説明

植生図作成装置及び植生図作成プログラム

【課題】オルソフォト画像を利用せずに、航空レーザ測量データのみを利用して、森林の樹種区分調査等に活用できる植生図を作成する植生図作成装置及び植生図作成プログラムを提供する。
【解決手段】入力部11によってDEMデータ21と、DSMデータ22と、反射強度データ23を取り込み、DHMデータ作成部12と地上開度計算部13によってDHMデータ24とDHM地上開度データ25を作成し、反射強度段彩部14と、樹高段彩部15と、地上開度段彩部16がそれぞれ反射強度用カラーテーブル26、樹高用カラーテーブル27、地上開度用カラーテーブル28を用いて、反射強度画像データ31、樹高画像データ32、樹冠立体画像データ33を作成し、地図合成部17が各画像データから画像を生成し、合成した植生図34を端末19に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リモートセンシングにより得られるデータにより土地被覆状態を解析する技術分野に関する。より詳細には、オルソフォト画像を利用せずに航空レーザ測量データのみを利用して、森林の樹種区分調査等に活用できる植生図を作成する植生図作成装置及び植生図作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地図作成や科学的調査で行う地形判読や土地被覆分類などに利用するデータを取得するため、高度なリモートセンシング技術が開発されている。
【0003】
リモートセンシングにより得られるデータのうちオルソフォト画像は、航空機で撮影した表層の写真を正射投影図に幾何変換した平面的なカラー写真画像であり、樹木、建物、道路、地面、草地などを視覚的に容易に判読できる。さらに、オルソフォト画像は、現地の実際の画像であることから視覚的なアピールが高く、近年は様々なシステムに利用されている。
【0004】
一方、リモートセンシングにより得られる他のデータとして、航空レーザ測量データがある。航空機に搭載したレーザ測距離から地上に向けてレーザ光を照射し、地上からの反射波との時間差より計測された地上までの距離データがその例である。
【0005】
また、特許文献1に開示されているように、距離データを計測すると同時に、地上からの反射波の反射強度も航空レーザ測量データとして計測できるようになった。
【0006】
そして、非特許文献1に、「近年、地上点(地表、建物、樹木等の表面上の点)の3次元座標を直接計測する航空機搭載レーザースキャナーが実用化し、測距に使用したレーザー光(近赤外線)の反射強度を同時に計測できる装置も登場した。反射強度は、射出したパルス光に対する最初の反射パルスの強度であり、近赤外光の反射率だけでなく、対象の表面の状態(粗さと透過率)も反映する新しい種類のデータであり(例えば、近赤外光の反射率が高い植物の反射強度は、必ずしも強くない)、また、アクティブセンサーであるため日陰の影響を受けないため、その利用が期待されている。」と記載され、反射強度の活用法が研究されている。
【0007】
特許文献1では、照射するレーザ光の波長は近赤外領域にあるため、その反射強度は植物の活性度に関係し、広葉樹は針葉樹に比べて反射率が高いことが知られ、これを利用すると樹種が判別でき、植生情報の疑似画像を作成できることが開示されている。
【0008】
さらに、特許文献2では、反射強度を用いる分析は白黒の画像を用いた分析であり、研究者にとっては違和感があり、解りにくいものであるという課題を解決するために、反射強度のデータは通常のRGBの情報に鑑みると反射強度の情報がRGBのBの波長帯に相当する点を応用し、通常のRGB情報に反射強度の波長帯情報をBの波長帯と組みかえることにより疑似近赤外データを作成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許3515678号公報
【特許文献2】特許4521885号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】“レーザー光の反射強度を活用した地理情報取得の可能性に関する研究” 国土交通省 国土地理院ホームページ[平成23年8月5日検索]、インターネット<URL:http://www.gsi.go.jp/REPORT/HYOKA/14−1−hyoka14−1−4.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
オルソフォト画像は視覚的効果が優れている一方で、次のような欠点がある。
【0012】
(1) オルソフォト画像は上空から撮影するために、地形や地物などにより影が生じるので、見えない個所がある。
【0013】
(2) オルソフォト画像は対象地域内を一定の面積で順番に撮影した複数の画像であるため、隣接する画像を接合する際に接合部にずれが生じたり、見えない場所が発生したりする。また、各画像を撮影する際の明るさ等の条件が時々刻々変化する中で撮影されるため、各画像に色調の違いがあり、色による解析などでは誤差が発生し得る。
【0014】
(3) オルソフォト画像は地物に対する撮影方向によっては、地物の倒れ込み等により、位置ずれや見えない場所が発生する。
【0015】
(4) オルソフォト画像は平面的なカラー写真であるために、山岳部の河川や谷が樹木に覆っている場合には、河川や谷を容易に判断できない。また、山岳部の尾根も、尾根に生えている樹木の殆どが同系色(例えば緑)である場合は、尾根であることを容易に判断できない。すなわち、平面的なカラー写真画像では立体感に欠けると共に、表層下を容易に把握することができない。
【0016】
一方、航空レーザ測量データは、なんらかの方法で色情報を付加しないと、非特許文献1に掲載されている画像のように、作成される画像は白黒の画像となり、視覚的な分析効率が悪い。
【0017】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、上述した欠点を持つオルソフォト画像を用いずに、航空レーザ測量データのみから樹木の分布を一目で把握することができる植生図を作成する植生図作成装置および植生図作成プログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の植生図作成装置は、計測地域全体に所望の間隔の格子を設定した航空レーザ測量データのみを使用して植生図を作成する植生図作成装置である。
【0019】
航空レーザ測量データから生成された格子のXY座標値と地盤標高値からなるDEMデータと、XY座標値と表層標高値からなるDSMデータと、XY座標値と反射強度値からなる反射強度データを、外部記憶媒体から記憶手段に取り込む入力部と、
記憶手段に保存されたDEMデータとDSMデータから、同一XY座標値に関する地盤標高値と表層標高値を読み出し、表層標高値から地盤標高値を差し引いた樹高値を、XY座標値とともにDHMデータとして記憶手段に保存するDHMデータ作成部と、
DHMデータの任意の格子を標本格子と設定し、標本格子から複数方向毎に検索範囲内に存在する対象格子までの格子間距離と樹高差から最大傾斜角度をそれぞれ求め、最大傾斜角度を平均化した地上開度値を、標本格子のXY座標値とともにDHM地上開度データとして記憶手段に保存する地上開度計算部と、
記憶手段に保存された反射強度データから反射強度値を読み出し、予め記憶手段に保存しておいた反射強度用カラーテーブルを反射強度値で検索し、反射強度値に対して設定された第1の表示色成分を取得して、XY座標値とともに反射強度画像データとして記憶手段に保存する反射強度段彩部と、
DHMデータから樹高値を読み出し、予め記憶手段に保存しておいた樹高用カラーテーブルを樹高値で検索し、樹高値に対して設定された第2の表示色成分を取得して、XY座標値とともに樹高画像データとして記憶手段に保存する樹高段彩部と、
DHM地上開度データから地上開度値を読み出し、予め記憶手段に保存しておいた地上開度用カラーテーブルを地上開度値で検索し、地上開度値に対して設定された第3の表示色成分を取得して、XY座標値とともに樹冠立体画像データとして記憶手段に保存する地上開度段彩部と、
記憶手段に保存された各画像データからそれぞれ画像を生成し、重ね合わせて植生図として端末に表示する地図合成部とを含むことを要旨とする。
【0020】
さらに、本発明の植生図作成装置は、
記憶手段に保存された反射強度データから反射強度値を読み出し、予め記憶手段に保存しておいた反射強度値変換テーブルを反射強度値で検索し、反射強度値に対して設定されたa*成分値に変換し、
DHMデータから樹高値を読み出し、予め記憶手段に保存しておいた樹高値変換テーブルを樹高値で検索し、樹高値に対して設定されたb*成分値に変換し、
