説明

樹脂製手提げバッグの製造方法

【課題】オフセット印刷が可能で、強度を有する樹脂製の手提げバッグの製造方法を提供する。
【解決手段】手提げバッグの製造方法は、第1の樹脂フィルム9aと第2の樹脂フィルム9bとを備えた複合化シートを用い、シート状態である複合化シートの第2の樹脂フィルム9bに対して印刷受容性を向上させるフィルム表面処理を行う予備印刷工程と、複合化シート9を手提げバッグの形に成形する袋加工処理工程と、袋加工処理工程により折り畳まれた状態である袋体において、第2の樹脂フィルム9bに設けた印刷支援層に所定のデザインを印刷する本印刷工程を備え、袋加工処理前のシート状態時に印刷受容性を高めるフィルム表面処理を行なっておくことにより、ヒート加工を経て折り畳まれた袋体の状態に加工された後であっても本印刷の精度を向上せしめたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、販売促進ツールとして使用される手提げバッグを樹脂製の薄い複合化シートで製造し印刷加工する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
会社説明会、研修セミナー、商談会等において、来場者に配布する書類等の内容物は、ポリエチレン製の簡易手提げ袋やサイドシール袋に収容されることが多い。ポリエチレン製の簡易手提げ袋は、スーパー等でよく使用されるような袋で、袋本体の両側縁を内側に折り曲げて、内容物を入れたときに広がるようにし、この両側縁を延長して取手部を形成する簡易な袋である。サイドシール袋は、袋本体が二軸延伸ポリプロピレン(OPP)や無延伸ポリプロピレン(CPP)等のような一枚もののフラットフィルムを半分で折り(折り幅が袋の長さ方向となる)、指定幅で熱溶断(シールしながらシール位置で切断する方法)した袋である。
【0003】
このような手提げ袋やサイドシール袋の袋本体に、企業名やロゴの他、消費者の目を惹くデザインを印刷して、いわゆる販促(販売促進)ツールやノベルティとして使用するニーズが社会一般に存在する。また、特開2008−260577号に示されるように、顧客に広告情報や販売情報を与えることができる袋が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−260577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ポリエチレン製の袋やポリプロプレン製の袋に印刷をする場合、下記の問題がある。
【0006】
第1の問題は、通常、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂素材への印刷はグラビア印刷によることが多いが、グラビア印刷は大量印刷には向くものの、少ロットには不向きという問題である。グラビア印刷の場合、色数分の版を製版して、色を順番に重ねて印刷する。この製版の制作に時間がかかり、コスト高になる。ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂素材は化学変化に対する耐性が強いため、溶剤に浸されにくい性質がある。印刷はインクや顔料を対象物に載せる必要があるが、ポリエチレンやポリプロピレンには塗料が載りにくいのである。また、熱により伸縮する性質があるので、特に多色刷りの場合、柄の合わせが困難である。また、素材への色の混ぜ込みを行うと、印刷するデザインのバリエーションが限定される。例えば、袋本体の一部に窓開けをすることや、一方の片面は印刷面で他方の片面は透明にすること等は困難であり、たとえ可能であっても、コストや時間がかかる。
【0007】
第2の問題は、袋に使用する素材の強度の問題である。いわゆる販促(販売促進)ツールやノベルティとして手提げ袋を使用する場合、手提げ袋に書籍等ある程度の重量を有する内容物を収容することがあり、袋左右の閉じ縁及び底部に強度が要求される。引っ張り強度が強い素材、すなわち、柔らかい素材を使用すると、見栄えが悪い上、印刷工程で印刷がずれる可能性がある。他方、腰のある素材を用いると見栄えはよいものの強度が不足する。
【0008】
上記問題点に鑑み、本発明は、販売促進ツールとして使用される手提げバッグを、樹脂製の薄い複合化シートで製造し印刷加工する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成させるために、本発明に係る樹脂製手提げバッグの製造方法は、樹脂製手提げバッグの基材となる第1の樹脂フィルムと、第1の樹脂フィルムの表面に対して印刷受容性を向上させる第2の樹脂フィルムとを備えた複合化シートを用い、ヒート加工を伴う袋加工処理に先立ち、シート状態である複合化シートの第2の樹脂フィルムに対して印刷受容性を向上させるフィルム表面処理を行って印刷支援層を形成する予備印刷工程と、複合化シートを手提げバッグの形に成形する袋加工処理工程と、袋加工処理工程により折り畳まれた状態である袋体において、第2の樹脂フィルムに設けた印刷支援層に所定のデザインを印刷する本印刷工程を備え、袋加工処理前のシート状態時に印刷受容性を高めるフィルム表面処理を行なっておくことにより、ヒート加工を経て折り畳まれた袋体の状態に加工された後であっても本印刷の精度を向上せしめたことを特徴とする。なお、上述したフィルム表面処理は、マット加工が好適である。
