説明

樹脂シート製造方法、スタンディングバッグ製造方法、インフレーション成形用ダイ及びスタンディングバッグ

【課題】本発明は、医療用輸液バッグ等の用途に適した自立型のスタンディングバッグに関し、密閉型の菌・塵埃混入の恐れを解消することを目的とする。
【解決手段】ダイ10は同芯二重のリング状吐出口を備えており、二重のリング状吐出口から溶融樹脂が空気圧下で押し出され、外側及び内側の筒状フィルムFa, Fbがインフレーション成形される。インフレーション成形された筒状フィルムFa, Fbは外側及び内側が冷却水により冷却され、シート状に圧潰しつつロールRとして巻き取られる。ロールRからのシートSは真ん中で二つ割りにされ、筒状フィルムFa, Fbは切断線にそって両側に開かれ、二つ割りにされた各々が切断縁にそって筒状フィルムFa, Fb対向面が溶着され、バッグのボトムとなる部位が成形され、シートの長手方向でバッグ幅の間隔毎にサイドシールの二倍幅でシート幅方向に溶着され、二倍幅の中間での裁断により個々のバッグとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用輸液バッグ等の用途に適したスタンディングバッグに関し、特に、かかる自立型のスタンディングバッグの製造のための樹脂シート製造方法、樹脂シート製造の製造に使用するインフレーション成形用ダイ、及びスタンディングバッグ製造方法並びにこれらより製造し得るスタンディングバッグに関するものである。本発明は、特に、衛生性を要求される輸液容器の用途に適しており、塵埃の混入防止を考慮した医薬包装用スタンディングバッグおよび電子材料収納用パウチとして使用することができる。
【背景技術】
【0002】
輸液バッグとしてインフレーションフィルムを素材として形成するものが従来より使用されていた(インフレーションフィルムの製造については特許文献1及び2参照)。インフレーション素材は筒状をなしており、一片のシールのみで簡便に平バッグとして袋状化できる工程上の優位性がある。インフレーションによる輸液バッグの製造において、ダイからの成形は異種の樹脂素材を多層に押し出すことにより多層筒状フィルムに成形することが通常であった。多層化により、一枚もののフィルムでは得られない、輸液バッグとして必要になる表面平滑性、透明度、強度、ガスバリア性、熱接着性などの相矛盾する特性の調和が実現可能となる。インフレーションにより得られたフィルム素材はバック長さ毎に切断され、これを後工程でバッグ形状に組み立てることになる。
【0003】
輸液バッグとして、従来は平バッグが主流であるが、病院等における輸液作業の容易性や台車での運搬の際に、積載方式での運搬が可能な起立保持可能型の輸液バッグ(所謂スタンディングバッグ)が要望されていた。スタンディングバッグは、平バックとは異なり、単なる筒状フィルムであるインフレーションフィルムから直接製造は不可能であり、インフレーションフィルムから製造しようとすると、切り出された筒状片に別にフィルムから切り出されたパーツである底帯を熱接着する工程が必要となる。
【特許文献1】特開2001−239631
【特許文献2】特開2005−231266
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
輸液バッグは、菌に対し後工程で滅菌処理があるため完璧な無菌は求められていないが、直接内容液が血液に入るため無塵埃は必須条件である。インフレーションフィルムからのスタンディングバッグの製造に際しては、上述のように、インフレーションフィルムから切り出された筒状片の一端を開口させ、この開口端に別にフィルムから切り出されたパーツである底帯を熱接着する必要があり、いわば、開放型での製造の必要があるため製袋工程中において塵埃の混入・菌による汚染の恐れが避けられなかった。そのため、密閉型の菌・塵埃混入の危険を配慮した製法が希求されていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の自立型のスタンディングバッグは内外二重の筒状フィルムより形成しており、バッグ底面は二重の筒状フィルムにおける内側の筒状フィルムを長手方向に半割に切断してその両側切断縁を筒状フィルム長手方向に半割に切断された外側筒状フィルムの対向両側切断縁に溶着することで構成され、バッグ側面は筒状フィルム長手方向の所定間隔において所定幅の溶着部を中間で切断することで構成され、バッグ開口部は外側筒状フィルムを長手方向両側縁に沿って切除して構成される。
【0006】
二重の筒状フィルムを成形するためのダイは、溶融樹脂の吐出のための内外二重のリング状吐出口(リップ)と、二重のリング状吐出口の延長としての筒状の溶融樹脂の案内路と、各案内路に少なくとも一本接続される夫々の溶融樹脂の導入路と、一端が二重のリング状吐出口間で開口し他端が気体圧力源に連通される第1の気体圧力導入通路と、一端が内側のリング状吐出の内方で開口し他端が気体圧力源に連通される第2の気体圧力導入通路と、一端が内側のリング状吐出の内方で開口し他端が冷却媒体源に連通される冷却媒体導入通路を備える。溶融樹脂の導入路は複数種類の溶融樹脂のため複数本設けられ、吐出口より吐出される筒状フィルムは多層に構成され、また内側筒状フィルムの内部を冷却した後の余剰冷却媒体の回収手段を設けることが好適である。
【0007】
内外二重のリング状吐出口より溶融樹脂を二重の筒状に押し出しつつ二重のリング状吐出口間及び内側のリング状吐出口の内側に気体圧を導入することで二重の筒状フィルムのインフレーション成形を行い、インフレーション形成された二重の筒状フィルムにおける外側の筒状フィルムの外側及び内側の筒状フィルムの内側より冷却水等の冷却媒体による冷却を行い、その後二重の筒状フィルムをシート状に圧潰してロールに巻き取られる。リング状吐出口から複数種類の溶融樹脂を吐出し、筒状フィルムを多層にインフレーション成形することが好適である。
【0008】
