説明

植栽フェンス

【課題】植物が未成長であっても景観が良く、目隠しにもなる植栽フェンスを提供する。
【解決手段】二重金網10と板材20からなり、二重金網10は一対の金網11が一定間隔を隔てて連結線材14により一体化されてなり、連結線材14は高さおよび横方向に一定間隔を隔てて配設されており、連結線材14は厚さ方向に対して傾斜して配設されており、高さ方向に隣接する連結線材14は互いに逆方向に傾斜して配設されており、板材20が横方向に隣接する連結線材14の間に挿入されている植栽フェンスAである。植物が未成長であっても板塀として機能するため景観が良い。また、板材20を木板とすると、植物が成長途中であっても、植物と木板がどちらも植物として統一感のある景観が得られる。さらに、植物が未成長であっても板材20により目隠しとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植栽フェンスに関する。さらに詳しくは、植物が未成長であっても景観が良く、目隠しにもなる植栽フェンスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、市街地の緑化や景観の向上のため、あるいは目隠しのために、金網などのフェンスに植栽を施した植栽フェンスを用いることが多くある。
この植栽フェンスの従来技術の一例として特許文献1がある。図7に示すように、特許文献1の植栽フェンス102は、フェンス102の下部が曲折されて溝状の保持部122が設けられており、その保持部122に植物またはその種子と植栽基盤、肥料、保水材が一体化された緑化材103が保持されたものである。この緑化フェンス102の施工後、緑化材103から植物131が生長しフェンス102に絡まることによって植栽フェンス102が完成するのである。
【0003】
しかるに、植物131が成長しフェンス102を覆うまでには長期間かかるため、それまでは植栽フェンスとしての機能を有せず、単なる金網が露出しているだけであるので景観が良くないという問題がある。
また、植物131が成長するまでは、目隠しとしての機能がないという問題がある。
【0004】
【特許文献1】特開平8−42201号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、植物が未成長であっても景観が良く、目隠しにもなる植栽フェンスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の植栽フェンスは、二重金網と板材からなる植栽フェンスであって、前記二重金網は、一対の金網が一定間隔を隔てて一体化されてなり、前記板材が、前記二重金網の一対の金網の間に挿入されていることを特徴とする。
第2発明の植栽フェンスは、第1発明において、前記二重金網は、一対の金網が一定間隔を隔てて連結線材により一体化されてなり、前記連結線材は、高さ方向に一定間隔を隔てて配設されており、かつ、横方向に一定間隔を隔てて配設されており、前記連結線材は、厚さ方向に対して傾斜して配設されており、高さ方向に隣接する前記連結線材は、互いに逆方向に傾斜して配設されており、前記板材が、横方向に隣接する前記連結線材の間に挿入されていることを特徴とする。
第3発明の植栽フェンスは、第1または第2発明において、前記板材が、植物活着性の板であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
第1発明によれば、植物が未成長であっても挿入された板材が板塀として機能するため景観が良い。また、板材を木板とすると、植物が成長途中であっても、植物と木板がどちらも植物として統一感のある景観が得られる。さらに、植物が未成長であっても板材により目隠しとすることができる。
第2発明によれば、板材は、横方向に隣接した連結線材で横方向に挟まれ、互いに逆方向に傾斜した連結線材で厚さ方向に挟まれているので、連結線材のみで板材を保持することができると共に、二重金網の厚さ方向中央位置に板材を配置することができる。また、板材と二重金網の表面および裏面の金網との間には空間が保たれるので、この空間を用いて表面、裏面ともに植栽を施すことができる。
第3発明によれば、板材に植物活着性があるので、特に蔓植物を植栽する場合に、二重金網のみならず、板材にも登攀させることができるのでより植栽がしやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る植栽フェンスAの部分拡大平面図である。図2は同植栽フェンスAの部分拡大正面図である。図3は同植栽フェンスAの部分拡大側面図である。図4は同植栽フェンスAの平面図である。図5は同植栽フェンスAの正面図である。図6は同植栽フェンスAの側面図である。
【0009】
図1に示すように、植栽フェンスAは主に二重金網10と板材20からなる。
二重金網10は、一対の金網11を有し、その一対の金網11は一定間隔を隔てて平行に配設されている。図2に示すように、金網11は、縦線材12と横線材13が格子状に配設され、縦線材12と横線材13の各交差部分において溶接され形成されている。また、一対の金網11同士は多数の連結線材14が渡され溶接されることにより連結されている。連結線材14は各横線材13に溶接されており、高さ方向に一定間隔を隔てて一列に配設されている。さらに、この一列が横方向に一定間隔を隔てて複数列配設されている。図1に示すように、連結線材14は、二重金網10の厚さ方向に対して傾斜して一対の金網11に渡されており、さらに、高さ方向に隣接する連結線材14同士は、互いに逆方向に傾斜して配設されている。そのため平面視X字状となっている。連結線材14は横方向に複数列配設されているので、一対の金網11と連結線材14とで平面視六角形の空間が形成されている。
