説明

概して線状の発泡性経口フェンタニル投薬形態および投与方法

【課題】フェンタニル含有投薬形態およびその使用方法の提供。
【解決手段】フェンタニル遊離塩基として計算して約100μg〜約800μgのフェンタニルまたは同量のその塩と、投薬形態の約5重量%〜約85重量%の量の発泡性物質と、投薬形態の約0.5重量%〜約25重量%の量のpH調整物質と、投薬形態の約0.25重量%〜約20重量%の量のグリコール酸デンプンを含む発泡性錠剤。本製剤は歯内投与または舌下投与による患者の口腔粘膜を介した前記フェンタニル送達に適しており、公知の経口処方物よりも実質的に少量のフェンタニルで済むことから費用および副作用に関して有利である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
フェンタニル(CAS登録番号437-38-7)N−フェニル−N−[1−(2−フェニル−
エチル)−4−ピペリジニル]プロパンアミドおよびその塩、特に、そのクエン酸塩(C
AS登録番号990-73-8)は、アヘン薬であり、規制物質であり、且つ非常に強力な麻薬性
鎮痛薬である。フェンタニルおよびそのクエン酸塩は、現在、多数の企業から多数の送達
形態で市販されている。例えば、フェンタニルは、注射用およびスティック上の経口ロゼ
ンジとして利用可能であり、後者は、商標名ACTIQで販売されている。ACTIQに
関してFDA publication Approved Drug Products With Therapeutic Equivalence Evalua
tions(以後、「オレンジブック」)で3つの特許が特定されている:米国特許第4,671,9
53号、同第4,863,737号、および同第5,785,989号。第2のACTIQ形態も利用可能であ
る。この形態は、スティック上に圧縮された錠剤であり得る。元のACTIQロゼンジと
同様に、この第2の形態は、元のロゼンジと同一の崩壊速度(Tmax)、Cmax、およびA
UCを示すと考えられている。したがって、これらは、他に明確に記載するか状況を述べ
る場合以外は、集合的に考察される。
【0002】
Physician's Desk Reference,57th ed.2003 at page 1184に記載のCephalon,Inc.,145
Brandy Wine Parkway West,Chester,PA 19380により販売されているACTIQの添付文
書の情報の検討により、ACTIQを投与された患者の苦痛の重症度に関する簡単な見通
しが得られる。そのラベルによると、ACTIQは、「潜在的な癌の持続痛のためのアヘ
ン薬療法を既に受けており、且つそれに耐性を示す悪性腫瘍患者の癌の突出痛の管理のた
めのみに適用する」(同上、原文を強調)。ACTIQラベルのテキストは、本明細書中
で参照することにより組み込まれる。
【0003】
ACTIQの臨床試験では、癌の突出痛を、癌の持続痛を経験しているか、持続量のア
ヘン薬(少なくとも60mgのモルヒネ/日、50μgの経皮フェンタニル/時間、また
は等鎮痛薬用量の別のアヘン薬の1週間以上の投与が含まれる)で制御されている癌患者
で起こる中等度から重度の痛みの一過性の再燃と定義していた。したがって、ACTIQ
を投与された患者は、慢性鎮痛薬治療を行っているにもかかわらず再燃する突然の耐えら
れない痛みのある患者である。このような突出痛からの痛みの緩和は、無情にも、患者の
生活の質に直接影響を与える。このような患者のために、突出痛の緩和は、医学が与える
ことができる唯一の行為であり得る。
【0004】
薬物における多くの事項と同様に、これには改善の余地がある。フェンタニルは、高価
な薬物であり、製造コストは100ドル/g以上にも及ぶ。コストは最も重大な問題では
決してないが、薬物のコストは、考慮すべき問題である。フェンタニル量を減少可能な処
方物により、患者の全治療費を軽減することができる。
【0005】
はるかに重要には、癌患者の突出痛をさらに有利に管理しながらこのような強力なアヘ
ン薬の用量が軽減されることは、患者の治療全体に関して広範囲にわたり望ましい影響を
与える。アヘン薬μ受容体アゴニスト(フェンタニルが含まれる)は、用量依存性の呼吸
抑制を引き起こす。脆弱な個体では、推奨用量でさえも重篤または致命的な呼吸抑制が起
こり得る。他の強力なアヘン薬と同様に、フェンタニルは、アヘン薬非耐性個体における
重篤および致命的な呼吸抑制に関連している。従って、癌患者の突出痛エピソードの治療
に使用されるACTIQの初回量は200μgでなければならず、各患者の副作用を最小
にしながら適切に沈痛されるように個別に漸増しなければならない。副作用は、生命を脅
かさないにしても、顕著であり得る。
【0006】
さらに、μ−アヘン薬アゴニストとしてのフェンタニルは、薬物依存性および耐性を起
こし得る。薬物依存性自体が単独でこれらの癌患者型に必ずしも問題を引き起こすわけで
はない。しかし、フェンタニルを、他の型の痛みの治療に使用することもできる。このよ
うな治療プロトコルでは、依存性および耐性は、有意な問題であり得る。さらに、癌患者
は、一般に、大量に投薬されている。より少ない用量でより長い期間投与することができ
ることがより望ましい。
【0007】
2001年3月13日発行のCIMA LABS INC.,10000 Valley View Road,Eden Prairie,MN 55344
に付与された米国特許第6,200,604号は、それぞれ36%の発泡物(effervescence)および
1.57mgのフェンタニル塩を含む2つのフェンタニル処方物を例示している。その実
施例Iの第5段落60行目から第6段落30行目までを参照のこと。その他のことでは米
国特許第6,200,604号は、特に、経口薬の吸収に影響を与えるための透過増強剤の発泡物
の使用を記載している。米国特許第6,759,059号および同第6,680,071号も参照のこと。Br
endenberg,S.,2003 New Concepts in Administration of Drugs in Tablet Form:Formula
tion and Evaluation of a Sublingual Tablet for Rapid Absorption,and Presentation
of an Individualized Dose Administration System,Acta Universitiatis Upsaliensis
. Comprehensive Summaries of Uppsala Dissertations from the Faculty of Pharmacy,
287,83 pp.Uppsala ISBN 91 554 5600 6も参照のこと。
【0008】
より低い用量のフェンタニルにもかかわらず類似の痛みの緩和を達成することができる
場合、患者は、それほど多くない薬物を使用した場合に匹敵する利点を得ることができ、
それにより、よりコストが安く、且つ副作用のリスクが軽減される。したがって、フェン
タニル投与の改良は依然として望ましい。
【発明の開示】
【0009】
本発明は、痛みを治療するための経口崩壊/溶解性投薬形態(dosage form)、この投薬
形態の作製方法、このような投薬形態の使用方法、および薬物の作製方法に関し、フェン
タニルまたは1つまたは複数のその薬学的に許容可能な塩(本明細書中で「フェンタニル
」を引用する場合、文脈上で別に示唆されない限り、全ての薬学的に許容可能な塩が含ま
れるとみなすべきである)を、現在利用可能な非発泡性ロリポップ(lollipop)処方物(ロ
ゼンジおよび打錠した錠剤の両方)と比較して少なくとも約45%少ないフェンタニルを
含む用量で経口投与する。より低い用量にもかかわらず、本発明のこれらの経口崩壊性投
薬形態のCmaxは、はるかに多い(例えば、約2倍もの)薬物を含む他の投薬形態に匹敵
するはずである。この文脈中の「匹敵する」は、本発明の投薬形態のCmaxが、約2倍も
のフェンタニルを有するACTIQのCmaxの少なくとも約75%であることを意味する
。したがって、本発明の400μgの錠剤を400μgのACTIQロリポップと比較し
た場合、および両者を800μgのACTIQロリポップと比較した場合、本発明の錠剤
のCmaxは、800μgのACTIQ処方物のCmaxの少なくとも75%〜約125%であ
る。400μgのACTIQ処方物のCmaxははるかに低い。これは、遊離形態のフェン
タニルの重量に基づいて、約800μgまでの用量に当てはまる。この文脈(用量)中の
「約」は、±10%を意味することに留意のこと。したがって、約100〜約800μg
は、90〜880μgである。より好ましくは、本発明の文脈中の「匹敵する」はまた、
本発明の投薬形態のCmaxが、約2倍もの重量のフェンタニルを有するACTIQのCmax
の約80%から約120%の間であることを意味し得る。これを、「高度に匹敵する」と
いうこともできる。さらにより好ましくは、本発明の文脈中の「匹敵する」はまた、本発
明の投薬形態のCmaxが、約2倍もの重量のフェンタニルを有するACTIQのCmaxの約
85%から約115%の間であることを意味し得る。これを、「非常に高度に匹敵する」
ということもできる。
【0010】
本発明の文脈中の「経口投薬形態」は、好ましくは、ACTIQ(商標)のようなロリ
ポップ様ロゼンジが排除され、代わりに、経口崩壊性溶解性錠剤、カプセル、カプレット
、ゲル、クリーム、およびフィルムなどが含まれる。好ましくは、これらの投薬形態は、
発泡性錠剤(effervescent tablet)である。さらに、これらは、pH調整物質および崩壊
剤を含んでもよい。一般に、これらの投薬形態は、口腔中の特定の位置に投与されるか置
かれ、これらが崩壊および/または溶解する間(一般に、約10分〜30分)そこに留ま
る。
【0011】
本発明の別の好ましい態様では、嚥下(being swallowed)よりもむしろ頬側(buccal)投
与経路、歯内(gingival)投与経路、または舌下(sublingual)投与経路などによる口腔を介
したフェンタニルおよび/または薬学的許容可能なその塩の投与のためにデザインされた
経口崩壊性発泡性投薬形態を提供する。この処方物には、好ましくは、患者の手で容易に
保持され、一旦投薬形態が口内で湿ると口内から取り出されるようなスティックまたは他
のデバイスが含まれない。さらに、投薬形態は、対応するACTIQ(商標)製品と比較
した場合、少なくとも約45%少ないフェンタニル(遊離塩基物質として計算したその重
量に基づいて)、より好ましくは約45%から約55%の間で少ないフェンタニルを含む
。さらに、投薬形態は、Cmaxに関して匹敵し、好ましくは高度に匹敵し、さらにより好
ましくは非常に高度に匹敵し、一般に、同等に発泡性を示す。
【0012】
したがって、ACTIQ(商標)処方物中に1600μgのフェンタニルが存在する場
合、本発明の対応する投薬形態は、約880μg以下のフェンタニルを含むであろう。よ
り好ましくは、約800μgのフェンタニルを含むであろう。さらに、このような薬物量
の劇的な減少にもかかわらず、種々の薬物について測定した少なくとも1つまたは複数の
伝統的な薬物動態学的性質(Cmaxなど)は、優れていないにしても類似しているである
。例えば、本発明によれば、処方物は、少なくとも80重量%を超えるフェンタニルを含
む対応するACTIQ(商標)製品と比較した場合、より短いTmax(最大濃度が達成さ
れる時間)および/または、優れていないにしても匹敵するCmax(投与後の患者で認め
られる最も高い血中濃度)を示し得る。AUC(または、曲線下面積)は、一般に、意図
する投薬量範囲にわたって、より多いフェンタニル含有量の投薬形態について線形である