DHM地上開度データから地上開度値を読み出し、予め記憶手段に保存しておいた地上開度値変換テーブルを地上開度値で検索し、地上開度値に対して設定されたL*成分値に変換し、
a*成分値、b*成分値、L*成分値をXY座標値とともにLabカラー植生画像データとして記憶手段に保存するLabカラー段彩部を含むことを要旨とする。
【0021】
また、本発明の植生図作成プログラムは、計測地域全体に所望の間隔の格子を設定した航空レーザ測量データのみを使用して植生図を作成する植生図作成プログラムである。
【0022】
コンピュータに、
航空レーザ測量データから生成された格子のXY座標値と地盤標高値からなるDEMデータと、XY座標値と表層標高値からなるDSMデータと、XY座標値と反射強度値からなる反射強度データを、外部記憶媒体から記憶手段に取り込む入力手段、
記憶手段に保存されたDEMデータとDSMデータから、同一XY座標値に関する地盤標高値と表層標高値を読み出し、表層標高値から地盤標高値を差し引いた樹高値を、XY座標値とともにDHMデータとして記憶手段に保存するDHMデータ作成手段、
DHMデータの任意の格子を標本格子と設定し、標本格子から複数方向毎に検索範囲内に存在する対象格子までの格子間距離と樹高差から最大傾斜角度をそれぞれ求め、最大傾斜角度を平均化した地上開度値を、標本格子のXY座標値とともにDHM地上開度データとして記憶手段に保存する地上開度計算手段、
記憶手段に保存された反射強度データから反射強度値を読み出し、予め記憶手段に保存しておいた反射強度用カラーテーブルを反射強度値で検索し、反射強度値に対して設定された第1の表示色成分を取得して、XY座標値とともに反射強度画像データとして記憶手段に保存する反射強度段彩手段、
DHMデータから樹高値を読み出し、予め記憶手段に保存しておいた樹高用カラーテーブルを樹高値で検索し、樹高値に対して設定された第2の表示色成分を取得して、XY座標値とともに樹高画像データとして記憶手段に保存する樹高段彩手段、
DHM地上開度データから地上開度値を読み出し、予め記憶手段に保存しておいた地上開度用カラーテーブルを地上開度値で検索し、地上開度値に対して設定された第3の表示色成分を取得して、XY座標値とともに樹冠立体画像データとして記憶手段に保存する地上開度段彩手段、
記憶手段に保存された各画像データからそれぞれ画像を生成し、重ね合わせて植生図として端末に表示する地図合成手段としての機能を実行させることを要旨とする。
【0023】
さらに、本発明の植生図作成プログラムは、計測地域全体に所望の間隔の格子を設定した航空レーザ測量データのみを使用して植生図を作成する植生図作成プログラムである。 コンピュータに、記憶手段に保存された反射強度データから反射強度値を読み出し、予め記憶手段に保存しておいた反射強度値変換テーブルを反射強度値で検索し、反射強度値に対して設定されたa*成分値に変換し、
DHMデータから樹高値を読み出し、予め記憶手段に保存しておいた樹高値変換テーブルを樹高値で検索し、樹高値に対して設定されたb*成分値に変換し、
DHM地上開度データから地上開度値を読み出し、予め記憶手段に保存しておいた地上開度値変換テーブルを地上開度値で検索し、地上開度値に対して設定されたL*成分値に変換し、
a*成分値、b*成分値、L*成分値をXY座標値とともにLabカラー植生画像データとして記憶手段に保存するLabカラー段彩手段部としての機能をさらに実行させることを要旨とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、上述した欠点を持つオルソフォト画像を用いないため、影の影響、接合部のずれ、区域ごとの色調の違い、地物の倒れ込みを生じることなく、鮮明な植生図を作成することができる。
【0025】
さらに、航空レーザ測量データを元に段彩を施し、樹木の分布が把握できる立体的な植生図を作成することで、植生の色調、樹冠形状、そして樹高の情報を一目で読み取ることができる。
【0026】
また、樹種別に植生域を色分けすることで、機械的に林相区分線を引いた植生図を作成することができ、従来のオルソフォト画像による林相区分の目視判読作業を効率的かつより正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施の形態1の第1の植生図作成装置の構成図
【図2】(a)DEMデータ構成図、(b)DSMデータ構成図、(c)反射強度データ構成図
【図3】(a)DHMデータ構成図、(b)DHM地上開度データ構成図
【図4】(a)反射強度用カラーテーブル構成図、(b)樹高用カラーテーブル構成図、(c)地上開度用カラーテーブル構成図
【図5】画像データ構成図
【図6】DHMデータ作成部フローチャート
【図7】地上開度計算部フローチャート
【図8】地上開度計算に関する(a)XY平面上の格子位置の説明図、(b)XYZ空間の格子位置の説明図
【図9】反射強度段彩部フローチャート
【図10】地図合成部フローチャート
【図11】合成画像調整部フローチャート
【図12】(a)反射強度画像、(b)樹高画像、(c)樹冠立体画像、(d)3画像の合成植生図、(e)オルソフォト画像
【図13】(a)Labカラー色空間概念図、(b)本発明のLabカラー色空間定義
【図14】実施の形態2の第2の植生図作成装置の構成図
【図15】(a)反射強度値変換テーブル構成図、(b)樹高値変換テーブル構成図、(c)地上開度値変換テーブル構成図
【図16】Labカラー植生画像データ構成図
【図17】Labカラー段彩部フローチャート(その1)
【図18】Labカラー段彩部フローチャート(その2)
【図19】(a)Labカラー植生画像、(b)ミズナラの画像、(c)サワグルミの画像
【図20】(a)Labカラー植生図、(b)林相区分図
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、図1に例示したような、オルソフォト画像を用いずに、航空レーザ測量データ20のみから樹木の分布が把握できる立体的な植生図を作成する装置を提供することを目的としている。
【0029】
そこで、航空レーザ測量データ20から得られる樹木の特徴、すなわち、樹種を識別する指標として、樹高、樹冠形状、および葉の組成を選定した。
【0030】
樹種によって、低木であったり高木であったりと樹高が異なり、枝や葉の茂り方で樹冠形状も異なる。さらに、樹種によって、葉の形状や色が異なる。
【0031】
したがって、これらの特徴を航空レーザ測量データ20から数値化して地図に表し、それらを重ね合わせることで、樹種を識別できる植生図を作成することができる。
【0032】
まず、本発明で用いる入力データを、図2にデータ構成を例示しながら定義する。
【0033】
航空レーザ測量データ20とは、航空レーザ測量システムを用いて、航空機に搭載したレーザ測距儀から地上に向けてレーザを照射し、地上からのレーザ反射パルスとの時間差より求めた地上までの距離やレーザ反射パルスの強度を、計測地点の位置とともに計測したデータである。
【0034】
数値標高モデル(Digital Elevation Model)データ(以下、DEMデータ21という)とは、計測地域全体に所望の格子間隔d(たとえば0.2mや0.5mなど)の格子構造を設定し、航空レーザ測量データ20のうち、レーザ反射パルスのうち主に最後に返ってきたパルス(ラストパルス)によって計測された標高データから、地表面以外の建物や樹木などを取り除くフィルタリングを行い、標高値内挿補間法によって得た地盤の格子状の標高データであり、図2(a)にデータ構成を例示したように、格子番号i(i=1,2,・・・,n)を付与した各格子の中心点のX座標(経度Xi)、Y座標(緯度Yi)、Z座標(地盤標高値Zgi)によって構成される。
【0035】
標高値内挿補間法の例としては、航空レーザ測量データ20の同じ標高値を結んだ等高線図を作成し、この等高線図に対して不整三角形網(TIN)を作成して地盤を復元し、TINと各格子の交点の高さを求める方法がある。
【0036】
数値表層モデル(Digital Surface Model)データ(以下、DSMデータ22という)とは、航空レーザ測量データ20のうち、レーザ反射パルスのうち主に最初に返ってきたパルス(ファーストパルス)によって計測された建物や樹木などを含む表層の標高データであり、図2(b)にデータ構成を例示したように、計測地域全体に設定したDEMデータと同じ格子構造の格子番号iを付与した各格子の中心点のX座標(経度Xi)、Y座標(緯度Yi)、Z座標(表層標高値Zsi)によって構成される。
【0037】
反射強度データ23とは、照射したレーザパルスに対するレーザ反射パルスの強さを計測したもので、図2(c)にデータ構成を例示したように、計測地域全体に設定したDEMデータと同じ格子構造の格子番号iを付与した各格子の中心点のX座標(経度Xi)、Y座標(緯度Yi)、反射強度値Fiによって構成される。
