説明

検出センサ

【課題】 簡易な操作で正確な設定値の設定変更が可能な検出センサを提供する。
【解決手段】 被検出物Wの検出を行う検出モードと、出力信号の出力時間を変更する第1設定モードと、被検出物Wに投光される光の投光周期を変更する第2設定モードと、をモード切替スイッチ12により切り替え可能に構成し、CPU30は、検出モード時に、回転操作子15が操作されたときには、回転操作子15の操作に応じて閾値を設定変更するとともに、設定変更された閾値をデジタル表示器20に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、物体の有無等を検出可能な検出センサが知られている。この種のものは、被検出物の検出状態に応じて出力される検出信号を所定の閾値と比較することで、物体の有無等を検出するようになっている。
【0003】
この種の検出センサは、閾値等の設定値を設定変更可能に構成されており、この設定値の設定変更手段としては、例えば、設定値を変更するための複数のボタンが設けられ、ボタンを押すことによりデジタル表示器に表示される閾値を変更することがようになっているものがある。これにより作業者はデジタル表示器の表示を視認することで正確な閾値を認識することができる。
【0004】
また上記以外にも、検出センサに回転可能なボリュームを設け、このボリュームを所望の目盛りの位置まで回転させることで、設定値の設定が可能に構成されるものがある。これにより作業者は簡易な操作で設定値の設定をすることができる(下記特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平4−76003公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般に、検出センサでは、異なる種々の設定が可能となっており、ボタンを押して設定値を設定変更するタイプのものでは、作業者は、操作可能な複数のボタンがある場合に、どのような操作をすれば所望の設定値に設定変更できるかを、一見して認識することが困難であった。
また、設定値として閾値を変更する際に、例えば閾値を10段階変更しようとすると、設定用のボタンを10回も押さねばならず、ボタン操作が面倒となっていた。また、一般に作業者は、ボタンを押す回数が多くなるほど、ボタンを早押ししようとするため、ボタンを押す回数を間違えることが多い。したがって、例えば、誤ってボタンを10回以上押してしまうことにより変化し過ぎた閾値を、所定値(10回分)まで戻さなければならないことが多く、閾値の設定作業が煩雑となっていた。
【0006】
一方、ボリュームを目盛りの位置まで回転させて設定値の設定を行う場合には、操作方法(設定方法)の認識は容易であるものの、目盛りの位置(設定値)を目視により判断することとなるため、実際の設定値との間に誤差が生じてしまうことが避けられず、正確な(精度の高い)設定値の設定が困難である。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、簡易な操作で正確な設定値の設定変更が可能な検出センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、所定の条件に基づいて動作する検出センサであって、
アナログ操作が可能な操作手段と、
前記操作手段の操作に応じて前記所定の条件に適用される設定値を設定変更する設定手段と、
ディジタル表示手段と、
前記設定手段により設定変更された設定値を前記ディジタル表示手段に表示させる表示制御手段と、を備える構成としたところに特徴を有する。
なお、「所定の条件」には、例えば、検出感度、出力される信号のタイミングや出力時間、光電センサにおける投光周期、などが含まれる。また、「設定値」としては、例えば、「条件」が検出感度であれば、閾値などが含まれ、「条件」が出力時間であれば、出力時間の延長時間などが含まれる。さらに、「アナログ操作」には、所定の方向に連続的に操作可能とされ、その操作方向及び操作量に応じて設定値を連続的に変更させることができるものが含まれる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記操作手段は、回転可能な回転操作子により構成されているところに特徴を有する。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記回転操作子は、回転数に制限なく回転可能に構成されており、
前記設定手段は、回転操作子の回転が所定範囲を超えると、前記所定範囲を超えた部分については設定値を変化させないところに特徴を有する。
【0011】
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3に記載のものにおいて、前記回転操作子は、本体ケーシングの表面に突出して設けられており、
前記回転操作子の表面には、略中央部を横切るように設けられる溝部の両端部が周面に至るように設けられているところに特徴を有する。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のものにおいて、 前記所定の条件に基づいて被検出物の検出を行う検出手段を備え、
前記設定手段は、前記条件として前記検出手段の検出感度に適用される設定値を設定変更可能に構成されており、
前記表示制御手段は、前記設定手段で設定変更された設定値を前記ディジタル表示手段へ表示させるところに特徴を有する。
【0013】
請求項6の発明は、請求項5に記載のものにおいて、前記操作手段の操作速度を検出する速度検出手段を備え、
前記設定手段は、前記速度検出手段で検出された操作速度に応じた変化量で前記検出感度を可変させて設定変更するところに特徴を有する。
【0014】
請求項7の発明は、請求項5に記載のものにおいて、前記操作手段は、少なくとも、前記設定変更のための主操作のみを行なう第一の操作パターンと、前記主操作並びにこれとは異なる副操作を複合的に行なう第二の操作パターンとによる2つのパターンでの操作が可能とされ、前記設定手段は前記操作手段の操作に基づいて前記設定値を変更する際の変化量を、前記操作パターンに応じて変化させるところに特徴を有する。
【0015】
請求項8の発明は、請求項7に記載のものにおいて、前記主操作は軸を中心とする回転操作であり、前記副操作は前記軸方向への押し込み或いは引き操作であるところに特徴を有する。
【0016】
請求項9の発明は、請求項8に記載のものにおいて、前記副操作は前記押し込み操作であり、更に、前記設定手段は、前記第二の操作パターンで操作が行われたときには、前記第一の操作パターンで操作がおこなわれたときに比べて、前記設定値の変化が大きくなるように前記変化量を設定するところに特徴を有する。
【0017】
請求項10の発明は、請求項9に記載のものにおいて、前記操作手段を前記押し込み操作に抗する向きに付勢する付勢手段が設けられているところに特徴を有する。
【0018】
請求項11の発明は、請求項5ないし請求項10のいずれかに記載のものにおいて、被検出物の検出を行う検出モードと、前記検出感度以外の設定値の設定変更を行う設定モードと、を切り替え可能な切り替え手段を備え、
