説明

模倣した演技をシーンに挿入し、同一性の評価を付与するスキーム

【解決手段】参照映像セグメントの選択を受け取り(102)、実演をカメラで撮影し(104)、前記参照映像セグメントを表す前記撮影された実演の少なくとも一部によって前記参照映像セグメントの一部が置き換えられた新たな映像セグメントを生成し(106)、前記新たな映像セグメントを表示する(108)実演に関して用いられる方法である。別の方法は、オンラインコミュニティに参照映像セグメントを表示し(908)、撮影された前記実演の一部分に関するフィードバックを前記クライアント装置に提供する(910)。別の方法は、実演における一つ以上の観点とそれと対応する参照実演における観点とを比較し(606)、実演が参照実演とどれ程度密接にマッチしているかを示す表示を生成する(608)ことを含む。別の態様は、上述の一またはそれ以上のステップをプロセッサベースのシステム1100に実行させるプログラムを格納した記録媒体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年12月21日に出願された「模倣した演技をシーンに挿入し、同一性の評価を付与するスキーム」と題する米国仮出願第61/016,216号の優先権を主張し、開示内容全体を参照によりここに完全に組み入れる。
【0002】
本発明は、一般的には映像エンタテインメントに関し、特に、対話型の映像エンタテインメントに関する。
【背景技術】
【0003】
最もポピュラーな娯楽の形態のひとつとして、テレビ、映画、およびビデオを鑑賞することがある。DVD(Digital Video Disk)、DVR(Digital Video Recorder)、およびVOD(Video on Demand)のような技術によって、愛好者達はお気に入りの映画やショーを何度でも見ることができるようになった。
【0004】
娯楽における別のポピュラーな形態として、ビデオゲームがある。商用で市販されているゲーム端末機によって、ユーザは自宅で快適にビデオゲームで遊ぶことが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
いくつかのゲームは極めて人気が出て莫大な収益を生み出すので、ビデオゲーム業界は次のヒットビデオゲームを開発すべくたゆまぬ努力を続けている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある実施の形態は、実演に関して用いられる方法を提供する。この方法は、参照映像セグメントの選択を受け取る受信ステップと、実演をカメラで撮影するステップと、前記参照映像セグメントを表し、前記撮影された実演の少なくとも一部によって前記参照映像セグメントの一部が置き換えられた新たな映像セグメントを生成する生成ステップと、前記新たな映像セグメントをディスプレイに表示するステップとを含む。ここで前記カメラおよび前記ディスプレイは、前記受信ステップおよび前記生成ステップを実行する前記プロセッサベースのシステムに接続している。
【0007】
他の実施の形態は、実演に関して用いられる方法を提供する。この方法は、オンラインコミュニティに参照映像セグメントを表示するステップと、クライアント装置に接続されている、実演を撮影するカメラからデータを受け取るステップと、前記参照映像セグメントを表し、撮影された前記実演の少なくとも一部によって前記参照映像セグメントの一部が置き換えられた新たな映像セグメントを生成する生成ステップと、オンラインコミュニティに新たな映像セグメントの表現を表示するステップと、撮影された前記実演の一部分に関するフィードバックを前記クライアント装置に提供するステップとを含む。
【0008】
他の実施の形態は、実演に関して用いられる方法を提供する。この方法は、実演をカメラで撮影するステップと、前記実演を表現する出力データを前記カメラから受け取るステップと、前記出力データを処理して、実演における一つ以上の観点とそれと対応する参照実演における観点とを比較するステップと、実演が参照実演とどれくらい密接にマッチしているかを示す指標を生成するステップとを含む。
【0009】
他の実施の形態では、本発明は、上述のいずれかの方法をプロセッサベースのシステムに実行させるコンピュータプログラムを格納した記録媒体を提供する。
【0010】
例えば、別の実地の形態は、プロセッサベースのシステムにステップを実行させるプログラムを格納する記録媒体を提供する。ここで前記プログラムは、参照映像セグメントの選択を受け取る受信ステップと、実演をカメラで撮影するステップと、前記参照映像セグメントを表し、前記撮影された実演の少なくとも一部によって前記参照映像セグメントの一部が置き換えられた新たな映像セグメントを生成する生成ステップと、前記新たな映像セグメントをディスプレイに表示するステップとを実行させ、前記カメラおよび前記ディスプレイは、前記受信ステップおよび前記生成ステップを実行する前記プロセッサベースのシステムに接続している。
【0011】
別の実施の形態は、オンラインコミュニティに参照映像セグメントを表示するステップと、クライアント装置に接続されている、実演を撮影するカメラからデータを受け取るステップと、前記参照映像セグメントを表し、撮影された前記実演の少なくとも一部によって前記参照映像セグメントの一部が置き換えられた新たな映像セグメントを生成する生成ステップと、オンラインコミュニティに新たな映像セグメントの表現を表示するステップと、撮影された前記実演の一部分に関するフィードバックを前記クライアント装置に提供するステップとをプロセッサベースのシステムに実行させるプログラムを格納した記録媒体を提供する。
【0012】
別の実施の形態は、実演をカメラで撮影するステップと、前記実演を表現する出力データを前記カメラから受け取るステップと、前記出力データを処理して、実演における一つ以上の観点とそれと対応する参照実演における観点とを比較するステップと、実演が参照実演とどれくらい密接にマッチしているかを示す指標を生成するステップとをプロセッサベースのシステムに実行させるプログラムを格納した記録媒体を提供する。
【0013】
発明の実施の形態の原理が用いられた具体的な実施の形態を説明する以下の詳細な説明と付随する図面とを参照することによって、本発明の実施の様々な実施の形態の特徴および有利性のより良い理解が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の実施の形態にかかる上述および他の態様、特徴、および利点が、以下の図面とともに提示される以下のより具体的な明細書から、さらに明らかになる。
【図1】本発明の実施の形態に係る実演に関して用いられる方法を説明するフローチャートである。
【図2】図2A、図2B、および図2Cは、本発明の実施の形態にしたがって用いられる参照映像セグメント例の代表フレームを説明するスクリーンショットである。
【図3】本発明の実施の形態にかかるユーザの実演を示す図である。
【図4】図4A,図4B,および図4Cは、本発明の実施の形態にかかるユーザの実演の代表フレームを説明するスクリーンショットである。
【図5】図5A、図5B、および図5Cは、本発明の実施の形態にしたがって生成される新たな映像セグメントの代表フレームを説明するスクリーンショットである。
【図6】本発明の別の実施の形態にしたがって実演に関して用いられる方法を説明するフローチャートである。