【0038】
以上のDEMデータ21、DSMデータ22、および反射強度データ23により、計測地域全体の各格子のXY座標値と地盤標高値Zgi、表層標高値Zsi、および反射強度値Fiを得ることができる。
【0039】
得られたデータからどのように樹種を識別するための指標を数値化し、数値化された指標から植生図を作成するかを、具体的な実施例を示しながら以下に説明する。
【0040】
なお、格子とは1辺の長さが格子間隔dの区画であるが、以下の説明において、格子の各種の値とは、格子のデータとして設定された格子の中心点の座標値や各種の値を示すものとする。
【0041】
<実施の形態1>
本発明における実施の形態1の第1の植生図作成装置10には、図1に示すように、データ処理部として、入力部11と、DHMデータ作成部12と、地上開度計算部13と、反射強度段彩部14と、樹高段彩部15と、地上開度段彩部16と、地図合成部17と、合成画像調整部18が含まれる。
【0042】
また、第1の植生図作成装置10の記憶手段(図示せず)には、DEMデータ21と、DSMデータ22と、反射強度データ23と、数値高度モデル(Digital Height Model)データ(以下、DHMデータ24という)と、DHM地上開度データ25と、反射強度用カラーテーブル26と、樹高用カラーテーブル27と、地上開度用カラーテーブル28と、画像選択表29が記憶されている。
【0043】
さらに、第1の植生図作成装置10の記憶手段には、端末19に植生図34を表示するために生成される反射強度画像データ31と、樹高画像データ32と、樹冠立体画像データ33が保存される。
【0044】
入力部11は、定義を上述した航空レーザ測量データ20から得られる入力データであるDEMデータ21と、DSMデータ22と、反射強度データ23を、外部記憶媒体から第1の植生図作成装置10の記憶手段に取り込む処理を行う。
【0045】
入力部11は、CD−ROMやUSBメモリなどの外部記憶媒体からデータを読込む手段であってもよいし、第1の植生図作成装置10に通信ネットワークを介して接続された外部装置の記憶媒体から、通信ネットワーク経由でダウンロードする手段であってもよい。
【0046】
DHMデータ作成部12は、入力部11によって記憶手段に保存されたDEMデータ21とDSMデータ22から、それぞれ各格子の地盤標高値Zgiと表層標高値Zsiを読み出し、表層標高値Zsiから地盤標高値Zgiを差し引いた高度値を、図3(a)に例示したように、各格子のXY座標値とともにDHMデータ24として記憶手段に保存する。
【0047】
本発明では、樹木を対象としているので、表層標高値Zsiから地盤標高値Zgiを差し引いた高度値は各樹木の樹高値Zhiとなり、DHMデータ24を樹高データとも呼ぶ。
【0048】
地上開度計算部13は、DHMデータ作成部12によって記憶手段に保存されたDHMデータ24から各格子の地上開度値θiを計算して、図3(b)に例示したように、各格子のXY座標値と地上開度値θiをDHM地上開度データ25として記憶手段に保存する。
【0049】
ここで、開度とは地形特徴線抽出の手法のひとつで、ある地点が周囲に比べて地上に突き出ている程度及び地下に食い込んでいる程度を数値化し、地形を3次元表現する際に利用される。
【0050】
開度には地上開度と地下開度の2種類がある。地上開度とは、ある地点から見たときに、空がどれだけ広く見えるかを数値化したもので、地下開度とは、ある地点から見たときに、地下空間がどれだけ広がっているかを数値化したものである。
【0051】
本発明では、地上開度を各樹木の樹冠の傾斜を示す指標として利用する。たとえば、針葉樹のように枝の横への広がりが少ない樹種は、樹冠が急傾斜であり、地上開度が小さくなる。一方、枝を横に広げる広葉樹のような樹種は、樹冠の傾斜がなだらかであり、地上開度が大きくなる。
【0052】
地上開度計算の詳細は後述する。
【0053】
反射強度段彩部14は、入力部11によって記憶手段に保存された反射強度データ23から各格子の反射強度値Fiを読み出し、予め記憶手段に保存しておいた反射強度用カラーテーブル26(図4(a)参照)に設定されている反射強度値Fiと表示色成分Ciの対応関係に従って、各格子の段彩を行い、計測地区の反射強度画像データ31を生成し、記憶手段に保存する。
【0054】
樹高段彩部15は、DHMデータ作成部12によって記憶手段に保存されたDHMデータ24から各格子の樹高値Zhiを読み出し、予め記憶手段に保存しておいた樹高用カラーテーブル27(図4(b)参照)に設定されている樹高値Zhiと表示色成分Ciの対応関係に従って、各格子の段彩を行い、計測地区の樹高画像データ32を生成し、記憶手段に保存する。
【0055】
地上開度段彩部16は、地上開度計算部13によって記憶手段に保存されたDHM地上開度データ25から各格子の地上開度値θiを読み出し、予め記憶手段に保存しておいた地上開度用カラーテーブル28(図4(c)参照)に設定されている地上開度値θiと表示色成分Ciの対応関係に従って、各格子の段彩を行い、計測地区の樹冠立体画像データ33を生成し、記憶手段に保存する。
【0056】
記憶手段に保存された反射強度画像データ31、樹高画像データ32、および樹冠立体画像データ33は、図5に例示したように、各格子のXY座標値と表示色成分Ciから構成される。
【0057】
表示色成分Ciのデータは、各カラーテーブルで定義されているデータであり、RGB値のように3要素であったり、グレースケール値のみの1要素であったりする。
【0058】
地図合成部17は、反射強度段彩部14、樹高段彩部15、および地上開度段彩部16によってそれぞれ記憶手段に保存された反射強度画像データ31、樹高画像データ32、および樹冠立体画像データ33から、各格子のXY座標値と表示色成分Ciを読み出し、各画像を生成し、端末19に重ね合わせて表示して、植生図34を作成する。
【0059】
また、図示していないが、地図合成部17は、接続されたプリンタに反射強度画像データ31、樹高画像データ32、および樹冠立体画像データ33を重ね合わせた植生図34のデータを出力して印刷することもできる。
【0060】
合成画像調整部18は、反射強度段彩部14、樹高段彩部15、および地上開度段彩部16が各格子の段彩を行う際に使用する反射強度用カラーテーブル26、樹高用カラーテーブル27、および地上開度用カラーテーブル28を、端末19からの入力により記憶手段に保存し、必要に応じて変更する。
【0061】
さらに、合成画像調整部18は、植生図34を作成するための反射強度画像データ31、樹高画像データ32、および樹冠立体画像データ33のうち、ユーザが表示したい画像データのみを端末19から選択させ、画像選択表29として記憶手段に保存する。地図合成部17は、画像選択表29を参照し、選択された画像のみを端末19に表示するようにする。
【0062】
次に、図4(a)〜(c)に例示したカラーテーブルの構成について説明する。
【0063】
図4(a)に示した反射強度用カラーテーブル26の例では、反射強度値Fiを最弱値から最強値までを一定間隔ごとに分割し、表示色成分Ciとして、どのような成分構成かを示す成分モードM(本例では、RGB)と、それぞれの値に対してどの色を割当てるかをRGBの各値によって設定している。
【0064】
たとえば、実施の形態1では、反射強度値Fiが強いほど濃い青となるように、反射強度値Fiの最弱値から最強値までの範囲に、反射強度用カラーテーブル26の横のカラースケールに表色した白から青のグラデーションが割当たるよう、テーブル内の各反射強度値Fiに対してRGBの各値をそれぞれ設定しておく。
【0065】
図4(b)に示した樹高用カラーテーブル27の例では、樹高値Zhiの最低値から最高値までを一定間隔ごとに分割し、表示色成分Ciとして、どのような成分構成かを示す成分モードM(本例では、RGB)と、それぞれの値に対してどの色を割当てるかをRGBの各値によって設定している。
【0066】
たとえば、実施の形態1では、樹高が高いほど濃い緑となるように、樹高値Zhiの最低値から最高値までの範囲に、樹高用カラーテーブル27の横のカラースケールに表色した白から緑のグラデーションが割当たるよう、テーブル内の各樹高値Zhiに対してRGBの各値をそれぞれ設定しておく。
【0067】
図4(c)に示した地上開度用カラーテーブル28の例では、樹冠立体画像データ33をグレースケールで表示するために、地上開度値θiの最小値から最大値までを一定間隔ごとに分割し、表示色成分Ciとして、どのような成分構成かを示す成分モードM(本例では、グレースケール)と、それぞれの値に対してどの程度の灰色とするかをグレースケール値によって設定している。