【0013】
本発明の特に好ましい態様では、詳細には、約100〜800μg/投与の用量範囲で
のフェンタニル用量(遊離塩基として重量によって測定)とCmaxとの間がほぼ直線関係
にある処方物を製造することができることが発見された。「直線」は、90μgから88
0μgの間の種々のフェンタニル用量を含む少なくとも3つの一連の投薬形態の一部とし
て処方した場合、0.15以内のp値(0.15以下のp値)のANOVAを使用して、
90〜880μg(より好ましくは、100〜810μg)の用量での用量正規化Cmax
に有意差がないことを意味すると理解すべきである。これは、本発明の好ましい直線性の
決定方法である。別の言い方をすれば、ln(Cmax)−ln(用量)勾配は、1±15
%(0.85〜1.15)のはずである。本明細書中で考察されている研究に記載するよ
うに、200、500、および810μgの用量は、本発明では、「直線」であった。1
080μgの用量は、先行技術よりも非常に優れているが、他の用量と比較した用量に対
するCmaxに関して、本明細書中で定義される「直線」ではなかった。
【0014】
この用量範囲において、用量に対するCmaxの比が、約2.0pg/mL/μgから約
4.0pg/mL/μgの間である。これは、用量(μg)あたりに正規化した、1mL
の血清あたりのフェンタニル塩基のpg、または血液または他の流動体中で測定した場合
の対応する量である。本発明の「〜の間」には、終点が含まれる。より好ましくは、比は
、約2.5pg/mL/μg〜約3.5pg/mL/μg、さらにより好ましくは約2.
7pg/mL/μgから約3.5pg/mL/μgの間である。これらの範囲は、適切な
臨床試験における少なくとも10人の患者について計算した平均データに基づく。対照的
に、試験により、ACTIQは約1.4pg/mL/μgの比が得られることが立証され
た。したがって、同量のフェンタニルを含む投薬形態について、本発明は、本発明を使用
して、少なくとも880μgまでの用量(例えば、約800μg)で約2倍のCmaxを得
ることができる。別の実施形態では、これらの投薬形態はまた、約100〜約800μg
のフェンタニル(遊離塩基)または対応量の塩の範囲にわたって処方した場合、用量とC
maxとの間に直線関係が得られるである。勿論、単回投与の強度(strength)について、こ
れは、この用量についての用量とCmaxとの比が、記載の範囲にわたり種々の量のフェン
タニルを含むように同一の処方物を単に変化させることによって製造された系列と直線関
係を示すことを意味する。
【0015】
遊離塩基物質の重量に基づいて800μg以下のフェンタニルを含み、約1.5時間未
満、最も好ましくは約1時間未満のTmaxを有する、頬側、歯内または舌下に投与するよ
うにデザインしたフェンタニルの発泡性投薬形態も本発明の1つの態様として好ましい。
さらに、上記で考察するように、これらの投薬形態の望ましいCmaxは、約2.0pg/
mL/μgから約4.0pg/mL/μgの間である。痛みを治療するためのこれらの投
薬形態の投与方法も意図される。
【0016】
本発明の特に好ましい実施形態では、これらの処方物は、pH調整物質を添加するか添
加しないで(好ましくは、添加する)透過増強剤として作用するための発泡物を含む。よ
り好ましくは、pH調整物質は、発泡物を生成するために使用される成分、化合物、また
は分子の1つ以外の物質である。特に好ましい投薬形態はまた、用量を減少させ、直線性
、および/またはCmaxと本明細書に記載された用量との比が得られる崩壊剤を含む。崩
壊剤の1つの特に好ましい例は、グリコール酸デンプン(starch glycolate)である。先ほ
ど記載した崩壊剤と同一の性能を促進する充填剤(filler)を含む投薬形態も好ましい。最
も好ましくは、充填剤はマンニトールである。
【0017】
本発明の特に好ましい実施形態では、1mgまで、より好ましくは、遊離塩基としてそ
の重量について測定した100、200、300、400、600、または800μgの
フェンタニルを含み、少なくとも1つの発泡性物質(effervescent couple)、少なくとも
1つのpH調整物質、および適切な賦形剤をさらに含む頬側投与、歯内投与または舌下投
与に適した経口投薬形態を提供する。好ましくは、このような処方物は、1.5時間以下
のTmaxおよび/または約2.0pg/mL/μgから約4.0pg/mL/μgの間の
maxを得ることができる。別の言い方をすれば、本発明の投薬形態のCmaxは、少なくと
も約80重量%を超えるフェンタニルを含むACTIQ(商標)投薬形態のCmaxに匹敵
する。別の好ましい実施形態では、これらの投与形態は、少なくとも約80重量%を超え
るフェンタニル遊離塩基を有するACTIQ(商標)の約25%以内、好ましくは20%
以内、さらにより好ましくは約15%以内のCmaxを有する。
【0018】
本発明の別の特に好ましい実施形態では、遊離塩基として測定した約100、200、
300、400、600、または800μgのフェンタニル、少なくとも1つの発泡性物
質、および少なくとも1つのpH調整物質、ならびに適切な賦形剤を含む頬側投与、舌下
投与または歯内投与に適した経口崩壊性錠剤であって、前記投薬形態が、1.5時間以下
のTmaxおよび/または約2.7pg/mL/μgから約3.5pg/mL/μgの間の
maxを得ることができる、経口崩壊性錠剤を提供する。
【0019】
本発明のさらに別の実施形態では、本明細書中に前述した任意の処方物は、本質的に、
好ましくは約800μg以下(すなわち、880μgまで)のフェンタニル、発泡性物質
、少なくとも1つのpH調整物質、および約2.0pg/mL/μgから約4.0pg/
mL/μgの間、より好ましくは約2.5pg/mL/μgから約3.5pg/mL/μ
gの間、最も好ましくは約2.7pg/mL/μgから約3.5pg/mL/μgの間の
maxを得ることができる適切な賦形剤からなることができ、且つ匹敵するCmaxが得られ
るACTIQ(商標)投薬形態よりも少なくとも約45%少ないフェンタニルを含む。こ
の文脈では、「本質的に〜からなる」は、本発明の基本的および新規の特徴を変化させて
しまう任意の賦形剤または賦形剤の組み合わせ、必要に応じて、任意の量の任意の賦形剤
または賦形剤の組み合わせ、ならびに任意のpH調整物質または任意の量のpH調整物質
を排除することを意味する。したがって、Tmaxを2.5時間以上に増加させ得る特定の
賦形剤または賦形剤の混合物は排除されるであろう。同様に、また一方では例示のみを目
的として、Cmaxを意図しないレベルに変化させてしまう特定の量で提供される賦形剤の
組み合わせは排除されるであろう。一般に望ましくないが、本発明の投薬形態のTmax
たはCmaxを有意に変化させない少量の架橋PVPおよび/またはラクトース一水和物を
、依然として使用することができる。しかし、それぞれ5%および20%のレベルで共に
使用した場合、これらは、性質に悪影響を及ぼし得る。したがって、これらの賦形剤の量
の組み合わせは排除されるであろう。
【0020】
本発明のこの態様の特に好ましい実施形態では、本質的に以下からなる投薬形態を提供
する:フェンタニル遊離塩基として計算した90μgから880μgの間のフェンタニル
またはその塩、グリコール酸デンプンナトリウム、マンニトール、少なくとも1つのpH
調整物質、および少なくとも1つの発泡性物質。好ましくは、これらの投薬形態のTmax
は約1.5時間以下であり、用量に対するCmaxの比は約2.0pg/mL/μgから約
4.0pg/mL/μgの間であり、Cmaxと用量は直線関係にあり、および/またはCm
axは本明細書中に定義のCmaxに匹敵し、投薬形態は、頬側投与、舌下投与、または歯内
投与に適している。より好ましくは、遊離塩基として測定したフェンタニルの量は、10
0〜800μgである。
【0021】
痛み(一般に、背痛(back pain)、腰痛(lower back pain)、関節痛、任意の形態の関節
痛、外傷または事故由来の痛み、神経障害性の痛み、手術痛もしくは術後の痛み、癌以外
の疾患または容態由来の痛み、および癌性の痛み(特に、癌の結果としての突出痛)が含
まれるが、これらに限定されない)を経験した患者へのフェンタニルの投与方法も本発明
の別の態様として意図する。好ましい方法は、約100〜800μgの間の用量のフェン
タニル(遊離塩基として測定)を含む頬側投与、歯内投与、または舌下投与のための本明
細書中に開示の任意の経口崩壊性発泡性錠剤を、必要とする患者に投与する工程と、前記
用量(またはその治療に有意なおよび/または有効な部分)を口腔から血流に輸送するの
に十分な時間患者の口内に投薬形態を保持する工程とを含む。好ましくは、患者は、投与
物(the dose)を、嚥下せず、その代わりに、実施可能な範囲内で、口内または口腔内の1
つまたは複数の表面を介して体内にフェンタニルを確実に侵入させるように指導されてい
るか、訓練されているか、見張られている。本方法はまた、好ましくは、実質的に投薬形
態を口内で移動させることなく投薬形態を口内に保持する工程を含む。別の好ましい態様
では、投与物は溶解/崩壊するか、平均滞留時間が5分間から30分間の間である。
【0022】
1つのこのような方法は、フェンタニル遊離塩基として計算した初回量が約100μg
のフェンタニルまたは同量のその塩を、投薬形態の約5重量%〜約85重量%の量の発泡
性物質、投薬形態の約0.5重量%〜約25重量%の量のpH調整物質、および投薬形態
の0.25重量%〜約20重量%の量のグリコール酸デンプンを含む投薬形態で供する工
程を含む、癌の突出痛の出現の治療方法である。投薬形態は、患者の口腔粘膜を介したフ
ェンタニルの送達に適している。「供する」は、包装から投薬形態を取り出すことまたは
このような投薬形態を誰かに分配させるか投薬させることが含まれると理解される。本方
法はまた、投薬形態を、口腔粘膜を介して治療有効量のフェンタニルを送達するのに十分
な時間患者の口内の頬と上歯肉または下歯肉との間に置く工程を含む。この方法を、他の
型の痛み(背痛、手術痛もしくは術後の痛み、および神経障害性の痛みの任意の型が含ま
れる)の治療のために使用することができる。
【0023】
望ましいCmaxを有することが好ましい、遊離塩基として計算した880μg以下のフ
ェンタニルを含む1.5時間以下のTmaxを得ることができる口腔内へのフェンタニルの
投与のためにデザインされた経口崩壊性錠剤を製造することができることは予想されなか
ったであろう。ACTIQロゼンジについての特定の文献では約45分のTmaxが示唆さ
れているが、試験によりむしろ2時間に近いことが示されている。
【0024】
頬側投与経路、舌下投与経路または歯内投与経路を介した口腔へのフェンタニルの投与
のためにデザインされた経口崩壊性投薬形態であって、ACTIQ(商標)投薬形態より
も少なくとも約45%少ないフェンタニルを含み、匹敵するCmaxデータが得られるもの
を製造することができることは予想されなかった。
【0025】
治療有効量(痛みをいくらか緩和することができる量)、一般に、75%超、より好ま
しくは80%超、特に好ましくは90%以上のフェンタニル用量が口腔粘膜を介して口腔
から血流に吸収される、経口崩壊性投薬形態を製造し、これを痛み、特に、癌患者が経験
する突出痛を治療するために使用することができることも予想されなかった。
【0026】
現在市販されている製品と比較してはるかに少量の活性薬(active drug)を有する投薬
形態のCmaxが、投薬量に対するCmaxに関して直線関係にあり得る(例えば、約100μ
gから約800μgの間(90〜880μg)の範囲において信頼区間は±15%)こと
も予想されなかった。
【0027】
本発明の別の態様によれば、約100μg〜約800μgの範囲にわたる用量とCmax
との間の直線関係、同用量のACTIQなどの非発泡性処方物と比較した場合に少なくと
も約45%少ないフェンタニル用量で匹敵するCmax、用量に対するCmaxの比が2.0p
g/mL/μg〜4.0pg/mL/μgの1つまたは複数を得ることができる、頬側、
歯内、または舌下用発泡性フェンタニル投薬形態の作製方法を提供する。上記のように、
投薬形態あたり約100μg〜約800μgの量のフェンタニル(遊離塩基の重量に基づ
く)、有効量の発泡性物質、pH調整物質を含まない同一処方物と比較した場合に、本明
細書中に記載のように測定したところ、患者の口内(「局所pH」)に一旦置かれると、
経口粘膜および投薬形態の表面接触領域の微環境における局所pHを少なくとも0.5p
H単位変化させることができる有効量のpH調整物質、および用量を減少させ、直線性お
よびCmaxと用量との比が得られる崩壊剤との混合によってこれを達成する。これらを、
従来技術を使用して、錠剤に圧縮するか、別の投薬形態に形成する。使用した各材料を混
合前に顆粒化することができるが、このプロセスを顆粒化することなく行うことが好まし
い。したがって、湿式造粒した糖を、充填剤として使用することができるが、乾燥圧縮法
および直接圧縮法を行うことができる。
【0028】
より好ましくは、本方法を使用して、約100μg〜約800μgの範囲にわたって、
用量とCmaxとの間の直線関係、同一用量のACTIQと比較した場合に少なくとも約5
0%少ないフェンタニルの用量で高度に匹敵するCmax、および/または約2.7pg/
mL/μgから約3.5pg/mL/μgの間の用量に対するCmaxの比が得られる投薬
形態、好ましくは錠剤を作製する。各々が約100μgから約800μgの間のフェンタ
ニルを有する所定の投薬形態数を得るのに適切な量のフェンタニルまたはその塩、最終投
薬形態の約5重量%〜約85重量%の量(w/w)の発泡性物質、約0.5%w/w〜約
25%w/wの量のpH調整物質、約0.25%w/wから約20%w/wの間の量のグ
リコール酸デンプン(マンニトールを含むか含まない)の混合およびこれらの乾燥状態の
錠剤への圧縮によってこれを達成する。好ましくは、pH調整物質により、局所pHが、
pH調整物質を含まない同一の処方物と比較した場合に、少なくとも約1pH単位変化す
る。
【発明を実施するための形態】
【0029】
特許請求の範囲を含む明細書全体にわたり、用語「comprise」およびこの用語のバリエ
ーション(「comprising」および「comprises」など)ならびに「have」、「having」、
「includes」、「include」、および「including」およびこれらの変化形は、言及する指
定された工程、要素、または材料が不可欠であるが、他の工程、要素、または材料を付加
し、特許請求の範囲または開示の範囲内で構築物をさらに形成することができることを意
味する。発明の説明および特許請求の範囲で引用される場合、本発明および特許請求の範
囲が、付随する事象が存在し、且つ追加可能であると見なされることを意味する。これら
の用語は、特に特許請求の範囲に適用された場合、包含的または非限定的(open-ended)で
あり、さらなる引用されていない要素または方法の工程を排除しない。
【0030】
本発明の目的のために、特定の性質、特徴、または可変物(variable)に関して他で定義
しない限り、用語「実質的に」は、任意の基準(性質、特徴、または可変物など)に適用
され、達成すべき利点または望ましい条件もしくは性質の値(property value)を満たすと
当業者に理解されるような手段で、記載の基準を満たすことを意味する。
【0031】
本発明は、1つの態様では、頬側投与、舌下投与、または歯内投与に適した、フェンタ
ニル遊離塩基として計算した約100μgから約800μg(マイクログラム)の間のフ
ェンタニルまたはその塩を含む投薬形態を含む。投薬形態は、十分な時間口腔粘膜に投薬
形態を接触させることによって適切に投与した場合、1.5時間以下のTmaxを得ること
ができる。さらにまたはその代わりに、用量に対するCmaxの比は、約2.0pg/mL
/μgから約4.0pg/mL/μgの間、より好ましくは約2.3pg/mL/μgか
ら約3.5pg/mL/μgの間、最も好ましくは約2.7pg/mL/μgから約3.
5pg/mL/μgの間と理解される。最も好ましくは、同一の方法で処方した他の用量
と比較して、約100μgから約800μgの間の用量では、用量とCmaxとの間は直線
関係にある。
【0032】
投薬形態は、好ましくは、少なくとも1つのpH調整物質および少なくとも1つの発泡
性物質をさらに含む。これらは、それぞれ、所望のTmaxおよび/またはCmaxを得るのに
十分な量で供される。投薬形態はまた、好ましくは、少なくとも1つのpH調整物質およ
び少なくとも1つの発泡性物質と組み合わせて所望のTmaxおよび/またはCmaxが得られ
る量で選択して供される少なくとも1つの賦形剤を含む。
【0033】
痛みを経験した患者へのフェンタニルの投与方法は、本発明の別の態様である。この方
法は、経口崩壊性投薬形態を必要とする患者の口腔粘膜に接触させる工程を含み得る。投
薬形態は、投薬形態あたり約100〜800(90〜880)μg(遊離塩基として測定
)の用量のフェンタニルまたはその塩を含む。投薬形態は、好ましくは、商業的に公知の
送達形態を使用して処方した投薬形態より少なくとも45%少ないフェンタニルを含む投
薬形態について、1.5時間以下のTmax、および/または約2.0pg/mL/μgか
ら約4.0pg/mL/μgの間、より好ましくは約2.3pg/mL/μgから約3.
5pg/mL/μgの間、最も好ましくは約2.7pg/mL/μgから約3.5pg/
mL/μgの間の用量に対するCmaxの比、Cmaxと用量との間の直線関係を得ることがで
きる。投薬形態は、治療に有意であるか有効なフェンタニル部分(好ましくは、75%超
、より好ましくは80%超、最も好ましくは、90%以上の用量)が口腔粘膜を介して口
腔から血流に送達されるのに十分な時間患者の口腔粘膜に接触した状態に維持する。
【0034】
本発明の別の態様は、投薬形態あたりフェンタニル遊離塩基として計算した約100μ
gから約800μgの間のフェンタニルを含む投薬形態を提供する。使用する場合、フェ
ンタニル塩を、重量として同量のフェンタニル遊離塩基が得られる量で使用する。投薬形
態は、頬側投与、舌下投与、または歯内投与に適したものである。投薬形態は、十分な時
間口腔粘膜に投薬形態を接触させることによって適切に投与した場合、ACTIQ(商標
)処方物(後者は、少なくとも80重量%を超えるフェンタニルを含む。)のCmaxの少
なくとも約75%〜約125%、より好ましくは約80%から約120%の間、最も好ま
しくは約85%〜約115%のCmaxを得ることができる。好ましくは、この投薬形態は
また、記載のCmaxを得るのに十分な量で少なくとも1つのpH調整物質および少なくと
も1つの発泡性物質を含む。さらにより好ましくは、投薬形態は、少なくとも1つのpH
調整物質および/または少なくとも1つの発泡性物質と組み合わせて、所望のCmaxを得
るのに十分な量で少なくとも1つの賦形剤をさらに含む。
【0035】
投薬形態あたり約100〜800μg(遊離塩基として測定)の用量のフェンタニルま
たは同量のその塩を含む経口崩壊性投薬形態を必要とする患者の口腔粘膜に接触させる工
程を含む、痛みを経験した患者へのフェンタニルの投与方法も意図する。投薬形態は、少
なくとも80重量%を超えるフェンタニルを含むACTIQ(商標)のCmaxの少なくと
も約75%〜約125%、より好ましくは約80%から約120%の間、最も好ましくは
約85%〜約115%のCmaxを示す。投薬形態は、治療に有意であるか有効なフェンタ
ニル部分(好ましくは、75%超、より好ましくは80%超、最も好ましくは、90%ま
たはそれを超える用量)が口腔粘膜を介して口腔から血流に送達されるのに十分な時間患
者の口腔粘膜に接触した状態に維持する。
【0036】
発泡性物質およびpH調整物質の使用により、特にグリコール酸デンプンと組み合わせ
た場合、特に投与に必要なフェンタニル量に関して有意な利点を得ることができることを
発見した。発泡性物質およびpH調整物質と組合わせた一定の賦形剤により、さらにより
良好且つ非常に予想外の結果を得ることができることも見出された。
【0037】
特定の処方物が本明細書中に記載の結果を達成することができるかどうかの決定には、
少なくとも10人の患者における処方物の日常的なヒト臨床研究に着手する必要がある。
適切な臨床研究は、任意の伝統的モデルを使用するである。適切な研究例を以下に示す。
【0038】
[臨床研究のデザインおよび実施]
本研究およびインフォームドコンセントフォーム(ICF)は、治験審査委員会(IR
B)から承認を受けた。全ての被験体は、研究前にIRB承認ICFを読み、署名した。
署名したICFをファイルする。
【0039】
最初の2つの試験期間の研究では、指定した試験生成物および基準生成物の単回用量の
任意抽出した非盲検の二重交差デザインを使用し、被験体を、試験期間3の間に3つのさ
らなる試験処方物のうちの1つを投与するために任意抽出した。全被験体を任意抽出し、
10時間の一晩の絶食後の断食状態であった。3回の投与の間の洗い出し間隔は7日間で
あった。被験体を、フェンタニル投与から36時間クリニックに収容した。
【0040】
被験体を、研究参加前の21日以内にスクリーニングした。スクリーニング手順は、病
歴、身体検査(身長、体重、フレームサイズ、生命徴候、およびECG)、および臨床検
査(血液学、血清化学、尿検査、HIV抗体スクリーニング、B型肝炎表面抗原スクリー
ニング、C型肝炎抗体スクリーニング、血清妊娠試験(女性のみ))、ならびにカンナビ
ノイドおよびオピオイドのスクリーニングを含んでいた。
【0041】
研究に参加した全被験体は、プロトコルに列挙した包含(inclusion)/排除基準を満た
した。42人の全被験体(男性17人および女性25人)が研究に参加し、そのうち39
人の被験体(男性17人および女性22人)が研究を完了した。
【0042】
被験体は、各投与前の朝にクリニックに報告し、投与の19時間前に昼食をとり、投与
の14時間前に夕食をとり、投与の11時間前に軽食をとった。次いで、被験体は、10
時間の一晩の絶食を行った。1日目に、標準化した食事計画を、投与から4.5時間後の
昼食、投与から9.5時間後の夕食、および投与から13時間後の軽食より開始した。2
日目に、投与から24.5時間後に朝食をとり、投与から28.5時間後に昼食をとり、
投与から33時間後に夕食をとった。
【0043】
被験体は、各収容の48時間前およびその間にいかなるアルコール、ブロッコリー、柑
橘類、カフェイン、またはキサンチンを含有する食品または飲料も消費しなかった。被験
体は、研究参加の少なくとも6ヶ月間はニコチンおよびタバコを使用しなかった。さらに
、投与7日前および研究中は、市販の薬物を禁止した。投与14日前および研究中は、処
方箋薬の使用を許可しなかった(女性のホルモン避妊薬を除く)。
【0044】
研究中、被験体を、クエン酸フェンタニル投与から4時間着席したままにした。投与か
ら0から4時間は水の摂取を制限した。投与前の10時間から投与後4時間まで食事を制
限した。研究中、被験体に、いかなる激しい運動に関与することも許可しなかった。
【0045】
以下に詳述するように、被験体に各時間でナルトレキソンを投与した。
Adm1:ReVia(商標) 50mg(塩化ナルトレキソン錠剤)
Bristol Myers Squibb Company製
ロット番号:5C269A
使用期限:2004年4月
ロット番号:TB1798
使用期限:2005年3月
【0046】
治療A、B、C、およびDに割り当てた被験体に、フェンタニル投与の15時間前およ
び3時間前ならびに12時間後に240mLの水と共に1錠の50mgのナルトレキソン
錠剤を経口投与した。
【0047】
治療Eに割り当てた被験体に、フェンタニル投与の15時間前および3時間前に240
mLの水と共に1錠の50mgのナルトレキソン錠剤を経口投与した。
【0048】
各3つの期間に被験体に以下のフェンタニル治療の1つを行った。
【0049】
A:OraVescent(商標)クエン酸フェンタニル錠1080μg(フェンタニル塩基とし
て)
CIMA LABS INC製
ロット番号:930502
治療Aに任意抽出した被験体に、上歯肉と大臼歯錠の頬との間に配置した1錠の108
0μgのフェンタニル錠を経口に単回投与し、10分間崩壊させた。「OraVescent(商標
)」は、本発明の処方物および投薬形態を示すことに留意のこと。
【0050】
B:Actiq(商標)(経口経粘膜クエン酸フェンタニル)1600μgに相当
Cephalon,Inc.or Anesta製
ロット番号: 02 689 W3
治療Bに任意抽出した被験体に、頬と下歯肉との間に配置した1単位の1600μgの
Actiq(商標)を経口に単回投与した。この単位を、ハンドルを使用して左右に移動
させ、15分間溶解させた。
【0051】
C:OraVescent(商標)クエン酸フェンタニル錠1300μg(フェンタニル塩基とし
て)
CIMA LABS INC製
ロット番号:930503
治療Cに任意抽出した被験体に、上歯肉と大臼歯錠の頬との間に配置した1錠の130
0μgのフェンタニル錠を経口に単回投与し、10分間崩壊させた。
【0052】
D:OraVescent(商標)クエン酸フェンタニル錠810μg(フェンタニル塩基として

