説明

検査装置を用いた検査方法、検査装置が有する制御プログラム、検査装置

【課題】成分表に示された試料の物質を構成する元素の種類及び濃度に虚偽申告がないか
または異物質の混入がないかを自動的であって容易かつ正確に検出し、検査者に認識させ
、検査を工数及びコストを削減して行える検査装置を用いた検査方法を提供する。
【解決手段】試料に1次X線を照射する1次X線照射ステップS2と、2次X線を検出器
により検出する2次X線検出ステップS3と、2次X線から検出元素の種類及び濃度を元
素検出部により検出する元素検出ステップS4と、基準元素の種類及び濃度と検出元素の
種類及び濃度とを比較し一致するか判定部により判定する判定ステップS5と、基準元素
の種類及び濃度と検出元素の種類及び濃度とが異なる場合、警告部により警告を発する警
告ステップS7とを具備したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出した試料を構成する元素の種類及び濃度が、データベース化された試料
を構成する元素の種類及び濃度と一致するかを検査する際に用いられる検査装置を用いた
検査方法、検査装置が有する制御プログラム、検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電子機器に用いる材料(以下、試料と称す)を構成する元素の種類及び濃度が、
試料を製造したメーカから提供された成分表に示された試料を構成する元素の種類及び濃
度と一致しているか、即ち、成分表に示された物質を構成する元素の種類及び濃度が適正
であるかを、試料を破壊することなく簡易的に検査する装置としては、検査装置である蛍
光X線分析装置(以下、XRF装置と称す)が周知である。XRF装置は、固体、粉体、
液体を問わず、元素のあらゆる形態からなる試料を検査することができる。
【0003】
XRF装置を用いた検査は、特に、2006年7月1日〜EU加盟国各国において施行
されるEU−RoHS(Restrictions on Hazardous Substance)に基づき、試料の中に、
鉛(Pb)、水銀(Hg)、カドミウム(Cd)、六価クロム(Cr6+)、ポリ臭化ビ
フェニール(PBB)、ポリ臭化ディフェニールエテール(PBDE)の規制物質が含ま
れていないかを、例えば試料となる材料納入の際に簡易的に検査する際に用いられること
が一般的に行われている。XRF装置を用いて検査を行うと、全ての試料に対して精密検
査を行わなくてよいため、検査工数及びコストを削減することができる。
【0004】
XRF装置を用いた一般的な検査方法を概略的に説明すると、先ず、試料に、X線管を
用いてX線(以下、1次X線と称す)を照射すると、試料に含まれる元素特有の蛍光X線
(以下、2次X線と称す)が発生する。
【0005】
その後、2次X線を半導体検出器(以下、単に検出器と称す)で検出し、該検出した2
次X線から該2次X線の波長(エネルギ)を検出することにより、試料を構成する元素の
種類を検出する。さらに、検出した2次X線から該2次X線の強さ(X線量)を検出する
ことにより、試料を構成する元素の濃度を検出する。以上から、試料を構成する元素の種
類及び濃度を特定することができるのである。
【0006】
その後、検査者は、XRF装置を用いて検出した試料を構成する元素の種類及び濃度と
、材料メーカから提供された成分表に示された試料の物質を構成する元素の種類及び濃度
とが一致するかを視認により確認する。このことにより、検査者は、成分表に示された物
質を構成する元素の種類及び濃度が適正であるか、即ち、材料メーカから提供された成分
表に示された物質を構成する元素の種類及び濃度に虚偽申告がないか、特にEU−RoH
Sに基づく規制物質が含まれていなか、または試料を製造中に、異物質であるEU−Ro
HSに基づく規制物質が混入されていないかを、簡易的に検査することができる。
【0007】
このようなXRF装置の構成、及びXRF装置を用いた検査方法は、例えば特許文献1
に開示されている。
【特許文献1】特開2002−168812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、XRF装置を用いて検出した試料を構成する元素の種類及び濃度と、メ
ーカから提供された成分表に示された試料の物質を構成する元素の種類及び濃度とが一致
するかの確認を、検査者の視認により行うと、手間が掛かるとともに工数が増大する他、
正確に検査することができないといった問題があった。
【0009】
また、XRF装置は、元素の種類及び濃度等しか検出することができないため、例えば
、2次X線からクロムを検出した場合、試料中に、EU−RoHSでは禁止されていない
三価クロム(Cr3+)が含まれているのか、EU−RoHSでは禁止された六価クロム
(Cr6+)が含まれているかを検査結果から特定することができない。
【0010】
尚、このことは、2次X線から臭素を検出した場合も同様であって、試料中に、EU−
RoHSでは禁止されていない臭素が含まれているのか、EU−RoHSでは禁止された
ポリ臭化ビフェニール(PBB)、ポリ臭化ディフェニールエテール(PBDE)が含ま
れているかを検査結果から特定することができない。
【0011】
このような事情に鑑み、XRF装置を用いた簡易検査を行わずに、全ての試料に対して
、精密検査を行えば、試料を構成する元素の種類及び濃度の他、上述したように、三価ク
ロム(Cr3+)か六価クロム(Cr6+)か、または臭素かポリ臭化ビフェニール(P
BB)、ポリ臭化ディフェニールエテール(PBDE)かを確実に検出することができる
が、XRF装置を用いて簡易的な検査を行う場合に比べて工数及びコストが増大してしま
うといった問題がある。
【0012】
本発明の目的は上記問題に着目してなされたものであり、試料を構成する元素の種類及
び濃度を検査する簡易的な検査において、成分表に示された試料の物質を構成する元素の
