勢をとることが可能であり、また従来の椅子型マッサージ装置のように、2つの凹状部分に左右の脹脛を夫々挿入するという煩雑な手間がなく、容易に脹脛をフットレスト4に置くことができる。
【0065】
更に、突出面38dより前方にある足底支持面37は、突出部分37aがあるものの該突出部分37aは踵支持面38及び側壁39の高さに比べて非常に低いため略平坦であり、これによって突出面38dより前方の空間は開放されているため、被施療者は足先を自由に動かすことができ、より一層楽な姿勢をとることが可能である。
【0066】
また、被施療者が操作部66(図14参照)に対して所定の操作入力を行った場合には、操作部66から操作信号が制御回路62へ送信され、この操作信号に対応する制御信号が駆動回路65へ送信される。駆動回路65がかかる制御信号に応じてモータ56を駆動し、これによってフットレスト4が伸縮される。これにより、足底支持面37及び踵支持面38の座面2bとの離隔距離が変化されることとなり、被施療者は、足底支持面37を自身の脚の長さに合わせてこの離隔距離を調節する。このとき、前記操作部66に対して前記所定の操作入力とは異なる操作入力を行って、フットレスト4を前後に回動させ、足底支持面37及び踵支持面38と座面2bとの角度を変化させることもできる。
【0067】
また、フットレスト4を伸長させた場合には、車輪61が床に接触することもある。フットレスト4は、鉛直下方へ延びた状態(即ち、図1に示す如き状態)よりも前方へ回動されたときには、自重によって鉛直下方へ延びた状態へ復帰することがないように、その角度を維持すべく構成されている。この構成について更に詳しく説明すると、前述した回動装置を動作させることにより、フットレスト4の傾斜角度を変化させた場合には、変化させた後の傾斜角度よりも後方へのフットレストの回動は制限されるが、その傾斜角度よりも前方への回動は自由となっている。従って、前記傾斜角度よりも前方へは手動でフットレストを回動させることは可能である。このような構成により、フットレスト4を伸長させた途中で車輪61が床に接触した場合には、フットレスト4の伸長に従って車輪61が床上を転動し、これに伴ってフットレストが前方へ回動することとなる。これにより、床面を傷つけることなくフットレストの伸長を円滑に行うことができる。
【0068】
被施療者は、以上のようにフットレスト4の伸縮調整及び角度調整を行い、被施療者が所望の姿勢で、右足底支持位置37b及び左足底支持位置37cに夫々右足底及び左足底を載せた状態とする。この後に、被施療者が操作部66に対して脚部のマッサージ開始を指示する操作入力を行うことにより、脚部のマッサージが開始される。
【0069】
制御回路62は、脚部のマッサージの開始の指示に対応する操作信号を受信したときには、これに対応付けられた制御信号を駆動回路63及び/又は駆動回路64に送信する。これにより、空気袋35,36,40,41,43,44及びバイブレータ42がの一部若しくは全部が所定の順番で駆動され、又は同時に駆動される。
【0070】
被施療者の脹脛に対して施療が行われる場合には、給排気装置9が空気袋35,36に対して給気及び排気を繰り返す。これにより、空気袋35,36が、押圧面35a,36aを互いに近接及び離反させるように膨張及び収縮を繰り返し、これにより、被施療者の脹脛を挟んで当該脹脛に強弱を繰り返す押圧刺激を与えることができる。
【0071】
ここで、本実施の形態においては、空気袋35,36によって被施療者の脹脛を施療する構成としたので、痛みに対して比較的敏感な脹脛を空気袋35,36によって圧迫することにより、被施療者に殆ど痛みを感じさせずに脹脛の効果的なマッサージが可能となる。
【0072】
また、被施療者の足底に対して施療が行われる場合には、給排気装置9が空気袋40,41に対して給気及び排気を繰り返す。これにより、空気袋40,41が膨張及び収縮を繰り返し、これにより、被施療者の足底に対して強弱を繰り返す押圧刺激を与えることができる。更にこれと同時に、又は別個に、バイブレータ42を振動させることもできる。これにより、被施療者の足底に対して振動刺激を与えることができる。
【0073】
ここで、本実施の形態においては、空気袋40,41によって被施療者の足底を施療する構成としたので、痛みに対して比較的敏感な足底を空気袋40,41によって圧迫することにより、被施療者に殆ど痛みを感じさせずに足底の効果的なマッサージが可能となる。また、空気袋40,41に加えてバイブレータ42によっても被施療者の足底を施療する構成であるので、圧迫刺激に加えて振動刺激を被施療者の足底に与えることができ、より一層多様な刺激を足底に与えることができる。
【0074】
また、給排気装置9が空気袋40,41への給排気と同時に空気袋44に対して給気を行って空気袋44を膨張させ、被施療者の足の甲を空気袋44の押圧面44aによって下方へ押圧することもできる。これにより、空気袋40,41の押圧によって被施療者の足底が上方へ逃げることを抑制でき、空気袋40,41による押圧刺激を被施療者の足底により一層効率的に与えることができる。更に、バイブレータ42の駆動と同時に、空気袋44を膨張させることにより、被施療者の足底をバイブレータ42に押し付けることができ、バイブレータ42による振動刺激を被施療者の足底により一層効率的に与えることができる。また、このように被施療者の足の甲を下方へ押圧することにより、足の位置のずれを防止することもできる。
【0075】