【0068】
たとえば、実施の形態1では、地上開度が大きいほど濃い灰色となるように、地上開度値θiの最小値から最大値までの範囲に、地上開度用カラーテーブル28の横のカラースケールに表色した白から黒のグラデーションが割当たるよう、テーブル内の各地上開度値θiに対してグレースケール値をそれぞれ設定しておく。
【0069】
実施の形態1では、RGBやグレースケールによって青系、緑系、およびグレースケールの表示色成分Ciを指定しているが、使用目的や航空レーザ計測した地域の状態に応じて、表示色成分Ciを青系、緑系、およびグレースケール以外の組み合わせに変更できる。
【0070】
次に、本発明における実施の形態1の第1の植生図作成装置10の処理の流れについて、図6〜図11を参照しながら説明する。
【0071】
(DHMデータ作成部12の処理)
入力部11による入力データの記憶手段への保存が完了すると、DHMデータ作成部12は、図6に示す手順によりDHMデータ24を作成する。
【0072】
まず、記憶手段に保存されたDEMデータ21を読み込む(ステップS12−1)。
【0073】
また、記憶手段に保存されたDSMデータ22を読み込む(ステップS12−2)。
【0074】
次に、DEMデータ21から第1の格子(格子番号i=1)のXY座標値(X1,Y1)と地盤標高値Zg1を取得する(ステップS12−3)。
【0075】
取得したXY座標値(X1,Y1)をキー情報として、DSMデータ22から同一のXY座標値(X1,Y1)をもつ格子を検索し、表層標高値Zs1を取得する(ステップS12−4)。
【0076】
つづいて、取得した表層標高値Zs1から地盤標高値Zg1を差し引き、樹高値Zh1を算出する(ステップS12−5)。
【0077】
最後に、算出した樹高値Zh1を、第1の格子のXY座標値(X1,Y1)とともに、DHMデータ24として記憶手段に保存する(ステップS12−6)。
【0078】
ここで、処理を行った格子がDEMデータ21内の最後の格子であるかを判定する。たとえば、図2(a)のようにDEMデータ21に各格子のデータとともに全格子数(最大格子番号i=n)を設定しておき、処理を行った格子の格子番号iがnになったか判定し、nと等しい場合は、全格子について処理が完了したことになるので、処理を終了する(ステップS12−7)。
【0079】
一方、処理を行った格子の格子番号iがnより小さい場合は、格子番号iに1を加算することで次の格子を指定し、ステップS12−3の処理から繰り返す(ステップS12−8)。
【0080】
ステップS12−3からステップS12−6の処理を繰り返すことで、格子番号i=2、3、・・、nの樹高値Zh2、Zh3、・・、Zhnを算出し、図3(a)に図示したDHMデータ24が完成する。
【0081】
(地上開度計算部13の処理)
本発明では、各樹木の樹冠の傾斜を示す指標として利用する地上開度値θiは、図8に図示したように、格子番号iの格子(以下、地上開度計算部13の処理では標本格子Piという)と、標本格子Piの地点から見通し距離以内の範囲に存在する各格子(以下、地上開度計算部13の処理では対象格子Qmという)との間に形成される傾斜角から算出する。
【0082】
ここで、見通し距離は標本格子Piを中心とする円の半径Rで表し、その円内が検索範囲となる。
【0083】
半径Rが樹木間隔より長過ぎると、隣木の頂点の格子が検索範囲に含まれてしまい、隣木の頂点に対して最大傾斜角をなしてしまう。また、半径Rが樹木間隔に対して短過ぎると、樹冠内の山谷形状を検出し、一つの樹冠に対して複数の樹木頂点が抽出される場合がある。そのため、半径Rは計測地域の代表的な樹木間隔未満に設定するのが良い。
【0084】
標本格子Piの地上開度値θiは、標本格子Piから8方向に存在する対象格子Qmを検索し、各対象格子Qmとの間で形成される天頂からの角度θmの中から各方向について最大傾斜角度θmaxを抽出し、その合計を方向数で割って算出した平均傾斜角度である。
【0085】
図8(a)のXY平面上の格子位置の図に示したように、8方向をXY平面上でX軸となす角度によって、D0、D45、D90、D135、D180、D225、D270、D315とする。
【0086】
図8(a)に示した◆印が標本格子Pi、●印が各方向線上に位置する対象格子Qmであり、○印は対象外の格子を示している。たとえ各方向線上に位置していても検索範囲外に存在する格子は対象外となっている。
【0087】
地上開度計算部13は、DHMデータ作成部12によるDHMデータ24の作成が完了すると、DHM地上開度データ25を作成するが、図8(b)のXYZ空間の格子位置の図を参照しながら、図7に示したフローチャートにしたがって処理を説明する。
【0088】
まず、地上開度計算部13は、記憶手段に保存されたDHMデータ24を読み込む(ステップS13−1)。
【0089】
次に、上述したように、検索範囲を指定するために、計測地域の代表的な樹木間隔未満となる半径Rを設定する(ステップS13−2)。
【0090】
読み込んだDHMデータ24から、地上開度値θiを計算する格子番号iの標本格子Piを、たとえば格子番号iの最小値によって設定する(ステップS13−3)。
【0091】
標本格子PiのXY座標値(Xi,Yi)と格子間隔dから、1方向の最初の対象格子QmのXY座標値(Xm,Ym)を、検索する方向によって以下のように設定する(ステップS13−4)。
【0092】
方向D0の場合:(Xm,Ym)=(Xi+d,Yi)
方向D45の場合:(Xm,Ym)=(Xi+d,Yi+d)
方向D90の場合:(Xm,Ym)=(Xi,Yi+d)
方向D135の場合:(Xm,Ym)=(Xi−d,Yi+d)
方向D180の場合:(Xm,Ym)=(Xi−d,Yi)
方向D225の場合:(Xm,Ym)=(Xi−d,Yi−d)
方向D270の場合:(Xm,Ym)=(Xi,Yi−d)
方向D315の場合:(Xm,Ym)=(Xi+d,Yi−d)
ステップS13−4で設定したXY座標値(Xm,Ym)をキーにDHMデータ24を検索し、該当の対象格子QmがDHMデータ24に存在するかを判定する(ステップS13−5)。
【0093】
該当の対象格子Qmが存在した場合、標本格子Piから対象格子QmまでのXY平面上の格子間距離Lmを、式1によって算出する(ステップS13−6)。
【0094】
Lm={(Xm−Xi)+(Ym−Yi)1/2 ・・・・・式1
次に、対象格子Qmが検索範囲内かを判定するために、算出した格子間距離Lmが半径R以下か比較する(ステップS13−7)。
【0095】
対象格子Qmが検索範囲内であれば、標本格子Piと対象格子Qmの樹高差△Zhmを式2によって算出する(ステップS13−8)。
【0096】
△Zhm=Zhm−Zhi ・・・・・式2
算出した格子間距離Lmと樹高差△Zhmから標本格子Piと対象格子Qmのアスペクト比Kmを式3によって算出し、記憶手段に一時的に記憶しておく(ステップS13−9)。
【0097】
Km=△Zhm/Lm ・・・・・式3
1か所の対象格子Qmについて処理を完了すると、検索する方向によって、以下のように対象格子QmのXY座標値(Xm,Ym)を更新してステップS13−5に戻り、次の対象格子Qmについて処理を繰り返す(ステップS13−10)。
【0098】
方向D0の場合:(Xm,Ym)=(Xm+d,Ym)
方向D45の場合:(Xm,Ym)=(Xm+d,Ym+d)
方向D90の場合:(Xm,Ym)=(Xm,Ym+d)
方向D135の場合:(Xm,Ym)=(Xm−d,Ym+d)
方向D180の場合:(Xm,Ym)=(Xm−d,Ym)
方向D225の場合:(Xm,Ym)=(Xm−d,Ym−d)
方向D270の場合:(Xm,Ym)=(Xm,Ym−d)
方向D315の場合:(Xm,Ym)=(Xm+d,Ym−d)
処理の途中、ステップS13−5とステップS13−7の判定で、検索を行っている方向に該当する対象格子Qmが存在しなくなった場合は、標本格子Piに関して全方向について処理が完了したかを、たとえば方向がD315となったか比較して判定する(ステップS13−11)。
【0099】
まだ検索すべき方向がある場合は、次の検索方向を設定してステップS13−4に戻り、処理を繰り返す(ステップS13−12)。
【0100】
標本格子Piに関して全方向について処理が完了した場合は、ステップS13−9によって記憶されていた全アスペクト比Kmから各方向の最大値Kmaxを抽出し、式4、式5によって各方向の最大傾斜角度θmaxを算出し、さらに各方向の最大傾斜角度θmaxの合計を対象格子Qmが存在した方向数で割った平均値を地上開度値θiとし、標本格子PiのXY座標値とともにDHM地上開度データ25として記憶手段に保存する(ステップS13−13)。
