説明

検査装置

【課題】検査対象物の電極面とプローブピンとの接触状態を改善して効率良く検査ができる検査装置を提供する。
【解決手段】検査装置101は、プローブピン31A・31Bが取り付けられたテストヘッド3を備えている。また、検査対象物であるコンデンサ11の電極面13に対して角度θ1で傾斜したピストンロッド104と、ピストンロッド104に沿ってテストヘッドを移動させるエアシリンダ5を備えている。検査装置101では、ピストンロッド104が角度θ1で傾斜しているので、プローブピン31A・31Bの先端をコンデンサ11の電極面13に接触させた際に、さらにプローブピン31A・31Bの先端をコンデンサ11の電極面13と平行な方向に移動する。これにより、プローブピン31A・31Bの先端が電極面13と擦れ合い、電極面13を覆う酸化膜やゴミを除去して、プローブピン31A・31Bと電極面13との接触状態を改善できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、検査対象物の電極面に対してプローブピンを接触させて検査を行う検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検査物である電気二重層コンデンサの電極にプローブピンを接触させて、コンデンサの特性を測定する特性測定治具(検査装置)があった(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−6988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の特性測定治具では、作業者がプローブピンと底板の間にコンデンサを挿入する際に、プローブピンの先端は電極面の端部とは擦れ合うが、電極面の中央部、つまり特性測定時にプローブピンの先端が当たる部分とはほとんど擦れ合わない。そのため、コンデンサの電極が酸化していたりゴミが付着していたりすると、プローブピンと電極の間で接触不良が発生することがあった。接触不良を改善するためには、コンデンサを何度もセットしなおしたり、電極を掃除したりする必要があった。また、検査をスムーズに行うことができず、検査効率が悪化することがあった。さらに、良品のコンデンサでも、接触不良のために不良品と判定されるという問題があった。
【0004】
また、従来の特性測定治具は、プローブピンを取り付けた天板と底板が背板に固定されており、作業者がプローブピンと底板の間にコンデンサを挿入しなければならない。そのため、作業者によっては、端子以外の部分にプローブピンの先端を当ててしまい、コンデンサを傷つけてしまうことがあり、注意してコンデンサを挿入しなければならず、作業効率が悪いという問題があった。
【0005】
そこで、この発明は、検査対象物の電極面とプローブピンとの接触状態を改善して効率良く検査ができる検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)バネを備え伸縮可能なプローブピンを検査対象物の電極面に接触させて、前記検査対象物の電気的な検査を行う検査装置であって、
前記検査対象物を支持する支持台と、
前記プローブピンが取り付けられたテストヘッドと、
前記プローブピンの先端が前記検査対象物の電極面に接触しながら該電極面と平行な方向に移動するように、前記テストヘッドを前記支持台に対して相対的に下降させる移動手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
検査対象物の電極面は、酸化膜に覆われていたりゴミが付着したりしていることがある。このような状態の検査対象物の電極面にプローブピンをそのまま接触させて検査を行うと、接触不良が発生することがある。この構成においては、プローブピンの先端を検査対象物の電極面に接触させながらこの電極面と平行な方向に移動させるので、検査時にプローブピンの先端が接触する部分において両者を擦れ合わせることができる。これにより、電極面を覆う酸化膜やゴミを除去して電極面のクリーニングができるので、プローブピンの先端を電極面に対して確実に接触させることができ、検査時に接触不良による不良品の発生を抑制できる。また、作業者は支持台に検査対象物を載置して、移動手段にテストヘッドを支持台に対して相対的に下降させれば良い。そのため、検査対象物をセットする際に位置調整が不要であり、検査対象物の他の部分をプローブピンで傷つけることなく、効率良く検査を行うことができる。
【0008】
(2)前記移動手段は、
