説明

検体分析装置及び液体吸引方法

【課題】 液体の液面高さが不明である場合に、従来に比して高速な液体の吸引動作を可能な検体分析装置及び液体吸引方法を提供する。
【解決手段】
試薬の液面高さ情報が記憶されていない場合に、試薬の分注動作に先行して、試薬分注ユニットのピペットを試薬容器内に下降させ、試薬の液面高さを検出し、検出された試薬の液面高さを記憶しておく。試薬の分注を実行するときには、記憶された試薬の液面高さから定めた速さ切り替え高さまで第1の速さでピペットを下降させ、速さ切り替え高さより下方では第1の速さよりも小さい第2の速さでピペットを下降させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿等の検体を分析する検体分析装置、及び検体又は試薬等の液体を検体分析のために吸引する液体吸引方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体又は試薬等の液体を収容した容器から吸引管により液体を吸引する検体分析装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されている分析装置は、試薬の吸引処理において、液面高さに所定の余裕値を加えた下降速度切替高さを設定し、設定した下降速度切替高さまで試薬ノズルを高速下降させ、下降速度切替高さからは試薬ノズルを低速下降させることにより、効率的な試薬の吸引処理を可能としている。また、かかる特許文献1に開示されている分析装置では、試薬が開封後吸引されるまでは試薬ボトルの種類に応じて予め記憶部に記憶させている試薬の初期液面高さを用いて下降速度切替高さを設定し、設定した下降速度切替高さまで試薬ノズルを高速下降させ、下降速度切替高さからは試薬ノズルを低速下降させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−180605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1に記載されている分析装置にあっては、同じ種類の試薬ボトルであっても、試薬ボトルの加工誤差等に起因して試薬ボトルの大きさにバラツキが生じるため、開封後最初の液面高さが記憶部に記憶された初期液面高さと異なる場合があり、高速下降している間に試薬ノズルが試薬中に進入してしまうおそれがあった。また、このようなことを防止するためには、下降速度切替高さの設定に用いられる余裕値を大きく確保しておく必要があり、その結果下降速度切替高さが高い位置に設定され、高速な試薬の吸引動作が困難となるおそれがあった。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、液体の液面高さが不明である場合に、従来に比して高速な液体の吸引動作を可能とする検体分析装置及び液体吸引方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体分析装置は、検体の測定に用いられる液体を収容する容器から液体を吸引する吸引管と、前記吸引管を上下方向へ移動させる駆動部と、前記容器の液面を検出する液面検出部と、記憶部と、前記記憶部に液面の高さに関する液面高さ情報が記憶されていない場合には、前記液体の吸引のための前記吸引管の下降動作に先行して、前記液面検出部に前記容器の液面を検出させ、前記液面検出部による検出結果に基づき前記吸引管が下降する速さを制御して前記吸引管が前記液面の上方から下降するように前記駆動部を駆動させ、前記吸引管に前記容器から液体を吸引させ、前記液面高さ情報が記憶されている場合には、前記液面検出部による検出結果に基づき前記吸引管が下降する速さを制御して前記吸引管が前記液面の上方から下降するように前記駆動部を駆動させ、前記吸引管に前記容器から液体を吸引させる制御部と、を備える。
【0008】
この態様において、前記制御部は、前記液面検出部による検出結果に基づいて、前記吸引管の下降速さを切り替える速さ切替高さを取得し、取得された前記速さ切替高さまでは第1の速さで前記吸引管を下降させ、前記速さ切替高さからは前記第1の速さより小さい第2の速さで前記吸引管を下降させるよう前記駆動部を制御するように構成されていてもよい。
【0009】
上記態様において、前記液面検出部は、液面に対する吸引管の接触を検出することにより、液面を検出するように構成されていてもよい。
【0010】
上記態様において、前記制御部は、前記記憶部に液面の高さに関する液面高さ情報が記憶されていない場合には、前記液面検出部に前記容器の液面を検出させるために、第1の速さより小さい第3の速さで前記吸引管を下降させるよう前記駆動部を制御し、前記記憶部に液面の高さに関する液面高さ情報が記憶されている場合には、前記液面検出部による検出結果に基づいて、前記吸引管の下降速さを切り替える速さ切替高さを取得し、前記吸引管に前記容器から液体を吸引させるために、取得された前記速さ切替高さまでは第1の速さで前記吸引管を下降させ、前記速さ切替高さからは前記第1の速さより小さい第2の速さで前記吸引管を下降させるよう前記駆動部を制御するように構成されていいてもよい。
【0011】
上記態様において、前記制御部は、前記記憶部に液面の高さに関する液面高さ情報が記憶されていない場合に、前記液面検出部に前記容器の液面を検出させるために、所定の高さまでは前記第1の速さで前記吸引管を下降させ、前記所定の高さからは前記第3の速さで前記吸引管を下降させるよう前記駆動部を制御するように構成されていてもよい。
【0012】
上記態様において、前記検体分析装置は、前記吸引管として、第1吸引管及び第2吸引管が設けられており、前記駆動部として、前記第1吸引管を上下方向へ移動させる第1駆動部及び前記第2吸引管を上下方向へ移動させる第2駆動部が設けられており、前記制御部は、前記記憶部に一の容器の液面の高さに関する液面高さ情報が記憶されておらず、他の容器の液面の高さに関する液面高さ情報が記憶されている場合に、前記一の容器の液体の吸引のための前記第1吸引管の下降動作に先行して前記第1吸引管を下降させるよう前記第1駆動部を制御し、前記液面検出部に前記一の容器の液面を検出させる第1制御動作と、前記第2吸引管を下降させるよう前記第2駆動部を制御し、前記第2吸引管に前記他の容器から液体を吸引させる第2制御動作とを、互いに少なくとも一部が重複するように実行するように構成されていてもよい。
【0013】
上記態様において、前記制御部は、前記記憶部に液面の高さに関する液面高さ情報が記憶されていない場合に、前記液面検出部に前記容器の液面を検出させる動作を、検体を測定するための他の動作と少なくとも一部が重複するように実行すべく構成されていてもよい。
【0014】
上記態様において、前記検体を測定するための他の動作には、検体を分注する動作、検体を収容する容器を搬送する動作、検体を加温する動作、試薬を分注する動作、及び試薬が混合された検体を測定する動作を含んでいてもよい。
【0015】
上記態様において、前記容器は、所定の測定項目についての検体の測定に使用される試薬を収容する試薬容器であり、前記検体分析装置は、複数の試薬を収容する試薬容器を保持する試薬容器保持部と、検体の測定項目を含む測定オーダを受け付ける受付部と、をさらに備え、前記記憶部は、前記試薬容器保持部に保持されている試薬容器に収容される試薬の種類を記憶し、前記制御部は、前記受付部によって受け付けられた測定オーダ及び前記記憶部に記憶されている試薬の種類に基づいて、前記測定オーダに含まれる測定項目についての検体の測定に使用される試薬が収容された試薬容器であって、前記記憶部に液面の高さに関する液面高さ情報が記憶されていない試薬容器について、前記液体の吸引のための前記吸引管の下降動作に先行して前記液面検出部に液面を検出させるように構成されていてもよい。
【0016】
上記態様において、前記制御部は、前記受付部によって受け付けられた測定オーダ及び前記記憶部に記憶されている試薬の種類に基づいて、前記測定オーダに含まれる測定項目についての検体の測定に使用される試薬が収容された試薬容器を、前記液面検出部による液面検出の対象として決定する第1制御部と、前記第1制御部によって液面検出の対象として決定された試薬容器について、前記液面検出部に液面を検出させる第2制御部と、を具備することもできる。
【0017】
上記態様において、前記容器は、検体の測定に使用される試薬を収容する試薬容器であり、前記検体分析装置は、複数の試薬を収容する試薬容器を保持する試薬容器保持部と、前記試薬容器保持部を覆う開閉可能なカバーと、前記カバーの開閉を検出可能な開閉検出部と、をさらに備え、前記制御部は、前記開閉検出部によって前記カバーの閉鎖が検出された場合に、前記試薬容器保持部に保持された試薬容器について、前記液体の吸引のための前記吸引管の下降動作に先行して前記液面検出部に液面を検出させるように構成されていてもよい。
【0018】
上記態様において、前記カバーは、前記試薬容器保持部の一部を開閉可能に覆うように構成されており、前記記憶部は、前記試薬容器保持部に保持されている試薬容器の前記試薬容器保持部における保持位置を記憶しており、前記制御部は、前記開閉検出部によって前記カバーの閉鎖が検出された場合に、前記カバーにより開放される前記試薬容器保持部の一部に保持されている試薬容器について、前記液体の吸引のための前記吸引管の下降動作に先行して前記液面検出部に液面を検出させるように構成されていてもよい。
【0019】
上記態様において、前記検体分析装置は、前記カバーの開放を禁止する開放禁止機構をさらに備え、前記制御部は、前記開放禁止機構によって前記カバーの開放が禁止されている間に、前記試薬容器保持部に保持された試薬容器について、前記液体の吸引のための前記吸引管の下降動作に先行して前記液面検出部に液面を検出させるように構成されていてもよい。
【0020】
本発明の他の態様の検体分析装置は、検体の測定に用いられる液体を収容する容器から液体を吸引する吸引管と、前記吸引管を上下方向へ移動させる駆動部と、液面に対する吸引管の接触を検出することにより前記容器の液面を検出する液面検出部と、記憶部と、前記記憶部に液面の高さに関する液面高さ情報が記憶されていない場合には、前記液体の吸引のための前記吸引管の下降動作に先行して、前記液面検出部に前記容器の液面を検出させ、前記液面検出部による検出結果に基づき前記吸引管が下降する速さを制御して前記吸引管が前記液面の上方から下降するように前記駆動部を駆動させ、前記吸引管に前記容器から液体を吸引させる制御部と、を備える。
【0021】
また、本発明の一の態様の液体吸引方法は、検体の測定に用いられる液体を収容する容器から吸引管に液体を吸引させる液体吸引方法であって、記憶部に液面の高さに関する液面高さ情報が記憶されていない場合には、液体の吸引のための前記吸引管の下降動作に先行して、前記液面検出部が容器の液面を検出し、前記容器の液面を検出するステップを実行した後、前記液面検出部による検出結果に基づき前記吸引管が下降する速さを制御して前記液面の上方から前記吸引管を下降させ、前記吸引管に前記容器から液体を吸引させ、前記記憶部に前記液面高さ情報が記憶されている場合には、前記液面検出部による検出結果に基づき前記吸引管が下降する速さを制御して前記液面の上方から前記吸引管を下降させ、前記吸引管に前記容器から液体を吸引させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る検体分析装置及び液体吸引方法によれば、液体の液面高さが不明である場合に、従来に比して高速な液体の吸引動作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施の形態に係る検体分析装置の構成を示す斜視図。