種類及び濃度に虚偽申告がないかまたは異物質の混入がないかを自動的であって容易かつ
正確に検出し、検査者に認識させることができるとともに、簡易的な検査を工数及びコス
トを削減して行うことのできる検査装置を用いた検査方法、検査装置が有する制御プログ
ラム、検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明に係る検査装置を用いた検査方法は、X線出射装置を
用いて、試料に1次X線を照射する1次X線照射ステップと、前記1次X線の照射により
前記試料から発生する元素特有の2次X線を、検出器により検出する2次X線検出ステッ
プと、前記検出器により検出した前記2次X線から前記試料を構成する元素の種類及び濃
度を、元素検出手段により検出する元素検出ステップと、記憶手段に格納してある前記試
料を構成する元素の種類及び濃度と前記元素検出手段において検出した前記元素の種類及
び濃度とを比較し、格納してある前記元素の種類及び濃度と検出した前記元素の種類及び
濃度とが一致するか判定手段により判定する判定ステップと、前記判定手段により、格納
した前記元素の種類及び濃度と検出した前記元素の種類及び濃度とが異なると判定された
場合、警告手段により警告を発する警告ステップと、を具備したことを特徴とする
また、前記試料を構成する元素の種類及び濃度を、前記記憶手段にデータベース化して
格納する格納ステップをさらに有することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、検査装置を用いて、材料受け入れ段階における精密検査よりも簡易的
な材料検査を行う際、材料メーカから提供される成分表に示された試料の物質を構成する
元素の種類及び濃度に虚偽申告があるか、または材料製造工程において成分表に示された
物質の元素以外の異物質の混入があるかを、記憶手段にデータベース化されて記憶された
成分表に示された試料の物質を構成する元素の種類及び濃度と、検出された試料を構成す
る元素の種類及び濃度とが一致するかを判定手段で判定するステップを有することにより
、自動的であって容易かつ正確に検出することができる。また、一致しない場合、警告手
段により警告を発するステップを有することにより、虚偽申告または異物質の混入を検査
者に即座に認識させることができる。その結果、材料メーカの選定、材料検査結果の修正
を容易かつ即座に行うことができる。また、記憶手段にデータベース化されて記憶された
成分表に示された試料の物質を構成する元素の種類及び濃度と、検出された試料を構成す
る元素の種類及び濃度とが一致しない場合、精密検査を行わずとも、試料を材料メーカに
返品することができることから、精密検査を行う試料の数を、全品精密検査を行う従来よ
りも減少させることができるため、受け入れ段階の材料検査のコスト及び工数の削減を図
ることができるといった効果を有する。
【0015】
また、前記判定手段は、前記判定ステップにおいて、さらに、検出した前記元素に、鉛
と水銀とカドミウムとの少なくとも1つの第1の規制物質が含まれているかを判定するこ
とを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、材料受け入れ段階における精密検査よりも簡易的な材料検査において
、試料の中に、EU−RoHSに基づく規制物質である、鉛と水銀とカドミウムとの少な
くとも1つの第1の規制物質が含まれているかを、自動的かつ容易に検出することができ
る。
【0017】
また、前記記憶手段に格納した前記元素に前記第1の規制物質が含まれており、前記判
定手段により検出した前記元素に前記第1の規制物質が含まれていると判定された場合、
前記判定手段は、前記判定ステップにおいて、さらに、前記第1の規制物質が規定量以上
検出されたかを判定することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、材料受け入れ段階における精密検査よりも簡易的な材料検査において
、試料中に、第1の規制物質が、EU−RoHSに基づく規定量よりも多く含まれている
かを、自動的であって容易かつ正確に検出することができるといった効果を有する。
【0019】
さらに、前記判定手段は、前記判定ステップにおいて、さらに、検出した前記元素に六
価クロムとポリ臭化ビフェニールとポリ臭化ディフェニールエテールとの少なくとも1つ
の第2の規制物質が含まれている可能性を判定することを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、材料受け入れ段階における精密検査よりも簡易的な材料検査において
、試料の中に、EU−RoHSに基づく規制物質である、六価クロムとポリ臭化ビフェニ
ールとポリ臭化ディフェニールエテールとの少なくとも1つの第2の規制物質が含まれて
いる可能性があるかを、自動的であって容易かつ正確に検出することができる。
【0021】
また、前記記憶手段に格納した前記元素に前記第2の規制物質が含まれており、前記判
定手段により検出した前記元素に前記第2の規制物質が含まれている可能性があると判定
された場合、前記判定手段は、格納した前記元素と検出した前記元素の濃度が一致するか
を判定することを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、濃度が一致しない場合、材料受け入れ段階における精密検査よりも簡
易的な材料検査においては、検出された試料中に含まれるクロム、臭素が、EU−RoH
Sに基づく規制物質である、六価クロムとポリ臭化ビフェニールとポリ臭化ディフェニー
ルエテールとの少なくとも1つの第2の規制物質であるかを判定しないため、即ち、後の
精密検査において、第2の規制物質であるかを判定するため、受け入れ段階の材料検査の
コスト及び工数の削減を図ることができるといった効果を有する。
【0023】
上記目的を達成するために本発明に係る検査装置が有する制御プログラムは、請求項1
