機能性食品組成物
【課題】茶ポリフェノールを含む組成物であって、糖類分解酵素阻害活性を有する機能性食品組成物、及び茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】新鮮アッサム種茶葉を2〜10倍量の水中でホモジナイズして泥状物とした後、これを20〜50℃の温度で30分〜6時間、バッフルのない釜で、インペラー式撹拌機を斜めに設置し、または、馬蹄形プロペラ、格子型プロペラ、もしくはスクリュープロペラを用い、高速で激しく撹拌することにより空気を抱き込ませながら、前記空気と接触させ酸化発酵させることにより茶カテキン類を酸化反応させた後、エタノールを加え、茶テアフラビン類を抽出、濃縮、活性白土処理し、得られた処理液のカラムクロマトグラフィーにより分離した茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物、及びその製造方法。
【解決手段】新鮮アッサム種茶葉を2〜10倍量の水中でホモジナイズして泥状物とした後、これを20〜50℃の温度で30分〜6時間、バッフルのない釜で、インペラー式撹拌機を斜めに設置し、または、馬蹄形プロペラ、格子型プロペラ、もしくはスクリュープロペラを用い、高速で激しく撹拌することにより空気を抱き込ませながら、前記空気と接触させ酸化発酵させることにより茶カテキン類を酸化反応させた後、エタノールを加え、茶テアフラビン類を抽出、濃縮、活性白土処理し、得られた処理液のカラムクロマトグラフィーにより分離した茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物、及びその製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新鮮アッサム種茶葉から得られる茶テアフラビン類を含有する機能性食品組成物に関する。さらに詳しく言えば、新鮮アッサム種茶葉から得られる茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含むことにより、糖類を分解する酵素活性を阻害する機能性を高めた機能性食品組成物及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食生活の変化による脂肪の過多摂取や、糖質の摂取量の増加等により、肥満や糖尿病等のいわゆる生活習慣病のリスクが増加しつつあり、糖質、特にでんぷんやスクロース(ショ糖)、マルトース(麦芽糖)等の消化吸収を抑えることにより、血糖値の過度の上昇を抑制し、インシュリンの分泌を抑えて肥満や糖尿病のリスクを下げるような機能性食品組成物が望まれている。そこで、近年、植物に存在して生理活性を示す天然物質、特にポリフェノール類に関心が持たれている。ポリフェノール類は、一般に茶、野菜、果実、ハーブ類等に含まれ、食品あるいは嗜好品として長期間の摂取経験のある、副作用のない生理活性物質として期待できるものである。また、日常の食事を取りながらでも、容易に、かつ安全に摂取可能な血糖値上昇抑制効果を有する機能性食品組成物が求められている。
【0003】
茶(Camellia sinensis (L.) O.kuntze )はツバキ科に属する常緑樹であり、茶のポリフェノール、特に茶カテキン類には抗菌、抗ウイルス、抗突然変異、抗酸化、血圧上昇抑制、血中コレステロール低下、抗う蝕、抗アレルギー、腸内フローラ改善、消臭など、広範囲の生理活性があることが知られており、古くは薬学、植物化学等の分野で、近年は健康食品の分野などで注目を集めている。
【0004】
茶カテキン類の酸化誘導体である茶テアフラビン類についても、茶カテキン類の生理活性と比較して特徴的な生理活性が認められている。例えば、百日咳菌に対する抗菌作用(非特許文献1:堀内ら,感染症誌,66,559,1992)、虫歯歯垢形成抑制(特許文献1:特開平6−263646号公報)などが知られている。
【0005】
茶テアフラビン類は、主としてでんぷんを分解するα−アミラーゼ活性を阻害し、小腸での糖類の吸収を抑制することが知られている(非特許文献2:Hara Y, Honda M., Agric. Biol. Chem., 54(8), 1939-1945, 1990)。フラボノイドの1種であるケルセチン(非特許文献3:Watanabe J, Kawabata J, Kurihara H, Niki R., Biosci. Biotechnol. Biochem., 61(1), 177-178, 1997 )、Salacia 属植物のポリフェノール成分(非特許文献4:Yoshikawa M, Nishida N, Shimoda H, Takada M, Kawahara Y, Matsuda H., Yakugaku Zasshi., 121(5), 371-378, 2001)などがα−グルコシダーゼ活性を阻害することが知られている。
【0006】
このように有用な生理活性作用を利用して目的に適った生理効果を得るためには、有効成分である酵素活性阻害成分の摂取量を増やすことが必要である。しかしながら、茶カテキン類を自然発酵させる場合は、その酸化誘導体として生成する茶テアフラビン類の収率は極めて低く、従来から、有効成分を高濃度に含有することにより、糖類を分解する酵素活性を阻害する生理活性を高めた機能性食品組成物が求められている。
【0007】
でんぷんを分解する酵素活性を阻害するだけではなく、スクロース(ショ糖)やマルトース(麦芽糖)を分解する酵素活性も阻害するためには、従来、でんぷんを分解する酵素活性阻害成分とは別にスクロース(ショ糖)やマルトース(麦芽糖)を分解する酵素活性阻害成分を併用する必要があった。例えば、特許文献2(特開2004−105157号公報)では、α−アミラーゼ活性を阻害する緑茶カテキンとα−グルコシダーゼ活性を阻害する桑葉成分を特定の比率で併用している。
【0008】
【特許文献1】特開平6−263646号公報
【特許文献2】特開2004−105157号公報
【非特許文献1】堀内ら,感染症誌, 66, 559, 1992.
【非特許文献2】Hara Y et al., Agric. Biol. Chem., 54(8), 1939-1945, 1990.
【非特許文献3】Watanabe J et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 61(1), 177-178, 1997.
【非特許文献4】Yoshikawa M et al., Yakugaku Zasshi. 121(5), 371-378, 2001.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、日常の食事を取りながら、容易かつ安全に摂取可能な、血糖値上昇抑制効果を有する機能性食品組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、糖類分解酵素阻害活性を有する有効成分を高濃度に含有する機能性を高めた食品組成物を提供することにある。
本発明の別の目的は、糖類分解酵素阻害活性を有する本発明の有効成分を含有する組成物を使用して2種類の糖類分解酵素阻害活性(すなわち、α−グルコシダーゼ阻害活性及びα−アミラーゼ阻害活性)を示す、機能性が多様で、かつ効率的な食品組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、α−アミラーゼ活性を阻害する性質を有する茶テアフラビン類に着目し鋭意研究の結果、新鮮アッサム種茶葉を空気酸化して得られる茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物が、α−グルコシダーゼ活性を阻害する性質を有すること、これを経口投与、特に連続経口投与することにより、α−グルコシダーゼ活性阻害作用が増強できること、及び脂肪肝の改善効果を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は以下の機能性食品組成物及びその製造方法を提供する。
1.新鮮アッサム種茶葉を2〜10倍量の水中でホモジナイズして泥状物とした後、これを20〜50℃の温度で30分〜6時間、高速で撹拌することにより空気を抱き込ませながら、激しく空気と接触させ酸化発酵させることにより茶カテキン類を酸化反応させた後、水の量に対して半量〜3倍量のエタノールを加えて撹拌した後、固形物をろ過し、得られたろ液を水溶液の状態になるまで濃縮し、生成した沈殿物をろ別し、ろ液を活性白土で処理して、ろ液中のカフェイン類を吸着した活性白土をろ別し、ろ液を多孔質のポリスチレン樹脂カラムに通した後、目的物を吸着した前記カラムを10〜60%濃度のエタノールで溶出し、30〜60%エタノール溶出画分から茶テアフラビン類を高濃度で回収することにより製造した茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含む組成物であって、糖類分解酵素阻害活性を有することを特徴とする機能性食品組成物。
2.撹拌を、バッフルのない釜で、インペラー式撹拌機を斜めに設置し、または、馬蹄形プロペラ、格子型プロペラ、もしくはスクリュープロペラを用い高速で行う前記1に記載の機能性食品組成物。
3.茶カテキン類の酸化反応により製造した茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含み、かつカフェイン含量を1質量%以下とした組成物であって、糖類分解酵素阻害活性を有する前記1または2に記載の機能性食品組成物。
4.α−グルコシダーゼ阻害活性を有する前記1〜3のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
5.α−グルコシダーゼ阻害活性及びα−アミラーゼ阻害活性を有する前記1〜4のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
6.シュクラーゼ阻害活性を有する前記1〜5のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
7.マルターゼ阻害活性を有する前記1〜6のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
8.茶テアフラビン類を10質量%以上含有する前記1〜7のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
9.茶テアフラビン類を20質量%以上40質量%以下含有する前記8に記載の機能性食品組成物。
10.前記茶テアフラビン類として、テアフラビン、テアフラビン−3−ガレート、テアフラビン−3’−ガレート、及びテアフラビン−3,3’−ジガレートを含む前記8または9に記載の機能性食品組成物。
11.前記茶テアフラビン類として、テアフラビン2〜7質量%、テアフラビン−3−ガレート2〜7質量%、テアフラビン−3’−ガレート2〜10質量%、及びテアフラビン−3,3’−ジガレート2〜16質量%を含む前記10に記載の機能性食品組成物。
12.経口投与用であるα−グルコシダーゼ阻害活性を有する茶ポリフェノールを含む組成物である前記1〜11のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
13.連続経口投与用であるα−グルコシダーゼ阻害活性を有する前記12に記載の機能性食品組成物。
14.脂肪肝を改善させる機能を有する前記1〜13のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
15.新鮮アッサム種茶葉を2〜10倍量の水中でホモジナイズして泥状物とした後、これを20〜50℃の温度で30分〜6時間、高速で撹拌することにより空気を抱き込ませながら、激しく空気と接触させ酸化発酵させることにより茶カテキン類を酸化反応させた後、水の量に対して半量〜3倍量のエタノールを加えて撹拌した後、固形物をろ過し、得られたろ液を水溶液の状態になるまで濃縮し、生成した沈殿物をろ別し、ろ液を活性白土で処理して、ろ液中のカフェイン類を吸着した活性白土をろ別し、ろ液を多孔質のポリスチレン樹脂カラムに通した後、目的物を吸着した前記カラムを10〜60%濃度のエタノールで溶出し、30〜60%エタノール溶出画分から茶テアフラビン類を高濃度で回収することを特徴とする茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
16.撹拌を、バッフルのない釜で、インペラー式撹拌機を斜めに設置し、または、馬蹄形プロペラ、格子型プロペラ、もしくはスクリュープロペラを用い高速で行う前記15に記載の茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
17.前記組成物中のカフェイン含量が1質量%以下である前記15または16に記載の茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
18.前記茶ポリフェノールが茶テアフラビン類を10質量%以上含有する前記15〜17のいずれか1項に記載の茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
19.茶テアフラビン類を20質量%以上40質量%以下含有する前記18に記載の茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
