説明

構内無線システム

【課題】 ローミング先の端末への一斉通報を少ない回線で行うことができる構内無線システムを提供する。
【解決手段】 複数のシステムを接続して端末をローミングするローミング機能と、同時に多数の端末へ音声出力する一斉通報機能を備えた構内無線システムにおいて、各システムの制御装置10の制御部11が、方路テーブル12を参照して、会議トランク13に、開催者用チャネル、複数の端末に音声出力を行うモニタ用チャネル、接続先システムの開催者用チャネルに接続する中継用チャネルを形成すると共に、ローミング先の端末をローミング先のモニタ用チャネルに接続する制御を行うものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構内無線システムに係り、特に、ローミング先の端末への一斉通報を少ない回線で行うことができる内線電話を含む構内無線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来の構内無線システムについて説明する。
従来の構内無線システムにおいて、無線内線電話端末(PS)への一斉通報機能がある。
一斉通報機能は、開催者の端末等(PS、ページング装置等)によって起動され、開催者の回線を会議通話のトランクに接続し、システム全域に一斉通報のページング着信を行うようになっている。
【0003】
そして、当該ページング着信を受け取る設定が為されたPSが自動的に発信し、発信してきたPSの回線を一つのモニタ設定の会議通話のトランクと接続する。
このようにして、開催者のトランクとモニタトランクで会議通話が形成されているため、開催者の発した音声はモニタトランクを通して接続された全てのPSへ届けられる。
【0004】
通常の会議通話のトランクは、一つに1回線が接続し、このトランクをグループにまとめることで複数回線による双方向通話、会議通話の機能を実現している。
モニタ設定のトランクは、接続した回線へ音声を送る機能を持つが、接続した回線から音声を受けることはできない。その代わり複数の回線を一つのトランクに接続することができる。これにより、会議トランク数の上限を超える数のPSとの間に片通話とはいえ通信路をもうけることができる。
【0005】
また片通話で開催者からの音声を聴取中のPSも、保留ボタン押下の操作で開催者と同じように自らの音声を報知することができる。
このとき、操作者の回線はモニタトランクから外され、新たに確保された会議トランクに接続され、上記の会議通話に参加している。一斉通報で同時に音声を報知できる回線数は、会議通話で確保可能な会議トランクの数に依る。
【0006】
[ローミング概略:図7]
また、ローミング機能とは、ISDN(Integrated Services Digital Network)回線等の通信回線で接続された複数の無線内線電話システム(以下、CS)において、図7に示すように、システムCS1に登録されたPSがCS2のシステム下においても一部又は全ての機能が使用可能となる機能である。図7は、ローミングの概略を示す図である。
【0007】
ここで、図7に示すように、端末CS1−PS1と端末CS1−PS2との間はシステムCS1内の通常通話を行うものであり、端末CS1−PS2と端末CS2−PS1との間はシステム間通話であり、端末CS1−PS2と端末CS1−PS3との間はローミング通話である。
例えば、図7の端末CS1−PS3はシステムCS1に登録されており、システムCS2には登録されていない端末であるが、CS2の配下の通話エリアにおいても番号の変更など無しに位置登録を行い、通話を行うことができる。
【0008】
[従来の一斉通報シーケンス:図8]
従来の一斉通報シーケンスについて図8を参照しながら説明する。図8は、従来の一斉通報シーケンスを示す略図である。
従来の一斉通報シーケンスは、図8に示すように、交換機(CSの制御装置)が「一斉通報開始」を入力すると、PS制御部(制御装置)に「一斉通報」を出力し、PS制御部がPSに「一斉通報(SETUP)」を送信する。
【0009】
PSから「プリセット特番発呼(SETUP)」を送信し、PS制御部が交換機に「プリセット発呼完了」を出力し、「呼設定受付」の返信を受ける。PS制御部は、PSに「呼設定受付(CALLPROC)」を送信し、その結果、PSより「認証応答」の返信を受け、交換機に「認証完了」を出力する。
【0010】
PS制御部が交換機からの「呼出要求」を入力すると、PSに「呼出(ALERT)」を送信し、交換機からの「呼設定応答」の入力を受けると、PSに「応答(CONN)」を送信し、モニタトランクと接続し、モニタ通話を行うことができる。
【0011】
[従来のローミング一斉通報シーケンス:図9]
次に、従来のローミング一斉通報シーケンスについて図9を参照しながら説明する。図9は、従来のローミング一斉通報シーケンスを示す略図である。