【図7】図7A、図7B、および図7Cは、本発明の実施の形態にしたがって生成される新たな映像セグメントの代表フレームを説明するスクリーンショットである。
【図8】図8A、図8B、および図8Cは、本発明の実施の形態にしたがって生成される新たな映像セグメントの代表フレームを説明するスクリーンショットである。
【図9】本発明のさらに別の実施の形態にしたがって実演に関して用いられる方法を説明するフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態にしたがって動作するシステムを説明する図である。
【図11】本発明の実施の形態にしたがって以下に記述される起動、実装および/または実行される方法および/または技術で用いられるプロセッサベースのシステムを図示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
テレビや映画、ビデオを見ることは受け身的な娯楽である。すなわち、ひとたび個人が映画館に入館したり、テレビ番組を選択したり、あるいはDVDを再生したりすると、その映像の娯楽による体験は、主として受け身的である。ビデオを鑑賞する個人は、そのビデオを見る度に、通常は同じ体験を得る。
【0016】
一方で、ビデオゲームを遊ぶ人は、ビデオゲームをプレイするスリルを知っている。これらのいわゆる「ゲーマー」達は、コントローラ、ゲームパッド、ジョイスティック、あるいはボタンを用いて人工的に生成された環境、すなわち「バーチャルワールド」の中のキャラクタを操作する。例えば、ゲーマーはフットボールゲームにおけるお気に入りのフットボール選手をゲームパッドを用いて操作したり、他のゲームにおける漫画のキャラクタをジョイスティックを用いて操作したりする。結果を制御する能力は、そのビデオゲームの体験を豊かにし、面白くし、そしてそのゲームをプレイする度に異なる体験となる可能性を秘めている。
【0017】
その一方で、近年の映像設備や映像記憶技術にかかる費用の減少により、個人が自分自身の映像を安価に作成できるようになった。個人はしばしば、特定の視聴者向けの内容の映像を作成する。例えばその内容は、個人やその友人が歌ったり、踊ったり、演技をしたり、あるいは他の面白い動作を実演する様子を描写するものである。これらの映像は、映像共有サイトを通じて大規模な視聴コミュニティにおいて頻繁に共有される。
【0018】
この点に関し、テレビや映画、ビデオを受け身的に鑑賞することで楽しめるのであれば、多くの視聴者はより双方向の体験も楽しめるのではないかと発明者は認識した。例えば、お気に入りの映画やテレビシーンにおける会話を記憶していることはあまりないが、楽しみのために友人や家族の前で有名なシーン演じてみせることはよくあることである。
【0019】
本発明のある実施の形態は、映画やテレビ番組、および他の映像を含む双方向体験を提供することができる。例えば、ある実施の形態によれば、お気に入りの映画やテレビシーンの中に実際にプレイヤ、実演者、または他のユーザを登場させることができる。つまり、プレイヤはカメラの前で自身でシーンを演じる。例えば、あるプレイヤは、有名や役者や、歌手、ダンサーなどの実演を模倣する。そうすると、撮影された実演の少なくとも一部分は、オリジナルシーンの対応する部分の置き換えに用いられる。これにより、プレイヤに楽しみ、愉快な経験、そしてできる限りそっくりにオリジナルシーンを真似ようとする意欲を与えることができる。
【0020】
以下に記載された方法および技術を用いることにより、プレイヤや他のユーザは、単にシーンを受け身的に鑑賞するよりもいっそう双方向的な体験が得られる。例えば、以下に記載された方法および技術は、背景画像、映像、音声および脇役に関して土台を配置する。その後、プレイヤが完全にゲームに没入するように、そのゲームに加えられ、重ねられる。プレイヤがゲームに没頭するのみならず、プレイヤは有名な動画やテレビシーンの中に没入する。多くのプレイヤは、この経験を非常に愉快でやりがいのあると感じ、特に俳優やテレビの有名人になることを目指す場合であればなおさらである。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態にしたがって動作する方法100を説明する。方法100は、ステップ102において参照映像セグメントの選択を受け取ったときに開始する。参照映像セグメントは、ユーザが模倣または演じようとする映像セグメントを含んでいる。参照映像セグメントは、それ自体としては、何らかの面白い動作に従事している少なくとも一人の登場人物を表示するものが好ましい。典型的には、ユーザはその登場人物の演技の模倣を試みる。
【0022】
ある実施の形態では、方法100は少なくとも部分的には、エンタテインメントシステムはゲームコンソール等のプロセッサベースのシステムに実装される。この場合、参照映像セグメントの選択は、プロセッサベースのシステムによって受け取られることになる。その映像セグメントは、キーボードやマウス、ゲームパッド、ビデオゲームコントローラ、テレビのコントローラ、DVDのコントローラ、リモコン、その他好適な選択装置を用いて選択される。
【0023】
ある実施の形態では、ユーザは、プロセッサベースのシステムに最初から組み込まれている有名な映画、テレビ番組、表彰式等のシーンから選択することができる。参照映像セグメントはあらゆる作品からの映像セグメントを含む。そのような作品の例としては、既に公開されている映画、テレビ番組、テレビ放送、ビデオゲーム、スポーツイベント、ミュージックビデオ等があげられる。例えば、参照映像セグメントは映画やテレビ番組、録画された実演、ミュージックビデオ、コマーシャル、トレーニングビデオ、その他録画された映像からのどのようなシーンでもよい。ある実施の形態では、さらなるシーンや台詞をオンラインストアやオンラインライブラリ等からダウンロードすることができる。オリジナルの実演がどのようなものだったかを見ることができるために、ユーザはシステムを用いてオリジナルの劇場のシーンを見ることができる。ある実施の形態では、ユーザは独白や脚本をシステムからプリントアウトしたり、それらを手動で生成したりすることができる。
【0024】
ステップ104において、カメラで実演が撮影される。実演はユーザや他の人間、あるいは動物によるものでもよい。実演は、選択した参照映像セグメントの登場人物のうちの一人のアクションと関連していることが好ましい。実演はしばしば、ユーザあるいは他の人間が参照映像セグメントの登場人物の実演を模倣、再現、複製、あるいは滑稽に真似ようとすることになる。一方で、当然のことながら、実演はカメラの前でユーザがじっと立っているものでしかない。
【0025】
ある実施の形態では、カメラは上述のプロセッサベースのシステムと接続している。カメラはどのタイプのカメラやイメージキャプチャ装置を含み、例えばデジタルカメラ、ウェブカメラ、または類似のカメラである。例として、カメラは、市販のSony Eye Toy(商標)のようなカメラの周辺機器を含む。しかし、当然のことながら、いずれのタイプまたはブランドのカメラが使用できる。例えば、ウェブカム(web-cam)カメラ、USBアドオンカメラ、赤外カメラ、高速撮影カメラ等である。
【0026】
ある実施の形態では、カメラはZカメラやデプスカメラを含む。そのようなZカメラやデプスカメラは、例えば、各画素の深さ情報を計測したり、各画素のカメラからの距離を測定したりする。このように、いくつかの実施の形態においては、本明細書に記載されるカメラや画像キャプチャ装置は任意のタイプの3次元カメラを含む。
