説明

樹脂製身箱

【課題】 身箱と仕切りを一体化し作業性向上・分別簡易化を目的とし、また、資源有効活用を目的とし身箱を形成する樹脂肉厚を薄くし、現行紙製折箱と同等強度を保持できる樹脂製身箱を提供すること。
【解決手段】 樹脂製シート11を成形する身箱1は、矩形の底板2の対向前後辺に、夫々外側片31、上面片32及び内側片33から成る左右側板3が連設され、底板2の対向左右辺に夫々外側片41、上面片42及び内側片43から成る前後側板4が連設され、各内側片33、44に重合片35、45が延設され、左右側版3の内側片33の両側辺部に差込フラップ35が連設され、二重壁面の左右側板3と前後側板4とを折曲して起立成形し、差込フラップ35を内側片43と外側片41との間に挿入して挟持させ、各重合片34、44を底板2に当圧させる。底板2に仕切り23を、外側片31、41に凹凸面を成型した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装用の箱に関するものであり、詳しくは材質が樹脂製であって樹脂シートを成型し、折り曲げて組み立てた中仕切りを有する身箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、食品等の包装用箱の材質は、高級品では木箱を用いる場合も見られるけれど、通常の品質の商品であれば、一般的には紙箱を用いるのがほとんどである。
また、複数の異種商品の詰め合わせや、同種商品でも整然と並べて見栄えを良くするため、身箱内に仕切りを有する箱がある。
【0003】
斯かる仕切りは、身箱と一体的に成形するものや、身箱とは別体として成形して身箱内に配置する構成とするものとがある。
更に、一体的に成形する場合は紙製の組み立て箱と成り、別体で構成する場合には紙製の二部材とする場合と、身箱は紙製で仕切りは樹脂製で成形して構成するものもある。
【0004】
包装用箱は運搬や保存を容易とする目的で、使用時に型材の平板を折り曲げて箱の立体形状に成形するものが多い。
そして、前述のように紙製の型材が主流であるけれど、仕切りの付いた型材は、当然のように複雑な形状となり、その成形にも手数が掛かるものとなる。
【0005】
そのため、身箱と仕切りを別物に構成し、成形した身箱に仕切り(トレイ状)を載置する方法が多く採用され、近時は仕切りを樹脂製とするものが増大しているのである。
【特許文献1】特開2004−268938
【特許文献2】特開2004−244083
【特許文献3】特開平09−188317
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在、土産品や贈答品などの包装形態として紙箱の中に樹脂製もしくは紙製仕切りを入れ商品を充填後、箱ごと掛紙にて装飾するという形態が主流である。
しかし、この方法では紙箱を折った後に仕切りを敷くといった手間が掛かる。
また、紙製仕切りの場合では紙の成型は複雑化を余儀なくされ、箱とは別に仕切り部材を調達して折らなければならず、更に手間がかかる。
一方、樹脂製の仕切りを採用した場合でも、紙箱を折った後に仕切りを敷くことに変わりなく、加えて、各包装資材が異材質からなるため、分別時の煩雑さは否めず、環境的観点や、資源リサイクルの点での問題が生じる。
【0007】
そこで、本発明は、身箱と仕切りを一体化することで作業性の向上・分別の簡易化を目的とし、また、資源の有効活用を目的として身箱を形成する樹脂肉厚をより薄くし、かつ現行の紙製折箱と差異のない強度を保持できる樹脂製の身箱を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載された樹脂製身箱は、樹脂製シートを折曲して成形する身箱であって、矩形の底板の対向する前後辺に、それぞれ外側片と上面片を間に介して内側片とから成る前後側板が連設され、前記底板の対向する左右辺にそれぞれ外側片と上面片を間に介して内側片とから成る左右側板が連設され、更に前記各内側片に重合片が延設されると共に、前後側版又は左右側版の一方の内側片の両側辺部に差込フラップが連設され、前記底板に対して二重の壁面を有する前後側板及び左右側板とを折り曲げて起立成形し、前記差込フラップを他方の側板の内側片と外側片との間に挿入して挟持させると共に、内側片に延設した各重合片を底板に当圧させることにより、箱形態が維持される箱の身部において、底板に仕切りを突設して成型したこと、内側片又は外側片を凹凸面に成型したことを特徴とするものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、仕切りは、底板の外面が開口した中空部を形成して突設されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、内側片又は外側片に成型した凸部を、前後側板と左右側板の中空内に突出させて、前後側板及び左右側板とを折り曲げて起立成形したことを特徴とするものである。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、内側片又は外側片に成型した凸部を、起立成形した内側片の上下高さ方向に亘って、上面片の幅と略同長の半径の半円柱状に形成したことを特徴とするものである。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの発明において、樹脂製シートは、0.3ミリメートルの厚さであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、底板に対して前後側板と左右側板とを折り曲げて起立成形し、差込フラップを他方の側板の内側片と外側片との間に挿入して挟持させると共に、内側片に延設した各重合片を底板に当圧させることにより、箱形態が維持されるのであり、紙製の折箱と同様に樹脂製のシートで簡単容易に身箱を組み立てられる効果を有する。