前記設定手段は、
前記検出モードにおいては、前記操作手段の操作により前記検出感度の設定変更が可能とされるとともに、前記設定モードにおいては、前記検出感度以外の他の設定値を前記操作手段の操作により設定変更可能とされるところに特徴を有する。
【0019】
請求項12の発明は、請求項11に記載のものにおいて、検出結果に応じた出力信号を出力する出力手段を備え、
前記設定手段は、前記出力手段から出力される出力信号の出力時間が設定値とされ、前記設定モードのときに、前記操作手段の操作により前記出力時間が設定変更可能に構成されているところに特徴を有する。
【0020】
請求項13の発明は、請求項5ないし請求項12のいずれかに記載のものにおいて、
被検出物へ向けて光を投光する投光手段と、
前記投光手段から投光された光を受光する受光手段とを備えるところに特徴を有する。
【0021】
請求項14の発明は、請求項13に記載のものにおいて、前記設定手段は、前記投光手段の投光周期が設定値とされ、
前記設定モードのときに、前記操作手段の操作により前記投光周期を設定変更可能に構成されているところに特徴を有する。
【0022】
請求項15の発明は、請求項12に記載のものにおいて、検出結果に応じた出力信号を出力する出力手段を備え、
前記切り替え手段は、前記設定モードを、第1設定モードと第2設定モードとに切り替え可能に構成されており、
前記設定手段は、前記第1設定モードのときには前記操作手段の操作により前記出力時間が設定変更されるとともに、前記第2設定モードのときには前記操作手段の操作により前記投光周期が設定変更されるところに特徴を有する。
【0023】
請求項16の発明は、請求項5ないし請求項15のいずれかに記載のものにおいて、被検出物の検出状態に応じたレベルの検出信号を出力する検出信号出力手段と、
前記検出信号出力手段から出力される検出信号のレベルと閾値との比較を行う第1比較手段とを備え、
前記設定手段により設定変更される前記検出感度の設定値は前記閾値であり、
前記検出手段により、前記第1比較手段による比較結果に基づき被検出物の検出を行うところに特徴を有する。
【0024】
請求項17の発明は、請求項16に記載のものにおいて、
前記表示制御手段は、
前記ディジタル表示手段に、前記閾値と前記検出信号出力手段から出力される検出信号レベルとの相対値を表示させるところに特徴を有する。
【0025】
請求項18の発明は、請求項16に記載のものにおいて、前記ディジタル表示手段は、複数の表示部から構成されており、
前記表示制御手段は、前記複数の表示部に少なくとも、前記閾値と前記検出信号出力手段の検出信号レベルとをそれぞれ表示させるところに特徴を有する。
【0026】
請求項19の発明は、請求項16に記載のものにおいて、前記ディジタル表示手段は、複数の表示部を備えて構成されており、
前記表示制御手段は、前記複数の表示部に少なくとも、前記検出信号出力手段から出力される検出信号レベルと、前記閾値と前記検出信号レベルとの相対値と、をそれぞれ表示させるところに特徴を有する。
【0027】
請求項20の発明は、請求項16に記載のものにおいて、前記ディジタル表示手段は、複数の表示部を備えて構成されており、
前記表示制御手段は、前記複数の表示部に少なくとも、前記閾値と前記検出信号出力手段から出力される検出信号レベルとの相対値と、前記操作手段の操作位置を示す情報と、をそれぞれ表示させるところに特徴を有する。
【0028】
請求項21の発明は、請求項1ないし請求項20のいずれかに記載のものにおいて、前記ディジタル表示手段は、7セグメントLEDから構成されているところに特徴を有する。
【0029】
請求項22の発明は、請求項17ないし請求項21のいずれかに記載のものにおいて、前記表示制御手段は、前記複数の表示部のうち前記閾値の表示を行う前記表示部の表示色を、他の表示部の表示色とは異ならせるところに特徴を有する。
【0030】
請求項23の発明は、請求項11ないし請求項22のいずれかに記載のものにおいて、前記検出手段は、前記第1比較手段の比較結果に応じて前記被検出物を検出するものであって、
前記被検出物の検出の可否に応じて点灯と消灯とで反転する動作表示灯を備えるところに特徴を有する。
【0031】
請求項24の発明は、請求項16ないし請求項23のいずれかに記載のものにおいて、
前記閾値から所定量シフトしたレベルと、前記検出信号出力手段から出力される検出信号のレベルとの比較を行う第2比較手段と、
前記第2比較手段の比較結果に応じて点灯と消灯とで反転する安定動作表示灯とを備えるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0032】
<請求項1の発明>
本構成によれば、アナログ操作という操作方法の認識が容易かつ簡易な操作手段により設定変更された設定値を、ディジタル表示手段の表示により正確な(精度の高い)認識が可能となる。
【0033】
<請求項2の発明>
本構成によれば、例えば、左右に移動させて設定値の調整を行うスライドスイッチと比較して、移動方向に小型化することが可能になる。
【0034】
<請求項3の発明>
回転操作子の回転数に制限があるものでは、作業者が制限値以上回転させようとした場合に回転操作子が壊れるおそれがあるが、本構成によれば、回転操作子の回転数に制限がないため、回転操作子が壊れることを防止できる。
また、一般に、ディジタル表示手段に表示される設定値は、所定範囲内のもののみが表示可能となっている。ここで、回転操作子が回転数に制限なく回転操作可能であると、表示可能な所定範囲を超える範囲まで回転させた場合に、実際の設定値とは異なる設定値がディジタル表示手段に表示されることにより、作業者等の設定値の認識に過誤が生じるおそれがある。
一方、本構成によれば、設定手段は、回転操作子の回転が所定範囲を超えると、当該所定範囲を超えた部分については設定値を変化させないから、作業者による設定値の認識誤りを防止することができる。
【0035】
<請求項4の発明>
本構成によれば、回転操作子が小型であっても、比較的大きな工具で回転操作子を回転させることが可能になる。
また、回転操作子を回転させるための工具(例えば十字状等)が作業者の手元にない場合に、回転操作子の表面の溝部にさえ係合する部材があれば(回転操作子の表面の直径よりも大きい他の部材であっても)、かかる部材を工具に代えて回転操作子を回転させることができる。
【0036】
<請求項5の発明>
本構成によれば、ディジタル表示手段の表示により設定変更された検出感度の設定値を知ることができる。
【0037】
<請求項6の発明>
本構成によれば、操作手段の操作速度を変えることで、検出感度の変動幅に応じて検出感度の変動速度を変えて設定変更することが可能となるから、検出感度の設定変更が容易になる。
【0038】
<請求項7の発明>
本構成によれば、操作パターンに応じて、設定値を変更する際の変化量を変えることが出来るから、設定値の変更操作が行い易くなる。すなわち、設定値を微調整したい場合には、変化量の小さい操作パターンを選択してやればよく、これとは反対に設定値を大きく変えてやりたい場合には、変化量の大きな操作パターンを選択してやればよい。