二重筒状フィルムからの自立型のスタンディングバッグの製造に際しては、二重筒状フィルムシートのロールからのシートをローラ間で移送しつつシートの幅における中間位置において移送方向に沿った切断線にて切断することで内外の筒状フィルムを移送方向に沿って両側にて開放し、この開放部に中間プレートを挿入させつつ上側シールプレート及び下シールプレートの各々を中間プレートに向け移動させることで切断線に沿った両側の対向部位において内側フィルムと外側フィルムとを溶着し、次いで、移送方向に沿って間隔をおいて全幅に亘って上下のフィルムの対向面を所定幅で溶着し、その後幅方向に置ける両端縁に沿って外側筒状フィルムを切断することにより外側筒状体を両側にて開口させると共に、前記所定幅の部位を中間で幅方向に沿って切断することで個々のバッグに形成される。
【発明の効果】
【0009】
この発明においてはインフレーション成形された二重筒状フィルムを圧潰シート状とし、二重インフレーションシートを幅方向の中央においてロールからの引き取り方向に沿って二つ割りとし、二つ割りとされた切断縁において上下の各々に生成される内外のフィルムの対向面を所定幅にて溶着(シール)することで、二重筒状フィルムにおける内側フィルムに由来するボトム面が所定幅の両側のシール部にて二重筒状フィルムにおける外側フィルムに由来するサイド面に接続された構成の自立型のスタンディングバッグを構成しており、スタンディングバッグの構成に至る全製造過程において二重筒状フィルムの内部は外気に直接晒されることがないため、完全な塵埃フリーの構成が実現する。
【0010】
また、二重筒状フィルムを半割とし、その半割切断縁における外側と内側フィルムの対向面を溶着するだけでボトム面とサイド面とのシール部を構成しており、筒状フィルムにまち(gusset)を入れるような複雑・微妙な工程なしに二重筒状フィルムの切断及び溶着から成形が可能であり、工程コスト的に有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
〔二重筒状フィルムのインフレーション成形〕
図1はこの発明の樹脂シート製造のための装置の全体概略図であり、ダイ10は後述のように、夫々が3層の内外二重の筒状フィルムを成形可能に構成される。夫々が3層の内外二重の筒状フィルムを形成するべく2×3=6個の押出機が設けられ、図1には作図の都合上2個のスクリュー押出機11, 12のみ図示され、押出機11, 12のホッパ11-1, 12-1には夫々の樹脂ペレットが挿入され、内部の押出機構を介してダイ10の内部に導入され、樹脂ペレット内部のヒータにより溶融され後述の内外二重同芯のリング状吐出口より吐出され、内外の筒状フィルムを形成する。図1において、外側のリング状吐出口14aにより形成される外側筒状フィルムをFaにて表し、内側のリング状吐出口14bにより形成される外側筒状フィルムをFbにて表す。
【0012】
図2は本発明の二重筒状フィルムの押出装置の溶融樹脂出口に当たる、環状ダイにおける樹脂の通過部分であるダイ10の構造を示す。ダイ10は同芯二重のリング状吐出口(リップ)、即ち外側のリング状吐出口14a及び内側のリング状吐出口14bと、各リング状吐出口14a; 14bのダイ内部への延長としての筒状の溶融樹脂の案内路16a; 16bと、各案内路16a; 16bに夫々接続される3本の環状溶融樹脂導入路18a-1, 18a-2, 18a-3; 18b-1, 18b-2, 18 b -3とを備える。外側の第1の溶融樹脂導入路18a-1は外側の環状案内路16aの直線的延長に位置し、3層の外側筒状フィルムFaにおける内層を形成するのに役立ち、内側の第1の溶融樹脂導入路18b-1は内側環状案内路16bの直線的延長に位置し、3層の内側筒状フィルムFbにおける内層を形成するのに役立つ。外側の第2の溶融樹脂導入路18a-2は、溶融樹脂の流れ方向における外側の第1の溶融樹脂導入路18a-1の下流において、外側の環状案内路16aに外周側より開口し、3層の外側筒状フィルムFaにおける中間層を形成するのに役立ち、内側の第2の溶融樹脂導入路18b-2は、溶融樹脂の流れ方向において内側の第1の溶融樹脂導入路18b-1の下流において、内側の環状案内路16bに外周側より開口し、3層の内側筒状フィルムFbにおける中間層を形成するのに役立つ。そして、外側の第3の溶融樹脂導入路18a-3は、溶融樹脂の流れ方向における外側の第2の溶融樹脂導入路18a-2の下流において、外側の環状案内路16aに外周側より開口し、3層の外側筒状フィルムFaにおける外層を形成するのに役立ち、内側の第3の溶融樹脂導入路18b-3は、溶融樹脂の流れ方向において内側の第2の溶融樹脂導入路18b-2の下流において、内側の環状案内路16bに外周側より開口し、3層の内側筒状フィルムFbにおける外層を形成するのに役立つ。
【0013】
ダイ10及びその上方部位であるブロック20は各押出機からの樹脂ペレットを溶融するヒータ(図示しない)を備えており、また、溶融樹脂を3層の外側筒状フィルム形成のための溶融樹脂導入路18a-1, 18a-2, 18a-3、3層の内側筒状フィルム形成のための溶融樹脂導入路18b-1, 18b-2, 18b-3にそれぞれ供給するための樹脂供給通路を備えている。図2では簡明のため押出機11からの樹脂供給通路22及び押出機12からの樹脂供給通路24のみが図示され、押出機11からの樹脂ペレットは外側の第1の溶融樹脂導入路18a-1に流入され、その間に溶融されつつ外側の環状案内路16aに流入され、外側筒状フィルムFaにおける内層の形成に与る。また、押出機12からの樹脂ペレットは内側の第1の溶融樹脂導入路18b-1に流入され、その間に溶融されつつ内側の環状案内路16bに流入され、内側筒状フィルムFbにおける内層の形成に与る。同様に、外側筒状フィルムFaの中間層及び外層の形成のため、外側の第2,第3の溶融樹脂導入路18a-2, 18a-3及び内側の第2,第3の溶融樹脂導入路18b-2, 18b-3についても、夫々、押出機及び対応の押出機からの樹脂供給通路が設けられていることは言うまでもない。もとよりであるが、多層間の樹脂の接着性はダイ内での積層時間が長いほど良好であるので、必要な接着性が得られるように溶融通路等の長さを設計する必要がある。
