説明

極端紫外光光源装置

【課題】磁場トラップによってデブリ拡散が防止されたデブリの回収と残存ターゲットの回収とを簡易な構成で行うことができること。
【解決手段】極端紫外光光源装置10は、ターゲット17をノズル7から供給するターゲット供給部(5、6)と、ノズル7に対向する位置に配置され、プラズマの生成に寄与しなかったターゲットである残存ターゲットを回収するターゲット回収部(14、15)と、プラズマが生成されるプラズマ領域を通る磁界方向軸周辺に磁場領域を形成し該プラズマ領域から放出されるイオンを含む荷電粒子を該磁界方向へ収束する磁場生成部(11a、11b)と、前記磁場により収束された荷電粒子を回収するために前記磁場領域の磁界方向軸両端側に設けられた荷電粒子回収部(12a、12b)と、を備え、ノズル7が、真空チャンバ1内であって、磁場領域内で荷電粒子が収束される収束領域E2外に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ターゲットにレーザ光を照射してプラズマを生成し該プラズマから放射された極端紫外光を出力する極端紫外光光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の微細化に伴って、半導体プロセスの光リソグラフィにおける転写パターンの微細化が急速に進展している。次世代においては、70nm〜45nmの微細加工、さらには32nm以下の微細加工が要求されるようになる。このため、たとえば32nm以下の微細加工の要求に応えるべく、波長13nm程度の極端紫外光(EUV)光源と縮小投影反射光学系とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
【0003】
EUV光源としては、ターゲットにレーザビームを照射することによって生成されるプラズマを用いたLPP(Laser Produced Plasma:レーザ励起プラズマ)光源と、放電によって生成されるプラズマを用いたDPP(Discharge Produced Plasma)光源と、軌道放射光を用いたSR(Synchrotron Radiation)光源との3種類がある。これらのうち、LPP光源は、DPP光源やSR光源と比較してプラズマ密度を大きくできるので、黒体輻射に近い極めて高い輝度が得られるという利点を有する。また、LPP光源は、ターゲット物質を選択することによって、所望の波長帯の強い光を得ることが可能であるという利点を有する。さらに、LPP光源は、光源の周囲に電極等の構造物がなく、ほぼ等方的な角度分布をもつ点光源であるので、極めて大きな捕集立体角の確保が可能である等の利点を有する。これらのような利点を有するLPP光源は、数十から数百ワット以上のパワーが要求されるEUVリソグラフィ用の光源として注目されている。
【0004】
このLPP方式によるEUV光光源装置は、まず、真空チャンバ内に供給されるターゲット物質に対してレーザ光を照射することにより、ターゲット物質を励起させてプラズマ化する。すると、このプラズマからEUV光を含む様々な波長成分よりなる光が放射される。そこでEUV光光源装置は、所望の波長成分、たとえば13.5nmの波長成分のEUV光を選択的に反射するEUV光集光ミラーを用いてEUV光を反射して集光する。集光されたEUV光は、露光装置に入力される。EUV光集光ミラーの反射面には、たとえば、モリブデン(Mo)の薄膜とシリコン(Si)の薄膜とが交互に積層された構造を持つ多層膜(Mo/Si多層膜)が形成されている。この多層膜は、波長13.5nmのEUV光に対して高反射率(約60%から70%)を示す。
【0005】
ここで、上述したように、ターゲットへのレーザ光照射によってプラズマが生成されるが、このプラズマの発生時に、ガス状のイオン粒子および中性粒子やプラズマになりきれなかった微粒子(金属クラスター)などの粒子(デブリ)が、プラズマ発生点からその周辺に飛び出す。デブリは、それぞれ真空チャンバ内に配置されたEUV光集光ミラーや、ターゲットにレーザ光を集光するための集光用ミラーや、その他のEUV光強度計測光学系などの各種光学素子の表面に向けて飛んでいく。このため、比較的エネルギーの高い高速イオンデブリは、光学素子の表面を侵食してこの表面の反射膜を破壊する。この結果、光学素子の表面は、ターゲット物質である金属成分となる。また、比較的エネルギーの低い低速イオンデブリや中性粒子デブリは、光学素子の表面に堆積する。この結果、光学素子の表面に、ターゲット物質である金属との化合物の層が形成される。このように、デブリの照射によって各光学素子の反射膜が破壊されたり光学素子の表面に化合物層が形成されたりすると、光学素子の反射率もしくは透過率が低下して使用に耐えないものとなってしまう。
【0006】
そこで、特許文献1は、電流が供給されたときに集光光学系内に磁場を発生させる磁場発生手段を設けることで、プラズマから放出されたイオンデブリをトラップする技術を開示する。この技術によれば、磁場内にEUV光の発光点を配置しておくことで、発光点周辺に発生したプラズマから放出されるイオンデブリが磁場によるローレンツ力を受けて磁界方向へ収束される。この結果、周辺の光学素子にデブリが付着したり光学素子が損傷されたりすることが低減される。
【0007】