前記テストヘッドを前記支持台に対して相対的に下降させる移動機構と、
前記検査対象物の電極面に対して所定の角度で傾斜して前記テストヘッドまたは前記支持台に接続された軸と、
前記軸をガイドするガイド部と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
この構成においては、例えば、移動機構にガイド部を設けて、検査対象物の電極面に対して所定の角度で傾斜してテストヘッドに接続された軸を、移動機構で動かしながらガイドするようにする。または、テストヘッドにガイド部を設けて、検査対象物の電極面に対して所定の角度で傾斜させた軸を支持台に接続し、テストヘッドを移動機構で移動させながら、ガイド部で軸をガイドするようにする。このように構成することで、テストヘッドに取り付けたプローブピンの先端を電極面に接触させてから、テストヘッドをさらに検査対象物及び支持台の方向に移動させると、プローブピンは徐々に短くなりながら、先端が電極面と平行な方向に移動する。このとき、プローブピンの先端が電極面と擦れ合うので、電極面をクリーニングすることができ、接触状態を良好にすることができる。
【0010】
(3)前記テストヘッドには、前記プローブピンが前記検査対象物の電極面に対して垂直に取り付けられたことを特徴とする。
【0011】
この構成においては、検査対象物の電極面に対向する面に対して垂直にプローブピンを取り付ければ良いので、プローブピンの先端が平らな形状や、ボール形状など滑らか形状のものを選択することで、電極面に傷をつけること無くクリーニングできる。また、テストヘッドが板状の場合には、テストヘッドにプローブピンを取り付けるための加工が容易となる。
【0012】
(4)前記移動手段は、前記検査対象物の電極面に対して所定の角度で傾斜して前記テストヘッドまたは前記支持台に接続された軸に替えて、前記検査対象物の電極面に対して垂直に前記テストヘッドまたは前記支持台に接続された軸を備え、
前記プローブピンは、前記検査対象物の電極面に対して所定の角度で傾斜して前記テストヘッドに取り付けられたことを特徴とする。
【0013】
この構成においては、テストヘッドの移動方向は、検査対象物の電極面に対して垂直に移動する。また、テストヘッドには、前記プローブピンが前記検査対象物の電極面に対して所定の傾斜角で取り付けられている。そのため、プローブピンの先端が電極面に接触してから、テストヘッドをさらに検査対象物の方向に移動させると、プローブピンは徐々に短くなるとともに、先端が電極面と平行な方向に移動する。このとき、プローブピンの先端は、検査対象物の電極面と擦れ合うので、プローブピンの先端で電極面を覆う酸化膜やゴミを除去することができる。したがって、プローブピンを電極面に確実に接触させることができる。
【0014】
(5)前記移動手段は、前記プローブピンを振動させる振動手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
この構成においては、振動手段は、プローブピンを振動させるので、プローブピンの先端を検査対象物の電極面に接触させると、プローブピンの先端は、検査対象物の電極面と平行な方向に振動する。すなわち、プローブピンの先端は、検査対象物の電極面と平行な方向に所定の周期で移動する。そのため、プローブピンの先端が電極面と擦れ合って電極面を掃除することができ、接触状態を改善できる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、検査対象物の電極面とプローブピンとの接触状態が改善されるので、効率良く検査を行うことができる。また、接触不良による不良品の発生を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[第1実施形態]
図1は、この発明の第1実施形態に係る検査装置の斜視概観図及びプローブピンの概観図である。図2は、この発明の第1実施形態に係る検査装置の動作状態を示した正面図である。なお、図2(A)には、エアシリンダ5Aのみ断面を示している。以下の説明では、検査対象物がコンデンサの場合を説明する。
【0018】
図1(A)及び図2に示すように、検査装置1は、コンデンサ11の正電極面13A及び負電極面13Bにプローブピン31A・31Bを接触させて、コンデンサ11の電気的な特性を測定する装置である。以下の説明では、正電極面13Aと負電極面13Bの総称を電極面13、プローブピン31A・31Bの総称をプローブピン31とする。
【0019】