【0014】
図2において、ダイ10はインフレーション成形のため外側空気圧力導入通路26及び内側空気圧力導入通路28を備え、外側空気圧力導入通路26は、下端において、外側のリング状吐出口14aと内側のリング状吐出口14bとの間においてダイ10の下面に開口し、内側空気圧力導入通路28は、下端において、内側のリング状吐出口14bの内側においてダイ10の下面に開口する。外側空気圧力導入通路26及び内側空気圧力導入通路28の夫々の上端はブロック20の上側に延出しており、それぞれ空気圧力源に接続され、図1に示すようにインフレーション成形圧が空気圧力導入通路26, 28に矢印a, bのように導入され、筒状フィルムFa, Fbのインフレーション成形が行われるようになっている。また、ダイ10は内側筒状フィルムFbの内部の冷却のための冷却水噴射通路32及び冷却水の回収通路34を備えており、通路32, 34は内側のリング状吐出口14bの内側においてダイ10の下面から下方に延びている。上端側においては冷却水の噴射通路32は図示しない冷却水送出ポンプに接続され、 矢印cのように冷却水が導入され、また、冷却水の回収通路34は図示しない吸引ポンプに接続され、冷却後の冷却水は矢印dのように回収される。
【0015】
図1において、ダイ10の下方におけるインフレーションフィルムの引取り経路に同心にダイ10の直下において空冷装置36が配置される。その下流側に上下2段の水冷装置38が配置される。水冷装置38の具体的構造の一例は図3に示され、外側筒状フィルムFaの両側に設けられた冷却水槽38-1が配置され、冷却水槽38-1からの冷却水は外側筒状フィルムの全周より矢印fのように掛け流されるようになっている。下段の水冷装置38の直下に筒状フィルムを両側より絞るように案内板42が配置され、案内板42の出口に近接してボトムローラ44が受水槽46内に配置される。ボトムローラ44の側方に一対のニップローラ47が配置され、ニップローラ47の下流側に夫々のニップローラ47に近接するように水切りジェットエアノズル48が配置される。その下流にスリッタ50及び巻取ローラ52が配置される。
【0016】
図1及び図2において、外側において第1の溶融樹脂導入路18a-1からの第1の溶融樹脂により環状案内路16aに形成される第1の溶融樹脂の環状流に下流側の第2の溶融樹脂導入路18a-2からの第2の溶融樹脂の環状流が外周より合流され、これに下流側の第3の溶融樹脂導入路18a-3からの第3の溶融樹脂の環状流が外周より合流され、外側環状案内路16a内での溶融樹脂の流れは3層を呈する。そのため、外側空気圧力導入通路26からの空間V1に向けての加圧エアーと共に外側のリング状吐出口14aから吐出されることにより3層の外側筒状フィルムFaがインフレーション成形される。同様に、内側において第1の溶融樹脂導入路18b-1からの第1の溶融樹脂により環状案内路16bに形成される第1の溶融樹脂の環状流に下流側の第2の溶融樹脂導入路18b-2からの第2の溶融樹脂の環状流が外周より合流され、これに下流側の第3の溶融樹脂導入路18b-3からの第3の溶融樹脂の環状流が外周より合流され、内側環状案内路16b内での溶融樹脂の流れも3層を呈する。そのため、内側空気圧力導入通路28から空間V2への加圧エアーと共に内側のリング状吐出口14bから吐出されることにより3層の内側筒状フィルムFbがインフレーション成形される。
【0017】
このようにして外側筒状フィルムFaと内側の内側筒状フィルムFbとから成る二重筒状フィルムのインフレーション成形が行われる。このように得られた二重筒状フィルムは適温まで冷却を受けた後、低張力下で引き取られ、シート状に扁平化され、ロール(原反)として巻き取られる。即ち、筒状フィルムFa, Fbはダイ10から押し出された直後は円形断面であるが両側より下向きに窄められた案内板42の作用により図4の(イ)(ロ)(ハ)に示すように徐々に扁平化され、適度なエアー(無塵埃)の残留はあるが実質的にシート状を呈してボトムローラ44により矢印hのように方向を転じられ、ニップローラ47及びスリッタローラ50´を介して巻取ローラ52にシートロールRとして巻き取られる(シート巻取方向を矢印jにて示す)。次に、ダイ10から押し出された筒状フィルムの冷却について説明すると、ダイ10から押し出された直後の円形断面の筒状フィルムは外側の全周からの空冷装置36の冷風によりが空冷を受ける。また、その下方では二段の水冷装置38からの冷却水(矢印f)により筒状フィルム、特に、外側筒状フィルムFaが全周により水冷され、冷却後の冷却水は受水槽46により回収される。他方、噴射通路32の先端からの冷却水は内側筒状フィルムFbの内部に噴霧され(矢印k)、内側筒状フィルムFbは内側からの冷却を受ける。内側筒状フィルムFbの内部に噴霧された冷却水はボトムローラ44の部位で扁平化により閉じられた内側筒状フィルムFbの底部に蓄積されるが、内側筒状フィルムFbの底部に蓄積された冷却水は回収通路34により吸引回収される。即ち、噴霧された水の少なくとも一部は内部に未だ残っているため高温により蒸発し、そのときの蒸発潜熱を効率的な冷却に役立てることができる。残留した水及び発生した蒸気は吸引管34により外部に排出することができる。
【0018】
筒状フィルムFa, Fbはボトムローラ44やニップローラ47通過時、更には巻取ローラ52上でのロールRへの巻取状態ではシート状に扁平化(図4(ハ))され、筒状フィルムFa, Fbの対向面は密着し得るが、ダイ10からの吐出後案内板42により扁平に規制を受けるまでに筒状フィルムFa, Fbは外周及び内部から冷却水により十分な冷却されることで対向面の実質的な膠着(溶着)には至らず、フリーな状態では図4(イ)(ロ)のように扁平化はされているが筒状フィルムFa, Fbが分離若しくは分離可能な幾分膨れた状態を取ることができる。扁平化フィルムの折幅は重要なパラメータであり、ロール形状Rまでの巻取りの間に設置した折幅センサ(図示しない)により折幅を常時検出することによりその管理を行うことができる。
【0019】
