説明

極端紫外光光源装置における照度分布検出方法および集光光学手段の位置調整方法

【課題】極端紫外光光源装置の中間集光点以降における照度分布特性が悪化したことをリアルタイムで検知すると共に、悪化した照度分布を修正できるようにすること。
【解決手段】EUV光源装置において、中間集光点fに集光しないEUV光を検知する円筒形状の検知手段20を設ける。中間集光点fに集光するEUV光は、検知手段20の開口20aを通過するので、露光処理中あっても中間集光点fに集光しないEUV光を検知することができる。中間集光点fに集光されないEUV光の照度分布は、集光点fに集光して露光機内に入射するEUV光の照度分布と相関しているので、上記検知手段20により得られたEUV光の照度分布の悪化から、集光点fに集光するEUV光の照度分布の悪化を知ることができる。また、上記EUV光の照度分布が良くなるように、集光鏡6を移動させることにより、露光機内に入射するEUV光の照度分布を改善することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極端紫外光を出射する極端紫外光光源装置における照度分布の検出方法およびEUV光源装置に用いられている集光光学手段の位置調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の微細化、高集積化につれて、露光用光源の短波長化が進められ、次世代の半導体露光用光源として、波長13〜14nm、特に波長13.5nmの極端紫外光(以下、EUV(Extreme Ultra Violet)光ともいう)を放出する極端紫外光光源装置(以下、EUV光源装置ともいう)が開発されている(例えば特許文献1参照)。
図6は、特許文献1に示されるEUV光源装置を簡易的に説明するための図である。
同図に示すように、EUV光源装置は、放電容器であるチャンバ1を有する。チャンバ1内には、一対の円板状の放電電極2a,2bが収容される放電部1aと、ホイルトラップ5と集光鏡6とを収容するEUV集光部1bが設けられる。
一対の円盤状の電極2a,2bは、絶縁材2cを挟んで図6の紙面において上下に配置されている。紙面の下方に位置する放電電極2bには、モータ2jの回転軸2eが取付けられている。放電電極2a、2bは、摺動子2g、2hを介してパルス電力供給部3に接続されている。
放電電極2bの周辺部には溝部2dが設けられ、この溝部2dに高温プラズマPを発生させるための固体の原料M(LiまたはSn)が配置されている。
1cは、放電部1a、EUV集光部1bを排気して、チャンバ1内を真空状態にするためのガス排気ユニットである。
【0003】
上記のEUV光源装置においては、放電電極2bの溝部に配置された高温プラズマ用の原料に対し、エネルギービーム照射機4から、エネルギービームを照射する。エネルギービームは、例えばレーザビームであり、レーザ入射窓4aを介して照射され、固体の原料が放電電極2aと2bとの間で気化する。
この状態で、放電電極2aと2bの間にパルス電力供給部3からパルス電力が供給されると、放電電極2aのエッジ部分と放電電極2bのエッジ部分との間で放電が発生し、高温プラズマ原料MによるプラズマPが形成され、放電時に流れる大電流により加熱励起され高温化し、この高温プラズマPからEUV光が放射される。
放射されたEUV光は、ホイルトラップ5を介してEUV集光部1bに入射し、集光鏡6によって、集光鏡6の中間集光点fに集められ、EUV光出射口7から出射し、EUV光源装置に接続された点線で示した露光機40に入射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2005/101924号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなEUV光源装置においては、以下に説明するような実用上の問題があった。
すなわち、極端紫外光光源装置を長時間にわたって点灯駆動した場合、プラズマPと集光鏡6とのアライメントのズレが生じ、中間集光点f以降の照度分布特性が悪化し、分布が非対称になるという問題がある。照度分布特性が悪化して非対称になる原因は、例えば、以下の2つの原因が考えられる。
(1)点灯駆動時間の経過とともに放電電極が磨耗していくことにより、放電電極間に形成されるプラズマの位置が、点灯初期の状態と比べて変動する。
(2)集光鏡6が、放電電極2a,2bやプラズマPから発せられる熱により高温状態になって、熱歪みを生じて変形する。
このように、中間集光点以降における極端紫外光の照度分布特性が悪化して非対称になった場合は、露光機40が処理する被処理体に露光ムラが生じることがある。
【0006】
ところが、従来の極端紫外光光源装置においては、このような中間集光点以降における極端紫外光の照度分布特性が悪化して非対称になったことを、露光中にリアルタイムで検知することは、実施されていなかった。