検査装置1は、ベース2、テストヘッド3、ピストンロッド4A・4B、エアシリンダ5A・5B、振動ユニット6、制御ボックス7、及び検査ユニット8を備えている。なお、ピストンロッド4Aはエアシリンダ5Aの一部分であり、エアシリンダ5Aの動作に応じてピストンロッド4Aは伸縮する。同様に、ピストンロッド4Bはエアシリンダ5Bの一部分であり、エアシリンダ5Bの動作に応じてピストンロッド4Bは伸縮する。また、図に示した構成では、ピストンロッド4A・4Bは軸に相当し、エアシリンダ5A・5Bはガイド部及び移動機構に相当する。
【0020】
ベース2は、コンデンサ(検査対象物)11を支持する板状の支持台に相当し、コンデンサ11を載置する凹み21が形成されている。検査者は、凹み21にコンデンサ11を嵌め込むことで、コンデンサ11の位置決めができる。また、ベース2には、エアシリンダ5A・5Bが取り付けられている。
【0021】
ピストンロッド4A・4Bは、ベース2の凹み21に嵌め込んだコンデンサ11の正電極面13A及び負電極面13Bに対して垂直に設けられている。以下の説明では、ピストンロッド4A・ピストンロッド4Bの総称をピストンロッド4とする。また、エアシリンダ5A・エアシリンダ5Bの総称をエアシリンダ5とする。
【0022】
ピストンロッド4は、テストヘッド3の移動方向を既定するためのものであり、先端がテストヘッド3に取り付けられている。
【0023】
図2(A)に示すように、エアシリンダ5Aのロッドカバー51に設けられた孔51Aからピストンロッド4Aが延出している。エアシリンダ5Aのロッドカバー51にはパイプ55が接続され、ヘッドカバー54にはパイプ56が接続されている。バルブ57からパイプ55を介してシリンダチューブ52内に空気を送り込むと、ピストン53が空気圧により下降し、ピストンロッド4Aの露出部分が短くなる。また、バルブ58からパイプ56を介してシリンダチューブ52内に空気を送り込むと、ピストン53が空気圧により上昇し、ピストンロッド4Aの露出部分が長くなる。なお、前記のようにエアシリンダ5がガイド部と記載したが、詳細には、ロッドカバー51が、軸であるピストンロッド4Aをガイドするガイド部に相当する。また、図示は省略するが、エアシリンダ5Bはエアシリンダ5Aと同様の構成である。また、エアシリンダ5Aとエアシリンダ5Bは、同時に制御されて、同じ動作を実行する。
【0024】
テストヘッド3は、板状でエアシリンダ5によりピストンロッド4の中心軸の方向に移動するように既定される。また、ピストンロッド4は、コンデンサ11の電極面13に対して垂直になるように、テストヘッド3に取り付けられている。また、テストヘッド3のコンデンサ11に対向する面3Aは、ベース2、及びベース2に載置されたコンデンサ11の電極面13と平行である。
【0025】
テストヘッド3には、コンデンサ11の正電極面13Aと負電極面13Bと同じ間隔で孔35A・35Bが形成されている。孔35A・35Bには、プローブピン31A・31Bが取り付けられている(挿入されている)。プローブピン31A・31Bは、コンデンサ11の電極面13A・13Bに対して垂直に取り付けられている。
【0026】
プローブピン31は、一般的なプローブピンを使用すれば良く、例えば図1(B)に示すセパレートタイプのものや、図1(C)に示すダイレクトタイプのものを使用すれば良い。セパレートタイプのプローブピン31−1は、スリーブ31S1内にバネ31V1が取り付けられており、このバネ31V1によりプランジャ31P1を伸縮させることができる。また、テストヘッド3の孔35A・35Bにはソケット31Kを取り付けておくことで、スリーブ31S1を挿抜して、プローブピンを交換することができる。また、ダイレクトタイプのプローブピン31−2は、スリーブ31S2に挿入したプランジャ31P2の後端にバネ31V2を取り付けた構造であり、このバネ31V2によりプランジャ31P2を伸縮させることができる。また、テストヘッド3の孔35A・35Bにはスリーブ31S2を取り付ける。なお、図1〜図4にはセパレートタイプのプローブピン31−1を使用した場合を例示している。
【0027】
また、テストヘッド3には、振動手段(移動手段)として振動ユニット6が取り付けられている。振動ユニット6は、プローブピン31の先端がコンデンサ11の電極面13に接触した際に、プローブピン31の先端を、電極面13と平行に所定の周期で移動(振動)させる。振動ユニット6としては、例えば超音波ホーンや振動モータなどを用いると良い。
【0028】