【図2】測定装置の内部を上方向から見たときの概略構成を示す平面図。
【図3A】第1容器ラックの構成を示す斜視図。
【図3B】第2容器ラックの構成を示す斜視図。
【図4】第1試薬分注ユニットの構成を示す側面図。
【図5】測定装置の回路構成を示すブロック図。
【図6】情報処理装置の構成を示すブロック図。
【図7】試薬情報の登録動作の流れを示すフローチャート。
【図8A】第1試薬情報データベースの構成を示す模式図。
【図8B】第2試薬情報データベースの構成を示す模式図。
【図9A】試薬の交換又は追加が行われないときのテーブルカバーの状態を示す平面図。
【図9B】試薬の交換又は追加が行われるときのテーブルカバーの状態を示す平面図。
【図10A】検体分析動作における情報処理装置のCPUの処理手順を示すフローチャート。
【図10B】検体分析動作における測定装置のCPUの処理手順を示すフローチャート(前半)。
【図10C】検体分析動作における測定装置のCPUの処理手順を示すフローチャート(後半)。
【図11】検体測定のスケジュールの一例を部分的に示すタイミングチャート。
【図12】初期液面高さ検出制御処理の手順を示すフローチャート。
【図13】検体分注制御処理の手順を示すフローチャート。
【図14】試薬分注制御処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0025】
[検体分析装置の構成]
図1は、本実施の形態に係る検体分析装置1の構成を示す斜視図である。検体分析装置1は、検体(血液)に含まれる成分を光学的に測定する測定装置2と、測定装置2による測定データを分析するとともに、測定装置2に操作指示を与える情報処理装置3とで構成されている。
【0026】
図2は、測定装置2の内部を上方向から見たときの概略構成を示す平面図である。測定装置2は、測定ユニット10と、検出ユニット40と、搬送ユニット50とによって構成されている。
【0027】
測定ユニット10は、第1試薬テーブル11と、第2試薬テーブル12と、第1容器ラック13と、第2容器ラック14と、キュベットテーブル15と、加温テーブル16と、テーブルカバー17と、第1検体分注ユニット21と、第2検体分注ユニット22と、第1試薬分注ユニット23と、第2試薬分注ユニット24と、第3試薬分注ユニット25と、第1キャッチャユニット26と、第2キャッチャユニット27と、第3キャッチャユニット28と、試薬バーコードリーダ31と、キュベット搬送器32と、希釈液搬送器33と、キュベット口34と、廃棄口35、36を備えている。
【0028】
また測定装置2には、図1に示すように、カバー37が設けられている。カバー37は開閉可能であり、カバー37が開けられることにより、ユーザは、第1試薬テーブル11、第2試薬テーブル12、キュベットテーブル15、加温テーブル16、テーブルカバー17と、及び検出ユニット40等にアクセスすることができる。カバー37には、ロック機構37aが設けられており、ロック機構37aによってカバー37がロック可能となっている。つまり、カバー37がロックされている状態のときには、ユーザの、第1試薬テーブル11、第2試薬テーブル12、キュベットテーブル15、加温テーブル16、テーブルカバー17と、及び検出ユニット40等へのアクセスが禁止される。
【0029】
第1試薬テーブル11と、第2試薬テーブル12と、キュベットテーブル15と、加温テーブル16は、円形状のテーブルであり、それぞれ、時計回り及び反時計回りの両方向に、独立して回転駆動される。これらのテーブルの回転駆動は、それぞれ、下面裏側に配された複数のステッピングモータ(図示せず)により行われる。
【0030】
第1試薬テーブル11と第2試薬テーブル12の上面には、図示の如く、それぞれ、5つの第1容器ラック13と5つの第2容器ラック14が着脱可能に配置されている。第1容器ラック13と第2容器ラック14には、試薬容器を保持するための保持部が形成されている。
【0031】
図3Aは、第1容器ラック13の構成を示す斜視図である。第1容器ラック13は、円筒型の試薬容器200を保持するための2つの保持部131,132と、保持部131,132の前面側にそれぞれ設けられている切欠部131a、132aと、上方に突出するよう設けられている被把持部133とを有している。保持部131,132は、試薬容器200を保持することができるよう、収容可能部分が平面視において略円形状をなす凹部となっている。
【0032】
保持部131,132の外周面には、それぞれ、バーコードラベル131b、132bが貼付されている。保持部131,132の内周面にも、それぞれ、バーコードラベルが貼付されている。また、試薬容器200には、バーコードラベル200aが貼付されている。なお、同図では、保持部131,132の内周面に貼付されたバーコードのうち、バーコードラベル132cのみ図示されている。
【0033】
図3Bは、第2容器ラック14の構成を示す斜視図である。第2容器ラック14は、円筒型の試薬容器200を保持するための6つの保持部141〜146と、保持部141〜146の前面側にそれぞれ設けられている切欠部141a〜146aと、上方に突出するよう設けられている被把持部147とを有している。保持部141〜146は、試薬容器200を保持することができるよう、収容可能部分が平面視において略円形状をなす凹部となっている。
【0034】
保持部141〜146の外周面には、それぞれ、バーコードラベル141b〜146bが貼付されている。保持部141〜146の内周面にも、それぞれ、バーコードラベルが貼付されている。また、試薬容器200には、バーコードラベル200aが貼付されている。なお、同図では、保持部141〜146の内周面に貼付されたバーコードラベルのうち、バーコードラベル142c、143cのみ図示されている。
【0035】
第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12に保持されている試薬のバーコードが読み取られるときには、第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12が、所定の方向と速度で回転させられ、バーコードリーダ31により、第1容器ラック13又は第2容器ラック14の保持部の外周面に貼付されたバーコードラベルのバーコードが読み取られる。これにより、かかる保持部が、どの容器ラックのどの保持部であるかが認識される。
【0036】
続いて、かかる保持部の切欠部に位置するバーコードが読み取られる。このとき、試薬容器200が収容されている場合、試薬容器200に貼付されたバーコードラベルのバーコードが読み取られ、試薬容器200が収容されていない場合、保持部の内周面に貼付されたバーコードラベルのバーコードが読み取られる。こうして、保持部に試薬容器200が保持されているか否かが識別される。さらに、保持部に試薬容器200が保持されている場合には、バーコードラベル200aのバーコードから読み取られるバーコード情報により、試薬容器200に収容されている試薬の種別が識別される。このようにして得られた保持位置及び試薬の種別は、互いに対応付けられて記憶される。
【0037】
図2に戻って、キュベットテーブル15と加温テーブル16には、図示の如く、それぞれ、円周に沿って複数のキュベット保持孔15a1,16aが形成されている。キュベット保持孔15a1,16aにキュベットがセットされると、かかるキュベットは、それぞれ、キュベットテーブル15と加温テーブル16の回転に合わせて、円周位置を移動することとなる。また、加温テーブル16は、保持孔16aにセットされたキュベットを、所定の温度にて加温する。
【0038】
第1試薬テーブル11、第2試薬テーブル12、及びキュベットテーブル15の上面を覆うように、テーブルカバー17が設けられている。かかるテーブルカバー17は、第1試薬テーブル11、第2試薬テーブル12、及びキュベットテーブル15の前半分のみ開放可能なように中央部分において屈曲可能に構成されている。また、テーブルカバー17には、複数の孔(図示せず)が設けられている。第1検体分注ユニット21と、第2検体分注ユニット22と、第1試薬分注ユニット23、第2試薬分注ユニット24、及び第3試薬分注ユニット25は、これら複数の孔を介して試薬の分注を行う。
【0039】
図4は、第1試薬分注ユニット23の構成を示す側面図である。第1試薬分注ユニット23は、図示の如く、駆動部23aと、アーム23bと、ピペット23cとを備えている。駆動部23aは、回転用モータ231と、昇降用モータ232と、回転用モータ231及び昇降用モータ232の動力を軸233に伝達する伝達機構234とを備えている。伝達機構234は、回転用モータ231の回転動力を減速して軸233に伝達するベルト伝動機構又はギヤ機構等、昇降用モータ232の回転動力を上下方向の直線動力に変換して軸233に伝達するベルト伝動機構又はラック・ピニオン機構等により構成されている。回転用モータ231の回転方向及び回転量はロータリーエンコーダ235によって、昇降用モータ232の回転方向及び回転量(つまり、ピペット23cの上下移動方向及び移動量)はロータリーエンコーダ236によってそれぞれ検出される。
【0040】
また、第1試薬分注ユニット23のピペット23cには、ピペット23cの先端が液面に接触していることを検知する接触式の静電容量センサ23dが接続されている。ピペット23cによって検体の吸引が行われる際に、ピペット23cが下げられて検体の液面に接触すると、その検出信号が静電容量センサ23dから出力される。
【0041】
なお、第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第2試薬分注ユニット24及び第3試薬分注ユニット25の構成は、第1試薬分注ユニット23の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0042】
図2に戻り、第1キャッチャユニット26は、アーム26bを支持する支持部26aと、伸縮可能なアーム26bと、把持部26cとで構成されている。支持部26aは、下面裏側に配されたステッピングモータ315a(図5参照)により回転駆動される。把持部26cは、アーム26bの先端に取り付けられており、キュベットを把持することができる。なお、第2キャッチャユニット27についても、第1キャッチャユニット26と同様の構成となっており、ステッピングモータ315b(図5参照)により回転される。
【0043】
第3キャッチャユニット28は、図示の如く、アーム28bを支持する支持部28aと、伸縮可能なアーム28bと、アーム28bの先端に取り付けられた把持部28cとで構成されている。支持部28aは、左右方向に配されたレールに沿って駆動される。把持部28cは、キュベットを把持することができる。
【0044】
試薬バーコードリーダ31は、第1容器ラック13と第2容器ラック14に貼付されたバーコードラベルと、これらラックに収容された試薬容器200に貼付されたバーコードラベル200aを読み取る。
【0045】
キュベット搬送器32及び希釈液搬送器33は、レール上を左右方向に駆動する。また、キュベット搬送器32と希釈液搬送器33には、それぞれ、キュベット及び希釈液容器を保持するための孔が設けられている。
【0046】
キュベット口34には、常に新しいキュベットが供給される。新しいキュベットは、第1キャッチャユニット26及び第2キャッチャユニット27により、キュベット搬送器32のキュベットを保持する孔及びキュベットテーブル15のキュベット保持孔15aにセットされる。廃棄口351,36は、分析が終了し不要となったキュベットを廃棄するための孔である。
