説明

樹脂とゴムとを接着するための分子接着剤,樹脂とゴムとの接着方法及び樹脂とゴムとの接着複合製品

【課題】 樹脂の界面を安定させて樹脂とゴムとを、簡易な方法で化学結合させ直接強固に接着させるようにする。
【解決手段】 OH基含有樹脂をアルコキシシラン含有トリアジンジチオール金属塩を備えた分子接着剤の溶液に浸漬して分子接着剤を付着処理し、OH基含有樹脂の表面に表面反応性を賦与してこのOH基含有樹脂を表面反応性樹脂とする付着処理工程と、表面反応性樹脂の表面の一部若しくは全部に対してゴムとの接着反応性を制御する接着反応性制御工程と、表面反応性樹脂に未加硫ゴムを接触させて熱圧着する接着工程とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子接着により樹脂とゴムとを強固に接着するための分子接着剤,樹脂とゴムとの接着方法及び樹脂とゴムとの接着複合製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹脂とゴムとの接着において、ゴム層破壊が生じるような強い接着強度を示す技術としては、樹脂表面を脱脂処理、ブラスト処理、プライマーの塗布、接着剤の塗布を行ない、そして未加硫ゴムを接触させて加熱圧着するなどの工程を経る方法が一般的である。
また、本願発明者らにより、例えば、特許文献1(特開平09−71664号公報)に掲載されているように、トリアジンチオール誘導体を用いた接着技術も開発されている。これは、樹脂の成形体にNiまたはCuを含む金属メッキを施し、この金属メッキに接触させた状態で、トリアジンチオール誘導体を含有させたゴムを架橋して、金属メッキとゴムを架橋接着することにより、金属メッキを介して樹脂の成形体とゴムとを接着するというものである。
【0003】
【特許文献1】特開平09−71664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の前者の従来方法では、複雑な工程を経て接着物が製造されるので、製品のコスト高を招くと言う問題があった。
また、後者の方法では、トリアジンチオール誘導体は金属メッキとゴムとを結合するので、トリアジンチオール誘導体が直接、樹脂とゴムの接着剤としては働いていない。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、樹脂の界面を安定させて樹脂とゴムとを、簡易な方法で化学結合させ直接強固に接着させるようにした樹脂とゴムとを接着するための分子接着剤,樹脂とゴムとの接着方法及び樹脂とゴムとの接着複合製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題を解決するためには、まず、両者を連結する物質が必要であるが、本願発明者は、トリアジン環にチオール基とシラノール基を導入した分子接着剤(アルコキシシラン含有トリアジンジチオール金属塩)を開発した。この分子接着剤により、ゴムと反応する官能基を、OH基を含む樹脂表面に単分子層で生成させ、これらの反応性を制御しながら、ゴムと加熱圧着して樹脂とゴム間を化学結合で連結させることが有効であることを見出した。即ち、分子接着剤のアルコキシシラン基が、OH基含有樹脂のOH基と反応して樹脂表面にゴムと反応性のチオール基を与えることを見出した。
【0007】
詳しくは、本発明は、先ず、樹脂とゴムとを接着するための分子接着剤であって、
【0008】
【化3】

【0009】
(式中、R1は、H-, CH3-, C2H5-, n-C3H7-, CH2=CHCH2-, n-C4H9-, C6H5-, C6H13-であり、R2は-CH2CH2-, -CH2CH2CH2-, -CH2CH2CH2CH2CH2CH2-, -CH2CH2SCH2CH2- , -CH2CH2NHCH2CH2CH2-, -(CH2CH2)2N-CH2CH2CH2-, -CH2CH2OCONHCH2CH2CH2-, -CH2CH2NHCONHCH2CH2CH2-, -(CH2CH2)2CHOCONHCH2CH2CH2-であり、XはH-,CH3-, C2H5-, n-C3H7-, i-C3H7-, n-C4H9-, i-C4H9-, t-C4H9-であり、YはCH3O-, C2H5O-, n-C3H7O-, i-C3H7O-, n-C4H9O-, i-C4H9O-, t-C4H9O-であり、nは1から3までの整数を意味し、Mはアルカリ金属である。)で示される化合物(アルコキシシラン含有トリアジンジチオール金属塩)を備えた分子接着剤にある。ここで、分子接着剤としたのは、樹脂表面に単分子層を形成して作用するからである。
【0010】
また、本発明は、OH基含有樹脂にゴムを接着する樹脂とゴムとの接着方法であって、上記の化合物(アルコキシシラン含有トリアジンジチオール金属塩)を備えた分子接着剤を用い、予め、上記OH基含有樹脂に上記分子接着剤を付着処理し、該OH基含有樹脂に表面反応性を賦与して該OH基含有樹脂を表面反応性樹脂とする付着処理工程と、その後、該表面反応性樹脂にゴムを接着する接着工程とを備えた構成としている。付着処理工程において、OH基含有樹脂に分子接着剤を付着させる方法としては、OH基含有樹脂を分子接着剤の溶液に浸漬処理する方法、OH基含有樹脂に分子接着剤の溶液を塗布する方法等、どのような方法を用いてもよい。
ここで、OH基含有樹脂とは、前記したようにOH基を含む樹脂表面であればよく、そのためには、樹脂そのものにOH基を有する樹脂を用いる、または、樹脂表面を加工することによって樹脂表面にOH基を生成させた樹脂を用いること等であってもよい。
【0011】
付着処理工程において、アルコキシシラン含有トリアジンジチオール金属塩(分子接着剤)を用いるときは、樹脂としてOH基含有樹脂を用い、これを分子接着剤の溶液に浸漬処理等して分子接着剤を付着処理する。これにより、OH基含有樹脂表面にチオール基が導入され、即ち、ゴムと反応する官能基(SH基)が樹脂表面に導入される。
【0012】
その後、接着工程において、表面反応性樹脂にゴムを接着する。この場合、OH基含有樹脂表面にチオール基が導入されているので、ゴムが簡易な方法で化学結合させられ、樹脂表面に直接強固に接着させられる。
【0013】
そして、必要に応じ、上記接着工程で、上記表面反応性樹脂の表面に、未加硫ゴムを接触させて熱圧着する構成としている。これにより、未加硫ゴムを熱圧着すると、両者間に化学結合が生成され、樹脂とゴムが接着される。
【0014】
そしてまた、必要に応じ、上記接着工程の前に、上記表面反応性樹脂の表面の一部若しくは全部に対して上記ゴムとの接着反応性を制御する接着反応性制御工程を設けた構成としている。これにより、接着反応性制御工程では、表面反応性樹脂の表面の一部若しくは全部において、その表面が活性化または不活性化され、ゴムとの接着反応性が制御されるので、ゴムの種類や性質に合わせてゴムとの接着程度を調整できるようになる。
例えば、表面反応性樹脂の表面の一部に対してゴムとの接着反応性を制御すると、表面反応性樹脂の表面を、ゴムとの反応性の異なる部分に分別でき、そのため、例えば、ゴムの種類によっても種々異なるが、ゴムが接着する部分と接着しない部分を形成でき、接着工程においてゴムを表面反応性樹脂の表面に選択的に接着させることができるようになる。
【0015】