本発明は、上記事情によりなされたものであって、本発明の目的は、極端紫外光光源装置の中間集光点以降における照度分布特性が悪化して非対称になったことをリアルタイムで検知すると共に、悪化した照度分布を修正できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るEUV光源装置は、EUV光を放射するプラズマが空間的広がりを有するため、当該プラズマから放射されて集光鏡により反射されても、反射したEUV光の全てが、EUV光源装置の中間集光点に集光するわけではない。中間集光点に集光しない光は、中間集光点の周囲に照射され、露光機内に導かれることはない。
しかし、中間集光点に集光し露光機内に入射する光の照度分布と、中間集光点に集光しない光の照度分布には、強い相関がある。したがって、中間集光点に集光されないEUV光を受光し、その照度分布を検知することにより、中間集光点に集光し露光機内に入射するEUV光の照度分布を知ることができる。
また、中間集光点に集光しないEUV光により検知した照度分布に基づき、集光光学手段の位置調整を行なうことで、悪化した照度分布を修正することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、以下の効果を得ることができる。
(1)中間集光点に集光しないEUV光の照度分布を検知しているので、EUV光の光路中に検知手段を設ける必要がない。このため、種々の要因によって極端紫外光の照度分布特性が変動した場合であっても、露光中に露光機の動作を止めることなくリアルタイムで、中間集光点に集光し露光機に入射する当該極端紫外光の照度分布特性の変動を知ることができる。
(2)極端紫外光の照度分布特性が変動した場合、露光中にリアルタイムで集光光学手段の位置調整を行い、最適な極端紫外光の照度分布特性になるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例のEUV光源装置の構成の概略を示す図である。
【図2】中間集光点に集光しないEUV光を検知するための検知手段の構成例を示す図である。
【図3】中間集光点fに集光されるEUV光の照度分布と、中間集光点fに集光されないEUV光の照度分布の相関を示す図である。
【図4】集光鏡で反射された光のうち、集光点に集光しない光を説明する図である。
【図5】放電電極を備えないEUV光源装置に本発明を適用した場合の概略構成を示す図である。
【図6】EUV光源装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施例のEUV光源装置の構成の概略を示す図である。
EUV光源装置の構成は、前記図6に示したものと同様であり、放電電極2a,2bを収容する放電部1aと、ホイルトラップ5と集光鏡(集光光学手段)6とを収容するEUV集光部1bとにより構成されるチャンバ1を備える。
チャンバ1には、放電部1aと、EUV集光部1bを排気して、チャンバ1内を真空状態にするためのガス排気ユニット1cが設けられている。
一対の円板状の放電電極2a、2bは、絶縁部材2cを挟んで対向するよう配置され、各々の中心が同軸上に配置されている。
紙面において下方側に位置する放電電極2bには、モータ2jの回転軸2eが取付けられている。回転軸2eは、放電電極2aの中心と、放電電極2bの中心とが回転軸2eの同軸上に位置している。回転軸2eは、メカニカルシール2fを介してチャンバ1内に導入される。
メカニカルシール2fは、チャンバ1内の減圧雰囲気を維持しつつ、回転軸2eの回転を許容する。
【0011】
放電電極2bの下方側には、例えばカーボンブラシ等で構成される摺動子2gおよび2hが設けられている。摺動子2gは、放電電極2bに設けられた貫通孔を介して放電電極2aと電気的に接続される。摺動子2hは、放電電極2bと電気的に接続されている。
パルス電力供給部3は、摺動子2g、2hを介して、それぞれ放電電極2a、2bにパルス電力を飯給する。
円板状の放電電極2a,2bの周辺部は、エッジ形状に形成されている。
放電電極2bの溝部2dには、高温プラズマ生成用の液体または固体の原料Mが配置されている。原料Mは、例えば、スズ(Sn)、リチウム(Li)である。
パルス電力供給部3より放電電極2a、2bに電力が供給されると、両電極2a,2bのエッジ部分間で放電が発生する。
放電が発生すると、放電電極2a,2bの周辺部は放電により高温となるので、放電電極2a,2bは、タングステン、モリブデン、タンタルなどの高融点金属からなる。
絶縁部材2cは、放電電極2aと2bの間の絶縁を確保するため、窒化珪素、窒化アルミニウム、ダイヤモンド等からなる。
【0012】