【0047】
検出ユニット40は、上面にキュベットを収容する20個の保持孔41が設けられており、下面裏側に検出部(図示せず)が配されている。保持孔41にキュベットがセットされると、検出部により、キュベット中の測定試料から光学的情報が検出される。
【0048】
搬送ユニット50は、搬送路51と検体バーコードリーダ52を備えている。搬送路51の底面は、右側に分析前ラック保持領域、中央に搬送領域、左側に分析後ラック保持領域を有し、コの字型に形成されている。検体バーコードリーダ52は、搬送領域を搬送される検体ラック60に収容された検体容器61に貼付されたバーコードラベルのバーコードを読み取る。
【0049】
図5は、測定装置2の回路構成を示すブロック図である。
【0050】
測定装置2は、制御部300と、試薬バーコードリーダ31と、検体バーコードリーダ52と、試薬テーブルステッピングモータ部311と、分注ユニットステッピングモータ部312と、キュベットテーブルステッピングモータ313と、加温テーブルステッピングモータ314と、キャッチャユニットステッピングモータ部315と、試薬テーブルロータリーエンコーダ部321と、分注ユニットロータリーエンコーダ部322と、液面センサ部323と、試薬テーブル原点センサ部331と、分注ユニット原点センサ部332と、ロック機構37aとを有している。制御部300は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、ハードディスク304と、通信インターフェース305と、I/Oインターフェース306とを有する。
【0051】
CPU301は、ROM302に記憶されているコンピュータプログラム及びRAM303にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM303は、ROM302及びハードディスク304に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM303は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU301の作業領域としても利用される。ハードディスク304には、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなど、CPU301に実行させるための種々のコンピュータプログラム及びコンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。つまり、かかるハードディスク404には、CPU301に測定装置2の各部を制御するための制御プログラムがインストールされている。また、通信インターフェース305により、情報処理装置3に対してデータの送受信が可能となる。
【0052】
また、CPU301は、I/Oインターフェースを介して、試薬バーコードリーダ31と、検体バーコードリーダ52と、試薬テーブルステッピングモータ部311と、分注ユニットステッピングモータ部312と、試薬テーブルロータリーエンコーダ部321と、分注ユニットロータリーエンコーダ部322と、液面センサ部323と、試薬テーブル原点センサ部331と、分注ユニット原点センサ部332とを制御する。
【0053】
試薬テーブルステッピングモータ部311は、第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12のそれぞれを互いに独立して回転駆動させる複数のステッピングモータで構成されている。分注ユニットステッピングモータ部312は、前述した第1試薬分注ユニット23の回転用モータ231及び昇降用モータ232並びに第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第2試薬分注ユニット24、第3試薬分注ユニット25それぞれの回転用モータ及び昇降用モータによって構成されている。これらの回転用モータ及び昇降用モータは、ステッピングモータである。
【0054】
キュベットテーブルステッピングモータ313は、キュベットテーブル15を回転駆動させるステッピングモータで構成されている。加温テーブルステッピングモータ314は、加温テーブル16回転駆動させるステッピングモータで構成されている。キャッチャユニットステッピングモータ部315は、第1キャッチャユニット26及び第2キャッチャユニット27のそれぞれを回転させる複数のステッピングモータで構成されている。
【0055】
試薬テーブルロータリーエンコーダ部321は、試薬テーブルステッピングモータ部311に含まれる複数のステッピングモータの回転方向及び回転量を各別に検出可能な複数のロータリーエンコーダにより構成されている。試薬テーブル原点センサ部331は、試薬テーブルステッピングモータ部311に含まれる複数のステッピングモータの回転位置が原点位置にあることを各別に検出する複数の原点センサにより構成されている。CPU301は、かかる試薬テーブルロータリーエンコーダ部321及び試薬テーブル原点センサ部331の出力信号を受け取ることにより、第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12のそれぞれが、原点位置から時計方向又は反時計方向へ何度回転したかを認識することができる。
【0056】
分注ユニットロータリーエンコーダ部322には、前述した第1試薬分注ユニット23のロータリーエンコーダ235、236並びに第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第2試薬分注ユニット24及び第3試薬分注ユニット25それぞれのロータリーエンコーダによって構成されている。つまり、分注ユニットロータリーエンコーダ部322は、分注ユニットステッピングモータ部312に含まれる複数のステッピングモータの回転方向及び回転量を各別に検出可能な複数のロータリーエンコーダにより構成されている。分注ユニット原点センサ部332は、分注ユニットステッピングモータ部312に含まれる複数のステッピングモータの回転位置が原点位置にあることを各別に検出する複数の原点センサにより構成されている。CPU301は、かかる分注ユニットロータリーエンコーダ部322及び分注ユニット原点センサ部332の出力信号を受け取ることにより、第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第1試薬分注ユニット23、第2試薬分注ユニット24、第3試薬分注ユニット25のアーム21a,22a,23a,24a,25aのそれぞれが、回転方向の原点位置から時計方向又は反時計方向へ何度回転したか、及び高さ方向の原点位置(基準高さ)から上方又は下方へどの程度移動したかを認識することができる。
【0057】
また、液面センサ部323は、前述した第1試薬分注ユニット23の静電容量センサ23d並びに第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第2試薬分注ユニット24及び第3試薬分注ユニット25それぞれの静電容量センサによって構成されている。CPU301は、かかる液面センサ部323の出力信号を受け取ることにより、第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第1試薬分注ユニット23、第2試薬分注ユニット24、第3試薬分注ユニット25のピペット21c、22c、23c、24c、25cのそれぞれが、液面に接触したか否かを認識することができる。
【0058】
ロック機構37aは、測定装置2のカバー37の開放を禁止するために設けられている。ロック機構37aは、例えばソレノイドコイル等によって構成されている。CPU301は、かかるロック機構をオン/オフ制御することが可能であり、これによりカバー37の開放の禁止/許可が制御される。
【0059】
図6は、情報処理装置3の構成を示すブロック図である。
【0060】
情報処理装置3は、パーソナルコンピュータからなっており、本体400と、入力部408と、表示部409とから構成されている。本体400は、CPU401と、ROM402と、RAM403と、ハードディスク404と、読出装置405と、入出力インターフェース406と、画像出力インターフェース407と、通信インターフェース410とを有する。
【0061】
CPU401は、ROM402に記憶されているコンピュータプログラム及びRAM402にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM403は、ROM402及びハードディスク404に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM403は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401の作業領域としても利用される。
【0062】
ハードディスク404には、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなど、CPU401に実行させるための種々のコンピュータプログラム及びコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。つまり、かかるハードディスク404には、コンピュータを本実施の形態に係る情報処理装置として機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされている。
【0063】
読出装置405は、CDドライブ又はDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体に記録されたコンピュータプログラム及びデータを読み出すことができる。入出力インターフェース406には、マウス及びキーボードからなる入力部408が接続されており、ユーザが入力部408を使用することにより、情報処理装置3にデータが入力される。画像出力インターフェース407は、CRT又は液晶パネル等で構成された表示部409に接続されており、画像データに応じた映像信号を、表示部409に出力する。表示部409は、入力された映像信号をもとに、画像を表示する。また情報処理装置3は、通信インターフェース410により測定装置2に対してデータの送受信が可能となる。
【0064】
[検体分析装置の動作]
以下、本実施の形態に係る検体分析装置1の動作について説明する。
【0065】
<検体毎の分析手順>
まず、検体の分析の手順について説明する。検体の分析手順は、検体の測定項目(PT,APTT等)によって異なる。検体の測定項目は、測定オーダにより指定される。検体分析装置1では、ユーザによる測定オーダの登録が可能であり、また図示しないサーバ装置から測定オーダを受け付けることも可能である。つまり、ユーザが測定オーダを登録する場合は、ユーザが情報処理装置3の入力部408を操作することにより、測定オーダを検体分析装置1に入力する。サーバ装置から測定オーダを受け付ける場合には、予めユーザがサーバ装置に測定オーダを登録しておく。
【0066】
複数の検体容器61を収容した検体ラック60が、ユーザによって搬送路51の分析前ラック保持領域にセットされる。検体ラック60は、分析前ラック保持領域において後方に移動された後、搬送領域において左方向に移動される。このとき、検体容器61に貼付されたバーコードラベルが、検体バーコードリーダ52により読み取られる。検体容器61のバーコードには検体IDが記録されており、情報処理装置3は、読み取られた検体IDをキーにして当該検体の測定オーダを取得する。つまり、測定オーダがユーザにより検体分析装置1に登録された場合には、当該検体IDに対応する測定オーダを情報処理装置3のハードディスク404から読み出し、測定オーダをサーバ装置から取得する場合には、検体IDが情報処理装置3からサーバ装置へ送信され、サーバ装置が、受信した検体IDに対応する測定オーダを情報処理装置3へと送信し、情報処理装置3が測定オーダを受信する。
