説明

検査装置付き折畳機

【課題】省スペース性および運用作業性に優れた検査装置付き折畳機の提供。
【解決手段】シート状物品を搬送する複数のコンベアからなるコンベア機構、および、コンベア機構により搬送されるシート状物品の折り手段を有する折畳機構が配置された機枠体と、撮像部、照明部および表示画面を有する操作部を含んで構成される検査装置と、表示画面および制御盤を有する制御部と、を備え、機枠体の一方の側面に検査装置の操作部を一体的に配置し、機枠体の他方の側面に制御部を一体的に配置し、かつ、操作部の表示画面および制御部の表示画面を機枠体の側面と隣接する同一面に配置したことを特徴とする検査装置付き折畳機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状物品について、汚れ、破れ、形状不良等の欠陥を検査する機能を有し、省スペース性および運用作業性に優れる検査装置付き折畳機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、布片を水洗、乾燥、アイロン掛けをした後、折り畳むためにベルト上に広げて移動する布片の表面検査をするのに布片面に光を当て、布片面からの反射光をカメラ等で捕らえて、カメラ等が捕えた映像の光の強弱(欠陥部は反射光が弱くなる)を電気信号に変え、該電気信号を処理することによって、布片面の破損や汚れ等の欠陥を自動的に検査する布片面の欠陥検査装置が知られている提言されている(特許文献1)。
【0003】
これまで布片の欠陥検査装置は単独筐体で用いられていたが、近年、設置スペース等の問題から折畳機の上部にカメラを設ける構成がとられるようになっており(例えば特許文献2)、かかる構成を前提に、出願人は欠陥情報に応じて異なる折数で布片を排出することを特徴とする布片検査装置付きの折畳機を提言した(特許文献3)。
【0004】
【特許文献1】特許第3685522号公報
【特許文献2】特開平6−228861号公報
【特許文献3】特許第3813121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の布片検査装置においては、図4に示すように、制御盤が内蔵された自律式制御ボックスが別個に設置されていた。この自律式制御ボックスは、一般に高さが1m以上あり、設置スペースの問題が生じていた。加えて、自律式制御ボックスの扉を開いてメンテナンス作業を行うための余分なスペースが必要であり、しかも作業者は、中腰等の無理な姿勢で作業を行わなくてはならなかった。
そして、装置本体においても、コンベア機構等のメンテナンス作業のために本体の周囲に一定の作業スペースを設ける必要があることから、自律式制御ボックスを操作パネルの傍に設置することには制約があった。そのため、制御ボックスに設けられた画面を確認するためには作業者が制御ボックスのところまで移動しなくてはならないという運用時の作業性にも問題があった。
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、省スペース性および運用作業性に優れた検査装置付き折畳機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者は、制御部を折畳機の本体(機枠体)に一体的に設けることを検討したが、設置場所によってはメンテナンス用の開閉扉を潰さなくてはならず、本体のメンテナンス性が低下するという問題があった。また、制御部を本体に一体的に設けた場合、作業場面によっては制御部の表示画面が見難くなるという問題があった。発明者は鋭意検討の結果、これらの問題を解決し、省スペース性および運用作業性に優れた検査装置付き折畳機を発明した。
【0008】
すなわち、第1の発明は、シート状物品を搬送する複数のコンベアからなるコンベア機構、および、コンベア機構により搬送されるシート状物品の折り手段を有する折畳機構が配置された機枠体と、撮像部、照明部および表示画面を有する操作部を含んで構成される検査装置と、表示画面および制御盤を有する制御部と、を備え、機枠体の一方の側面に検査装置の操作部を一体的に配置し、機枠体の他方の側面に制御部を一体的に配置し、かつ、操作部の表示画面および制御部の表示画面を機枠体の側面と隣接する同一面に配置したことを特徴とする検査装置付き折畳機である。
第2の発明は、第1の発明において、前記制御部の表示画面を、前記機枠体の側面まで旋回可能に構成したことを特徴とする。
第3の発明は、第1または2の発明において、前記機枠体の側面にメンテナンス用の扉を設け、その上方に前記制御部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、省スペース性および運用作業性に優れた検査装置付き折畳機を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、シート状物品を搬送する複数のコンベアからなるコンベア機構、および、コンベア機構により搬送されるシート状物品の折り手段を有する折畳機構が配置された機枠体と、撮像部、照明部および表示画面を有する操作部を含んで構成される検査装置と、表示画面および制御盤を有する制御部と、を備える検査装置付き折畳機に関する。
【0011】