CIMA LABS INC製
ロット番号:930501
治療Dに任意抽出した被験体に、上歯肉と大臼歯錠の頬との間に配置した1錠の810
μgのフェンタニル錠を経口に単回投与し、10分間崩壊させた。
【0053】
E:OraVescent(商標)クエン酸フェンタニル錠270μg(フェンタニル塩基として

CIMA LABS INC製
ロット番号:930500
治療Eに任意抽出した被験体に、上歯肉と大臼歯錠の頬との間に配置した1錠の270
μgのフェンタニル錠を経口に単回投与し、10分間崩壊させた。
【0054】
これらの各クエン酸フェンタニル錠の組成を、実施例1〜4に記載する。
【0055】
着席時の生命徴候(血圧、脈拍、および呼吸)を、投与前の朝(0時間)ならびに、投
与から0.25、0.5、0.75、1、1.25、1.5、1.75、2、2.25、
2.5、2.75、3、3.25、3.5、3.75、4、5、6、8、10、24、お
よび36時間後にそれぞれ評価した。投与から最初の8時間後に連続パルス酸素測定を行
った。12誘導心電図、臨床試験の評価(血液学、血清化学、および尿検査)、および全
生命徴候を含む身体検査を、研究終了時に行った。投与から4時間後に口内の刺激を評価
した。被験体に、医師および/または看護士に研究中に起こった全ての有害事象を伝える
ように指導した。
【0056】
以下の時間に治療A〜Dに割り当てた被験体の血液サンプル(7mL)を採血した:投
与前(0時間)、ならびに投与から10、20、30、および45分後;ならびに1、2
、4、6、8、10、12、16、20、24、28、32、および36時間後。以下の
時間に治療Eに割り当てた被験体の血液サンプル(7mL)を採血した:投与前(0時間
)、ならびに投与から10、20、30、および45分後;ならびに1、2、4、6、8
、9、10、11、12、14、16、20、および24時間後。薬物分析研究中に全部
で54個の血液サンプル(378mL)を採血した。サンプルを回収し、蛍光照明下にて
室温で処理した。血清サンプルを凝固させ、遠心分離で分離し、−20℃で凍結し、アッ
セイまで凍結状態を保持した。
【0057】
[分析方法]
ヒト血清中のフェンタニルのLC−MS/MS(液体クロマトグラフィ−質量分析/質
量分析)
【0058】
[薬物動態学的方法および統計学的方法]
薬物動態学的分析および統計学的分析は、2001年1月発行の食品医薬品局の医薬品評価
研究センター(CDER)の業界向けガイダンス(Guidance for Industry)(「生物学的
等価性の確立への統計的アプローチ(statistical Approaches to Establishing Bioequiv
alence)」)および2003年3月発行の業界向けガイダンス(「経口投与製剤の生物学的利用
能および生物学的等価性の研究−概論(Bioavailability and Bioequivalence Studies fo
r Orally Administered Drug Products-General Consideration)」)に基づく。
【0059】
以下の包括的(noncompartmental)薬物動態パラメータを、WinNonlin Standard Edition
version 2.1を使用した各処置についてのフェンタニル濃度−時間データから計算した。
(名目上よりもむしろ)実際のサンプリング時間を、分析で使用した。
【0060】
AUC(0−t)
時間0から時間tまでの線形台形の和を使用して計算したフェンタニル濃度−時間曲線
下面積(式中、tは最後の測定可能な濃度の時間(Ct)である)。
AUC(0−inf)
時間0から無限時間までのフェンタニル濃度−時間曲線下面積(AUC(0−inf)
=AUC(0−t)+Ct/Kel)(式中、Kelは、末端消失速度定数である)。
AUC(0−t)/AUC(0−inf)
AUC(0−inf)に対するAUC(0−t)の比。AUCRともいう。
AUC(0−tmax)
線形台形の和を使用して計算した基準処方物の時間0からTmax中央値までの部分領域