【0010】
複合化シートは、第1の樹脂フィルムがポリエチレンフィルムで、第2の樹脂フィルムが二軸延伸ポリプロピレンフィルムであって、両者をドライラミネートしたものであることを特徴とする。また、複合化シートは、第1の樹脂フィルムが無延伸ポリプロピレンフィルムで、第2の樹脂フィルムが二軸延伸ポリプロピレンフィルムであって、両者をドライラミネートしたものであってもよい。
【0011】
本印刷工程は、オフセット印刷によるもので、特にUVオフセット印刷による印刷工程であることが好適である。
【0012】
また、本発明は、上記製造方法により製造された手提げバッグである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の製造方法によれば、従来2ないし3週間程度かかっていた納期を最短2日とすることができる。
【0014】
また、本発明の製造方法によれば、低コストで手提げバッグを製造することができる。
【0015】
さらに、デザインの印刷は、UVオフセット印刷を採用するため、グラビア印刷やフレキソ印刷に比べて、網点印刷において高精細で立体感のある仕上げになる。またさらに、素材すべてに下地色を着色する必要がないので、例えば裏面を透明にして内容物を意図的に見せることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例に係る本発明の樹脂製手提げバッグの製造方法により製造された樹脂製手提げバッグ10の平面図である。
【図2】実施例に係る本発明の樹脂製手提げバッグ10の製造工程を示す図である。
【図3】実施例に係る本発明の樹脂製手提げバッグ10の製造工程の一部である袋加工工程を示す模式図である。
【図4】実施例に係る複合化シート9の断面図である。(a)は印刷支援層6‘が袋1の両面に配設した図であり、(b)は印刷支援層6‘が袋1の片面に配設した図であり、(c)は、(a)に係る複合化シート9を折り畳んだ状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。各図において、同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。また、図面は、本発明を理解するために誇張して表現している場合もあり、必ずしも縮尺どおり精緻に表したものではないことに留意されたい。なお、本発明は下記に示される実施の形態に限られるものではない。
【実施例】
【0018】
実施例を図面を参照して詳細に説明する。本発明の樹脂製手提げバッグ10の製造方法の第1の特徴は、樹脂製手提げバッグ10の基材となる第1の樹脂フィルムと第2の樹脂フィルムとを備えた複合化シート9を用い、ヒート加工を伴う袋加工処理に先立ち、シート状態である複合化シート9の第2の樹脂フィルムに対して印刷受容性を向上させるフィルム表面処理を行う予備印刷工程を備えている点である。第2の特徴は、袋加工処理前のシート状態時に印刷受容性を高めるフィルム表面処理を行なっておくことにより、ヒート加工を経て折り畳まれた袋体1の状態に加工された後であっても本印刷の精度を向上せしめた点である。
【0019】
図1は、後述する本発明に係る製造方法により製造された手提げバッグ10を示す平面図である。図1に示すとおり、手提げバッグ10は、複合化シート9を半分で折り、指定幅で熱溶断した袋体1であって、袋体1は、第1閉じ縁2aと、第1閉じ縁2bと、底部3と、開口部4とを備え、さらに、袋体1の全部又は一部にマット地6を配設し、開口部4の近傍には、手提げバッグ10の手提げ孔5を有する。後述するとおり、手提げバッグ10は、印刷支援層6‘をマット地6として、オフセット印刷により多様なデザインや文字が印刷される。
【0020】
図2及び図3を参照する。図2は、実施例に係る本発明の樹脂製手提げバッグ10の製造工程を示す図である。図3は、実施例に係る本発明の樹脂製手提げバッグ10の製造工程の一部である袋加工工程を示す模式図である。実施例に係る製造工程は、ロール19から連続的に引き出される所定幅の複合化シート9にマット地6を印刷する予備印刷工程(S0100)と、袋加工工程(S0200)であって、複合化シート9を幅方向に略中央にて折り曲げ、折り目の両側を重ねる折曲工程(S0201)と、折曲工程にて得られた折り目に折りぐせをつけ、閉じ縁の一方(第1閉じ縁2a)を形成する第1閉じ縁形成工程(S0202)と、第1閉じ縁形成工程を経て送り出される複合化シート9を所定長さに裁断する裁断工程(S0203)と、裁断された一方の縁部を接合して閉じ縁の他方(第2閉じ縁2b)を形成する第2閉じ縁形成工程(S0204)と、を含む袋加工工程(S0200)と、袋加工工程によって得られた袋1のマット地6に所定のデザインを印刷する本印刷工程(S0300)と、本印刷工程によって得られた袋1の開口部4の近傍に小判孔5を穿つ孔開け工程(S0400)からなる。
