説明

標的物質検出素子用基板、標的物質検出素子、それを用いた標的物質の検出装置及び検出方法、並びにそのためのキット

【課題】標的物質を捕捉する化学センサの更なる性能向上を図ること。
【解決手段】検体中の標的物質を、プラズモン共鳴法を利用して検出するために用いられる素子であって、水と同等の屈折率を有する下地層上に金属パターン層を設け、金属パターン層に標的物質捕捉体を固定して標的物質検出素子を作製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料溶液中における標的物質の有無を検出するために有用な標的物質検出用の素子及びその作製のための基板、並びに、標的物質検出装置、検出方法及び検出用キットに関する。
【背景技術】
【0002】
センサの一形態としてバイオセンサがある。バイオセンサは、生体や生体分子の持つ優れた生体分子認識能を利用した計測デバイスであり、近年、医療分野のみならず、環境や食料品等への幅広い応用が期待されている。一般的に、バイオセンサは、測定対象とする物質(以下、標的物質)を認識、捕捉する捕捉体と、その時発生する物理的、化学的な変化を検知し、電気信号、光信号等の検出可能な信号へ変換する検出素子と、から構成される。生体内には、互いに親和性のある物質の組み合わせとして、例えば酵素−基質、抗原−抗体、DNA−DNA等がある。バイオセンサではこれらの組み合わせの一方を基材に固定化もしくは担持し、捕捉体成分として用いることによって、もう一方の物質を選択的に計測できるという原理を利用している。また、検出素子としては、酸素電極、過酸化水素電極、イオン電極、ISFET、サーミスタなど様々な形式のものが提案されており、最近ではナノグラム程度の質量変化が検知できる水晶振動子やSAW素子、プラズモン共鳴素子などが使われる場合もある。
【0003】
各種のセンサの中で、プラズモン共鳴を利用した検出系を利用するセンサは、以下の特長を有している。
(1)蛍光色素などの標識分子が必要でないためアッセイの構成が簡単である。
(2)金属微粒子表面への吸着反応の過程を直接リアルタイム・モニタリングできる。
【0004】
そこで、この測定法は各種のアッセイへの適用が期待されている。
【0005】
この測定法では、金や銀等の金属微粒子を基板表面に固定化し、この金属微粒子に光を入射した際に、そこに誘起される局在プラズモン共鳴により特徴的な共鳴スペクトルが現れることを利用して金属微粒子近傍の物質の検出が行なわれる。その共鳴波長は金属微粒子近傍の媒質の誘電率に依存することが知られている。その誘電率が大きくなるに従い、共鳴ピークの吸光度は大きくなり、長波長側へシフトするようになる。例えば、特許第3452837号明細書には、直径約20nmの金コロイドを用いた系が提案されている。これは、基板に固定した金属微粒子の直径程度の距離までにある媒質の屈折率を検出するようにしたものであり、その結果、金属微粒子表面への物質の吸着や堆積を検出することができる。
【0006】
一方、Felicia Tamら(J.Phys.Chem.B.、2004年、108巻、45号、p.17290−17294)にあるように、誘電体の核に金薄膜をコートしたコアシェル型の微粒子を作製し、検出能力の向上を図っている素子構成例もある。
【0007】
また、特開2003−270132号公報には、センサ材料を固定した開口が複数設けられた金属膜と、光源と、開口を透過または反射した光を検出する光検出器からなり、開口が金属膜面内の第一の方向に周期的に配列されているセンサ装置が開示されている。
【特許文献1】特許第3452837号明細書
【特許文献2】特開2003−270132号公報
【非特許文献1】J.Phys.Chem.B.、2004年、108巻、45号、p.17290−17294
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これまでのプラズモン共鳴を利用して標的物質を検出するための素子を用いて、抗原抗体反応の特異性を利用したイムノ・アッセイなどのアフィニティ・アッセイを行なった場合、十分な検出感度が得られない場合があった。この検出感度に関する課題は、既存の蛍光免疫法や化学発光免疫法に代えて、プラズモン共鳴を利用する検出方法をアフィニティ・アッセイに適用する場合における解決すべき課題の一つである。すなわち、上述の検出感度にかかる問題は、局在プラズモン共鳴を利用した測定法の用途拡大への大きな課題である。
【0009】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、局在プラズモン共鳴を利用した標的物質の検出における検出感度を向上させることができる標的物質検出素子及びそれを作製するための基板を提供することにある。本発明の他の目的は、この標的物質検出素子を用いた標的物質検出装置及び標的物質検出方法を提供することにある。本発明の更なる目的は、この標的物質検出方法のためのキットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる標的物質検出素子用の基板は、
支持体と、該支持体の表面に設けられた金属パターン層を有し、液媒体として少なくとも水を含む試料溶液中の標的物質を捕捉し得る標的物質捕捉体を前記金属パターン層に結合させ、プラズモン共鳴を利用して標的物質を検出する標的物質検出素子を形成するために用いられる基板であって、
前記金属パターン層が、前記支持体表面に設けられた下地層上に形成されており、該下地層が以下の式:
0.90na≦nb≦1.05na
na:水の屈折率
nb:下地層の屈折率
で表される屈折率(nb)を有することを特徴とする標的物質検出素子用の基板である。
【0011】
本発明の標的物質検出素子は、上記の基板の有する金属パターン層に、標的物質捕捉体を結合させてなることを特徴とする標的物質検出素子である。
【0012】
本発明の標的物質検出装置は、試料溶液中の標的物質を検出する装置であって、
上記の標的物質検出素子と、該標的物質検出素子に前記試料溶液を供給するための試料溶液供給手段と、該標的物質検出素子の有する標的物質捕捉体が標的物質を捕捉したことを検出する検出手段と、を備えたことを特徴とする検出装置である。
【0013】
本発明の標的物質の検出方法は、液媒体として少なくとも水を含む試料液体中の標的物質の有無または該標的物質の量を検出するための検出方法であって、
上記の標的物質検出素子と、前記試料溶液とを接触させる工程と、
前記試料溶液中に標的物質が含まれている場合における前記標的物質検出素子への標的物質の捕捉を検出する工程と、
を有ることを特徴とする標的物質の検出方法である。
【0014】
本発明の標的物質検出用のキットは、試料溶液中における標的物質の有無または前記標的物質の量を検出するためのキットであって、上記の構成の標的物質検出素子と、標的物質の前記標的物質検出素子での捕捉に必要な試薬とを有することを特徴とする標的物質検出用キットである。
【発明の効果】
【0015】
支持体上に、水と同等の屈折率を有する下地層を介して、標的物質捕捉体を結合させる金属パターン層を設けた素子とすることによって、プラズモン共鳴を得るための入射光を効率良く利用して、検出感度の向上を図ることが可能となる。
【0016】
