説明

検体分注装置、検体分注方法及び分析装置

【課題】デッドボリュームを低減することが可能な検体分注装置、検体分注方法及び分析装置を提供すること。
【解決手段】回転作動と昇降作動をして検体を吸引するプローブと、直径の異なる検体容器を幅方向一方に付勢して位置決め保持するラックを搬送経路に沿って搬送し、検体容器を検体の吸引位置へ搬送する検体容器移送機構とを備え、直径の異なる複数種類の検体容器から検体を順次吸引して反応容器へ吐出する検体分注装置、検体分注方法及び分析装置。検体分注装置は、検体容器の直径に応じてプローブの回転角度を制御し、プローブの位置を検体容器の中心近傍へ調整する制御部を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体分注装置、検体分注方法及び分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、検体分注装置は、検体容器移送機構が搬送路に沿って搬送してくるラックに保持された検体容器から検体をプローブによって順次吸引し、回転するキュベットホイールによって吐出位置へ搬送されてくる反応容器に吐出して、検体の分注を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このとき、ラックは、分析対象の検体量の相違に応じて内容量の異なる、直径や長さ複数種類の検体容器を保持するが、搬送時の検体容器の振動によって検体が飛び出すことがないように、検体容器を幅方向一方に付勢して位置決めしている。この場合、ラックは、同じ保持位置に検体容器を保持しても、最大径の検体容器は中央に保持され、それより径の小さい検体容器は幅方向一方に付勢されて保持される。このため、直径の異なる複数種類の検体容器を保持したラックにおいては、検体容器の中心位置が検体容器の直径によって異なってしまう。また、検体分注装置は、水平方向に回転、かつ、昇降するアームにプローブが支持されている。そして、検体分注装置は、プローブが水平方向に回転する回転軌跡とラックの搬送路との交差位置や回転軌跡とキュベットホイールとの交差位置が検体の吸引位置や吐出位置として設定されている。
【0004】
【特許文献1】特開2007−263838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、検体容器は、通常、底部が中央に向かって湾曲又は傾斜して中央が最も低くなるように形成されている。このため、直径の異なる複数の検体容器を保持した場合、同一の吸引位置へラックを搬送したとしても、検体容器の直径の相違によってプローブと検体容器の中心とが変位してしまう。
【0006】
このようなプローブと検体容器の中心との間に変位が生ずると、吸引の際にプローブと検体容器底面との衝突を回避するためにプローブの下降距離を短くしなければならず、吸引し切れずに検体容器に残るデッドボリュームが大きくなるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、デッドボリュームを低減することが可能な検体分注装置、検体分注方法及び分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の検体分注装置は、回転作動と昇降作動をして検体を吸引するプローブと、直径の異なる検体容器を幅方向一方に付勢して位置決め保持するラックを搬送経路に沿って搬送し、前記検体容器を検体の吸引位置へ搬送する搬送手段とを備え、前記直径の異なる複数種類の前記検体容器から検体を順次吸引して反応容器へ吐出する検体分注装置であって、前記検体容器の直径に応じて前記プローブの回転角度を制御し、前記プローブの位置を前記検体容器の中心近傍へ調整する分注位置調整手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の検体分注装置は、上記の発明において、前記分注位置調整手段は、前記検体容器の直径に応じた前記プローブの回転角度の制御と、前記搬送手段による前記ラックの搬送方向に沿った搬送位置の制御とによって前記プローブの位置を前記検体容器の中心近傍へ調整することを特徴とする。
【0010】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の検体分注装置は、回転作動と昇降作動をして検体を吸引するプローブと、直径の異なる検体容器を幅方向一方に付勢して位置決め保持するラックを搬送経路に沿って搬送し、前記検体容器を検体の吸引位置へ搬送する搬送手段とを備え、前記直径の異なる複数種類の前記検体容器から検体を順次吸引して反応容器へ吐出する検体分注装置であって、前記搬送手段は、前記ラックを当該ラックの搬送方向に直交する方向へ移動させる移動手段と、前記搬送手段及び前記移動手段の作動を制御する分注位置調整手段とを備え、前記分注位置調整手段は、前記検体容器の直径に応じ、前記移動手段による前記ラックの搬送方向に直交する方向への移動を制御し、前記プローブの位置を前記検体容器の中心近傍へ調整することを特徴とする。
【0011】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の分析装置は、回転作動と昇降作動をして検体を吸引するプローブと、直径の異なる検体容器を幅方向一方に付勢して位置決め保持するラックを搬送経路に沿って搬送し、前記検体容器を検体の吸引位置へ搬送する搬送手段とを備え、前記直径の異なる複数種類の前記検体容器から検体を順次吸引して反応容器へ吐出する検体分注装置を備え、検体と試薬とを含む液体試料を撹拌して反応させ、反応液を分析する分析装置であって、前記検体分注装置が、前記検体容器の直径に応じて前記プローブの回転角度を制御し、前記プローブの位置を前記検体容器の中心近傍へ調整する分注位置調整手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の分析装置は、上記の発明において、前記分注位置調整手段は、前記検体容器の直径に応じた前記プローブの回転角度の制御と、前記搬送手段による前記ラックの搬送方向に沿った搬送位置の制御とによって前記プローブの位置を前記検体容器の中心近傍へ調整することを特徴とする。