【0014】
そして、前後及び左右の側板は内外の側片で二重となっていること、及び内側片又は外側片を凹凸面としたため強度を充分に確保でき、肉厚の薄い樹脂製シートを用いることができ、組み立て等の取り扱いが容易でコストも低廉に抑えられる効果がある。
また、底板に仕切りを突設して成型してあるため仕切りを一体に形成でき、別途仕切りトレイを成形して装置する必要がないと共に、底板の強度を高める効果を発揮するものである。
【0015】
更に、身箱と仕切りを一体に樹脂シートで成型して組み立てるものであるから、使用後の処理も、解体してシート状としてそのまま樹脂回収に委ねればよく、廃棄やリサイクルが極めて簡単容易となる効果を有する。
【0016】
請求項2の発明においては、仕切りを、底板の外側面が開口した中空部を形成し突設させて形成するものであるから、底板面が凹凸形状となり底板の強度をより高めると共に、仕切り自体も形態を確実に維持できる格別の効果を発揮する。
【0017】
請求項3の発明においては、内側片又は外側片に成型した凸部を前後側板と左右側板の中空内に突出させたため、側壁を形成する内面側及び外面側の何れの壁面も凸部が現れないから商品の収容や蓋の装着に支障とならない格別の効果を有する。
【0018】
請求項4の発明においては、内側片又は外側片に成型した凸部を、起立成形した内側片の上下高さ方向に亘って、上面片の幅と略同長の半径の半円柱状に形成したため、内側片又は外側片に成型した凸部が、前後側板及び左右側板の外側板と上面片とで形成する側版内の中空内に突出し、上面片と底板間に配置することになるため、前後側板及び左右側板が上下方向のからの圧力により耐えることが出来る格別の効果を発揮するものである。
【0019】
請求項5の発明においては、上記請求項1乃至4の構成とすることで、従来の仕切りに使用されている0.6ミリメートルの肉厚に比べ、0.3ミリメートル肉厚のシートでも身箱の形態を維持できるものとなる効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に本発明の実施の形態例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施の形態例を示す身箱1の展開したシート体11の斜視図である。
図2は、図1のシート体11を組み立てて成形された身箱1の斜視図であり、かぶせ蓋や角筒状のスライド蓋を挿脱して使用されるものである。
図3は、シート体11を折り畳んで身箱1を成形する過程でのフラップ近傍を示す斜視図である。
図4は、図2において、身箱1を単面線A−Aで切断した単面図である。
図5は、図2において、身箱1を単面線B−Bで切断した単面図である。
図4及び図5においてはハッチングの都合上、シートの肉厚を厚めに表現してあるが、実際の肉厚は身箱の外形寸法に比べて非常に薄くなっている。
【0021】
身箱1は樹脂シートで形成され、包装する商品に適応した材質の樹脂材料を選択し、構造上の強度が得られればシートの肉厚は薄いほど軽量となり、扱い易くなる。
従来の紙箱の内部に敷設する樹脂製の仕切り(トレイ)は、0.6ミリメートルの肉厚のものが用いられているけれど、本発明の構造においては0.3ミリメートルの肉厚で形態の維持を図られた。
【0022】
図1に示すように、身箱1を折って組み立てる展開したシート体11の中央部に底板2が配置され、底板2は矩形であり、本実施の形態例では長方形(正方形であってもよい。)としている。
底板2は短辺と平行に凹凸条21、22が形成され、内側面24における凸条22から更に起立した突部が形成され、この突部が仕切り23と成っている。
すなわち、図4に示すように、仕切り23は、底板2の外側面25が開口した中空部26を形成して突設されていることになる。
【0023】
図面では、仕切り23が屏風タイプとしているけれど、周知の形態である階段状や升目状に成型することも可能であり、従来より樹脂製の仕切りとして製品化してきた形状を応用することができる。
【0024】
次に、底板2の左右辺(図1での長辺を言う。)には、それぞれ折り目線51を介して外側片31が連設され、連続して、折目線52を介して上面片32が連設され、さらに、折目線53を介して内側片33が連設されている。
そこで、各折り目線51、52、53に沿って内側へ(底板2側へ)折り畳んで、中空71を有し(図5参照)、二重の板面で構成する左右側板3、3が形成される。
【0025】
一方、底板2の前後辺(図1での短辺を言う。)には、それぞれ折り目線61を介して外側片41が連設され、連続して、折目線62を介して上面片42が連設され、さらに、折目線63を介して内側片43が連設されている。
そこで、各折り目線61、62、63に沿って内側へ(底板2側へ)折り畳んで、中空72を有し(図4参照)、二重の板面で構成する前後側板4、4が形成される。
【0026】
左右側板3及び前後側板4を形成する各内側片33、43には、上下幅方向(側板を形成した時の上下高さ方向)に亘って凸条リブ37、47が横方向に定間隔で設けられている。
凸条リブ37,47は、左右側板3及び前後側板4の外側片31、41と上面片32、42とで形成する側版内の中空71、72内に突出し、上面片32、42の幅(側板内の中空間の幅となる。)と略同長の半径の半円柱状に形成され、上面片32、42と底板2間に配置し、左右側板3及び前後側板4が上下方向のからの圧力に耐える構造と成るものである。
【0027】
図面では、凸状リブ37、47は内側片33、43に形成されているけれど、外側片31、41に形成してもよく、左右側板3及び前後側板4内の中空71、72内に突出する面に形成する。