【0039】
<請求項8の発明>
本構成によれば、主操作、副操作はいずれも、軸に関連した操作である。このような構成であれば、両操作を連係させ易く、第二の操作パターンにおいても良好な操作性が維持できる。
<請求項9の発明>
本構成であれば、微調整(変化量が小さく設定できる)を行なう場合には主操作のみ行なえばよいから、設定値の変更操作に集中し易くなる。
【0040】
<請求項10の発明>
一般に、設定値を所定の値に調整するには、まず、初期の段階で変化量を大きくした状態(粗調整)で変更作業を行い、最後に変化量を小さくする(微調整)ことが望ましい。本構成であれば、操作手段は、常には付勢手段に付勢された状態にある。従って、粗調整を行なっているときに、軸方向への押し込み力を弱めてやれば、押し込まれた状態にある操作手段は元の状態に自動的に復帰するから、それ以降は微調整に切り替わる。このように、粗調整から微調整に切り替える際に、それ専用の切り替え操作を必要としなくて済むから、操作性に優れるものとなる。
【0041】
<請求項11の発明>
一般に、被検出物の検出を行うときに検出感度を設定変更することが多く、検出感度以外の設定変更については(例えば、投光周期の設定等)、被検出物の検出を行わないときに設定変更することが多い。そこで、本構成によれば、被検出物の検出を行う検出モードのときに操作手段の操作により検出感度の設定変更を可能とし、被検出物の検出を行わない設定モードのときに操作手段の操作により検出感度以外の設定値の設定変更を可能とした。これにより、検出感度の設定変更の際に他のモードに切り替える手間を少なくすることができる。
【0042】
<請求項12の発明>
被検出物の検出環境に応じて出力信号の出力時間を変更する必要が生じる場合(例えば、接続機器の応答時間が遅く、検出可能時間に足りない場合に出力信号を一定時間延長する)があるが、本構成によれば、出力手段から出力される出力信号の出力時間を設定変更できるから、被検出物の検出環境に応じた検出を行うことができる。
【0043】
<請求項13の発明>
本構成によれば、光電センサの感度を設定変更することができる。
【0044】
<請求項14の発明>
一般に、投光手段の投光周期の設定変更は、被検出物の検出に先立って行われる。そこで、本構成によれば、被検出物の検出を行わない設定モードのときに操作手段の操作により投光手段の投光周期を設定変更可能に構成した。これにより、投光周期の設定変更が行われることが多い設定モードのときに、操作手段を操作すれば投光周期の設定変更が行われるから、設定モードのときに、他のモードに切り替える手間を少なくすることができる。
【0045】
<請求項15の発明>
本構成によれば、切り替え手段による第1設定モードと第2設定モードとの切り替えにより、出力信号の出力時間の設定変更と投光周期の設定変更とのいずれかを行うことができる。
【0046】
<請求項16の発明>
本構成によれば、検出手段により被検出物の検出を行うことができる。
【0047】
<請求項17の発明>
本構成によれば、ディジタル表示手段に表示される閾値と検出信号レベルとの相対値により、容易に閾値と検出信号レベルとの関係を認識することができる。
【0048】
<請求項18の発明>
本構成によれば、閾値と検出信号レベルとの関係を視認することができるから、被検出物の検出状態を容易に認識することができる。
【0049】
<請求項19の発明>
本構成によれば、検出信号レベルと、閾値と前記検出信号レベルとの相対値との関係を視認することができるから、被検出物の検出状態を容易に認識することができる。
【0050】
<請求項20の発明>
本構成によれば、ディジタル表示手段に表示される閾値と検出信号レベルとの相対値により、容易に閾値と検出信号レベルとの関係を視認することができるだけでなく、操作手段の操作位置を示す情報に基づき、操作手段の操作可能な範囲を視認することができる。
【0051】
<請求項21の発明>
本構成によれば、表示される内容を容易に認識することができる。
【0052】
<請求項22の発明>
例えば、複数の表示部に、閾値と当該閾値とは異なる他の表示がされた場合には、いずれが閾値の表示であるかの認識が困難となるおそれがあるが、本構成によれば、閾値の表示を行う表示部の表示色を、他の表示部の表示色とは異ならせるから、容易に閾値の表示であることが認識することができる。
【0053】
<請求項23の発明>
本構成によれば、動作表示灯により、被検出物の検出の可否を容易に認識することができる。
【0054】
<請求項24の発明>
本構成によれば、安定動作表示灯により、被検出物の検出状態又は非検出状態が安定した状態にあるかを認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図4を参照しつつ説明する。
1.検出センサの構成
本発明の検出センサの実施形態1に係るファイバセンサ1は、受光量に応じた検出信号のレベルを閾値と比較することで被検出物Wの有無を検出するものであり、直方体に形成された本体ケース10を備え、その内部には後述するCPU30等が設けられている。なお、図示はしないが、本体ケース10の前面には投光用及び受光用のファイバーケーブルを差し込むための差し込み孔が形成される一方、後面からは電線が引き出されている。
【0056】
図1に示すように、本体ケース10の上面10Aには、L/Dスイッチ11、モード切替スイッチ12、回転操作子15(操作手段)、デジタル表示器20が設けられている。
【0057】
L/Dスイッチ11は、左右にスライド可能になっており、一方にスライドさせると、閾値よりも大きい受光量が検出されたときに被検出物Wの検出と判定するように設定され(ライトオン)、他方にスライドさせると閾値よりも小さい受光量が検出されたときに被検出物Wの検出と判定するように設定されるようになっている(ダークオン)。なお、本実施形態では、L/Dスイッチ11は、閾値よりも大きい受光量が検出されたときに被検出物Wの検出と判定(ライトオン)するように設定されているものとして説明する。
【0058】
モード切替スイッチ12(本発明の「切り替え手段」に相当)は、検出モードと、第一設定モードと、第二設定モードとを切換可能となっており、最初は検出モードに設定されている。このモード切替スイッチ12は、検出モードに設定された状態から、所定時間だけ長押しするごとにCPU30に切換信号を送出し、CPU30(本発明の「設定手段」に相当)にて第一設定モード、第二設定モード、検出モードに順番に設定されるようになっている。なお、第一設定モードと第二設定モードとに設定されているときには、所定時間以上モード切替スイッチ12が押されなかったときには、自動的に検出モードに戻されるようになっているため、通常時は検出モードになっている。
【0059】
検出モードは、被検出物Wの検出動作が可能であるときのモードであり、この検出モードでは、検出信号のレベルを比較するための基準となる閾値(設定値)がデジタル表示器20に表示されるようになっている。そして、回転操作子15を回転させることにより、当該閾値の表示が変更し、検出感度の調整が行えるようになっている。
【0060】
