構造物の表面改良工法,構造物用表面改良材およびその製造方法
【課題】 道路付近に構築,設置された構造物の補修,改修を現場施工で簡単に実施できるようにする。
【解決手段】 道路付近に構築,設置された構造物Bの表面に対面される面積を有して合成樹脂材で形成された板形のカバー本体1を備え、カバー本体1は背面12に雨水の流通を確保する溝3が設けられ複数箇所に取付ボルトが挿通されるボルト挿通孔4が貫通されている。
【解決手段】 道路付近に構築,設置された構造物Bの表面に対面される面積を有して合成樹脂材で形成された板形のカバー本体1を備え、カバー本体1は背面12に雨水の流通を確保する溝3が設けられ複数箇所に取付ボルトが挿通されるボルト挿通孔4が貫通されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路付近に構築,設置された構造物(道路自体をも含む)の表面改良に係る技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
道路付近に構築,設置された構造物は、車両の衝突等で損傷を受けやすく頻繁に補修が必要になるとともに、交通安全対策面からの視認性の向上等のために各種の改修もしばしば必要になるものである。この構造物については、コンクリート等で非可搬的に構築,設置されることから、補修,改修を種々制約のある現場施工で実施しなければならない。このため、道路付近に構築,設置された構造物について、補修,改修を現場施工で簡単に実施することのできる技術の開発が要望されている。
【0003】
従来、道路付近に構築,設置される構造物の構造に係る技術としては、例えば、以下に記載のものが知られている。
【特許文献1】 実開平2−78614号公報
特許文献1には、合成樹脂材で形成された箱形のカバー材の内部にコンクリートを充填した縁石ブロックが記載されている。
【0004】
特許文献1に係る縁石ブロックについては、カバー材に緩衝材的機能を奏させることでコンクリートからなる本体部分の損傷を低減することが予想される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る縁石ブロックでは、工場出荷の際に構造物である縁石ブロックに損傷を低減する構造を備える技術が開示されているのみで、構造物の構築,設置の後の補修,改修に関する技術が提供されているわけではないため、道路付近に構築,設置された構造物の補修,改修への適用については実現可能性がないという問題点がある。
【0006】
本発明は、このような問題点を考慮してなされたもので、道路付近に構築,設置された構造物の補修,改修を現場施工で簡単に実施することのできる構造物の表面改良工法と、この構造物の表面改良工法での使用に好適な構造物用表面改良材と、この構造物用表面改良材を製造するために有効な構造物用表面改良材の製造方法とを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するため、本発明に係る構造物の表面改良工法は、特許請求の範囲の請求項1〜3に記載の手段を採用する。
【0008】
即ち、請求項1では、道路付近に構築,設置された構造物の表面にボルト穴を穿設し、ボルト挿通孔が貫通され背面に雨水の流通を確保する溝が設けられた板形の構造物用表面改良材を構造物に被せ、取付ボルトを構造物用表面改良材のボルト挿通孔に挿通して構造物のボルト穴に螺合させ、構造物用表面改良材を構造物の表面にボルト締で取付ける。
【0009】
この手段では、道路付近に構築,設置される構造物の表面をボルト締で強固に取付けられる構造物用表面改良材で覆ってしまうことで、構造物の表面の補修,改修である表面改良を施工する。また、構造物用表面改良材の背面に雨水の流通を確保する溝が設けられることで、構造物用表面改良材,構造物の間に雨水が滞溜して構造物用表面改良材,構造物が劣化するのが防止される。
【0010】
また、請求項2では、請求項1の構造物の表面改良工法において、構造物用表面改良材を構造物に被せる際に、構造物用表面改良材,構造物の接合面に接着剤を塗布することを特徴とする。
【0011】
この手段では、構造物用表面改良材,構造物の接合面に接着剤を塗布することで、構造物用表面改良材の構造物への取付強度が高くなる。
【0012】
また、請求項3では、請求項1または2の構造物の表面改良工法において、構造物に構造物用表面改良材をボルト締する際に、構造物の損傷部分に位置する構造物用表面改良材のボルト挿通孔への取付ボルトの挿通を最後に残しておき、そのボルト挿通孔から構造物の損傷部分に流動性を有して後に固化する性質の補修材料を充填してからボルト締することを特徴とする。
【0013】
この手段では、構造物用表面改良材に設けられているボルト挿通孔を利用して流動性を有して後に固化する性質の補修材料を損傷部分に充填することで、補修材料の充填による補修を併用することができる。また、既に構造物用表面改良材によって覆われた損傷部分に補修材料が充填されることで、補修材料の充填後に特別に養生期間を確保する必要がなくなる。
【0014】
前述の課題を解決するため、本発明に係る構造物用表面改良材は、特許請求の範囲の請求項4〜6に記載の手段を採用する。
【0015】
即ち、請求項4では、道路付近に構築,設置された構造物の表面に対面される面積を有して合成樹脂材で形成された板形のカバー本体を備え、カバー本体は背面に雨水の流通を確保する溝が設けられ複数箇所に取付ボルトが挿通されるボルト挿通孔が貫通されている。
【0016】
この手段では、合成樹脂材で板形に形成されることで、合成樹脂材の成形品として提供可能になる。
【0017】
また、請求項5では、請求項4の構造物用表面改良材において、カバー本体は縁辺の少なくとも一部に表面から縁辺に向けて降下する傾斜をもったテーパ面が設けられていることを特徴とする。
【0018】
この手段では、カバー本体の縁辺に表面から降下する傾斜をもったテーパ面が設けられることで、カバー本体と構造物の周囲との急激な段差が消失されるとともに、構造物の周囲への変形対応が可能になる。
【0019】
