説明

機密用紙処理装置

【課題】 機密用紙上で記入が行われている全ての領域の設定、及びその領域の記入が図であるか文字であるかの判別を行い、これらの設定及び判別の情報を用いて、機密用紙上の秘匿すべき部分をインクジェットプリンタにより塗り潰す。
【解決手段】 受け入れ手段1の開口の近傍に用紙検出センサ11が設けられる。そしてこのセンサ11で機密用紙Pの用紙の挿入が検出されると、用紙搬送ローラ12a、12b、12cが駆動され、機密用紙Pの用紙は、先にスキャナ13、次に塗り潰し手段となるインクジェットプリンタ14の近傍を所定の速度で通過され、任意のガイドによって蓄積手段2に蓄積される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば機密情報の記載された用紙を廃棄する際に使用して好適な機密用紙処理装置に関する。詳しくは、用紙上の機密情報の記載された部分を抽出し、その内容及び任意の設定に応じて抽出部分の塗り潰しを行うことにより、廃棄された用紙からの機密情報の漏洩等が良好に防止されるようにするものである。
【背景技術】
【0002】
従来の文書廃棄装置及びファイリングシステムでは、廃棄される文書をスキャンして、その画像をファイリングするようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、秘匿すべき情報を含む領域を指定して塗り潰しを行うようにしているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
すなわち、秘匿すべき情報を含む領域を塗り潰すこと、及び廃棄される文書をスキャンしてその画像をファイリングする技術は知られているものである。
【特許文献1】特開2002−245075号公報
【特許文献2】特開2003−25684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の発明においては、予め指定された領域や指定された文言の記載された範囲を塗り潰して情報の漏洩を防止するものである。しかしながらこのような方法では、予め定められた書式や特定の文言に対して塗り潰しが行われるものであり、一般的な機密用紙の処理に有効なものではない。また、例えば用紙の全面を塗り潰す方法も考えられるが、塗り潰しに用いるインクや顔料等の消費が莫大になってしまうものである。
【0006】
この発明はこのような点に鑑みて成されたものであって、本発明の目的は、一般的な機密用紙の処理においても有効な塗り潰しを行うことのできる機密用紙処理装置を提供するものであり、特には情報の漏洩が良好に防止されると共に、エネルギーや資源などの消費ができるだけ少なくなるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上位の課題を解決し、本発明の目的を達成するため、請求項1に記載された発明は、機密情報の記載された用紙の処理を行う機密用紙処理装置であって、機密処理用紙の処理の仕方を設定する処理内容設定手段と、機密処理用紙を受け入れる受け入れ手段と、この受け入れ手段で受け入れた機密処理用紙をスキャンするスキャン手段と、このスキャン手段でスキャンして取得した機密処理用紙の画像データに対応した機密処理用紙の画像領域を、処理内容設定手段で設定された処理の仕方に従って塗り潰す塗り潰し手段と、この塗り潰し手段で塗り潰された前記機密処理用紙を蓄積する蓄積手段とを有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明による機密用紙処理装置は、処理内容設定手段は外部操作可能な入力手段を有することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明による機密用紙処理装置は、処理内容設定手段で設定される処理内容は機密処理用紙の機密処理のレベルに関することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明による機密用紙処理装置は、処理内容設定手段で設定される処理内容には、スキャン手段によりスキャンされた機密処理用紙の画像データの保存とIDに関する設定を含むことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明による機密用紙処理装置は、受け入れ手段は、機密処理用紙の挿入を検出する用紙検出手段と、この用紙検出手段による機密処理用紙の挿入を検出した後に、機密処理用紙を、スキャン手段、塗り潰し手段及び蓄積手段へ搬送する用紙搬送手段とを有することