説明

樹枝状ポリマーおよびその製造方法

本発明は、樹枝状ポリマーおよびその製造方法に関する。一実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成され、低いガラス転移温度(T)を有するポリマーまたはコポリマーによって末端官能基化された樹枝状ポリマーならびにそのような樹枝状ポリマーの製造方法に関する。別の実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成され、高いガラス転移温度(T)を有するポリマーまたはコポリマーに由来する、約5重量%未満の末端ブロックによって末端官能基化された樹枝状ポリマーおよびそのような樹枝状ポリマーの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹枝状ポリマーおよびその製造方法に関する。一実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成され、低いガラス転移温度(T)を有するポリマーまたはコポリマーによって末端官能基化された樹枝状ポリマーおよびそのような樹枝状ポリマーの製造方法に関する。別の実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成され、高いガラス転移温度(T)を有するポリマーまたはコポリマーに由来する約5重量%未満の末端ブロックによって末端官能基化された樹枝状ポリマーおよびそのような樹枝状ポリマーの製造方法に関する。別の実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成され、末端官能基化された樹枝状ポリマーであって、飽和コアおよび1以上の不飽和末端官能基化部分を有する樹枝状ポリマーに関する。別の実施形態において、本発明は、通常は標準ポリマー相図において僅かな分離または均一性を示すにもかかわらず相分離を示す樹枝状ポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
過去数十年間にわたって、新規なブチル系エラストマーの開発は塩化メチル(MeCl)スラリー法の複雑さによって制限されてきた。現在のブチル法では高純度の原料および希釈剤(例えば、MeCl)が必要であり、極低温(−900℃未満)で行わなければならない。重合は非常に高速(拡散律速に近い)であると共に、ルイス酸開始剤錯体と水またはプロトン活性剤を使用するため、触媒構成および反応器への投入がより複雑となる。また、スラリー法では反応器の汚染も問題であり、反応器の頻繁な清掃によって生産性が低下する。これらの要因のために、現在の新規なブチルポリマーの合成は高価で余裕がないものとなる。
【0003】
また、イソブテンの非常に高速な重合速度のために、重合プロセスおよびポリマー構造の制御が制限される。ポリマーは、商業的に使用される希釈剤である塩化メチル内で沈殿する。そのため、分子構造をさらに操作することができない。イソブチレンと共に使用することができるコモノマーは数少なく、そのようなコモノマーは重合速度の低下、連鎖移動、ジエンの場合には分岐と環化を通常引き起こすため、比較的低い濃度で使用される。また、全てのコモノマーがガラス転移温度(T)を増加させ、望ましくない低温特性となる。
【0004】
現在のブチル法は65年前に生まれた技術であり、上述した制限は過去60年間に新しいグレードのブチル系エラストマーの開発および商業化がほとんどなかったことの主要な原因のいくつかに過ぎない。また、星型分岐ブチルを除き、全ての新規なブチル系エラストマーは重合後の変性によって製造されている。重合後の変性は、通常は沈殿したベースポリマーを炭化水素溶媒に溶解し、変性後にスチーム凝固によってポリマーを単離することによって行う。そのため、これらの新規なブチル系エラストマーの製造には大量のエネルギーが必要となり、製造効率が低下すると共に製造コストが上昇する。
【0005】
また、ブチル系(ポリイソブチレン系)ポリマーは、生物医学用途(例えば、ステントおよび移植)、タイヤ用途(例えば、インナーライナー)、食品関連包装用途、薬品密閉、各種密封剤用途等の多様な分野で使用される。
【0006】
そのため、重合および開始工程の独立した制御および全体的な重合速度の制御によって達成される制御された構造、分子量、分子量分布、分岐、コモノマー分散および/またはコモノマーのシークエンシングを有するブチル系ポリマーの製造を可能とする方法が求められている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、樹枝状ポリマーおよびその製造方法に関する。一実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成され、低いガラス転移温度(T)を有するポリマーまたはコポリマーによって末端官能基化された樹枝状ポリマーおよびそのような樹枝状ポリマーの製造方法に関する。別の実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成され、高いガラス転移温度(T)を有するポリマーまたはコポリマーに由来する約5重量%未満の末端ブロックによって末端官能基化された樹枝状ポリマーおよびそのような樹枝状ポリマーの製造方法に関する。別の実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成され、末端官能基化された樹枝状ポリマーであって、飽和コアおよび1以上の不飽和末端官能基化部分を有する樹枝状ポリマーに関する。別の実施形態において、本発明は、通常は標準ポリマー相図において僅かな分離または均一性を示すにもかかわらず相分離を示す樹枝状ポリマーに関する。
【0008】
一実施形態において、本発明は、末端官能基化樹枝状ポリマーであって、2以上の分岐点を有し、低いガラス転移温度(T)を有する樹枝状弾性ポリマー部分と、前記樹枝状弾性ポリマー部分の2以上の分岐の少なくとも1つの末端に位置する1以上の末端官能基化部分と、を含む末端官能基化樹枝状ポリマーに関する。
【0009】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンの反応生成物を含み、高いガラス転移温度(T)を有するポリマーまたはコポリマーに由来する約5重量%未満の末端ブロックによって末端官能基化された末端官能基化樹枝状ポリマーに関する。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンの反応生成物を含み、飽和コアおよび1以上の不飽和末端官能基化部分を有する末端官能基化樹枝状ポリマーに関する。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンの反応生成物を含み、通常は標準ポリマー相図において均一であるにもかかわらず相分離を示す樹枝状ポリマーに関する。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンの反応生成物を含み、低いTを有するポリマーまたはコポリマーに由来する約0.5〜約50重量%の末端ブロックを含む末端官能基化樹枝状ポリマーに関する。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンの反応生成物を含み、イソプレンまたはその他のカチオン重合性モノマーを含有する低Tホモポリマーまたはコポリマーによって末端官能基化された末端官能基化樹枝状ポリマーに関する。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンの反応生成物を含み、少なくとも1種のフィラーをさらに含む末端官能基化樹枝状ポリマーに関する。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンの反応生成物を含み、架橋および/または硬化させてブチルゴムを形成することができる末端官能基化樹枝状ポリマーに関する。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンの反応生成物を含む末端官能基化熱可塑性弾性樹枝状ポリマーであって、1種以上のフィラーで補強され、前記1種以上のフィラーが末端官能基化熱可塑性弾性樹枝状ポリマーの末端官能基化部分と優先的に相互作用する末端官能基化熱可塑性弾性樹枝状ポリマーに関する。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンの反応生成物を含む末端官能基化熱可塑性弾性樹枝状ポリマーであって、前記ポリマーの末端官能基化部分が約10,000g/モル未満の数平均分子量を有する末端官能基化熱可塑性弾性樹枝状ポリマーに関する。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、末端官能基化樹枝状ポリマー組成物の製造方法であって、(A)少なくとも1種のイニマー化合物と少なくとも1種のイソオレフィン化合物とを適当な溶媒中で混合して、イニマー/イソオレフィン混合物を得る工程と、(B)前記イニマー/イソオレフィン混合物に少なくとも1種のルイス酸ハロゲン化物を添加して、重合反応混合物を得る工程と、(C)前記工程(B)で得られた重合反応混合物を重合させてポリマー生成物を得る工程と、(D)前記ポリマー生成物を末端官能基化反応させて末端官能基化ポリマー生成物を得る工程と、(E)前記末端官能基化ポリマー生成物を回収する工程と、を含む方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明に係る未加工ポリマー(06DNX001 RP)と本発明に係るフィラーポリマー(カーボンブラックを使用した06DNX001)のトルク曲線を示すグラフである。
【図2】図2は、本発明の樹枝状ポリマー(06DNX001)と市販グレードのブチルポリマー(RB402)の混合時のトルクおよび温度上昇を示すグラフである。
【図3】図3は、60phrのN234カーボンブラックを使用した本発明に係るグリーンポリマー(60phrのN234を使用した06DNX001)と、60phrのN234カーボンブラックを使用した通常グレードのグリーンブチルポリマー(60phrのN234を使用したRB402)の応力対伸びのプロットを示すグラフである。
【図4】図4は、本発明に係る未加工ポリマー(06DNX130 RP)および通常グレードのブチルポリマー(RB301)の応力対伸びのプロットを示すグラフである。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係る樹枝状ポリマー(06DNX130)および市販グレードのブチルポリマー(RB402)の混合時のトルクおよび温度の上昇を示すグラフである。
【図6】図6は、60phrのN234カーボンブラックを使用した本発明に係るポリマー(60phrのN234を使用した06DNX130)と60phrのN234カーボンブラックを使用した通常グレードのブチルポリマー(60phrのN234を使用したRB402)の応力対伸びのプロットを示すグラフである。
【図7】図7は、60phrのN234カーボンブラックを含む、本発明にしたがって調製された樹枝状ポリマー(06DNX130)の硫黄硬化の貯蔵弾性率対硬化時間を示すグラフである。
【図8】図8は、60phrのN234カーボンブラックを含む、本発明にしたがって調製された樹枝状ポリマー(06DNX130)の過酸化物硬化の貯蔵弾性率対硬化時間を示すグラフである。
【図9】図9は、図7および図8に示す硬化ポリマーの応力対伸びのプロットを示すグラフである。
【図10】図10は、60phrのN234カーボンブラックを含む本発明の一実施形態に係る樹枝状ポリマー組成物(06DNX130)の貯蔵弾性率対硬化時間を示すグラフであり、前記ポリマー(06DNX130)は100部のN234カーボンブラックを含み、プロットは166℃の温度で得たものである。
【図11】図11は、本発明の比較例に係る樹枝状ポリマー(06DNX090)および本発明の一実施形態に係る樹枝状ポリマー(06DNX130)の混合時のトルクおよび温度上昇を示すグラフである。
【図12】図12は、本発明の一実施形態にしたがって調製された樹枝状ポリマー(06DNX030)の貯蔵弾性率対温度位相角対温度のプロットを示すグラフである。
【図13】図13は、本発明の一実施形態にしたがって調製されたサンプル(06DNX030)の応力対歪みのプロットを示すグラフである。
【図14】図14は、本発明にしたがって調製された未加工ポリマー(06DNX030)と、本発明の一実施形態にしたがって形成された、60phrのN234カーボンブラックを混合したポリマー(06DNX030)の貯蔵弾性率対温度を示すグラフである。
【図15】図15は、60phrのN234カーボンブラックを混合した本発明に係るポリマー(カーボンブラックを使用した06DNX030)および本発明の一実施形態にしたがって形成されたポリマー(06DNX030)の応力対伸びを示すグラフである。
【図16】図16は、60phrのN234カーボンブラックを含む本発明に係るポリマー(60phrのN234を使用した06DNX110)および本発明の一実施形態にしたがって形成されたポリマー(06DNX110)の応力対伸びを示すグラフである。
【図17】図17は、60phrのN234カーボンブラックを含む本発明に係るポリマー(60phrのN234を使用した06DNX110)および本発明の一実施形態にしたがって形成されたポリマー(06DNX110)の応力対伸びを示すグラフである。
【図18】図18は、カーボンブラックを配合した場合と配合しない場合の樹枝状PIB−PMS−OHの劣化の比較を示すグラフである。
【図19】図19は、未加工ポリマーサンプルPB402と、0.4モル%のCPDを含有する本発明にしたがって形成された樹枝状コポリマー(実施例8、未加工ポリマー)と、1.7モル%のCPDを含有する本発明にしたがって形成された樹枝状コポリマー(実施例9、未加工ポリマー)の応力対伸びを示すグラフである。
【図20】図20は、60phrのN234カーボンブラックを混合したPB402と、N234カーボンブラックを充填した0.4モル%のCPDを含有する本発明にしたがって調製された樹枝状コポリマー(実施例8、60phrのN234)と、N234カーボンブラックを充填した1.7モル%のCPDを含有する本発明にしたがって調製された樹枝状コポリマー(実施例9、60phrのN234)の応力対伸びを示すグラフである。
【図21A】図21Aは、本発明にしたがって調製された樹枝状CPDポリマー(実施例8、未加工ポリマー)のDSCデータを示す。
【図21B】図21Bは、本発明にしたがって調製された、60phrのカーボンブラックを含有する樹枝状CPDポリマー(実施例8、60phrのN234を含有)のDSCデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、樹枝状ポリマーおよびその製造方法に関する。一実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成され、低いガラス転移温度(T)を有するポリマーまたはコポリマーによって末端官能基化された樹枝状ポリマーならびにそのような樹枝状ポリマーの製造方法に関する。別の実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成され、高いガラス転移温度(T)を有するポリマーまたはコポリマーに由来する約5重量%未満の末端ブロックによって末端官能基化された樹枝状ポリマーならびにそのような樹枝状ポリマーの製造方法に関する。別の実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成された末端官能基化され、飽和コアおよび1以上の不飽和末端官能基化部分を有する樹枝状ポリマーに関する。別の実施形態において、本発明は、通常は標準ポリマー相図において僅かな分離または均一性を示すにもかかわらず相分離を示す樹枝状ポリマーに関する。
【0021】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成され、低いTを有するポリマーまたはコポリマーに由来する約0.5〜約50重量%の末端ブロックによって末端官能基化された樹枝状ポリマーに関する。例えば、本実施形態に係るポリマーは、約1〜約40重量%の末端ブロックまたは約2〜約30重量%の末端ブロックまたは約3〜約20重量%の末端ブロックまたは約1〜約25重量%の末端ブロックを有する。なお、明細書および請求項において、各範囲の上限および下限を組み合わせて異なる範囲とすることができる。
【0022】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成され、高いガラス転移温度(T)を有するポリマーまたはコポリマーに由来する約0.5〜約5重量%の末端ブロックによって末端官能基化された樹枝状ポリマーに関する。例えば、本実施形態に係るポリマーは、約1〜約4重量%の末端ブロックまたは約1.5〜約3.5重量%の末端ブロックを有する。例えば、本実施形態に係るポリマーは、スチレンまたは高いガラス転移温度を有するスチレン誘導体によって末端官能基化されている。
【0023】
別の実施形態において、本発明は、1以上の末端官能基化部分または2以上の末端官能基化部分(すなわち、分岐状付加部分)を有する樹枝状ポリマーに関する。末端官能基化部分は、同一の末端ブロック、類似した末端ブロック、異なる末端ブロックまたはそれらの組み合わせからなることができ、それらの末端ブロックは高いガラス転移温度(T)または低いガラス転移温度(T)を有するポリマーまたはコポリマーに由来するものである。
【0024】
本発明において、低いガラス転移温度を有するポリマーまたはコポリマーとは、約40℃未満または約35℃未満または約30℃未満または約25℃未満のガラス転移温度を有するポリマーまたはコポリマーと定義される。別の実施形態において、低いガラス転移温度を有するポリマーまたはコポリマーとは、ほぼ室温(25℃)未満のガラス転移温度を有するポリマーまたはコポリマーと定義される。なお、上述した範囲は、上述した閾値の1つよりも低いガラス転移温度を有する任意のポリマーおよび/またはコポリマーを包含することを意図するものである。
【0025】
一方、高いガラス転移温度を有するポリマーまたはコポリマーとは、約40℃または約45℃または約50℃または約100℃を超えるガラス転移温度を有するポリマーまたはコポリマーと定義される。なお、上述した範囲は、上述した閾値の1つよりも高いガラス転移温度を有する任意のポリマーおよび/またはコポリマーを包含することを意図するものである。
【0026】
また、明細書および請求項において、「ポリマー」という用語は包括的に使用し、規則的なポリマー(ホモポリマー)、コポリマー、ブロックコポリマー、ランダムブロックコポリマーおよびターポリマーを包含する。
【0027】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成され、イソプレンまたはその他のカチオン重合性モノマーを含有する低Tホモポリマーまたはコポリマーによって末端官能基化された樹枝状ポリマーに関する。
【0028】
別の実施形態において、本発明は、末端官能基化され、少なくとも1種のフィラーをさらに含み、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成された樹枝状ポリマーに関する。本実施形態に係るポリマーを製造するための反応スキームの例を以下に示す(式中、各Fは、1以上のフィラー粒子と優先的に相互作用する本発明に係る1以上の官能性末端ブロックを示す)。
【0029】
【化1】