【0067】
続いて、検体ラック60が、搬送領域の所定の場所に位置づけられる。搬送領域にて検体の吸引が終了すると、検体ラック60は、搬送領域において左方向に移動された後、分析後ラック保持領域において前方に移動される。
【0068】
第1検体分注ユニット21は、搬送路51の搬送領域の所定の検体吸引位置53に位置づけられた検体容器61の検体を吸引する。第1検体分注ユニット21によって吸引された検体は、キュベットテーブル15の前方位置にある検体吐出位置18に位置づけられたキュベット保持孔15aにセットされたキュベットに吐出される。
【0069】
第2検体分注ユニット22は、検体吸引位置19にあるキュベットに収容されている検体、又は、搬送路51の搬送領域の所定の検体吸引位置54に位置づけられた検体容器61の検体を吸引する。第2検体分注ユニット22よって吸引された検体は、キュベット搬送器32にセットされたキュベットに吐出される。なお、第2検体分注ユニット22は、希釈液搬送器33にセットされた希釈液を吸入することができる。この場合、検体分注ユニット22は、検体の吸引前に希釈液吸引位置37にて希釈液を吸引した後、検体吸引位置19又は54にて検体を吸引する。
【0070】
1つの検体について複数の測定項目を含む測定オーダが取得された場合、キュベットテーブル15のキュベット保持孔15aにセットされたキュベットから、測定項目数分のキュベットに検体が小分けされる。各キュベットは1つずつ測定項目に対応しており、キュベットに小分けされた検体は、当該キュベットに対応する測定項目について測定される。
【0071】
キュベット搬送器32は、収容したキュベットに検体が吐出(小分け)されると、所定のタイミングにて、レール上を右方向に駆動される。続いて、第1キャッチャユニット26により、キュベット搬送器32にセットされた検体を収容しているキュベットが把持され、加温テーブル16のキュベット保持孔16aにセットされる。キュベットに収容された検体は、加温テーブル16において測定項目に応じた時間加温される。例えば、測定項目がPTの場合には、検体が3分間加温され、測定項目がAPTTの場合には、検体が1分間加温される。
【0072】
検体が加温された後、検体に試薬が混和される。測定項目によって、試薬と混合された検体が検出ユニット40によって測定されるか、再度加温されるかが異なる。例えば、測定項目がPTの場合、加温された検体を収容するキュベットにPT試薬が分注され、その後検出ユニット40において光学測定される。
【0073】
この場合、加温テーブル16のキュベット保持孔16aに保持されているキュベットは、第3キャッチャユニット28により把持され、試薬吐出位置39a又は39bに位置づけられる。ここで、第2試薬分注ユニット24又は第3試薬分注ユニット25により、第1試薬テーブル11又は第2試薬テーブル12に配置されている所定の試薬容器200内の試薬が吸引され、試薬吐出位置39a又は39bにて試薬が吐出される。こうして試薬が吐出されると、第3キャッチャユニット28は、試薬が吐出されたキュベットを検出ユニット40の保持孔41にセットする。その後、検出ユニット40においてキュベットに収容された測定試料から光学的情報が検出される。
【0074】
次に、加温された検体に試薬が混和された後、再度加温される場合について説明する。例えば、測定項目がAPTTの場合、加温された検体を収容するキュベットにAPTT試薬が分注され、再度加温テーブル16において2分間加温される。その後、当該キュベット内に塩化カルシウム溶液が分注され、検出ユニット40において光学測定される。このように検体を2回加温する測定項目の場合、加温テーブル16において検体が所定時間加温された後、第2キャッチャユニット27が、保持孔16aにセットされた当該検体を収容しているキュベットを把持し、試薬吐出位置38まで移動させる。ここで、第1試薬分注ユニット23は、第1試薬テーブル11又は第2試薬テーブル12に配置されている所定の試薬容器200内の試薬を吸引し、試薬吐出位置38にて試薬を吐出する。こうして、試薬が吐出されると、第2キャッチャユニット27は、かかるキュベットを攪拌した上で、再び加温テーブルのキュベット保持孔16aにセットする。
【0075】
加温テーブル16のキュベット保持孔16aに保持されているキュベットは、次に、第3キャッチャユニット28により把持され、試薬吐出位置39a又は39bに位置づけられる。ここで、第2試薬分注ユニット24又は第3試薬分注ユニット25は、第1試薬テーブル11又は第2試薬テーブル12に配置されている所定の試薬容器200内の試薬を吸引し、試薬吐出位置39a又は39bにて試薬を吐出する。こうして、試薬が吐出されると、第3キャッチャユニット28は、試薬が吐出されたキュベットを検出ユニット40の保持孔41にセットする。その後、検出ユニット40においてキュベットに収容された測定試料から光学的情報が検出される。
【0076】
検出ユニット40によって検出された光学的情報は、情報処理装置3へと送信される。情報処理装置3のCPU401は、取得した光学的情報を処理し、検体の分析結果を得る。こうして得られた分析結果は、検体ID等の検体情報と対応付けてハードディスク404に記憶され、表示部409に出力される。
【0077】
検出ユニット40による検出が終了し不要となったキュベットは、第3キャッチャユニット28によって、把持されたまま、廃棄口35の真上まで移動させられ、廃棄口35に廃棄される。また、キュベットテーブル15のキュベット保持孔15aに保持されているキュベットについても、分析が終了し不要となると、キュベットテーブル15が回転され、第2キャッチャユニット27に近い場所に位置づけられる。第2キャッチャユニット27は、キュベット保持孔15aに保持されている不要となったキュベットを把持し、廃棄口36に廃棄する。
【0078】
<試薬情報の登録動作>
検体分析装置1がシャットダウンされた後は、第1試薬テーブル及び第2試薬テーブルにセットされた試薬は冷蔵庫等に移動されて次回検体分析装置1を使用するときまで保存される場合がある。さらに、このように検体分析装置1から取り出された試薬は、新たな試薬に交換されたり、試薬容器に試薬が注ぎ足されたりすることもある。したがって、検体分析装置1が起動された直後に実行される初期化動作において、第1試薬テーブル及び第2試薬テーブルにセットされた試薬に関する試薬情報の登録が行われる。以下、かかる試薬情報の登録動作について説明する。
【0079】
図7は、試薬情報の登録動作の流れを示すフローチャートである。試薬情報の登録動作においては、まず測定装置2のCPU301が試薬テーブルステッピングモータ部311を制御して、第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12を回転駆動させ、それぞれを原点位置に位置決めする(ステップS101)。その後、CPU301は試薬テーブルステッピングモータ部311を制御して、第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12を、所定の方向及び速さで回転させ(ステップS102)、バーコードリーダ31に容器ラックの保持部の外周面に貼付されたバーコードラベルを読み取らせる(ステップS103)。これにより、かかる保持部が、どの容器ラックのどの保持部であるかが認識される。
【0080】
続いて、CPU301は、試薬テーブルステッピングモータ部311を制御して、第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12を回転駆動させ、かかる保持部の切欠部に位置するバーコードをバーコードリーダ31に読み取らせる(ステップS104)。このとき、試薬容器200が収容されている場合、試薬容器200に貼付されたバーコードラベルが読み取られ、試薬容器200が収容されていない場合、保持部の内周面に貼付されたバーコードラベルが読み取られる。こうして、保持部に試薬容器200が保持されているか否かが識別される。さらに、保持部に試薬容器200が保持されている場合には、バーコードラベル200aから読み取られるバーコード情報により、試薬容器200に収容されている試薬の種別が識別される。CPU301は、こうして得られた容器ラックを特定する情報、保持部を特定する情報、保持部に保持されている試薬の種別の情報(試薬容器が保持されていない場合は、その旨を示す情報)等をハードディスク304に設けられている第1試薬情報データベース500に格納する(ステップS105)。図8Aは、第1試薬情報データベース500の構成を示す模式図である。第1試薬情報データベース500には、容器ラックを特定する情報である容器ラックIDを格納するためのフィールド501、容器ラックの保持部を特定する情報である保持部番号を格納するためのフィールド502、及び試薬の種別の情報を格納するためのフィールド503等が設けられている。また、この第1試薬情報データベース500には、後述する試薬の液面高さの情報を格納するためのフィールド504も設けられている。この時点においては、試薬の液面高さは一度も検出されていないため、当該フィールド504には何も情報が格納されない。
【0081】
CPU301は、第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12にセットされている全容器ラックの全保持部について、上記の第1試薬情報データベース500へ情報の格納を行ったか否かを判定し(ステップS106)、情報の格納を行っていない保持部が存在する場合には(ステップS106においてNO)、ステップS102へ処理を戻して、次の保持部のバーコードラベルがバーコードリーダ31に対向する位置まで第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12を回転させる。
【0082】
ステップS106において、第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12にセットされている全容器ラックの全保持部について、第1試薬情報データベース500へ情報の格納が行われている場合には(ステップS106においてYES)、CPU301は、第1試薬情報データベース500に格納されている全情報を情報処理装置3へ送信し(ステップS107)、処理を終了する。
【0083】
情報処理装置3が試薬情報を受信すると、情報処理装置3のCPU401は、受信した情報に基づいてハードディスク404に設けられた第2試薬情報データベース600に試薬情報を格納し(ステップS108)、処理を終了する。図8Bは、第2試薬情報データベース600の構成を示す模式図である。第2試薬情報データベース600には、第1試薬情報データベース500と同様に、容器ラックIDを格納するためのフィールド601、保持部番号を格納するためのフィールド602、及び試薬の種別の情報を格納するためのフィールド603等が設けられている。また、第2試薬情報データベース600には、第1試薬情報データベース500において液面高さ情報が格納されているか否かを示す液面高さ記憶フラグを格納するフィールド604が設けられている。測定装置2から送信された試薬情報において、液面高さ情報が含まれている試薬については、第2試薬情報データベース600において液面高さ記憶フラグに“1”がセットされ、液面高さ情報が含まれていない試薬については、第2試薬情報データベース600において液面高さ記憶フラグに“0”がセットされる。
