説明

横形製袋充填機における物品供給装置

【課題】饅頭等の軟質で表面が損傷し易い物品であっても、物品を損傷したり変形することなく製袋手段で成形されるフィルムの収容領域の幅中央に向けて供給する。
【解決手段】ベルトコンベヤ12が配設された移動フレーム28は、機枠26に対して上流側で回動軸30を介して水平回動可能に支持される。機枠26に配設した調節モータ36で作動される調節機構38が移動フレーム28に連繋される。ベルトコンベヤ12の搬送終端近傍に、ベルトコンベヤ12で搬送される物品10の左右方向の載置位置を検出する第1センサ42が配設される。制御手段は、ベルトコンベヤ12の基準位置に対する現在の回動角度と、第1センサ42で検出された物品10の載置位置との関係から調節モータ36を駆動制御し、ベルトコンベヤ12の搬送終端を、物品10を筒状フィルムFの収容領域の幅中央に送り込む位置に向けて変位させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横形製袋充填機において製袋手段で成形されたフィルムに向けて物品を供給する物品供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原反ロールから引き出された帯状フィルムを製袋手段で成形すると共に、成形したフィルム中に物品を充填した後、該フィルムに縦シールおよび横シールを施して包装品を得る横形製袋充填機では、中空成形されたフィルム中の収容領域の幅中央に物品を供給することが求められ、そのために物品を搬送方向に沿う中心ラインに整列するための各種の提案がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1では、製袋器入口直前に配置した位置決めコンベヤの両側に、搬送中心ラインに向けて傾斜する傾斜面を有するサイドベルトを配置し、該サイドベルトを位置決めコンベヤと同期して駆動することで、両サイドベルトの間を通過する物品が搬送中心ラインに整列して移動するよう構成されている。また特許文献2では、製袋器の上流側において帯状の包装紙が載置搬送される搬送面を表示手段で構成し、包装紙上における物品を載置すべき位置を表示手段で表示することで、作業者が包装紙上の適正な位置に物品を載置し得るよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7−67922号公報
【特許文献2】特許第3738093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の供給装置では、粘着性を有していたり、軟質で表面が損傷し易い、例えば饅頭やケーキ等の菓子類の如き物品を供給する場合においては、搬送中心ラインからズレて搬送される物品をコンベヤ上で滑らせて搬送中心ラインに向けて強制的に移動すると、コンベヤ表面との摩擦抵抗に起因して物品底面が剥がれたり物品自体が変形してしまい、商品価値が低下したり不良品となってしまう問題が指摘される。
【0006】
また、特許文献2のように作業者が物品を包装紙上に直接載置する構成では、生産性を向上するべく処理速度を高めると、表示手段で表示される載置位置に対して作業者は物品を余裕を持って載置することができなくなり、載置位置に対して物品がズレて載置されてしまい易く、処理速度を向上させるには限界があった。特に、フィルムに付着してしまうような粘着性を有している前記饅頭やケーキ等の菓子類の如き物品の場合では、包装紙上の適正な載置位置に対して物品が左右方向にズレて載置されてしまうと、下流側の製袋器でフィルムの両側が立ち上げられる際に物品が滑べって移動することなくフィルムによって一側が持ち上がってしまい、該物品が変形したり破損してしまう等の問題を招くおそれがある。
【0007】
すなわち本発明は、従来の技術に係る物品供給装置に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、例えば饅頭やケーキ等の軟質で表面が損傷し易い物品であっても、該物品を損傷したり変形することなく製袋手段で成形されるフィルムの収容領域の幅中央に向けて供給し得る横形製袋充填機における物品供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本発明に係る横形製袋充填機における物品供給装置は、
製袋手段で成形されたフィルム中に物品を供給する横形製袋充填機における物品供給装置であって、
