説明

検体処理システム

【課題】小型化を図りながら、十分な作業スペースを確保することが可能な検体処理システムを提供する。
【解決手段】この血液分析装置1(検体処理システム)は、検体を搬送する検体搬送装置4と、検体搬送装置4による検体の搬送方向に沿って配置され、搬送された検体を処理する第1測定ユニット2および第2測定ユニット3と、各測定ユニットを載置するための基台6と、基台6上において、測定ユニットを少なくとも測定ユニットの向きを変えるように移動させることが可能で、かつ、測定ユニットの移動範囲を規制する第1ガイド611、612および第2ガイド621、622とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体処理システムに関し、特に、複数の検体処理装置を備えた検体処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の検体処理装置を備えた検体処理システムが知られている。このような検体処理システムは、複数の検体処理装置を載置するための基台と、検体処理装置に検体を搬送するための搬送装置とを備えて構成されており、個々の検体処理装置は、搬送装置との接続を解除することにより基台上で移動させることが可能である。しかしながら、検体処理装置を基台上で移動させるとき、検体処理装置が基台から脱落してしまうおそれがあり、保守作業が煩雑であった。
【0003】
このような保守作業における煩雑さを解消するため、特許文献1に記載の検体処理システムでは、2つの検体処理装置が基台上に設けられた直線状の移動路上に互いに隣接して配置されている。検体処理装置の保守作業時には、2つの検体処理装置を移動路に沿って配列方向に直線移動させることによって、互いを離間させて作業スペースを確保することができるように構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−349897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の検体処理システムでは、検体処理装置の移動が直線移動に限られるため、2つの検体処理装置の互いに対向する側面の保守作業を行う場合には、十分な作業スペースを確保するために移動路の長さを大きくして2つの検体処理装置の離間距離を大きくする必要がある。このため、検体処理システムが大型化するという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、保守作業の煩雑さを解消しつつ、小型化を図りながら、十分な作業スペースを確保することが可能な検体処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における検体処理システムは、検体を搬送する搬送装置と、搬送装置による検体の搬送方向に沿って配置され、搬送装置によって搬送された検体を処理する複数の検体処理装置と、複数の検体処理装置を載置するための基台と、基台上において、検体処理装置を少なくとも検体処理装置の向きを変えるように移動させることが可能で、かつ、検体処理装置の移動範囲を規制する移動規制手段とを備える。
【0008】
この発明の一の局面による検体処理システムでは、上記のように、基台上において、検体処理装置を少なくとも検体処理装置の向きを変えるように移動させることが可能で、かつ、検体処理装置の移動範囲を規制する移動規制手段を設けることによって、複数の検体処理装置の互いに対向する側面の保守作業を行う場合にも、検体処理装置の向きを変えて、作業スペースを広げることができる。これにより、検体処理装置を直線状にしか移動することができない場合と比べて、装置同士の離間距離を拡大することなく作業スペースを得ることができるので、移動範囲を小さくすることができる。その結果、保守作業の煩雑さを解消しつつ、検体処理システムの小型化を図りながら、検体処理装置の保守作業を行うための十分な作業スペースを確保することができる。
【0009】
上記一の局面による検体処理システムにおいて、好ましくは、移動規制手段は、基台上において、検体処理装置をさらに検体処理装置の配列方向にも移動可能に規制するように構成されている。このように構成すれば、保守作業時に、検体処理装置を基台上で検体処理装置の配列方向に移動させることによって、隣接する検体処理装置との離間距離を大きくして、回動させるためのスペースを容易に確保することができる。
【0010】
上記一の局面による検体処理システムにおいて、好ましくは、移動規制手段は、検体処理装置が基台上から脱落することなく、平面的に見て検体処理装置の一部が基台上から突出する範囲まで、検体処理装置の基台上の移動および回動を可能とするように規制するように構成されている。このように構成すれば、平面的に見て、検体処理装置の移動範囲よりも基台の大きさを小さくすることができるので、より検体処理システムの小型化を図ることができる。
【0011】
上記一の局面による検体処理システムにおいて、好ましくは、検体処理装置は、基台上における移動を円滑にするための移動円滑化部材を含む。このように構成すれば、移動円滑化部材により基台上の検体処理装置の向きを容易に変えることができるので、容易に、作業スペースを確保することができる。
【0012】
上記一の局面による検体処理システムにおいて、好ましくは、検体処理装置の基台に対する傾きを規制する傾斜規制部材をさらに備え、傾斜規制部材は、検体処理装置の一部が基台上から突出する位置まで検体処理装置が移動された場合に、検体処理装置が基台に対して傾くのを規制するように構成されている。このように構成すれば、検体処理装置の一部が基台上から外側に突出した位置まで外れることによって検体処理装置の支持個所が少なくなった場合にも、傾斜規制部材により検体処理装置が傾くのを抑制することができる。
【0013】
この場合において、好ましくは、傾斜規制部材は、移動円滑化部材の高さよりも小さい高さを有する。このように構成すれば、移動円滑化部材により検体処理装置を基台上で移動する際に、傾斜規制部材が検体処理装置の移動を妨げない。また、検体処理装置の一部が基台上から外側に外れた状態で検体処理装置が基台に対して傾く場合には、傾斜規制部材が基台と当接することにより検体処理装置が大きく傾くのを抑制することができる。
【0014】
上記一の局面による検体処理システムにおいて、好ましくは、基台は、複数の検体処理装置の各々が搬送装置によって搬送された検体を取り込み可能な第1取込位置に複数の検体処理装置の各々を固定するための第1固定手段と、搬送装置によって搬送された検体を取り込み可能で、かつ、第1取込位置とは異なる第2取込位置に検体処理装置を固定するための第2固定手段とを含む。このように構成すれば、第1取込位置のみならず第2取込位置においても、検体処理装置が第1および第2固定手段により固定された安定した状態で、検体の取り込み動作を行うことができる。
【0015】
上記一の局面による検体処理システムにおいて、好ましくは、移動規制手段は、基台上に配置された規制部材を含み、規制部材は、検体処理装置の一部と当接することにより検体処理装置の移動範囲を規制するように構成されている。このように構成すれば、規制部材を基台の所望の位置に設けるだけで検体処理装置の基台上の移動範囲を規制することができる。
【0016】
この場合において、好ましくは、規制部材は、基台上において、搬送装置による検体の搬送方向と直交する方向の検体処理装置の移動を規制する第1ガイドと、搬送方向に沿った方向の移動を規制する第2ガイドとを含む。このように構成すれば、第1ガイドおよび第2ガイドにより、検体の搬送方向に沿った方向および検体の搬送方向と直交する方向の両方向の検体処理装置の移動を規制することができる。
【0017】
上記規制部材が第1ガイドを含む構成において、好ましくは、検体処理装置は、基台上における移動を円滑にするための移動円滑化部材を含み、移動円滑化部材は、検体処理装置の底面に複数設けられており、第1ガイドは、複数の移動円滑化部材のうちの隣接する2つの移動円滑化部材の間隔より長く構成されており、隣接する2つの移動円滑化部材が、検体処理装置が搬送装置によって搬送された検体を取り込み可能な状態において、第1ガイドと搬送装置との間に配置されるように構成されている。このように構成すれば、検体処理装置が検体を取込可能な状態から、検体処理装置を搬送装置から離れる方向に移動させた場合にも、第1ガイドを移動円滑化部材に確実に当接させ、検体処理装置の移動を規制させることができる。
【0018】
上記規制部材が第1ガイドを含む構成において、好ましくは、第1ガイドは、複数の検体処理装置の移動を規制するために、複数の検体処理装置の各々に対応して1つずつ設けられており、隣接する第1ガイドの間隔が、検体処理装置を回動させる際に、移動円滑化部材が通過可能な間隔である。このように構成すれば、第1ガイドにより隔てられた一方側および他方側の両方の領域にまたがって移動円滑化部材を移動させることができるので、検体処理装置の移動範囲を規制しながら、容易に検体処理装置を回動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態による血液分析装置の全体構成を示した斜視図である。図2〜図13は、図1に示した一実施形態による血液分析装置の各部の詳細を説明するための図である。まず、図1〜図13を参照して、本発明の一実施形態による血液分析装置1の全体構成について説明する。なお、本実施形態では、検体処理システムの一例である血液分析装置に本発明を適用した場合について説明する。
【0021】
本実施形態による血液分析装置1は、図1に示すように、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3の2つの測定ユニットと、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3の前面側(矢印Y1方向側)に配置された検体搬送装置(サンプラ)4と、第1測定ユニット2、第2測定ユニット3および検体搬送装置4に電気的に接続されたPC(パーソナルコンピュータ)からなる制御装置5と、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3を載置するための基台6とを備えている。また、血液分析装置1は、制御装置5によりホストコンピュータ7(図2参照)に接続されている。
