説明

構成可能なプリンタ及びプリンタを構成するための方法

【解決手段】複数のファームウエアアプリケーションプログラムを格納するための第1メモリを含む構成可能プリンタが与えられる。ファームウエアアプリケーションプログラムの各々はそれぞれ異なるプリンタ機能を実行可能にする。第1メモリ内の複数のファームウエアアプリケーションプログラムからそれぞれのファームウエアアプリケーションプログラムを選択するための複数の設定を有するディップスイッチのようなスイッチ機構が与えられる。プリンタはまたブートプログラムを格納するための第2メモリを含む。プリンタの始動と同時にブートプログラムを実行するためのプロセッサが与えられる。実行中、ブートプログラムはスイッチ機構のカレント設定を読み込み、かつ、カレント設定に対応する選択したファームウエアアプリケーションプログラムを実行し、それによって所望のプリンタ機能が与えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷の技術分野に関する。特に、本発明は、プリンタを立ち上げるために、異なるバージョンのファームウエアを選択するためのディップ(デュアル・インライン・パッケージ)スイッチのようなハードウエアスイッチを使用する、構成可能なプリンタ及びプリンタを構成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的に、ひとつまたはそれ以上のディップスイッチによるプリンタ構成可能性を与える2つの従来の方法がある。第1の方法では、ファームウエアアプリケーションプログラムが実行されている際に、ディップスイッチの位置が検知または読み取られる。スイッチが検知または読み取られる際、各ディップスイッチ設定に関連する設定が後の使用のためにメモリ内に対応値を配置することにより記憶される。プリンタがディップスイッチ設定情報を必要とする際、対応するメモリ値がメモリから読み出され、そのメモリ値の設定に基づいてファームウエアプログラムが実行される。
【0003】
第2の方法では、ディップスイッチ位置がリアルタイムで検知されまたは読み込まれる。デバイス/プリンタがディップスイッチ設定情報を必要とする際、対応する設定がディップスイッチ設定から直接検知または読み込まれ、スイッチの設定に基づいてファームウエアプログラムが実行される。
【0004】
ディップスイッチ設定は、例えば、復帰文字が受信された後に何行改行するか、カラーまたはモノクロ印刷のいずれを実行するか、印刷後に書類を切断するか等に対応する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術は、装置の行動または動作をどのくらい修正できるかの範囲に限定されている。以前として装置は、ディップスイッチ設定に依存する装置の行動または動作に対する小さいまたは限定した修正により、基本的に同じ方法で作動している。
【0006】
低コストなメモリコンポーネントの出現により、より行動的及び動作的な構成可能性を与える改良したアプローチが可能である。プリンタの行動及び動作の修正可能範囲を改良した、プリンタのディップスイッチ制御構成可能性を与えることが有利である。また、ディップスイッチにより構成可能な装置において、異なる行動を実行するのを単純化することが有利である。さらに、ひとつのプリンタアプリケーションで変更があった場合に、それが他のアプリケーションの行動/動作に対する影響(不所望な、予期せぬ効果)から分離されることが有利である。
【0007】
本発明の方法及び装置は、上記及び他の利点を与えるものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、プリンタを立ち上げるために、異なるバージョンのプリンタファームウエアを選択するためのディップスイッチのようなハードウエアスイッチを使った構成可能なプリンタ及びプリンタを構成する方法に関する。
【0009】
本発明のひとつの実施例において、構成可能なプリンタが与えられる。プリンタは、複数のファームウエアアプリケーションプログラムを格納するための第1メモリを含む。それぞれのファームウエアアプリケーションプログラムは、それぞれ異なるプリンタ機能を実行可能とする。第1メモリ内の複数のファームウエアアプリケーションプログラムから各ファームウエアアプリケーションプログラムを選択するために複数の設定を有するスイッチ機構が与えられる。プリンタはまたブートプログラムを格納するための第2メモリを含む。プロセッサはプリンタの始動と同時にブートプログラムを実行するために与えられる。実行中、ブートプログラムはスイッチ機構のカレント設定を読み込み、カレント設定に対応する選択したファームウエアアプリケーションプログラムを実行する。
【0010】
例えば、複数のファームウエアアプリケーションの各々は、復帰文字受信後の改行数、カラーまたはモノクロ印刷、印刷後の書類の切断、プリンタ制御に使用されるコマンドセット、プリンタ機構制御アルゴリズム、書類プレゼンテーションスキーム、装置解像度、印刷された文字の置換等の少なくともひとつで制御し得る。
【0011】
第1メモリ及び第2メモリは単一メモリデバイス内の異なるメモリ位置から成る。例えば、複数のファームウエアアプリケーションプログラム及びブートプログラムは、フラッシュまたはROMメモリデバイス内の別々の位置に格納されてもよい。
【0012】
第1メモリ及び第2メモリは、例えば、別々のフラッシュまたはROMメモリのような不揮発性メモリから成ることもできる。選択したファームウエアアプリケーションは、例えば、フラッシュ、ROMまたはRAMメモリのような、ひとつの揮発性または不揮発性メモリ内で実行される。