【0027】
ある実施の形態では、参照映像セグメントが表示されている間に実演が撮影される。これにより、実演者は実演中に参照映像セグメントを見ることができる。参照映像セグメントなしに、実演者は独立して実演することもできる。例えば、実演者は参照映像セグメントを何度も見て、それから完全に記憶のみから同様の実演をしようと試みる。
【0028】
ステップ106において、参照映像セグメントを表し、撮影された実演の少なくとも一部によって参照映像セグメントの一部が置き換えられた新たな映像セグメントが生成される。このように、新たな映像セグメントは、撮影された実演の一部によって参照映像セグメントの一部が置き換えられた状況となる。例えば、参照映像セグメントの登場人物は撮像されたユーザの実演によって置き換えられる。他の例として、ユーザの顔はオリジナルのシーンの中にマッピングされてもよい。この機能によって、ユーザはお気に入りの映画やテレビのシーンの中で演技する自分自身を見ることが可能となる。
【0029】
ある実施の形態では、上述のプロセッサベースのシステムによって新たな映像セグメントが生成される。再度述べるが、このようなプロセッサベースのシステムは、エンタテインメントシステム、ゲームコンソール、またはそれと同様のいずれのタイプの装置も含みうる。ある実施の形態では、新たな映像セグメントはリアルタイムで生成される。
【0030】
ある実施の形態では、参照映像セグメントの登場人物は、撮像されたユーザの実演によって完全に置き換えられる。ある実施の形態では、新たな映像セグメントは、参照映像セグメントからの画像の上に撮像された実演を重ね合わせて特徴付ける。新たな映像セグメントを生成するための特殊効果を使用することも考慮されている。例えば、参照映像セグメントからの登場人物は、撮影された実演とモーフィングされてもよい。
【0031】
ある実施の形態では、参照映像セグメントは新たな映像セグメントを生成することに対してより適応するために、何らかの処理がなされる。例えば、ある作品からの映像セグメント中のカメラ視野は、参照映像セグメントにおいて修正ないし調整がなされる。具体的な調整はシーンに依存する。例えば、オリジナル作品中の動いているカメラまたは流し撮りしているカメラは、静止撮影となるように修正される。これにより、参照映像セグメントの一部を、撮像された実演の少なくとも一部と置き換えることが容易となる。撮像された実演は、固定カメラによって、例えば静止画像として撮像されるからである。しかし、当然のことながら、オリジナル作品をより近く複製するために、撮像された実演は動きつつ撮像されたりまたは流し撮りされたりするものであってもよい。他の例としては、作品の映像セグメントで使用されているカメラのレンズは参照映像セグメントにおいては修正ないし調整されていてもよい。
【0032】
ステップ108において、新たな映像セグメントはディスプレイに表示される。ディスプレイは、上述のプロセッサベースのシステムに接続されている。新たな映像セグメントは実演を撮影した後に表示されるので、実演者は実演を評価することができる。主観的および客観的な実演のフィードバックを実演者に提供するための、実演後における実演についての成績評価が考えられており、後述する。
【0033】
ある実施の形態では、新たな映像セグメントはほぼリアルタイムで表示され、実演者は、その新たな映像セグメント内に具現化されたものとして演技を見ることが可能となる。新たな映像セグメントはまた、参照映像セグメントと同時に表示され、実演者は新たな映像セグメントと参照映像セグメントとの相違に注意することができる。ある実施の形態では、新たな映像セグメントと参照映像セグメントとの両者が同時にリアルタイムで表示され、撮像された実演と参照映像とを同期することでリアルタイムで実演を調整することが可能となる。
【0034】
図2A、図2B、および図2ACは、参照映像セグメントの例の代表フレームを説明するものであり、図1における方法100のステップ102において選択される。図示された参照映像セグメントは、例えば、上述した作品のいずれかのような、任意のタイプの作品からの映像セグメントを含んでもよい。参照映像セグメントは、動作に従事している登場人物202を示す。登場人物202は、例えば、有名な俳優、有名人、スポーツ選手、その他の人物である。ユーザや他の実演者は、登場人物202の実演を真似たり模倣したりしたいものであり、また、映像セグメント内の自分自身を見たいものである。
【0035】
図2Aにおける一番目のフレームは、登場人物202が格闘技の対戦相手204と戦う準備をしていることを示す。登場人物202は対戦相手204に対して構えの姿勢であり、対戦相手204もまた格闘技の構えの姿勢である。図2Bにおいて、登場人物202は対戦相手204に対して前蹴りを繰り出す過程にある。登場人物の左足206が持ち上げられており、彼の重心は右足208に移動している。両腕210はバランスを取ることと、蹴りに力と速度を伝えるために動く。図2Cにおいて、登場人物202は、対戦相手204の顔212に左足206による前蹴りを繰り出している。登場人物の両腕210と右足208は、蹴りに最大の力と速度とを伝えるための正確な位置にある。登場人物の左足206は完璧な位置にあり、対戦相手204の顔214に届くのに充分な高さである。
【0036】
図3は、登場人物202の実演を模倣しようとする個々のユーザまたは実演者302の実演を例示する図である。実演者302の実演は、図1における方法100のステップ104に関連して利用される。実演者302は一般の個人であり、家庭においてお気に入りの映画やテレビのシーンの中の自分自身を見て楽しんでいる。この例では、実演者302は、上述の参照映像セグメントの蹴りのシーンを演じたり、模倣したり、あるいは再現したりしようとする。
【0037】
実演者302の実演は、カメラ330で撮影される。上述したように、カメラ300はいずれのタイプのカメラも含み、例えば、デジタルカメラ、ウェブカム(webcam)Zカメラ、または類似のカメラである。上述したように、カメラ330は、例えばエンタテインメントシステムやゲームコンソールのようなプロセッサベースのシステム332と接続されている。プロセッサベースのシステム332は、典型的にはディスプレイ334と接続されており、マイク336も含んでいる。ある実施の形態では、マイク336はカメラ330に統合されている。プロセッサベースのシステム332は、DVDやBlu-ray Disc(登録商標)、CD等の着脱可能な記録メディア338も含む。
【0038】
実演は、カメラ330の前で実演者302が実演するときに撮影される。ある実施の形態では、実演者302が実演している間、参照映像セグメントはディスプレイ334に表示される。このように、実演をしている間、実演者302は参照映像セグメントを見る。すなわち、実演者302はディスプレイ334上で登場人物202の実際の動作を見ることができ、これによって登場人物202の実演とより近くマッチまたは模倣する実演を、実演者302が遂行する助けとなりうる。ある実施の形態では、参照映像セグメントは、着脱可能な記録メディア338に格納されている一またはそれ以上のシーンから選択されたシーンである。
【0039】