第一設定モードは、検出動作が行われないとき(例えば、製品の出荷前)に選択されるモードであり、この第一設定モードでは、出力信号のタイミングや出力信号の出力時間等がデジタル表示器20に表示されるようになっている。そして、回転操作子15を回転させることにより当該出力信号のタイミングや出力時間等の表示が変更するようになっている。ここで、出力時間の変更としては、例えば、図4に示すように、CPU30から出力される出力信号(パルス信号)のパルス幅を所定時間Tだけ延長する(オンディレイ)。これにより、例えば、被検出物Wが小さくて出力信号が出力される時間(パルス幅)が短いため、通常の出力時間では被検出物Wを検出できない場合であっても、検出可能な出力時間(パルス幅)に延長することで、当該被検出物Wの検出が可能となる。
【0061】
第二設定モードは、第一設定モードと同様に検出動作が行われないとき(例えば、製品の出荷前)に選択されるモードであり、この第二設定モードでは、デジタル表示器20に投光素子から出射する光の投光周期が表示されるようになっている。そして、回転操作子15を回転させると、当該投光周期の表示が変更するようになっている(投光周期の設定値としては、例えば、予め3種類の周期が記憶されており、回転操作子15の回転によりこれら3種類の表示が順次入れ替わる)。したがって、本発明の所定の条件としては、感度調整、投光周期の変更、出力信号の変更が該当する。
【0062】
回転操作子15は、全体が円柱状で、本体ケース10の上面10Aから上端部が突出して設けられており、回転軸を中心として所望の方向(時計回り及び反時計回り)に回転数に制限なく回転可能に構成されている。
【0063】
回転操作子15の表面(上面)には、図1に示すように、略中央部を横切る2本の溝部16が直交するように設けられており、それぞれの溝部16の終端部16A(両端部)は、図3に示すように、回転操作子15の周面15Aに至る(周面を貫通する)ように設けられ、この終端部16A(両端部)が本体ケース10の上面10Aよりも上に露出している。これにより、回転操作子15が小型であっても、回転操作子15よりも大きな径の工具(プラスドライバー等)を回転操作子15の表面から(溝部16の終端部16Aから)はみ出させて溝部16に係合させることができるから、比較的大きな工具で回転操作子15を回転させることが可能になる。
【0064】
そして、この回転操作子15を回転させることにより、上記した各モード時に行われる閾値の設定変更(検出モード)、出力信号の出力時間の設定変更(第1設定モード)及び投光周期の設定変更(第2設定モード)等の種々の設定値の設定変更が行われるようになっている。
【0065】
また、回転操作子15は、その回転軸(図示しない)が下方(本体ケース10の内部)に延出されており、この回転軸(図示しない)に、ロータリーエンコーダ(以下、「エンコーダ17」という)が接続されている(図3参照)。そして、回転操作子15を回転させることにより、位相の異なるA相とB相の2種類のパルス信号がエンコーダ17からCPU30に出力されるようになっている。そして、パルス信号を受信したCPU30は、パルス信号のトリガの数から回転操作子15の回転速度(操作速度)を検出し、検出した回転速度に応じた変化量で閾値(検出感度)を可変させるようになっている。したがって、CPU30が本発明の「速度検出手段」に相当する。
【0066】
具体的には、予めメモリにトリガ間隔の基準となる所定時間tが記憶されており、CPU30に入力されるトリガ間隔T1が当該所定時間tよりも短い(T1<t。回転操作子15の速い回転である粗調整)ときには、CPU30は、所定のトリガ回数Nを検出(回転操作子15が所定角度θの回転したことを検出)するごとに設定値を1だけ変化させる。一方、トリガ間隔T1が当該所定時間tよりも長い(T1>t。回転操作子15の遅い回転である微調整)ときには、例えば、CPU30は、複数倍のトリガ回数(例えば、4N)を検出(回転操作子15が角度4θの回転したことを検出)するごとに設定値を1だけ変化させる。なお、回転操作子15の回転方向は、CPU30によりA相とB相のスイッチングパルスのいずれの相のパルス信号のトリガ(立上り及び立下り)が先に検出されるかによって判断されるようになっており、回転操作子15を時計回りに回転操作させると設定値が増加する方向に変化し、回転操作子15を反時計回りに回転操作させると回転量設定値が減少する方向に変化するようになっている。
【0067】
ここで、CPU30は、入力されたパルス信号のトリガの数が所定数を超えると(回転操作子15の回転が所定範囲を超えると)、当該所定数を超えた部分については設定値を変化させない(一定に保つ)ようになっている。これにより、デジタル表示器20に所定の範囲内の数値しか表示されない(例えば、第一表示部21には1〜4000の数値のみが表示可能)ために、かかる範囲以上回転操作子15を回転させたときに、デジタル表示器20に表示された値と実際の設定値とが異なることによる作業者の設定値の認識誤りを防止することができる。
【0068】
デジタル表示器20(本発明の「ディジタル表示手段」に相当)は、図1に示すように、本体ケース10の上面10Aの略左半分に設けられており、共に4桁の7セグメントLEDからなる第一表示部21と第二表示部22とが左右一対設けられている。
【0069】
このうち、第一表示部21には、各モードにおける設定値(検出モード時には閾値、第1設定モードでは出力信号の出力時間の延長時間T[s]、第2設定モードでは投光周期[s])が表示されるとともに、第二表示部22には、検出モード時には受光された光の受光量レベルが表示され、第1設定モード及び第2設定モードでは、当該モードであることを示す表示(例えば、第1設定モードでは「DELY」の表示、第2設定モードでは「SPED」の表示)がされる。
【0070】
ここで、第一表示部21と第二表示部22とでは、表示される色が異なるようになっている。
具体的には、例えば、第一表示部21には、緑色LEDによる緑色の光が表示されるようになっており、第二表示部22には、赤色LEDによる赤色の光が表示されるようになっている。これにより、作業者は2つの表示部のうちいずれの表示が閾値の表示であるかを容易に認識することができる。
【0071】
さらに、本体ケース10の左端部(図1のデジタル表示器20の左方)には、動作表示灯34と安定動作表示灯35とが左右一対設けられている。
動作表示灯34は、被検出物Wの検出時には点灯し、非検出時には、消灯するようになっている。この動作表示灯34により、被検出物Wの検出の可否を視認できるようになっている。
【0072】
安定動作表示灯35は、被検出物Wの検出が安定して行われたときに点灯するようになっている。具体的には、安定した精度で被検出物Wの検出が可能となる安定レベルまで閾値をシフトさせるためのシフトレベルが予めメモリ(図示しない)に記憶されており、受光回路32から出力される検出信号のレベルが安定レベルよりも大きい場合には、高い精度で被検出物Wの検出が行われているとして、安定動作表示灯35が点灯するようになっている。この安定動作表示灯35により、作業者は被検出物Wの検出状態又は非検出状態が安定した状態にあるかどうかを視認することができる。