【0030】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成され、ジエンまたはジエン誘導体またはポリジエンおよびポリジエン誘導体のブロックに由来する官能基を含有するコポリマーまたはホモポリマーによって末端官能基化された樹枝状ポリマーに関する。例えば、本実施形態またはその他の各種実施形態に係るポリマーに対して臭素化工程を行うことができる。
【0031】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成され、スチレンまたはスチレン誘導体またはポリスチレンまたはその誘導体を含むブロックに由来する約0.5〜約5重量%の末端ブロックによって末端官能基化された樹枝状ポリマーに関する。
【0032】
別の実施形態において、本発明は、任意に1種以上のフィラーを含むことができ、かつ、架橋および/または硬化させてブチルゴムを形成することができる末端官能基化樹枝状ポリマーに関する。別の例では、本実施形態に係るポリマーに対してハロゲン化工程(例えば、臭素化または塩素化工程)を行うことができる。
【0033】
別の実施形態において、本発明は、1種以上のフィラーで補強され、樹枝状ポリマーの末端官能基化部分と優先的に相互作用する末端官能基化熱可塑性弾性樹枝状ポリマーに関する。
【0034】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成された末端官能基化熱可塑性弾性樹枝状ポリマーであって、前記ポリマーの末端官能基化部分が約10,000g/モル未満または約7,500g/モル未満または約6,000g/モル未満または約5,000g/モル未満の数平均分子量を有する末端官能基化熱可塑性弾性樹枝状ポリマーに関する。
【0035】
[イニマー]:
初めに、自己縮合性モノマーはモノマーおよび開始剤の特徴を併せ持ち、そのような化合物は「イニマー」(IM)と呼ばれる。少量の適当なイニマーを例えばイソブチレンと共重合させると、樹枝状ポリイソブチレンを合成することができる。下記式(I)は、本発明において使用することができるイニマー化合物の性質を詳細に示す。式(I)において、Aはイニマー化合物の重合性部分を示し、Bはイニマー化合物の開始剤部分を示す。
【0036】
【化2】

【0037】
式(II)において、一実施形態では、R、R、R、R、R、およびRは、水素、直鎖または分岐状のC〜C10アルキル、C〜Cアリールからそれぞれ独立して選択される。別の実施形態では、R、R、およびRは水素である。別の実施形態では、R、R、およびRは、水素、水酸基、臭素、塩素、フッ素、ヨウ素、エステル(−O−C(O)−R)、過酸化物(−OOR)、−O−R(例えば、−OCHまたはOCH=CH)からそれぞれ独立して選択される。Rは、置換されていない直鎖または分岐状のC〜C20アルキル、置換されていない直鎖または分岐状のC〜C10アルキル、置換された直鎖または分岐状のC〜C20アルキル、置換された直鎖または分岐状のC〜C10アルキル、炭素数2〜約20のアリール基、炭素数9〜15のアリール基、炭素数2〜約20の置換されたアリール基または炭素数9〜15の置換されたアリール基である。一実施形態では、R、R、およびRの1つが塩素またはフッ素であり、R、R、およびRの残りの2つが置換されていない直鎖または分岐状のC〜C20アルキル、置換されていない直鎖または分岐状のC〜C10アルキル、置換された直鎖または分岐状のC〜C20アルキルまたは置換された直鎖または分岐状のC〜C10アルキルである。別の実施形態では、R、R、およびRの2つがエポキシドを形成している。
【0038】
一実施形態では、イニマー化合物(I)のA部分およびB部分はベンゼン環を介して結合している。例えば、イニマー化合物(I)のA部分はベンゼン環の1位に位置し、B部分はベンゼン環の3または4位に位置している。別の実施形態では、イニマー化合物(I)のA部分およびB部分は下記式(II)に示す結合を介して結合している。
【0039】
【化3】

【0040】
(式中、nは1〜約12または1〜約6または1〜約3の整数である)。別の実施形態では、nは1または2である。
【0041】
別の実施形態では、イソブチレンを重合する場合には、Bは第3級エーテル、第3級塩化物、第3級メトキシ基または第3級エステルであることができる。4−(2−ヒドロキシイソプロピル)スチレンおよび4−(2−メトキシイソプロピル)スチレン等のイニマーを使用する本発明の方法によって非常に分子量の高い樹枝状ポリイソブチレン(PIB)を合成することができる。
【0042】
本発明において使用されるイニマーの例としては、4−(2−ヒドロキシイソプロピル)スチレン、4−(2−メトキシイソプロピル)スチレン、4−(1−メトキシイソプロピル)スチレン、4−(2−クロロイソプロピル)スチレン、4−(2−アセトキシイソプロピル)スチレン、2,3,5,6−テトラメチル−4−(2−ヒドロキシイソプロピル)スチレン、3−(2−メトキシイソプロピル)スチレン、4−(エポキシイソプロピル)スチレン、4,4,6−トリメチル−6−ヒドロキシ−1−ヘプテン、4,4,6−トリメチル−6−クロロ−1−ヘプテン、4,4,6−トリメチル−6,7−エポキシ−1−ヘプテン、4,4,6,6,8−ペンタメチル−8−ヒドロキシ−1−ノネン、4,4,6,6,8−ペンタメチル−8−クロロ−1−ノネン、4,4,6,6,8−ペンタメチル−8,9−エポキシ−1−ノネン、3,3,5−トリメチル−5−ヒドロキシ−1−ヘキセン、3,3,5−トリメチル−5−クロロ−1−ヘキセン、3,3,5−トリメチル−5,6−エポキシ−1−ヘキセン、3,3,5,5,7−ペンタメチル−7−ヒドロキシ−1−オクテン、3,3,5,5,7−ペンタメチル−7−クロロ−1−オクテン、3,3,5,5,7−ペンタメチル−7,8−エポキシ−1−オクテンが挙げられる。一実施形態では、本発明のイニマーは4−(2−メトキシイソプロピル)スチレンおよび4−(エポキシイソプロピル)スチレンから選択される。
【0043】
別の実施形態では、本発明において使用されるイニマーは下記式のいずれかで示される。
【0044】
【化4】

【0045】
(式中、Xは−CRY(式中、YはOR、Cl、Br、I、CN、NまたはSCNを示し、RはHおよび/またはC〜C20アルキルを示す)で表される官能性有機基に対応し、ArはCまたはC10を示す。)
【0046】
[イソオレフィン]:
下記式(III)は、本発明において使用することができるイソオレフィン化合物の性質を詳細に示す。
【0047】
【化5】

【0048】
(式中、Rはメチル、エチルまたはプロピル等のC〜Cアルキル基である。)一実施形態では、式(III)に係る化合物はイソブチレン(イソブテン)または2−メチル−1−ブテンである。
【0049】
一実施形態では、以下に詳細に説明するように、4−(2−メトキシイソプロピル)スチレンまたは4−(エポキシイソプロピル)スチレンをイニマーとして使用し、イソブチレンをイソオレフィンとして使用し、以下のスキーム1に示すように樹枝状ポリマーを得る。
【0050】
【化6】