本発明の標的物質検出用素子及びそれを用いた検出装置は、生体物質(タンパク質、核酸、糖鎖、脂質等)やアレルゲン、バクテリア、ウイルス等の検出に好適に利用可能である。さらに、本発明の検出装置は、生体由来の物質又はその類似物質を捕捉体成分として用いた、いわゆるバイオセンサとして、医療用、産業用、家庭用を問わず、好適に応用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の標的物質検出素子においては、支持体上に設けられる金属パターン層は、測定を実施する環境(温度、圧力など)での水と同等の屈折率を有する光透過性の(透明な)下地層上に設けられる。ここで水と同等の屈折率としては、以下の式:
0.90na≦nb≦1.05na
na:水の屈折率
nb:下地層の屈折率
で規定される屈折率(nb)から選択することが好ましい。なお、水の屈折率(na:空気相との界面での屈折率)は、589nmにおいて、1.34である。そこで、本発明にかかる下地層の同一条件下での屈折率(空気相との界面での屈折率)を1.20〜1.40の範囲から選択することで、本発明における効果を得ることができる。更に、この屈折率は、1.30〜1.36の範囲から選択することが好ましい。以下、本発明の標的物質検出素子、それを用いた検出装置及び方法、並びにそのためのキットについて更に説明する。
【0018】
(標的物質検出素子用基板)
標的物質検出素子作製用の基板は、支持体上と、支持体上に、水と同等の屈折率を有する下地層を介して設けられた金属パターン層と、を有して構成されている。金属パターン層の形状(平面形状)や構造は、検出系の種類に応じて適宜できる。プラズモン共鳴法を利用した検出系に適用させる場合には、金属パターン層を孤立(独立)した層として支持体上に設けた構成、あるいは支持体上の金属層に開口(ホール)を設けた構成が好ましい。以下これらの好ましい態様についてそれぞれ説明する。
(1)孤立型の金属パターン
図1に平面形状が直方体である金属パターン層1を設けた標的物質検出素子用の基板の一例を示す。この標的物質検出素子用の基板は、支持体3の表面に設けられた下地層2上に孤立した金属パターン層(金属構造体)1が配置された構造を有する。なお、下地層2は、水と同等の屈折率を有する。図1(A)は基板表面の斜視図であり、図1(B)はその基板に垂直な方向での断面図である。下地層2は、図1(C)にあるように、金属パターン層1と同様にパターニングされていてもよい。図1(A)及び(B)に代表されるような構造が、最もシンプルな形態である。また、金属パターン層の二次元(平面)形状は、図2(A)乃至(L)に代表されるような形状をとることができる。製法上、外形と内形が同一の形状でない場合(図2(K))や、線状の金属パターン層の交差部が鋭角に形成されずに、丸く鈍ったような金属パターン層(図2(L))でもよい。これらの金属パターン層は、金、銀、銅、アルミニウム、白金のいずれかの金属、好ましくは貴金属、もしくはそれらの合金から構成され、下地層との密着性の観点から、これらの材質を選択することが好ましい。下地層としてフッ素を含有する材料で形成する場合には、下地層と金属層の間にクロムあるいはチタンなどの薄膜を形成してもよい。
【0019】
金属パターン層の平面形状における大きさ、すなわち、外周部における任意の一点から他の点までの距離は、10nm〜1450nmの範囲内にあることが好ましい。更には、50nm〜450nmの範囲内にあることが好ましい。この場合、任意の2点間の最大距離がこの範囲に入っていればよい、例えば、図13に示す井桁状のパターンの場合では点XY間の距離が最大であるので、この距離を上記の範囲内とする。また、図13に示す矩形リングパターンの場合でも、同様に外周形状のXY間の対角線Lの距離が最大であるのでLを上記の範囲内とする。図2(G)に示す円形リングパターンでは、外周円の直径を上記の範囲とする。金属パターン層1の平面形状の大きさがこの範囲にあることで、目的とする検出感度を達成できる局在プラズモン共鳴を更に効果的に得ることができる。
【0020】
一方、金属パターン層1を帯状の部分を有する構成とする場合、例えば図2(E)〜(L)の形状において、この帯状部分の幅(帯幅)は、本発明が目的とする局在プラズモン共鳴が得られるものであれば特に限定されない。帯幅は、10nm〜100nmの範囲とすることが好ましい。この帯幅は、例えば図2(G)の円形リングパターンの場合は、外周円と内周円の半径の差であり、また図13に示すパターンの場合では、Wで示される部分である。なお、帯状のパターンの幅は同一金属パターン層で同一であっても、帯幅に異なる部分があってもよい。
【0021】
金属パターン層は、必要に応じて基板上に1個以上を設ける。複数個設ける場合には、各金属パターン層の間隔(d)は、それを1つ支持体上に設けた際の吸収最大波長(λmax)を基準として、(λmax−50nm)≦d≦(λmax+50nm)の範囲から選択できる。具体的には、好ましくは50nm〜2000nm、より好ましくは400nm〜1500nmの範囲から選択した距離とすることよい。これは、金属パターン層同士のプラズモンによる相互作用により空間的な電場の分布・強度に影響があるためである。また、間隔が大きくなると、金属パターン層の密度が下がり、信号強度が弱くなってしまうため、特殊な光学系を適用する必要性が出てくるので、上記範囲にあることが好ましい。
【0022】
複数の金属パターン層を設ける場合は、平面形状及びその大きさの少なくとも一方において異なる複数種類の金属パターン層を基板上に設けることができる。金属パターン層の製造効率や検出系の構成を簡便化する点などを考慮した場合は、図3に示すように、数mm角程度の領域に同一形状及び大きさの金属パターン層1を規則的にアレイ状に支持体3上に配置することが好ましい。このような配置とすることで、透過光や散乱光、反射光の測定を容易にすることができる。
【0023】
金属パターン層の膜厚、外形、帯幅、隣接するもの同士の間隔は、局在プラズモン共鳴スペクトルのピーク位置に影響するため、測定に適したサイズに形成するものとするとよい。図2に示す各形状の中では、ループ部及び/または分岐部を有する形状が検出感度を更に向上させる上で好ましい。その理由としては以下の点が相乗的に影響していると考えられる。
(a)1つの金属パターン層における輪郭長さが増大すること。
(b)分岐部を利用する場合には更に角部の数が増加すること。
(c)金属パターン層の平面形状におけるエッジ間の距離を小さくできること。
【0024】
図1及び図2に示すような孤立した金属パターン(金属構造体)は、10nmから200nm程度の膜厚で形成することができる。
(2)開口型金属パターン層
図15に支持体表面に設けた金属層に開口を設けた金属パターン層の一例を示す。図15の平面図及び基板と垂直方向の断面図に示されるとおり、この基板における金属パターン層201は、支持体203上に下地層202を介して設けられている。金属パターン層201には多数の同一円形の開口が規則的に配列されている。この開口部は、金属パターン層の一部を下地層202が底部に露出するようにエッチング処理などを利用して除去することで形成することができる。図16は支持体302の屈折率を水と同等とした構成を示す。
【0025】
金属パターン層の有する開口部(ホール)の平面形状は、例えば、図17(a:微小スリット開口アレイ)及び(c:複合周期微小スリット開口アレイ)に示すような帯状とすることができる。更には、図17(b:微小開口2次元アレイ)に示すような短冊状、あるいは図17(d:微小開口2次元アレイ)に示すような三角形状など種々の形状とすることができる。金属層中に開口を複数設ける際には、異なる形状の開口が同一金属層に設けられていてもよい。しかしながら、製法上の利点を考慮すれば、同一形状の開口を規則的に配置することが好ましい。