〜7のいずれか1項に記載の前記判定ステップの判定動作及び前記警告ステップの警告動
作を制御する。
【0024】
上記目的を達成するために本発明に係る検査装置は、試料を構成する元素の種類及び濃
度がデータベース化されて格納された記憶手段と、前記試料に、1次X線を照射するX線
出射装置と、前記1次X線の照射により、前記試料から発生する前記元素特有の2次X線
を検出する検出器と、前記検出器により検出された前記2次X線から、前記試料を構成す
る元素の種類及び濃度を検出する元素検出手段と、前記記憶手段に格納された前記元素の
種類及び濃度と前記元素検出手段により検出された前記元素の種類及び濃度とを比較し、
格納された前記元素の種類及び濃度と検出された前記元素の種類及び濃度とが一致するか
判定する判定手段と、前記判定手段により、格納された前記元素の種類及び濃度と検出さ
れた前記元素の種類及び濃度とが異なると判定された場合、警告を発する警告手段と、を
具備することを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、検査装置を用いて、材料受け入れ段階における精密検査よりも簡易的
な材料検査を行う際、材料メーカから提供される成分表に示された試料の物質を構成する
元素の種類及び濃度に虚偽申告があるか、または材料製造工程において成分表に示された
元素以外の異物質の混入があるかを、記憶手段にデータベース化されて記憶された成分表
に示された試料の物質を構成する元素の種類及び濃度と、検出された試料を構成する元素
の種類及び濃度とが一致するかを判定手段で判定することにより、自動的であって容易か
つ正確に検出することができる。また、一致しない場合、警告手段により警告を発するこ
とにより、虚偽申告または異物質の混入を検査者に即座に認識させることができる。その
結果、材料メーカの選定、材料検査結果の修正を容易かつ即座に行うことができる。また
、記憶手段にデータベース化されて記憶された成分表に示された試料の物質を構成する元
素の種類及び濃度と、検出された試料を構成する元素の種類及び濃度とが一致しない場合
、精密検査を行わずとも、試料を材料メーカに返品することができることから、精密検査
を行う試料の数を、全品精密検査を行う従来よりも減少させることができるため、受け入
れ段階の材料検査のコスト及び工数の削減を図ることができるといった効果を有する。
【0026】
また、前記判定手段は、さらに、検出された前記元素に、鉛と水銀とカドミウムとの少
なくとも1つの第1の規制物質が含まれているかを判定することを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、材料受け入れ段階における精密検査よりも簡易的な材料検査において
、試料の中に、EU−RoHSに基づく規制物質である、鉛と水銀とカドミウムとの少な
くとも1つの第1の規制物質が含まれているかを、自動的であって容易かつ正確に検出す
ることができる。
【0028】
さらに、前記記憶手段に格納された前記元素に前記第1の規制物質が含まれており、前
記判定手段により検出された前記元素に前記第1の規制物質が含まれていると判定された
場合、前記判定手段は、さらに、前記第1の規制物質が規定量以上検出されたかを判定す
ることを特徴とする。
【0029】
本発明によれば、材料受け入れ段階における精密検査よりも簡易的な材料検査において
、試料中に、第1の規制物質が、EU−RoHSに基づく規定量よりも多く含まれている
かを、自動的であって容易かつ正確に検出することができるといった効果を有する。
【0030】
さらに、前記判定手段は、さらに、検出された前記元素に、六価クロムとポリ臭化ビフ
ェニールとポリ臭化ディフェニールエテールとの少なくとも1つの第2の規制物質が含ま
れている可能性を判定することを特徴とする。
【0031】
本発明によれば、材料受け入れ段階における精密検査よりも簡易的な材料検査において
、試料の中に、EU−RoHSに基づく規制物質である、六価クロムとポリ臭化ビフェニ
ールとポリ臭化ディフェニールエテールとの少なくとも1つの第2の規制物質が含まれて
いる可能性があるかを、自動的であって容易かつ正確に検出することができる。
【0032】
また、前記記憶手段に格納された前記元素に前記第2の規制物質が含まれており、前記
判定手段により検出された前記元素に前記第2の規制物質が含まれている可能性があると
判定された場合、前記判定手段は、格納された前記元素と検出された前記元素の濃度が一
致するかを判定することを特徴とする。
【0033】
本発明によれば、濃度が一致しない場合、材料受け入れ段階における精密検査よりも簡
易的な材料検査においては、検出された試料中に含まれるクロム、臭素が、EU−RoH
Sに基づく規制物質である、六価クロムとポリ臭化ビフェニールとポリ臭化ディフェニー
ルエテールとの少なくとも1つの第2の規制物質であるかを判定しないため、即ち、後の
精密検査において、第2の規制物質であるかを判定するため、受け入れ段階の材料検査の
コスト及び工数の削減を図ることができるといった効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照にして本発明の実施の形態を説明する。尚、以下に示す本実施の形態
においては、検査装置は、例えば電子機器に用いる固体の材料(以下、試料と称す)を構
成する元素の種類及び濃度が、試料を製造した材料メーカから提供された成分表に示され
た物質を構成する元素の種類及び濃度と一致しているかを、試料を破壊することなく簡易
的に試料検査する蛍光X線分析装置(以下、XRF装置と称す)を例に挙げて説明する。
【0035】
XRF装置は、特に、成分表に示された物質を構成する元素の種類及び濃度に虚偽申告
があるか、特にEU−RoHSに基づく規制物質が含まれていないか、または試料を製造
中に、EU−RoHSに基づく規制物質が混入されていないかを、例えば試料を材料メー