【0013】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の分析装置は、回転作動と昇降作動をして検体を吸引するプローブと、直径の異なる検体容器を幅方向一方に付勢して位置決め保持するラックを搬送経路に沿って搬送し、前記検体容器を検体の吸引位置へ搬送する搬送手段とを備え、前記直径の異なる複数種類の前記検体容器から検体を順次吸引して反応容器へ吐出する検体分注装置を備え、検体と試薬とを含む液体試料を撹拌して反応させ、反応液を分析する分析装置であって、前記搬送手段は、前記ラックを当該ラックの搬送方向に直交する方向へ移動させる移動手段を備え、前記検体分注装置は、前記搬送手段及び前記移動手段の作動を制御する分注位置調整手段を備え、前記分注位置調整手段は、前記検体容器の直径に応じ、前記移動手段による前記ラックの搬送方向に直交する方向への移動を制御し、前記プローブの位置を前記検体容器の中心近傍へ調整することを特徴とする。
【0014】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の検体分注方法は、直径の異なる検体容器を幅方向一方に付勢して位置決め保持するラックを搬送経路に沿って搬送し、前記検体容器を検体の吸引位置へ搬送する搬送工程と、前記吸引位置へ搬送されてくる直径の異なる複数種類の検体容器から検体を順次吸引し、反応容器へ吐出する検体分注工程とを含む検体分注方法であって、前記ラックによって吸引位置へ搬送されてくる前記検体容器の直径に応じて前記プローブの回転角度を制御し、前記プローブの位置を前記検体容器の中心近傍へ調整する分注位置調整工程を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の検体分注方法は、上記の発明において、前記検体容器の直径に応じた前記プローブの回転角度の制御と、前記ラックの搬送方向に沿った位置制御とによって前記プローブの位置を前記検体容器の中心近傍へ調整することを特徴とする。
【0016】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の検体分注方法は、直径の異なる検体容器を幅方向一方に付勢して位置決め保持するラックを搬送経路に沿って搬送し、前記検体容器を検体の吸引位置へ搬送する搬送工程と、前記吸引位置へ搬送されてくる直径の異なる複数種類の検体容器から検体を順次吸引し、反応容器へ吐出する検体分注工程とを含む検体分注方法であって、前記ラックによって吸引位置へ搬送されてくる前記検体容器の直径に応じて前記ラックを搬送方向に直交する方向へ移動することによって前記プローブの位置を前記検体容器の中心近傍へ調整する分注位置調整工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、検体容器から検体を吸引する検体分注装置のプローブの位置を検体容器の中心近傍へ調整するので、プローブは検体容器の中心近傍の最深部まで挿入して検体を吸引することになり、検体容器のデッドボリュームを低減することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(実施の形態1)
以下、本発明の検体分注装置、検体分注方法及び分析装置にかかる実施の形態1について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、自動分析装置の概略構成図である。図2は、直径の異なる複数種類の検体容器を保持するラックの斜視図である。
【0019】
自動分析装置1は、図1に示すように、試薬テーブル2,3、キュベットホイール4、検体容器移送機構8、検体分注装置13、分析光学系16、洗浄機構17、第一撹拌装置18、第二撹拌装置19及び制御部21を備えている。
【0020】
試薬テーブル2,3は、図1に示すように、それぞれ第一試薬の試薬容器2aと第二試薬の試薬容器3aが周方向に複数配置され、駆動手段に回転されて試薬容器2a,3aを周方向に搬送する。複数の試薬容器2a,3aは、それぞれ検査項目に応じた所定の試薬が満たされ、外面には収容した試薬の種類,ロット及び有効期限等の情報を表示するバーコードラベルやRFID等の情報記録媒体(図示せず)が貼付されている。ここで、試薬テーブル2,3の外周には、試薬容器2a,3aに貼付した情報記録媒体に記録された試薬情報を読み取り、制御部21へ出力する読取装置が設置されている。
【0021】
キュベットホイール4は、図1に示すように、複数の反応容器5が周方向に沿って配列され、モータ等の駆動手段によって矢印で示す方向に回転される。これにより、キュベットホイール4は、反応容器5を周方向に移動させる。キュベットホイール4は、反応容器5を保持する保持部4aと、光源16aが出射した光束を光センサ16cへ導く円形の開口4bとを有している。保持部4aは、キュベットホイール4の外周に周方向に沿って所定間隔で配置され、保持部4aの内周側に半径方向に延びる開口4bが形成されている。キュベットホイール4は、前記駆動手段の駆動を制御する制御部21によって回転、従って反応容器5の搬送と停止が制御されている。
【0022】
反応容器5は、分析光学系16が出射した分析光の80%以上を透過する光学的に透明な素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等によって四角筒状に成形されたキュベットである。反応容器5は、図1に示すように、近傍に設けた試薬分注機構6,7によって試薬テーブル2,3の試薬容器2a,3aから試薬が分注される。
【0023】
試薬分注機構6,7は、図1に示すように、それぞれ水平面内を矢印方向に回転するアーム6a,7aに試薬を分注するプローブ6b,7bが設けられ、洗浄水によってプローブ6b,7bを洗浄する洗浄手段を有している。ここで、試薬分注機構6は第一試薬の分注に使用され、試薬分注機構7は第二試薬の分注に使用される。