【0051】
本発明の方法を使用することにより、樹枝状ポリマー(例えば、樹枝状ポリイソブチレン)の構造を広範囲に変化させることができる。例えば、重合系に添加するイニマーとモノマー(例えば、イソブチレン)のモル比を調節することによって本発明に係る樹枝状ポリマーの構造を制御することができる。例えば、原料中のイソブチレンモノマーの濃度に対してイニマーの濃度を減少させると、分岐度の低い長いポリマー鎖が得られる。一方、イソブチレンの量に対してイニマーの濃度を増加させると、分岐鎖が短い分岐度の高いポリマーが得られる。スキーム1はこれらの2つのシナリオの結果を示す。重合時にイニマーおよび/またはモノマーを連続的に追加することによって樹枝状コアをさらに変化させることができる。例えば、スキーム1の左側に示す構造を最初に製造し、イニマーおよびモノマーを連続的に追加することによって、ポンポン状(pom-pom-like)のポリマー構造を得ることができる。
【0052】
本発明によって形成されるポリマーのレオロジー特性は、鎖構造を変化させることによって明確に変化させることができる。本発明によって形成された樹枝状ポリイソブチレン(PIB)は、分岐構造のために低い剪断感度を有し、同等の分子鎖長を有する線状ポリマーと比較して低い粘度を有する。より具体的には、ゴム化合物の組成に樹枝状PIBを使用すると、高いグリーン強度、少ない低温フロー、少ないダイスウェルを有する材料が得られることが分かっている。
【0053】
別の実施形態では、本発明の樹枝状ポリマーは、PIBテンプレートに有用な化学特性をもたらすことができるコモノマーによって官能基化することができる。例えば、PIB主骨格を合成した後、重合の後期段階にコモノマーを添加することによって、マクロ分子の成長鎖に末端ブロックを形成することができる。下記スキーム2は、以下に詳述するように本発明にしたがって製造された官能基化樹枝状ポリマーを示す。
【0054】
【化7】

【0055】
スキーム2において、鋸歯部分はスキーム1の右側に示す樹枝状ポリマーの官能基化を示す。
【0056】
本発明では、上述した本実施形態によれば、本明細書に開示されたポリマーの末端官能基化部分は、低いガラス転移温度または高いガラス転移温度を有する適当なポリマーに由来するものであることができる。本発明の末端官能基化を達成するための好適なポリマーの例としては、スチレンまたはスチレン誘導体、インデンまたはその誘導体、ジエンまたはトリエン(共役ジエンまたはその他のジエン、例えばイソプレン、ブタジエン−1,3、2−メチルブタジエン−1,3、2,4−ジメチルブタジエン−1,3、ピペリレン、3−メチルペンタジエン−1,3、ヘキサジエン−2,4、2−ネオペンチルブタジエン−1,3、2−メチルヘキサジエン−1,5、2,5−ジメチルヘキサジエン−2,4、2−メチルペンタジエン−1,4、2−メチルヘプタジエン−1,6、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、1−ビニル−シクロヘキサジエンまたはそれらの2種以上の混合物)、ノルボルナジエン、β−ピネンのホモポリマーまたはコポリマーが挙げられる。
【0057】
本発明の方法によって得られる利点としては、フィラーとの高い親和性および向上した加工性を有し、射出成形(ある程度、低粘度に起因する)することができ、過酸化物による硬化に対して高い耐久力を有し、かつ高い不飽和度を有し、高温での製造(例えば、約−40℃)を可能とするブチル系ポリマー化合物を製造することができることが挙げられる。
【0058】
一実施形態では、ポリイソオレフィンおよび最終ポリマー生成物が溶液中に残るように、本発明に係る方法を不活性有機溶媒または溶媒混合物中で行う。また、溶媒の極性によって重合プロセスが妥当な速度で進行する。適当な溶媒としては、塩化n−ブチル等の単一の溶媒が挙げられる。別の実施形態では、非極性溶媒と極性溶媒の混合物を使用することができる。適当な非極性溶媒の例としては、ヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキセンが挙げられる。適当な極性溶媒の例としては、塩化エチル、塩化メチル、塩化メチレンが挙げられる。一実施形態では、混合溶媒はメチルシクロヘキサンと塩化メチルまたはヘキサンと塩化メチルの組み合わせである。適当な溶解性と極性を達成するためには、非極性溶媒と極性溶媒の割合は、重量比で約80:20〜約40:60、約75:25〜約45:55、約70:30〜約50:50または約60:40である。なお、明細書および請求項において、各範囲の上限および下限を組み合わせることができる。
【0059】
前記方法を行う温度範囲は、約−20℃〜約−100℃または約−30℃〜約−90℃または約−40℃〜約−85℃または約−50℃〜約−80℃である。一実施形態では、本発明の方法は、約1%〜約30%のポリイソオレフィン溶液(wt/wt)または約5%〜約10%のポリイソオレフィン溶液を使用して行う。
【0060】
一実施形態では、本発明の樹枝状ポリマーを製造するために、共開始剤(例えば、ルイス酸ハロゲン化物)を使用することが必要である。適当なルイス酸ハロゲン化物の例としては、BCl、BF、AlCl、SnCl、TiCl、SbF、SeCl、ZnCl、FeCl、VCl、AlRCl3−n(式中、Rはアルキル基であり、nは3未満である)およびそれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、四塩化チタン(TiCl)を共開始剤として使用する。
【0061】
本発明の分岐状ブロックコポリマーは、約−20℃〜約−100℃または約−30℃〜約−90℃または約−40℃〜約−85℃または約−50℃〜約−80℃の温度において溶液中で共開始剤を使用してイソオレフィンを開始剤モノマーと共重合させる一段階プロセスで製造することもできる。電子供与体およびプロトン捕捉剤を導入し、予め冷却した共開始剤の非極性溶媒(例えば、ヘキサン)溶液を添加する。重合は、メタノール等の求核体を添加することによって終了させる。
【0062】
いくつかの実施形態では、本発明に係る樹枝状ポリマーの製造には、ブロック効率を向上させるための電子対供与体および単独重合を最低限にするためのプロトン捕捉剤等の添加剤を使用することが必要である。適当な電子対供与体の例としては、Viktor Gutmann,「分子相互作用に対する供与体−受容体アプローチ(The Donor Acceptor Approach to Molecular Interactions),Plenum Press(1978)に記載された表の少なくとも15〜50の電子供与体番号を有する求核体および酢酸エチル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドが挙げられる。適当なプロトン捕捉剤の例としては、2,6−ジ−tert−ブチルピリジン、4−メチル−2,6−ジ−tert−ブチルピリジン、ジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。
【0063】
別の実施形態では、本発明の樹枝状ポリマーは1種以上のフィラーを含有することができる。適当なフィラーの例としては、カーボンブラック、シリカ、澱粉、粘土、ナノ粘土、カーボンナノチューブ、その他のシリコン系フィラー等が挙げられる。本発明において1種以上のフィラーを使用する場合には、フィラーは、本発明の樹枝状ポリマーのコア部分(例えば、ポリイソブチレン部分)ではなく、末端官能基化部分に結合、付加、捕捉および/または同伴させることができる。
【0064】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも1種の任意にハロゲン化された樹枝状ポリマーと、少なくとも1種のフィラーと、少なくとも1種の加硫剤と、を含むゴム組成物に関する。加硫ゴム化合物を製造するために、少なくとも1種の加硫剤または硬化系(curing system)を添加する必要がある。本発明は一種の硬化系に限定されるものではない。硬化系の例としては、硫黄硬化系が挙げられる。硫黄硬化系を使用する場合、硬化処理で使用される硫黄の量は、約0.3〜約2.0phr(ゴム100重量部当たりの重量部)とすることができる。また、例えば酸化亜鉛等の活性剤も使用することができる。活性剤を使用する場合、活性剤の使用量は約0.5重量部〜約5重量部である。
【0065】
その他の配合剤、例えば、ステアリン酸、油(例えば、Sunoco社製Sunpar(登録商標))、酸化防止剤、促進剤(例えば、ジベンゾチアジルジスルフィド(例えば、Bayer AG社製Vulkacit(登録商標) DM/C)等の硫黄化合物も硬化前に化合物に添加することができる。次に、公知の方法で硬化(例えば、硫黄硬化)させる。例えば、「ゴムの調製と加硫(The Compounding and Vulcanization of Rubber)」,第2章,Rubber Technology,第3版,Chapman & Hall,1995年を参照されたい。上記刊行物の硬化系に関連する教示はこの参照によって本明細書に援用する。
【0066】
本発明に係る加硫可能ゴム化合物は、その他のゴム用添加剤、例えば、反応促進剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、酸化防止剤、起泡剤、老化防止剤、熱安定剤、光安定剤、オゾン安定剤、加工助剤、可塑剤、粘着付与剤、発泡剤、染料、色素、ロウ、増量剤、有機酸、阻害剤、金属酸化物、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール、ヘキサントリオール等の活性剤を含有することができる。そのような化合物、添加剤および/または製品はゴム業界で公知である。ゴム用添加剤は用途に応じて従来の量で使用される。従来の量は例えば、約0.1〜約50phrである。一実施形態において、溶液混合物を含む加硫可能化合物は、約0.1〜約20phrの1種以上の有機脂肪酸を補助成分としてさらに含む。一実施形態において、不飽和脂肪酸は1または2以上の炭素二重結合を分子中に有し、分子中に少なくとも1つの共役炭素−炭素二重結合を有する共役ジエン酸を約10重量%以上含むことができる。別の実施形態では、本発明において使用される脂肪酸は、約8〜約22個または約12〜約18個の炭素原子を有する。適当な脂肪酸の例としては、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸およびそれらのカルシウム塩、亜鉛塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。また、エラストマー100重量部当たり約40部以下または約5〜約20部のプロセス油を使用することができる。
【0067】
また、シリカまたはシリカ系フィラー含有化合物に向上した物理的性質を与えるシリカ変性シランを添加することが有利な場合がある。この種の化合物は、(シリカ表面との反応のための)反応性シリルエーテル官能性およびゴム特有の官能基を有する。これらの変性剤の例としては、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルファン、チオプロピオン酸S−トリエトキシシリルメチルエステルが挙げられる。シリカ変性シランの使用量は、エラストマー100部当たり約0.5〜約15部または約1〜約10部または約2〜約8部である。シリカ変性シランは、単独でまたはシリカ界面化学を変更するその他の物質と共に使用することができる。
【0068】
ゴム化合物を含む最終的な加硫可能ゴム化合物の成分は、好適には約25℃〜約200℃の昇温状態で混合する場合が多い。通常、混合時間は1時間未満であり、約2〜約30分が通常は適切である。混合は、バンベリーミキサー、ハーケまたはブラベンダーミニチュア密閉式混合機等の密閉式混合機内で好適に行われる。また、2本ロールミルミキサーを使用してもエラストマー内に添加剤を良好に分散させることができる。また、押出機も良好に混合することができ、混合時間を短縮することができる。混合を2以上の段階に分けて行うこともでき、異なる装置(例えば、密閉式混合機と押出機)で混合を行うことができる。配合と加硫については、「高分子科学と工学の百科事典(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering)」,第4巻,66頁以降(配合)、第17巻,666頁以降(加硫)も参照されたい。上記刊行物の配合および加硫に関連する教示はこの参照によって本明細書に援用する。
【0069】
別の実施形態において、本発明の樹枝状ポリマーが末端官能基化されている場合には、コア部分(例えば、ポリイソブチレン部分)は硬化可能な部位を有さず、本実施形態における末端官能基化部分は1以上の硬化可能な部位を有することができる。これにより、樹枝状ポリマー構造全体にダメージを与えることなく、樹枝状ポリマーの過酸化物加硫を行うことができる。その場合には、硫黄硬化系等の他の硬化系を使用して本発明に係る硬化組成物を得ることもできる。
【0070】
本発明のポリマーの数平均分子量(Mn)は、約500g/モル〜約2,000,000g/モルまたは約1,000g/モル〜約1,500,000g/モルまたは約10,000g/モル〜約1,000,000g/モルまたは約20,000g/モル〜約500,000g/モルまたは約50,000g/モル〜約400,000g/モルまたは約70,000g/モル〜約300,000g/モルまたは約80,000g/モル〜約295,000g/モルである。別の実施形態では、本発明のポリマーの数平均分子量(Mn)は約20,000g/モル〜約300,000g/モルである。なお、明細書および請求項において、各範囲の上限および下限を組み合わせることができる。
【0071】
一実施形態では、本発明のポリマーは狭い分子量分布を有し、数平均分子量に対する重量平均分子量の比(Mw/Mn)は約1.0〜約4.5または約1.1〜約4.0または約1.2〜約3.5または約1.3〜約3.0または約1.4〜約2.5または約1.5〜約2.0である。別の実施形態では、本発明のポリマーは狭い分子量分布を有し、数平均分子量に対する重量平均分子量の比(Mw/Mn)は約1.6〜約2.4または約1.7〜約2.3または約1.8〜約2.2または約1.9〜約2.1または約1.5〜約1.9である。
【実施例】
【0072】
本発明の範囲に含まれる方法および詳細に上述した本発明の組成物の使用について以下の実施例に記載する。以下の実施例は、包括的に説明した組成物、処方、方法の範囲に含まれ、それらを例示するものである。したがって、以下の実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0073】
樹枝状ブチルコアおよび化学硬化性末端部分を含むブチルポリマーを以下に記載するように調製した。重合はMBraun MB 15OB−G−Iドライボックス中で行った。
【0074】
[化学物質]:
4−(2−メトキシイソプロピル)スチレン(p−メトキシクミルスチレン、pMeOCumSt)を合成した。イソブチレンおよび塩化メチルは適当な製造装置で製造し、さらに精製することなく使用した。イソプレン(IP、99.9%、Aldrich社製)は、使用前にp−tert−ブチルカテコール阻害剤・除去剤カラムに通した。
【0075】
[試験方法]:
ポリマーの分子量および分子量分布はサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)で測定した。装置は、Waters 515 HPLCポンプ、Waters 2487 デュアル吸光度検出器、Wyatt Optilab Dsp干渉屈折計、Wyatt DAWN EOSマルチアングル光散乱検出器、Wyatt Viscostar粘度計、Wyatt QELS準弾性光散乱機器、717plus自動サンプラー、6本のStyragel(登録商標)カラム(HR1/2、HR1、HR3、HR4、HR5、H6)からなるものである。RI検出器およびカラムは35℃に温度調節し、CaHから蒸留したてのTHFを1ml/分の流速で移動相として使用した。結果は、ASTRAソフトウェア(Wyatt Technology)を使用して分析した。分子量は、100%質量回収(100% mass recovery)および0.108cm/g dn/dc値を使用して算出した。
【0076】
HNMR測定は、Bruker Avance500装置および溶媒として重水素化クロロホルムまたはTHFを使用して行った。未加工ポリマーのムーニー測定は、Alpha Technology社製のMV 2000回転粘度計を使用して125℃で行った。カーボンブラックとの混合は、75cmバンベリー型ブラベンダーミキサーを使用して行った。
【0077】
全てのサンプルの力学特性は、圧縮下においてGabo Eplexor 150Nを使用して測定した(試験条件:静的歪み:5%;最大圧力:20N;動的歪み:2%;最大圧力:10N;周波数:10Hz;加熱速度:2°C/分;測定間荷重:予荷重)。応力歪み測定は、Instron Model 1122を使用し、500mm/分のクロスヘッド速度で23℃において行った。
【0078】
実施例1では、イニマーを1.14×10−3モル/dmの濃度で添加した。実施例2では、イニマーを2.27×10−3モル/dmの濃度で添加した。
【0079】
(実施例1(06DNX001))
重合は、3dmの丸型バッフル付ガラス反応器内で行った。反応器は、ガラス製撹拌ロッド(三日月型テフロン製撹拌羽根を装着)および熱電対を備えていた。反応器に、0.35gのpMeOCumSt、900cmのヘキサン(室温で測定)、600cmの塩化メチル(−95℃で測定)、2cmのジ−tert−ブチルピリジン(室温で測定)、240cmのイソブチレン(−95℃で測定)を添加した。6cmのTiClおよび20cmのヘキサン(いずれも室温で測定)の予め冷却した混合物を添加し、−95℃で重合を開始した。120分間にわたって重合させた後、236cmのイソプレン(室温で測定)、150cmの塩化メチル(−95℃で測定)、0.5cmのジ−tert−ブチルピリジン(室温で測定)の混合物を添加した。イソプレンを添加すると、粘性溶液は二相系に変化した。150cmのヘキサン(室温で測定、−95℃に冷却)を重合開始後130分において添加すると、溶液は粘性溶液に戻った。重合開始後135分において、3cmのTiClおよび20cmのヘキサン(いずれも室温で測定)の予め冷却した混合物を添加した。重合開始後150分において、11gのNaOHを含有する125cmのメタノールを添加して重合を終了させた。重合時に、冷却したピペットを使用してサンプルを採取し、10cmのメタノールを含む試験管に注入した。
【0080】
塩化メチルを蒸発させた後、ヘキサンをポリマー溶液に添加し、溶液を水で洗浄して中性とした。ポリマー生成物をスチーム凝固によって単離し、ホットミルで乾燥して恒量とした。ポリマーの乾燥重量は164.7gだった。
【0081】
重合時に、冷却したピペットを使用してサンプルを複数の時点で採取し、メタノールを含むバイアルに注入した。これらのサンプルの分子量を測定すると、重合中に分子量が増加していったことが示された。異なる時間間隔で採取された各サンプルの特性を表1に示す。
【0082】
【表1】