20.前記茶テアフラビン類として、テアフラビン、テアフラビン−3−ガレート、テアフラビン−3’−ガレート、及びテアフラビン−3,3’−ジガレートを含む前記18または19に記載の茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
21.前記茶テアフラビン類として、テアフラビン2〜7質量%、テアフラビン−3−ガレート2〜7質量%、テアフラビン−3’−ガレート2〜10質量%、及びテアフラビン−3,3’−ジガレート2〜16質量%を含む前記20に記載の茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、日常の食事を摂取しながら、容易かつ安全に摂取可能な血糖値上昇抑制効果を有する機能性食品組成物を提供することができる。
本発明によれば、糖類分解酵素阻害活性を有する有効成分を高濃度に含有する機能性を高めた食品組成物を提供することができる。
本発明によって糖類を分解する酵素活性を阻害するためには、新鮮アッサム種茶葉を空気酸化して得られる、茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを有効成分として用いればよく、他に併用する成分を必ずしも必要としない。もっとも、必要に応じてそのような他の成分を併用しても差し支えない。それによって、茶テアフラビン類単独でも糖類を分解する酵素活性を阻害する効果、すなわち、例えば、食物に含まれるでんぷんを分解する酵素活性を阻害する効果と併せて、スクロース(ショ糖)やマルトース(麦芽糖)を分解する酵素活性を阻害する効果を達成することができる。
【0013】
本発明によれば、新鮮アッサム種茶葉を空気酸化して得られる、茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含む組成物を、α−アミラーゼ活性を阻害する成分として利用するだけでなく、α−グルコシダーゼ活性を阻害する成分としても利用することができ、糖類を分解する酵素活性を阻害する茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含む組成物を使用して2種類の糖類分解酵素活性阻害効果を得ることができる。すなわち、本発明の機能性食品組成物は、α−アミラーゼ阻害活性及びα−グルコシダーゼ阻害活性の二つの酵素活性阻害作用を有する茶テアフラビン類を高濃度で含み、他のα−グルコシダーゼ活性阻害成分を必ずしも用いる必要がなく、糖類を分解する酵素活性を阻害する本発明の組成物を使用して、α−アミラーゼ活性とα−グルコシダーゼ活性の両方を阻害することができる。ここで、α−グルコシダーゼとは、シュクラーゼ及びマルターゼを意味する。
【0014】
本発明によれば、経口投与、特に連続経口投与することにより、α−グルコシダーゼ活性阻害作用を増強させることができる。
本発明によれば、α−アミラーゼ阻害活性、α−グルコシダーゼ阻害活性、及び脂肪肝の改善効果を含む多様な生理活性作用を示す茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含む機能性に優れた食品組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
糖類分解酵素阻害活性を有する本発明の機能性食品組成物は、α−グルコシダーゼ活性を阻害する有効成分として茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含むことを特徴とする。前記茶テアフラビン類は、α−アミラーゼ活性とα−グルコシダーゼ活性の両方を阻害する。なお、本発明において、茶は、アッサム種の葉及びその製造工程でできる粉や茶屑の生または加温、揉捻操作を経た加工物を含むが、特に新鮮茶葉が好ましい。
【0016】
前記機能性食品組成物としては、前記茶テアフラビン類を主成分として含有する茶ポリフェノールを含むものが好ましい。主成分である茶テアフラビン類の茶ポリフェノール中の含有割合は、他のいずれの成分の含有割合よりも大きいことが好ましく、前記茶テアフラビン類が茶ポリフェノール中に10質量%以上の高濃度で含まれていることが好ましい。
【0017】
前記茶テアフラビン類は、一般式(1)で示され、ベンゾトロポロン環を有する特異性ある色素化合物である。
【化1】
式(1)中、R1,R2は、それぞれ独立して水素原子(H)またはガロイル基
【化2】
を表す。
【0018】
前記式(1)で示される茶テアフラビン類は、一般に、一般式(2)で示される茶カテキン類のB環同士の酸化縮合により生成する。
【化3】
式(2)中、R3,R4は、それぞれ独立して、R3は水素原子(H)またはガロイル基
【化4】
を表し、R4は水素原子(H)または水酸基(OH)を表す。
【0019】
茶テアフラビン類は、茶葉の発酵過程において、茶葉中の酸化酵素の働きにより生成するため、ウーロン茶(半発酵茶)や特に紅茶(発酵茶)に高含量で存在する。緑茶(不発酵茶)には茶カテキン類が含まれる。また、半発酵茶であるウーロン茶や発酵茶である紅茶中では、茶カテキン類の含量は著しく低くなっている。通常、茶テアフラビン類は、茶カテキン類を自然発酵させて得られるが、その酸化誘導体として生成する茶テアフラビン類の収率は極めて低く、例えば、紅茶中には、1%程度しか含まれていない。
【0020】
本発明によれば、アッサム種の新鮮茶葉を用いて、他の植物由来の酸化酵素を使用せずに、空気を抱き込ませる酸化反応により、高濃度に茶テアフラビン類を含有する茶ポリフェノールを含む組成物を製造することができる。すなわち、前記茶葉を水と混合して反応混合物を形成させるに当たり、好ましくは、茶葉を水と共にホモジナイズして反応混合物原料とし、これに空気を抱き込ませながら酸化反応させると高濃度で茶テアフラビン類を得ることができる。アッサム種の新鮮茶葉は、それ自体の中に酸化酵素が存在するので、本発明ではポリフェノールオキシダーゼ等の酸化酵素を必ずしも反応混合物中に加える必要はないが、所望により茶由来の酸化酵素を加えてもよい。
【0021】
原料茶葉としては、アッサム種の新鮮なものを使用する。水と混合する前に断片化して使用することが好ましい。原料の茶葉をホモジナイズするための水の量は、通常、茶葉1質量部に対して2〜10質量部、好ましくは5質量部である。好ましくは、ホモジナイズしてどろどろの泥状物の状態とした反応混合物に、空気を抱き込ませ、茶カテキン類を酸化反応に付する。酸化反応は、通常、激しく撹拌しながら行う。撹拌は、振動等によってもよいが、工業的には、大型スクリュープロペラ等を使用して高速で撹拌するのが好ましい。高速で激しい撹拌は、反応釜や撹拌機の種類、形状等によっても異なるが、通常、回転速度を300rpm〜1,000rpmの高速として実施することができる。前記酸化反応において、空気を抱き込ませて反応させる反応温度は20〜50℃が好ましく、その反応時間は30分〜6時間が好ましい。前記反応温度が20℃より低過ぎたり、前記反応時間が30分より短過ぎたりする場合は高濃度で茶テアフラビン類を得ることができない場合があり、反応温度が50℃より高過ぎたり、反応時間が6時間より長過ぎたりすると、生成した茶テアフラビン類が分解重合し黒化して収率が落ち高濃度で茶テアフラビン類を得ることができない場合がある。
【0022】
原料の新鮮アッサム種茶葉を2〜10倍量の水中でホモジナイズして泥状物とした反応混合物を、バッフルのない釜で、インペラー式撹拌機を斜めに設置し、または、馬蹄形プロペラ、格子型プロペラ、もしくはスクリュープロペラを用い、高速で激しく撹拌することによりこれに空気を抱き込ませながら、前記抱き込ませた空気と接触させ酸化発酵させることにより茶カテキン類を酸化反応させると、20〜30℃の室温でも30分〜1時間の短時間のうちに高濃度で茶テアフラビン類を得ることがきるので特に好ましい。反応釜の中にバッフル(邪魔板)があると、抱き込んだ空気を逃してしまうので、バッフルのない釜が好ましく、出来るだけ多くの空気を前記反応混合物中に抱き込ませながら酸化発酵させることにより茶カテキン類を酸化反応させる。酸化反応の反応釜として、空気吸込渦が発生しやすい形状の釜を用いるのが好ましい。空気吸込渦は、釜の中で高速撹拌した際に発生し、これが発生しやすい形状の釜は、前記反応混合物に空気を抱き込みやすい。インペラー式撹拌機は、インペラー(撹拌翼)のついた撹拌機を斜めに設置すると空気を抱き込みやすく、馬蹄形プロペラ、格子型プロペラ、もしくはスクリュープロペラも、空気を抱き込みやすい。なお、前記本発明の酸化発酵反応で用いる釜、撹拌機、またはプロペラは、前記反応混合物を高速で激しく撹拌することによりこれに空気を抱き込ませながら、前記抱き込ませた空気と接触させ酸化発酵させることにより茶カテキン類を十分酸化反応させることが出来るものであれば前記以外のものも使用可能である。
【0023】
上述したように、反応混合物を、これに空気を抱き込ませる酸化発酵反応に付して、テアフラビン、テアフラビン−3−ガレート、テアフラビン−3’−ガレート、及びテアフラビン−3,3’−ジガレートを含む茶テアフラビン類を含有する反応物を得ることができる。
【0024】
前記茶カテキン類の酸化反応後、反応物にエタノールを、前記反応物中の水1質量部に対して、好ましくは0.5〜3質量部加えて、前記茶テアフラビン類を抽出、濃縮、活性白土処理し、得られた処理液のクロマトグラフィーにより、茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを分離することができる。
【0025】
好ましくは、前記反応物に、エタノールを加えて撹拌した後、固形物(残滓物)をろ過し、得られたろ液を水溶液の状態になるまで濃縮し、生成した沈殿物(葉緑素やワックスなどの不要分)をろ別し、ろ液を活性白土で処理して、ろ液中のカフェイン類を吸着した活性白土をろ別し、ろ液を多孔質のポリスチレン樹脂カラムに通した後、目的物等を吸着した前記カラムを10〜60%濃度のエタノールで溶出し、30〜60%エタノール溶出画分から茶テアフラビン類を高濃度で回収する。
【0026】
得られた茶ポリフェノールは、茶テアフラビン類として、テアフラビン(Theaflavin)(TF)、テアフラビン−3−ガレート(TF3G)、テアフラビン−3’−ガレート(TF3’G)、及びテアフラビン−3,3’−ジガレート(TF3,3’diG)を高濃度で含む。例えば、前記茶ポリフェノール中には、前記茶テアフラビン類として、テアフラビン2〜7質量%、テアフラビン−3−ガレート2〜7質量%、テアフラビン−3’−ガレート2〜10質量%、及びテアフラビン−3,3’−ジガレート2〜16質量%が含まれる。表1に、茶テアフラビン類を高濃度で含む茶ポリフェノールの具体例として、本発明の方法で得られた茶ポリフェノールA、Bを示す。表1には、前記茶ポリフェノールA、B中の茶テアフラビン類含有率が、茶粉末(ティーパウダー)中の茶テアフラビン類の含有率と比較して示されている。
【0027】
【表1】
【0028】
表1からも明らかなように、本発明によれば、新鮮アッサム種茶葉の茶カテキン類の酸化反応により製造した茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含み、かつカフェイン含量を1質量%以下とした組成物であって、糖類分解酵素阻害活性を有する機能性食品組成物が得られる。カフェインは、お茶独特のこくのある苦渋味に関与している一方、刺激物であり、神経興奮作用もあり、量によっては有害作用が現れるので、その大量摂取は適切ではなく、できるだけ少ない量が好ましい。従って、カフェイン含量を1質量%以下とした組成物とすることによって、日常の食事を取りながら、容易かつ安全に摂取可能な、血糖値上昇抑制効果を有する機能性食品組成物を提供することができる。カフェイン含量を1質量%以下とするためには、前記茶カテキン類の酸化反応物から前記茶テアフラビン類を抽出後、これを活性白土処理するのが好ましい。活性白土は、茶カテキン類中のカフェインを選択的に吸着除去するカフェイン除去剤として非常に優れている(野中ら,日本食品化学学会誌,Vol.8(1),44〜47,2001)。しかしながら、茶テアフラビン類は茶カテキン類2分子の酸化縮合体であり、茶カテキン類と比較して分子量及び立体的制約が大きく、これら茶テアフラビン類としての特異性が活性白土による茶テアフラビン類の吸着性をも高める虞れがあった。しかしながら、活性白土は、茶テアフラビン類中のカフェインをも選択的に吸着除去し、これを前記茶テアフラビン類抽出エキス中に添加することにより、カフェイン含量を1質量%以下とすることができることが見出された。具体的には、例えば、前記したように、前記酸化反応物に、エタノールを加えて撹拌した後、固形物(残滓物)をろ過し、得られたろ液を水溶液の状態になるまで濃縮し、生成した沈殿物(不要分)をろ別し、ろ液を活性白土で処理して、ろ液中のカフェイン類を吸着した活性白土をろ別することにより、茶テアフラビン類中のカフェイン含量を1質量%以下とすることができる。
【0029】
テアフラビン類含有率の分析は、下記の条件でHPLCにより行った。
HPLC条件(テアフラビン類分析用):Cosmosi15C18−PAQ(4.6×250mm)(ナカライテスク);
溶媒:10〜20%(5min)−34%(40min)−80%(5min)CH3CN in 50mM aq. H3PO4;0.8mL/min;35℃、