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明による機密用紙処理装置は、受け入れ手段は、複数の機密処理用紙を挿入口から受け入れ保持する保持手段を有することを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明による機密用紙処理装置は、保持手段は、複数の機密処理用紙を分離し、一枚ずつ用紙搬送手段へ供給する用紙供給手段を有することを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明による機密用紙処理装置は、スキャン手段は、機密処理用紙の両面からスキャンする複数のスキャン手段を有することを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明による機密用紙処理装置は、スキャン手段によるスキャンで取得された機密処理用紙の画像データから文字画像領域と他の画像領域とを抽出する画像処理手段を有することを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明による機密用紙処理装置は、IDを検出するID検出手段と、このID検出手段で検出されたIDとスキャン手段でスキャンして取得した機密処理用紙の画像データとを関連付けて画像データを外部メモリに保存する為の保存処理手段とを有することを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の発明による機密用紙処理装置は、スキャン手段のスキャン速度を処理内容設定手段に設定される機密処理用紙の処理の仕方に対応して変更する制御手段を有することを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の発明による機密用紙処理装置は、塗り潰し手段はインクジェット手段であり、顔料インクを塗布することを特徴とする。
【0019】
請求項13に記載の発明による機密用紙処理装置は、塗り潰し手段は、機密処理用紙の両面から塗り潰す複数の塗り潰し手段を有することを特徴とする。
【0020】
請求項14に記載の発明による機密用紙処理装置は、塗り潰し手段は、処理内容設定手段で設定される機密処理用紙の機密処理のレベルに対応して塗り潰し方を変更する制御手段を有することを特徴とする。
【0021】
請求項15に記載の発明による機密用紙処理装置は、塗り潰し手段は、スキャン手段によるスキャンで取得された機密処理用紙の画像データから得られた文字画像領域と他の画像領域に対応して塗り潰し方を変更する制御手段を有することを特徴とする。
【0022】
請求項16に記載の発明による機密用紙処理装置は、蓄積手段は手前側が開放され、機密処理用紙の処理経路が手前側の開放された蓄積手段の背面側または側面側に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
以上述べた本発明によれば、記入のある場所を全て塗り潰すことによって情報の漏洩を良好に防止することができると共に、塗り潰しを記入のある場所のみに対して行うことによって、エネルギーや資源などの消費を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明を説明するに、まず図1には、本発明による機密用紙処理装置の一実施形態の外観を示す。この図1において、装置の外観はほぼ直方体の形状をなし、その前面側に機密用紙Pの受け入れ手段1の開口と、処理済の機密用紙Pの用紙を蓄積する蓄積手段2の開口とが設けられる。また、同じく装置の前面側に上質紙棚3の開口と、下質紙棚4の開口とが設けられる。
【0025】
さらに図2のA、Bには、本発明による機密用紙処理装置の第1及び第2の実施形態の内部構造を示す。まず図2のAの実施形態は機密用紙Pを1枚ずつ挿入するシステムの構成を示し、ここでは受け入れ手段1の開口の近傍に用紙検出センサ11が設けられる。そしてこのセンサ11で機密用紙Pの用紙の挿入が検出されると、用紙搬送ローラ12a、12b、12cが駆動され、機密用紙Pの用紙は、先にスキャナ13、次に塗り潰し手段となるインクジェットプリンタ14の近傍を所定の速度で通過され、任意のガイドによって蓄積手段2に蓄積される。
【0026】
また、図2のBの実施形態は機密用紙Pをまとめて挿入するシステムの構成を示し、ここでは受け入れ手段1の開口の内部には機密用紙Pの未処理用紙の蓄積手段15と、その近傍に用紙検出センサ11が設けられる。そしてこのセンサ11で機密用紙Pの用紙の挿入が検出されると、機密用紙Pの用紙は用紙供給ローラ16によって1枚ずつ取り出され、用紙搬送ローラ12a、12b、12c、12dが駆動されて、先にスキャナ13、次に塗り潰し手段となるインクジェットプリンタ14の近傍を所定の速度で通過され、任意のガイドによって蓄積手段2に蓄積される。