検査者は、図2(A)に示したようにベース2の凹み21にコンデンサ11をセットし、制御ボックス7のスイッチ(操作部)73を操作して、検査を開始する。制御ボックス7には不図示の制御部71が設けられている。制御部71は、スイッチ73が操作されたことを検出すると、バルブ57を制御してエアシリンダ5を動作させ、ピストンロッド4の露出部分を短くする。これにより、テストヘッド3は、コンデンサ11の電極面13及びベース2に対して垂直に下降(移動)する。このとき、テストヘッド3に取り付けられたプローブピン31は、コンデンサ11の電極面13に対して垂直に移動する。
【0029】
制御部71は、プローブピン31A・31Bがコンデンサ11の正電極面13A・負電極13Bに接触するか、または接触する直前に、振動ユニット6を動作させる。振動ユニット6が動作を開始すると、テストヘッド3からプローブピン31A・31Bに振動が伝わり、プローブピン31A・31Bは、電極面13に対して平行に振動する。制御部71は、図1(A)及び図2(B)に示したように、エアシリンダ5及びピストンロッド4によりプローブピン31A・31Bの先端を正電極面13A・負電極13Bに接触させる。そして、プローブピン31A・31Bが少し縮んだ(短くなった)状態になると、バルブ57を制御してエアシリンダ5及びピストンロッド4を停止させる。この状態では、プローブピン31A・31Bは、正電極面13A・負電極13Bを一定の圧力で押し続けている。また、振動ユニット6からの振動により、プローブピン31A・31Bの先端が正電極面13A・負電極13Bに接触(押圧)した状態で、両電極面と平行に振動(移動)している。このとき、プローブピン31A・31Bの先端が正電極面13A・負電極13Bと摩擦する(擦れ合う)。そのため、正電極面13A・負電極13Bが酸化膜で覆われていたり、ゴミが付着していたりしても、正電極面13A・負電極13Bの表面を掃除(クリーニング)することができる。
【0030】
制御部71は、一定時間が経過すると、振動ユニット6を停止させる。そして、検査ユニット8を動作させて、コンデンサ11の特性を検査する。
【0031】
このように、検査装置1では、コンデンサ11の電極面13にプローブピン31A・31Bが接触した際に、プローブピン31A・31Bを振動させることができる。これにより、電極面を掃除することができ、プローブピン31A・31Bの接触状態を良好にすることができる。また、エアシリンダ5及びピストンロッド4により、テストヘッド3をベース2に対して下降させることができるので、作業者は支持台に検査対象物を載置するだけで良い。そのため、検査対象物をセットする際に位置調整が不要であり、検査対象物の他の部分をプローブピンで傷つけることなく、効率良く検査を行うことができる。
【0032】
なお、検査装置1では、プローブピン31A・31Bをコンデンサ11の正電極面13A及び負電極面13Bに接触させてから一定時間が経過すると、電極面13からプローブピン31A・31Bの先端を引き離し、再度双方を接触させるようにしても良い。また、この処理中は、振動ユニット6を常に動作させると良い。これにより、正電極面13A・負電極13Bから除去した酸化膜やゴミを取り去ることができる。
【0033】
[第2実施形態]
図3は、この発明の第2実施形態に係る検査装置の動作状態を示した正面図である。検査装置101は、検査装置1と一部の構成が異なるが、大半は同様の構成である。そのため、以下の説明では、同様の部分には同符号を付して詳細な説明を省略する。
【0034】
図3(A)に示すように、検査装置101は、ベース2、テストヘッド3、ピストンロッド104A・104B、エアシリンダ105A・105B、及び振動ユニット6を備えている。また、検査装置101は、不図示の制御ボックス7及び検査ユニット8を備えている。
【0035】
ピストンロッド104A・104Bは、その中心軸が、ベース2の凹み21に嵌め込んだコンデンサ11の正電極面13A及び負電極面13Bに対して所定の角度θ1で傾斜した状態で、テストヘッド3に取り付けられている。
【0036】
ここで、以下の説明では、ピストンロッド104A・ピストンロッド104Bの総称を、ピストンロッド104とする。また、エアシリンダ105A・エアシリンダ105Bの総称を、エアシリンダ105とする。また、エアシリンダ105A・エアシリンダ105Bの構造は、エアシリンダ5Aと同様である。また、図に示した構成では、ピストンロッド104A・104Bが軸に相当する。また、エアシリンダ105A・105Bがガイド部及び移動機構に相当する。
【0037】
