機器支持構造
【課題】機器の上下をそれぞれ上側及び下側防振支持装置によって壁面に支持するようにした機器支持構造において、機器の設置を容易にする。
【解決手段】機器支持構造1は、一対の上側下側防振支持装置4,4及び1つの下側防振支持装置5を備えており、上側防振支持装置4は、壁面3に固定された上側支持部材41と、上側支持部材41に左右方向に延びるように支持された壁面側軸部431と、左右方向に延びて壁面側軸部431が貫通した貫通孔が形成された上側ゴム弾性体44と、壁面側軸部431と筐体上側部材42とを連結し、壁面側軸部431の軸周りに回動する上側連結部材43と、を備える。
【解決手段】機器支持構造1は、一対の上側下側防振支持装置4,4及び1つの下側防振支持装置5を備えており、上側防振支持装置4は、壁面3に固定された上側支持部材41と、上側支持部材41に左右方向に延びるように支持された壁面側軸部431と、左右方向に延びて壁面側軸部431が貫通した貫通孔が形成された上側ゴム弾性体44と、壁面側軸部431と筐体上側部材42とを連結し、壁面側軸部431の軸周りに回動する上側連結部材43と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば給湯器等、作動時に振動する機器を壁面に支持する機器支持構造に関し、特に、機器の上下をそれぞれ上側及び下側防振支持装置によって壁面に支持するようにした機器支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、壁面に支持された機器が壁面から離れる方向に倒れるのを防止し、さらに当該機器が作動時に振動する場合にその振動の壁面への伝達を防止するために、機器の上下をそれぞれ上側及び下側防振支持装置によって壁面に支持する機器支持構造がある。
【0003】
この種の機器支持構造として、例えば特許文献1には、上固定装置及び下固定装置を備える機器支持構造が開示されている。上固定装置は、壁面に固定された水平方向に延びる平板状の支持体と、機器背面に固定された断面逆L字形の上固定体本体と、支持体の天面部に鉛直方向に延びるように設けられた弾性体からなる中間部材と、を備え、上固定体本体の上面部の上方からビスを挿通して当該上面部と支持体の天面部とを締結することにより、機器の上部が壁面に支持される。下固定装置も上固定装置と同一の構成を備えていて、下固定体本体の上面部の上方からビスを挿通して当該上面部と支持体の天面部とを締結することにより、機器の下部が壁面に支持される。
【0004】
また、例えば特許文献2には、壁面に固定された壁面取付板と、機器背面に固定された背板と、背板と壁面取付板とを結合する二以上の支持部材と、背板及び壁面取付板に、それぞれ支持部材を結合するための結合用台座及び弾性体からなる防振部材を備えた防振壁掛装置であって、支持部材は、それぞれ垂直投影面上において機器の重心を通る直線上に配置され、支持部材と取付台座とは、防振部材を介在させて結合され、防振部材は、変形方向が当該重心を通る直線に対して平行になるように台座に配置されていて、機器を鉛直方向に正立させた状態で機器に働く力の釣り合いが取れるように支持部材を台座に結合可能に構成して成る機器支持構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−292331号公報
【特許文献2】特開2007−315407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1で開示された機器支持構造では、機器を壁面に設置する際に、先ず、機器を持ち上げる等、機器を外部から支持しながら機器と壁面との間に上下固定装置を配して機器を壁面に支持させ、その後、外部からの支持を外して上下固定装置だけで壁面に支持させる。すると、機器は、上下両支持体に上から載る形で支持されているため、機器は壁面から遠ざかる方向にやや倒れ、それに伴って上下の防振部材が撓む。この撓み量が上下で異なると、機器支持構造の防振性能が損なわれてしまう。これを防止するためには、上下の防振部材をそれぞれ同じ撓み量だけ撓ませる必要がある。ところが、そのためには、上下固定装置の固定位置を予め定めて、機器を上下固定装置に同時に固定しなければならず、機器の設置に手間がかかるという問題がある。
【0007】
また、特許文献2で開示された機器支持構造では、全ての支持部材が機器の重心を通る直線上に配置されて壁面に固定され、そして支持部材と台座との間に介在する防振部材が機器の重心を通る直線方向に伸縮するため、高い防振性能が得られる。しかしながら、この場合、機器を設置する前に機器の重心を求めなけらばならない。そうすると、例えば機器が給湯器の場合、内部に、燃焼器や配管などの様々な重量を有する器具が複雑な配置で収容されているため、重心を求めるのは容易ではない。このように、特許文献2の機器支持構造においても、機器の設置に手間がかかるという問題がある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、機器の上下をそれぞれ上側及び下側防振支持装置によって壁面に支持するようにした機器支持構造において、機器の設置を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、作動時に振動する機器の上下をそれぞれ上側防振支持装置及び下側防振支持装置によって壁面に支持するようにした機器支持構造であって、上記上側防振支持装置は、上記壁面に固定された上側支持部材と、上記上側支持部材に、上記壁面に平行且つ水平に延びるように支持された軸部材と、上記軸部材の軸方向に延びて該軸部材が貫通した貫通孔が形成された上側弾性体と、上記軸部材と上記機器側とを連結し、該軸部材の軸周りに回動可能な上側連結部材と、を備えることを特徴とするものである。
【0010】
第1の発明によれば、上側連結部材は、壁面に固定された上側支持部材と機器側とを連結し、且つ、壁面に平行且つ水平に延びる軸部材の軸周りに回動する。従って、機器を上側防振支持装置だけで壁面に支持すると、機器が軸部材の軸周りに回動する。よって、機器を壁面に支持するときは、先ず、上側防振支持装置だけで機器を壁面に支持し、機器が回動して停止した後に、下側防振支持装置で機器の下部を壁面に支持する。このように機器の重心を求める等の作業が不要なため、機器の設置を容易にすることができる。さらに、上側弾性体は、軸部材と同一方向に延びているため、機器が軸部材の軸周りに回動しても撓まない。従って、機器を壁面に支持した状態でも、上側弾性体の防振性能を維持することができる。よって、機器支持構造の防振性能を維持しつつ、機器を壁面に容易に設置することができる。
【0011】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記上側支持部材は、上記壁面に固定される固定部と、該固定部から上記機器側に延在し、その機器側先端部が上記上側弾性体の外面に対応する形状の内面を有する弾性体取付部と、を備え、上記上側弾性体は、上記弾性体取付部に嵌合固定され、上記上側連結部材は、上記軸部材に一体に連結され、該軸部材が上記貫通孔内において該軸部材の軸周りに回動することによって、該軸周りに回動することを特徴とするものである。
【0012】
第2の発明によれば、上側連結部材が軸部材に一体に連結され、この軸部材が貫通する上側弾性体が上側支持部材の弾性体取付部に嵌合固定され、さらに、この軸部材が上側弾性体の貫通孔内を該軸部材の軸周りに回動する。従って、機器を上側防振支持装置によって壁面に支持するときは、先ず、上側支持部材を壁面に、上側連結部材及び上側弾性体を機器に取り付け、その後に、上側弾性体を弾性体取付部に嵌合固定する。このように、上側弾性体を弾性体取付部に嵌合固定するという簡単な作業で上側支持部材と上側連結部材とを連結することができるので、機器を容易に設置することができる。
【0013】
また、第2の発明によれば、上側連結部材が軸部材と一体に連結しているので、上側連結部材及び軸部材を一部品にすることができ、部品点数を抑制することができる。
【0014】
第3の発明は、上記第1の発明において、上記上側支持部材は、それぞれ上記軸部材の軸方向に間隔をおいて上記壁面から上記機器側に向かって突設し且つ上端から下方に延在する切り欠き部が形成された一対の側壁部を備え、上記軸部材は、その両端部がそれぞれ上記各切り欠き部に嵌ることによって上記両側壁部に該軸部材の軸周りに回動可能に支持され、上記上側弾性体は、上記軸部材とその軸周りに一体となって回動し、上記上側連結部材は、上記上側弾性体の外面に巻回する板ばねを有していて、該板ばねが上記軸部材及び上記上側弾性体と一体となって上記軸部材の軸周りに回動することによって、該軸部材の軸周りに回動することを特徴とするものである。
【0015】
第3の発明によれば、上側支持部材の一対の側壁部に上端から下方に延びる切り欠き部がそれぞれ設けられ、両切り欠き部に軸部材の両端部が嵌め込まれ、さらに、板ばねが、軸部材が貫通した上側弾性体を巻回すると共にこの上側弾性体と機器側とを連結している。従って、機器を上側防振支持装置によって壁面に支持するときは、先ず、板ばねと機器側とを連結すると共に板ばねに上側弾性体及び軸部材を装着する一方、上側支持部材を壁面に固定し、その後に、軸部材を両切り欠き部の上方から引っ掛ける。そうすると、軸部材が両側壁部に支持され、機器が上側防振支持装置で壁面に支持される。このように、軸部材を上側支持部材の上方から引っ掛けるという簡単な作業で上側支持部材と上側連結部材とを連結することができるので、機器を容易に設置することができる。
【0016】
また、第3の発明によれば、上側連結部材が板ばねを有しているので、地震等により機器が大きく振動した場合でも、板ばねが伸縮することによって機器の振動が壁面に伝達するのを防止することができる。
【0017】
第4の発明は、上記第1の発明において、上記軸部材は、一端が上記上側支持部材に固定支持され、上記上側連結部材は、上記上側弾性体を兼ねている弾性体であって、上記上側弾性体が上記軸部材の軸周りに回動することを特徴とするものである。
【0018】
第4の発明によれば、軸部材の一端が上側支持部材に固定支持され、さらに、上側連結部材が上側弾性体を兼ねている弾性体である。従って、機器を上側防振支持装置によって壁面に支持するときは、先ず、上側連結部材と機器側とを連結する一方、上側支持部材を壁面に固定し、その後に、上側連結部材に形成された貫通孔に、軸部材をその他端側から貫通させる。そうすると、上側連結部材が軸部材に支持され、機器が上側防振支持装置で壁面に支持される。このように、上側連結部材の貫通孔に軸部材を貫通させるという簡単な作業で上側支持部材と上側連結部材とを連結することができるので、機器を容易に設置することができる。
【0019】