前記製袋手段に向けて物品を所定間隔毎に載置して搬送し、上流側を支点として搬送終端を左右方向に変位するよう駆動機構によって回動するベルトコンベヤと、
前記ベルトコンベヤで搬送される物品の左右方向の載置位置を検出する第1センサとを備え、
前記第1センサで検出された際の物品の載置位置に基づき、該物品を前記フィルムの収容領域の幅中央に送り込み可能な位置に向けて前記搬送終端を左右方向に変位するように、前記ベルトコンベヤを回動するよう前記駆動機構を駆動制御する構成としたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明では、前記第1センサによって検出された際の物品の載置位置が、前記フィルムの収容領域の幅と物品の幅との差より小さい幅単位で左右方向に区画された複数の区画領域の何れにあるか特定し、夫々の区画領域の幅に対応した前記搬送終端の幅単位で前記ベルトコンベヤを回動するよう前記駆動機構を駆動制御する構成としたことを要旨とする。
【0010】
請求項3に係る発明では、前記駆動機構はモータを備え、該モータによって前記ベルトコンベヤを回動する構成としたことを要旨とする。
【0011】
請求項4に係る発明では、前記第1センサによる検出位置より上流側に、前記ベルトコンベヤの左右方向両側における許容ラインから左右外側に外れて載置された物品を検知する第2センサを備え、該第2センサによる物品検知に基づいてベルトコンベヤを停止する構成としたことを要旨とする。
【0012】
請求項5に係る発明では、前記ベルトコンベヤは、第1ベルトコンベヤと、該第1ベルトコンベヤの下流側に接続された第2ベルトコンベヤとから構成され、第2ベルトコンベヤの搬送速度を、第1ベルトコンベヤの搬送速度より高速で、かつ前記製袋手段で成形されるフィルムの搬送速度と同じ速度に設定したことを要旨とする。
【0013】
請求項6に係る発明では、前記ベルトコンベヤで搬送される物品を検知する第3センサを備え、該第3センサによる検知物品とフィルムの位置合わせを行なうようにフィルムの搬送動作を駆動制御する構成としたことを要旨とする。
【0014】
請求項7に係る発明では、前記第3センサで物品を検知したタイミングで、前記第1センサが物品の載置位置を検出する構成としたことを要旨とする。
【0015】
請求項8に係る発明では、前記製袋手段に上方から供給されるフィルムの長手方向の両端縁を、製袋手段の下方で重合するよう構成し、前記製袋手段の下方に形成された空所に、前記ベルトコンベヤから受け渡された物品をフィルム中に供給する渡りコンベヤを配置し、該渡りコンベヤは、搬送速度が前記製袋手段で成形されるフィルムの搬送速度と同じ速度にされると共にフィルムの搬送動作と連動して走行する構成としたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、製袋手段で成形されるフィルムの収容領域の幅中央からズレて搬送される物品を、例えばベルトコンベヤ上で摺動させたり、物品底面が剥がれたりすることなく、フィルムの収容領域の幅中央に向けて供給することができるので、饅頭やケーキ等のように粘着性があったり、軟質で表面が損傷し易い性状の物品であっても損傷したり変形することなくフィルム中の適正位置に供給し得る。また、ベルトコンベヤは、上流側を支点に回動することで搬送終端が左右方向に変位するので、ベルトコンベヤの支点側である上流側における左右方向への変位は僅かである。このため、ベルトコンベヤの上流側で作業者が物品を載置する際には、フィルムの収容領域の幅中央に向けて物品を搬送し得る適正な位置に円滑に載置することができる。
請求項2に係る発明によれば、ベルトコンベヤを、夫々の区画領域の幅に応じた搬送終端の幅単位で回動するので、物品をフィルムの収容領域の幅中央に向けて供給するための演算処理が簡素になり、制御負荷を小さくし得る。
請求項3に係る発明によれば、ベルトコンベヤをモータで滑らかに回動し得るので、ベルトコンベヤの回動に際して物品がベルトコンベヤ上で位置ズレする等の要因となり得る慣性力を小さくすることができる。
請求項4に係る発明によれば、ベルトコンベヤに載置された物品の中で、ベルトコンベヤを回動してもフィルムの収容領域の幅中央に送り込むことができない可能性がある物品を、ベルトコンベヤを停止して、位置の修正をしたり除去し得るので、損傷したり変形し易い物品であっても、該物品の損傷や変形を未然に防ぐことができる。