【0010】
前記板材20は、その幅寸法が上記六角形の空間の幅寸法とほぼ同じ寸法となっており、この六角形の空間内に挿入されている。図4に示すように、板材20は、二重金網10の高さとほぼ同じ寸法の長方形の平板であり、本実施形態では六角形の空間内に一つおきに挿入されている。
【0011】
図4および図5に示すように、本発明の植栽フェンスAでは植栽されていないか、あるいは植物が未成長であっても挿入された板材20が板塀として機能するため、単なる金網が露出する場合に比べて景観が良い。また、板材20を木板とすると、植物が成長途中であっても植物と木板がどちらも植物として統一感のある景観が得られる。板材20を木目調の木板とし二重金網10に緑系もしくは茶系の塗装を施せば、植物の緑と相まって景観が良くなるのでより好適である。
さらに、植物が未成長であっても板材20により目隠しとすることができる。本実施形態では板材20を六角形の空間内に一つおきに挿入したが、これに限られず全てもしくは他のパターンで挿入してもよく、目隠しの効果と景観を考慮して選択すればよい。
【0012】
図1に示すように、板材20は、横方向に隣接した連結線材14で横方向に挟まれ、かつ、平面視X字状に配設された連結線材14で厚さ方向に挟まれているので、連結線材14のみで板材20を保持することができる。すなわち、板材20の保持には他の金具などを一切必要としない。
また、板材20は二重金網10の表面および裏面の金網11に密着することがなく、空間が保たれるので、この空間を用いて表面、裏面ともに植栽を施すことができる。横並びとなった板材20の間も、連結線材14により、あるいは間隔をあけて挿入することにより隙間ができるので、表面、裏面一体となった植栽を施すことが可能である。
【0013】
なお、板材20は植物活着性の板であると好ましい。板材20の材質は特に限定はないが、木、樹脂、コンクリートなどが考えられる。樹脂板やコンクリート板とするときはその表面を荒れ肌にすれば、植物が絡みやすくなるので好適である。また、保水性のある板とすれば植物が活着しやすいので好ましい。板材20を植物活着性の板とすれば、特に蔓植物を植栽する場合に、二重金網10のみならず、板材20にも登攀させることができるのでより植栽がしやすくなる。
【0014】
また、図3に示すように、板材20を側面視L字型の置き台30の上に乗せて、互いをビス40で締結してもよい。図5に示すように、置き台30を横長とし、横並びとなった複数枚の板材20を一つの置き台30に締結してもよい。前述のとおり、板材20は連結線材14のみで保持することが可能であるが、置き台30を設けることによって、二重金網10の下方に空間があっても、板材20が脱落することはない。また、板材20が上方に抜け出る恐れもない。実際の施工において、板材20と連結線材14との間には遊びがあるのが通常であるが、板材20を置き台30に固定することによってがたつきをなくすことも可能である。なお、置き台30は二重金網10の下端に位置する連結線材14,14・・・の上に架設されている。
【0015】
本実施形態において、金網11を縦横の格子状の金網としたが、これに限られず、斜めに傾いた格子状としても良いし、その線材を、植物が絡みやすいように波型としたものでもよい。要するに、金網11は植物が絡みやすいものであればよく、特に制限はない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る植栽フェンスAの部分拡大平面図である。
【図2】同植栽フェンスAの部分拡大正面図である。
【図3】同植栽フェンスAの部分拡大側面図である。
【図4】同植栽フェンスAの平面図である。
【図5】同植栽フェンスAの正面図である。
【図6】同植栽フェンスAの側面図である。
【図7】従来技術の植栽フェンスの外観図である。
【符号の説明】
【0017】
A 植栽フェンス
10 二重金網
11 金網
12 縦線材
13 横線材
14 連結線材
20 板材
30 置き台
40 ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重金網と板材からなる植栽フェンスであって、
前記二重金網は、一対の金網が一定間隔を隔てて一体化されてなり、
前記板材が、前記二重金網の一対の金網の間に挿入されている
ことを特徴とする植栽フェンス。
【請求項2】
前記二重金網は、一対の金網が一定間隔を隔てて連結線材により一体化されてなり、
前記連結線材は、高さ方向に一定間隔を隔てて配設されており、かつ、横方向に一定間隔を隔てて配設されており、
前記連結線材は、厚さ方向に対して傾斜して配設されており、
高さ方向に隣接する前記連結線材は、互いに逆方向に傾斜して配設されており、
前記板材が、横方向に隣接する前記連結線材の間に挿入されている
ことを特徴とする請求項1記載の植栽フェンス。
【請求項3】
前記板材が、植物活着性の板である
ことを特徴とする請求項1または2記載の植栽フェンス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−136676(P2010−136676A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316017(P2008−316017)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000180302)四国化成工業株式会社 (167)
【Fターム(参考)】