カから受け入れる受け入れ段階で簡易的に検査する際用いられる。
【0036】
図1は、本実施の形態を示すXRF装置の構成の概略を示す図、図2は、材料メーカか
ら提供される試料の成分表の一例を示す図表、図3は、材料メーカから提供される試料中
に、禁止物質が含まれていないことが記載された非含有証明書の一例を示す図表、図4は
、材料メーカから提供される試料中に、環境悪影響物質がどの程度含まれているかが記載
された調査表の一例の一部を示す図表、図5は、図1の表示装置に表示される、元素検出
部が検出した試料を構成する元素の種類及び濃度等が記載された定量分析結果表の一例を
示す図表である。
【0037】
図1に示すように、XRF装置100は、X線出射装置であるX線管1と、試料台2と
、検出器5と、制御装置10と、表示装置15とにより主要部が構成されている。
【0038】
X線管1は、試料3を検査する際、X線(以下、1次X線と称す)20を出射する装置
であり、1次X線20を、試料台2に載置された試料3に向けて照射する。
【0039】
試料台2は、試料3が載置される台であり、X線管1から出射される1次X線20の光
路上に一部が位置するよう配設されている。また、試料台2の、X線管1から1次X線2
0が照射される位置には、所定の大きさを有する孔部2hが形成されている。
【0040】
孔部2hは、試料台2に載置された試料3の底面3tの一部を試料台2から露呈させる
ことにより、底面3tに、X線管1から出射された1次X線20を照射させる、例えば平
面的な形状が円形の孔である。尚、孔部2hは、1次X線20の光路の照射範囲よりも、
平面的に大きな孔に形成されている。
【0041】
検出器5は、試料検査の際、1次X線20の照射により試料3から発生し、入光する試
料3を構成する元素特有の蛍光X線(以下、2次X線と称す)21を検出する。
【0042】
制御装置10は、記憶手段である記憶部11と、元素検出手段である元素検出部12と
、と、判定手段である判定部13と、警告手段である警告部14と、制御プログラム16
とを具備しており、例えばパソコン(PC)から構成されている。
【0043】
記憶部11には、検査者によりキーボード等で入力された、図2に示す材料メーカより
提供された成分表に示された試料3の物質を構成する元素の種類及び濃度がデータベース
化されて格納されている。
【0044】
成分表は、例えば図2に示すように、既知のIMDS(International Material Date
System)に従って作成されたものであり、試料3を構成する物質毎の種類及び濃度の他、
質量、化学物質毎に付与される既知のCAS番号、含有量、含有目的用途等が示されてい
る。
【0045】
また、材料メーカからは、成分表とともに、図3に示すように、試料3中に、禁止物質
が含まれていないことを証明する非含有証明書と、図4に示すように、試料3中に、環境
悪影響物質の有無または環境悪影響物質がどの程度含まれているかを調査した調査表が提
供される。尚、図2に示す成分表、図3に示す非含有証明書、図4に示す調査表は、試料
3が絶縁シートの場合を例に挙げて示している。
【0046】
非含有証明書は、試料3中にEU−RoHSに基づく規制物質が含まれていないことを
証明する他、XRF装置100を用いて簡易検査を行う検査者の会社が指定した禁止物質
が試料3中に含まれていないかを証明する書類であり、図3に示すように、含有されてい
ない禁止物質名とCAS番号等が示されている。
【0047】
調査表は、試料3中に環境に対し悪影響を及ぼす物質が含有されている場合、即ち大気
環境や人体に対し毒性を有する物質が含有されている場合、試料3中に含まれた毒性を有
する物質が、環境や人体に影響のない量であることを証明するものであり、図4に示すよ
うに、物質名、含有の有無、含有量、用途等が記載されている。
【0048】
元素検出部12は、試料3の検査の際、検出器5から検出した2次X線21の波長(エ
ネルギ)から、試料3を構成する元素の種類を検出し、2次X線21の強さ(X線量)か
ら、試料3を構成する元素の濃度を検出する。
【0049】
判定部13は、記憶部11にデータベース化されて格納された成分表に示された試料3
の物質を構成する元素(以下、基準元素と称す)の種類及び濃度と、元素検出部12によ
り検出された試料3を構成する構成する元素(以下、検出元素と称す)の種類及び濃度と
を比較し、両者が一致するかを判定する。
【0050】
即ち、判定部13は、基準元素の種類及び濃度に虚偽申告があるか、特にEU−RoH
Sに基づく規制物質が含まれていなか、または試料3を製造中に、試料3にEU−RoH
Sに基づく規制物質が混入されていないかを判定する。尚、判定部13による詳しい判定
方法については、図7において後述する。
【0051】
警告部14は、判定部13により、基準元素の種類及び濃度と、検出元素の種類及び濃
度とが異なると判定された場合、例えば表示装置15に警告を表示することにより、検査
者に検出元素の種類及び濃度が基準元素の種類及び濃度と一致しない旨を認識させるもの
である。尚、警告部14による警告は、表示に限らず、警告音等であっても構わない。
【0052】
制御プログラム16は、判定部13の判定動作、及び警告部14の警告動作を制御する
ためのものである。
【0053】
表示装置15は、例えばモニタから構成されており、上述したように、警告部14から
の警告が表示される他、元素検出部12が、2次X線21から検出した、試料3を構成す
る元素の波長(エネルギ)及び強さ(X線量)をそれぞれ表示する。
【0054】
尚、表示装置15に、図5に示すように、検出元素の種類及び濃度、該濃度が後述する
規定量に対し問題ないレベルなのかを判定した結果等をそれぞれ表示してもよい。尚、図
5に示す定量分析結果表は、試料3が絶縁シートの場合を例に挙げて示している。
【0055】
次に、このように構成されたXRF装置100を用いた検査方法、具体的には、試料3