請求項5に係る発明によれば、第1ベルトコンベヤに物品を間隔を詰めて載置する際にも第1ベルトコンベヤから第2ベルトコンベヤに物品を渡す際に物品間隔を広げることができ、また、第2ベルトコンベヤの物品をフィルム搬送速度と同じ速度でフィルム中に送り込むことができるので、物品とフィルムとの速度差に起因する物品の底面の破損を防ぐことができると共に、フィルムに対して物品間隔を維持しつつ、個々の物品を安定して供給し得る。従って、連続包装が可能になる。
請求項6に係る発明によれば、第3センサによる検知物品とフィルムとの位置合わせを行なうようにフィルムの搬送動作を駆動制御することで、フィルムに対して物品の送り込み間隔を常に一定にして適正な位置に送り込むことができる。
請求項7に係る発明によれば、フィルムの搬送動作を駆動制御するための第3センサを、第1センサによる物品の載置位置を検出するタイミングを得るためのセンサとして兼用するようにしたので、センサ数を低減し得る。
請求項8に係る発明によれば、渡りコンベヤで搬送される物品をフィルム搬送速度と同じ速度でフィルム中に送り込むことができるので、物品とフィルムとの速度差に起因する物品の底面の破損を防ぐことができ、フィルムに対して個々の物品を安定して供給し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例に係る物品供給装置を示す概略正面図である。
【図2】実施例に係る物品供給装置を示す概略平面図である。
【図3】実施例に係る物品供給装置の要部縦断側面図である。
【図4】実施例に係る物品供給装置の主要な制御ブロック図である。
【図5】実施例に係る第1センサで検出される物品とベルトコンベヤとの関係を示す説明図であって、物品の中心位置が搬送中心ラインに一致している状態を示す。
【図6】実施例に係る第1センサで検出される物品とベルトコンベヤとの関係を示す説明図であって、物品の中心位置が搬送中心ラインからズレている状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る横形製袋充填機における物品供給装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例】
【0019】
図1および図2は、実施例に係る横形製袋充填機(以下、包装機と称す)における物品供給装置の概略構成を示すものであって、物品供給装置は、タイトな包装が要求される饅頭等の生和菓子類等の如く粘着性を有していたり軟質で表面が損傷し易い物品10を1列で載置して搬送する供給コンベヤ11を備える。供給コンベヤ11は、機枠26に配設した複数のローラに無端ベルトを巻掛けたベルトコンベヤ12と、該ベルトコンベヤ12を走行する駆動機構等から構成される。ベルトコンベヤ12の下流側に、渡りコンベヤ14が直列に接続される。そして、物品10は、この渡りコンベヤ14を経てフィルム供給源53からフィルム送りモータ48によって駆動される繰出手段54やフィルム送りローラ50等からなるフィルム搬送手段によって引き出されて製袋手段16により筒状に成形されたフィルム(筒状フィルム)F中に、所定間隔毎に供給される。包装機では、製袋手段16に上方から供給されるフィルムFの長手方向の両端縁が、該製袋手段16の下方で重合されて縦シール手段(図示せず)により縦シールが施されると共に、筒状フィルムFにおける物品10を挟む前後位置に横シール手段(図示せず)より横シール・切断が施されてピロー包装品が得られる。
【0020】
前記ベルトコンベヤ12は、第1駆動モータ18で無端ベルトを循環走行する第1ベルトコンベヤ20の下流側に、第2駆動モータ22で無端ベルトを循環走行する第2ベルトコンベヤ24を直列に接続して構成される。第2ベルトコンベヤ24の搬送速度は、第1ベルトコンベヤ20の搬送速度より高速で、かつ前記製袋手段16で成形された筒状フィルムFの搬送速度と同じ速度に設定され、第1ベルトコンベヤ20から第2ベルトコンベヤ24に送り込まれた各物品10は、その前後間隔が相互に離間して下流側に搬送されるよう構成される。なお、第2ベルトコンベヤ24の搬送速度と筒状フィルムFの搬送速度とは、同速に限らず物品10が受け渡される際に物品底面の破損を生ずるおそれのない略同速であってもよい。
【0021】