また、必要に応じ、上記接着反応性制御工程において、上記表面反応性樹脂の表面の一部若しくは全部に対して200〜400nmの紫外線を照射する構成としている。この場合、例えば、表面反応性樹脂の表面を部分的にマスクで覆い、これに紫外線照射すると、紫外線照射部分はジスルフィド基(SS基)に変化し、未照射部分はSH基が残る。このように紫外線照射により、樹脂表面を反応性の異なる部分に分別することができる。そのため、例えば、ゴムの種類によっても種々異なるが、ゴムが接着する部分と接着しない部分を形成でき、接着工程においてゴムを表面反応性樹脂の表面に選択的に接着させることができるようになる。
【0016】
更に、必要に応じ、上記接着反応性制御工程において、上記表面反応性樹脂を金属塩水溶液に浸漬する構成としている。これにより、SH基を活性化または不活性化することができ、そのため、例えば、ゴムの種類によっても種々異なるが、ゴムが接着する部分と接着しない部分を形成でき、接着工程においてゴムを表面反応性樹脂の表面に選択的に接着させることができるようになる。
【0017】
更にまた、必要に応じ、上記接着反応性制御工程において、上記表面反応性樹脂を金属還元触媒溶液に浸漬するとともに、無電解めっき液に浸漬し、上記表面反応性樹脂の表面の一部若しくは全部をメタル化する構成としている。この場合、SH基部分がメタル化される。そのため、例えば、ゴムが接着する部分と接着しない部分を形成でき、接着工程においてゴムを表面反応性樹脂の表面に選択的に接着させることができるようになる。
【0018】
また、必要に応じ、上記接着反応性制御工程において、上記表面反応性樹脂を有機ハロゲン化合物溶液に浸漬する構成としている。この場合、SH基部分が有機物でブロックされて不活性化する。そのため、例えば、ゴムが接着する部分と接着しない部分を形成でき、接着工程においてゴムを表面反応性樹脂の表面に選択的に接着させることができるようになる。
【0019】
更に、必要に応じ、上記接着反応性制御工程において、上記表面反応性樹脂を有機硫黄化合物溶液に浸漬する構成としている。この場合、SH基部分と有機硫黄化合物が反応して不飽和ゴムに対して活性な官能基が生成する。そのため、例えば、ゴムの種類によっても種々異なるが、ゴムが接着する部分と接着しない部分を形成でき、接着工程においてゴムを表面反応性樹脂の表面に選択的に接着させることができるようになる。
【0020】
更にまた、必要に応じ、上記接着反応性制御工程において、上記表面反応性樹脂を有機過酸化物溶液に浸漬する構成としている。この場合、SH基部分と有機過酸化物が反応して不飽和ゴムに対して活性な官能基が生成する。そのため、例えば、ゴムの種類によっても種々異なるが、ゴムが接着する部分と接着しない部分を形成でき、接着工程においてゴムを表面反応性樹脂の表面に選択的に接着させることができるようになる。
【0021】
また、本発明は、樹脂を剛体とし、ゴムを弾性体とし、上記の樹脂とゴムとの接着方法により製造される樹脂とゴムとの接着複合製品にある。樹脂とゴムとが直接強固に接着した接着複合製品が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明の樹脂とゴムとを接着するための分子接着剤,樹脂とゴムとの接着方法及び樹脂とゴムとの接着複合製品によれば、樹脂の界面を安定させて樹脂とゴムとを、簡易な方法で化学結合させ直接強固に接着させることができる。
また、接着工程の前に、表面反応性樹脂の表面の一部若しくは全部に対してゴムとの接着反応性を制御する接着反応性制御工程を設けた場合には、表面反応性樹脂の表面においてゴムとの接着具合を調整できるようになる。そのため、例えば、表面反応性樹脂の表面を、ゴムとの反応性の異なる部分に分別でき、ゴムが接着する部分と接着しない部分を形成でき、接着工程においてゴムを表面反応性樹脂の表面に選択的に接着させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る樹脂とゴムとを接着するための分子接着剤,樹脂とゴムとの接着方法及び樹脂とゴムとの接着複合製品について詳細に説明する。
本発明の実施の形態に係る分子接着剤は、以下の化学式で示される化合物(アルコキシシラン含有トリアジンジチオール金属塩)を備えている。ここで、分子接着剤としたのは、樹脂表面に単分子層を形成して作用するからである。
【0024】
【化4】

【0025】
式中、R1は、H-, CH3-, C2H5-, n-C3H7-, CH2=CHCH2-, n-C4H9-, C6H5-, C6H13-であり、R2は-CH2CH2-, -CH2CH2CH2-, -CH2CH2CH2CH2CH2CH2-, -CH2CH2SCH2CH2- , -CH2CH2NHCH2CH2CH2-, -(CH2CH2)2N-CH2CH2CH2-, -CH2CH2OCONHCH2CH2CH2-, -CH2CH2NHCONHCH2CH2CH2-, -(CH2CH2)2CHOCONHCH2CH2CH2-であり、XはH-,CH3-, C2H5-, n-C3H7-, i-C3H7-, n-C4H9-, i-C4H9-, t-C4H9-であり、YはCH3O-, C2H5O-, n-C3H7O-, i-C3H7O-, n-C4H9O-, i-C4H9O-, t-C4H9O-であり、nは1から3までの整数を意味し、Mはアルカリ金属である。アルカリ金属としては、例えば、Li, Na, K, Ceなどである。
【0026】
ここで、OH基含有樹脂とは、セルロース及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン、二酢酸セルロース、表面ケン化酢酸ビニル樹脂、フェノール-フォルマリン樹脂、ハイドロキノン-フォルマリン樹脂、クレゾール-フォルマリン樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、レゾルシン-フォルマリン樹脂、セロファン、メラミン樹脂、グリプタル樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、水酸基含有ポリビニルホルマール樹脂、ヒドロキシエチルメタアクリレートの単独重合体又はその共重合体、ヒドロキシエチルアクリレートの単独重合体又はその共重合体、ポリビニルアルコールとその共重合体など樹脂製品の表面に水酸基を有する樹脂であれば何でも良い。
【0027】
また、上記以外のポリエチレンフタレート、ポリエチレンブチレート、ポリフェニルエーテル、ポリフェニレンサルファイドなど樹脂に対して高分子量又は低分子量の多価アルコール類を混合し、表面に水酸基を有する樹脂複合体なども使用できる。
【0028】
