説明

樹脂組成物、それを用いた積層体及び画像形成物

【課題】意匠性に優れ、被着体に貼付した際には加熱することにより容易に一体化し、さらに被着体に強固に固定し、剥離する際には容易に剥離することができ、埃などのゴミが付着した場合は水や石鹸水で簡単にゴミを除去することが可能な樹脂組成物の提供。
【解決手段】スチレン系ブロック共重合物(A)、鉱物油軟化剤(B)、粘着付与樹脂(C)及び着色剤(D)を含む樹脂組成物であって、スチレン系ブロック共重合物(A)は、スチレンの比率が10〜40重量%であり、トリブロック型の構造部を有し、鉱物油軟化剤(B)は、重量平均分子量が700〜10000であり、粘着付与樹脂(C)は、軟化点が80〜160℃であり、スチレン系ブロック共重合物(A)3〜65重量部、鉱物油軟化剤(B)10〜95.9重量部、粘着付与樹脂(C)1〜50重量部及び着色剤(D)0.1〜10重量部を合計が100重量部になるように配合してなる樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の形状に塗布することや貼付することができる樹脂組成物、該樹脂組成物を用いた積層体及び装飾物を付着させた画像形成物に関する。詳しくは、本発明は意匠性材料として好適に用いられる樹脂組成物、該樹脂組成物を用いた積層体及び画像形成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製品の高付加価値化を図るための製品設計が要望されており、その中でも製品の高意匠化の要求が最も高い。車両、建築物、交通標識、包装材料、看板などにおいて、シート基材上に粘着剤層が設けられた意匠用粘着性部材が用いられており、着色などにより意匠性を付与したシート基材上に無着色の粘着剤層を設けたもの、あるいは透明シート上に着色等により意匠性を付与した粘着剤層を設けたもの等がある。
【0003】
意匠性を付与した粘着剤としては、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー、顔料または染料、及び芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを含むアクリル系着色粘着剤が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
また、白色顔料とガラス転移温度が−10℃以下のポリエステル系可塑剤を含む白色トナー及びこれを含む白色粘着剤組成物が知られている(特許文献2参照)。
【0005】
また、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、鉱物油系軟化剤、α−オレフィン系結晶質重合体、α−オレフィン系非晶質重合体、耐候剤、カーボンブラックを含有してなる黒色系熱可塑性エラストマー組成物が知られている(特許文献3参照)。
【0006】
特許文献1に記載されている着色粘着剤は、貼り剥しが簡単で、接着性及び塗布外観が良好であるが、溶剤を用いて製造しているため塗布工程で溶剤を揮発除去しなければならず、揮発した溶剤は環境汚染の原因となるので環境の観点から好ましくない。また、架橋剤を用いるため架橋が不完全であると期待する十分な機能を発揮することができないことから架橋が完結するまで使用することができない。
【0007】
特許文献2に記載されている白色粘着剤組成物は、近年重視されている所望の色、質感、あるいはデザインを自由自在に表現するには十分に満足できるものではあるが、シートの貼り替えサイクルはより短くなっており、熟練工でなくても簡単に貼り剥しができるという要求に対しては十分に応えてはいない。
【0008】
特許文献3に記載されている黒色系熱可塑性エラストマー組成物は、耐候性に優れ、リサイクルが可能である。しかし、黒色系熱可塑性エラストマー組成物を壁、木製品、大理石などに貼付し、剥がすと色移りしてしまい、黒色系熱可塑性エラストマー組成物をポリオレフィン系樹脂等と接触させて静置しておくとポリオレフィン系樹脂等に色移りが見られた。さらに、ガラスに貼付し、剥がした際には、油分がガラスに付着していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−308646号公報
【特許文献2】特開2004−51753号公報
【特許文献3】特開2006−57016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、意匠性に優れ、被着体に貼付した際には加熱することにより容易に一体化し、さらに被着体に強固に固定し、剥離する際には容易に剥離することができ、埃などのゴミが付着した場合は水や石鹸水で簡単にゴミを除去することが可能な樹脂組成物、該樹脂組成物を用いてなる積層体及び画像形成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記問題を解決するため、鋭意検討した結果、本発明に達した。
即ち、本発明は、スチレン系ブロック共重合物(A)、鉱物油軟化剤(B)、粘着付与樹脂(C)及び着色剤(D)を含む樹脂組成物であって、
スチレン系ブロック共重合物(A)は、スチレンの比率が10〜40重量%であり、トリブロック型の構造部を有し、
鉱物油軟化剤(B)は、重量平均分子量が700〜10000であり、
粘着付与樹脂(C)は、軟化点が80〜160℃であり、
スチレン系ブロック共重合物(A)3〜65重量部、鉱物油軟化剤(B)10〜95.9重量部、粘着付与樹脂(C)1〜50重量部及び着色剤(D)0.1〜10重量部を合計が100重量部になるように配合してなる樹脂組成物に関する。
【0012】
また、本発明は、170℃における粘度が500〜50000mPa・sであることを特徴とする上記発明の樹脂組成物に関する。
【0013】
また、本発明は、上記いずれかの発明の樹脂組成物から形成される樹脂組成物層が、シート状基材の片面もしくは両面に積層されてなる積層体に関する。
【0014】
また、本発明は、樹脂組成物層の塗布量が、1〜1000g/m2であることを特徴とする上記発明の積層体に関する。