5μL injection;UV absorption at375nm、
テアフラビン:tR35.7min。
テアフラビン(TF)の375nmの吸収はガロイル基の有無に影響されないので、ガロイル基の無いテアフラビン(TF)を標準品として検量線を作成し、各テアフラビン(TF)のモル濃度を算出し、それをもとに含有量(mg)を計算し、質量%を算出した。
【0030】
カフェインは、テアフラビン類4種が分離できる分析条件では他のピークと重なったため、下記条件で定量した。
HPLC条件(カフェイン分析用):Cosmosil5C18- AR-II (4.6×250mm)(ナカライテスク);
溶媒:4〜30%(39min)−75%(15min)CH3CN in 50mM aq. H3PO4;0.8mL/min;35℃、
5μL injection;UV absorption at270nm、
テアフラビン:tR35.7min。
【0031】
各サンプル(茶ポリフェノールA、B、及びティーパウダー)に含まれる主要成分のHPLCによる分析結果を図1、及び図2に示す。図1、及び図2中に示される1〜13のピークに付した数字は、それぞれ次に示される化学成分を表す。
1:テアフラビン;
2:テアフラビン 3−O−ガレート;
3:テアフラビン 3’−O−ガレート;
4:テアフラビン 3,3’−ジ−O−ガレート;
5:カフェイン;
6:没食子酸;
7:ガロカテキン;
8:エピガロカテキン;
9:カテキン;
10:テアシネンシンA;
11:エピカテキン;
12:エピガロカテキン 3−O−ガレート;
13:エピカテキン 3−O−ガレート
【0032】
図1は、各サンプル(茶ポリフェノールA、B、及びティーパウダー)のHPLCクロマトグラム(テアフラビン類分析用条件)(Max.Abs.)を示す。
サンプル濃度:ca. 12mg/10mL→5μL injection、
HPLC条件(テアフラビン類分析用):Cosmosi15C18−PAQ(4.6×250mm)(ナカライテスク);
溶媒:10〜20%(5min)−34%(40min)80%(5min)CH3CN in 50mM aq. H3PO4;0.8mL/min;35℃。
【0033】
図2は、各サンプル(茶ポリフェノールA、B、及びティーパウダー)のHPLCクロマトグラム(カフェイン分析用条件)(Max.Abs.)を示す。
サンプル濃度:Ca. 12mg/10mL→5μL injection;
HPLC条件(カフェイン分析用):Cosmosi15C18−AR-II (4.6×250mm)(ナカライテスク);
溶媒:4〜30%(39min)−75%(15min)CH3CN in 50mM aq. H3PO4;0.8mL/min;35℃。
【0034】
各サンプルのHPLC分析の結果、茶ポリフェノールA、Bには、いずれもテアフラビン類(1〜4)、カテキン類(7〜9,11〜13)が多く含まれており、カフェイン(5)はほとんど検出されなかった。テイーパウダーでは、カフェイン(5)及び没食子酸(6)が検出されたが、テアフラビン類及びカテキン類は全く検出されなかった。
【0035】
[テアフラビン類によるα−グルコシダーゼ阻害活性]
茶葉に含まれるテアフラビン類は、α−アミラーゼ活性を阻害して、小腸での糖の吸収を抑制する。テアフラビン類として、先に得られた茶ポリフェノールを用い、α−グルコシダーゼ活性を阻害する作用を検討するため、ショ糖(Sucrose )による血糖値上昇作用に対する茶ポリフェノールの影響を検討したところ、茶ポリフェノール(300,600,1000mg/kg)は単回経口投与によって、sucrose 負荷による血糖値上昇作用を抑制したことから、茶ポリフェノールはα−グルコシダーゼ活性を阻害することが考えられる。
【0036】
次に、sucrose 負荷に対する茶ポリフェノール連続投与の影響を調べた。ラットへの連続投与は、給水瓶からの自由摂取と経口投与による二つの方法により行った。自由摂取においては、625mg/kg/1日(1,2週間)の濃度においてsucrose 負荷による血糖値上昇作用を抑制した。これに比べて経口投与においては、30,100mg/kg/1日(2週間)と単回投与時より低い濃度でも血糖値上昇作用を抑制した。このことから、茶ポリフェノールの連続経口投与は、α−グルコシダーゼ活性阻害作用を増強させることが考えられる。
【0037】
次に、茶ポリフェノールの5〜6週間の連続投与を行い、ラットの体重、運動機能、血液生化学検査値に対する影響を調べた。給水瓶からの自由摂取ならびに強制経口投与のいずれにおいても、体重、運動機能、血液生化学検査値に対して全く影響せず、使用した用量及び投与期間では、茶ポリフェノールの安全性が確認できた。
【0038】
茶ポリフェノールは、健常なラットに対してα−グルコシダーゼ活性を阻害して、糖の吸収を抑制することが判った。次に、2型糖尿病モデル動物であるGK/Jclラット、肥満モデル動物であるZucker Fattyラットを用いて、病態モデル動物の血糖値に対する茶ポリフェノールの作用を検討した。
【0039】
[病態モデル動物の説明]
<GK/Jcl >
GK/Jcl ラットは、肥満は認められず、インスリン分泌不全による糖負荷後の高血糖(耐糖能異常)、空腹時高血糖を示すと同時に、飽食時の血漿インスリンはむしろ高めで軽度のインスリン抵抗性も見られる2型糖尿病モデル動物である。
【0040】
<Zucker Fattyラット>
Zucker Fattyラットは肥満モデル動物としてよく知られ、高脂血症、高コレステロール血症及び高インスリン血症となり、それに加えて脂肪細胞の肥大が進行する。肥満は、インスリン抵抗性を引き起こす重要な環境因子である。肥満では、脂肪細胞に蓄積する中性脂肪量の増加が認められ、脂肪細胞の肥大化が起こる。この肥大化が脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカイン(TNF−α、レプチン、アディポネクチン)や、遊離脂肪酸に影響を及ぼし、インスリン抵抗性を引き起こすと考えられている。
【0041】
[病態モデル動物の血糖値に対する茶ポリフェノールの作用]
2型糖尿病モデル動物であるGK/Jcl ラットにおいて、茶ポリフェノール(30,300mg/kg)は単回経口投与によって、sucrose 負荷による血糖値上昇作用を抑制した。30mg/kgは、wistarラットでは影響しない用量であった。GK/Jcl ラットでは、糖負荷後の高血糖(耐糖能異常)が観察されるため、糖吸収に対する感受性が高くなり、低濃度(30mg/kg)でも影響があったと考えられる。
【0042】
連続投与(自由摂取)において、飽食時、絶食時、糖負荷時における影響を検討した。飽食時の血糖値に対しては、茶ポリフェノール(187mg/kg)投与の10、21日目において飽食時の高血糖を有意に低下させた。49、70日目では低下の傾向が認められた。
【0043】
sucrose 負荷による血糖値上昇作用に対しては、茶ポリフェノール(23.8,187mg/kg)投与の8週間目において、sucrose (20%)による血糖値上昇を有意に抑制した。
【0044】
このように、茶ポリフェノールは、飽食時、糖負荷時における高血糖に対して改善作用を示したことから、糖の吸収を抑制する作用があると考えられる。絶食時は肝臓でグリコーゲン分解や糖新生をして血糖が維持される。茶ポリフェノールは絶食時の血糖値に影響しないことから肝臓でのグリコーゲン分解や糖新生には影響がないことが考えられる。
【0045】
また、茶ポリフェノールの血液生化学検査値に対する影響については、総コレステロール値(T−Cho)、HDLコレステロール値(HDL−C)及び中性脂肪(TG)には影響しなかった。しかし、GOT、GPT値に対しては、茶ポリフェノール(23.8mg/kg,187mg/kg)によって低下傾向を示した。糖尿病は脂肪肝の原因の一つで肝機能障害を起こす。このことから、茶ポリフェノールによるGOT、GPT値の低下作用は、茶ポリフェノールには脂肪肝の改善効果があることを示しているものと考えられる。このことを支持するように、ポリフェノール類が肝臓中の脂肪含量を低下させる作用(Fiorini RN, et al., Liver Transpl. 11(3), 298-308, 2005.)や脂肪酸合成酵素を抑制する作用(Wang X et al., Biochem Biophys Res Commun. 288(5), 1200-6, 2001.)が報告されている。
【0046】
また、体重変化、インスリン抵抗性、組織重量に対する影響、膵臓、肝臓の組織に対する影響を調べたが影響は認められなかった。
【0047】
肥満モデル動物であるZucker Fattyラットにおいて、茶ポリフェノール(300mg/kg)は、単回経口投与によってsucrose 負荷による血糖値上昇作用を抑制した。
【0048】
連続投与(自由摂取)においては、飽食時、絶食時、糖負荷時における影響を検討した。その結果、sucrose 負荷による血糖値上昇作用に対しては、茶ポリフェノール(187mg/kg)投与の8週間目において抑制傾向が認められた。
【0049】
茶ポリフェノールの血液生化学検査値に対する影響については、総コレステロール値(T−Cho)、HDLコレステロール値(HDL−C)及び中性脂肪(TG)には影響しなかった。しかし、GOT、GPT値に対しては、茶ポリフェノール(29.6mg/kg)によって有意に低下し、244mg/kgもGPT値を有意に低下しGOT値に対しても低下傾向を示した。肥満も脂肪肝の原因の一つで肝機能障害を起こす。このことから、Zucker Fattyラットにおける、GOT、GPT値の低下作用も、茶ポリフェノールには脂肪肝の改善効果があることを示しているものと考えられる。
【0050】
また、体重変化、インスリン抵抗性、組織重量に対する影響、膵臓、肝臓の組織を調べたが影響は認められなかった。
【0051】
茶ポリフェノールには、病態モデル動物においても糖吸収を抑制する作用が観察された。特に、GK/Jcl ラットで観察された糖負荷による高血糖(耐糖能異常)に対しては、低濃度の単回投与によってでも抑制作用が認められた。連続投与(自由摂取)においても有意に糖吸収を抑制した。このように、病態モデル動物の異常な高血糖に対して、茶ポリフェノールの糖吸収に対する感受性が高まった。また、GOT、GPT値(肝機能指標)の低下作用が観察されたように、茶ポリフェノールは肝機能の改善作用も有するものと考えられる。
【0052】
[マルトース及びでんぷんによる糖負荷に対する影響]
多糖類であるでんぷんは摂取された後、口腔内のα−アミラーゼや小腸内で膵臓から分泌されるα−アミラーゼの作用により加水分解され、最終的に小腸の腸管絨毛に存在するα−グルコシダーゼによりグルコースまで分解されて吸収される。一方、二糖類であるマルトースやスクロースはそのまま小腸に運ばれて、α−グルコシダーゼの作用を受けてグルコースに分解されて吸収される。そこで、マルトース及びでんぷんによる糖負荷に対する茶ポリフェノールの影響を検討したところ、茶ポリフェノールには、マルトース及びでんぷんによる糖負荷に対する抑制作用が認められた。スクロースによる糖負荷に対しても茶ポリフェノールは有効であったことから、茶ポリフェノールは、糖負荷による血糖値上昇作用を確実に抑制し、その機序にはα−グルコシダーゼ阻害作用が関与していることが明らかになった。糖負荷に対する茶ポリフェノールの効果をまとめてみると、スクロースは300mg/kg、マルトースは30mg/kg、でんぷんは300mg/kg、グルコースは無効であったことから、茶ポリフェノールはマルトースによる糖負荷に対して特に強い抑制作用を示した。以上、茶ポリフェノールは、スクロース、マルトース、でんぷんによる糖負荷に対していずれも糖吸収抑制作用を示し、その機序には、茶ポリフェノールのα−グルコシダーゼ阻害作用が関与していることが明らかとなった。
【0053】
前記茶ポリフェノールは、α−アミラーゼ活性を阻害する作用、α−グルコシダーゼ活性を阻害する作用、及び脂肪肝の改善作用を含む多様な生理活性作用効果を示す茶テアフラビン類を高濃度に含有するので、これを含む機能性食品組成物は、糖類を分解する酵素活性を阻害する生理作用効果において優れているばかりではなく、脂肪肝の改善作用を含む多様な生理活性作用効果を示す点において優れている。また、前記多様な生理活性作用効果を示す有効成分を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物によれば、前記有効成分の摂取量が増えるので優れた生理活性作用効果が得られる。また、前記有効成分純度を高めた茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物を摂取することができるので、有用性が高い。
【0054】
本発明に係る機能性食品組成物に含まれる茶ポリフェノール中の有効成分である茶テアフラビン類は、植物ポリフェノールの一種で、天然成分でもある。茶は古くから日常的に摂取されているものであり、茶テアフラビン類の安全性は非常に高い。本発明に係る機能性食品組成物は、日常の食事を摂取しながら容易に摂取可能である。
【0055】