【0022】
また、図1および図2に示すように、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3は、それぞれ基台6上でX方向に沿って隣接して配列されている。第1測定ユニット2および第2測定ユニット3は、それぞれ検体搬送装置4側(Y1方向)の前面2aおよび3aと、Y2方向側の背面2bおよび3bと、X2方向側の一方側面2cおよび3cと、X1方向側の他方側面2dおよび3dと、底面2eおよび3e(図5参照)とを有する。また、第1測定ユニット2と第2測定ユニット3とは、第1測定ユニット2の一方側面2cと第2測定ユニット3の他方側面3dとが近接して対向するように配置される。これらの第1測定ユニット2および第2測定ユニット3は、それぞれ前面2aおよび3aにおいて、それぞれ基台6上に配置された状態で検体搬送装置4の上方(Z1方向)に突き出た張出領域2fおよび3fを含む。また、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3は、背面2bおよび3b側にも、後方(Y2方向)に突き出た張出領域2gおよび3gを含む。したがって、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3の外形形状は、平面的に見て、基台6の外形よりも外側に突出するように構成されている。
【0023】
また、図1〜図3に示すように、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3は、実質的に同種類の測定ユニットであり、互いに隣接して配置されている。具体的には、本実施形態では、第2測定ユニット3は、第1測定ユニット2と同じ測定原理を使用して、同一の測定項目について検体を測定する。さらに、第2測定ユニット3は、第1測定ユニット2が分析しない測定項目についても測定する。また、図2に示すように、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3は、それぞれ、検体である血液をサンプル容器(試験管)100から吸引する検体吸引部21および31と、検体吸引部21および31により吸引した血液から検出用試料を調製する試料調製部22および32と、試料調製部22および32により調製された検出用試料から血液の血球を検出する検出部23および33とを含んでいる。
【0024】
また、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3は、それぞれ、検体搬送装置4が搬送するラック101(図4参照)に収容されたサンプル容器100を内部に取り込むための取り込み口24および34(図1参照)と、ラック101からサンプル容器100を内部に取り込み、検体吸引部21および31による吸引位置(図2参照)までサンプル容器100を搬送するサンプル容器搬送部25および35とをさらに含んでいる。
【0025】
検体吸引部21(31)は、図2に示すように、ピアサ211(311)を含んでいる。ピアサ211(311)は、先端がサンプル容器100の密閉蓋を貫通(穿刺)可能なように形成されている。また、ピアサ211(311)は、図示しないピアサ駆動部により鉛直方向(矢印Z1およびZ2方向)に移動されるように構成されている。
【0026】
検出部23(33)は、RBC検出(赤血球の検出)およびPLT検出(血小板の検出)をシースフローDC検出法により行うとともに、HGB検出(血液中の血色素の検出)をSLS−ヘモグロビン法により行うように構成されている。また、検出部23(33)は、WBC検出(白血球の検出)を半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うようにも構成されている。検出部23(33)で得られた検出結果は、検体の測定データ(測定結果)として、制御装置5に送信される。なお、この測定データは、ユーザに提供される最終的な分析結果(赤血球数、血小板数、ヘモグロビン量、白血球数など)のもととなるデータである。
【0027】
サンプル容器搬送部25(35)は、図3に示すように、サンプル容器100を把持することが可能なハンド部251(351)と、ハンド部251(351)をそれぞれ開閉させることが可能な開閉部252(352)と、ハンド部251(351)をそれぞれ鉛直方向(矢印Z方向)に直線移動する鉛直移動部253(353)と、ハンド部251(351)をそれぞれ鉛直方向(矢印Z方向)に振り子状に移動する攪拌部254(354)とを有している。また、サンプル容器搬送部25(35)は、図2に示すように、ハンド部251(351)によりラック101から取得されたサンプル容器100を検体セット部255a(355a)に保持し、検体吸引部21(31)の吸引位置まで矢印Y方向に水平に直線移動するサンプル容器移動部255(355)と、バーコード読取部256(356)とをさらに有している。
【0028】
ハンド部251(351)は、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3の張出領域2fおよび3fにそれぞれ設けられており、検体搬送装置4が搬送するラック101の搬送路の上方(矢印Z1方向)に配置されている。ハンド部251(351)は、検体搬送装置4により後述する取出位置Q(図2参照)にサンプル容器100が搬送されると、下方(矢印Z2方向)に移動した後、開閉部252(352)により開閉されてラック101に収容されたサンプル容器100を把持するように構成されている。
【0029】
また、ハンド部251(351)は、把持したサンプル容器100を上方(Z1方向)に移動してラック101からサンプル容器100を取り出し、それぞれ、攪拌部254(354)により振り子状に移動される(たとえば、10往復)ことによって、把持するサンプル容器100内の血液を攪拌することが可能である。また、攪拌終了後、ハンド部251(351)は、下方(Z2方向)に移動した後、開閉部252(352)によりサンプル容器100の把持を開放するように構成されている。具体的には、ハンド部251(351)は、サンプル容器移動部255(355)により背面側(Y2方向)からハンド部251(351)の鉛直下方(Z2方向)に移動された検体セット部255a(355a)に、把持していたサンプル容器100をセットするように構成されている。
【0030】
開閉部252(352)は、それぞれ、エアシリンダ252a(352a)による動力により、サンプル容器100を把持するようにハンド部251(351)を開閉するように構成されている。
【0031】
鉛直移動部253(353)は、それぞれ、ステッピングモータ253a(353a)による動力により、レール253b(353b)に沿ってハンド部251(351)を鉛直方向(矢印Z方向)に移動するように構成されている。
【0032】
攪拌部254(354)は、それぞれ図示しないステッピングモータによる動力により、ハンド部251(351)を鉛直方向(矢印Z方向)に振り子状に移動するように構成されている。
【0033】
サンプル容器移動部255(355)は、図2に示すように、検体セット部255a(355a)を有し、第1検体セット部255a(355a)を測定処理の動作に応じた所定の位置に移動させることが可能である。具体的には、サンプル容器移送部255(355)により、各検体セット部を、図2に示す吸引位置と、ハンド部251(351)の移動線上とに配置させることが可能である。また、サンプル容器移動部255(355)は、それぞれの吸引位置においてサンプル容器100を固定保持するように構成されている。
【0034】
バーコード読取部256(356)は、各サンプル容器100に貼付されたバーコード100aを読み取るように構成されている。また、各サンプル容器100のバーコード100aは、各検体に固有に付されたものであり、各検体の分析結果の管理などに使用される。
【0035】
また、図5に示すように、第1測定ユニット2の底面2eには、4つのボールキャスター261、262、263および264と、2つの傾斜規制部材271および272と、2つの固定部材281および282とが設けられている。また、第2測定ユニット3の底面3eには、4つのボールキャスター361、362、363および364と、2つの傾斜規制部材371および372と、2つの固定部材381および382とが設けられている。なお、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3の底面2eおよび3eの形状、各部材の配置は同様である。
【0036】
また、本実施形態では、ボールキャスター261〜264(361〜364)は、各測定ユニットの底面2e(3e)の四隅近傍にそれぞれ設けられている。これらのボールキャスター261〜264(361〜364)は、基台6上での測定ユニット2(3)の移動および回動を円滑化する機能を有している。また、ボールキャスター261〜264(361〜364)のうち、互いにX方向に隣接するボールキャスター263(363)とボールキャスター264(364)とは、間隔D1を有する。同様に、ボールキャスター261(361)とボールキャスター262(362)とは、間隔D1を有する。また、互いにY方向に隣接するボールキャスター261(361)とボールキャスター263(363)とは、間隔D2を有する。同様に、ボールキャスター262(362)とボールキャスター264(364)とは、間隔D2を有する。なお、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3の移動範囲は、これらのボールキャスター261〜264(361〜364)が基台6上に設けられた後述する第1ガイド611、612および第2ガイド621、622と当接することによって所定の範囲に規制される。
【0037】