Kel
Log濃度−時間曲線の末端線形部分の末端線形部分の線形回帰によって計算した末端
消失速度定数(Kel=−勾配)。末端線形部分を目視検査によって決定した。
Tl/2
Ln(2)/Kelとして計算した消失半減期。
max
最高測定フェンタニル濃度。
max
最高フェンタニル濃度に達するまでの時間(内挿せずに得た)。
【0061】
この研究は、指定した試験生成物および基準生成物の単回用量の任意抽出した二重非盲
検交差であった。(治療Aおよび治療B、第1期間および第2期間)の被験体を任意抽出
して、第3期間中に3つのさらなる試験処方物(治療C、治療D、または治療E)の1つ
を投与した。被験体数が多いので、2群に分けて研究を行った。本研究の主な構成は、治
療A−治療Bであった。これら2つの治療を比較する分散分析のために、2つの順序(A
B、BA)、2つの期間(1、2)、および2つの治療(A、B)を考慮した。
【0062】
パラメトリック(正規理論)一般線形モデルを、治療AおよびB由来の対数変換AUC
(0−inf)、AUC(0−t)、およびCmax値に適用した57。完全な分散分析(
ANOVA)モデルをモデル内の群で考慮し、以下の要因を含んでいた:群、群内の期間
、治療、順序、群による順序、群による順序内の被験体、および群による治療。群の相互
作用による治療が有意でなかったので、モデルの順序、順序内の被験体、期間、および治
療に減少させた。順序の効果を、順序平均平方内の被験体を使用して試験し、全ての他の
主な効果を残差を使用して試験した(平均平方誤差)。2つの一方的仮説を、試験および
基準平均の比(治療A−治療B)についての90%信頼区間の構築によって、AUC(0
−t)、AUC(0−inf)、およびCmaxの5%レベルで試験した。
【0063】
治療Aおよび治療BのTmaxの相違を、ウィルコクスンの符号付順位検定(α=0.0
5)を使用して評価した。
【0064】
血清フェンタニル濃度および薬物動態パラメータも、治療C、治療D、および治療E(
それぞれ、1300μg、810μg、および270μgのOraVescent(商標)クエン酸
フェンタニル錠)後に決定した。OraVescent(商標)クエン酸フェンタニル処方物の用量
比例性を評価するために、混合線形モデルを、治療A、C、D、およびE由来の用量正規
化CmaxおよびAUCパラメータに適用した57。全モデルが群として考慮され、以下の
項目を含んでいた:群、群内の期間、治療、順序、群による順序、群による順序内の被験
体、および群による治療。3つのパラメータのうちの2つ(CmaxおよびAUC(0−t
))について群の相互作用による治療が有意でなかったので、治療要因を使用した一元配
置分散分析に減少させた。全治療効果が見出された場合、基準として治療Aを使用して2
つ1組の比較を行った。
【0065】
滞留時間値(処方物の口腔内に存在する時間の長さ)を、処方物の認められた消失時間
および報告された消失時間から治療投与時間を引くことによって計算した。これらの値を
集計し、要約統計量を示した。
【0066】
[結果]
〔被験体の人口統計および性質〕
全員で42人の被験体(男性17人および女性25人)が研究に参加し、そのうち39
人の被験体(男性17人および女性22人)が研究を完了した。
【0067】
3人の被験体は、研究を継続しなかった/中止した。第1の被験体は、研究を続けるこ
とを望まなかったので、第2期前に断念した。第2の被験体は、研究を続けることを望ま
なかったので、第3期前に断念した。第3の被験体は、抗生物質を摂取したので第2期前
に断念した。
【0068】
被験体の平均年齢は27歳(19〜55歳の範囲)であり、被験体の平均身長は68イ
ンチ(62〜74インチの範囲)であり、被験体の平均体重は152.1ポンド(109
.0〜197.0ポンドの範囲)であった。
【0069】
〔プロトコルからの逸脱および有害事象〕
研究実施中に以下のプロトコルからの逸脱があった。
【0070】
プロトコルによれば、被験体は、3.5時間の生命徴候の測定点で呼吸を測定する予定
であった。第2期の1人の被験体は、3.5時間の測定点で呼吸を測定しなかった。2人
の被験体については、第2期の3時間の測定点で生命徴候を再チェックしなかった。1人
の被験体については、第3期の2.25時間の測定点で生命徴候を再チェックしなかった
。これら2人の被験体の血液サンプルを、第1期(治療A)の0.33時間の測定点で適
切にラベルしなかった。これらのサンプルを分析しなかった。プロトコルによれば、被験
体は、3.5時間の生命徴候の測定点で脈拍を測定する予定であった。第1期の1人の被
験体は、3.5時間の測定点で脈拍を測定しなかった。1つを超える上記逸脱がある被験
体は存在しなかった。重篤な有害事象も報告されなかった。
【0071】
本研究由来の臨床サンプルを処理するために、全部で15バッチが必要であった。15
バッチのうち、14バッチが許容可能であった。本研究で使用した許容可能な14バッチ
の逆算した標準濃度は、50.0〜5000.0pg/mL(ピコグラム/mL)の範囲
を対象とし、濃度限度は50.0pg/mLであった。許容可能な各バッチを使用して分
析した品質管理サンプルの変動係数は7.89%以下であった。
【0072】
〔滞留時間〕
滞留時間データを以下の表にまとめる。
【表1】

【0073】
1人の被験体は、治療C後に軽い口内の刺激(1〜10のスケールの2)を生じたと報
告した。刺激は、第3期間中の試験生成物の投与後に口内の右側で起こった。研究員の領
域の目視検査によって治療E後に発赤が起こったとの報告が1例あった。発赤は、第3期
間中の試験生成物投与後の右側の頬で起こった。
【0074】
参加した42人の被験体のうち、40人の被験体が第1期および第2期を終了し、治療
AおよびBについての要約統計量、ANOVA分析、および平均数中に含まれた。39人
の被験体が、第1期、第2期、および第3期を終了し、用量比例性についての統計分析中
に含まれた。
【0075】
治療Aおよび治療B後の血清フェンタニル薬物動態パラメータの相加平均および標準偏
差ならびに統計的比較を、以下の表にまとめる。
【表2】

【0076】
ウィルコクスンの符号付順位検定の結果は、治療AのTmaxの中央値(0.998時間
)が、治療B(1.999時間)と比較して有意に(p<0.0001)早いことを示し
た。
【0077】
治療C、治療D、および治療Eの各々および平均血清フェンタニル薬物動態パラメータ
を計算した。治療EでKelを計算できなかった被験体が5人存在した。したがって、こ
れらの症例でAUC(0−inf)、AUCR、およびT1/2を計算することができな
かった。
【0078】
治療C、D、およびE後の血清フェンタニルの薬物動態パラメータの相加平均および標
準偏差を、以下の表にまとめる。
【表3】

【0079】
治療A、C、D、およびEについてのp値を含む用量比例性の評価を、以下の表にまと
める。
【表4】

【0080】
Kel値の時間間隔を決定した。
【0081】
本研究の主な目的は、絶食条件下での市販の1600μgの経口経粘膜クエン酸フェン
タニルActiq(商標)(治療B、基準)と比較した1080μgの用量のCIMA LABS
INC OraVescent(商標)クエン酸フェンタニル錠(治療A、試験)の生物学的等価性を評
価することであった。研究は、第1期間および第2期間のための単回用量の任意抽出した
二重非盲検交差デザインであった。以下の3つのOraVescent(商標)クエン酸フェンタニ
ル試験処方物の1つの投与のために、全被験体を第3期に戻した:1300μg(治療C
)、810μg(治療D)、または270μg(治療E)。OraVescent(商標)クエン酸
フェンタニル錠剤の用量比例性(治療A、C、D、およびE)を評価した。
【0082】
全員で42人の健常な被験体が最初に研究に酸化した。39人の被験体が3つ全ての研
究期間に参加し、40人の被験体が治療AおよびB(第1期間および第2期間)の両方を
終了した。治療AおよびBを終了した40人の被験体由来のデータは、薬物動態パラメー
タおよび統計分析に含まれた。
【0083】
治療AおよびBのフェンタニルCmax、AUC(0−t)、およびAUC(0−inf
)についての幾何最小二乗平均の比(試験/基準)は、それぞれ、123.4%、101
.4%、および101.1%であった。これらのデータは、平均フェンタニル曝露は類似
しているが、ピーク曝露は治療Bと比較して治療Aで高いことを示す。治療AのTmax
0.998時間)は、治療B(2.00時間)よりも早く、Cmaxは23%高く、これら
は、フェンタニルの吸収速度が治療Bよりも治療Aで有意に、より早いことを示した。
【0084】
90%信頼区間での111.82%〜136.20%のCmax、94.42%〜108
.86%のAUC(0−t)、および93.60%〜109.23%のAUC(0−in
f)は、治療AおよびBがAUCに関して生物学的等価性の要求を満たすが、Cmaxに関
しては満たさないことを示した。実際、治療AのCmaxは、実施例1で例示したOraVescen
t(商標)処方物を使用して投与した約30〜35重量%少ないフェンタニル用量で、1
600μgのActiq(商標)処方物と比較して統計的に有意に高いCmaxが得られる
ことを示す。Cmaxに関して生物学的に等価な結果を得るために、実際、匹敵する結果を
得るために、比較物であるActiq(商標)錠で見出されるフェンタニルよりも少なく
とも約45%、より好ましくは約47.5%、さらにより好ましくは約50%少ないフェ
ンタニル(遊離フェンタニル重量として計算)を使用すべきである。この例では、約80
0〜880μgが1600μgのACTIQに匹敵した。
【0085】
したがって、本発明および1mg以下の投薬形態を使用して、最初に予想したよりもは
るかに少ないフェンタニルを使用して匹敵するCmaxを得ることができることを発見した
。急速なTmaxが実現された。これにより、有効性を低下させずに用量が減少する本明細
書中に記載の利点を使用して意図される用量をさらに減少させることが可能である。
【0086】
フェンタニルAUCは、OraVescent(商標)クエン酸フェンタニル錠剤の投与後に用量
が270〜1300μgの範囲に比例的に(本明細書中に定義のように直線的に)増加し
た。4つのOraVescent(商標)用量の間で用量正規化AUC(0−t)またはAUC(0
−inf)の有意差は認められなかった。用量正規化Cmaxの比較のための有意な全治療
効果が認められた。全被験体が治療Aを受けたので、基準として治療Aを使用して2つ1
組の比較を行った。2つ1組の比較を使用して、パターンは認められなかった。治療D(
810μg)と治療A(1800μg)との間の有意差が見出された。
【0087】
1080μgのOraVescent(商標)クエン酸フェンタニル錠の平均滞留時間(21分)
は、Actiq(商標)(34分)よりも13分短かった。他の3つの用量のOraVescent(商
標)クエン酸フェンタニル錠剤の平均滞留時間(19分、25分、および22分)は、1
080μgのOraVescent(商標)処方物に類似していた。
【0088】
OraVescent(商標)クエン酸フェンタニル錠の投与後に1人の被験体で口腔粘膜の軽度
の刺激が報告され、1人の被験体が発赤を経験した。Actiq(商標)の投与後に刺激や発
赤は認められなかった。
【0089】
1080μgのOraVescent(商標)クエン酸フェンタニル錠および1600μgの経口
経粘膜クエン酸フェンタニル(Actiq(商標))の投与後の血清フェンタニルの薬物動態
の比較により、2つの生成物間の平均フェンタニル曝露は類似しているが吸収速度は異な
ることが示された。AUC(0−t)およびAUC(0−inf)についての幾何最小二
乗(「LS」)平均の比はほぼ100%であり、90%信頼区間は、80%〜125%の
範囲内であった。幾何平均Cmaxは、1080μgのOraVescent(商標)クエン酸フェン
タニルより23%高く、治療/基準比の90%信頼区間の上限は125%を超え、このパ
ラメータの生物学的等価性基準を満たさなかったことを示した。したがって、さらなる用
量の減少を実現することができる。OraVescent(商標)クエン酸フェンタニル錠のTmax
は、有意に早くなった(1時間早い)。
【0090】
フェンタニルAUCは、用量に対して比例的に増加したが、OraVescent(商標)クエン
酸フェンタニル処方物については270〜1300μgの全範囲にわたって完全に線形で
はなかった。
【0091】
1080μgのOraVescent(商標)クエン酸フェンタニル錠の平均滞留時間(21分)
は、Actiq(商標)(34分)よりも13分短かった。本発明の「滞留時間」は、投
薬形態の使用開始(口内への挿入)と実質的に全ての識別可能な投薬形態の消失との間の
時間である。
【0092】
研究中に重篤または予期せぬ有害事象は存在しなかった。両処方物は、経口粘膜に十分
に許容された。
【0093】
[引例]
1.Physician's Desk Reference.56th ed.Montvale,NJ:Medical Economics Company,Inc.;
2002.Actiq(商標);p.405-409。
2.Fentanyl.Micromedex [online] Vol.107:Health Series Integrated Index;2002 [Date
Accessed:2003/Jun/371.http://www.tomescps.com。
3.Streisand YB,et al.Dose Proportionality and Pharmacokinetics of Oral Transmuco
sal Fentanyl Citrate.Anesthesiology 88:305 309,1998。
4.Naltrexone.Micromedex [online] Vol.107:Health Series Integrated Index;2002 [Da
te Accessed:2003/JunI6].http://www.tomescps.com。
5.SAS Institute,Inc.,SAS(商標)/STAT User's guide,Ver.6.4th ed.Vol.1.Cary,NC:SAS
Institute;1989。
6.SAS Institute,Inc.,SAS(商標)/STAT User's guide,Ver.6,4th ed.Vol.2.Cary,NC:SAS
Institute;1989。
7.SAS Institute,Inc.,SAS(商標)Procedures guide,Ver.6,3rd ed.Cary,NC:SAS Institut
e;1990。
【0094】
第2の研究を同様に行った。本研究により、100〜800μgの範囲の用量にわたる
用量とCmaxとの間の一般的な直線関係が証明された。
【0095】
本発明にかかる錠剤に処方されたクエン酸フェンタニル(本明細書中でOraVescent(商
標)錠という)の用量比例性(AUCおよびCmax)を治療に使用することができる範囲
において評価し、ここで考察した研究のCmaxの所見を確認するために本研究を行った。
【0096】
プロトコルおよびインフォームドコンセントフォーム(ICF)は、治験審査委員会(
IRB)から承認を受けた。全ての被験体は、研究開始前にIRB承認ICFを読み、署
名した。本研究は、単回用量の任意抽出した4つの治療および4つの期間を使用した非盲
検交差デザインであった。
【0097】
被験体を、研究参加前の21日以内にスクリーニングした。スクリーニング手順は、病
歴、身体検査(身長、体重、フレームサイズ、生命徴候、および心電図(ECG))、お
よび臨床検査(血液学、血清化学、尿検査、HIV抗体スクリーニング、A型肝炎抗原ス
クリーニング、B型肝炎表面抗原スクリーニング、C型肝炎抗体スクリーニング、血清妊
娠試験(女性のみ))、ならびにカンナビノイドおよびアヘン薬のスクリーニングを含ん
でいた。
【0098】
研究に参加した全被験体は、プロトコルに列挙した包含/排除基準、代表研究者が再検
討した病歴、および臨床検査による評価を満たし、被験体が研究に参加する前に身体検査
を行った。全員で28人の被験体(男性16人および女性12人)が研究に参加し、その
うち25人の被験体(男性14人および女性11人)が研究を終了した。
【0099】
被験体は、各投与前の午後にクリニックに報告し、14時に昼食をとり、19時に夕食
をとり、22時に軽食をとった。次いで、被験体は、10時間の一晩の絶食を行った。1
日目に、標準化した食事計画を、投与から13時30分の昼食、18時30分の夕食、お
よび22時の軽食より開始した。2日目に、標準化した食事計画(朝食を含む)を開始し
た。
【0100】
被験体は、各収容の48時間前およびその間にいかなるアルコール、ブロッコリー、カ
フェイン、またはキサンチンを含有する食品または飲料も消費しなかった。投与10日前
および研究を通してグレープフルーツを制限した。被験体は、研究の少なくとも6ヶ月前
および研究完了までニコチンおよびタバコを使用しなかった。さらに、投与7日前および
研究中は、市販の薬物(ハーブ系サプリメントが含まれる)を禁止した。投与14日前お
よび研究中は、処方箋薬(MAOインヒビターが含まれる)を許可しなかった。
【0101】
研究中、被験体を、クエン酸フェンタニル投与から4時間立位で着席したままにした。
投与4時間までは水の摂取を制限した。投与前の10時間から投与後4時間まで食事を制
限した。研究中、被験体に、いかなる激しい運動に関与することも許可しなかった。
【0102】
以下の治療を受けさせるために、被験体を任意抽出した。
Adml:ReVia(商標)(塩化ナルトレキソン錠剤)50mg
Duramed Pharmaceuticals,Inc.製
ロット番号:402753001T
使用期限:2006年6月
【0103】
被験体に、治療Aの投与の15時間前および3時間前に240mLの水と共に1錠の5
0mgのRevia(商標)錠を経口投与した。
【0104】
被験体に、治療B、C、およびDの投与の15時間前および3時間前ならびに投与から
12時間後および17時間後に240mLの水と共に1錠の50mgのRevia(商標
)錠を経口投与した。
【0105】
A:OraVescent(商標)クエン酸フェンタニル(200μg)錠
CIMA LABS INC製
ロット番号:930859
治療Aに任意抽出した被験体に、上歯肉と大臼歯上の頬との間に配置した1錠のOraVes
cent(商標)クエン酸フェンタニル(200μg)錠を経口に単回投与し、10分間崩壊
させた。
【0106】
B:OraVescent(商標)クエン酸フェンタニル(500μg)錠
CIMA LABS INC製
ロット番号:930860
治療Bに任意抽出した被験体に、上歯肉と大臼歯上の頬との間に配置した1錠のOraVes
cent(商標)クエン酸フェンタニル(500μg)錠を経口に単回投与し、10分間崩壊
させた。
【0107】
C:OraVescent(商標)クエン酸フェンタニル(810μg)錠
CIMA LABS INC製
ロット番号:930501
治療Cに任意抽出した被験体に、上歯肉と大臼歯上の頬との間に配置した1錠のOraVes
cent(商標)クエン酸フェンタニル(810μg)錠を経口に単回投与し、10分間崩壊
させた。
【0108】
D:OraVescent(商標)クエン酸フェンタニル(1080μg)錠
CIMA LABS INC製
ロット番号:930502
治療Dに任意抽出した被験体に、上歯肉と大臼歯上の頬との間に配置した1錠のOraVes
cent(商標)クエン酸フェンタニル(1080μg)錠を経口に単回投与し、10分間崩
壊させた。
【0109】
着席時の生命徴候(血圧、心拍数、および呼吸数)を、投与前の朝ならびに、投与から
0.25、0.5、0.75、1、1.25、1.5、1.75、2、2.25、2.5
、2.75、3、3.25、3.5、3.75、4、5、6、8、10、24、および3
6時間後にそれぞれ評価した。投与から最初の8時間後に連続パルス酸素測定を行い、投
与から最初の12時間はいつでも被験体は眠るよう試みた。12誘導ECG、臨床試験の
評価(血液学、血清化学、および尿検査)、および全生命徴候を含む簡潔な身体検査を、
研究終了時に行った。投与から4時間後に口内の刺激を評価した。各チェックイン時に、
被験体が薬物適用領域で口角糜爛を生じていないことを裏付けるために口腔を試験した。
被験体に、医師または看護師に研究中に起こった全ての有害事象を伝えるように指導した

