説明

樹脂組成物、樹脂成形体、管状体、転写ユニット、及び画像形成装置

【課題】表面抵抗率の変動が抑制された樹脂成形体が得られる樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】樹脂と導電性粒子121及び絶縁体122が複合された複合導電性粒子120と、を含む樹脂組成物である。そして、樹脂組成物を用いて、樹脂成形体や管状体を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、樹脂成形体、管状体、転写ユニット、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静電複写方式を用いた画像形成装置は、光導電性感光体からなる像保持体上に電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー光等で静電潜像を形成した後、帯電したトナーで前記静電潜像を現像して可視化したトナー像とする。
【0003】
例えば、中間転写体を介して上記トナー像を静電的に転写することにより再生画像を得る場合の画像形成装置として、特許文献1等に開示されたものが知られている。
【0004】
中間転写体方式を採用した画像形成装置に用いられる中間転写体材料としては、ポリカーボネート樹脂(特許文献2)、ポリフッ化ビニリデン(特許文献3、特許文献4)、ポリアルキレンフタレート(特許文献5)などの熱可塑性樹脂の導電性の無端ベルトやポリイミド樹脂や全芳香族ポリアミド樹脂(特許文献6)を用いる提案がなされている。
【0005】
静電的に転写するためには上記樹脂に導電性を付与する必要があり、導電性付与剤としてはカーボンブラックやイオン導電性樹脂、導電性高分子といったものが使用されている。中でも、カーボンブラックは電子伝導性であるため使用環境が変化しても電気抵抗率が変わらないこと、安価であることより一般的に用いられている(特許文献7、特許文献8)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭62−206567号公報
【特許文献2】特開平06−095521号公報
【特許文献3】特開平5−200904号公報
【特許文献4】特開平6−228335号公報
【特許文献5】特開平6−149081号公報
【特許文献6】特許2560727号明細書
【特許文献7】特許3530065号明細書
【特許文献7】特許3495317号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、導電性粒子として特定の複合導電性粒子を適用しない場合に比べ、表面抵抗率の変動が抑制された樹脂成形体が得られる樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
樹脂と
導電性粒子及び絶縁体の複合導電性粒子と、
を含む樹脂組成物。
【0009】
請求項2に係る発明は、
複合導電性粒子が、カーボンブラックと絶縁体との複合導電性粒子である請求項1に記載の樹脂組成物。
【0010】
請求項3に係る発明は、
前記導電性粒子の粒子径が、20nm以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
【0011】
請求項4に係る発明は、
前記複合導電性粒子の一次粒子径が、20nm以上80nm以下である請求項1に樹脂組成物。
【0012】
請求項5に係る発明は、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含んで構成される樹脂成形体。
【0013】
請求項6に係る発明は、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含んで構成される管状体。
【0014】
請求項7に係る発明は、
請求項6に記載の管状体と、該管状体を張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備え、画像形成装置に対して脱着される転写ユニット。
【0015】
請求項8に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写体と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、
前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
を備え、
前記中間転写体が、請求項6に記載の管状体である画像形成装置。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、導電性粒子として特定の複合導電性粒子を適用しない場合に比べ、表面抵抗率の変動が抑制された樹脂成形体が得られる。
請求項2に係る発明によれば、他種の複合導電性粒子に比べ、導電性粒子が簡易に作製し易く、表面抵抗率の変動が抑制される。
請求項3に係る発明によれば、導電性粒子の粒子径が20nmを超える場合に比べ、表面抵抗率の変動が抑制される。
請求項4に係る発明によれば、複合導電性粒子の一次粒子径が20nm以上80nm以下でない場合に比べ、耐久性の低減が抑制される。
請求項5に係る発明によれば、導電性粒子として特定の複合導電性粒子を適用しない場合に比べ、表面抵抗率の変動が抑制された樹脂成形体となる。