また、2つの傾斜規制部材271および272(371および372)は、ゴムなどの弾性部材からなり、各測定ユニットの底面2e(3e)において、背面2b(3b)から内側に距離D3だけずれた位置にそれぞれ設けられている。また、傾斜規制部材271(371)は一方側面2c(3c)から距離D4だけ離間し、傾斜規制部材272(372)は他方側面2d(3d)から距離D4だけ離間して配置されている。図6に示すように、これらの傾斜規制部材271および272(371および372)は、ボールキャスター261〜264(361〜364)の下方への突出高さH1よりも僅かに小さい下方への突出高さH2を有する。このため、傾斜規制部材271および272(371および372)は、4つのボールキャスター261〜264(361〜364)の全てが基台6上に配置された状態で、基台6の上面6aと接触しないように構成されている。傾斜規制部材271および272(371および372)は、4つのボールキャスター261〜264(361〜364)のうちの1つが基台6上から外れることによって第1測定ユニット2(第2測定ユニット3)が基台6に対して傾く場合に、基台6の上面6aと当接して、第1測定ユニット2(第2測定ユニット3)の傾きを規制するように構成されている。
【0038】
また、図5に示すように、固定部材281および282(381および382)は、第1測定ユニット2(第2測定ユニット3)を、検体が収容されたサンプル容器100を取り込むための後述する第1取込位置P1(図14参照)または第2取込位置P2(図23参照)に固定するために設けられている。図6に示すように、これらの固定部材281および282(381および382)は、L字状形状を有し、底面2e(3e)に取り付けられた状態で、各側面に沿うように下方(Z2方向)に延びる取付部281aおよび282a(381aおよび382a)をそれぞれ有する。また、図7に示すように、固定部材の取付部281aおよび282a(381aおよび382a)には、図示しないネジ穴が設けられていて、後述する側面固定部材64とネジ部材110により締結される。これにより、各測定ユニットが、基台6上の取込位置(第1取込位置P1または第2取込位置P2)に固定されるように構成されている。なお、図6および7においては、固定部材381(取付部381a)が側面固定部材64とネジ部材110により締結されている状態を示すが、他の固定部材281、282および382も同様である。また、図5および図6に示すように、この固定部材281(381)は、底面2e(3e)において、一方側面2c(3c)側に配置され、取付部281a(381a)が一方側面2c(3c)に対して実質的に面一となるように配置されている。固定部材282(382)は、底面2e(3e)において、他方側面2d(3d)側に配置され、取付部282a(382a)が他方側面2d(3d)に対して実質的に面一となるように配置されている。
【0039】
ここで、図2、図3および図8に示すように、検体搬送装置4は、分析が行われる前の検体を収容するサンプル容器100が収容された複数のラック101を保持することが可能な分析前ラック保持部41と、分析が行われた後の検体を収容するサンプル容器100が収容された複数のラック101を保持することが可能な分析後ラック保持部42と、ラック101を矢印X方向に水平に直線移動するラック搬送部43と、バーコード読取部44と、サンプル容器100の有無を検知する有無検知センサ45(図2および図3参照)と、分析後ラック保持部42内にラック101を移動するラック送出部46とを含んでいる。
【0040】
分析前ラック保持部41は、ラック送込部411を有し、ラック送込部411が矢印Y方向に移動することによって、分析前ラック保持部41に保持されたラック101を1つずつラック搬送部43上に押し出すように構成されている。ラック送込部411は、分析前ラック保持部41の下方に設けられた図示しないステッピングモータによって駆動するように構成されている。また、分析前ラック保持部41は、ラック搬送部43近傍に規制部412(図3参照)を有し、一度ラック搬送部43上に押し出されたラック101が分析前ラック保持部41内に戻されないようにラック101の移動を規制するように構成されている。
【0041】
分析後ラック保持部42は、ラック搬送部43の近傍に規制部421(図3参照)を有し、一度分析後ラック保持部42内に移動されたラック101がラック搬送部43側に戻されないようにラック101の移動を規制するように構成されている。
【0042】
ラック搬送部43は、図8に示すように、互いに独立して動くことが可能な第1ベルト431および第2ベルト432の2つのベルトを有している。また、第1ベルト431および第2ベルト432の矢印Y方向の幅b1およびb2は、それぞれラック101の矢印Y方向の幅Bの半分以下の大きさである。これにより、ラック搬送部43がラック101を搬送する際に、第1ベルト431および第2ベルト432は、ともにラック101の幅Bからはみ出ないように並列に配置されている。また、図9および図10に示すように、第1ベルト431および第2ベルト432は、環状に形成されており、それぞれローラ431a〜431c(図9参照)およびローラ432a〜432c(図10参照)を取り囲むように配置されている。また、第1ベルト431および第2ベルト432の外周部には、ラック101の矢印X方向の幅Wよりも若干(たとえば、約1mm)大きい内幅w1(図9参照)およびw2(図10参照)を有するように突起片431dおよび432dがそれぞれ2つずつ形成されている。第1ベルト431は、突起片431dの内側にラック101を保持した状態において、図示しないステッピングモータによりローラ431a〜431cの外周を移動されることによって、ラック101を矢印X1方向および矢印X2方向に移動するように構成されている。なお、第2ベルト432は、第1ベルト431と同様に構成されている。
【0043】
バーコード読取部44は、図4に示したサンプル容器100のバーコード100aを読み取るとともに、ラック101に貼付されたバーコード101aを読み取るように構成されている。また、バーコード読取部44は、図示しない回転装置によって対象のサンプル容器100をラック101に収容したまま水平方向に回転させながらバーコード100aを読み取るように構成されている。これにより、サンプル容器100のバーコード100aがバーコード読取部44に対して反対側に貼付されている場合にも、サンプル容器100を回転させることによって、バーコード100aをバーコード読取部44側に向けることが可能である。また、ラック101のバーコード101aは、各ラックに固有に付されたものであり、検体の分析結果の管理などに使用される。
【0044】
有無検知センサ45は、接触型のセンサであり、のれん形状の接触片451(図3参照)、光を出射する発光素子(図示せず)および受光素子(図示せず)を有している。有無検知センサ45は、接触片451が検知対象の被検知物に当接されることにより屈曲され、その結果、発光素子から出射された光が接触片451により反射されて受光素子に入射されるように構成されている。これにより、有無検知センサ45の下方をラック101に収容された検知対象のサンプル容器100が通過する際に、接触片451がサンプル容器100により屈曲されて、サンプル容器100が有ることを検知することが可能である。
【0045】
ラック送出部46は、ラック搬送部43を挟んで分析後ラック保持部42に対向するように配置されており、矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析後ラック保持部42とラック送出部46との間(以下、ラック送出位置という)にラック101が搬送された場合に、ラック送出部46を分析後ラック保持部42側に移動することによって、ラック101を押圧して分析後ラック保持部42内に移動することが可能である。
【0046】
制御装置5は、図1、図2および図11に示すように、パーソナルコンピュータ(PC)などからなり、CPU、ROM、RAMなどからなる制御部51(図11参照)と、表示部52と、入力デバイス53とを含んでいる。また、表示部52は、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3から送信されたデジタル信号のデータを分析して得られた分析結果などを表示するために設けられている。
【0047】
また、制御装置5は、図11に示すように、制御部51と、表示部52と、入力デバイス53とから主として構成されたコンピュータ500によって構成されている。制御部51は、CPU51aと、ROM51bと、RAM51cと、ハードディスク51dと、読出装置51eと、入出力インタフェース51fと、通信インタフェース51gと、画像出力インタフェース51hとから主として構成されている。CPU51a、ROM51b、RAM51c、ハードディスク51d、読出装置51e、入出力インタフェース51f、通信インタフェース51g、および画像出力インタフェース51hは、バス51iによって接続されている。
【0048】
CPU51aは、ROM51bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM51cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するようなアプリケーションプログラム54a〜54cをCPU51aが実行することにより、コンピュータ500が制御装置5として機能する。
【0049】
ROM51bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどによって構成されており、CPU51aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータなどが記録されている。
【0050】
RAM51cは、SRAMまたはDRAMなどによって構成されている。RAM51cは、ROM51bおよびハードディスク51dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU51aの作業領域として利用される。