従来のローミング一斉通報シーケンスは、図9に示すように、ローミング元の交換機(制御装置)から「一斉通報開始要求」が出力されると、ローミング元のローミング制御部(制御装置)が「一斉通報発呼(SETUP)」をローミング先のローミング制御部に送信し、ローミング制御部は、「一斉通報開始要求」をローミング先の交換機に出力し、当該交換機が「一斉通報」をPS制御部(制御装置)に出力し、PS制御部がPSに「一斉通報(SETUP)」を送信する。
【0012】
その後、PSから「プリセット特番発呼(SETUP)」を送信し、PS制御部が交換機に「プリセット発呼完了」を出力し、「呼設定受付」の返信を受ける。PS制御部は、PSに「呼設定受付(CALLPROC)」を送信し、「認証応答」の返信を受け、交換機に「認証完了」を出力する。
【0013】
交換機は、ローミング先のローミング制御部に「認証要求」を出力し、当該ローミング制御部は、ローミング元のローミング制御部に「プリセット発呼(SETUP)」を送信し、ローミング元のローミング制御部は、ローミング元の交換機に「呼設定表示」を出力し、「呼設定受付要求」の返信を受ける。当該ローミング制御部は、「CALLPROC」をローミング先のローミング制御部に送信し、当該ローミング制御部は、交換機に「呼設定受付表示」を出力する。
【0014】
更に、ローミング元の交換機が「呼出要求」をローミング元のローミング制御部に出力すると、当該ローミング制御部が「呼出要求」をローミング先のローミング制御部に送信し、当該ローミング制御部が交換機に「呼出要求」を出力し、当該交換機がPS制御部に「呼出要求」を出力し、PS制御部が「呼出(ALERT)」をPSに送信する。
また、ローミング元の交換機が「呼設定応答」をローミング元のローミング制御部に出力すると、当該ローミング制御部が「呼設定応答」をローミング先のローミング制御部に送信し、当該ローミング制御部が交換機に「呼設定応答」を出力し、当該交換機がPS制御部に「呼設定応答」を出力し、PS制御部が「応答(CONN)」をPSに送信する。
このようにして、モニタトランクと接続し、モニタ通話ができる。
【0015】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特開2007−019778号公報「無線通信端末」(株式会社日立国際電気)[特許文献1]がある。
特許文献1には、音声通話と文字メッセージの受信が可能な無線通信端末において、音声通話中の着信について報知動作を行い、音声通話の切断後に、その着信が文字メッセージを含む情報として送信されたものと判断された場合、音声通話の切断後に着信した情報に含まれる文字メッセージを記憶部に記憶し、当該文字メッセージの表示指示が為されると、表示部に当該文字メッセージを表示することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2007−019778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、従来の構内無線システムでは、ローミング中の端末が存在する場合に、その時に一斉通報が行われると、ローミング先のCSとローミング元のCSとの間の通信回線は、そのローミング先で一斉通報に接続するPSの数分だけ使用されてしまい、通信回線を多く使用してしまうという問題点があった。
【0018】
具体的には、多数のPSがローミング中である場合は、一斉通報に応答するPSとの回線でCS間の通信回線が埋まってしまい、一斉通報の間はCS間の通話がまったくできなくなってしまう。
またCS間の接続でCS1とCS2が接続し、CS2とCS3が接続し、CS1とCS3の間をCS2が中継しているような接続関係になっていると、CS1とCS3の間でローミングを行い、一斉通報を行うと、CS2ではCS間通話を行っていない場合でも、CS1、CS3の両側の回線が全て埋まってしまうことになる。
【0019】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、ローミング先の端末への一斉通報を少ない回線で行うことができる構内無線システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、複数のシステムを接続して端末をローミングするローミング機能と、同時に多数の端末へ音声出力する一斉通報機能を備えた構内無線システムであって、各システムの制御装置が、システム間の通信を行うための方路を設定した方路テーブルと、音声合成を行う会議トランクと、ローミング先の端末をローミング先のモニタ用チャネルに接続する制御を行う制御部とを有し、方路テーブルを参照して、会議トランクに、開催者用チャネル、複数の端末に音声出力を行うモニタ用チャネル、接続先システムの開催者用チャネルに接続する中継用チャネルを形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、各システムの制御装置が、システム間の通信を行うための方路を設定した方路テーブルと、音声合成を行う会議トランクと、ローミング先の端末をローミング先のモニタ用チャネルに接続する制御を行う制御部とを有し、方路テーブルを参照して、会議トランクに、開催者用チャネル、複数の端末に音声出力を行うモニタ用チャネル、接続先システムの開催者用チャネルに接続する中継用チャネルを形成する構内無線システムとしているので、ローミング先の端末への一斉通報を少ない回線で行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係る構内無線システムの構成ブロック図である。