また、請求項6では、請求項4または5の構造物用表面改良材において、カバー本体は表面に凹凸構造が設けられていることを特徴とする。
【0020】
この手段では、カバー本体の表面に凹凸構造が設けられることで、凹凸構造を標識等としての用途に供することができる。
【0021】
また、請求項7では、請求項4〜6のいずれかの構造物用表面改良材において、カバー本体は表面に光を反射する反射材が取付けられていることを特徴とする。
【0022】
この手段では、カバー本体の表面に反射材が取付けられることで、カバー本体の存在が光の反射で示される。
【0023】
前述の課題を解決するため、本発明に係る構造物用表面改良材の製造方法は、特許請求の範囲の請求項8,9に記載の手段を採用する。
【0024】
即ち、請求項8では、請求項4〜7のいずれかの構造物用表面改良材を製造するに際して、製造材料として合成樹脂材系の廃棄物を洗浄し乾燥させたものを利用し、材料を溶融させ圧縮して形成することを特徴とする。
【0025】
この手段では、製造材料として洗浄し乾燥させた合成樹脂材系の廃棄物を利用することで、材料費が低減される。また、材料を溶融させて圧縮形成することで、金型成形により容易に製造することができる。
【0026】
また、請求項9では、請求項8の構造物用表面改良材の製造方法において、製造材料である合成樹脂材系の廃棄物の洗浄と乾燥とを高温下で行うことを特徴とする。
【0027】
この手段では、製造材料である合成樹脂材系の廃棄物の洗浄と乾燥とを高温下で行うことで、洗浄,乾燥を短時間で確実に実施することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る構造物の表面改良工法は、構造物の表面をボルト締で強固に取付けられる構造物用表面改良材で覆ってしまうことで、構造物の表面の補修,改修である表面改良を施工するため、道路付近に構築,設置された構造物の補修,改修を現場施工で簡単に実施することができる効果がある。また、構造物用表面改良材の背面に雨水の流通を確保する溝が設けられることで、構造物用表面改良材,構造物の間に雨水が滞溜して構造物用表面改良材,構造物が劣化するのが防止されるため、施工の耐久性が高くなる効果がある。
【0029】
さらに、請求項2として、構造物用表面改良材,構造物の接合面に接着剤を塗布することで、構造物用表面改良材の構造物への取付強度が高くなるため、施工の耐久性がより高くなる効果がある。
【0030】
さらに、請求項3として、構造物用表面改良材に設けられているボルト挿通孔を利用して流動性を有して後に固化する性質の補修材料を損傷部分に充填することで、補修材料の充填による補修を併用することができるため、道路付近に構築,設置された構造物の補修をより確実に実施することができる効果がある。また、既に構造物用表面改良材によって覆われた損傷部分に補修材料が充填されることで、補修材料の充填後に特別に養生期間を確保する必要がなくなるため、施工の工期が長期化されない効果がある。
【0031】
本発明に係る構造物用表面改良材は、合成樹脂材で板形に形成されることで、合成樹脂材の成形品として提供可能になるため、安価,容易に製造することができる効果がある。
【0032】
さらに、請求項5として、カバー本体の縁辺に表面から降下する傾斜をもったテーパ面が設けられることで、カバー本体と構造物の周囲との急激な段差が消失されるとともに、構造物の周囲への変形対応が可能になるため、歩行者の躓きを防止して歩行等の安全性を確保し、構造物の周囲へのおさまりが良好になる効果がある。
【0033】
さらに、請求項6として、カバー本体の表面に凹凸構造が設けられることで、凹凸構造を標識等としての用途に供することができるため、用途が拡張される効果がある。
【0034】
さらに、請求項7として、カバー本体の表面に反射材が取付けられることで、カバー本体の存在が光の反射で示されるため、ライトを点灯した車両の走行する道路沿いへの設置に有効となる効果がある。
【0035】
本発明に係る構造物用表面改良材の製造方法は、製造材料として洗浄し乾燥させた合成樹脂材系の廃棄物を利用することで、材料費が低減され、材料を溶融させて圧縮形成することで、金型成形により容易に製造することができるため、構造物用表面改良材を低コストで製造することができる効果がある。
【0036】
さらに、請求項9として、製造材料である合成樹脂材系の廃棄物の洗浄と乾燥とを高温下で行うことで、洗浄,乾燥を短時間で確実に実施することができるため、材料としての品質を低コストで良質にすることができ、製品としての構造物用表面改良材の品質も低コストで良質にすることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明に係る構造物の表面改良工法,構造物用表面改良材およびその製造方法を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0038】
図1〜図10は、本発明に係る構造物の表面改良工法,構造物用表面改良材およびその製造方法を実施するための最良の形態の第1例を示すものである。
【0039】
第1例では、道路Rと歩道Fとの境界に段差を形成して設置される縁石ブロックからなる構造物Bに関するものを示してある。
【0040】
まず、第1例の構造物用表面改良材Cの構成について説明する。
【0041】
第1例の構造物用表面改良材Cは、図1に示すように、カバー本体1,テーパ面2,溝3,ボルト挿通孔4からなる。
【0042】
カバー本体1は、合成樹脂材で構造物Bの上面Baと側面Bbとに連続して対面する面積を有するように形成された曲板形に形成されている。材料となる合成樹脂材としては、耐候性,耐衝撃性に優れたものが採用される。カバー本体1の表面11は、構造物Bの上面Ba,側面Bbと相似形の平坦面に形成されている。カバー本体1の背面12は、構造物Bの上面Baから側面Bbに向かう方向に延びた多数本のリブ13が設けられて凹凸面に形成されている。
【0043】
テーパ面2は、カバー本体1の上縁(構造物Bの上面Baに対面する側の縁)と下縁(構造物Bの側面Bbに対面する側の縁)とに設けられ、カバー本体1の表面11から上縁,下縁に向けて下降する傾斜をもつように形成されている。