請求項6に係る発明によれば、導電性粒子として特定の複合導電性粒子を適用しない場合に比べ、表面抵抗率の変動が抑制された管状体となる。
請求項7に係る発明によれば、導電性粒子として特定の複合導電性粒子を適用しない管状体を備える場合に比べ、画像形成装置で使用した際に、表面抵抗率の変動に起因する画像欠陥が抑制される。
請求項8に係る発明によれば、導電性粒子として特定の複合導電性粒子を適用しない中間転写体を備える場合に比べ、表面抵抗率の変動に起因する画像欠陥が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る転写ベルトを示す概略斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本実施形態に係る樹脂組成物における複合導電性粒子を示す模式図である。
【図4】本実施形態に係る転写ベルトの製造方法の一例を説明するための模式図である。
【図5】本実施形態に係る転写ユニットを示す概略斜視図である。
【図6】本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図7】他の本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一例である実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0019】
(転写ベルト:管状体)
図1は、本実施形態に係る転写ベルトを示す概略斜視図である。図2は、図1のA−A断面図である。本実施形態に係る樹脂組成物における複合導電性粒子を示す模式図である。
【0020】
本実施形態に係る転写ベルト101は、図1及び図2に示すように、無端状に形成され、単層の基材層からなる管状体から構成されている。そして、単層の基材層は、少なくとも樹脂と、導電性粒子及び絶縁体を複合させた複合導電性粒子と、を含む樹脂組成物(本実施形態に係る樹脂組成物)で構成されている。図2中、120は、複合導電性粒子を示す。
なお、本実施形態に係る転写ベルト101は、単層からなっているが、これに限られず、上記本実施形態に係る樹脂組成物で構成された層が複数積層されたで構成あってもよいし、上記本実施形態に係る樹脂組成物で構成された層と他の樹脂組成物で構成された層とが複数積層された構成であってもよく、また、ベルトの外周面や内周面に他の機能層を設けてもよい。
【0021】
ここで、樹脂及び導電性粒子を含んで構成される転写ベルト(管状体)に代用される樹脂成形体では、放電に曝されると、表面抵抗率が変動(例えば低下)し易くなる。特に、転写ベルトを中間転写ベルトとして適用した場合、用紙の剥離時に中間転写体と用紙との間での剥離放電が生じ易く、表面抵抗率が変動(例えば低下)し易くなる。
【0022】
この対策として、例えば、粒子径が小さい導電性粒子を樹脂中に微細に分散させて、成形体表面の導電点を増加させると、放電に起因する表面抵抗率の変動が生じ難くなると考えられる。これは、成形体表面に数多く存在する導電点に放電が発生することで各導電点(放電場所)へかかる放電エネルギーが小さくなり、樹脂の電気的な破壊が起こり難くなるためであると考えられる。しかしながら、表面抵抗率の変動を抑制するために、導電性粒子の粒子径を小さくすればするほど、樹脂中への分散が困難になる。
【0023】
そこで、本実施形態では、導電性粒子と絶縁体とが複合された複合導電性粒子を適用することで、導電性に寄与する導電性粒子の径を微細化しても、これと絶縁体との複合導電性粒子全体で見かけ上の径の大きさが確保されることから、複合導電性粒子の分散性が損なわれ難くなる。このため、微細化した導電性粒子が、樹脂中に均一に分散された状態となり易くなる。
【0024】
したがって、本実施形態に係る転写ベルト101(管状体)では、本実施形態に係る樹脂組成物を含んで構成されることで、表面抵抗率の変動が抑制されたベルト(管状体)となる。
【0025】
以下、本実施形態に係る転写ベルト101を構成する本実施形態に係る樹脂組成物について説明する。本実施形態に係る樹脂組成物は、上述のように、少なくとも樹脂と複合導電性粒子とを含む。必要に応じて、その他の添加剤を含んでもよい。
【0026】
まず、複合導電性粒子について説明する。
複合導電性粒子は、導電性粒子と絶縁体とが複合された粒子、所謂ハイブリッド粒子である。複合導電性粒子は、例えば、図3(A)に示すように、導電性粒子の単体の一部に絶縁体が被覆された形態(例えば、絶縁体の粒子に、これよりも小さい導電性粒子の全部又は一部が埋め込まれた形態等)、図3(B)に示すように、複数の導電性粒子が絶縁体により結着された形態(例えば、絶縁体の粒子に、これよりも小さい複数の導電性粒子の全部又は一部が埋め込まれた形態等)等が挙げられる。なお、図3中、120は複合導電性粒子、121は導電性粒子、122は絶縁体を示す。
【0027】
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、またはポリアミドイミド樹脂等、特に限定されることなく、管状体として用いられる樹脂であれば特に制限無く使用される。これらの中でも、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂は強度が強いため伸びによる変化を抑えることができ、最も適している。なお、上記樹脂は単独で用いても混合して用いてもよい。