図4A、図4B、および図4Cは、図3に示されている例示的な実演から撮影された代表的なフレームを示す図である。図4Aは、実演者302が構えの姿勢にあることを示し、図2Aにした登場人物202の構えの姿勢を真似ようとしていることを示す。図4Bは、左足306を上げている実演者302を示し、図2Bに示した登場人物202の前蹴りを繰り出す技術を真似ようとしていることを示す。はっきり分かるように、実演者302の左足306の膝は、登場人物202の左足206のようには伸びていない。その上さらに、実演者302の両腕310は適切にバランスを取ることに失敗し、結果としてぎこちない姿勢となっている。図4Cは、図2Cで示した登場人物202による対戦相手204の顔への蹴りを繰り出そうとしている実演者302を示す。はっきりと分かるように、実演者302の左足の足先は、対戦相手の顔に当てるのに十分な高さには遠く及ばない。
【0040】
図5A、図5B、および図5Cは、図1における方法100のステップ106に関連して生成される荒田は映像セグメントの代表フレームを示す。すなわち、新たな映像セグメント(図5A、図5B、および図5C)は、参照映像セグメント(図2A、図2B、および図2C)を表し、撮影された実演(図4A、図4B、および図4C)の少なくとも一部によって参照映像セグメントの一部が置き換えられている。上述したように、ある実施の形態では、新たな映像セグメントは図3に示すプロセッサベースのシステム332のようなプロセッサベースのシステムによって生成される。
【0041】
より具体的には、新たな映像セグメントは、参照映像セグメントからのほとんどの特徴を含む。しかしながら、注目すべきは、オリジナルの登場人物202は新たな映像セグメントでは演じていない。その代わり、登場人物202は実演者302に置き換えられている。すなわち、登場人物202が写っている参照映像セグメント(図2A、図2B、および図2C)の一部は、実演者302が写っている撮像された実演(図4A、図4B、および図4C)の一部で置き換えられている。
【0042】
図5Aにおいて、対戦相手204に対して構えの姿勢を取る実演者302が示されている。図5Bにおいて、左足306を上げて登場人物202の前蹴りを繰り出す技術を模倣し、真似ようとしている実演者302が示されている。これは図4Bに示されている実演者302と同じ姿勢であるが、今回は対戦相手204の目の前に実演者302が示されている。上述したように、実演者302の左足306の膝は、あるべき高さまで伸びていない。その上、実演者302の両腕310は適切にバランスを取ることに失敗し、結果としてぎこちない姿勢となっている。図5Cは、対戦相手204の顔212へ蹴りを繰り出そうとしている実演者302が示されている。しかしながら、新たな映像セグメントにおけるこのフレームにおいて、実演者302の左足306の足先は、対戦相手204の顔212に当てるのに十分な高さには遠く及ばないことがはっきりと見える。
【0043】
これまで記載した方法およびシステムを用いることにより、ユーザは新たな映像セグメントを見ることで自分自身の実演を見ることができ、次の試みを改善することができる。この例は、登場人物202の全身が、実演者302の全身で置き換えられることを含む。一方で、ある実施の形態では、新たな映像セグメントを生成するステップは、登場人物のほんの一部分が対応するユーザの部分で置き換えられることを含む。例えば、登場人物の顔、あるいはさらに登場人物の顔の一部が、ユーザの顔か、対応するユーザの顔の一部で置き換えられてもよい。
【0044】
上述した例はまた、格闘技の蹴りを模倣しようとするユーザを含んだが、当然のことながら、ユーザは他の多くの種類の実演を試みてもよい。例えば、演技者は会話を何度も練習し、それからユーザの会話を拾うマイク付きのカメラの前で演技してもよい。ある実施の形態では、プロセッサベースシステムに接続されているマイクで、実演で生じた音声を収録する。そのようなマイクの例は、図3におけるマイク336である。次いで、参照映像セグメント中のオリジナル音声の少なくとも一部が、対応する収録した音声の一部で置き換えられる。これにより、ユーザは自分自身の演技を見ることのみならず、お気に入りのシーンにおける会話を自分自身が話すところを聞くことができる。これにより、ユーザは上述の技術によってシーンに組み入れられた俳優や女優と並んで有名な会話を何度も練習することができる。
【0045】
図6を参照すると、本発明の別の実施の形態に関して実行される方法600が図示されている。方法600は、実演の「スコアリング」または評価に関して用いられる。すなわち、方法600は、参照映像セグメントにおける関連する部分とどの程度近くユーザまたは他の実演者が模倣ないし再現できたかを決定するために用いられる。
【0046】
具体的には、方法600は、カメラで実演が撮影されるステップ602から始まる。実演は、上述したいずれのタイプの実演を含んでもよい。例えば、実演は、ユーザによる実演を含んでもよい。実演は、上述した方法、あるいは他の方法で撮影される。ステップ604において、実演を表現する出力データをカメラから受け取る。出力データは任意のタイプのデータを含みうる。
【0047】
ステップ606において、出力データを処理して、実演における一つ以上の観点とそれと対応する参照実演における観点とを比較する。例として、参照実演は上述した作品または参照映像セグメント中のいずれの実演等、あらゆるタイプの実演を含みうる。例えば、参照実演は、登場人物による実演を含んでもよい。
【0048】
ある実施の形態では、実演における一つ以上の観点とそれと対応する参照実演における観点との比較は、ユーザによるジェスチャを登場人物によるジェスチャと比較することを含む。例えば、手の動き、足の動き、体の動き、顔の表情等が比較される。
【0049】
ある実施の形態では、実演における一つ以上の観点とそれと対応する参照実演における観点との比較は、音声の比較を含む。例えば、ユーザの実演によって発声された音声が、上述のように収録される。そして、収録された音声が参照実演によって生じた音声と比較される。
【0050】
最後に、ステップ608において、実演が参照実演とどれくらい密接にマッチしているかを示す指標が生成される。こうして、ステップ606における比較をもとに、実演者が利用することができる、実演者がどれくらいしっかりと参照映像セグメントを模倣することができたかを見るための指標が生成される。この指標は、実演をスコアリングまたは評価するために用いられる。例として、スコアリングは正確性、発声法、出だしの失敗(missed cues)の数等に基づく。すなわち、スコアリングは、どれくらい正確に実演者がオリジナルの登場人物(例えば俳優)の動きやジェスチャを再現できたかを測るために用いられる。ある実施の形態では、スコアリングは、実演者がオリジナルの登場人物と同じ抑揚、ピッチ、余韻(sustain)等で話せているか否かを決定することを含む。
【0051】
図7A、図7B、および図7Cは、それぞれ図5A、図5B、および図5Cに示される新たな映像セグメントの代表フレームを、図6におけるステップ608で生成された指標を付けて示している。すなわち、図7A、図7B、および図7Cは、実演者302の実演が、図2A、図2B、図2Cに示す参照映像セグメント中の登場人物202の実演とどれくらい近いかを示す指標を含む。
【0052】