図1においてスリッタ50は二重筒状フィルムFa, FbのシートのロールRへの巻取に先立って、二重筒状フィルムFa, Fbの少なくとも片側面に部分的若しくはミシン目様の切り込みを入れるものである。内側フィルムFb内に残留した水は殆どはニップローラ47により切られるが、若干の通過があってもこの切り込みにより二重筒状フィルムFa, Fb間の空間V1及び内側フィルムFbの中央の空間V2が外部に開放され、空間V2に残留した冷却水の排出に役立てることができる。それでも残留した水分については、後工程において原反中央を切り離し端面を出すことによっても排出することができる。また、使用する水をオゾン水等の殺菌水として残したままとすることも可能である。尚、冷却水噴射通路32と吸引管34は、スタート時上昇位置させ、インフレーション動作の安定後、所定の位置に下降せしめることで冷却と水の吸引を行うことにより作業性の改善を図ることができる。また、インフレーション成形時に、外輪と内輪のチューブの径を安定させるため、空気圧通路26, 28への流通路に無菌フィルタを設け細菌や塵埃を除去して各チューブ内に吹き込みチューブを加圧側に圧力コントロールしてチューブを安定させる。
【0020】
上述のように外側の多層筒状フィルムFaは上下2段の水冷装置38の流下する冷却水により2段階に冷却される。水冷装置38からの冷却水は内蔵の図示しない熱交換器により適正温度に制御され、また、その流量を調整する流量調整弁が図示しないが設置されている。また、図3の水冷装置38は溢流(オーバーフロー)方式であり、冷却水の水量、その温度、オーバーフロー堰のオーバーフロー高さの検出とフィードバック制御とにより、冷却効率と冷却性能を制御的に最適化することができる。水冷装置38はオーバーフロー方式の代わりに、円周方向に沿って全周にノズルを備えた方式のものとすることができる。また、内側の多層筒状フィルムFbについても冷却水の温度を適正温度とする熱交換器及びその流量を調整するための流量調整弁が図示しないが設けられる。
【0021】
更に、インフレーション成形の過程における重要なパラメータであるBUR(ブローアップ比:環状吐出口14a, 14bの出口直径とブローアップ終了後のバブル直径の比)は外側フィルムFa、内側フィルムFbのいずれについても0.6〜2.5の範囲、より好ましくは0.8〜1.1である。ブローアップ比の制御は空気圧力導入通路26, 28への空気量の制御によって行うことができる。そのため、空気圧力導入通路26, 28より導入される空気量の制御のため開閉弁よりなる制御機構(図示しない)が設けられる。内側空気圧力導入通路28からの空気は冷却されていることが内側筒状フィルムFbの効率的な冷却のため好ましく、空気冷却には、超低温空気発生装置(例えば株式会社日立製作所製の商品名PUROFRIOのもの)を使用して−10〜−20℃の冷気とすることができる。また、空気の温度調整のため導入通路26, 28への空気配管中に熱交換器を設置することができる。
【0022】
本発明のインフレーションシートの製造方法において製造されるフィルムまたはシートの厚みは特に制限されないが、好ましくは150〜400μmであり、より好ましくは200〜300μmである。また、コアシートの厚みは、製袋を配慮すると同等の厚み以下が好ましい。
【0023】
また、多層筒状フィルムの材質構成については、製袋時に相対する面がシールしやすい樹脂配合比率を考慮する。また、材質構成の選定は、バッグ作成後の落袋強度を強くしたり、シートのカールを少なくしたり、所望の透明性を得るなどの目的において重要である。外側筒状フィルムをダイ10から出現した直後に空冷装置36により空冷し、その後の2段の水冷装置38により急冷することにより、外層は結晶化温度以下に急冷され固化が急速に進み、歪み応力が有効に抑制されていて、多層化樹脂の特性が生かされ、カールとヘイズが少なく透明性に優れる多層膜シートが得られる。
【0024】
本発明の二重筒状樹脂フィルムFa, Fbは各種の樹脂素材により実現可能であるが、ポリエチレン樹脂を素材とするのが好ましい。ポリエチレン樹脂を素材とする場合、高密度ポリエチレン(HDPE: High Density Polyethylene)と低密度ポリエチレン(LDPE: Low Density Polyethylene(直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)も含む))との混合物(アロイ)とするのが好ましい。外側筒状フィルムFaは、高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)とを、融点以上〜200℃の温度、好ましくは150℃〜180℃、ブローアップ比0.7〜2で押出機の外側吐出口14aより押出し、空冷装置36より吹き出す空気に接触させて冷却し、更に上下に段の水冷装置38によって水冷しニップローラで扁平に圧潰して巻き取る。また内側筒状フィルムFb(コアシート)は、高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(低密度ポリエチレン(LDPE)及び直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE))とを、融点以上〜200℃の温度、好ましくは150℃〜180℃、ブローアップ比0.8〜2で押出機の内側吐出口14bを通して共押出し形成され、空気圧力導入通路28より吹き出す空気又はこれに加えた冷却水噴射通路32からの水の霧或いは水散布により冷却し、固化させた後、外側筒状フィルムと共にニップローラ47で挟み潰し、二重筒状フィルムとして一体化し平坦に圧潰し、シート状態下でロールRに巻き取る。このような方法によりインフレーション法による同芯二重筒状のポリオレフィンシートの成形が可能となる。また、ニップローラ47にて圧潰して最内層同士をブロッキングしているため後工程による菌・塵埃の進入を防ぐことができる。
【0025】