【0044】
溝3は、前述のカバー本体1の背面12のリブ13の間となる凹部に設けられ雨水の流通を確保するもので、構造物Bの上面Baから側面Bbに向かって連通している。
【0045】
ボルト挿通孔4は、カバー本体1の構造物Bの上面Ba,側面Bbに対面する位置にそれぞれ複数個ずつ表面11,背面12に貫通されている。
【0046】
第1例の構造物用表面改良材Cは、構造が簡素であるため、合成樹脂材成形技術を利用して安価容易に製造することが可能である。また、運搬,保管等にも特別な条件を必要としないため、取扱いも容易である。
【0047】
合成樹脂材成形技術を利用する製造方法としては、合成樹脂材系である農業用のビニルハウス等で使用されて廃棄されるポリ塩化ビニルシートを製造材料として有効利用し、農業用のビニルハウス等の廃棄物の処理コストを無用にするとともに、材料に掛かるコストを低減することができる。
【0048】
この製造材料については、図2に示すように、高温下(例えば、300℃)で洗浄,乾燥を短時間で確実に実施させ、品質を低コストで良質にする。従って、製品としての縁石ブロックの品質も低コストで良質にすることができる。そして、洗浄,乾燥された製造材料については、電気炉等で加熱して溶融させ、必要に応じて着色(必要に応じて、蓄光性,蛍光性のものを選択することも可能)を施してから、金型に注入して圧縮成形する。製造材料としてポリ塩化ビニルを選択した場合には、特に耐候性等に優れ高度の耐久性能が得られる。
【0049】
次ぎに、第1例の構造物用表面改良材Cに使用例の説明に基づいて、構造物の表面改良工法を説明する。
【0050】
最初の工程としては、図3,図4に示すように、破損を補修すべき構造物Bの表面(上面Ba,側面Bb)に対してボルト穴Hを穿設する。ボルト穴Hは、構造物用表面改良材Cを構造物Bにボルト締で取付ける取付ボルト5を螺合させるもので、カバー本体1のボルト挿通孔4に対応した位置に対応した個数が設けられる。
【0051】
続く工程では、図3,図5に示すように、ボルト穴Hにスリーブ6を打込む。スリーブ6は、外周面に抜止楔61が設けられ軸方向にスリット62が設けられたもので、内周面に取付ボルト5の食込みを可能にする塑性変形性を有してボルト穴Hに抜止め固定される。
【0052】
続く工程では、図3,図6に示すように、構造物Bに構造物用表面改良材Cを被せる。このとき、カバー本体1の下縁がテーパ面2によって薄性化されて多少の弾性変形が可能になっているため、道路Rとのおさまりを良好にすることができる。
【0053】
続く工程では、図3,図7に示すように、取付ボルト5をカバー本体1のボルト挿通孔4に挿通してボルト穴H(スリーブ6)に螺合させる。このとき、必要に応じて、構造物Bの破損部分Bcの近くに位置しているカバー本体1のボルト挿通孔4には取付ボルト5を挿通させず、カバー本体1のボルト挿通孔4にチューブTを挿通する等して構造物Bの破損部分Bcにモルタル等の流動性を有して後に固化する性質の補修材料Sを充填する。
【0054】
続く工程では、図3,図8に示すように、取付ボルト5を構造物Bの破損部分Bcの近くに位置しているカバー本体1のボルト挿通孔4にも挿通させボルト穴H(スリーブ6)に螺合させる。
【0055】
続く工程では、図3,図9に示すように、カバー本体1のボルト挿通孔4にボルトカバー7を嵌合する。ボルトカバー7は、取付ボルト5の頭部を隠蔽して全体の美観を向上させるとともに取付ボルト5への土砂の付着を防止する。
【0056】
第1例によると、構造物Bをボルト締で取付けられる構造物用表面改良材Cで覆ってしまうため、図7に示すように構造物Bの破損部分Bcに補修材料Sを充填しなくても、モルタル塗補修における構造物Bの面倒な表面仕上げや充填部分の剥離,分離の不具合を解消することができる。従って、補修の作業性,耐久性が高くなる。特に、構造物用表面改良材Cの背面に構造物Bの表面における雨水の流下を許容する溝3が設けられ、構造物B,構造物用表面改良材Cの間に雨水が滞溜するのを防止することができるため、補修の耐久性が極めて高くなる。なお、構造物用表面改良材Cの背面に設けられた溝3は、構造物Bとの間に空隙を形成して車両等の衝突に対する緩衝機能を備えることにもなる。
【0057】
また、構造物用表面改良材Cのボルト挿通孔4を利用して補修材料Sを構造物Bの損傷部分Bcに充填することで、従来一般的に行われてきたモルタル充填による補修を併用することができるため、構造物Bをより確実に補修することができる。特に、既に構造物用表面改良材Cによって覆われた構造物Bの損傷部分Bcに補修材料Sが充填されることから、補修材料Sの充填後に特別に養生期間を確保する必要がなくなるため、工期を長期化させることなく充填による補修を併用することができる。
【0058】
また、構造物用表面改良材Cのカバー本体1に構造物Bの上面Baと側面Bbとに対面する位置に取付ボルト5が挿通されるボルト挿通孔4がそれぞれ貫通されていることで、カバー本体1を構造物Bに沿って精密に覆うように取付けることができる。従って、構造物用表面改良材Cの構造物Bに対するおさまりが良好になる。
【0059】
また、構造物用表面改良材Cのカバー本体1の上縁に設けられたテーパ面2が歩道Fの急激な段差を消失するため、歩行者の躓きを防止して歩行の安全性を確保することができる。
【0060】
また、構造物用表面改良材Cは、構造物Bの補修の外に、着色等によって交通安全対策面からの視認性の向上のために改修にも利用が可能である。
【0061】
図11は、本発明に係る構造物の表面改良工法,構造物用表面改良材およびその製造方法を実施するための最良の形態の第2例を示すものである。
【0062】
第2例では、構造物用表面改良材Cのカバー本体1の構造物Bの側面Bbの上部に対面する位置の表面11に光を反射する反射材8が取付けられている。
【0063】
第2例によると、車両等の灯火でによる光の反射で構造物用表面改良材C(構造物B)の存在を視覚的に明瞭化させることができるため、道路R沿いへの設置に有効となる。
【0064】
なお、反射材8については、構造物用表面改良材Cの成形の際に金型の内部に収容しておいてインサート成形とすることが可能である。