【0101】
Max_angle=tan−1(Kmax) ・・・・・・式4
最大傾斜角度θmax=90−Max_angle ・・・・・・式5
ここで、対象格子Qmが存在した方向数は、標本格子Piが計測地域のどの位置に存在するかにより異なり、計測地域の内側に存在する場合は、図8(a)示した全8方向となる。
【0102】
一方、標本格子Piが計測地域の縁に存在する場合、計測地域の縁の向こう側には他の格子が存在しないために、対象格子Qmが存在した方向数は、計測地域外を指し示す3方向を除いた5方向のみとなり、標本格子Piが計測地域の4角に存在する場合は、計測地域外を指し示す5方向を除いた3方向のみとなる。
【0103】
対象格子Qmが存在した方向数は、たとえばステップS13−5で該当の対象格子QmがDHMデータ24に存在するかを判定し、存在した場合にカウントしておく。
【0104】
最後に、DHMデータ24内の全格子について地上開度値θiの算出が済んだか、たとえば標本格子Piの格子番号iが最大値か判定し、全格子について完了した場合は、処理を終了する(ステップS13−14)。
【0105】
さらに処理すべき格子がある場合は、格子番号iに1を加算して次の標本格子Piに更新して、ステップS13−4から処理を繰り返す(ステップS13−15)。
【0106】
次に、入力部11により記憶手段へ保存された反射強度データ23、DHMデータ作成部12により作成されたDHMデータ24、および地上開度計算部13により作成されたDHM地上開度データ25のそれぞれから、各種画像データを作成する手順について説明する。
【0107】
各種画像データ作成手順の流れを説明するにあたり、図9に反射強度段彩部14の処理のフローチャートを示した。樹高段彩部15と地上開度段彩部16の処理も、図1に示すように参照するデータが異なるのみで、基本的に図9のフローチャートと同様である。
【0108】
(反射強度段彩部14の処理)
図9に示すように、反射強度段彩部14は、入力部11により記憶手段へ保存された反射強度データ23を読み込む(ステップS14−1)。
【0109】
読み込んだ反射強度データ23から、たとえば格子番号iが最小の格子を指定して、該当する格子のXY座標値と反射強度値Fiを取得する(ステップS14−2)。
【0110】
次に、取得した反射強度値Fiをキーにして反射強度用カラーテーブル26を検索し、取得した反射強度値Fiが該当する表示色成分Ciを取得する(ステップS14−3)。
【0111】
取得した表示色成分Ciを、ステップS14−2で取得した格子のXY座標値とともに、反射強度画像データ31として記憶手段に保存する(ステップS14−4)。
【0112】
最後に、処理を行った格子が反射強度データ23に含まれる最後の格子であるか、たとえば格子番号iが最大値未満であるかを判定する(ステップS14−5)。
【0113】
最後の格子でない場合は、格子番号iを1加算して、反射強度データ23の次の格子を指定し、ステップS14−2に戻り、ステップS14−5までの処理を繰り返す(ステップS14−6)。
【0114】
最後の格子である場合は、図4(a)に例示した反射強度用カラーテーブル26に設定されている表示色成分Ciがどのような成分構成かを示す成分モードMを、図5に例示したように、反射強度データ23に付加して処理を終了する(ステップS14−7)。
【0115】
(樹高段彩部15と地上開度段彩部16の処理)
前述したように、樹高段彩部15と地上開度段彩部16の処理の流れは、反射強度段彩部14の処理の流れと同様である。
【0116】
ステップS14−1に対応する処理で、反射強度データ23に代えて、樹高段彩部15はDHMデータ作成部12により作成されたDHMデータ24を、地上開度段彩部16は地上開度計算部13により作成されたDHM地上開度データ25を読み込む。
【0117】
ステップS14−2に対応する処理で、格子のXY座標値とともに、反射強度値Fiに代えて、樹高段彩部15は樹高値Zhiを、地上開度段彩部16は地上開度値θiを取得する。
【0118】
ステップS14−3に対応する処理で、樹高段彩部15は、取得した樹高値Zhiをキーにして樹高用カラーテーブル27を検索し、取得した樹高値Zhiが該当する表示色成分Ciを取得する。
【0119】
また、地上開度段彩部16は、取得した地上開度値θiをキーにして地上開度用カラーテーブル28を検索し、取得した地上開度値θiが該当する表示色成分Ciを取得する。
【0120】
ステップS14−4に対応する処理で、取得した格子のXY座標値とともに、取得した表示色成分Ciを、樹高段彩部15は樹高画像データ32として、地上開度段彩部16は樹冠立体画像データ33として記憶手段に保存する。
【0121】
樹高段彩部15と地上開度段彩部16は、反射強度段彩部14と同様に、それぞれ以上の処理を最後の格子まで繰り返す。
【0122】
樹高段彩部15と地上開度段彩部16は、図4(b)と図4(c)に例示した表示色成分Ciがどのような成分構成かを示す成分モードMを、図5に例示したように、それぞれ樹高画像データ32と樹冠立体画像データ33に付加する。
【0123】
(地図合成部17の処理)
次に、各段彩部によって作成された画像データをユーザの端末19に表示する地図合成部17の処理について、図10のフローチャートを参照しながら説明する。
【0124】
地図合成部17は、各段彩部によってそれぞれ作成された反射強度画像データ31、樹高画像データ32、および樹冠立体画像データ33を記憶手段から読み込む(ステップS17−1)。
【0125】
さらに、地図合成部17は、記憶手段に設定された画像選択表29を読み込む(ステップS17−2)。
【0126】
地図合成部17は、反射強度画像データ31、樹高画像データ32、および樹冠立体画像データ33のうち、画像選択表29によってユーザが表示するように選択した画像データから画像を生成し、植生図34として端末19に表示する(ステップS17−3)。
【0127】
地図合成部17は、画像を端末19に表示する際に、画像データに設定されている成分モードMによって表示色成分Ciの各値の意味を判断し、必要に応じて成分モードMの示す表色系から端末19の表色系に変換を行う。
【0128】
地図合成部17は、選択された画像データが複数ある場合は、それらの画像を重ね合わせて端末19に表示する。
【0129】
また、ユーザの要求により、選択された画像データから生成した画像をプリンタに出力する(ステップS17−4)。
【0130】
(合成画像調整部18の処理)
合成画像調整部18は、ユーザが端末19に表示される画像を変更したり、画像の色調を調整したりできるように、画像選択表29と各カラーテーブルの設定を変更する手段であり、図11に処理のフローチャートを示す。
【0131】
合成画像調整部18は、記憶手段に保存された各カラーテーブルと画像選択表29を読み込む(ステップS18−1)。
【0132】
合成画像調整部18は、地図合成部17によって端末19に表示されている植生図34の左右または上下のいずれかに、読み込んだデータを表示する(ステップS18−2)。
【0133】
合成画像調整部18は、ユーザが端末19に表示されている植生図34を元に、画像選択表29の画像選択の変更や、各カラーテーブルの色調の変更を設定すると、その設定データを受信する(ステップS18−3)。
【0134】
各カラーテーブルの色調の変更は、カラーテーブルの各表示色成分Ciの値を1つ1つ入力する他に、図4で示したカラースケールをカラーテーブルの横に表示し、その両端の色を指定するだけで、カラーテーブルの範囲内で均等に分割され、各表示色成分Ciの値をカラーテーブルに自動設定するようにしてもよい。
【0135】
合成画像調整部18は、記憶手段に保存された各カラーテーブルと画像選択表29を、受信した設定データよって更新する(ステップS18−4)。
【0136】
合成画像調整部18によって各カラーテーブルと画像選択表29が更新されると、各段彩部が起動され、更新されたカラーテーブルにしたがって画像データが再作成され、地図合成部17は、画像選択表29で新たな選択された画像を端末19に表示することになる。
【0137】
本実施の形態1にて、端末19には地図合成部17によって、図12に示したように、反射強度画像データ31からは、図12(a)に示す反射強度画像31aが青色系グラデーションで表示され、樹高画像データ32からは、図12(b)に示す樹高画像32aが緑色系グラデーションで表示され、樹冠立体画像データ33からは、図12(c)に示す樹冠立体画像33aがグレースケールで表示される。
【0138】