【0026】
また、この場合における金属パターン層も、金、銀、銅、アルミニウム、白金のいずれかの金属、好ましくは貴金属、もしくはそれらの合金から構成され、下地層との密着性の観点から、これらの材質を選択することが好ましい。下地層としてフッ素を含有する材料で形成する場合には、下地層と金属層の間にクロムあるいはチタンなどの薄膜を形成してもよい。
【0027】
この場合における金属パターン層の厚さも、10nmから200nm程度の膜厚で形成することができ、照射光の波長帯域で適宜選択して用いられる。例えばAuの場合だと、50nm程度が好ましい。パターンの形状については、金属の自由電子と相互作用してくる光が主な成分となるパターン形状であることが好ましく、膜に複数の開口を有する形状が好ましい。開口の断面形状は円形、楕円形、三角形、矩形、多角形など種々の形態をとりえる。
【0028】
複数の開口を設ける場合の隣接する2つの開口間の距離は、照射光の波長以下の距離として所望とする検出系に応じて選択することが好ましい。この開口間の距離は、先に説明した孤立型の金属パターン間の距離と同様にして設定することができる。
【0029】
(下地層)
下地層は水と同等の屈折率を有する材料からなる。この材料としては、透明な低誘電率素材を用いることが望ましい。このような材料には無機材料や有機材料がある。無機材料としては、フッ化マグネシウム(屈折率:1.37)またはフッ化リチウム(屈折率:1.39)を挙げることができる。
【0030】
有機材料としては各種のポリマーを挙げることができる。
【0031】
下地層を形成するための材料としては、フッ素を含有する材料が好ましい。フッ素を含む有機材料としては、フッ素樹脂が好ましい。更に、透明性や屈折率などの光学特性上の観点から非晶質構造をとるフッ素樹脂(例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン、屈折率:1.35))がより好ましい。このようなフッ素樹脂として具体的には、サイトップ(旭硝子(株)製)、テフロンAF(デュポン社製)などのいずれか、もしくはそれらの混合物を挙げることができる。
【0032】
本発明においては、標的物質が含まれる水(屈折率:1.34)と同程度の屈折率をもつ下地層を備えることにより金属パターン層は同程度の屈折率をもつ材料に囲まれた状態となる。これにより異なる屈折率層(誘電体層)からの反射が抑制され、プラズモン共鳴の乱れが抑制されてプラズモン共鳴ピークがシャープなものとなる。
【0033】
下地層の厚さは、支持体を兼ねる場合などのその形態に応じて適宜選択できる。別途設けた支持体上に下地層を設ける場合(例えば後述する支持体の形態(II)の場合など)には、好ましくは10nm以上50μm以下、より好ましくは100nm以上、30μm以下とすることができる。
【0034】
下地層の屈折率は、一般に顕微分光測光装置を用いた分光反射率や透過率から屈折率を求める方法と, エリプソメトリーによる方法によって定義されるものとする。
【0035】
(支持体)
下地層及び金属パターン層が設けられる支持体は、これらの層を支持し、かつこれらの層をも用いた標的物質の検出を可能とするものであればよい。また、支持体自体が下地層を兼ねる構成でもよく、支持体上に複数の層を形成し、その最上層を下地層として利用してもよい。このような構成としては以下の各態様を挙げることができる。
(I)支持体が単一の層から構成されており、下地層としての機能を有する。
(II)支持体上に下地層を有する。
【0036】
上記の(II)の形態において用い得る支持体としては、光学的に透明なガラス板、石英板、ポリカーボネートやポリスチレンなどの樹脂板などを挙げることができる。また、(I)の形態の下地層としての機能も兼ねる支持体としては、水と同等の屈折率を有するフッ素樹脂からなる板が好適に用いられる。
【0037】
(基板の作製方法)
(i)孤立型金属パターン層
孤立型の金属パターン層の形成方法の一例を図面を用いて説明する。図5に示したように、まず、支持体上に、下地層形成用の材料を用いて下地層を成膜する(図5(B))。樹脂を用いる場合は、スピンコート法などを用いる。また、無機材料の場合は蒸着法などが利用できる。続いて金属薄膜をスパッタ法あるいは蒸着法により成膜する(図5(C))。その上に電子線レジストをスピンコートにより成膜し(図5(D))、電子線描画装置で露光し、現像後レジストパターンを得る(図5(E))。その後、不要な金属薄膜をエッチングし(図5(F))、レジストを除去して、フッ素を含有する材料を下地に持った、アレイ状の金属パターン層を形成する(図5(G))。前述の電子線描画装置の他、集束イオンビーム加工装置、X線露光装置、EUV露光装置によるパターニング法で金属パターン層を成形することもできる。
【0038】
また、図6に示したように、フッ素樹脂材料を用いて、モールド法により作製した微細な凹凸を有する支持体(図6(A))を用いた作製方法も可能である。図6にあるように、支持体の凹凹凸形成面上に金属薄膜をスパッタ法あるいは蒸着法により成膜する(図6(B))。次に、表面の金属薄膜を研磨し、所望の層構造を有する金属の構造体を基板上に形成する(図6(C))。図7は、金属パターン層の厚さが凹凸の高さよりも薄い場合の作製方法を示すものである。この場合、支持体の凸部が金属パターン層のより上部にあってもよいし、凹凸部の壁面に金属薄膜が成膜されていてもよい。ここで、研磨する代わりに金属膜をドライエッチングによるエッチバックを利用して除去することも可能である。
【0039】
(ii)開口型金属パターン層
基本的には、上記した孤立型金属パターン層と同様にして作製可能である。すなわち、図5の(A)〜(D)に示すように、支持体上に、下地層、金属層及びレジスト層をこの順に設け、開口に相当する位置にあるレジスト層の部分を除去して、レジストパターンを形成し、このレジストパターンを介して金属層をエッチングすることで、開口型金属パターン層を得ることができる。
【0040】
(標的物質検出用素子及び標的物質)
上記の各種の構成をとり得る基板の金属パターン層に標的物質捕捉体を結合させることで標的物質検出素子を作製することができる。図4及び図15に標的捕捉体を金属パターン層に固定した状態を示す。
【0041】
標的物質としては、標的物質捕捉体と特異的な結合対を形成するものであれば、特に制約はない。具体的には、試料溶液中に含まれる標的物質は、非生体物質と生体物質に大別される。非生体物質として産業上利用価値の大きいものとしては、環境汚染物質としての塩素置換数/位置の異なるPCB類、同じく塩素置換数/位置の異なるダイオキシン類、いわゆる環境ホルモンと呼ばれる内分泌撹乱物質等が挙げられる。生体物質としては、核酸、タンパク質、糖鎖、脂質及びそれらの複合体から選択される。更に詳しくは、核酸、タンパク質、糖鎖、脂質から選択される生体分子を含んでなるものがある。具体的には、DNA、RNA、アプタマー、遺伝子、染色体、細胞膜、ウイルス、抗原、抗体、レクチン、ハプテン、ホルモン、レセプター、酵素、ペプチド、スフィンゴ糖、スフィンゴ脂質などを挙げることができる。更には、前記の「生体物質」を産生する細菌や細胞そのものも、本発明が対象とする「生体物質」として標的物質となり得る。
【0042】