また、第4の発明によれば、上側連結部材が上側弾性体を兼ねた弾性体なので、上側連結部材を上側弾性体と一体に成形することができ、部品点数を抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、機器を壁面に支持するときは、先ず、上側防振支持装置だけで機器を壁面に支持し、機器が回動して停止した後に、下側防振支持装置で機器の下部を壁面に支持する。このように、機器の設置に先立って機器の重心を求める等の作業をする必要がない。さらに、上側弾性体は、軸部材と同一方向に延びているため、機器が軸部材の軸周りに回動しても撓まない。従って、機器支持構造の防振性能を維持しつつ、機器を壁面に容易に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態1に係る機器支持構造を示す図であって、同図(a)は、機器を壁面に支持した状態を示す正面図であり、同図(b)は、同状態を示す側面図である。
【図2】実施形態1の防振支持装置を示す図であって、同図(a)は、上側防振支持装置の側面図であり、同図(b)は、下側防振支持装置の側面図である。
【図3】実施形態1の上側支持部材を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。
【図4】実施形態1の筐体上側部材を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。
【図5】実施形態1の上側防振支持装置の主要部の分解斜視図である。
【図6】実施形態1の変形例に係る上側防振支持装置の側面図である。
【図7】実施形態1の変形例の上側支持部材を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。
【図8】実施形態1の変形例の筐体上側部材を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。
【図9】実施形態1の変形例の上側ゴム弾性体が装着された上側連結部材の斜視図である。
【図10】実施形態2に係る上側防振支持装置の側面図である。
【図11】実施形態2の上側支持部材を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。
【図12】実施形態2の上側防振支持装置の主要部の分解斜視図である。
【図13】実施形態2の筐体上側部材を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。
【図14】実施形態3に係る上側防振支持装置の側面図である。
【図15】実施形態3の上側支持部材及び筐体上側部材を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。
【図16】実施形態3の上側連結部材を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態では、機器を給湯器として説明する。
【0023】
(実施形態1)
図1は、本実施形態の機器支持構造1を示す図であって、同図(a)は、給湯器2を壁面3に支持した状態を示す正面図であり、同図(b)は、同状態を示す側面図である。図2は、防振支持装置を示す図であって、同図(a)は、上側防振支持装置4の側面図であり、同図(b)は、下側防振支持装置5の側面図である。以下、説明の便宜のため、図1(a)の左側を左右方向左側、図1(a)の右側を左右方向右側、図1(b),図2の左側を前後方向前側、図1(b),図2の右側を前後方向後側として説明する。なお、「左右方向」とは、壁面3に平行且つ水平な方向をいう。
【0024】
−機器支持構造−
機器支持構造1は、給湯器2を壁面3に支持するものであって、一対の上側防振支持装置4,4と、1つの下側防振支持装置5と、を備えており、両上側防振支持装置4,4が給湯器2の上部を壁面3に支持し、下側防振支持装置5が給湯器2の下部を壁面3に支持している。給湯器2は、内部で水を加熱し、温水を生成してシャワー等に供給するものであって、直方体状の筐体20と、筐体20内に格納された燃焼器や配管(いずれも図示せず)等を備えている。以下、上側及び下側防振支持装置4,5の各構成について詳細に説明する。
【0025】
≪上側防振支持装置≫
一対の上側防振支持装置4,4は、図1(a)に示すように、給湯器2よりも上方においてそれぞれ左右方向に対称に配置されており、互いに同一の構成を備えている。そこで、右側の上側防振支持装置4の構成について図2(a)及び図3〜5を参照して説明する。図3は、上側支持部材41を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。図4は、筐体上側部材42を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。図5は、上側防振支持装置4の主要部の分解斜視図である。
【0026】
上側防振支持装置4は、図1,図2(a)に示すように、壁面3の給湯器2よりも高い位置に固定され、給湯器2の荷重を支えるための上側支持部材41と、この上側支持部材41に、左右方向に延びるように支持された壁面側軸部431と、筐体20に固定された筐体上側部材42と、給湯器2側と壁面側軸部431とを連結し、壁面側軸部431の軸周りに回動可能な上側連結部材43と、左右方向に延びて上側連結部材43の壁面側軸部431が貫通した貫通孔44aが形成された上側ゴム弾性体44と、を備えている。
【0027】
上側支持部材41は、図3に示すように、断面略L字状の板部材で構成されており、壁面3に固定された固定部411と、固定部411から前方に延び、その前方端部に上側ゴム弾性体44が取り付けられる弾性体取付部412と、を備えている。固定部411は、矩形板状であって、その厚み方向が前後方向に一致するように壁面3に固定されている。弾性体取付部412は、固定部411下端から前方に水平に延び、さらに、その前方端部は上方に湾曲し、この湾曲部分の横断面は、中央部が前方に突出した半円形状であって、その内面は、上側ゴム弾性体44の外面に対応する半円形状を有している。そして、弾性体取付部412の先端面と固定部411の前面との間には、上側ゴム弾性体44の外径よりも大きな隙間が設けられている。また、この弾性体取付部412の前方端部には、その左右方向中央において先端面から湾曲部分の基部まで延在する矩形状の切り欠き部412aが形成されている。
【0028】
筐体上側部材42は、図4に示すように、略矩形状の板部材で構成され、図2(a)に示すように筐体20の背面(以下、筐体背面という)20aの上端部において上下方向に延びるように固定された固定部421と、この固定部421の上方に設けられ、上側連結部材43と連結する筐体上側連結部422と、を備えている。筐体上側連結部422は、固定部421の上端から上方に延びて前方に湾曲するように形成されており、この湾曲部分の横断面は、中央部が上方に突出した半円形状である。筐体上側連結部422の左右方向中央には、図4に示すように、先端面から固定部421の上端まで延在する矩形状の切り欠き部422aが形成されている。
【0029】
上側連結部材43は、図2(a)に示すように、筐体上側部材42と弾性体取付部412との間に配置され、図5に示すように、全体が略H字状をなし且つ横断面が円形の棒部材で構成されている。上側連結部材43は、それぞれ左右方向に延びるように配置された壁面側軸部(軸部材)431及び筐体側軸部432と、上下方向に配置され、両軸部の中央部同士を連結する軸部連結部433と、を備えている。壁面側軸部431は、その左右方向両端部にそれぞれ上側ゴム弾性体44,44が装着され、両上側ゴム弾性体44,44が弾性体取付部412に嵌合固定されることによって、上側支持部材41に支持されている。筐体側軸部432は、筐体上側連結部422の中空部よりも径がやや小さく、筐体上側連結部422内に回動可能に取り付けられている。軸部連結部433は、その上下方向両端部がそれぞれ壁面側及び筐体側軸部431,432の各左右方向中央部に溶接されている。この軸部連結部433は、その直径が切り欠き部412a,422aの幅(左右方向の長さ)よりも小さく、両端部がそれぞれ切り欠き部412a,422aに挿通されていて、両切り欠き部412a,422a内をその延長方向に沿って移動可能になっている。
【0030】
上側ゴム弾性体44,44は、図5に示すように、円筒形をなし、切り欠き部412aを挟んで弾性体取付部412に左右方向に延びるように嵌合固定されている。そして、上側ゴム弾性体44,44の貫通孔44a,44aの直径D2は、壁面側軸部431の直径D1よりも大きいため、壁面側軸部431は貫通孔44a,44a内を左右方向に延びる軸周りに回動可能になっている。
【0031】
≪下側防振支持装置≫
下側防振支持装置5は、図1に示すように、上側防振支持装置4,4の給湯器2側との連結部よりも低く、給湯器2よりも低い位置に配置され、給湯器2の下端部を壁面3に支持している。下側防振支持装置5は、図2(b)に示すように、壁面3における給湯器2よりも低い位置に固定された下側支持部材51と、筐体背面20aの下端部に固定された筐体下側部材52と、この筐体下側部材52と下側支持部材51とを連結する一対の下側連結部材53,53と、を備えている。
【0032】
下側支持部材51は、上下方向から見てハット状に形成された板部材で構成され、壁面3に固定された左右一対の固定部511,511と、両固定部511,511の間において前方に突出し、下側連結部材53,53が取り付けられる壁面下側連結部512と、を備えている。壁面下側連結部512には、一対の締結孔がそれぞれ左右方向に対称に設けられている。
【0033】
筐体下側部材52は、矩形状の板部材で構成され、その長手方向が左右方向に一致するように配置され、且つ、その上半分が筐体背面20aに固定され、その下半分には一対の締結孔がそれぞれ左右方向に対称に設けられている。
【0034】
一対の下側連結部材53,53は、下側支持部材51と筐体下側部材52との間に左右方向に対称に設けられていて、互いに同一の構成を備えている。そこで、右側の下側連結部材53の構成について説明する。下側連結部材53は、円柱状の下側ゴム弾性体531と、この下側ゴム弾性体531の軸方向両端部に一体に設けられた一対のボルト532,532と、各ボルトにそれぞれ螺合された一対のナット533,533と、を備えている。下側ゴム弾性体531は、給湯器2の上下方向における延在方向に直交し且つ壁面3に直交する直交方向、即ち前後方向に、水平に延びており、ボルト532,532が下側支持部材51及び筐体下側部材52の各締結孔にナット533,533によってそれぞれ締結されることによって、下側支持部材51と筐体下側部材52とを連結している。
【0035】
−給湯器の設置方法−
次に、一対の上側防振支持装置4,4及び下側防振支持装置5を備えた機器支持構造1による給湯器2の壁面3への設置方法について説明する。
【0036】
先ず、上側支持部材41、筐体上側部材42及び上側連結部材43を一対ずつと、上側ゴム弾性体44を4つと、を用意する。次に、筐体上側部材42,42を、筐体側軸部432,432をそれぞれ筐体上側連結部422,422内に嵌めた状態で、左右方向に間隔を開けて上側連結部材43,43とともに筐体背面20aに固定する。また、壁面側軸部431,431の左右方向両端部にそれぞれ上側ゴム弾性体44,44,44,44を装着する。そして、また、上側支持部材41,41を、筐体上側部材42,42間と同じ間隔を開けて壁面3にネジ等で固定する。
【0037】