ただし、上記特許文献1では、ターゲットノズルが磁界方向と同軸上に配置されるため、磁界方向に移動する高速イオンデブリがターゲットノズルに衝突してしまう。この結果、ターゲットノズルの先端がイオン衝突によってスパッタリングされることで、ノズル先端の形状が変化してしまう。ターゲットノズルの先端形状が変形してしまうと、例えばターゲットをドロップレットとしてプラズマ発生点に供給する場合に、ドロップレットの位置安定性が悪化してしまう。また、ノズルのスパッタリングは、これによって放出されるノズル材の物質が光学素子に付着するという、新たな光学素子の汚染要因になる。
【0008】
上記のような問題を解決する技術として、例えば特許文献2は、磁界方向と垂直な方向にノズルを配置することによって、ノズルとドロップレット供給方向に配置される光学素子とへのデブリの衝突を低減する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−197456号公報
【特許文献2】特開2007−207574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献2が開示する極端紫外光光源装置では、プラズマ発光点を臨むようにノズルに対向配置され且つノズルから供給されたドロップレットのうちプラズマ発生に寄与しなかった残りのドロップレットである残存ドロップレットを回収する回収部と、磁場方向に設けてイオンデブリを回収する回収部と、が直交配置される。それに加え、この極端紫外光光源装置では、イオンデブリの回収部が排気のための構造を備える。このため、装置構成が複雑で、大型化するという問題があった。
【0011】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、磁場トラップによるデブリ拡散防止およびデブリの回収と残存ターゲットの回収とをそれぞれ簡易な構成で実現することができる極端紫外光光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる極端紫外光光源装置は、ターゲットにレーザ光を照射してプラズマを生成し該プラズマから極端紫外光を発生する極端紫外光光源装置において、前記ターゲットをノズルから供給するターゲット供給部と、前記ノズルに対向する位置に配置され、前記プラズマの生成に寄与しなかったターゲットである残存ターゲットを回収するターゲット回収部と、前記プラズマが生成されるプラズマ領域を通る磁界方向軸周辺に磁場領域を形成し該プラズマ領域から放出されるイオンを含む荷電粒子を該磁界方向へ収束する磁場生成部と、前記磁場により収束された前記荷電粒子を回収するために、前記磁場領域の磁界方向軸両端側に設けられた荷電粒子回収部と、を備え、前記ノズルが、極紫外光発生チャンバ内であって、前記磁場領域内で前記荷電粒子が収束される収束領域外に配置されることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる極端紫外光光源装置は、上記の発明において、前記ターゲット回収部と該ターゲット回収部側に配置された前記荷電粒子回収部とが同一の回収部であることを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる極端紫外光光源装置は、上記の発明において、前記磁界方向の軸と前記ターゲットの供給軸とが傾いて形成され、各軸間の傾斜角が、前記ターゲットが前記磁場領域を通過する際に生じるローレンツ力による該ターゲットの変位に対して前記レーザ光の該ターゲットへの照射制御が可能な最大傾斜角内であることを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる極端紫外光光源装置は、上記の発明において、前記ノズルが、ノズル先端領域に電場を発生させる電場発生部を含み、前記荷電粒子の軌道が、前記ノズル先端領域に発生した電場によって前記ノズル先端からそらされることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる極端紫外光光源装置は、上記の発明において、前記電場発生部が、前記ターゲットの供給開口を除いてノズル先端領域を覆う静電グリッドを含むことを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかる極端紫外光光源装置は、上記の発明において、前記電場発生部によって軌道がそれた荷電粒子を回収する回収部をさらに備えたことを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかる極端紫外光光源装置は、上記の発明において、前記ターゲット回収部、前記荷電粒子回収部、および/または前記回収部それぞれが、回収した物質を液化する液化部と、前記液化部で液化された物質を排出する排出部と、を含むことを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかる極端紫外光光源装置は、上記の発明において、少なくとも前記ノズルの先端が、前記プラズマから放射されたEUV光のオブスキュレーション領域内に配置されたことを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかる極端紫外光光源装置は、上記の発明において、前記ターゲット回収部の少なくとも一部が、前記プラズマから放射されたEUV光のオブスキュレーション領域内に配置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、ノズルが、極紫外光発生チャンバ内であって、磁場領域内で荷電粒子が磁界によるローレンツ力で収束される収束領域外に配置されるようにしているので、磁場トラップによってデブリ拡散が防止されたデブリの回収と残存ターゲットの回収とを近接して行うことができ、結果的に、デブリの回収と残存ターゲットの回収とを簡易な構成で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、この発明の実施の形態1による極端紫外光光源装置をEUV光の光軸と垂直な面で切断した際の垂直断面図である。