【0015】
また、本発明は、上記いずれかの発明の樹脂組成物を加工してなる画像形成物に関する。
【0016】
また、本発明は、上記いずれかの発明の積層体を加工してなる画像形成物に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、意匠性に優れ、被着体に貼付した際には加熱することにより容易に一体化し、さらに被着体に強固に固定し、剥離する際には容易に剥離することができ、埃などのゴミが付着した場合は水や石鹸水で簡単にゴミを除去することが可能な樹脂組成物、該樹脂組成物を用いてなる積層体及び画像形成物を提供できるようになった。さらに、上記樹脂組成物層が片面もしくは両面に積層された積層体は、経時で端部から樹脂組成物層がはみ出すことなく保管することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の樹脂組成物について説明する。
本発明の樹脂組成物は、後述するスチレン系ブロック共重合物(A)、鉱物油軟化剤(B)、粘着付与樹脂(C)、着色剤(D)、必要に応じてその他の添加剤を配合してなる樹脂組成物である。
【0019】
本発明に用いられる樹脂組成物を構成するスチレン系ブロック共重合物(A)は、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合物(以下、「SBS」とも略記する)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合物の水素添加物(以下、「SEBS」とも略記する)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合物(以下、「SIS」とも略記する)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合物の水素添加物(以下、「SEPS」とも略記する)、スチレン−ブタジエン−イソプレン−スチレンブロック共重合物(以下、「SBIS」とも略記する)、 スチレン−ブタジエン−イソプレン−スチレンブロック共重合物の水素添加物(以下、「SEEPS」とも略記する)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
また、上記共重合物は、カルボキシル変性されたものであってもよく、さらには、上記共重合物中のスチレンブロックは、スチレンと、α−メチルスチレン等のその他の芳香族系ビニル化合物との共重合体を含んでいてもよい。
さらに、スチレン系ブロック共重合物(A)は、スチレンの比率が10〜40重量%であり、トリブロック型の構造部を有するものが用いられるが、トリブロック型の構造部のみを有するものには限定されず、一部ジブロック型の構造部を有するものであってもよい。ジブロック型の含有量は60重量%以下であることが好ましく、より好ましくは50重量%以下である。60重量%を超えてしまうと凝集力が低下してしまう。
これらは、溶融時の耐熱性に優れているので好ましい。
スチレン系ブロック共重合物(A)は、単独で用いられても、2種類以上が併用されてもよい。
【0020】
本発明の樹脂組成物を構成するスチレン系ブロック共重合物(A)、鉱物油軟化剤(B)、粘着付与樹脂(C)、着色剤(D)の合計を100重量部とした時、樹脂組成物に用いられるスチレン系ブロック共重合物(A)の配合量は、3〜65重量部である。好ましくは5〜60重量部である。スチレン系ブロック共重合物(A)の配合量が3重量部未満であると、得られる樹脂組成物の凝集力が低下する傾向にある。スチレン系ブロック共重合物(A)の配合量が65重量部を超えると、混練加工による製造が困難になる恐れがある。
【0021】
本発明に用いられる樹脂組成物を構成する鉱物油軟化剤(B)としては、芳香族を含む炭化水素、ナフテン環を含む炭化水素、パラフィン鎖の混合物であって、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるパラフィン系鉱物油軟化剤が好ましい。一般に、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものをパラフィン系鉱物油軟化剤、ナフテン環炭素数が全炭素数の30〜40%を占めるものをナフテン系鉱物油軟化剤、芳香族炭素数が全炭素数の30%以上を占めるものを芳香族系鉱物油軟化剤と呼び、区別されている。
【0022】
本発明に用いられる樹脂組成物を構成する鉱物油軟化剤(B)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(以下、「GPC」とも略記する)によるポリスチレン換算重量平均分子量は700〜10000である。好ましくは800〜9500である。鉱物油軟化剤(B)の重量平均分子量が700未満であると、ブリードアウトしてしまう傾向にある。鉱物油軟化剤(B)の重量平均分子量が10000を超えてしまうと、溶融時の流動性が低下する傾向にある。
【0023】
本発明の樹脂組成物には、一般的な樹脂組成物の場合には全く使用されないか、使用する場合であっても加工性の改善や密着性を上げるためにごく少量しか使用されない鉱物油軟化剤(B)を比較的多量に添加することが重要である。即ち、樹脂組成物は、スチレン系ブロック共重合物(A)と鉱物油軟化剤(B)の比率を制御することで、特有の弾性を有している。また、鉱物油軟化剤(B)のブリードアウト(被着体などへの汚染)を鉱物油軟化剤(B)と構造が類似しているスチレン系ブロック共重合物(A)のブタジエンやイソプレン部位に馴染むこと及びスチレン系ブロック共重合物(A)のスチレン部位の物理的な架橋により抑制することが可能となる。
【0024】
本発明の樹脂組成物を構成するスチレン系ブロック共重合物(A)、鉱物油軟化剤(B)、粘着付与樹脂(C)、着色剤(D)の合計を100重量部とした時、樹脂組成物に用いられる鉱物油軟化剤(B)の配合量は、10〜95.9重量部である。好ましくは15〜90重量部である。鉱物油軟化剤(B)の配合量が10重量部未満では加工性が悪くなる。鉱物油軟化剤(B)の配合量が95.9重量部を超える場合には凝集力を維持することが困難となる。