【0084】
<試薬の交換動作>
次に、検体分析装置1の試薬の交換動作について説明する。図9Aは、通常、即ち試薬の交換又は追加が行われないときのテーブルカバー17の状態を示す平面図であり、図9Bは、試薬の交換又は追加が行われるときのテーブルカバー17の状態を示す平面図である。
【0085】
電源が投入され検体の測定を待機している状態(スタンバイ状態)又は検体の測定を実行している状態の測定装置2においては、図1に示すように、カバー37が閉鎖されており、ロック機構37aによってカバー37がロックされている。また、この状態においては、図9Aに示すように、テーブルカバー17は、第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12(以下、「試薬テーブル群」という)並びにキュベットテーブル15の上面を覆っている。このとき、第1検体分注ユニット21と、第2検体分注ユニット22と、第1試薬分注ユニット23と、第2試薬分注ユニット24と、第3試薬分注ユニット25(以下、「分注ユニット群」という)とは、テーブルカバー17に設けられた複数の孔を介して検体又は試薬の分注を行っている。
【0086】
試薬の交換又は追加が行われる際には、ユーザが情報処理装置3の入力部408を操作して、試薬の交換又は追加の開始指示を情報処理装置3に入力する。情報処理装置3のCPU401は、上記入力を受け付けると、カバー37のロック解除を測定装置2へ指示する。測定装置2のCPU301は、ロック機構37aを制御してカバー37のロックを解除し、分注ユニット群を制御して、図9Aで示したテーブルカバー17の覆っている領域に掛からない位置(以下、「退避位置」という)まで退避させる。こうしてユーザがカバー37を開放することができる。
【0087】
ユーザは、カバー37を開放し、テーブルカバー17を中央部分で折り曲げる。これにより、図9Bに示すように、試薬テーブル群とキュベットテーブル15の上半分領域のみがテーブルカバー17によって覆われた状態となる(点線の部分がテーブルカバー17によって覆われている領域を示し、一点鎖線の部分がテーブルカバー17によって覆われていない領域を示す)。このとき、テーブルカバー17によって覆われていない領域(以下、「交換位置」という)が生じるため、ユーザは、かかる交換位置を介して試薬の交換又は追加を行うことができる。すなわち、ユーザは、交換位置を介して第1容器ラック13と第2容器ラック14とを取り出し、試薬の交換又は追加を行った後、再び容器ラックを試薬テーブルにセットする。あるいは、ユーザは、容器ラックに配置された試薬容器200に対して、直接試薬の交換又は追加を行う。
【0088】
試薬の交換又は追加が終了すると、ユーザはテーブルカバー17を閉じ、またカバー37を閉じる。カバー37が閉じられた後、CPU301がロック機構37aを制御して、再度カバー37をロックする。
【0089】
この後、第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12のうち交換位置に位置する試薬容器について、試薬情報テーブルへの試薬情報の登録が行われる。なお、この動作は、第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12の全試薬容器が対象となるのではなく、第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12のうち交換位置に位置する試薬容器が対象となる他は、前述した試薬情報の登録動作と同様であるので、その説明を省略する。
【0090】
<検体分析動作>
本実施の形態に係る検体分析装置1においては、第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第1試薬分注ユニット23、第2試薬分注ユニット24、及び第3試薬分注ユニット25のそれぞれが、検体又は試薬を分注するときに、キュベット又は試薬容器200の直上までピペット21c,22c,23c,24c,25cを回転移動させた後、まず第1の速さによってピペット21c,22c,23c,24c,25cを下降させ、途中から第1の速さよりも小さい第2の速さによってピペット21c,22c,23c,24c,25cを下降させて、ピペット21c,22c,23c,24c,25cの先端を検体又は試薬中に進入させる。このように2段階の速度制御を行うことで、ピペット21c,22c,23c,24c,25cを高速に下降させ、しかもピペット先端が液面に接触するときには低速で下降させていることにより、精度よく液面を検出することを可能とし、液中深くにピペットが進入することを防止している。
【0091】
さらに詳しく説明すると、第1検体分注ユニット21及び第2検体分注ユニット22においては、固定的に設定された速さ切替高さまで第1の速さによってピペットを高速下降させ、前記速さ切替高さより下方では第2の速さによってピペットを低速下降させる。
【0092】
一方、第1試薬分注ユニット23、第2試薬分注ユニット24、及び第3試薬分注ユニット25においては、試薬液面の高さに応じて設定された可変の速さ切替高さまで第1の速さによってピペットを高速下降させ、この速さ切替高さより下方では第2の速さによってピペットを低速下降させる。つまり、CPU301が、試薬の液面を液面センサ部323によって検出したときのピペットの上下方向の位置(以下、「液面高さ」という)を検出し、この液面高さより所定距離上方の位置を速さ切替高さとして設定しておき、試薬分注の際に上述したような動作を実行する。これにより、第1の速さによってピペットを下降させる距離を可及的に大きくすることができ、分注動作を可及的高速に行うことが可能となる。
【0093】
試薬の液面高さは、前回の試薬分注動作において液面を検出したときの液面高さから試薬の吸引量に応じた高さを減ずることにより得ることができる。このため、一度試薬分注を行った後は、次回以降も高速な試薬分注動作を継続して行うことが可能である。しかし、検体分析装置1がシャットダウンされた後は、第1試薬テーブル及び第2試薬テーブルにセットされた試薬は冷蔵庫等に移動されて次回検体分析装置1を使用するときまで保存される場合がある。さらに、このように検体分析装置1から取り出された試薬は、新たな試薬に交換されたり、試薬容器に試薬が注ぎ足されたりすることもある。したがって、検体分析装置1が起動された直後は、各試薬容器の試薬の量は前回のシャットダウンのときにおける試薬の量と同じとは限らない。また、検体分析装置1が動作しているときであっても、上述した試薬の交換又は追加が行われた後は、第1試薬テーブル及び第2試薬テーブルにセットされた試薬のうち、テーブルカバー17が開放されてユーザによる交換又は追加が可能となった交換位置にある試薬は、試薬の交換又は追加が行われている可能性があり、試薬交換動作の前の試薬の量と同じとは限らない。つまり、かかる試薬を収容した試薬容器にあっては、その試薬の液面高さが不明であるといえる。したがって、検体分析装置1は、起動直後においては第1試薬テーブル及び第2試薬テーブルにセットされている全試薬のうち、受け付けた測定オーダに含まれる測定項目に対応する試薬について、まず試薬の液面高さを検出する動作(以下、「初期液面高さ検出動作」という)を実行し、試薬の液面高さを取得する。さらに検体分析装置1は、こうして検出した液面高さに基づいて速さ切替高さを設定し、その後、設定された速さ切替高さを用いて上述したようにピペットを下降させ、試薬を吸引する。また、試薬交換動作終了直後においては、検体分析装置1は、試薬交換動作の実行中にテーブルカバー17の交換位置にあった全試薬のうち、受け付けた測定オーダに含まれる測定項目に対応する試薬について、まず初期液面高さ検出動作を実行し、検出した液面高さに基づいて速さ切替高さを設定し、その後、設定された速さ切替高さを用いて上述したようにピペットを下降させ、試薬を吸引する。
【0094】
以下、検体分析動作について詳述する。図10Aは、検体分析動作における情報処理装置3のCPU401の処理手順を示すフローチャートであり、図10B及び図10Cは、検体分析動作における測定装置2のCPU301の処理手順を示すフローチャートである。
【0095】
まず情報処理装置3のCPU401は、測定オーダが登録されており、且つ、測定開始の指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS201)。この処理における判定基準は、ユーザが検体分析装置1に直接測定オーダを入力する場合には、ユーザから入力された測定オーダが登録されており、且つ、ユーザから入力部408を介して測定開始の指示を受け付けたか否かであり、サーバから測定オーダを受け付ける場合には、搬送ユニット50によって検体ラック60が搬送され、当該検体ラック60に収容された検体容器61から検体バーコード52により読み取られた検体IDが情報処理装置3からサーバ装置に送信され、情報処理装置3がサーバ装置から当該検体IDに対応する測定オーダを受け付けたか否かである。
【0096】
ステップS201における判定基準が満たされていない場合には(ステップS201においてNO)、CPU401は、ステップS206へ処理を進める。一方、ステップS201における判定基準が満たされている場合には(ステップS201においてYES)、CPU401は、初期液面高さ検出動作の対象となる試薬容器のリストを作成する(ステップS202)。この処理では、第2試薬情報データベース600において液面高さ情報記憶フラグに“0”がセットされている試薬、即ち、第1試薬情報データベース500において液面高さ情報が記憶されていない試薬を収容する試薬容器であって、受け付けた測定オーダに含まれる測定項目に対応する試薬を収容した試薬容器の保持位置のリストが作成される。つまり、検体分析装置1が起動した後初めて検体の分析が行われる場合には、第1試薬テーブル及び第2試薬テーブルにセットされている全試薬のうち、受け付けた測定オーダに含まれる測定項目に対応する試薬を収容した試薬容器が当該リストに含まれることになる。また、試薬交換動作終了後、検体の分析が行われる場合には、試薬交換動作の実行中にテーブルカバー17の交換位置にあった全試薬のうち、受け付けた測定オーダに含まれる測定項目に対応する試薬を収容した試薬容器がリストに含まれることになる。リストには、初期液面高さ検出動作の対象となる試薬容器が保持される保持位置の情報が含まれる。
【0097】
次にCPU401は、測定装置2へスケジュール作成指示データを送信する(ステップS203)。ハードディスク404には、測定項目毎に検体測定のプロトコール(検体の量、検体の加温時間、試薬の種別、量等)の情報が記憶されている。CPU401は、受け付けた測定オーダに含まれる測定項目に対応するプロトコールの情報をハードディスク404から読み出し、検体IDと測定プロトコール情報とを対応付けて、スケジュール作成指示データを生成する。またこのスケジュール作成指示データには、ステップS202において作成された試薬容器のリストも含まれる。
【0098】
CPU401は、後述する液面高さ情報記憶通知データを測定装置2から受信したか否かを判定し(ステップS204)、液面高さ情報記憶通知データを受信した場合には(ステップS204においてYES)、当該液面高さ情報記憶通知データに基づいて、第2試薬情報データベース600において、第1試薬情報データベース500において液面高さ情報が記憶された試薬に対応する液面高さ情報記憶フラグを“1”へ変更する(ステップS205)。この後、CPU401は、処理をステップS206へ移す。一方、ステップS204において液面高さ情報記憶通知データが受信されなかった場合には(ステップS204においてNO)、CPU401は、処理をステップS206へ進める。