地図合成部17は、画像選択表29で全ての画像を表示するように選択されていれば、全ての画像を重ね合わせて、図12(d)に示す3画像を合成した植生図34を表示する。
【0139】
図12(d)に示す植生図34と比較するため、図12(e)に同じ地域を撮影したオルソフォト画像を示した。全くオルソフォト画像を用いずに、同様の森林の画像を生成できている。
【0140】
さらに、図12(d)に示す植生図34では、オルソフォト画像のように影になって色が濃くなっている部分がなく、各樹木が区別できる程度に明確に表示されている。
【0141】
また、オルソフォト画像では同じ緑色に撮影された樹木も、図12(d)に示す植生図34では、樹種が反映されて違った色調で表示されている。
【0142】
<実施の形態2>
上述した実施の形態1では、反射強度、樹高、および地上開度の3指標のそれぞれに対して表示色成分Ciを割当てて各画像を生成したのち、3画像を合成することで植生図34を表示している。
【0143】
一方、本発明の実施の形態2では、反射強度、樹高、および地上開度の3指標によって1つの表示色成分Ciを決定し、1画像の植生図34を直接作成する。
【0144】
そこで、実施の形態2では、国際照明委員会CIE(Commission International de I’Eclariage)で規定されるL*a*b*表色系を利用して植生図34を作成する。
【0145】
図13(a)に図示したように、L*a*b*表色系(以下、Labカラーという)の色空間は、L*軸、a*軸、およびb*軸によって定義され、L*で明度を表し、色相と彩度を示す色度をa*とb*で表す。a*とb*は色の方向を示し、+a*は赤、−a*は緑、+b*は黄、−b*は青のそれぞれの方向を示している。
【0146】
実施の形態2では、図13(b)に図示したようなLabカラー色空間を定義する。つまり、L*=0(黒)からL*=255(白)までのL*軸と、a*=0(緑)からa*=255(赤)までのa*軸と、b*=0(青)からb*=255(黄)までのb*軸によってLabカラー色空間を定義する。
【0147】
ここで、地上開度をL*軸、反射強度をa*軸、樹高をb*軸に割当てることで、3指標により1つの表示色が決定することになる。
【0148】
図14には、本発明における実施の形態2の第2の植生図作成装置10aの構成のうち、図1に示した第1の植生図作成装置10と異なり、以下の説明に必要な構成を示し、第1の植生図作成装置10と同じその他の構成要素は省略している。
【0149】
第2の植生図作成装置10aには、Labカラー段彩部40が含まれ、記憶手段には、反射強度値変換テーブル41と、樹高値変換テーブル42と、地上開度値変換テーブル43と、Labカラー段彩部40により生成されるLabカラー植生画像データ44が保存される。
【0150】
Labカラー段彩部40は、入力部11によって記憶手段に保存された反射強度データ23から各格子の反射強度値Fiを読み出し、予め記憶手段に保存しておいた反射強度値変換テーブル41(図15(a)参照)を用いて反射強度値Fiをa*成分値に変換する。
【0151】
また、Labカラー段彩部40は、DHMデータ作成部12によって記憶手段に保存されたDHMデータ24から各格子の樹高値Zhiを読み出し、予め記憶手段に保存しておいた樹高値変換テーブル42(図15(b)参照)を用いて樹高値Zhiをb*成分値に変換する。
【0152】
さらに、Labカラー段彩部40は、地上開度計算部13によって記憶手段に保存されたDHM地上開度データ25から各格子の地上開度値θiを読み出し、予め記憶手段に保存しておいた地上開度値変換テーブル43(図15(c)参照)を用いて地上開度値θiをL*成分値に変換する。
【0153】
Labカラー段彩部40は、変換して得られたa*成分値、b*成分値、L*成分値を、各格子のXY座標値とともにLabカラー植生画像データ44として記憶手段に保存する。
【0154】
次に、図15(a)〜(c)に例示した変換テーブルの構成について説明する。
【0155】
図15(a)に示した反射強度値変換テーブル41の例では、反射強度値Fiの最弱値をa*成分値の0、最強値をa*成分値の255とし、反射強度値Fiの範囲をa*=0〜255の範囲に均等に割り当てている。
【0156】
図15(b)に示した樹高値変換テーブル42の例では、樹高値Zhiの最低値をb*成分値の0、最高値をb*成分値の255とし、樹高値Zhiの範囲をa*=0〜255の範囲に均等に割り当てている。
【0157】
図15(c)に示した地上開度値変換テーブル43の例では、地上開度値θiの最小値をL*成分値の0、最大値をL*成分値の255とし、地上開度値θiの範囲をL*=0〜255の範囲に均等に割り当てている。
【0158】
Labカラー段彩部40によって生成されるLabカラー植生画像データ44の構成は、図16に示すように、成分モードMとしてL*a*b*が設定され、各格子のXY座標値と、L*成分値、a*成分値、およびb*成分値からなる。
【0159】
次に、Labカラー段彩部40の処理の流れについて、図17と図18を参照しながら説明する。
【0160】
(Labカラー段彩部40の処理)
図17に示すように、Labカラー段彩部40は、入力部11により記憶手段へ保存された反射強度データ23を読み込み、反射強度値変換処理を開始する。(ステップS40−1)。
【0161】
読み込んだ反射強度データ23から、たとえば格子番号iが最小の格子を指定して、該当する格子のXY座標値と反射強度値Fiを取得する(ステップS40−2)。
【0162】
次に、取得した反射強度値Fiをキーにして反射強度値変換テーブル41を検索し、取得した反射強度値Fiが該当するa*成分値を取得する(ステップS40−3)。
【0163】
取得したa*成分値を、ステップS40−2で取得した格子のXY座標値とともに、Labカラー植生画像データ44として記憶手段に保存する(ステップS40−4)。
【0164】
最後に、処理を行った格子が反射強度データ23に含まれる最後の格子であるか、たとえば格子番号iが最大値未満であるかを判定する(ステップS40−5)。
【0165】
最後の格子でない場合は、格子番号iを1加算して、反射強度データ23の次の格子を指定し、ステップS40−2に戻り、ステップS40−5までの処理を繰り返す(ステップS40−6)。
【0166】
最後の格子である場合は、樹高値変換処理に移行する。
【0167】
図17に示すように、Labカラー段彩部40は、DHMデータ作成部12により作成されたDHMデータ24を読み込む(ステップS40−7)。
【0168】
読み込んだDHMデータ24から、たとえば格子番号iが最小の格子を指定して、該当する格子のXY座標値と樹高値Zhiを取得する(ステップS40−8)。
【0169】
次に、取得した樹高値Zhiをキーにして樹高値変換テーブル42を検索し、取得した樹高値Zhiが該当するb*成分値を取得する(ステップS40−9)。
【0170】
取得したb*成分値を、既に記憶手段に保存してあるLabカラー植生画像データ44の、同一XY座標の格子のデータに追加する(ステップS40−10)。
【0171】
最後に、処理を行った格子がDHMデータ24に含まれる最後の格子であるか、たとえば格子番号iが最大値未満であるかを判定する(ステップS40−11)。
【0172】
最後の格子でない場合は、格子番号iを1加算して、DHMデータ24の次の格子を指定し、ステップS40−8に戻り、ステップS40−11までの処理を繰り返す(ステップS40−12)。
【0173】
最後の格子である場合は、地上開度値変換処理に移行する。
【0174】
図18に示すように、Labカラー段彩部40は、地上開度計算部13により作成されたDHM地上開度データ25を読み込む(ステップS40−13)。
【0175】
読み込んだDHM地上開度データ25から、たとえば格子番号iが最小の格子を指定して、該当する格子のXY座標値と地上開度値θiを取得する(ステップS40−14)。
【0176】
次に、取得した地上開度値θiをキーにして地上開度値変換テーブル43を検索し、取得した地上開度値θiが該当するL*成分値を取得する(ステップS40−15)。
【0177】
取得したL*成分値を、既に記憶手段に保存してあるLabカラー植生画像データ44の、同一XY座標の格子のデータに追加する(ステップS40−16)。
【0178】
最後に、処理を行った格子がDHM地上開度データ25に含まれる最後の格子であるか、たとえば格子番号iが最大値未満であるかを判定する(ステップS40−17)。
【0179】
最後の格子でない場合は、格子番号iを1加算して、DHMデータ24の次の格子を指定し、ステップS40−14に戻り、ステップS40−17までの処理を繰り返す(ステップS40−18)。