【0028】
導電性粒子としては、導電性又は半導電性の粉末が使用でき、目的とする電気抵抗が得られれば、導電性に制限はないが、例えばカーボンブラック、アルミニウムやニッケル等の金属、酸化錫等の酸化金属化合物、チタン酸カリウム等が例示される。これらの中でも、微細化した際、特に分散性が困難となるカーボンブラックが好適に適用される。上記カーボンブラックとしては、例えばオイルファーネスブラック、チャンネルブラック、またはアセチレンブラック等が挙げられる。
なお、「導電性」とは、表面抵抗率が10 Ω/□未満であることを意味する。また、「半導電性」とは、表面抵抗率が10以上1013 Ω/□以下であることを意味する。他も同様である。
【0029】
導電性粒子(特にカーボンブラック)の粒子径は、20nm以下であることが好ましく、16nm以下であることがより好ましく、13nm以下であることが特に好ましい。導電性粒子が上記範囲の如く微細化されたものであると、表面抵抗率の変動抑制が向上される。
【0030】
ここで、上記複合導電性粒子の一次粒子径は以下の方法により測定される。粒子を樹脂に包埋し100nmの厚さにミクロトームにて切断したサンプルや、SUSプレートに粒子を配置して、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて観察する。導電材料の粒子50個の径を測定して、その平均値を一次粒子径とした。本明細書に記載の数値は、当該方法によって測定したものである。他も同様である。
【0031】
また、複合導電性粒子中の導電性粒子の粒子径は、複合導電性粒子をフッ酸に分散し、フッ酸により絶縁体(例えばシリカ)を除去した後、残った導電性粒子(例えばカーボンブラック)について同様に測定した。
【0032】
絶縁体としては、例えば、シリカ、酸化チタン、アルミナ等が挙げられる。これらの中でも、導電性粒子としてのカーボンブラックと複合化(ハイブリッド化)させ易い点から、シリカが好適に適用される。
【0033】
上記構成の複合導電性粒子として特に好適には、カーボンブラックとシリカとの複合導電性粒子である。当該複合導電性粒子は、簡易に作製し易く、表面抵抗率の変動が抑制される。
【0034】
複合導電性粒子において、導電性粒子と絶縁体の体積比(導電性粒子/絶縁体)は、例えば、50/50以上99/1以下60/40以上95/5以下、望ましくは70/30以上90/10以下であることがよい。
【0035】
複合導電性粒子の一次粒子径は、例えば、20nm以上80nm以下、望ましくは25nm以上70nm以下、より望ましくは25nm以上50nm以下であることがよい。複合導電性粒子の一次粒子径を上記範囲とすることで、耐久性の低減が抑制されると共に、表面抵抗率の変動が抑制される。
【0036】
複合導電性粒子の含有量は、例えば、樹脂に対して10phr以上50phr以下、望ましくは10phr以上40phr以下であり、より望ましくは15phr以上25phr以下であることがよい。なお、「phr」とは樹脂の質量を100としたときの複合導電性粒子の質量を表す。
【0037】
複合導電性粒子の製法については、特に制限はなく、例えば、導電性粒子と樹脂とを混合して、これを粉砕すること等が挙げられる。特に、カーボンブラックとシリカとの複合導電性粒子の製法方法としては、例えば、ファーネス炉でカーボンブラック用原料のオイルを噴霧後、シリカ溶液を噴霧する手法、オイルとシリカ溶液の混合液をファーネス炉に噴霧する手法等が挙げられる。
【0038】
その他の添加剤としては、例えば、樹脂の熱劣化を防止するための酸化防止剤や、流動性を向上させるための界面活性剤等が挙げられる。
【0039】
以下、本実施形態に係る樹脂組成物を含んで構成される本実施形態に係る転写ベルトの製造方法の一例について説明する。
【0040】
本実施形態に係る転写ベルト101を製造する方法としては、例えば(a)少なくとも樹脂と複合導電性粒子とを混合分散した樹脂溶液(樹脂組成物の溶液)を筒型上の円筒成形管の外周面または内周面に塗布し、乾燥して成形する方法、(b)固体状の樹脂と複合導電性粒子との樹脂組成物を、押出し機を用いて混合分散しながら押出し成形する方法、が挙げられる。
【0041】
ここで、樹脂を複合導電性粒子に分散する手法としては、通常の粒子分散する方法であればどのようなものでもよく、例えば、ボールミル、サンドミル、二本ロール、ニーダー、高圧ジェットミル等が利用される。
【0042】
次いで、上記(a)の製造方法に関し、上記の分散工程後の各工程(即ち上記範囲の圧力下で混合分散した樹脂溶液を用いて転写ベルトを成形する工程)について説明する。
転写ベルトの成形は、特に限定されないが、例えば図4に示す回転塗布法により好適に行われる。この方法では、転写ベルトの長さに対応した外径を有する円筒成形管11を用意する。円筒成形管11外周面に沿った位置に、塗布液(樹脂溶液)16を円筒成形管11外周面上に吐出するためのノズル15を配し、ノズル15は配管を通じて塗布液容器14に接続されており、さらに塗布液容器14は配管を通じて加圧装置17に接続している。また、ノズル15の下方には、吐出された塗布液16を円筒成形管11外周面上において押し付けるためのブレード18が配置されている。
【0043】