【0099】
ステップS206において、CPU401は、ユーザからシャットダウンの指示を受け付けたか否かを判定し(ステップS206)、シャットダウンの指示を受け付けていない場合には(ステップS206においてNO)、処理をステップS201へ戻す。一方、シャットダウンの指示を受付た場合には(ステップS206においてYES)、CPU401は、処理を終了する。
【0100】
次に図10B及び図10Cを参照して測定装置2のCPU301の処理について説明する。測定装置2のCPU301はスケジュール作成指示データの受信を待機し(ステップS301においてNO)、測定装置2がスケジュール作成指示データを受信すると(ステップS301においてYES)、CPU301は検体測定のスケジュールを作成する(ステップS302)。
【0101】
図11は、検体測定のスケジュールの一例を部分的に示すタイミングチャートである。図に示すように、検体測定のスケジュールは、所定の時間間隔(例えば、9秒間)で区切られた連続するターン毎に実行すべき動作を割り当てることで作成される。CPU301は、スケジュール作成指示データに含まれる初期液面高さ検出動作の対象となる試薬容器のリストに基づいて、スケジュールの最初の数ターンにおいて初期液面高さ検出動作を割り当てる。図11の例においては、第1試薬分注ユニット23が1〜3ターン目において初期液面高さ検出動作を実行するように予定されており、第2試薬分注ユニット24及び第3試薬分注ユニット25のそれぞれが1〜5ターン目において初期液面高さ検出動作を実行するように予定されている。
【0102】
また、この例では、検体番号1〜3の検体のそれぞれについて、測定項目PT及びAPTTの測定が指示されている。検体番号1の検体については、1〜4ターン目において検体の一次分注(第1検体分注ユニット21による検体容器61からキュベットテーブル15に保持されているキュベットへの検体の分注)が予定されており、2〜3ターン目においてPT用の検体の二次分注(第2検体分注ユニット22によるキュベットテーブル15に保持されているキュベットからキュベット搬送器32にセットされているキュベットへの検体の分注)が予定されており、3〜4ターン目においてAPTT用の検体の二次分注が予定されている。また、PT用の検体については、4〜6ターン目において検体の加温が予定されており、7ターン目において検体へのPT試薬の分注が予定されており、8〜11ターン目において光学測定が予定されている。一方、APTT用の検体については、5ターン目において検体の加温が予定されており、6ターン目において検体へのAPTT試薬の分注が予定されており、7〜8ターン目において検体の2度目の加温が予定されており、9ターン目において検体への塩化カルシウム溶液の分注が予定されており、10〜13ターン目において光学測定が予定されている。検体番号2の検体については、検体番号1と同様の予定が、数ターン後から開始されるように予定されており、検体番号3の検体については、検体番号1と同様の予定が、さらに数ターン後から開始されるように予定されている。
【0103】
このように、測定装置2においては、同時に複数の動作が並行して実行される。例えば、第1試薬分注ユニット23による液面高さ検出動作、第2試薬分注ユニット24による液面高さ検出動作、第3試薬分注ユニット25による液面高さ検出動作、及び検体番号1の検体についての一次分注動作等が並行して実行される。CPU301は、同一の機構部分(例えば、第1試薬分注ユニット23)が同一のターンで2つの動作に使用されないように、しかも検体の測定動作全体ができるだけ少ないターン数で終了するように、スケジュールを作成する。
【0104】
また、液面高さ検出動作は最初に試薬の分注動作が割り当てられるターンよりも前のターンに割り当てられる。図11の例においても、液面検出動作は5ターン目で終了しており、最初の試薬分注動作である検体番号1のAPTT試薬の分注動作(6ターン目)よりも前のターンに予定されている。これにより、最初の試薬分注から液面高さ情報に基づいた速さ切替高さの設定が可能となり、試薬分注動作の効率化が可能となる。なお、初期液面高さ検出動作が最初の試薬の分注動作までに完了しない場合には、最初の試薬の分注動作を初期液面高さ検出動作の後にずらすようにスケジュールが作成される。
【0105】
上述したように作成された検体測定のスケジュールは、ハードディスク304に記憶される。
【0106】
検体測定のスケジュールの作成後、CPU301は、検体の測定を開始する。まず、CPU301は、現在のターンを示す変数Tに1をセットする(ステップS303)。次に、CPU301は、作成されたスケジュールを参照して、現在のターンが初期液面高さ検出動作が割り当てられたターンであるか否かを判定する(ステップS304)。現在のターンが初期液面高さ検出動作が割り当てられたターンである場合(ステップS304においてYES)、CPU301は、初期液面高さ検出制御処理を開始し(ステップS305)、処理をステップS306へ移す。一方、現在のターンが初期液面高さ検出動作が割り当てられたターンでない場合(ステップS304においてNO)、CPU301は、処理をステップS306へ移す。
【0107】
ステップS306において、CPU301は、作成されたスケジュールを参照して、現在のターンが検体分注動作(検体の一次分注又は二次分注)が割り当てられたターンであるか否かを判定する(ステップS306)。現在のターンが検体分注動作が割り当てられたターンである場合(ステップS306においてYES)、CPU301は、検体分注制御処理を開始し(ステップS307)、処理をステップS308へ移す。一方、現在のターンが検体分注動作が割り当てられたターンでない場合(ステップS306においてNO)、CPU301は、処理をステップS308へ移す。
【0108】
ステップS308において、CPU301は、作成されたスケジュールを参照して、現在のターンが試薬分注動作が割り当てられたターンであるか否かを判定する(ステップS308)。現在のターンが検体分注動作が割り当てられたターンである場合(ステップS308においてYES)、CPU301は、試薬分注制御処理を開始し(ステップS309)、処理をステップS310へ移す。一方、現在のターンが試薬分注動作が割り当てられたターンでない場合(ステップS308においてNO)、CPU301は、処理をステップS310へ移す。
【0109】
ステップS310において、CPU301は、作成されたスケジュールを参照して、現在のターンが初期液面検出動作、検体分注動作、及び試薬分注動作以外の動作(他の動作)が割り当てられたターンであるか否かを判定する(ステップS310)。現在のターンが他の動作が割り当てられたターンである場合(ステップS310においてYES)、CPU301は、他の動作を実現するユニット制御処理を開始し(ステップS311)、処理をステップS312へ移す。一方、現在のターンが他の動作が割り当てられたターンでない場合(ステップS310においてNO)、CPU301は、処理をステップS312へ移す。
【0110】
上記の初期液面高さ検出制御処理は、検体分注制御処理及びユニット制御処理と並行して実行することができる。なお、上述したように初期液面高さ動作と試薬分注動作とが同じターンに割り当てられることはないため、初期液面高さ検出制御処理が、試薬分注制御処理と並行して実行される場合はない。
【0111】
ステップS312において、CPU301は、作成されたスケジュールの最後のターンに到達したか否かを判定する(ステップS312)。最後のターンに到達していない場合には(ステップS312においてNO)、CPU301は、現在のターンが終了するまで(つまり、ターンの開始から9秒間経過するまで)待機し(ステップS313)、さらに現在のターンを示す変数の値を1インクリメントし(ステップS314)、ステップS304へ処理を戻す。ステップS312において最後のターンに到達した場合には(ステップS312においてYES)、CPU301は、処理を終了する。
【0112】
次に、初期液面高さ検出制御処理について詳細に説明する。図12は、初期液面高さ検出制御処理の手順を示すフローチャートである。まずCPU301は、検体測定のスケジュールを参照して、現在のターンにおいて初期液面高さ検出動作を実行すべき対象の試薬容器と、当該試薬容器に対して初期液面高さ検出動作を実行する試薬分注ユニットとを特定する(ステップS401)。次にCPU301は、試薬テーブルステッピングモータ部311及び分注ユニットステッピングモータ部312を制御して、特定した試薬分注ユニットのピペットを対象となる試薬容器の直上に位置させる(ステップS402)。
【0113】
続いてCPU301は、分注ユニットステッピングモータ部312を制御して、特定した試薬分注ユニットのピペットを第1の速さで下降させる(ステップS403)。CPU301は、分注ユニットロータリーエンコーダ部322からの出力信号を監視し、ハードディスク304に記憶された固定の速さ切替高さにピペットが到達したか否かを判定する(ステップS404)。速さ切替高さにピペットが到達していない場合には(ステップS404においてNO)、CPU301は、速さ切替高さにピペットが到達するまでステップS404の処理を繰り返す。なお、ステップS404における、ハードディスク304に記憶された固定の速さ切替高さは、試薬容器に収容された試薬の最も高い液面からであっても十分に離れた位置となるように設定されている。
【0114】
速さ切替高さにピペットが到達した場合(ステップS404においてYES)、CPU301は、分注ユニットステッピングモータ部312を制御して、特定した試薬分注ユニットのピペットを第1の速さより小さい第2の速さで下降させる(ステップS405)。さらにCPU301は、液面センサ部323からの出力信号を監視し、ピペットの先端が液面に接触したか否かを判定する(ステップS406)。ピペットの先端が液面に接触していない場合、(ステップS406においてNO)、CPU301は、ピペットの先端が液面に接触するまでステップS406の処理を繰り返す。
【0115】
ピペットの先端が液面に接触した場合、(ステップS406においてYES)、CPU301は、分注ユニットロータリーエンコーダ部322からの出力信号により、ピペットの先端が液面に接触したときの当該ピペットに対応するロータリーエンコーダのカウント値(その時点における液面高さを反映した値)を、液面高さ情報として第1試薬情報データベース500の当該試薬容器に対応するレコードに記憶する(ステップS407)。その後CPU301は、当該試薬について液面高さ情報を記憶した旨を示す液面高さ情報記憶通知データを情報処理装置3へ送信する(ステップS408)。さらにCPU301は、分注ユニットステッピングモータ部312を制御して、特定した試薬分注ユニットのピペットを上昇させ(ステップS409)、処理を終了する。
【0116】
次に、検体分注制御処理について詳細に説明する。図13は、検体分注制御処理の手順を示すフローチャートである。まずCPU301は、分注ユニットステッピングモータ部312を制御して、第1検体分注ユニット21のピペット21cを搬送路51の搬送領域の検体吸引位置53の検体容器61の直上に、又は第2検体分注ユニット22のピペット22cをキュベットテーブル15の検体吸引位置19にあるキュベットの直上に位置させる(ステップS501)。
【0117】