【0051】
ハードディスク51dは、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU51aに実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。第1測定ユニット2用の測定処理(1)プログラム54a、第2測定ユニット3用の測定処理(2)プログラム54bおよび検体搬送装置4用のサンプラ動作処理プログラム54cも、このハードディスク51dにインストールされている。これらのアプリケーションプログラム54a〜54cがCPU51aに実行されることによって、第1測定ユニット2、第2測定ユニット3および検体搬送装置4の各部の動作が制御される。また、測定結果データベース54dもインストールされている。
【0052】
読出装置51eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブなどによって構成されており、可搬型記録媒体54に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体54には、アプリケーションプログラム54a〜54cが格納されており、コンピュータ500がその可搬型記録媒体54からアプリケーションプログラム54a〜54cを読み出し、そのアプリケーションプログラム54a〜54cをハードディスク51dにインストールすることが可能である。
【0053】
なお、上記アプリケーションプログラム54a〜54cは、可搬型記録媒体54によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ500と通信可能に接続された外部の機器から上記電気通信回線を通じて提供することも可能である。たとえば、上記アプリケーションプログラム54a〜54cがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ500がアクセスして、そのアプリケーションプログラム54a〜54cをダウンロードし、これをハードディスク51dにインストールすることも可能である。
【0054】
また、ハードディスク51dには、たとえば、米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのグラフィカルユーザインタフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、アプリケーションプログラム54a〜54cは上記オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0055】
入出力インタフェース51fは、たとえば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインタフェース、およびD/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインタフェースなどから構成されている。入出力インタフェース51fには、入力デバイス53が接続されており、ユーザがその入力デバイス53を使用することにより、コンピュータ500にデータを入力することが可能である。
【0056】
通信インタフェース51gは、たとえば、Ethernet(登録商標)インタフェースである。コンピュータ500は、その通信インタフェース51gにより、所定の通信プロトコルを使用して第1測定ユニット2、第2測定ユニット3、検体搬送装置4およびホストコンピュータ7との間でデータの送受信が可能である。
【0057】
画像出力インタフェース51hは、LCDまたはCRTなどで構成された表示部52に接続されており、CPU51aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部52に出力するようになっている。表示部52は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示するように構成されている。
【0058】
制御部51は、上記した構成により、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3から送信された測定結果を用いて分析対象の成分を解析するとともに、分析結果(赤血球数、血小板数、ヘモグロビン量、白血球数など)を取得するように構成されている。
【0059】
また、図12に示すように、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3が配置される基台6は、平面的に見て長方形状を有する。この基台6には、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3の基台6上における移動範囲を規制する第1ガイド611および612と、第2ガイド621および622とが設けられている。この第1ガイド611および612は、各測定ユニットの移動を規制するために、各測定ユニットに対応して1つずつ設けられている。すなわち、第1ガイド611は、第1測定ユニット2に対応して設けられ、第1ガイド612は、第2測定ユニット3に対応して設けられている。また、基台6の上面6aには、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3を後述する第1取込位置P1および第2取込位置P2に固定するための第1固定穴631および第2固定穴632が形成され、L字形状を有する側面固定部材64(図13参照)によって第1測定ユニット2および第2測定ユニット3を固定可能に構成されている。また、基台6の前面(Y1方向)側には、各測定ユニットを後述する第1取込位置P1および第2取込位置P2に固定するための前面固定部材65が設けられている。
【0060】
第1ガイド611および612は、平面的に見て台形形状を有し、それぞれ基台6の前面側(Y1方向)端部から距離D5の位置に、ラック101(サンプル容器100)の搬送方向(X方向)に沿って延びるように設けられている。また、基台6のX1方向側に配置された第1ガイド611は、長さL1を有する。一方、X2方向側に配置された第1ガイド612は、第1ガイド611の長さL1よりも小さい長さL2を有する。これらの第1ガイド611(612)の長さL1(L2)は、4つのボールキャスター261〜264(361〜364)のうち、隣接する2つのボールキャスターの間隔D1およびD2(図5参照)よりも大きい長さを有する。第1ガイド611および612は、ボールキャスター261〜264(361〜364)が当接されることによって、基台6上における各測定ユニットの前後方向(Y方向)の移動範囲を規制するように構成されている。なお、図6に示すように、第1ガイド612は、第2測定ユニット3の底面3eの高さ位置(ボールキャスターの高さH1)よりも低い高さH3を有する。図示していないが、第1ガイド611も同一の高さH3を有する。また、第1ガイド611および612は、それぞれ、基台6のX方向端部から、間隔D6だけ離間するように設けられるとともに、第1ガイド611と第1ガイド612との間には、間隔D7だけ離間するように設けられている。また、間隔D6およびD7は、ボールキャスター261〜264(361〜364)が通過可能な間隔である。これにより、第1ガイド611および612の両端部の隙間を通過させながらボールキャスター261〜264(361〜364)を移動させて、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3を回動させることが可能である。
【0061】
また、第2ガイド621および622は、それぞれ基台6のX方向の両側面に沿って、ラック101(サンプル容器100)の搬送方向と直交する方向(Y方向)に延びるように設けられている。これにより、第2ガイド621および622は、基台6上における各測定ユニットの横方向(X方向)の移動範囲を規制するように構成されている。また、第2ガイド621および622は、折曲部を有し、それぞれ基台6のコーナ部に沿うように取り付けられている。また、図6に示すように、第2ガイド622は、第1ガイド612の高さH3よりも大きい高さH4を有する。図示していないが、第2ガイド621も、第2ガイド622と同一の高さH4を有する。これにより、各測定ユニットを移動させた場合に、ボールキャスター261〜264(361〜364)と当接することにより、各測定ユニットが基台6上からX方向に脱落するのを防止するように構成されている。
【0062】
また、第1固定穴631は、基台6上の2箇所に3つずつ設けられ、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3のそれぞれを、側面固定部材64により第1取込位置P1に固定するために設けられている。ここで、第1取込位置P1とは、血液分析装置1の通常稼動時における各測定ユニットが配置される正規位置である。第1測定ユニット2および第2測定ユニット3は、この第1取込位置P1で同時に稼動され、検体の測定処理を行う。このため、血液分析装置1は、各測定ユニットが第1取込位置P1に配置された場合に処理効率が最大化されるように構成されている。
【0063】
2箇所に3つずつ設けられた第1固定穴631は、それぞれ側面固定部材64(図6および図7参照)をネジ止めにより固定可能に設けられている。そして基台6のX1方向側に配置される第1測定ユニット2は、他方側面2d側の固定部材282が側面固定部材64を介して基台6に取り付けられることにより、第1取込位置P1に固定される。また、基台6のX2方向側に配置される第2測定ユニット3は、一方側面3c側の固定部材381が側面固定部材64を介して基台6に取り付けられることにより、第1取込位置P1に固定される。なお、各測定ユニットには、図5に示すように、一方側面側および他方側面側の両方に側面固定部材64と締結するための固定部材281および282(381および382)が設けられているので、第1測定ユニット2と第2測定ユニット3との配置を入れ替えた場合にも、各ユニットをそれぞれ固定することが可能である。また、図14に示すように、第1測定ユニット2は、第1取込位置P1に配置された状態で、第1測定ユニット2の前側(Y1方向側)で隣接する2つのボールキャスター263および264が、第1ガイド611と検体搬送装置4との間に配置されるように構成されている。同様に、第2測定ユニット3は、第1取込位置P1に配置された状態で、第2測定ユニット3の前側(Y1方向側)で隣接する2つのボールキャスター363および364が、第1ガイド612と検体搬送装置4との間に配置されるように構成されている。