【0073】
2.検出センサの電気的構成
図2は、ファイバセンサ1の回路図である。図中符号30はCPUである。
CPU30は、L/Dスイッチ11及びモード切替スイッチ12に接続されている。CPU30は、モード切替スイッチ12から切換信号を受信するごとに、予め設定されている検出モードから第1設定モード、第2設定モードへと順次設定されるモードを変更する。
【0074】
また、CPU30はエンコーダ17と接続されており、回転操作子15を回転させると、CPU30は、エンコーダ17からパルス信号を受信し、このパルス信号の立ち上がり及び立下りをトリガ信号としてトリガ信号の数とトリガ信号のトリガ間隔T1を測定する。
【0075】
そして、CPU30は、測定したトリガ間隔T1をメモリに記憶された所定時間tと比較し、トリガ間隔T1が当該所定時間tよりも短いときには、CPU30は、トリガを検出するごとに、設定されているモードにおける設定値を1だけ変更する。一方、トリガ間隔T1が当該所定時間tよりも長いときには、例えば、CPU30はトリガを4回検出する(4倍の回転角度)ごとに設定されているモードについての設定値を1だけ変更する。
【0076】
さらに、CPU30は、デジタル表示器20に接続されており、CPU30は、設定値を変更させると、その都度、変更された設定値を第一表示部21に表示させる。したがって、CPU30が本発明の「表示制御手段」に相当する。
【0077】
また、CPU30には、投光素子(投光手段)を備える投光回路31及び受光素子を備える受光回路32が接続されており、CPU30は、投光回路31に設定されている所定周期で投光素子を投光させる投光動作を行わせるとともに、CPU30は、投光された光のうち被検出物Wにて反射して受光素子(受光手段)に受光された光の受光量レベルに応じた検出信号(パルス信号)を受光回路32(本発明の「検出信号出力手段」に相当)から受信する。
【0078】
そして、CPU30は、受光回路32から検出信号を受信すると、検出信号のレベルをデジタル表示器20の第二表示部22に表示させるとともに、設定されている延長時間Tだけ検出信号のパルス幅(出力時間)を延長させて、検出信号のレベルと設定されている閾値とを比較する。そして、CPU30は、検出信号のレベルが閾値を上回っている場合には、被検出物Wが検出されたと判定し、かかる判定結果の出力信号を出力回路33に出力するとともに、動作表示灯34を点灯させる。したがって、CPU30が本発明の「第1比較手段,検出手段,出力手段」に相当する。
【0079】
また、CPU30は、延長した検出信号のレベルと、閾値をシフト(増加)させた安定レベルとを比較し、検出信号のレベルが安定レベルを上回っている場合には、安定動作表示灯35を点灯させる。したがって、CPU30が本発明の「第2比較手段」にも相当する。
【0080】
3.本実施形態の効果
本実施形態によれば、操作方法の認識が容易かつ簡易な回転操作子15(操作手段)により設定変更された設定値を、デジタル表示器20(ディジタル表示手段)に表示させることにより、正確な(精度の高い)設定値の認識を行うことができる。
また、回転操作子15の回転数に制限がないため、回転操作子15が壊れることを防止できる。
【0081】
さらに、回転操作子15の操作速度を変えると、検出感度の設定値の操作速度に応じて設定値の変動速度を変えて設定変更されるから、検出感度の設定値の設定変更が容易になる。
【0082】
また、本実施形態によれば、被検出物Wの検出が可能な検出モードのときに回転操作子15の操作により閾値の設定変更を可能とし、被検出物Wの検出を行わない設定モードのときに回転操作子15の操作により閾値以外の投光周期、出力信号の時間の設定変更を可能とした。これにより、検出感度を設定変更することが多い検出モードのときに、他のモードに切り替える手間を少なくすることができる。
【0083】
また、被検出物Wの検出環境に応じて出力信号の出力時間を変更する必要が生じる場合(例えば、接続機器の応答時間が遅く、検出可能時間に足りない場合)であっても、本実施形態によれば、出力信号の出力時間を設定変更(延長)できるから、被検出物Wの検出環境に応じた検出を行うことができる。
【0084】
また、例えば、複数の表示部に、閾値と当該閾値とは異なる他の表示がされた場合には、いずれが閾値の表示であるかの認識が困難となるおそれがあるが、本構成によれば、閾値の表示を行う表示部の表示色を、他の表示部の表示色とは異ならせるから、容易に閾値の表示であることが認識することができる。
【0085】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図5,図6を参照しつつ説明する。なお、実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0086】
実施形態1では、閾値と検出信号のレベルとをデジタル表示器20の第一表示部21と第二表示部22とにそれぞれ表示させる構成としたが、実施形態2では、閾値と検出信号のレベルとの相対値(以下、「余裕度」という)を第一表示部21に表示し、回転操作子15の回転角度を示す情報を第二表示部22に表示するものである。なお、第一表示部21に表示される余裕度は、閾値に対する検出信号レベルの割合(相対値)であり、余裕度(%)=(検出信号レベル)/(閾値)×100に相当する。
【0087】
CPU30は、設定された閾値と、受光回路32から受信する検出信号レベルとから、上記演算式より余裕度を演算し、演算した余裕度を第一表示部21に表示させる。なお、余裕度は4桁の第一表示部21のうちの上3桁に数値で表示され、下1桁には、表示された数値が余裕度であることを示す記号Pが表示される。これにより、作業者は、例えば、200%を基準として余裕度を調整すれば感度(閾値)が設定されるから、感度の調整作業が容易になる。
【0088】
ところで、余裕度が相対値(%表示)で表示される場合には、例えば、余裕度100%の付近では、図5に示すように、閾値の変化にほぼ反比例して余裕度が変化するが、余裕度が100%から離れるにしたがって、閾値と余裕度の変化量が反比例しなくなる(閾値が小さくなると閾値変化に対して余裕度変化が大きくなる(同図上方)、閾値が大きくなると閾値変化に対して余裕度変化が小さくなる(同図下方))。
【0089】
したがって、作業者が所定の余裕度に設定しようとして回転操作子を回転させた場合に、回転操作子15の回転量(閾値の変化量)と余裕度の変化量が大きく異なるため作業者が混乱するおそれがある。そこで、余裕度が所定以上であるときには、余裕度の数値及び記号Pを第一表示部21に表示せず、余裕度が所定外の範囲にあることを示す標識を表示をし(例えば、図5に示すように、余裕度大のときはgood、余裕度小のときはHARDを表示)、作業者が余裕度の表示に関して混乱しないようになっている。
【0090】
ここで、第一表示部21に余裕度を表示することとした場合には、検出信号のレベルと閾値との相対的な関係はわかるものの、回転操作子15の回転量がわからず、例えば、回転数に制限のある回転操作子を用いる場合には、現在何回転目で、あと何回転可能かがわからない。
【0091】
