説明

樹脂プレートおよび樹脂プレート成形品

【課題】 外観に深みがあり、意匠性、光拡散性、耐衝撃性、耐候性、難燃性に優れた樹脂プレートであり、様々な形状を実現できる熱成型性と光源による熱に十分に耐える耐熱性を両立した光拡散樹脂プレートおよび樹脂プレート成型品を提供すること。
【解決手段】 ポリカーボネート樹脂およびジカルボン酸系成分とグリコール成分を重縮合させて得られるポリエステル樹脂を含む樹脂組成物からなり、基層部と表層部が積層一体化されてなる樹脂プレートであって、前記基層部に光拡散剤を含有させたことを特徴とする樹脂プレート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂プレートおよび樹脂プレート成型品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
背面に光源を配置し使用する光拡散性を有する樹脂プレートは、例えば看板の面板材料などに使われる場合、樹脂プレートを真空成形などにより熱成形し、使用されている。
上記樹脂プレートとしては、光拡散性を有し、熱成形が容易に行える樹脂プレートが必要である。また光源として使用する蛍光灯などから出る熱に耐える必要がある。さらに屋外で使用する場合は紫外線による劣化を防ぐ耐候性が必要である。このため、樹脂プレートとして、成形性、耐熱性、耐候性に優れるアクリル樹脂に光拡散剤を添加した樹脂プレートが用いられている。(例えば、特許文献1参照。)
しかしながら、特許文献1記載の樹脂プレートでは、外観に深みがなく意匠性に劣る。また近年安全意識の高まりから看板面板材料に割れにくさや、難燃性が求められるようになってきている。
アクリル樹脂は割れやすく、また、燃えやすい性質があり、一度着火すると燃え尽きるまで消火しない性質があるため、アクリル樹脂プレートに代わる、割れにくく燃えにくい看板面板材料が求められている。
従来、光拡散性を有する看板面板材料に割れにくさや難燃性が求められた場合、ポリカーボネート樹脂プレートが用いられている。(例えば、特許文献2参照。)
しかしながら、特許文献2記載の樹脂プレートも、外観に深みがなく意匠性に劣る。またポリカーボネート樹脂は耐熱温度が過剰に高いため、真空成形など熱成形を行う際、発泡を防止する為に予備乾燥が必要、安価な木型では型再現性が悪く金型が必要、加熱時間が長いなど生産性に劣る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−100712号公報
【特許文献2】特開2005−247999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外観に深みがあり、意匠性、光拡散性、耐衝撃性、耐候性、難燃性に優れた樹脂プレートであり、様々な形状を実現できる熱成型性と光源による熱に十分に耐える耐熱性を両立した樹脂プレートおよび樹脂プレート成型品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記の[1]〜[9]に記載の本発明により達成される。
[1] ポリカーボネート樹脂およびジカルボン酸系成分とグリコール成分を重縮合させて得られるポリエステル樹脂を含む樹脂組成物からなり、基層部と表層部が積層一体化されてなる樹脂プレートであって、前記基層部に光拡散剤を含有させた樹脂プレート。
[2] 前記ポリカーボネート樹脂の含有量が、樹脂成分100重量部に対して、20重量部以上80重量部以下である[1]記載の樹脂プレート。
[3] 前記ポリエステル樹脂の含有量が、樹脂成分100重量部に対して20重量部以上80重量部以下である[1]または[2]に記載の樹脂プレート。
[4] 前記光拡散剤の含有量が、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂の含有量の合計100重量部に対して、0.1重量部以上5重量部以下である[1]〜[3]のいずれか1項に記載の樹脂プレート。
[5]前記グリコール成分が、1,4−シクロヘキサンジメタノールを40モル%以上含有する[1]〜[4]のいずれか1項記載の樹脂プレート。
[6] 前記表層部の厚さが、20μm以上200μm以下である[1]〜[5]のいずれか1項に記載の樹脂プレート。
[7] さらに、前記表層部に紫外線吸収剤を含有し、その含有量が、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂の合計100重量部に対して、1重量部以上20重量部以下
である[1]〜[6]のいずれか1項に記載の樹脂プレート。
[8] さらに、前記基層部に難燃剤を含有し、その含有量が、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂の合計100重量部に対して、0.01重量部以上5重量部以下である[1]〜[7]のいずれか1項に記載の樹脂プレート。
[9] [1]〜[8]のいずれか1項に記載の樹脂プレートを用いて熱成型した樹脂プレート成型品。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、外観に深みがあり、意匠性、光拡散性、耐衝撃性、耐候性、難燃性に優れた樹脂プレートであり、様々な形状を実現できる熱成型性と光源による熱に十分に耐える耐熱性を両立した光拡散樹脂プレートおよび樹脂プレート成型品が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の樹脂プレートは、ポリカーボネート樹脂およびジカルボン酸系成分とグリコール成分を重縮合させて得られるポリエステル樹脂を含む樹脂組成物からなり、基層部と表層部が積層一体化されてなる樹脂プレートであり、前記基層部に光拡散剤を含有させた樹脂プレートである。