【0083】
表1において、「反応時間」の欄は、上述した重合反応から試験サンプルを採取した時間を示す。
【0084】
HNMR分析によれば、ポリマーに導入されたイソプレンの量は0.7モル%だった。最終生成物のムーニー粘度は41.6(1+8@125℃)だった。
【0085】
サンプルの硬化活性はカーボンブラックの非存在下および存在下で測定された。表2および表3に、使用した各成分のゴム100重量部当たりの重量部を示す。硬化活性は、Alpha Technology社製のMDRを使用して166℃で測定された。試験条件は1°のアークおよび1.7Hzとした。図1は、未加工ポリマー(06DNX001 未加工ポリマー)とフィラーポリマー(カーボンブラックを使用した06DNX001)のトルク曲線の比較を示す。
【0086】
【表2】

【0087】
【表3】

【0088】
次に、バンベリー型ブラベンダーミキサー内で、未加工06DNX001ポリマーを60phrのN234カーボンブラックおよび78.8%の充填率で混合した。混合時のトルク発生および温度上昇は、典型的および/または通常のブチル組成物よりも非常に大きかった。図2は、本発明の樹枝状ポリマー(06DNX001)と市販グレードのブチルポリマー(RB402)の混合時のトルクおよび温度上昇を示すグラフである。本発明にしたがって調製されたサンプルの最高温度、トルク、比エネルギーは、同一または低いムーニー粘度において直鎖状サンプルよりも高い。また、図2に示すように、本発明にしたがって形成された樹枝状サンプルのトルクは第2のピークを示している。これはフィラーが良好に分散されていることを示している(N.TokitaおよびI.Pliskin,Rubber Chew. & Technol.,46,1166(1973)を参照)。ブチルゴムはカーボンブラックと十分に混合しないことが知られている。通常、このようなブチルゴムは第2のトルクピークを示さないか、そのようなピークは非常に不明瞭である。Tokitaはトルク曲線を3つの領域に分けた(N.TokitaおよびI.Pliskin,Rubber Chew. & Technol.,46,1166(1973)を参照)。第1の領域は、フィラーの添加と最小力曲線との間に位置するフィラー濡れ領域であり、第2の領域は、最小力曲線と第2の力ピークを越えた直後との間に位置する分散領域である。第2の領域に続いて素練り領域がある。一般的に言うと、第2のトルクピークが高いほど、フィラーの分散はより良好である。Tokitaによれば、フィラーの分散が向上すると、ムーニー粘度が低下し、ダイスウェルおよびミル収縮が増加すると予想される。
【0089】
延出したカーボンブラック混合物は室温で予期しない強度を示し、このことは通常のブチルポリマーにはない強力な補強を示唆している。これは、成形したマクロシートから切り出されたマクロダンベルを使用して得られたカーボンブラック混合物の応力−歪み曲線に示されている。成形は160℃で行った。図3は、60phrのN234カーボンブラックを使用した本発明に係るグリーンポリマー(60phrのN234を使用した06DNX001)および60phrのN234カーボンブラックを使用した通常グレードのグリーンブチルポリマー(60phrのN234を使用したRB402)の応力対伸びのプロットを示すグラフである。
【0090】
比較のために、RB402化合物の応力−歪み曲線を図3に示す。RB402は、97.2モル%のイソブチレンおよび2.2モル%のイソプレンを含有する。樹枝状サンプル06DNX001は、99.3モル%のイソブチレンおよび0.7モル%のイソプレンを含有する。しかしながら、RB402が直鎖を含み、イソプレン部位が直鎖に沿ってランダムに点在するため、分子構造は大きく異なる。樹枝状ポリマー06DNX001は分岐状PIBコアを含み、イソプレン単位が分岐鎖の末端に結合し、局所的に高いイソプレン含有量を有するイソブチレン−イソプレンコポリマーを形成している。限定されないが、06DNX001の局所的な性質がポリマーとフィラーとの相互作用を増加させると考えられる。
【0091】
(実施例2(06DNX130))
重合は、3dmの丸型バッフル付ガラス反応器内で行った。ガラス反応器は、ガラス製撹拌ロッド(三日月型テフロン製撹拌羽根を装着)および熱電対を備えていた。反応器に、0.70gのpMeOCumSt、900cmのヘキサン(室温で測定)、600cmの塩化メチル(−92℃で測定)、2cmのジ−tert−ブチルピリジン(室温で測定)、および240cmのイソブチレン(−92℃で測定)を添加した。6cmのTiClおよび30cmのヘキサン(いずれも室温で測定)の予め冷却した混合物を添加し、重合を開始した。重合開始後45分において、70cmのイソプレン、0.5cmのジ−tert−ブチルピリジン、0.90cmのジメチルアセトアミド(室温で測定)の予め冷却した混合物を添加した。反応を促進するために、1.0モルのエチルアルミニウムジクロリドのヘキサン溶液を重合開始後45.5分、48分、50.5分において10cmずつ添加した。最後の添加によって温度が4℃上昇し、重合開始が示された。その直後、溶液は撹拌ロッドに沿って上昇し、粘度が上昇したことが示された。重合開始後60分において、11gのNaOHを含有する125cmのメタノールを添加して重合を終了させた。
【0092】
塩化メチルを蒸発させた後、ヘキサンをポリマー溶液に添加し、溶液を水で洗浄して中性とした。次に、0.2gのIrganox 1076は溶液に添加し、ポリマーをスチーム凝固によって単離し、ホットミルで乾燥して恒量とした。ポリマーの乾燥重量は174.23gだった。HNMR測定によれば、1,4−P鎖の量は2.6モル%だった。最終生成物のムーニー粘度は30.6(1+8@125℃)だった。
【0093】
延出した未加工ポリマーサンプルは、125℃でのムーニー粘度が低いにもかかわらず、室温で予期しない強度(弾性)を示した。この結果をグリーン強度測定によって定量化した。測定では、未加工ポリマーの成形マクロシートからマイクロダンベルを切り出した。樹枝状ブチルポリマーのグリーン強度を、ムーニー粘度の高い(52)通常グレードのブチルポリマーRB301と比較した。図4は、本発明に係る未加工ポリマー(06DNX130 RP)および通常グレードのブチルポリマー(RB301)の応力対伸びのプロットを示す。直鎖状の市販グレードのブチルポリマーよりも本発明の樹枝状ポリマーのグリーン強度が増加していることが、伸びを有する引張強さの連続的な増加によって示されている。一方、ムーニー粘度の高い直鎖状ブチルポリマーは約250%の伸びにおいてピーク強度を示した。このピークに続いて、直鎖状ブチルポリマーは緩やかな強度の減少を示した。
【0094】
バンベリー型ブラベンダーミキサー内で、未加工ポリマーを60phrのN234カーボンブラックと78.8%の充填率で混合した。混合時のトルク発生および温度上昇は典型的および/または通常のブチル組成物よりも非常に著しかった。図5は、本発明の樹枝状ポリマー(06DNX130)と市販グレードのブチルポリマー(RB402)の混合時のトルクおよび温度の上昇を示すグラフである。RB402サンプルのムーニー粘度は31.3(1+8@125℃)だった。
【0095】
本発明にしたがって調製されたサンプルの最高温度、トルク、比エネルギーは、同一または低いムーニー粘度において直鎖状サンプルよりも高い。また、図5に示すように、本発明にしたがって形成した樹枝状サンプルのトルクは第2のピークを示している。これはフィラーが良好に分散されていることを示している。ブチルゴムはカーボンブラックと十分に混合しないことが知られている。通常、ブチルゴムは第2のトルクピークを示さないか、そのようなピークは非常に不明瞭である。Tokitaはトルク曲線を3つの領域に分けた(N.TokitaおよびI.Pliskin,Rubber Chew. & Technol.,46,1166(1973)を参照)。第1の領域は、フィラーの添加と最小力曲線との間に位置するフィラー濡れ領域であり、第2の領域は、最小力曲線と第2の力ピークの直後との間に位置する分散領域である。第2の領域に続いて素練り領域がある。一般的に言うと、第2のトルクピークが高いほど、フィラーの分散はより良好である。Tokitaによれば、フィラーの分散が向上すると、ムーニー粘度が低下し、ダイスウェルおよびミル収縮が増加すると予想される。
【0096】
延出したカーボンブラック混合物は室温で予期しない強度を示し、このことは通常のブチルポリマーにはない強力な補強を示唆している。これは、成形したマクロシートから切り出されたマクロダンベルを使用して得られたカーボンブラック混合物の応力−歪み曲線に示されている。図6は、60phrのN234カーボンブラックを使用した本発明に係るポリマー(60phrのN234を使用した06DNX130)および60phrのN234カーボンブラックを使用した通常グレードのブチルポリマー(60phrのN234を使用したRB402)の応力対伸びのプロットを示す。
【0097】
硬化活性を表3に示す処方を使用して示す。記録された硬化曲線を図7に示す。具体的には、図7は、60phrのN234カーボンブラックを含む本発明にしたがって調製した樹枝状ポリマーの硫黄硬化の貯蔵弾性率対硬化時間を示すグラフである。図8は、本発明の一実施形態に係る樹枝状ポリマーを、過酸化物を使用して硬化させることができることを示している。硬化は、4phrのDiCuP 40℃および2phrのHVA#2を添加することにより行われた。具体的には、図8は、60phrのN234カーボンブラックを含む本発明にしたがって調製された樹枝状ポリマーの過酸化物硬化の貯蔵弾性率対硬化時間を示すグラフである。
【0098】
図9は、図7および図8に示す硬化ポリマーの応力対伸びのプロットを示すグラフである。
【0099】
本発明にしたがって形成された樹枝状ポリマーが多量のフィラーを吸収することができることを示すために、本実施例のサンプル(06DNX130)を100phrのN234カーボンブラックと混合した。混合後、滑らかな化合物が得られ、混合されていないカーボンブラックはミキサー内で検出されなかった。混合物に表3に示す硬化剤を表3に示す量で配合した。図10は、166℃における上記組成物の貯蔵弾性率対硬化時間のプロットを示すグラフである。
【0100】
(実施例3(05DNX150))
本実施例は、樹枝状PIBコアの挙動を決定するように設計された比較例である。
【0101】
重合は、5dmの丸型バッフル付ガラス反応器内で行った。ガラス反応器は、ガラス製撹拌ロッド(三日月型テフロン製撹拌羽根を装着)および熱電対を備えていた。反応器に、0.7gのpMeOCumSt、1800cmのメチルシクロヘキサン(室温で測定)、1200cmの塩化メチル(−95℃で測定)、4cmのジ−tert−ブチルピリジン(室温で測定)、480cmのイソブチレン(−95℃で測定)を添加した。11cmのTiClおよび40cmのメチルシクロヘキサン(いずれも室温で測定)の予め冷却した混合物を添加し、−93℃で重合を開始した。85分間にわたって重合させた後、100cmのイソプレン(室温で測定)、250cmのイソブチレン(−95℃で測定)、および250cmのメチルシクロヘキサン(いずれも室温で測定)の混合物を添加した。重合開始後122分において、11gのNaOHを含有する125cmのメタノールを添加して重合を終了させた。重合時に、冷却したピペットを使用してサンプルを採取した。サンプルは10cmのメタノールを含む試験管に注入した。
【0102】
塩化メチルを蒸発させた後、ヘキサンをポリマー溶液に添加し、溶液を水で洗浄して中性とした。得られたポリマーをスチーム凝固によって単離し、ホットミルで乾燥して恒量とした。HNMR分析によれば、ポリマーに導入されたイソプレンの量は非常に少なく、約0.1モル%だった。
【0103】
重合時に、冷却したピペットを使用してサンプルを複数の時点で採取し、メタノールを含むバイアルに注入した。これらのサンプルの分子量を測定すると、重合中に分子量が増加していったことが示された。異なる時間間隔で採取した各サンプルの特性を表4に示す。
【0104】
【表4】