円筒成形管11を円筒成形管回転方向(矢印D)の向きに回転し、ノズル15から塗布液16を円筒成形管11外周面上に吐出し、ブレード18で円筒成形管11外周面上に均す。ノズル15とブレード18は、ノズルおよびブレード移動方向(矢印E)に移動し、塗布液16が円筒成形管11外周面上に塗布される。なお、塗布液16は加圧装置17によりノズル15から吐出するように調節されている。これにより、円筒成形管11外周面上に塗布液16塗膜が形成される。
得られた塗布液16塗膜を加熱乾燥させ、その後冷却して円筒成形管11から剥離し、定められた幅で切断することで転写ベルトが得られる。
なお、塗布液(樹脂溶液)16の樹脂材料としてポリイミド前駆体を用いる場合には、円筒成形管11外周面上に塗布液16塗膜を形成した後、80℃以上170℃以下で乾燥することにより溶媒を除去し(乾燥工程)、さらに250℃以上350℃以下に加熱することでイミド転化(焼成工程)させてポリイミド樹脂膜を形成する。このポリイミド樹脂膜が転写ベルトとなる。
【0044】
本実施形態に係る転写ベルト101(管状体)は、例えば、中間転写ベルトや、記録媒体搬送転写ベルト等に利用される。
ここで、本実施形態に係る転写ベルト101を中間転写ベルトとして用いる場合、表面抵抗率1×10Ω/□以上1×1012Ω/□以下の抵抗率を持つことが好ましい。
一方、本実施形態に係る転写ベルト101を記録媒体搬送転写ベルトとして用いる場合、表面抵抗率1×10Ω/□以上1×1013Ω/□以下の抵抗率を持つことが好ましい。
【0045】
なお、本実施形態では、本実施形態に係る樹脂組成物を転写ベルトに適用した形態を説明したが、これに限られず、樹脂成形体全般に適用される。適用される樹脂成形体としては、例えば、繊維化した樹脂を用いた静電気除去部材、フィルム状に成形した帯電防止フィルム、コーティング材に混合した帯電防止塗料等が挙げられる。
【0046】
(転写ユニット)
図5は、本実施形態に係る転写ユニットを示す概略斜視図である。本実施形態に係る転写ユニット130は、図5に示すように、前記実施形態に係る転写ベルト101を備えており、転写ベルト101は対向配置された駆動ロール131及び従動ロール132により張力がかかった状態で掛け渡されている(以下、単に「張架」という場合がある。)。また、図示されていないが、感光体(像保持体)表面のトナー像を転写ベルト101上に1次転写させるためのロールと、転写ベルト101上に転写されたトナー像をさらに記録媒体に2次転写させるためのロールが配置される。なお、転写ベルト101を張架するロールの数は限定されず、使用態様に応じて配置すればよい。このような構成の転写ユニット130は画像形成装置に組み込まれて使用され、画像形成の際、駆動ロール131,従動ロール132の回転に伴って転写ベルト101も張架した状態で回転する。
【0047】
(画像形成装置)
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体表面を帯電する帯電手段と、像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段と、を有し、転写手段が、上記本実施形態に係る転写ベルトを備えるものである。
【0048】
具体的には、本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、転写手段が中間転写ベルトと像保持体に形成されたトナー像を中間転写体に一次転写する一次転写手段と中間転写ベルトに転写されたトナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段とを備え、当該中間転写ベルトとして上記本実施形態に係る転写ベルトを備える構成が挙げられる。
【0049】
また、本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、転写手段が記録媒体を搬送するための搬送転写ベルトと像保持体に形成されたトナー像を記録媒体搬送転写ベルトにより搬送された記録媒体に転写するための転写手段とを備え、当該記録媒体搬送転写ベルトとして上記本実施形態に係る転写ベルトを備える構成が挙げられる。
【0050】
本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、現像装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラー画像形成装置、像保持体上に保持されたトナー像を中間転写ベルトに順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色毎の現像器を備えた複数の像保持体を中間転写ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置が挙げられる。
【0051】
以下、本実施形態に係る画像形成装置を、図面を参照しつつ説明する。図6は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。図7は、他の本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。図6は、中間転写ベルトを備える画像形成装置であり、図7は、記録媒体搬送転写ベルトを備える画像形成装置である。
【0052】