樹脂プレートの基層部と表層部の樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂およびジカルボン酸系成分とグリコール成分を重縮合させて得られるポリエステル樹脂を含むものである。
本発明の樹脂プレートに使用するポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂について、以下、詳細に説明をする。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類などが挙げられる。これらは単独だけでなく2種類以上混合して使用してもよい。
【0008】
また、かかるポリカーボネート樹脂を製造するに際し分子量調節剤、触媒などを必要に
応じて添加しても差し支えない。
ポリカーボネート樹脂の含有量は、全樹脂成分100重量部に対して、20重量部以上80重量部以下、好ましくは30重量部以上70重量部以下、さらに好ましくは40重量部以上60重量部以下含むものである。
ポリカーボネート樹脂の含有量が上記下限値を下回ると、耐熱性に劣り好ましくない。またポリカーボネート樹脂の含有量が上記上限値を超えると、真空成形など熱成形を行う際、発泡を防止する為に予備乾燥が必要、安価な木型では型再現性が悪く金型が必要、加熱時間が長いなど生産性に劣る。
【0009】
本発明に使用するポリエステル樹脂は、ジカルボン酸系成分とグリコール系成分とを重縮合させて得られるものであり、テレフタル酸および/またはその誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上のテレフタル酸系成分からなるジカルボン酸系成分と、1,4−シクロヘキサンジメタノールを含有するグリコール系成分を用いる。
ジカルボン酸系成分はテレフタル酸および/またはその誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上のテレフタル酸系成分よりなる。テレフタル酸誘導体とは、例えばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチルなどが挙げられるが、中でもテレフタル酸ジメチルが好適である。
【0010】
グリコール系成分全体に占める1,4−シクロヘキサンジメタノールの割合は40モル%以上、好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上含有させることができる。グリコール系成分全体に占める1,4−シクロヘキサンジメタノールの割合が40モル%未満では、シートの透明性が低下し好ましくない。なお、1,4−シクロヘキサンジメタノールは、シス型とトランス型の2種の異性体が存在するが、いずれであっても良い。1,4−シクロヘキサンジメタノールと併用して用いるグリコール系縮合成分としては、例えばエチレングリコール、プロプレングリコールなどが挙げられるが、物性バランスがよく、広く工業生産され安価であることから、エチレングリコールが特に好適である。もちろん、グリコール系成分として1,4−シクロヘキサンジメタノールを100%使用するものとしても良い。
【0011】
本発明において、ポリエステル樹脂の含有量は、全樹脂成分100重量部に対して、20重量部以上80重量部以下、好ましくは30重量部以上70重量部以下、さらに好ましく40重量部以上60重量部以下含むものである。
ポリエステル樹脂の含有量が上記上限値を超えると、耐熱性に劣り好ましくない。またポリエステル樹脂の含有量が上記下限値を下回ると、真空成形など熱成形を行う際、発泡を防止する為に予備乾燥が必要、安価な木型では型再現性が悪く金型が必要、加熱時間が長いなど生産性に劣る。
基層部と表層部に用いる樹脂成分は、同種の樹脂であることが好ましい。
基層部と表層部で異なる樹脂成分を用いた場合、押出などの成形時の安定性の低下により、外観が悪化する場合がある。
【0012】
本発明の基層部に使用する光拡散剤としては特に限定しないが、公知の有機微粒子や無機微粒子を用いることができる。有機微粒子としては、架橋アクリル系微粒子、架橋スチレン系微粒子、架橋シリコーン微粒子、架橋シロキサン微粒子などを用いることができる。無機微粒子としては、酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、弗化カリウムなどを用いることができる。これら光拡散剤は、単独もしくは複数を併用してもよい。
光拡散剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂の含有量の合計100重量部に対して、0.1重量部以上10重量部以下、好ましくは0.2重量部以上5重量部以下、さらに好ましくは0.3重量部以上3重量部以下含むことができる。光拡散剤の含有量が上記下限値を下回ると光拡散性に劣り好ましくない。また光拡散剤の含有量
が上記上限値を超えると、全光線透過率が劣り好ましくない。
【0013】
本発明の表層部には、さらに、紫外線吸収剤を用いてもよい。