【0021】
まず、予備印刷工程(S0100)を説明する。複合化シート9の色付けは、袋加工工程(S0200)に入る前の複合化シート9を、搬送経路の中途に設けた印刷機20(図に示されない)に通し、例えば、グラビア印刷又はフレキソ印刷により幅方向の全部又は一部にマット加工をベースに単色又は多色の印刷を施すとよい。マット加工とは、シリカ等の粒形状の添加したマット加工インキまたは塗料をフィルム表面に印刷または塗布して表面処理を行う加工方法である。印刷はインクや顔料を対象物に載せる必要があるが、ポリエチレンやポリプロピレンには塗料が載りにくい。したがって、マット加工により複合化シート9に微細な凹凸部を形成することによって、フィルム表面積値を大きくし、印刷受容性を向上させることができる。マット加工には単色を採用して、後述するオフセット印刷で多色の印刷を施せば、納期の短縮化と低コスト化が実現できる。なお、印刷受容性を向上させるフィルム表面加工はマット加工に限定されず、例えばブラスト加工が用いられてもよい。ブラスト加工とは、フィルム表面に研磨粒子を空気の力で吹き付けて表面処理を行う加工方法である。ブラスト加工によりフィルム表面に微細な凹凸部を形成することにより、印刷受容性を向上させてもよい。
【0022】
次に、実施例において使用される複合化シート9について説明する。複合化シート9は、複合フィルムにより構成される。より具体的には、複合フィルムは、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)とポリエチレンの2枚のフィルムをラミネート加工して貼着したものを用いるとよい。複合フィルムはドライラミネート加工して貼着されることが好ましいが、他のラミネート加工でもよいし、1枚のフィルムに別の樹脂をコーティングして構成されてもよい。また、フィルムの材質は、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)と無延伸ポリプロピレン(CPP)との組み合わせでもよい。
【0023】
二軸延伸ポリプロピレン(OPP)は、透明度が高く、腰があって、一定の引っ張り強さがあり、印刷効果は優れているあるものの、ヒートシール性に欠ける。他方、ポリエチレンや無延伸ポリプロピレン(CPP)は、透明度はやや二軸延伸ポリプロピレン(OPP)に劣り、柔らかく、印刷効果が劣るものの、引っ張り強さとヒートシール性において二軸延伸ポリプロピレン(OPP)に優る。したがって、後述するとおり、実施例においては、複合化シート9は、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)を袋外面(印刷面)に配設し、ポリエチレン又は無延伸ポリプロピレン(CPP)は袋内面に配設することが好ましい。当該2枚の樹脂フィルムを貼着することによって、側面強度が強く、オフセット印刷が可能な袋体1が製造できる。
【0024】
下記表1は、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)と、ポリエチレン又は無延伸ポリプロピレン(CPP)の2枚のフィルムの貼着について、出願人において実験を行った結果を示している。当該実験においては、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム9bは厚さ50μmとして、ポリエチレンフィルム9a又は無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム9a‘の厚さを変更している。まず、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム9bの50μmに貼着するフィルムとして、ポリエチレンフィルム9aを選択し、厚さを変えて実験した。結果として、ポリエチレンフィルム9aの厚さを25μm又は30μmにすると、製袋及びオフセット印刷が可能であった。ポリエチレンフィルム9aの厚さを20μm以下にすると製袋できるものの、複合フィルムに腰がないため、オフセット印刷は困難であった。また、厚さが35μm以上にすると、後述するように、袋体加工の際の閉じ縁2a、2bの溶着が不完全となり、袋体1を加工することができなかった。次に、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム9bの50μmに貼着するフィルムとして、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム9a‘を選択し、厚さを変えて実験した。結果として、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム9a‘の厚さを40μmにすると、製袋及びオフセット印刷が可能であった。しかし、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム9a‘の厚さを30μm以下にすると製袋できるものの、複合フィルムに腰がないため、オフセット印刷は困難であった。また、厚さが50μm以上にすると、袋体加工の際の閉じ縁2a、2bの溶着が不完全となり、袋体1を加工することができなかった。