【0105】
表4において、「反応時間」の欄は、上述した重合反応から試験サンプルを採取した時間を示す。
【0106】
(実施例4(06DNX090))
本実施例は、樹枝状PIBコアの挙動を決定するように設計された別の比較例である。
【0107】
重合は、3dmの丸型バッフル付ガラス反応器内で行った。ガラス反応器は、ガラス製撹拌ロッド(三日月型テフロン製撹拌羽根を装着)および熱電対を備えていた。反応器に、0.7gのpMeOCumSt、900cmのヘキサン(室温で測定)、600cmの塩化メチル(−95℃で測定)、2cmのジ−tert−ブチルピリジン(室温で測定)、240cmのイソブチレン(−95℃で測定)を添加した。6cmのTiClおよび30cmのメチルシクロヘキサン(いずれも室温で測定)の予め冷却した混合物を添加し、−93℃で重合を開始した。重合開始後121分において、11gのNaOHを含有する125cmのメタノールを添加して重合を終了させた。重合時に、冷却したピペットを使用してサンプルを採取した。サンプルは10cmのメタノールを含む試験管に注入した。
【0108】
塩化メチルを蒸発させた後、ヘキサンをポリマー溶液に添加し、溶液を水で洗浄して中性とした。得られたポリマーをスチーム凝固によって単離し、ホットミルで乾燥して恒量とした。ポリマーの乾燥重量は164.54gだった。
【0109】
図4は、60phrのN234カーボンブラックを使用した本発明に係るポリマー(60phrのN234を使用した06DNX130)が硬化エラストマーの挙動を示すことを示している。カーボンブラック混合物は繰り返し成形することができ、冷却すると新たなゴム状物が得られた。
【0110】
以下の比較は、PIBコアの樹枝状性質は、混合時に向上されたトルク発生またはカーボンブラック混合物のTPE挙動を生じさせるものではないことを証明するものである。図11は、実施例2の樹枝状化合物(06DNX130)の混合曲線と、本実施例の樹枝状PIBコア(06DNX090)の混合挙動とを比較する図である。すなわち、図11は、本発明の実施例4に係る樹枝状ポリマー(06DNX090)および本発明の実施例2に係る樹枝状ポリマー(06DNX130)の混合時のトルクおよび温度の上昇を示すグラフである。
【0111】
図11に示すように、本実施例の樹枝状PIBコア組成物(06DNX090)の混合曲線には第2の大きなトルクピークは見られない。また、本実施例の樹枝状PIBコア組成物(06DNX090)では、実施例2の樹枝状化合物(06DNX130)と比較して、温度が早い時間に平坦域に入り、混合中は低い値で安定化している。
【0112】
(実施例5a(06DNX030))
重合は、3dmの丸型バッフル付ガラス反応器内で行った。ガラス反応器は、ガラス製撹拌ロッド(三日月型テフロン(登録商標)製撹拌羽根を装着)および熱電対を備えていた。反応器に、0.35gのpMeOCumSt、900cmのヘキサン(室温で測定)、600cmの塩化メチル(−95℃で測定)、2cmのジ−tert−ブチルピリジン(室温で測定)、240cmのイソブチレン(−95℃で測定)を添加した。6cmのTiClおよび20cmのヘキサン(いずれも室温で測定)の予め冷却した混合物を添加し、−93℃で重合を開始した。重合開始後85分において、250cmのヘキサン(室温で測定)、70cmのpMeSt(室温で測定)、0.5cmのジ−tert−ブチルピリジン(室温で測定)、150cmの塩化メチル、および120cmのイソブチレン(−95℃で測定)の予め冷却した混合物を添加した。重合開始後200分において、125cmのメタノールに溶解させた11gのNaOHを添加して反応を終了させた。重合時に、冷却したピペットを使用して重合サンプルを採取した。サンプルは10cmのメタノールを含む試験管に注入した。
【0113】
独立した速度測定から、pMeSt/IB混合物を添加した時点の反応器内の未反応のイソブチレンは4.9gと算出された。したがって、モノマー混合物の添加後のモノマー中のpMeSt含有量は24.8モル%である。塩化メチルを蒸発させた後、ヘキサンをポリマー溶液に添加し、溶液を水で洗浄して中性とした。得られたポリマーをスチーム凝固によって単離し、ホットミルで乾燥し、180℃でプレス成形した。ポリマーの乾燥重量は188.96gだった。
【0114】
HNMR分析によれば、得られたポリマーのpMeSt総含有量は4.5モル%または9.5重量%だった。
【0115】
重合時に、冷却したピペットを使用してサンプルを複数の時点で採取し、メタノールを含むバイアルに注入した。これらのサンプルの分子量を測定すると、重合中に分子量が増加していったことが示された。異なる時間間隔で採取した各サンプルの特性を表5に示す。
【0116】
【表5】