【0027】
さらに図3のA、Bには、本発明による機密用紙処理装置の第3及び第4の実施形態の外観を示す。図3のAの実施形態は、装置の上面に処理内容設定手段としてのタッチパネル5を設けたもので、このタッチパネル5を用いて機密処理用紙の処理の仕方や、機密処理のレベル、機密処理用紙の画像データの保存とIDに関する設定などが行われる。さらにパスワードやIDの入力も、このタッチパネル5を用いて行うことができる。
【0028】
また、図3のBの実施形態は、装置の上面に処理内容設定手段としてのタッチパネル5と共に、指紋やICカード検出等のID検出センサ6を設けたもので、タッチパネル5を用いて機密処理用紙の処理の仕方や、機密処理のレベル、機密処理用紙の画像データの保存とIDに関する設定などが行われると共に、この実施形態ではIDの入力を、ID検出センサ6を用いて行うことができる。
【0029】
そしてこれらの実施形態において、本発明による機密用紙処理を行うための内部の機能ブロックは、例えば図4に示すように構成される。すなわち、図4の機能ブロック図においては、制御手段となるCPU(Central Processing Unit)20が設けられ、このCPU20に、上述の用紙検出センサ11、用紙搬送ローラ12a〜12c等からなる用紙搬送手段12、スキャナ13、インクジェットプリンタ14などが接続される。また、CPU20には、処理内容設定手段としてのタッチパネル5や、ID検出センサ6なども接続され、さらに後述するデータ出力手段7も接続される。
【0030】
これによりこの機能ブロックにおいて、例えば図5のAに示すような機密用紙Pがスキャナ13で読み取られると、図5のBに示すように領域の設定が行われる。なおこの領域の設定は、CPU20での画像処理によって行われるものであるが、その具体的な処理については周知の技術であるので、ここでの説明を割愛する。さらに、これらの各領域について、その記述の内容が図であるか文字であるかの判別もCPU20によって行われる。この判別は、例えば活字文字認識のソフトウェアを用いて、認識可能な記述を文字、認識不能な記述を図として判別することができる。
【0031】
このようにして、機密用紙P上で記入が行われている全ての領域の設定、及びその領域の記入が図であるか文字であるかの判別が行われる。そこでさらに、これらの設定及び判別の情報を用いて、機密用紙P上の秘匿すべき部分をインクジェットプリンタ14により塗り潰す処理について、以下に、図6及び図7のフローチャートを用いて説明する。なお、図6はスキャナ13における処理、図7はインクジェットプリンタ14における処理を示したものである。
【0032】
まず図6には、スキャナ13における処理のフローチャートを示す。この図6において処理がスタートされると、最初にステップS01で、スキャナ13による機密用紙Pの読み込みが行われる。次にステップS02で、読み込まれた機密用紙Pの画像データの中に記入があるか否か判断され、記入がないとき(No)は処理が終了(ストップ)される。またステップS02で読み込まれた画像データの中に記入があるとき(Yes)は、ステップS03で記入ごとに矩形範囲nが設定される。なお矩形範囲nの設定は、例えば値n=0,1,2・・・として、順番に番号を振って行われる。
【0033】
さらにステップS04で、矩形範囲nの設定が機密用紙Pの全面に渡って終了したか否か判断され、終了されていないとき(No)はステップS03に戻されて矩形範囲nの設定が続行される。そしてステップS04で矩形範囲nの設定が機密用紙Pの全面に渡って終了したとき(Yes)は、ステップS05で値nの最大値が保存され、ステップS06で値n=0とされてステップS07へ進められる。
【0034】
ステップS07では、矩形範囲nの記入が文字であるか否か判断される。この判断は、例えば活字文字認識のソフトウェアを用いて、認識可能な記述を文字、認識不能な記述を図として判断する。そして矩形範囲nの記入が文字であるとき(Yes)は、ステップS08で矩形範囲nのデータに文字フラグがセットされ、矩形範囲nの記入が文字でないとき(No)は、ステップS09で矩形範囲nのデータの文字フラグがリセットされる。さらにステップS10で、値nが保存された最大値か否か判断され、最大値でないとき(No)は、ステップS11で値n=n+1としてステップS07に戻される。
【0035】