【0064】
第2固定穴632は、第1固定穴631と同様に基台6上の2箇所に3つずつ設けられ、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3のそれぞれを、側面固定部材64により第2取込位置P2に固定するために設けられている。ここで、第2取込位置P2とは、血液分析装置1の保守作業時において、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3のいずれか一方が保守作業位置に配置された場合に、他方の測定ユニットが保守作業中の測定ユニットと干渉することなく検体の測定を継続するための位置である。たとえば、図21に示すように、第2測定ユニット3の他方側面3d側の保守作業を行う必要があり、第2測定ユニット3の向きを略90度変えて他方側面3dを手前側(Y1方向側)に配置する場合に、干渉を避けるために第1測定ユニット2を第1取込位置P1からX1方向へ移動させる必要がある。第2取込位置P2は、このように、保守作業のために第2測定ユニット3の他方側面3dを手前側(Y1方向側)に配置した状態でも、第1測定ユニット2がラック101に収容された全てのサンプル容器100(本実施形態では、10本)を取り込むことが可能な位置である。同様に、第1測定ユニット2の保守作業を行う場合には、第2取込位置P2は、第1測定ユニット2の一方側面2cを手前側(Y1方向側)に配置した状態でも、第2測定ユニット3がラック101に収容された全てのサンプル容器100(本実施形態では、10本)を取り込むことが可能な位置である。また、図23に示すように、第1測定ユニット2は、第2取込位置P2に配置された状態で、第1測定ユニット2の前側(Y1方向側)で隣接する2つのボールキャスター263および264が、第1ガイド611と検体搬送装置4との間に配置されるように構成されている。同様に、第2測定ユニット3は、第2取込位置P2に配置された状態で、第2測定ユニット3の前側(Y1方向側)で隣接する2つのボールキャスター363および364が、第1ガイド612と検体搬送装置4との間に配置されるように構成されている。なお、各測定ユニットの保守作業時の移動についての詳細は、後述する。
【0065】
2箇所に3つずつ設けられた第2固定穴632は、それぞれ側面固定部材64をネジ止めにより固定可能に設けられている。そして、基台6のX1方向側に配置される第1測定ユニット2は、他方側面2d側の固定部材282が側面固定部材64を介して基台6に取り付けられることにより、第2取込位置P2に固定される。また、基台6のX2方向側に配置される第2測定ユニット3は、一方側面3c側の固定部材381が側面固定部材64を介して基台6に取り付けられることにより、第2取込位置P2に固定される。
【0066】
側面固定部材64は、図6および図13に示すように、ユニット側取付部641と基台側取付部642とを含むL字状の板状形状を有する。側面固定部材64のユニット側取付部641は、各測定ユニットの底面2e(3e)に設けられた固定部材281または282(381または382)とネジ部材110により締結されるように構成されている。また、基台側取付部642は、基台6の上面6aに設けられた第1固定穴631または第2固定穴632にネジ止めされるように構成されている。各測定ユニットは、側面固定部材64を介して基台6に側面側を固定されるように構成されている。
【0067】
前面固定部材65は、図12および図13に示すように、長方形の平板形状を有する。前面固定部65は、基台6の前面(Y1方向側の表面)に取り付けられている。また、前面固定部材65には、第1位置決め穴651、第1固定穴652、第2位置決め穴653および第2固定穴654が設けられている。この前面固定部材65は、各測定ユニットを第1取込位置P1または第2取込位置P2に位置決めするとともに、各測定ユニットの前面側を基台6に固定する機能を有する。
【0068】
第1位置決め穴651は、長穴形状を有し、前面固定部材65において、2箇所に設けられている。これらの第1位置決め穴651は、各測定ユニットを第1取込位置P1に固定する際の位置決めのために設けられている。具体的には、各測定ユニットの前面2a(3a)の所定位置に設けられた図示しない突起部を第1位置決め穴651に挿入することにより、各測定ユニットの位置決めが行われる。なお、この図示しない突起部は、各測定ユニットから脱着可能な六角穴付ボルトからなる。したがって、第1位置決め穴651は、基台6上のX1方向側の第1取込位置P1に第1測定ユニット2を位置決めするための第1位置決め穴651と、基台6のX2方向側の第1取込位置P1に第2測定ユニット3を位置決めするための第1位置決め穴651との2箇所に形成されている。これらの第1位置決め穴651は、基台6上の第1固定穴631と対応した位置に設けられている。各測定ユニットは、この第1位置決め穴651に突起部が挿入された状態で、底面2e(3e)に設けられた固定部材を、側面固定部材64を介して第1固定穴631にネジ止めすることが可能なように構成されている。
【0069】
第1固定穴652は、2つの第1位置決め穴651に対応した位置にそれぞれ2箇所ずつ形成されたネジ穴である。これらの第1固定穴652は、基台6の上面6aに設けられた第1固定穴631とともに、各測定ユニットを第1取込位置P1に固定するために設けられている。各測定ユニットは、突起部を第1位置決め穴651に挿入した状態で各測定ユニットの前面2a(3a)に設けられた図示しないネジ穴に、前面側(Y1方向)から第1固定穴652を介してネジ止めされるように構成されている。これにより、各測定ユニットは、第1取込位置P1において、基台6上の第1固定穴631にネジ止めされることにより側面側(X方向側)を固定されるとともに、この前面固定部材65の第1固定穴652にネジ止めされることにより前面側(Y1方向側)を固定される。
【0070】
第2位置決め穴653は、第1位置決め穴651と同様に、長穴形状を有するとともに前面固定部材65の2箇所に設けられている。これらの第2位置決め穴653は、各測定ユニットを第2取込位置P2に固定する際の位置決めのために設けられている。各測定ユニットの前面2a(3a)の所定位置に設けられた突起部(六角穴付ボルト)を第2位置決め穴653に挿入することにより、各測定ユニットの位置決めが行われる。各測定ユニットは、この第2位置決め穴653に突起部が挿入された状態で、底面2e(3e)に設けられた固定部材を、側面固定部材64を介して第2固定穴632にネジ止めすることが可能なように構成されている。
【0071】
第2固定穴654は、2つの第2位置決め穴653に対応した位置にそれぞれ2箇所ずつ形成されたネジ穴である。これらの第2固定穴654は、基台6の上面6aに設けられた第2固定穴632とともに、各測定ユニットを第2取込位置P2に固定するために設けられている。各測定ユニットは、突起部(六角穴付ボルト)を第2位置決め穴653に挿入した状態で各測定ユニットの前面2a(3a)に設けられた図示しないネジ穴に、前面側(Y1方向)から第2固定穴654を介してネジ止めされるように構成されている。これにより、各測定ユニットは、第2取込位置P2において、第2固定穴632にネジ止めされることにより側面側(X方向側)を固定されるとともに、前面固定部材65の第2固定穴654にネジ止めされることにより前面側(Y1方向側)を固定される。
【0072】
また、図4に示すように、ラック101には、10本のサンプル容器100を一列に収容可能なように10個の容器収容部101bが形成されている。また、各容器収容部101bには、それぞれ収容したサンプル容器100のバーコード100aが視認可能なように開口部101cが設けられている。
【0073】
図14〜図23は、本発明の一実施形態による血液分析装置の基台上における各測定ユニットの移動動作を説明するため平面図である。次に、図14〜図23を参照して、本実施形態による血液分析装置1の保守作業時の第1測定ユニット2および第2測定ユニット3の移動について説明する。なお、図14〜図23において、各測定ユニットの底面2e(3e)を、斜線の領域により示す。
【0074】
保守作業時には、保守作業対象の測定ユニットを、保守作業が容易に行うことができる位置(保守作業位置)まで移動させて行われる。この保守作業位置は、測定ユニットのどの部分の保守作業を行うかにより異なる。したがって、保守作業時には、測定ユニットの保守作業を行う部分の位置に応じた保守作業位置に測定ユニットの位置および向きを変更する。本実施形態では、各測定ユニットはボールキャスター261〜264(361〜364)により基台6上を移動可能に構成されているため、作業位置に応じて測定ユニットの位置および向きを容易に変更して保守作業を行うことが可能である。なお、血液分析装置1は2つの測定ユニットを備えるため、一方の測定ユニットの保守作業を行っている状態でも、他方の測定ユニットによる検体の測定は継続可能である。なお、ここでは、基台6のX2方向側に配置された第2測定ユニット3の保守作業を行う場合を説明する。
【0075】
第2測定ユニット3の保守作業位置への移動手順は、測定を継続する第1測定ユニット2の位置を第1取込位置P1(正規位置)からずらす必要があるか否かによって異なる。第2測定ユニット3の前面3a近傍の保守作業であれば、第1測定ユニット2を第1取込位置P1から動かすことなく保守作業を行うことが可能である。
【0076】