【表1】

【0025】
図4を参照する。図4は、実施例に係る複合化シート9の断面図であり、(a)は印刷支援層6‘が袋1の両面に配設し、(b)は印刷支援層6‘が袋1の片面に配設し、(c)は、(a)に係る複合化シート9を折り畳んだ状態を示す図である。図4(a)に示すとおり、図に向かって下の層は二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム9b、同じく上の層はポリエチレンフィルム9aである。図4(a)において、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム9bには、ポリエチレンフィルム9aと貼着している面と別の面に、印刷支援層6‘が施されている。したがって、図中の矢印方向に複合化シート9が折り曲げられると、図4(c)に示すとおり、印刷支援層6‘が施された二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム9bが袋外面になり、ポリエチレンフィルム9aは袋内面となる。当該2層構造により、上記袋1の縁部2a、2bの強度が増す。図4(a)のような場合、袋1の表裏に印刷支援層6‘が存在するので、後述する本印刷工程(S0300)で、袋1の表裏両面に多色刷りで多様なデザイン等の印刷が可能である。
【0026】
一方、図4(b)は袋1の片面に印刷支援層6‘が存する。したがって、袋1の片面にのみ印刷支援層6‘が存在するので、後述する本印刷工程(S0300)で、袋1の表裏面のいずれかにデザイン等の印刷が可能となる。このように片面にのみ印刷を施すことで、袋1に収容する内容物を意図的に見せることができる。
【0027】
図3を参照しながら、説明する。ロール19に巻回保持して供給される薄肉樹脂製の複合化シート9は、これを保持するロール19から矢印の方向に引き出され、引き出し経路の両側に配した裁断刃33(図に示されない)により幅方向の両縁が切り揃えられる。この後、多数の案内ローラ31a、31b、31c、31dに適宜に案内されて所定の方向に搬送される間に、幅方向の略中央において折り曲げられ、折り目の両側を重ねられた状態となり、所定の方向にさらに搬送される。このとき重ねられた複合化シート9は、後述する裁断を経て、手提げバッグ10における袋体1となり、折り曲げられた折り目は、図1に示すとおり、袋体1及び手提げバッグ10の底面3となる。この工程が折曲工程である(S0201)。
【0028】
折曲工程における折り曲げは、複合化シート9の材料として用いられる上記複合フィルムが薄いことから、例えば、各種の樹脂フィルムを用いる封筒の製造において広く使用されるサイドシール製袋機30等、折り曲げ治具と案内ローラ31とを組み合わせて構成された曲げ装置を利用して容易に行うことができる。
【0029】
折曲工程を経て送り出される複合化シート9の搬送経路の中途には、搬送に伴う折り目の移動経路に面して超音波ヘッド32(図に示されない)が配してある。この超音波ヘッド32は、内蔵された発振器が発振する超音波を適宜の形状を有するホーンにより導き、該ホーンの先端に対向する位置を複合化シート9の搬送に伴って移動する折り目に超音波を照射する作用をなす。このような超音波の照射により、折り目の近傍には機械的振動が付加され、この振動に伴う摺り合わせによって発熱することになり、引出しのために複合化シート9全体に加えられている張力との相乗作用により、折り目に折りぐせがつけられ、超音波ヘッド32の配設位置の通過後の折り目は、その近傍に隙間を生じることなく複合化シート9を接続する閉じ縁2aとなる。この工程が第1閉じ縁形成工程である(S0202)。
【0030】
折曲工程において折り曲げられ第1閉じ縁形成工程において折り目を強化して閉じ縁2aが形成された複合化シート9は、搬送経路に配設された裁断刃33の動作により裁断され、上下の複合化シート9が幅方向一側の閉じ縁2aにより接合された所定長さの複合化シート9となる。この工程が裁断工程である(S0203)。
【0031】