【0025】
本発明に用いられる樹脂組成物を構成する粘着付与樹脂(C)としては、水素添加された脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の石油系樹脂やテルペン系樹脂が、耐候性に優れているので好ましい。粘着付与樹脂(C)は、単独で用いられても、2種類以上が併用されてもよい。
【0026】
粘着付与樹脂(C)の軟化点は80〜160℃であることが好ましい。粘着付与樹脂(C)の軟化点が80℃未満であると、凝集力が低下し、剥離の際に凝集破壊してしまうことがある。粘着付与樹脂(C)の軟化点が160℃を超えると低温域でタックが消失してしまうことがある。
なお、本発明における軟化点とは、JIS K 6863に規定される方法により求められる温度である。すなわち、樹脂組成物を充填した規定の環を12時間以上静置させた後、熱媒体中に入れて規定の球を樹脂組成物を充填した規定の環の上に置き、一定の割合で熱媒体の温度を上昇させたとき、樹脂組成物の軟化により球が沈み環台の底板に触れたときの温度である。
【0027】
本発明の樹脂組成物を構成するスチレン系ブロック共重合物(A)、鉱物油軟化剤(B)、粘着付与樹脂(C)、着色剤(D)の合計を100重量部とした時、樹脂組成物に用いられる粘着付与樹脂(C)の配合量は、1〜50重量部である。好ましくは3〜45重量部である。粘着付与樹脂(C)の配合量が1重量部未満では加工性が悪くなる。粘着付与樹脂(C)の配合量が50重量部を超える場合には低温域でタックが消失してしまうことがある。
【0028】
本発明に用いられる樹脂組成物を構成する着色剤(D)としては、色素、染料、顔料が好ましい。色素、染料、顔料としては、褐色201号、黒色401号、紫色201号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色202号、青色203号、青色204号、青色205号、青色403号、青色404号、緑色201号、緑色202号、緑色204号、緑色205号、緑色3号、緑色401号、緑色402号、赤色102号、赤色104−1号、赤色105−1号、赤色106号、赤色2号、赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、赤色213号、赤色214号、赤色215号、赤色218号、赤色219号、赤色220号、赤色221号、赤色223号、赤色225号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230−1号、赤色230−2号、赤色231号、赤色232号、赤色3号、赤色401号、赤色404号、赤色405号、赤色501号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色505号、赤色506号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、橙色206号、橙色207号、橙色401号、橙色402号、橙色403号、黄色201号、黄色202−1号、黄色202−2号、黄色203号、黄色204号、黄色205号、黄色4号、黄色401号、黄色402号、黄色403−1号、黄色404号、黄色405号、黄色406号、黄色407号、黄色5号等の法定色素、Acid Red 14等のその他酸性染料、Arianor Sienna Brown、Arianor Madder Red、Arianor Steel Blue、Arianor Straw Yellow等の塩基染料、HC Yellow 2、HC Yellow 5、HC Red 3、4-hydoxypropylamino-3-nitrophenol、
N,N’-bis(2-hydroxyethyl)-2-nitro-p-phenylenediamine、HC Blue 2、Basic Blue 26等のニトロ染料、二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、低次酸化チタン等の無機黒色系顔料、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料、群青、紺青等の無機青色系顔料、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、金等の金属粉末顔料、表面処理無機及び金属粉末顔料、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、青色404号、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料、カーボンブラック顔料、表面処理有機顔料、アゾ系、アンサンスロン系、アンスラピリミジン系、アントラキノン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、インダンスロン系、キナクリドン系、キノフタロン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、チアジンインジゴ系、チオインジゴ系、ピランスロン系、フラバンスロン系、ペリノン系、ペリレン系、及びベンズイミダゾロン系などの有機顔料、アスタキサンチン、アリザリン等のアントラキノン類、アントシアニジン、β−カロチン、カテナール、カプサンチン、カルコン、カルサミン、クエルセチン、クロシン、クロロフィル、クルクミン、コチニール、シコニン等のナフトキノン類、ビキシン、フラボン類、ベタシアニジン、ヘナ、ヘモグロビン、リコピン、リボフラビン、ルチン等の天然色素・染料、p−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、o−,m−,若しくはp−アミノフェノール、m−フェニレンジアミン、5−アミノ−2−メチルフェノール、レゾルシン、1−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン等及びその塩等の酸化染料中間体及びカップラー、インドリン等の自動酸化型染料、ジヒドロキシアセトンが好ましいものとして挙げられる。