【0024】
検体容器移送機構8は、検体分注装置13の構成要素であり、図1に示すように、搬送経路81に沿ってラック9を検体分注装置13の分注位置へ搬送する。検体容器移送機構8は、配列された複数のラック9を矢印方向に沿って1つずつ歩進させながら移送し、例えば、ベルトコンベアが使用される。このとき、検体容器移送機構8は、保持部9aの中央、即ち、保持部9aに直径が最大の検体容器10を保持した際の検体容器10の中心を基準としてラック9を搬送する。
【0025】
ラック9は、図2に示すように、直径の異なる複数種類の検体容器10を保持する複数の保持部9aを有し、ラック9の幅方向一側の各保持部9aの前面には上下方向にスリット状の読取窓9bが形成されている。また、保持部9aは、底部の中央に開口9c(図5,図7参照)が形成され、開口9cの外周には開口9cへ向かって低くなるように傾斜する傾斜面9dが形成されている。そして、保持部9aの内面には、中心に向かって斜め下方へ突出し、検体容器10をラック9の読取窓9b側へ弾性的に付勢する二つの付勢片9eが設けられている。このため、ラック9は、保持部9aに最大径の検体容器10を配置すると、保持部9aの中央に最大径の検体容器10を位置決めし、最大径以外の直径の異なる検体容器10を配置すると、保持部9aの読取窓9b側に付勢して直径の異なる検体容器10を位置決めする。
【0026】
また、ラック9は、図2に示すように、長手方向の端面にラック情報を記録した情報記録媒体9fが貼付されている。情報記録媒体9fには、例えば、ラック9の種類や形状、識別番号、保持する検体容器10の識別番号等のラック情報が記録されており、ラック情報読取装置11によってラック情報が読み取られる。ここで、ラック情報読取装置11は、図1に示すように、検体容器移送機構8のラック9を長手方向に沿って検体分注装置13の分注位置へ向かって搬送する搬送開始側に配置され、読み取ったラック情報を制御部21へ出力する。
【0027】
検体容器10は、血清や血漿等の血液又は尿等の生体起源の検体を収容した容器であり、図2に示すように、検体情報を記録した情報記録媒体10aが貼付されている。情報記録媒体10aには、検査の日付,受付番号,容器の大きさ(直径),被験者のID,氏名,検体の種別,特記事項等の容器情報が記録されており、容器情報読取装置12によって容器情報が読み取られる。ここで、容器情報読取装置12は、検体容器移送機構8のラック9を長手方向に沿って検体分注装置13による分注位置へ向かって搬送する搬送経路の側面に配置され、ラック9の読取窓9bを通して検体容器10に貼付した情報記録媒体10aを読み取り、読み取った容器情報を制御部21へ出力する。
【0028】
検体分注装置13は、検体容器10内の検体を反応容器5へ分注する装置であり、検体容器移送機構8によって移送されるラック9の歩進が停止するごとに検体を分注する。検体分注装置13は、図1及び図3に示すように、水平方向に回転するアーム13aとプローブ13bとを有している。アーム13aは、パルスモータを使用した駆動部14によって昇降、かつ、回転される支持軸13cに支持され、プローブ13bの移動軌跡上には、洗浄水によってプローブ13bの内外を洗浄する洗浄部(図示せず)が設けられている。駆動部14は、図3に示すように、分注制御手段を兼ねる制御部21と接続されている。
【0029】
分析光学系16は、試薬と検体とが反応した反応容器5内の液体試料に分析光を透過させる光学系であり、図1に示すように、光源16a、レンズ16b及び光センサ16cを有している。分析光学系16は、反応容器5に第一試薬が分注される前の空の状態を初めとして、検体と試薬の反応が終了するまで反応容器5について所定回数測光を繰り返す。
【0030】
洗浄機構17は、ノズル17aによって反応容器5内の液体試料を吸引して排出した後、ノズル17aによって洗剤や洗浄水等の洗浄液等を繰り返し注入し、吸引することにより、分析光学系16による分析が終了した反応容器5を洗浄する。
【0031】
第一撹拌装置18は、反応容器5に分注された検体と試薬とを撹拌する装置であり、図1に示すように、パルスモータ等の駆動手段によって軸廻りに回転される複数の撹拌棒18aを有している。ここで、第二撹拌装置19は、第一撹拌装置18と構成が同じであるので、第二撹拌装置19については対応する構成要素に対応する符合を付している。
【0032】
制御部21は、演算機能,記憶機能,制御機能及び計時機能を備えたマイクロコンピュータ等が使用され、上述の各部と接続され、試薬テーブル2,3、キュベットホイール4、試薬分注機構6,7、検体容器移送機構8、検体分注装置13、分析光学系16、洗浄機構17、撹拌装置18,19及び表示部23等の作動を制御する。
【0033】
制御部21は、検体容器10の直径に応じてプローブ13bの回転角度を制御し、プローブ13bの位置を検体容器10の中心近傍へ調整する検体分注装置13の分注位置制御手段を兼ねている。制御部21は、図3に示すように、駆動部14を介して支持軸13cの昇降動作と回転動作を制御している。このとき、制御部21は、容器情報読取装置12から入力される容器情報中の検体容器10の容器の大きさ(直径)をもとに駆動部14によるプローブ13bの回転角度を制御し、プローブ13bの位置をラック9に保持されて検体分注位置へ順次搬送されてくる検体容器10の中心近傍へ調整する。ここで、制御部21は、ラック9に保持される複数種類の検体容器10の直径に応じて後述する手順に基づいてプローブ13bの回転角度を制御する駆動部14の制御プログラムが予め記憶されている。制御部21は、この制御プログラムの下に駆動部14を制御し、プローブ13bの位置を検体容器10の中心近傍へ調整する。
【0034】