チャンバ1には、原料Mに対してエネルギービームを照射して、原料Mを気化するためのエネルギービーム照射機4が設けられている。エネルギービーム照射機4から照射されるエネルギービームは、例えばレーザビームである。
放電電極2bの溝部2dに配置された高温プラズマ用の原料Mに対し、エネルギービーム照射機4からレーザ入射窓4aを介してレーザビームが照射される。これによって、固体の原料Mが放電電極2aと2bとの間で気化する。この状態で、放電電極2aと2bの間にパルス電力供給部3からパルス電力が供給されると、放電電極2aのエッジ部分と放電電極2bのエッジ部分との間で放電が発生し、高温プラズマ原料MによるプラズマPが形成され、放電時に流れる大電流により加熱励起され高温化し、この高温プラズマPからEUV光が放射される。
EUV集光部1bに配置されたホイルトラップ5は、放電電極を構成する物質や高温プラズマ発生用の原料Mを基にして発生するデブリが、集光鏡6に向けて飛散することを抑制するために設けられている。
ホイルトラップ5は、放射状に伸びる複数の薄板により仕切られる複数の狭い空間が形成されている。
【0013】
EUV集光部1bに配置された集光鏡6は、高温プラズマから放射された波長13.5nmのEUV光を反射するための光反射面6aが形成されている。
集光反射鏡6は、互いに接触することなく入れ子状に配置された複数の光反射面6aにより構成されている。
各光反射面6aは、Ni(ニッケル)などからなる平滑面を有する基体材料の反射面側に、Ru(ルテニウム)、Mo(モリブデン)、Rh(ロジウム)などの金属を緻密にコーティングすることにより、0〜25°の射入射角度の極端紫外光を良好に反射するように形成されている。各光反射面6aは、集光点fが一致するように構成される。
【0014】
本発明のEUV光源装置においては、EUV光源装置の集光点(中間集光点)f以降におけるEUV光の照度分布変動を得ることを目的としている。
すなわち、中間集光点fを通過した光がEUV光源装置に接続される露光機40内に入射されるため、中間集光点f以降におけるEUV光の照度の照度分布変動を知ることによって、露光機40で露光処理する被処理体に露光ムラが発生することを防止するためである。
ここで、上記したEUV光源装置は、一対の放電電極間に形成されるプラズマが空間的広がりを有するため、図4に示すように、プラズマから放射され集光鏡6の反射面6aにより反射されても、反射されたEUV光の全てが中間集光点fに集光する訳ではなく、中間集光点fに集光されない、中間集光点fの周囲に照射される成分もある。
そこで、本発明においては、中間集光点fに集光し、露光機内に入射するEUV光の照度分布変動を検知するために、中間集光点fに集光するEUV光ではなく、中間集光点fに集光しない、中間集光点fの周囲に照射されるEUV光の照度分布特性を測定することを考えた。
【0015】
以下、中間集光点fに集光しないEUV光を検知するための検知手段について、図1と図2を用いて説明する。
中間集光点fに集光しないEUV光を検知するための検知手段20は、図1に示すように、集光鏡6と集光鏡6の集光点(中間集光点)fとの間であって、集光鏡6の光軸の周りに配置される。
そして、検知手段20は、中間集光点fの周囲に照射されるEUV光を受光しその照度分布画像を得るための受光部を備えると共に、中間集光点fに集光するEUV光が通過する開口21a,22aを有する円筒形状をしている。
即ち、中間集光点fに集光され露光機に入射するEUV光は、この開口21a,22aを通過するので、露光処理の最中(露光機の動作中)であっても、検知手段20は、中間集光点fに集光しないEUV光を検知することができる。
【0016】
図2は、検知手段20を集光鏡側から見た斜視図である。検知手段20は、集光点fに集光しないEUV光が照射される受光部21と、受光部21からの光の強さを検出する検出手段22とを備える。
受光部21はシンチレ一タであり、照射されたEUV光を可視光に変換する。受光部21は、中間集光点fの周囲に照射されるEUV光を受光する面を備えると共に、中間集光点fに集光するEUV光が通過する開口21aを有する。
検出手段22は例えばCCDであり、受光部21により可視光に変換された光を入射し、受光した照度データを電気信号として画像処理部10に送信する。検出手段22は、受光部21により変換された可視光を受光する面を備えると共に、中間集光点fに集光するEUV光が通過する開口22aを有する。
なお、検知手段20としては、中間集光点fの周囲に照射されるEUV光を受光して、照度分布を求めることができるものであればよく、例えば中間集光点fの周囲に複数の受光手段を配置したものであってもよい。
【0017】
画像処理部10は、検出手段20から受信した照度分布データに基づいて画像処理を行うことにより、EUV光源装置の中間集光点fに集光されないEUV光の照度分布を求める。