また、これらの色材を加工したクレヨン、油絵の具、オフセットインキ、酸化ワックスで分散した着色剤、油性染料などの加工色材が簡便に使用可能である。
【0029】
本発明の樹脂組成物を構成するスチレン系ブロック共重合物(A)、鉱物油軟化剤(B)、粘着付与樹脂(C)、着色剤(D)の合計を100重量部とした時、樹脂組成物に用いられる着色剤(D)の配合量は、0.1〜10重量部である。好ましくは0.3〜9.5重量部である。着色剤(D)の配合量が0.1重量部未満では濃度が薄く、着色の効果がみられない。着色剤(D)の配合量が10重量部を超える場合には濃度が高すぎて明確な色彩が得られない。
【0030】
本発明の樹脂組成物には、発明の目的を損なわない範囲で酸化防止剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、消臭剤、香料、防虫剤などの添加剤が添加されてもよい。
【0031】
上記の酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジエチル〔[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル〕ホスフォネート、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル]プロピオネート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
【0032】
上記のフェノール系酸化防止剤は、自動酸化の連鎖成長過程で生じるROO・(パーオキシラジカル)に水素を供与して安定化し、自身はオルト位置換基によって保護された安定なフェノキシラジカルとなって連鎖反応を停止するラジカルトラップ剤としての機能を有し、そのことにより樹脂組成物の熱劣化を効果的に抑制する。特に、フェノール系酸化防止剤と、フェノール系酸化防止剤よりラジカルトラップ反応の速いラクトン系酸化防止剤やビタミンE系酸化防止剤等とを併用することにより、より優れたものとなる。また、上記のリン系酸化防止剤は、過酸化物、ROOHを非ラジカル的に分解し、自動酸化過程の連鎖反応を停止する機能を有し、そのことにより樹脂組成物の熱劣化を効果的に抑制する。
【0033】
上記の紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などの通常使用されるものが挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
【0034】
上記の抗菌剤としては、ブテナフィン及びその塩等のベンジルアミン系抗菌剤、ビフォナゾール、ネチコナゾール、ケトコナゾール、ラノコナゾール、クロトリマゾール、ミコナゾール、オキシコナゾール、チオコナゾール、クロコナゾール、オモコナゾール、スルコナゾール及びこれらの塩等のイミダゾール系抗菌剤、テルビナフィン及びその塩などのアリルアミン系抗菌剤、アモロルフィン及びその塩等のモルホリン系抗菌剤、リラナフタート、トルナフテート及びトルシクラート等のチオカルバミン酸系抗菌剤、ナイスタチン、トリコマイシン、バリオチン、シッカニン、ピロールニトリン等の抗生物質等の抗菌剤などが挙げられる。これらの抗菌剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0035】
上記の消臭剤としては、消臭効果を有するものであれば特に限定はないが、ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロリネート、シトロネリルセネシオネート、テルペンアルデヒド類、ピルビン酸エステル類、2−エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛などが挙げられる。これらの消臭剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0036】
上記の香料としては、ピネン、リモネン等の炭化水素系香料、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、メントール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、β−フェネチルアルコール等のアルコール系香料、アネトール、オイゲノール等のフェノール系香料、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド等のアルデヒド系香料、カルボン、メントン、樟脳、アセトフェノン、イオノン等のケトン系香料、γ―ブチルラクトン、クマリン、シネオール等のラクトン系香料、オクチルアセテート、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、プロピオン酸ブチル、安息香酸メチル等のエステル系香料などが挙げられる。これらの香料は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0037】
防虫剤としては、樟脳、ナフタレン、パラジクロルベンゼン、イソボルニル、チオシアノ酢酸、1,2−ベンゼンジカルボン酸ジエチルエステル、パラフォーム、クロルピクリン、除虫菊、エンペントリン、トランスフルスリン、アレスリン、フェノトリン、エミネンス等が挙げられる。これらの防虫剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0038】
本発明の目的を損なわない範囲で添加できる紫外線吸収剤、抗菌剤、消臭剤、香料、防虫剤などの添加剤の添加量は樹脂組成物100重量%中、10重量%以下であることが好ましく、より好ましくは8重量%以下である。10重量%を超えてしまうとブリードアウトしてしまうことがある。
【0039】