本発明に使用する紫外線吸収剤としては特に限定しないが、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、安息香酸エステル類、サリチル酸フェニル類、クロトン酸類、マロン酸エステル類、オルガノアクリレート類、ヒンダードアミン類、ヒンダードフェノール類、トリアジン類などを用いることができる。これらの紫外線吸収剤は、単独もしくは複数を併用してもよい。
紫外線吸収剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂の含有量の合計100重量部に対して、1重量部以上20重量部以下、好ましくは1.5重量部以上15重量部以下、さらに好ましくは2重量部以上10重量部以下含むことができる。
紫外線吸収剤の含有量が上記下限値を下回ると、耐候性を十分に発揮できず好ましくない。また紫外線吸収剤の含有量が上記上限値を超えると、さらなる効果が期待できないばかりか、かえって初期着色やブリード現象が発生し好ましくない。
【0014】
本発明の基層部には、さらに、難燃剤を用いてもよい。
本発明に使用する難燃剤としては特に限定しないが、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、塩素系難燃剤、無機系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤などを用いることができる。
難燃剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂の含有量の合計100重量部に対して、0.01重量部以上5重量部以下、好ましくは0.1重量部以上4重量部以下、さらに好ましくは1重量部以上3重量部以下含むことができる。
難燃剤の含有量が上記下限値を下回ると、難燃性向上効果が低く好ましくない。また難燃剤の含有量が上記上限値を超えると、押出法などによって樹脂プレートを製造する際、プレートの発泡や波うちなど外観不良となるため好ましくない。
【0015】
本発明の樹脂組成物には、所望により通常に使用される添加剤、例えば安定剤、滑剤、加工助剤、顔料、帯電防止剤、酸化防止剤、中和剤、分散剤を含有させることもできる。
【0016】
本発明の樹脂プレートの製造方法としては、まずポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、およびその他の添加物を予めタンブラーやリボンブレンダーなどの予備混合装置を使用して混合した後に、一般に熱可塑性樹脂製の積層体の製造に用いられる公知の共押出機を用いて溶融混練を行い、混合物を溶融状態で押出機のTダイを通して押し出し、樹脂プレートをポリシングロールによって所望の厚さに整えつつ、引取りロールで引き取ることにより製造することができる。ただし、これらに限定されるものはない。
この場合のTダイの方式は、加熱溶融状態の樹脂組成物がTダイ流入前に積層されるフィードブロック方式、または加熱溶融状態の樹脂組成物がTダイ内部で積層されるマルチマニホールド方式が好適に採用できる。
本発明の樹脂プレートを用いて、成形品を製造する方法は、特に限定されないが、真空成型、圧空成形、真空圧空成形、プレス成形などの熱成形を用いることができる。
【0017】
本発明の樹脂プレートの表層部厚さは、10μm以上200μm以下、好ましくは、20μm以上150μm以下、さらに好ましくは30μm以上100μm以下にすることができる。
表層部厚さが、上記下限値を下回ると、外観の深みに劣り好ましくない。また表層部厚さが上記上限値を超えると、一般的なフィードブロック方式やマルチマニホールド方式では生産性に劣り、さらに紫外線吸収剤を添加する場合は、高価な紫外線吸収剤の使用量が増えコストアップとなるため好ましくない。
【実施例】
【0018】
以下、実施例により本発明を説明するが、これは単なる例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。実施例において用いた材料を以下に記載した。なお、表1に各材料の添加量を重量部で示した。
・ポリカーボネート樹脂
製品名:E−2000FN(製法:ホスゲン法、着色剤を含まず)、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製
・ポリエステル樹脂
製品名:J−2003(1,4シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコールテレフタル酸共重合樹脂/グリコール系成分全体に占める1,4−シクロヘキサンジメタノールの割合:60モル%)、SKケミカル社製
・光拡散剤A
製品名:パラロイドEXL−5136(不融性アクリル系重合体微粒子、重量分布平均粒子径7μm)、ローム・アンド・ハーズ・カンパニー製
・光拡散剤B
製品名:R−42(酸化チタン、平均粒子径0.29μm)、堺化学株式会社製
・紫外線吸収剤
製品名:チヌビン1577ED(トリアジン系紫外線吸収剤)、BASFジャパン株式会社製
・難燃剤
製品名:SPS−100(ホスファゼン)、大塚化学株式会社製
【0019】
[実施例1]
表1の組成にしたがって調整した樹脂組成物を、フィードブロック方式のT型ダイスを用い押出成形により、表層部と基層部を有する厚さ3.0mmの樹脂プレートを得た。得られた樹脂プレートを以下の方法により評価した。評価結果を表1に示す。
【0020】
・光拡散性