の検査方法について、図1〜図5及び図6を用いて説明する。図6は、本実施の形態のX
RF装置を用いた試料の検査方法を示すフローチャートである。
【0056】
先ず、図6のステップS1において、図2に示す材料メーカから提供された成分表から
、検査者は、キーボード入力等により、記憶部11に、試料3を構成する物質の種類及び
濃度等、即ち基準元素の種類及び濃度等を入力する格納ステップを行う。
【0057】
具体的には、試料3が絶縁シートの場合には、図2に示す成分表より、種類にはポリエ
チレンテレフタレートを入力し、濃度には96.9650%を入力する。また、種類には
、アンチモン及びその化合物を入力し、濃度には、0.035%を入力する。
【0058】
その結果、記憶部11には、ポリエチレンテレフタレートを構成する元素であるC(炭
素)、H(水素)、O(酸素)と、ポリエチレンテレフタレートの濃度とがデータベース
化されて格納され、アンチモン及びその化合物を構成する元素であるSb(アンチモン)
と、Sb(アンチモン)の濃度とがデータベース化されて格納される。即ち、基準元素が
データベース化されて格納される。
【0059】
尚、本実施の形態においては、記憶部11に、予め、図2に示す材料メーカから提供さ
れた成分表から、試料3を構成する物質の種類及び濃度等、即ち基準元素の種類及び濃度
等が入力されていても構わない。即ち、ステップS1は、行わなくともよい。
【0060】
次いで、ステップS2において、試料3に1次X線21を照射する1次X線照射ステッ
プを行う。詳しくは、先ず、試料3を、試料台2に、試料3の底面3tの一部が、試料台
2の孔部2hから露呈するよう載置する。その後、孔部2hにより試料台2から露呈され
た試料3の底面3tの部位に、X線管1から1次X線20を照射する。
【0061】
次いで、ステップS3において、1次X線20の照射により、試料3から発生する元素
特有の2次X線21を、検出器5を用いて検出する2次X線検出ステップを行う。
【0062】
次いで、ステップS4において、検出器5により検出された2次X線21から、元素検
出部12を用いて、2次X線21の波長(エネルギ)から、試料3を構成する元素の種類
を検出し、2次X線21の強さ(X線量)から、試料3を構成する元素の濃度を検出する
、即ち、検出元素の種類及び濃度を検出する元素検出ステップを行う。
【0063】
次いで、ステップS5において、ステップS1の格納ステップにおいて、記憶部11に
データベース化されて格納されている基準元素の種類及び濃度と、ステップS4の元素検
出ステップにおいて元素検出部12が検出した検出元素の種類及び濃度とを比較して、基
準元素の種類及び濃度と検出元素の種類及び濃度とが一致するかを、判定部13により判
定する判定ステップを行う。尚、該判定ステップにおける詳細な判定方法に関しては、後
の図7において説明する。
【0064】
次いで、ステップS6において、判定部13は、制御プログラム16の判定制御の下、
基準元素の種類及び濃度と検出元素の種類及び濃度とが異なるかを判定する。具体的には
、判定部13は、試料3が絶縁シートの場合、図2の成分表に示すC(炭素)、H(水素
)、O(酸素)、Sb(アンチモン)以外の元素が検出されるかを判定するとともに、図
2の成分表に示す濃度と略同じ値が検出されるかを判定する。
【0065】
尚、ポリエチレンテレフタレートは、有機化合物である。ここで、元素検出部12では
、2次X線21から、C(炭素)、H(水素)、O(酸素)の元素及び各濃度を検出する
が、XRF装置100は、上述したように、試料3を構成する物質の元素のみを検出する
装置であるため、検出結果から、検出した元素がポリエチレンテレフタレートであること
や、ポリエチレンテレフタレート自体の濃度を検出することはできない。よって、判定部
13による判定の対象とはならない。
【0066】
よって、このステップS6では、判定部13は、元素検出部12により、Sb(アンチ
モン)が検出されたか、及びSb(アンチモン)の濃度が記憶部11に格納されたデータ
ベースと略同じであるかを判定する。
【0067】
記憶部11に格納されている基準元素の種類及び濃度と元素検出部12で検出した検出
元素の種類及び濃度とが一致すれば、具体的には、C(炭素)、H(水素)、O(酸素)
とSb(アンチモン)が検出され、Sb(アンチモン)の濃度がデータベースと略一致す
れば、XRF装置100を用いた検査を終了する。
【0068】
さらに、具体的には、図2に示すように、成分表には、Sb(アンチモン)及びその化
合物が0.0350(wt%)=350(ppm)含有されており、元素検出部12が、
図5に示すように、311(ppm)検出した場合、判定部13は、略一致すると判定し
、XRF装置100を用いた検査を終了する。
【0069】
記憶部11に格納されている検出元素の種類及び濃度と元素検出部12で検出した検出
元素の種類及び濃度とが異なれば、具体的には、C(炭素)、H(水素)、O(酸素)と
Sb(アンチモン)の他、データベースにない元素が検出される、または、Sb(アンチ
モン)の濃度がデータベースと一致しなければ、ステップS7に移行し、警告部14にお
いて、制御プログラム16の警告制御の下、表示装置15に、元素が一致しない旨を表示
する警告ステップを行う。
【0070】
次に、図7を用いて、図6のステップS5の判定ステップについて説明する。図7は、
記憶部に格納された元素の種類及び濃度と元素検出部で検出した元素の種類及び濃度とが
一致するかを、判定部により判定する図6のステップS5の判定ステップを示すフローチ
ャートである。
【0071】
先ず、図7のステップS11において、判定部13は、元素検出部12が検出した検出
元素に、EU−RoHSに基づく規制物質、具体的には、試料3の中に、鉛(Pb)と、
水銀(Hg)と、カドミウム(Cd)との少なくとも1つの第1の規制物質が含まれてい
るかを判定する。
【0072】