物品供給装置の機枠26に、前記ベルトコンベヤ12を配設した移動フレーム28が、ベルトコンベヤ12の上流側に設けた垂直な回動軸30を介して水平回動可能に支持され、また、ベルトコンベヤ12の下流側終端となる搬送終端の下方近傍の移動フレーム28には、図3に示す如く、機枠26に水平に配設した支持板32を上下で挟む一対のローラ34,34が左右方向に離間して2組配設されている。このため、ベルトコンベヤ12の搬送終端は支持板32に沿って左右方向に移動可能に支持される。なお、移動フレーム28には、前記第1および第2駆動モータ18,22が配設され、両モータ18,22は移動フレーム28と一体で水平回動するよう構成される。また、物品供給装置に対して作業者は、ベルトコンベヤ12における上流側で回動軸30での支持位置に近接して設定された作業ステーションSにおいて、前記第1ベルトコンベヤ20の無端ベルト上に物品10を載置するようになっている。
【0022】
前記機枠26には、図1に示す如く、前記支持板32に近接してサーボモータ等の調節モータ(モータ)36が配設され、該調節モータ36により作動される調節機構38が移動フレーム28に連繋されている。すなわち、調節モータ36で調節機構38を作動することで、機枠26に対して移動フレーム28に配設したベルトコンベヤ12が、回動軸30を支点として搬送終端が左右方向に変位するよう回動される。調節モータ36にはエンコーダ40が付設され、ベルトコンベヤ12の基準位置に対する回動角度を検出するよう設定される。実施例では、回動軸30の中心線と交差するベルトコンベヤ12における搬送方向の中心ライン(以後、搬送中心ラインという)L1の延長上に、前記製袋手段16で成形される筒状フィルムFの収容領域の幅中央に対応する製袋手段16におけるフィルム搬送方向の中心ライン(以後、フィルム搬送中心ラインという)L2が重なり一列に並ぶ位置が、ベルトコンベヤ12の基準位置とされる(図5参照)。なお、前記調節機構38としては、調節モータ36により偏心回転するフォロワと、移動フレーム28に配設された調節板に形成されてフォロワが臨む長孔とからなるカム機構が採用される。また実施例では、調節モータ36と調節機構38とから駆動機構が構成される。
【0023】
前記移動フレーム28には、図2に示す如く、ベルトコンベヤ12の側方に、該ベルトコンベヤ12に対する物品10の搬送方向と交差する左右方向の載置位置を検出する第1センサ42が配設される。第1センサ42は、レーザー光を物品10に対して照射し、その反射光の受光レベルによって物品10との距離を測定可能な変位センサが採用される。また移動フレーム28には、前記第1ベルトコンベヤ20における搬送途中に、ベルトコンベヤ12の搬送中心ラインL1を挟む左右方向両側に設定された許容ラインL3,L3から左右外側に外れて載置された物品10を検知する2つの第2センサ44が、搬送中心ラインL1を挟んで左右方向に離間して配設される。ちなみに、許容ラインL3は、ベルトコンベヤ12に載置された物品10の中で、ベルトコンベヤ12を回動しても筒状フィルムFの収容領域の幅中央に送り込むことができない可能性がある量だけ搬送中心ラインL1からズレた位置に設定される。更に、前記機枠26には、前記第1センサ42の検出位置より下流側に、ベルトコンベヤ12で搬送される物品10を検知する第3センサ46が配設される。
【0024】
前記渡りコンベヤ14は、前記第2ベルトコンベヤ24の下流側に接続され、図2に示す如く、前記製袋手段16における底部に形成されたフィルムの折り返し案内部とベルトコンベヤ12との間に形成される空所(下部空間)に対応して配置され、繰出手段54を駆動するフィルム送りモータ48からベルトを介して駆動を得ることによって駆動される。渡りコンベヤ14は、繰出手段54(フィルム搬送手段)と同期して駆動されると共に、該繰出手段54で搬送されるフィルムの搬送速度と同じ速度で物品10を搬送するよう設定される。なお、繰出手段54は、前記第3センサ46で検知された物品10が前記筒状フィルムF中へ送り込まれるタイミングについて規定タイミングとの差がある場合は、その差分に応じてフィルム搬送速度を加速または減速するよう変速し、渡りコンベヤ14および横シール手段等の包装機におけるその他の各種作動機構がそのフィルム搬送速度の変化に同調するよう駆動制御される。また、渡りコンベヤ14、繰出手段54および横シール手段は、制御手段52に設けたクロックパルスジェネレータから生ずるクロックパルスを基準として同期が図られる。
【0025】