前記茶ポリフェノールは、本発明に係る機能性食品組成物としてそのまま用いてもよいが、必要に応じて更に分画精製してから用いてもよい。茶テアフラビン類総含量が、本発明に係る機能性食品組成物に含まれる茶ポリフェノール中に10質量%以上含有される場合は、糖類を分解する酵素活性を阻害する作用効果、及び前記多様な生理活性作用効果が特に高いので好ましい。本発明に係る機能性食品組成物を摂取することにより、特に、血糖値上昇抑制効果、及び脂肪肝の予防、改善効果が期待でき、ダイエットあるいは生活習慣病の予防、改善効果が期待できる。
【0056】
本発明に係る機能性食品組成物は、例えば、粉末剤、顆粒剤、または錠剤として、茶ポリフェノール単独、またはゼラチン、アルギン酸ナトリウムなどの賦形剤と共に用いられ、または茶ポリフェノールを単独で、またはこれを、例えば、水、アルコールなどの溶媒に溶かして食品に加えて用いることができる。あるいは、これを水に溶かして飲料とすることもできる。剤形としては、例えば、茶ポリフェノールの適量を、単独で、あるいはこれを、例えば、水、またはアルコールなどの溶媒に溶解させた溶液で用い、あるいは、適当な賦形剤や希釈剤(例えば、オリゴ糖、カルボキシメチルセルロース)と混合して用いることができる。
【0057】
本発明に係る機能性食品組成物の摂取量は、通常は、茶テアフラビン類総量で、1日量80〜400mg/kgが好ましく、120〜240mg/kgが特に好ましい。前記機能性食品組成物の連続経口摂取は、α−グルコシダーゼ阻害作用を増強させるので好ましい。なお、本発明に係る機能性食品組成物を食品に配合する場合、その配合量は、上記の好ましい摂取量に基づき、適宜配合すればよい。
【実施例】
【0058】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何らの制約を受けるものではない。
【0059】
[茶カテキン類の酸化反応による茶テアフラビン類の製造]
原料として新鮮な茶葉(アッサム種)を使用し、他の植物由来の酸化酵素は使用しないで、これをバッフルのない反応釜中に仕込み、水を用いて、茶葉1kgに対して5倍量の水5Lと室温でホモジナイズさせてどろどろの泥状物の状態とした。これに、空気を、流量0.1L/秒で、加え、大型スクリュープロペラを用い高速(回転速度:300rpm〜1,000rpm)で激しく撹拌することにより空気を抱き込ませ、20℃で1時間酸化発酵反応させた。反応物中の水の量に対して2倍量のエタノール10Lを加えて撹拌した後、固形物(残滓物)をろ過し、得られたろ液を水溶液の状態になるまで濃縮した。生成した沈殿物(葉緑素やワックスなどの不要分)をろ別し、ろ液を活性白土2kgで処理して、ろ液中のカフェイン類を吸着した活性白土をろ別した。ろ液を、多孔質ポリスチレン樹脂(三菱化学製、ダイヤイオン、HP20)20Lを含有するカラムに通した後、前記カラムに吸着した茶カテキン類を10〜20%エタノールで溶出させ、次いで、30〜60%エタノールで茶テアフラビン類を溶出させ、茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールA(06051)を分離、回収した。同様にして、別ロットとして茶ポリフェノールB(06112)を分離、回収した(収量は典型的には、10〜20g)。
【0060】
(1)茶ポリフェノールの血糖値上昇抑制作用
[実験方法]
1)Glucose ,Sucrose による血糖値上昇作用
実験動物は、5週齢の雄性Wistarラットを用いた。5週齢から1週間、餌と水を自由摂取させたのち、前日から16時間絶食させた。その後、Glucose (10,20%)、Sucrose (10,20%)を経口投与し、投与前(pre)、投与後30,60,120分後の血糖値を測定した。採血は尾静脈から行い、小型血糖測定機(グルテストエースR,株式会社三和化学研究所)で計測した。
【0061】
2)糖負荷に対する茶ポリフェノール単回投与の影響
実験動物は、5週齢の雄性Wistarラットを用いた。5週齢から1週間、餌と水を自由摂取させたのち、前日から16時間絶食させた。その後、Glucose (20%)、Sucrose (20%)を茶ポリフェノール(前記ポリフェノールAまたはB、以下同様)(Vehicle,100, 300, 600, 1000mg/kg)とそれぞれ同時に経口投与し、投与前(pre)、投与後30,60,120分後の血糖値を測定した。採血は尾静脈から行い、小型血糖測定機(グルテストエースR,株式会社三和化学研究所)で計測した。
【0062】
3)茶ポリフェノール連続投与(給水瓶からの自由摂取)の影響
実験動物は、5週齢の雄性Wistarラットを用いた。5週齢から1週間、餌と水を自由摂取させたのち、溶媒投与群(Vehicle )、30mg/kg投与群、100mg/kg投与群、300mg/kg投与群、1000mg/kg投与群の5群に群分けし、6週齢からそれぞれを給水瓶に入れ自由摂取を開始した(茶ポリフェノール(給水):Vehicle,30mg/kg(30mg/200mL),100mg/kg(100mg/200mL),300mg/kg(300mg/200mL),1000mg/kg(1000mg/200mL))。体重測定は毎日行い、Sucrose (20%)による糖負荷試験は連続投与開始後の1週間目、2週間目、4週間目に行い、運動機能測定、血液生化学検査は、5〜6週間目に行った。糖負荷試験は、Sucrose (20%)を経口投与し、投与前(pre)、投与後30,60,120分後の血糖値を測定した。採血は尾静脈から行い、小型血糖測定機(グルテストエースR,株式会社三和化学研究所)で計測した。運動機能測定は、Open-field法、Rota-rod法を用いて行った。血液生化学検査については、麻酔下(pentobarbital 50mg/kg)で開腹し下大静脈から、予め血液の凝固を防ぐためにヘパリンを通したシリンジを用いて採血し、それから得られた血漿を臨床化学自動分析装置(スポットケムEZSP−4430,ARKRAY株式会社)で測定を行った。
【0063】
4)茶ポリフェノール連続投与(経口投与)の影響
実験動物は、5週齢の雄性Wistarラットを用いた。5週齢から1週間、餌と水を自由摂取させたのち、溶媒投与群(Vehicle )、30mg/kg投与群、100mg/kg投与群の3群に群分けし、6週齢からそれぞれ経口投与を開始した(茶ポリフェノール(経口):Vehicle,30mg/kg,100mg/kg)。体重測定は毎日行い、Sucrose (20%)による糖負荷試験は連続投与開始後の1週間目と2週間目に行い、運動機能測定、血液生化学検査は、5〜6週間目に行った。糖負荷試験は、それぞれの日において、Sucrose(20%)を茶ポリフェノールと同時に経口投与し、投与前(pre)、投与後30,60,120分後の血糖値を測定した。採血は尾静脈から行い、小型血糖測定機(グルテストエースR,株式会社三和化学研究所)で計測した。運動機能測定は、Open-field法、Rota-rod法を用いて行った。血液生化学検査については、麻酔下(pentobarbital 50mg/kg)で開腹し下大静脈から、予め血液の凝固を防ぐためにへパリンを通したシリンジを用いて採血し、それから得られた血漿を臨床化学自動分析装置(スポットケムEZSP−4430,ARKRAY株式会社)で測定を行った。
【0064】
[実験結果]
1)Glucose ,Sucrose による血糖値上昇作用
Glucose (10,20%),Sucrose (10,20%)いずれも30分をピークに血中グルコースが上昇したが、sucrose に比べ、glucose が高い上昇を示した。この結果から、glucose ,sucrose いずれも20%の濃度を用いることにした(図3A及びB)。
【0065】
2)糖負荷に対する茶ポリフェノール単回投与の影響
2−1)Glucose による糖負荷
茶ポリフェノールは、glucose (20%)による血糖値上昇に対して影響しなかった(図4A)。
【0066】
2−2)Sucrose による糖負荷
茶ポリフェノールは、sucrose (20%)による血糖値上昇に対して用量依存的に抑制した(図4B)。
茶ポリフェノールとsucrose 投与30分後では、300〜1000mg/kgでほぼ同等に抑制した(図4C)。
【0067】
3)茶ポリフェノール連続投与(給水瓶からの自由摂取)の影響
3−1)給水瓶からの摂水量
ラットの体重を1匹あたり200gと想定し、予備試験より1日の摂水量が1匹あたり40mLであることを確認した。これらをもとに算出した用量が下記の表2の左欄に記載されている。しかし、茶ポリフェノールは苦味があるため、濃度依存的な摂水量の低下が認められた。300〜1000mg/kgでは、溶媒群に比べ、摂水量が約10mL低下した。したがって、最終濃度は下記の表2の右欄に記載の通りとなる。
【0068】
【表2】
【0069】
3−2)血糖値と体重に対する影響
Sucrose を負荷する前の血糖値は、いずれの用量においても影響されなかった(図5A)。また、体重についても影響しなかった(図5B)。
【0070】
3−3)Sucrose による糖負荷
Sucrose を負荷した1週間目の血糖値上昇に対して、いずれの用量も影響しなかった(図6A)。しかし、茶ポリフェノール投与の1,2週間目において、最高濃度の625mg/kg(設定濃度1000mg/kg)は有意に血糖値上昇作用を抑制した(図6B)。
4週間目においては、1,2週間目で影響しなかった用量(29.5,90.3,218mg/kg)だけを検討したが、いずれの用量も影響しなかった(図6C)。
【0071】
3−4)運動機能に対する影響
茶ポリフェノールの5〜6週間投与では、運動機能に対して影響しなかった(表3)。
【0072】
【表3】
【0073】
3−5)血液生化学検査値に対する影響
茶ポリフェノールの5〜6週間投与では、血液生化学検査値に対して影響しなかった(表4)。
【0074】
【表4】
【0075】
4)茶ポリフェノール連続投与(経口投与)の影響
茶ポリフェノールの単回投与で影響なかった用量の30〜100mg/kgを用い、強制的に経口投与させた。
【0076】
4−1)血糖値と体重に対する影響
Sucrose を負荷する前の血糖値は、いずれの用量においても影響されなかった(図7A)。また、体重についても影響しなかった(図7B)。
【0077】
4−2)Sucrose による糖負荷
Sucrose を負荷した1週間目及び2週間目の血糖値上昇に対して、茶ポリフェノール30,100mg/kgは抑制作用を示した(図8A,B)。
【0078】
4−3)運動機能に対する影響
茶ポリフェノールの5〜6週間投与では、運動機能に対して影響しなかった(表3)。
【0079】
4−4)血液生化学検査値に対する影響
茶ポリフェノールの5〜6週間投与では、血液生化学検査値に対して影響しなかった(表4)。
【0080】
(2)茶ポリフェノールの病態モデル動物血糖値上昇抑制作用
[実験方法]
1)Sucrose による糖負荷に対する茶ポリフェノール単回投与の影響
実験動物は、5週齢の雄性GK/Jclラット、Zucker Fattyラットを用いた。5週齢から1週間、餌と水を自由摂取させたのち、前日から16時間絶食させた。その後、Sucrose (20%)を茶ポリフェノール(Vehicle,30,300mg/kg)とそれぞれ同時に経口投与し、投与前(pre)、投与後30、60、120分後の血糖値を測定した。採血は尾静脈から行い、小型血糖値測定機(グルテストエースR,株式会社三和化学研究所)で計測した。
【0081】
2)血糖値、Sucrose による糖負荷に対する茶ポリフェノール連続投与(給水瓶からの自由摂取)の影響
実験動物は、5週齢の雄性GK/Jclラット、Zucker Fattyラットを用いた。5週齢から1週間、餌と水を自由摂取させたのち、溶媒投与群(Vehicle )、30mg/kg投与群、300mg/kg投与群の3群に群分けし(表5参照)、6週齢からそれぞれを給水瓶に入れ自由摂取を開始した。
【0082】
【表5】
【0083】
血糖値測定と体重測定は投与0、5、10、21、49、70日目に、糖負荷試験は14、28、56日目に、インスリン耐性試験は75日目に、血液生化学検査と組織(肝臓、心臓、精巣周辺脂肪)質量測定は、80日目に行った。血糖値測定における採血は尾静脈から行い、小型血糖値測定機(グルテストエースR,株式会社三和化学研究所)で計測した。糖負荷試験は、前日から16時間絶食させた後、Sucrose (20%)を経口投与し、投与前(pre)、投与後30、60、120分後の血糖値を計測した。インスリン耐性試験は、4時間絶食させた後、インスリン(0.75U/kg)を腹腔内投与し、投与前(pre)、投与後60、120、180分後の血糖値を計測した。血液生化学検査については、麻酔下(pentobarbital 50mg/kg)で開腹し下大静脈から、予め血液の凝固を防ぐためにヘパリンを通したシリンジを用いて採血し、それから得られた血漿を臨床化学自動分析装置(スポットケムEZSP−4430,ARKRAY株式会社)で測定を行った。組織学的検討は、膵臓、肝臓組織をへマトキシリン・エオジン(HE)染色し、倒立顕微鏡下(倍率:50倍)で観察した。
【0084】
[実験結果]
<GK/Jcl ラット>
1)Sucrose による糖負荷に対する茶ポリフェノール単回投与の影響
茶ポリフェノール(30,300mg/kg)は、sucrose (20%)による血糖値上昇に対して用量依存的に抑制作用を示した(図9)。