また、被施療者の踵の後部に対して施療が行われる場合には、給排気装置9が空気袋43に対して給気及び排気を繰り返す。これにより、一対の空気袋43が、押圧面43aを互いに近接及び離反させるように膨張及び収縮を繰り返し、これにより、被施療者の踵の後部を挟んで当該踵の後部に強弱を繰り返す押圧刺激を与えることができる。また、このとき給排気装置9が空気袋44に対して給気を行って空気袋44を膨張させ、被施療者の足の甲を空気袋44の押圧面44aによって下方へ押圧することにより、空気袋43の押圧によって被施療者の足が前方へ逃げることを抑制でき、空気袋43による押圧刺激を被施療者の踵の後部により一層効率的に与えることができる。
【0076】
また、被施療者が座面2bに着座した楽な姿勢で空気袋43による踵の後部の施療を受けることが可能となり、踵の後部に存在する僕参、足踵、女膝、太鐘等の経穴を刺激することにより、血行促進、疲労回復、リラックス、及び各種内臓の機能調整等の様々なマッサージ効果を得ることが期待できる。
【0077】
また、本実施の形態に係る椅子型マッサージ装置1においては、被施療者の足底を足底支持面37に載せたまま、フットレスト4を回動及び伸縮させることができるので、被施療者の下肢が膝で屈曲された状態及び真っ直ぐに延びた状態の両方で、被施療者の足底を支持することができ、空気袋40,41及びバイブレータ42によって施療することができる。
【0078】
以上の如き構成としたことにより、本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ装置1は、足底支持面37、踵支持面38及び空気袋40,41,43及びバイブレータ42を有しているため、被施療者の足底及び踵の後部を支持し、また足(足首から下の部分)を施療するのに適した構成となっている。
【0079】
また、本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ装置1においては、足底支持面37及び踵支持面38が、座面2bに対して略同一角度を維持しながら、即ちフットレスト4を前後に回動させずに一定の傾斜角度を保ったまま、フットレスト4を伸縮させて前記足底支持面37及び踵支持面38と座面2bとの離隔距離を変化させることができるようになっているため、被施療者が当該椅子型マッサージ装置1に着座しているときには、被施療者の下肢が屈曲されているか否かを問わず、常に足底支持面37によって被施療者の足底を支持することが可能である。また、これにより、被施療者の体格に合わせて、被施療者が自然な姿勢をとることができるように、足底支持面37の位置を調節することが可能である。なお、ここでいう略同一角度を維持するとは、着座した被施療者の足底を足底支持面37で支持できる程度、及び被施療者の踵の後部を踵支持面38で支持できる程度の足底支持面37及び踵支持面38と座面2bとの相対角度の変化は許容するものとしている。
【0080】
また、足底支持面37及び踵支持面38によって夫々被施療者の足底及び踵の後部を支持することができるため、被施療者の足底及び踵を同時に安定させることができる。
【0081】
また、フットレスト4を所望の傾斜角度まで回動させた後に伸縮させて、足底支持面37及び踵支持面38の座面2bに対する相対角度を略同一角度に維持しながら、足底支持面37及び踵支持面38と座面2bとの離隔距離を変化させることもできるので、例えば被施療者の下肢を膝で屈曲させた状態と、当該下肢を略真っ直ぐに延ばした状態との両方で、被施療者の足底及び踵の後部を確実に支持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は椅子型マッサージ装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ装置の全体の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ装置が有するマッサージ機構の構成を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ装置が有するフットレストの構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ装置が有する脹脛載せ部材及び足載せ部材の構成を示す正面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ装置が有する脹脛載せ部材及び足載せ部材の構成を示す正面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ装置が有する脹脛載せ部材及び足載せ部材の構成を示す平面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ装置が有する脹脛載せ部材の構成を示す平面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ装置が有する足載せ部材の構成を示す平面図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ装置が有する足載せ部材の構成を示す平面図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ装置が有する伸縮機構を斜め前方からみたときの斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ装置が有する伸縮機構を斜め後方からみたときの斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ装置が有する伸縮機構を斜め前方からみたときの斜視図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ装置が有する伸縮機構を斜め後方からみたときの斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ装置の構成の一部を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0084】