テストヘッド3は、板状で、エアシリンダ105により、ピストンロッド104の中心軸の方向(軸の長手方向)に移動するように既定される。また、テストヘッド3のコンデンサ11に対向する面3Aは、ベース2、及びベース2に載置されたコンデンサ11の電極面13と平行である。
【0038】
テストヘッド3には、検査装置1と同様にプローブピン31A・31Bが取り付けられている。すなわち、プローブピン31A・31Bは、コンデンサ11の電極面13A・13Bに対して垂直に取り付けられている。このようにプローブピン31を取り付けて、プローブピンの先端が平らな形状や滑らかな形状のものを選択することで、電極面13に傷を付けること無く表面をクリーニングできる。また、テストヘッド3にプローブピンを取り付ける孔35A・35Bを容易に設けることができる。
【0039】
検査装置101では、上記のようにピストンロッド104が所定の角度θ1で傾斜している。そのため、図3に示すように、エアシリンダ105によりピストンロッド104を動かしてテストヘッド3をコンデンサ11及びベース2に対して下降(接近)させると、プローブピン31A・31Bの先端が、電極面13と平行な方向に一定の割合で移動することになる。図3(B)に示すように、エアシリンダ105及びピストンロッド104によりプローブピン31A・31Bの先端を電極面13に接触させる。そして、図3(C)に示すように、さらにテストヘッド3をコンデンサ11の方向に移動させると、プローブピン31A・31Bは徐々に短くなりながら(縮みながら)、電極面13と平行な方向に長さL1だけ移動する。このとき、プローブピン31A・31Bの先端は、正電極面13A・負電極面13Bと擦れ合うので、電極面表面の酸化膜やゴミを除去することができる。
【0040】
また、プローブピン31A・31Bの先端が電極面13に接触した際に、振動ユニット6を動作させるようにしても良い。これにより、プローブピン31A・31Bを電極面13と平行な方向に移動中にも振動させることができるので、電極面表面の酸化膜やゴミをさらに効率良く除去することができる。
【0041】
このように、検査装置101では、コンデンサ11の電極面13にプローブピン31A・31Bが接触した際に、プローブピン31A・31Bが電極面と平行な方向に移動させることができる。これにより、電極面を掃除することができ、プローブピン31A・31Bの接触状態を良好にすることができる。また、エアシリンダ105及びピストンロッド104により、テストヘッド3をベース2に対して下降させることができるので、作業者は支持台に検査対象物を載置するだけで良い。そのため、検査対象物をセットする際に位置調整が不要であり、効率良く検査を行うことができる。
【0042】
なお、上記の説明では、プローブピン31A・31Bは、コンデンサ11の電極面13に対して垂直に取り付けられているものとしたが、これに限るものではない。すなわち、プローブピン31A・31Bは、コンデンサ11の電極面13に対して所定の角度θ2で傾斜した状態になるように取り付けても同様の効果が得られる。
【0043】
また、上記の角度θ1や角度θ2は、検査装置101のプローブピン31と電極面13の距離や、電極面13の大きさに応じて決定すると良い。すなわち、プローブピン31の先端を電極面13に接触させてから、電極面13と平行に移動させても接触が外れないように、角度を設定すると良い。
【0044】
[第3実施形態]
図4は、この発明の第3実施形態に係る検査装置の動作状態を示した正面図である。検査装置201は、検査装置1と一部の構成が異なるが、大半は同様の構成である。そのため、以下の説明では、同様の部分には同符号を付して詳細な説明を省略する。
【0045】
図4(A)に示すように、検査装置201は、ベース2、テストヘッド203、ピストンロッド4A・4B、エアシリンダ5、及び振動ユニット6を備えている。また、検査装置201は、不図示の制御ボックス7及び検査ユニット8を備えている。
【0046】
テストヘッド203は、板状で、エアシリンダ5により、ピストンロッド4の中心軸の方向(軸の長手方向)に移動する。また、テストヘッド203のコンデンサ11に対向する面3Aは、ベース2、及びベース2に載置されたコンデンサ11の電極面13と平行である。また、ピストンロッド4は、検査装置1と同様にその中心軸が、ベース2の凹み21に嵌め込んだコンデンサ11の正電極面13A及び負電極面13Bに対して垂直になるようにテストヘッド203に取り付けられている。また、図に示した構成では、ピストンロッド4A・4Bが軸に相当し、エアシリンダ5A・5Bがガイド部及び移動機構に相当する。