【0065】
図12は、本発明に係る構造物の表面改良工法,構造物用表面改良材およびその製造方法を実施するための最良の形態の第3例を示すものである。
【0066】
第3例では、構造物用表面改良材Cのカバー本体1が可撓性を有する材質で平板形に形成されている。
【0067】
第3例によると、構造物用表面改良材Cのカバー本体1を撓ませて構造物Bに被せることになるため、形状の微妙に異なる構造物Bにも使用することができて汎用性が高くなる。
【0068】
図13は、本発明に係る構造物の表面改良工法,構造物用表面改良材およびその製造方法を実施するための最良の形態の第4例を示すものである。
【0069】
第4例では、構造物用表面改良材Cのカバー本体1の上縁側が構造物Bの上面Baを超えた面積に拡張され、拡張された延長部分の表面11に半球形の凹凸構造14が設けられている。また、この延長部分にも、ボルト挿通孔4が配置されている。
【0070】
第4例によると、凹凸構造14を標識として、構造物用表面改良材Cを盲人用の路面標識の設置として利用することができる。
【0071】
図14は、本発明に係る構造物の表面改良工法,構造物用表面改良材およびその製造方法を実施するための最良の形態の第5例を示すものである。
【0072】
第5例は、構造物用表面改良材Cを第3例と同様の平板形とされ、構造物用表面改良材Cのカバー本体1の表面11に山形の凹凸構造14が設けられている。
【0073】
第5例によると、構造物Bである道路Rの車線,分離線となるラインLに設置することで、車線,分離線を立体化させるように改修して車両の安全走行に寄与することができる。
【0074】
以上、図示した各例の外に、構造物用表面改良材Cのカバー本体1に設けられる溝3をリブ13以外の突起等で形成することも可能である。
【0075】
さらに、構造物用表面改良材Cを補修に利用する場合、構造物用表面改良材Cを構造物Bに被せる前に構造物Bの破損部分Bcに補修材料Sを充填することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】 本発明に係る構造物の表面改良工法,構造物用表面改良材およびその製造方法を実施するための最良の形態の第1例の斜視図である。
【図2】 図1の製造例を示す工程のフローチャートである。
【図3】 図1の施工状態図である。
【図4】 図3の最初の工程の断面図である。
【図5】 図4に続く工程の断面図である。
【図6】 図5に続く工程の断面図である。
【図7】 図6に続く工程の断面図である。
【図8】 図7に続く工程の断面図である。
【図9】 図8に続く工程の断面図である。
【図10】 図9の縦断面図である。
【図11】 本発明に係る構造物の表面改良工法,構造物用表面改良材およびその製造方法を実施するための最良の形態の第2例の斜視図である。
【図12】 本発明に係る構造物の表面改良工法,構造物用表面改良材およびその製造方法を実施するための最良の形態の第3例の斜視図である。
【図13】 本発明に係る構造物の表面改良工法,構造物用表面改良材およびその製造方法を実施するための最良の形態の第4例の斜視図である。
【図14】 本発明に係る構造物の表面改良工法,構造物用表面改良材およびその製造方法を実施するための最良の形態の第5例の斜視図である。
【符号の説明】
【0077】
1 カバー本体
11 表面
12 背面
14 凹凸構造
2 テーパ面
3 溝
4 ボルト挿通孔
5 取付ボルト
8 反射材
B 構造物
Ba 上面
Bb 側面
Bc 損傷部分
C 構造物用表面改良材
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路付近に構築,設置された構造物(道路自体をも含む)の表面改良に係る技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
道路付近に構築,設置された構造物は、車両の衝突等で損傷を受けやすく頻繁に補修が必要になるとともに、交通安全対策面からの視認性の向上等のために各種の改修もしばしば必要になるものである。この構造物については、コンクリート等で非可搬的に構築,設置されることから、補修,改修を種々制約のある現場施工で実施しなければならない。このため、道路付近に構築,設置された構造物について、補修,改修を現場施工で簡単に実施することのできる技術の開発が要望されている。
【0003】
従来、道路付近に構築,設置される構造物の構造に係る技術としては、例えば、以下に記載のものが知られている。
【特許文献1】 実開平2−78614号公報
特許文献1には、合成樹脂材で形成された箱形のカバー材の内部にコンクリートを充填した縁石ブロックが記載されている。
【0004】
特許文献1に係る縁石ブロックについては、カバー材に緩衝材的機能を奏させることでコンクリートからなる本体部分の損傷を低減することが予想される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る縁石ブロックでは、工場出荷の際に構造物である縁石ブロックに損傷を低減する構造を備える技術が開示されているのみで、構造物の構築,設置の後の補修,改修に関する技術が提供されているわけではないため、道路付近に構築,設置された構造物の補修,改修への適用については実現可能性がないという問題点がある。
【0006】
本発明は、このような問題点を考慮してなされたもので、道路付近に構築,設置された構造物の補修,改修を現場施工で簡単に実施することのできる構造物の表面改良工法と、この構造物の表面改良工法での使用に好適な構造物用表面改良材と、この構造物用表面改良材を製造するために有効な構造物用表面改良材の製造方法とを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するため、本発明に係る構造物の表面改良工法は、特許請求の範囲の請求項1〜3に記載の手段を採用する。
【0008】
即ち、請求項1では、道路付近に構築,設置された構造物の表面にボルト穴を穿設し、ボルト挿通孔が貫通され背面に雨水の流通を確保する溝が設けられた板形の構造物用表面改良材を構造物に被せ、取付ボルトを構造物用表面改良材のボルト挿通孔に挿通して構造物のボルト穴に螺合させ、構造物用表面改良材を構造物の表面にボルト締で取付ける。