さらにまた、OH基を含有しない以下の樹脂においても、コロナ放電、大気圧プラズマ照射及びUV照射処理によって、OH基表面含有樹脂に変換することができる。OH基表面含有樹脂に変換することができる樹脂とは、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、i-ポリプロピレン、石油樹脂、ポリスチレン、s-ポリスチレン、クロマン・インデン樹脂、テルペン樹脂、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体、ABS樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリルニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、ポリシアノアクリレー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン・エチレン共重合体、フッ化ビニリデン・プロピレン共重合体、1,4-トランスポリブタジエン、ポリオキシメチレン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グリプタル樹脂、変性グリプタル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチテレンテレフタレート、不飽和ポリエステル樹脂、アリルエステル樹脂、ポリカーボネート、6-ナイロン、6'6-ナイロン、6'10-ナイロン、ポリイミド、ポリアミド、ポリベンズイミダゾール、ポリアミドイミド、ケイ素樹脂、シリコンゴム、シリコン樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリジメチルフェニレンオキサイド、ポリフェニレンオキサイドまたはポリジメチルフェニレンオキサイドとトリアリルイソシアヌルブレンド物、(ポリフェニレンオキサイドまたはポリジメチルフェニレンオキサイド、トリアリルイソシアヌル、パーオキサイド)ブレンド物、ポリキシレン、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PPI、カプトン)、液晶樹脂、ケブラー繊維(デュポン社の商品名)、炭素繊維とこれら複数材料のブレンド物などポリテトラフロロエチレン以外の高分子材料、又は天然ゴム、1,4-シスブタジエンゴム、イソプレンゴム、ポリクロロプレン、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、水素添加スチレン・ブタジエン共重合ゴム、アクリルニトリル・ブタジエン共重合ゴム、水素添加アクリルニトリル・ブタジエン共重合ゴム、ポリブテン、ポリイソブチレン、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ターポリマー、塩素化ポリエチレン、クロルスルフォン化ポリエチレン、アルキル化クロルスルフォン化ポリエチレン、クロロプレンゴム、塩素化アクリルゴム、臭素化アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンとその共重合ゴム、塩素化エチレンプロピレンゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴムなどのゴム材料と架橋物などがすべて該当する。
【0029】
樹脂表面のコロナ放電処理はコロナ表面改質装置(例えば、信光電気計測株式会社製コロナマスター)を用いて、電源:AC100V、出力電圧:0〜20kV、発振周波数:0〜40kHzで0.1〜60秒、温度0〜60℃の条件で行われる。
樹脂表面の大気圧プラズマ処理は大気圧プラズマ発生装置(例えば、松下電工株式会社製、Airplasma)を用いて、プラズマ処理速度10〜100mm/s、電源: AC 200 or 220 V(30A)、圧縮エア:0.5MPa(1NL/min)、高周波:10kHz/300W〜5GHz、電力:100〜400W、照射時間:0.1〜60秒の条件で行われる。
樹脂表面のUV照射はUV-LED照射装置(例えば、株式会社オムロン製UV-LED照射装置ZUV-C30H)を用いて、波長:200〜400nm、電源:AC 100V、光源ピーク照度:400〜3000mW/cm2、照射時間:1〜60秒の条件で行われる。
最適処理条件はいずれの場合も、樹脂の種類や履歴、樹脂添加剤の種類と量、充填剤の種類と量などにより大きく変化して一義的に範囲を指定できない。しかしながら、樹脂表面が処理後水に対して拡張濡れ(表面張力:55kN/m以上)示すことと照射時間が1〜60秒の範囲に入るように操作条件を設定することが重要である。
【0030】
また、OH基を導入し易い樹脂を得る目的で、樹脂に多官能性モノマーと過酸化物を添加することが出来る。多官能性モノマーとして、トリアリルイソシアヌル、ジアクリル酸エチレンエステル、テトラアクリル酸ペンタエリスリトール、などを10〜50重量部添加する。
更に、過酸化物などの架橋剤を加えて三次元化して使用することができる。
【0031】
これらの樹脂は剛体としての特性を強化する目的で、カーボン、炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、ガラス、湿式及び乾式シリカなどの充填剤やレーヨン、ナイロン、ポリエステル、ビニロン、スチール、ケブラ(デュポン社の商品名)、炭素繊維、ガラス繊維などの繊維や布を0〜100重量部、好ましくは10〜60重量部を入れる。充填剤量は多いほど剛性は得られるが、60重量部以上添加すると加工性が著しく低下する。また、10重量部以下では期待した剛性が得られない場合がある。
【0032】
また、これらの樹脂の熱による変形を防ぐため補強する場合には、カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、湿式及び乾式シリカなどの充填剤やレーヨン、ナイロン(デュポン社の商品名)、ポリエステル、ビニロン、スチール、ケブラ(デュポン社の商品名)、炭素繊維、ガラス繊維などの繊維や布を入れたり、過酸化物などの架橋剤や多官能性モノマーを加えて三次元化して使用することにより目的を達成する。
【0033】
次に、本発明の実施の形態に係る樹脂とゴムとの接着方法について説明する。この方法は、OH基含有樹脂にゴムを接着する樹脂とゴムとの接着方法であって、上記の分子接着剤(アルコキシシラン含有トリアジンジチオール金属塩)を用い、予め、OH基含有樹脂に分子接着剤を付着処理し、OH基含有樹脂に表面反応性を賦与してこのOH基含有樹脂を表面反応性樹脂とする付着処理工程(1)と、表面反応性樹脂の表面の一部若しくは全部(実施の形態では一部)に対してゴムとの接着反応性を制御する接着反応性制御工程(2)と、その後、この表面反応性樹脂にゴムを接着する接着工程(3)とを備えて構成されている。以下、各工程について詳述する。
【0034】
(1)付着処理工程
この工程では、予め、OH基含有樹脂(樹脂基板)を分子接着剤の溶液に浸漬処理する。尚、OH基含有樹脂(樹脂基板)に分子接着剤の溶液を塗布処理するようにしてもよく、適宜変更して差支えない。分子接着剤は溶剤に0.001から10重量%(以下wt%と言う)の範囲内で溶解して使用する。好ましくは0.01から2wt%である。0.01wt%以下では十分な剥離強度が得られない場合が発生しやすくなる。2wt%以上でも1分子膜層のほかに多分子膜の層も生成し、十分な剥離強度が得られなくなるので好ましくない。
【0035】
ここで云う、溶剤とは水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、ヘキサノン、酢酸エチルなどのアルコール、エーテル、エステル、ケトン系の有機溶剤とこれらの混合溶媒が使用可能である。
【0036】
そして、この分子接着剤の溶液にOH基含有樹脂からなる樹脂基板を浸漬する。この場合、0℃から100℃の溶液の温度範囲内で、1秒から60分間の浸漬で目的が達成される。浸漬条件は溶液の温度、時間及び濃度によって支配されるので、一義的に決められないが、一定濃度では、温度が低い場合は時間が長く、また温度が高い場合は時間が短くなる傾向は明示できる。