前記制御手段52には、図4に示す如く、前記第1ベルトコンベヤ20と第2ベルトコンベヤ24および渡りコンベヤ14とを駆動する各モータ18,22,48や、調節モータ36および縦シール手段や横シール手段の各制御モータ等が接続され、またベルトコンベヤ12に対応して配設された第1センサ42で検出された物品10の載置位置に関する検出信号が入力されるように接続されると共に、第2および第3センサ44,46により検知された物品10の検知信号が入力されるように接続されている。そして、第1センサ42の検出信号、第2および第3センサ44,46の検知信号に基づいて、第1ベルトコンベヤ20と第2ベルトコンベヤ24と渡りコンベヤ14との各モータ18,22,48並びに調節モータ36および横シール手段の各制御モータとの夫々を制御手段52により駆動制御するよう構成される。
【0026】
前記制御手段52では、第1センサ42で検出された前記ベルトコンベヤ12における物品10の載置領域が、前記筒状フィルムFの収容領域の幅と物品10の幅との差より小さい幅単位で複数に区画設定されており、該制御手段52は、前記第1センサ42によって検出された物品10が位置する区画領域を特定する。そして、該特定した区画領域に位置する物品10を、筒状フィルムFの収容領域の幅中央に送り込むように、夫々の区画領域の幅に対応したベルトコンベヤ12の搬送終端の幅単位でベルトコンベヤ12を回動するように、制御手段52で調節モータ36を駆動制御するよう構成される。なお、区画領域の幅に対応した搬送終端の幅単位とは、ベルトコンベヤ12が回動軸30を中心に回動するため、第1センサ42の検出位置における移動距離より搬送終端における移動距離の方が長くなることを意味する。
【0027】
初期設定において、図5,図6に示す如く、搬送中心ラインL1と第1センサ42との間における物品10の載置領域に、ラインA〜Jで区画された9つの区画領域が設定され、物品10の中心位置Cが搬送中心ラインL1上に置かれて、該物品10における第1センサ42側の側端が、9区画領域のうちの真中であるラインE−F間の区画領域の中間に位置するように運転開始前に設定され、またベルトコンベヤ12が基準位置に位置決めされる。
【0028】
前記第1ベルトコンベヤ20における上流側に設定された作業ステーションSにおいて、作業者によって該第1ベルトコンベヤ20の搬送中心ラインL1上に一列に間隔を詰めて載置された各物品10は、第2ベルトコンベヤ24と第1ベルトコンベヤ20との速度差によって所要間隔毎に離間して第2ベルトコンベヤ24で搬送される。このため、第2ベルトコンベヤ24から前後の物品10,10の間隔が詰まったまま前記渡りコンベヤ14に物品10が受け渡されるのを防止することができ、包装作業を中断することなく個々の物品10を連続包装することができる。
【0029】
物品10が前記第1ベルトコンベヤ20から第2ベルトコンベヤ24に受け渡されるまでの間で、搬送中心ラインL1を挟む左右両側に設定された許容ラインL3,L3から左右外側に外れている物品10が前記第2センサ44,44で検知された場合は、前記制御手段52は第1ベルトコンベヤ20および第2ベルトコンベヤ24を停止するよう駆動モータ18,22を停止制御する。この場合は、作業者が検知対象となっている物品10の位置を修正した後、運転スイッチを操作してベルトコンベヤ12の運転を再開することで、第2ベルトコンベヤ24には搬送中心ラインL1に対するズレ量が小さい物品10のみが受け渡される。
【0030】
前記第2ベルトコンベヤ24で搬送される物品10が、第3センサ46で検知されると、前記第1センサ42により物品10の載置位置が検出される。前記制御手段52は、第1センサ42からの検出信号に基づき、物品10の側端がどの区画領域に位置しているかを演算し、ラインE−F間の区画領域に位置していると判断した場合(図5の状態)は、物品10の中心位置Cは搬送中心ラインL1に対してズレていないので、ベルトコンベヤ12を回動することなく現在位置を維持する。この場合は、第2ベルトコンベヤ24から前記渡りコンベヤ14に受け渡された物品10は、前記製袋手段16で成形された筒状フィルムFの収容領域の幅中央に向けて送り込まれる。また、渡りコンベヤ14は、繰出手段54あるいは製袋手段16より下流に配設されたフィルム送りローラ50からなるフィルム搬送手段によるフィルム搬送速度と同じ速度に設定され、更には、これらのフィルム搬送手段と同期して走行するよう駆動されるので、渡りコンベヤ14を経た物品10は、筒状フィルムFの収容領域の幅中央に良好に送り込まれる。更に、第2ベルトコンベヤ24および渡りコンベヤ14の搬送速度をフィルムの搬送速度と同じ速度に設定したので、第2ベルトコンベヤ24から渡りコンベヤ14への受け渡し時、および渡りコンベヤ14から筒状フィルムFへの受け渡し時に、速度差に起因する物品10の底面の破損を防ぐことができ、渡りコンベヤ14および筒状フィルムFに対して個々の物品10を安定して供給し得る。