本発明の樹脂組成物を製造する方法としては、特に限定されず、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、撹拌機を備えた溶融釜、一軸又は二軸の押し出し機などを用いて加熱混合するホットメルト法、適当な溶剤に溶解する溶剤法など、いずれの方法も用いることができるが、ホットメルト法が環境への影響が小さいため好ましい。
【0040】
本発明の樹脂組成物は、過剰な熱を与えることにより起こる劣化を防ぐために150〜180℃で塗工することができ、低粘度での塗工が要求されるロールや溶融させる際の撹拌機を備えた溶融釜にも対応できる。そのような観点から、本発明の樹脂組成物は、170℃における粘度が500〜50000mPa・sであることが好ましい。
170℃における粘度が500mPa・sを下回る場合、塗布量を多くした際に樹脂組成物が垂れる現象が発生する可能性がある。170℃における粘度が50000mPa・sを上回る場合、塗工時に作業性が問題になる可能性がある。
なお、樹脂組成物の粘度は、B型粘度計(測定条件は、170℃、ローターNo.3、12rpm、30秒間)を使用し、測定した値である。
【0041】
本発明の樹脂組成物は、加熱溶融したものを、或いはその溶液を、紙、樹脂等のシート状基材に通常用いられる塗工機又はホットメルト塗工機、バーコーター、アプリケーター、ドクターブレード、はんだごて、ヘラ、ローラー、割り箸、筆、スパチラ、カッター等を用いて鏡面状態、発泡状態、ビード状態、スパイラル状態などの様々なパターンで塗布し、必要に応じて加熱、冷却することによって、樹脂組成物層を形成することができ、樹脂組成物層が積層された各種積層体を得ることができる。樹脂組成物は、重ねて塗工することもでき、2種類の樹脂組成物を同一のシート状基材に並列に塗り分けることも出来る。
【0042】
また、後述する離型性シート上に樹脂組成物層を設けた後、当該樹脂組成物層とシート状基材とを貼り合せることによっても、本発明の積層体を得ることができる。
【0043】
本発明の樹脂組成物は、耐熱性に優れており、高温における溶融温度でも溶融粘度の経時変化が小さいため、樹脂組成物として好適に使用することができる。また、樹脂組成物層の形成にあたっては、樹脂組成物を加熱溶融し、基材上に塗布することが好ましい。
【0044】
本発明の積層体の基本的構成は、「シート状基材/樹脂組成物層/離型性シート」のような片面積層体、或いは「離型性シート/樹脂組成物層/シート状基材/樹脂組成物層/離型性シート」のような両面積層体である。使用時に離型性シートが剥がされ、樹脂組成物層が被着体に貼付される。
【0045】
シート状基材の素材としては、特に制限はなく使用することができる。樹脂シートとしては、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポオリノルボルネン等のポリオレフィン系樹脂などの単層或いは積層体がある。その他、不織布、織布、布、紙、ガラス、瀬戸物、金属箔、金属メッシュ等とこれらを含む複合物が挙げられる。また、必要に応じて、シートの表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、ブラスト処理、ケミカルエッチング処理などの易接着処理、帯電防止処理、着色処理などを施してもよい。
【0046】
これらシート状基材の厚みには特に制限はないが、作業性から1〜1000μmが好ましい。
【0047】
樹脂組成物層の塗布量は、好ましくは1〜1000g/m2、より好ましくは5〜980g/m2である。樹脂組成物層の塗布量が1g/m2未満では粘着力を発現することが難しい。樹脂組成物層の塗布量が1000g/m2を超えても特に要求特性の向上は期待できない場合が多い。
【0048】
樹脂組成物層は、必要に応じて、離型性シート等と貼り合わせて用いることができる。離型性シートとしては、その表面に離型処理を施されていれば特に制限はなく、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリノルボルネン等のポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、アクリル系樹脂などからなるシートを基材とするものが挙げられる。
【0049】
本発明の積層体は、樹脂組成物層が、シート状基材と離型性シートとの間、あるいは、シート状基材とシート状基材との間に挟持された構成のいずれであってもよい。
【0050】
本発明の樹脂組成物または積層体を加工することにより、画像形成物を得ることができる。
上記加工としては具体的には、例えば、加熱溶融する、段差をつける、凹凸をつける、着色(混色)する、ことなどが挙げられる。さらには、樹脂組成物そのものによって描画などをおこなうことも、ここでいう加工に含まれる。
また、本発明の画像形成物には、各種の装飾物が付着されていてもよい。
上記装飾物としては、スパンコール、蛍光材料、蓄光材料、無機粉体、プラスチックビーズ、ガラスビーズ、めっき処理を施したビーズ、意匠性布などが挙げられる。これらの装飾物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0051】
本発明の画像形成物は、上記装飾物を樹脂組成物の表面に置いて加熱により樹脂組成物の表面だけを溶融することにより容易に付着し、作製することができる。
また、本発明の画像形成物は、予め着色した樹脂組成物を用いて作製することも可能であるが、透明樹脂組成物と色材を加工したクレヨン、油絵の具、オフセットインキ、酸化ワックスで分散した着色剤、油性染料などの加工色材を加熱溶融(家庭用オーブントースター、IHIヒーターで加熱溶融など)して簡便に作製した樹脂組成物を用いて作製することも可能である。さらに、意匠性を付与させるためにこれらの色彩シートを並べて画像形成するのであるが全く手が色材で汚れないこと、溶剤などの揮発成分を使用していないために安全に取り扱うことができることが大きな特徴であり、ステンドグラス調、油絵調、石材調(七宝焼調)、さらにいろいろな装飾品を付着できることも大きな特徴である。作製した画像形成物は窓ガラス、壁、机、柱、ドア、冷蔵庫などに貼ることができ、必要であれば取り外すことも容易にできるものである。