【0047】
テストヘッド203には、所定の間隔で孔235A・235Bが形成されており、孔235A・235Bにプローブピン31A・31Bが取り付けられている(挿入されている)。孔235A・235Bは、テストヘッド3の面3Aに対して角度θ3で傾斜している。そのため、プローブピン31A・31Bは、コンデンサ11の電極面13に対して所定の角度(傾斜角)θ3で傾斜した状態でテストヘッド3に取り付けられている。
【0048】
検査装置201では、上記のようにプローブピン31A・31Bは、コンデンサ11の電極面13に対して所定の角度θ3で傾斜した状態でテストヘッド3に取り付けられている。図4(B)・(C)に示すように、エアシリンダ5及びピストンロッド4により、プローブピン31A・31Bの先端が電極面13に接触させる。そして、さらにテストヘッド3をコンデンサ11が載置されたベース2に対して下降(移動)させると、プローブピン31A・31Bは徐々に短くなりながら(縮みながら)、電極面13と平行な方向に長さL2だけ移動する。このとき、プローブピン31A・31Bの先端は、正電極面13A・負電極面13Bと擦れ合うので、電極面表面の酸化膜やゴミを除去することができる。
【0049】
また、プローブピン31A・31Bの先端が電極面13に接触した際に、振動ユニット6を動作させるようにしても良い。これによりで、プローブピン31A・31Bを電極面13と平行な方向に移動させている最中も振動させることができるので、電極面表面の酸化膜やゴミをさらに効率良く除去することができる。
【0050】
このように、検査装置201では、コンデンサ11の電極面13にプローブピン31A・31Bが接触した際に、プローブピン31A・31Bが電極面と平行な方向に移動させることができる。これにより、電極面を掃除することができ、プローブピン31A・31Bの接触状態を良好にすることができる。
【0051】
また、検査装置101や検査装置201では、プローブピン31の先端が電極面13に接触して一定距離移動すると、テストヘッド3を上昇及び下降させて、電極面13からプローブピン31の先端を引き離し、再度接触させるようにしても良い。また、この処理中は、振動ユニット6を常に動作させると良い。これにより、正電極面13A・負電極13Bから除去した酸化膜やゴミを取り去ることができる。
【0052】
また、検査装置101や検査装置201では、プローブピン31の先端で電極面13のクリーニングをすると、プローブピンの先端が電極面13のクリーニングした部分に接触するように、テストヘッド3を少しだけ上昇させると良い。これにより、プローブピンの先端が電極面13のクリーニングした部分に接触する
ので、接触不良の発生を確実に防止できる。
【0053】
また、上記の角度θ3は、検査装置201のプローブピン31と電極面13の距離や、電極面13の大きさに応じて決定すると良い。すなわち、プローブピン31の先端を電極面13に接触させてから、電極面13と平行に移動させても接触が外れないように、角度を設定すると良い。
【0054】
また、検査装置1・101・201において、プローブピン31A・31Bの先端が平らな形状のものや、ボール形状など滑らか形状のものを使用することで、電極面13に傷をつけること無く、電極面13をクリーニングできる。
【0055】
また、検査装置1・101・201では、テストヘッド3にピストンロッド4やピストンロッド104を接続した構成としたがこれに限られるものではなく他の構成であっても良い。図5は、検査装置の別の形態を示す外観斜視図である。
【0056】
図5に示す検査装置1Aのように、移動機構5Cでコンデンサ11の電極面13に対して垂直方向にテストヘッド3を移動させるように構成する。また、テストヘッド3に孔3Cと孔3Dを設ける。さらに、ベース2に支柱4Cと支柱4Dを取り付ける。そして、支柱4Cを孔3Cに貫通させ、支柱4Dを孔3Dに貫通させる。このとき、支柱4Cと支柱4Dが軸に相当し、テストヘッド3に設けた孔3Cと孔3Dがガイド部に相当する。
【0057】
また、支柱4C・4Dは、図3に示した検査装置101と同様に、ベース2の凹み21に嵌め込んだコンデンサ11の正電極面13A及び負電極面13Bに対して所定の角度θ1で傾斜した状態で取り付けるようにすることももちろん可能である。この場合には、支柱4Cと支柱4Dで、テストヘッド3の移動方向を角度θ1で傾斜した方向に規定することができる。なお、このように構成する場合には、移動機構5Cを角度θ1で傾斜した方向に移動するように構成すると良い。