この他、制御部21は、分析光学系16から入力される波長ごとの光信号をもとに各反応容器5内の液体試料の波長ごとの吸光度を求め、検体の成分濃度等を分析する。また、制御部21は、試薬容器2a,3aに貼付した情報記録媒体の記録から読み取った情報に基づき、試薬のロットが異なる場合や有効期限外等の場合に分析作業を停止するように自動分析装置1を制御し、或いはオペレータに警報を発する。また、制御部21は、検体容器10の直径に応じた検体容器移送機構8によるラック9の搬送位置や電動アクチュエータ8A,8B(図12参照)による搬送方向に直交した方向への移動の制御に関する制御プログラムが予め記憶されている。
【0035】
入力部22は、制御部21へ検査項目等の入力操作を行う部分であり、例えば、キーボードやマウス等が使用される。表示部23は、分析内容,分析結果或いは警報等を表示するもので、ディスプレイパネル等が使用される。
【0036】
以上のように構成される自動分析装置1は、回転するキュベットホイール4によって周方向に沿って搬送されてくる複数の反応容器5に試薬分注機構6が試薬容器2aから第一試薬を順次分注する。第一試薬が分注された反応容器5は、検体分注装置13によってラック9に保持された複数の検体容器10から検体が順次分注される。検体が分注された反応容器5は、キュベットホイール4が停止する都度、第一撹拌装置18によって撹拌されて第一試薬と検体が反応する。第一試薬と検体が撹拌された反応容器5は、試薬分注機構7によって試薬容器3aから第二試薬が順次分注された後、キュベットホイール4の停止時に第二撹拌装置19によって撹拌され、更なる反応が促進される。
【0037】
その後、自動分析装置1は、キュベットホイール4が回転し、反応容器5が分析光学系16を通過する際に反応容器5を透過した光量が測定される。そして、制御部21は、分析光学系16から入力される波長ごとの光量信号をもとに各反応容器5内の液体試料の波長ごとの吸光度を求め、検体の成分濃度等を分析する。このとき、制御部21は、分析した検体の成分濃度等の分析結果を記憶し、入力部22からの入力情報によって分析結果を表示部23に表示する。このようにして、分析が終了した反応容器5は、洗浄機構17によって洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0038】
このとき、ラック9は、例えば、図4に示すように、保持し得る直径が最大の検体容器10Lと直径が最小の検体容器10Sが2箇所の保持部9aに保持されているとする。そして、このラック9が検体容器移送機構8によって検体分注装置13の分注位置へ搬送されてくる場合を例にしてプローブ13bの位置を検体容器10L,10Sの中心近傍へ調整して検体を分注する手順を以下に説明する。
【0039】
この場合、ラック9の情報記録媒体9fはラック情報読取装置11によってラック情報の読み取りは終了しており、各検体容器10L,10Sの情報記録媒体10aは、ラック9の歩進に伴って順次容器情報読取装置12によって容器の直径を含む容器情報が読み取られて制御部21へ出力されているものとする。
【0040】
図5に示すように、ラック9に保持された検体容器10Lが検体容器移送機構8によって搬送され、検体分注装置13の分注位置Pに停止する。すると、制御部21は、次に駆動部14によるアーム13a、即ち、プローブ13bの回転角度を制御し、検体分注装置13の分注位置へプローブ13bを回転させる。
【0041】
このため、図5に示すように、検体容器10Lの中心OLは、検体分注装置13の吸引位置Pと一致する。従って、プローブ13bを下降させると、図5のA方向矢視図である図6に示すように、検体容器10Lの中心OLにプローブ13bが下降してくる。これにより、自動分析装置1は、プローブ13bの位置を検体容器10Lの中心近傍へ調整する制御を行うことなく、検体容器10Lから検体を吸引して反応容器5へ吐出する分注動作を行い、検体容器10Lの分注を終了する。なお、図5において一点鎖線Tjは、プローブ13bの移動軌跡を示している。
【0042】
以上のように、ラック9の保持部9aに最大の検体容器10Lを保持している場合、検体容器10Lの中心OLは、検体分注装置13の吸引位置Pと一致する。このため、制御部21は、プローブ13bの位置を検体容器10Lの中心近傍へ調整する制御は行わない。
【0043】
そして、検体容器10Lの分注が終了すると、検体容器移送機構8は、ラック9を歩進させる。これにより、図7に示すように、ラック9に保持された検体容器10Sが、検体分注装置13の吸引位置Pに停止する。但し、検体容器10Sの直径が検体容器10Lよりも小さいため、検体容器10Sの中心OSが、吸引位置Pに対して図中左方へずれてしまう。従って、プローブ13bを下降させると、図7のB方向矢視図である図8に示すように、プローブ13bは、検体容器10Sの中心OSに対して左側へ変位した位置に下降してしまう。
【0044】
このようにプローブ13bが検体容器10Sの中心OSに対して変位すると、検体容器10Sの底面が湾曲していることから、検体分注装置13は、底面との衝突を回避するために、プローブ13bの下降位置が規制され、プローブ13bを最深部まで挿入して検体を吸引することができなくなる。この結果、検体容器10Sは、吸引する検体のデッドボリュームが多くなってしまう。
【0045】
このような不具合を回避するため、検体分注装置13は、制御部21によって検体容器10Sの直径に応じて駆動部14を制御し、プローブ13bの位置を検体容器10Sの中心OS近傍へ調整する。この場合、制御部21は、容器情報読取装置12から入力される容器情報をもとに検体容器10Sの直径を取得し、検体容器10Sの中心OSを算出する。
【0046】
例えば、図9に示すように、プローブ13bを駆動部14の1パルス分だけ反時計方向へ回転させた際の回転角度をα、そのときのプローブ13bの位置(以下、「調整位置」という)をOd、ラック9の搬送方向(図中上方向)と吸引位置Pにおける移動軌跡Tjの接線とのなす角をθとする。このとき、吸引位置P(=OL)と検体容器10Sの中心OSとの距離d1は、検体容器10Lの半径をRL、検体容器10Sの半径をRSとすると、d1=RL−RS。また、吸引位置P(=OL)と調整位置Odとの距離d2は、プローブ13bの移動軌跡Tjの半径をRPとすると、d2=RP・sinαとなる。
【0047】