【0110】
以下の時間に治療Aに割り当てた被験体の血液サンプル(7mL)を採血した:投与前
(0時間)、ならびに投与から10、20、30、および45分後;ならびに1、2、4
、6、8、9、10、11、12、16、20、および24時間後。以下の時間に治療B
、C、およびDに割り当てた被験体の血液サンプル(7mL)を採血した:投与前(0時
間)、ならびに投与から10、20、30、および45分後;ならびに1、2、4、6、
8、10、12、16、20、24、28、32、および36時間後。
【0111】
ヒト血清サンプルを、高感度および特異的なLC−MS/MS手順によってフェンタニ
ル濃度について分析した。
【0112】
以下の包括的薬物動態パラメータを、WinNonlin Standard Edition version 2.1を使用
した各処置についてのフェンタニル濃度−時間データから計算した。(名目上よりもむし
ろ)実際のサンプリング時間を、分析で使用した。
【0113】
AUC(0−t)
時間0から時間tまでの線形台形の和を使用して計算したフェンタニル濃度−時間曲線
下面積(式中、tは最後の測定可能な濃度の時間(Ct)である)。
AUC(0−inf)
時間0から無限時間までのフェンタニル濃度−時間曲線下面積(AUC(0−inf)
=AUC(0−t)+Ct/Kel)(式中、Kelは、末端消失速度定数である)。
AUC(0−t)/AUC(0−inf)
AUC(0−inf)に対するAUC(0−t)の比。AUCRともいう。Kel L
og濃度−時間曲線の末端線形部分の末端線形部分の線形回帰によって計算した末端消失
速度定数(Kel=−勾配)。末端線形部分を目視検査によって決定した。
Tl/2
Ln(2)/Kelとして計算した消失半減期。
max
最高測定フェンタニル濃度。
max
最高フェンタニル濃度に達するまでの時間(内挿せずに得た)。
【0114】
フェンタニルの血漿濃度値を、記述統計学を使用して、治療および測定点によって列挙
し、まとめた(平均、標準偏差(SD)、変動係数(CV)、平均値の標準偏差(SEM
)、サンプルサイズ、最小、最大、および中央値)911。定量下限(LOQ)未満の値
を、ゼロに設定した。平均および各濃度−時間プロットを示した。フェンタニルの薬物動
態パラメータおよび用量正規化薬物動態パラメータを、治療によって集計し、要約統計量
を計算した。
【0115】
200μgから1080μgまでの用量比例性を、Smithらによって記載された方法を
使用して評価した8。第1に、対数変換パラメータを、混合効果モデル(用量の対数変換
が含まれる)ならびに切片についての固定効果および変量効果を使用して分析した。この
モデルを、SAS Proc Mixedを使用して適合させた911
【0116】
勾配についての固定効果(β1)に関する90%信頼区間(CI)を計算し、範囲(0
.8677、1.1323)(本研究で調査した用量範囲を前提とした適切な棄却範囲で
ある)と比較した。
【0117】
結論は、以下に基づいていた。
1)β1の90%CIが全て範囲(0.8677、1.1323)内に含まれる場合、
用量に比例すると結論づけることとした。
2)β1の90%CIが完全にこの範囲の外側である場合、用量比例性を欠くと結論づ
けることとした。
3)β1の90%CIの一部がこの範囲に含まれ、且つ一部がこの範囲の外側である場
合、結果は、「決定的でない」と見なされるであろう。この場合、理想的な比例性からの
逸脱の最良の推定値としてのβ1値ならびに90%CIの下界および上界を、薬物の安全
性、有効性、または薬理効果データの文脈で考慮することができる。
【0118】
決定的でない結果が認められた事象では、β1の90%CIが全て棄却範囲に含まれる
ような最大用量比およびβ1の90%CIが全て棄却範囲外にあるような用量比を計算し
た。これらの用量比は、Smithらによって、それぞれρ1およびρ2と呼ばれている。
ρ1=θH^[l/max(l−L,U−l)](式中、θH=1.25)、
L=90%CIの下限、
U=90%CIの上限。
ρ2=θH^[l/max(L−l,1−U)](θH、L、およびUを上記のように定義
する)。
【0119】
3つの最も低い用量レベル(200μg、500μg、および810μg)の間の用量
正規化Cmaxの相違を試験するための二次分析を行った。パラメトリック(正規理論)G
LMを、対数変換後の治療A、B、およびC由来の用量正規化Cmax値に適用した。分散
分析(ANOVA)モデルは、以下の要因を含んでいた:治療、順序、順序内の被験体、
および期間。0.05未満のp値を、統計的に有意と見なした。
【0120】
滞留時間値(処方物の口腔内に存在する時間の長さ)を、処方物の認められた消失時間
および報告された消失時間から治療投与時間を引くことによって計算した。これらの値を
集計し、要約統計量を示した。
【0121】
3人の被験体は、研究を継続しなかった/中止した。2人の被験体は、研究を続けるこ
とを望まなかったので、第3期前に断念した。1人の被験体は、有害事象により、第2期
の投与後に断念した。被験体の平均年齢は33歳(19〜55歳の範囲)であり、被験体
の平均身長は68.6インチ(60〜76インチの範囲)であり、被験体の平均体重は1
60.9ポンド(110〜215ポンドの範囲)であった。
【0122】
研究実施中に以下のプロトコルからの逸脱が起こった。1人の被験体は、第2期の0.
5時間で生命徴候を再チェックしなかった。1人の被験体は、第3期の2.5時間で生命
徴候を再チェックしなかった。1人の被験体は、第3期のナルトレキソン投与の15時間
前に利用可能な血清妊娠試験の結果を持っていなかった。結果は、ナルトレキソン投与の
3時間前に利用可能になった。1人の患者の第4期の36時間のECGが見当違いであっ
た。1人の患者は、期限前終了手続きを完了していなかった。この被験体は、追跡不能と
見なす。第3期の全被験体について、経口刺激評価を、投与から3.83時間後に行うこ
ととした。事象を担った看護師は実施した評価を思い出したが、口内刺激評価形態を事象
時に完了していなかったと述べた。したがって、評価情報を検証することができず、実施
していないと見なすべきである。
【0123】
滞留時間データを以下の表にまとめる。
【表5】

【0124】
チェックイン口腔評価中に、1人の被験体が第4期のはじめに頬の内側の右下に口角糜
爛を生じたが、第3期の試験生成物の投与で頬の右上に口角糜爛を生じたことに留意した
。代表研究者は、この口角糜爛をアフタ性潰瘍と同定せず、被験体の第4期における投与
を許可した。
【0125】
2人の被験体は、治療A後に軽い口内の刺激(1〜10のスケールの2および3)を生
じたと報告した。両被験体について、刺激は、第2期間中の試験生成物の投与後に口内の
左側で起こった;これらの被験体のうちの1人は、研究員による領域の目視検査時の際に
発赤も示した。1人のさらなる被験体は、治療Cの11分後に歯肉線の頬領域の左上に痛
みを報告した。重篤または予期せぬ有害事象は報告されなかった。
【0126】
参加した28人の被験体のうち、25人の被験体が治療Aを終了し、26人の被験体が
治療Bを終了し、27人の被験体が治療CおよびDを終了した。全被験体の薬物動態デー
タに対して統計分析を行った。末期の測定点が制限されたので、治療Aの1人の被験体に
おける消失速度定数を計算することができなかった。したがって、この被験体については
、AUC(0−inf)、AUCR、およびT1/2を計算することができなかった。
【0127】
全治療後の血清フェンタニル薬物動態パラメータの相加平均および標準偏差を、以下の
表にまとめる。
【表6】