押出し機内で加熱混練された溶融樹脂は、樹脂の厚みを均一にするため、吐出口14a, 14bの隙間を均一にし、温度むらを少なくして二重筒状に引き取られるようにする。シートの厚みは、引き取り速度と押出し機のスクリュー回転数とインフレーションシート成形の過程におけるBUR(ブローアップ比:環状ダイの出口直径とブローアップ終了後のバブル直径の比)により決まる。以上説明した本発明のポリエチレンシートにあっては、各層が密度0.950g/cm 以上の高密度ポリエチレンと、密度0.915g/cm 以上の高圧法低密度ポリエチレンまたは、密度0.900g/cm 以上のリニア低密度ポリエチレンを使用することが好適であり、これにより、本発明により2以上のリニア低密度ポリエチレンをブレンド、あるいは単体からなる二重インフレーション成形法が提供される。
【0026】
〔ポリエチレン二重筒状フィルムの製法についての実施例〕
次に、下記に示すインフレーションフィルム成形機を利用して3層二重リングのインフレーションシート成形を行った。
【0027】
成形装置:(株)プラコー製三種三層成形機2台を改造。
内側筒状フィルム用押出機
内層用押出機:スクリュー径:40mmφ:L/D=28
中間層用押出機:スクリュー径:50mmφ:L/D=28
外層用押出機:スクリュー径:40mmφ:L/D=28
ダイ径:63.7mmφ
外側筒状フィルム用押出機
内層用押出機:スクリュー径:40mmφ:L/D=28
中間層用押出機:スクリュー径:65mmφ:L/D=30
外層用押出機 スクリュー径:40mmφ:L/D=28
ダイ径:312mmφ
空冷装置36はエアーリングによる多重吹出リップ方式。
温度:150〜165℃
ブローアップ比(BUR):0.8〜1.1。
ダイ温度:165℃
シート押出速度:3.5m/min
【0028】
成形条件
内側筒状シート: LDPE+HDPE/L−LDPE/ L−LDPE+HDPE 3層シート
外層:LDPE:HDPE=70:30のアロイ
LDPE:融点113℃:MFR2.0g/10分
HDPE:融点142℃:MFR7g/10分
外層用押出機温度:C1/C2/C3/C4/AD/J=140/160/160/165/165/165℃
中間層:L−LDPE
融点124℃:密度0.926:MFR=0.9g/10分
中間層用押出機温度:C1/C2/C3/C4/AD/J=150/165/160/165/165/165℃
内層:LDPE:HDPE=70:30のアロイ
LDPE:融点113℃:MFR2.0g/10分
HDPE:融点142℃:MFR7g/10分
内層用押出機温度:C1/C2/C3/C4/AD/J=150/160/165/165/165/165℃
外側筒状シート: HDPE+L−LDPE/ L−LDPE+HDPE 3層シート
外層:HDPE:L−LDPE=70:30のアロイ
HDPE:融点142℃:MFR7g/10分
L−LDPE:融点124℃:密度0.926:MFR=0.9g/10分
外層用押出機温度:C1/C2/C3/C4/AD/J=160/165/165/165/165/165℃
中間層:L−LDPE
融点124℃:密度0.926:MFR=0.9g/10分
中間層用押出機温度:C1/C2/C3/C4/AD/J=160/165/160/165/165/165℃
内層:LDPE:HDPE=70:30のアロイ
LDPE:融点113℃:MFR2.0g/10分
HDPE:融点142℃:MFR7g/10分
内層用押出機温度:C1/C2/C3/C4/AD/J=150/160/165/165/165/165℃
【0029】
以上の成形条件にて、LDPE+HDPE20μm/L−LDPE210μmL−LDPE+HDPE20μmmの外側多層筒状フィルムFaと、LDPE+HDPE20μm/L−LDPE140μm/L−LDPE+HDPE20μmの内側多層筒状フィルムFbとからなる二重筒状フィルムが得られた。
【0030】
以上の実施例は、ポリエチレン構成について述べたが、外側多層フィルム内層と内側多層筒状フィルム外層に薬液の吸着が少ない環状ポリエチレンを使用したり、輸液バッグの耐熱性を上げるため、外側多層筒状フィルム外層に変性ポリエステル樹脂やポリプロピレン樹脂やエチレンプロピレン共重合体樹脂の組合せでも良い。また、異種同士の層間強度を得るため、カルボン酸グラフトポリオレフィン樹脂を使用したり、各層の衝撃強度を高めるため一般に知られているエチレンプロピレンゴム(EPR)やエチレンブチレンゴム(EBR)等を混合することができる。
【0031】
また、本発明のポリエチレンシートの製造方法は、特殊二重リングダイ10によるインフレーション成形法によって、外側フィルムは、高密度ポリエチレン(HDPE)を含む最外層と、低密度ポリエチレン(LDPE)またはリニアポリエチレン(L- LDPE)からなる中間層とを有する筒状体Faを成形し、同じく内側フィルムは、高密度ポリエチレンを含む最外層と、低密度ポリエチレンまたはリニアポリエチレンからなる中間層とを有する筒状体Fbを成形し、この二重筒状体Fa, Fbをシート状にニップローラ47で圧潰する方法であるので、特に外側フィルムFaの内側空間V1は加圧空気の経路中への高性能フィルタの採用も相俟って塵埃の混入を防ぎ衛生性が良好なスタンディングパウチ等の自立型軟弱バッグの製袋が可能であり、樹脂の熱劣化が少なく、添加剤の無添加が可能な厚手の二重リングポリエチレンシートを、低コストで、生産性よく製造することができる。
【0032】
〔二重筒状フィルムからの自立型のスタンディングバッグの製造〕
本発明のスタンディングバッグはインフレーション成形後のロールRから引き出された二重筒状フィルムシートをシートの幅における中間位置において移送方向に沿った切断線にて切断することで内外の筒状フィルムを移送方向に沿って両側にて開放し、この開放部に中間プレート(シール受板)を挿入させつつ上側シールプレート及び下シールプレートの各々を中間プレートに向け移動させることで切断線に沿った両側の対向部位において内側フィルムと外側フィルムとを溶着し、次いで、移送方向に沿って間隔をおいて全幅に亘って上下のフィルムの対向面を所定幅で溶着し、その後幅方向に置ける両端縁に沿って外側筒状フィルムを切断することにより外側筒状体を両側にて開口させると共に、前記所定幅の部位を中間で幅方向に沿って切断することで個々のスタンディングバッグに形成する。以下、この方法について詳細に説明する。