そこで、実施形態2では、第二表示部22に、回転操作子15の調整位置表示がされるように構成されている。具体的には、図6に示すように、第二表示部22について所定の経路(図6の矢印方向。a→jの順番)にセグメントを点灯(又は点灯するセグメントを増加)させて、その点灯位置(点灯数)により回転操作子15の回転数(角度)がどの程度であるかを知ることができる。
【0092】
このように、実施形態2によれば、第一表示部21に表示される余裕度(閾値と検出信号レベルとの相対値)を視認することにより、感度の設定(閾値と検出信号レベルとの関係の認識)が容易になるだけでなく、回転操作子15の操作位置を示す情報が第二表示部22に表示されることにより、回転操作子15の操作可能な範囲を認識することができる。
また、閾値や感度という一般に操作方向の異なる(一般に、閾値を増加させる方向に回転(時計回り)させると感度が悪くなる一方、直接感度を設定する場合には時計回りで感度がよくなる)2種類のものが併設されている場合に、表示されている数値が感度か閾値かを一見して判断できず、作業者が操作方法について混乱するおそれがある。一方、実施形態2によれば、例えば、予め通常の認識と同じ時計回りを余裕度の増加方向とすれば、作業者は操作方向を容易に認識することができる。また、余裕度を表示する記号Pにより、かかる表示が余裕度であることが容易に認識することができる。
【0093】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図7を参照しつつ説明する。
実施形態2では、デジタル表示器20に第一表示部21と第二表示部22とを備えて構成されたが、実施形態3では、デジタル表示器40に第二表示部22は備えられておらず、代わりに回転操作子15の操作位置を示す6個の調整位置表示灯41(41a〜41f)が設けられている。
【0094】
調整位置表示灯41は、第一表示部21の左右に縦並びに3個ずつ設けられており、回転操作子15の回転角度(数)に比例して(応じて)点灯状態の表示灯の点灯位置(点灯数)が図7の矢印方向(41a→41f)に移動していく(多くなっていく)。
【0095】
このようにすれば、作業者は、第一表示部21により余裕度を認識できるとともに、調整位置表示灯の数(又は位置)により回転操作子15の回転数(角度)がどの程度であるかを知ることができる。
なお、調整位置表示灯の数は6個に限らず5個以下若しくは7個以上であってもよい。
【0096】
<実施形態4>
次に、本発明の実施形態4を図8並びに、図9を参照して説明する。
実施形態1では、閾値の設定変更を行なう際に、回転操作子15の回転速度に応じて変化量を可変させた。具体的には、回転操作子15の回転量(回転方向への操作量)が同じであっても、回転操作子15の回転速度が速い場合には、設定値たる閾値を大きく変化(トリガをN回検出すると、1だけ変化)させ、これとは反対に回転速度が遅い場合には、設定値たる閾値を小さく変化(トリガをN回検出すると、1/4だけ変化)させた。
【0097】
実施形態4では、閾値の設定変更を行なう際の変化量を可変させる点については、実施形態1と同一であるが、その手法が異なっている。実施形態4では、回転操作子55の操作が、実施形態1と同じく回転操作のみを行なう第一の操作パターンと、回転方向への操作に他の操作を加えて2操作を複合的に行う第二の操作パターンの二つの操作パターンで操作可能とされ、この操作パターンに応じて変化量を可変させるようになっている。
【0098】
そして、この実施形態では、回転操作子55が軸方向に進退可能な構成とされて、他の操作として軸方向への押し込み操作を行うことができるようになっている。
【0099】
より具体的に説明すると、本体ケース10の上面壁には、回転操作子55を軸受けするための座部91が、図8に示すように下向きに凹設されており、その中央部分には、軸孔92が形成されている。一方、回転操作子55は上下方向に延びる円筒状の軸部(本発明の軸に相当)56の上端に回転操作用の鍔部57を設けてなる。尚、鍔部57の上面には、実施形態1と同様に溝部16が設けられている。
【0100】
そして、回転操作子55の軸部56と座部91の軸孔92との間には、わずかな隙間が設けられており、回転操作子55は座部91に対し回転可能な状態で軸受けされる。
【0101】
また、軸部56の外周であって、上下方向の中央寄りの位置には規制片58が外向きに張り出すようにして突設されている。この規制片58は座部91の下面に突き当たって回転操作子55を抜け止めするように機能するものであるが、図8の(a)に示すように、規制片58の下面と後述するロータリーエンコーダ61の上面との間には隙間dが設けられている。そのため、回転操作子55はこの隙間の分だけ、全体が軸方向(軸部56の軸線方向)、すなわち上下方向に進退可能となる。
【0102】
また、座部91内には、回転操作子55を上向きに付勢するコイルスプリング(本発明の付勢手段に相当する)71が設けられている。これにより、回転操作子55は常には、上向きに付勢された状態となる。
【0103】
以上のように、回転操作子55は軸部56を中心とする回転並びに、軸方向への直線移動が可能とされているから、図8の(a)に示す定位置で回転操作のみ行なう第一の操作パターンと、図8の(b)に示すように、軸方向への押し込み操作と軸部56を中心とする回転操作を複合的に行なう第二の操作パターンで操作可能となる。
尚、軸を中心とする回転操作が本発明における主操作に相当する操作であり、軸方向への押し込み操作が本発明の副操作に相当する操作である。
【0104】
また、実施形態4においても実施形態1と同様に、回転操作子55の回転量をロータリーエンコーダ61によって検出する構成となっている。ロータリーエンコーダ61は、座部91の下方にあって、本体ケース10に回転可能な状態で支持されている。そして、ロータリーエンコーダ61の中央部分には上下に貫通するように軸孔63が形成され、そこに、回転操作子55の軸部56の先端部が貫通されるようになっている。そのため、回転操作子55を回転させると、ロータリーエンコーダ61が回転操作子55と一体的に回転する。
【0105】
さて、ロータリーエンコーダ61の下側には、押しボタン式のスイッチ65が軸部56の先端部と対向するように配置されている。このスイッチ65は操作パターン検出スイッチであって、第二の操作パターンで操作がされたときには、ON状態となって、検出信号SkをCPU30に送信するようになっている。
【0106】
具体的には、操作パターン検出スイッチ65は回転操作子55が押し込まれていない状態、すなわち図8の(a)に示す状態では、軸部56の先端部との間にわずかな隙間を保有し、OFF状態とされるが、回転操作子55を軸に沿って押し込み操作すると、図8の(b)に示すように検知部67が軸部56の端面によって下向きに押し込まれてON状態となる。これにより、操作パターン検出スイッチ65からは、軸部56による押し込みが解除されてスイッチがOFFの状態になるまで、検出信号Skが出力され続ける。
【0107】