次に、給湯器2を持ち上げて、壁面側軸部431,431をそれぞれ上側支持部材41,41に上方から引っ掛け、上側ゴム弾性体44,44,44,44をそれぞれ弾性体取付部412,412に嵌合固定する。そうすると、上側連結部材43,43が壁面側軸部431,431の軸周りに回動するため、給湯器2が当該軸周りに回動し、その後停止する。
【0038】
また、下側支持部材51と、一対の下側連結部材53,53と、を用意する。なお、筐体背面20aの下端部には、予め筐体下側部材52を溶接等で固定しておく。
【0039】
給湯器2が停止したら、下側支持部材51を壁面3の給湯器2よりも低い位置に固定する。次に、下側支持部材51と筐体下側部材52との間の左右に下側ゴム弾性体531,531を配置し、各両端部をそれぞれ下側支持部材51及び筐体下側部材52の各締結孔にボルト締結する。
【0040】
以上により、給湯器2の上下が一対の上側防振支持装置4,4及び下側防振支持装置5によって壁面3に支持される。
【0041】
−効果−
以上より、本実施形態によれば、給湯器2を壁面3に支持するときは、先ず、一対の上側防振支持装置4,4だけで給湯器2を壁面3に支持し、給湯器2が回動して停止した後に、下側防振支持装置5で給湯器2の下部を壁面3に支持する。このように給湯器2の重心を求める等の作業が不要なため、給湯器2の設置を容易にすることができる。
【0042】
さらに、本実施形態によれば、上側ゴム弾性体44は、壁面側軸部431と同一方向に延びているため、給湯器2が壁面側軸部431の軸周りに回動しても撓まない。従って、給湯器2を壁面3に支持した状態でも、上側ゴム弾性体44の防振性能を維持することができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、上側ゴム弾性体44,44を弾性体取付部412に嵌合固定するという簡単な作業で上側支持部材41と上側連結部材43とを連結することができるので、給湯器2を容易に壁面3に設置することができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、上側連結部材43が壁面側軸部431を含んでいるので、部品点数を抑制することができる。
【0045】
(変形例)
本変形例は、上側連結部材を変形したものであって、矩形枠部材で構成された上側連結部材47を用いたものである。この上側連結部材の変形に伴って、上側防振支持装置の各構成部材を以下のように変形してもよい。上側防振支持装置の変形例について図6〜9を参照して説明する。図6は、上側防振支持装置4の変形例の側面図である。図7は、上側支持部材45を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。図8は、筐体上側部材46を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。図9は、上側ゴム弾性体48が装着された上側連結部材47の斜視図である。
【0046】
上側支持部材45及び上側ゴム弾性体48は、図7,9に示すように、それぞれ上記実施形態1の上側支持部材41及び上側ゴム弾性体44とほぼ同一であって、上側支持部材45は、切り欠き部を備えていない点で上側支持部材41と異なり、上側ゴム弾性体48は、上側ゴム弾性体44よりも軸方向長さが長い点で異なる。
【0047】
筐体上側部材46は、図8に示すように、略矩形状の板部材で構成され、厚み方向が上下方向に一致するように筐体上面20bに固定された固定部461と、上側連結部材47と連結する筐体上側連結部462と、を備えている。筐体上側連結部462は、固定部461の後端から湾曲し、その横断面は、中央部が上方に突出した半円形状をなしている。
【0048】
上側連結部材47は、図6に示すように、筐体上側部材46と弾性体取付部452との間に配置され、図9に示すように、左右方向に延びる上下一対の壁面側軸部(軸部材)471及び筐体側軸部472と、上下方向に延びる左右一対の軸部連結部473,473と、で構成されている。壁面側軸部471には上側ゴム弾性体48が装着されており、壁面側軸部471は、この上側ゴム弾性体48を介して上側支持部材45に連結している。筐体側軸部472は、筐体上側連結部462の中空部を貫通する。一対の軸部連結部473,473のうち左側の軸部連結部473は、壁面側及び筐体側軸部471,472の左端部同士を連結し、右側の軸部連結部473は、壁面側及び筐体側軸部471,472の右端部同士を連結している。
【0049】
本変形例における給湯器2の設置方法について説明すると、先ず、上側支持部材45、筐体上側部材46、及び上側ゴム弾性体48を装着した上側連結部材47を一対ずつ用意する。次に、筐体上側部材46,46を、筐体側軸部材472,472をそれぞれ筐体上側連結部462,462内に嵌めた状態で、左右方向に間隔を開けて上側連結部材47,47とともに筐体上面20bに固定する。また、上側支持部材45,45を、筐体上側部材46,46間と同じ間隔を開けて壁面3にネジ等で固定する。
【0050】
次に、給湯器2を持ち上げて、壁面側軸部471,471をそれぞれ上側支持部材45,45に上方から引っ掛け、上側ゴム弾性体48,48をそれぞれ弾性体取付部452,452に嵌合固定する。最後に、給湯器2が停止した状態で、上記実施形態1と同様に下側防振支持装置5で給湯器2の下端部を壁面3に支持する。以上により、給湯器2が壁面3に支持される。
【0051】
(実施形態2)
本実施形態は、H字状の上側連結部材43に代えて板ばね66を用いる点で実施形態1と異なるものである。以下、実施形態1と異なる点について図10〜13を参照して説明する。図10は、上側防振支持装置6の側面図である。図11は、上側支持部材61を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。図12は、上側防振支持装置6の主要部の分解斜視図である。図13は、筐体上側部材64を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。
【0052】
≪上側防振支持装置≫
上側防振支持装置6は、壁面3の給湯器2よりも高い位置に固定され、給湯器2の荷重を支えるための上側支持部材61と、この上側支持部材61に左右方向に延びるように支持された壁面側軸部材(軸部材)62と、この壁面側軸部材62が貫通する貫通孔63aが形成された上側ゴム弾性体63と、筐体20に固定された筐体上側部材64と、この筐体上側部材64に左右方向に延びるように取り付けられた筐体側軸部材65と、壁面側軸部材62と筐体側軸部材65とを上側ゴム弾性体63を介して連結する板ばね66と、を備えている。
【0053】
上側支持部材61は、上下方向から見てコ字状の板部材で構成され、図11に示すように、壁面3に固定された矩形状の固定壁部611と、この固定壁部611の左右両端から前方に突設された一対の矩形状の側壁部612,612と、を備えている。両側壁部612,612には、それぞれ上端前後方向中央部から下方に所定長さ延び、さらに前方に延びて再び下方に延びる階段状のものであって、下端部が断面半円形に形成された切り欠き部612a,612aが設けられている。
【0054】
壁面側軸部材62は、図12に示すように、横断面円形の棒部材であって、図10に示すように、両端部がそれぞれ切り欠き部612a,612aに嵌め込まれて上側支持部材61に支持され、左右方向に延びる軸周りに回動可能になっている。
【0055】
上側ゴム弾性体63は、図12に示すように、壁面側軸部材62よりも短い円筒形であって、図10に示すように、貫通孔63aに壁面側軸部材62が貫通しており、壁面側軸部材62と一体となって壁面側軸部材62の軸周りに回動可能となっている。
【0056】
筐体上側部材64は、図10,図13に示すように、筐体20に固定される底壁部641と、筐体側軸部材65を支持する一対の突起部642,642と、を備えている。底壁部641は、矩形状の板部材であって、筐体上面20bの後端部に、長手方向が左右方向に一致するように固定されている。突起部642,642は、矩形状の板部材であって、底壁部641の左右両端から上方に、厚み方向が左右方向に一致するようにそれぞれ突設され、各中央部には、厚み方向に延びる貫通孔642a,642aがそれぞれ形成されている。
【0057】
筐体側軸部材65は、図10に示すように、横断面円形の棒部材であって、両端部がそれぞれ貫通孔642a,642aを貫通することによって突起部642,642に支持され、さらに両端がかしめられている。
【0058】
板ばね66は、図10,図12に示すように、断面S字状をなし、壁面側軸部材62と筐体側軸部材65との間に配置されている。板ばね66の上側湾曲部は、断面が四分の三円状をなしていて、上側ゴム弾性体63に巻回して密着している。このため、板ばね66は、壁面側軸部材62と一体となって壁面側軸部材62の軸周りに回動可能となっている。一方、下側湾曲部は、断面が上側湾曲部の下端から四分の二円状をなし、その下端部が巻かれていて、左右方向に延びる円筒形になっており、この下端部を筐体側軸部材65が貫通している。この下端部は、その内径が筐体側軸部材65の径よりも大きく、筐体側軸部材65の軸周りに回動可能になっている。
【0059】
−給湯器の設置方法−
次に、一対の上側防振支持装置6,6及び下側防振支持装置5を備えた機器支持構造1による給湯器2の壁面3への設置方法について説明する。
【0060】
先ず、上側支持部材61と、壁面側軸部材62と、上側ゴム弾性体63と、筐体上側部材64と、筐体側軸部材65と、板ばね66と、を一対ずつ用意する。次に、筐体上側部材64,64を、それぞれ筐体上面20bの左右両端部に固定する。次に、板ばね66を、その下端部が突起部642,642の間に位置するように配置し、貫通孔642a,642a及び板ばね66の下端部に筐体側軸部材65を貫通させ、筐体側軸部材65の両端部をかしめる。この作業を左右両方について行う。また、壁面側軸部材62,62を上側ゴム弾性体63,63の貫通孔63a,63aにそれぞれ貫通させたものを板ばね66,66の上側湾曲部に嵌合固定する。更にまた、上側支持部材61,61を筐体上側部材64,64の間と同じ間隔を開けて壁面3にネジ等で固定する。
【0061】
次に、給湯器2を持ち上げて、壁面側軸部材62,62の両端部をそれぞれ上側支持部材61,61の切り欠き部612a,612a,612a,612aに引っ掛ける。そうすると、板ばね66,66が壁面側軸部材62,62の軸周りに回動するため、給湯器2が当該軸周りに回動し、その後停止する。
【0062】
最後に、給湯器2が停止した状態で、上記実施形態1と同様に下側防振支持装置5で給湯器2の下端部を壁面3に支持する。以上により、給湯器2が壁面3に支持される。
【0063】
−効果−