この場合には、図14に示すように、各測定ユニットが第1取込位置P1に配置されている状態から保守作業対象の第2測定ユニット3を移動させる。まず、作業者により、第2測定ユニット3の基台6に対する固定を解除する。具体的には、第2測定ユニット3の前面固定部材65および側面固定部材64を固定するネジ部材110を外して固定を解除する。この際、第1測定ユニット2は第1取込位置P1に固定されたままであり、検体の測定が可能な状態にある。
【0077】
そして、図15に示すように、第2測定ユニット3を、第1取込位置P1から基台6のX2方向に移動して基台6のX2方向の端部近傍に配置させる。同時に、第1ガイド612とボールキャスター364とが当接するまで第2測定ユニット3を後方(Y2方向)に移動する。この状態で第2測定ユニット3は、第1ガイド612により、Y2方向への移動が規制される。
【0078】
次に、図16に示すように、第2測定ユニット3を、ボールキャスター364を中心にR1方向に回動させる。これにより、第2測定ユニット3は、背面3bの角部が第1測定ユニット2と干渉するまで回動される。このようにして、第1測定ユニット2を第1取込位置P1に配置したまま、第2測定ユニット3を移動および回動させて保守作業位置に配置することが可能である。
【0079】
図16に示した状態では、たとえば第2測定ユニット3の他方側面3dのうち、前面3a近傍の保守作業部分に対して、作業者が手前側(Y1方向)から容易にアクセスすることが可能となる。また、保守作業が行われない第1測定ユニット2は、第1取込位置P1から動かすことなく、検体の測定処理を継続可能である。
【0080】
一方、第2測定ユニット3の他方側面3dの後部側(Y2方向)の保守作業を行う場合、第2測定ユニット3を回動させて他方側面3dを手前側(Y1方向)に配置した保守作業位置で保守作業を行う。この場合には、第1取込位置P1にある第1測定ユニット2が干渉するため、第1測定ユニット2を第2取込位置P2に移動させる。
【0081】
まず、図17に示すように、作業者により、第1測定ユニット2の基台6に対する固定を解除する。具体的には、第2測定ユニット3を固定する前面固定部材65および側面固定部材64のネジ部材110を外して固定を解除する。これにより、第1測定ユニット2が基台6上を移動可能となる。次に、第1測定ユニット2を基台6のX1方向側の端部まで移動させることにより、第2測定ユニット3の移動スペースを確保する。
【0082】
次に、第2測定ユニット3を固定する前面固定部材65および側面固定部材64のネジ部材110を外して基台6に対する固定を解除する。その後、図18に示すように、第2測定ユニット3をX2方向へ移動し、基台6のX2方向側の端部近傍に配置させる。同時に、第1ガイド612とボールキャスター364とが当接するまで第2測定ユニット3を後方(Y2方向)に移動する。この状態で第2測定ユニット3は、第1ガイド612により、Y2方向への移動が規制される。
【0083】
その後、図19に示すように、第2測定ユニット3をボールキャスター364を中心としてR2方向に回動させる。これにより、第2測定ユニット3の手前側(Y1方向)のボールキャスター363が第1ガイド612のX2方向側を通過し、第1ガイド612の後方(Y2方向)に移動する。なお、この状態で、ボールキャスター361は、後方側(Y2方向)に基台6上から外れた位置に位置する。
【0084】
そして、図20に示すように、第2測定ユニット3のR2方向への回動(図19参照)を継続させながら、第2測定ユニット3をX2方向へさらに移動させる。このとき、第2測定ユニット3の背面3b側のボールキャスター362は、第1ガイド611および612の間の領域の近傍まで移動される。
【0085】
そして、図21に示すように、第2測定ユニット3の背面3b側のボールキャスター362を第1ガイド611と第1ガイド612との間から手前側(Y1方向)へ通過させる。これにより、第2測定ユニット3は略90度向きを変えて、他方側面3dが手前側(Y1方向)に位置する横向きの状態となる。
【0086】
この後、図22に示すように、第2測定ユニット3と第1測定ユニット2とが、それぞれX2方向へ移動される。これにより、第2測定ユニット3は、他方側面3dが手前側(Y1方向)に位置する保守作業位置へ配置される。なお、この保守作業位置への移動の際にも、第2ガイド621に規制されることにより、第2測定ユニット3は基台6の外側に脱落することなく移動される。また、X1方向側の端部に退避していた第1測定ユニット2は、第2取込位置P2まで移動される。
【0087】
そして、第1測定ユニット2の前面2aの図示しない突起部を前面固定部材65の第2位置決め穴653に挿入することにより、第1測定ユニット2を第2取込位置P2に位置決めする。そして、第2取込位置P2に位置決めされた第1測定ユニット2を、前面固定部材65および側面固定部材64を介して第2取込位置P2に固定する。これにより、第1測定ユニット2は、第2取込位置P2で検体測定作業を継続することが可能となる。
【0088】
以上により、図22に示すように、保守作業位置に配置された第2測定ユニット3の保守作業を行うとともに、第1取込位置に固定された第1測定ユニット2では、搬送されたサンプル容器100を取り込み、検体の測定を継続することが可能となる。また、第2測定ユニット3の保守作業終了後には、再び第1測定ユニット2の固定を解除し、X1方向端部へ退避させた上で、第2測定ユニット3を第1取込位置P1に戻す。その後、第1測定ユニット2を第1取込位置P1に移動させて、各測定ユニットを固定することにより、正規位置(第1取込位置P1)での測定が再開される。
【0089】
なお、上記の動作説明では、便宜的に、各測定ユニットの移動を直線移動と回動とに分節して説明したが、各測定ユニットはボールキャスターによりX方向、Y方向および回動を自在に行うことが可能であるので、実際には直線移動および回動の区別なく連続的に移動される。
【0090】
なお、図14〜図22から明らかなように、各測定ユニットはボールキャスターによりX方向、Y方向および回動を自在に行うことが可能であるので、保守作業時には、保守作業対象の測定ユニットを図示した以外の任意の位置および向きに移動させて保守作業を行うことが可能である。この保守作業位置への移動は、第1ガイド611、612および第2ガイド621、622により規制される移動範囲内において可能である。また、上記の動作説明では第2測定ユニット3を保守作業位置に移動させる例を説明したが、第1測定ユニット2の場合にも、同様に移動させることが可能である。
【0091】
また、本実施形態では、図16および図19に示すように、第2測定ユニット3のボールキャスター361が基台6上から外れた位置に配置させることが可能である。この場合においても、第2測定ユニット3のボールキャスター364が第1ガイド612とY1方向側で当接することにより移動範囲が規制されるので、第2測定ユニット3はそれ以上Y2方向に移動することなく、基台6からは脱落しない。また、この状態で第2測定ユニット3に上方からZ2方向(図1参照)の荷重が加えられると、ボールキャスター361が基台6上から外れているので、第2測定ユニット3が基台6に対して傾く可能性がある。この場合に、ボールキャスターよりも僅かに小さい高さH2を有する傾斜規制部材371が基台6と当接することにより、傾きを規制する。
【0092】
また、図23に示すように、第2取込位置P2に配置された第1測定ユニット2の取出位置Qは、ラック搬送部43のX1方向の端部近傍まで搬送されたラック101の10本目(X1方向から数えて10本目)の容器の上方に配置されている。また、第2取込位置P2に配置された第2測定ユニット3の取出位置Qは、ラック搬送部43のX2方向の端部近傍まで搬送されたラック101の1本目(X1方向から数えて1本目)の容器の上方に配置されている。すなわち、第2取込位置P2への移動後の第1測定ユニット2および第2測定ユニット3のそれぞれの取出位置Qに、ラック101に収容された全てのサンプル容器100を搬送可能である。これにより、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3は、それぞれ第2取込位置P2に固定された状態で、ラック101に収容された10本のサンプル容器100の全てを取り込むことが可能である。このように、各測定ユニットの第2取込位置P2は、各測定ユニットの取出位置Qと、搬送される検体との位置関係から定まる。
【0093】
次に、図2および図8〜図10を参照して、本実施形態による血液分析装置1の測定処理プログラム54aおよび54bによる測定処理動作を説明する。なお、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3では、それぞれ同様に分析対象の成分が測定されるので、以下では代表して、第1測定ユニット2により分析対象の成分を測定する場合について説明する。
【0094】
まず、図8および図9に示すように、ラック101が第1ベルト431の2つの突起片431dの間に送り込まれ、ラック101がX1方向(順送り方向)に移動される。そして、図2に示すように、有無検知センサ45によりX1方向に移動されるラック101に収容された1本目のサンプル容器100の有無が検知される。なお、有無検知センサ45により検知された検知結果、および、バーコード読取部44、256および356により読み取られたバーコード情報は、随時ホストコンピュータ7に送信される。
【0095】
そして、1本目のサンプル容器100が第1測定ユニット2のハンド部251によりラック101から取り出される取出位置Q(図2参照)まで、ラック101が移動される(すなわち、1本目のサンプル容器100が、第1測定ユニット2に搬送される)。その後、第1測定ユニット2のハンド部251により1本目のサンプル容器100がラック101から取り出される。この際、ラック101は、1本目のサンプル容器100が取出位置Qに対応する位置で停止している。第1測定ユニット2において、ハンド部251に把持された1本目のサンプル容器100の検体が攪拌されるとともに、1本目のサンプル容器100が取り出されたラック101が順送り方向とは反対の逆送り方向に移動される。ハンド部251により取り出されたサンプル容器100は、サンプル容器移動部255により吸引位置(図2参照)まで搬送される。