【0128】
それぞれ1.0574および0.9983のln[AUC(0−t)]−ln(用量)
の勾配およびln[AUC(0−inf)]−ln(用量)の勾配、1、および各パラメ
ータの90%CIは、200μgから1080μgまでの用量比例性に必要な棄却範囲内
に完全に含まれていた。ln(Cmax)−ln(用量)(0.8746)は1未満であり
、90%CI(0.8145〜0.9347)は、用量比例性の決定に必要な棄却範囲に
完全に含まれなかった。β1の90%CIの全体が棄却範囲内に含まれるような最大用量
比は、3.33であった。β1の90%CIの全体が棄却範囲外であるような最大用量比
は、30.48であった。治療A、B、およびCについての用量正規化CmaxのANOV
Aの結果は、200μg〜810μgの用量範囲では用量正規化Cmaxに統計的な有意差
は存在しなかったことを示す。
【0129】
本研究の主な目的は、OraVescent(商標)クエン酸フェンタニル錠としての200μg
(治療A)、500μg(治療B)、810μg(治療C)、および1080μg(治療
D)のフェンタニル投与後のフェンタニルのAUCおよびCmaxについて用量比例性が存
在する範囲を評価することであった。さらに、810μgおよび1080μgの用量のOr
aVescent(商標)クエン酸フェンタニル錠の投与後のCmaxに関する前の所見を確認する
ために本研究を行った。本研究は、単回用量の任意抽出した4つの期間を使用した非盲検
交差デザインであった。
【0130】
参加した28人の被験体のうち、25人の被験体が治療Aを終了し、26人の被験体が
治療Bを終了し、27人の被験体が治療CおよびDを終了した。全被験体の薬物動態デー
タに対して統計分析を行った。
【0131】
それぞれ1.0574および0.9983のln[AUC(0−t)]−ln(用量)
の勾配およびln[AUC(0−inf)]−ln(用量)の勾配はほぼ1であり、各パ
ラメータの90%CIは、用量比例性に必要な棄却範囲内に完全に含まれていた。これら
の結果は、フェンタニルAUCが、200μg〜1080μgの研究用量の間でOraVesce
nt(商標)クエン酸フェンタニル錠の用量レベルのそれぞれの増加に伴って比例的に増加
することを示す(p=0.13)。
【0132】
ln(Cmax)−ln(用量)の勾配(0.8746)は1未満であり、フェンタニル
のCmaxが用量に対する比例未満で増加したことを示す。90%CI(0.8145〜0
.9347)は、全体が棄却範囲内に含まれなかった。最高用量(1080μg)では比
例的増加未満であり、2番目に高い用量(810μg)では範囲がより狭かった(±11
%信頼区間)。200μgと500μgの用量の間ではCmaxは比例的に増加した。ρ1
値(β1の90%CIが全て棄却範囲に含まれるような最大用量比)は3.33であった
のに対し、810μg:200μgの比は4.05である。これは、本発明の処方物が約
800μgまでの用量で直線関係にあることを示す。
【0133】
200μg、500μg、および810μgの用量の用量正規化Cmaxを比較するため
にANOVAを使用した二次分析は、これらの用量レベル間で統計的有意差を示さなかっ
た(p=0.13)。ln(Cmax/用量)についてのLS平均は、1.06(200μ
g)、1.06(500μg)、および0.94(810μg)であり、200μgと5
00μgとの間で差は認められず、810μgの用量ではより低い用量と比較して差は最
小であった(15%未満)。810μgの用量とより低い2つの用量との間の差が小さい
ことと併せたANOVAの有意差の欠如は、200μgから810μgまでのCmaxにお
ける用量比例性の逸脱が臨床的に重要でないことを示す。したがって、これらは、本明細
書中で定義するように、「直線関係」である。
【0134】
200μg、500μg、810μg、および1080μgのOraVescent(商標)クエ
ン酸フェンタニル錠の平均滞留時間は類似しており、それぞれ、14分、14分、17分
、および15分であった。
【0135】
OraVescent(商標)クエン酸フェンタニル錠後に口腔粘膜中に軽度の刺激を報告した被
験体が2人存在し、発赤を経験した患者が1人存在した。
【0136】
フェンタニルAUCは、200μg〜1080μgの範囲の用量の増加につれて比例的
に増加した。フェンタニルCmaxは、2つの最も高い用量レベルで比例よりも増加が少な
かった。しかし、1mgを超える用量以外は、増加は本明細書中で定義するように直線状
である。810μgの用量の平均ln(Cmax/用量)は、200μgおよび500μg
の用量よりも10〜11%低かった。1080μgの用量の平均ln(Cmax/用量)は
、200μgおよび500μgの用量よりも20〜21%低かった。200μgから80
0μgまでのCmaxにおける用量比例性の逸脱は臨床的に重要ではなかった。200μg
、500μg、810μg、および1080μgのOraVescent(商標)クエン酸フェンタ
ニル錠の平均滞留時間は類似しており、それぞれ、14分、14分、17分、および15
分であった。
【0137】
研究中に重篤または予期せぬ有害事象は存在しなかった。各OraVescent(商標)処方物
は、経口粘膜に十分に許容された。
【0138】
[引例]
8. Smith BP,et al.Confidence Interval Criteria for Assessment of Dose Proportion
ality.Pharmaceutical Research 17:1278-1283,2000.
9. SAS Institute,Inc.,SAS(商標)/STAT User's guide,Ver.6.4th ed.Vol.1.Cary,NC:SAS
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10.SAS Institute,Inc.,SAS(商標)/STAT Users guide,Ver.6,4th ed.Vol.2.Cary,NC:SAS
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11.SAS Institute,Inc.,SAS(商標)Procedures guide,Ver.6,3rd ed.Cary,NC:SAS Institu
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12.Summary Basis of Approval NDA 20-747(Actiq(商標)).Approval date November 4,19
98,Clinical Pharmacology and Biopharmaceutics Review pp 6.
【0139】
本明細書中で意図される用量レベルでフェンタニルの頬側投与、歯内投与、または舌下
投与に有用な投薬形態を得ることができ、且つ本明細書中に開示の用量を減少し、および
/またはCmaxに対する用量の関係を得ることができる発泡性材料(effervescent materia
l)およびpH調整物質を好ましくは適切な崩壊剤と共に含む任意の処方物を使用すること
ができる。最も好ましくは、約100〜800μgのフェンタニル(遊離塩基として計算
)を含む投薬形態について、1.5時間以下のTmaxおよび/または約2.0pg/mL
/μgから約4.0pg/mL/μgの間、より好ましくは約2.5pg/mL/μgか
ら約3.5pg/mL/μgの間、さらにより好ましくは約2.7pg/mL/μgから
約3.5pg/mL/μgの間の用量に対するCmaxを有する投薬形態を生成することが
できる量で準備することができる任意の発泡性物質および/またはpH調整物質を使用す
ることができる。好ましくは、投薬形態は、本明細書中に記載のように、Cmaxと用量と
の間に直線関係も示す。これは、用量に対するCmaxの比が、フェンタニル量以外は同一
組成を有する本発明の100μgと800μgとの間の一連の少なくとも3つの異なるフ
ェンタニル用量によって生成したラインに沿って減少する(p≦0.15)ことを意味す
る。
【0140】
同様に、少なくとも約80%を超えるフェンタニルを有するACTIQ処方物と比較し
た場合に匹敵するCmaxを有する投薬形態が得られる任意の量の発泡性物質およびpH調
整物質を意図する。すなわち、これは、少なくとも45%少ないフェンタニル(遊離塩基
として計算)にもかかわらず、このようなACTIQ処方物のCmaxの少なくとも75%
〜125%、より好ましくは約80%から約125%の間(0.15以下のp)、最も好
ましくはACTIQ処方物の約85%から約115%の間のCmaxを有する。特に好まし
い実施形態では、これらの処方物は、このような性能特性を妨害する有意な量のいかなる
崩壊剤、賦形剤、または賦形剤の組み合わせを含まない。噴霧乾燥マンニトールは好まし
い充填剤である。別の好ましい充填剤は、グリコール酸デンプン、とくにグリコール酸デ
ンプンナトリウムである崩壊剤である。前者は、典型的には、充填剤として特徴づけられ
ており、後者は、崩壊剤として特徴づけられている。しかし、特徴は制御されない。
【0141】
20%を超える量のラクトース一水和物および/または少なくとも20%の量の微結晶
性セルロースおよび5%またはそれを超える量の架橋PVPを含む米国特許第6,200,604
号の処方物は、pH調整物質および発泡性物質が存在するにもかかわらず、本明細書中で
考察したレベルの用量およびCmaxの所望の直線状の挙動を有する処方物を提供すること
ができないと考えられる。米国特許第6,200,604号の処方物も880μgを超えるフェン
タニルを有する。
【0142】
本発明の好ましい発泡性の経口崩壊性投薬形態は、遊離塩基物質の重量に基づいて、約
100μgから800μgの間のフェンタニル(90〜880)または比例重量のその薬
学的に許容可能な塩の1つを含むものである。さらに、これらの数は、含量均一性などの
通常の処理可変物を含むことを意味する。特に好ましい用量は、それぞれ、約100μg
、約200μg、約300μg、約400μg、約600μg、および約800μgであ
る。
【0143】
本発明の処方物で使用されるフェンタニルのレーザー回折技術によって決定される平均
粒子サイズは、好ましくは約0.5〜約150ミクロン、より好ましくは約0.5〜約1
00ミクロン、最も好ましくは約1〜約20ミクロンの範囲であることが好ましい。
【0144】
発泡剤または発泡性物質として、任意の公知の組み合わせを使用することができる。こ
れらには、米国特許第5,178,878号および米国特許第5,503,846号(そのテキストが、種々
の発泡性物質およびその構築物を考察する範囲で本明細書中で参照することにより組み込
まれる)に記載のものが含まれる。発泡性物質は、一般に、通常は水をほとんどまたは全
く吸収していない無水状態か安定な水和形態で保持されている水または唾液活性化材料で
ある。典型的には、これらは、少なくとも1つの酸供給源および少なくとも1つの反応性
塩基の供給源(通常、炭酸塩(carbonate)または重炭酸塩(bicarbonate))を含む。発泡性
物質の各成分は、ヒトが消費して安全な任意の成分であり得る。
【0145】
酸には、一般に、食品の酸、酸無水物、および酸性塩が含まれる。食品の酸には、クエ
ン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、アスコルビン酸、およびコハク酸が含
まれる。酸無水物またはこれらの酸の塩を使用することができる。この文脈の塩には、公
知の塩が含まれるが、特に、ナトリウム、二水素リン酸塩、リン酸二水素二ナトリウム、
クエン酸塩、および硫酸水素ナトリウムが含まれる。本発明で有用な塩基には、典型的に
は、重炭酸ナトリウムおよび重炭酸カリウムなどが含まれる。炭酸ナトリウム、炭酸カリ
ウム、および炭酸マグネシウムなどを、発泡性物質の一部として使用する範囲で使用する
こともできる。しかし、これらを、pH調整物質として使用することが好ましい。好まし
くは、化学量論的に同量の酸、酸無水物、または酸性塩および塩基を使用する。しかし、
いくらかの過剰な酸または塩基を使用することが可能である。しかし、特に、もしあれば
このような組成物の全体のpH調整効果を考慮してこのように処方物を処方する場合、配
慮しなければならない。過剰量は、吸収に影響を与え得る。
【0146】
本発明で有用な発泡性物質の量は有効量であり、口内で錠剤が崩壊するのに必要な性質
以外の性質に基づいて決定する。代わりに、発泡物を、口腔内での頬側投与、歯内投与、
または舌下投与を介した粘膜を通過するフェンタニル伝達の増強のための主薬として使用
する。したがって、発泡性物質の量は、処方物の総重量に基づいて、約5%〜約85%、
より好ましくは約15%〜60%、さらにより好ましくは約30%から40%の間、最も
好ましくは約35%〜約40%の範囲であるべきである。勿論、酸塩基の相対的比率は、
特定の成分(例えば、一塩基酸、二塩基酸、または三塩基酸)、相対的な分子量などに依
存する。しかし、好ましくは、化学量論量の各々が準備されるが、勿論、過剰量が許容さ
れる。
【0147】
好ましくは、本発明の処方物は、少なくとも1つのpH調整物質を含む。いかなる特定
の理論に拘束されることも望まないが、これにより、イオン化状態の変化に影響を受けや
すい薬物を、その溶解および口腔粘膜などを通過する口腔内の1つまたは複数の膜または
組織を介した伝達のための適切な条件の確保によって投与することができる。特定の薬物
の伝達に理想的な条件が塩基性である場合、発泡性物質製造の一部またはpH調整物質と
して、十分に過剰な適切な強酸を添加することができない。別のpH調整物質(例えば、
発泡剤と離れて別に作用する無水炭酸ナトリウムなど)を選択することが好ましい。
【0148】
本発明のpH調整物質を使用して、透過をさらに増強することができる。適切なpH調
整物質の選択は、投与される薬物(特に、イオン化されるかイオン化されないpH)およ
びイオン化形態または非イオン化形態が口腔粘膜を通過する伝達を促進するかどうかに依
存する。フェンタニルおよびその塩に関して、塩基性物質は、フェンタニルの送達に好ま
しい。本発明のpH調整物質には、pHが一般に約3〜10の範囲、好ましくは約4〜約
9の範囲となる量で口腔中の膜を通過する輸送を促進するために局所pHを調整すること
ができる任意の物質が含まれ得るが、これらに限定されない。pHは、経口粘膜および投
薬形態またはその任意の一部の表面接触領域(崩壊する場合など)における患者の口内の
微環境での「局所pH」である。本発明の目的のために、局所pHを以下のように決定す
ることができる:目的の錠剤によって示される動的なpHの変化を特徴づけるために、イ
ンビトロでpHを測定した。この方法は、0.5〜10mLのリン酸緩衝化生理食塩水を
含む適切なサイズの試験管または類似の容器の使用からなる。媒体の量は、錠剤のサイズ
および投薬量に依存する。例えば、フェンタニル錠のpHプロフィールを測定する場合、
100mgの錠剤のために1mLを使用した。錠剤が媒体と接触した直後に、溶液のpH
プロフィールを、微小組み合わせ(micro-combination)pH電極を使用して時間の関数と
してモニタリングする。好ましくは、本発明のpH調整物質として使用することができる
材料には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、または炭酸カルシウムなどの炭酸塩またはリ
ン酸カルシウムもしくはリン酸ナトリウムなどのリン酸塩が含まれる。炭酸ナトリウムが
最も好ましい。本発明で有用なpH調整物質の量は、使用したpH調整物質の型、発泡性
物質由来の任意の過剰量の酸または塩基、残存成分の性質、および、勿論薬物(この場合
、フェンタニルである)によって変化し得る。
【0149】
最も好ましくは、pH調整物質の量は、処方物の総重量に基づいて、約0.5重量%〜
約25重量%、より好ましくは約2重量%〜約20重量%、さらにより好ましくは約5重
量%〜約15重量%、最も好ましくは約7重量%〜約12重量%の範囲である。最も好ま
しいpH調整物質は、炭酸塩、重炭酸塩、またはリン酸塩である。pH調整物質を含まな
い他の同一の処方物と比較した場合、適切な量で提供した場合に局所pHを少なくとも約
0.5pH単位、より好ましくは約1.0pH単位、さらにより好ましくは約2.0pH
単位変化させることができるpH調整物質も好ましい。
【0150】
投薬形態が本明細書中に記載の結果を達成することができる限り、任意の充填剤または
任意の量の充填剤を使用することができる。最も好ましい充填剤は、糖および糖アルコー
ルであり、これらには、非直接圧縮充填剤および直接圧縮充填剤が含まれ得る。非直接圧
縮充填剤は、一般に、少なくとも処方された場合、増強または調整しない高速打錠過程の
使用が実行不可能になる流動性および/または圧縮特性を有する。例えば、処方物は、十
分に流動することができないので、流動促進剤(例えば、二酸化ケイ素)を添加する必要
があり得る。
【0151】
それに対して、直接圧縮充填剤では類似の割り当て(allowance)は必要ない。これらは
、一般に、直接利用可能な圧縮性および流動性を有する。処方物が作製される方法に依存
して、非直接圧縮充填剤に直接圧縮充填剤の性質を付与することができることに留意する
。その逆も真である。一般事項として、非直接圧縮充填剤は、直接圧縮充填剤と比較した
場合、比較的小さな粒子サイズを有する傾向がある。しかし、噴霧乾燥マンニトールなど
の一定の充填剤は、比較的小さな粒子サイズを有し、どのようにしてさらに処理されるか
に依存して、しばしばさらに直接圧縮可能である。比較的大きな非直接圧縮充填剤も同様
に存在する。
【0152】
本発明で好ましい充填剤には、マンニトール、ラクトース、ソルビトール、デキストロ
ース、スクロース、キシリトール、およびグルコースが含まれ、その使用範囲で、本明細
書中に記載の結果を得ることができる。より好ましくは、本発明によれば、充填剤は、処
方物の重量に基づいて20%またはそれを超える量で使用されるラクトース一水和物では
なく、さらにより好ましくはラクトース一水和物を使用しないことが好ましい。本発明に
よれば、噴霧乾燥マンニトールを使用することが最も好ましい。充填剤の量は、処方物の
10〜約80重量%、より好ましくは約25重量%〜約80重量%、最も好ましくは35
〜約60重量%の範囲であり得る。
【0153】
崩壊剤が本明細書中に記載の用量の減少およびCmaxと用量の直線性および/または比
が得られるかさらに促進する限り、本発明の崩壊剤を使用することもできる。これらには
、崩壊特異性を有する結合剤が含まれ得る。本発明の崩壊剤には、微結晶性セルロース、
架橋ポリビニルピロリドン(PVP−XL)、グリコール酸デンプンナトリウム、クロス
カルメロースナトリウム、および架橋ヒドロキシプロピルセルロースが含まれ得る。勿論
、崩壊剤の選択は、所与の系で本明細書中に記載の結果を得ることができるかどうかに依
存する。より好ましくは、処方物は、特に、さらに20%のラクトース一水和物中に含む
処方物中に、約20%を超える微結晶性セルロースおよび約5%またはそれを超える量の
架橋ポリビニルピロリドンを含まない。グリコール酸デンプン、特に、グリコール酸デン
プンナトリウムを崩壊剤として使用することが特に好ましい。実際、本発明の処方物中の
グリコール酸デンプンナトリウムの使用により、pH調整物質および他の崩壊剤を含む発
泡性処方物と比較した場合、用量の減少の度合いを有意に改善することができる一方で、
依然として匹敵するCmaxが得られることが見出されている。特に有用なグリコール酸デ
ンプンナトリウムは、Roquette of Lestrem Franceから市販されているGLYCOLYS(商標)
(標準グレード)である。実際、処方物が微結晶性セルロースや架橋PVPを含まないこ
とがさらにより好ましい。
【0154】
崩壊剤の量は、投薬形態のサイズおよび他の使用成分の性質および量などの公知の要因
によって変化する。しかし、一般に、量は、最終処方物の約0.25重量%〜約20重量
%、より好ましくは約0.5%w/w〜約15%w/w、さらにより好ましくは0.5%
w/w〜約10%w/w、さらにより好ましくは約1重量%から約8重量%の間の範囲で
あるべきである。これは、さらに、最終処方物の重量に基づく。
【0155】
打錠または射出潤滑剤も本発明で一般的な有用である。最も一般に公知の潤滑剤は、ス
テアリン酸マグネシウムであり、ステアリン酸マグネシウムの使用が好ましい。一般に、
打錠潤滑剤における従来からの知識は、少ないほど良いということである。約1%未満の
打錠潤滑剤を使用することがほとんどの環境で好ましい。典型的には、量は、0.5%以
下であるべきである。しかし、ステアリン酸マグネシウムの使用量は、1.0%を超えて
もよい。実際、約1.5%を超えることが好ましく、約1.5%から約3%の間が最も好
ましい。約2%のステアリン酸マグネシウムの使用が最も好ましい。他の従来の打錠潤滑
剤(ステアリン酸およびステアリン酸カルシウムなど)を、ステアリン酸マグネシウムの
いくつかまたは全部の代わりに使用することもできる。
【0156】
本発明の発泡性錠剤は、比較的軟らかいか堅固であり得る。これらを、例えば、米国特
許第5,178,878号に記載の方法にしたがって製造することができ、一般に、約15ニュー
トン未満の硬さを有する。米国特許第5,178,878号に記載の処方物と異なり、有効成分は
、必ずしも保護物質でコーティングされない。実際、優先的に、フェンタニル有効成分は
コーティングされない。錠剤が製造時と同様に軟質および柔軟な/脆い場合、これらを、
米国特許第6,155,423号などで見出されるブリスター包装に有利に包装することができる
。これらは、米国特許第6,024,981号に記載の手順にしたがって製造され、約15ニュー
トンより高い硬さを有し、堅固であり得る。好ましい実施形態では、本発明のフェンタニ
ルの投薬形態を、小児用安全ブリスター包装で提供する。例えば、2000年12月5日発行のK
atznerらに付与され、CIMA LABS INC.に譲渡された米国特許第6,155,423号(そのテキス
トが本明細書中で参照することにより組み込まれる)を参照のこと。より好ましくは、包
装は、16U.S.C.§1700.15および.20(2003)に記載の標準を満たす。好ましい包装には、一
般に業界でいわゆる「F1」および「F2」包装と呼ばれる包装も含まれる。「F1」包
装がもっとも好ましい。
【0157】
本発明の錠剤を、頬側投与、歯内投与、または舌下投与のために僅かに異なってデザイ
ンすることができる。しかし、各例では、処方物が達成する口内崩壊時間/溶解(滞留時
間)は、好ましくは約30分未満、最も好ましくは約20分以下である。通常は5分超、
ほとんどの場合10分以上である。これは、患者の応答に基づいた主観的決定要因である

