説明

植栽コンテナ、植栽ユニット及び植栽設備

【課題】側壁の上端や側壁の四隅等に踏圧など上方から大きな荷重が加わった際の転倒を防止することができ、設置状態の安定性が高い植栽コンテナを提供する。
【解決手段】底板11と側壁上端12aが側壁下端12bよりも外方に位置する側壁12を有する上方開放の植栽コンテナであって、底板11から下方に突出形成されている支持脚132に外方へ突出する補助脚14を設け、補助脚14の外方の先端部14bが側壁上端12aよりも内側の位置まで突出するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばビルの屋上、テラス、ベランダ、折板屋根等の緑化に用いられる植栽コンテナ、植栽ユニット及び植栽設備に関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会における都市部には自然が不足しているが、人間の自然に対する希求に応えて自然不足を補うべく、都市部における緑化対策が図られている。かかる緑化対策は、例えばビルの屋上、ベランダ、テラスなど人工地盤や、折板屋根など建物の屋根等を人工的に緑化することで行われている。緑化対策に用いられる植栽設備には様々なものがあるが、施工性の良さから、植栽コンテナを並べて敷設面に敷設する植栽設備が主流になりつつある。
【0003】
前記植栽コンテナを並べて敷設面に敷設する植栽設備を開示している先行技術文献に特許文献1がある。特許文献1には、上方開放の容器本体と、床面に配置される配管と係合するように容器本体の底部に一体形成された係合部と、配管と連通するように係合部に対応して容器本体の底部に開口した導通口と、容器本体内の下部の保水部と上部の植栽部とを上下に仕切る仕切体を具備するプランター(植栽コンテナ)で、側壁上部よりも下部が内方に位置するように段部を形成し、前記段部に仕切体を載置する構成が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−215687号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の植栽コンテナは、側壁上部が側壁下部よりも外方に突出して形成されているため、側壁の上端や側壁の四隅等に、踏圧など上方から大きな荷重が加わると植栽コンテナが転倒する虞がある。そのため、斯様な植栽コンテナの転倒の危険性を無くすことができる植栽コンテナが求められている。
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、側壁の上端や側壁の隅部等に踏圧など上方から大きな荷重が加わった際の転倒を防止することができ、設置状態の安定性が高い植栽コンテナ、植栽ユニット及び植栽設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の植栽コンテナは、上部が下部よりも外方に位置するように側壁を形成する上方開放の植栽コンテナであって、該側壁の下端近傍に、若しくは底部から下方に突出して形成する支持脚に、該側壁下端よりも外方へ突出する補助脚を設けることを特徴とする。例えば側壁の下側で下方に突出する支持脚など全部若しくは一部の支持脚に、側壁下端よりも外方へ突出する補助脚を設ける。前記補助脚は、側壁下端近傍位置の側壁に或いは支持脚に一体形成する、或いは別体の部材を固定部材による固定、接着、係着等で設けることが可能である。尚、植栽コンテナは、例えば貯水トレー等の貯水部若しくは保水シート等の保水部に載置して使用する、或いはそのまま使用する貯水部を有しないものの他、植栽コンテナの下部に仕切板等で仕切られて貯水部が設けられるもの等とすることが可能である。
また、本発明の植栽コンテナは、前記補助脚の外方の先端部が前記側壁の上端よりも内側の位置若しくは前記側壁上端と平面視同一位置まで突出する補助脚を設けることを特徴とする。前記構成の他、例えば植栽コンテナの一方の隣り合う側壁と他方の隣り合う側壁、或いは一方の対向する隅部と他方の対向する隅部のそれぞれの下部に形成される補助脚の形状や位置を異ならせて、補助脚の外方の端部が側壁上端よりも外側の位置になるように全部若しくは一部の支持脚に補助脚を設け、その植栽コンテナを一定の向きになるように並設し、一の植栽コンテナの補助脚の先端凸部を隣りに並設する他の植栽コンテナの補助脚に先端凹部に係合する、或いは一の植栽コンテナの補助脚を隣りに並設する他の植栽コンテナの補助脚と接触しないようにすること等が可能である。