標的物質捕捉体としては、上記の標的物質に対して特異的に結合し得るものが利用される。例えば、標的物質と標的物質捕捉体との関係が、酵素−基質、抗原−抗体、核酸−核酸、化合物−その受容体、化合物−それに対して特異的な親和性を有する物質などである場合の一方を標的物質捕捉体として他方を標的物質することができる。これらの捕捉体は、物理的あるいは化学的な方法により、金属パターン層の表面に固定化できる。
【0043】
図4及び図15は標的物質捕捉体5、204として抗体を用いた場合を示している。抗体を金属パターン層1、201に固定すると、金属パターン層1、201に標的物質(4)が近づくと特異的に複合体が形成される。その結果、検出素子表面における誘電率(屈折率)が変化する。前記抗体とは、任意の免疫グロブリンクラスのメンバーであり、本発明においては、IgGクラスの誘導体がより好ましい。また、捕捉体としての抗体は、任意の手法により断片化された抗体フラグメント(抗体断片)でもよい。前記抗体フラグメントあるいは抗体断片とは、前記抗体あるいは免疫グロブリンの全長に満たない抗体の任意の分子あるいは複合体をいう。好ましくは、抗体フラグメントは、少なくとも、全長抗体の特異的結合能力の重要な部分を保持する。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab'、F(ab')2、scFv、Fv、多重特異性多価抗体(ディアボディー、トライアボディなど)およびFdフラグメントが挙げられるがこれらに限定されるものではない。抗体フラグメントを用いる場合、より検出素子近傍での捕捉が可能であるため、検出感度を向上することができる。また、多重特異性多価抗体を用いる場合、検出素子と標的物質の各々に対して特異的認識能を有するので、簡便かつ効率的に検出素子上に捕捉体を固定化することができる。このような複合体形成における抗原抗体反応以外の例としては、酵素と基質の複合体、DNAのハイブリダイゼーションによる相補的な塩基対形成などが挙げられ、これらの複合体の一方を他方の捕捉体として利用することができる。
【0044】
これらの捕捉体は、物理的あるいは化学的な方法により、検出素子の表面に固定化される。なお、検出素子の表面は、いわゆる非特異吸着による共雑物の吸着による不必要なシグナルを防止するために、スキムミルクやカゼイン、ウシ血清アルブミン、リン脂質、ポリエチレングリコール及びそれらの誘導体などによるコーティングを行うと、なお好適である。
【0045】
本発明にかかる標的物質検出用素子では、下地層の屈折率が、試料溶液に含まれる水と同等の屈折率を有するので、入射光が下地層により反射されにくくなることにより金属パターン層と入射光との相互作用の結果のみを抽出できること、及び、孤立型の金属パターン層の場合には、隣接する金属パターン層の間隔を共鳴波長に近づけた構成を採用することにより、回折現象の影響による、隣接する金属パターン層同士によるコヒーレントな局在プラズモンの相互作用を得ることができる。その結果、より鋭いピーク波形が得られ、スペクトルシフトをより敏感に検出できる。これにより、試料溶液中の微量の標的物質を検出することができる検出素子及びそれを用いた標的物質の検出方法、並びにそのための検出装置及びキットを提供することができる。
【0046】
また、開口型金属パターン層を用いた場合には、開口を透過してくる透過光の強度変化を更に増幅させることが可能となり、試料溶液中の標的物質を検出するに十分な感度と広いダイナミックレンジを達成することが可能となる。
【0047】
本発明は、プラズモン共鳴が元来より有している、反応中の経時的変化検知のメリットを保ったまま、上述した種々の効果を発揮可能である。
【0048】
(検出装置及び検出方法)
次に、上記の構成の素子を用いた標的物質検出装置について説明する。本発明による検出装置は、上記構成の素子を保持する保持手段と、素子からの信号を検出するための検出手段と、を少なくとも有して構成される。本発明による検出装置の一例を図8に示す。検出手段としては、光源と分光器、レンズ類から構成される光学検出系を有する。また、この装置では、試料溶液を検出素子まで移動させ素子との反応を起させるための、反応用ウェル、流路、送液機構等からなる送液系を更に有する。
【0049】
光源としては、可視領域から近赤外領域までの波長領域をカバーできるものを用いることができる。光学測定は、吸収スペクトル、透過スペクトル、散乱スペクトル、反射スペクトルを用いることができる。最も好ましくは、吸収スペクトルのピーク波長あるいは、ピークの吸収強度を利用する。
【0050】
孤立型金属パターン層を有する検出素子では、標的物質を特異的に結合すると、局在プラズモン共鳴が非結合状態に対して変化し、吸収スペクトルのピーク波長は、長波長側にシフトし、同時に吸収強度は増大する。そのシフト量の程度によって、あらかじめ作成しておいた標的物質に対する検量線から標的物質の量を定量することができる。また、前記透過光と同様に反射光、散乱光によっても検出定量可能である。図示した検出装置は、局在プラズモン共鳴を利用しているので、孤立型金属パターン層近傍では、局所的な電場増強が起こる。この現象は、表面増強ラマン分光法(SERS)や表面プラズモン蛍光分光法(SPFS)などの測定法にも応用でき、これらの方法による標的物質の定量も可能である。
【0051】
反応用ウェルや流路は、いわゆるμTAS(Micro Total Analysis Systems)型の装置で用いられているポリジメチルシロキサン(PDMS)基板を利用すると容易に作製可能である。このPDMS基板を検出素子を作製してある基板と貼りあわせて図8のような形状にて使用するものとする。送液機構としては、マイクロピストンポンプやシリンジポンプなどを用いることができる。
【0052】
次に、代表的な使用形態を図9に示す。まず、捕捉能を持つ検出素子10のある反応ウェル部9に標的物質を含む試料溶液を流路8を介して送液ポンプ18でインレット11より導入する。一定時間のインキュベーションを行い、その時の透過スペクトルを分光光度計15により測定する。中央演算装置16にて、あらかじめ作成してある検量線と比較し、濃度や反応速度などの測定結果を表示ユニット17に表示する。必要があれば、測定前にリン酸緩衝液などを洗浄液としてインレット1より導入し、反応ウェル部9を洗浄してもよい。ここで、一定時間後のスペクトル変化を静的に測定する他に、その変化を動的にリアルタイム測定することも可能である。その場合、時間変化率などを新たな情報として取得することができる。
【0053】