試料3の中に、第1の規制物質が含まれておれば、ステップS12に移行し、第1の規
制物質が含まれてなければ、ステップS14にジャンプする。
【0073】
ステップS12では、判定部13は、記憶部11に格納されたデータベースの基準元素
に、EU−RoHSでは規制されていない量の第1の規制物質が含まれているかを判定す
る。即ち、図2に示す成分表に、EU−RoHSでは規制されていない量の第1の規制物
質が示されているかを判定する。
【0074】
データベースに、第1の規制物質が記憶されていなければ、判定部13は、成分表に示
された基準元素、即ち、物質の種類に虚偽申告がある、または試料3を製造中に、第1の
規制物質が試料3に混入されたと判定し、ステップS7に分岐し、上述したように、警告
部14が、表示装置15に警告を行う警告ステップを行った後、XRF装置100を用い
た受け入れ検査工程を終了し、試料3を材料メーカに返品する。
【0075】
データベースの基準元素に、EU−RoHSでは規制されていない量の第1の規制物質
が含まれておれば、ステップS13に移行する。
【0076】
ステップS13では、元素検出部12が検出した第1の規制物質の濃度から、試料3中
に、第1の物質がEU−RoHSに基づく規定量以上含まれているかを判定する。尚、E
U−RoHSに基づく規定量は、鉛(Pb)であれば、75ppm以上の含有が禁止であ
り、水銀(Hg)及びカドミウム(Cd)であれば、各100ppm以上の含有が禁止で
ある。
【0077】
試料3中に、上述した規定量以上、第1の物質が含まれておれば、判定部13は、成分
表に示された基準元素、具体的には物質の濃度に虚偽申告がある、または試料3を製造中
に、試料3中に第1の規制物質が混入されたと判定し、ステップS7に分岐し、上述した
ように、警告部14が、表示装置15に警告を行う警告ステップを行った後、XRF装置
100を用いた受け入れ検査工程を終了し、試料3を材料メーカに返品する。
【0078】
試料3中に上述した規定量以上、第1の物質が含まれていなければ、具体的には、図5
に示すように、例えば、カドミウム(Cd)が2ppmしか含まれていなければ、ステッ
プS14に移行する。
【0079】
ステップS14では、判定部13は、元素検出部12が検出した検出元素に、EU−R
oHSに基づく規制物質、具体的には、試料3の中に、六価クロム(Cr6+)と、ポリ
臭化ビフェニール(PBB)と、ポリ臭化ディフェニールエテール(PBDE)との少な
くとも1つの第2の規制物質が含まれている可能性があるかを判定する。
【0080】
試料3の中に、第2の規制物質が含まれている可能性があれば、即ち、クロム(Cr)
と臭素(Br)との少なくとも一方が検出されれば、ステップS15に移行し、クロム(
Cr)と臭素(Br)との少なくとも一方が検出されなければ、ステップS16に分岐す
る。
【0081】
ステップS15では、判定部13は、記憶部11に格納されたデータベースの基準元素
に、第2の規制物質が含まれているかを判定する。即ち、図2に示す成分表に、第2の規
制物質が示されているかを判定する。
【0082】
データベースの基準元素に、第2の規制物質が含まれていなければ、判定部13は、成
分表に示された基準元素、具体的には物質の種類に虚偽申告がある、または試料3を製造
中に、試料3中に第2の規制物質が混入された可能性があると判定し、ステップS7に分
岐し、上述したように、警告部14が、表示装置15に警告を行う警告ステップを行った
後、XRF装置100を用いた受け入れ検査工程を終了し、試料3を材料メーカに返品す
る。
【0083】
データベースに、第2の規制物質が記憶されておれば、ステップS17に移行し、該ス
テップS17では、判定部13は、検出されたクロム(Cr)臭素(Br)の濃度と、成
分表に記載された第2の規制物質の濃度とが一致するかを判定する。
【0084】
濃度が一致すれば、XRF装置100を用いた受け入れ検査工程を終了し、次工程へと
移行する。濃度が一致しなければ、XRF装置100を用いた受け入れ検査工程を終了し
、精密検査工程へと移行する。
【0085】
具体的には、元素検出部12が、図5に示すように、臭素を、例えば27ppm検出し
た場合には、試料3を構成する物質は、EU−RoHSでは規制されていない臭素なのか
EU−RoHSで規制されたポリ臭化ビフェニール(PBB)、ポリ臭化ディフェニール
エテール(PBDE)なのかを精密検査する。
【0086】
また、元素検出部12が、クロムを検出した場合にも、試料3を構成する物質は、EU
−RoHSでは規制されていない三価クロム(Cr3+)なのかEU−RoHSで規制さ
れた六価クロム(Cr6+)なのかを精密検査する。
【0087】
ステップS16では、判定部13により、記憶部11に格納された基準元素の種類及び
濃度と元素検出部12で検出した検出元素の種類及び濃度とが異なるかを判定する。
【0088】
記憶部11に格納された基準元素の種類及び濃度と元素検出部12で検出した検出元素
の種類及び濃度とが一致すれば、XRF装置100を用いた受け入れ検査工程を終了し、
次工程へと移行する。
【0089】
記憶部11に格納された基準元素の種類及び濃度と元素検出部12で検出した検出元素
の種類及び濃度とが異なれば、判定部13は、成分表に示された基準元素、具体的には物
質の種類及び濃度に虚偽申告がある、または試料3を製造中に、試料3中に第1の規制物
質が混入されたと判定し、ステップS7に分岐し、上述したように、警告部14が、表示
装置15に警告を行う警告ステップを行った後、XRF装置100を用いた受け入れ検査
工程を終了し、試料3を材料メーカに返品する。
【0090】
このように、本実施の形態においては、XRF装置100を用いて試料3の受け入れ段
階における精密検査よりも簡易的な受け入れ検査を行う際、材料メーカから提供された成
分表に示された基準元素の種類及び濃度を、記憶部11にデータベース化して格納してお
き、該データベース化された基準元素の種類及び濃度と、元素検出部12が検出した検出