以上より、本実施形態によれば、給湯器2を上側防振支持装置6,6で壁面に支持するときは、先ず、板ばね66,66と給湯器2とを連結すると共に板ばね66,66に上側ゴム弾性体63,63及び壁面側軸部材62,62を装着する一方、上側支持部材61,61を壁面3に固定し、次に、壁面側軸部材62,62をそれぞれ切り欠き部612a,612a,612a,612aの上方から引っ掛ける。そうすると、壁面側軸部材62,62が両側壁部612,612,612,612に支持され、給湯器2が上側防振支持装置6,6で壁面3に支持される。このように、壁面側軸部材62,62を上側支持部材61,61の上方から引っ掛けるという簡単な作業で上側支持部材61,61と板ばね66,66とを連結することができるので、給湯器2を容易に設置することができる。
【0064】
また。本実施形態によれば、切り欠き部612a,612aの下端部が階段状になっているので、壁面側軸部材62が切り欠き部612a,612aから外れるのを防止できる。
【0065】
また、本実施形態によれば、上側連結部材が板ばね66,66で構成されているので、地震等により給湯器2が大きく振動した場合でも、板ばね66,66が伸縮することによって給湯器2の振動が壁面3に伝達するのを防止することができる。
【0066】
(実施形態3)
本実施形態は、上側連結部材が上側ゴム弾性体も兼ねる点が実施形態1,2と異なるものである。以下、実施形態1と異なる点について図14〜16を参照して説明する。図14は、上側防振支持装置7の側面図である。図15は、上側支持部材71及び筐体上側部材72を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。図16は、上側連結部材73を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。
【0067】
≪上側防振支持装置≫
上側防振支持装置7は、図14に示すように、壁面3の給湯器2よりも高い位置に固定された上側支持部材71と、給湯器2に固定された給湯器側部材72と、上側支持部材71の筐体側脚部(軸部材)712bと給湯器2側とを連結する上側連結部材73と、を備えている。
【0068】
上側支持部材71は、図14,図15に示すように、壁面3に固定された矩形状の板部材で構成された固定板711と、この固定板711に固定され上側連結部材73に形成された貫通孔73aを貫通するコ字状部材712と、を備えている。コ字状部材712は、横断面円形の棒部材で構成され、固定板711に、前方に水平に延びるように突設されている。コ字状部材712は、基部712aと、基部712aの両端部からそれぞれ同一方向に延びる一対の脚部712b,712bと、を備えている。基部712aは、固定板711の前面の上下方向中央部から前方に水平に延びている。壁面側脚部712bは、固定板711の前面に左方に水平に延びるように固定されている。筐体側脚部712bは、基部712aの前方端部から左方に水平に延びており、この筐体側脚部712bに上側連結部材73が装着されて壁面3側の軸として機能する。なお、筐体側脚部712bは、基部712aとの接続部から先端部近傍まで一定の径を有し、先端部近傍で拡径し、その後、先端側に行くに従って縮径している。この拡径した部分によって、装着された上側連結部材73が脱落するのを防止する。
【0069】
筐体上側部材72は、図15に示すように、上側支持部材71と同一構成であって、固定板721と、軸部材722と、を備えており、図14に示すように、固定板721が筐体上面20bの後端部に載置固定されている。そして、壁面側脚部722bは、その左側端部が基部722aに支持されて右方に延びており、この壁面側脚部722bに上側連結部材73が装着されて筐体側の軸として機能する。この脚部722bの先端部も拡径しており、装着された上側連結部材73が脱落するのを防止する。
【0070】
上側連結部材73は、図16に示すように、断面が略楕円形の柱状ゴムで構成され、図14,図16に示すように、上側支持部材71と筐体上側部材72との間に、軸方向が左右方向に一致し且つ長軸方向が上下方向に略一致するように配置されている。そして、上側連結部材73の上下方向両端部には、左右方向に水平に延びていて、上側支持部材71の筐体側脚部712a及び筐体上側部材72の壁面側脚部722bのそれぞれの最小径部分よりも径が大きく、それぞれの最大径部分よりも径の小さい上下一対の貫通孔73a,73aが形成されている。上側の貫通孔73aには、筐体側脚部712bが貫通し、下側の貫通孔73aには、壁面側脚部722bが貫通している。このように、ゴム製の上側連結部材73が壁面側の軸である筐体側脚部712bに装着されていることにより、上側連結部材73が実施形態1,2における上側ゴム弾性体44,63の機能を兼ねている。また、上側連結部材73の上下方向中心部には、左右方向に延びる中空部73bが形成されており、この中空部73bは、長軸方向が前後方向に一致する断面楕円形をなしている。そうして、上側連結部材73に強い振動が入力したときに、この中空部73bが上下方向に伸縮して上側連結部材73全体が伸縮する。
【0071】
−給湯器の設置方法−
次に、一対の上側防振支持装置7,7及び下側防振支持装置5を備えた機器支持構造1による給湯器2の壁面3への設置方法について説明する。
【0072】
先ず、上側支持部材71と、壁面側軸部材72と、上側連結部材73と、を一対ずつ用意する。次に、筐体上側部材72,72を、それぞれ筐体上面20bの左右両端部に固定する。そして、壁面側脚部722b,722bをそれぞれ上側連結部材73,73の下側の貫通孔73a,73aに貫通させて、上側連結部材73,73をそれぞれ筐体上側部材72,72に装着する。また、上側支持部材71,71を筐体上側部材72,72間と同じ間隔を開けて壁面3にネジ等で固定する。
【0073】
次に、給湯器2を持ち上げて、上側連結部材73,73の上端部をそれぞれ左右方向内側にずらすように変形させて、上側の貫通孔73a,73aにそれぞれ筐体側脚部712b,712bを貫通させ、上側連結部材73,73をそれぞれ上側支持部材71,71に装着する。そうすると、上側連結部材73,73が筐体側脚部712b,712bの軸周りに回動するため、給湯器2が当該軸周りに回動し、その後停止する。
【0074】
最後に、給湯器2が停止した状態で、上記実施形態1と同様に下側防振支持装置5で給湯器2の下端部を壁面3に支持する。以上により、給湯器2が壁面3に支持される。
【0075】
−効果−
以上より、本実施形態によれば、給湯器2を上側防振支持装置7で壁面3に支持するときは、先ず、上側連結部材73,73と筐体上側部材72,72とを連結する一方、上側支持部材71,71を壁面3に固定し、次に、上側連結部材73,73に形成された上側の貫通孔73a,73aに、上側支持部材71,71の筐体側脚部712b,712bを貫通させる。そうすると、上側連結部材73,73が上側支持部材71,71に支持され、給湯器2が上側防振支持装置7,7で壁面3に支持される。このように、貫通孔73a,73aに筐体側脚部712b,712bを貫通させるという簡単な作業で上側支持部材71,71と上側連結部材73,73とをそれぞれ連結することができるので、給湯器2を容易に壁面3設置することができる。
【0076】
また、本実施形態によれば、上側連結部材73が上側弾性体を兼ねた弾性体なので、上側連結部材73を上側弾性体と一体に成形することができ、部品点数を抑制することができる。
【0077】
また、本実施形態によれば、地震等により給湯器2が大きく振動した場合にも、上側連結部材73の中空部73bが上下方向に伸縮するので、当該振動が壁面3に伝達するのを防止することができる。
【0078】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、壁に取り付けられる機器として給湯器を例に説明したが、これに限定されず、例えば空調機の室外機でもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、上側連結部材43,73又は板ばね66が給湯器2側の連結部において左右方向に延びる軸周りに回動したが、これに限定されず、当該軸周りに回動しなくてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、給湯器2を壁面3に4点(上側防振支持装置が2点、下側防振支持装置が2点)で支持したが、これに限定されず、少なくとも3点で支持すればよい。
【0081】
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0082】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上説明したように、本発明に係る防振支持装置は、機器の上下をそれぞれ上側及び下側防振支持装置によって壁面に支持するようにした機器支持構造において、機器の設置を容易にすることが必要な用途等に適用することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 機器支持構造
2 給湯器(機器)
3 壁面
4,6,7 上側防振支持装置
5 下側防振支持装置
41,45,61,71 上側支持部材
411,451 固定部
412,452 弾性体取付部
43,47,73 上側連結部材
431,471 壁面側軸部(軸部材)
44,48,63 上側ゴム弾性体(上側弾性体)
44a,48a,63a,73a 貫通孔
612 側壁部
612a 切り欠き部
62 壁面側軸部材(軸部材)
66 板ばね(上側連結部材)
712b 筐体側脚部(軸部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば給湯器等、作動時に振動する機器を壁面に支持する機器支持構造に関し、特に、機器の上下をそれぞれ上側及び下側防振支持装置によって壁面に支持するようにした機器支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、壁面に支持された機器が壁面から離れる方向に倒れるのを防止し、さらに当該機器が作動時に振動する場合にその振動の壁面への伝達を防止するために、機器の上下をそれぞれ上側及び下側防振支持装置によって壁面に支持する機器支持構造がある。
【0003】
この種の機器支持構造として、例えば特許文献1には、上固定装置及び下固定装置を備える機器支持構造が開示されている。上固定装置は、壁面に固定された水平方向に延びる平板状の支持体と、機器背面に固定された断面逆L字形の上固定体本体と、支持体の天面部に鉛直方向に延びるように設けられた弾性体からなる中間部材と、を備え、上固定体本体の上面部の上方からビスを挿通して当該上面部と支持体の天面部とを締結することにより、機器の上部が壁面に支持される。下固定装置も上固定装置と同一の構成を備えていて、下固定体本体の上面部の上方からビスを挿通して当該上面部と支持体の天面部とを締結することにより、機器の下部が壁面に支持される。
【0004】
また、例えば特許文献2には、壁面に固定された壁面取付板と、機器背面に固定された背板と、背板と壁面取付板とを結合する二以上の支持部材と、背板及び壁面取付板に、それぞれ支持部材を結合するための結合用台座及び弾性体からなる防振部材を備えた防振壁掛装置であって、支持部材は、それぞれ垂直投影面上において機器の重心を通る直線上に配置され、支持部材と取付台座とは、防振部材を介在させて結合され、防振部材は、変形方向が当該重心を通る直線に対して平行になるように台座に配置されていて、機器を鉛直方向に正立させた状態で機器に働く力の釣り合いが取れるように支持部材を台座に結合可能に構成して成る機器支持構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−292331号公報