開口型金属パターンを用いた素子に対して透過光を測定する形態の装置を図14に示す。光源101としては、安定した光源であれば特に制限はない。例えば、ハロゲンランプを用いることが好ましい。受光手段102としては、1nm程度の波長分解能をもった分光計測装置が望ましい。例えば、マルチチャネル検出器や分光光度計を用いることが好ましい。試料溶液リザーバー103としては、標的物質の非特異吸着が少ない材料で構成させたリザーバー、もしくは、チップ中にリザーバーを作り込んだ構成のものでもかまわない。例えば、非特異吸着防止コーティングしたエッペンドルフチューブを用いることが好ましい。洗浄液リザーバー104としては、特に制限はない。ここでは、生化学用のガラスもしくはプラスチックチューブを用いることが好ましい。流路切り替えバルブ105としては、流体のチューブを切り替えられれば特に制限はない。例えば、三方向バルブを用いることが好ましい。送液手段106としては、シリンジポンプやチューブポンプ、ダイヤフラムポンプなどを適宜選択して用いることができる。廃液タンク107としては、ポンプにシリンジポンプを使用した場合、シリンジがそのまま廃液タンクになる。チューブポンプやダイヤフラムポンプを用いた場合は、ビーカーや瓶を廃液タンクとして用いることができる。また、試料溶液が少量しかない場合は廃液にせず、循環用の流路やチューブを用い試料溶液を循環させてやってもよい。送液および廃液チューブ108、109としては、標的物質の吸着ができる限り少ない材質のチューブが好ましい。標的物質検出素子110としては、図15〜17に示す素子が、適宜選択して使用される。流路111としては、試料溶液量ができる限り減らすことができるよう微小なものであることが好ましい。また、流路表面に標的物質ができる限り吸着しないようコーティングが施されていることが好ましい。カバー112としては、透明な材料でかつ、基板113とともに流路を形成でき得る材料であることが好ましい。
【0054】
次に、上記の開口型金属パターンを用いた素子を用いた検出装置の動作原理を図15及び図22を用いて説明する。図15において、図中、上方向から下方向(+z方向)に向かって入射光205を微小開口201の配列に入射させる。このとき、開口の大きさと間隔は、ともに、検出に用いる光の波長以下であるため、入射光205の電界のうち、図中のx方向に偏光した成分が金属薄膜201中の電子と相互作用し、微小スリット開口の内側面に表面プラズモンを生じさせる。生じた表面プラズモンは微小スリット内側面を下方向(図中の+z方向)に伝搬し、微小開口201の下端で再び光に変換され、透過光206として、下方向(+z方向)に透過する。
【0055】
複数の微小開口201内を表面プラズモンの状態を経て光が透過する際、微小開口に生じる電気多重極子との共鳴(局在プラズモン共鳴)による吸収を受け、入射光の波長変化に対するスペクトルは、特徴的な共鳴ピークを持つ。この局在プラズモン共鳴ピークの形は、微小開口の幅や間隔によって変化する。
【0056】
この開口型金属パターンを有する素子では、微小開口を有する金属薄膜の下地層として、標的物質を含む試料溶液の液媒体である水と同程度の屈折率を有する下地層が配置されていることにより、入射光がプラズモンを介して効率よく透過光に変換される。本構成により、標的物質が捕捉体と結合したとき、透過光の積分強度の変化が大きくなる。
【0057】
この開口型金属パターンを有する素子を配置した検出装置で得られる透過光強度スペクトルの一例を図22に示す。(a)は下地層と水の屈折率が同等でない場合の透過光スペクトルであり、(b)は下地層と水の屈折率が同等である場合の透過光スペクトルである。図より、水と下地層の屈折率を同等にした場合は、透過光スペクトルの積分強度変化が大きくなっていることが分かる。図23は、さまざまな濃度の検体を一定時間反応させた後、素子表面を緩衝溶液で洗浄したあとの信号強度変化を示した図であり、(b)は(a)よりも検出限界が低くかつダイナミックレンジが大きいことが確認できる。点線は、標的物質が補足分子と反応を起こす前のスペクトルを表す。図15に示した素子を、標的物質を含む検体と接触させ、素子と標的物質を反応させる。反応時間に応じて、透過光スペクトルの積分強度は大きくなっていく。この積分強度の時間変化を示したグラフが、図20であり、本発明で示した構成のセンサを用いることで、標的物質と抗体の反応ダイナミクスを観測することが可能となる。
【0058】
標的物質の有無またはその量の検出を行う試料溶液は、水溶液として供給される。水溶液は、水を溶媒(液媒体)として構成されたものである。溶解している溶質としては、主にタンパク質や塩類(リン酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩、トリス塩酸塩、塩化物塩、カルシウム塩、マグネシウム塩など)などが含まれる。また、糖類(トレハロースなど)やグリセロールやエチレングリコールなどの凍結保護剤、アジ化ナトリウムやチメロサールなどの防腐剤、PMSF(フェニルメタンスルホニルフルオライド)やロイペプチンのようなプロテアーゼ阻害剤、EDTA(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム,エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム)などの金属キレート剤、DTT(ジチオスレイトール)などの還元剤を含んでいてもよい。
【0059】
(検出用キット)
本発明の標的物質検出用のキットとしては、以下のような種々の形態で提供することができる。
(I)標的物質検出素子用の基板と、標的物質捕捉体と、を有する標的物質検出用キット。
(II)標的物質検出素子と、検出装置と、標的物質の前記標的物質検出素子での捕捉に必要な試薬と、を有する標的物質検出用キット。
【0060】
上記の(II)の構成のキットを用いることで本発明にかかる標的物質の検出を行うことができる。上記の(I)の構成のキットによれば、検出装置や試薬を既に有している使用者に、新たな標的物質検出素子を提供することができる。
【実施例】
【0061】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0062】
実施例1
図10に本実施例で用いた概略の構造を示す。ここでは、まず、625μm厚の石英基板上に室温で5%Cytop溶液(CTL−809M(旭硝子(株)製))(溶媒:CTL−180(旭硝子(株)製)をスピンコートする。2500rpmで45秒間保持することで、膜厚500nmを得る。70℃40分、続けて190℃1時間のベークを行い、フッ素樹脂層を形成する。次に、膜厚20nmの金の薄膜をスパッタ法により石英基板上のフッ素樹脂層上に成膜する。
【0063】
金薄膜上のネガ型電子線レジスト(SAL601(ローム&ハース社製))をスピンコートし、電子線描画装置によりパターニングする。そして、レジストをマスクとして金薄膜をパターニングし、孤立型金属パターン層を形成させる。各金属パターン層は200nm×200nmのスクエアパターン(平面形状)である。隣接する金属パターン層間の間隔は800nmであり、多数の金属パターン層が規則的なアレイ状に3mm×3mmの領域に配置されている。
【0064】
次に、金属パターン層表面に捕捉能を付与するため、標的物質捕捉体である抗AFP(α−fetoprotein)抗体を金からなる金属パターン層表面に固定する。まず、金と親和性の高いチオール基を持つ、11−Mercaptoundecanoic acidのエタノール溶液をスポッタ等で滴下し、金属パターン層表面を修飾する。これにより、金属パターン層表面にカルボキシル基が露出される。その状態で、N−Hydroxysulfosuccinimide(同仁化学研究所社製)水溶液と1−Ethyl−3−[3−dimethylamino]propyl]carbodiimide hydrochloride(同仁化学研究所社製)水溶液を同様にスポッタにて反応領域に滴下する。これにより、金属パターン層表面にスクシンイミド基が露出される。さらに、ストレプトアビジンを結合させることにより、金属パターン層表面がストレプトアビジンで修飾される。この金属パターン層にビオチン化した抗AFP抗体を固定させる。
【0065】