従って、吸引位置P(=OL)、検体容器10Sの中心OS及び調整位置Odを拡大した図10において、調整位置Odから線分OSPに下ろした垂線の足をHとする。すると、直角三角形OdHOSにピタゴラスの定理を適用すると、検体容器10Sの中心OSと調整位置Odとの距離dは、線分HOS=d1−d2・sinθ(=d1−d2・cos(90−θ))、線分HOd=d2・cosθ(=d2・sin(90−θ))より、次式で与えられる。
d={(d1−d2・sinθ)+(d2・cosθ)1/2
=(d1−2d1d2・sinθ+d2)1/2
【0048】
このとき、検体容器10Lの直径RL=7.5mm、検体容器10Sの直径RS=5.2mm、プローブ13bの移動軌跡Tjの半径RP=185mm、駆動部14の1パルス分に相当するプローブ13bの回転角度α=0.36(deg./pulse)、θ=20deg.とすると、d1=RL−RS=7.5−5.2=2.3(mm)となる。
【0049】
従って、プローブ13bを駆動部14の1パルス分回転させた場合、検体容器10Sの中心OSと調整位置Odとの距離dは、次のようになる。
d2=RP・sinα=185・sin0.36°=1.16(mm)より、d=2.19(mm)<d1
【0050】
一方、プローブ13bを駆動部14の2パルス分回転させた場合、検体容器10Sの中心OSと調整位置Odとの距離dは、次のようになる。
d2=RP・sinα=185・sin0.72°=2.32(mm)より、d=2.65(mm)>d1
【0051】
従って、検体分注装置13は、制御部21によって駆動部14を制御し、駆動部14がプローブ13bを吸引位置Pまで回転させる駆動パルス数から1パルス分減じた駆動パルス数で回転させる。これにより、プローブ13bは、吸引位置P(=OL)よりも検体容器10Sの中心OSに近い調整位置Odに停止する。この場合、検体容器10Sと検体容器10Lの中間の検体容器10も同様にしてプローブ13bを吸引位置Pまで回転させる駆動パルス数を演算することができ、この演算式も、各計算パラメータと共にプローブ13bの回転角度を制御する前記制御プログラムの一部として予め制御部21に記憶されている。但し、駆動パルス数は、検体容器10の直径毎に前記演算式によって計算し、予め制御部21にテーブルとして記憶させておいてもよい。
【0052】
このため、自動分析装置1は、プローブ13bの位置を検体容器10の中心近傍へ調整して検体を分注する。以下、実施の形態1の検体分注方法を図11に示すフローチャートを参照して説明する。
【0053】
先ず、制御部21は、制御部21を介してラック情報読取装置11から入力されるラック情報及び容器情報読取装置12から入力される容器情報をもとに検体分注対象となる検体容器10の直径を取得する(ステップS100)。
【0054】
次に、制御部21は、検体容器移送機構8によってラック9を搬送する(ステップS102)。このとき、検体容器移送機構8は、ラック9を順次歩進させながらラック9に保持された分注対象の検体容器10を吸引位置Pへ順次搬送するが、保持部9aに検体容器10が配置されていない空きスペースがある場合にはその空きスペースを飛ばして搬送する。空きスペースの有無は、容器情報読取装置12から入力される容器情報をもとに制御部21が取得する。
【0055】
次いで、制御部21は、取得した検体容器10の直径をもとに駆動部14がプローブ13bを吸引位置Pまで回転させるのに必要な駆動パルス数を演算する(ステップS104)。この演算は、予め制御部21に記憶されたプローブ13bの回転角度を制御する前記制御プログラムに基づいて実行される。
【0056】
その後、制御部21は、演算結果に基づいて駆動部14を制御し、プローブ13bを調整位置Odへ回転させる(ステップS106)。これにより、検体容器10の直径に応じてプローブ13bの位置が調整され、プローブ13は、検体容器10の中心近傍に停止する。この状態で、制御部21は、検体分注装置13に検体容器10に保持された検体を分注させる(ステップS108)。このとき、検体分注装置13は、プローブ13bによって検体容器10から検体を吸引して反応容器5へ吐出し、プローブ13bを洗浄した後、その位置で待機している。
【0057】
そして、制御部21は、ラック9に保持された総ての検体容器10の分注が終了すると、検体容器移送機構8によって分注が終了したラック9を搬出する(ステップS110)。次いで、制御部21は、容器情報から直径を取得した総ての検体容器10の分注が終了したか否かを判定する(ステップS112)。総ての検体容器10の検体分注が終了している場合(ステップS112,Yes)、制御部21は、検体分注方法に係る総ての工程を終了する。一方、総ての検体容器10の検体分注が終了していない場合(ステップS112,No)、制御部21は、ステップS102へ戻って引き続く工程を繰り返す。
【0058】
このように、検体分注装置13を備えた自動分析装置1は、容器情報読取装置12から入力される容器情報をもとに検体容器10の大きさ(直径)に応じてプローブ13bの位置を検体容器10の中心近傍へ調整する。このため、検体分注装置13は、プローブ13bを最深部まで挿入して検体を吸引することができ、吸引する検体のデッドボリュームを低減することができる。
【0059】
(実施の形態2)
次に、本発明の検体分注装置、検体分注方法及び分析装置にかかる実施の形態2について、図面を参照して詳細に説明する。実施の形態1は、プローブを回転させることにより、プローブの位置を検体容器の中心近傍に調整した。これに対して、実施の形態2は、ラックを搬送方向に直交する幅方向に移動させることによってプローブの位置を検体容器の中心近傍に調整している。
【0060】
図12は、ラックを移動する移動手段によってプローブの位置を検体容器の中心近傍に調整する手順を説明する平面図である。ここで、以下に説明する各実施の形態の自動分析装置は、自動分析装置1を使用している。このため、自動分析装置1と同一の構成要素には同一の符号を使用している。
【0061】