【0158】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、約100μgから約800μgの間のフェン
タニル(遊離塩基の重量に基づく)、有効量の発泡性物質、および有効量のpH調整物質
、およびグリコール酸デンプンを含む、フェンタニルまたはその薬学的に許容可能な塩の
頬側投与、舌下投与、または歯内投与のためにデザインされた発泡性の経口崩壊性錠剤を
提供する。処方物は、マンニトールをさらに含み得る。
【0159】
本発明のこの実施形態の特に好ましい態様では、上記の処方物は、ACTIQ(商標)
と比較して少なくとも約45重量%のフェンタニル用量を減少させることを不可能にする
量のラクトース一水和物および/または架橋PVPを含まない。特に、処方物の約10重
量%しかラクトース一水和物または微結晶性セルロースでなく、約4%しか架橋PVPで
ないことが好ましい。より好ましくは、処方物は、偶発的な量を除いた全てのこれらの賦
形剤を含まない。崩壊剤としてグリコール酸デンプンナトリウムを使用し、充填剤として
マンニトールを使用することが本発明で最も好ましい。最も好まし充填剤には、噴霧乾燥
マンニトールが含まれる。
【0160】
本発明の処方物は、本明細書中に記載の利点が損なわれない範囲の一般的に公知の量で
他の従来の賦形剤を含み得る。これらには、結合剤、甘味料、着色料、香味物質、流動促
進剤、潤滑剤、防腐剤、および崩壊剤などが含まれるが、これらに限定されない。
【0161】
錠剤(本発明の好ましい投薬形態)を、任意の公知の打錠技術によって作製することが
できる。しかし、好ましくは、使用材料を、環式混合し、直接圧縮する。錠剤が顆粒化に
由来することができるが、これは好ましくない。勿論、本発明の処方物で使用される特定
の賦形剤および材料は、湿式造粒または乾式造粒することができる。例えば、顆粒化マン
ニトールを、充填剤として使用することができる。最終的なブレンドおよび圧縮前に処方
物のいくつかの部分を顆粒化するか予混合することも望ましいかもしれない。問題の材料
を、本明細書中に記載の正確な用量および含量均一性ならびに用量の減少、Cmax/用量
比および/または用量直線性を得るために予め選択する。したがって、適量の発泡性物質
、適当且つ適切なpH調整物質、および適切な崩壊剤を選択し、所定の量で準備し、投薬
形態(好ましくは、錠剤)に処方する。
【0162】
好ましいpH調整物質は、炭酸塩、重炭酸塩、またはリン酸塩であり、好ましい崩壊剤
はグリコール酸デンプンである。各使用量は、本明細書中に記載されている。しかし、好
ましくは、崩壊剤を、崩壊剤を含まないで発泡性物質およびpH調整物質を含む他の同一
の処方物と比較した場合にフェンタニルの使用用量をさらに減少させることができる量で
選択し、準備する。pH調整物質を、好ましくは、局所pHを少なくとも0.5pH単位
、より好ましくは1.0pH単位、最も好ましくは約2.0pH単位以上変化させること
ができるのに十分な量を選択し、準備する。錠剤を任意の硬さおよび/または脆さに圧縮
することができ、滞留時間および薬物放出ならびに口腔粘膜を通過する伝達に悪影響を与
えることなくこれを行わなければならない。可能であれば、約5ニュートンから約10ニ
ュートンの間、より好ましくは約10ニュートンから約50ニュートンの間の硬さを有す
る圧縮錠剤としてとしてのフェンタニル投薬形態を提供することが望ましい。
【0163】
本発明の投薬形態を使用して、任意の型の痛み、特に、一般にアヘン薬が処方される痛
みを治療することができる。全てのアヘン薬と同様に、フェンタニル生成物、特に本発明
の生成物は、常に医師と相談し、医師による厳格な配慮および監督の下で実施すべきであ
る。Physician's Desk Referenceならびにこれに記載の注意事項および禁忌に見出され前
に記載のラベル中に見出されるACTIQ製品の一般的使用説明書は、本発明の投与形態
の使用に広く適用可能である。これには、一般に、より低い用量を患者に投与し、その後
用量を増加させることが含まれる。
【0164】
本発明の投薬形態を、患者の口内(好ましくは、舌下または頬と歯肉との間)に置き、
そこで溶解/崩壊が実質的に完了し、投薬形態として認識できなくなるまで保持されるこ
とによって投与する。好ましくは、隣接する口腔粘膜を通過するフェンタニルの最大移動
の促進を補助するために、嚥下を最小にする。
【0165】
必要に応じて、さらなる用量を投与する。前に記載の用に、単回用量(例えば、800
μgのフェンタニルなど)を、本発明の単回投薬形態で投与することができるか、複数の
投薬形態(例えば、それぞれ400μgのフェンタニルを含む本発明の2つの投薬形態ま
たはそれぞれ約200μgのフェンタニルを含む本発明の4つの投薬形態など)で投与す
ることができる。好ましくは、このような複数回投与形態の投与は、全ての投与形態の1
時間以内の投与、より好ましくは同時ではないにしてもほぼ同時に投与することを含む。
【0166】
特に、頬側投与、歯内投与、または舌下投に有用な本発明の錠剤の1つの作製方法は、
約100μg/用量から約800μg/用量の間の量(フェンタニル塩基として測定)ま
たは同量のその塩の量でフェンタニルまたはその塩を供する工程を含む。投薬形態の5重
量%〜約85重量%の量の発泡性物質、投薬形態の約0.5重量%から約25重量%の間
の量の少なくとも1つのpH調整物質、投薬形態の約0.25重量%〜約20重量%の量
で準備される少なくとも1つの崩壊剤(好ましくは、グリコール酸デンプン)も供する。
これらをブレンドし、打錠する好ましい実施形態では、充填剤も使用する。特に好まし実
施形態では、充填剤の一部を、フェンタニルまたは別の賦形剤(例えば、着色料など)と
予めブレンドすることができる。
【0167】
さらに、本発明でしばしば使用される賦形剤の1つは、ステアリン酸マグネシウムなど
の潤滑剤である。一般に、ブレンド終了時にこれを添加する。ブレンドを、しばしば、中
断し、ステアリン酸マグネシウムを添加し、その後、さらに数分間ブレンドする。
【0168】
好ましい実施形態では、本発明からの、および本発明に係る投薬形態を含むブリスター
包装を、生成物の使用直前に開封すべきである。患者の口内、好ましくは、頬と上歯肉ま
たは下歯肉との間に投薬形態を置くべきである。投薬形態を、吸い込んだり咀嚼したりす
べきではない。フェンタニルは、多くのアヘン薬と同様に、好ましくは、比較的低用量の
初期用量から漸増させる。特に、癌の突出痛の出現の治療のために使用される本発明のフ
ェンタニル処方物の処方形態の初期用量は、100μgであるべきである。被験体は、1
00μgの投薬形態の初期漸増供給(initial titration supply)を制限すべきであるので
、漸増時の自宅での単位数を制限する。その後、医師の管理の下で用量を増加させること
ができる。
【実施例】
【0169】
[製造方法]
実施例1〜7および9〜11のそれぞれの場合、材料を使用前にスクリーニングし、V
ブレンダーに入れるか、任意の他の適切な低剪断ブレンダーでブレンドし、適切な時間ブ
レンドすることができる。各実施例に記載のように、ブレンダーから取り出した後、材料
を標準的なローターリー式打錠機で13ニュートンの標的の硬さおよび100mgまたは
200mgの標的重量に圧縮した。
【0170】
[実施例1:形態A]
【表7】