【図2】図2は、この実施の形態1による極端紫外光光源装置をEUV光の光軸を含む面で切断した際の垂直断面図である。
【図3】図3は、プラズマ発光点近傍の状態を示す模式図である。
【図4】図4は、ノズルの傾斜角を説明する模式図である。
【図5】図5は、ノズルと収束部と回収筒との関係を説明する模式図である。
【図6】図6は、ラーマ半径を説明する模式図である。
【図7】図7は、磁界内のドロップレットの運動を示す模式図である。
【図8】図8は、出射されたドロップレットの磁界内の運動を説明する模式図である。
【図9】図9は、磁界内におけるドロップレットの変位量を説明する模式図である。
【図10】図10は、この発明の実施の形態2による極端紫外光光源装置をEUV光の光軸と垂直な面で切断した際の垂直断面図である。
【図11】図11は、この発明の実施の形態3による極端紫外光光源装置のノズル先端部近傍の構成を示す断面図である。
【図12】図12は、この実施の形態3による極端紫外光光源装置のノズル先端部近傍の構成を示す模式図である。
【図13A】図13Aは、この実施の形態3の変形例1による極端紫外光光源装置のノズル先端部近傍の構成を示す側面図である。
【図13B】図13Bは、この実施の形態3の変形例1による極端紫外光光源装置のノズル先端部近傍の構成を示す断面図である。
【図14】図14は、この実施の形態3の変形例2による極端紫外光光源装置のノズル先端部近傍の構成を示す縦断面図である。
【図15A】図15Aは、この実施の形態3の変形例2による極端紫外光光源装置のノズル先端部近傍の構成を示す側面図である。
【図15B】図15Bは、この実施の形態3の変形例2による極端紫外光光源装置のノズル先端部近傍の構成を示す横断面図である。
【図16】図16は、この発明の実施の形態4による極端紫外光光源装置をEUV光の光軸を含む面で切断した際の垂直断面図である。
【図17】図17は、図16におけるA−A面に転写されたファーフィールドパターンの一例を示す図である。
【図18】図18は、この発明の実施の形態5による極端紫外光光源装置をEUV光の光軸を含む面で切断した際の垂直断面図である。
【図19】図19は、図18におけるB−B面に転写されたファーフィールドパターンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の各実施の形態による極端紫外光光源装置について、図面を参照して説明する。
【0024】
(実施の形態1)
まず、図1は、この発明の実施の形態1による極端紫外光光源装置をEUV光の光軸と垂直な面で切断した際の垂直断面図である。図2は、この発明の実施の形態1による極端紫外光光源装置をEUV光の光軸を含む面で切断した際の垂直断面図である。図3は、プラズマ発光点近傍の状態を示す模式図である。図1〜図3において、この極端紫外光光源装置10は、プラズマ発光点P1が中心部分に配置された真空チャンバ1を有する。真空チャンバ1の外部に設けられた駆動レーザ2から出射されたCOパルスレーザ光Laは、真空チャンバ1のレーザ光入力用のウィンド1aを介して真空チャンバ1内に入力される。このCOパルスレーザ光Laは、真空チャンバ1内の集光光学系3およびEUV光集光ミラー8の穴部8aを介してプラズマ発光点P1に集光される。
【0025】
また、真空チャンバ1の外部に設けられたSnタンク5は、Snの溶融金属を蓄えており、供給管6を介してノズル7からターゲットであるSnのドロップレット17を出射する。ノズル7は、ドロップレット17がプラズマ発光点P1を通過するように出射する。ここで、プラズマ発生点P1において各ドロップレット17にCOパルスレーザ光Laが照射されるように、各ドロップレット17の出射タイミングとCOパルスレーザ光Laのパルスタイミングとが図示しない制御部によって同期制御される。レーザダンパ18は、駆動レーザ2のレーザ光を吸収するために設置されている。
【0026】
真空チャンバ1内には、EUV光集光ミラー8が設けられる。EUV光集光ミラー8は、ドロップレット17にCOパルスレーザ光Laが照射されることによって生じたプラズマから放射されるEUV光Lbを集光するように反射する。反射されたEUV光Lbは、真空バルブ1bを介して図示しない外部の露光装置へ出力される。ここで、真空バルブ1bの代わりに、所望の波長のEUV光のみを透過するスペクトルフィルタを設置してもよい。具体的なスペクトルフィルタの例としては、Zr等の薄膜フィルタがある。
【0027】
ここで、真空チャンバ1内には、プラズマ発光点P1を挟む1対のマグネット11a,11bが設けられる。マグネット11a,11bは、プラズマ発光点P1で生成されたイオンを含む荷電粒子の移動方向を制御するための、プラズマ発光点P1を通る軸方向の磁界を発生させる。ここで言うマグネットとは、超電導磁石または電磁コイルである。Snプラズマから拡散したSnイオンや電子などの荷電粒子(イオンデブリともいう)は、その価数とエネルギーと存在位置にかかる磁束密度とに応じて、磁界方向に沿った向きのある範囲内に収束する。