作製した樹脂プレートの裏面から10cm離した位置にLED(製品名083B:日亜化学株式会社製7個/ユニットLED)を点灯させ、樹脂プレート表側から目視でLED
光源の透けや光拡散性を確認した。
・耐衝撃性(割れにくさ)
作製した樹脂プレートを縦横15cmの開口部を設けた鋼製枠に固定し、1kgのなす型錘を高さ2mから落下させ、クラックや割れの発生を確認し、割れにくさとして評価した。
・耐熱性
作製した樹脂プレートを、ASTM D 648(荷重:1.8MPa)に準拠した方法で荷重たわみ温度を測定し、耐熱性として評価した。
・成形性評価
作製した樹脂プレートを用いて、真空成形機と木型を用いて真空成形を行い、樹脂プレート成形品を得た。得られた成形品について、発泡発生せず、型再現性が良好であることを確認し、成形性の評価とした。
・外観深み 光沢度
作製した樹脂プレートを、JIS K 7105に準拠した方法で光沢度を測定し、外観深みとして評価した。
【0021】
[実施例2〜26、比較例1〜3]
実施例2〜26、比較例1〜3は、実施例1と同様に樹脂プレートを作製し、評価を行った。但し、比較例1〜3では、T型ダイスを用い押出成形により厚さ3.0mmの単層樹脂プレートを作製した。
表1〜表4の配合とした以外は、実施例1と同様に樹脂組成物、樹脂プレートを製造し
、評価した。
但し、実施例20〜22、実施例26および比較例3ではJIS K 7350−4に準拠した方法で耐候促進試験(SWM)3000時間暴露を実施した後、JIS K 7103に準拠した方法にて黄色度を測定し、初期黄色度との差(ΔYI)を耐候性として評価した。
また、実施例23〜26ではJIS K 6911耐燃性A法に準拠した方法で燃焼試験を実施し、難燃性として評価した。評価結果を表1〜表4に示した。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【0024】
【表3】

【0025】
【表4】

【0026】
表1〜表4から明らかなように、本発明に係る実施例1〜26においては、光沢度が100以上と高く、外観深みに優れていた。また光拡散性、耐衝撃性、成形性も良好な結果であった。さらに荷重たわみ温度も80℃以上あり、光源からの熱による変形を防止する十分な耐熱性を有していた。また実施例20〜22および26では促進耐候試験後のΔYI値が小さく、優れた耐候性を有していた。さらに実施例23〜26では、難燃性に優れていることを確認した。
一方、表層部を有しない比較例1〜3では光沢度が89と低く、外観深みがなく意匠性に劣る結果であった。また比較例2は成形時の予備乾燥なしでは、発泡しNGであった。さらに比較例3では、落錐試験で割れが発生し、耐衝撃性に劣る結果であった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート樹脂およびジカルボン酸系成分とグリコール成分を重縮合させて得られるポリエステル樹脂を含む樹脂組成物からなり、基層部と表層部が積層一体化されてなる樹脂プレートであって、前記基層部に光拡散剤を含有させた樹脂プレート
【請求項2】
前記ポリカーボネート樹脂の含有量が、樹脂成分100重量部に対して20重量部以上80重量部以下である請求項1記載の樹脂プレート。
【請求項3】
前記ポリエステル樹脂の含有量が、樹脂成分100重量部に対して20重量部以上80重量部以下である請求項1または2に記載の樹脂プレート。
【請求項4】
前記光拡散剤の含有量が、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂の含有量の合計100重量部に対して、0.1重量部以上5重量部以下である請求項1または3のいずれか1項記載の樹脂プレート。
【請求項5】
前記グリコール成分が、1,4−シクロヘキサンジメタノールを40モル%以上含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂プレート。
【請求項6】
前記表層部の厚さが、20μm以上200μm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂プレート。
【請求項7】
さらに、前記表層部に紫外線吸収剤を含有し、その含有量が、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂の合計100重量部に対して、1重量部以上20重量部以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂プレート。
【請求項8】
さらに、前記基層部に難燃剤を含有し、その含有量が、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂の合計100重量部に対して、0.01重量部以上5重量部以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂プレート。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂プレートを用いて熱成型した樹脂プレート成型品。


【公開番号】特開2012−179754(P2012−179754A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43098(P2011−43098)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】