裁断刃33の下流側には、溶着ヘッド34が配設され、裁断によって得られた複合化シート9は、多数の案内ローラ31e、31f、31g、31h、31i、31jに適宜に所定の方向に案内され、溶着ヘッド34の配設位置に搬送される。溶着ヘッド34は、裁断された一方の縁部を溶着する動作をなし、これにより他方の閉じ縁2bが形成される。この工程が第2閉じ縁形成工程である(S0204)。
【0032】
上記の工程が袋加工工程(S0200)であり、袋加工工程を経て、袋体1が形成される。
【0033】
袋加工工程を経て得られた袋体1のマット地6に、所定のデザインが印刷される。袋体1への印刷は、オフセット印刷で行われる。オフセット印刷は、袋加工工程の実施によって得られた袋体1をオフセット印刷機40に通して得られる。実施例において、紫外線の照射により定着するUVインキを用い、紫外線の照射手段を内蔵するオフセット印刷機40を用いて行うことが好適である。この工程が本印刷工程である(S0300)。
【0034】
本印刷工程を経た袋体1は、開口部4の近傍に小判孔5の孔開け加工を行う。小判孔5が形成されることにより、樹脂製手提げバッグ10に把持部が備わる。この工程が孔開け工程である(S0400)。なお、孔開け工程は、本印刷工程の前に実施されてもよい。
【0035】
以上、本発明に係る樹脂製手提げバッグ10の製造方法における好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の樹脂製手提げバッグ10の製造方法は、樹脂製手提げバッグ10の短納期及び低コストを実現するとともに、小ロット対応が可能である。オフセット印刷を利用することで、色鮮やかな立体感を実現し、カラー印刷についても従来よりも低料金の設定が可能であるため、業務用の販促ツールのみならず、趣味等にも広く利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
10 手提げバッグ
1 袋体
2a 第1閉じ縁
2b 第2閉じ縁
3 底部
4 開口部
6 マット地
6‘ 印刷支援層
9 複合化シート
9a ポリエチレンフィルム
9a‘ 無延伸ポリプロピレンフィルム
9b 二軸延伸ポリプロピレンフィルム
20 印刷機
40 オフセット印刷機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製手提げバッグの基材となる第1の樹脂フィルムと、前記第1の樹脂フィルムの表面に対して印刷受容性を向上させる第2の樹脂フィルムとを備えた複合化シートを用い、
ヒート加工を伴う袋加工処理に先立ち、シート状態である前記複合化シートの前記第2の樹脂フィルムに対して印刷受容性を向上させるフィルム表面処理を行って印刷支援層を形成する予備印刷工程と、
前記複合化シートを前記手提げバッグの形に成形する袋加工処理工程と、
前記袋加工処理工程により折り畳まれた状態である袋体において、前記第2の樹脂フィルムに設けた前記印刷支援層に所定のデザインを印刷する本印刷工程を備え、
前記袋加工処理前のシート状態時に印刷受容性を高める前記フィルム表面処理を行なっておくことにより、前記ヒート加工を経て折り畳まれた前記袋体の状態に加工された後であっても本印刷の精度を向上せしめた手提げバッグの製造方法。
【請求項2】
前期フィルム表面処理は、マット加工であることを特徴とする請求項1に記載の手提げバッグの製造方法。
【請求項3】
前記複合化シートは、前記第1の樹脂フィルムがポリエチレンフィルムであり、前記第2の樹脂フィルムが二軸延伸ポリプロピレンフィルムであって、両者をドライラミネートしたものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の手提げバッグの製造方法。
【請求項4】
前記複合化シートは、前記第1の樹脂フィルムが無延伸ポリプロピレンフィルムであり、前記第2の樹脂フィルムが二軸延伸ポリプロピレンフィルムであって、両者をドライラミネートしたものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の手提げバッグの製造方法。
【請求項5】
前記本印刷工程は、オフセット印刷による印刷工程であることを特徴とする請求項1ないし4に記載の手提げバッグの製造方法。
【請求項6】
前記本印刷工程は、UVオフセット印刷による印刷工程であることを特徴とする請求項5に記載の手提げバッグの製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし6の製造方法により製造された手提げバッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−103455(P2013−103455A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250160(P2011−250160)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(397070211)株式会社トップメール (1)
【Fターム(参考)】