一方、ファイバセンサには、図示しないメモリが設けられており、そこには、2種の変化量設定パターンが予め、記憶されている。第一の変化量設定パターンは微調整パターンであって、ロータリーエンコーダ61から出力されるパルス信号からトリガがN回検出されると、閾値を1/4だけ変化させる。これに対して、第二の変化量設定パターンは粗調整パターンであって、ロータリーエンコーダ61から出力されるパルス信号からN回のトリガが検出されると、閾値を1だけ変化させる。
【0108】
そして、CPU30は検出信号Skの有無に従って、メモリから読み出す変化量設定パターンを変えるようになっている。すなわち、操作パターン検出スイッチ65から検出信号Skが出力されていない状態では、微調整パターンを読み出して変化量の設定を行うのに対して、一旦、検出信号Skが出力されると、検出信号Skが出力されている期間は、粗調整パターンを読み出して変化量の設定を行なう。
【0109】
このように、本実施形態によれば、操作パターンに応じて、設定値(閾値)を変更する際の変化量を変えることが出来るから、閾値の変更操作が行い易くなる。すなわち、閾値を微調整したい場合には、変化量の小さい操作パターンで操作を行えばよく、これとは反対に閾値を大きく変えてやりたい場合には、変化量の大きな操作パターンを選択してやればよい。
【0110】
加えて、本実施形態によれば、第二の操作パターンでは、二つの操作を複合的に行なっているが、これら両操作はいずれも、軸に関連した操作である。すなわち、軸部56を中心とした回転操作と、軸部56に沿った方向への押し込み操作である。このような操作の組み合わせであれば、二つの操作に関連性があるから、操作を連係させや易く、第二の操作パターンにおいても、良好な操作性が維持できる。更に、本実施形態では、微調整(変化量が小さく設定できる)を行なう場合には回転操作のみ行なえばよいから、閾値の変更操作に集中し易くなるという利点もある。
【0111】
加えて、一般に、設定値を所定の値に調整するには、まず、調整の初期段階では、変化量を大きくした状態(粗調整)で変更作業を行い、最後に変化量を小さくする(微調整)。
本実施形態の構成であれば、回転操作子55は、常にはコイルスプリング71に付勢された状態にある。従って、粗調整を行なっているときに、軸方向への押し込み力を弱めてやれば、押し込まれた状態にある回転操作子55は元の状態に自動的に復帰するから、それ以降は微調整に切り替わる。このように、粗調整から微調整に切り替える際に、それ専用の切り替え操作を必要としなくて済むから、操作性に優れるものとなる。
【0112】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0113】
(1)実施形態1では、デジタル表示器20に、閾値と検出信号のレベルとの2つを表示し、実施形態2では、デジタル表示器20に、閾値と検出信号のレベルとの相対値を表示する構成としたが、これに限られない。例えば、閾値と、閾値と検出信号のレベルとの相対値と、をデジタル表示器20に表示してもよく、また、検出信号のレベルと、閾値と検出信号のレベルとの相対値と、をデジタル表示器20に表示してもよい。
【0114】
(2)上記実施形態では、操作手段にエンコーダ17を用いることとしたが、これに限らず、例えば、内部にギア機構があり、軸を10〜20回転させると摺動子が0〜100%移動するような多回転トリマを用いてもよい。また、軸を回転させるとギア機構のギヤが所定角度だけ回転して摺動子が移動するような単回転トリマを用いてもよい。さらに、回転操作子に限らず、スライドスイッチで設定値の変更を行うようにしてよい。また、操作手段として、例えば、ダイヤルを回転させて数値を変更する回転式のBCDスイッチ(サムロータリスイッチ)としてもよい。
【0115】
(3)上記実施形態では、閾値を変更することにより感度を調整する構成としたが、これに限らず、例えば、投光素子から投光させる光の投光量を増減させることや、受光素子にて受光された光の受光量の増幅量を変更することにより、感度を調整する構成としてもよい。
【0116】
(4)上記実施形態では、第1設定モードでは、パルス信号のオン時間(パルス幅)を所定時間Tだけ延長する構成(オンディレイ)としたが、これに限られず、パルス信号のオフ時間(パルス間隔)を所定時間延長する構成(オフディレイ)としてもよい。また、パルス信号のオン時間又はオフ時間を所定時間短縮するようにしてもよい。
【0117】
(5)上記実施形態では、モード切替スイッチ12は、検出モードと第一設定モードと第二設定モードとの3種類に順次切り替えられるようになっていたが、これに限られない。例えば、モード切替スイッチ12により、検出モードと設定モードとの2種類に切換可能に構成し、モード切替スイッチ12又は他のモード切替手段により、設定モードをこれより下層の第一設定モードと第二設定モードとに切り替えられるように構成してもよい。
【0118】
(6)実施形態4では、第二の操作パターンを軸方向への押し込み操作と軸を中心とする回転操作とを組み合わせたが、操作を複合的に行うものであればよく、例えば、回転操作とスライド操作の組み合わせであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】実施形態1に係るファイバセンサの上面図
【図2】ファイバセンサの電気的構成を示すブロック図
【図3】ファイバセンサの一部側断面図
【図4】出力信号のパルス幅を延長させた状態を説明する図
【図5】閾値と余裕度との関係を示す図
【図6】実施形態2のデジタル表示器の表示を示す図
【図7】実施形態3のデジタル表示器の表示を示す図
【図8】実施形態4に係る、回転操作子の支持構造を示す断面図
【図9】ファイバセンサの電気的構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0120】
10…本体ケース
10A…上面
12…モード切替スイッチ(切り替え手段)
15…回転操作子(操作手段)
16…溝部
17…エンコーダ
20,40…デジタル表示器(デジタル表示手段)
21…第一表示部
30…CPU(設定手段、表示制御手段、検出手段、出力手段、速度検出手段、第1比較手段、第2比較手段)
22…第二表示部
32…受光回路(検出信号出力手段)
34…動作表示灯
35…安定動作表示灯
41…調整位置表示灯
W…被検出物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の条件に基づいて動作する検出センサであって、
アナログ操作が可能な操作手段と、
前記操作手段の操作に応じて前記所定の条件に適用される設定値を設定変更する設定手段と、
ディジタル表示手段と、
前記設定手段により設定変更された設定値を前記ディジタル表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする検出センサ。
【請求項2】
前記操作手段は、回転可能な回転操作子により構成されていることを特徴とする請求項1記載の検出センサ。
【請求項3】
前記回転操作子は、回転数に制限なく回転可能に構成されており、
前記設定手段は、回転操作子の回転が所定範囲を超えると、前記所定範囲を超えた部分については設定値を変化させないことを特徴とする請求項2記載の検出センサ。