そして、浸漬後、樹脂基板は40〜200℃で1〜30分間の加熱乾燥や前記の溶剤による洗浄を行なう。これにより、樹脂基板には反応性が賦与される。
【0037】
(2)接着反応性制御工程
表面反応性樹脂の表面の一部若しくは全部(実施の形態では一部)に対してゴムとの接着反応性を制御する工程である。この工程は、必要に応じて設けられ、特に必要ない場合もある。この工程を設ける理由は、例えば、後述の未加硫ゴム配合の反応性は加硫配合剤の特性により異なるため、樹脂表面のチオール基の反応性を制御するためである。例えば、含ハロゲンゴムにおいてはMgOやZnOなどの受酸剤が添加されていれば、トリアジンジチオールのチオール基は130℃〜200℃の温度範囲で容易に反応するので、容易に樹脂とゴム間で接着反応が起こる。
また、接着反応を促進したいときは樹脂をアルカリ水溶液に浸漬して使用すれば目的は達成される。
【0038】
接着反応性制御工程においては、以下に挙げる種々の制御方法を適宜採用することができる。
【0039】
(2−1)紫外線照射
樹脂表面にマスクをかけて紫外線照射をする。この場合、表面反応性樹脂の表面の一部若しくは全部に対して200〜400nmの紫外線を照射する。これにより、反応性のSH基が結合した樹脂基板をマスクで覆い、これに紫外線照射すると、紫外線照射部分はジスルフィド基(SS基)に変化し、未照射部分はSH基が残る。このように紫外線照射により、樹脂表面を反応性の異なる部分に分別することができる。
【0040】
紫外線の光源として、水銀ランプ(波長;254、303、313、365nm)やメタルハライドランプ(200−450nm)を使用できる。また、ベンゾフェノン系の増感剤を吸着させるとハイパーメタルハライドランプ(400−450nm)も使用可能である。
【0041】
紫外線照射の条件は0〜100℃、1秒〜100分間で目的を達成できるが、好ましくは20〜50℃で20秒〜180秒である。これら以下の条件では紫外線照射部分が完全にSS基に変換しないでSH基が残る場合がある。また、これら以上の条件では紫外線照射部分が分解する場合があるので、好ましくない場合がある。一般に、100%SS基変換率は温度が低いと、長時間で達成され、温度が高いと短時間で達成される。
【0042】
(2−2)金属塩水溶液への浸漬
上記ようにしてSH基とSS基が存在する樹脂製品を、0.001−1mol/Lの濃度範囲で調製された金属塩水溶液に1秒〜60分間、好ましくは20〜50℃で20秒〜180秒浸漬する。これにより、SH基を活性化または不活性化することが出来る。
ここ云う金属塩とはLi, Na, K, Ce, Mg, Ca, Ba, Ni, Fe, Co, Zn, Cd, Al, Au, Pt, Pd, Sn, Cu, Agなどの塩酸、硫酸、硝酸、炭酸塩などである。
【0043】
(2−3)メタル化
紫外線照射後の表面反応性樹脂を金属還元触媒溶液に浸漬するとともに、無電解めっき液に浸漬する。即ち、上記のようにしてSH基とSS基が表面に存在する樹脂製品を、0.001−1mol/Lの濃度範囲で調製されたPdCl2とSnCl2・7H2OからなるPd-Sn塩水溶液に1秒〜60分間、好ましくは20〜50℃で20秒〜180秒浸漬後、無電解めっき浴に0〜100℃で1〜300分間浸漬する。これにより、SH基部分がメタル化される。
【0044】
無電解めっき浴とは金属塩と還元剤が主成分であり、これにpH調整剤、緩衝剤、錯化剤、促進剤、安定剤及び改良剤などの補助成分が添加されてなる。
【0045】
無電解めっきのできる金属は金、銀、銅、ニッケル、コバルト、鉄、パラジウム、白金、真鍮、モリブデン、タングステン、パーマロイ、スチールなどであり、これらの金属塩が使用される。
具体的な金属塩として、AuCN, Ag(NH3)2NO3, AgCN, CuSO4・5H2O, CuEDTA, NiSO4・7H2O, NiCl2, Ni(OCOCH3)2、CoSO4, CoCl2, SnCl2・7H2O、PdCl2などを挙げることができ、主に0.001−1mol/Lの濃度範囲で使用される。
【0046】
還元剤とは上記の金属塩を還元して金属を生成する作用を持つものであり、KBH4, NaBH4, NaH2PO2, (CH3)2NH・BH3, CH2O, NH2NH2, ヒドロキシルアミン塩、N,N-エチルグリシンなどであり、0.001−1 mol/Lの濃度範囲で使用される。
【0047】
以上のような主成分に対して、無電解めっき浴の寿命を延長させたり、還元効率を高める目的で補助成分を加えるが、塩基性化合物、無機塩、有機酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩、水酸化アンモニア、EDTA, ジアミノエチレン、酒石酸ナトリウム、エチレングリコール、チオ尿素、トリアジンチオール、トリエタノールアミンなどを0.001−0.1 mol/Lの濃度範囲で使用される。
【0048】
無電解めっきは浴の種類及びめっきの目的などによりめっき条件は異なり明確に範囲指定し難いが、おおよそ0−98℃の温度範囲及び、1分から300分の浸漬時間で使用される。
【0049】
(2−4)有機ハロゲン化合物溶液への浸漬
上記のようなSH基とSS基が表面に存在する樹脂製品を、0.001−1mol/Lの濃度範囲で調製された有機ハロゲン化物溶液に0〜100℃で1〜300分間、好ましくは30〜70℃で10〜60分間浸漬すると、SH基部分が有機物でブロックされて不活性化する。
【0050】
ここで云う溶液とは、XCH2COONa, XCH2COOCH3, C6H5CH2X, CH2=CHCH2X(XはCl, Br及びIである)などの有機ハロゲン化物とNaOH, KOH、トリエチルアミン、ジブチルアミン、ジチクロヘキシルアミン、ジメチルアニリンなどのアルカリを水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、ヘキサノン、酢酸エチルなどとこれらの混合溶媒に溶解させて得られる。
【0051】
(2−5)有機硫黄化合物溶液への浸漬
上記のようにSH基とSS基が表面に存在する樹脂製品を、0.001−1mol/Lの濃度範囲で調製された有機硫黄化合物溶液に0〜100℃で1〜300分間、好ましくは30〜70℃で1〜60分間浸漬すると、SH基部分と有機硫黄化合物が反応して不飽和ゴムに対して活性な官能基が生成する。
【0052】
有機硫黄化合物とは、ジベンゾチアゾイルジスルフィド、4-モルホリノジチオベンゾチアゾ−ル、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾイルスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾイルスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾイルスルフェンアミド、N-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾイルスルフェンアミド、N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾイルスルフェンアミド、テトラメチルチューラムジスルフィド、テトラエチルチューラムジスルフィド、テトラブチルチューラムジスルフィド、テトラオクチルチューラムジスルフィドなどを示し、これらをメタノール、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、ヘキサノン、酢酸エチルなどとこれらの混合溶媒に溶解させて使用される。