【特許文献2】特開2007−315407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1で開示された機器支持構造では、機器を壁面に設置する際に、先ず、機器を持ち上げる等、機器を外部から支持しながら機器と壁面との間に上下固定装置を配して機器を壁面に支持させ、その後、外部からの支持を外して上下固定装置だけで壁面に支持させる。すると、機器は、上下両支持体に上から載る形で支持されているため、機器は壁面から遠ざかる方向にやや倒れ、それに伴って上下の防振部材が撓む。この撓み量が上下で異なると、機器支持構造の防振性能が損なわれてしまう。これを防止するためには、上下の防振部材をそれぞれ同じ撓み量だけ撓ませる必要がある。ところが、そのためには、上下固定装置の固定位置を予め定めて、機器を上下固定装置に同時に固定しなければならず、機器の設置に手間がかかるという問題がある。
【0007】
また、特許文献2で開示された機器支持構造では、全ての支持部材が機器の重心を通る直線上に配置されて壁面に固定され、そして支持部材と台座との間に介在する防振部材が機器の重心を通る直線方向に伸縮するため、高い防振性能が得られる。しかしながら、この場合、機器を設置する前に機器の重心を求めなけらばならない。そうすると、例えば機器が給湯器の場合、内部に、燃焼器や配管などの様々な重量を有する器具が複雑な配置で収容されているため、重心を求めるのは容易ではない。このように、特許文献2の機器支持構造においても、機器の設置に手間がかかるという問題がある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、機器の上下をそれぞれ上側及び下側防振支持装置によって壁面に支持するようにした機器支持構造において、機器の設置を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、作動時に振動する機器の上下をそれぞれ上側防振支持装置及び下側防振支持装置によって壁面に支持するようにした機器支持構造であって、上記上側防振支持装置は、上記壁面に固定された上側支持部材と、上記上側支持部材に、上記壁面に平行且つ水平に延びるように支持された軸部材と、上記軸部材の軸方向に延びて該軸部材が貫通した貫通孔が形成された上側弾性体と、上記軸部材と上記機器側とを連結し、該軸部材の軸周りに回動可能な上側連結部材と、を備えることを特徴とするものである。
【0010】
第1の発明によれば、上側連結部材は、壁面に固定された上側支持部材と機器側とを連結し、且つ、壁面に平行且つ水平に延びる軸部材の軸周りに回動する。従って、機器を上側防振支持装置だけで壁面に支持すると、機器が軸部材の軸周りに回動する。よって、機器を壁面に支持するときは、先ず、上側防振支持装置だけで機器を壁面に支持し、機器が回動して停止した後に、下側防振支持装置で機器の下部を壁面に支持する。このように機器の重心を求める等の作業が不要なため、機器の設置を容易にすることができる。さらに、上側弾性体は、軸部材と同一方向に延びているため、機器が軸部材の軸周りに回動しても撓まない。従って、機器を壁面に支持した状態でも、上側弾性体の防振性能を維持することができる。よって、機器支持構造の防振性能を維持しつつ、機器を壁面に容易に設置することができる。
【0011】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記上側支持部材は、上記壁面に固定される固定部と、該固定部から上記機器側に延在し、その機器側先端部が上記上側弾性体の外面に対応する形状の内面を有する弾性体取付部と、を備え、上記上側弾性体は、上記弾性体取付部に嵌合固定され、上記上側連結部材は、上記軸部材に一体に連結され、該軸部材が上記貫通孔内において該軸部材の軸周りに回動することによって、該軸周りに回動することを特徴とするものである。
【0012】
第2の発明によれば、上側連結部材が軸部材に一体に連結され、この軸部材が貫通する上側弾性体が上側支持部材の弾性体取付部に嵌合固定され、さらに、この軸部材が上側弾性体の貫通孔内を該軸部材の軸周りに回動する。従って、機器を上側防振支持装置によって壁面に支持するときは、先ず、上側支持部材を壁面に、上側連結部材及び上側弾性体を機器に取り付け、その後に、上側弾性体を弾性体取付部に嵌合固定する。このように、上側弾性体を弾性体取付部に嵌合固定するという簡単な作業で上側支持部材と上側連結部材とを連結することができるので、機器を容易に設置することができる。
【0013】
また、第2の発明によれば、上側連結部材が軸部材と一体に連結しているので、上側連結部材及び軸部材を一部品にすることができ、部品点数を抑制することができる。
【0014】
第3の発明は、上記第1の発明において、上記上側支持部材は、それぞれ上記軸部材の軸方向に間隔をおいて上記壁面から上記機器側に向かって突設し且つ上端から下方に延在する切り欠き部が形成された一対の側壁部を備え、上記軸部材は、その両端部がそれぞれ上記各切り欠き部に嵌ることによって上記両側壁部に該軸部材の軸周りに回動可能に支持され、上記上側弾性体は、上記軸部材とその軸周りに一体となって回動し、上記上側連結部材は、上記上側弾性体の外面に巻回する板ばねを有していて、該板ばねが上記軸部材及び上記上側弾性体と一体となって上記軸部材の軸周りに回動することによって、該軸部材の軸周りに回動することを特徴とするものである。
【0015】
第3の発明によれば、上側支持部材の一対の側壁部に上端から下方に延びる切り欠き部がそれぞれ設けられ、両切り欠き部に軸部材の両端部が嵌め込まれ、さらに、板ばねが、軸部材が貫通した上側弾性体を巻回すると共にこの上側弾性体と機器側とを連結している。従って、機器を上側防振支持装置によって壁面に支持するときは、先ず、板ばねと機器側とを連結すると共に板ばねに上側弾性体及び軸部材を装着する一方、上側支持部材を壁面に固定し、その後に、軸部材を両切り欠き部の上方から引っ掛ける。そうすると、軸部材が両側壁部に支持され、機器が上側防振支持装置で壁面に支持される。このように、軸部材を上側支持部材の上方から引っ掛けるという簡単な作業で上側支持部材と上側連結部材とを連結することができるので、機器を容易に設置することができる。
【0016】
また、第3の発明によれば、上側連結部材が板ばねを有しているので、地震等により機器が大きく振動した場合でも、板ばねが伸縮することによって機器の振動が壁面に伝達するのを防止することができる。
【0017】
第4の発明は、上記第1の発明において、上記軸部材は、一端が上記上側支持部材に固定支持され、上記上側連結部材は、上記上側弾性体を兼ねている弾性体であって、上記上側弾性体が上記軸部材の軸周りに回動することを特徴とするものである。
【0018】
第4の発明によれば、軸部材の一端が上側支持部材に固定支持され、さらに、上側連結部材が上側弾性体を兼ねている弾性体である。従って、機器を上側防振支持装置によって壁面に支持するときは、先ず、上側連結部材と機器側とを連結する一方、上側支持部材を壁面に固定し、その後に、上側連結部材に形成された貫通孔に、軸部材をその他端側から貫通させる。そうすると、上側連結部材が軸部材に支持され、機器が上側防振支持装置で壁面に支持される。このように、上側連結部材の貫通孔に軸部材を貫通させるという簡単な作業で上側支持部材と上側連結部材とを連結することができるので、機器を容易に設置することができる。
【0019】
また、第4の発明によれば、上側連結部材が上側弾性体を兼ねた弾性体なので、上側連結部材を上側弾性体と一体に成形することができ、部品点数を抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、機器を壁面に支持するときは、先ず、上側防振支持装置だけで機器を壁面に支持し、機器が回動して停止した後に、下側防振支持装置で機器の下部を壁面に支持する。このように、機器の設置に先立って機器の重心を求める等の作業をする必要がない。さらに、上側弾性体は、軸部材と同一方向に延びているため、機器が軸部材の軸周りに回動しても撓まない。従って、機器支持構造の防振性能を維持しつつ、機器を壁面に容易に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態1に係る機器支持構造を示す図であって、同図(a)は、機器を壁面に支持した状態を示す正面図であり、同図(b)は、同状態を示す側面図である。
【図2】実施形態1の防振支持装置を示す図であって、同図(a)は、上側防振支持装置の側面図であり、同図(b)は、下側防振支持装置の側面図である。
【図3】実施形態1の上側支持部材を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。
【図4】実施形態1の筐体上側部材を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。
【図5】実施形態1の上側防振支持装置の主要部の分解斜視図である。
【図6】実施形態1の変形例に係る上側防振支持装置の側面図である。
【図7】実施形態1の変形例の上側支持部材を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。
【図8】実施形態1の変形例の筐体上側部材を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。
【図9】実施形態1の変形例の上側ゴム弾性体が装着された上側連結部材の斜視図である。
【図10】実施形態2に係る上側防振支持装置の側面図である。
【図11】実施形態2の上側支持部材を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。
【図12】実施形態2の上側防振支持装置の主要部の分解斜視図である。
【図13】実施形態2の筐体上側部材を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。
【図14】実施形態3に係る上側防振支持装置の側面図である。
【図15】実施形態3の上側支持部材及び筐体上側部材を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。
【図16】実施形態3の上側連結部材を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態では、機器を給湯器として説明する。
【0023】
(実施形態1)
図1は、本実施形態の機器支持構造1を示す図であって、同図(a)は、給湯器2を壁面3に支持した状態を示す正面図であり、同図(b)は、同状態を示す側面図である。図2は、防振支持装置を示す図であって、同図(a)は、上側防振支持装置4の側面図であり、同図(b)は、下側防振支持装置5の側面図である。以下、説明の便宜のため、図1(a)の左側を左右方向左側、図1(a)の右側を左右方向右側、図1(b),図2の左側を前後方向前側、図1(b),図2の右側を前後方向後側として説明する。なお、「左右方向」とは、壁面3に平行且つ水平な方向をいう。