【0096】
吸引位置において、サンプル容器100から検体吸引部21により検体の吸引が行われる。この際、ラック101は、2本目のサンプル容器100が第2測定ユニット3のハンド部351によりラック101から取り出される取出位置Q(図2参照)までX2方向に移動される(すなわち、2本目のサンプル容器100が、第2測定ユニット3に搬送される)。そして、第2測定ユニット3のハンド部351により2本目のサンプル容器100がラック101から取り出され、サンプル容器移動部355により吸引位置(図2参照)まで搬送される。第1測定ユニット2において、吸引した検体から試料調製部22により検出用試料が調製され、検出用試料から分析対象の成分が検出部23により検出される。
【0097】
その後、ラック101は、X1方向(順送り方向)に移動され、1本目のサンプル容器100が第1測定ユニット2からラック101の元の容器収容部101bに戻される。このようにして、ラック101に収容されたサンプル容器100が各測定ユニットによって順次取り出される。そして、測定データが、第1測定ユニット2から制御装置5に送信される。その後、第1測定ユニット2から送信される測定結果に基づいて、制御部51により分析対象の成分が解析される。
【0098】
本実施形態では、上記のように、基台6上において、各測定ユニット(第1測定ユニット2および第2測定ユニット3)のそれぞれの向きを変えるように移動させることが可能に構成するとともに、各測定ユニットの移動範囲を規制するように構成することによって、各測定ユニットの互いに対向する一方側面2cおよび他方側面3dの保守作業を行う場合にも、測定ユニットの向きを変えて、作業スペースを広げることができるので、血液分析装置1の小型化を図りながら、各測定ユニットの保守作業を行うための十分な作業スペースを確保することができる。
【0099】
また、本実施形態では、第1ガイド611および612と、第2ガイド621および622とにより、各測定ユニット(第1測定ユニット2および第2測定ユニット3)を基台6上で回動可能な状態で、各測定ユニットの移動範囲を基台6上から脱落しない範囲に規制することによって、基台6上から脱落させることなく各測定ユニットを回動させて、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3の互いに対向する側面(第1測定ユニット2の一方側面2cおよび第2測定ユニット3の他方側面3d)の一方を作業者側(Y1方向)に向けることができるので、測定ユニットの側面を保守作業する場合の作業性をより向上させることができる。
【0100】
また、本実施形態では、各測定ユニット(第1測定ユニット2および第2測定ユニット3)を、基台6上において、回動だけでなく各測定ユニットの配列方向(X方向)にも移動可能に構成することによって、保守作業時に、各測定ユニットを基台6上でX方向に移動させることによって、隣接する測定ユニットとの離間距離を大きくして、回動させるためのスペースを容易に確保することができる。
【0101】
また、本実施形態では、各測定ユニットに、基台6上での移動を円滑にするためのボールキャスター261〜264および361〜364をそれぞれ設けることによって、第1ガイド611、612および第2ガイド621、622により規制された移動範囲内で、ボールキャスター(261〜264および361〜364)により基台6上の各測定ユニットの向きを容易に変えることができるので、容易に、作業スペースを確保することができる。
【0102】
また、本実施形態では、測定ユニットに、基台6に対する傾きを規制する傾斜規制部材271および272(371および372)を設けることによって、各測定ユニットのボールキャスター261〜264(361〜364)の1つが基台6上から外側に外れることによって測定ユニットの支持個所が少なくなった場合にも、傾斜規制部材271および272(371および372)により測定ユニットが傾くのを抑制することができる。
【0103】
また、本実施形態では、ボールキャスターの高さH1よりも小さい高さH2を有する傾斜規制部材271、272および371、372を、それぞれ、各測定ユニットの底面2e(3e)に設けることによって、各測定ユニットを基台6上で移動させる際に、傾斜規制部材271および272(371および372)が各測定ユニットの移動を妨げない。また、ボールキャスター261〜264(361〜364)の1つが基台6上から外側に外れた状態で測定ユニットが基台6に対して傾く場合には、傾斜規制部材271および272(371および372)が基台6と当接することにより各測定ユニットが大きく傾くのを抑制することができる。
【0104】
また、本実施形態では、第1ガイド611、612および第2ガイド621、622が、各測定ユニットのボールキャスター(261〜264および361〜364)と当接することにより各測定ユニットの移動範囲を規制することによって、第1ガイド611、612および第2ガイド621、622を基台6の所望の位置に設けるだけで各測定ユニットのボールキャスター(261〜264および361〜364)による基台6上の移動範囲を規制することができる。
【0105】
また、本実施形態では、基台6上において、第1ガイド611および612を、サンプル容器100(ラック101)の搬送方向に沿った方向(X方向)に延びるように設けるとともに、第2ガイド621および622を、基台6の外周部において、搬送方向と直交する方向(Y方向)に延びるように設けることによって、第1ガイド611および612と、第2ガイド621および622とにより、サンプル容器100(ラック101)の搬送方向に沿った方向(X方向)および、サンプル容器100(ラック101)の搬送方向と直交する方向(Y方向)の両方向の測定ユニットの移動を規制することができる。
【0106】
また、本実施形態では、第1ガイド611および612を、4つのボールキャスター261〜264(361〜364)のうちの隣接する2つのボールキャスターの間隔D1およびD2よりも大きい長さを有するように構成し、各測定ユニットが第1取込位置P1または第2取込位置P2に配置された状態で、隣接する2つのボールキャスター263(363)および264(364)が、第1ガイド611(612)と検体搬送装置4との間に配置されるように構成することによって、第1取込位置P1または第2取込位置P2から、各測定ユニットを検体搬送装置4から離れる方向に移動させた場合にも、第1ガイド611(612)をボールキャスター263(363)および264(364)に確実に当接させ、各測定ユニットの移動を規制させることができる。
【0107】
また、本実施形態では、第1ガイド611および612を、各測定ユニットに対応して設けるとともに、測定ユニットを回動させる際に、第1ガイド611と第1ガイド612との間の間隔を、ボールキャスター261〜264(361〜364)が通過可能な間隔D7となるように配置することによって、第1ガイドにより隔てられたY1方向側およびY2方向側の両方の領域にまたがってボールキャスター261〜264(361〜364)を移動させることができるので、測定ユニットの移動範囲を規制しながら、容易に測定ユニットを回動させることができる。
【0108】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0109】
たとえば、上記実施形態では、2つの測定ユニット(第1測定ユニット2および第2測定ユニット3)を備えた血液分析装置1を示したが、本発明はこれに限らず、検体処理システムは、3つ以上の測定ユニットを備えてもよい。
【0110】
また、上記実施形態では、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3を、ボールキャスター261〜264(361〜364)によって移動を円滑化することにより、基台6上の移動および回動を可能とした例を示したが、本発明はこれに限らず、各測定ユニットの移動をボールキャスター以外の移動円滑化部材によって円滑化してもよい。たとえば、各測定ユニットの底面2e(3e)と基台6の上面6aとの摩擦を低減させることにより移動を円滑化するシート部材を設けてもよい。また、各測定ユニットにボールキャスター以外の車輪を有するキャスターなどを設けてもよい。
【0111】
また、上記実施形態では、各測定ユニットを、第1固定穴631および652にネジ止めされることにより第1取込位置P1に固定され、第2固定穴632および654にネジ止めされることにより第2取込位置P2に固定されるように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、各測定ユニットを、ネジ止め以外の別の方法によって第1取込位置および第2取込位置に固定してもよい。たとえば、基台上および前面固定部材に係合部を設け、各測定ユニットの固定部材および前面が係合部とそれぞれ係合することにより、固定されるように構成してもよい。
【0112】
また、上記実施形態では、各測定ユニットを、側面固定部材64と、前面固定部材65とを介して基台6に固定されるように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、各測定ユニットを、固定用の部材を介することなく基台に直接固定するように構成してもよい。
【0113】
また、上記実施形態では、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3を、基台6上の移動および回動可能に構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、第1測定ユニットおよび第2測定ユニットは、少なくとも向きを変えるように移動させることができればよい。たとえば、各測定ユニットのそれぞれを回動させるための軸部を基台に設けてもよい。また、各測定ユニットを、基台上に設けられた回転台上に設けてもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、基台6に設けられた第1ガイドおよび第2ガイドと、測定ユニットに設けられたボールキャスターとによって、測定ユニットの移動を規制するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、例えば、測定ユニットの向きを変えるときのボールキャスターの軌跡に沿って、基台6上に予めレールを設けておき、このレールによってボールキャスターを所定の方向に移動させることによって測定ユニットの移動を規制する構成であってもよい。