【0033】
図5及び図6において、二重筒状フィルムのロールRはロール支持軸54に装着され、ロール支持軸54はその回転駆動のため図示しないベクトルモータに連結され、またロールRから繰り出される二重筒状フィルムシートの張力制御のためのパウダブレーキが具備せしめられる。その下方に夫々が上下のローラからなるニップローラ56, 58がロールRから切り出される二重筒状フィルムのシートSの移送方向の上流及び下流に設置される。ニップローラ56, 58間におけるシートSの移送方向(矢印m)に沿って上流から下流に順々に、シート上面側において二重筒状フィルムを幅方向の中間で二つに切断するレザー刃60:カット後のシートの開口縁間に挿入される中間プレート(シール受板)61:シートSを挟んで残留水分除去用の上下の予熱ヒータ62A, 62B:バッグのボトムシール形成用の上下のシールプレート64A, 64B:ボトムシール形成後のシート冷却用の上下の冷却バー66A, 66B:バッグのサイドシールの2倍幅のサイドシール形成用の上下の2段のシールプレート68A, 68B; 70A, 70B:サイドシール形成後のシート冷却用の上下の冷却バー72A, 72B:バッグの開口部を形成するためのシート両側設置(図6参照)のレザー刃74A, 74B及びシート下面側において二重筒状フィルムを幅方向の中間で二つに切断するレザー刃74C:並びに、2倍幅のサイドシール部分を中間で切断することで個々の容器に切断するための裁断機76(上下の刃76-1, 76-2から構成される):が配置される。中間プレート61は、シールプレート64A, 64Bから冷却バー72A, 72Bの間を長手方向に延びており、上流側端に支持用の上方に垂直に延びる支持ロッド80を備えており、支持ロッド80はレザー刃60によるシートの切れ目Yの間を上方に延びて、中間プレート61を支持している(図8参照)。また、下流側においては中間プレート61及び筒状フィルムを介して上下のロット棒81が位置し、中間プレート61を安定位置させることができる。
【0034】
以上の二重筒状フィルムからの個々の容器への成形装置の作動について説明すると、支持軸54上のロールRから引き出された二重筒状フィルムのシートSはニップローラ56, 58により引き出される。ニップローラ56, 58間のシートSに加わる張力は低いため、ニップローラ56, 58間ではシートは図4の(イ)若しくは(ロ)で示す如き多少拡開した状態で矢印mの方向に移送される。上流側のニップローラ56の直ぐ下流のレザー刃60はシートSの幅方向における中間に位置している。そして、レザー刃60の先端縁は扁平化された二重筒状フィルムFa, Fbの上面側より少し中に食い込むよう位置する。そのため、レザー刃60により二重筒状フィルムFa, Fbの上面側はシートSは幅方向における中間の切断縁(切れ目Y)によって二つの部分S1, S2に切断され、部分S1, S2は切断縁に沿って外部に開放される(図7)。二重筒状フィルムFa, Fbの下面側については切断されないままに留まっている。レザー刃60の直ぐ下流に中間プレート61の上流端が位置しており、中間プレート61は、長手方向に沿ったその両側が、半割された筒状フィルムFa, Fbの内部に切れ目Yより幾分入り込むように位置される(中間プレート61の両側が半割された筒状フィルムFa, Fbの内部に幾分入り込んだ状態については図8若しくは図9参照。)また、筒状フィルムFa, Fbを半割にすることによりシートの両側部分S1, S2間にはシートの移送方向に沿って隙間Yが形成され、この隙間Yを介して中間プレート61の支持ロッド80を挿通させる余裕ができる。尚、本発明の実施においては、シートSの半割は筒状フィルムFa, Fbのトップにおいて行われ、ボトムは切断せずに留めてあるが、場合によってはボトムも含めて完全に真っ二つになるようにカットを行うこともできる。
【0035】
幅方向の中間で半割にされたシートSの上下から予熱ヒータ62A, 62Bにより加熱を受けることで内部に残留しうる水分の除去が行われる。そして、予熱ヒータ62A, 62Bにより残留水分除去後の半割シートS1, S2は上下のシールプレート64A, 64B間を通される。図9に示すように、上下のシールプレート64A, 64Bのシール用突端部64A-1, 64B-1は半割シートS1, S2 の切断縁、即ち、二重の筒状フィルムFa, Fbの切断縁を挟んで中間プレート61と対向している。上下のシールプレート64A, 64Bの突端部64A-1, 64B-1は半割シートS1, S2の切断縁から所定幅の領域において対向している。上下のシールプレート64A, 64Bはそのシール用突端部64A-1, 64B-1が中間プレート61に当接するように移動され、半割にされた筒状フィルムFa, Fbは切断縁から所定幅の部位が対向面同士で溶着される。図10は半割にされた筒状フィルムFa, Fbが切断縁から所定幅の部位yで対向面同士で溶着された状態を示す。中間プレート61は上下のシールプレート64A, 64Bを受けるだけでシール機能はなく、二重フィルムFa, Fbにおいて上面側及び下面側に形成された内外層の所定幅の溶着部位y同士が溶着してしまうようなことはない。このように形成された筒状フィルムFa, Fbの対向面の溶着部yはシート移送方向mにおいて途切れることなく続くように上下のシールプレート64A, 64Bによる溶着作業は行われる。
【0036】