続いてCPU301は、分注ユニットステッピングモータ部312を制御して、第1検体分注ユニット21のピペット21c又は第2検体分注ユニット22のピペット22cを第1の速さで下降させる(ステップS502)。CPU301は、分注ユニットロータリーエンコーダ部322からの出力信号を監視し、ハードディスク304に記憶された固定の速さ切替高さにピペットが到達したか否かを判定する(ステップS503)。速さ切替高さにピペットが到達していない場合には(ステップS503においてNO)、CPU301は、速さ切替高さにピペットが到達するまでステップS503の処理を繰り返す。なお、ステップS503における、ハードディスク304に記憶された固定の速さ切替高さは、検体容器に収容された検体の最も高い液面からであっても十分に離れた位置となるように設定されている。
【0118】
速さ切替高さにピペットが到達した場合(ステップS503においてYES)、CPU301は、分注ユニットステッピングモータ部312を制御して、第1検体分注ユニット21のピペット21c又は第2検体分注ユニット22のピペット22cを第1の速さより小さい第2の速さで下降させる(ステップS504)。さらにCPU301は、液面センサ部323からの出力信号を監視し、ピペットの先端が液面に接触したか否かを判定する(ステップS505)。ピペットの先端が液面に接触していない場合、(ステップS505においてNO)、CPU301は、ピペットの先端が液面に接触するまでステップS505の処理を繰り返す。
【0119】
ピペットの先端が液面に接触した場合、(ステップS505においてYES)、CPU301は、検体の分注量に応じた深さまでさらにピペットを下降させるよう分注ユニットステッピングモータ部312を制御し(ステップS506)、その後ピペットに検体を吸引させる(ステップS507)。検体の吸引が完了すると、CPU301は、分注ユニットステッピングモータ部312を制御して、第1検体分注ユニット21のピペット21cを検体吐出位置18のキュベットまで移動させ、又は第2検体分注ユニット22のピペット22cをキュベット搬送器32に保持されたキュベットまで移動させる(ステップS508)。さらにCPU301は、第1検体分注ユニット21のピペット21c又は第2検体分注ユニット22のピペット22cに検体をキュベットへ吐出させ(ステップS509)、処理を終了する。
【0120】
次に、試薬分注制御処理について詳細に説明する。図14は、試薬分注制御処理の手順を示すフローチャートである。まずCPU301は、試薬テーブルステッピングモータ部311及び分注ユニットステッピングモータ部312を制御して、第1試薬分注ユニット23のピペット23c、第2試薬分注ユニット24のピペット24c、又は第3試薬分注ユニット25のピペット25cを、吸引対象の試薬を収容する試薬容器の直上に位置させる(ステップS601)。
【0121】
続いてCPU301は、分注ユニットロータリーエンコーダ部322からの出力信号を監視し、第1試薬情報データベース500に格納されている吸引対象の試薬の液面高さ情報を読み出し、当該試薬の液面高さから所定距離上方の高さを速さ切替高さに設定する(ステップS602)。CPU301は、分注ユニットステッピングモータ部312を制御して、第1試薬分注ユニット23のピペット23c、第2試薬分注ユニット24のピペット24c、又は第3試薬分注ユニット25のピペット25cを第1の速さで下降させ(ステップS603)、ステップS602において設定した速さ切替高さにピペットが到達したか否かを判定する(ステップS604)。速さ切替高さにピペットが到達していない場合には(ステップS604においてNO)、CPU301は、速さ切替高さにピペットが到達するまでステップS604の処理を繰り返す。なお、ステップS602において設定される速さ切替高さは、ステップS404におけるハードディスク304に記憶された固定の速さ切替高さよりも液面に近い位置に設定される。
【0122】
速さ切替高さにピペットが到達した場合(ステップS604においてYES)、CPU301は、分注ユニットステッピングモータ部312を制御して、第1試薬分注ユニット23のピペット23c、第2試薬分注ユニット24のピペット24c、又は第3試薬分注ユニット25のピペット25cを第1の速さより小さい第2の速さで下降させる(ステップS605)。さらにCPU301は、液面センサ部323からの出力信号を監視し、ピペットの先端が液面に接触したか否かを判定する(ステップS606)。ピペットの先端が液面に接触していない場合、(ステップS606においてNO)、CPU301は、ピペットの先端が液面に接触するまでステップS606の処理を繰り返す。
【0123】
ピペットの先端が液面に接触した場合(ステップS606においてYES)、分注ユニットロータリーエンコーダ部322からの出力信号により、ピペットの先端が液面に接触したときの当該ピペットに対応するロータリーエンコーダのカウント値(その時点における液面高さを反映した値)に試薬吸引量に応じた値を加算した結果(試薬吸引後の液面高さを反映した値)を、液面高さ情報として第1試薬情報テーブルの当該試薬容器に対応するレコードに記憶する(ステップS607)。
【0124】
またCPU301は、試薬の分注量に応じた深さまでさらにピペットを下降させるよう分注ユニットステッピングモータ部312を制御し(ステップS608)、その後ピペットに試薬を吸引させる(ステップS609)。試薬の吸引が完了すると、CPU301は、分注ユニットステッピングモータ部312を制御して、第1試薬分注ユニット23のピペット23c、第2試薬分注ユニット24のピペット24c、又は第3試薬分注ユニット25のピペット25cを目的とするキュベットまで移動させる(ステップS610)。さらにCPU301は、第1試薬分注ユニット23のピペット23c、第2試薬分注ユニット24のピペット24c、又は第3試薬分注ユニット25のピペット25cに試薬をキュベットへ吐出させ(ステップS611)、処理を終了する。
【0125】
上記の如く構成したことにより、本実施の形態に係る検体分析装置1は、検体分析装置1の起動直後及び試薬の交換又は追加の後であっても、試薬の分注の際には正確な試薬の液面高さを取得しており、液面に近い位置まで吸引管を高速で下降させることが可能となる。そのため、試薬の分注動作を効率的に行うことが可能となる。また、初期液面高さ検出動作を、検体の分注動作及び加温動作等の他の動作と並行して行うため、検体分析装置1の動作全体を効率的に行うことが可能となる。
【0126】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態においては、検体分析装置1が起動した後検体測定に使用されていない試薬のうち、検体分析装置1が受け付けた測定オーダに含まれる測定項目に対応する試薬についてのみ初期液面高さ検出動作を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体分析装置1が起動した後検体測定に使用されていない試薬の全てについて初期液面高さ検出動作を実行する構成としてもよい。
【0127】
また、上記の実施の形態においては、検体分析装置1の測定装置2が検体測定動作を開始した後に初期液面高さ検出動作を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、測定装置2の初期化動作に初期液面高さ検出動作を組み込んでもよいし、測定装置2が検体の測定を開始可能なスタンバイ状態のときに初期液面高さ検出動作を実行する構成としてもよい。
【0128】
また、上記の実施の形態においては、検体分注動作における第1検体分注ユニット21のピペット21c及び第2検体分注ユニット22のピペット22cの速さ切替高さまでの下降速さと、試薬分注動作における第1試薬分注ユニット23のピペット23c、第2試薬分注ユニット24のピペット24c、及び第3試薬分注ユニット25のピペット25cの速さ切替高さまでの下降速さとを何れも第1の速さとしたが、これに限定されるものではない。検体分注動作における第1検体分注ユニット21のピペット21c及び第2検体分注ユニット22のピペット22cの速さ切替高さまでの下降速さを第1の速さとは異なる第3の速さとしてもよい。また、検体分注動作における第1検体分注ユニット21のピペット21c及び第2検体分注ユニット22のピペット22cの速さ切替高さより下方での下降速さと、試薬分注動作における第1試薬分注ユニット23のピペット23c、第2試薬分注ユニット24のピペット24c、及び第3試薬分注ユニット25のピペット25cの速さ切替高さより下方での下降速さとを何れも第2の速さとしたが、これに限定されるものではない。検体分注動作における第1検体分注ユニット21のピペット21c及び第2検体分注ユニット22のピペット22cの速さ切替高さより下方での下降速さを第2の速さとは異なる第4の速さとしてもよい。但しこの場合、第4の速さを第3の速さよりも小さい速さとしなければ、効率的な検体分注動作を行うことはできない。
【0129】
また、上記の実施の形態においては、第1試薬情報データベース500に試薬の液面高さを示す液面高さ情報を記憶しておき、この液面高さ情報が示す液面高さから所定距離上方の高さを速さ切替高さに設定し、この速さ切替高さにおいてピペットの下降速さを切り替える構成について述べたが、これに限定されるものでない。初期液面高さ検出動作又は試薬分注動作において検出された液面高さから速さ切替高さを求め、この速さ切替高さを第1試薬情報データベース500に記憶しておき、次回の試薬分注動作において、第1試薬情報データベース500から速さ切替高さを読み出し、この速さ切替高さにおいてピペットの下降速さを切り替える構成としてもよい。また、第1試薬情報データベースに前回の試薬分注動作において液面を検出したときの試薬の液面高さを示す液面高さ情報を記憶しておき、この液面高さ情報が示す液面高さを速さ切替高さに設定し、この速さ切替高さにおいてピペットの下降速さを切り替える構成としてもよい。
【0130】
また、上記の実施の形態においては、検体分注動作及び試薬分注動作において、ピペットの下降速さを2段階で変化させる構成について述べたが、これに限定されるものでない。例えば、ピペットの下降初期段階においては第1の速さでピペットを下降させ、ピペットの下降中期段階においては第1の速さよりも小さい第2の速さによりピペットを下降させ、ピペットの下降後期段階においては第2の速さよりも小さい第3の速さによりピペットを下降させるように、3段以上の多段階で速さを切り替える構成としてもよいし、第1の速さから第2の速さへ滑らかにピペットの下降速さを変化させるように構成してもよい。
【0131】
また、上記の実施の形態においては、接触式の液面検出センサを用いてピペットの先端が液面に接触したことを検出する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば超音波式などの非接触式液面センサを用いて液面高さを検出する構成としてもよい。
【0132】
また、上記の実施の形態においては、検体分析装置1が検体を測定する測定装置2と測定装置2によって得られた測定結果をデータ処理し、分析結果を得る情報処理装置3とを別個に備える構成について述べたが、これに限定されるものではない。測定装置2及び情報処理装置3の両方の機能を1つの筐体内に設けた構成の検体分析装置1としてもよい。この場合、測定装置2のCPU301と、情報処理装置3のCPU401により実行する処理を1つのCPUにより実行する構成としてもよい。
【0133】