多数の金属パターン層を有する領域の複数を基板上に作製し、それぞれに異なる抗体を固定させ、試料溶液中の異なる標的物質を同一基板上にて検出するような構成(マルチセンサ構成)をとることも可能である。この場合、異なる抗体を用いて、前記の方法と同様の固定化操作を各領域ごとに行うことでかかる構成を得ることができる。
【0066】
以上のようにして得られる素子を用いて以下の操作により、特異的に試料溶液中のAFP濃度を測定することができる。
【0067】
まず、作製した素子10に標的物質であるAFPを含んだ試料溶液をインレット11より導入し、AFPを構造体上に捕捉させる。試料溶液をアウトレット12より排出し、次に、リン酸緩衝液をインレット11より導入し、反応ウェル9内部を洗浄する。最後にリン酸緩衝液を充填して、金の金属パターン層の吸収スペクトルを測定する。吸収スペクトルは、図11に一例を示すように、反応前と反応後を比較すると、特異的な抗原抗体反応によって、標的物質が検出素子表面に結合することでシフトする。ここで、吸収スペクトルのピーク強度、あるいはピーク波長のシフト量とAFP濃度の相関は、図12の検量線の様にあらかじめ既知のAFPコントロール溶液により求められており、これにより濃度未知の試料溶液の微量AFP濃度を求めることができる。
【0068】
実施例2
本実施例では、フッ素樹脂基板を用いてモールド法により微細な凹凸の基板を作製し、検出素子とすることにする。微細な凹凸のパターンは、一般的な光ディスクを製造する要領で作製することができる。フッ素樹脂としては、サイトップ(旭硝子(株)製)を用いる。金属パターン層の外形は300nm×100nmの長方形パターンである。金薄膜厚は、20nm、各金属パターン層間の間隔は1400nmであり、多数の金属パターン層を規則的なアレイ状に3mm×3mmの領域に配置されている。金薄膜は、蒸着法により成膜する。次に表面の不要な金薄膜を研磨処理し、所望の層構造を有する金属パターン層を下地層としての機能を有する支持体上に形成する(図6(C))。金属パターン層の表面に捕捉能を付与するため、実施例1と同様に処理する。本実施例では、標的物質捕捉体である抗PSA(前立腺特異抗原)抗体を金の構造体表面に固定化する。
【0069】
吸収スペクトルは、実施例1と同じく、反応前と反応後を比較すると、特異的な抗原抗体反応によって、標的物質が検出素子表面に結合することでシフトする。吸収スペクトルのピーク強度、あるいはピーク波長のシフト量とPSA濃度の相関は、あらかじめ既知のPSAコントロール溶液により求め、これにより濃度未知の試料溶液の微量PSA濃度を求めることができる。
【0070】
実施例3及び比較例1
本実施例では、金属パターン層の形状をリング状の周回構造とする(図2(E))。この金属パターン層は、リング形状による局在プラズモン増強効果を持つことを特徴とする。素子の作製は、フッ素樹脂の代わりに蒸着法によるフッ化マグネシウム薄膜を用いる以外は実施例1と同様にして行う。フッ化マグネシウム薄膜および金薄膜の膜厚は、それぞれ500nmと20nmである。走査型電子顕微鏡(SEM)画像で確認すると、金属パターン層の外形(平面形状)は200nm×200nmの正方形であり、リング形状の線幅は50nmである。描画プロセスの解像性の高低により、交差部の形状は、必ずしも直角に作製できるとは限らないが機能において問題とはならない。隣接する金属パターン層の間隔は1350nmであり、多数の金属パターン層が規則的なアレイ状に3mm×3mmの領域に配置されている。フッ化マグネシウム薄膜上に金属構造体を配置した本実施例においては、フッ化マグネシウム薄膜を設けない場合(比較例1)と比較すると、局在プラズモン吸収のスペクトルの半値幅は、20〜40%程度減少する。
【0071】
実施例4
本実施例では、金属パターン層の形状を交差部を有する構造体として形成する(図2(I))。この構造体は、交差部を有することによる局在プラズモン増強効果を持つことを特徴とする。625μm厚の石英基板上に金属パターン層を形成する。まず、石英基板上に蒸着法によるフッ化リチウム薄膜(50nm)を形成する。その後、実施例1と同じくスパッタ法による金薄膜の成膜(膜厚20nm)、電子線描画装置を用いての構造体のパターニング、及び、エッチングプロセスを順次行うことで、金属パターン層を得る。走査型電子顕微鏡(SEM)画像で確認すると、500nmの外形(平面形状)は200nm×200nmの正方形で、帯状部分の線幅は50nmである。描画プロセスの解像性の高低により、交差部の形状は、必ずしも直角に作製できるとは限らないが機能としては問題はない。隣接する金属パターン層間の間隔は1250nmであり、多数の金属パターン層が規則的なアレイ状に3mm×3mmの領域に配置されている。本実施例の構造体も前述の実施例と同様にバイオセンサ用の素子として使用できる。
【0072】
実施例5
<標的物質検出用素子>
図15を参照しながら説明する。支持体203としてはガラス板を用いる。支持体203の上にMgF2を200nm蒸着して下地層202とする。その上に金属薄膜201を200nm蒸着する。さらに、金属膜の上にポジ型電子線レジスト(ZEP520)をスピンコートし、電子線描画によりパターニングをおこなう。レジストパターンをマスクとして、金属層をエッチングし、300nmx50nmの長方形を、周期1000nmでアレイ状に配置する。捕捉体205としては、抗体を用いる。
【0073】
<標的物質測定装置>
図14を参照しながら説明する。光源101としては、ハロゲンランプを用い、分光器102としては、マルチチャネル検出器(浜松フォトニクス)を用い、試料溶液リザーバー103としては、エッペンドルフチューブを用いる。洗浄液リザーバー104としては、生化学用のガラスボトルを用い、流路切り替えバルブ105としては、三方向バルブ(GLサイエンス)を用いる。送液手段106としては、シリンジポンプ(kd Scientific KDS200)を用い、廃液タンク107としては、シリンジを用い、送液および廃液チューブ108,109としては、テフロンチューブを用いる。標的物質検出素子110としては、上述の図15に示すような素子を用い、流路111としては、カバー(PDMS基板)112に形成した1mm幅、100μm幅、40mm長のものを用いる。基板113としては、石英ガラスを用い、コリメートレンズとしては、平凸シリンダーレンズ(シグマ光機、20mmx40mm)を用いる。
<標的物質の測定>
図14の装置において、抗PSA抗体を固定化させた標的物質検出素子206を装置にセットし以下のプロトコールをおこなう。抗体の金薄膜表面への固定化は実施例1と同様にして行うことができる。
(1)三方バルブを洗浄液側に切り替え、pHを7.4に調整したバッファー溶液を0.1(ml/min.)の流速で10分間流し、標的物質検出素子をよく洗浄する。
(2)バルブを試料溶液側に切り替え、試料溶液を0.1(ml/min.)の流速で10分間流し抗原抗体反応をおこす。
(3)試料溶液を送液しながら、一定時間ごとに反射スペクトルを測定する。
(4)再び、バルブを洗浄液側に切り替え、バッファー溶液を流速0.1(ml/min.)で10分間流し、非特異的に吸着した抗原を洗い流す。
【0074】
上記プロトコールにより、図22に示すものと同様の反応時間ごとのスペクトルが得られる。このスペクトルをグラフソフトにより積分し、各時間における積分値を求めることにより、図18に示すように抗原抗体反応のタイムコースが得られる。
【0075】
実施例6
<標的物質検出素子>