【0009】
この手段では、道路付近に構築,設置される構造物の表面をボルト締で強固に取付けられる構造物用表面改良材で覆ってしまうことで、構造物の表面の補修,改修である表面改良を施工する。また、構造物用表面改良材の背面に雨水の流通を確保する溝が設けられることで、構造物用表面改良材,構造物の間に雨水が滞溜して構造物用表面改良材,構造物が劣化するのが防止される。
【0010】
また、請求項2では、請求項1の構造物の表面改良工法において、構造物用表面改良材を構造物に被せる際に、構造物用表面改良材,構造物の接合面に接着剤を塗布することを特徴とする。
【0011】
この手段では、構造物用表面改良材,構造物の接合面に接着剤を塗布することで、構造物用表面改良材の構造物への取付強度が高くなる。
【0012】
また、請求項3では、請求項1または2の構造物の表面改良工法において、構造物に構造物用表面改良材をボルト締する際に、構造物の損傷部分に位置する構造物用表面改良材のボルト挿通孔への取付ボルトの挿通を最後に残しておき、そのボルト挿通孔から構造物の損傷部分に流動性を有して後に固化する性質の補修材料を充填してからボルト締することを特徴とする。
【0013】
この手段では、構造物用表面改良材に設けられているボルト挿通孔を利用して流動性を有して後に固化する性質の補修材料を損傷部分に充填することで、補修材料の充填による補修を併用することができる。また、既に構造物用表面改良材によって覆われた損傷部分に補修材料が充填されることで、補修材料の充填後に特別に養生期間を確保する必要がなくなる。
【0014】
前述の課題を解決するため、本発明に係る構造物用表面改良材は、特許請求の範囲の請求項4〜6に記載の手段を採用する。
【0015】
即ち、請求項4では、道路付近に構築,設置された構造物の表面に対面される面積を有して合成樹脂材で形成された板形のカバー本体を備え、カバー本体は背面に雨水の流通を確保する溝が設けられ複数箇所に取付ボルトが挿通されるボルト挿通孔が貫通されている。
【0016】
この手段では、合成樹脂材で板形に形成されることで、合成樹脂材の成形品として提供可能になる。
【0017】
また、請求項5では、請求項4の構造物用表面改良材において、カバー本体は縁辺の少なくとも一部に表面から縁辺に向けて降下する傾斜をもったテーパ面が設けられていることを特徴とする。
【0018】
この手段では、カバー本体の縁辺に表面から降下する傾斜をもったテーパ面が設けられることで、カバー本体と構造物の周囲との急激な段差が消失されるとともに、構造物の周囲への変形対応が可能になる。
【0019】
また、請求項6では、請求項4または5の構造物用表面改良材において、カバー本体は表面に凹凸構造が設けられていることを特徴とする。
【0020】
この手段では、カバー本体の表面に凹凸構造が設けられることで、凹凸構造を標識等としての用途に供することができる。
【0021】
また、請求項7では、請求項4〜6のいずれかの構造物用表面改良材において、カバー本体は表面に光を反射する反射材が取付けられていることを特徴とする。
【0022】
この手段では、カバー本体の表面に反射材が取付けられることで、カバー本体の存在が光の反射で示される。
【0023】
前述の課題を解決するため、本発明に係る構造物用表面改良材の製造方法は、特許請求の範囲の請求項8,9に記載の手段を採用する。
【0024】
即ち、請求項8では、請求項4〜7のいずれかの構造物用表面改良材を製造するに際して、製造材料として合成樹脂材系の廃棄物を洗浄し乾燥させたものを利用し、材料を溶融させ圧縮して形成することを特徴とする。
【0025】
この手段では、製造材料として洗浄し乾燥させた合成樹脂材系の廃棄物を利用することで、材料費が低減される。また、材料を溶融させて圧縮形成することで、金型成形により容易に製造することができる。
【0026】
また、請求項9では、請求項8の構造物用表面改良材の製造方法において、製造材料である合成樹脂材系の廃棄物の洗浄と乾燥とを高温下で行うことを特徴とする。
【0027】
この手段では、製造材料である合成樹脂材系の廃棄物の洗浄と乾燥とを高温下で行うことで、洗浄,乾燥を短時間で確実に実施することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る構造物の表面改良工法は、構造物の表面をボルト締で強固に取付けられる構造物用表面改良材で覆ってしまうことで、構造物の表面の補修,改修である表面改良を施工するため、道路付近に構築,設置された構造物の補修,改修を現場施工で簡単に実施することができる効果がある。また、構造物用表面改良材の背面に雨水の流通を確保する溝が設けられることで、構造物用表面改良材,構造物の間に雨水が滞溜して構造物用表面改良材,構造物が劣化するのが防止されるため、施工の耐久性が高くなる効果がある。
【0029】
さらに、請求項2として、構造物用表面改良材,構造物の接合面に接着剤を塗布することで、構造物用表面改良材の構造物への取付強度が高くなるため、施工の耐久性がより高くなる効果がある。
【0030】
さらに、請求項3として、構造物用表面改良材に設けられているボルト挿通孔を利用して流動性を有して後に固化する性質の補修材料を損傷部分に充填することで、補修材料の充填による補修を併用することができるため、道路付近に構築,設置された構造物の補修をより確実に実施することができる効果がある。また、既に構造物用表面改良材によって覆われた損傷部分に補修材料が充填されることで、補修材料の充填後に特別に養生期間を確保する必要がなくなるため、施工の工期が長期化されない効果がある。
【0031】
本発明に係る構造物用表面改良材は、合成樹脂材で板形に形成されることで、合成樹脂材の成形品として提供可能になるため、安価,容易に製造することができる効果がある。
【0032】
さらに、請求項5として、カバー本体の縁辺に表面から降下する傾斜をもったテーパ面が設けられることで、カバー本体と構造物の周囲との急激な段差が消失されるとともに、構造物の周囲への変形対応が可能になるため、歩行者の躓きを防止して歩行等の安全性を確保し、構造物の周囲へのおさまりが良好になる効果がある。