【0053】
(2−6)有機過酸化物溶液への浸漬
上記のようにSH基とSS基が表面に存在する樹脂製品を、0.001−1mol/Lの濃度範囲で調製された有機過酸化物溶液に0〜100℃で1〜300分間、好ましくは10〜50℃で1〜60分間浸漬すると、SH基部分と有機過酸化物が反応して不飽和ゴムに対して活性な官能基が生成する。
【0054】
有機過酸化物とは、ベンゾイルぺリオキシド、t-ブチルパーベンゾエイト、ジクミルペルオキシド、ジt-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、ジ(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどを意味し、これらは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、ヘキサノン、酢酸エチルなどとこれらの混合溶媒に溶解させて使用される。
【0055】
(3)ゴムの接着工程
上記のように処理した表面反応性樹脂にゴムを接着する。実施の形態では、表面反応性樹脂の表面に、未加硫ゴムを接触させて熱圧着する。
未加硫ゴムの配合は、エラストマー、充填剤、加硫剤、加硫促進剤、金属活性剤などを必須成分とし、この他に安定剤、老化防止剤、紫外線防止剤、軟化剤、着色剤、リターダーなどを添加して構成される。
【0056】
エラストマーとはポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、クロルスルフォン化ポリエチレン、アルキル化クロルスルフォン化ポリエチレン、クロロプレンゴム、塩素化アクリルゴム、臭素化アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンとその共重合ゴム、塩素化エチレンプロピレンゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、アクリルゴム、エチレン-アクリルゴム、シリコンゴム、ウレタンゴムなどを挙げることができる。
【0057】
ゴムの強度を高めたり、増量の目的で充填剤を添加する。充填剤として、例えば、HAF, FEFなどの各種グレードのカーボンブラック、シリカ、ニプシル、タルク、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭素繊維、ケブラー繊維(デュポン社の商品名)、ポリエステル繊維、ガラス繊維などを挙げることができる。
充填剤の使用量は通常、エラストマー100重量部に対して、1〜200重量部の範囲で添加することが出来るが、好ましくは20〜80重量部の範囲が良好な結果を与える。
【0058】
エラストマーを加硫するために、トリアジントリチオール、2-ジブチルアミノ-1,3,5-トリアジン-4,6-ジチオール、エチレンチオウレア、ビスフェノールA,硫黄、コロイド硫黄、ジクミルペルオキシド、ジt-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、ジ(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどの過酸化物、ベンゾキノンジオキシム、ザリゲン、ジメチロール・フェノールなどの架橋剤を0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部を添加される。0.5重量部以下では架橋が不完全となるため、十分な弾性体とならない。また5重量部以上になると架橋度が高すぎて硬い弾性体となり気密性やシール性の特性が発揮されなくなる。
【0059】
上記の加硫を促進するため、ジベンゾチアゾイルジスルフィド、4-モルホリノジチオベンゾチアゾールなどのアゾール系、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾイルスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾイルスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾイルスルフェンアミド、N-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾイルスルフェンアミド、N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾイルスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系およびテトラメチルチューラムジスルフィド、テトラエチルチューラムジスルフィド、テトラブチルチューラムジスルフィド、テトラオクチルチューラムジスルフィドなどのチュラム系の加硫促進剤が0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部添加される。0.5重量部以下では架橋が不完全となるため、十分な弾性体とならない。また5重量部以上になると架橋度が高すぎて硬い弾性体となり気密性やシール性の特性が発揮されなくなる。
【0060】
架橋速度を調節したり、受酸の目的で、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化鉄、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、脂肪酸ナトリウム、オクチル酸カルシウム、イソオクチル酸カリウム、カリウムブトキサイド、オクチル酸セシウム、イソステアリン酸カリウムなどの金属活性剤を0.1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部を添加される。1重量部以下では目的を達成できない場合が生じる。また10重量部以上になるとゴムの性質が変化する場合が生じるので好ましくない。
【0061】
上記のようにして得られた樹脂製品と未加硫ゴムは両者を接触させて、0〜30気圧(0〜3MPa)で80℃〜200℃で1〜60分間加熱すると本発明の実施の形態に係る樹脂とゴムとの接着複合製品が得られる。
【0062】
本発明の実施の形態に係る樹脂とゴムとの接着複合製品において、含ハロゲン高分子化合物の架橋物は従来の製品より高い強度を有するため、ホース、O−リング、パッキン、オイルシール、金属との接着物、ダイヤフラム、ガスケット、大型ゴムロール、複写機用ゴムロール、コンベアベルト、補強ベルト、医療用ゴム製品、電気・電子部品用ゴム製品、建築用ゴム製品、コンピューター製品、自動車製品、バス・トラック製品、飛行機製品など多くの分野に使用できる。
【実施例】
【0063】
次に、本発明の実施例1〜22を挙げる。そして、実施例1〜15については比較例1〜15とともに剥離強度についての試験を行なった。実施例16〜21についても剥離強度についての試験を行なった。
【0064】