【図2】CS接続例を示す図である。
【図3】CS1の方路テーブルの例の図である。
【図4】CS4の方路テーブルの例の図である。
【図5】ローミング一斉通報の音声接続処理例を示す概略図である。
【図6】本実施の形態に係るローミング一斉通報シーケンスを示す略図である。
【図7】ローミングの概略を示す図である。
【図8】従来の一斉通報シーケンスを示す略図である。
【図9】従来のローミング一斉通報シーケンスを示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る構内無線システムは、複数のシステムを接続して端末をローミングするローミング機能と、同時に多数の端末へ音声出力する一斉通報機能を備えた構内無線システムにおいて、各システムの制御装置の制御部が、方路テーブルを参照して、会議トランクに、開催者用チャネル、複数の端末に音声出力を行うモニタ用チャネル、接続先システムの開催者用チャネルに接続する中継用チャネルを形成すると共に、ローミング先の端末をローミング先のモニタ用チャネルに接続する制御を行うものであり、ローミング先の端末への一斉通報を少ない回線で行うことができるものである。
【0024】
[本システム:図1]
本発明の実施の形態に係る構内無線システムについて図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る構内無線システムの構成ブロック図である。
本発明の実施の形態に係る構内無線システム(本システム)は、例えば、図1に示すように、無線内線電話システムCS1の制御装置10−1と、無線内線電話システムCS3の制御装置10−3と、無線内線電話システムCS5の制御装置10−5と、無線内線電話システムCS6の制御装置10−6とを基本的に有している。
図1では、制御装置10−1は制御装置10−3に接続し、制御装置10−3は制御装置10−5と制御装置10−6に接続している。
【0025】
[本システムの各部]
本システムの各部について具体的に説明する。
制御装置は、制御部11と、方路テーブル12と、会議トランク13と、CS間インタフェース14を備えている。
【0026】
[制御部11]
制御部11は、方路テーブル12にデータを設定して当該データを参照可能とし、会議トランクを制御し、無線内線電話端末を登録し、一斉通報機能を備え、CS間通話、CS間ローミング機能を備え、後述する特徴的な処理を実行するものである。
【0027】
[方路テーブル12]
方路テーブル12は、図示しない記憶部に記憶され、CS番号とそのCSに対応する局番、接続方法が設定され、PSの登録されたCSを判別するのに用いられる。
接続方法は、直接又は間接の接続方法が設定されている。
そして、方路テーブル12は、CS間通話、ローミング可能な全てのCSに対する方路のテーブルとなっている。
【0028】
[会議トランク13]
会議トランク13は、複数の回線の音声を合成する会議トランクである。
[CS間インタフェース14]
CS間インタフェース14は、接続先の制御装置のCS間インタフェース14に接続し、CS間の通信を可能にしている。
【0029】
尚、制御装置10−3は、制御装置10−1、制御装置10−5及び制御装置10−6に接続するため、3つのCS間インタフェースを備えている。
図1において、制御装置10−5及び制御装置10−6で、制御部、方路テーブル、会議トランクを描画していないが、当然に備えているものである。
【0030】
また、あるCS配下の端末で、そのCSに登録されている端末をホームPS、他のCSからローミングしてきている端末をビジタPSと称することがある。あるPSが登録されているCSをホームCSと称することがある。
【0031】
[CS接続例:図2]
次に、CSの接続例について図2を参照しながら説明する。図2は、CS接続例を示す図である。
CS接続例は、図2に示すように、CS1はCS2及びCS3に接続し、CS2はCS4に接続し、CS3はCS5及びCS6に接続している。
また、CS1には局番「81」「61」が設定され、CS2には局番「82」「62」が設定され、CS3には局番「83」「63」が設定され、CS4には局番「84」「64」が設定され、CS5には局番「85」「65」が設定され、CS6には局番「86」「66」が設定されている。設定された局番は、方路テーブルに記憶されている。
【0032】
[方路テーブル:図3,4]
次に、図2のCS接続例における方路テーブルについて図3、図4を参照しながら説明する。図3は、CS1の方路テーブルの概略図であり、図4は、CS4の方路テーブルの概略図である。
【0033】
[CS1の方路テーブル:図3]