【0180】
最後の格子である場合は、処理を終了する。
【0181】
地図合成部17は、実施の形態1で示した反射強度画像データ31、樹高画像データ32、および樹冠立体画像データ33とともに、Labカラー段彩部40が作成したLabカラー植生画像データ44を記憶手段から読み込み、画像選択表29によってユーザが表示するように選択した画像データから画像を生成し、植生図34として端末19に表示する。
【0182】
地図合成部17によって、図19(a)に示したように、Labカラー植生画像データ44からLabカラー植生画像44aが、植生図34として端末19に表示される。
【0183】
実施の形態1の図12(d)に示した植生図34と比較すると、各樹木の表示色の差がさらに明確になっている。
【0184】
実際の現地調査では、図19(a)のLabカラー植生画像44aに円で示した、樹高が高く反射強度が強いために赤色系で表示された箇所には、図19(b)のような葉が茂ったミズナラが群生し、樹高は同様に高いが反射強度が弱いために緑色系で表示された箇所には、図19(c)のような葉がまばらなサワグルミが群生していた。
【0185】
さらに、青色系で表示された箇所は、樹高が極めて低い、すなわち地盤が現れている場所であり、樹木と明確に区別できる。
【0186】
たとえば、図20(a)に示したように、Labカラー植生画像44aと立体地形画像を重ねて植生図34として端末19に表示することで、さらに立体的に樹種の植生を視覚的に認識しやすくなる。
【0187】
立体地形画像として、特許第4272146号公報に開示された立体画像作成装置による方法によって作成した画像を利用できる。
【0188】
すなわち、第1および第2の植生図作成装置10、10aに立体地形画像作成部を設け、地上開度計算部13と同様の処理によって、記憶手段に保存されたDEMデータ21からDEM地上開度値を求め、さらにDEMデータ21上に空気層を押し当てた立体を裏返した反転DEMデータ21からDEM地下開度値を求め、両方の差分をグレースケールで表示し、さらに傾斜を赤色系グラデーションで表示した擬似カラー画像を作成する。
【0189】
作成された擬似カラー画像は、尾根や山頂部分が白っぽく、また谷や窪地が黒っぽく表現され、傾斜が急な部分ほど赤く表現されることで1画像でも立体感があり、赤色立体画像ともよばれる。
【0190】
また、外部の立体画像作成装置の作成された立体地形画像を第1および第2の植生図作成装置10、10aに直接読み込む手段を設けても構わない。
【0191】
本発明では、画像選択表29の選択項目に立体地形画像を追加し、地図合成部17は、立体地形画像が選択されていれば、立体地形画像を他の選択画像に重ね合わせて端末19に表示する。
【0192】
この際、他の画像と重ね合わせることを考慮して、立体地形画像の彩度と明度を弱くして表示するなどの調整を適宜行うものとする。
【0193】
図20(a)はグレースケールとなっているためわかりにくいが、実際の画像では、円で示した左上部は各樹木が緑色系で表示され、中央部は赤色系で表示され、右下部は赤と緑が混在して表示されていて、実際に現地調査を行うと、それぞれの地区の樹種が異なっている。
【0194】
図20(a)を元に、同系色の範囲の輪郭を描画していくと、図20(b)に示したような林相区分図を得ることができる。
【0195】
このように、実施の形態1では、オルソフォト画像のように自然の緑に似た色合いで植生図34を表示することで、オルソフォト画像の代替として利用できる一方、実施の形態2では、樹種がより明確に区別できるように、L*a*b*表色系によって、樹種の指標により自然の樹木の色(主に緑)以外の赤、青、黄など様々な色で樹木などを表示している。
【0196】
このように、本発明により、樹種の分布が視覚的に認識しやすくなり、現地の植生調査を効率よく行うことができる。
【0197】
以上に示した本実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や処理手順を例示するものであって、構成部品の配置や処理の順番等を限定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。図面は模式的なものであり、装置の構成等は現実のものとは異なることに留意すべきである。
【符号の説明】
【0198】
10 第1の植生図作成装置
10a 第2の植生図作成装置
11 入力部
12 DHMデータ作成部
13 地上開度計算部
14 反射強度段彩部
15 樹高段彩部
16 地上開度段彩部
17 地図合成部
18 合成画像調整部
19 端末
20 航空レーザ測量データ
21 DEMデータ
22 DSMデータ
23 反射強度データ
24 DHMデータ
25 DHM地上開度データ
26 反射強度用カラーテーブル
27 樹高用カラーテーブル
28 地上開度用カラーテーブル
29 画像選択表
31 反射強度画像データ
31a 反射強度画像
32 樹高画像データ
32a 樹高画像
33 樹冠立体画像データ
33a 樹冠立体画像
34 植生図
40 Labカラー段彩部
41 反射強度値変換テーブル
42 樹高値変換テーブル
43 地上開度値変換テーブル
44 Labカラー植生画像データ
44a Labカラー植生画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測地域全体に所望の間隔の格子を設定した航空レーザ測量データのみを使用して植生図を作成する植生図作成装置であって、
前記航空レーザ測量データから生成された前記格子のXY座標値と地盤標高値からなるDEMデータと、前記XY座標値と表層標高値からなるDSMデータと、前記XY座標値と反射強度値からなる反射強度データを、外部記憶媒体から記憶手段に取り込む入力部と、
前記記憶手段に保存された前記DEMデータと前記DSMデータから、同一XY座標値に関する前記地盤標高値と前記表層標高値を読み出し、前記表層標高値から前記地盤標高値を差し引いた樹高値を、前記XY座標値とともにDHMデータとして前記記憶手段に保存するDHMデータ作成部と、
前記DHMデータの任意の格子を標本格子と設定し、前記標本格子から複数方向毎に検索範囲内に存在する対象格子までの格子間距離と樹高差から最大傾斜角度をそれぞれ求め、前記最大傾斜角度を平均化した地上開度値を、前記標本格子の前記XY座標値とともにDHM地上開度データとして記憶手段に保存する地上開度計算部と、
前記記憶手段に保存された前記反射強度データから前記反射強度値を読み出し、予め前記記憶手段に保存しておいた反射強度用カラーテーブルを前記反射強度値で検索し、前記反射強度値に対して設定された第1の表示色成分を取得して、前記XY座標値とともに反射強度画像データとして前記記憶手段に保存する反射強度段彩部と、
前記DHMデータから前記樹高値を読み出し、予め前記記憶手段に保存しておいた樹高用カラーテーブルを前記樹高値で検索し、前記樹高値に対して設定された第2の表示色成分を取得して、前記XY座標値とともに樹高画像データとして前記記憶手段に保存する樹高段彩部と、
前記DHM地上開度データから前記地上開度値を読み出し、予め前記記憶手段に保存しておいた地上開度用カラーテーブルを前記地上開度値で検索し、前記地上開度値に対して設定された第3の表示色成分を取得して、前記XY座標値とともに樹冠立体画像データとして前記記憶手段に保存する地上開度段彩部と、
前記記憶手段に保存された各画像データからそれぞれ画像を生成し、重ね合わせて植生図として端末に表示する地図合成部
とを含むことを特徴とする植生図作成装置。
【請求項2】
前記反射強度用カラーテーブル、前記樹高用カラーテーブルおよび前記地上開度用カラーテーブルを、前記端末からの入力により変更する合成画像調整部をさらに含む請求項1記載の植生図作成装置。
【請求項3】
前記合成画像調整部は、ユーザが表示したい画像の種類を前記端末から設定した画像選択表を記憶手段に保存し、
前記地図合成部は、前記画像選択表を参照し、選択された画像のみを前記端末に表示する請求項2記載の植生図作成装置。
【請求項4】
前記記憶手段に保存された前記反射強度データから前記反射強度値を読み出し、予め前記記憶手段に保存しておいた反射強度値変換テーブルを前記反射強度値で検索し、前記反射強度値に対して設定されたa*成分値に変換し、
前記DHMデータから前記樹高値を読み出し、予め前記記憶手段に保存しておいた樹高値変換テーブルを前記樹高値で検索し、前記樹高値に対して設定されたb*成分値に変換し、
前記DHM地上開度データから前記地上開度値を読み出し、予め前記記憶手段に保存しておいた地上開度値変換テーブルを前記地上開度値で検索し、前記地上開度値に対して設定されたL*成分値に変換し、