【0085】
2)茶ポリフェノール連続投与(給水瓶からの自由摂取)の影響
2−1)給水瓶からの摂取量
GK/Jcl ラットの体重を0〜43日間は1匹あたり200g、44〜80日間は1匹あたり300gと想定し、予備試験より1日の摂水量が1匹あたり40mLであることを確認した。これらをもとに算出した用量が下記の表6の左欄に記載されている。しかし、茶ポリフェノールは苦味があるため、濃度依存的な摂水量の低下が認められた。300mg/kgでは、溶媒群に比べ、摂水量が約10mL低下した。したがって、最終濃度は下記の表6の右欄に記載の通りとなる。
【0086】
【表6】
【0087】
2−2)血糖値と体重に対する影響
茶ポリフェノール187mg/kg(設定濃度300mg/kg)は、投与の10、21日目において、飽食時の高血糖を有意に低下させた(図10A)。49、70日目では有意な低下作用は認められなかったが、その傾向は見られた。また、sucrose を負荷する前の絶食時の血糖値に対して、茶ポリフェノールは、いずれの用量も影響しなかった(図10B)。体重についても影響しなかった(図11)。
【0088】
2−3)sucrose による糖負荷
茶ポリフェノールは、投与の2、4週間目においてsucrose (20%)による血糖値上昇に対して影響しなかった(図12A,B)。しかし、8週間目において茶ポリフェノール23.8mg/kg(設定濃度30mg/kg)、187mg/kg(設定濃度300mg/kg)はsucrose (20%)による血糖値上昇を有意に抑制した(図12C)。
【0089】
2−4)インスリン耐性試験
茶ポリフェノールは、インスリン抵抗性に対して影響しなかった(図13)。
【0090】
2−5)組織質量(肝臓、心臓、精巣周辺脂肪)に対する影響
茶ポリフェノールは、肝臓、心臓、精巣周辺脂肪の質量に対して影響しなかった(表7)。
【0091】
【表7】
【0092】
2−6)血液生化学検査値に対する影響
総コレステロール値(T−Cho)、HDLコレステロール値(HDL−C)及び中性脂肪(TG)は茶ポリフェノールの影響はなかった。また、茶ポリフェノール23.8mg/kg(設定濃度30mg/kg)、187mg/kg(設定濃度300mg/kg)はGOT、GPT値に対して低下傾向を示した(表8)。
【0093】
【表8】
【0094】
2−7)膵臓、肝臓の組織学的検討
茶ポリフェノールは、膵臓、肝臓の組織には影響しなかった(図14)。
【0095】
<Zucker Fattyラット>
1)Sucrose による糖負荷に対する茶ポリフェノール単回投与の影響
茶ポリフェノール(300mg/kg)は、sucrose (20%)による血糖値上昇を有意に抑制した(図15)。
【0096】
2)茶ポリフェノール連続投与(絵水瓶からの自由摂取)の影響
2−1)給水瓶からの摂取量
Zucker Fattyラットの体重を0〜43日間は1匹あたり300g、44〜80日間は1匹あたり500gと想定し、予備試験より1日の摂水量が1匹あたり40mLであることを確認した。これらをもとに算出した用量が下記の表9の左欄に記載されている。しかし、茶ポリフェノールは苦味があるため、濃度依存的な摂水量の低下が認められた。300mg/kgでは、溶媒群に比べ、摂水量が約10mL低下した。したがって、最終濃度は下記の表9の右欄に記載の通りとなる。
【0097】
【表9】
【0098】
2−2)血糖値と体重に対する影響
茶ポリフェノールは、飽食時、絶食時の血糖値に対して影響しなかった(図16A,B)。また、体重についても影響しなかった(図17)。
【0099】
2−3)sucrose による糖負荷
茶ポリフェノールは投与の2、4、8週間目においてsucrose (20%)による血糖値上昇に対して影響しなかった(図18A,B,C)。しかし、8週間目においては、茶ポリフェノール187mg/kg(設定濃度300mg/kg)によって抑制傾向が認められた(図18C)。
【0100】
2−4)インスリン耐性試験
茶ポリフェノールは、インスリン抵抗性に影響しなかった(図19)。
【0101】
2−5)組織質量(肝臓、心臓、精巣周辺脂肪)に対する影響
茶ポリフェノールは、肝臓、心臓、精巣周辺脂肪の質量に対して影響しなかった(表10)。
【0102】
【表10】
【0103】
2−6)血液生化学検査値に対する影響
総コレステロール値(T−Cho)、HDLコレステロール値(HDL−C)及び中性脂肪(TG)は茶ポリフェノールによって変化は見られなかった。また、茶ポリフェノール29.6mg/kg(設定濃度30mg/kg)はGOT、GPT値を有意に低下した。244mg/kg(設定濃度300mg/kg)もGPT値を有意に低下し、GOT値に対しても低下傾向を示した(表11)。
【0104】
【表11】
【0105】
2−7)膵臓、肝臓の組織学的検討
茶ポリフェノールは、膵臓、肝臓の組織には影響しなかった(図20)。
なお、総コレステロール(T−Cho)、高比重リポタンパクコレステロール(HDL−C)、トリグリセリド(TG:中性脂肪)、及びトランスアミナーゼ(GOT,GPT)の意義と正常値(人)を表12に示す。
【0106】
【表12】
【0107】
(3)マルトース及びでんぷんによる糖負荷に対する茶ポリフエノール単回投与の影響
[実験方法]
実験動物は、5週齢の雄性Wistarラットを用いた。5週齢から1週間、餌と水を自由摂取させたのち、前日から16時間絶食させた。その後、マルトース(Maltose)(20%)、でんぷん(20%)を茶ポリフェノールとそれぞれ同時に経口投与し、投与前(pre)、投与後30、60、120分後の血糖値を測定した。採血は尾静脈から行い、小型血糖測定機(グルテストエースR,株式会社三和化学研究所)で計測した。
[実験結果]
1)マルトースによる糖負荷に対する影響
茶ポリフェノールは、マルトース(20%)による血糖値上昇を用量依存的に抑制した(図21)。
2)でんぷんによる糖負荷に対する影響
茶ポリフェノールは、でんぷん(20%)による血糖値上昇を用量依存的に抑制した(図22)。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】各サンプル(茶ポリフェノールA、B、及びティーパウダー)のHPLCクロマトグラム(テアフラビン類分析用条件)(Max.Abs.)である。
【図2】各サンプル(茶ポリフェノールA、B、及びティーパウダー)のHPLCクロマトグラム(カフェイン分析用条件)(Max.Abs.)である。
【図3】Glucose ,Sucrose による血糖値上昇作用の経時的変化を表すグラフである。
【図4】Sucrose 負荷に対する茶ポリフェノール単回投与の影響を表すグラフである。
【図5】Theaflavin連続投与(自由摂取)による血糖値ならびに体重変化を表すグラフである。
【図6】糖負荷に対するTheaflavin連続投与(自由摂取)の影響を表すグラフである。
【図7】Theaflavin連続投与(経口投与)による血糖値ならびに体重変化を表すグラフである。
【図8】Sucrose 負荷に対するTheaflavin連続投与(経口投与)の影響を表すグラフである。
【図9】Sucrose 負荷に対する茶ポリフェノール単回投与の影響を表すグラフである。
【図10】茶ポリフェノール連続投与(自由摂取)による血糖値変化を表すグラフである。
【図11】茶ポリフェノール連続投与(自由摂取)による体重変化を表すグラフである。
【図12】Sucrose 負荷に対する茶ポリフェノール連続投与(自由摂取)の影響を表すグラフである。
【図13】インスリン耐性試験における茶ポリフェノール連続投与(自由摂取)の影響を表すグラフである。
【図14】膵臓、肝臓の組織像における茶ポリフェノール連続投与(自由摂取)の影響を表す顕微鏡写真(50倍)である。
【図15】Sucrose 負荷に対する茶ポリフェノール単回投与の影響を表すグラフである。
【図16】茶ポリフェノール連続投与(自由摂取)による血糖値変化を表すグラフである。
【図17】茶ポリフェノール連続投与(自由摂取)による体重変化を表すグラフである。
【図18】Sucrose 負荷に対する茶ポリフェノール連続投与(自由摂取)の影響を表すグラフである。
【図19】インスリン耐性試験における茶ポリフェノール連続投与(自由摂取)の影響を表すグラフである。
【図20】膵臓、肝臓の組織像における茶ポリフェノール連続投与(自由摂取)の影響を表す顕微鏡写真(50倍)である。
【図21】マルトース負荷に対する茶ポリフェノール単回投与の影響を表すグラフである。
【図22】でんぷん負荷に対する茶ポリフェノール単回投与の影響を表すグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、新鮮アッサム種茶葉から得られる茶テアフラビン類を含有する機能性食品組成物に関する。さらに詳しく言えば、新鮮アッサム種茶葉から得られる茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含むことにより、糖類を分解する酵素活性を阻害する機能性を高めた機能性食品組成物及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食生活の変化による脂肪の過多摂取や、糖質の摂取量の増加等により、肥満や糖尿病等のいわゆる生活習慣病のリスクが増加しつつあり、糖質、特にでんぷんやスクロース(ショ糖)、マルトース(麦芽糖)等の消化吸収を抑えることにより、血糖値の過度の上昇を抑制し、インシュリンの分泌を抑えて肥満や糖尿病のリスクを下げるような機能性食品組成物が望まれている。そこで、近年、植物に存在して生理活性を示す天然物質、特にポリフェノール類に関心が持たれている。ポリフェノール類は、一般に茶、野菜、果実、ハーブ類等に含まれ、食品あるいは嗜好品として長期間の摂取経験のある、副作用のない生理活性物質として期待できるものである。また、日常の食事を取りながらでも、容易に、かつ安全に摂取可能な血糖値上昇抑制効果を有する機能性食品組成物が求められている。
【0003】
茶(Camellia sinensis (L.) O.kuntze )はツバキ科に属する常緑樹であり、茶のポリフェノール、特に茶カテキン類には抗菌、抗ウイルス、抗突然変異、抗酸化、血圧上昇抑制、血中コレステロール低下、抗う蝕、抗アレルギー、腸内フローラ改善、消臭など、広範囲の生理活性があることが知られており、古くは薬学、植物化学等の分野で、近年は健康食品の分野などで注目を集めている。
【0004】
茶カテキン類の酸化誘導体である茶テアフラビン類についても、茶カテキン類の生理活性と比較して特徴的な生理活性が認められている。例えば、百日咳菌に対する抗菌作用(非特許文献1:堀内ら,感染症誌,66,559,1992)、虫歯歯垢形成抑制(特許文献1:特開平6−263646号公報)などが知られている。
【0005】
茶テアフラビン類は、主としてでんぷんを分解するα−アミラーゼ活性を阻害し、小腸での糖類の吸収を抑制することが知られている(非特許文献2:Hara Y, Honda M., Agric. Biol. Chem., 54(8), 1939-1945, 1990)。フラボノイドの1種であるケルセチン(非特許文献3:Watanabe J, Kawabata J, Kurihara H, Niki R., Biosci. Biotechnol. Biochem., 61(1), 177-178, 1997 )、Salacia 属植物のポリフェノール成分(非特許文献4:Yoshikawa M, Nishida N, Shimoda H, Takada M, Kawahara Y, Matsuda H., Yakugaku Zasshi., 121(5), 371-378, 2001)などがα−グルコシダーゼ活性を阻害することが知られている。
【0006】
このように有用な生理活性作用を利用して目的に適った生理効果を得るためには、有効成分である酵素活性阻害成分の摂取量を増やすことが必要である。しかしながら、茶カテキン類を自然発酵させる場合は、その酸化誘導体として生成する茶テアフラビン類の収率は極めて低く、従来から、有効成分を高濃度に含有することにより、糖類を分解する酵素活性を阻害する生理活性を高めた機能性食品組成物が求められている。
【0007】
でんぷんを分解する酵素活性を阻害するだけではなく、スクロース(ショ糖)やマルトース(麦芽糖)を分解する酵素活性も阻害するためには、従来、でんぷんを分解する酵素活性阻害成分とは別にスクロース(ショ糖)やマルトース(麦芽糖)を分解する酵素活性阻害成分を併用する必要があった。例えば、特許文献2(特開2004−105157号公報)では、α−アミラーゼ活性を阻害する緑茶カテキンとα−グルコシダーゼ活性を阻害する桑葉成分を特定の比率で併用している。
【0008】
【特許文献1】特開平6−263646号公報
【特許文献2】特開2004−105157号公報
【非特許文献1】堀内ら,感染症誌, 66, 559, 1992.
【非特許文献2】Hara Y et al., Agric. Biol. Chem., 54(8), 1939-1945, 1990.
【非特許文献3】Watanabe J et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 61(1), 177-178, 1997.