またステップS10で、値nが保存された最大値になったとき(Yes)は、ステップS12で、全ての矩形範囲nのデータがインクジェットプリンタ14に送信される。ここで送信されるデータは、例えば各矩形範囲nの四隅の座標と文字フラグ、そして値nの最大値である。そしてこの送信が終了すると、処理が終了(ストップ)される。
【0036】
これに対して、図7には、インクジェットプリンタ14における処理のフローチャートを示す。この図7において処理がスタートされると、最初にステップS21で、スキャナ13から送信された全ての矩形範囲nのデータが受信される。そしてステップS22で値n=0とされてステップS23へ進められる。
【0037】
ステップS23では、矩形範囲nの記入が文字であるか否か判断される。この判断は、矩形範囲nのデータに添えられた文字フラグのセットの有無で判断される。そして矩形範囲nの文字フラグがセットであるとき(Yes)は、ステップS24で矩形範囲nに文字用の塗り潰しパターンが設定され、矩形範囲nの文字フラグがセットでないとき(No)は、ステップS25で矩形範囲nに画像用の塗り潰しパターンが設定される。さらにステップS26で、値nが保存された最大値か否か判断され、最大値でないとき(No)は、ステップS27で値n=n+1としてステップS23に戻される。
【0038】
さらにステップS26で、値nが保存された最大値になったとき(Yes)は、ステップS28で機密用紙Pの全面に渡って各矩形範囲nのプリントパターンがセットされる。すなわち、上述の各矩形範囲nの四隅の座標に対して、その座標で囲まれた範囲に、それぞれ文字用または画像用の塗り潰しパターンが設定される。そしてステップS29でプリントが実行されて、処理が終了(ストップ)される。
【0039】
これによって、例えば図8のAに示すような機密用紙Pが本発明の機密用紙処理装置に挿入された場合には、機密用紙P上の各記入に対して矩形範囲が設定されると共に、その範囲の記入が文字であるか図であるかが判断され、それによって、例えば図8のCに示すような塗り潰しが行われる。
【0040】
ここで塗り潰しのパターンは、例えば図に対しては完全に塗る潰す必要があるが、文字に対しては任意の細かい幾何学模様をプリントすることで、その判読を困難にすることができる。そこで図8のCに示すように、機密用紙P上の図と判断された矩形範囲は完全に塗り潰すと共に、文字と判断された矩形範囲には所定の幾何学模様をプリントする。これによって、情報の漏洩を良好に防止できると共に、エネルギーや資源などの消費をできるだけ少なくすることができるものである。
【0041】
さらに、例えば上述の処理内容設定手段としてのタッチパネル5において、機密用紙Pごと機密レベルが設定されている場合には、その設定に応じて塗り潰しの仕方を変更することができる。すなわち、その機密レベルが低レベルであるときには、例えば図8のBに示すように全ての矩形範囲を文字用の塗り潰しパターンで塗り潰しを行う。これに対して機密レベルが高レベルであるときには、例えば図8のDに示すように全ての矩形範囲を画像用の塗り潰しパターンで塗り潰しを行う。
【0042】
このようにして、設定された機密レベルに応じて塗り潰しの仕方を変更することができる。これによれば、機密レベルが低レベルであるときには、エネルギーや資源などの消費をさらに少なくすることができる。なお、本発明の機密用紙処理装置によれば、例えば図8のDに示すように、全ての矩形範囲を画像用の塗り潰しパターンで塗り潰しを行う場合であっても、従来のように全面を塗り潰す場合よりは、エネルギーや資源などの消費を少なくすることができるものである。
【0043】
さらに本発明の機密用紙処理装置においては、例えば図2のA、Bに示すようにスキャナ13、及び塗り潰し手段となるインクジェットプリンタ14が機密用紙Pの両面に設けられる。これによって、機密用紙Pを裏返さなくても、機密用紙Pの両面にわたって処理を行うことができると共に、機密レベルがさらに高い場合には、設定された矩形範囲に相当する範囲を両面から塗り潰すことで、一層の情報の漏洩の防止を行うことができるものである。
【0044】
また、上述の本発明の機密用紙処理装置においては、例えばスキャナ13で読み込まれた画像データをメモリ等に保存することができるが、その画像データの保存に当っては、タッチパネル5からのパスワードやIDの入力や、ID検出センサ6による指紋やICカードからのIDの入力に従って制限が行われる。
【0045】