【0033】
さらに、請求項6として、カバー本体の表面に凹凸構造が設けられることで、凹凸構造を標識等としての用途に供することができるため、用途が拡張される効果がある。
【0034】
さらに、請求項7として、カバー本体の表面に反射材が取付けられることで、カバー本体の存在が光の反射で示されるため、ライトを点灯した車両の走行する道路沿いへの設置に有効となる効果がある。
【0035】
本発明に係る構造物用表面改良材の製造方法は、製造材料として洗浄し乾燥させた合成樹脂材系の廃棄物を利用することで、材料費が低減され、材料を溶融させて圧縮形成することで、金型成形により容易に製造することができるため、構造物用表面改良材を低コストで製造することができる効果がある。
【0036】
さらに、請求項9として、製造材料である合成樹脂材系の廃棄物の洗浄と乾燥とを高温下で行うことで、洗浄,乾燥を短時間で確実に実施することができるため、材料としての品質を低コストで良質にすることができ、製品としての構造物用表面改良材の品質も低コストで良質にすることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明に係る構造物の表面改良工法,構造物用表面改良材およびその製造方法を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0038】
図1〜図10は、本発明に係る構造物の表面改良工法,構造物用表面改良材およびその製造方法を実施するための最良の形態の第1例を示すものである。
【0039】
第1例では、道路Rと歩道Fとの境界に段差を形成して設置される縁石ブロックからなる構造物Bに関するものを示してある。
【0040】
まず、第1例の構造物用表面改良材Cの構成について説明する。
【0041】
第1例の構造物用表面改良材Cは、図1に示すように、カバー本体1,テーパ面2,溝3,ボルト挿通孔4からなる。
【0042】
カバー本体1は、合成樹脂材で構造物Bの上面Baと側面Bbとに連続して対面する面積を有するように形成された曲板形に形成されている。材料となる合成樹脂材としては、耐候性,耐衝撃性に優れたものが採用される。カバー本体1の表面11は、構造物Bの上面Ba,側面Bbと相似形の平坦面に形成されている。カバー本体1の背面12は、構造物Bの上面Baから側面Bbに向かう方向に延びた多数本のリブ13が設けられて凹凸面に形成されている。
【0043】
テーパ面2は、カバー本体1の上縁(構造物Bの上面Baに対面する側の縁)と下縁(構造物Bの側面Bbに対面する側の縁)とに設けられ、カバー本体1の表面11から上縁,下縁に向けて下降する傾斜をもつように形成されている。
【0044】
溝3は、前述のカバー本体1の背面12のリブ13の間となる凹部に設けられ雨水の流通を確保するもので、構造物Bの上面Baから側面Bbに向かって連通している。
【0045】
ボルト挿通孔4は、カバー本体1の構造物Bの上面Ba,側面Bbに対面する位置にそれぞれ複数個ずつ表面11,背面12に貫通されている。
【0046】
第1例の構造物用表面改良材Cは、構造が簡素であるため、合成樹脂材成形技術を利用して安価容易に製造することが可能である。また、運搬,保管等にも特別な条件を必要としないため、取扱いも容易である。
【0047】
合成樹脂材成形技術を利用する製造方法としては、合成樹脂材系である農業用のビニルハウス等で使用されて廃棄されるポリ塩化ビニルシートを製造材料として有効利用し、農業用のビニルハウス等の廃棄物の処理コストを無用にするとともに、材料に掛かるコストを低減することができる。
【0048】
この製造材料については、図2に示すように、高温下(例えば、300℃)で洗浄,乾燥を短時間で確実に実施させ、品質を低コストで良質にする。従って、製品としての縁石ブロックの品質も低コストで良質にすることができる。そして、洗浄,乾燥された製造材料については、電気炉等で加熱して溶融させ、必要に応じて着色(必要に応じて、蓄光性,蛍光性のものを選択することも可能)を施してから、金型に注入して圧縮成形する。製造材料としてポリ塩化ビニルを選択した場合には、特に耐候性等に優れ高度の耐久性能が得られる。
【0049】
次ぎに、第1例の構造物用表面改良材Cに使用例の説明に基づいて、構造物の表面改良工法を説明する。
【0050】
最初の工程としては、図3,図4に示すように、破損を補修すべき構造物Bの表面(上面Ba,側面Bb)に対してボルト穴Hを穿設する。ボルト穴Hは、構造物用表面改良材Cを構造物Bにボルト締で取付ける取付ボルト5を螺合させるもので、カバー本体1のボルト挿通孔4に対応した位置に対応した個数が設けられる。
【0051】
続く工程では、図3,図5に示すように、ボルト穴Hにスリーブ6を打込む。スリーブ6は、外周面に抜止楔61が設けられ軸方向にスリット62が設けられたもので、内周面に取付ボルト5の食込みを可能にする塑性変形性を有してボルト穴Hに抜止め固定される。
【0052】
続く工程では、図3,図6に示すように、構造物Bに構造物用表面改良材Cを被せる。このとき、カバー本体1の下縁がテーパ面2によって薄性化されて多少の弾性変形が可能になっているため、道路Rとのおさまりを良好にすることができる。
【0053】
続く工程では、図3,図7に示すように、取付ボルト5をカバー本体1のボルト挿通孔4に挿通してボルト穴H(スリーブ6)に螺合させる。このとき、必要に応じて、構造物Bの破損部分Bcの近くに位置しているカバー本体1のボルト挿通孔4には取付ボルト5を挿通させず、カバー本体1のボルト挿通孔4にチューブTを挿通する等して構造物Bの破損部分Bcにモルタル等の流動性を有して後に固化する性質の補修材料Sを充填する。
【0054】
続く工程では、図3,図8に示すように、取付ボルト5を構造物Bの破損部分Bcの近くに位置しているカバー本体1のボルト挿通孔4にも挿通させボルト穴H(スリーブ6)に螺合させる。
【0055】