シール部yの形成後のシートは上下の冷却バー66A, 66Bとの接触(図6では簡明のため離間するように作図されているがシートSは実際は冷却バー66A, 66Bとの面接触により冷却を受ける)により急冷却を受け余熱の放出が行われる。冷却バー66A, 66Bは内部に20℃程度の冷却水を循環させており、冷却水の温度調節はチラーにより行われる。そして、上下の2段のシールプレート68A, 68B; 70A, 70BによりシートSは上下対向面間でシールされる。即ち、シールプレート68A, 68B; 70A, 70BはシートSの全幅を幾分超えて延びるシール用突端部68A-1, 68B-1; 70A-1, 70B-1を備えており、上下のシール用突端部68A-1及び68B-1並びに上下のシール用突端部70A-1, 70B-1が当接することによりシール用突端部68A-1, 68B-1; 70A-1, 70B-1の幅に応じた上下のシートの部位、即ち、外側フィルムFaの対向部位が溶着される。この幅方向に延びる溶着部位を図5においてzにて表す。シート移送方向(矢印m)における溶着部位zの間隔はスタンディングバッグの幅分に相当し、溶着部位zは後述の通り半分にカットされることで、スタンディングバッグのサイドシールとなり、カット前はスタンディングバッグのサイドシールに対して2倍の幅を持つことになる。
【0037】
溶着部zを形成後のシートSは上下の冷却バー72A, 72Bとの面接触(冷却バー72A, 72BとシートSとは離間位置するように図示されているが実際には接触下にある)により溶着部位zの急冷却(余熱の放出)を行う。冷却バー66A, 66Bは冷却バー66A, 66Bと同様に内部に20℃程度の冷却水を循環させており、冷却水の温度調節はチラーにより行われる。その後、シート両側に設置されたレザー刃74A, 74B(図5及び図6)によりシート側縁部に沿って切断され、スタンディングバッグの開口となる部位の形成が行われる。図5で、切断により生じた屑の部位をkにて模式的示す。レザー刃74A, 74Bによる切断と同時にシート幅方向の中間位置では二重筒状フィルムFa, Fbにおいて切断されないまま残されたボトム側(図7及び図9及び図10参照)が切断され(切断部をY´にて示す)、そのため、二重筒状フィルムFa, Fbは長手方向において上下に完全に二分される。 そして、ニップローラ58の直後において、裁断機76により2倍幅の溶着部位yが中間において2個のスタンディングバッグWに切断される。即ち、図11は裁断機76によりシート移送方向の両側に2個のスタンディングバッグWを分離生成した直後の状態を模式的に示し、各バッグWの底面W1は内側の筒状フィルムを長手方向に半割に切断してその両側切断縁を長手方向に半割に切断された外側筒状フィルムの対向両側切断縁に溶着(図5の溶着部y)しボトムシールW2とすることで構成され、容器側面W3は長手方向の所定間隔において2倍幅で溶着(溶着部z)された外側筒状フィルムFaの対向部を中間で切断することでサイドシールW4とすることで構成され、スタンディングバッグWの開口部W5は外側筒状フィルムFaを両側縁に沿って切除して構成される。
【0038】
本発明の成形体の主要用途である容器は、医療用輸液、薬剤、電子基板などに用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1はこの発明の二重筒状フィルムのインフレーション成形のための装置の概略図である。
【図2】図2は図1のインフレーション成形装置におけるダイの概略断面図である。
【図3】図3はインフレーション装置における溢流式の水冷装置の概略図である。
【図4】図4はインフレーション成形中の二重筒状フィルムの断面形状の概略図である。
【図5】図5は図1の二重筒状フィルムのシート状物のロールからのスタンディングバッグとしてのスタンディングバッグ製造装置の概略平面図である。
【図6】図6は図5のスタンディングバッグ製造装置の概略側面図である。
【図7】図7は図6のVII−VII線に沿った矢視断面図である。
【図8】図8は図6のVIII−VIII線に沿った矢視断面図である。
【図9】図9は図6のIX−IX線に沿った矢視断面図である。
【図10】図10は図9のシール装置による溶着後の半割二重筒状フィルムのみの断面図である。
【図11】図11は製袋工程完了時のスタンディングバッグの模式的斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
10…ダイ
11, 12…押出機
14a, 14b…リング状吐出口
16a; 16b…溶融樹脂の案内路
18a-1, 18a-2, 18a-3; 18b-1, 18b-2, 18 b -3…環状溶融樹脂導入路
22, 24…樹脂供給通路
26, 28…空気圧力導入通路
32…冷却水噴射通路
34…冷却水の回収通路
36…空冷装置
38…水冷装置
42…案内板
44…ボトムローラ
46…受水槽
47…ニップローラ
48…水切りジェットエアノズル
50…スリッタ
52…巻取ローラ
54…ロール支持軸
56, 58…ニップローラ
S…二重筒状フィルムのシート
60…レザー刃
61…中間プレート
62A, 62B…予熱ヒータ
64A, 64B…シールプレート
66A, 66B …冷却バー
68A, 68B; 70A, 70B…シールプレート
72A, 72B …冷却バー
74A, 74B …レザー刃
76…裁断機
80…支持ロッド
Fa…外側筒状フィルム
Fa…外側筒状フィルム
S…二重筒状フィルムのシート
S1, S2…シートの半割部分
y…スタンディングバッグのボトムシールとなる溶着部分
z…スタンディングバッグのサイドシールとなる溶着部分