具体的には、図7Aにおいて、対戦相手204に対して構えの姿勢を取る実演者302が示されている。図7Bにおいて、左足306を上げて登場人物202の前蹴りを繰り出す技術を模倣し、真似ようとしている実演者302が示されている。上述したように、実演者302の左足306の膝は、あるべき高さまで伸びていない。これを説明するために、破線706は、図2Bにおける登場人物202の姿勢とマッチするために実演者302の全身がどこに位置すべきかを示している。同様に、図7Cは、対戦相手204の顔212へ蹴りを繰り出そうとしている実演者302を示す。上述したことを再度述べるが、実演者302の左足306の足先は、対戦相手204の顔212に当てるのに十分な高さには遠く及ばない。これを説明するために、破線708は、図2Cにおける登場人物202の姿勢とマッチするために実演者302の全身がどこに位置すべきかを示している。
【0053】
このように、実演者302の実演が登場人物202の実演とどれくらい近いかを示すために生成された指標は、実演者302の実演のスコアリングまたは評価のために用いることができる。これにより、ユーザやプレイヤは、実演がお気に入りのシーンをより近く再現するように改良する助けとすることができる。
【0054】
ある実施の形態では、新たな映像セグメント中における撮影された実演の一部は、撮影された実演の一部が参照映像セグメント中の対応する部分とより近くマッチするように修正または訂正される。例えば、図8A、図8B、および図8Cは、それぞれ図7A、図7B、および図7Cに示す新たな映像セグメントの代表フレームを示す。具体的には、図8Aは対戦相手204に対して構えの姿勢を取る実演者302を示す。図8Bにおいて、新たな映像セグメントは、実演者302の体の姿勢が図2Bに示す登場人物202の体の姿勢と実質的にマッチするように修正されている。すなわち、実演者302の体は、図7Bの破線706の姿勢とマッチするように動かすことによって訂正されている。同様に、図8Cにおいて、新たな映像セグメントは、実演者302の体の姿勢が図2Cに示す登場人物202の体の姿勢と実質的にマッチするように修正されている。すなわち、実演者302の体は、図7Cの破線708の姿勢とマッチするように動かすことによって訂正されている。
【0055】
プレイヤの実演を訂正するために新たな映像セグメントを修正することができることにより、プレイヤは、お気に入りのシーン中で自身が完璧に演じているところを見ることができる。例えば、もしプレイヤの実演が70%のスコアを受け取ったとすると、100%のスコアの実演家のように見えるように実演を訂正することができる。これにより、プレイヤがそのシーンの中でどのように実演または演技をすべきだったかが示される。ある実施の形態では、プレイヤが70%のスコアを再現できるかどうかを見られるようにしてゲームをプレイすることができる。
【0056】
このような修正および訂正は、例えばプレイヤの手足、体の他の部分やプレイヤの顔のようなプレイヤの体の一部に対して適用される。例えば、プレイヤの唇は参照映像セグメントとより近くマッチするように調整および「小さな変更」がされてもよい。ある実施の形態では、日本国の東京にあるMotionPortrait, Inc(http://www.motionportrait.eom/e/参照)で用いられている技術が、このような修正や訂正を実装ないし実行を支援することができると考えられる。
【0057】
ある実施の形態では、実演者または他のユーザは、その人の実際の映像ではなく、その代わりとしてアバター(avatar)、キャラクタ、ある別の人物、およびその他類似のもの等によって表現される。さらに、ある実施の形態では、上述の方法および技術は実演者や他のユーザによるあるジェスチャを追跡するために用いられる。例えば、このシステムは実演者の動作を追跡し、例えば手や足の動き等の、ある動作を認識する。認識されたある動作に応じて、様々な応答がシステムによって実行される。例えば、ある実施の形態においては、このような認識されたジェスチャが、実演を他の人物、キャラクタ、またはアバター等にモーフィングするといったイベントを始動させる。一例としては、実演は漫画のキャラクタにモーフィングされる。あるいは、実演があるアバターで表現され、次いで別のアバターにモーフィングされる。
【0058】
ある実施の形態では、上述の方法および技術はオンライン環境に拡張される。これにより、プレイヤがお気に入りの映画/テレビのシーンをネットワークまたはオンラインコミュニティにおいて演じることができ、ネットワークまたはオンラインコミュニティ内の他者によって見られるオンラインゲームのようなオプションを提供することができる。プレイヤはネットワーク上の他のユーザによって評価されることさえもあり得るし、プレイヤは単に演技や実演を楽しむこともできる。ある実施の形態では、オンラインコンテンツは、プレイヤが視聴者ないし審判のために登場して実演する「リハーサル」(または「オーディション」)時間を設けた場所で開催される。実演をもとに、プレイヤはさらなる「オーディション」に進んでもよいし、場合によっては賞を受賞する。例えば、プレイヤはオンラインコミュニティのメンバによって「お気に入り」に選ばれることもある。
【0059】
オンラインのシナリオに関し、図9は本発明の別の実施の形態にしたがって実行される方法900を説明する図である。方法900は、実演に関して用いられるものであり、オンラインコミュニティに参照映像セグメントを表示するステップ902から始まる。すなわち、オンラインコミュニティにいる他のユーザが同じ参照映像セグメントを見ることができるように、参照映像セグメントが表示される。これは多くのユーザが、誰が最も上手に参照映像セグメントを模倣または真似るかを競い合うゲームやコンテストに有用である。
【0060】
ステップ904において、実演を撮影するカメラからデータが受け取られる。実演は、オンラインコミュニティのメンバ等のユーザによるものである。ユーザは参照映像セグメントの実演を真似または模倣しようとする。ある実施の形態では、カメラはユーザによって実行されているクライアント装置に接続されている。クライアント装置は、例えばエンタテインメントシステムやゲームコンソールのような、上述した任意のプロセッサベースのシステムを含む。カメラからのデータはプロセッサベースのシステムによって受け取られる。
【0061】
ステップ906において、参照映像セグメントを表し、撮影された実演の少なくとも一部によって参照映像セグメントの一部が置き換えられた新たな映像セグメントが生成される。このステップは実質的には上述したように実行される。例えば、参照映像セグメント内の登場人物は、実演しているユーザによって少なくとも部分的に置き換えられる。新たな映像セグメントは、上述したクライアント装置、サーバやオンラインコミュニティに付随するコンピュータ、他のコンピュータ、あるいはこれらの連携によって生成される。
【0062】
ステップ908において、オンラインコミュニティに新たな映像セグメントの表現が表示される。これにより、オンラインコミュニティ内の他のメンバやユーザがユーザの実演を見ることが可能となる。
【0063】
ステップ910において、撮影された実演(それは参照映像セグメント内の対応する部分を置換する)の一部に関するフィードバックがクライアント装置に提供される。ある実施の形態では、フィードバックは、オンラインコミュニティ内の他のユーザ、審判、コメンテータ等によって提供される。このようなフィードバックは、注釈、批評、講評、スコア、評価等が含まれる。ある実施の形態では、フィードバックは自動的または一部が自動的な手段によって生成される。例えば、フィードバックは図6におけるステップ608によって生成されるタイプの指標を含む。