また、本発明の植栽コンテナは、前記補助脚と支持脚が平面視板状であり、補助脚の幅を支持脚の幅よりも厚くすることを特徴とする。例えば平板状で平面視I字形等の補助脚の肉厚を、平板状で平面視I字形若しくはL字形等の支持脚の肉厚を厚くし、補助脚の幅を支持脚の幅よりも厚くする。また、補助脚は、支持脚の上端近傍から所定距離下方へ傾斜する傾斜面を有する台形状等のものや、或いは外方へ向かって幅が広がるもの等としても良好である。
また、本発明の植栽コンテナは、植栽コンテナの底部から上方へ突出する柱状部材と平面視で対応する位置に形成する支持脚に該補助脚を設けることを特徴とする。
また、本発明の植栽ユニットは、植栽コンテナを貯水トレー内に載置し、前記補助脚の外方端部と貯水トレーの側壁との接触により、植栽コンテナの横方向への移動を規制することを特徴とする。例えば3個、4個若しくはそれ以上の複数の補助脚の外方端部が載置状態で貯水トレーの側壁内端より僅かに内側に配置される構成、或いは前記複数の補助脚の外方端部が載置状態で貯水トレーの側壁内端や内面に略当接する構成、或いは複数の補助脚の外方端部が貯水トレーの側壁内面に係合される構成等とすることが可能である。
また、本発明の植栽設備は、植栽コンテナを貯水トレー内に載置する植栽ユニットを複数並設する植栽設備であって、隣り合う植栽コンテナの側壁間に形成される空間に配管を配設し、補助脚を配管の下側に配置する等により、該配管を植栽コンテナの補助脚で支持することを特徴とする。前記構成の他、補助脚を配管の下方或いは側方に配置し、配管を貯水トレーの側壁で支持する構成等とすることが可能である。
尚、本願の発明には、各発明や実施例の部分的な構成を他の発明や実施例等の構成に変更し、或いは各発明や実施例の構成に他の構成を付加し、或いは各発明や実施例の部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して上位概念化したものも含まれる。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、側壁の上部が下部よりも外方に位置する植栽コンテナに側壁下端より外方へ突出する補助脚を設けることにより、支持強度を補強することができ、側壁の上端や側壁の隅部等に踏圧など上方から大きな荷重が加わった場合の転倒を防止し、植栽コンテナ等の設置状態の安定性を高めることができる。
また、補助脚の外方端部が側壁上端よりも内側の位置や側壁上端と同一位置になるように補助脚を設けることで、隣接配置される植栽コンテナの補助脚同士が干渉することが無くなる。
また、補助脚の幅を支持脚の幅よりも厚くすることで、支持強度の補強をより強化することができる。
また、植栽コンテナの柱状部材と平面視で対応する位置に形成する支持脚に補助脚を設けることで、植栽コンテナ内に踏圧など上方から大きな荷重が加わった際の支持強度を強化することができる。
また、補助脚の外方端部と貯水トレーの側壁との接触により、植栽コンテナの横方向への移動を規制し、貯水トレー内で植栽コンテナを位置決めすることができる。
【0008】
また、補助脚で配管を支持することにより、配管を支持する部材を別途用意する必要が無くなり、コストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明について実施例の植栽コンテナに基づき説明するが、本発明は以下の実施例や例示に限定されるものではなく、各実施例や例示の構成を適宜組み合わせたものも本発明に含まれる。
【実施例1】
【0010】
第1実施例の植栽コンテナ10は、図1に示すように、底部である平面視方形の底板11と側壁12で構成される上方開放の略箱形であり、側壁12は底板11から上方へ向かってテーパ状に広がるように形成され、側壁12の上端12aが下端12bよりも外方に位置している。底板11には、4辺の側壁12のそれぞれの略中央に板状で底面視略I字形の支持脚131が下方に突出し且つ底板11の辺に沿って形成され、隅部に板状で底面視略L字形の支持脚132が下方に突出し且つ底板11の隅部に沿って形成されており、四隅の支持脚132の角部には底板11の対角線方向に外方へ突出する板状の補助脚14が一体形成されている。補助脚14は、外方に向かうに従い支持脚132の上端から漸次低くなる傾斜面の傾斜部14aを上面とする略台形であり、補助脚14の先端部14bは側壁上端12aよりも内側に位置し、且つ側壁下端12bよりも外側に位置しており、側壁下端12bから側壁上端12aまでの水平方向の距離S<側壁下端12bから補助脚先端部14bまでの水平方向の距離Tになっている。補助脚14の肉厚は、支持脚131或いは支持脚132の肉厚よりも厚く形成されている。更に、底板11には、スリット状の通水兼通気孔15が複数形成されており、通水兼通気孔15は植栽コンテナ10内の余剰水の排水と新鮮な空気を植物23の根へ送る機能を担う。