【0031】
なお、前記第2ベルトコンベヤ24の搬送途上で前記第3センサ46で検知した物品10を筒状フィルムFへ送り込むタイミングについて、規定タイミングと偏差がある場合に、その差分について、前記フィルム搬送手段によるフィルム搬送速度を変速して検知物品とフィルムとの位置合わせを行なうことで、物品10を一定間隔ごとに筒状フィルムFに送り込むことができる。また、フィルム搬送手段の動作と連動して横シール手段等の包装機の各作動機構が駆動制御され、筒状フィルムF中に供給された各物品10の間で、物品10を噛み込むことなくフィルムの搬送方向と交差する方向に横シール手段によって横シール・切断して、物品10を一袋内に収容したピロー包装品が得られる。
【0032】
次に、前記物品10が、ベルトコンベヤ12から筒状フィルムFの収容領域の幅中央に向けて送り込む位置に対して左右方向にズレている場合につき説明する。前記第1センサ42からの検出信号に基づき、制御手段52がラインC−D間の区画領域に物品10の側端が位置していると判断した場合は(図6の状態)、該物品10の中心位置Cは、搬送中心ラインL1に対して2区画分だけ右側(第1センサ42から離間する側)にズレているので、該制御手段52は、2区画分の幅に対応するベルトコンベヤ12の搬送終端の幅に応じた角度でベルトコンベヤ12を左方に回動するよう調節モータ36を駆動制御する。これにより、ベルトコンベヤ12の搬送終端が左方に変位し、該ベルトコンベヤ12で搬送される物品10は、物品10の中心位置Cが略フィルム搬送中心ラインL2上を移動するように前記渡りコンベヤ14に向けて送り込まれる。なお、ベルトコンベヤ12は、回動された位置で停止保持される。また制御手段52では、前記エンコーダ40からのパルスによって、調節後のベルトコンベヤ12の現在位置(回動角度)が記憶・更新される。
【0033】
そして、次の物品10の側端が、例えばラインG−H間の区画領域に位置している場合は、該物品10の中心位置Cは、搬送中心ラインL1に対しては2区画分だけ左側にズレている。但し、前回の物品10の位置ズレに対するベルトコンベヤ12の回動により、該ベルトコンベヤ12の現在位置(回動角度)は、搬送中心ラインL1が基準位置に対して2区画分だけ左側にズレているので、制御手段52は、ベルトコンベヤ12の現在位置と第1センサ42での検出結果とによって、4区画分の幅に対応するベルトコンベヤ12の搬送終端の幅に応じた角度でベルトコンベヤ12を右方に回動するよう調節モータ36を駆動制御する。これにより、ベルトコンベヤ12の搬送終端が右方に変位し、該ベルトコンベヤ12で搬送される物品10は、物品10の中心位置Cがフィルム搬送中心ラインL2上を移動するように前記渡りコンベヤ14に向けて送り込まれる。なお、回動後のベルトコンベヤ12における物品10の搬送向きは、回動前のベルトコンベヤ12における物品10の搬送向きから左右方向に変わるものの、第1センサ42での検出位置はベルトコンベヤ12の搬送終端近傍であり、搬送向きが変わることによる影響は無視し得る程度のものである。
【0034】
すなわち、前記ベルトコンベヤ12で搬送される各物品10の位置ズレに応じて該物品10をフィルムFの収容領域の幅中央に送り込み可能な位置に向けて、搬送終端を左右に変位するようにベルトコンベヤ12を回動するので、物品10がコンベヤ上を摺動することはなく、饅頭やケーキ等のように粘着性があって軟質の物品10であっても表面が損傷したり変形することなく筒状フィルムFの収容領域の幅中央に向けて供給することができる。また、ベルトコンベヤ12における回動支点側である上流側における左右方向への変位は僅かであり、ベルトコンベヤ12に対して作業ステーションSで作業者が物品10を載置する際には、搬送中心ラインL1に整列するように物品10を載置すればよい。すなわち、ベルトコンベヤ12が回動される毎に作業者が物品10の載置位置を変更する必要はなく、作業性が低下することなく高速化に対応し得る。更に、ベルトコンベヤ12の回動は、予め設定された区画領域の幅に対応した搬送終端の幅単位で行なうので、物品10を筒状フィルムFの収容領域の幅中央に向けて供給するための制御手段52での演算処理を簡素化でき、制御負荷を小さくし得る。なお、各区画領域の幅は、筒状フィルムFの収容領域の幅と物品10の幅との差より小さい幅に設定されているから、区画領域の幅に対応した搬送終端の幅単位でベルトコンベヤ12を回動しても、送り込む位置が調節された物品10が筒状フィルムFにおける側方で立上がるフィルムに接触することはない。