実施の形態2の自動分析装置は、図12に示すように、検体容器移送機構8の搬送経路81に沿った吸引位置Pの両側に、長手方向に直交する方向にラック9を移動させる電動アクチュエータ8A,8Bが配置されている。このとき、電動アクチュエータ8A,8Bは、本体8aと、本体8aから出没作動し、ラック9の側面を押圧するプッシュロッド8bとを有しており、制御部21の制御の下に作動する。
【0062】
従って、検体容器10Lから検体を吸引する場合は、実施の形態1と同様にして、検体容器移送機構8が検体容器10Lをプローブ13bの吸引位置Pに合わせてラック9を停止させた位置で検体分注装置13のプローブ13bによって検体を吸引すればよい。
【0063】
次に、検体容器10Sから検体を吸引するため、検体容器移送機構8が、図12に示すように、ラック9に保持された検体容器10Sをプローブ13bの吸引位置Pに停止させる。このとき、検体容器10Sは、検体容器10Lに比べて直径が小さいので、吸引位置Pに対して中心OSの位置がずれている。このため、制御部21は、容器情報読取装置12から入力される容器情報から取得した検体容器10Sの直径をもとに予め吸引位置Pと検体容器10Sの中心OSとの距離d1(図9,図10参照)を演算しておく。
【0064】
そして、制御部21は、ラック9を停止させた後、制御信号を出力して電動アクチュエータ8Aにラック9を図13に矢印で示す右方向へ距離d1移動させる。このラック9の移動により、検体容器10Sの中心OSが吸引位置Pへ移動する。このため、プローブ13bの吸引位置Pが検体容器10Sの中心OSに調整される。従って、実施の形態2は、実施の形態1に比べ、図13に示すように、検体容器10Sの中心OSが吸引位置Pに重なる。
【0065】
従って、実施の形態2の自動分析装置は、以下のようにしてプローブ13bの位置を検体容器10の中心近傍へ調整して検体を分注する。以下、実施の形態2における検体分注方法を図14に示すフローチャートを参照して説明する。
【0066】
先ず、制御部21は、ラック情報読取装置11から入力されるラック情報及び容器情報読取装置12から入力される容器情報をもとに検体分注対象となる検体容器10の直径を取得する(ステップS200)。
【0067】
次に、制御部21は、検体容器移送機構8によってラック9を搬送する(ステップS202)。この搬送は、実施の形態1と同様にして行われる。
【0068】
次いで、制御部21は、ラック9の移動距離d1を演算し、移動距離d1に対応する電動アクチュエータ8Aの駆動パルス数を演算する(ステップS204)。この演算は、予め制御部21に記憶された前記制御プログラムに基づいて実行される。
【0069】
その後、制御部21は、演算結果に基づいて電動アクチュエータ8Aを制御し、ラック9を図12において右方へ距離d1移動させる(ステップS206)。これにより、検体容器10の直径に応じてプローブ13bの位置が調整され、プローブ13は、検体容器10の中心近傍に停止する。この状態で、制御部21は、検体分注装置13に検体容器10に保持された検体を分注させる(ステップS208)。この検体分注は、実施の形態1と同様にして行われる。
【0070】
そして、制御部21は、ラック9に保持された総ての検体容器10の分注が終了すると、検体容器移送機構8によって分注が終了したラック9を搬出する(ステップS210)。次いで、制御部21は、容器情報をもとに総ての検体容器10の分注が終了したか否かを判定する(ステップS212)。容器情報から直径を取得した総ての検体容器10の検体分注が終了している場合(ステップS212,Yes)、制御部21は、検体分注方法に係る総ての工程を終了する。一方、総ての検体容器10の検体分注が終了していない場合(ステップS212,No)、制御部21は、ステップS202へ戻って引き続く工程を繰り返す。
【0071】
このように、実施の形態2の自動分析装置は、検体容器移送機構8によって吸引位置Pへ搬送されてくる検体容器10の大きさ(直径)に応じてラック9を電動アクチュエータによって搬送方向に直交する方向へ移動させることによってプローブ13bの吸引位置Pを検体容器10の中心近傍に調整する。このため、実施の形態2の自動分析装置は、プローブ13bを最深部まで挿入して検体を吸引することができ、検体分注装置13が吸引する検体のデッドボリュームを低減することができる。
【0072】
なお、ラック9がより直径の異なる種々の形状の検体容器10を保持している場合も、検体容器移送機構8がラック9を歩進させる毎に、予め演算してある吸引位置Pと検体容器10の中心との距離d1からアクチュエータ8Aの駆動パルス数を求め、ラック9を幅方向へ移動させればよい。また、検体容器10Sの次にこれよりも直径の大きい検体容器10から検体を吸引する場合等、ラック9を幅方向に沿った元の位置へ戻す場合には、アクチュエータ8Bによってラック9を反対の左方向へ移動させればよい。
【0073】
(実施の形態3)
次に、本発明の検体分注装置、検体分注方法及び分析装置にかかる実施の形態3について、図面を参照して詳細に説明する。実施の形態1は、検体分注装置のプローブを回転させることにより、プローブの位置を検体容器の中心近傍に調整した。これに対して、実施の形態3は、プローブの回転角度の制御とラックの搬送位置の制御とによってプローブの位置を検体容器の中心近傍に調整している。
【0074】
図15は、検体容器移送機構とラックの搬送手段とによってプローブの位置を検体容器の中心近傍に調整する手順を説明する平面図である。図16は、図15に示すラックの小型の検体容器の部分を拡大した平面図である。
【0075】
ここで、実施の形態3においても、ラック9が検体容器10Lを分注位置Pまで搬送した場合には、検体容器10Lの中心OLが分注位置Pと一致しているのでプローブの位置調整の必要はない。このため、最大の検体容器10L以外の検体容器10が分注位置Pまで搬送された場合のプローブの位置の調整について説明する。
【0076】
