説明

業務用加熱調理器

【課題】 業務用調理鍋の底部に排水孔を備えた業務用加熱調理器において、排水孔を開閉する排水栓や、この排水栓を開閉する開閉軸を簡単に着脱できる様に構成する事を目的とするものである。
【解決手段】 上面を開口して被調理物を収納して加熱し、かつ外底部にヒータ等の熱源を装着した調理鍋を備え、この調理鍋の底部略中心位置に排水孔を設け、この排水孔の外側に連結した排水パイプより排水すると共に、排水孔の内側に排水栓を開閉可能に装着したものにおいて、排水パイプ内に、操作レバーにより操作されて排水パイプ内を上下軸方向に移動する開閉軸を、排水孔の内側から着脱自在に収納すると共に、開閉軸の上端に排水栓を着脱自在に連結して成るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務用の食材や給食用の食材を一度に大量に加熱調理を行う業務用加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に示される様に、直径が1メートル以上の調理鍋を用いて、コンビニエンスストア等で販売される食材や、学校給食等の食材を一度に大量に加熱調理する業務用の加熱調理器では、調理鍋内の掃除時の排水や、余った食材を排出する為、調理鍋の底部中心に排水孔を設けている。
【特許文献1】特開2002−272605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
又、上記排水栓は、排水孔に接続した排水パイプ内に設けた開閉レバーにより開閉する様に構成し、排水パイプ内の掃除を行う場合には、上記開閉レバーを排水パイプより取り外して行う。
【0004】
一方、上記開閉レバーの着脱に際しては、調理鍋の上側から排水栓を取り外し、調理鍋の底側から開閉レバーの着脱を行っている為、これらの作業を同時に行う場合には作業者が二人必要であった。
【0005】
そこで本発明は、排水パイプの掃除を、一人でかつ比較的簡単な作業手順にて行う様にする事を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1の構成は、上面を開口して被調理物を収納して加熱し、かつ外底部にヒータ等の熱源を装着した調理鍋を備え、この調理鍋の底部略中心位置に排水孔を設け、この排水孔の外側に連結した排水パイプより排水すると共に、排水孔の内側に排水栓を開閉可能に装着したものにおいて、排水パイプ内に、操作レバーにより操作されて排水パイプ内を上下軸方向に移動する開閉軸を、排水孔の内側から着脱自在に収納すると共に、開閉軸の上端に排水栓を着脱自在に連結して成るものである。
【0007】
本発明の請求項2の構成は、請求項1の構成において、操作レバーを、少なくとも排水栓を開く閉位置と排水栓を閉じる開位置に操作する様に構成すると共に、操作レバーの操作に連動して開閉軸を上下に駆動するフックを備え、操作レバーの閉位置で開閉軸とフックを脱着する様に構成して成るものである。
【0008】
本発明の請求項3の構成は、請求項1〜2の構成において、操作レバーを閉位置と開位置とフックを排水パイプより退避させる退避位置の3位置に操作する様に構成して成るものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1に記載の構成により、調理鍋の排水孔を開閉する排水栓と、この排水栓を開閉操作する開閉軸を排水孔の内側から着脱する様に構成したことで、これらの着脱操作を一人で簡単に行う事が出来るものである。
【0010】
本発明の請求項2に記載の構成により、開閉軸を操作レバーの閉位置で脱着する様に構成したことで、特別な治具を用いることなく、簡単な手順により開閉軸の着脱操作を行う事が出来るものである。
【0011】
本発明の請求項3に記載の構成により、操作レバーにより開閉軸を操作するフックを排水パイプより退避させる様に構成したことで、操作レバーの操作のみで排水パイプから排水栓の開閉用の部品を退避させ、排水パイプの掃除作業を簡単に行う事が出来るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施例を先ず図1に基づき説明すると、1は被調理物を入れて加熱する調理鍋で、アルミニウム材を鋳造により上面を開口2した腕状に形成していると共に、この調理鍋の外側面周囲を中空円筒状のケース3にて包囲し、かつこのケースの側面左右に連結した一対の回転軸4,4にて、上記調理鍋1とケース3とを台座5,6に回転自在に支持している。