図6に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに特定距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置に対して脱着可能なプロセスカートリッジであってもよい。
【0053】
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ロール22及び中間転写ベルト20内面に接する支持ロール24に巻回されて張架して設けられ、第1ユニット10Yから第4ユニット10Kに向う方向に走行されるように、画像形成装置用の転写ユニットを構成している。
なお、支持ロール24は、図示しないバネ等により駆動ロール22から離れる方向に付勢されており、両者に巻回された中間転写ベルト20に特定の張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ロール22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給可能である。
【0054】
上述した第1乃至第4ユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1ユニット10Yについて代表して説明する。尚、第1ユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4ユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
【0055】
第1ユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を特定の電位に帯電させる帯電ロール2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yよって露光して静電荷像を形成する露光装置3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段)4Y、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ロール5Y(1次転写手段)、及び1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを、クリーニングブレードにて除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段)6Yが順に配設されている。
尚、1次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ロールに印加する転写バイアスを可変する。
【0056】
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ロール2Yによって感光体1Yの表面が−600V以上−800V以下程度の電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
【0057】
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
このようにして感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って特定の現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
【0058】
現像装置4Y内には、例えば、イエロートナーが収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き特定速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が特定の1次転写位置へ搬送される。
【0059】
感光体1Y上のイエロートナー像が1次転写へ搬送されると、1次転写ロール5Yに特定の1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ロール5Yに向う静電気力がトナー像に作用され、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μA程度に制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
【0060】
また、第2ユニット10M以降の1次転写ロール5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも、第1ユニットに準じて制御されている。
こうして、第1ユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4ユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
【0061】