【実施例】
【0052】
以下、本発明を実施例により具体的かつ詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の一態様に過ぎず、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
なお、例中、「部」とあるのは「重量部」を、「%」とあるのは「重量%」をそれぞれ表すものとする。
本発明におけるGPCによる重量平均分子量とは、ゲル状の粒子を充填したカラムに希薄な樹脂の溶液を流し、分子の大きさによって流出するまでの異なる時間を測定することにより得られる、ポリスチレン換算された重量平均分子量である。
具体的な測定条件は、以下の通りである。
装置:島津製作所社製 Prominence
カラム:TOSOH製 TSKgel GMH ×2本連結
検出器:RID-10A
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
カラム温度:40℃
流速:1mL/分
【0053】
(製造例1〜6)
表1に示した部数で、撹拌機を備えたニーダーにスチレン系ブロック共重合物(A)、粘着付与樹脂(B)、粘着付与樹脂(C)、着色剤(D)及び必要に応じて(A)、(B)、(C)、(D)以外のその他の成分を添加し、160℃で3時間撹拌し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を160℃に加熱溶融し、予め160℃に加熱した平滑なバットに重量が500g/m2になるように流しこみ、冷却することにより、樹脂シートを作製した。さらに、この樹脂シートの両面に離型性シートを貼り合せた。
【0054】
(製造例7)
温度計、攪拌機、窒素導入管及び還流冷却器および滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、メチルメタアクリレート60部、ブチルメタアクリレート34部及びN,N−ジメチルアミノエチルメタアクリレート6部からなるモノマー混合物のうち40部と、酢酸エチル60部を入れ、4つ口フラスコ内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気中で4つ口フラスコ内の混合物の温度を80℃に昇温し、80℃になったところで過酸化物系開始剤(ナイパーBMT−K40:日本油脂社製)0.1部を添加して反応を開始した。反応開始後、10分経過してから、残りのモノマー混合物60部と酢酸エチル20部及び過酸化物系開始剤(ナイパーBMT−K40:日本油脂社製)を0.1部混合した物を、1時間30分かけて均一に滴下しながら、還流下で重合を続けた。モノマーの滴下が終了してから1時間30分後に、後添加用開始剤として1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリルを0.3部、トルエン40部を添加し、さらに1時間30分反応し、固形分45.9%、重量平均分子量(Mw)6.8万のメタアクリル系共重合体(1)の溶液を得た。
【0055】
温度計、攪拌機、窒素導入管及び還流冷却器および滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート94部、アクリル酸6部からなるモノマー混合物のうち40部と、酢酸エチル60部を入れ、4つ口フラスコ内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気中で4つ口フラスコ内の混合物の温度を80℃に昇温し、80℃になったところで過酸化物系開始剤(ナイパーBMT−K40:日本油脂社製)0.1部を添加して反応を開始した。反応開始後、10分経過してから、残りのモノマー混合物60部と酢酸エチル20部及び過酸化物系開始剤(ナイパーBMT−K40:日本油脂社製)を0.1部混合した物を、1時間30分かけて均一に滴下しながら、還流下で重合を続けた。モノマーの滴下が終了してから1時間30分後に、後添加用開始剤として1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリルを0.3部、トルエン40部を添加し、さらに1時間30分反応し、固形分45.9%、重量平均分子量(Mw)76万のアクリル系共重合体(1)の溶液を得た。
【0056】
上記メタアクリル系共重合体(1)の溶液50部とアクリル系共重合体(1)の溶液50部を混合した混合溶液100部に対し、「コロネートL−55E」(変性TDI系イソシアネート、固形分55%、日本ポリウレタン社製)1.5部、法定色素(黄色201号)2部を添加し、十分に攪拌して(メタ)アクリル系粘着剤の溶液(1)を得た。
【0057】
(製造例8)
温度計、攪拌機、窒素導入管及び還流冷却器および滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート94部、アクリル酸6部からなるモノマー混合物のうち40部と、酢酸エチル60部を入れ、4つ口フラスコ内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気中で4つ口フラスコ内の混合物の温度を80℃に昇温し、80℃になったところで過酸化物系開始剤(ナイパーBMT−K40:日本油脂社製)0.1部を添加して反応を開始した。反応開始後、10分経過してから、残りのモノマー混合物60部と酢酸エチル20部及び過酸化物系開始剤(ナイパーBMT−K40:日本油脂社製)を0.1部混合した物を、1時間30分かけて均一に滴下しながら、還流下で重合を続けた。モノマーの滴下が終了してから1時間30分後に、後添加用開始剤として1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリルを0.3部、トルエン40部を添加し、さらに1時間30分反応し、固形分45.9%、重量平均分子量(Mw)76万のアクリル系共重合体(1)の溶液を得た。