【0011】
前記植栽コンテナ10内には、育成材21を充填し、育成材21上に切芝等の植物23を有する植栽マット22を載置して植栽する、或いは育成材21に植物23を植栽する。使用する育成材21は適宜であるが、屋上或いはベランダ等に植栽コンテナ10を敷設する場合には出来るだけ軽量なものが好ましく、例えばパーライト、バーミキュライト、ピートモス、バーク堆肥、チャフコン、木質腐朽有機物、ゼオライト等、建築廃材、下水又は浄水汚泥等、或いは椰子繊維等を用いる。また、前記例示の育成材の内の数種類や、必要に応じて根腐れ防止用の珪酸塩白土などを植栽の種類、環境などに応じて適宜選定し、これを保水性、排水性、通気性を良好にするためバランスよく配合した軽量育成材等としてもよく、斯様な通気性等が良好な軽量育成材を採用することにより、植物23の根が傷むことを防止できる。更に、軽量育成材による荷重は例えば従来の客土の約1/3程度であり、軽量育成材を用いることで敷設面40への荷重付加を軽減することができる。また、植物23には、芝生など地被植物等とすると、踏圧に耐えられ植栽コンテナ10内に人が出入り可能になって好適であるが、セダムなどの多肉植物、コケ、蔓性植物、樹木や花など適宜選択して使用するなど、適宜の植物を用いることが可能である。
【0012】
植栽コンテナ10を並設して植栽設備を構成する場合には、例えば敷設面40に複数の植栽コンテナ10を縦横に隣接するように並べて敷設する。植栽コンテナ40を敷設した際には、植栽コンテナ10の支持脚131、132の下面に加えて補助脚14の下面が敷設面40に略面接触し、植栽コンテナ10は敷設面40に安定して設置される。尚、植栽コンテナ10への育成材21の充填や植栽は、植栽コンテナ10の敷設面40への並設後としてもよく、又、植栽コンテナ40を順次並設しつつ、並設が完了した植栽コンテナ40に順次育成材106の充填と植栽を施す等の順序で施工してもよく、適宜の手順で施工することが可能である。
【0013】
上記第1実施例の植栽コンテナ10は、植栽コンテナ側壁12の略中央部や隅部に於ける側壁上端12aの近傍、或いは植栽設備で隣り合う植栽コンテナ10・10の側壁12・12相互で形成される空間の上側に位置する側壁上端12aの近傍に、例えば人が立ち入った場合の踏圧など大きな荷重が負荷された場合に、補助脚14の補強による高い強度で支持することができ、植栽コンテナ10の転倒を防止することができる。更に、補助脚14を支持脚131或いは支持脚132或いはその両者よりも幅広で形成することにより、より支持強度を高め、設置状態の安定性を一層高めることができる。
【実施例2】
【0014】
次に、第2実施例の植栽コンテナ10等について、上記第1実施例と異なる箇所の詳細を説明する。
【0015】
第2実施例の植栽コンテナ10は、図2に示すように、基本的な構成は第1実施例と同様であるが、底面視略I字形の支持脚131の略中央に、底板11の辺と垂直方向に外方へ突出して板状の補助脚141が形成されている。補助脚141の形状及び形成位置は上記第1実施例で述べた補助脚14と同一であり、傾斜面の傾斜部141a、先端部141bを有し、補助脚先端部141bは側壁上端12aよりも内側に位置し、且つ側壁下端12bよりも外側に位置する。更に、底板11には、中空で上方開放の吸水凸部16が支持脚131、132より若干短い長さで下方に突出形成され、吸水凸部16の下端面16aにはスリット状の吸水孔17が複数形成されている。植栽コンテナ10内の雨水や潅水等による余剰水は、前記吸水孔17及び通水兼通気孔15から後述する貯水トレー30内に排出され、植栽コンテナ10内の育成材21内の水分が少なくなると、貯水トレー30の貯水が育成材21の毛細管現象により吸水孔17から植物23の根へ導かれるようになっている。
【0016】