「実施例1〜6」,「比較例1〜6」
図1に示されるレシピーに従い、アクリルゴム配合(ACM)、ヒドリン共重合ゴム配合(ECO),スチレン−ブタジエンゴム配合(SBR),ニトリル−ブタジエンゴム配合(NBR),エチレン−プロピレンゴム配合(EPDM),シリコンゴム配合(VMQ)を調製した。アクリルゴム(AR72),ヒドリンゴム(ゼクロン2000)、スチレン-ブタジエンゴム(Nipole1500),ニトリル-ブタジエンゴム配合(Nipole1042)は日本ゼオン株式会社の製品を、エチレン-プロピレンゴム(EPT3045)はJSR株式会社の製品を、またシリコンゴム(KE-650-U)は信越シリコーン株式会社の製品をそれぞれ使用した。シリカゲル(NipsileVN3)は日本シリカ工業株式会社、SRFブラック(旭#50)は旭カーボン株式会社、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリチオール(ゴム配合物の加硫剤のZisnet-F)は三協化成株式会社、パーヘキサ25Bは日本油脂株式会社、CBS(加硫促進剤)は大内新興化学工業株式会社の製品を使用した。その他の薬品は試薬を使用した。
ゴム100重量部に対して、充填剤とステアリン酸を30〜50重量部添加してババリーミキサーで80℃で20分間混合し、その後ロールで10分間ブレンドして、マスターバッチとした。次に、加硫剤、加硫促進剤及び金属活性剤をロール上でブレンドして、ゴムコンパウンドとした。
【0065】
OH基含有樹脂としてエポキシ樹脂プリプレグ(30x60x1mm)を用いた。これは味の素株式会社の製品を使用した。そして、エポキシ樹脂板の半分(30x30x1mm)を6-(トリエトキシシラン)プロピルアミノ−1,3,5-トリアジン‐4,6‐ジチオールモノナトリウム(以下分子接着剤と云う)のエタノール溶液に40℃で10分間浸漬後、150℃で10分間熱風乾燥する。この浸漬面をXPSによりS2pを分析したところ、162.4eVにC=Sに基づくピークが1.43cpsの強度で確認されたが、残り半分(30x30x1mm)からはS2pピークは検出されなかった。浸漬面をSH面とし、非浸漬面をO面と呼ぶ。
【0066】
それから、SH基面とO面からなるエポキシ樹脂板に上記のゴムコンパウンドシート(30x60x1mm)を載せて、20気圧(2MPa)の圧力で160℃で30分間熱プレス加硫を行った。SH基面のものを実施例1〜6とし、O面のものを比較例1〜6とした。
【0067】
これらの実施例1〜6及び比較例1〜6について、以下の剥離試験を行なった。試験は、各接着物に10mm間隔で3本の切れ身を入れて、剥離強度を20℃、5mm/minの速度で引張試験(島津オートグラフ AGS-1kND)により測定した。実施例1〜6及び比較例1〜6の剥離強度を図1に示した。
【0068】
この結果から以下のことが言える。ACM及びECOゴム配合は含ハロゲンゴムを使用し、SBR及びNBRゴム配合はジエン系のゴムを硫黄加硫している。更にEPDMとVMQゴム配合は過酸化物架橋を使用している。
分子接着剤が結合されていないエポキシ樹脂のO面(比較例)では、いずれのゴム配合でも剥離強度は全く確認されなかった。しかしながら、エポキシ樹脂のSH基面と接触したゴム配合はいずれにおいても、高い剥離強度が得られた。これはSH基面がハロゲンゴムと直接反応すること、硫黄加硫配合においても加硫促進剤の作用によりまた過酸化物加硫配合においても過酸化物の作用によりゴムと反応したためである。
【0069】
「実施例7〜12」,「比較例7〜12」
実施例1〜6で得たSH基面とO面からなるエポキシ樹脂に、200〜400nmの紫外線を30℃で30秒間照射した。表面をXPS分析を行い、S2pスペクトルを測定したところ、164.5eVにSS基に基づくピークが1.38cpsの強度で観察されたが、O面からはどんなS2pピークも観察されなかった。これは紫外線照射によりSH基面はSS基面に変化したことを示す。
次に、図2で示される6種類のゴム配合をSS基面とO面からなるエポキシ樹脂板に載せて20気圧(2MPa)の圧力で160℃で30分間熱プレス加硫を行った。SS基面のものを実施例7〜12とし、O面のものを比較例7〜12とした。
【0070】
これらの実施例7〜12及び比較例7〜12について、以下の剥離試験を行なった。試験は、接着物に10mm間隔で3本の切れ身を入れて、剥離強度を20℃、5mm/minの速度で引張試験(島津オートグラフ AGS-1kND)により測定した。実施例7〜12及び比較例7〜12の剥離強度を図2に示した。
【0071】
この結果によれば、SS基面は含ハロゲンゴムとは反応しないので、ACM及びECOゴム配合とは接着しなかったが、硫黄加硫または過酸化物加硫では反応するので、SBR配合、NBR配合、EPDM配合及びVMQ配合では高い剥離強度が得られた。しかし、O面はいずれの場合も全く接着しなかった。
【0072】
「実施例13〜15」,「比較例13〜15」
樹脂として酢酸セルロース樹脂板を用いた。酢酸セルロース樹脂板(30x60x1mm)の半分(30x30x1mm)を5%NaOH-アルコール溶液に40℃で5分間浸漬して、表面を加水分解してOH基を生成させた。これを6-(トリエトキシシラン)プロピルアミノ−1,3,5-トリアジン-4,6-ジチオールモノナトリウムのエタノール溶液に40℃で10分間浸漬後、150℃で10分間熱風乾燥する。この浸漬面をXPSによりS2pを分析したところ、162.4eVにC=Sに基づくピークが2.13cpsの強度で確認されたが、残り半分(30x30x1mm)からはS2pピークは検出されなかった。これはOH基面が浸漬によってSH基面に変化したためであり、非浸漬面はO面である。
SH基面とO面からなる酢酸セルロース樹脂板に上記のゴムコンパウンドシート(30x60x1mm)を載せて、20気圧(2MPa)の圧力で160℃で30分間熱プレス加硫を行なった。SH基面のものを実施例13〜15とし、O面のものを比較例13〜15とした。
【0073】
これらの実施例13〜15及び比較例13〜15について、以下の剥離試験を行なった。試験は、接着物に10mm間隔で3本の切れ身を入れて、剥離強度を20℃、5mm/minの速度で引張試験(島津オートグラフ AGS-1kND)により測定した。実施例13〜15及び比較例13〜15の剥離強度を図3に示す。
【0074】
この結果により、酢酸セルロース樹脂板表面がNaOH水溶液により加水分解することによってOH基が生成し、これが分子接着剤と反応して接着面に変化するためエポキシ樹脂板と同様に接着することが明らかとなった。
【0075】
「実施例16〜21」
エポキシ樹脂板(30x60x1mm)を6-(トリエトキシシラン)プロピルアミノ1,3,5-トリアジン-4,6-ジチオールモノナトリウム(以下分子接着剤と云う)のエタノール溶液に40℃で10分間浸漬後、150℃で10分間熱風乾燥する。この浸漬面をXPSによりS2pを分析したところ、162.4eVにC=Sに基づくピークが1.23cpsの強度で確認され、SH基面を造る。次にSH基面のエポキシ樹脂板を紫外線遮断(30x30x1mm)及び透過(30x30x1mm)マスクで覆い、200〜400nmの紫外線を30℃で60秒間照射した。紫外線透過面のXPS分析を行ない、S2pスペクトルを測定したところ、164.5eVにSS基に基づくピークが1.26cpsの強度で観察された。これは紫外線遮断面はSH基面より、また紫外線透過面はSS基面からなることを意味する。