元素の種類及び濃度とを比較し、両者が一致するかを判定部13により判定すると示した

【0091】
このことによれば、材料メーカから提供される成分表に示された基準元素の種類及び濃
度に虚偽申告があるか、または材料製造工程において成分表に示された基準元素以外の異
物質の混入があるかを、自動的であって容易かつ正確に検出することができる。
【0092】
また、判定部13により一致しないと判定された場合は、警告部14により警告を発す
ることにより、虚偽申告または異物質の混入を検査者に即座に認識させることができる。
その結果、材料メーカの選定、材料検査結果の修正を容易かつ即座に行うことができる。
【0093】
さらに、判定部13により一致しないと判定された場合は、精密検査を行わずとも、試
料3を材料メーカに返品することができることから、精密検査を行う試料3の数を、全品
精密検査を行う従来よりも減少させることができるため、受け入れ段階の材料検査のコス
ト及び工数の削減を図ることができる。
【0094】
また、本実施の形態においては、判定部13は、さらに、元素検出部12で検出した元
素に、鉛(Pb)と水銀(Hg)とカドミウム(Cd)との少なくとも1つの第1の規制
物質が含まれているかを判定するとともに、記憶部11に格納したデータベースの基準元
素に、第1の規制物質が含まれておらず、元素検出部12により検出した検出元素に第1
の規制物質が含まれていると判定部13が判定した場合、警告部14は、警告を発すると
示した。
【0095】
このことによれば、XRF装置100を用いて試料3の受け入れ段階における精密検査
よりも簡易的な受け入れ検査を行う際、材料メーカから提供される成分表に示された基準
元素に、実際は第1の規制物質が含まれているのに、含まれていないという虚偽申告があ
るか、または材料製造工程において試料3に第1の規制物質の混入があるかを、自動的で
あって容易かつ正確に検出することができる。
【0096】
さらに、データベースと検出結果が一致しない場合、警告部14により警告を発するこ
とにより、虚偽申告または第1の規制物質の混入を検査者に即座に認識させることができ
る。その結果、材料メーカの選定、材料検査結果の修正を容易かつ即座に行うことができ
る。
【0097】
尚、これらのことは、第1の規制物質に限らず、六価クロムとポリ臭化ビフェニールと
ポリ臭化ディフェニールエテールとの少なくとも1つの第2の規制物質を元素検出部12
が検出した場合であっても同様である。
【0098】
また、本実施の形態においては、記憶部11に格納したデータベースの基準元素に、第
1の規制物質が含まれており、元素検出部12により検出した検出元素に第1の規制物質
が含まれていると判定部13により判定された場合、判定部13は、さらに、第1の規制
物質が規定量以上検出されたかを判定すると示した。
【0099】
このことによれば、試料3中に、第1の規制物質が、EU−RoHSに基づく規定量よ
りも多く含まれているかを、自動的であって容易かつ正確に検出することができる。
【0100】
さらに、本実施の形態においては、記憶部11に格納したデータベースの基準元素に、
第2の規制物質が含まれており、元素検出部12により検出した検出元素に第2の規制物
質が含まれている可能性があると判定部13により判定された場合、判定部13は、検出
された臭素、クロムの濃度と、データベースの第2の規制物質の濃度とを比較して、一致
しなければ、XRF装置100を用いた簡易検査を終了すると示した。
【0101】
このことによれば、濃度が一致しなければ、XRF装置100を用いて試料3の受け入
れ段階における精密検査よりも簡易的な受け入れ検査を行う際、検出された試料3中に含
まれるクロム、臭素が、EU−RoHSに基づく規制物質である第2の規制物質であるか
を判定しないため、即ち、後の精密検査工程において、第2の規制物質であるかを判定す
るため、受け入れ段階の簡易検査のコスト及び工数の削減を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
また、本実施の形態においては、検査装置は、XRF装置を例に挙げて示し、検査方法
には、XRF装置を用いた検査方法を示したが、XRF装置以外であっても、試料を構成
する元素の種類及び濃度が、材料メーカから提供された成分表に示された基準元素の種類
及び濃度と一致しているかを、試料を破壊することなく簡易的に試料検査する装置及び該
装置を用いた検査方法に適用しても構わない。
【0103】
さらに、本実施の形態においては、XRF装置100を用いた検査は、材料メーカから
材料を受け入れる段階の検査を例に挙げて示したが、材料受け入れ段階の検査に限定され
ないことは勿論である。例えば、製品出荷時の検査に用いても構わない。
【0104】
さらに、本実施の形態においては、試料3は、電子機器に用いる材料として絶縁シート
を例に挙げて示したが、これに限らず、どのような材料に適用しても構わないことは勿論
である。また、試料3は、固体の材料を例に挙げて示したが、粉体や液体の材料を検査す
る場合に適用しても構わないことは云うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本実施の形態を示すXRF装置の構成の概略を示す図。
【図2】材料メーカから提供される試料の成分表の一例を示す図表。
【図3】材料メーカから提供される試料中に、禁止物質が含まれていないことが記載された非含有証明書の一例を示す図表。
【図4】材料メーカから提供される試料中に、環境悪影響物質がどの程度含まれているかが記載された調査表の一例の一部を示す図表。
【図5】図1の表示装置に表示される、元素検出部が検出した試料を構成する元素の種類及び濃度等が記載された定量分析結果表の一例を示す図表。
【図6】本実施の形態のXRF装置を用いた試料の検査方法を示すフローチャート。