【0058】
上記アクリル系共重合体(1)の溶液100部に対し、「コロネートL−55E」(変性TDI系イソシアネート、固形分55%、日本ポリウレタン社製)1.5部、法定色素(青色1号)2部を添加し、十分に攪拌してアクリル系粘着剤の溶液(2)を得た。
【0059】
(製造例9)
撹拌機を備えたニーダーに、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン三元共重合体(エチレン単位量66質量%、プロピレン単位量29.5質量%、5−エチリデン−2−ノルボルネン単位量4.5質量%、極限粘度4.7dl/g)35部、鉱物油(パラフィン系鉱物油軟化剤、全炭素数中のパラフィン鎖炭素数73%、全炭素数中のナフテン環炭素数27%、重量平均分子量1200)35部、プロピレン・エチレンランダム共重合体(密度は0.90g/cm3、MFR(温度230℃、荷重21N)は23g/10分)27部、プロピレン・1−ブテン非晶質共重合体(プロピレン単位量71モル%、溶融粘度8,000cPs(190℃)、密度0.87g/cm3、Mn6,500)3部を添加し、160℃で3時間撹拌した。さらに、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.4部、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド0.5部、低硫黄カーボンブラック(硫黄量0.2wt%)0.5部、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート0.3部を添加し、1時間攪拌し、黒色系熱可塑性エラストマー組成物を得た。
得られた黒色系熱可塑性エラストマー組成物を160℃に加熱溶融し、予め160℃に加熱した平滑なバットに重量が500g/m2になるように流しこみ、冷却することにより、樹脂シートを作製した。さらに、この樹脂シートの両面に離型性シートを貼り合せた。
【0060】
【表1】

【0061】
表1に記載のスチレン系ブロック共重合物(A)の略号を以下に示す。
SEBS1: SEBS、スチレンの比率34重量%、トリブロック含量100%
SEBS2: SEBS、スチレンの比率30重量%、トリブロック含量30%、ジブロック含量70%
SEBS3: SEBS、スチレンの比率31重量%、トリブロック含量100%
SEPS1: SEPS、スチレンの比率18重量%、トリブロック含量100%
SEPS2: SEPS、スチレンの比率13重量%、トリブロック含量100%
SEEPS1: SEEPS、スチレンの比率32重量%、トリブロック含量100%
SEEPS2: SEEPS、スチレンの比率30重量%、トリブロック含量100%
【0062】
表1に記載の鉱物油軟化剤(B)の略号を以下に示す。
鉱物油1: パラフィン系鉱物油軟化剤、全炭素数中のパラフィン鎖炭素数:73%、全炭素数中のナフテン環炭素数:27%、重量平均分子量1200
鉱物油2: ナフテン系鉱物油軟化剤、全炭素数中のパラフィン鎖炭素数:40.7%、全炭素数中のナフテン環炭素数:47.2%、全炭素数中の芳香族環炭素数:12.1%、重量平均分子量1800
鉱物油3: パラフィン系鉱物油軟化剤、全炭素数中のパラフィン鎖炭素数:71%、全炭素数中のナフテン環炭素数:29%、重量平均分子量1000
【0063】
表1に記載の粘着付与樹脂(C)の略号を以下に示す。
粘着付与樹脂1: 水素添加された石油系粘着付与樹脂、軟化点100℃
粘着付与樹脂2: 水素添加されたテルペン系粘着付与樹脂、軟化点115℃
粘着付与樹脂3: 水素添加された石油系粘着付与樹脂、軟化点125℃
粘着付与樹脂4: 水素添加されたテルペン系粘着付与樹脂、軟化点100℃
【0064】
表1に記載の着色剤(D)の略号を以下に示す。
チタン酸鉄: 無機赤色系顔料
群青: 無機青色系顔料
黄酸化鉄: 無機黄色系顔料
チタン酸コバルト: 無機緑色系顔料
黒酸化鉄: 無機黒色系顔料
【0065】
表1に記載のその他の成分の略号を以下示す。
酸化防止剤:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
香料: 安息香酸メチル(エステル系香料)
【0066】
[実施例1]
上記製造例1で得られた樹脂シートから片面の離型性シートを剥離し、PETシートを貼り合わせ、「PETシート/樹脂組成物層/離型性シート」という構成の積層体(1)を得た。
【0067】
[実施例2]
上記製造例3で得られた樹脂シートから片面の離型性シートを剥離し、PETシートを貼り合わせ、「PETシート/樹脂組成物層/離型性シート」という構成の積層体(2)を得た。
【0068】
[実施例3]
ハンディータイプのホットメルトディスペンサーに製造例2で得られた樹脂組成物を投入し溶融し、ホットメルトディスペンサーから直接被着体に吐出して画像形成を行った。立体感のある油絵調の画像形成物(1)を得た。
【0069】
[実施例4]
製造例2、3でそれぞれ得られた樹脂シートから離型性シートを剥し、独自の色を出すためにカットし、加熱溶融混合して混色にした。室温に冷却した後、これらをカットしてパッチワークのように並べ、製造例5で得られた黒色の樹脂シートから離型性シートを剥し、細くカットしてその境界に置いて、全体に再加熱溶融することにより一体化したステンドグラス調の画像形成物(2)を得た。
【0070】
[実施例5]
製造例1、2、3でそれぞれ得られた樹脂シートから離型性シートを剥し、カットしてちぎり絵のように並べた。その後加熱溶融して一体化させて油絵のような風景画調の画像形成物を得た。製造例6で得られた透明の樹脂シートから離型性シートを剥し、その表面に上記風景画調の画像形成物を並べ、加熱溶融することにより一体化した画像形成物(3)を得た。
【0071】
[実施例6]
製造例1、2でそれぞれ得られた樹脂シートから離型性シートを剥し、重ねて加熱溶融して厚めの画像形成物を作製して石のような形にして冷却した。同様に、製造例3、4でそれぞれ得られた樹脂シートから離型性シートを剥し、同じような厚めの画像形成物を作製して冷却した。上記それぞれの画像形成物をカットしてパッチワークのように並べてさらに加熱溶融し、立体感のある画像形成物(4)を得た。