方路テーブルには、基本的に、CS番号と局番、接続方法が設定されており、CS1の方路テーブルは、図3に示すように、CS番号「CS1」に対して、局番「81」「61」が、接続方法「自分」が設定され、CS番号「CS2」に対して、局番「82」「62」が、接続方法「直接」が設定され、...、CS番号「CS6」に対して、局番「86」「66」が、接続方法「CS3」が設定されている。
【0034】
ここで、接続方法「CS3」とは、最初にCS3を介して接続することを意味している。また、「接続方法」は、そのCS番号のCSが自身にたいしてどのような論理的な接続位置にあるかを示すものである。
特に、本実施の形態においては、方路テーブルに「自分」「直接」意外に、最初の経由先のCS番号を設定できるようにしたことに特徴がある。
【0035】
この場合、内線番号が「81002」のPSはCS1に属するPSであり、内線番号が「661」のPSはCS6に属するPSというように判別できる。
つまり、CSの接続を行いCS間通信、ローミングを行う場合は、当然このような方路テーブルを記載できる番号計画を行わなければならない。
【0036】
[CS4の方路テーブル:図4]
CS4の方路テーブルは、図4に示すように、CS番号「CS1」に対して、局番「81」「61」が、接続方法「CS2」が設定され、CS番号「CS2」に対して、局番「82」「62」が、接続方法「直接」が設定され、...、CS番号「CS4」に対して、局番「84」「64」が、接続方法「自分」が設定され、...、CS番号「CS6」に対して、局番「86」「66」が、接続方法「CS2」が設定されている。
【0037】
また、局番について具体的に説明すると、局番とは内線番号の上数桁を示し、各CSはPSの内線番号の上数桁で方路テーブルを検索することで、そのPSの登録されたCSを判別する。
そのため、局番は方路テーブルに登録される他の局番に対して独立でなければならない。たとえば「8」という局番が設定された場合、「83」、「89」などは「8」に含まれるため設定できない。
【0038】
[一斉通報のCS間伝達]
一斉通報はそのCS内の全てのエリアに一斉通報の着信をかけ、その一斉通報に対応した設定のされた端末が自ら発信を行うことで通信路を形成する。ローミング端末に対して一斉通報を行うためには、ローミング先のCSに対して制御信号により一斉通報の実施を要求しなければならない。そのため一斉通報の要求の制御信号に送り先のCS番号を載せる。
【0039】
図2のCS接続例におけるCS4で一斉通報を行った場合、一斉通報の制御信号は以下のように伝達される。
まず、CS4の制御部は、CS4内部(自身)へのCS4一斉通報を行い、CS4の方路テーブルを参照してCS4からCS2にCS4一斉通報要求(送り先CS1,CS2,CS3,CS5,CS6)を送信する。
【0040】
次に、CS2の制御部は、CS2内部へのCS4一斉通報を行い、CS2の方路テーブルを参照してCS2からCS1にCS4一斉通報要求(送り先CS1,CS3,CS5,CS6)を送信する。
更に、CS1の制御部は、CS1内部へのCS4一斉通報を行い、CS1の方路テーブルを参照してCS1からCS3にCS4一斉通報要求(送り先CS3,CS5,CS6)を送信する。
【0041】
次に、CS3の制御部は、CS3内部へのCS4一斉通報を行い、CS3の方路テーブルを参照してCS3からCS5にCS4一斉通報要求(送り先CS5)を送信すると共に、CS3からCS6にCS4一斉通報要求(送り先CS6)を送信する。
そして、CS5の制御部は、CS5内部へのCS4一斉通報を行い、CS6の制御部は、CS6内部へのCS4一斉通報を行う。
【0042】
[ローミング一斉通報の音声接続:図5]
本システムにおけるローミング一斉通報の音声接続処理について図5を参照しながら説明する。図5は、ローミング一斉通報の音声接続処理例を示す概略図である。
本システムにおけるローミング一斉通報の音声接続処理は、図5に示すように、基本的には、一斉通報の音声が会議トランクを利用して行われるものである。
【0043】
会議トランクのチャネルには設定により1回線と接続し、音声の送信と受信が可能な通常の会議トランクのチャネルの他に、音声の送信のみに特化し、複数の回線を接続できるモニタ用の会議トランクのチャネルがある。
一斉通報では、このモニタ会議トランクに一斉通報開催者以外の回線を接続することで、会議トランクのチャネル数以上の回線へ音声を放送する。
【0044】
また、モニタで一斉通報聴取中の参加者のPSは、保留などの特定操作を行うことにより、開催者と同様に音声を放送することができる。これはそのPSの回線をモニタ用のチャネルから会議トランクの空きチャネルに接続しなおすことにより、開催者と同様に双方向通話をできる様にする。この操作が可能なPSは、会議トランクの空きチャネル数に依存する。
【0045】
ローミング一斉通報の時、図5に示すように、会議トランクには「開催者用のチャネル」、参加者の「モニタ用のチャネル」、「中継用のチャネル」が用意される。また、参加者が音声を放送するために保留操作が為された場合には、「保留者用のチャネル」が用意される。
【0046】