w…スタンディングバッグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内外二重のリング状吐出口より溶融樹脂を押し出しつつ二重のリング状吐出口間及び内側のリング状吐出口の内側に気体圧を導入することで二重の筒状フィルムのインフレーション成形を行い、インフレーション形成された二重の筒状フィルムにおける外側の筒状フィルムの外側及び内側の筒状フィルムの内側より冷却を行い、その後二重の筒状フィルムをシート状に圧潰することを特徴とする樹脂シート製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の発明において、シート状の二重の筒状フィルムをロールに巻き取ることを特徴とする樹脂シート製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法により製造された樹脂シートロールよりスタンディングバッグに成形する方法であって、前記樹脂シートロールより樹脂シートを繰り出し、繰り出された樹脂シートをローラ間で移送しつつシートの幅における中間位置において移送方向に沿った切断線にて切断することで内外の筒状フィルムを移送方向に沿って幅方向中間位置にて開放し、この開放部に中間プレートを挿入させつつ上側シールプレート及び下シールプレートの各々を中間プレートに向け移動させることで切断線に沿った両側の対向部位において内側フィルムと外側フィルムとを溶着し、次いで、移送方向に沿って間隔をおいて全幅に亘って上下のフィルムの対向面を移送方向に沿った所定幅で溶着し、その後幅方向に置ける両端縁に沿って外側筒状フィルムを切断することにより外側筒状体を両側にて開口させると共に、前記所定幅の溶着部位を移送方向における中間で幅方向に沿って切断することで個々のバッグに分離するスタンディングバッグの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載のスタンディングバッグの製造方法において、移送方向に沿った切断線でのシートの切断は外側及び内側の筒状フィルムの上面もしくは下面のみで行われ、溶着後に残余の下面若しくは上面の切断が行われるスタンディングバッグの製造方法。
【請求項5】
請求項3に記載のスタンディングバッグの製造方法において、移送方向に沿った切断線でのシートの切断は外側及び内側の筒状フィルムが上下で真っ二つになるように行われるスタンディングバッグの製造方法。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか一項記載のスタンディングバッグの製造方法において、移送方向に沿った切断線でのシートの切断後で溶着に先立ち残留水分除去のためのシートの乾燥を行うスタンディングバッグの製造方法。
【請求項7】
請求項1若しくは2に記載の発明において、内側における余剰の冷却媒体はダイを通して吸引回収する樹脂シート製造方法。
【請求項8】
請求項1,2,7のいずれか一項に記載の発明において、リング状吐出口から複数種類の溶融樹脂を吐出し、筒状フィルムを多層にインフレーション成形する樹脂シート製造方法。
【請求項9】
請求項請求項1,2,7,8のいずれか一項に記載の発明において、リング状吐出口から押出された二重筒状フィルムは外側からの冷却媒体による冷却に先立ち空気流による冷却を行う樹脂シート製造方法。
【請求項10】
請求項1,2,7から9のいずれか一項に記載の発明において、シート状に圧潰され、ロールに巻き取るのに先立ち、外側及び内側の筒状フィルム間並びに内側の筒状フィルム内の空洞を外気に開通せしめるべくシートを部分的にスリッティングする樹脂シート製造方法。
【請求項11】
溶融樹脂を吐出して内外の二重の筒状フィルムとしてインフレーション成形するためのダイであって、溶融樹脂の吐出のための内外二重のリング状吐出口と、二重のリング状吐出口の延長としての筒状の溶融樹脂の案内路と、各案内路に少なくとも一本接続される夫々の溶融樹脂の導入路と、一端が二重のリング状吐出口間で開口し他端が気体圧力源に連通される第1の気体圧力導入通路と、一端が内側のリング状吐出口の内側で開口し他端が気体圧力源に連通される第2の気体圧力導入通路と、一端が内側のリング状吐出の内方で開口し他端が冷却媒体源に連通される冷却媒体導入通路を備えたインフレーション成形用ダイ。
【請求項12】
請求項11に記載の発明において、溶融樹脂の導入路は複数種類の溶融樹脂のため複数本設けられ、吐出口より吐出される筒状フィルムは多層を構成するインフレーション成形用ダイ。
【請求項13】
請求項11若しくは12に記載の発明において、内側筒状フィルムの内部の冷却後の余剰の冷却媒体の回収通路が具備されるインフレーション成形用ダイ。
【請求項14】
底面を備えた自立型のスタンディングバッグの製造方法であって、内外二重のリング状吐出口より溶融樹脂を吐出しつつ二重のリング状吐出口間及び内側のリング状吐出口の内側に気体圧を導入することで二重の筒状フィルムのインフレーション成形を行い、インフレーション形成された二重の筒状フィルムにおける外側の筒状フィルムの外側及び内側の筒状フィルムの内側より冷却を行い、その後二重の筒状フィルムをロール間で実質的にシート状で移送しつつシートの幅における中間位置において移送方向に沿った切断線にて切断することで内外の筒状フィルムを移送方向に沿って両側にて開放し、この開放部に中間プレートを挿入させつつ上側シールプレート及び下シールプレートの各々を中間プレートに向け移動させることで切断線に沿った両側の対向部位において内側フィルムと外側フィルムとを溶着し、次いで、移送方向に沿って間隔をおいて全幅に亘って上下のフィルムの対向面を所定幅で溶着し、その後幅方向に置ける両端縁に沿って外側筒状フィルムを切断することにより外側筒状体を両側にて開口させると共に、前記所定幅の部位を中間で幅方向に沿って切断することで個々のバッグに形成したスタンディングバッグの製造方法。
【請求項15】
内外二重の袋体より形成された自立型のスタンディングバッグであって、バッグ底面は内側の筒状フィルムを長手方向に半割に切断してその両側切断縁を長手方向に半割に切断された外側筒状フィルムの対向両側切断縁に溶着することで構成され、バッグ側面は長手方向の所定間隔において所定幅の溶着部を中間で切断することで構成され、バッグ開口部は外側筒状フィルムを両側縁に沿って切除して構成されるスタンディングバッグ。
【請求項16】
請求項15に記載のスタンディングバッグにおいて、筒状フィルムは多層に構成されたスタンディングバッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−137360(P2010−137360A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312962(P2008−312962)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】