画像処理部10により得た中間集光点fに集光されないEUV光の照度分布は例えばモニタ11に表示される。また、集光鏡6には集光鏡6を移動させるための集光鏡位置移動手段13が設けられ、集光鏡位置移動手段13は位置調整手段12により駆動される。
上記のようにして求めた、中間集光点fに集光されないEUV光の照度分布は、前記したように集光点fに集光して露光機内に入射するEUV光の照度分布と相関しているので、上記検知手段20により得られたEUV光の照度分布の悪化から、集光点fに集光して露光機内に入射するEUV光の照度分布の悪化を知ることができる。
そこで、モニタ11に表示される照度分布が、あらかじめ測定した初期の照度分布に比べて悪化していれば、集光鏡位置調整手段13により集光鏡移動手段14を駆動して集光鏡6の位置を補正することができる。
すなわち、EUV光源装置の中間集光点fに集光されないEUV光の照度分布が良くなるように、集光鏡位置調整手段13により集光鏡移動手段14を駆動して集光鏡6を移動させ、集光点fに集光して露光機内に入射するEUV光の照度分布を改善する。
【0018】
上記したように、検知手段20は、露光処理中(露光機40の動作中)であっても、中間集光点fに集光されないEUV光を検知することができ、中間集光点fに集光するEUV光を遮らないので、リアルタイムで、露光機内に入射するEUV光の照度分布の悪化を知ることができ、また、それに応じて、リアルタイムで集光鏡6を移動させ、EUV光の照度分布変動を補正することができる。
【0019】
図3は、中間集光点fに集光されるEUV光の照度分布と、中間集光点fに集光されないEUV光の照度分布の相関を示す図である。
同図(a)に示すように、EUV光の中間集光点fにアパーチャ30を配置し、アパーチャ30が配置された中間集光点fの集光鏡6側に、前記図2に示した中央に開口を有する照度分布を測定するための検知手段20を配置し、また、中間集光点f以降(中間集光点に対して集光鏡6の反対側)の予め設定された位置に、EUV光の照度分布を測定するための検知手段31を配置して、中間集光点fに集光されないEUV光の照度分布と、中間集光点に集光されるEUV光の照度分布を測定した。
【0020】
図3(b)が中間集光点fに集光されるEUV光の照度分布であり、(c)が中間集光点fに集光されないEUV光の照度分布である。白の部分がEUV光の強度が強い部分であり、灰色から黒の部分がEUV光の強度が弱い部分である。
図3(b)の(ア)は、中間集光点fに集光されるEUV光の照度分布が最適な場合であり、白い部分が全体に均一に広がっている。
これに対応する中間集光点fに集光されないEUV光の照度分布も、図3(c)の(ア)に示すように、白の部分が全体に均一に広がっている(全体を6分割している黒の部分は、集光鏡6の各反射面6aを支持する支持部材の影である)。
図3(b)の(イ)(ウ)は、中間集光点fに集光されるEUV光の照度分布が、図中上側のEUV強度が強い場合である。これに対応する、中間集光点fに集光されないEUV光の照度分布も、図3(c)の(イ)(ウ)に示すように、図中上側のEUV強度が強くなっている。
【0021】
図3(b)の(エ)(オ)は、中間集光点fに集光されるEUV光の照度分布が、図中右側のEUV強度が強い場合である。これに対応する、中間集光点fに集光されないEUV光の照度分布も、図3(c)の(エ)(オ)に示すように、図中右側のEUV強度が強くなっている。
このように、中間集光点fに集光されないEUV光の照度分布は、中間集光点fに集光されるEUV光の照度分布と同様に振舞い相関性があることが分かる。
したがって、中間集光点fに集光されないEUV光の照度分布を検知手段20で検知することで、中間集光点fに集光されるEUV光の照度分布を知ることができ、また、中間集光点fに集光されないEUV光の照度分布が均一になるように、集光鏡6の位置を調整すれば、中間集光点fに集光されるEUV光の照度分布を均一にすることができる。
【0022】
なお、集光鏡6を移動させると、ホイルトラップ5との相対位置関係が異なり、両者の位置関係の違いが照度分布に影響する場合も考えられる。そのため、反射集光鏡6を移動させる場合は、ホイルトラップ5も共に移動させるようにすることが望ましい。そのためには、反射集光鏡6とホイルトラップ5とを互いに接続固定して構成してもよい。
また、この中間集光点fに集光されないEUV光の照度分布を検知することによる集光鏡6の位置の調整は、集光鏡6を新しいものに交換した際の、集光鏡6の位置調整においても使用することができる。
なお、プラズマからは、波長13.5nmのEUV光よりも波長の長い帯域外光も放射され、受光部21に入射する。帯域外光の照度分布はEUV光の照度分布と異なる場合がある。そのため、受光部21に多くの帯域外光が照射されると、EUV光の正確な照度分布が得られないことがある。