【0024】
−機器支持構造−
機器支持構造1は、給湯器2を壁面3に支持するものであって、一対の上側防振支持装置4,4と、1つの下側防振支持装置5と、を備えており、両上側防振支持装置4,4が給湯器2の上部を壁面3に支持し、下側防振支持装置5が給湯器2の下部を壁面3に支持している。給湯器2は、内部で水を加熱し、温水を生成してシャワー等に供給するものであって、直方体状の筐体20と、筐体20内に格納された燃焼器や配管(いずれも図示せず)等を備えている。以下、上側及び下側防振支持装置4,5の各構成について詳細に説明する。
【0025】
≪上側防振支持装置≫
一対の上側防振支持装置4,4は、図1(a)に示すように、給湯器2よりも上方においてそれぞれ左右方向に対称に配置されており、互いに同一の構成を備えている。そこで、右側の上側防振支持装置4の構成について図2(a)及び図3〜5を参照して説明する。図3は、上側支持部材41を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。図4は、筐体上側部材42を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。図5は、上側防振支持装置4の主要部の分解斜視図である。
【0026】
上側防振支持装置4は、図1,図2(a)に示すように、壁面3の給湯器2よりも高い位置に固定され、給湯器2の荷重を支えるための上側支持部材41と、この上側支持部材41に、左右方向に延びるように支持された壁面側軸部431と、筐体20に固定された筐体上側部材42と、給湯器2側と壁面側軸部431とを連結し、壁面側軸部431の軸周りに回動可能な上側連結部材43と、左右方向に延びて上側連結部材43の壁面側軸部431が貫通した貫通孔44aが形成された上側ゴム弾性体44と、を備えている。
【0027】
上側支持部材41は、図3に示すように、断面略L字状の板部材で構成されており、壁面3に固定された固定部411と、固定部411から前方に延び、その前方端部に上側ゴム弾性体44が取り付けられる弾性体取付部412と、を備えている。固定部411は、矩形板状であって、その厚み方向が前後方向に一致するように壁面3に固定されている。弾性体取付部412は、固定部411下端から前方に水平に延び、さらに、その前方端部は上方に湾曲し、この湾曲部分の横断面は、中央部が前方に突出した半円形状であって、その内面は、上側ゴム弾性体44の外面に対応する半円形状を有している。そして、弾性体取付部412の先端面と固定部411の前面との間には、上側ゴム弾性体44の外径よりも大きな隙間が設けられている。また、この弾性体取付部412の前方端部には、その左右方向中央において先端面から湾曲部分の基部まで延在する矩形状の切り欠き部412aが形成されている。
【0028】
筐体上側部材42は、図4に示すように、略矩形状の板部材で構成され、図2(a)に示すように筐体20の背面(以下、筐体背面という)20aの上端部において上下方向に延びるように固定された固定部421と、この固定部421の上方に設けられ、上側連結部材43と連結する筐体上側連結部422と、を備えている。筐体上側連結部422は、固定部421の上端から上方に延びて前方に湾曲するように形成されており、この湾曲部分の横断面は、中央部が上方に突出した半円形状である。筐体上側連結部422の左右方向中央には、図4に示すように、先端面から固定部421の上端まで延在する矩形状の切り欠き部422aが形成されている。
【0029】
上側連結部材43は、図2(a)に示すように、筐体上側部材42と弾性体取付部412との間に配置され、図5に示すように、全体が略H字状をなし且つ横断面が円形の棒部材で構成されている。上側連結部材43は、それぞれ左右方向に延びるように配置された壁面側軸部(軸部材)431及び筐体側軸部432と、上下方向に配置され、両軸部の中央部同士を連結する軸部連結部433と、を備えている。壁面側軸部431は、その左右方向両端部にそれぞれ上側ゴム弾性体44,44が装着され、両上側ゴム弾性体44,44が弾性体取付部412に嵌合固定されることによって、上側支持部材41に支持されている。筐体側軸部432は、筐体上側連結部422の中空部よりも径がやや小さく、筐体上側連結部422内に回動可能に取り付けられている。軸部連結部433は、その上下方向両端部がそれぞれ壁面側及び筐体側軸部431,432の各左右方向中央部に溶接されている。この軸部連結部433は、その直径が切り欠き部412a,422aの幅(左右方向の長さ)よりも小さく、両端部がそれぞれ切り欠き部412a,422aに挿通されていて、両切り欠き部412a,422a内をその延長方向に沿って移動可能になっている。
【0030】
上側ゴム弾性体44,44は、図5に示すように、円筒形をなし、切り欠き部412aを挟んで弾性体取付部412に左右方向に延びるように嵌合固定されている。そして、上側ゴム弾性体44,44の貫通孔44a,44aの直径D2は、壁面側軸部431の直径D1よりも大きいため、壁面側軸部431は貫通孔44a,44a内を左右方向に延びる軸周りに回動可能になっている。
【0031】
≪下側防振支持装置≫
下側防振支持装置5は、図1に示すように、上側防振支持装置4,4の給湯器2側との連結部よりも低く、給湯器2よりも低い位置に配置され、給湯器2の下端部を壁面3に支持している。下側防振支持装置5は、図2(b)に示すように、壁面3における給湯器2よりも低い位置に固定された下側支持部材51と、筐体背面20aの下端部に固定された筐体下側部材52と、この筐体下側部材52と下側支持部材51とを連結する一対の下側連結部材53,53と、を備えている。
【0032】
下側支持部材51は、上下方向から見てハット状に形成された板部材で構成され、壁面3に固定された左右一対の固定部511,511と、両固定部511,511の間において前方に突出し、下側連結部材53,53が取り付けられる壁面下側連結部512と、を備えている。壁面下側連結部512には、一対の締結孔がそれぞれ左右方向に対称に設けられている。
【0033】
筐体下側部材52は、矩形状の板部材で構成され、その長手方向が左右方向に一致するように配置され、且つ、その上半分が筐体背面20aに固定され、その下半分には一対の締結孔がそれぞれ左右方向に対称に設けられている。
【0034】
一対の下側連結部材53,53は、下側支持部材51と筐体下側部材52との間に左右方向に対称に設けられていて、互いに同一の構成を備えている。そこで、右側の下側連結部材53の構成について説明する。下側連結部材53は、円柱状の下側ゴム弾性体531と、この下側ゴム弾性体531の軸方向両端部に一体に設けられた一対のボルト532,532と、各ボルトにそれぞれ螺合された一対のナット533,533と、を備えている。下側ゴム弾性体531は、給湯器2の上下方向における延在方向に直交し且つ壁面3に直交する直交方向、即ち前後方向に、水平に延びており、ボルト532,532が下側支持部材51及び筐体下側部材52の各締結孔にナット533,533によってそれぞれ締結されることによって、下側支持部材51と筐体下側部材52とを連結している。
【0035】
−給湯器の設置方法−
次に、一対の上側防振支持装置4,4及び下側防振支持装置5を備えた機器支持構造1による給湯器2の壁面3への設置方法について説明する。
【0036】
先ず、上側支持部材41、筐体上側部材42及び上側連結部材43を一対ずつと、上側ゴム弾性体44を4つと、を用意する。次に、筐体上側部材42,42を、筐体側軸部432,432をそれぞれ筐体上側連結部422,422内に嵌めた状態で、左右方向に間隔を開けて上側連結部材43,43とともに筐体背面20aに固定する。また、壁面側軸部431,431の左右方向両端部にそれぞれ上側ゴム弾性体44,44,44,44を装着する。そして、また、上側支持部材41,41を、筐体上側部材42,42間と同じ間隔を開けて壁面3にネジ等で固定する。
【0037】
次に、給湯器2を持ち上げて、壁面側軸部431,431をそれぞれ上側支持部材41,41に上方から引っ掛け、上側ゴム弾性体44,44,44,44をそれぞれ弾性体取付部412,412に嵌合固定する。そうすると、上側連結部材43,43が壁面側軸部431,431の軸周りに回動するため、給湯器2が当該軸周りに回動し、その後停止する。
【0038】
また、下側支持部材51と、一対の下側連結部材53,53と、を用意する。なお、筐体背面20aの下端部には、予め筐体下側部材52を溶接等で固定しておく。
【0039】
給湯器2が停止したら、下側支持部材51を壁面3の給湯器2よりも低い位置に固定する。次に、下側支持部材51と筐体下側部材52との間の左右に下側ゴム弾性体531,531を配置し、各両端部をそれぞれ下側支持部材51及び筐体下側部材52の各締結孔にボルト締結する。
【0040】
以上により、給湯器2の上下が一対の上側防振支持装置4,4及び下側防振支持装置5によって壁面3に支持される。
【0041】
−効果−
以上より、本実施形態によれば、給湯器2を壁面3に支持するときは、先ず、一対の上側防振支持装置4,4だけで給湯器2を壁面3に支持し、給湯器2が回動して停止した後に、下側防振支持装置5で給湯器2の下部を壁面3に支持する。このように給湯器2の重心を求める等の作業が不要なため、給湯器2の設置を容易にすることができる。
【0042】
さらに、本実施形態によれば、上側ゴム弾性体44は、壁面側軸部431と同一方向に延びているため、給湯器2が壁面側軸部431の軸周りに回動しても撓まない。従って、給湯器2を壁面3に支持した状態でも、上側ゴム弾性体44の防振性能を維持することができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、上側ゴム弾性体44,44を弾性体取付部412に嵌合固定するという簡単な作業で上側支持部材41と上側連結部材43とを連結することができるので、給湯器2を容易に壁面3に設置することができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、上側連結部材43が壁面側軸部431を含んでいるので、部品点数を抑制することができる。
【0045】
(変形例)
本変形例は、上側連結部材を変形したものであって、矩形枠部材で構成された上側連結部材47を用いたものである。この上側連結部材の変形に伴って、上側防振支持装置の各構成部材を以下のように変形してもよい。上側防振支持装置の変形例について図6〜9を参照して説明する。図6は、上側防振支持装置4の変形例の側面図である。図7は、上側支持部材45を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。図8は、筐体上側部材46を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。図9は、上側ゴム弾性体48が装着された上側連結部材47の斜視図である。
【0046】