【0117】
表4において、「反応時間」の欄は、上述した重合反応から試験サンプルを採取した時間を示す。
【0118】
外側のIB−co−pMeSt部分のガラス転移温度は、DSCで検出できなかった。未加工ポリマーの動的試験でも、外側部分のガラス転移温度は示すことができなかった(図12)。
【0119】
バンベリー型ブラベンダーミキサー内で、未加工ポリマー(06DNX030)に、60phrのN234カーボンブラックを78.8%の充填率で混合した。カーボンブラック混合物の動的試験によってゴム状平坦域の存在が明らかになった(図14)。すなわち、図14は、本発明にしたがって形成された未加工ポリマー(06DNX030)および本発明の一実施形態にしたがって形成された60phrのN234カーボンブラックを混合したポリマー(06DNX030)の貯蔵弾性率対温度を示すグラフである。
【0120】
延出したカーボンブラック混合物は室温で予期しない強度を示し、このことは通常のブチルポリマーにはない強力な補強を示唆している。これは、成形したマクロシートから切り出されたマクロダンベルを使用して得られたカーボンブラック混合物の応力−歪み曲線に示されている。成形は160℃で行った。図15は、60phrのN234カーボンブラックを混合した本発明に係るポリマー(カーボンブラックを使用した06DNX030)および本発明の一実施形態にしたがって形成されたポリマー(06DNX030)の応力対伸びを示すグラフである。図15は、成形品が高い強度を有し、室温で硬化エラストマーのような挙動を示すことを示している。
【0121】
(実施例5b(06DNX030))
75ccのRheomixミキサーを備えたHaake Buchler Rheocord System 40駆動装置を使用し、相溶剤添加剤を使用せずに実施例5aのポリマー(06DNX030)100部とシリカ(Rhodia社製Zeosil 1165 MP)20部とを混合して5種類の混合物を形成した。充填率は73%とした。ミキサーを130℃に加熱し、20rpmでゴムを投入し、続いてシリカを投入した。混合は100rpmで最大5分間の混合時間で行い、化合物を170℃で取り出した。過剰材料のオーバーフローのための10mm幅のスリットを片面に有する63.6mm×63.6mm×1.26mmの正方形の金型を使用して、以下の手順にてシートを180℃で圧縮成形した。サンプルを金型内で3分間加熱し、特定の温度において30トンのラム圧(ラム直径:5インチ)で5分間成形した。5分後、金型を冷却プレスに移動させてサンプルを冷却した。シートからマイクロダンベルサンプルを切り出した。図13はこの材料の応力−歪み曲線を示す。図13に示すように、本実施例にしたがって製造されたサンプルでは、フィラーによる強力な補強が生じている(8〜16MPa)。
【0122】
(実施例6(06DNX110))
重合は、3dmの丸型バッフル付ガラス反応器内で行った。ガラス反応器は、ガラス製撹拌ロッド(三日月型テフロン製撹拌羽根を装着)および熱電対を備えていた。反応器に、0.7gのエポキシイニマー、900cmのヘキサン(室温で測定)、600cmの塩化メチル(−95℃で測定)、2cmのジ−tert−ブチルピリジン(室温で測定)、および240cmのイソブチレン(−95℃で測定)を添加した。6cmのTiClおよび30cmのヘキサン(いずれも室温で測定)の予め冷却した混合物を添加し、−93℃で重合を開始した。重合開始後67分において、250cmのヘキサン(室温で測定)、70cmのpMeSt(室温で測定)、1.0cmのジ−tert−ブチルピリジン(室温で測定)、0.9cmのジメチルアセトアミド(室温で測定)、150cmの塩化メチル、および120cmのイソブチレン(−95℃で測定)の予め冷却した混合物を添加した。重合開始後160分において、125cmのメタノールに溶解させた11gのNaOHを添加して反応を終了させた。重合時に、冷却したピペットを使用してサンプルを採取した。サンプルは10cmのメタノールを含む試験管に注入した。
【0123】
速度測定から、pMeSt/IB混合物を添加した時点の反応器内の未反応のイソブチレンは19.2gと算出された。したがって、モノマー混合物を添加した後のモノマー中のpMeSt含有量は22.2モル%である。
【0124】
塩化メチルを蒸発させた後、ヘキサンをポリマー溶液に添加し、溶液を水で洗浄して中性とした。得られたポリマーをスチーム凝固によって単離し、ホットミルで乾燥し、180℃で加圧成形した。ポリマーの乾燥重量は155.30gだった。HNMR分析によれば、得られたポリマーのpMeStの総含有量は2.3モル%または4.8重量%だった。次に、未加工ポリマーを60phrのN234カーボンブラックと混合した。カーボンブラック混合物はゴムのような挙動を示した。マクロシートを160℃で圧縮成形し、応力歪み挙動を未加工ポリマーと比較した。図16は記録された応力−歪み曲線を示す。図16は、60phrのN234カーボンブラックを混合した本発明に係るポリマー(60phrのN234を使用した06DNX110)と本発明の一実施形態にしたがって形成したポリマー(06DNX110)の応力対伸びを示すグラフである。
【0125】
(実施例7(06DNX120))
重合は、3dmの丸型バッフル付ガラス反応器内で行った。ガラス反応器は、ガラス製撹拌ロッド(三日月型テフロン製撹拌羽根を装着)および熱電対を備えていた。反応器に、0.7gのエポキシイニマー、900cmのヘキサン(室温で測定)、600cmの塩化メチル(−95℃で測定)、2cmのジ−tert−ブチルピリジン(室温で測定)、および240cmのイソブチレン(−95℃で測定)を添加した。6cmのTiClおよび30cmのヘキサン(両方とも室温で測定)の予め冷却した混合物を添加し、−93℃で重合を開始した。重合開始後37.5分において、250cmのヘキサン(室温で測定)、70cmのpMeSt(室温で測定)、1.0cmのジ−tert−ブチルピリジン(室温で測定)、0.9cmのジメチルアセトアミド(室温で測定)、150cmの塩化メチル、および120cmのイソブチレン(−95℃で測定)の予め冷却した混合物を添加した。重合開始後151分において、125cmのメタノールに溶解させた11gのNaOHを添加して反応を終了させた。重合時に、冷却したピペットを使用してサンプルを採取した。サンプルは10cmのメタノールを含む試験管に注入した。
【0126】
速度測定から、pMeStを添加した時点の反応器内の未反応のイソブチレンは51.3gと算出した。したがって、モノマー混合物の添加後のモノマー中のpMeSt含有量は36.8モル%である。
【0127】
塩化メチルを蒸発させた後、ヘキサンをポリマー溶液に添加し、溶液を水で洗浄して中性とした。得られたポリマーをスチーム凝固によって単離し、ホットミルで乾燥し、180℃でプレス成形した。ポリマーの乾燥重量は156gだった。HNMR測定によれば、得られたポリマーのpMeSt含有量は7.9モル%または16.8重量%だった。次に、未加工ポリマーを60phrのN234カーボンブラックと混合した。カーボンブラック混合物はゴムのような挙動を示した。マクロシートを160℃で圧縮成形し、応力歪み挙動を未加工ポリマーと比較した。
【0128】
図17は上述したサンプルの記録された応力−歪み曲線を示す。具体的には、図17は、60phrのN234カーボンブラックを混合した本発明に係るポリマー(60phrのN234を使用した06DNX120)および本発明の一実施形態にしたがって形成された未加工ポリマー(06DNX120)の応力対伸びを示すグラフである。この場合、未加工ポリマーは既に熱可塑弾性を示している。しかしながら、60phrのカーボンブラックによって材料が著しく補強され、引張強さは約2倍となっている。
【0129】
0℃〜200℃の範囲では、Tは111.6℃だった。これは、未加工ポリマーについて測定されたポリ(パラメチルスチレン)末端ブロック(PMS)に特有のものである(TA Instruments DSC、加熱速度:10℃/分、サンプル:10mg)。カーボンブラックを充填したポリマーのTは140.7℃だった。未加工ポリマーをメチルエチルケトン、ヘキサン、およびエタノールで抽出した(ソックスレー抽出器、還流温度で10〜15の流路)。抽出完了後、測定できる重量減少は見られなかった。
【0130】
未加工ポリマーおよびカーボンブラック充填ポリマーのサンプルに対してin vitro生分解研究を行った。1mm厚のシートから12個のディスク(直径:12mm)を切り出した。pH7.4の緩衝液を脱イオン水(Hydrion Chemvelopes)を使用して調製した(−7.4±0.02@25℃)。緩衝液の新しさを確認するために色指示体を添加した。サンプルを2mLの緩衝液を入れたウェルに配置した。トレーをモーターレベル2(Selutec TECO20)の撹拌機(CAT520)上の培養器に配置し、温度を36℃に設定した。実験は20日間行い、毎週月曜日、水曜日、および金曜日に緩衝液を取り替え、質量を記録した。図18は、サンプルの膨潤率対暴露日数のプロットに基づく結果を示す。生分解は全く観察されず、カーボンブラック充填サンプルはより高い親水性を示した。
【0131】
in vitro細菌反応試験を以下のように行った。EF260506サンプルおよびEF310506サンプル(エチレンオキシドで殺菌した5mmのディスク)をヒト赤血球(HE)を含む寒天培地上に配置した。プレートに細菌(第1の細菌:黄色ブドウ球菌(staphylococcus aureas(S.A.))、濃度:0.5McFおよび0.005McF)、第2の細菌:MRSA濃度:0.5McFおよび0.005McF)を接種した。各ポリマーの第3のサンプルを、0.005McFのHEおよびS.A.を添加しない寒天培地上に配置した。サンプルを35℃で24時間培養器に配置した後、阻害領域(inhibition zone)を測定し、写真を撮影した。ポリマーディスクの周囲に阻害領域は見られなかった。
【0132】
マイクロダンベルをラットに移植してin vivo生体適合性研究を行った。サンプルは6カ月後に取り出した。優れた組織相互作用(炎症がない)が観察された。
【0133】
(実施例8)
重合は、500cmの丸型バッフル付ガラス反応器内で行った。反応器は、ガラス製撹拌ロッド(三日月型テフロン製撹拌羽根を装着)および熱電対を備えていた。反応器に、0.07gのpMeOCumStイニマー、90cmのメチルシクロヘキサン(室温で測定)、60cmの塩化メチル(−92℃で測定)、0.2cmのジ−tert−ブチルピリジン(室温で測定)、および24cmのイソブチレン(−92℃で測定)を添加した。0.6cmのTiClおよび3cmのメチルシクロヘキサン(いずれも室温で測定)の予め冷却した混合物を添加し、−92℃で重合を開始した。45分間にわたって重合させた後、2cmのシクロペンタジエン(室温で測定)、5cmのイソブチレン、10cmのメチルシクロヘキサン(室温で測定)、および0.2cmのジ−tert−ブチルピリジン(室温で測定)の混合物を添加した。シクロペンタジエンを添加すると、溶液は明るいオレンジ色になり、粘度が上昇した。重合開始後54分において、1gのNaOHを含有する15cmのメタノールを添加して重合を終了させた。
【0134】
塩化メチルを蒸発させた後、ヘキサンをポリマー溶液に添加し、溶液を水で洗浄して中性とした。得られたポリマーをスチーム凝固によって単離し、オーブン内で100℃で48時間、真空下で乾燥して残留水分を除去した。単離したポリマー材料は白色で、17.2gの乾燥重量を有していた。材料は完全に可溶性であり(ゲルなし)、HNMRおよびSECによって分析した。HNMR分析によれば、材料のシクロペンタジエン含有量は0.4モル%だった。本実施例に関連するデータを表6に示す。
【0135】
図19は非フィラー材料の記録された応力−歪み曲線を示す。具体的には、図19は、PB402を含有するポリマーの未加工ポリマーサンプルおよび0.4モル%のシクロペンタジエン(CPD)を含有するポリマーの未加工ポリマーサンプルの応力対伸びのプロットを示すグラフである。RB402は、97.2モル%のポリイソブチレン(PIB)および2.2モル%のイソプレン(IP)を含有する。樹枝状サンプルは、99.6モル%のイソブチレンおよび0.4モル%のシクロペンタジエンを含有する。しかしながら、上述した実施例と同様に、RB402が直鎖状PIB鎖を含み、不飽和基(IP)が該鎖に沿ってランダムに点在するため、樹枝状サンプルの分子構造はRB402と大きく異なる。本実施例の樹枝状ポリマーは分岐状PIBコアを含み、シクロペンタジエン単位が分岐鎖の末端に結合したIB−co−CPDブロックに存在し、これにより、コポリマー内で局所的に高いシクロペンタジエン含有量を有する。図19では、材料は降伏点を示し、フィラーを添加せずに予測された挙動を示した。
【0136】
次に、ロール温度が45℃のブラベンダーミクロミル上で、実施例8の未加工ポリマーを60phrのN234カーボンブラックと混合した。延出したカーボンブラック混合物は室温で予期しない強度を示し(図20を参照)、このことは通常のブチルポリマーにはない強力な補強を示唆している。この効果を明らかにするために、PB402(市販グレードのブチルポリマー)を使用した比較例を用意した。マクロシートを130℃で圧縮成形し、応力歪み挙動を比較した。0.4モル%のシクロペンタジエンを含有する本発明の樹枝状PIB−CPD官能基化ポリマー(実施例8)によって、直鎖状PB402サンプルで見られない著しいフィラー相互作用がさらに実証された。
【0137】
図20は、60phrのN234カーボンブラックを使用した本発明に係るポリマー(60phrのN234を使用した実施例10)が硬化エラストマーのような挙動を示すことを示している。しかしながら、カーボンブラック混合物は繰り返し成形することができ、冷却すると新たなゴム状物が得られた(再生利用可能ゴム)。
【0138】
【表6】