【0115】
また、上記実施形態では、第1ガイド611および612を、平面的に見てラック101(サンプル容器100)の搬送方向(X方向)に沿って延びるように設けるとともに、第2ガイド621および622を、それぞれ基台6のX方向の両側面に沿って、ラック101(サンプル容器100)の搬送方向と直交する方向(Y方向)に延びるように設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、第1ガイドおよび第2ガイドは、それぞれ3つ以上設けてもよい。また、第1ガイドおよび第2ガイドが各測定ユニットの各々を取り囲むように配置するなど、第1ガイドおよび第2ガイドの配置を変更してもよい。また、第1ガイドおよび第2ガイドの形状を曲線状に形成するなど、第1ガイドおよび第2ガイドの形状を変更してもよい。
【0116】
また、上記実施形態では、第2取込位置P2を、各測定ユニットがラック101に収容された全てのサンプル容器100(本実施形態では、10本)を取り込むことが可能な位置とした例を示したが、本発明はこれに限らず、第2取込位置はラックに収容された複数のサンプル容器のうちの一部だけを取込可能であってもよい。すなわち、第2取込位置を、ラック101に収容されたサンプル容器のうち、9本以下のサンプル容器100を取り込み可能な位置としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の一実施形態による血液分析装置の全体構成を示した斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による血液分析装置の測定ユニットおよび検体搬送装置を示す概略図である。
【図3】本発明の一実施形態による血液分析装置の測定ユニットおよび検体搬送装置の内部構造を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態による血液分析装置のラックおよびサンプル容器を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態による血液分析装置の測定ユニットの底面図である。
【図6】本発明の一実施形態による血液分析装置の測定ユニットの背面図である。
【図7】本発明の一実施形態による血液分析装置の測定ユニットを説明するための斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態による血液分析装置の検体搬送装置を説明するための平面図である。
【図9】本発明の一実施形態による血液分析装置の検体搬送装置を説明するための側面図である。
【図10】本発明の一実施形態による血液分析装置の検体搬送装置を説明するための側面図である。
【図11】本発明の一実施形態による血液分析装置の制御装置を説明するためのブロック図である。
【図12】本発明の一実施形態による血液分析装置の基台を示す斜視図である。
【図13】本発明の一実施形態による血液分析装置の基台を説明するための斜視図である。
【図14】本発明の一実施形態による血液分析装置の各測定ユニットの保守作業位置および第2取込位置への移動を説明するための図である。
【図15】本発明の一実施形態による血液分析装置の各測定ユニットの保守作業位置および第2取込位置への移動を説明するための図である。
【図16】本発明の一実施形態による血液分析装置の各測定ユニットの保守作業位置および第2取込位置への移動を説明するための図である。
【図17】本発明の一実施形態による血液分析装置の各測定ユニットの保守作業位置および第2取込位置への移動を説明するための図である。
【図18】本発明の一実施形態による血液分析装置の各測定ユニットの保守作業位置および第2取込位置への移動を説明するための図である。
【図19】本発明の一実施形態による血液分析装置の各測定ユニットの保守作業位置および第2取込位置への移動を説明するための図である。
【図20】本発明の一実施形態による血液分析装置の各測定ユニットの保守作業位置および第2取込位置への移動を説明するための図である。
【図21】本発明の一実施形態による血液分析装置の各測定ユニットの保守作業位置および第2取込位置への移動を説明するための図である。
【図22】本発明の一実施形態による血液分析装置の各測定ユニットの保守作業位置および第2取込位置への移動を説明するための図である。
【図23】本発明の一実施形態による血液分析装置の各測定ユニットの第2取込位置におけるラックおよびサンプル容器との位置関係を説明するための図である。
【符号の説明】
【0118】
1 血液分析装置(検体処理システム)
2 第1測定ユニット(検体処理装置)
3 第2測定ユニット(検体処理装置)
4 検体搬送装置(搬送装置)
6 基台
101 ラック
261〜264、361〜364 ボールキャスター(移動円滑化部材)
271、272、371、372 傾斜規制部材
611、612 第1ガイド(規制部材、移動規制手段)
621、622 第2ガイド(規制部材、移動規制手段)
631 第1固定穴(第1固定手段)
632 第2固定穴(第2固定手段)
652 第1固定穴(第1固定手段)
654 第2固定穴(第2固定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置による検体の搬送方向に沿って配置され、前記搬送装置によって搬送された検体を処理する複数の検体処理装置と、
前記複数の検体処理装置を載置するための基台と、
前記基台上において、前記検体処理装置を少なくとも前記検体処理装置の向きを変えるように移動させることが可能で、かつ、前記検体処理装置の移動範囲を規制する移動規制手段とを備える、検体処理システム。
【請求項2】
前記移動規制手段は、前記基台上において、前記検体処理装置をさらに前記検体処理装置の配列方向にも移動可能に規制するように構成されている、請求項1に記載の検体処理システム。
【請求項3】
前記移動規制手段は、前記検体処理装置が前記基台上から脱落することなく、平面的に見て前記検体処理装置の一部が前記基台上から突出する範囲まで、前記検体処理装置の前記基台上の移動および回動を可能とするように規制するように構成されている、請求項1または2に記載の検体処理システム。
【請求項4】
前記検体処理装置は、前記基台上における移動を円滑にするための移動円滑化部材を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の検体処理システム。
【請求項5】
前記検体処理装置の前記基台に対する傾きを規制する傾斜規制部材をさらに備え、
前記傾斜規制部材は、前記検体処理装置の一部が前記基台上から突出する位置まで前記検体処理装置が移動された場合に、前記検体処理装置が前記基台に対して傾くのを規制するように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の検体処理システム。
【請求項6】
前記傾斜規制部材は、前記移動円滑化部材の高さよりも小さい高さを有する、請求項5に記載の検体処理システム。
【請求項7】
前記基台は、前記複数の検体処理装置の各々が前記搬送装置によって搬送された検体を取り込み可能な第1取込位置に前記複数の検体処理装置の各々を固定するための第1固定手段と、前記搬送装置によって搬送された検体を取り込み可能で、かつ、前記第1取込位置とは異なる第2取込位置に前記検体処理装置を固定するための第2固定手段とを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の検体処理システム。
【請求項8】
前記移動規制手段は、前記基台上に配置された規制部材を含み、
前記規制部材は、前記検体処理装置の一部と当接することにより前記検体処理装置の移動範囲を規制するように構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の検体処理システム。
【請求項9】
前記規制部材は、前記基台上において、前記搬送装置による検体の搬送方向と直交する方向の前記検体処理装置の移動を規制する第1ガイドと、前記搬送方向に沿った方向の移動を規制する第2ガイドとを含む、請求項8に記載の検体処理システム。
【請求項10】
前記検体処理装置は、前記基台上における移動を円滑にするための移動円滑化部材を含み、
前記移動円滑化部材は、前記検体処理装置の底面に複数設けられており、
前記第1ガイドは、前記複数の移動円滑化部材のうちの隣接する2つの移動円滑化部材の間隔よりも長く構成されており、
前記隣接する2つの移動円滑化部材が、前記検体処理装置が前記搬送装置によって搬送された検体を取り込み可能な状態において、前記第1ガイドと前記搬送装置との間に配置されるように構成されている、請求項9に記載の検体処理システム。
【請求項11】
前記第1ガイドは、前記複数の検体処理装置の移動を規制するために、前記複数の検体処理装置の各々に対応して1つずつ設けられており、
前記隣接する第1ガイドの間隔が、前記検体処理装置を回動させる際に、前記移動円滑化部材が通過可能な間隔である、請求項10に記載の検体処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−145112(P2010−145112A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319560(P2008−319560)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】