上側支持部材45及び上側ゴム弾性体48は、図7,9に示すように、それぞれ上記実施形態1の上側支持部材41及び上側ゴム弾性体44とほぼ同一であって、上側支持部材45は、切り欠き部を備えていない点で上側支持部材41と異なり、上側ゴム弾性体48は、上側ゴム弾性体44よりも軸方向長さが長い点で異なる。
【0047】
筐体上側部材46は、図8に示すように、略矩形状の板部材で構成され、厚み方向が上下方向に一致するように筐体上面20bに固定された固定部461と、上側連結部材47と連結する筐体上側連結部462と、を備えている。筐体上側連結部462は、固定部461の後端から湾曲し、その横断面は、中央部が上方に突出した半円形状をなしている。
【0048】
上側連結部材47は、図6に示すように、筐体上側部材46と弾性体取付部452との間に配置され、図9に示すように、左右方向に延びる上下一対の壁面側軸部(軸部材)471及び筐体側軸部472と、上下方向に延びる左右一対の軸部連結部473,473と、で構成されている。壁面側軸部471には上側ゴム弾性体48が装着されており、壁面側軸部471は、この上側ゴム弾性体48を介して上側支持部材45に連結している。筐体側軸部472は、筐体上側連結部462の中空部を貫通する。一対の軸部連結部473,473のうち左側の軸部連結部473は、壁面側及び筐体側軸部471,472の左端部同士を連結し、右側の軸部連結部473は、壁面側及び筐体側軸部471,472の右端部同士を連結している。
【0049】
本変形例における給湯器2の設置方法について説明すると、先ず、上側支持部材45、筐体上側部材46、及び上側ゴム弾性体48を装着した上側連結部材47を一対ずつ用意する。次に、筐体上側部材46,46を、筐体側軸部材472,472をそれぞれ筐体上側連結部462,462内に嵌めた状態で、左右方向に間隔を開けて上側連結部材47,47とともに筐体上面20bに固定する。また、上側支持部材45,45を、筐体上側部材46,46間と同じ間隔を開けて壁面3にネジ等で固定する。
【0050】
次に、給湯器2を持ち上げて、壁面側軸部471,471をそれぞれ上側支持部材45,45に上方から引っ掛け、上側ゴム弾性体48,48をそれぞれ弾性体取付部452,452に嵌合固定する。最後に、給湯器2が停止した状態で、上記実施形態1と同様に下側防振支持装置5で給湯器2の下端部を壁面3に支持する。以上により、給湯器2が壁面3に支持される。
【0051】
(実施形態2)
本実施形態は、H字状の上側連結部材43に代えて板ばね66を用いる点で実施形態1と異なるものである。以下、実施形態1と異なる点について図10〜13を参照して説明する。図10は、上側防振支持装置6の側面図である。図11は、上側支持部材61を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。図12は、上側防振支持装置6の主要部の分解斜視図である。図13は、筐体上側部材64を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。
【0052】
≪上側防振支持装置≫
上側防振支持装置6は、壁面3の給湯器2よりも高い位置に固定され、給湯器2の荷重を支えるための上側支持部材61と、この上側支持部材61に左右方向に延びるように支持された壁面側軸部材(軸部材)62と、この壁面側軸部材62が貫通する貫通孔63aが形成された上側ゴム弾性体63と、筐体20に固定された筐体上側部材64と、この筐体上側部材64に左右方向に延びるように取り付けられた筐体側軸部材65と、壁面側軸部材62と筐体側軸部材65とを上側ゴム弾性体63を介して連結する板ばね66と、を備えている。
【0053】
上側支持部材61は、上下方向から見てコ字状の板部材で構成され、図11に示すように、壁面3に固定された矩形状の固定壁部611と、この固定壁部611の左右両端から前方に突設された一対の矩形状の側壁部612,612と、を備えている。両側壁部612,612には、それぞれ上端前後方向中央部から下方に所定長さ延び、さらに前方に延びて再び下方に延びる階段状のものであって、下端部が断面半円形に形成された切り欠き部612a,612aが設けられている。
【0054】
壁面側軸部材62は、図12に示すように、横断面円形の棒部材であって、図10に示すように、両端部がそれぞれ切り欠き部612a,612aに嵌め込まれて上側支持部材61に支持され、左右方向に延びる軸周りに回動可能になっている。
【0055】
上側ゴム弾性体63は、図12に示すように、壁面側軸部材62よりも短い円筒形であって、図10に示すように、貫通孔63aに壁面側軸部材62が貫通しており、壁面側軸部材62と一体となって壁面側軸部材62の軸周りに回動可能となっている。
【0056】
筐体上側部材64は、図10,図13に示すように、筐体20に固定される底壁部641と、筐体側軸部材65を支持する一対の突起部642,642と、を備えている。底壁部641は、矩形状の板部材であって、筐体上面20bの後端部に、長手方向が左右方向に一致するように固定されている。突起部642,642は、矩形状の板部材であって、底壁部641の左右両端から上方に、厚み方向が左右方向に一致するようにそれぞれ突設され、各中央部には、厚み方向に延びる貫通孔642a,642aがそれぞれ形成されている。
【0057】
筐体側軸部材65は、図10に示すように、横断面円形の棒部材であって、両端部がそれぞれ貫通孔642a,642aを貫通することによって突起部642,642に支持され、さらに両端がかしめられている。
【0058】
板ばね66は、図10,図12に示すように、断面S字状をなし、壁面側軸部材62と筐体側軸部材65との間に配置されている。板ばね66の上側湾曲部は、断面が四分の三円状をなしていて、上側ゴム弾性体63に巻回して密着している。このため、板ばね66は、壁面側軸部材62と一体となって壁面側軸部材62の軸周りに回動可能となっている。一方、下側湾曲部は、断面が上側湾曲部の下端から四分の二円状をなし、その下端部が巻かれていて、左右方向に延びる円筒形になっており、この下端部を筐体側軸部材65が貫通している。この下端部は、その内径が筐体側軸部材65の径よりも大きく、筐体側軸部材65の軸周りに回動可能になっている。
【0059】
−給湯器の設置方法−
次に、一対の上側防振支持装置6,6及び下側防振支持装置5を備えた機器支持構造1による給湯器2の壁面3への設置方法について説明する。
【0060】
先ず、上側支持部材61と、壁面側軸部材62と、上側ゴム弾性体63と、筐体上側部材64と、筐体側軸部材65と、板ばね66と、を一対ずつ用意する。次に、筐体上側部材64,64を、それぞれ筐体上面20bの左右両端部に固定する。次に、板ばね66を、その下端部が突起部642,642の間に位置するように配置し、貫通孔642a,642a及び板ばね66の下端部に筐体側軸部材65を貫通させ、筐体側軸部材65の両端部をかしめる。この作業を左右両方について行う。また、壁面側軸部材62,62を上側ゴム弾性体63,63の貫通孔63a,63aにそれぞれ貫通させたものを板ばね66,66の上側湾曲部に嵌合固定する。更にまた、上側支持部材61,61を筐体上側部材64,64の間と同じ間隔を開けて壁面3にネジ等で固定する。
【0061】
次に、給湯器2を持ち上げて、壁面側軸部材62,62の両端部をそれぞれ上側支持部材61,61の切り欠き部612a,612a,612a,612aに引っ掛ける。そうすると、板ばね66,66が壁面側軸部材62,62の軸周りに回動するため、給湯器2が当該軸周りに回動し、その後停止する。
【0062】
最後に、給湯器2が停止した状態で、上記実施形態1と同様に下側防振支持装置5で給湯器2の下端部を壁面3に支持する。以上により、給湯器2が壁面3に支持される。
【0063】
−効果−
以上より、本実施形態によれば、給湯器2を上側防振支持装置6,6で壁面に支持するときは、先ず、板ばね66,66と給湯器2とを連結すると共に板ばね66,66に上側ゴム弾性体63,63及び壁面側軸部材62,62を装着する一方、上側支持部材61,61を壁面3に固定し、次に、壁面側軸部材62,62をそれぞれ切り欠き部612a,612a,612a,612aの上方から引っ掛ける。そうすると、壁面側軸部材62,62が両側壁部612,612,612,612に支持され、給湯器2が上側防振支持装置6,6で壁面3に支持される。このように、壁面側軸部材62,62を上側支持部材61,61の上方から引っ掛けるという簡単な作業で上側支持部材61,61と板ばね66,66とを連結することができるので、給湯器2を容易に設置することができる。
【0064】
また。本実施形態によれば、切り欠き部612a,612aの下端部が階段状になっているので、壁面側軸部材62が切り欠き部612a,612aから外れるのを防止できる。
【0065】
また、本実施形態によれば、上側連結部材が板ばね66,66で構成されているので、地震等により給湯器2が大きく振動した場合でも、板ばね66,66が伸縮することによって給湯器2の振動が壁面3に伝達するのを防止することができる。
【0066】
(実施形態3)
本実施形態は、上側連結部材が上側ゴム弾性体も兼ねる点が実施形態1,2と異なるものである。以下、実施形態1と異なる点について図14〜16を参照して説明する。図14は、上側防振支持装置7の側面図である。図15は、上側支持部材71及び筐体上側部材72を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。図16は、上側連結部材73を示す図であって、同図(a)は、側面図であり、同図(b)は、正面図である。
【0067】
≪上側防振支持装置≫
上側防振支持装置7は、図14に示すように、壁面3の給湯器2よりも高い位置に固定された上側支持部材71と、給湯器2に固定された給湯器側部材72と、上側支持部材71の筐体側脚部(軸部材)712bと給湯器2側とを連結する上側連結部材73と、を備えている。
【0068】
上側支持部材71は、図14,図15に示すように、壁面3に固定された矩形状の板部材で構成された固定板711と、この固定板711に固定され上側連結部材73に形成された貫通孔73aを貫通するコ字状部材712と、を備えている。コ字状部材712は、横断面円形の棒部材で構成され、固定板711に、前方に水平に延びるように突設されている。コ字状部材712は、基部712aと、基部712aの両端部からそれぞれ同一方向に延びる一対の脚部712b,712bと、を備えている。基部712aは、固定板711の前面の上下方向中央部から前方に水平に延びている。壁面側脚部712bは、固定板711の前面に左方に水平に延びるように固定されている。筐体側脚部712bは、基部712aの前方端部から左方に水平に延びており、この筐体側脚部712bに上側連結部材73が装着されて壁面3側の軸として機能する。なお、筐体側脚部712bは、基部712aとの接続部から先端部近傍まで一定の径を有し、先端部近傍で拡径し、その後、先端側に行くに従って縮径している。この拡径した部分によって、装着された上側連結部材73が脱落するのを防止する。
【0069】