【非特許文献4】Yoshikawa M et al., Yakugaku Zasshi. 121(5), 371-378, 2001.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、日常の食事を取りながら、容易かつ安全に摂取可能な、血糖値上昇抑制効果を有する機能性食品組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、糖類分解酵素阻害活性を有する有効成分を高濃度に含有する機能性を高めた食品組成物を提供することにある。
本発明の別の目的は、糖類分解酵素阻害活性を有する本発明の有効成分を含有する組成物を使用して2種類の糖類分解酵素阻害活性(すなわち、α−グルコシダーゼ阻害活性及びα−アミラーゼ阻害活性)を示す、機能性が多様で、かつ効率的な食品組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、α−アミラーゼ活性を阻害する性質を有する茶テアフラビン類に着目し鋭意研究の結果、新鮮アッサム種茶葉を空気酸化して得られる茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物が、α−グルコシダーゼ活性を阻害する性質を有すること、これを経口投与、特に連続経口投与することにより、α−グルコシダーゼ活性阻害作用が増強できること、及び脂肪肝の改善効果を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は以下の機能性食品組成物及びその製造方法を提供する。
1.新鮮アッサム種茶葉を2〜10倍量の水中でホモジナイズして泥状物とした後、これを20〜50℃の温度で30分〜6時間、高速で撹拌することにより空気を抱き込ませながら、激しく空気と接触させ酸化発酵させることにより茶カテキン類を酸化反応させた後、水の量に対して半量〜3倍量のエタノールを加えて撹拌した後、固形物をろ過し、得られたろ液を水溶液の状態になるまで濃縮し、生成した沈殿物をろ別し、ろ液を活性白土で処理して、ろ液中のカフェイン類を吸着した活性白土をろ別し、ろ液を多孔質のポリスチレン樹脂カラムに通した後、目的物を吸着した前記カラムを10〜60%濃度のエタノールで溶出し、30〜60%エタノール溶出画分から茶テアフラビン類を高濃度で回収することにより製造した茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含む組成物であって、糖類分解酵素阻害活性を有することを特徴とする機能性食品組成物。
2.撹拌を、バッフルのない釜で、インペラー式撹拌機を斜めに設置し、または、馬蹄形プロペラ、格子型プロペラ、もしくはスクリュープロペラを用い高速で行う前記1に記載の機能性食品組成物。
3.茶カテキン類の酸化反応により製造した茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含み、かつカフェイン含量を1質量%以下とした組成物であって、糖類分解酵素阻害活性を有する前記1または2に記載の機能性食品組成物。
4.α−グルコシダーゼ阻害活性を有する前記1〜3のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
5.α−グルコシダーゼ阻害活性及びα−アミラーゼ阻害活性を有する前記1〜4のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
6.シュクラーゼ阻害活性を有する前記1〜5のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
7.マルターゼ阻害活性を有する前記1〜6のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
8.茶テアフラビン類を10質量%以上含有する前記1〜7のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
9.茶テアフラビン類を20質量%以上40質量%以下含有する前記8に記載の機能性食品組成物。
10.前記茶テアフラビン類として、テアフラビン、テアフラビン−3−ガレート、テアフラビン−3’−ガレート、及びテアフラビン−3,3’−ジガレートを含む前記8または9に記載の機能性食品組成物。
11.前記茶テアフラビン類として、テアフラビン2〜7質量%、テアフラビン−3−ガレート2〜7質量%、テアフラビン−3’−ガレート2〜10質量%、及びテアフラビン−3,3’−ジガレート2〜16質量%を含む前記10に記載の機能性食品組成物。
12.経口投与用であるα−グルコシダーゼ阻害活性を有する茶ポリフェノールを含む組成物である前記1〜11のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
13.連続経口投与用であるα−グルコシダーゼ阻害活性を有する前記12に記載の機能性食品組成物。
14.脂肪肝を改善させる機能を有する前記1〜13のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
15.新鮮アッサム種茶葉を2〜10倍量の水中でホモジナイズして泥状物とした後、これを20〜50℃の温度で30分〜6時間、高速で撹拌することにより空気を抱き込ませながら、激しく空気と接触させ酸化発酵させることにより茶カテキン類を酸化反応させた後、水の量に対して半量〜3倍量のエタノールを加えて撹拌した後、固形物をろ過し、得られたろ液を水溶液の状態になるまで濃縮し、生成した沈殿物をろ別し、ろ液を活性白土で処理して、ろ液中のカフェイン類を吸着した活性白土をろ別し、ろ液を多孔質のポリスチレン樹脂カラムに通した後、目的物を吸着した前記カラムを10〜60%濃度のエタノールで溶出し、30〜60%エタノール溶出画分から茶テアフラビン類を高濃度で回収することを特徴とする茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
16.撹拌を、バッフルのない釜で、インペラー式撹拌機を斜めに設置し、または、馬蹄形プロペラ、格子型プロペラ、もしくはスクリュープロペラを用い高速で行う前記15に記載の茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
17.前記組成物中のカフェイン含量が1質量%以下である前記15または16に記載の茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
18.前記茶ポリフェノールが茶テアフラビン類を10質量%以上含有する前記15〜17のいずれか1項に記載の茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
19.茶テアフラビン類を20質量%以上40質量%以下含有する前記18に記載の茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
20.前記茶テアフラビン類として、テアフラビン、テアフラビン−3−ガレート、テアフラビン−3’−ガレート、及びテアフラビン−3,3’−ジガレートを含む前記18または19に記載の茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
21.前記茶テアフラビン類として、テアフラビン2〜7質量%、テアフラビン−3−ガレート2〜7質量%、テアフラビン−3’−ガレート2〜10質量%、及びテアフラビン−3,3’−ジガレート2〜16質量%を含む前記20に記載の茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、日常の食事を摂取しながら、容易かつ安全に摂取可能な血糖値上昇抑制効果を有する機能性食品組成物を提供することができる。
本発明によれば、糖類分解酵素阻害活性を有する有効成分を高濃度に含有する機能性を高めた食品組成物を提供することができる。
本発明によって糖類を分解する酵素活性を阻害するためには、新鮮アッサム種茶葉を空気酸化して得られる、茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを有効成分として用いればよく、他に併用する成分を必ずしも必要としない。もっとも、必要に応じてそのような他の成分を併用しても差し支えない。それによって、茶テアフラビン類単独でも糖類を分解する酵素活性を阻害する効果、すなわち、例えば、食物に含まれるでんぷんを分解する酵素活性を阻害する効果と併せて、スクロース(ショ糖)やマルトース(麦芽糖)を分解する酵素活性を阻害する効果を達成することができる。
【0013】
本発明によれば、新鮮アッサム種茶葉を空気酸化して得られる、茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含む組成物を、α−アミラーゼ活性を阻害する成分として利用するだけでなく、α−グルコシダーゼ活性を阻害する成分としても利用することができ、糖類を分解する酵素活性を阻害する茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含む組成物を使用して2種類の糖類分解酵素活性阻害効果を得ることができる。すなわち、本発明の機能性食品組成物は、α−アミラーゼ阻害活性及びα−グルコシダーゼ阻害活性の二つの酵素活性阻害作用を有する茶テアフラビン類を高濃度で含み、他のα−グルコシダーゼ活性阻害成分を必ずしも用いる必要がなく、糖類を分解する酵素活性を阻害する本発明の組成物を使用して、α−アミラーゼ活性とα−グルコシダーゼ活性の両方を阻害することができる。ここで、α−グルコシダーゼとは、シュクラーゼ及びマルターゼを意味する。
【0014】
本発明によれば、経口投与、特に連続経口投与することにより、α−グルコシダーゼ活性阻害作用を増強させることができる。
本発明によれば、α−アミラーゼ阻害活性、α−グルコシダーゼ阻害活性、及び脂肪肝の改善効果を含む多様な生理活性作用を示す茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含む機能性に優れた食品組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
糖類分解酵素阻害活性を有する本発明の機能性食品組成物は、α−グルコシダーゼ活性を阻害する有効成分として茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含むことを特徴とする。前記茶テアフラビン類は、α−アミラーゼ活性とα−グルコシダーゼ活性の両方を阻害する。なお、本発明において、茶は、アッサム種の葉及びその製造工程でできる粉や茶屑の生または加温、揉捻操作を経た加工物を含むが、特に新鮮茶葉が好ましい。
【0016】
前記機能性食品組成物としては、前記茶テアフラビン類を主成分として含有する茶ポリフェノールを含むものが好ましい。主成分である茶テアフラビン類の茶ポリフェノール中の含有割合は、他のいずれの成分の含有割合よりも大きいことが好ましく、前記茶テアフラビン類が茶ポリフェノール中に10質量%以上の高濃度で含まれていることが好ましい。
【0017】
前記茶テアフラビン類は、一般式(1)で示され、ベンゾトロポロン環を有する特異性ある色素化合物である。
【化1】
式(1)中、R1,R2は、それぞれ独立して水素原子(H)またはガロイル基
【化2】
を表す。
【0018】
前記式(1)で示される茶テアフラビン類は、一般に、一般式(2)で示される茶カテキン類のB環同士の酸化縮合により生成する。
【化3】
式(2)中、R3,R4は、それぞれ独立して、R3は水素原子(H)またはガロイル基
【化4】
を表し、R4は水素原子(H)または水酸基(OH)を表す。
【0019】
茶テアフラビン類は、茶葉の発酵過程において、茶葉中の酸化酵素の働きにより生成するため、ウーロン茶(半発酵茶)や特に紅茶(発酵茶)に高含量で存在する。緑茶(不発酵茶)には茶カテキン類が含まれる。また、半発酵茶であるウーロン茶や発酵茶である紅茶中では、茶カテキン類の含量は著しく低くなっている。通常、茶テアフラビン類は、茶カテキン類を自然発酵させて得られるが、その酸化誘導体として生成する茶テアフラビン類の収率は極めて低く、例えば、紅茶中には、1%程度しか含まれていない。
【0020】
本発明によれば、アッサム種の新鮮茶葉を用いて、他の植物由来の酸化酵素を使用せずに、空気を抱き込ませる酸化反応により、高濃度に茶テアフラビン類を含有する茶ポリフェノールを含む組成物を製造することができる。すなわち、前記茶葉を水と混合して反応混合物を形成させるに当たり、好ましくは、茶葉を水と共にホモジナイズして反応混合物原料とし、これに空気を抱き込ませながら酸化反応させると高濃度で茶テアフラビン類を得ることができる。アッサム種の新鮮茶葉は、それ自体の中に酸化酵素が存在するので、本発明ではポリフェノールオキシダーゼ等の酸化酵素を必ずしも反応混合物中に加える必要はないが、所望により茶由来の酸化酵素を加えてもよい。
【0021】
原料茶葉としては、アッサム種の新鮮なものを使用する。水と混合する前に断片化して使用することが好ましい。原料の茶葉をホモジナイズするための水の量は、通常、茶葉1質量部に対して2〜10質量部、好ましくは5質量部である。好ましくは、ホモジナイズしてどろどろの泥状物の状態とした反応混合物に、空気を抱き込ませ、茶カテキン類を酸化反応に付する。酸化反応は、通常、激しく撹拌しながら行う。撹拌は、振動等によってもよいが、工業的には、大型スクリュープロペラ等を使用して高速で撹拌するのが好ましい。高速で激しい撹拌は、反応釜や撹拌機の種類、形状等によっても異なるが、通常、回転速度を300rpm〜1,000rpmの高速として実施することができる。前記酸化反応において、空気を抱き込ませて反応させる反応温度は20〜50℃が好ましく、その反応時間は30分〜6時間が好ましい。前記反応温度が20℃より低過ぎたり、前記反応時間が30分より短過ぎたりする場合は高濃度で茶テアフラビン類を得ることができない場合があり、反応温度が50℃より高過ぎたり、反応時間が6時間より長過ぎたりすると、生成した茶テアフラビン類が分解重合し黒化して収率が落ち高濃度で茶テアフラビン類を得ることができない場合がある。
【0022】