すなわち、図9のフローチャートにおいて処理がスタートされると、ステップS31で、例えばタッチパネル5やID検出センサ6により入力されるIDが認識される。次にステップS32で認識されたIDが、予め登録されたIDと一致するか否か判断され、一致するとき(Yes)は、ステップS33でIDを画像データに関連付け、データ出力手段7によるデータの保存が行われて処理が終了(ストップ)される。また、ステップS32でIDが一致しないとき(No)は、ステップS34で画像データの保存は行わずに処理が終了(ストップ)される。
【0046】
このようにして、IDを用いて画像データの保存の制限が行われる。これによって、例えば画像データを外部メモリ等に保存して持ち出すような形式での情報の漏洩を防止することができる。
【0047】
さらに、本発明の機密用紙処理装置においては、例えば図10に示すように機密用紙処理装置100に対してUSBメモリ101や、メモリカード102を装着して画像データの保存が行われる。あるいは、ネットワーク200を通じてサーバ300や、任意のパーソナルコンピュータ(PC)400に画像データの保存を行うこともできる。そこでこれらの場合にも、上述のIDを用いた処理を行うことによって、情報の漏洩を防止することができる。
【0048】
また、このようにUSBメモリ101やメモリカード102を装着して画像データの保存が行われる場合や、ネットワーク200を通じて、サーバ300や任意のパーソナルコンピュータ(PC)400等に画像データの保存を行っている場合には、機密用紙処理装置100の本体の内部には画像データが存在しないので、例えば機密用紙処理装置100の本体の盗難に対しても、情報の漏洩を防止することができる。
【0049】
さらに、本発明の機密用紙処理装置によれば、塗り潰し手段にはインクジェットが使用されており、インクジェットであれば非接触なので用紙に汚れが付きにくい。また顔料インクを塗布するインクジェットであれば、用紙の原画、原文字が透けて見えるのを防ぐことが出来る。さらには塗り潰し後に、用紙を乾燥させる乾燥手段があれば、用紙を扱う場合に、手が汚れないで済む。
【0050】
また、本発明の機密用紙処理装置によれば、入力手段としてタッチパネル5が機密用紙処理装置上部に設けられている。そこでこのタッチパネル5を用いて、スキャン速度を変更するための制御手段(図示せず)を制御することができる。これにより、例えば通常は高速スキャンでも問題ないが、画像保存の時はスキャン速度を下げる必要がある時に、その制御を行うことができる。
【0051】
ところで、処理済みの用紙を取出す場合、機密用紙処理装置にある蓄積手段2は手前側が開放された構造であることが望ましい。すなわち用紙が取り出しやすい構造が望ましい。また機密用紙だけではなく、一般廃棄用紙も蓄積する第2の蓄積手段3、4がある機密用紙処理装置があればさらに効率的である。そして、やはりこれも手前側が開放された蓄積手段であることが望ましい。
【0052】
また、廃棄用紙が大量に発生した場合でも第2の蓄積手段3、4が複数あれば対応が可能である。また複数の該蓄積手段3、4を紙質に応じて、例えば、上質紙、低質紙に分けて蓄積する方法もある。また手前側が開放されていれば取り出しに便利である。
【0053】
さらに、上述の図2の実施形態では、機密処理用紙の処理経路が、手前側が開放された蓄積手段の背面側にある機密用紙処理装置を示している。これにより廃棄用紙の取出しが便利になるように蓄積手段の手前側を開放することができる。これに対して、図11に示すように、処理経路を蓄積手段の側面側にあっても廃棄用紙の取出しが便利になるように蓄積手段の手前側を開放することも可能である。
【0054】
こうして本発明の請求項1によれば、機密情報の記載された用紙の処理を行う機密用紙処理装置であって、機密処理用紙の処理の仕方を設定する処理内容設定手段と、機密処理用紙を受け入れる受け入れ手段と、この受け入れ手段で受け入れた機密処理用紙をスキャンするスキャン手段と、このスキャン手段でスキャンして取得した機密処理用紙の画像データに対応した機密処理用紙の画像領域を、処理内容設定手段で設定された処理の仕方に従って塗り潰す塗り潰し手段と、この塗り潰し手段で塗り潰された前記機密処理用紙を蓄積する蓄積手段とを有することにより、一般的な機密用紙の処理においても有効な塗り潰しを行うことのでき、特には情報の漏洩が良好に防止されると共に、エネルギーや資源などの消費ができるだけ少なくなるようにすることができる。
【0055】
また、請求項2によれば、処理内容設定手段は外部操作可能な入力手段を有することによって、利用者が所望の設定を行うことができ、パスワードやIDの入力を行うこともできる。
【0056】
請求項3によれば、処理内容設定手段で設定される処理内容は機密処理用紙の機密処理のレベルに関することによって、機密処理のレベルに応じた機密用紙の処理を行うことができる。
【0057】