【0076】
次に、SH基面とSS基面からなるエポキシ樹脂板を1%CuSO4水溶液に50℃で5分間浸漬後水洗し、乾燥した。これをXPS分析を行ない、S2pスペクトルを測定したところ、SH基面のS2pピークは161.8eVにSCu基に基づくピークとして、1.33cpsの強度で観察されたが、SS基面は変化しなかった。
6種類のゴム配合をSCu基面とSS基面からなるエポキシ樹脂板に載せて20気圧(2MPa)の圧力で160℃で30分間熱プレス加硫を行った。これらを実施例16〜21とした。
【0077】
これらの実施例16〜21について剥離強度の試験を行なった。試験は、接着物に10mm間隔で3本の切れ身を入れて、剥離強度を20℃、5mm/minの速度で引張試験(島津オートグラフ AGS-1kND)により測定した。実施例16〜21の試験結果を図4に示す。
【0078】
この結果により、ACM及びECOゴム配合はSCu基面は若干接着するが、SS基面は接着しない。SBR及びNBRゴム配合はSCu基面およびSS基面共に良く接着する。しかし、過酸化物架橋のEPDMとVMQゴム配合はSS基面と良く接着するが、SCu基面とは接着しなかった。いずれも場合も反応が起こるかどうかがポイントとなる。
【0079】
「実施例23」
エポキシ樹脂により、図5に示すように、所定の寸法の成型製品を射出成型により得る。成型製品は太い円筒部分(30mmφx14mm)、歯車(20mmφx5mm), 心棒(10mmφx160mm)からなる、エポキシ樹脂にはガラス粉が40wt%充填されており、剛性は十分にある。この成型製品を6-(トリエトキシシラン)プロピルアミノ−1,3,5‐トリアジン‐4,6-ジチオールモノナトリウム(以下分子接着剤と云う)のエタノール溶液に40℃で10分間浸漬後、150℃で10分間熱風乾燥すると、全表面がSH基面となる。歯車と心棒部分にマスクで覆い、紫外線を照射する。太い円筒部分は紫外線照射面であるからSS基面となり、歯車と心棒は紫外線遮断面であるからSH基面である。これをPd-Sn活性化浴(上村工業株式会社製、NP-8 150ml/lとHCl 150ml/l)に25℃で1分間浸漬後、無電解ニッケルめっき浴(カニゼン株式会社シュマー:硫酸ニッケル20g/dm3, ジ亜燐酸ソーダー24g/dm3 , 乳酸27g/dm3 , プロピオン酸2g/dm3 )80℃で60分間浸漬すると、歯車と心棒(SH基面)部分に摺動性に優れたニッケルめっきを生成する。その後、太い円筒部分(SS基面)にゴムを接触して加硫する。
【0080】
「実施例24〜34」,「比較例16〜26」
先ず、架橋ポリエチレン(C-PE、三商株式会社製C-PE板、1x30x50mm)、ポリプロピレン(PP、三商株式会社製PP板、1x30x50mm)、(ポリジメチルフェニレンオキサイド:50、トリアリルイソシアヌル50、パーオキサイド:2)ブレンド物(POT、1x30x50mm)、ポリスチレン(PSt、三商株式会社製PSt板、1x30x50mm)、アクリルニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS、三商株式会社製ABS板、1x30x50mm)、ポリオキシメチレン(POM、三商株式会社製POM板、1x30x50mm)、ポリカーボネイト(PC、三商株式会社製PC板、1x30x50mm)、ポリメチルメタクリレート(PMMM、三商株式会社製PMMA板、1x30x50mm)、ポリイミド(PI、三商株式会社製PI板、1x30x50mm)、ポリエステル(PET、三商株式会社製PET板、1x30x50mm)、ポリ塩化ビニル(PVC、三商株式会社製PVC板、1x30x50mm)を信光電気計測株式会社製コロナマスターPS-1M(14kV, 15kHz, AC 100V)を用いて20℃、1〜10秒間処理して表面の汚れ洗浄とOH基の生成を行った。
【0081】
次に、分子接着剤(6-(トリエトキシシラン)プロピルアミノ‐1,3,5‐トリアジン-4,6-ジチオールモノナトリウム:TESTD)0.1gをエタノール/水混合溶媒100ml(エタノール95g:水5g)に溶解して作成した分子接着剤溶液にOH基表面含有樹脂基板を20℃で1分間浸漬後、80〜150℃で10分間加熱乾燥した。得られた試料表面から未反応の分子接着剤を除去するために、アルコール洗浄をして分子接着剤表面結合樹脂基板とした。
続いて、分子接着剤表面結合樹脂基板と次に示すSBR未架橋シートを接触させて金型に入れ、150℃で30分間加熱加硫をした。こうして得られたSBR架橋シートに幅1cmの切身を入れ、5mm/minの引張速度でT字はく離試験(JIS K-6854(1977))を行い、はく離強度を求めた。
SBR未架橋シート:スチレン・ブタジエンゴム(日本ゼオン社製S BR, Nipol 1500)100重量部、HAFカーボンブラック50重量部、ステアリン酸1重量部、ジクミルペルオキシド2重量部、トリアリルイソシアヌレート2重量部をロールでブレンドして、厚さ3mmのSBR未架橋シートとする。
【0082】
結果を図6に示す。実施例24〜34においては、樹脂の種類に関係なく高いはく離強度を示し、接着破壊はゴム層の破断であった。しかしながら、比較例16〜26に示されるように、コロナ放電処理とTESTD処理をしない樹脂板は全く接着しないか、又は非常に低い接着強度を示すのみであった。以上の結果から、樹脂に対するコロナ放電処理はOH基を表面に出すために有効であり、結果としてTESTD処理が有効に働いていることがわかる。
【0083】
「実施例35〜37」,「比較例27〜28」
ポリエステル(PET、三商株式会社製PET板、1x30x50mm)の表面を信光電気計測株式会社製コロナマスターPS-1M(14kV, 15kHz, AC 100V、20℃、5秒間処理)、松下電工株式会社製大気圧プラズマ発生装置(Airplasma、プラズマ処理速度50mm/s, 電源: 200V(30A)、圧縮エア:0.5MPa(1NL/min)、周波数:50kHz/300W、電力:400W、照射時間:6秒)、株式会社オムロン製UV-LED照射装置(ZUV‐C30H、波長:200〜400nm、電源:AC 100V、光源ピーク照度:400〜3000mW/cm2、照射時間:10秒)により、表面処理した。
【0084】
次に、分子接着剤(TESTD)0.1gをエタノール/水混合溶媒100ml(エタノール95g:水5g)に溶解して作成した分子接着剤溶液にOH基表面含有樹脂基板を20℃で1分間浸漬後、80〜150℃で10分間加熱乾燥した。得られた試料表面から未反応の分子接着剤を除去するために、アルコール洗浄をして分子接着剤表面結合樹脂基板とした。
続いて、分子接着剤表面結合樹脂基板と次に示すSBR未架橋シートを接触させて金型に入れ、150℃で30分間加熱加硫をした。SBR架橋シートに幅1cmの切身を入れ、5mm/minの引張速度でT字はく離試験(JIS K-6854(1977))を行い、はく離強度を求めた。
SBR未架橋シート:スチレン・ブタジエンゴム(日本ゼオン社製SBR, Nipol 1500)100重量部、HAFカーボンブラック50重量部、ステアリン酸1重量部、硫黄2重量部、N‐シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド2重量部、ZnO5重量部をロールでブレンドして、厚さ3mmのSBR未架橋シートとする。