図15に示す標的物質検出素子を四つ直列に並べ、それぞれに異なる種類の抗体を固定化させたものを標的物質検出素子として用いる。各素子は、所定の抗体を用いる以外は実施例5と同様にして作製する。
<標的物質測定装置>
図19を参照しながら説明する。光源601としては、ハロゲンランプを用い、分光器602としては、4ch同時測定が可能なマルチチャネル検出器を用いる。試料溶液リザーバー603としては、エッペンドルフチューブを用い、洗浄液リザーバー604としては、生化学用のガラスボトルを用い、流路切り替えバルブ605としては、三方向バルブ(GLサイエンス)を用いる。ポンプ606としては、シリンジポンプ(kd Scientific KDS200)を用い、廃液タンク607としては、シリンジを用い、送液および廃液チューブ608,609としては、テフロンチューブを用いる。標的物質検出素子610としては、上述の図15に示す素子が4個直列に並べられたチップを用い、流路611としては、PDMS基板612に形成した1mm幅、100μm幅、40mm長のものを用いる。基板613としては、石英ガラスを用い、コリメートレンズとしては、平凸シリンダーレンズ(シグマ光機、20mmx40mm)を用いる。光ファイバー616としては、光源からの光量が各波長帯域で充分とれれば特に制限はない。ここでは、可視光波長帯域のファイバーを用いることが好ましい。
<標的物質の測定>
図19の装置において、抗CEA抗体、抗AFP抗体、抗PSA抗体及び抗PAP抗体を固定化させた標的物質検出素子を装置にセットし以下のプロトコールをおこなう。
(1)三方バルブを洗浄液側に切り替え、pHを7.4に調整したバッファー溶液を0.1(ml/min.)の流速で10分間流し、標的物質検出素子をよく洗浄する。
(2)バルブを試料溶液側に切り替え、試料溶液を0.1(ml/min.)の流速で10分間流し抗原抗体反応をおこす。
(3)試料溶液を送液しながら、一定時間ごとに反射スペクトルを測定する。
(4)再び、バルブを洗浄液側に切り替え、バッファー溶液を流速0.1(ml/min.)で10分間流し、非特異的に吸着した抗原を洗い流す。
【0076】
上記プロトコールにより、反応場ごとに図22に示すようなスペクトルが得られる。このスペクトルをグラフソフトにより関数フィッティングしスペクトルのピーク値を求めることにより、図20に示すようにそれぞれのマーカータンパク質について、反応のkinetics測定が可能となる。以上のように、複数の疾病マーカータンパク質とその抗体の反応プロファイルを測定することにより、一つのタンパク質の測定より高精度に疾病の要因を調べることが可能になる。
【0077】
実施例7
<標的物質検出素子>
図15に示す標的物質検出素子を四つ直列に並べ、それぞれに異なる種類の抗体を固定化させたものを標的物質検出素子として用いる。各素子は、所定の抗体を用いる以外は実施例4と同様にして作製する。
<標的物質測定装置>
図21を参照しながら説明する。光源801としては、ハロゲンランプを用い、分光器802としては、4ch同時測定が可能なマルチチャネル検出器を用い、試料溶液リザーバー803としては、エッペンドルフチューブを用いる。洗浄液リザーバー804としては、生化学用のガラスボトルを用い、流路切り替えバルブ805,816としては、三方向バルブ(GLサイエンス)を用い、ポンプ806としては、チューブポンプ(kd Scientific KDS200)を用いる。廃液タンク807としては、ビーカーを用い、送液および廃液チューブ808,809としては、テフロンチューブを用いる。標的物質検出素子810としては、上述の図15に示す素子が4個直列に並べられたチップを用い、流路811としては、PDMS基板212に形成した1mm幅、100μm幅、40mm長のものを用いる。基板413としては、石英ガラスを用い、コリメートレンズとしては、平凸シリンダーレンズ(シグマ光機、20mmx40mm)を用い、循環用チューブ817としては、テフロンチューブを用いる。
<標的物質の測定>
図21の装置において、抗CEA抗体、抗AFP抗体、抗PSA抗体及び抗PAP抗体を固定化させた標的物質検出素子を装置にセットし以下のプロトコールをおこなう。
(1)バルブ1を洗浄液側に、バルブ2を廃液タンク側に設定し、pHを7.4に調整したバッファー溶液を0.1(ml/min.)の流速で10分間流し、標的物質検出素子をよく洗浄する。
(2)バルブ1を試料溶液側に、バルブ2を循環用チューブ側に切り替え、試料溶液を0.1(ml/min.)の流速で10分間流し抗原抗体反応をおこす。
(3)試料溶液を送液しながら、一定時間ごとに反射スペクトルを測定する。
(4)再び、バルブを洗浄液側に切り替え、バッファー溶液を流速0.1(ml/min.)で10分間流し、非特異的に吸着した抗原を洗い流す。
【0078】
上記プロトコールにより、反応場ごとに図22に示すようなスペクトルが得られる。このスペクトルをグラフソフトにより関数フィッティングしスペクトルのピーク値を求めることにより、図20に示すようにそれぞれのマーカータンパク質について、反応のkinetics測定が可能となる。以上のように、複数の疾病マーカータンパク質とその抗体の反応プロファイルを測定することにより、一つのタンパク質の測定より高精度に疾病の要因を調べることが可能になる。
【0079】
(実施例8)
標的物質捕捉体として、特開2005−312446号公報に記載の2重特異性抗体(ディアボディ)を用いる以外は実施例1と同様にして図10に示す装置を構成する。このディアボディは、検出素子の有する金属構造体の表面に捕捉能を付与するために用いられ、検出素子の金属構造体の構成材料である金と標的物質であるHEL(ニワトリ卵白リゾチーム)の2つの物質に対して特異的親和性を持つ。調製されたディアボディは、リン酸緩衝液と共に検出素子部に添加し、約30分間インキュベーション後、緩衝液にて洗浄して用いる。本実施例のディアボディを用いる手法によると、化学的な固定化方法に比べ、親和性を損なうことなく固定できること、その結果として、検出素子上に固定化するために必要な捕捉体量が削減できる。
【0080】
次に、この装置を利用して、以下の操作により、特異的に検体中のHEL濃度を測定することができる。
(1)作製した素子に標的物質であるHELを含んだ検体をインレット8より導入し、HELを構造体上に捕捉させる。
(2)検体を排出し、リン酸緩衝液をインレット8より導入し、反応ウェル7内部を洗浄する。
(3)最後にリン酸緩衝液を充填して、金の構造体の吸収スペクトルを測定する。
吸収スペクトルについて反応前と反応後を比較すると、図11に1例を示すように、特異的な抗原体反応によって標的物質が検出素子表面に結合することで吸収スペクトルがシフトする。ここで、吸収スペクトルのピーク強度、あるいはピーク波長のシフト量とHEL濃度の相関は、あらかじめ既知のHELコントロール溶液により求められており、濃度未知の検体の微量HEL濃度を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態における金属の構造体を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態における金属の構造体の平面形状の例を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態における検出素子の一例を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態における検出素子上の捕捉体の例を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態における検出素子の作製方法を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態における検出素子の作製方法を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態における検出素子の作製方法を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態における検出装置の一部を表す模式図である。