本例の植栽コンテナ10の下方には、図3に示す貯水トレー30が設けられ、植栽ユニットが構成される。貯水トレー30は、底部である平面視方形の底板31と側壁32で構成される上方開放の略箱形であり、側壁32は底板31から上方へ向かってテーパ状に広がるように形成されている。貯水トレー30内に植栽コンテナ10を載置した状態では、図4に示すように、吸水凸部16の下端面16aが貯水トレー底板31の上面より上方に配置され、貯水トレー30内の水分の表面張力等による吸水の不具合を防止可能である。また、貯水トレー30の側壁32の高さは支持脚131、132の高さより低く、貯水トレー30の貯水可能な上限水位よりも植栽コンテナ底板11が上方に配置され、前記上限水位の場合でも底板11と水面との間に常時空気層が形成され、新鮮な空気を通水兼通気孔15から植物23の根へ供給して根腐れを防止し、長期に亘る植物23の良好な育成が可能である。また、補助脚14の外方の先端部14bが、貯水トレー底板31の隅部で立ち上がる側壁32・32よりも僅かに内側に位置するように構成され、側壁32・32で構成される各隅部に各先端部14bが近接或いは略当接し、植栽コンテナ10の貯水トレー30内での横方向への移動やズレが規制されるようになっており、貯水トレー30の四隅と前記四隅に配置される補助脚先端部14bとで植栽コンテナ10と貯水トレー30とが位置決めされ、又、本例では補助脚141の先端部141bも側壁32に近接或いは略当接し、植栽コンテナ10の貯水トレー30内での横方向への移動を規制している。
【0017】
上記植栽コンテナ10と貯水トレー30で構成される植栽ユニットにより植栽設備を構成する場合には、例えば敷設面40に複数の貯水トレー30を縦横に隣接するように並べて敷設し、敷設した各貯水トレー30内に育成材21を充填して植栽を施した植栽コンテナ10を載置して、植栽設備を形成する(図4参照)。尚、前記植栽コンテナ10と貯水トレー30で植栽設備を施工する手順は適宜であり、例えば貯水トレー30上に植栽コンテナ10を載置した植栽ユニットを敷設面40に並設するようにすることも可能である。
【0018】
上記第2実施例の植栽コンテナ10等は、上記第1実施例と同様の効果が得られると共に、水の管理が容易となり水道費を節約することができる。更に、補助脚先端部14bと隅部に於ける貯水トレー側壁32の接触により、植栽コンテナ10と貯水トレー30を位置決めすることが可能であり、植栽ユニットや植栽設備の設置状態の安定性をより高めることができる。
【実施例3】
【0019】
次に、第3実施例の植栽コンテナ10等について、上記第1及び第2実施例と異なる箇所の詳細を説明する。
【0020】
第3実施例の植栽コンテナ10は、図5に示すように、側壁12の中間部から下部にかけて内向きに凹んだ内向きへこみ部18が形成されて、側壁上端12aが側壁下端12bよりも外方に位置している。本例の植栽コンテナ10の他の構成は第2実施例と同様であり、又、第2実施例と同様に貯水トレー30上に載置されて植栽ユニットを構成し、育成材21を充填され、植栽を施される。
【0021】
前記植栽ユニットを敷設面40に縦横に隣接するように並べて敷設して植栽設備を構成した際には、植栽コンテナ側壁12・12の内向きへこみ部18・18相互間で、且つ貯水トレー30・30の上方に空間が形成され、前記空間に多孔質パイプ或いは浸み出しパイプ等の給水管50を配設可能である(図5参照)。給水管50は、例えば貯水トレー30の側壁32の上端で支持する等により設置される。本例の潅水方式は所謂底面潅水方式であり、給水管50で供給される給水が貯水トレー30内に流れ込んで貯水され、貯水トレー30内の水分が育成材21の毛細管現象により吸水孔17から植物23の根へ導かれる。また、本例の植栽設備では、補助脚14、141の先端部14b、141b近傍部分が貯水トレー側壁32の上端よりも下方に位置するように構成され、補助脚14、141の給水管50への接触を防ぎ、給水管50の配設の障害にならないようになっている。
【0022】
上記第3実施例の植栽コンテナ10等は、上記第1及び第2実施例と同様の効果が得られると共に、給水管50を植栽コンテナ10・10相互間に隠して配設可能であり、美観に優れた緑化エリアを構築することができる。また、補助脚14、141が存在するにもかかわらず、給水管50の配設空間を確実に確保することができる。尚、第2実施例の植栽コンテナ10のテーパ状の側壁12の傾斜角度を適宜調整して、前記側壁12・12相互間の空間に給水管50を配設する等により、第2実施例でも同様の効果を得ることが可能である。