【0013】
又、上記台座6内には、上記回転軸4,4を回転駆動する駆動モータ7や、この駆動モータ等への通電を制御する制御回路8を収納配置し、かつ上部には操作ボックス9を立設している。
【0014】
尚、上記実施例例では、調理鍋1をアルミニウム材で成形し、外底部に鉄等の誘電材料を溶射した図示しない誘電層を形成して誘導加熱が可能に構成しているが、ステンレスのSUS403系等の誘電材料や、SUS304系の比較的加工し易い材料を用い、その外底部に鉄粉を溶射して電磁誘導加熱に適した構成にしたり、他の電磁誘導加熱に用いられるクラッド材等を用いても良い。
【0015】
一方、上記調理鍋1の外底部には、図2にても示す様に例えば2個のグループに分割したリング状の誘導加熱用の加熱コイル10,11を、上記調理鍋1の外底面との間に非磁性材料から成る断熱材12を介して略同心状に装着していると共に、これら断熱材や上記加熱コイル10,11は、アルミニウムやSUS304系の非磁性金属板から成る複数の固定バンド13・・にて外底面に押し当てて固定している。
【0016】
又、上記固定バンド13・・は、所定の幅寸法を有する帯状を成し、両端を上記調理鍋1の外底部の略中心に配置したセラミック等の非磁性材料にて形成したリング状の固定リング14と、スプリング15・・を介して上記ケース3の内側面に固定した固定ボルト16・・に係止している。
【0017】
一方、上記調理鍋の底部略中心位置には図2にて示す排水孔20を開口していると共に、この排水孔の底には排水パイプ21を連結している。
【0018】
22は上記排水パイプ21に装着した開閉手段で、図3にても示す様に、上記排水パイプ21の外周面に突設したフランジ23と、このフランジにネジ24・・により固定した取付板25と、この取付板に回転自在に枢支した操作レバー26と、この操作レバーに連結した連結金具27と、この連結金具に固定したフック28とで主に構成し、上記操作レバー26の回転操作により、フック28の先端に形成した係止溝29が上記排水パイプ21内を上下動する様に構成している。
【0019】
30は開閉軸で、上記排水パイプ21内を軸方向に上下動する様に構成され、上端に上記排水孔20を開閉する排水栓31を着脱自在に螺着していると共に、下端部に上記フック28の係止溝29と係脱する係止ピン32を突設し、かつ周囲に、先端が上記排水パイプ21の内面にわずかな間隙を置いて当接する複数のガイド33・・を開閉軸30に直交する様に固定し、更にこれらガイド同士が平面から見て直交する様に配置し、これにより、各ガイド33・・の先端と排水パイプ21の内面とが当接し、開閉軸30が排水パイプ21の略中心に位置する様に構成している。
【0020】
一方、上記操作軸26には上記連結金具27に並設して支持板34を連結していると共に、上記取付板25には略U字状の揺動板35の上端を支軸36により回転自在に枢支し、かつ上記支持板34の下端にはスプリング軸37の下端を回転可能に連結し、このスプリング軸は、上端を上記揺動板35の底板38を貫通してこの揺動板内に突設し、上記スプリング軸37の下端と底板38間、並びにこの底板とスプリング軸37の上端間に各々第1,第2スプリング39,40を張着している。
【0021】
これらの構成により、図2及び図3にて示す排水栓31の開位置では、第2スプリング40が圧縮され、その張力によりフック28を排水栓31の開成方向に付勢しているが、フック28が排水パイプ21の下端に当接して停止し、図4及び図5にて示す排水栓31の閉位置では、第1,第2スプリング39,40の何れも伸縮しない原形位置に保持され、操作レバー26の回転を停止している。
【0022】
更に、上記操作レバー26を、上記図4,5にて示す排水栓31の閉位置より第1スプリング39の張力に抗して閉方向に回転させ、図6及び図7にて示すフック28が排水パイプ21より退避する位置に回転すれば、排水パイプ内には障害物が無い状態と成り、調理鍋1の上面より排水パイプ21内にブラシ等を挿入すれば、排水パイプ内を簡単に掃除する事が出来るものである。
【0023】
尚、上記操作レバー26を図6,図7で示す位置に回転操作した場合には、第1スプリング39の張力により操作レバー26を開位置に戻そうとするが、図7中に示すロック板42等により固定すれば、上記排水パイプ21内の掃除も一人で行う事が出来るものである。