【0035】
ここで、前記ベルトコンベヤ12の搬送中心ラインL1を挟む左右方向両側に設定された許容ラインL3,L3から左右外側に外れて載置された物品10が第2センサ44で検知された場合は、ベルトコンベヤ12を停止して当該物品10の位置を修正したり除去することができるので、損傷したり変形し易い物品10であっても、該物品10の損傷や変形を未然に防ぐことができる。また、ベルトコンベヤ12を回動する駆動機構の駆動源として調節モータ36を用いているので、ベルトコンベヤ12を滑らかに回動することができ、ベルトコンベヤ12の回動に際して物品10がベルトコンベヤ12上で位置ズレする等の要因となり得る慣性力を小さくすることができる。更に、フィルム搬送手段を駆動制御するための第3センサ46を、第1センサ42による物品10の載置位置を検出するタイミングを得るためのセンサとして兼用するようにしたので、センサの数を低減して製造コストを低廉に抑えることができる。
【0036】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されず、以下のようにも変更可能である。
(1) 実施例では、搬送面の下方で縦シールが施される正ピロータイプの包装機の場合で説明したが、搬送面の上方で縦シールを施すバックシールタイプのピロー包装機や三方シールタイプ、四方シールタイプ等の包装機にも適用可能であり、これらの包装機においては、物品10をベルトコンベヤ12から筒状フィルムFに直接受け渡し得ることから、渡りコンベヤを省略し得る。
(2) 実施例では、第1センサ42を移動フレーム28に配設したが、該第1センサ42を機枠26に配設してもよい。この場合は、筒状フィルムFの収容領域の幅中央に向けて供給し得る基準となる位置(フィルム搬送中心ラインL2の延長線上の位置)に位置する物品10と第1センサ42との離間距離を基準距離として予め設定し、該基準距離と第1センサ42で検出された物品10までの測定距離との差から、ベルトコンベヤ12の回動方向および回動量を演算するようにすればよい。
(3) 実施例では、第1センサ42として変位センサを用いて説明したが、カメラ等の撮像手段を用い、該撮像手段によって上方から撮影した物品10とベルトコンベヤ12の画像を解析したデータを基に、製袋手段16におけるフィルム搬送中心ラインL2(筒状フィルムFの収容領域の幅中央)に、各物品10が供給されるようにベルトコンベヤ12の回動角度を調節する構成を採用し得る。なお、撮像手段は、機枠26と移動フレーム28との何れに設置されていてもよく、また実施例と同様に、撮像手段で得られたデータを基に、ベルトコンベヤ12から渡りコンベヤ14に向けて物品10を受け渡すタイミングに、渡りコンベヤ14、フィルム搬送手段および横シール手段の動作を同期させるタイミング信号を生成することができる。
(4) 実施例では、エンコーダ40からのパルスによってベルトコンベヤ12の現在位置を検知するよう構成したが、ベルトコンベヤ12の回動を所定角度毎に検知可能な接触タイプあるいは非接触タイプのスイッチを複数配置し、夫々のスイッチのON/OFFパターンによってベルトコンベヤ12の回動角度を駆動制御するようにしてもよい。
(5) 実施例における第3センサ46による検知信号は、フィルム搬送手段および横シール手段との同期を図るためのタイミング信号として利用されることから、第3センサ46で物品10を検知する位置は、第3センサ46の物品検知に基づきフィルム搬送手段のフィルム送りモータ48等の制御モータを加速させ、フィルム搬送速度が物品10を製袋手段16に送り込む速度と略同等にする時間が得られるように、ベルトコンベヤ12の搬送終端から所要長さ上流側に設定することが望ましい。
(6) 実施例では、ベルトコンベヤ12を回動する駆動機構の駆動手段として調節モータ36を挙げたが、油圧シリンダ等のリニアアクチュエータ、その他の駆動手段を採用可能である。
(7) 実施例では、ベルトコンベヤ12を回動する駆動機構の調節機構38としてカム機構を挙げたが、リンク機構やボールネジ機構等、その他各種の機構を採用し得る。
(8) 実施例では、第2ベルトコンベヤ24の搬送速度とフィルムの搬送速度が同じ速度であると説明したが、同じ速度には、完全同一の速度に限られることなく、略同じ速度が含まれる。