請求項4によれば、処理内容設定手段で設定される処理内容には、スキャン手段によりスキャンされた機密処理用紙の画像データの保存とIDに関する設定を含むことによって、安全なデータの保存を行うことができる。
【0058】
請求項5によれば、受け入れ手段は、機密処理用紙の挿入を検出する用紙検出手段と、この用紙検出手段による機密処理用紙の挿入を検出した後に、機密処理用紙を、スキャン手段、塗り潰し手段及び蓄積手段へ搬送する用紙搬送手段とを有することによって、良好な機密用紙の処理を行うことができる。
【0059】
請求項6によれば、受け入れ手段は、複数の機密処理用紙を挿入口から受け入れ保持する保持手段を有することによって、複数の機密処理用紙をまとめて挿入して処理を行うことができる。
【0060】
請求項7によれば、保持手段は、複数の機密処理用紙を分離し、一枚ずつ用紙搬送手段へ供給する用紙供給手段を有することによって、複数の機密処理用紙をまとめて挿入して処理を行うことができる。
【0061】
請求項8によれば、スキャン手段は、機密処理用紙の両面からスキャンする複数のスキャン手段を有することによって、両面に記入の行われた機密用紙の処理も良好に行うことができる。
【0062】
請求項9によれば、スキャン手段によるスキャンで取得された機密処理用紙の画像データから文字画像領域と他の画像領域とを抽出する画像処理手段を有することによって、文字と画像のそれぞれに適した処理を行うことができる。
【0063】
請求項10によれば、IDを検出するID検出手段と、このID検出手段で検出されたIDとスキャン手段でスキャンして取得した機密処理用紙の画像データとを関連付けて画像データを外部メモリに保存する為の保存処理手段とを有することによって、画像データの保存も良好に行うことができる。
【0064】
請求項11によれば、スキャン手段のスキャン速度を処理内容設定手段に設定される機密処理用紙の処理の仕方に対応して変更する制御手段を有することによって、画像データの読み込みを適切に行うことができる。
【0065】
請求項12によれば、塗り潰し手段はインクジェット手段であり、顔料インクを塗布することによって、良好な塗り潰しの処理を行うことができる。
【0066】
請求項13によれば、塗り潰し手段は、機密処理用紙の両面から塗り潰す複数の塗り潰し手段を有することによって、機密用紙を裏返さなくても、機密用紙の両面にわたって処理を行うことができると共に、機密レベルがさらに高い場合には、設定された矩形範囲に相当する範囲を両面から塗り潰すことで、一層の情報の漏洩の防止を行うことができる。
【0067】
請求項14によれば、塗り潰し手段は、処理内容設定手段で設定される機密処理用紙の機密処理のレベルに対応して塗り潰し方を変更する制御手段を有することによって、機密処理のレベルに応じた適切な処理を行うことができる。
【0068】
請求項15によれば、塗り潰し手段は、スキャン手段によるスキャンで取得された機密処理用紙の画像データから得られた文字画像領域と他の画像領域に対応して塗り潰し方を変更する制御手段を有することによって、文字と画像の記入のそれぞれについて適切な処理を行うことができる。
【0069】
請求項16によれば、蓄積手段は手前側が開放され、機密処理用紙の処理経路が手前側の開放された蓄積手段の背面側または側面側に設けられていることによって、扱い易い機密用紙処理装置を提供することができる。
【0070】
なお本発明は、上述の説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱することなく種々の変形が可能とされるものである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明による機密用紙処理装置の一実施形態の外観を示す図である。
【図2】本発明による機密用紙処理装置の第1及び第2の実施形態の内部構造を示す図である。
【図3】本発明による機密用紙処理装置の第3及び第4の実施形態の外観を示す図である。
【図4】本発明による機密用紙処理を行うための内部の機能ブロックを示す機能ブロック図である。
【図5】その説明のため図である。
【図6】その動作の説明のためのフローチャート図である。
【図7】その動作の説明のためのフローチャート図である。
【図8】その説明のため図である。
【図9】その動作の説明のためのフローチャート図である。
【図10】その説明のためのシステム図である。
【図11】本発明による機密用紙処理装置の他の実施形態の内部構造を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