1 椅子型マッサージ装置
2 座部
2a 脚部
2b 座面
2c クッション部
3 背凭れ部
4 フットレスト
4a 脹脛載せ部材
4b 足載せ部材
4c 伸縮機構
5 アームレスト
6 マッサージ機構
9 給排気装置
10 施療子
11,12 モータ
13 アーム
14 コンロッド
15 嵌合孔
16 回転軸
17 傾斜部
18 ウォームギヤ機構
18a ヘリカルギヤ
18b ウォーム
19a プーリ
19b ベルト
19c プーリ
20 嵌合穴
21 連結部材
22 突出部
23 孔
24 回転軸
25 偏心部
26a プーリ
26b ベルト
26c プーリ
28 昇降台
28a ローラ
29 ガイドレール
30 ねじ棒
31 枢軸
33 側壁
34 脹脛支持面
34a 窪み
35,36 空気袋
35a,36a 押圧面
37 足底支持面
37a 突出部分
37b 右足底支持位置
37c 左足底支持位置
38 踵支持面
38a 凹状面
38b 右踵支持位置
38c 左踵支持位置
38d 突出面
39 側壁
40,41 空気袋
42 バイブレータ
43 空気袋
43a 押圧面
44 空気袋
44a 押圧面
45 上部部材
46 中間部材
47 下部部材
48 角管
48a 取付部材
48b 切り欠き
49 連結部材
49a 突出部分
50 強度部材
51 伸縮腕
52 スライド棒
52a 連結板
53 連結棒
54 ナット
55 ねじ棒
56 モータ
56a 回転伝達機構
57 ガイド
58 スライド棒
58a 連結部材
59 取付部材
59a 連結板
60 支持枠
61 車輪
62 制御回路
63〜65 駆動回路
66 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者が着座する座部と、該座部前方に配されるフットレストとを備える椅子型マッサージ機であって、
前記フットレストは、被施療者の足底を支持する足底支持面と、該足底支持面の後側に立設されて被施療者の踵の後部を支持する踵支持面と、該踵支持面に設けられて被施療者の踵の後部に押圧刺激を与える踵施療部とを有していることを特徴とする椅子型マッサージ装置。
【請求項2】
前記踵施療部は、被施療者の踵の後部を挟んで当該踵の後部に押圧刺激を与えるよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の椅子型マッサージ装置。
【請求項3】
前記踵支持面は、被施療者の両脚の踵の後部を夫々支持すべく構成されており、左右の踵の夫々を支持する踵支持位置の間に、被施療者の両脚の踵を前記踵支持位置へ案内すべく突設された突出面を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の椅子型マッサージ装置。
【請求項4】
前記踵支持面は、被施療者の左右の踵の後部を夫々支持すべく、前記突出面の左右に並設されて前方へ開口した凹状面を有し、該凹状面は、前方へ向かうに従って左右の対向面間の距離が大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の椅子型マッサージ装置。
【請求項5】
前記踵施療部は、給排気されることにより膨張及び収縮する空気袋が、被施療者の踵を支持する踵支持位置の左右両側に夫々配されて構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の椅子型マッサージ装置。
【請求項6】
前記空気袋は、給気されることによって略扁平な状態から略扇状に膨張するよう構成され、1つの踵支持位置に対して少なくとも一対の前記空気袋が、膨張したときに被施療者の踵を押圧する押圧面が互いに近接するようにして前記踵支持面に取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載の椅子型マッサージ装置。
【請求項7】
前記フットレストは、前記座部の前部又はその近傍に設けられた回動軸を中心として前後に回動可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の椅子型マッサージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−87945(P2006−87945A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−362956(P2005−362956)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【分割の表示】特願2003−7816(P2003−7816)の分割
【原出願日】平成15年1月16日(2003.1.16)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】