【0028】
収束領域E2内に収束された荷電粒子は、プラズマ発光点P1を通る磁界印加方向の両端部に設けられた荷電粒子回収筒12a,12bによって回収される。また、ノズル7から出射されたもののEUV光Lbの発生に寄与しなかったドロップレットはプラズマ発光点P1を挟んで対向する位置に配置されたターゲット回収筒14によって回収される。
【0029】
ここで、本実施の形態におけるEUV光Lbの発生に寄与しなかったドロップレットとは、以下の2つの何れかに該当するドロプレットを指す。第1に、ドロップレットにレーザが照射されたが、EUV発光に寄与しなかったターゲット材料(変形したドロップレット、飛散微粒子等)である。第2に、レーザ光が照射されなかったドロップレットである。なお、第2のドロップレットとは、ドロプレットの軌道(ドロップレットの軌道C1:図3参照)がレーザの照射位置(プラズマ発光点P1)を通過しない場合や、照射位置を通過したとしてもレーザ光を照射しなかった場合のドロップレット(ターゲット材料)である。
【0030】
荷電粒子回収筒12a,12bおよびターゲット回収筒14は、それぞれ回収したSnを真空チャンバ1の外部に排出するための排出管13a,13b,15を備えてもよい。回収したSnは、排出しやすくするために溶融されてもよい。この場合、排出されたSnは、再生処理によって再びSnタンク5に供給されてもよい。
【0031】
なお、ノズル7、供給管6、荷電粒子回収筒12a,12b、ターゲット回収筒14、および排出管13a,13b,15は、例えばEUV光集光ミラー8とマグネット11a,11bとの間の空間内に配置される。ただし、これに限定されず、ノズル7、供給管6、荷電粒子回収筒12a,12b、ターゲット回収筒14、および排出管13a,13b,15は、EUV光Lbの発生・集光を妨げないような位置に配置されればよい。この際、ノズル7、供給管6、荷電粒子回収筒12a,12b、ターゲット回収筒14、および排出管13a,13b,15は、プラズマ発光点P1に近い位置に設けられることが好ましい。
【0032】
ここで、ノズル7は、収束領域E2外であって、荷電粒子回収筒12aの近傍に設けられる。また、荷電粒子回収筒12bとターゲット回収筒14とは、兼用であってもよい。すなわち、1つの回収筒で荷電粒子およびドロップレットを回収してもよい。これは、ノズル7が荷電粒子回収筒12aの近傍に配置されることによって、ノズル7に対向するターゲット回収筒14が荷電粒子回収筒12bの近傍に配置されるからである。これによって、荷電粒子回収筒12a,12bで回収される荷電粒子がノズル7に衝突することを低減でき、結果、ノズル7の劣化が防止される。なお、荷電粒子回収筒12bとターゲット回収筒14とを兼用とした場合、排出管13b,15を1つの排出管とすることができる。また、荷電粒子回収筒12a,12b、ターゲット回収筒14、および排出管13a,13b,15は、荷電粒子回収筒12a,12bおよびターゲット回収筒14に溜まったSnを溶融させるために、300℃程度の高温に加熱しておくことが好ましい。これにより、荷電粒子回収筒12a,12bおよびターゲット回収筒14に溜まったSnを液体状にして排出管13a,13b,15から外部へ容易に排出することが可能となる。
【0033】
しかも、この実施の形態1では、図3に示すように、磁界方向軸C2とドロップレット17の出射方向軸C1とが略同一方向を向き且つ交差するように斜めに配置されるので、ドロップレット17が帯電されている場合、磁界領域E1を通過するドロップレット17がローレンツ力によってドロップレット17の出射方向軸C1から位置ずれすることがほとんどなくなる。この結果、COパルスレーザ光のドロップレット17に対する照射精度を高くすることができるとともに、ドロップレット17への照射を容易に制御することができる。
【0034】
つぎに、磁界方向軸C2とドロップレット17の出射方向軸C1とがなす角度(傾斜角)について説明する。図4は、ノズルの傾斜角を説明する模式図である。図5は、ノズルの傾斜を説明する模式図である。図6は、ラーマ半径を説明する模式図である。図7は、磁界内のドロップレットの運動を示す模式図である。図8は、出射されたドロップレットの磁界内の運動を説明する模式図である。図9は、磁界内におけるドロップレットの変位量を説明する模式図である。まず、図4に示すように、ノズル7からプラズマ発光点P1までの距離をL、収束領域E2の幅をW、傾斜角をθとすると、傾斜角θは、以下の式1で表される。
θ=arcsin(W/2L) ・・・(式1)
ここで、磁束密度をB、荷電粒子(イオン)のエネルギーをE、荷電粒子の質量をm、イオン価数をn、電荷をqとすると、図6に示すように、イオンの軌道TRによって求められるラーマ半径Rは、以下の式2で表される。
=SQRT((2mE)/(nQB)) ・・・(式2)
ここで、幅W=4Rであるので、ノズル7が収束領域E2の外部に位置する最小の傾斜角θminは、以下の式3で求まる。
θmin=arcsin(2・SQRT(2mE)/(nQBL)) ・・・(式3)
したがって、上述したノズル7の傾斜角θ、すなわちドロップレット17の出射方向軸C1と磁界領域E1の磁界方向軸C2とのなす角度は、図4に示すように、傾斜角θmin以上とすればよい。
【0035】