そのため、受光部21の光入射側に、波長13.5nmのEUV光のみを透過する波長選択素子を配置して、EUV光のみが受光部21に照射されるようにしても良い。これにより、帯域外光のEUV光の照度分布への影響を低減することができる。
【0023】
上記実施例においては、放電電極間に生じる放電によりEUV光を放射するEUV光源装置を例にして説明を行ったが、EUV光源装置には放電電極を備えないものもあり、そのような装置にも、本発明の集光反射鏡の位置調整方法を適用することができる。
図5に、放電電極を備えないEUV光源装置に本発明を適用した構成の概略を示す。
EUV光源装置は、集光光学手段である集光鏡61を収容するチャンバ1を備える。集光鏡61は、高温プラズマから放射された波長13.5nmのEUV光を反射し、その光を集光点fに集光するための光反射面61aが形成されている。
チャンバ1には、チャンバ1内を真空状態にするためのガス排気ユニット1cが設けられている。
EUV光源装置は、集光鏡61の光反射面61a側に、高温プラズマ生成用の液体または固体の原料Mを落下(滴下)して供給する原料供給手段62を備える。原料Mは、例えば、スズ(Sn)、リチウム(Li)である。
EUV光源装置は、原料供給手段62により供給された原料Mに対して、非常に高いエネルギーのレーザビームを照射する高出力のレーザ装置63を備える。
原料供給手段62により、集光鏡61の光反射面61a側に供給された高温プラズマ用の原料Mに対し、高出力のレーザ装置63からレーザ入射窓63aを介して非常に高いエネルギーを有するレーザビームが照射される。これによって、原料Mが高温プラズマとなり、波長13.5nmのEUV光を放射する。高温プラズマから放射されたEUV光は、集光鏡61の光反射面61aにより反射され、中間集光点fに集光する。
しかし、上記したように、生成されたプラズマは空間的広がりを有するため、プラズマから放射され集光鏡61により反射されても、反射されたEUV光の全てが中間集光点fに集光する訳ではなく、中間集光点fに集光されない、中間集光点fの周囲に照射される成分が生じる。
そこで、上記実施例と同様に、中間集光点fに集光しないEUV光を検知するための検知手段20を、集光鏡61と集光鏡61の集光点(中間集光点)fとの間であって、集光鏡61の光軸上に配置し、中間集光点fに集光せずその周囲に照射されるEUV光の照度分布を測定する。
そして、測定した中間集光点fに集光しないEUV光の照度分布に基づいて、集光鏡61の位置を移動させ、中間集光点fに集光するEUV光の照度分布変動を補正する。
【符号の説明】
【0024】
1 チャンバ
1a 放電部
1b EUV集光部
2a,2b 放電電極
2c 絶縁部材
3 パルス電力供給部
4 エネルギービーム照射機
5 ホイルトラップ
6 集光鏡
10 画像処理部
11 モニタ
13 位置調整手段
14 集光鏡移動手段
20 検知手段
21 シンチレータ
22 CCD
30 アパーチャ
31 検知手段
40 露光機
61 集光鏡
62 原料供給手段
63 高出力レーザ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
極端紫外光を反射して集光する集光光学手段を備えた極端紫外光光源装置における照度分布の検出方法であって、
上記集光光学手段により集光される光を通過させ、集光しない光であって光軸の周りの複数個所の光を受光し、該光の照度分布から、上記集光光学手段の集光位置における照度分布を求める
ことを特徴とする極端紫外光光源装置における照度分布の検出方法。
【請求項2】
極端紫外光を集光する集光光学手段を備えた極端紫外光光源装置における集光光学手段の位置調整方法であって、
上記集光反射鏡と該集光反射鏡の集光点との間に配置され、上記集光光学手段により集光される光を通過させ、集光しない光であって光軸の周りの複数個所の光を受光して照度分布を測定する第1の工程と、
上記第1の工程により測定された照度分布が、均一になるように上記集光光学手段を移動させる第2の工程からなる
ことを特徴とする極端紫外光光源装置おける集光光学手段の位置調整方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−198609(P2011−198609A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64016(P2010−64016)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代半導体材料・プロセス基盤(MIRAI)プロジェクト/次世代半導体材料・プロセス基盤(MIRAI)プロジェクト(石特会計/EUV光源高信頼化技術開発)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】