実施の形態3の自動分析装置は、図15及び図16に示すように、ラック9が検体容器10Sを分注位置Pまで搬送した後、検体分注装置13を駆動する際、プローブ13bを吸引位置Pではなく、その手前の調整位置Pcに停止させる。そして、自動分析装置は、ラック9を所定距離後退させる。この後退距離は、調整位置Pcと検体容器10Sの中心OSとの距離dcである。この距離dcに対応したラック9の搬送位置の制御により、検体容器10Sの中心OSが調整位置Pcと重なる。
【0077】
このとき、制御部21は、駆動部14を制御し、図16に示すように、調整位置Pcと吸引位置Pとの角度αcに対応する駆動部14の駆動パルス数を演算し、この駆動パルス数分減じた駆動パルス数で駆動部14を駆動することによってプローブ13bを調整位置Pcまで回転させる。ここで、駆動パルス数の演算式、後退距離の演算式及び検体容器移送機構8を制御する演算式は、上述した計算パラメータと共にプローブ13bの回転角度を制御する前記制御プログラムの一部として予め制御部21に記憶されている。
【0078】
従って、実施の形態3の自動分析装置は、以下のようにしてプローブ13bの位置を検体容器10の中心近傍へ調整して検体を分注する。以下、実施の形態3における検体分注方法を図17に示すフローチャートを参照して説明する。
【0079】
先ず、制御部21は、容器情報読取装置12から入力される容器情報をもとに検体分注対象となる検体容器10の直径を取得する(ステップS300)。
【0080】
次に、制御部21は、検体容器移送機構8によってラック9を搬送する(ステップS302)。この搬送は、実施の形態1と同様にして行われる。
【0081】
次いで、制御部21は、駆動部14が調整位置Pcまでプローブ13bを回転させるのに必要な駆動パルス数を演算する(ステップS304)。
【0082】
その後、制御部21は、演算結果に基づいて駆動部14を制御し、プローブ13bを吸引位置Pの手前の調整位置Pcへ回転させる(ステップS306)。これにより、検体容器10の直径に応じてプローブ13bの位置が調整され、プローブ13は、検体容器10の中心近傍に停止する。
【0083】
次に、制御部21は、ラック9を後退させる(ステップS308)。このとき、制御部21は、ラック9を調整位置Pcと検体容器10Sの中心OSとの距離dc分後退させる。これにより、検体容器10の直径に応じてプローブ13bの位置が検体容器10の中心近傍に調整される。この状態で、制御部21は、検体分注装置13に検体容器10に保持された検体を分注させる(ステップS308)。この検体分注は、実施の形態1と同様にして行われる。
【0084】
そして、制御部21は、ラック9に保持された総ての検体容器10の分注が終了すると、分注が終了したラック9を検体容器移送機構8によって搬出する(ステップS312)。次いで、制御部21は、容器情報をもとに総ての検体容器10の分注が終了したか否かを判定する(ステップS314)。容器情報から直径を取得した総ての検体容器10の検体分注が終了している場合(ステップS314,Yes)、制御部21は、検体分注方法に係る総ての工程を終了する。一方、総ての検体容器10の検体分注が終了していない場合(ステップS314,No)、制御部21は、ステップS302へ戻って引き続く工程を繰り返す。
【0085】
このように、実施の形態3の自動分析装置は、プローブ13bの回転角度の制御とラック9の搬送位置の制御とによってプローブ13bの位置を検体容器10の大きさ(直径)に応じて中心近傍に調整している。このため、実施の形態3の自動分析装置は、プローブ13bを最深部まで挿入して検体を吸引することができ、検体分注装置13が吸引する検体のデッドボリュームを低減することができる。
【0086】
ここで、実施の形態3は、プローブ13bの回転角度を制御した後、ラック9の搬送位置を制御したが、この逆にラック9の搬送位置を制御した後、プローブ13bの回転角度を制御することによってプローブ13bの位置を検体容器10の中心近傍に調整してもよい。
【0087】
また、検体分注装置13は、プローブを支持するアームの伸縮、或いは上記各実施の形態で説明した方法とプローブを支持するアームの伸縮とを併用してプローブの位置を検体容器の中心近傍へ調整してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】自動分析装置の概略構成図である。
【図2】図2は、図1の自動分析装置で使用され、直径の異なる複数種類の検体容器を保持するラックの斜視図である。
【図3】検体分注装置とその駆動制御部の概略構成図である。
【図4】直径の異なる検体容器を保持した状態を示すラックの斜視図である。
【図5】検体分注装置のプローブが大型の検体容器の吸引位置へ移動した際の図4に示すラックの半分を拡大して示す平面図である。
【図6】図5に示すラックを矢印A方向から見た図である。
【図7】検体分注装置のプローブが小型の検体容器の吸引位置へ移動した際の図4に示すラックの半分を拡大して示す平面図である。
【図8】図7に示すラックを矢印B方向から見た図である。
【図9】図7に示すラックの小型の検体容器の部分を拡大した平面図である。
【図10】図9の吸引位置、検体容器の中心及び調整位置を拡大した図である。
【図11】実施の形態1の検体分注方法を説明するフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態2を説明するものであり、ラックを移動する移動手段によってプローブの位置を検体容器の中心近傍に調整する手順を説明する平面図である。
【図13】図12に示すラックを移動し、プローブの位置を検体容器の中心近傍に調整した状態を示す平面図である。
【図14】実施の形態2の検体分注方法を説明するフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態3を説明するものであり、検体容器移送機構とラックの搬送手段とによってプローブの位置を検体容器の中心近傍に調整する手順を説明する平面図である。
【図16】図15に示すラックの小型の検体容器の部分を拡大した平面図である。