【0024】
これらの構成により、操作レバー26の操作のみで排水栓31の開閉部材を排水パイプ21より退避させることができ、これにより簡単な操作手順にて排水パイプ21内を簡単に掃除する事が出来るものである。
【0025】
一方、上記実施例では図2にて示す様に排水栓31の下端にネジ部41を設け、このネジ部によって排水栓31を開閉軸30の上端に螺着する様に構成しているが、これに限定されることなく、例えば開閉軸30の上端に切欠溝を設けると共に、排水栓31の下端部に切欠溝に係脱するピンを突設し、これらの係合によって排水栓31を着脱する様に構成しても良い。
【0026】
而して、排水栓31を開閉する場合には、操作レバー26を図2及び図3にて示す開位置と、図4及び図5にて示す閉位置に回転操作することで簡単に行う事ができる。
【0027】
又、排水パイプ21内を掃除する場合には、先ず操作レバー26を図2,3にて示す開位置に回転操作して排水栓31を開いた後、排水栓31を回転して開閉軸30より取り外す。
【0028】
次いで操作レバー26を図4,5にて示す閉位置に回転操作すると、フック28が下方に回転して開閉軸30の係止ピン32が係止溝29より外れるので、ここで開閉軸30を上方に持ち上げれば簡単に取り出す事が出来る。
【0029】
これにより、調理鍋1の上側より排水栓31や開閉軸30の着脱を簡単に行う事ができ、これらの着脱作業を一人で行うことも可能となり、作業性を大幅に向上させる事が出来るものである。
【0030】
又、開閉軸30と、これを開閉操作するフック28とを着脱自在な構成とし、開閉軸30の閉位置でこれらの着脱を行う構成としたことで、着脱用の別部材を設ける必要がなく、部品点数の削減によるコストダウンを図る事も出来る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による実施例を示す側面縦断面図である。
【図2】同じく要部の側面縦断面図である。
【図3】図2における要部の斜視図である。
【図4】本発明の動作を示す要部の側面縦断面図である。
【図5】図4における要部の斜視図である。
【図6】本発明の動作を示す要部の側面縦断面図である。
【図7】図6における要部の斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1 調理鍋
2 開口
10 加熱コイル(熱源)
11 加熱コイル(熱源)
20 排水孔
21 排水パイプ
26 操作レバー
28 フック
31 排水栓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を開口して被調理物を収納して加熱し、かつ外底部にヒータ等の熱源を装着した調理鍋を備え、この調理鍋の底部略中心位置に排水孔を設け、この排水孔の外側に連結した排水パイプより排水すると共に、上記排水孔の内側に排水栓を開閉可能に装着したものにおいて、上記排水パイプ内に、操作レバーにより操作されて排水パイプ内を上下軸方向に移動する開閉軸を、上記排水孔の内側から着脱自在に収納すると共に、上記開閉軸の上端に排水栓を着脱自在に連結した事を特徴とする業務用加熱調理器。
【請求項2】
上記操作レバーを、少なくとも上記排水栓を開く閉位置と排水栓を閉じる開位置に操作する様に構成すると共に、上記操作レバーの操作に連動して上記開閉軸を上下に駆動するフックを備え、操作レバーの閉位置で上記開閉軸とフックを脱着する様に構成した事を特徴とする、上記請求項1に記載の業務用加熱調理器。
【請求項3】
上記操作レバーを、上記閉位置と開位置と上記フックを排水パイプより退避させる退避位置の3位置に操作する様に構成した事を特徴とする、上記請求項1〜2に記載の業務用加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−255243(P2006−255243A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−78736(P2005−78736)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(302071092)テガ三洋工業株式会社 (244)
【Fターム(参考)】