原料の新鮮アッサム種茶葉を2〜10倍量の水中でホモジナイズして泥状物とした反応混合物を、バッフルのない釜で、インペラー式撹拌機を斜めに設置し、または、馬蹄形プロペラ、格子型プロペラ、もしくはスクリュープロペラを用い、高速で激しく撹拌することによりこれに空気を抱き込ませながら、前記抱き込ませた空気と接触させ酸化発酵させることにより茶カテキン類を酸化反応させると、20〜30℃の室温でも30分〜1時間の短時間のうちに高濃度で茶テアフラビン類を得ることがきるので特に好ましい。反応釜の中にバッフル(邪魔板)があると、抱き込んだ空気を逃してしまうので、バッフルのない釜が好ましく、出来るだけ多くの空気を前記反応混合物中に抱き込ませながら酸化発酵させることにより茶カテキン類を酸化反応させる。酸化反応の反応釜として、空気吸込渦が発生しやすい形状の釜を用いるのが好ましい。空気吸込渦は、釜の中で高速撹拌した際に発生し、これが発生しやすい形状の釜は、前記反応混合物に空気を抱き込みやすい。インペラー式撹拌機は、インペラー(撹拌翼)のついた撹拌機を斜めに設置すると空気を抱き込みやすく、馬蹄形プロペラ、格子型プロペラ、もしくはスクリュープロペラも、空気を抱き込みやすい。なお、前記本発明の酸化発酵反応で用いる釜、撹拌機、またはプロペラは、前記反応混合物を高速で激しく撹拌することによりこれに空気を抱き込ませながら、前記抱き込ませた空気と接触させ酸化発酵させることにより茶カテキン類を十分酸化反応させることが出来るものであれば前記以外のものも使用可能である。
【0023】
上述したように、反応混合物を、これに空気を抱き込ませる酸化発酵反応に付して、テアフラビン、テアフラビン−3−ガレート、テアフラビン−3’−ガレート、及びテアフラビン−3,3’−ジガレートを含む茶テアフラビン類を含有する反応物を得ることができる。
【0024】
前記茶カテキン類の酸化反応後、反応物にエタノールを、前記反応物中の水1質量部に対して、好ましくは0.5〜3質量部加えて、前記茶テアフラビン類を抽出、濃縮、活性白土処理し、得られた処理液のクロマトグラフィーにより、茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを分離することができる。
【0025】
好ましくは、前記反応物に、エタノールを加えて撹拌した後、固形物(残滓物)をろ過し、得られたろ液を水溶液の状態になるまで濃縮し、生成した沈殿物(葉緑素やワックスなどの不要分)をろ別し、ろ液を活性白土で処理して、ろ液中のカフェイン類を吸着した活性白土をろ別し、ろ液を多孔質のポリスチレン樹脂カラムに通した後、目的物等を吸着した前記カラムを10〜60%濃度のエタノールで溶出し、30〜60%エタノール溶出画分から茶テアフラビン類を高濃度で回収する。
【0026】
得られた茶ポリフェノールは、茶テアフラビン類として、テアフラビン(Theaflavin)(TF)、テアフラビン−3−ガレート(TF3G)、テアフラビン−3’−ガレート(TF3’G)、及びテアフラビン−3,3’−ジガレート(TF3,3’diG)を高濃度で含む。例えば、前記茶ポリフェノール中には、前記茶テアフラビン類として、テアフラビン2〜7質量%、テアフラビン−3−ガレート2〜7質量%、テアフラビン−3’−ガレート2〜10質量%、及びテアフラビン−3,3’−ジガレート2〜16質量%が含まれる。表1に、茶テアフラビン類を高濃度で含む茶ポリフェノールの具体例として、本発明の方法で得られた茶ポリフェノールA、Bを示す。表1には、前記茶ポリフェノールA、B中の茶テアフラビン類含有率が、茶粉末(ティーパウダー)中の茶テアフラビン類の含有率と比較して示されている。
【0027】
【表1】
【0028】
表1からも明らかなように、本発明によれば、新鮮アッサム種茶葉の茶カテキン類の酸化反応により製造した茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含み、かつカフェイン含量を1質量%以下とした組成物であって、糖類分解酵素阻害活性を有する機能性食品組成物が得られる。カフェインは、お茶独特のこくのある苦渋味に関与している一方、刺激物であり、神経興奮作用もあり、量によっては有害作用が現れるので、その大量摂取は適切ではなく、できるだけ少ない量が好ましい。従って、カフェイン含量を1質量%以下とした組成物とすることによって、日常の食事を取りながら、容易かつ安全に摂取可能な、血糖値上昇抑制効果を有する機能性食品組成物を提供することができる。カフェイン含量を1質量%以下とするためには、前記茶カテキン類の酸化反応物から前記茶テアフラビン類を抽出後、これを活性白土処理するのが好ましい。活性白土は、茶カテキン類中のカフェインを選択的に吸着除去するカフェイン除去剤として非常に優れている(野中ら,日本食品化学学会誌,Vol.8(1),44〜47,2001)。しかしながら、茶テアフラビン類は茶カテキン類2分子の酸化縮合体であり、茶カテキン類と比較して分子量及び立体的制約が大きく、これら茶テアフラビン類としての特異性が活性白土による茶テアフラビン類の吸着性をも高める虞れがあった。しかしながら、活性白土は、茶テアフラビン類中のカフェインをも選択的に吸着除去し、これを前記茶テアフラビン類抽出エキス中に添加することにより、カフェイン含量を1質量%以下とすることができることが見出された。具体的には、例えば、前記したように、前記酸化反応物に、エタノールを加えて撹拌した後、固形物(残滓物)をろ過し、得られたろ液を水溶液の状態になるまで濃縮し、生成した沈殿物(不要分)をろ別し、ろ液を活性白土で処理して、ろ液中のカフェイン類を吸着した活性白土をろ別することにより、茶テアフラビン類中のカフェイン含量を1質量%以下とすることができる。
【0029】
テアフラビン類含有率の分析は、下記の条件でHPLCにより行った。
HPLC条件(テアフラビン類分析用):Cosmosi15C18−PAQ(4.6×250mm)(ナカライテスク);
溶媒:10〜20%(5min)−34%(40min)−80%(5min)CH3CN in 50mM aq. H3PO4;0.8mL/min;35℃、
5μL injection;UV absorption at375nm、
テアフラビン:tR35.7min。
テアフラビン(TF)の375nmの吸収はガロイル基の有無に影響されないので、ガロイル基の無いテアフラビン(TF)を標準品として検量線を作成し、各テアフラビン(TF)のモル濃度を算出し、それをもとに含有量(mg)を計算し、質量%を算出した。
【0030】
カフェインは、テアフラビン類4種が分離できる分析条件では他のピークと重なったため、下記条件で定量した。
HPLC条件(カフェイン分析用):Cosmosil5C18- AR-II (4.6×250mm)(ナカライテスク);
溶媒:4〜30%(39min)−75%(15min)CH3CN in 50mM aq. H3PO4;0.8mL/min;35℃、
5μL injection;UV absorption at270nm、
テアフラビン:tR35.7min。
【0031】
各サンプル(茶ポリフェノールA、B、及びティーパウダー)に含まれる主要成分のHPLCによる分析結果を図1、及び図2に示す。図1、及び図2中に示される1〜13のピークに付した数字は、それぞれ次に示される化学成分を表す。
1:テアフラビン;
2:テアフラビン 3−O−ガレート;
3:テアフラビン 3’−O−ガレート;
4:テアフラビン 3,3’−ジ−O−ガレート;
5:カフェイン;
6:没食子酸;
7:ガロカテキン;
8:エピガロカテキン;
9:カテキン;
10:テアシネンシンA;
11:エピカテキン;
12:エピガロカテキン 3−O−ガレート;
13:エピカテキン 3−O−ガレート
【0032】
図1は、各サンプル(茶ポリフェノールA、B、及びティーパウダー)のHPLCクロマトグラム(テアフラビン類分析用条件)(Max.Abs.)を示す。
サンプル濃度:ca. 12mg/10mL→5μL injection、
HPLC条件(テアフラビン類分析用):Cosmosi15C18−PAQ(4.6×250mm)(ナカライテスク);
溶媒:10〜20%(5min)−34%(40min)80%(5min)CH3CN in 50mM aq. H3PO4;0.8mL/min;35℃。
【0033】
図2は、各サンプル(茶ポリフェノールA、B、及びティーパウダー)のHPLCクロマトグラム(カフェイン分析用条件)(Max.Abs.)を示す。
サンプル濃度:Ca. 12mg/10mL→5μL injection;
HPLC条件(カフェイン分析用):Cosmosi15C18−AR-II (4.6×250mm)(ナカライテスク);
溶媒:4〜30%(39min)−75%(15min)CH3CN in 50mM aq. H3PO4;0.8mL/min;35℃。
【0034】
各サンプルのHPLC分析の結果、茶ポリフェノールA、Bには、いずれもテアフラビン類(1〜4)、カテキン類(7〜9,11〜13)が多く含まれており、カフェイン(5)はほとんど検出されなかった。テイーパウダーでは、カフェイン(5)及び没食子酸(6)が検出されたが、テアフラビン類及びカテキン類は全く検出されなかった。
【0035】
[テアフラビン類によるα−グルコシダーゼ阻害活性]
茶葉に含まれるテアフラビン類は、α−アミラーゼ活性を阻害して、小腸での糖の吸収を抑制する。テアフラビン類として、先に得られた茶ポリフェノールを用い、α−グルコシダーゼ活性を阻害する作用を検討するため、ショ糖(Sucrose )による血糖値上昇作用に対する茶ポリフェノールの影響を検討したところ、茶ポリフェノール(300,600,1000mg/kg)は単回経口投与によって、sucrose 負荷による血糖値上昇作用を抑制したことから、茶ポリフェノールはα−グルコシダーゼ活性を阻害することが考えられる。
【0036】
次に、sucrose 負荷に対する茶ポリフェノール連続投与の影響を調べた。ラットへの連続投与は、給水瓶からの自由摂取と経口投与による二つの方法により行った。自由摂取においては、625mg/kg/1日(1,2週間)の濃度においてsucrose 負荷による血糖値上昇作用を抑制した。これに比べて経口投与においては、30,100mg/kg/1日(2週間)と単回投与時より低い濃度でも血糖値上昇作用を抑制した。このことから、茶ポリフェノールの連続経口投与は、α−グルコシダーゼ活性阻害作用を増強させることが考えられる。
【0037】
次に、茶ポリフェノールの5〜6週間の連続投与を行い、ラットの体重、運動機能、血液生化学検査値に対する影響を調べた。給水瓶からの自由摂取ならびに強制経口投与のいずれにおいても、体重、運動機能、血液生化学検査値に対して全く影響せず、使用した用量及び投与期間では、茶ポリフェノールの安全性が確認できた。
【0038】
茶ポリフェノールは、健常なラットに対してα−グルコシダーゼ活性を阻害して、糖の吸収を抑制することが判った。次に、2型糖尿病モデル動物であるGK/Jclラット、肥満モデル動物であるZucker Fattyラットを用いて、病態モデル動物の血糖値に対する茶ポリフェノールの作用を検討した。
【0039】
[病態モデル動物の説明]
<GK/Jcl >
GK/Jcl ラットは、肥満は認められず、インスリン分泌不全による糖負荷後の高血糖(耐糖能異常)、空腹時高血糖を示すと同時に、飽食時の血漿インスリンはむしろ高めで軽度のインスリン抵抗性も見られる2型糖尿病モデル動物である。
【0040】
<Zucker Fattyラット>
Zucker Fattyラットは肥満モデル動物としてよく知られ、高脂血症、高コレステロール血症及び高インスリン血症となり、それに加えて脂肪細胞の肥大が進行する。肥満は、インスリン抵抗性を引き起こす重要な環境因子である。肥満では、脂肪細胞に蓄積する中性脂肪量の増加が認められ、脂肪細胞の肥大化が起こる。この肥大化が脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカイン(TNF−α、レプチン、アディポネクチン)や、遊離脂肪酸に影響を及ぼし、インスリン抵抗性を引き起こすと考えられている。
【0041】
[病態モデル動物の血糖値に対する茶ポリフェノールの作用]
2型糖尿病モデル動物であるGK/Jcl ラットにおいて、茶ポリフェノール(30,300mg/kg)は単回経口投与によって、sucrose 負荷による血糖値上昇作用を抑制した。30mg/kgは、wistarラットでは影響しない用量であった。GK/Jcl ラットでは、糖負荷後の高血糖(耐糖能異常)が観察されるため、糖吸収に対する感受性が高くなり、低濃度(30mg/kg)でも影響があったと考えられる。
【0042】
連続投与(自由摂取)において、飽食時、絶食時、糖負荷時における影響を検討した。飽食時の血糖値に対しては、茶ポリフェノール(187mg/kg)投与の10、21日目において飽食時の高血糖を有意に低下させた。49、70日目では低下の傾向が認められた。
【0043】
sucrose 負荷による血糖値上昇作用に対しては、茶ポリフェノール(23.8,187mg/kg)投与の8週間目において、sucrose (20%)による血糖値上昇を有意に抑制した。
【0044】
このように、茶ポリフェノールは、飽食時、糖負荷時における高血糖に対して改善作用を示したことから、糖の吸収を抑制する作用があると考えられる。絶食時は肝臓でグリコーゲン分解や糖新生をして血糖が維持される。茶ポリフェノールは絶食時の血糖値に影響しないことから肝臓でのグリコーゲン分解や糖新生には影響がないことが考えられる。
【0045】
また、茶ポリフェノールの血液生化学検査値に対する影響については、総コレステロール値(T−Cho)、HDLコレステロール値(HDL−C)及び中性脂肪(TG)には影響しなかった。しかし、GOT、GPT値に対しては、茶ポリフェノール(23.8mg/kg,187mg/kg)によって低下傾向を示した。糖尿病は脂肪肝の原因の一つで肝機能障害を起こす。このことから、茶ポリフェノールによるGOT、GPT値の低下作用は、茶ポリフェノールには脂肪肝の改善効果があることを示しているものと考えられる。このことを支持するように、ポリフェノール類が肝臓中の脂肪含量を低下させる作用(Fiorini RN, et al., Liver Transpl. 11(3), 298-308, 2005.)や脂肪酸合成酵素を抑制する作用(Wang X et al., Biochem Biophys Res Commun. 288(5), 1200-6, 2001.)が報告されている。
【0046】
また、体重変化、インスリン抵抗性、組織重量に対する影響、膵臓、肝臓の組織に対する影響を調べたが影響は認められなかった。
【0047】
肥満モデル動物であるZucker Fattyラットにおいて、茶ポリフェノール(300mg/kg)は、単回経口投与によってsucrose 負荷による血糖値上昇作用を抑制した。
【0048】
連続投与(自由摂取)においては、飽食時、絶食時、糖負荷時における影響を検討した。その結果、sucrose 負荷による血糖値上昇作用に対しては、茶ポリフェノール(187mg/kg)投与の8週間目において抑制傾向が認められた。
【0049】