【0171】
[実施例2:形態C]
【表8】

【0172】
[実施例3:形態D]
【表9】

【0173】
[実施例4:形態E]
【表10】

【0174】
[実施例5]
【表11】

【0175】
[実施例6]
【表12】

【0176】
[実施例7]
【表13】

【0177】
[実施例7]
材料を使用前にスクリーニングし、Vブレンダーまたは任意の他の適切な低剪断ブレン
ダーに入れ、適切な時間ブレンドすることができる。ブレンダーから取り出した後、材料
を標準的なローターリー式打錠機で13ニュートンの標的の硬さおよび200mg/錠剤
の標的重量に圧縮した。
【表14】

【0178】
[実施例9]
【表15】

【0179】
[実施例10]
【表16】

【0180】
[実施例11]
【表17】

【0181】
[実施例12]
以下の材料を秤量し、スクリーニングした。
【表18】

【0182】
マンニトールEZ(2a.)および黄色10酸化鉄をVブレンダーに移し、30分間ブ
レンドした。取り出し、プレブレンドを粉砕した。全量のプレブレンド、クエン酸フェン
タニル、重炭酸ナトリウム、クエン酸、炭酸ナトリウム、およびグリコール酸デンプンナ
トリウムをVブレンダーに添加し、30分間ブレンドした。マンニトール(2b)をVブ
レンダーに入れ、13分間ブレンドした。Vブレンダーにステアリン酸マグネシウムを入
れ、5分間ブレンドした。この最終ブレンドから打錠した。これらの錠剤は、1/4イン
チの丸形の面取りされた表面が平らな白色の錠剤である。これらを、完全にツーリングし
た(fully tooled)36ステーションFette打錠機にて平均硬度13ニュートンに圧縮
した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェンタニル遊離塩基として計算して約100μg〜約800μgのフェンタニルまた
は同量のその塩と、投薬形態の約5重量%〜約85重量%の量の発泡性物質と、投薬形態
の約0.5重量%〜約25重量%の量のpH調整物質と、投薬形態の約0.25重量%〜
約20重量%の量のグリコール酸デンプンを含む投薬形態であって、前記投薬形態が、頬
側投与、歯内投与または舌下投与による患者の口腔粘膜を介した前記フェンタニル送達に
適している、投薬形態。
【請求項2】
前記pH調整物質が、局所pHを少なくとも0.5pH単位変化させることができる量
で選択されて供される、請求項1に記載の投薬形態。
【請求項3】
前記pH調整物質が、炭酸塩または重炭酸塩である、請求項2に記載の投薬形態。
【請求項4】
充填剤をさらに含む、請求項1に記載の投薬形態。
【請求項5】
前記充填剤が、約10%w/wから約80%w/wの間の量で存在する、請求項4に記
載の投薬形態。
【請求項6】
前記充填剤がマンニトールである、請求項4に記載の投薬形態。
【請求項7】
圧縮錠である、請求項1に記載の投薬形態。
【請求項8】
約80%を超えるフェンタニルを有するACTIQ(商標)投薬形態に匹敵するCmax
を有する、請求項1に記載の投薬形態。
【請求項9】
約80%を超えるフェンタニルを有するACTIQ(商標)投薬形態に高度に匹敵する
maxを有する、請求項8に記載の投薬形態。
【請求項10】
約80%を超えるフェンタニルを有するACTIQ(商標)投薬形態に非常に高度に匹
敵するCmaxを有する、請求項9に記載の投薬形態。
【請求項11】
用量とCmaxとが直線関係にある、請求項1に記載の投薬形態。
【請求項12】
用量に対するCmaxの比が、約2.0pg/mL/μgから約4.0pg/mL/μg
の間である、請求項1に記載の投薬形態。
【請求項13】
用量に対するCmaxの比が、約2.5pg/mL/μgから約3.5pg/mL/μg
の間である、請求項12に記載の投薬形態。
【請求項14】
用量に対するCmaxの比が、約2.7pg/mL/μgから約3.5pg/mL/μg
の間である、請求項13に記載の投薬形態。
【請求項15】
フェンタニル遊離塩基として計算して約100μg〜約800μgのフェンタニルまた
は同量のその塩と、発泡性物質と、局所pHを少なくとも0.5pH単位変化させること
ができる量で選択されて供されるpH調整物質と、グリコール酸デンプンとを含む投薬形
態であって、前記投薬形態が、頬側投与、歯内投与または舌下投与による患者の口腔粘膜
を介した前記フェンタニルの送達に適しており、用量に対するCmaxの比が約2.0pg
/mL/μgから約4.0pg/mL/μgの間であるか、用量とCmaxとが直線関係に
あるか、またはCmaxが約80%を超えるフェンタニルを有するACTIQ(商標)投薬
形態に匹敵する、投薬形態。
【請求項16】
用量に対するCmaxの比が、約2.7pg/mL/μgから約3.5pg/mL/μg
の間である、請求項15に記載の投薬形態。
【請求項17】
さらに、用量とCmaxとが直線関係にある、請求項16に記載の投薬形態。
【請求項18】
maxが約80%を超えるフェンタニルを有するACTIQ(商標)投薬形態に匹敵す
る、請求項15に記載の投薬形態。
【請求項19】
さらに、用量とCmaxとが直線関係にある、請求項18に記載の投薬形態。
【請求項20】
前記発泡性物質が投薬形態の約5重量%〜約85重量%の量で存在し、前記pH調整物
質が投薬形態の約0.5重量%〜約25重量%の量で存在し、前記グリコール酸デンプン
が投薬形態の約0.25重量%〜約20重量%の量で存在する、請求項15、17および
19のいずれかに記載の投薬形態。
【請求項21】
前記発泡性物質が投薬形態の約15重量%〜約60重量%の量で存在し、前記pH調整
物質が投薬形態の約2重量%〜約20重量%の量で存在し、前記グリコール酸デンプンが
投薬形態の約0.5重量%〜約15重量%の量で存在する、請求項20に記載の投薬形態

【請求項22】
充填剤をさらに含む、請求項20に記載の投薬形態。
【請求項23】
前記充填剤が、約10%w/wから約80%w/wの間の量で存在する、請求項22に
記載の投薬形態。
【請求項24】
前記充填剤がマンニトールである、請求項23に記載の投薬形態。
【請求項25】
F1包装に包装された、請求項1または15に記載の投薬形態。
【請求項26】
必要とする患者の痛みの治療方法であって、フェンタニル遊離塩基として計算して約1
00μg〜約800μgのフェンタニルまたは同量のその塩と、発泡性物質と、局所pH
を少なくとも0.5pH単位変化させることができる量で選択されて供されるpH調整物
質と、グリコール酸デンプンとを含む投薬形態であって、前記投薬形態が、頬側投与、歯
内投与または舌下投与による患者の口腔粘膜を介した前記フェンタニル送達に適しており
、用量に対するCmaxの比が、約2.0pg/mL/μgから約4.0pg/mL/μg
の間であるか、用量とCmaxとが直線関係にあるか、またはCmaxが約80%を超えるフェ
ンタニルを有するACTIQ(商標)投薬形態に匹敵する、投薬形態を、患者の口腔粘膜
に接触させて患者の口腔に置くステップと、前記投薬形態を、前記口腔粘膜を介して治療
有効量の前記フェンタニルを送達するのに十分な時間前記口腔粘膜に密接に接触させた状
態に維持するステップとを含む、方法。
【請求項27】
前記投薬形態が、約10分間から約30分間の間前記口腔粘膜に接触した状態に維持さ
れる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記投薬形態が、前記患者の血流に前記フェンタニル用量の少なくとも約75%が吸収
されるのに十分な時間前記口腔粘膜に接触した状態に維持される、請求項26に記載の方
法。
【請求項29】
前記痛みが、癌の突出痛、背痛、神経障害性の痛み、手術痛、または術後の痛みからな
る群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
癌の突出痛の発現の治療方法であって、フェンタニル遊離塩基として計算して初回量が
約100μgのフェンタニルまたは同量のその塩を、投薬形態の約5重量%〜約85重量
%の量の発泡性物質と、投薬形態の約0.5重量%〜約25重量%の量のpH調整物質と
、投薬形態の0.25重量%〜約20重量%の量のグリコール酸デンプンとを含む投薬形
態であって、前記投薬形態が、患者の口腔粘膜を介した前記フェンタニルの送達に適して
いる、投与形態を供するステップと、前記投薬形態を、前記口腔粘膜を介して治療有効量
の前記フェンタニルを送達するのに十分な時間前記患者の口内の頬と上歯肉または下歯肉
との間に置くステップとを含む、方法。
【請求項31】
フェンタニルの頬側投与、歯内投与または舌下投与のための錠剤の作製方法であって、
フェンタニル塩基として測定して用量あたり約100μgから約800μgの間の量のフ
ェンタニルもしくはその塩または同量のその塩を供するステップと、投薬形態の約5重量
%〜約85重量%の量の発泡性物質、投薬形態の約0.5重量%〜約25重量%の量のp
H調整物質、および投薬形態の約0.25重量%〜約20重量%の量のグリコール酸デン
プンを供するステップと、前記フェンタニル、発泡性物質、pH調整物質およびグリコー
ル酸デンプンをブレンドするステップと、得られたブレンドを少なくとも1つの錠剤に圧
縮するステップとを含む、方法。
【請求項32】
前記錠剤をF1包装に包装するステップをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記投薬形態の約10重量%から約80重量%の間の量の充填剤を供するステップと、
前記得られたブレンドを少なくとも1つの錠剤に圧縮するステップの前に、前記充填剤を
、前記フェンタニル、発泡性物質、pH調整物質およびグリコール酸デンプンとブレンド
するステップとをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記充填剤がマンニトールである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記マンニトールが噴霧乾燥マンニトールである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ブレンドを少なくとも1つの錠剤に圧縮するステップの前に、前記ブレンドに潤滑
剤を添加するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記得られたブレンドを少なくとも1つの錠剤に圧縮するステップの前に、前記潤滑剤
を前記フェンタニル、発泡性物質、pH調整物質、グリコール酸デンプンおよび充填剤と
ブレンドするステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記錠剤が、約5ニュートンから約100ニュートンの間の硬さに圧縮される、請求項
37に記載の方法。
【請求項39】
前記錠剤をF1包装に包装するステップをさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記錠剤が、約5ニュートンから約100ニュートンの間の硬さに圧縮される、請求項
31に記載の方法。
【請求項41】
前記錠剤をF1包装に包装するステップをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
フェンタニルの頬側投与、歯内投与または舌下投与のための錠剤の作製方法であって、
フェンタニル遊離塩基として計算して約100μg〜約800μgのフェンタニルまたは
同量のその塩を供するステップと、発泡性物質、局所pHを少なくとも0.5pH単位変
化させることができる量で選択されて供されるpH調整物質およびグリコール酸デンプン
を供するステップと、前記フェンタニル、発泡性物質、pH調整物質およびグリコール酸
デンプンをブレンドするステップと、得られたブレンドを少なくとも1つの錠剤に圧縮す
るステップであって、前記投薬形態が、頬側投与、歯内投与または舌下投与による患者の
口腔粘膜を介した前記フェンタニルの送達に適しているステップとを含む、方法。
【請求項43】
前記錠剤をF1包装に包装するステップをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記投薬形態の約10重量%から約80重量%の間の量の充填剤を供するステップと、
前記得られたブレンドを少なくとも1つの錠剤に圧縮するステップの前に、前記充填剤を
、前記フェンタニル、発泡性物質、pH調整物質およびグリコール酸デンプンとブレンド
するステップとをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記充填剤がマンニトールである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記マンニトールが噴霧乾燥マンニトールである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ブレンドを少なくとも1つの錠剤に圧縮するステップの前に、前記ブレンドに潤滑
剤を添加するステップをさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記得られたブレンドを少なくとも1つの錠剤に圧縮するステップの前に、前記潤滑剤
を前記フェンタニル、発泡性物質、pH調整物質、グリコール酸デンプンおよび充填剤と
ブレンドするステップをさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記錠剤が、約5ニュートンから約100ニュートンの間の硬さに圧縮される、請求項
48に記載の方法。
【請求項50】
前記錠剤をF1包装に包装するステップをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記錠剤が、約5ニュートンから約100ニュートンの間の硬さに圧縮される、請求項
42に記載の方法。
【請求項52】
前記錠剤をF1包装に包装するステップをさらに含む、請求項51に記載の方法。

【公開番号】特開2013−100347(P2013−100347A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−22495(P2013−22495)
【出願日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【分割の表示】特願2006−547499(P2006−547499)の分割
【原出願日】平成16年12月30日(2004.12.30)
【出願人】(500117347)シーマ・ラブス、インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】