【0085】
結果を図7に示す。樹脂表面をコロナ放電処理、プラズマ処理およびUV処理したPET樹脂板はTESTD処理により、表面にジチオールトリアジニル基があるため、SBR未加硫ゴムを加硫すると接着することがわかった。この時の接着強度はゴム層破断するほど強く、PET樹脂とSBRゴムが化学結合で結合していることがわかる。しかし、比較例27〜29に示したようにコロナ放電処理、プラズマ処理およびUV処理したPET樹脂板はTESTD処理をしないときにはく離強度が0.2-0.4kN/mと低く、界面破壊であった。以上の結果から、コロナ放電処理、プラズマ処理およびUV処理は樹脂表面にOH基を生成させるため、本発明の接着に必要であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明によれば、トリアジン環にチオール基とシラノール基を導入した分子接着剤によりゴムと反応する官能基をOH基を含む樹脂表面に単分子層で生成させ、これらの反応性を制御しながら、ゴムと加熱圧着して樹脂とゴム間を化学結合で連結して接着物を得ることができる。更に、この技術を用いて樹脂部分を剛体とし、ゴム部分を弾性体とし、印刷用、トナー定着用及び紙送り用ゴムロール、防振ゴム、封止(シール)部品、免震ゴム、パッキン及びダイヤフラムなどの接着物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施例1〜6を比較例1〜6とともに示すとともに、これらの剥離試験の結果を示す表図である。
【図2】本発明の実施例7〜12を比較例7〜12とともに示すとともに、これらの剥離試験の結果を示す表図である。
【図3】本発明の実施例13〜15を比較例13〜15とともに示すとともに、これらの剥離試験の結果を示す表図である。
【図4】本発明の実施例16〜22を示すとともに、これらの剥離試験の結果を示す表図である。
【図5】本発明の実施例23を示す図である。
【図6】本発明の実施例24〜34を比較例16〜26とともに示すとともに、これらの剥離試験の結果を示す表図である。
【図7】本発明の実施例35〜37を比較例27〜29とともに示すとともに、これらの剥離試験の結果を示す表図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂とゴムとを接着するための分子接着剤であって、
【化1】

(式中、R1は、H-, CH3-, C2H5-, n-C3H7-, CH2=CHCH2-, n-C4H9-, C6H5-, C6H13-であり、R2は-CH2CH2-, -CH2CH2CH2-, -CH2CH2CH2CH2CH2CH2-, -CH2CH2SCH2CH2- , -CH2CH2NHCH2CH2CH2-, -(CH2CH2)2N-CH2CH2CH2-, -CH2CH2OCONHCH2CH2CH2-, -CH2CH2NHCONHCH2CH2CH2-, -(CH2CH2)2CHOCONHCH2CH2CH2-であり、XはH-,CH3-, C2H5-, n-C3H7-, i-C3H7-, n-C4H9-, i-C4H9-, t-C4H9-であり、YはCH3O-, C2H5O-, n-C3H7O-, i-C3H7O-, n-C4H9O-, i-C4H9O-, t-C4H9O-であり、nは1から3までの整数を意味し、Mはアルカリ金属である。)で示される化合物を備えた分子接着剤。
【請求項2】
OH基含有樹脂にゴムを接着する樹脂とゴムとの接着方法であって、
【化2】

(式中、R1は、H-, CH3-, C2H5-, n-C3H7-, CH2=CHCH2-, n-C4H9-, C6H5-, C6H13-であり、R2は-CH2CH2-, -CH2CH2CH2-, -CH2CH2CH2CH2CH2CH2-, -CH2CH2SCH2CH2- , -CH2CH2NHCH2CH2CH2-, -(CH2CH2)2N-CH2CH2CH2-, -CH2CH2OCONHCH2CH2CH2-, -CH2CH2NHCONHCH2CH2CH2-, -(CH2CH2)2CHOCONHCH2CH2CH2-であり、XはH-,CH3-, C2H5-, n-C3H7-, i-C3H7-, n-C4H9-, i-C4H9-, t-C4H9-であり、YはCH3O-, C2H5O-, n-C3H7O-, i-C3H7O-, n-C4H9O-, i-C4H9O-, t-C4H9O-であり、nは1から3までの整数を意味し、Mはアルカリ金属である。)で示される化合物を備えた分子接着剤を用い、
予め、上記OH基含有樹脂に上記分子接着剤を付着処理し、該OH基含有樹脂に表面反応性を賦与して該OH基含有樹脂を表面反応性樹脂とする付着処理工程と、その後、該表面反応性樹脂の表面にゴムを接着する接着工程とを備えたことを特徴とする樹脂とゴムとの接着方法。
【請求項3】
上記接着工程で、上記表面反応性樹脂の表面に、未加硫ゴムを接触させて熱圧着することを特徴とする請求項2記載の樹脂とゴムとの接着方法。
【請求項4】
上記接着工程の前に、上記表面反応性樹脂の表面の一部若しくは全部に対して上記ゴムとの接着反応性を制御する接着反応性制御工程を設けたことを特徴とする請求項2または3記載の樹脂とゴムとの接着方法。
【請求項5】
上記接着反応性制御工程において、上記表面反応性樹脂の表面の一部若しくは全部に対して200〜400nmの紫外線を照射することを特徴とする請求項4記載の樹脂とゴムとの接着方法。
【請求項6】
上記接着反応性制御工程において、上記表面反応性樹脂を金属塩水溶液に浸漬することを特徴とする請求項4または5記載の樹脂とゴムとの接着方法。
【請求項7】
上記接着反応性制御工程において、上記表面反応性樹脂を金属還元触媒溶液に浸漬するとともに、無電解めっき液に浸漬し、上記表面反応性樹脂の表面の一部若しくは全部をメタル化することを特徴とする請求項4または5記載の樹脂とゴムとの接着方法。
【請求項8】
上記接着反応性制御工程において、上記表面反応性樹脂を有機ハロゲン化合物溶液に浸漬することを特徴とする請求項4または5記載の樹脂とゴムとの接着方法。
【請求項9】
上記接着反応性制御工程において、上記表面反応性樹脂を有機硫黄化合物溶液に浸漬することを特徴とする請求項4または5記載の樹脂とゴムとの接着方法。
【請求項10】
上記接着反応性制御工程において、上記表面反応性樹脂を有機過酸化物溶液に浸漬することを特徴とする請求項4または5記載の樹脂とゴムとの接着方法。
【請求項11】
上記樹脂を剛体とし、ゴムを弾性体とし、上記請求項2乃至10いずれかに記載の樹脂とゴムとの接着方法により製造されることを特徴とする樹脂とゴムとの接着複合製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−119752(P2007−119752A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262273(P2006−262273)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(504165591)国立大学法人岩手大学 (222)
【Fターム(参考)】