コンベア機構は、例えば、前工程からシート状物品を受け取る第1のコンベア(投入コンベア)と、第1のコンベアと協働して第1のコンベアの終端部から下方にシート状物品を送出する第2のコンベアと、第2のコンベアと検査板を介して接続される第3のコンベアと、第3のコンベアの下方に並設された第4のコンベアと、次工程へシート状物品を受け渡す第5のコンベア(排出コンベア)とから構成される。
第1のコンベアには、シート状物品の長さを測定するためのセンサが設けられている。シート状物品を折り畳むためには、シート状物品の長さを正確に測定する必要があるため、上記コンベア機構の中で最も長いコンベアである第1のコンベアにセンサを設けている。
折畳機構は、例えば、一対のコンベアの間隙にシート状物品を投入し、シート状物品を折り畳むためのソードや回動する屈曲した板状の折爪などにより構成される。折畳機構は、シート状物品の折り畳み数に応じて最適に構成される。
制御部は、コンベア機構および折畳機構の作動を制御する。
【0012】
検査装置は表面を検査するもの、裏面を検査するもののいずれを配置してもよく、両者を併用してもよい。裏面を検査する場合には、第1のコンベアの下方の空きスペースに上記裏側検査機構を配置することにより、省スペース化を図ることが好ましい。すなわち、本体から突出した長いコンベアの下方に、別の言い方をすれば、最長のコンベアと床面の間に、上記裏側検査機構を配置することが好ましい。
本発明の検査装置には、シート状物品について、汚れ、破れ、形状不良等の欠陥を検査する装置のみならず、例えば、金属探知機(検針器)も含まれる。
【0013】
本発明の折畳機は、検査装置の操作部および制御部のそれぞれを機枠体の対向する側面に一体的に配置し、かつ、操作部の表示画面および制御部の表示画面を機枠体の同一面(正面または背面)に配置したことを特徴とする。検査装置の操作部は、表示画面およびキーボード等の入力手段を備えて構成され、制御部の表示画面と同一面に配置される。
制御部の表示画面は、前記機枠体の側面まで旋回可能に構成するのが好ましい。このような構成とすることにより、制御盤のメンテナンス作業を表示画面を確認しながら行うことが可能となる。
検査装置の操作部および制御部は、機枠体の右または左に対向して配置されるが、いずれを右または左に配置してもよい。この際、機枠体の側面に設けられたメンテナンス用の開閉扉と抵触しない位置に配置すること、作業者の操作性を考慮した高さ範囲(例えば、制御盤の中心部分が1m数十cmに位置する高さ)に設置することを考慮する。設置スペースが足りない場合には、コンベア機構の上方に庇状に覆い被せて配置してもよい。
検査装置の操作部および制御部にも、メンテナンス用の開閉扉を設ける必要があるが、これらの開閉扉は機枠体の開閉扉と同一面に配置することが好ましい。
【0014】
以下では本発明の詳細を実施例により説明するが、本発明は何ら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0015】
本実施例では、図1ないし3を参照しながら、タオルやシーツ等の布類を検査し、折り畳む折畳機を説明する。以下では布類が投入される側を上流といい、布類が排出される側を下流という場合がある。なお、図1では検査装置を図示省略している。
【0016】
本実施例の折畳機は、シート状物品を搬送する複数のコンベアからなるコンベア機構2、および、コンベア機構2により搬送されるシート状物品の折り手段を有する折畳機構4が配置された機枠体1と、撮像装置33,34、照明装置35,35並びに表示画面31および入力パネル32を有する操作部30を含んで構成される検査装置3と、表示画面51および制御ボックス59を有する制御部5と、スタッカー装置6とを主たる構成要素とする。
【0017】
機枠体1は、左側面支持枠11と右側面支持枠12とを含んで構成される。
左側面支持枠11には、引き手の付いた開閉扉111〜114が設けられており、開閉扉を開いて内部のメンテナンスを行うことができる。右側面支持枠12にも同様に開閉扉が複数設けられている。
【0018】
コンベア機構2は、例えば、ロールアイロナー9から布片を受け取り、プレス済みの布片をホルダー内に取り込む投入コンベア21と、投入コンベア21の下流に配設され、走行方向を切替えることのできる搬送用コンベア群(図示せず)と、スタック用コンベア22と、折り畳まれた布片を排出する排出コンベア23とから構成され、搬送用コンベア群により布片の走行方向を切り替えたり、折畳機構4の有する折り手段(例えば、ソードやL字状折爪)でコンベアの間隙に布片を押し込むことにより、布片を偶数回(例えば、8折り、16折り、32折り)折り畳み、スタッカー装置6に搬送することができる。
【0019】
スタッカー装置6は、搬送用コンベア群の終端部に配置され、一対の板を開くことにより良品を落下させて積み重ねるスタッカーと、不良品を外部へ排出させる排出口開閉板とを備えて構成される。
【0020】
検査装置3は、撮像装置であるカラーカメラ33,34と、ベルト上に広がった布片の検査対象部位を照明する照明装置35,35と、検査対象となる布類の長さおよび移動速度を検出する検出器(図示せず)と、コンベアベルトと布片の間に敷いて布片の検査を容易にするための検査板36と、コンピュータ57等により構成される処理部とを備えて構成される。処理部は、カラーカメラ33,34からの入力信号または記憶部に記憶されている情報にもとづいて、光源の劣化、温度変化による光量低下を、入力画像レベルをフィードバックして光量の自動調整を行う。また、画像データにマスク処理を施し、欠陥検出設定と対比し判別された不良品の種類に対応した欠陥関連データを記憶部に記憶する。