【実施例4】
【0023】
次に、第3実施例の植栽コンテナ10等について、上記第1乃至第3実施例と異なる箇所の詳細を説明する。
【0024】
第4実施例の植栽コンテナ10は、図6に示すように、第3実施例と基本的な構成は同一であるが、底面視略I字形の支持脚131が外方に突出する補助脚142の形状が異なる。補助脚142は、支持脚131の上端から水平に外方へ延びる水平面である水平部142aと、水平部142aの先端から円弧状に切り欠かれ、給水管50の外形に略沿った形状の支持部142cと、支持部142cの下端から垂下する垂直面である先端部142bを有する概略台形状である。また、貯水トレー30の形状は第3実施例と同様であるが、側壁32の高さが低く形成され、側壁32の上端は先端部142bの上端、即ち、支持部142cの下端よりも低くなっている。
前記植栽コンテナ10と貯水トレー30で構成される植栽ユニットを敷設面40に縦横に隣接するように並べて敷設し、育成材21の充填や植栽を施して植栽設備を構成する際には、植栽コンテナ側壁12・12の内向きへこみ部18・18相互間で、且つ貯水トレー20・20の上方に空間が形成され、前記空間に多孔質パイプ或いは浸み出しパイプ等の給水管50を配設可能である(図6(e)参照)。そして、本例では、前記空間に於いて、補助脚142の水平部142a、支持部142c、先端部142bの上部が貯水トレー30の側壁32の上端よりも上方に位置し、配設される給水管50は隣り合う一対の支持部142c・142cに係合するように載置され、支持部142c・142cで支持される。
上記第4実施例の植栽コンテナ10等は、上記第1乃至第3実施例と同様の効果が得られると共に、給水管50を安定した状態で設置することが可能である。従って、給水管50の両側の貯水トレー30・30に安定して給水することができ、植栽設備の局部的な給水不良による枯れ等を防止することができる。
【実施例5】
【0025】
次に、第5実施例の植栽コンテナ10等について、上記第1乃至第4実施例と異なる箇所の詳細を説明する。
【0026】
第5実施例の植栽コンテナ10は、図7に示すように、平面視方形の底板11と側壁12で構成される上方開放の略箱形であり、上記実施例と同様の複数のスリット状の通水兼通気孔15、側壁12に形成された内向きへこみ部18を有する。また、底板11には、板状で底面視略十字形の支持脚133、板状で底面視略F字形の支持脚134、板状で底面視略L字形の支持脚135が下方に突出形成され、支持脚134は底板11の4辺の略中央に前記4辺に略沿った位置に形成され、支持脚135は底板11の四隅に形成されている。
断面視略F字形の支持脚134には底板11の辺と垂直方向に外方へ突出する板状の第1補助脚143が形成され、底面視略L字形の支持脚135には底板11の対角線方向に外方へ突出する板状の第2補助脚144が形成されている。第1補助脚143は、支持脚134の中央より下側の部分から外方に水平に延びる水平面の水平部143aと、水平部143aの外端から垂下する垂直面の先端部143bを有する断面略長方形である。第2補助脚144の形状は第1実施例の補助脚14と同様であり、外方へ向かって低くなるように傾斜する傾斜面の傾斜部144aと、傾斜部144aの外端から垂下する垂直面の先端部144bを有する断面視略台形の横置き形状であるが、底面視略L字形の支持脚135の隅部に於いて、支持脚135の高さ方向の中央部近傍の位置から傾斜部144aが外方へ延びている。
更に、平面視略十字形の底板柱状部材191が底板11から上方へ向かって複数立設され、平面視略十字形の側壁柱状部材192と平面視略I字形の側壁柱状部材193とが底板11から側壁12に沿うように各複数立設されており、底板柱状部材191、側壁柱状部材192、193は側壁上端12aと略同一高さに形成され、柱状部材191、192、193や側壁12で上方からの踏圧等の荷重を支持可能である。また、柱状部材191、192、193の一部と支持脚133、134、135の一部は平面視略同一位置に形成されており、敷設面40上に設けられる平面視略同一位置の柱状部材191、192、193及び底板11及び支持脚133、134、135で、上方からの荷重を直線的に高強度で支持可能である。また、隣り合う2辺の側壁12・12の各上端12a・12aには、外方に突出する水平片12cがそれぞれ形成され、複数の植栽コンテナ10を並べて敷設した際に、隣り合う植栽コンテナ10・10に於いて、一の植栽コンテナ10の水平片12cが隣の植栽コンテナ10の側壁上端12a或いは側壁12の上端近傍を覆うようになっており、前記水平片12cで側壁上端12a・12a相互間など植栽コンテナ10・10相互間に生ずる隙間を塞ぎ、隙間からの育成材21の落下等を防止可能である。尚、本例の植栽コンテナ10にも育成材21が充填され、植栽が施されると共に、敷設面40に複数敷設されて植栽設備を構成する。