第1乃至第4ユニットを通して4色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト20内面に接する支持ロール24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ロール(2次転写手段)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録媒体Pが供給機構を介して2次転写ロール26と中間転写ベルト20とが圧接されている隙間に特定のタイミングで給紙され、特定の2次転写バイアスが支持ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録媒体Pに向う静電気力がトナー像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー像が記録媒体P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0062】
この後、記録媒体Pは定着装置(定着手段)28へと送り込まれトナー像が加熱され、色重ねしたトナー像が溶融されて、記録媒体P上へ定着される。カラー画像の定着が完了した記録媒体Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介してトナー像を記録媒体Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録媒体Pに転写される構造であってもよい。
【0063】
一方、図7に示す画像形成装置は、画像形成ユニットY、M、C、BKは、矢印の時計方向に特定の周速度(プロセススピード)をもって回転可能に、それぞれ感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKが備えられる。感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKの周囲には、帯電ロール202Y、202M、202C、202BKと、露光器203Y、203M、203C、203BKと、各色現像装置(イエロー現像装置204Y、マゼンタ現像装置204M、シアン現像装置204C、ブラック現像装置204BK)と、感光体ドラム清掃部材205Y、205M、205C、205BKとがそれぞれ配置されている。
【0064】
画像形成ユニットY、M、C、BKは、記録媒体搬送転写ベルト206に対して4つ並列に、画像形成ユニットBK、C、M、Yの順に配置されているが、画像形成ユニットBK、Y、C、Mの順等、画像形成方法に合わせて適当な順序を設定する。
【0065】
記録媒体搬送転写ベルト206は、ベルト支持ロール210、211、212、213によって内面側から張架され、画像形成装置用の転写ユニットを形成している。該記録媒体搬送転写ベルト206は、矢印の反時計方向に感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKと同じ周速度をもって回転可能になっており、ベルト支持ロール212、213の中間に位置するその一部が感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKとそれぞれ接するように配置されている。記録媒体搬送転写ベルト206は、ベルト用清掃部材214が備えられている。
【0066】
転写ロール207Y、207M、207C、207BKは、記録媒体搬送転写ベルト206の内側であって、記録媒体搬送転写ベルト206と感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKとが接している部分に対向する位置にそれぞれ配置され、感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKと、記録媒体搬送転写ベルト206を介してトナー画像を記録媒体216に転写する転写領域を形成している。転写ロール207Y、207M、207C、207BKは、感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKの直下に配置していても、直下からずれた位置に配置してもよい。
【0067】
定着装置209は、記録媒体搬送転写ベルト206と感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKとのそれぞれの転写領域を通過した後に搬送するように配置されている。
【0068】
記録媒体搬送ロール208により、記録媒体216は記録媒体搬送転写ベルト206に搬送される。
【0069】
画像形成ユニットBKにおいては、感光体ドラム201BKを回転駆動させる。これと連動して帯電ロール202BKが駆動し、感光体ドラム201BKの表面を特定の極性・電位に帯電させる。表面が帯電された感光体ドラム201BKは、次に、露光器203BKによって像様に露光され、その表面に静電潜像が形成される。
【0070】
続いて該静電潜像は、ブラック現像装置204BKによって現像される。すると、感光体ドラム201BKの表面にトナー画像が形成される。なお、このときの現像剤は一成分系のものでもよいし二成分系のものでもよい。
【0071】
このトナー画像は、感光体ドラム201BKと記録媒体搬送転写ベルト206との転写領域を通過し、記録媒体216が静電的に記録媒体搬送転写ベルト206に吸着して転写領域まで搬送され、転写ロール207BKから印加される転写バイアスによって形成される電界により、記録媒体216の表面に順次転写される。
【0072】
この後、感光体ドラム201BK上に残存するトナーは、感光体ドラム清掃部材205BKによって清掃・除去される。そして、感光体ドラム201BKは、次の画像転写に供される。