たとえば、磁界密度B=1T、エネルギーE=0.6KeV、イオン価数n=2.5、距離L=250mmである場合、θmin=9.1degになる。すなわち、この場合、ドロップレット17の出射方向軸C1と磁界領域E1の磁界方向軸C2との傾斜角θを9.1degより大きな角度とすることで、荷電粒子がノズル7に衝突することを防止できる。
【0036】
ここで、ドロップレット17が特定のドロップレットの引き抜きなどを行うために帯電されている場合、この帯電されたドロップレット17は、ローレンツ力の影響を受ける。すなわち、帯電されたドロップレット17は、自身の速度方向のうち、磁界方向に垂直な成分Vvによって影響を受ける。例として、質量m、荷電量qのドロップレット17が磁束密度B内で等速円運動をする場合を考察する。この場合、図7に示すように、磁界方向に垂直に距離lを進むとき、ドロップレット17は、ローレンツ力によって以下の式4で表される変位量h分の影響を受ける。
h=(l・q・B)/(2・m・Vv) ・・・(式4)
【0037】
したがって、図8に示すように、ドロップレット17が磁界方向軸C2に対して傾斜角θで出射された場合、初速Vの磁界方向軸C2に対する垂直成分Vvおよび水平成分Vhは以下の式5で表され、また、ドロップレット17がプラズマ発光点P1までの距離Lを進むことによりドロップレット17が磁界を横切る距離lは、以下の式6で表されることから、図9に示すように、ドロップレット17が磁界方向軸C2に対して直角な方向へ受ける変位量hは、以下の式7のようになる。
Vv=Vsinθ
Vh=Vcosθ ・・・(式5)
l=Lsinθ ・・・(式6)
h=(L・q・Bsinθ)/(V・2・m) ・・・(式7)
ここで、COパルスレーザ光のプラズマ発光点P1への位置制御が可能な最大変位量をh’とすると、傾斜角θの最大角度θmaxは、以下の式8となる。
θmax=arcsin((V・2・m・h’)/(L・q・B)) ・・・(式8)
すなわち、傾斜角θを最大角度θmaxまで傾けてよいことになる。以上のことから、傾斜角θは、θmin<θ<θmaxを満足すればよいことが求まる。
【0038】
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、ノズル7、供給管6、荷電粒子回収筒12a,12b、ターゲット回収筒14、および排出管13a,13b,15が、EUV光集光ミラー8とマグネット11a,11bとの間の空間内に配置された。一方、この実施の形態2では、図10に示すように、ノズル27、供給管26の一部、荷電粒子回収筒22a、荷電粒子およびターゲットの両方を回収する回収筒24、および排出管23a,25の一部が、マグネット11a,11bのボア11c,11d内に配置される。なお、図10は、この発明の実施の形態2による極端紫外光光源装置をEUV光の光軸と垂直な面で切断した際の垂直断面図である。
【0039】
この実施の形態2では、ノズル27、荷電粒子回収筒22a、回収筒24などをボア11c,11d内に配置しているので、マグネット11a,11b間の間隔を短くすることができる。この結果、マグネット11a,11bの小型化、ひいては極端紫外光光源装置自体の更なる小型化が可能となる。
【0040】
(実施の形態3)
つぎに、この発明の実施の形態3について説明する。この実施の形態3では、図11および図12に示すように、ノズル先端部37aの周辺に電場発生部を設ける。これにより、ノズルに対する荷電粒子の衝突がさらに低減されるため、ノズルの劣化をより効果的に防止することができる。なお、図11は、この発明の実施の形態3による極端紫外光光源装置のノズル先端部近傍の構成を示す断面図である。図12は、この発明の実施の形態3による極端紫外光光源装置のノズル先端部近傍の構成を示す模式図である。
【0041】
通常、プラズマ発光点P1近辺の磁界によって収束した荷電粒子は、荷電粒子回収筒32で回収される。しかしながら、想定以上に荷電粒子が高いエネルギーを持っていた場合、この高エネルギーの荷電粒子が磁界内に収束されずにノズル先端部37a方向へ飛び出してしまう可能性がある。そこで、この実施の形態3では、電源39によってノズル先端部37aに正電位を印加するとともに、ノズル先端部37aを包む荷電粒子回収筒38を負電位または接地電位とする。これにより、ノズル先端部37aから径外方向に電場が形成されこの磁場と荷電粒子とのクーロン力によって正の電荷を持つ荷電粒子がノズル先端部37aに対して反発する。この結果、正の電荷を持つ荷電粒子とノズル先端部37aとの衝突が防止される。また、荷電粒子の速度を減速させてノズル先端部37aのスパッタリングを防止することも可能となる。
【0042】
クーロン力によってノズル先端部37aへの軌道から外れた荷電粒子(Sn)は、荷電粒子回収筒38の内壁に付着し、その後、回収される。ノズル先端部37aの基部は、周辺構造物との絶縁のため絶縁部37bに覆われているのが望ましい。
【0043】
なお、図13Aおよび図13Bに示すように、荷電粒子回収筒38および排出管41の外周に温調器40を設け、この温調器40を用いて荷電粒子回収筒38の内壁に付着したSnを溶融温度以上に加熱してもよい。これによって、付着したSnが溶融した溶融Sn42として液化して排出管41から外部に排出されるため、Snを容易に回収することができる。図13Aは、この発明の実施の形態3の変形例1による極端紫外光光源装置のノズル先端部近傍の構成を示す側面図であり、図13Bは、この実施の形態3の変形例1による極端紫外光光源装置のノズル先端近傍の構成を示す断面図である。溶融Sn42は、溶融Snリザーバ43からノズル管44を介して供給される。