【0013】
スイッチ機構はディップスイッチまたは他の種類の機械的スイッチ機構から成る。
【0014】
ディップスイッチ設定を使ってプリンタを構成する対応する方法もまた、本発明に従って与えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下の本発明の詳細な説明は、例示に過ぎず、本発明の態様、応用可能性及び構成を限定するものではない。実施例の詳細な説明により、当業者は本発明の実施例を実施することが可能となる。特許請求の範囲に記載した本発明の思想及び態様から離れることなく、エレメントの機能及び配置を変更することが可能である。
【0016】
図1に、本発明の実施例である構成可能プリンタ10が示されている。プリンタは複数のファームウエアアプリケーション(例えば、アプリケーションプログラム18、20及び22)を格納するための第1メモリ12を含む。ファームウエアアプリケーションプログラム18、20及び22の各々は、それぞれ異なるプリンタ機能を実行可能にする。第1メモリ12内の複数のファームウエアアプリケーションプログラム18、20、22から各ファームウエアアプリケーションプログラムを選択するために、複数の設定を有するスイッチ機構14が与えられる。プリンタ10はまたブートプログラム24を格納するための第2メモリ16を含む。プロセッサ30は、プリンタ10の始動と同時にブートプログラム24を実行するために与えられる。実行中、ブートプログラム24はスイッチ機構14のカレント設定を読み込み、カレント設定に対応する選択したファームウエアアプリケーションプログラムを実行する。言い換えれば、ブートプログラム24は、スイッチ機構14の設定に基づいて始動させるようファームウエアアプリケーションプログラム18、20または22のひとつを選択する。
【0017】
例えば、複数のファームウエアアプリケーション18、20及び22の各々は、復帰文字の受信後の改行数、カラーまたはモノクロ印刷、印刷後の書類の切断、プリンタ制御用に使用されるコマンドのセット、プリンタ機構制御アルゴリズム、書類プレゼンテーションスキーム、装置解像度、印刷文字置換等の少なくともひとつを制御する。したがって、スイッチ設定に応じて、始動時に所望の機能を与えるようプリンタ10の構成が容易に設定可能である。また、プリンタ10はスイッチ設定を変更しかつプリンタ10をリブートすることにより容易に再構成することが可能である。
【0018】
第1メモリ12及び第2メモリ16は単一メモリデバイス内の異なるメモリ位置から構成されてもよい。例えば、複数のファームウエアアプリケーションプログラム18、20及び22並びにブートプログラム24が、フラッシュまたはROMメモリデバイス内の異なる位置に格納される。
【0019】
第1メモリ12及び第2メモリ14は、例えば別々のフラッシュまたはROMメモリのような別個の不揮発性メモリから成ってもよい。
【0020】
選択したファームウエアアプリケーションは、例えば、フラッシュ、ROMまたはRAMメモリのような揮発性または不揮発性メモリのひとつ内で実行され得る。
【0021】
スイッチ機構14はディップスイッチまたは他の任意の種類の機械的スイッチ機構から成る。
【0022】
図2は、本発明に従うプリンタを構成するための方法の実施例のフローチャートを示す。始動100と同時に、プロセッサがブートプログラム120を読み込む。ブートプログラム120はスイッチ機構140のカレント設定を読み込み、それぞれがプリンタ機構の異なるセットを実行可能にするファームウエアアプリケーションプログラム150、ファームウエアアプリケーションプログラム152、またはファームウエアアプリケーションプログラム154のような対応するファームウエアアプリケーションプログラムを指定する。スイッチ機構140の設定に対応する選択したファームウエアアプリケーションプログラムが、その後プロセッサにより実行され、所望のプリンタ構成が与えられる。
【0023】
図1及び2は3つの異なるファームウエアアプリケーションプログラムのみを示すが、任意の数のファームウエアアプリケーションプログラムがプリンタのメモリ容量に応じてプリンタ10内に格納されてもよいことは当業者の知るところである。
【0024】
本発明はプリンタの構成に関して説明されたが、本発明は、スキャナ、コピー、ファックス等の他の装置の構成に応用可能であることも当業者の知るところである。
【0025】
本発明は、異なるバージョンのファームウエアをロードするためにディップスイッチ設定を使って、プリンタなどの装置を用意に構成または再構成するための有利な方法及び装置を与えるものである。
【0026】
本発明は実施例について説明してきたが、特許請求の範囲に記載される発明の思想及び態様から離れることなくさまざまな付加及び修正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の実施例のブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施例のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成可能プリンタであって、
複数のファームウエアアプリケーションプログラムを格納するための第1メモリであり、前記ファームウエアアプリケーションプログラムの各々がそれぞれ異なるプリンタ機能を実行可能にするところの第1メモリと、
前記複数のファームウエアアプリケーションプログラムからそれぞれのファームウエアアプリケーションプログラムを選択するための、複数の設定を有するスイッチ機構と、