【0139】
未加工ポリマーまたはフィラー化合物では、外側のIB−co−CPD部分のガラス転移温度はDSCで検出できなかった(図21Aおよび図21B)。
【0140】
(実施例9)
重合は、500cmの丸型バッフル付ガラス反応器内で行った。反応器は、ガラス製撹拌ロッド(三日月型テフロン製撹拌羽根を装着)および熱電対を備えていた。反応器に、0.07gのpMeOCumSt、90cmのメチルシクロヘキサン(室温で測定)、60cmの塩化メチル(−92℃で測定)、0.2cmのジ−tert−ブチルピリジン(室温で測定)、および24cmのイソブチレン(−92℃で測定)を添加した。0.6cmのTiClおよび3cmのメチルシクロヘキサン(いずれも室温で測定)の予め冷却した混合物を添加し、−92℃で重合を開始した。45分間にわたって重合させた後、5cmのシクロペンタジエン(室温で測定)、2cmのイソブチレン、10cmのメチルシクロヘキサン(室温で測定)、および0.2cmのジ−tert−ブチルピリジン(室温で測定)の混合物を添加した。シクロペンタジエンを添加すると、溶液は明るいオレンジ色になり、粘度が大きく上昇した。重合開始後48分において、1gのNaOHを含有する15cmのメタノールを添加して重合を終了させた。
【0141】
塩化メチルを蒸発させた後、ヘキサンをポリマー溶液に添加し、溶液を水で洗浄して中性とした。得られたポリマーをスチーム凝固によって単離し、オーブン内で100℃で48時間、真空下で乾燥して残留水分を除去した。単離したポリマー材料は白色で、16.5gの乾燥重量を有していた。材料は少量のゲルを含み(約1%)、可溶分のみをHNMRおよびSECによって分析した。HNMR分析によれば、可溶分のシクロペンタジエン含有量は1.7モル%だった。得られたデータを表7に示す。
【0142】
図19は非フィラー材料の記録された応力−歪み曲線を示す。具体的には、図19は、未加工ポリマーサンプルの応力対伸びのプロットを示すグラフである。本実施例では、樹枝状サンプルは98.3モル%のイソブチレンおよび1.7モル%のシクロペンタジエンを含有する。しかしながら、上述した実施例と同様に、RB402が直鎖PIB鎖を含み、不飽和基(IP)が該鎖に沿ってランダムに点在するため、樹枝状サンプルの分子構造は大きく異なる。本実施例の樹枝状ポリマーは分岐状PIBコアを含み、シクロペンタジエン単位が分岐鎖の末端に結合したIB−co−CPDブロックに存在し、コポリマー内で局所的に高いシクロペンタジエン含有量を有する。図19では、材料は降伏点を示し、フィラーを添加せずに予測された挙動を示した。
【0143】
次に、ロール温度が45℃のブラベンダーミクロミル上で、本実施例(実施例9)の未加工ポリマーを60phrのN234カーボンブラックと混合した。延出したカーボンブラック混合物は室温で予期しない強度を示し(図20を参照)、このことは通常のブチルポリマーにはない強力な補強を示唆している。この効果は、PB402(市販グレードのブチルポリマー)との比較から明らかである。1.7モル%のシクロペンタジエン基を含有する本発明の樹枝状PIB−CPD官能基化ポリマー(実施例9)によって、直鎖状PB402サンプルで見られない著しいフィラー相互作用が実証された。
【0144】
上述したように、図20は、60phrのN234カーボンブラックを使用した本発明に係るポリマー(60phrのN234を使用した実施例9)が硬化エラストマーのような挙動を示すことを示している。しかしながら、カーボンブラック混合物は繰り返し成形することができ、冷却すると新たなゴム状物が得られた(再生利用可能ゴム)。
【0145】
【表7】

【0146】
(実施例10)
重合は、500cmの丸型バッフル付ガラス反応器内で行った。反応器は、ガラス製撹拌ロッド(三日月型テフロン製撹拌羽根を装着)および熱電対を備えていた。反応器に、0.07gのpMeOCumStイニマー、90cmのヘキサン(室温で測定)、60cmの塩化メチル(−92℃で測定)、0.2cmのジ−tert−ブチルピリジン(室温で測定)、および24cmのイソブチレン(−92℃で測定)を添加した。0.6cmのTiClおよび3cmのヘキサン(いずれも室温で測定)の予め冷却した混合物を添加し、−92℃で重合を開始した。45分間にわたって重合させた後、7cmのシクロペンタジエン(室温で測定)、10cmのヘキサン(室温で測定)、0.1cmのジ−tert−ブチルピリジン(室温で測定)、および0.1cmのジメチルアセトアミドの混合物を添加した。シクロペンタジエンを添加すると、溶液は明るいオレンジ色になり、粘度が大きく上昇した。重合開始後48分において、1gのNaOHを含有する15cmのメタノールを添加して重合を終了させた。
【0147】
塩化メチルを蒸発させた後、ヘキサンをポリマー溶液に添加し、溶液を水で洗浄して中性とした。得られたポリマーをスチーム凝固によって単離し、オーブン内で100℃で48時間、真空下で乾燥して残留水を除去した。単離した実施例10のポリマー材料は白色で、18.4gの乾燥重量を有していた。材料はゲルを含み(約48%)、可溶分のみをHNMRおよびSECによって特性分析した。得られたデータを表8に示す。HNMR測定によれば、ポリマーの可溶分のシクロペンタジエン総含有量は3.5モル%だった。
【0148】
【表8】

【0149】
(実施例11)
重合は、500cmの丸型バッフル付ガラス反応器内で行った。反応器は、ガラス製撹拌ロッド(三日月型テフロン製撹拌羽根を装着)と熱電対を備えていた。反応器に、0.07gのpMeOCumStイニマー、90cmのヘキサン(室温で測定)、60cmの塩化メチル(−92℃で測定)、0.2cmのジ−tert−ブチルピリジン(室温で測定)、および24cmのイソブチレン(−92℃で測定)を添加した。0.6cmのTiClおよび3cmのヘキサン(いずれも室温で測定)の予め冷却した混合物を添加し、−92℃で重合を開始した。45分間にわたって重合させた後、7cmのシクロペンタジエン(室温で測定)、10cmのヘキサン(室温で測定)、および0.1cmのジ−tert−ブチルピリジン(室温で測定)の混合物を添加した。シクロペンタジエンを添加すると、溶液は明るいオレンジ色になり、粘度が大きく上昇した。重合開始後48分において、1gのNaOHを含有する15cmのメタノールを添加して重合を終了させた。
【0150】
塩化メチルを蒸発させた後、ヘキサンをポリマー溶液に添加し、溶液を水で洗浄して中性とした。得られたポリマーをスチーム凝固によって単離し、オーブン内で100℃で48時間、真空下で乾燥して残留水を除去した。単離した実施例11のポリマー材料は白色で、19.0gの乾燥重量を有していた。得られた材料はゲル画分を含むため(約78%)、可溶分のみをHNMRおよびSECによって同定した。得られたデータを表9に示す。HNMR測定によれば、ポリマーの可溶分のシクロペンタジエン総含有量は9モル%だった。
【0151】
【表9】

【0152】
本発明の化合物は様々な技術分野で有用である。例えば、生物医学用途(例えば、ステントにおける使用)、タイヤ用途(例えば、インナーライナーにおける使用)、食品関連包装用途、製薬封止剤、各種密封剤用途等が挙げられる。本発明の化合物の各種タイヤ用途における使用に関して、本発明の化合物はハロゲン化工程(例えば、臭素化工程または塩素化工程)によってさらに変性させることができる。そのようなハロゲン化工程は当業者には公知であり、説明は省略する。
【0153】
以上、具体的な実施形態を参照して本発明を詳細に説明したが、その他の実施形態も同様の結果を達成することができる。本発明の変形および変更は当業者には明らかであり、本発明は添付の請求項においてそのような全ての変形および均等物を網羅することを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の分岐点を有し、低いガラス転移温度(T)を有する樹枝状弾性ポリマー部分と、
前記樹枝状弾性ポリマー部分の前記2以上の分岐の少なくとも1つの末端に位置する1以上の末端官能基化部分と、
を含む、末端官能基化樹枝状ポリマー。
【請求項2】
請求項1において、
前記樹枝状弾性ポリマー部分は低いガラス転移温度(T)を有し、樹枝状ポリイソオレフィンコアを含む、末端官能基化樹枝状ポリマー。
【請求項3】
請求項1において、
前記1以上の末端官能基化部分が、約40℃未満のガラス転移温度を有する1種以上のホモポリマーまたはコポリマーに由来するものである、末端官能基化樹枝状ポリマー。
【請求項4】
請求項1において、
前記1以上の末端官能基化部分が、約30℃未満のガラス転移温度を有する1以上のホモポリマーまたはコポリマーに由来するものである、末端官能基化樹枝状ポリマー。
【請求項5】
請求項1において、
熱可塑弾性を示す、末端官能基化樹枝状ポリマー。
【請求項6】
請求項1において、
少なくとも1種のフィラーをさらに含む、末端官能基化樹枝状ポリマー。
【請求項7】
少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンの反応生成物を含み、
高いガラス転移温度(T)を有するポリマーまたはコポリマーに由来する約5重量%未満の末端ブロックによって末端官能基化された、末端官能基化樹枝状ポリマー。
【請求項8】
請求項7において、
前記少なくとも1種のイニマー化合物が下記式で表される、末端官能基化樹枝状ポリマー。
【化8】

(式中、R、R、R、R、R、およびRは水素、直鎖または分岐状のC〜C10アルキル、C〜Cアリールからそれぞれ独立して選択されるか、
、R、およびRが水素であり、
、R、およびRが水素、水酸基、臭素、塩素、フッ素、ヨウ素、エステル(−O−C(O)−R)、過酸化物(−OOR)、および−O−Rからそれぞれ独立して選択され、Rが置換されていない直鎖または分岐状のC〜C20アルキル、置換されていない直鎖または分岐状のC〜C10アルキル、置換された直鎖または分岐状のC〜C20アルキル、置換された直鎖または分岐状のC〜C10アルキル、炭素数2〜約20のアリール基、炭素数9〜15のアリール基、あるいは炭素数2〜約20の置換されたアリール基または炭素数9〜15の置換されたアリール基であるか、
、R、およびRのうち1つが塩素またはフッ素であり、R、R、およびRの残りの2つが置換されていない直鎖または分岐状のC〜C20アルキル、置換されていない直鎖または分岐状のC〜C10アルキル、置換された直鎖または分岐状のC〜C20アルキル、あるいは置換された直鎖または分岐状のC〜C10アルキルであるか、
、R、およびRのうち2つがエポキシドを形成し、残りのR基が水素、置換されていない直鎖または分岐状のC〜C10アルキル、あるいは置換された直鎖または分岐状のC〜C10アルキルである。)
【請求項9】
請求項8において、
前記イニマー化合物(I)のA部分およびB部分がベンゼン環を介して結合している、末端官能基化樹枝状ポリマー組成物。
【請求項10】
請求項8において、
前記イニマー化合物(I)のA部分およびB部分が下記式(II)で表される結合を介して結合している、末端官能基化樹枝状ポリマー組成物。
【化9】

(式中、nは1〜約12の整数である。)
【請求項11】
請求項10において、
nが1〜約6の整数である、末端官能基化樹枝状ポリマー組成物。
【請求項12】
請求項10において、
nが1または2である、末端官能基化樹枝状ポリマー組成物。
【請求項13】
請求項8において、
前記少なくとも1種のイソオレフィン化合物が下記式で表される、末端官能基化樹枝状ポリマー。
【化10】