【0044】
また、図14、図15Aおよび図15Bに示すように、ノズル先端部37aの周辺にドロップレット17を射出するための射出口50aが形成された静電グリッド50を設け、この静電グリッド50に正電位を印加してもよい。これにより、ノズル先端部37aに直接正電位を印加した場合と同様に、静電グリッド50から荷電粒子回収筒38に向けて電場が形成されるため、静電グリッド50は、荷電粒子の軌道を反発するクーロン力によって荷電粒子のノズル先端部37a方向の軌道から逸らすことが可能となる。この結果、ノズル先端部37a方向へ飛び出した荷電粒子を荷電粒子回収筒38の内壁に付着させることができる。また、たとえ荷電粒子の軌道を逸らしきれずに荷電粒子が静電グリッド50に到達したとしても、この静電グリッド50で荷電粒子を捕獲することができる。さらに、静電グリッド50を温調することで、静電グリッド50に付着した荷電粒子(Sn)の堆積物を溶融し、溶融Sn42として外部に排出して回収することができる。なお、図14は、この発明の実施の形態3の変形例2による極端紫外光光源装置のノズル先端部近傍の構成を示す縦断面図である。図15は、この発明の実施の形態3の変形例2による極端紫外光光源装置のノズル先端部近傍の構成を示す側面図であり、図15Bは、この実施の形態3の変形例2による極端紫外光光源装置のノズル先端部近傍の構成を示す断面図である。溶融Sn42は、溶融Snリザーバ43からノズル管44を介して供給される。
【0045】
(実施の形態4)
つぎに、この発明の実施の形態4について、図面を用いて詳細に説明する。図16は、本発明の実施の形態4による極端紫外光光源装置をEUV光の光軸を含む面で切断した際の垂直断面図である。図17は、図16におけるA−A面に形成されたファーフィールドパターンの一例を示す図である。なお、以下の説明におけるファーフィールドパターンとは、EUV光集光ミラー8によって反射されたEUV光LbがEUV露光器21内の集光点P2を通過した後に例えばA−A面(図16参照)に形成するパターンを指す。
【0046】
ここで、本実施の形態による極端紫外光光源装置20を説明するにあたり、オブスキュレーション領域について説明する。オブスキュレーション領域とは、EUV集光ミラー4によって集光されるEUV光LbがEUV露光機11において利用されない角度範囲に対応する領域Eのことをいう。すなわち、発光点P1から放射されたEUV光は、EUV集光ミラー4によって集光点P2に集光される。この説明においては、この集光点P2において露光機11において利用されない角度範囲に対応する3次元的な体積領域をオブスキレーション領域OBと定義する。通常、このオブスキュレーション領域OBのEUV光は、EUV露光機11における露光に用いられない。そのため、このオブスキレーション領域OBにおけるEUV光が露光装置に入力されなくても、露光装置の露光性能やスループットに影響を与えることはない。
【0047】
そこで、本実施の形態では、後述において詳述するように、このオブスキュレーション領域OB内にノズル7の先端(供給管6を含んでもよい)を配置する。この構成により、ノズル7の先端とプラズマ発光点P1との距離を短くすることが可能となるため、ドロップレット17の通過位置安定性を向上することが可能となる。この結果、安定した強度のEUV光Lbを生成することが可能となる。
【0048】
なお、ノズル7等をオブスキュレーション領域OB内に配置させる構成では、ファーフィールドパターン(図17参照)における露光に使用しない領域(オブスキュレーション領域OBの転写パターン)のエネルギー(光量)のみが変化するため、この変化がEUV露光器21での露光に影響を与えることはない。
【0049】
続いて、本実施の形態による極端紫外光光源装置20について説明する。図16に示すように、極端紫外光光源装置20は、上記実施の形態1による極端紫外光光源装置10(例えば図1参照)と同様の構成を備える。ただし、図16および図17に示すように、本実施の形態による極端紫外光光源装置20では、少なくともノズル7の先端が真空チャンバ1内のオブスキュレーション領域OB内にプラズマ発光点P1へ向いた状態で配置される。ただし、ノズル7の先端に限らず、ノズル7全体や供給管6の一部または全部がオブスキュレーション領域OB内に配置されてもよい。また、ターゲット回収筒14は、ノズル7の先端とプラズマ発光点P1とを結ぶ直線C1の延長上に配置される。この際、ノズル7の先端とターゲット回収筒14とを結ぶ線、すなわちドロップレット17の出射方向軸C1が、EUV光Lbの光軸A1と磁界方向C2とが形成する面内に含まれるように、ノズル7の先端およびターゲット回収筒14が配置される。したがって、出射方向軸C1は、磁界方向C2に対して光軸A1方向へ傾いている。
【0050】
より具体的には、ノズル7の先端は、収束領域E2(図3参照)外であって、できる限りプラズマ発光点P1の近傍に配置されることが好ましい。このように、ノズル7の先端を収束領域E2外に配置することで、上述した実施の形態と同様に、ノズル7がプラズマ発光点P1のSnプラズマから拡散したSnイオンや電子などの荷電粒子によって損傷を受けることを防止できる。また、ノズル7の先端をできる限りプラズマ発光点P1に近づけることで、ノズル7の先端から吐出されるドロップレット17に精度良くプラズマ発光点P1を通過させることや、ドロップレット17がプラズマ発光点P1を通過するタイミングを制御することが容易となる。すなわち、本実施の形態によれば、EUV露光器21での露光に有効なEUV光Lbのエネルギー(光量)を低下させることなく、ドロップレット17の通過位置安定性の向上が可能となり、この結果、安定した強度のEUV光Lbを生成することが可能となる。