【0064】
図10を参照し、本発明の実施の形態にしたがってオンラインのシナリオを実装するための例示的なシステム1000を示す。システム1000は、上述した一またはそれ以上の方法、教示、ないし技術を用いる。システム1000は、オンラインコミュニティ1002を含む。オンラインコミュニティの例としては、日本国の株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントによって開発されているPlayStation Home(商標または登録商標)が上げられる。
【0065】
図に示すように、ユーザ302によって使用されているプロセッサベースのシステム332はオンラインコミュニティ1002に接続されている。このシナリオでは、プロセッサベースのシステム332はクライアント装置として動作する。これにより、図5Bにおけるユーザ302によって作り出された新たな映像セグメントがオンラインコミュニティ1002内に表示されることが可能となる。
【0066】
さらなるユーザ1020および1040もまた、オンラインコミュニティ1000のメンバである。ユーザ1020はプロセッサベースのシステム1024に接続されているカメラ1022を利用できる。同様に、ユーザ1040はプロセッサベースのシステム1044に接続されているカメラ1042を利用できる。プロセッサベースのシステム1024と1044とは共に、オンラインコミュニティ1002に接続されている。
【0067】
ある実施の形態の実行中、それぞれ異なる実演を撮影する一またはそれ以上のカメラ1022、1042からデータを受け取る。それぞれが参照映像セグメントを表し、撮影された異なる実演の少なくとも一部によって参照映像セグメントの一部が置き換えられた映像セグメントが生成される。各映像セグメントの表現はオンラインコミュニティ内に表示される。さらに、それぞれ撮影された実演の一部に関連する各クライアント装置にフィードバックが供給される。
【0068】
例えば、ユーザ1020による実演が、プロセッサベースのシステム1024に接続されているカメラ1022によって撮影される。続いて、ユーザ1020によって作り出された新たな映像セグメントがオンラインコミュニティ1002内に表示される。新たな映像セグメントは1026で示されている。同様に、ユーザ1040による実演が、プロセッサベースのシステム1044に接続されているカメラ1042によって撮影される。続いて、ユーザ1040によって作り出された新たな映像セグメントがオンラインコミュニティ1002内に表示される。たな映像セグメントは1046で示されている。
【0069】
システム1000は多くの異なるタイプのゲーム、コンテンツ、活動等に利用される。例えば、ユーザ302、1020、および1040は、図2A、図2B、および図2Cに示されている参照映像セグメント中の登場人物202の蹴りを誰が最も上手に模倣ないし真似ることができるかを決めるべく競争する。ユーザ302、1020、および1040による実演は、オンラインコミュニティ1002内の他のユーザおよび/または審判のによって評価ないし判断される。すなわち、このような他のユーザおよび/または審判は3つの実演を全て見ることができ、かつ上述のようにフィードバックを生成することができる。ある実施の形態では、ユーザ302、1020、および1040による実演は、上述の自動的な手段によって評価ないし判断される。
【0070】
他のシナリオでは、システム1000は、他のオンラインプレイヤが視聴したり、判断したり、批評したりするための「オーディション」および有名なシーンにおける主要な役割を得るための競争のためにプレイヤによって利用される。これはプレイヤの実演を視聴する著名人の判断を含んでもよい。これにより、場合によってはプレイヤが見出されることにつながったり、少なくともプレイヤがスターになったような気がしたりすることにつながる。例えば、高価な設備や電子メイルを通じて資料を提出することなしに、プレイヤ自身のリビングルームにおいて、プレイヤは実際の役を得るために競争したり、有名な映画やリアリティーテレビ番組(reality show)のオーディションを争ったりすることができる。これは全てがオンラインで送信できるからである。システム1000は、実際にオンエアされるスポット放送にコンテストの機会への参加申し込みを提出することにも利用されてもよい。あるいは、システム1000はオーディションや実演を単に記録して、他者の楽しみやコメント用にオンラインに投稿するために用いられてもよい。さらに、システム1000は、将来のコンテンツのために新しいシーンや台詞をオンラインストアからダウンロードするユーザに利用されてもよい。
【0071】
ある実施の形態では、上述の方法や技術はいくつものミニゲームを実装するために利用される。例えば、プレイヤは様々なテレビのパーソナリティや専門家を「演じる」または「実際に演じる」ことができる。プレイヤは楽しみながら興味ある専門分野における技能を磨く機会を得ることができる。これらのミニゲームは、プレイヤがカメラの前で「誇張した演技」をし、楽しむことができる愉快な「パーティゲーム」をも提供する。ミニゲームが基づいているテレビのパーソナリティや専門家の手本は以下のものを含む。すなわち、有名なゴシップを紹介している芸能ニュースのリポーター、ミュージックビデオ、映画の予告等、テレビニュースのキャスター、テレビの気象学者、テレビの交通リポーター、テレビ記者、テレビのスポーツコメンテイター(有名なスポーツシーンを含むことができる)、サタデーナイトライブ(Saturday Night Live)の司会者(オープニングの独白)、テレビの深夜番組の司会者(オープニングの独白)、テレビ宣教師、およびテレビのインフォマーシャル(奇妙な商品の販売活動で、プレイヤがピッチおよび商品の説明に追いつかなくてはならない)である。他の例は、ビジネスプレゼンテーションのシナリオを含む。すなわち、難しい表情をしてスーツを着て机に付き、プレイヤを見ている人々によって、広い重役用会議室が埋められている。プレイヤは(例えばカメラを経由して)人々の前に立ち、スピーチをしたりおかしな独白をしたりする。このシナリオは、実生活の「大きな」プレゼンテーションに場慣れするというビジネス界の人々にとって実際的な用途にでさえ利用しうる。
【0072】
ある実施の形態では、システム1000は「ビデオブログ」を作成するために利用する。例えば、そのようなブログはオンラインコミュニティのメンバによって作成される。ユーザはアカウントを作成し、与えられた舞台のテンプレートを用いる。このようなテンプレートは異なる個性や雰囲気を作り出す。例えば、スポーツのファンは、オンラインコミュニティや友人等に投稿する短時間の「ビデオブログ」は、どのような内容を配信したいのであっても、スポーツ関連の背景や画像等を表すテンプレートを使うであろう。テンプレートは、例えばオンラインコミュニティからダウンロードできてもよい。プレイヤは、他者がビデオを見ることができる自分自身のオンラインコミュニティのアパートメントに、ビデオを投稿してもよい。
【0073】
このように、上述の方法および技術によって、プレイヤ、実演者、または他のユーザは演技し、実演し、または単に有名なシーンの中に登場することができる。ユーザはそのシーンを保存して友人や家族と共有したり、オンラインに投稿したりする。上述の方法および技術は、エンタテインメントシステムやゲームコンソールのようなプロセッサベースのシステムを、個人的なメッセージや独自なスタイル、自分が誰であるかを配信するために利用する機会をプレイヤに提供する。これはオンラインデートのような活動に有用である。