検査板36は、明色領域(例えば、白色領域)と暗色領域(例えば、黒色領域)とから構成される。かかる構成により、布類に破れがある場合、破れは白色領域では明るく写り、黒色領域では暗く写る。
【0021】
検査装置3は、まず、カラーカメラ33,34からの情報により、入力画像よりライン状データを逐次転送し、送られてくる布片のエッジを検出し、エッジを検出した場合は[A]の処理を行い、エッジを検出しない場合は[B]の処理を行う。
[A]エッジを検出した場合
検査状態を続行とし、記憶部にライン状データを転送し、記憶部にライン状2次元RGB画像データとして記憶する。記憶部に記憶した画像データに、処理部により基本マスク処理とカラーマスク処理が施される。そして、設定に基づいて判定し、欠陥有りの場合には記憶部に欠陥関連データを記憶してから、欠陥無しの場合にはそのまま最初のステップに戻る。
[B]エッジ検出しない場合
検査中かどうかを判定し、検査中の場合には表示画面31に位置情報を表示し、検査中でない場合には最初のステップへ戻る。欠陥の有無を判定し、欠陥有りの場合にはリジェクタへ欠陥信号出力し、その後、欠陥なしの場合は直ぐに、検査状態記憶部のステータスを待機中とし、最初のステップへ戻る。
【0022】
制御部5は、制御盤54、インバータ55、トランス56およびコンピュータ57が内蔵された制御ボックス59と、制御ボックス59に固設された旋回軸53により旋回可能なアーム52に配設された表示画面51とを備えて構成される。かかる構成により、表示画面51を機枠体1の側面の開閉扉111〜114と同一の面に配置することができるので、表示画面51を見ながらメンテナンス作業を行うことを可能である。さらに、表示画面51はアーム52に回動自在に固定されているため、稼働時等に自由な角度で表示画面51を配置することも可能である。
本実施例の制御ボックス59は、その下端が床から約1mに位置する高さに配置され、開閉扉111〜114と同一側の面がメンテナンス用の開閉扉を構成する。本実施例では、筐体が大きいコンピュータ58を横置きして搬送用コンベア22の上方を覆うように配置している。
【0023】
以上の構成を備える本実施例の折畳機は、制御部が機枠体(本体)に一体的に配置されており、同一側面にメンテナンス用の開閉扉が集中しているため、ランドリー等の工場における機械の設置スペースを削減することができる。
また、制御部の表示画面51を自由な角度に配置してオペレーションを行うことができるため、運用作業性も良好である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例に係る検査装置付き折畳機の上面図である。
【図2】実施例に係る検査装置付き折畳機の背面図(下流側)である。
【図3】実施例に係る検査装置付き折畳機の左側面図である。
【図4】従来の自律式制御ボックス付き折畳機の正面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 機枠体
2 コンベア機構
3 検査装置
4 折畳部(折畳機構)
5 制御部
6 スタッカー装置
9 アイロナー
11 左側面支持枠
12 右側面支持枠
21 投入コンベア
22 スタック用コンベア
23 排出コンベア
30 操作部
31 表示画面
32 入力パネル
33,34 カラーカメラ
35 光源(照明装置)
36 検査板
51 表示画面
52 アーム
53 旋回軸
54 制御盤
55 インバータ
56 トランス
57 コンピュータ(PC)
59 制御ボックス
111〜114 開閉扉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状物品を搬送する複数のコンベアからなるコンベア機構、および、コンベア機構により搬送されるシート状物品の折り手段を有する折畳機構が配置された機枠体と、
撮像部、照明部および表示画面を有する操作部を含んで構成される検査装置と、
表示画面および制御盤を有する制御部と、を備え、
機枠体の一方の側面に検査装置の操作部を一体的に配置し、機枠体の他方の側面に制御部を一体的に配置し、かつ、操作部の表示画面および制御部の表示画面を機枠体の側面と隣接する同一面に配置したことを特徴とする検査装置付き折畳機。
【請求項2】
前記制御部の表示画面を、前記機枠体の側面まで旋回可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の検査装置付き折畳機。
【請求項3】
前記機枠体の側面にメンテナンス用の扉を設け、その上方に前記制御部を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の検査装置付き折畳機。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−99235(P2010−99235A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272910(P2008−272910)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(502407130)株式会社プレックス (75)
【Fターム(参考)】