【0058】
以上の説明では、検査装置において、テストヘッドを移動手段(エアシリンダ・ピストンロッドや移動機構)で移動させて、支持台(ベース)に対して下降させる例を示したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、移動手段で、テストヘッドを支持台に対して相対的に下降させれば良い。例えば、テストヘッドを固定し、支持台(ベース)を移動手段で移動させてテストヘッドに対して接近させるように構成すると良い。
【0059】
なお、以上の説明では、検査対象物がコンデンサの場合について説明したが、本発明の検査対象物は電極面を備えるものであれば良い。例えば、プリント基板、パワートランジスタモジュール、チップ部品、半導体部品などに適用可能である。
【0060】
また、以上の説明では、検査装置で1台の検査対象物を検査する場合を例に挙げて説明したが、本願発明の検査装置では、複数台を同時に検査するように構成することも当然可能である。このように構成することで、さらに検査効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】この発明の第1実施形態に係る検査装置の斜視概観図及びプローブピンの概観図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係る検査装置の動作状態を示した正面図である。
【図3】この発明の第2実施形態に係る検査装置の動作状態を示した正面図である。
【図4】この発明の第3実施形態に係る検査装置の動作状態を示した正面図である。
【図5】検査装置の別の形態を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
1・101・201…検査装置 2…ベース 3・203…テストヘッド 4・4A・4B・104・104A・104B…ピストンロッド 5・5A・5B・105・105A・105B…エアシリンダ 6…振動ユニット 7…制御ボックス 8…検査ユニット 11…コンデンサ 13…電極面 13A…正電極面 13B…負電極面 21…凹み 31・31A・31B…プローブピン 71…制御部 73…スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バネを備え伸縮可能なプローブピンを検査対象物の電極面に接触させて、前記検査対象物の電気的な検査を行う検査装置であって、
前記検査対象物を支持する支持台と、
前記プローブピンが取り付けられたテストヘッドと、
前記プローブピンの先端が前記検査対象物の電極面に接触しながら該電極面と平行な方向に移動するように、前記テストヘッドを前記支持台に対して相対的に下降させる移動手段と、
を備えた検査装置。
【請求項2】
前記移動手段は、
前記テストヘッドを前記支持台に対して相対的に下降させる移動機構と、
前記検査対象物の電極面に対して所定の角度で傾斜して前記テストヘッドまたは前記支持台に取り付けられた軸と、
前記軸をガイドするガイド部と、
を備えた請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記テストヘッドには、前記プローブピンが前記検査対象物の電極面に対して垂直に取り付けられた請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記移動手段は、前記検査対象物の電極面に対して所定の角度で傾斜して前記テストヘッドまたは前記支持台に取り付けられた軸に替えて、前記検査対象物の電極面に対して垂直に前記テストヘッドまたは前記支持台に取り付けられた軸を備え、
前記プローブピンは、前記検査対象物の電極面に対して所定の角度で傾斜して前記テストヘッドに取り付けられた請求項2に記載の検査装置。
【請求項5】
前記移動手段は、前記プローブピンを振動させる振動手段を備えた請求項1乃至4のいずれかに記載の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−60290(P2010−60290A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223020(P2008−223020)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000144393)株式会社三社電機製作所 (95)
【Fターム(参考)】