上記第5実施例の植栽コンテナ10等は、第1実施例と同様の効果が得られると共に、柱状部材191、192、193の上方から負荷される荷重を柱状部材191、192、193や敷設面40等で直線的に高強度で支持することができ、植栽コンテナ10等の設置状態をより安定化することができる。更に、柱状部材192、193や側壁12と平面視略同一位置或いは平面視で対応する位置にある支持脚134、135から外方へ突出する補助脚143、144が形成されていることから、上方から負荷される荷重を補助脚143、144にも担わせることが可能であり、一層支持強度や安定性を増すことができる。また、上方からの踏圧等の荷重支持を柱状部材191〜193、側壁12、補助脚143、144等が常時担うので、植栽コンテナ10内の植栽面の平面的な状態を安定して長期に亘り維持することができる。また、上方から様々な方向や位置で荷重が負荷された場合でも確実に支持でき、植栽コンテナ10の転倒防止を図ることができる。
【0027】
以上、本発明の第1〜第5実施例について説明したが、本発明はその他に、例えば以下のような拡張や変形を包含する。
【0028】
上記実施例では、平面視略正方形の植栽コンテナ10について説明したが、本発明は植栽コンテナの平面視形状は適宜であり、例えば平面視で三角形、長方形、六角形などの多角形状、或いは円形、楕円形等とすることが可能である。
【0029】
また、本発明に於ける補助脚の形状や配設する位置等の構成も、支持脚から外方に突出する構成等の上記実施例の構成に限定されるものではなく、必要な支持強度等に応じて適宜の補助脚やその設置構成を用いることができる。例えば図8(a)に示すように、側壁12から外方へ向かって下方に傾斜する傾斜部1401aと、傾斜部1401aの外方先端から垂下する先端部1401bとを有し、外方に突出する板状やブロック状の補助脚1401とし、補助脚1401を側壁12に沿って若しくは側壁12と支持脚131、132等に沿って一体形成若しくは固着する構成や、図8(b)に示すように、側壁12の外面の所定位置から下方に垂下する先端部1402bを有する補助脚1402とし、補助脚1402を側壁12に沿って若しくは側壁12と支持脚131、132等に沿って一体形成若しくは固着する構成等としても、高強度の支持力が得られる補助脚とすることができる。
【0030】
また、補助脚が設けられる支持脚は、側壁下端12bから下方に延びて突出する支持脚に限定されず、例えば図8(c)〜図8(f)に示すように、側壁下端12bより内側の位置で下方に延びて突出する支持脚131、132等としてもよい。そして、図8(c)の補助脚1403は、支持脚131等の略中間の高さから外方へ突出する傾斜部1403aと垂直面の先端部1403bとを有する構成であり、図8(d)の補助脚1404は、側壁12の略中央から外方へ水平に突出する水平部1404aと垂直面の先端部1404bとを有し、側壁12と底板11と支持脚131等に沿って一体形成若しくは固着される構成であり、図8(e)の補助脚1405は、側壁12の略中央より下側の所定位置から外方へ突出する水平部1405aと垂直面の先端部1405bとを有する正面視略L字形の板状若しくはブロック状等で、内方への屈曲部1405cの内端が側壁12に当接するように一体形成若しくは固着される構成であり、図8(f)の補助脚1406は、支持脚131等の上部から外方へ突出する水平部1406aと垂直面の先端部1406bとを有する正面視略L字形の板状若しくはブロック状等で、内方への屈曲部1406cの内端が支持脚131等に当接するように一体形成若しくは固着される構成である。尚、図8(e)、(f)の補助脚1405、1406のように、補助脚の外方への突出長さ全体に亘って敷設面40に面接触する構成でなくともよい。
【0031】