【図7】記憶部に格納された元素の種類及び濃度と元素検出部で検出した元素の種類及び濃度とが一致するかを、判定部により判定する図6のステップS5の判定ステップを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0106】
1…X線管、3…試料、5…検出器、11…記憶部、12…元素検出部、13…判定部
、14…警告部、16…制御プログラム、20…1次X線、21…2次X線、100…X
RF装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線出射装置を用いて、試料に1次X線を照射する1次X線照射ステップと、
前記1次X線の照射により前記試料から発生する元素特有の2次X線を、検出器により
検出する2次X線検出ステップと、
前記検出器により検出した前記2次X線から前記試料を構成する元素の種類及び濃度を
、元素検出手段により検出する元素検出ステップと、
記憶手段に格納してある前記試料を構成する元素の種類及び濃度と前記元素検出手段に
おいて検出した前記元素の種類及び濃度とを比較し、格納してある前記元素の種類及び濃
度と検出した前記元素の種類及び濃度とが一致するか判定手段により判定する判定ステッ
プと、
前記判定手段により、格納した前記元素の種類及び濃度と検出した前記元素の種類及び
濃度とが異なると判定された場合、警告手段により警告を発する警告ステップと、
を具備したことを特徴とする検査装置を用いた検査方法。
【請求項2】
前記試料を構成する元素の種類及び濃度を、前記記憶手段にデータベース化して格納す
る格納ステップをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の検査装置を用いた検査
方法。
【請求項3】
前記判定手段は、前記判定ステップにおいて、さらに、検出した前記元素に、鉛と水銀
とカドミウムとの少なくとも1つの第1の規制物質が含まれているかを判定することを特
徴とする請求項1または2に記載の検査装置を用いた検査方法。
【請求項4】
前記記憶手段に格納した前記元素に前記第1の規制物質が含まれており、前記判定手段
により検出した前記元素に前記第1の規制物質が含まれていると判定された場合、前記判
定手段は、前記判定ステップにおいて、さらに、前記第1の規制物質が規定量以上検出さ
れたかを判定することを特徴とする請求項2または3に記載の検査装置を用いた検査方法

【請求項5】
前記判定手段は、前記判定ステップにおいて、さらに、検出した前記元素に六価クロム
とポリ臭化ビフェニールとポリ臭化ディフェニールエテールとの少なくとも1つの第2の
規制物質が含まれている可能性を判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項
に記載の検査装置を用いた検査方法。
【請求項6】
前記記憶手段に格納した前記元素に前記第2の規制物質が含まれており、前記判定手段
により検出した前記元素に前記第2の規制物質が含まれている可能性があると判定された
場合、前記判定手段は、格納した前記元素と検出した前記元素の濃度が一致するかを判定
することを特徴とする請求項5に記載の検査装置を用いた検査方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の前記判定ステップの判定動作及び前記警告ステッ
プの警告動作を制御する検査装置が有する制御プログラム。
【請求項8】
試料を構成する元素の種類及び濃度がデータベース化されて格納された記憶手段と、
前記試料に、1次X線を照射するX線出射装置と、
前記1次X線の照射により、前記試料から発生する前記元素特有の2次X線を検出する
検出器と、
前記検出器により検出された前記2次X線から、前記試料を構成する元素の種類及び濃
度を検出する元素検出手段と、
前記記憶手段に格納された前記元素の種類及び濃度と前記元素検出手段により検出され
た前記元素の種類及び濃度とを比較し、格納された前記元素の種類及び濃度と検出された
前記元素の種類及び濃度とが一致するか判定する判定手段と、
前記判定手段により、格納された前記元素の種類及び濃度と検出された前記元素の種類
及び濃度とが異なると判定された場合、警告を発する警告手段と、
を具備することを特徴とする検査装置。
【請求項9】
前記判定手段は、さらに、検出された前記元素に、鉛と水銀とカドミウムとの少なくと
も1つの第1の規制物質が含まれているかを判定することを特徴とする請求項8に記載の
検査装置。
【請求項10】
前記記憶手段に格納された前記元素に前記第1の規制物質が含まれており、前記判定手
段により検出された前記元素に前記第1の規制物質が含まれていると判定された場合、前
記判定手段は、さらに、前記第1の規制物質が規定量以上検出されたかを判定することを
特徴とする請求項9に記載の検査装置。
【請求項11】
前記判定手段は、さらに、検出された前記元素に、六価クロムとポリ臭化ビフェニール
とポリ臭化ディフェニールエテールとの少なくとも1つの第2の規制物質が含まれている
可能性を判定することを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項12】
前記記憶手段に格納された前記元素に前記第2の規制物質が含まれており、前記判定手
段により検出された前記元素に前記第2の規制物質が含まれている可能性があると判定さ
れた場合、前記判定手段は、格納された前記元素と検出された前記元素の濃度が一致する
かを判定することを特徴とする請求項11に記載の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−278746(P2007−278746A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−102899(P2006−102899)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】