【0073】
以上の画像転写は、画像形成ユニットC、M及びYでも上記の方法によって行われる。
【0074】
転写ロール207BK、207C、207M及び207Yによってトナー画像を転写された記録媒体216は、さらに定着装置209に搬送され、定着が行われる。
以上により記録媒体上に画像が形成される。
【実施例】
【0075】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0076】
[複合導電性粒子の作製]
【0077】
−複合導電性粒子1〜8の作製−
カーボンブラック原料としてデカント油、シリカ原料としてテトラエトキシオルソシリケート溶液を用い、両者を混合した液をファーネス炉に注入することで、表1乃至表2に示す複合導電性粒子1〜8を得た。
【0078】
−複合導電性粒子の一次粒子径測定および複合導電性粒子中の導電性粒子の粒子径−
上記複合導電性粒子の一次粒子径は以下の方法により測定される。粒子を樹脂に包埋し100nmの厚さにミクロトームにて切断したサンプルや、SUSプレートに粒子を配置して、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて観察する。導電材料の粒子50個の径を測定して、その平均値を一次粒子径とした。本明細書に記載の数値は、当該方法によって測定したものである。他も同様である。
また、複合導電性粒子中の導電性粒子の粒子径は、複合導電性粒子をフッ酸に分散し、フッ酸によりシリカを除去した後、残ったカーボンブラックについて同様に測定した。
これらの結果を、表1乃至表4に示す。
【0079】
[実施例1乃至8]
表1乃至表2に従って、上記作製した複合導電性粒子を、溶剤可溶型ポリアミドイミド樹脂(東洋紡製バイロマックスHR16NN 固形分率18wt%)に50phr添加し、φ2mmのジルコニア製球を内容積の約60vol%充填した横型サンドミル(Dyno製Dynomill KDL)をφ90の攪拌羽で回転数1592rpmで回転させたところへ、5回通し分散を行った。得られた分散液を所定の抵抗になるように希釈後、はじきとべナードセル防止用としてシリコーン系界面活性剤を添加し、塗布液とした。なお、「phr」とは樹脂の質量を100としたときのカーボンブラックの質量を表す。
【0080】
次に、得られた塗布液を、ディップコートにてφ278のアルミ製パイプ外面に塗布し、150℃で30分回転乾燥後250℃のオーブンに1時間入れた後取り出し、フィルムを抜き取ることでφ277.9、幅350の管状体を得た。なお、管状体の膜厚がそれぞれ約80μmになるよう塗布厚みを調整した。
【0081】
[比較例1乃至3]
表3に従って、特定の粒子径を持つカーボンブラックを準備し、これらを用いた以外は、実施例と同様にして管状体を得た。
【0082】
[実施例9乃至12]
表4に従って、複合導電性粒子5の添加量を変更した以外は、上記実施例と同様にして管状体を得た。
【0083】
[評価]
実施例及び比較例で得られた管状体について、次の評価を行った。結果を表1乃至表4に示す。
【0084】
(表面抵抗率)
内円筒φ16,外円筒φ30×φ40の二重円筒式プローブを用い、下面を絶縁体にした測定装置を用いた。この装置の内円筒に100Vをかけたときに外円筒に流れる電流量(電圧印加後10秒値)を測定し、フィルムの表面抵抗率を計算により求めた。
【0085】
(体積抵抗率)
内円筒φ16,外円筒φ30×φ40の二重円筒式プローブを用い、下面を導電板にした測定装置を用いた。この装置の導電板に100Vをかけたときに内円筒に流れる電流量(電圧印加後10秒値)を測定し、フィルムの体積抵抗率を計算により求めた。
【0086】
(表面性)
各例で得られた管状体を目視にて観察し、以下の基準により判定を行った。
−判定基準−
○:目視で突起無しかつ表面につや有り
△:目視で微小な突起ありかつ表面につやあり
×:目視で突起有りまたは表面がつや消し
【0087】
(抵抗安定性)
抵抗安定性として、白抜け画像、表面抵抗率の変化(表中、抵抗変化量と標記)を評価した。
まず、各例で得られた管状体を中間転写ベルトとして富士ゼロックス社製のDocuPrint C2250に装着し、10℃15%RHの低温低湿環境下において、A4縦用紙を連続して3000枚転写した後、ハーフートーン(マゼンタ30%)の画像をA3縦用紙に転写した。このときの2次転写電圧は3.6KVとした。得られたハーフトーン画像を目視により下記評価基準で白抜け画像の判定を行った。
−白抜け画像の評価基準−
○:白抜けなし
△:わずかに白抜けあり
×:白抜けあり
【0088】
また、表面抵抗率の変化は、下記白抜け画像の評価前後における表面抵抗率を測定し、評価前の表面抵抗率の常用対数値と評価後の表面抵抗率の常用対数値の差より、求めた。静電複写システムの高速化、高画質化ともないバラツキ幅の小さいベルトが望まれてくるが、最低 0.6以下、望ましくは0.3が要求される。
−抵抗変化量の評価基準−
○:0以下−0.3を超える
△:−0.3以下−0.6を超える
×:−0.6以下
【0089】
(分散液粘度)
各例で管状体を作製する際に得た分散液(塗布液)をコーンプレート型粘度計(Haake製 VT550+PK100D)に0.5°φ14mmコーンをとりつけ25℃にて測定を行った。
分散機を取り扱う点で45Pas以上の粘度になると分散液の流動性が悪くなり取り扱い作業に不具合が生じる。