筐体上側部材72は、図15に示すように、上側支持部材71と同一構成であって、固定板721と、軸部材722と、を備えており、図14に示すように、固定板721が筐体上面20bの後端部に載置固定されている。そして、壁面側脚部722bは、その左側端部が基部722aに支持されて右方に延びており、この壁面側脚部722bに上側連結部材73が装着されて筐体側の軸として機能する。この脚部722bの先端部も拡径しており、装着された上側連結部材73が脱落するのを防止する。
【0070】
上側連結部材73は、図16に示すように、断面が略楕円形の柱状ゴムで構成され、図14,図16に示すように、上側支持部材71と筐体上側部材72との間に、軸方向が左右方向に一致し且つ長軸方向が上下方向に略一致するように配置されている。そして、上側連結部材73の上下方向両端部には、左右方向に水平に延びていて、上側支持部材71の筐体側脚部712a及び筐体上側部材72の壁面側脚部722bのそれぞれの最小径部分よりも径が大きく、それぞれの最大径部分よりも径の小さい上下一対の貫通孔73a,73aが形成されている。上側の貫通孔73aには、筐体側脚部712bが貫通し、下側の貫通孔73aには、壁面側脚部722bが貫通している。このように、ゴム製の上側連結部材73が壁面側の軸である筐体側脚部712bに装着されていることにより、上側連結部材73が実施形態1,2における上側ゴム弾性体44,63の機能を兼ねている。また、上側連結部材73の上下方向中心部には、左右方向に延びる中空部73bが形成されており、この中空部73bは、長軸方向が前後方向に一致する断面楕円形をなしている。そうして、上側連結部材73に強い振動が入力したときに、この中空部73bが上下方向に伸縮して上側連結部材73全体が伸縮する。
【0071】
−給湯器の設置方法−
次に、一対の上側防振支持装置7,7及び下側防振支持装置5を備えた機器支持構造1による給湯器2の壁面3への設置方法について説明する。
【0072】
先ず、上側支持部材71と、壁面側軸部材72と、上側連結部材73と、を一対ずつ用意する。次に、筐体上側部材72,72を、それぞれ筐体上面20bの左右両端部に固定する。そして、壁面側脚部722b,722bをそれぞれ上側連結部材73,73の下側の貫通孔73a,73aに貫通させて、上側連結部材73,73をそれぞれ筐体上側部材72,72に装着する。また、上側支持部材71,71を筐体上側部材72,72間と同じ間隔を開けて壁面3にネジ等で固定する。
【0073】
次に、給湯器2を持ち上げて、上側連結部材73,73の上端部をそれぞれ左右方向内側にずらすように変形させて、上側の貫通孔73a,73aにそれぞれ筐体側脚部712b,712bを貫通させ、上側連結部材73,73をそれぞれ上側支持部材71,71に装着する。そうすると、上側連結部材73,73が筐体側脚部712b,712bの軸周りに回動するため、給湯器2が当該軸周りに回動し、その後停止する。
【0074】
最後に、給湯器2が停止した状態で、上記実施形態1と同様に下側防振支持装置5で給湯器2の下端部を壁面3に支持する。以上により、給湯器2が壁面3に支持される。
【0075】
−効果−
以上より、本実施形態によれば、給湯器2を上側防振支持装置7で壁面3に支持するときは、先ず、上側連結部材73,73と筐体上側部材72,72とを連結する一方、上側支持部材71,71を壁面3に固定し、次に、上側連結部材73,73に形成された上側の貫通孔73a,73aに、上側支持部材71,71の筐体側脚部712b,712bを貫通させる。そうすると、上側連結部材73,73が上側支持部材71,71に支持され、給湯器2が上側防振支持装置7,7で壁面3に支持される。このように、貫通孔73a,73aに筐体側脚部712b,712bを貫通させるという簡単な作業で上側支持部材71,71と上側連結部材73,73とをそれぞれ連結することができるので、給湯器2を容易に壁面3設置することができる。
【0076】
また、本実施形態によれば、上側連結部材73が上側弾性体を兼ねた弾性体なので、上側連結部材73を上側弾性体と一体に成形することができ、部品点数を抑制することができる。
【0077】
また、本実施形態によれば、地震等により給湯器2が大きく振動した場合にも、上側連結部材73の中空部73bが上下方向に伸縮するので、当該振動が壁面3に伝達するのを防止することができる。
【0078】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、壁に取り付けられる機器として給湯器を例に説明したが、これに限定されず、例えば空調機の室外機でもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、上側連結部材43,73又は板ばね66が給湯器2側の連結部において左右方向に延びる軸周りに回動したが、これに限定されず、当該軸周りに回動しなくてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、給湯器2を壁面3に4点(上側防振支持装置が2点、下側防振支持装置が2点)で支持したが、これに限定されず、少なくとも3点で支持すればよい。
【0081】
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0082】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上説明したように、本発明に係る防振支持装置は、機器の上下をそれぞれ上側及び下側防振支持装置によって壁面に支持するようにした機器支持構造において、機器の設置を容易にすることが必要な用途等に適用することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 機器支持構造
2 給湯器(機器)
3 壁面
4,6,7 上側防振支持装置
5 下側防振支持装置
41,45,61,71 上側支持部材
411,451 固定部
412,452 弾性体取付部
43,47,73 上側連結部材
431,471 壁面側軸部(軸部材)
44,48,63 上側ゴム弾性体(上側弾性体)
44a,48a,63a,73a 貫通孔
612 側壁部
612a 切り欠き部
62 壁面側軸部材(軸部材)
66 板ばね(上側連結部材)
712b 筐体側脚部(軸部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動時に振動する機器の上下をそれぞれ上側防振支持装置及び下側防振支持装置によって壁面に支持するようにした機器支持構造であって、
上記上側防振支持装置は、
上記壁面に固定された上側支持部材と、
上記上側支持部材に、上記壁面に平行且つ水平に延びるように支持された軸部材と、
上記軸部材の軸方向に延びて該軸部材が貫通した貫通孔が形成された上側弾性体と、
上記軸部材と上記機器側とを連結し、該軸部材の軸周りに回動可能な上側連結部材と、を備えることを特徴とする機器支持構造。
【請求項2】
請求項1記載の機器支持構造において、
上記上側支持部材は、上記壁面に固定される固定部と、該固定部から上記機器側に延在し、その機器側先端部が上記上側弾性体の外面に対応する形状の内面を有する弾性体取付部と、を備え、
上記上側弾性体は、上記弾性体取付部に嵌合固定され、
上記上側連結部材は、上記軸部材に一体に連結され、該軸部材が上記貫通孔内において該軸部材の軸周りに回動することによって、該軸周りに回動することを特徴とする機器支持構造。
【請求項3】
請求項1記載の機器支持構造において、
上記上側支持部材は、それぞれ上記軸部材の軸方向に間隔をおいて上記壁面から上記機器側に向かって突設し且つ上端から下方に延在する切り欠き部が形成された一対の側壁部を備え、
上記軸部材は、その両端部がそれぞれ上記各切り欠き部に嵌ることによって上記両側壁部に該軸部材の軸周りに回動可能に支持され、
上記上側弾性体は、上記軸部材とその軸周りに一体となって回動し、
上記上側連結部材は、上記上側弾性体の外面に巻回する板ばねを有していて、該板ばねが上記軸部材及び上記上側弾性体と一体となって上記軸部材の軸周りに回動することによって、該軸部材の軸周りに回動することを特徴とする機器支持構造。
【請求項4】
請求項1記載の機器支持構造において、
上記軸部材は、一端が上記上側支持部材に固定支持され、
上記上側連結部材は、上記上側弾性体を兼ねている弾性体であって、上記上側弾性体が上記軸部材の軸周りに回動することを特徴とする機器支持構造。
【請求項1】
作動時に振動する機器の上下をそれぞれ上側防振支持装置及び下側防振支持装置によって壁面に支持するようにした機器支持構造であって、
上記上側防振支持装置は、
上記壁面に固定された上側支持部材と、
上記上側支持部材に、上記壁面に平行且つ水平に延びるように支持された軸部材と、
上記軸部材の軸方向に延びて該軸部材が貫通した貫通孔が形成された上側弾性体と、
上記軸部材と上記機器側とを連結し、該軸部材の軸周りに回動可能な上側連結部材と、を備えることを特徴とする機器支持構造。
【請求項2】
請求項1記載の機器支持構造において、
上記上側支持部材は、上記壁面に固定される固定部と、該固定部から上記機器側に延在し、その機器側先端部が上記上側弾性体の外面に対応する形状の内面を有する弾性体取付部と、を備え、
上記上側弾性体は、上記弾性体取付部に嵌合固定され、
上記上側連結部材は、上記軸部材に一体に連結され、該軸部材が上記貫通孔内において該軸部材の軸周りに回動することによって、該軸周りに回動することを特徴とする機器支持構造。
【請求項3】
請求項1記載の機器支持構造において、
上記上側支持部材は、それぞれ上記軸部材の軸方向に間隔をおいて上記壁面から上記機器側に向かって突設し且つ上端から下方に延在する切り欠き部が形成された一対の側壁部を備え、
上記軸部材は、その両端部がそれぞれ上記各切り欠き部に嵌ることによって上記両側壁部に該軸部材の軸周りに回動可能に支持され、
上記上側弾性体は、上記軸部材とその軸周りに一体となって回動し、
上記上側連結部材は、上記上側弾性体の外面に巻回する板ばねを有していて、該板ばねが上記軸部材及び上記上側弾性体と一体となって上記軸部材の軸周りに回動することによって、該軸部材の軸周りに回動することを特徴とする機器支持構造。
【請求項4】
請求項1記載の機器支持構造において、
上記軸部材は、一端が上記上側支持部材に固定支持され、
上記上側連結部材は、上記上側弾性体を兼ねている弾性体であって、上記上側弾性体が上記軸部材の軸周りに回動することを特徴とする機器支持構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−246968(P2012−246968A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117703(P2011−117703)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000201869)倉敷化工株式会社 (282)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000201869)倉敷化工株式会社 (282)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]