【0072】
[実施例7]
製造例1で得られた樹脂シートから離型性シートを剥し、その上にスパンコール、蛍光材料、蓄光材料、無機粉体、プラスチックビーズ、ガラスビーズ、めっき処理を施したプラスチックビーズ、意匠性布を置き、加熱により樹脂組成物の表面だけを溶融することにより付着させ、立体意匠性のある画像形成物(5)を得た。
【0073】
[比較例1]
上記製造例7得られた(メタ)アクリル系粘着剤の溶液(1)を平滑なバットに乾燥後の厚さが0.5mmになるように流し込み、溶剤を加熱除去し、(メタ)アクリル系粘着剤層を形成し、さらにPETシート、離型性シートを貼り合わせ、「PETシート/(メタ)アクリル系粘着剤層/離型性シート」という構成の積層体(3)を得た。
【0074】
[比較例2]
上記製造例8得られたアクリル系粘着剤の溶液(2)を平滑なバットに乾燥後の厚さが0.5mmになるように流し込み、溶剤を加熱除去し、アクリル系粘着剤層を形成し、さらにPETシート、離型性シートを貼り合わせ、「PETシート/アクリル系粘着剤層/離型性シート」という構成の積層体(4)を得た。
【0075】
[比較例3]
上記製造例9で得られた樹脂シートから片面の離型性シートを剥離し、PETシートを貼り合わせ、「PETシート/樹脂組成物層/離型性シート」という構成の積層体(5)を得た。
【0076】
[再剥離試験]
積層体及び画像形成物を被着体への接触面が長さ50mm×幅50mmになるように調整し、試験片とした。必要に応じて離型性シートを剥離し、25℃雰囲気下で試験片を被着体としての窓ガラス、壁紙、アクリル板に貼付した。50℃雰囲気下に7日放静後、剥離し窓ガラス、壁紙、アクリル板の表面への樹脂組成物の残り、染み出しを目視で確認した。結果を表2に示した。
[判定基準]
○:被着体に樹脂組成物の残り、染み出しがなかった。
×:被着体に樹脂組成物の残り、染み出しがあった。
【0077】
[貼り剥がし性試験]
積層体及び画像形成物を被着体への接触面が長さ50mm×幅50mmになるように調整し、試験片とした。必要に応じて離型性シートを剥離し、25℃雰囲気下で試験片を窓ガラス、壁紙、アクリル板に貼付した。貼付直後に高速で引き剥がし、剥離力を官能で評価した。結果を表2に示した。
[判定基準]
◎:容易に剥離できた。
○:タックは強いが破断なく、剥離できた。
×:破断して剥離が困難である。
【0078】
[着色剤の移行の有無]
積層体及び画像形成物を被着体への接触面が長さ50mm×幅50mmになるように調整し、試験片とした。必要に応じて離型性シートを剥離し、25℃雰囲気下で試験片をガラス、壁紙、アクリル板に貼付し、50℃雰囲気で7日間静置し、23℃、相対湿度65%雰囲気下に1時間静置した後、ガラス、壁紙、アクリル板から剥離し、被着体表面を目視にて確認し、以下のように評価した。結果を表2に示した。
[判定基準]
○:被着体に着色剤の移行は確認されなかった。
△:被着体に着色剤の移行は確認されたが、容易に除去することができた。
×:被着体に着色剤が移行し、容易に除去できない。
【0079】
[耐熱性試験]
積層体及び画像形成物を被着体への接触面が長さ50mm×幅50mmになるように調整し、試験片とした。必要に応じて離型性シートを剥離し、80℃雰囲気下に500時間静置し、23℃、相対湿度65%雰囲気下に1時間静置した後、形状を目視にて確認し、以下のように評価した。結果を表2に示した。
[判定基準]
◎:形状の変化は確認されなかった。
○:一部に変形が確認されたが、全体の形状はほぼ変化がなかった。
×:全体の形状が変形した。
【0080】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の樹脂組成物によりいろいろなタッチの画像(ステンドグラス調、油絵調、石材調など)が得られ、しかも、作製時に全く手が汚れることがなく、形成された画像形成物は埃などが付着した際には水、石鹸水で容易に洗浄可能である。また、個人のセンスでいろいろな画像形成が可能である等の特徴があり、室内空間デザインのための材料として有望である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン系ブロック共重合物(A)、鉱物油軟化剤(B)、粘着付与樹脂(C)及び着色剤(D)を含む樹脂組成物であって、
スチレン系ブロック共重合物(A)は、スチレンの比率が10〜40重量%であり、トリブロック型の構造部を有し、
鉱物油軟化剤(B)は、重量平均分子量が700〜10000であり、
粘着付与樹脂(C)は、軟化点が80〜160℃であり、
スチレン系ブロック共重合物(A)3〜65重量部、鉱物油軟化剤(B)10〜95.9重量部、粘着付与樹脂(C)1〜50重量部及び着色剤(D)0.1〜10重量部を合計が100重量部になるように配合してなる樹脂組成物。
【請求項2】
170℃における粘度が500〜50000mPa・sであることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または2記載の樹脂組成物から形成される樹脂組成物層が、シート状基材の片面もしくは両面に積層されてなる積層体。
【請求項4】
樹脂組成物層の塗布量が、1〜1000g/m2であることを特徴とする請求項3記載の積層体。
【請求項5】
請求項1または2記載の樹脂組成物を加工してなる画像形成物。
【請求項6】
請求項3または4記載の積層体を加工してなる画像形成物。

【公開番号】特開2012−21103(P2012−21103A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161175(P2010−161175)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(591004881)東洋アドレ株式会社 (51)
【Fターム(参考)】