【符号の説明】
【0037】
10 物品,12 ベルトコンベヤ,14 渡りコンベヤ,16 製袋手段
20 第1ベルトコンベヤ,24 第2ベルトコンベヤ
36 調節モータ(モータ,駆動機構),38 調節機構(駆動機構),42 第1センサ
44 第2センサ,46 第3センサ,F 筒状フィルム(フィルム),L3 許容ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製袋手段(16)で成形されたフィルム(F)中に物品(10)を供給する横形製袋充填機における物品供給装置であって、
前記製袋手段(16)に向けて物品(10)を所定間隔毎に載置して搬送し、上流側を支点として搬送終端を左右方向に変位するよう駆動機構(36,38)によって回動するベルトコンベヤ(12)と、
前記ベルトコンベヤ(12)で搬送される物品(10)の左右方向の載置位置を検出する第1センサ(42)とを備え、
前記第1センサ(42)で検出された際の物品(10)の載置位置に基づき、該物品(10)を前記フィルム(F)の収容領域の幅中央に送り込み可能な位置に向けて前記搬送終端を左右方向に変位するように、前記ベルトコンベヤ(12)を回動するよう前記駆動機構(36,38)を駆動制御する構成とした
ことを特徴とする横形製袋充填機における物品供給装置。
【請求項2】
前記第1センサ(42)によって検出された際の物品(10)の載置位置が、前記フィルム(F)の収容領域の幅と物品(10)の幅との差より小さい幅単位で左右方向に区画された複数の区画領域の何れにあるか特定し、夫々の区画領域の幅に対応した前記搬送終端の幅単位で前記ベルトコンベヤ(12)を回動するよう前記駆動機構(36,38)を駆動制御する構成とした請求項1記載の横形製袋充填機における物品供給装置。
【請求項3】
前記駆動機構(36,38)はモータ(36)を備え、該モータ(36)によって前記ベルトコンベヤ(12)を回動する構成とした請求項1または2記載の横形製袋充填機における物品供給装置。
【請求項4】
前記第1センサ(42)による検出位置より上流側に、前記ベルトコンベヤ(12)の左右方向両側における許容ライン(L3)から左右外側に外れて載置された物品(10)を検知する第2センサ(44)を備え、該第2センサ(44)による物品検知に基づいてベルトコンベヤ(12)を停止する構成とした請求項1〜3の何れか一項に記載の横形製袋充填機における物品供給装置。
【請求項5】
前記ベルトコンベヤ(12)は、第1ベルトコンベヤ(20)と、該第1ベルトコンベヤ(20)の下流側に接続された第2ベルトコンベヤ(24)とから構成され、第2ベルトコンベヤ(24)の搬送速度を、第1ベルトコンベヤ(20)の搬送速度より高速で、かつ前記製袋手段(21)で成形されるフィルム(F)の搬送速度と同じ速度に設定した請求項1〜4の何れか一項に記載の横形製袋充填機における物品供給装置。
【請求項6】
前記ベルトコンベヤ(12)で搬送される物品(10)を検知する第3センサ(46)を備え、該第3センサ(46)による検知物品とフィルム(F)の位置合わせを行なうようにフィルム(F)の搬送動作を駆動制御する構成とした請求項1〜5の何れか一項に記載の横形製袋充填機における物品供給装置。
【請求項7】
前記第3センサ(46)で物品(10)を検知したタイミングで、前記第1センサ(42)が物品(10)の載置位置を検出する構成とした請求項6記載の横形製袋充填機における物品供給装置。
【請求項8】
前記製袋手段(16)に上方から供給されるフィルムの長手方向の両端縁を、製袋手段(16)の下方で重合するよう構成し、前記製袋手段(16)の下方に形成された空所に、前記ベルトコンベヤ(12)から受け渡された物品(10)をフィルム(F)中に供給する渡りコンベヤ(14)を配置し、該渡りコンベヤ(14)は、搬送速度が前記製袋手段(16)で成形されるフィルム(F)の搬送速度と同じ速度にされると共にフィルム(F)の搬送動作と連動して走行する構成とした請求項1〜7の何れか一項に記載の横形製袋充填機における物品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−76769(P2012−76769A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222053(P2010−222053)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】