前記a*成分値、前記b*成分値、前記L*成分値を前記XY座標値とともにLabカラー植生画像データとして前記記憶手段に保存するLabカラー段彩部をさらに含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載の植生図作成装置。
【請求項5】
計測地域全体に所望の間隔の格子を設定した航空レーザ測量データのみを使用して植生図を作成する植生図作成装置であって、
前記航空レーザ測量データから生成された前記格子のXY座標値と地盤標高値からなるDEMデータと、前記XY座標値と表層標高値からなるDSMデータと、前記XY座標値と反射強度値からなる反射強度データを、外部記憶媒体から記憶手段に取り込む入力部と、
前記記憶手段に保存された前記DEMデータと前記DSMデータから、同一XY座標値に関する前記地盤標高値と前記表層標高値を読み出し、前記表層標高値から前記地盤標高値を差し引いた樹高値を、前記XY座標値とともにDHMデータとして前記記憶手段に保存するDHMデータ作成部と、
前記DHMデータの任意の格子を標本格子と設定し、前記標本格子から複数方向毎に検索範囲内に存在する対象格子までの格子間距離と樹高差から最大傾斜角度をそれぞれ求め、前記最大傾斜角度を平均化した地上開度値を、前記標本格子の前記XY座標値とともにDHM地上開度データとして記憶手段に保存する地上開度計算部と、
前記記憶手段に保存された前記反射強度データから前記反射強度値を読み出し、予め前記記憶手段に保存しておいた反射強度値変換テーブルを前記反射強度値で検索し、前記反射強度値に対して設定されたa*成分値に変換し、
前記DHMデータから前記樹高値を読み出し、予め前記記憶手段に保存しておいた樹高値変換テーブルを前記樹高値で検索し、前記樹高値に対して設定されたb*成分値に変換し、
前記DHM地上開度データから前記地上開度値を読み出し、予め前記記憶手段に保存しておいた地上開度値変換テーブルを前記地上開度値で検索し、前記地上開度値に対して設定されたL*成分値に変換し、
前記a*成分値、前記b*成分値、前記L*成分値を前記XY座標値とともにLabカラー植生画像データとして前記記憶手段に保存するLabカラー段彩部と、
前記Labカラー植生画像データから画像を生成し、植生図として端末に表示する地図合成部
とを含むことを特徴とする植生図作成装置。
【請求項6】
計測地域全体に所望の間隔の格子を設定した航空レーザ測量データのみを使用して植生図を作成する植生図作成プログラムであって、
コンピュータに、
前記航空レーザ測量データから生成された前記格子のXY座標値と地盤標高値からなるDEMデータと、前記XY座標値と表層標高値からなるDSMデータと、前記XY座標値と反射強度値からなる反射強度データを、外部記憶媒体から記憶手段に取り込む入力手段、
前記記憶手段に保存された前記DEMデータと前記DSMデータから、同一XY座標値に関する前記地盤標高値と前記表層標高値を読み出し、前記表層標高値から前記地盤標高値を差し引いた樹高値を、前記XY座標値とともにDHMデータとして前記記憶手段に保存するDHMデータ作成手段、
前記DHMデータの任意の格子を標本格子と設定し、前記標本格子から複数方向毎に検索範囲内に存在する対象格子までの格子間距離と樹高差から最大傾斜角度をそれぞれ求め、前記最大傾斜角度を平均化した地上開度値を、前記標本格子の前記XY座標値とともにDHM地上開度データとして記憶手段に保存する地上開度計算手段、
前記記憶手段に保存された前記反射強度データから前記反射強度値を読み出し、予め前記記憶手段に保存しておいた反射強度用カラーテーブルを前記反射強度値で検索し、前記反射強度値に対して設定された第1の表示色成分を取得して、前記XY座標値とともに反射強度画像データとして前記記憶手段に保存する反射強度段彩手段、
前記DHMデータから前記樹高値を読み出し、予め前記記憶手段に保存しておいた樹高用カラーテーブルを前記樹高値で検索し、前記樹高値に対して設定された第2の表示色成分を取得して、前記XY座標値とともに樹高画像データとして前記記憶手段に保存する樹高段彩手段、
前記DHM地上開度データから前記地上開度値を読み出し、予め前記記憶手段に保存しておいた地上開度用カラーテーブルを前記地上開度値で検索し、前記地上開度値に対して設定された第3の表示色成分を取得して、前記XY座標値とともに樹冠立体画像データとして前記記憶手段に保存する地上開度段彩手段、
前記記憶手段に保存された各画像データからそれぞれ画像を生成し、重ね合わせて植生図として端末に表示する地図合成手段
としての機能を実行させるための植生図作成プログラム。
【請求項7】
前記コンピュータに、
前記反射強度用カラーテーブル、前記樹高用カラーテーブルおよび前記地上開度用カラーテーブルを、前記端末からの入力により変更する合成画像調整手段としての機能をさらに実行させるための請求項6記載の植生図作成プログラム。
【請求項8】
前記合成画像調整手段に、ユーザが表示したい画像の種類を前記端末から設定した画像選択表を記憶手段に保存し、
前記地図合成手段に、前記画像選択表を参照し、選択された画像のみを前記端末に表示することを実行させるための請求項7記載の植生図作成プログラム。
【請求項9】
前記コンピュータに、
前記記憶手段に保存された前記反射強度データから前記反射強度値を読み出し、予め前記記憶手段に保存しておいた反射強度値変換テーブルを前記反射強度値で検索し、前記反射強度値に対して設定されたa*成分値に変換し、
前記DHMデータから前記樹高値を読み出し、予め前記記憶手段に保存しておいた樹高値変換テーブルを前記樹高値で検索し、前記樹高値に対して設定されたb*成分値に変換し、
前記DHM地上開度データから前記地上開度値を読み出し、予め前記記憶手段に保存しておいた地上開度値変換テーブルを前記地上開度値で検索し、前記地上開度値に対して設定されたL*成分値に変換し、
前記a*成分値、前記b*成分値、前記L*成分値を前記XY座標値とともにLabカラー植生画像データとして前記記憶手段に保存するLabカラー段彩手段部としての機能をさらに実行させるための請求項6乃至8のいずれか1項に記載の植生図作成プログラム。
【請求項10】
計測地域全体に所望の間隔の格子を設定した航空レーザ測量データのみを使用して植生図を作成する植生図作成プログラムであって、
コンピュータに、
前記航空レーザ測量データから生成された前記格子のXY座標値と地盤標高値からなるDEMデータと、前記XY座標値と表層標高値からなるDSMデータと、前記XY座標値と反射強度値からなる反射強度データを、外部記憶媒体から記憶手段に取り込む入力手段、
前記記憶手段に保存された前記DEMデータと前記DSMデータから、同一XY座標値に関する前記地盤標高値と前記表層標高値を読み出し、前記表層標高値から前記地盤標高値を差し引いた樹高値を、前記XY座標値とともにDHMデータとして前記記憶手段に保存するDHMデータ作成手段、
前記DHMデータの任意の格子を標本格子と設定し、前記標本格子から複数方向毎に検索範囲内に存在する対象格子までの格子間距離と樹高差から最大傾斜角度をそれぞれ求め、前記最大傾斜角度を平均化した地上開度値を、前記標本格子の前記XY座標値とともにDHM地上開度データとして記憶手段に保存する地上開度計算手段、
前記記憶手段に保存された前記反射強度データから前記反射強度値を読み出し、予め前記記憶手段に保存しておいた反射強度値変換テーブルを前記反射強度値で検索し、前記反射強度値に対して設定されたa*成分値に変換し、
前記DHMデータから前記樹高値を読み出し、予め前記記憶手段に保存しておいた樹高値変換テーブルを前記樹高値で検索し、前記樹高値に対して設定されたb*成分値に変換し、
前記DHM地上開度データから前記地上開度値を読み出し、予め前記記憶手段に保存しておいた地上開度値変換テーブルを前記地上開度値で検索し、前記地上開度値に対して設定されたL*成分値に変換し、
前記a*成分値、前記b*成分値、前記L*成分値を前記XY座標値とともにLabカラー植生画像データとして前記記憶手段に保存するLabカラー段彩手段、
前記Labカラー植生画像データから画像を生成し、植生図として端末に表示する地図合成手段
としての機能を実行させるための植生図作成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−54660(P2013−54660A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193949(P2011−193949)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(591074161)アジア航測株式会社 (48)
【Fターム(参考)】