また、突出する形状は半円形が有効であるけれど、この形状に限定されるものではない。
【0028】
さらに、左右側板3及び前後側板4を形成する各内側片33、43に連続して、折目線54、64を介して重合片34、44が延設され、折り目線54、64で底板2に当圧するように折り曲げて底板2に載置するように成っている。
【0029】
また、前記左右側板3の各内側片33の両側辺部には、それぞれ折目線55を介して差込フラップ35が連設されている。
この差込フラップ35は前後側板4の内側片43の両側辺部に連接されてもよい。
そして、前記左右側板3の外側片31の側辺部と、これに隣接する前記左右即板4の外側片41の側辺部に、それぞれ折目線56、65を介して連結用フラップ36で連結され、対角線方向にも折目線66が形成されている。
【0030】
各左右側板3と各前後側板4は、各折目線で折り曲げて、それぞれ底板2に対して立設する。
すると、外側片31と外側片41は身箱1の外面壁となり、上面片32と上面片42は身箱1の上端壁となり、内側片33と内側片43は身箱1の内面壁となる。
この時、先ず左右側板3を起立成形した後、差込フラップ35を折目線55で左右辺側へ90度折り曲げ、この差込フラップ35を包む様に前後側板4の外側片41と内側片43とを折り曲げて前後側板4を成形することで、前後側板4の間に差込フラップ35を挟持させるように挿入することができる(図3参照)。
【0031】
そして、重合片34、44を底板2に沿わせるように折り曲げるとともに、重合片34の両端部を、重合片44の両端部で押圧させることにより、身箱1の箱形態を保持するように組み立てられる。
連結用フラップ36は、左右側板3と前後側板4を底板2に対して立設させる際には、各折目線56、65,66で折り込まれ、半分に折り畳まれるようにして前記差込フラップ35と共に前後側板4の間に挟持させるように挿入することで、身箱1の箱形態を維持すると共に、隅部に空隙の生じるのを防止している。
【0032】
尚、折曲に関する折目線の形成は、型紙製の箱材と同様に型枠やミシン目を併用して形成することができる。
以上説明した本発明の技術的範囲は、上記の実施の形態例に限定されるものではなく、本明細書及び図面に記載した事項から明らかになる本発明が真に意図する技術的思想の範囲全体に、広く及ぶものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施の形態例を示す身箱の展開したシート体の斜視図である。
【図2】図1のシート体を折り畳んで成形した身箱の斜視図である。
【図3】シート体を折り畳んで身箱を成形する過程でのフラップ近傍を示す斜視図である。
【図4】図2において、身箱を単面線A−Aで切断した単面図である。
【図5】図2において、身箱を単面線B−Bで切断した単面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 身箱
11 シート体
2 底板
21 凹条
22 凸条
23 仕切り
24 内側面
25 外側面
26 中空部
3 左右側板
4 前後側板
31、41 外側片
32、42 上面片
33、43 内側片
34、44 重合片
35 差込フラップ
36 連結用フラップ
37、47 凸条リブ
51〜56 折目線
61〜66 折目線
71、72 中空

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製シートを折曲して成形する身箱であって、
矩形の底板の対向する前後辺に、それぞれ外側片と上面片を間に介して内側片とから成る前後側板が連設され、前記底板の対向する左右辺にそれぞれ外側片と上面片を間に介して内側片とから成る左右側板が連設され、
更に前記各内側片に重合片が延設されると共に、前後側版又は左右側版の一方の内側片の両側辺部に差込フラップが連設され、
前記底板に対して二重の壁面を有する前後側板及び左右側板とを折り曲げて起立成形し、前記差込フラップを他方の側板の内側片と外側片との間に挿入して挟持させると共に、内側片に延設した各重合片を底板に当圧させることにより、箱形態が維持される箱の身部において、
底板に仕切りを突設して成形したこと、内側片又は外側片を凹凸面に成型したことを特徴とする樹脂製身箱。
【請求項2】
仕切りは、底板の外面が開口した中空部を形成して突設されていることを特徴とする請求項1記載の樹脂製身箱。
【請求項3】
内側片又は外側片に成型した凸部を、前後側板と左右側板の中空内に突出させて、前後側板及び左右側板とを折り曲げて起立成形したことを特徴とする請求項1または2記載の樹脂製身箱。
【請求項4】
内側片又は外側片に成型した凸部を、起立成形した内側片の上下高さ方向に亘って、上面片の幅と略同長の半径の半円柱状に形成したことを特徴とする請求項3記載の樹脂製身箱。
【請求項5】
樹脂製シートは、0.3ミリメートルの厚さであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の樹脂製身箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−47281(P2010−47281A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212585(P2008−212585)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(597112922)馬場化学工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】