【図17】実施の形態3の検体分注方法を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
1 自動分析装置
2,3 試薬テーブル
4 キュベットホイール
5 反応容器
6,7 試薬分注機構
8 検体容器移送機構
8A,8B 電動アクチュエータ
9 ラック
10 検体容器
10L,10S 検体容器
11 ラック情報読取装置
12 容器情報読取装置
13 検体分注装置
13b プローブ
14 駆動部
16 分析光学系
17 洗浄機構
18 第一撹拌装置
19 第二撹拌装置
21 制御部
22 入力部
23 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転作動と昇降作動をして検体を吸引するプローブと、直径の異なる検体容器を幅方向一方に付勢して位置決め保持するラックを搬送経路に沿って搬送し、前記検体容器を検体の吸引位置へ搬送する搬送手段とを備え、前記直径の異なる複数種類の前記検体容器から検体を順次吸引して反応容器へ吐出する検体分注装置であって、
前記検体容器の直径に応じて前記プローブの回転角度を制御し、前記プローブの位置を前記検体容器の中心近傍へ調整する分注位置調整手段を備えたことを特徴とする検体分注装置。
【請求項2】
前記分注位置調整手段は、前記検体容器の直径に応じた前記プローブの回転角度の制御と、前記搬送手段による前記ラックの搬送方向に沿った搬送位置の制御とによって前記プローブの位置を前記検体容器の中心近傍へ調整することを特徴とする請求項1に記載の検体分注装置。
【請求項3】
回転作動と昇降作動をして検体を吸引するプローブと、直径の異なる検体容器を幅方向一方に付勢して位置決め保持するラックを搬送経路に沿って搬送し、前記検体容器を検体の吸引位置へ搬送する搬送手段とを備え、前記直径の異なる複数種類の前記検体容器から検体を順次吸引して反応容器へ吐出する検体分注装置であって、
前記搬送手段は、前記ラックを当該ラックの搬送方向に直交する方向へ移動させる移動手段を備え、
当該検体分注装置は、前記搬送手段及び前記移動手段の作動を制御する分注位置調整手段を備え、
前記分注位置調整手段は、前記検体容器の直径に応じ、前記移動手段による前記ラックの搬送方向に直交する方向への移動を制御し、前記プローブの位置を前記検体容器の中心近傍へ調整することを特徴とする検体分注装置。
【請求項4】
回転作動と昇降作動をして検体を吸引するプローブと、直径の異なる検体容器を幅方向一方に付勢して位置決め保持するラックを搬送経路に沿って搬送し、前記検体容器を検体の吸引位置へ搬送する搬送手段とを備え、前記直径の異なる複数種類の前記検体容器から検体を順次吸引して反応容器へ吐出する検体分注装置を備え、検体と試薬とを含む液体試料を撹拌して反応させ、反応液を分析する分析装置であって、
前記検体分注装置が、前記検体容器の直径に応じて前記プローブの回転角度を制御し、前記プローブの位置を前記検体容器の中心近傍へ調整する分注位置調整手段を備えたことを特徴とする分析装置。
【請求項5】
前記分注位置調整手段は、前記検体容器の直径に応じた前記プローブの回転角度の制御と、前記搬送手段による前記ラックの搬送方向に沿った搬送位置の制御とによって前記プローブの位置を前記検体容器の中心近傍へ調整することを特徴とする請求項4に記載の分析装置。
【請求項6】
回転作動と昇降作動をして検体を吸引するプローブと、直径の異なる検体容器を幅方向一方に付勢して位置決め保持するラックを搬送経路に沿って搬送し、前記検体容器を検体の吸引位置へ搬送する搬送手段とを備え、前記直径の異なる複数種類の前記検体容器から検体を順次吸引して反応容器へ吐出する検体分注装置を備え、検体と試薬とを含む液体試料を撹拌して反応させ、反応液を分析する分析装置であって、
前記搬送手段は、前記ラックを当該ラックの搬送方向に直交する方向へ移動させる移動手段を備え、
前記検体分注装置は、前記搬送手段及び前記移動手段の作動を制御する分注位置調整手段を備え、
前記分注位置調整手段は、前記検体容器の直径に応じ、前記移動手段による前記ラックの搬送方向に直交する方向への移動を制御し、前記プローブの位置を前記検体容器の中心近傍へ調整することを特徴とする分析装置。
【請求項7】
直径の異なる検体容器を幅方向一方に付勢して位置決め保持するラックを搬送経路に沿って搬送し、前記検体容器を検体の吸引位置へ搬送する搬送工程と、
前記吸引位置へ搬送されてくる直径の異なる複数種類の検体容器から検体を順次吸引し、反応容器へ吐出する検体分注工程と
を含む検体分注方法であって、
前記ラックによって吸引位置へ搬送されてくる前記検体容器の直径に応じて前記プローブの回転角度を制御し、前記プローブの位置を前記検体容器の中心近傍へ調整する分注位置調整工程を含むことを特徴とする検体分注方法。
【請求項8】
前記検体容器の直径に応じた前記プローブの回転角度の制御と、前記ラックの搬送方向に沿った位置制御とによって前記プローブの位置を前記検体容器の中心近傍へ調整することを特徴とする請求項7に記載の検体分注方法。
【請求項9】
直径の異なる検体容器を幅方向一方に付勢して位置決め保持するラックを搬送経路に沿って搬送し、前記検体容器を検体の吸引位置へ搬送する搬送工程と、
前記吸引位置へ搬送されてくる直径の異なる複数種類の検体容器から検体を順次吸引し、反応容器へ吐出する検体分注工程と
を含む検体分注方法であって、
前記ラックによって吸引位置へ搬送されてくる前記検体容器の直径に応じて前記ラックを搬送方向に直交する方向へ移動することによって前記プローブの位置を前記検体容器の中心近傍へ調整する分注位置調整工程を含むことを特徴とする検体分注方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−91469(P2010−91469A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−262950(P2008−262950)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】