【0051】
さらに、ターゲット回収筒14も、少なくとも一部または全部がオブスキュレーション領域OB内に配置されることが好ましい。この際、ノズル7と同様に、ターゲット回収筒14は、収束領域E2(図3参照)外であって、できる限りプラズマ発光点P1の近傍に配置されることが好ましい。このように、ターゲット回収筒14を収束領域E2外に配置することで、ターゲット回収筒14がプラズマ発光点P1からの荷電粒子によって損傷を受けることを防止できる。また、ターゲット回収筒14をできる限りプラズマ発光点P1に近づけることで、ノズル7の先端とターゲット回収筒14との距離を短くすることが可能となるため、例えばEUV光Lbの生成に寄与しなかった残存ドロップレット等のデブリをより確実にターゲット回収筒14で回収することが可能となる。この結果、より安定した強度のEUV光Lbを生成することが可能となる。なお、この際も、EUV露光器21での露光に有効なEUV光Lbのエネルギー(光量)を低下させることはない。
【0052】
なお、本実施の形態では、ノズル7の先端およびターゲット回収筒14がオブスキュレーション領域OB内であって収束領域E2外に配置される場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されず、ノズル7の先端および/またはターゲット回収筒14は、オブスキュレーション領域OB内であって磁界領域E1から可能な限り遠ざけて配置されてもよい。これにより、たとえ磁界領域E1から飛び出した荷電粒子が存在したとしても、ノズル7の先端および/またはターゲット回収筒14が損傷を受けることをより確実に回避できる。
【0053】
また、本実施の形態では、図上、EUV光Lbの光軸A1の上側に配置されたノズル7から同光軸A1(例えば図2参照)の下側に配置されたターゲット回収筒14へ向けてプラズマ発光点P1を通るようにドロップレット17を吐出する場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されず、EUV光Lbの光軸A1の下側に配置されたノズル7から同光軸A1の上側に配置されたターゲット回収筒14へ向けてプラズマ発光点P1を通るようにドロップレット17を吐出してもよい。
【0054】
(実施の形態5)
つぎに、この発明の実施の形態5について、図面を用いて詳細に説明する。図18は、本発明の実施の形態5による極端紫外光光源装置をEUV光の光軸を含む面で切断した際の垂直断面図である。図19は、図18におけるB−B面に転写されたファーフィールドパターンの一例を示す図である。
【0055】
図18に示すように、本実施の形態による極端紫外光光源装置20Aは、上記実施の形態4による極端紫外光光源装置20と同様の構成を備える。ただし、図18および図19に示すように、本実施の形態による極端紫外光光源装置20Aでは、図上、EUV光Lbの光軸A1の下側に配置されたノズル7から同光軸A1(例えば図2参照)の上側に配置されたターゲット回収筒14へ向けてプラズマ発光点P1を通るようにドロップレット17を吐出する構成において、ノズル7および/または供給管6がEUV光集光ミラー8に形成された貫通孔8bに挿設され、少なくともノズル7の先端がEUV光集光ミラー8の反射面からプラズマ発光点P1へ向けて突出している。
【0056】
貫通孔8bの一方の開口部は、EUV光集光ミラー8の反射面におけるオブスキュレーション領域OBと対応する領域に形成される。また、貫通孔8bの他方の開口部は、EUV光集光ミラー8の背面(反射面と反対側の面)に形成される。すなわち、貫通孔8bは、例えばEUV光集光ミラー8の裏面(反射面と反対側)から反射面まで貫通する。ただし、これに限定されず、EUV光集光ミラー8の側面から反射面まで貫通する貫通孔であってもよいし、EUV光集光ミラー8における反射面の縁に形成された切欠きであってもよい。
【0057】
このように、少なくともノズル7の先端がEUV光集光ミラー8の反射面におけるオブスキュレーション領域OBと対応する領域から突出する構成とすることで、上記した実施の形態4と同様の効果を奏することが可能となる。加えて、本実施の形態では、EUV光集光ミラー8とプラズマ発光点P1とをより近づけることが可能となるため、プラズマ発光点P1から放射されたEUV光Lbに対する反射立体角、すなわち放出されたEUV光Lbに対する反射割合を大きくすることが可能となると共に、真空チャンバ1の小型化が可能となる。この結果、極端紫外光光源装置20Aの高出力化および小型化が可能になる。
【0058】
なお、本実施の形態では、図上、EUV光Lbの光軸A1の下側に配置されたノズル7から同光軸A1(例えば図2参照)の上側に配置されたターゲット回収筒14へ向けてプラズマ発光点P1を通るようにドロップレット17を吐出する場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されず、EUV光Lbの光軸A1の上側に配置されたノズル7から同光軸A1の下側に配置されたターゲット回収筒14へ向けてプラズマ発光点P1を通るようにドロップレット17を吐出してもよい。この場合、ノズル7および/または供給管6に代えてターゲット回収筒14および/または排出管15がEUV光集光ミラー8に形成された貫通孔または切欠きに挿設され、ターゲット回収筒14がEUV光集光ミラー8の反射面からプラズマ発光点P1へ向けて突出する。