また、適宜の底面視形状の補助脚を用いることが可能であり、例えば図9(a)の補助脚1407のように、外端に向かって肉厚が漸次薄くなる底面視テーパ状とする構成や、図9(b)の補助脚1408のように、底面視L字形の支持脚132の交点から支持脚132の側板をそのまま延設する底面視L字形とし、支持脚132と補助脚1408の全体で底面視略十字形とする構成や、図9(c)の補助脚1409のように、底面視L字形の支持脚132の交点からテーパ状に外方へ向かって広がる略三角形とする構成や、図9(d)の補助脚1410のように、底面視L字形の支持脚132の交点から外方へ突出する細幅の根本部1410aと根本部1410aの先端から分岐する分岐部1410bとを有する熊手状とする構成や、図9(e)の補助脚1411のように、底面視L字形の支持脚132の交点から外方へ突出する太幅の根本部1411aと根本部1411aの先端で分岐する分岐部1411bとを有する熊手状とする構成や、図9(f)の補助脚1412のように、楕円形の円弧状で底板11の対角線方向を凸にして突出する構成等とすることが可能である。
【0032】
また、補助脚を植栽コンテナ10の側壁12や支持脚131、132等に一体形成或いは固着する構成以外に、嵌合など係合や係止等で設置する構成としてもよく、例えば図10(a)のように、外方へ向かって漸次低くなるように傾斜する傾斜面の傾斜部1413aと垂直面の先端部1413bとを有する平面視略L字形で、内面近傍に上方開放で平面視略L字形の溝1413cが形成されている補助脚1413を用い、底面視略L字形の支持脚132を溝1413cに嵌合する等により溝1413c内に配置して補助脚1413を設置する構成や、平面視I字形の同様の溝が内面近傍に形成された補助脚に底面視I字形の支持脚131を嵌合する等で前記溝内に配置する構成や、図10(b)のように、敷設面40と略面接触する下板1414aと支持壁1414bと支持板1414cを有し、支持板1414cが側壁12の下端近傍に於ける側壁12と底板12の形状に倣う正面視略く字形の形状で形成されている補助脚1414を用い、支持板1414cを前記側壁12の下端近傍に於いて側壁12と底板11に略面接触させて設置する構成や、図10(c)のように、下板1415aと支持壁1415bと当接板1415cとを有し、当接板1415cが側壁12若しくは支持脚131、132等に倣う形状に形成され、当接板1415cから突出する略茸状の係合突起1415dが形成されている補助脚1415を用い、側壁12若しくは支持脚131、132等に形成された係合孔12dに係合突起1415dを係合し、且つ当接板1415cを側壁12若しくは支持脚131、132等に面接触させて補助脚1415を設置する構成等とすることが可能である。
【0033】
また、補助脚の先端部或いは端縁は、植栽コンテナ10の側壁上端12aより内側の位置まで突出する構成とする他に、側壁上端12aと平面視同一位置まで外方へ突出する構成とすることも可能であり、前記構成により植栽コンテナ10や植栽設備等の設置状態の安定性が強化される。また、補助脚の個数や突出箇所も上記実施例に限定されず、様々な箇所や個数で外方へ突出するように設けることが可能であるが、例えば平面視方形の植栽コンテナに於いては、第1実施例の補助脚14のように四隅から外方へ突出する構成とすると、少ない数の補助脚で転倒防止を図れて好適である。
【0034】
また、本発明の植栽コンテナは、全ての側壁の下端が側壁上端よりも内方に位置する構成に限定されず、植栽コンテナの一部の側壁のみが内方に位置する場合も含み、更に、例えば略円筒形で底板と側壁に相当する周壁を有する上方開放の植栽コンテナの場合に、周壁(側壁)の一部が内方に位置する場合も含む。また、本発明は、貯水トレー30等の貯水部に代え、例えば保水シート等の保水部を用い、保水シートの上に形成される内向きへこみ部18・18相互間等の配管用の空間に給水管50を配設する底面潅水構造等とする場合も含む。また、本発明は、配管用空間による配管経路の全体に亘って給水管50を配設する構成や、配管経路の一部のみに給水管50を配設する構成や、配管経路に給水管50を配設しない構成を含み、又、給水管50に代えて或いは給水管50と共に、排水管、電線、センサー線等を配設する場合も含む。また、補助脚は中実、中空の何れとすることも可能であり、例えば中空で下面が下方している補助脚とすると、敷設面の不陸を吸収することが可能となってより好適である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、例えば屋上、ベランダ、テラス、折板屋根等に設置する植栽設備に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】(a)は第1実施例の植栽コンテナの平面図、(b)はその底面図、(c)はその正面図、(d)はそのA−A矢視断面図、(e)は第1実施例の植栽コンテナによる植栽設備を示す縦断面図。