続く工程では、図3,図9に示すように、カバー本体1のボルト挿通孔4にボルトカバー7を嵌合する。ボルトカバー7は、取付ボルト5の頭部を隠蔽して全体の美観を向上させるとともに取付ボルト5への土砂の付着を防止する。
【0056】
第1例によると、構造物Bをボルト締で取付けられる構造物用表面改良材Cで覆ってしまうため、図7に示すように構造物Bの破損部分Bcに補修材料Sを充填しなくても、モルタル塗補修における構造物Bの面倒な表面仕上げや充填部分の剥離,分離の不具合を解消することができる。従って、補修の作業性,耐久性が高くなる。特に、構造物用表面改良材Cの背面に構造物Bの表面における雨水の流下を許容する溝3が設けられ、構造物B,構造物用表面改良材Cの間に雨水が滞溜するのを防止することができるため、補修の耐久性が極めて高くなる。なお、構造物用表面改良材Cの背面に設けられた溝3は、構造物Bとの間に空隙を形成して車両等の衝突に対する緩衝機能を備えることにもなる。
【0057】
また、構造物用表面改良材Cのボルト挿通孔4を利用して補修材料Sを構造物Bの損傷部分Bcに充填することで、従来一般的に行われてきたモルタル充填による補修を併用することができるため、構造物Bをより確実に補修することができる。特に、既に構造物用表面改良材Cによって覆われた構造物Bの損傷部分Bcに補修材料Sが充填されることから、補修材料Sの充填後に特別に養生期間を確保する必要がなくなるため、工期を長期化させることなく充填による補修を併用することができる。
【0058】
また、構造物用表面改良材Cのカバー本体1に構造物Bの上面Baと側面Bbとに対面する位置に取付ボルト5が挿通されるボルト挿通孔4がそれぞれ貫通されていることで、カバー本体1を構造物Bに沿って精密に覆うように取付けることができる。従って、構造物用表面改良材Cの構造物Bに対するおさまりが良好になる。
【0059】
また、構造物用表面改良材Cのカバー本体1の上縁に設けられたテーパ面2が歩道Fの急激な段差を消失するため、歩行者の躓きを防止して歩行の安全性を確保することができる。
【0060】
また、構造物用表面改良材Cは、構造物Bの補修の外に、着色等によって交通安全対策面からの視認性の向上のために改修にも利用が可能である。
【0061】
図11は、本発明に係る構造物の表面改良工法,構造物用表面改良材およびその製造方法を実施するための最良の形態の第2例を示すものである。
【0062】
第2例では、構造物用表面改良材Cのカバー本体1の構造物Bの側面Bbの上部に対面する位置の表面11に光を反射する反射材8が取付けられている。
【0063】
第2例によると、車両等の灯火でによる光の反射で構造物用表面改良材C(構造物B)の存在を視覚的に明瞭化させることができるため、道路R沿いへの設置に有効となる。
【0064】
なお、反射材8については、構造物用表面改良材Cの成形の際に金型の内部に収容しておいてインサート成形とすることが可能である。
【0065】
図12は、本発明に係る構造物の表面改良工法,構造物用表面改良材およびその製造方法を実施するための最良の形態の第3例を示すものである。
【0066】
第3例では、構造物用表面改良材Cのカバー本体1が可撓性を有する材質で平板形に形成されている。
【0067】
第3例によると、構造物用表面改良材Cのカバー本体1を撓ませて構造物Bに被せることになるため、形状の微妙に異なる構造物Bにも使用することができて汎用性が高くなる。
【0068】
図13は、本発明に係る構造物の表面改良工法,構造物用表面改良材およびその製造方法を実施するための最良の形態の第4例を示すものである。
【0069】
第4例では、構造物用表面改良材Cのカバー本体1の上縁側が構造物Bの上面Baを超えた面積に拡張され、拡張された延長部分の表面11に半球形の凹凸構造14が設けられている。また、この延長部分にも、ボルト挿通孔4が配置されている。
【0070】
第4例によると、凹凸構造14を標識として、構造物用表面改良材Cを盲人用の路面標識の設置として利用することができる。
【0071】
図14は、本発明に係る構造物の表面改良工法,構造物用表面改良材およびその製造方法を実施するための最良の形態の第5例を示すものである。
【0072】
第5例は、構造物用表面改良材Cを第3例と同様の平板形とされ、構造物用表面改良材Cのカバー本体1の表面11に山形の凹凸構造14が設けられている。
【0073】
第5例によると、構造物Bである道路Rの車線,分離線となるラインLに設置することで、車線,分離線を立体化させるように改修して車両の安全走行に寄与することができる。
【0074】
以上、図示した各例の外に、構造物用表面改良材Cのカバー本体1に設けられる溝3をリブ13以外の突起等で形成することも可能である。
【0075】
さらに、構造物用表面改良材Cを補修に利用する場合、構造物用表面改良材Cを構造物Bに被せる前に構造物Bの破損部分Bcに補修材料Sを充填することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】 本発明に係る構造物の表面改良工法,構造物用表面改良材およびその製造方法を実施するための最良の形態の第1例の斜視図である。
【図2】 図1の製造例を示す工程のフローチャートである。
【図3】 図1の施工状態図である。
【図4】 図3の最初の工程の断面図である。
【図5】 図4に続く工程の断面図である。
【図6】 図5に続く工程の断面図である。
【図7】 図6に続く工程の断面図である。
【図8】 図7に続く工程の断面図である。
【図9】 図8に続く工程の断面図である。
【図10】 図9の縦断面図である。
【図11】 本発明に係る構造物の表面改良工法,構造物用表面改良材およびその製造方法を実施するための最良の形態の第2例の斜視図である。
【図12】 本発明に係る構造物の表面改良工法,構造物用表面改良材およびその製造方法を実施するための最良の形態の第3例の斜視図である。
【図13】 本発明に係る構造物の表面改良工法,構造物用表面改良材およびその製造方法を実施するための最良の形態の第4例の斜視図である。
【図14】 本発明に係る構造物の表面改良工法,構造物用表面改良材およびその製造方法を実施するための最良の形態の第5例の斜視図である。
【符号の説明】
【0077】