【0059】
なお、上述した実施の形態1〜5において、荷電粒子回収筒12a,12bは、荷電粒子を単に付着させるようにしていたが、さらに、排出管13a,13bを介して吸引するようにしてもよい。
【0060】
また、収束領域E2内の中性粒子等はイオン化されていないが、この中性粒子等をイオン化するためのX照射、電子照射、紫外線照射、マイクロ波照射、EUV光照射等のイオン化手段を設けてもよい。これにより、中性粒子等のデブリの捕獲を促進することが可能となる。
【符号の説明】
【0061】
1 真空チャンバ
1a ウィンド
1b 真空バルブ
2 駆動レーザ
3 集光光学系
5 Snタンク
6,26 供給管
7,27,37 ノズル
8 EUV光集光ミラー
8a 穴部
8b 貫通孔
10,20,20A 極端紫外光光源装置
11a,11b マグネット
11c,11d ボア
12a,12b,22a,22b,32,38 荷電粒子回収筒
13a,13b,15,23a,25,41 排出管
14 ターゲット回収筒
17 ドロップレット
18 レーザダンパ
21 EUV露光器
24 回収筒
32a 内壁
37a ノズル先端部
37b 絶縁部
39 電源
40 温調器
42 溶融Sn
43 溶融Snリザーバ
44 ノズル管
50 静電グリッド
50a 射出口
P1 プラズマ発光点
E1 磁界領域
E2 収束領域
C1 ドロップレット出射方向軸
C2 磁界方向軸
La COパルスレーザ光
Lb EUV光
OB オブスキュレージョン領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットにレーザ光を照射してプラズマを生成し該プラズマから極端紫外光を発生する極端紫外光光源装置において、
前記ターゲットをノズルから供給するターゲット供給部と、
前記ノズルに対向する位置に配置され、前記プラズマの生成に寄与しなかったターゲットである残存ターゲットを回収するターゲット回収部と、
前記プラズマが生成されるプラズマ領域を通る磁界方向軸周辺に磁場領域を形成し該プラズマ領域から放出されるイオンを含む荷電粒子を該磁界方向へ収束する磁場生成部と、
前記磁場により収束された前記荷電粒子を回収するために、前記磁場領域の磁界方向軸両端側に設けられた荷電粒子回収部と、
を備え、前記ノズルは、極紫外光発生チャンバ内であって、前記磁場領域内で前記荷電粒子が収束される収束領域外に配置されることを特徴とする極端紫外光光源装置。
【請求項2】
前記ターゲット回収部と該ターゲット回収部側に配置された前記荷電粒子回収部とは同一の回収部であることを特徴とする請求項1に記載の極端紫外光光源装置。
【請求項3】
前記磁界方向の軸と前記ターゲットの供給軸とは傾いて形成され、
各軸間の傾斜角は、前記ターゲットが前記磁場領域を通過する際に生じるローレンツ力による該ターゲットの変位に対して前記レーザ光の該ターゲットへの照射制御が可能な最大傾斜角内であることを特徴とする請求項1または2に記載の極端紫外光光源装置。
【請求項4】
前記ノズルは、ノズル先端領域に電場を発生させる電場発生部を含み、
前記荷電粒子の軌道は、前記ノズル先端領域に発生した電場によって前記ノズル先端からそらされることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の極端紫外光光源装置。
【請求項5】
前記電場発生部は、前記ターゲットの供給開口を除いてノズル先端領域を覆う静電グリッドを含むことを特徴とする請求項4に記載の極端紫外光光源装置。
【請求項6】
前記電場発生部によって軌道がそれた荷電粒子を回収する回収部をさらに備えたことを特徴とする請求項4または5に記載の極端紫外光光源装置。
【請求項7】
前記ターゲット回収部、前記荷電粒子回収部、および/または前記回収部それぞれは、
回収した物質を液化する液化部と、
前記液化部で液化された物質を排出する排出部と、
を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の極端紫外光光源装置。
【請求項8】
少なくとも前記ノズルの先端は、前記プラズマから放射されたEUV光のオブスキュレーション領域内に配置されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の極端紫外光光源装置。
【請求項9】
前記ターゲット回収部の少なくとも一部は、前記プラズマから放射されたEUV光のオブスキュレーション領域内に配置されたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の極端紫外光光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−123928(P2010−123928A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−242868(P2009−242868)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【出願人】(300073919)ギガフォトン株式会社 (227)
【Fターム(参考)】