【0074】
ある実施の形態では、上述の方法および技術はブルースクリーンテクノロジーを用いて実装される。すなわち、プレイヤはブルースクリーンをつるしてその前に立ち、様々なシーンを演じたり実演したりする。ブルースクリーンは上述の方法および技術を実装するためのソフトウェアおよび/またはシステムのオブションとして含まれていてもよい。しかしながら、そのようなブルースクリーンテクノロジーは必須ではない。ブルースクリーンテクノロジーを用いずに上述の方法および技術を実装するために、上述のZカメラを利用することができると考えられる。
【0075】
ある実施の形態では、ビデオの「撮影備品(props)」が用いられる。例えば、システムは白い手袋を認識するように構成される。これにより、プレイヤがスクリーン上の、例えば銃やコーヒーカップ等の撮影備品を「掴む」ことができるようになる。
【0076】
本明細書に記載されている方法および技術は、利用され、実装され、および/または多くの異なるタイプのシステム上で実行される。図11を参照すると、そのような任意の実装にも用いられるシステム1100が示されている。例えば上述のコンソール、ゲームコンソール、エンタテインメントシステム、プロセッサベースのシステム等の、上述のいずれのシステムまたは装置を実装するために、一またはそれ以上のシステム1100の構成要素が用いられる。しかしながら、システム1100を利用すること、またはシステム1100の一部分を利用することは必須ではない。
【0077】
例として、システム1100は、CPU(central processing unit)1102、GPU(graphics processing unit)1104、RAM(random access memory)1108、およびディスクドライブのような大容量ストレージユニット(mass storage unit)を含んでもよいが、含むことは必須ではない。システム1100は、図3におけるカメラ330、図10におけるディスプレイ334、マイク336、および/またはオンラインコミュニティ1002のような本明細書に記載した構成要素と接続されているか、または一体となっている。システム1100はプロセッサベースのシステムの例を含んでいる。CPU1102および/またはGPU1104は、本明細書に記載されている方法および技術のステップ、および様々なプログラム、画像、アバター、プレゼンテーション、コミュニティ、およびインタフェースをディスプレイに表示することを実行あるいは実行を支援するために用いられてもよい。
【0078】
大容量ストレージユニット1110は任意のタイプのコンピュータに読み込み可能なストレージや記録媒体を含む。コンピュータに読み込み可能なストレージや記録媒体は大容量ストレージユニット1110内に固定されているか、あるいは大容量ストレージユニット1110は、DVD(digital video disk)、Blu-ray disc(登録商標)、CD(compact disk)、USBストレージ、フロッピーディスク(登録商標)、または他のメディアのような着脱可能なストレージ1114をオプションとして含んでもよい。例えば、大容量ストレージユニット1110は、ディスクドライブ、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ装置、USBストレージ装置、Blu-ray disc(登録商標)ドライブ、DVDドライブ、CDドライブ、フロッピーディスクドライブ(登録商標)等を含む。大容量ストレージユニット1110または着脱可能なストレージ1114は、本明細書に記載された方法および技術を実装するコンピュータプログラムコートを格納するために用いられてもよい。
【0079】
したがって、着脱可能なストレージ1114は、大容量ストレージユニット1110のオブションとして利用されうる。着脱可能なストレージ1114は、上述の新たな映像セグメントの作成、実演の比較、スコアリング、および訂正をするため、さらにオンラインの作品を実装するためのコード等の、本明細書に記載されている方法および技術を実装するコードを格納するために用いられる。しかしながら、例えばRAM1108や大容量ストレージユニット1110のようないずれのストレージ装置も、そのようなコードを格納するために用いられてもよい。例えば、このような任意のストレージ装置は、コンソール、システム、コンピュータ、あるいは他のプロセッサベースのシステムに本明細書に記載されている方法、コード、および/または技術の任意のステップを実行ないし遂行させるコンピュータプログラムとして具体化するための有形のコンピュータストレージとして機能する。さらに、RAM1108や大容量ストレージユニット1110のような任意のストレージ装置は、任意の必要とされるデータベースを格納するために用いられてもよい。
【0080】
ある実施の形態では、上述した一またはそれ以上の実施の形態、方法、やり方、および/または技術がプロセッサベースのシステムによって実行されるコンピュータプログラムで実装されてもよい。例としては、そのようなプロセッサベースのシステムは、プロセッサベースのシステム1100、またはコンピュータ、エンタテインメントシステム、ゲームコンソール等が含まれてもよい。このようなコンピュータプログラムは上述した方法および/または技術における様々なステップおよび/または特徴を実行するために用いられる。すなわち、コンピュータプログラムは、プロセッサベースのシステムに上述の機能を実行および達成させるよう構成されている。例えば、そのようなコンピュータプログラムは、実演の撮影、新たな映像セグメントの生成、実演の観点の比較、フィードバックの生成等をする上述の任意の実施の形態を実装するために用いられる。他の例としては、そのようなコンピュータプログラムは、上述した実施の形態、方法、やり方、および/または技術の任意の一またはそれ以上を使用する任意のツールやユーティリティを実装するために用いられる。ある実施の形態では、コンピュータプログラムは、ビデオゲーム、RPG(role-playing game)、あるいは他のコンピュータシミュレーションを含む。ある実施の形態では、コンピュータプログラム内のプログラムコードモジュール、ループ、サブルーティン等は、上述の方法および/または技術の様々なステップおよび/または特徴を実行するために用いられる。ある実施の形態では、コンピュータプログラムは、例えば本明細書に記載されている任意のコンピュータに読み込み可能なストレージや記録媒体等のコンピュータに読み込み可能なストレージや記録媒体に格納される。
【0081】
したがって、ある実施の形態では、本発明はプロセッサベースのシステムにステップを実行させるプログラムを格納する記録媒体を提供する。ここで前記プログラムは、参照映像セグメントの選択を受け取る受信ステップと、実演をカメラで撮影するステップと、前記参照映像セグメントを表し、前記撮影された実演の少なくとも一部によって前記参照映像セグメントの一部が置き換えられた新たな映像セグメントを生成する生成ステップと、前記新たな映像セグメントをディスプレイに表示するステップとを実行させ、前記カメラおよび前記ディスプレイは、前記受信ステップおよび前記生成ステップを実行する前記プロセッサベースのシステムに接続している。