【図9】本発明の実施の形態における検出装置のブロック図である。
【図10】実施例1の検出装置の模式図である。
【図11】実施例1の検出スペクトル(吸収スペクトル)の変化の一例である。
【図12】実施例1の試料溶液の検量線の一例である。
【図13】金属パターンの大きさを説明するための図である。
【図14】本発明の一実施形態を説明するための図である。
【図15】本発明の標的物質検出素子の例を説明するための図である。
【図16】本発明の標的物質検出素子(別構成)の例を説明するための図である。
【図17】本発明の実施形態を説明するための図である。
【図18】本発明の実施例1を説明するための図である。
【図19】本発明の実施例2を説明するための図である。
【図20】本発明の実施例2を説明するための図である。
【図21】本発明の実施例3を説明するための図である。
【図22】本発明の実施形態を説明するための図である。
【図23】本発明の実施形態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0082】
1 金属パターン層
2 下地層
3 支持体
4 標的物質
5 標的物質捕捉体
6 金属薄膜
7 電子線レジスト
9 反応ウエル
10 検出素子
11 インレット
12 アウトレット
13 送液ポンプ
14 光源ユニット
15 分光光度計
16 中央演算装置
17 表示ユニット
18 送液ポンプ
19 流路
20 廃液リザーバ
21 タングステンランプ
22 コリメートレンズ
23 基板
101 光源
102 分光器
103 検体リザーバー
104 洗浄液リザーバー
105 流路切り替えバルブ
106 送液手段
107 廃液タンク
108 送液チューブ
109 廃液チューブ
110 標的物質検出素子
111 流路
112 カバー
113 基板
114 標的物質検出チップ
115 コリメートレンズ
201 金属パターン
202 下地層
203 支持体
204 捕捉体
205 入射光
206 透過光
301 金属パターン
302 支持体
303 捕捉体
304 入射光
305 透過光
401 微小スリット開口アレイを有する金属薄膜
402 微小開口2次元アレイを有する金属薄膜
403 複合周期開口アレイを有する金属薄膜
404 円形状微小開口2次元アレイを有する金属薄膜
601 光源
602 分光器
603 検体リザーバー
604 洗浄液リザーバー
605 流路切り替えバルブ
606 ポンプ
607 廃液タンク
608 送液チューブ
609 廃液チューブ
610 標的物質検出素子
611 流路
612 カバー
613 基板
614 標的物質検出チップ
615 カプラー
616 光ファイバー
801 光源
802 分光器
803 検体リザーバー
804 洗浄液リザーバー
805 流路切り替えバルブ
806 ポンプ
807 廃液タンク
808 送液チューブ
809 廃液チューブ
810 標的物質検出素子
811 流路
812 カバー
813 基板
814 標的物質検出チップ
815 カプラー
817 流路切り替えバルブ
818 検体循環チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、該支持体の表面に設けられた金属パターン層を有し、液媒体として少なくとも水を含む試料溶液中の標的物質を捕捉し得る標的物質捕捉体を前記金属パターン層に結合させ、プラズモン共鳴を利用して標的物質を検出する標的物質検出素子を形成するために用いられる基板であって、
前記金属パターン層が、前記支持体表面に設けられた下地層上に形成されており、該下地層が以下の式:
0.90na≦nb≦1.05na
na:水の屈折率
nb:下地層の屈折率
で表される屈折率(nb)を有することを特徴とする標的物質検出素子用の基板。
【請求項2】
前記屈折率nbが1.20以上1.40以下の範囲にある請求項1に記載の基板。
【請求項3】
前記下地層が、フッ素を含有する材料からなる請求項1または2に記載の基板。
【請求項4】
前記フッ素を含有する材料が、フッ素樹脂である請求項3に記載の基板。
【請求項5】
前記フッ素を含有する材料が、フッ化マグネシウムまたはフッ化リチウムである請求項3に記載の基板。
【請求項6】
前記金属パターン層は前記下地層上に形成された複数の孤立した金属パターンからなる請求項1に記載の基板。
【請求項7】
前記複数の孤立した金属パターン間の距離は400nmから1500nmの範囲にある請求項6に記載の基板
【請求項8】
請求項1に記載の基板の有する金属パターン層に、標的物質捕捉体を結合させてなることを特徴とする標的物質検出素子。
【請求項9】
前記標的物質捕捉体は、抗体である請求項8に記載の標的物質検出素子。
【請求項10】
前記抗体は、抗体断片である請求項9に記載の標的物質検出素子。
【請求項11】
前記抗体断片は、多重特異性多価抗体である請求項10に記載の標的物質検出用素子。
【請求項12】
試料溶液中の標的物質を検出する装置であって、
請求項8に記載の標的物質検出素子と、該標的物質検出素子に前記試料溶液を供給するための試料溶液供給手段と、該標的物質検出素子の有する標的物質捕捉体が標的物質を捕捉したことを検出する検出手段と、を備えたことを特徴とする検出装置。
【請求項13】
前記検出手段が、前記標的物質捕捉体による標的物質の捕捉を光学的に検出する手段である請求項12に記載の検出装置。
【請求項14】
前記光学的検出手段が、前記標的物質検出素子からの透過光、散乱光または反射光を測定するものである請求項13に記載の検出装置。
【請求項15】
前記試料溶液の流路中に前記標的物質検出素子を配置した構成を有する請求項12に記載の検出装置。
【請求項16】
液媒体として少なくとも水を含む試料液体中の標的物質の有無または該標的物質の量を検出するための検出方法であって、
請求項8に記載の標的物質検出素子と、前記試料溶液とを接触させる工程と、
前記試料溶液中に標的物質が含まれている場合における前記標的物質検出素子への標的物質の捕捉を検出する工程と、
を有ることを特徴とする標的物質の検出方法。
【請求項17】
試料溶液中における標的物質の有無または前記標的物質の量を検出するためのキットであって、請求項8に記載の標的物質検出素子と、標的物質の前記標的物質検出素子での捕捉に必要な試薬とを有することを特徴とする標的物質検出用キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2007−192806(P2007−192806A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−320305(P2006−320305)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】