(式中、Rはメチル、エチルまたはプロピル等のC〜Cアルキル基である。)
【請求項14】
請求項7において、
前記1以上の末端官能基化部分が、1種以上のスチレンまたはスチレン誘導体のホモポリマーまたはコポリマーに由来するものである、末端官能基化樹枝状ポリマー。
【請求項15】
請求項7において、
前記1以上の末端官能基化部分が、約40℃を超えるガラス転移温度を有する1種以上のホモポリマーまたはコポリマーに由来するものである、末端官能基化樹枝状ポリマー。
【請求項16】
請求項7において、
前記1以上の末端官能基化部分が、約50℃を超えるガラス転移温度を有する1種以上のホモポリマーまたはコポリマーに由来するものである、末端官能基化樹枝状ポリマー。
【請求項17】
請求項7において、
前記イニマー化合物が、4−(2−ヒドロキシイソプロピル)スチレン、4−(2−メトキシイソプロピル)スチレン、4−(1−メトキシイソプロピル)スチレン、4−(2−クロロイソプロピル)スチレン、4−(2−アセトキシイソプロピル)スチレン、2,3,5,6−テトラメチル−4−(2−ヒドロキシイソプロピル)スチレン、3−(2−メトキシイソプロピル)スチレン、4−(エポキシイソプロピル)スチレン、4,4,6−トリメチル−6−ヒドロキシ−1−ヘプテン、4,4,6−トリメチル−6−クロロ−1−ヘプテン、4,4,6−トリメチル−6,7−エポキシ−1−ヘプテン、4,4,6,6,8−ペンタメチル−8−ヒドロキシ−1−ノネン、4,4,6,6,8−ペンタメチル−8−クロロ−1−ノネン、4,4,6,6,8−ペンタメチル−8,9−エポキシ−1−ノネン、3,3,5−トリメチル−5−ヒドロキシ−1−ヘキセン、3,3,5−トリメチル−5−クロロ−1−ヘキセン、3,3,5−トリメチル−5,6−エポキシ−1−ヘキセン、3,3,5,5,7−ペンタメチル−7−ヒドロキシ−1−オクテン、3,3,5,5,7−ペンタメチル−7−クロロ−1−オクテン、3,3,5,5,7−ペンタメチル−7,8−エポキシ−1−オクテンから選択される、末端官能基化樹枝状ポリマー。
【請求項18】
請求項17において、
前記イニマー化合物が4−(2−メトキシイソプロピル)スチレンおよび4−(エポキシイソプロピル)スチレンから選択される、末端官能基化樹枝状ポリマー。
【請求項19】
請求項7において、
少なくとも1種のフィラーをさらに含む、末端官能基化樹枝状ポリマー。
【請求項20】
少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンの反応生成物を含み、
飽和コアおよび1以上の不飽和末端官能基化部分を有する、末端官能基化樹枝状ポリマー。
【請求項21】
少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンの反応生成物を含み、相分離を示す、樹枝状ポリマー。
【請求項22】
少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンの反応生成物を含み、低いTを有するポリマーまたはコポリマーに由来する約0.5〜約50重量%の末端ブロックを含む、末端官能基化樹枝状ポリマー。
【請求項23】
請求項22において、
約1〜約40重量%の末端ブロックを含む、末端官能基化樹枝状ポリマー。
【請求項24】
請求項22において、
約2〜約30重量%の末端ブロックを含む、末端官能基化樹枝状ポリマー。
【請求項25】
請求項22において、
約3〜約20重量%の末端ブロックを含む、末端官能基化樹枝状ポリマー。
【請求項26】
請求項2において、
約1〜約25重量%の末端ブロックを含む、末端官能基化樹枝状ポリマー。
【請求項27】
少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンの反応生成物を含み、
イソプレンまたはその他のカチオン重合性モノマーを含有する低Tホモポリマーまたはコポリマーによって末端官能基化された、末端官能基化樹枝状ポリマー。
【請求項28】
少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンの反応生成物を含み、
少なくとも1種のフィラーをさらに含む、末端官能基化樹枝状ポリマー。
【請求項29】
少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンの反応生成物を含み、
架橋および/または硬化させてブチルゴムを形成することができる、末端官能基化樹枝状ポリマー。
【請求項30】
請求項29において、
前記ブチルゴムが1種以上のフィラーを含む、末端官能基化樹枝状ポリマー。
【請求項31】
少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンの反応生成物を含む末端官能基化熱可塑性弾性樹枝状ポリマーであって、
前記末端官能基化熱可塑性弾性樹枝状ポリマーが1種以上のフィラーで補強され、
前記1種以上のフィラーが前記末端官能基化熱可塑性弾性樹枝状ポリマーの前記末端官能基化部分と優先的に相互作用する、末端官能基化熱可塑性弾性樹枝状ポリマー。
【請求項32】
少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンの反応生成物を含む末端官能基化熱可塑性弾性樹枝状ポリマーであって、
前記ポリマーの末端官能基化部分が約10,000g/モル未満の数平均分子量を有する、末端官能基化熱可塑性弾性樹枝状ポリマー。
【請求項33】
請求項32において、
前記ポリマーの末端官能基化部分が約7,500g/モル未満の数平均分子量を有する、末端官能基化熱可塑性弾性樹枝状ポリマー。
【請求項34】
請求項32において、
前記ポリマーの末端官能基化部分が約6,000g/モル未満の数平均分子量を有する、末端官能基化熱可塑性弾性樹枝状ポリマー。
【請求項35】
請求項32において、
前記ポリマーの末端官能基化部分が約5,000g/モル未満の数平均分子量を有する、末端官能基化熱可塑性弾性樹枝状ポリマー。
【請求項36】
(A)少なくとも1種のイニマー化合物と少なくとも1種のイソオレフィン化合物とを適当な溶媒中で混合して、イニマー/イソオレフィン混合物を得る工程と、
(B)前記イニマー/イソオレフィン混合物に少なくとも1種のルイス酸ハロゲン化物を添加して、重合反応混合物を得る工程と、
(C)前記工程(B)で得られた前記重合反応混合物を重合させて、ポリマー生成物を得る工程と、
(D)前記ポリマー生成物を末端官能基化反応させて末端官能基化ポリマー生成物を得る工程と、
(E)前記末端官能基化ポリマー生成物を回収する工程と、を含む、末端官能基化樹枝状ポリマー組成物の製造方法。
【請求項37】
請求項36において、
前記イニマー化合物が下記式で表される、方法。
【化11】

(式中、R、R、R、R、R、およびRは水素、直鎖または分岐状のC〜C10アルキル、C〜Cアリールからそれぞれ独立して選択されるか、
、R、およびRが水素であり、
、R、およびRが水素、水酸基、臭素、塩素、フッ素、ヨウ素、エステル(−O−C(O)−R)、過酸化物(−OOR)、および−O−Rからそれぞれ独立して選択され、Rが置換されていない直鎖または分岐状のC〜C20アルキル、置換されていない直鎖または分岐状のC〜C10アルキル、置換された直鎖または分岐状のC〜C20アルキル、置換された直鎖または分岐状のC〜C10アルキル、炭素数2〜約20のアリール基、炭素数9〜15のアリール基、炭素数2〜約20の置換されたアリール基、あるいは炭素数9〜15の置換されたアリール基であるか、
、R、およびRのうち1つが塩素またはフッ素であり、R、R、およびRの残りの2つが置換されていない直鎖または分岐状のC〜C20アルキル、置換されていない直鎖または分岐状のC〜C10アルキル、置換された直鎖または分岐状のC〜C20アルキル、あるいは置換された直鎖または分岐状のC〜C10アルキルであるか、
、R、およびRのうち2つがエポキシドを形成し、残りのR基が水素、置換されていない直鎖または分岐状のC〜C10アルキル、あるいは置換された直鎖または分岐状のC〜C10アルキルである。)
【請求項38】
請求項37において、
前記イニマー化合物(I)のA部分およびB部分がベンゼン環を介して結合している、方法。
【請求項39】
請求項37において、
前記イニマー化合物(I)のA部分およびB部分が下記式(II)で表される結合を介して結合している、方法。
【化12】

(式中、nは1〜約12の整数である。)
【請求項40】
請求項39において、
nは1〜約6の整数である、方法。
【請求項41】
請求項39において、
nは1または2である、方法。
【請求項42】
請求項36において、
前記イニマー化合物が、4−(2−ヒドロキシイソプロピル)スチレン、4−(2−メトキシイソプロピル)スチレン、4−(1−メトキシイソプロピル)スチレン、4−(2−クロロイソプロピル)スチレン、4−(2−アセトキシイソプロピル)スチレン、2,3,5,6−テトラメチル−4−(2−ヒドロキシイソプロピル)スチレン、3−(2−メトキシイソプロピル)スチレン、4−(エポキシイソプロピル)スチレン、4,4,6−トリメチル−6−ヒドロキシ−1−ヘプテン、4,4,6−トリメチル−6−クロロ−1−ヘプテン、4,4,6−トリメチル−6,7−エポキシ−1−ヘプテン、4,4,6,6,8−ペンタメチル−8−ヒドロキシ−1−ノネン、4,4,6,6,8−ペンタメチル−8−クロロ−1−ノネン、4,4,6,6,8−ペンタメチル−8,9−エポキシ−1−ノネン、3,3,5−トリメチル−5−ヒドロキシ−1−ヘキセン、3,3,5−トリメチル−5−クロロ−1−ヘキセン、3,3,5−トリメチル−5,6−エポキシ−1−ヘキセン、3,3,5,5,7−ペンタメチル−7−ヒドロキシ−1−オクテン、3,3,5,5,7−ペンタメチル−7−クロロ−1−オクテン、3,3,5,5,7−ペンタメチル−7,8−エポキシ−1−オクテンから選択される、方法。
【請求項43】
請求項42において、
前記イニマー化合物が4−(2−メトキシイソプロピル)スチレンおよび4−(エポキシイソプロピル)スチレンから選択される、方法。
【請求項44】
請求項36において、
前記少なくとも1種のイソオレフィン化合物が下記式で表される、方法。
【化13】

(式中、Rはメチル、エチルまたはプロピル等のC〜Cアルキル基である。)
【請求項45】
請求項44において、
前記少なくとも1種のイソオレフィン化合物がイソブチレンまたは2−メチル−1−ブテンである、方法。
【請求項46】
請求項44において、
前記少なくとも1種のイソオレフィン化合物がイソブチレンである、方法。
【請求項47】
請求項36において、
前記末端官能基化工程(D)において、イソプレン、ブタジエン−1,3、2−メチルブタジエン−1,3、2,4−ジメチルブタジエン−1,3、ピペリレン、3−メチルペンタジエン−1,3、ヘキサジエン−2,4、2−ネオペンチルブタジエン−1,3、2−メチルヘキサジエン−1,5、2,5−ジメチルヘキサジエン−2,4、2−メチルペンタジエン−1,4、2−メチルヘプタジエン−1,6、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、1−ビニル−シクロヘキサジエンおよびそれらの2種以上の混合物の少なくとも1種を使用して所望の末端官能基化を行う、方法。
【請求項48】
請求項36において、
少なくとも1種の電子対供与体化合物を使用することをさらに含む、方法。
【請求項49】
請求項48において、
前記少なくとも1種の電子対供与体化合物が、酢酸エチル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドから選択される、方法。
【請求項50】
請求項36において、
少なくとも1種のプロトン捕捉化合物を使用することをさらに含む、方法。
【請求項51】
請求項50において、
前記少なくとも1種のプロトン捕捉化合物が2,6−ジ−tert−ブチルピリジン、4−メチル−2,6−ジ−tert−ブチルピリジン、ジイソプロピルエチルアミンから選択される、方法。
【請求項52】
請求項36において、
少なくとも1種のプロトン捕捉化合物を使用するとともに、少なくとも1種の電子対供与体化合物を使用することをさらに含む、方法。
【請求項53】
請求項36において、
少なくとも1種のフィラーを前記末端官能基化ポリマーに添加することをさらに含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【公表番号】特表2010−502782(P2010−502782A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526758(P2009−526758)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/019280
【国際公開番号】WO2008/027589
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(509057523)ザ ユニバーシティ オブ アクロン (1)
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF AKRON
【住所又は居所原語表記】302 Buchtel Common, Akron,Ohio 44325,U.S.A.
【出願人】(504351677)ランクセス・インコーポレイテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】Lanxess Inc.
【Fターム(参考)】