【0082】
別の例として、ある実施の形態では、本発明はオンラインコミュニティに参照映像セグメントを表示するステップと、クライアント装置に接続されている、実演を撮影するカメラからデータを受け取るステップと、前記参照映像セグメントを表し、撮影された前記実演の少なくとも一部によって前記参照映像セグメントの一部が置き換えられた新たな映像セグメントを生成する生成ステップと、オンラインコミュニティに新たな映像セグメントの表現を表示するステップと、撮影された前記実演の一部分に関するフィードバックを前記クライアント装置に提供するステップと、をプロセッサベースのシステムに実行させるプログラムを格納した記録媒体を提供する。
【0083】
別の例として、ある実施の形態では、本発明は実演をカメラで撮影するステップと、前記実演を表現する出力データを前記カメラから受け取るステップと、前記出力データを処理して、実演における一つ以上の観点とそれと対応する参照実演における観点とを比較するステップと、実演が参照実演とどれくらい密接にマッチしているかを示す指標を生成するステップと、をプロセッサベースのシステムに実行させるプログラムを格納した記録媒体を提供する。
【0084】
本明細書において本発明を具体的な実施の形態およびその適用を使って記載されているが、請求項に記載されている本発明の範囲を離れることなく、当業者によって多数の修正および変形されることが可能であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサベースのシステムにステップを実行させるプログラムを格納する記録媒体であって、前記プログラムは、
参照映像セグメントの選択を受け取る受信ステップと、
実演をカメラで撮影するステップと、
前記参照映像セグメントを表し、前記撮影された実演の少なくとも一部によって前記参照映像セグメントの一部が置き換えられた新たな映像セグメントを生成する生成ステップと、
前記新たな映像セグメントをディスプレイに表示するステップとを実行させ、
前記カメラおよび前記ディスプレイは、前記受信ステップおよび前記生成ステップを実行する前記プロセッサベースのシステムに接続していることを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
前記プロセッサベースのシステムに接続されているマイクで実演によって生じた音声を収録するステップと、
前記参照映像セグメント中のオリジナル音声の少なくとも一部を、対応する前記収録された音声によって置き換えるステップと、
を前記プロセッサベースのシステムにさらに実行させるプログラムを格納した請求項1に記載の記録媒体。
【請求項3】
前記参照映像セグメントは少なくとも一人の登場人物を含み、
前記実演はユーザによる実演を含み、
前記新たな映像セグメントを生成するステップは、前記登場人物の少なくとも一部を対応する前記ユーザの一部と置き換えることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項4】
前記参照映像セグメントは、既に公開されている映画、テレビ番組、テレビ放送、ビデオゲーム、スポーツイベント、およびミュージックビデオのうちのひとつを含む作品からの映像セグメントを含み、
前記作品からの映像セグメント中のカメラ視野は、前記参照映像セグメントにおいて修正されていることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項5】
オンラインコミュニティに参照映像セグメントを表示するステップと、
クライアント装置に接続されている、実演を撮影するカメラからデータを受け取るステップと、
前記参照映像セグメントを表し、撮影された前記実演の少なくとも一部によって前記参照映像セグメントの一部が置き換えられた新たな映像セグメントを生成する生成ステップと、
オンラインコミュニティに新たな映像セグメントの表現を表示するステップと、
撮影された前記実演の一部分に関するフィードバックを前記クライアント装置に提供するステップと、
をプロセッサベースのシステムに実行させるプログラムを格納した記録媒体。
【請求項6】
それぞれが異なるクライアント装置に接続され、それぞれが異なる実演を撮影するカメラからデータを受け取るステップと、
それぞれが前記参照映像セグメントを表し、撮影された前記異なる実演の少なくとも一部によって前記参照映像セグメントの一部が置き換えられた映像セグメントを生成する生成ステップと、
オンラインコミュニティに映像セグメントの表現それぞれを表示するステップと、
撮影されたそれぞれの実演の一部分に関するフィードバックを、対応するそれぞれのクライアント装置に提供するステップと、
を前記プロセッサベースのシステムにさらに実行させるプログラムを格納した請求項5に記載の記録媒体。
【請求項7】
実演をカメラで撮影するステップと、
前記実演を表現する出力データを前記カメラから受け取るステップと、
前記出力データを処理して、実演における一つ以上の観点とそれと対応する参照実演における観点とを比較するステップと、
実演が参照実演とどれくらい密接にマッチしているかを示す指標を生成するステップと、
をプロセッサベースのシステムに実行させるプログラムを格納した記録媒体。
【請求項8】
前記実演はユーザによる実演を含み、
前記参照実演は登場人物による実演を含み、
実演における一つ以上の観点とそれと対応する参照実演における観点との比較は、前記ユーザによるジェスチャを前記登場人物によるジェスチャと比較することを含むことを特徴とする請求項7に記載の記録媒体。
【請求項9】
前記実演によって生じた音声を収録するステップとを含み、
実演における一つ以上の観点とそれと対応する参照実演における観点との比較は、収録した前記音声を前記参照実演によって生じた音声と比較することを含むことを前記プロセッサベースのシステムにさらに実行させるプログラムを格納した請求項7に記載の記録媒体。
【請求項10】
前記参照実演を表し、前記撮影された実演の少なくとも一部によって前記参照映像セグメントの一部が置き換えられた新たな映像セグメントを生成する生成ステップと、
前記撮影された実演の一部分が対応する参照実演の一部分により密接にマッチするように、前記新たな映像セグメントにおける前記撮影された映像の一部分を修正するステップと、
を前記プロセッサベースのシステムにさらに実行させるプログラムを格納した請求項7に記載の記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図7C】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2011−512054(P2011−512054A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539638(P2010−539638)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/086469
【国際公開番号】WO2009/082632
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(500551079)ソニー コンピュータ エンタテインメント アメリカ リミテッド ライアビリテイ カンパニー (95)
【Fターム(参考)】