1…受け入れ手段、2…蓄積手段、11…用紙検出センサ、12a,12b,12c…用紙搬送ローラ、13…スキャナ、14…塗り潰し手段となるインクジェットプリンタ、P…機密用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機密情報の記載された用紙の処理を行う機密用紙処理装置であって、
機密処理用紙の処理の仕方を設定する処理内容設定手段と、
前記機密処理用紙を受け入れる受け入れ手段と、
該受け入れ手段で受け入れた前記機密処理用紙をスキャンするスキャン手段と、
該スキャン手段でスキャンして取得した前記機密処理用紙の画像データに対応した前記機密処理用紙の画像領域を、前記処理内容設定手段で設定された処理の仕方に従って塗り潰す塗り潰し手段と、
該塗り潰し手段で塗り潰された前記機密処理用紙を蓄積する蓄積手段と
を有することを特徴とする機密用紙処理装置。
【請求項2】
前記処理内容設定手段は外部操作可能な入力手段を有する
ことを特徴とする請求項1記載の機密用紙処理装置。
【請求項3】
前記処理内容設定手段で設定される処理内容は前記機密処理用紙の機密処理のレベルに関する
ことを特徴とする請求項1記載の機密用紙処理装置。
【請求項4】
前記処理内容設定手段で設定される処理内容には、前記スキャン手段によりスキャンされた前記機密処理用紙の画像データの保存とIDに関する設定を含む
ことを特徴とする請求項1記載の機密用紙処理装置。
【請求項5】
前記受け入れ手段は、
前記機密処理用紙の挿入を検出する用紙検出手段と、
該用紙検出手段による前記機密処理用紙の挿入を検出した後に、前記機密処理用紙を、前記スキャン手段、前記塗り潰し手段及び前記蓄積手段へ搬送する用紙搬送手段と
を有することを特徴とする請求項1記載の機密用紙処理装置。
【請求項6】
前記受け入れ手段は、複数の前記機密処理用紙を挿入口から受け入れ保持する保持手段を有する
ことを特徴とする請求項1記載の機密用紙処理装置。
【請求項7】
前記保持手段は、前記複数の機密処理用紙を分離し、一枚ずつ前記用紙搬送手段へ供給する用紙供給手段を有する
ことを特徴とする請求項6記載の機密用紙処理装置。
【請求項8】
前記スキャン手段は、前記機密処理用紙の両面からスキャンする複数のスキャン手段を有する
ことを特徴とする請求項1記載の機密用紙処理装置。
【請求項9】
前記スキャン手段によるスキャンで取得された前記機密処理用紙の画像データから文字画像領域と他の画像領域とを抽出する画像処理手段を有する
ことを特徴とする請求項1記載の機密用紙処理装置。
【請求項10】
IDを検出するID検出手段と、
該ID検出手段で検出されたIDと前記スキャン手段でスキャンして取得した前記機密処理用紙の画像データとを関連付けて前記画像データを外部メモリに保存する為の保存処理手段と
を有することを特徴とする請求項1記載の機密用紙処理装置。
【請求項11】
前記スキャン手段のスキャン速度を前記処理内容設定手段に設定される前記機密処理用紙の処理の仕方に対応して変更する制御手段を有する
ことを特徴とする請求項1記載の機密用紙処理装置。
【請求項12】
前記塗り潰し手段はインクジェット手段であり、顔料インクを塗布する
ことを特徴とする請求項1記載の機密用紙処理装置。
【請求項13】
前記塗り潰し手段は、前記機密処理用紙の両面から塗り潰す複数の塗り潰し手段を有する
ことを特徴とする請求項1記載の機密用紙処理装置。
【請求項14】
前記塗り潰し手段は、前記処理内容設定手段で設定される前記機密処理用紙の機密処理のレベルに対応して塗り潰し方を変更する制御手段を有する
ことを特徴とする請求項3記載の機密用紙処理装置。
【請求項15】
前記塗り潰し手段は、前記スキャン手段によるスキャンで取得された前記機密処理用紙の画像データから得られた文字画像領域と他の画像領域に対応して塗り潰し方を変更する制御手段を有する
ことを特徴とする請求項9記載の機密用紙処理装置。
【請求項16】
前記蓄積手段は手前側が開放され、前記機密処理用紙の処理経路が前記手前側の開放された蓄積手段の背面側または側面側に設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の機密用紙処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−174172(P2006−174172A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−364792(P2004−364792)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】