1 カバー本体
11 表面
12 背面
14 凹凸構造
2 テーパ面
3 溝
4 ボルト挿通孔
5 取付ボルト
8 反射材
B 構造物
Ba 上面
Bb 側面
Bc 損傷部分
C 構造物用表面改良材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路付近に構築,設置された構造物の表面にボルト穴を穿設し、ボルト挿通孔が貫通され背面に雨水の流通を確保する溝が設けられた板形の構造物用表面改良材を構造物に被せ、取付ボルトを構造物用表面改良材のボルト挿通孔に挿通して構造物のボルト穴に螺合させ、構造物用表面改良材を構造物の表面にボルト締で取付ける構造物の表面改良工法。
【請求項2】
請求項1の構造物の表面改良工法において、構造物用表面改良材を構造物に被せる際に、構造物用表面改良材,構造物の接合面に接着剤を塗布することを特徴とす構造物の表面改良工法。
【請求項3】
請求項1または2の構造物の表面改良工法において、構造物に構造物用表面改良材をボルト締する際に、構造物の損傷部分に位置する構造物用表面改良材のボルト挿通孔への取付ボルトの挿通を最後に残しておき、そのボルト挿通孔から構造物の損傷部分に流動性を有して後に固化する性質の補修材料を充填してからボルト締することを特徴とする構造物の表面改良工法。
【請求項4】
道路付近に構築,設置された構造物の表面に対面される面積を有して合成樹脂材で形成された板形のカバー本体を備え、カバー本体は背面に雨水の流通を確保する溝が設けられ複数箇所に取付ボルトが挿通されるボルト挿通孔が貫通されている構造物用表面改良材。
【請求項5】
請求項4の構造物用表面改良材において、カバー本体は縁辺の少なくとも一部に表面から縁辺に向けて降下する傾斜をもったテーパ面が設けられていることを特徴とする構造物用表面改良材。
【請求項6】
請求項4または5の構造物用表面改良材において、カバー本体は表面に凹凸構造が設けられていることを特徴とする構造物用表面改良材。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれかの構造物用表面改良材において、カバー本体は表面に光を反射する反射材が取付けられていることを特徴とする構造物用表面改良材。
【請求項8】
請求項4〜7のいすれかの構造物用表面改良材を製造するに際して、製造材料として合成樹脂材系の廃棄物を洗浄し乾燥させたものを利用し、材料を溶融させ圧縮して形成することを特徴とする構造物用表面改良材の製造方法。
【請求項9】
請求項8の構造物用表面改良材の製造方法において、製造材料である合成樹脂材系の廃棄物の洗浄と乾燥とを高温下で行うことを特徴とする構造物用表面改良材の製造方法。
【請求項1】
道路付近に構築,設置された構造物の表面にボルト穴を穿設し、ボルト挿通孔が貫通され背面に雨水の流通を確保する溝が設けられた板形の構造物用表面改良材を構造物に被せ、取付ボルトを構造物用表面改良材のボルト挿通孔に挿通して構造物のボルト穴に螺合させ、構造物用表面改良材を構造物の表面にボルト締で取付ける構造物の表面改良工法。
【請求項2】
請求項1の構造物の表面改良工法において、構造物用表面改良材を構造物に被せる際に、構造物用表面改良材,構造物の接合面に接着剤を塗布することを特徴とす構造物の表面改良工法。
【請求項3】
請求項1または2の構造物の表面改良工法において、構造物に構造物用表面改良材をボルト締する際に、構造物の損傷部分に位置する構造物用表面改良材のボルト挿通孔への取付ボルトの挿通を最後に残しておき、そのボルト挿通孔から構造物の損傷部分に流動性を有して後に固化する性質の補修材料を充填してからボルト締することを特徴とする構造物の表面改良工法。
【請求項4】
道路付近に構築,設置された構造物の表面に対面される面積を有して合成樹脂材で形成された板形のカバー本体を備え、カバー本体は背面に雨水の流通を確保する溝が設けられ複数箇所に取付ボルトが挿通されるボルト挿通孔が貫通されている構造物用表面改良材。
【請求項5】
請求項4の構造物用表面改良材において、カバー本体は縁辺の少なくとも一部に表面から縁辺に向けて降下する傾斜をもったテーパ面が設けられていることを特徴とする構造物用表面改良材。
【請求項6】
請求項4または5の構造物用表面改良材において、カバー本体は表面に凹凸構造が設けられていることを特徴とする構造物用表面改良材。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれかの構造物用表面改良材において、カバー本体は表面に光を反射する反射材が取付けられていることを特徴とする構造物用表面改良材。
【請求項8】
請求項4〜7のいすれかの構造物用表面改良材を製造するに際して、製造材料として合成樹脂材系の廃棄物を洗浄し乾燥させたものを利用し、材料を溶融させ圧縮して形成することを特徴とする構造物用表面改良材の製造方法。
【請求項9】
請求項8の構造物用表面改良材の製造方法において、製造材料である合成樹脂材系の廃棄物の洗浄と乾燥とを高温下で行うことを特徴とする構造物用表面改良材の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−250020(P2009−250020A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120717(P2008−120717)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【出願人】(599024274)アース建設コンサルタント株式会社 (7)
【出願人】(500263415)アースアイプラッツ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【出願人】(599024274)アース建設コンサルタント株式会社 (7)
【出願人】(500263415)アースアイプラッツ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
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