「中継用のチャネル」は、直接接続のCS分用意され、CS間の一斉通報要求を行った先の「開催者用のチャネル」と接続する。ローミング先では、中継元とのCS間通信が「開催者用のチャネル」に接続される他は中継元と同様となる。中継先が複数ある場合は、会議トランクの中継用チャネルもその中継先と同じだけ必要になる。
【0047】
従来の会議トランクは、ローミング先CSの開催者用のチャネル、モニタ用のチャネルを設けて、その開催者用のチャネルに接続する中継用のチャネルを設けるものではない。
更に、従来の会議トランクでは、ローミング先CSにある参加者の端末が、ローミング元(ホームCS)のモニタ用のチャネルに接続するもので、ローミング先の全てのPSがホームCSと通信路を開くため、ローミング端末数だけ通信回線が必要となっていた。
【0048】
本システムでは、一斉通報時はCS間の通信回線は1回線のみとし、各CSへのローミングPSは、そのCS下のホームPSへの一斉通報と同様のシーケンスで接続を行うものである。
【0049】
[ローミング一斉通報シーケンス:図6]
本実施の形態に係るローミング一斉通報シーケンスについて図6を参照しながら説明する。図6は、本実施の形態に係るローミング一斉通報シーケンスを示す図である。
本システムにおけるローミング一斉通報シーケンスは、図6に示すように、ローミング元の交換機(制御装置)から「一斉通報開始要求」が出力されると、ローミング元のローミング制御部(制御装置)が「一斉通報発呼(SETUP)」をローミング先のローミング制御部に送信し、ローミング制御部は、「一斉通報開始要求」をローミング先の交換機に出力し、当該交換機が「一斉通報」をPS制御部(制御装置)に出力し、PS制御部がPSに「一斉通報(SETUP)」を送信する。
【0050】
ローミング先の交換機は、「呼設定要求」をローミング制御部に出力し、当該ローミング制御部は、「プリセット発呼(SETUP)」をローミング元のローミング制御部に送信する。当該ローミング制御部は、交換機に「呼設定表示」を出力し、「呼設定受付要求」の返信を受け、ローミング先のローミング制御部に「CALL−PROC」を送信して、当該ローミング制御部は、交換機に「呼設定表示受付」を送信して、会議トランクと接続して通話を開始する。
【0051】
その後、本システムの特徴部分として、PSから「プリセット特番発呼(SETUP)」を送信し、PS制御部が交換機に「プリセット発呼完了」を出力し、「呼設定受付」の返信を受ける。PS制御部は、PSに「呼設定受付(CALLPROC)」を送信し、「認証応答」の返信を受け、交換機に「認証完了」を出力する。
【0052】
交換機から「呼出要求」をPS制御部が入力すると、PSに「呼出(ALERT)」を送信し、交換機から「呼設定応答」の入力を受けると、PSに「応答(CONN)」を送信し、モニタトランクと接続し、モニタ通話を行うことができる。
これにより、各CSへのローミングPSは、そのCS下のホームPSへの一斉通報と同様のシーケンスで接続を行うことができる。
【0053】
[実施の形態の効果]
本システムによれば、ローミング端末が多数ある状況で一斉通報を行っても、会議トランク13に中継用のチャネルを設けて接続先CSの開催者用のチャネルに接続し、更に当該CS内で中継用のチャネルを介して他の接続先CSに接続し、各CSではモニタ用のチャネルで参加者に音声出力するようにしているので、システム間の回線が占有されず、少ない回線で通信を行うことができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、ローミング先の端末への一斉通報を少ない回線で行うことができる構内無線システムに好適である。
【符号の説明】
【0055】
1...開催者端末、 2...参加者端末、 10...制御装置、 11...制御部、 12...方路テーブル、 13...会議トランク、 14...CS間インタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシステムを接続して端末をローミングするローミング機能と、同時に多数の端末へ音声出力する一斉通報機能を備えた構内無線システムであって、
前記各システムの制御装置が、システム間の通信を行うための方路を設定した方路テーブルと、音声合成を行う会議トランクと、ローミング先の端末をローミング先のモニタ用チャネルに接続する制御を行う制御部とを有し、
前記方路テーブルを参照して、前記会議トランクに、開催者用チャネル、複数の端末に音声出力を行うモニタ用チャネル、接続先システムの開催者用チャネルに接続する中継用チャネルを形成することを特徴とする構内無線システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−129877(P2012−129877A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280929(P2010−280929)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】