【請求項4】
前記回転操作子は、本体ケーシングの表面に突出して設けられており、
前記回転操作子の表面には、略中央部を横切るように設けられる溝部の両端部が周面に至るように設けられていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の検出センサ。
【請求項5】
前記所定の条件に基づいて被検出物の検出を行う検出手段を備え、
前記設定手段は、前記条件として前記検出手段の検出感度に適用される設定値を設定変更可能に構成されており、
前記表示制御手段は、前記設定手段で設定変更された設定値を前記ディジタル表示手段へ表示させることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の検出センサ。
【請求項6】
前記操作手段の操作速度を検出する速度検出手段を備え、
前記設定手段は、前記速度検出手段で検出された操作速度に応じた変化量で前記検出感度を可変させて設定変更することを特徴とする請求項5に記載の検出センサ。
【請求項7】
前記操作手段は、少なくとも、前記設定変更のための主操作のみを行なう第一の操作パターンと、前記主操作並びにこれとは異なる副操作を複合的に行なう第二の操作パターンとによる2つのパターンでの操作が可能とされ、
前記設定手段は前記操作手段の操作に基づいて前記設定値を変更する際の変化量を、前記操作パターンに応じて変化させることを特徴とする請求項5に記載の検出センサ。
【請求項8】
前記主操作は軸を中心とする回転操作であり、前記副操作は前記軸方向への押し込み或いは引き操作であることを特徴とする請求項7に記載の検出センサ。
【請求項9】
前記副操作は前記押し込み操作であり、更に、
前記設定手段は、前記第二の操作パターンで操作が行われたときには、前記第一の操作パターンで操作がおこなわれたときに比べて、前記設定値の変化が大きくなるように前記変化量を設定することを特徴とする請求項8に記載の検出センサ。
【請求項10】
前記操作手段を前記押し込み操作に抗する向きに付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の検出センサ。
【請求項11】
被検出物の検出を行う検出モードと、前記検出感度以外の設定値の設定変更を行う設定モードと、を切り替え可能な切り替え手段を備え、
前記設定手段は、
前記検出モードにおいては、前記操作手段の操作により前記検出感度の設定変更が可能とされるとともに、前記設定モードにおいては、前記検出感度以外の他の設定値を前記操作手段の操作により設定変更可能とされることを特徴とする請求項5ないし請求項10のいずれかに記載の検出センサ。
【請求項12】
検出結果に応じた出力信号を出力する出力手段を備え、
前記設定手段は、前記出力手段から出力される出力信号の出力時間が設定値とされ、前記設定モードのときに、前記操作手段の操作により前記出力時間が設定変更可能に構成されていることを特徴とする請求項11に記載の検出センサ。
【請求項13】
被検出物へ向けて光を投光する投光手段と、
前記投光手段から投光された光を受光する受光手段とを備えることを特徴とする請求項5ないし請求項12のいずれかに記載の検出センサ。
【請求項14】
前記設定手段は、前記投光手段の投光周期が設定値とされ、
前記設定モードのときに、前記操作手段の操作により前記投光周期を設定変更可能に構成されていることを特徴とする請求項13に記載の検出センサ。
【請求項15】
検出結果に応じた出力信号を出力する出力手段を備え、
前記切り替え手段は、前記設定モードを、第1設定モードと第2設定モードとに切り替え可能に構成されており、
前記設定手段は、前記第1設定モードのときには前記操作手段の操作により前記出力時間が設定変更されるとともに、前記第2設定モードのときには前記操作手段の操作により前記投光周期が設定変更されることを特徴とする請求項12に記載の検出センサ。
【請求項16】
被検出物の検出状態に応じたレベルの検出信号を出力する検出信号出力手段と、
前記検出信号出力手段から出力される検出信号のレベルと閾値との比較を行う第1比較手段とを備え、
前記設定手段により設定変更される前記検出感度の設定値は前記閾値であり、
前記検出手段により、前記第1比較手段による比較結果に基づき被検出物の検出を行うことを特徴とする請求項5ないし請求項15のいずれかに記載の検出センサ。
【請求項17】
前記表示制御手段は、
前記ディジタル表示手段に、前記閾値と前記検出信号出力手段から出力される検出信号レベルとの相対値を表示させることを特徴とする請求項16に記載の検出センサ。
【請求項18】
前記ディジタル表示手段は、複数の表示部から構成されており、
前記表示制御手段は、前記複数の表示部に少なくとも、前記閾値と前記検出信号出力手段の検出信号レベルとをそれぞれ表示させることを特徴とする請求項16に記載の検出センサ。
【請求項19】
前記ディジタル表示手段は、複数の表示部を備えて構成されており、
前記表示制御手段は、前記複数の表示部に少なくとも、前記検出信号出力手段から出力される検出信号レベルと、前記閾値と前記検出信号レベルとの相対値と、をそれぞれ表示させることを特徴とする請求項16に記載の検出センサ。
【請求項20】
前記ディジタル表示手段は、複数の表示部を備えて構成されており、
前記表示制御手段は、前記複数の表示部に少なくとも、前記閾値と前記検出信号出力手段から出力される検出信号レベルとの相対値と、前記操作手段の操作位置を示す情報と、をそれぞれ表示させることを特徴とする請求項16に記載の検出センサ。
【請求項21】
前記ディジタル表示手段は、7セグメントLEDから構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項20のいずれかに記載の検出センサ。
【請求項22】
前記表示制御手段は、前記複数の表示部のうち前記閾値の表示を行う前記表示部の表示色を、他の表示部の表示色とは異ならせることを特徴とする請求項17ないし請求項21のいずれかに記載の検出センサ。
【請求項23】
前記検出手段は、前記第1比較手段の比較結果に応じて前記被検出物を検出するものであって、
前記被検出物の検出の可否に応じて点灯と消灯とで反転する動作表示灯を備えることを特徴とする請求項11ないし請求項22のいずれかに記載の検出センサ。
【請求項24】
前記閾値から所定量シフトしたレベルと、前記検出信号出力手段から出力される検出信号のレベルとの比較を行う第2比較手段と、
前記第2比較手段の比較結果に応じて点灯と消灯とで反転する安定動作表示灯とを備えることを特徴とする請求項16ないし請求項23のいずれかに記載の検出センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−292702(P2006−292702A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−129972(P2005−129972)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(000106221)サンクス株式会社 (578)
【Fターム(参考)】