−粘度の評価基準−
○:30Pas未満
△:30Pas以上45Pas未満
×:45Pas以上
【0090】
(耐折れ性)
各例で得られた管状体から20mm×250mmのサイズに切り出した短冊状シートを作製し、これをMIT屈曲試験機(JIS P−8115)に装着し10Nのテンションをかけて動かしたときのシートが破断するまでの回数で比較した。円筒部材の張架の仕方で必要な回数は異なるが、一般的には最低100回以上の耐折れ回数があれば耐久性は問題ない。
−耐折れ性の評価基準−
○:100以上
△:50以上100未満
×:50未満
【0091】
(画質)
各例で得られた管状体を中間転写ベルトとして富士ゼロックス社製のDocuPrint C2250に装着し、22℃55%RHの環境下において、A4縦用紙にハーフートーン(マゼンタ30%)の画像を3000枚通紙したときの画質を観察した。
−画質の評価基準−
○:問題なし
△:わずかな濃度ムラあり
×:濃度ムラ大
【0092】
【表1】

【0093】
【表2】

【0094】
【表3】

【0095】
【表4】

【0096】
上記結果から、表面性については、実施例1〜8に示したように、比較例2、3に比べ、複合導電性粒子を用いると良好な表面性が得られることがわかる。
また、抵抗安定性については、実施例1〜3、5、7、8に示したように、実施例4、6に比べ、白抜け画像が抑制されると共に、抵抗変化の小さくなることがわかる。
分散液粘度については、実施例1〜7に示したように、実施例8に比べ、取り扱い性の良好であることがわかる。
耐折れ性については、実施例2〜8に示したように、実施例1に比べ、耐久性が向上されることがわかる。
また、画質については、実施例5、実施例9、10に示したように、実施例11、12に比べ、良好な画質が得られることがわかる。
【符号の説明】
【0097】
1Y、1M、1C、1K 感光体
2Y、2M、2C、2K 帯電ロール
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3 露光装置
4Y、4M、4C、4K 現像装置
5Y、5M、5C、5K 1次次転写ロール
6Y、6M、6C、6K クリーニング装置
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ロール
24 支持ロール
26 2次転写ロール
30 中間転写体クリーニング装置
101 転写ベルト
120 複合導電性粒子
121 導電性粒子
122 絶縁体
130 転写ユニット
131 駆動ロール
132 従動ロール
201Y、201M、201C、201BK 感光体ドラム
202Y、202M、202C、202BK 帯電ロール
203Y、203M、203C、203BK 露光器
204Y、204M、204C、204BK 現像装置
205Y、205M、205C、205BK 感光体ドラム清掃部材
206 記録媒体搬送転写ベルト
207Y、207M、207C、207BK 転写ロール
208 記録媒体搬送ロール
209 定着装置
210 ベルト支持ロール
212 ベルト支持ロール
214 ベルト用清掃部材
216 記録媒体
Y、M、C、BK 画像形成ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂と
導電性粒子及び絶縁体の複合導電性粒子と、
を含む樹脂組成物。
【請求項2】
複合導電性粒子が、カーボンブラックと絶縁体との複合導電性粒子である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記導電性粒子の粒子径が、20nm以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記複合導電性粒子の一次粒子径が、20nm以上80nm以下である請求項1に樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含んで構成される樹脂成形体。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含んで構成される管状体。
【請求項7】
請求項6に記載の管状体と、該管状体を張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備え、画像形成装置に対して脱着される転写ユニット。
【請求項8】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写体と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、
前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
を備え、
前記中間転写体が、請求項6に記載の管状体である画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−229242(P2010−229242A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76728(P2009−76728)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】