【図2】(a)は第2実施例の植栽コンテナの平面図、(b)はその底面図、(c)はその正面図、(d)はそのA−A矢視断面図。
【図3】(a)は第2実施例の貯水トレーの平面図、(b)はその底面図、(c)はその正面図、(d)はそのA−A矢視断面図。
【図4】第2実施例の植栽コンテナによる植栽設備を示す縦断説明図。
【図5】第3実施例の植栽コンテナによる植栽設備を示す縦断説明図。
【図6】(a)は第4実施例の植栽コンテナの平面図、(b)はその底面図、(c)はその正面図、(d)はそのA−A矢視断面図、(e)は第4実施例の植栽コンテナによる植栽設備を示す縦断面説明図。
【図7】(a)は第5実施例の植栽コンテナの平面図、(b)はその底面図、(c)はその正面図、(d)はそのA−A矢視断面図、(e)はそのB−B矢視断面図。
【図8】(a)〜(f)は変形例の補助脚を示す部分縦断面図。
【図9】(a)〜(f)は変形例の補助脚を示す部分底面図。
【図10】(a)〜(c)は別体の補助脚の例を示す説明図。
【符号の説明】
【0037】
10 植栽コンテナ
11 底板
12 側壁
12a 側壁上端
12b 側壁下端
131、132、133、134、135 支持脚
14、141、142、143、144、1401、1402、1403、1404、1405、1406、1407、1408、1409、1410、1411、1412、1413、1414 補助脚
14a、141a、144a、1401a、1403a、1412a 傾斜部
14b、141b、142b、143b、144b、1401b、1402b、1403b、1404b、1405b、1406b、1412b 先端部
142a、143a、1404a、1405a、1406a 水平部
18 内向きへこみ部
191、192、193 柱状部材
21 育成材
22 植栽マット
23 植物
30 貯水トレー
31 底板
32 側壁
40 敷設面
50 給水管
S 側壁下端から側壁上端までの水平方向の距離
T 側壁下端から補助脚先端までの水平方向の距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が下部よりも外方に位置するように側壁を形成する上方開放の植栽コンテナであって、該側壁の下端近傍に、若しくは底部から下方に突出して形成する支持脚に、該側壁下端よりも外方へ突出する補助脚を設けることを特徴とする植栽コンテナ。
【請求項2】
前記補助脚の外方の先端部が前記側壁の上端よりも内側の位置若しくは前記側壁上端と平面視同一位置まで突出する補助脚を設けることを特徴とする請求項1記載の植栽コンテナ。
【請求項3】
前記補助脚と支持脚が平面視板状であり、補助脚の幅を支持脚の幅よりも厚くすることを特徴とする請求項1又は2記載の植栽コンテナ。
【請求項4】
前記植栽コンテナの底部から上方へ突出する柱状部材と平面視で対応する位置に形成する支持脚に該補助脚を設けることを特徴とする請求項1、2又は3記載の植栽コンテナ。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の植栽コンテナを貯水トレー内に載置し、前記補助脚の外方端部と貯水トレーの側壁との接触により、植栽コンテナの横方向への移動を規制することを特徴とする植栽ユニット。
【請求項6】
請求項1〜4の何れかに記載の植栽コンテナを貯水トレー内に載置する植栽ユニットを複数並設する植栽設備であって、隣り合う植栽コンテナの側壁間に形成される空間に配管を配設し、該配管を植栽コンテナの補助脚で支持することを特徴とする植栽設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−166907(P2007−166907A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−364326(P2005−364326)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(000162135)共同カイテック株式会社 (66)
【Fターム(参考)】