ブートプログラムを格納するための第2メモリと、
前記プリンタの始動と同時に前記ブートプログラムを実行するためのプロセッサであって、実行中に、前記ブートプログラムが前記スイッチ機構のカレント設定を読み込み、かつ、前記カレント設定に対応する選択したファームウエアアプリケーションプログラムを実行するところのプロセッサと、
から成る構成可能プリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載の構成可能プリンタであって、前記第1メモリ及び前記第2メモリは、単一のメモリデバイス内の異なるメモリ位置から成る、ところの構成可能プリンタ。
【請求項3】
請求項2に記載の構成可能プリンタであって、前記メモリデバイスは、フラッシュメモリまたはROMのいずれかから成る、ところの構成可能プリンタ。
【請求項4】
請求項1に記載の構成可能プリンタであって、前記第1メモリ及び前記第2メモリはそれぞれ不揮発性メモリから成る、ところの構成可能プリンタ。
【請求項5】
請求項1に記載の構成可能プリンタであって、前記第1メモリ及び前記第2メモリはそれぞれフラッシュメモリまたはROMのいずれかから成る、ところの構成可能プリンタ。
【請求項6】
請求項1に記載の構成可能プリンタであって、前記選択したファームウエアアプリケーションは、揮発性メモリまたは不揮発性メモリのいずれかの内部で実行される、ところの構成可能プリンタ。
【請求項7】
請求項6に記載の構成可能プリンタであって、前記選択したファームウエアアプリケーションは、フラッシュメモリ、ROMまたはRAMのいずれかの内部で実行される、ところの構成可能プリンタ。
【請求項8】
請求項1に記載の構成可能プリンタであって、前記スイッチ機構はディップスイッチから成る、ところの構成可能プリンタ。
【請求項9】
プリンタを構成するための方法であって、
複数のファームウエアアプリケーションプログラムを格納する工程であって、前記ファームウエアアプリケーションプログラムの各々がそれぞれ異なるプリンタ機能を実行可能にするところの工程と、
前記複数のファームウエアアプリケーションプログラムからそれぞれのファームウエアアプリケーションプログラムを選択する工程と、
ブートプログラムを格納する工程と、
前記プリンタの始動と同時に前記ブートプログラムを実行する工程であって、実行中に、前記ブートプログラムが前記選択したファームウエアアプリケーションプログラムを実行するところの工程と、
から成る方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記複数のファームウエアアプリケーションプログラム及び前記ブートプログラムは、単一のメモリデバイス内の異なるメモリ位置に格納される、ところの方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記メモリデバイスは、フラッシュメモリまたはROMのいずれかから成る、ところの方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法であって、前記複数のファームウエアアプリケーションプログラム及び前記ブートプログラムは、不揮発性メモリ内に格納される、ところの方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記不揮発性メモリはフラッシュメモリまたはROMのいずれかから成る、ところの方法。
【請求項14】
請求項9に記載の方法であって、前記選択したファームウエアアプリケーションは揮発性または不揮発性メモリのいずれかの内部で実行される、ところの方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記選択したファームウエアアプリケーションは、フラッシュメモリ、ROM、またはRAMのいずれかの内部で実行される、ところの方法。
【請求項16】
請求項9に記載の方法であって、
前記選択工程は、複数の設定を有するスイッチ機構を使って実行され、各設定はそれぞれのファームウエアアプリケーションに対応し、
前記ブートプログラムは前記スイッチ機構のカレント設定を読み込み、かつ、前記カレント設定に対応する前記選択したファームウエアアプリケーションを実行する、ところの方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、前記スイッチ機構はディップスイッチから成る、ところの方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−504145(P2008−504145A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518344(P2007−518344)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/022732
【国際公開番号】WO2006/002413
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(505233066)トランザクト・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】TRANSACT TECHNOLOGIES INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7 Laser Lane, Wallingford,  Connecticut 06492, United States of America
【Fターム(参考)】