また、上述した実施の形態においては、検体分析装置1を血液凝固測定装置としたが、これに限定されるものではない。血球計数装置、免疫分析装置、尿中有形成分分析装置、又は尿定性分析装置のような血液凝固測定装置以外の検体分析装置において、初期液面高さ検出動作によって試薬の液面高さを検出し、その液面高さに関する情報を記憶しておき、試薬を分注するときに、記憶した液面高さに基づいて速さを切り替えてピペットを下降させる構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明に係る検体分析装置及び液体吸引方法は、血液、尿等の検体を分析する検体分析装置、及び検体又は試薬等の液体を検体分析のために吸引する液体吸引方法等として有用である。
【符号の説明】
【0135】
1 検体分析装置
2 測定装置
3 情報処理装置
10 測定ユニット
11 第1試薬テーブル
12 第2試薬テーブル
13 第1容器ラック
14 第2容器ラック
15 キュベットテーブル
16 加温テーブル
15a、16a キュベット保持孔
17 テーブルカバー
21 第1検体分注ユニット
21a、22a、23a、24a、25a アーム
21c、22c、23c、24c、25c ピペット
22 第2検体分注ユニット
23 第1試薬分注ユニット
23a 駆動部
23b アーム
23c ピペット
231 回転用モータ
232 昇降用モータ
233 軸
234 伝達機構
235、236 ロータリーエンコーダ
23d 静電容量センサ
24 第2試薬分注ユニット
25 第3試薬分注ユニット
31 試薬バーコードリーダ
32 キュベット搬送器
37 カバー
37a ロック機構
38a 希釈液吸引位置
38 試薬吐出位置
39a、39b 試薬吐出位置
40 検出ユニット
200 試薬容器
200a バーコードラベル
300 制御部
301 CPU
311 試薬テーブルステッピングモータ部
312 分注ユニットステッピングモータ部
315a、315b ステッピングモータ
321 試薬テーブルロータリーエンコーダ部
322 分注ユニットロータリーエンコーダ部
323 液面センサ部
331 試薬テーブル原点センサ部
332 分注ユニット原点センサ部
304 ハードディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体の測定に用いられる液体を収容する容器から液体を吸引する吸引管と、
前記吸引管を上下方向へ移動させる駆動部と、
前記容器の液面を検出する液面検出部と、
記憶部と、
前記記憶部に液面の高さに関する液面高さ情報が記憶されていない場合には、前記液体の吸引のための前記吸引管の下降動作に先行して、前記液面検出部に前記容器の液面を検出させ、前記液面検出部による検出結果に基づき前記吸引管が下降する速さを制御して前記吸引管が前記液面の上方から下降するように前記駆動部を駆動させ、前記吸引管に前記容器から液体を吸引させ、前記液面高さ情報が記憶されている場合には、前記液面検出部による検出結果に基づき前記吸引管が下降する速さを制御して前記吸引管が前記液面の上方から下降するように前記駆動部を駆動させ、前記吸引管に前記容器から液体を吸引させる制御部と、
を備える、
検体分析装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記液面検出部による検出結果に基づいて、前記吸引管の下降速さを切り替える速さ切替高さを取得し、取得された前記速さ切替高さまでは第1の速さで前記吸引管を下降させ、前記速さ切替高さからは前記第1の速さより小さい第2の速さで前記吸引管を下降させるよう前記駆動部を制御するように構成されている、
請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項3】
前記液面検出部は、液面に対する吸引管の接触を検出することにより、液面を検出するように構成されている、
請求項1又は2に記載の検体分析装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記記憶部に液面の高さに関する液面高さ情報が記憶されていない場合には、前記液面検出部に前記容器の液面を検出させるために、第1の速さより小さい第3の速さで前記吸引管を下降させるよう前記駆動部を制御し、前記記憶部に液面の高さに関する液面高さ情報が記憶されている場合には、前記液面検出部による検出結果に基づいて、前記吸引管の下降速さを切り替える速さ切替高さを取得し、前記吸引管に前記容器から液体を吸引させるために、取得された前記速さ切替高さまでは第1の速さで前記吸引管を下降させ、前記速さ切替高さからは前記第1の速さより小さい第2の速さで前記吸引管を下降させるよう前記駆動部を制御するように構成されている、
請求項3に記載の検体分析装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記記憶部に液面の高さに関する液面高さ情報が記憶されていない場合に、前記液面検出部に前記容器の液面を検出させるために、所定の高さまでは前記第1の速さで前記吸引管を下降させ、前記所定の高さからは前記第3の速さで前記吸引管を下降させるよう前記駆動部を制御するように構成されている、
請求項4に記載の検体分析装置。
【請求項6】
前記吸引管として、第1吸引管及び第2吸引管が設けられており、
前記駆動部として、前記第1吸引管を上下方向へ移動させる第1駆動部及び前記第2吸引管を上下方向へ移動させる第2駆動部が設けられており、
前記制御部は、前記記憶部に一の容器の液面の高さに関する液面高さ情報が記憶されておらず、他の容器の液面の高さに関する液面高さ情報が記憶されている場合に、前記一の容器の液体の吸引のための前記第1吸引管の下降動作に先行して前記第1吸引管を下降させるよう前記第1駆動部を制御し、前記液面検出部に前記一の容器の液面を検出させる第1制御動作と、前記第2吸引管を下降させるよう前記第2駆動部を制御し、前記第2吸引管に前記他の容器から液体を吸引させる第2制御動作とを、互いに少なくとも一部が重複するように実行するように構成されている、
請求項3乃至5の何れかに記載の検体分析装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記記憶部に液面の高さに関する液面高さ情報が記憶されていない場合に、前記液面検出部に前記容器の液面を検出させる動作を、検体を測定するための他の動作と少なくとも一部が重複するように実行すべく構成されている、
請求項1乃至6の何れかに記載の検体分析装置。
【請求項8】
前記検体を測定するための他の動作には、検体を分注する動作、検体を収容する容器を搬送する動作、検体を加温する動作、試薬を分注する動作、及び試薬が混合された検体を測定する動作を含む、
請求項7に記載の検体分析装置。
【請求項9】
前記容器は、所定の測定項目についての検体の測定に使用される試薬を収容する試薬容器であり、
複数の試薬を収容する試薬容器を保持する試薬容器保持部と、
検体の測定項目を含む測定オーダを受け付ける受付部と、
をさらに備え、
前記記憶部は、前記試薬容器保持部に保持されている試薬容器に収容される試薬の種類を記憶し、
前記制御部は、前記受付部によって受け付けられた測定オーダ及び前記記憶部に記憶されている試薬の種類に基づいて、前記測定オーダに含まれる測定項目についての検体の測定に使用される試薬が収容された試薬容器であって、前記記憶部に液面の高さに関する液面高さ情報が記憶されていない試薬容器について、前記液体の吸引のための前記吸引管の下降動作に先行して前記液面検出部に液面を検出させるように構成されている、
請求項1乃至8の何れかに記載の検体分析装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記受付部によって受け付けられた測定オーダ及び前記記憶部に記憶されている試薬の種類に基づいて、前記測定オーダに含まれる測定項目についての検体の測定に使用される試薬が収容された試薬容器を、前記液面検出部による液面検出の対象として決定する第1制御部と、前記第1制御部によって液面検出の対象として決定された試薬容器について、前記液面検出部に液面を検出させる第2制御部と、を具備する、
請求項9に記載の検体分析装置。
【請求項11】
前記容器は、検体の測定に使用される試薬を収容する試薬容器であり、
複数の試薬を収容する試薬容器を保持する試薬容器保持部と、
前記試薬容器保持部を覆う開閉可能なカバーと、
前記カバーの開閉を検出可能な開閉検出部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記開閉検出部によって前記カバーの閉鎖が検出された場合に、前記試薬容器保持部に保持された試薬容器について、前記液体の吸引のための前記吸引管の下降動作に先行して前記液面検出部に液面を検出させるように構成されている、
請求項1乃至8の何れかに記載の検体分析装置。
【請求項12】
前記カバーは、前記試薬容器保持部の一部を開閉可能に覆うように構成されており、
前記記憶部は、前記試薬容器保持部に保持されている試薬容器の前記試薬容器保持部における保持位置を記憶しており、
前記制御部は、前記開閉検出部によって前記カバーの閉鎖が検出された場合に、前記カバーにより開放される前記試薬容器保持部の一部に保持されている試薬容器について、前記液体の吸引のための前記吸引管の下降動作に先行して前記液面検出部に液面を検出させるように構成されている、
請求項11に記載の検体分析装置。
【請求項13】
前記カバーの開放を禁止する開放禁止機構をさらに備え、
前記制御部は、前記開放禁止機構によって前記カバーの開放が禁止されている間に、前記試薬容器保持部に保持された試薬容器について、前記液体の吸引のための前記吸引管の下降動作に先行して前記液面検出部に液面を検出させるように構成されている、
請求項11又は12に記載の検体分析装置。
【請求項14】
検体の測定に用いられる液体を収容する容器から液体を吸引する吸引管と、
前記吸引管を上下方向へ移動させる駆動部と、
液面に対する吸引管の接触を検出することにより前記容器の液面を検出する液面検出部と、
記憶部と、
前記記憶部に液面の高さに関する液面高さ情報が記憶されていない場合には、前記液体の吸引のための前記吸引管の下降動作に先行して、前記液面検出部に前記容器の液面を検出させ、前記液面検出部による検出結果に基づき前記吸引管が下降する速さを制御して前記吸引管が前記液面の上方から下降するように前記駆動部を駆動させ、前記吸引管に前記容器から液体を吸引させる制御部と、
を備える、
検体分析装置。
【請求項15】
検体の測定に用いられる液体を収容する容器から吸引管に液体を吸引させる液体吸引方法であって、
記憶部に液面の高さに関する液面高さ情報が記憶されていない場合には、
液体の吸引のための前記吸引管の下降動作に先行して、前記液面検出部が容器の液面を検出し、
前記容器の液面を検出するステップを実行した後、前記液面検出部による検出結果に基づき前記吸引管が下降する速さを制御して前記液面の上方から前記吸引管を下降させ、
前記吸引管に前記容器から液体を吸引させ、
前記記憶部に前記液面高さ情報が記憶されている場合には、
前記液面検出部による検出結果に基づき前記吸引管が下降する速さを制御して前記液面の上方から前記吸引管を下降させ、
前記吸引管に前記容器から液体を吸引させる、
液体吸引方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−7998(P2012−7998A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144066(P2010−144066)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】