茶ポリフェノールの血液生化学検査値に対する影響については、総コレステロール値(T−Cho)、HDLコレステロール値(HDL−C)及び中性脂肪(TG)には影響しなかった。しかし、GOT、GPT値に対しては、茶ポリフェノール(29.6mg/kg)によって有意に低下し、244mg/kgもGPT値を有意に低下しGOT値に対しても低下傾向を示した。肥満も脂肪肝の原因の一つで肝機能障害を起こす。このことから、Zucker Fattyラットにおける、GOT、GPT値の低下作用も、茶ポリフェノールには脂肪肝の改善効果があることを示しているものと考えられる。
【0050】
また、体重変化、インスリン抵抗性、組織重量に対する影響、膵臓、肝臓の組織を調べたが影響は認められなかった。
【0051】
茶ポリフェノールには、病態モデル動物においても糖吸収を抑制する作用が観察された。特に、GK/Jcl ラットで観察された糖負荷による高血糖(耐糖能異常)に対しては、低濃度の単回投与によってでも抑制作用が認められた。連続投与(自由摂取)においても有意に糖吸収を抑制した。このように、病態モデル動物の異常な高血糖に対して、茶ポリフェノールの糖吸収に対する感受性が高まった。また、GOT、GPT値(肝機能指標)の低下作用が観察されたように、茶ポリフェノールは肝機能の改善作用も有するものと考えられる。
【0052】
[マルトース及びでんぷんによる糖負荷に対する影響]
多糖類であるでんぷんは摂取された後、口腔内のα−アミラーゼや小腸内で膵臓から分泌されるα−アミラーゼの作用により加水分解され、最終的に小腸の腸管絨毛に存在するα−グルコシダーゼによりグルコースまで分解されて吸収される。一方、二糖類であるマルトースやスクロースはそのまま小腸に運ばれて、α−グルコシダーゼの作用を受けてグルコースに分解されて吸収される。そこで、マルトース及びでんぷんによる糖負荷に対する茶ポリフェノールの影響を検討したところ、茶ポリフェノールには、マルトース及びでんぷんによる糖負荷に対する抑制作用が認められた。スクロースによる糖負荷に対しても茶ポリフェノールは有効であったことから、茶ポリフェノールは、糖負荷による血糖値上昇作用を確実に抑制し、その機序にはα−グルコシダーゼ阻害作用が関与していることが明らかになった。糖負荷に対する茶ポリフェノールの効果をまとめてみると、スクロースは300mg/kg、マルトースは30mg/kg、でんぷんは300mg/kg、グルコースは無効であったことから、茶ポリフェノールはマルトースによる糖負荷に対して特に強い抑制作用を示した。以上、茶ポリフェノールは、スクロース、マルトース、でんぷんによる糖負荷に対していずれも糖吸収抑制作用を示し、その機序には、茶ポリフェノールのα−グルコシダーゼ阻害作用が関与していることが明らかとなった。
【0053】
前記茶ポリフェノールは、α−アミラーゼ活性を阻害する作用、α−グルコシダーゼ活性を阻害する作用、及び脂肪肝の改善作用を含む多様な生理活性作用効果を示す茶テアフラビン類を高濃度に含有するので、これを含む機能性食品組成物は、糖類を分解する酵素活性を阻害する生理作用効果において優れているばかりではなく、脂肪肝の改善作用を含む多様な生理活性作用効果を示す点において優れている。また、前記多様な生理活性作用効果を示す有効成分を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物によれば、前記有効成分の摂取量が増えるので優れた生理活性作用効果が得られる。また、前記有効成分純度を高めた茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物を摂取することができるので、有用性が高い。
【0054】
本発明に係る機能性食品組成物に含まれる茶ポリフェノール中の有効成分である茶テアフラビン類は、植物ポリフェノールの一種で、天然成分でもある。茶は古くから日常的に摂取されているものであり、茶テアフラビン類の安全性は非常に高い。本発明に係る機能性食品組成物は、日常の食事を摂取しながら容易に摂取可能である。
【0055】
前記茶ポリフェノールは、本発明に係る機能性食品組成物としてそのまま用いてもよいが、必要に応じて更に分画精製してから用いてもよい。茶テアフラビン類総含量が、本発明に係る機能性食品組成物に含まれる茶ポリフェノール中に10質量%以上含有される場合は、糖類を分解する酵素活性を阻害する作用効果、及び前記多様な生理活性作用効果が特に高いので好ましい。本発明に係る機能性食品組成物を摂取することにより、特に、血糖値上昇抑制効果、及び脂肪肝の予防、改善効果が期待でき、ダイエットあるいは生活習慣病の予防、改善効果が期待できる。
【0056】
本発明に係る機能性食品組成物は、例えば、粉末剤、顆粒剤、または錠剤として、茶ポリフェノール単独、またはゼラチン、アルギン酸ナトリウムなどの賦形剤と共に用いられ、または茶ポリフェノールを単独で、またはこれを、例えば、水、アルコールなどの溶媒に溶かして食品に加えて用いることができる。あるいは、これを水に溶かして飲料とすることもできる。剤形としては、例えば、茶ポリフェノールの適量を、単独で、あるいはこれを、例えば、水、またはアルコールなどの溶媒に溶解させた溶液で用い、あるいは、適当な賦形剤や希釈剤(例えば、オリゴ糖、カルボキシメチルセルロース)と混合して用いることができる。
【0057】
本発明に係る機能性食品組成物の摂取量は、通常は、茶テアフラビン類総量で、1日量80〜400mg/kgが好ましく、120〜240mg/kgが特に好ましい。前記機能性食品組成物の連続経口摂取は、α−グルコシダーゼ阻害作用を増強させるので好ましい。なお、本発明に係る機能性食品組成物を食品に配合する場合、その配合量は、上記の好ましい摂取量に基づき、適宜配合すればよい。
【実施例】
【0058】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何らの制約を受けるものではない。
【0059】
[茶カテキン類の酸化反応による茶テアフラビン類の製造]
原料として新鮮な茶葉(アッサム種)を使用し、他の植物由来の酸化酵素は使用しないで、これをバッフルのない反応釜中に仕込み、水を用いて、茶葉1kgに対して5倍量の水5Lと室温でホモジナイズさせてどろどろの泥状物の状態とした。これに、空気を、流量0.1L/秒で、加え、大型スクリュープロペラを用い高速(回転速度:300rpm〜1,000rpm)で激しく撹拌することにより空気を抱き込ませ、20℃で1時間酸化発酵反応させた。反応物中の水の量に対して2倍量のエタノール10Lを加えて撹拌した後、固形物(残滓物)をろ過し、得られたろ液を水溶液の状態になるまで濃縮した。生成した沈殿物(葉緑素やワックスなどの不要分)をろ別し、ろ液を活性白土2kgで処理して、ろ液中のカフェイン類を吸着した活性白土をろ別した。ろ液を、多孔質ポリスチレン樹脂(三菱化学製、ダイヤイオン、HP20)20Lを含有するカラムに通した後、前記カラムに吸着した茶カテキン類を10〜20%エタノールで溶出させ、次いで、30〜60%エタノールで茶テアフラビン類を溶出させ、茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールA(06051)を分離、回収した。同様にして、別ロットとして茶ポリフェノールB(06112)を分離、回収した(収量は典型的には、10〜20g)。
【0060】
(1)茶ポリフェノールの血糖値上昇抑制作用
[実験方法]
1)Glucose ,Sucrose による血糖値上昇作用
実験動物は、5週齢の雄性Wistarラットを用いた。5週齢から1週間、餌と水を自由摂取させたのち、前日から16時間絶食させた。その後、Glucose (10,20%)、Sucrose (10,20%)を経口投与し、投与前(pre)、投与後30,60,120分後の血糖値を測定した。採血は尾静脈から行い、小型血糖測定機(グルテストエースR,株式会社三和化学研究所)で計測した。
【0061】
2)糖負荷に対する茶ポリフェノール単回投与の影響
実験動物は、5週齢の雄性Wistarラットを用いた。5週齢から1週間、餌と水を自由摂取させたのち、前日から16時間絶食させた。その後、Glucose (20%)、Sucrose (20%)を茶ポリフェノール(前記ポリフェノールAまたはB、以下同様)(Vehicle,100, 300, 600, 1000mg/kg)とそれぞれ同時に経口投与し、投与前(pre)、投与後30,60,120分後の血糖値を測定した。採血は尾静脈から行い、小型血糖測定機(グルテストエースR,株式会社三和化学研究所)で計測した。
【0062】
3)茶ポリフェノール連続投与(給水瓶からの自由摂取)の影響
実験動物は、5週齢の雄性Wistarラットを用いた。5週齢から1週間、餌と水を自由摂取させたのち、溶媒投与群(Vehicle )、30mg/kg投与群、100mg/kg投与群、300mg/kg投与群、1000mg/kg投与群の5群に群分けし、6週齢からそれぞれを給水瓶に入れ自由摂取を開始した(茶ポリフェノール(給水):Vehicle,30mg/kg(30mg/200mL),100mg/kg(100mg/200mL),300mg/kg(300mg/200mL),1000mg/kg(1000mg/200mL))。体重測定は毎日行い、Sucrose (20%)による糖負荷試験は連続投与開始後の1週間目、2週間目、4週間目に行い、運動機能測定、血液生化学検査は、5〜6週間目に行った。糖負荷試験は、Sucrose (20%)を経口投与し、投与前(pre)、投与後30,60,120分後の血糖値を測定した。採血は尾静脈から行い、小型血糖測定機(グルテストエースR,株式会社三和化学研究所)で計測した。運動機能測定は、Open-field法、Rota-rod法を用いて行った。血液生化学検査については、麻酔下(pentobarbital 50mg/kg)で開腹し下大静脈から、予め血液の凝固を防ぐためにヘパリンを通したシリンジを用いて採血し、それから得られた血漿を臨床化学自動分析装置(スポットケムEZSP−4430,ARKRAY株式会社)で測定を行った。
【0063】
4)茶ポリフェノール連続投与(経口投与)の影響
実験動物は、5週齢の雄性Wistarラットを用いた。5週齢から1週間、餌と水を自由摂取させたのち、溶媒投与群(Vehicle )、30mg/kg投与群、100mg/kg投与群の3群に群分けし、6週齢からそれぞれ経口投与を開始した(茶ポリフェノール(経口):Vehicle,30mg/kg,100mg/kg)。体重測定は毎日行い、Sucrose (20%)による糖負荷試験は連続投与開始後の1週間目と2週間目に行い、運動機能測定、血液生化学検査は、5〜6週間目に行った。糖負荷試験は、それぞれの日において、Sucrose(20%)を茶ポリフェノールと同時に経口投与し、投与前(pre)、投与後30,60,120分後の血糖値を測定した。採血は尾静脈から行い、小型血糖測定機(グルテストエースR,株式会社三和化学研究所)で計測した。運動機能測定は、Open-field法、Rota-rod法を用いて行った。血液生化学検査については、麻酔下(pentobarbital 50mg/kg)で開腹し下大静脈から、予め血液の凝固を防ぐためにへパリンを通したシリンジを用いて採血し、それから得られた血漿を臨床化学自動分析装置(スポットケムEZSP−4430,ARKRAY株式会社)で測定を行った。
【0064】
[実験結果]
1)Glucose ,Sucrose による血糖値上昇作用
Glucose (10,20%),Sucrose (10,20%)いずれも30分をピークに血中グルコースが上昇したが、sucrose に比べ、glucose が高い上昇を示した。この結果から、glucose ,sucrose いずれも20%の濃度を用いることにした(図3A及びB)。
【0065】
2)糖負荷に対する茶ポリフェノール単回投与の影響
2−1)Glucose による糖負荷
茶ポリフェノールは、glucose (20%)による血糖値上昇に対して影響しなかった(図4A)。
【0066】
2−2)Sucrose による糖負荷
茶ポリフェノールは、sucrose (20%)による血糖値上昇に対して用量依存的に抑制した(図4B)。
茶ポリフェノールとsucrose 投与30分後では、300〜1000mg/kgでほぼ同等に抑制した(図4C)。
【0067】
3)茶ポリフェノール連続投与(給水瓶からの自由摂取)の影響
3−1)給水瓶からの摂水量
ラットの体重を1匹あたり200gと想定し、予備試験より1日の摂水量が1匹あたり40mLであることを確認した。これらをもとに算出した用量が下記の表2の左欄に記載されている。しかし、茶ポリフェノールは苦味があるため、濃度依存的な摂水量の低下が認められた。300〜1000mg/kgでは、溶媒群に比べ、摂水量が約10mL低下した。したがって、最終濃度は下記の表2の右欄に記載の通りとなる。
【0068】
【表2】
【0069】
3−2)血糖値と体重に対する影響
Sucrose を負荷する前の血糖値は、いずれの用量においても影響されなかった(図5A)。また、体重についても影響しなかった(図5B)。
【0070】
3−3)Sucrose による糖負荷
Sucrose を負荷した1週間目の血糖値上昇に対して、いずれの用量も影響しなかった(図6A)。しかし、茶ポリフェノール投与の1,2週間目において、最高濃度の625mg/kg(設定濃度1000mg/kg)は有意に血糖値上昇作用を抑制した(図6B)。
4週間目においては、1,2週間目で影響しなかった用量(29.5,90.3,218mg/kg)だけを検討したが、いずれの用量も影響しなかった(図6C)。
【0071】
3−4)運動機能に対する影響
茶ポリフェノールの5〜6週間投与では、運動機能に対して影響しなかった(表3)。
【0072】
【表3】
【0073】
3−5)血液生化学検査値に対する影響
茶ポリフェノールの5〜6週間投与では、血液生化学検査値に対して影響しなかった(表4)。
【0074】
【表4】
【0075】
4)茶ポリフェノール連続投与(経口投与)の影響
茶ポリフェノールの単回投与で影響なかった用量の30〜100mg/kgを用い、強制的に経口投与させた。
【0076】
4−1)血糖値と体重に対する影響
Sucrose を負荷する前の血糖値は、いずれの用量においても影響されなかった(図7A)。また、体重についても影響しなかった(図7B)。
【0077】
4−2)Sucrose による糖負荷
Sucrose を負荷した1週間目及び2週間目の血糖値上昇に対して、茶ポリフェノール30,100mg/kgは抑制作用を示した(図8A,B)。
【0078】
4−3)運動機能に対する影響
茶ポリフェノールの5〜6週間投与では、運動機能に対して影響しなかった(表3)。
【0079】
4−4)血液生化学検査値に対する影響
茶ポリフェノールの5〜6週間投与では、血液生化学検査値に対して影響しなかった(表4)。
【0080】
(2)茶ポリフェノールの病態モデル動物血糖値上昇抑制作用
[実験方法]
1)Sucrose による糖負荷に対する茶ポリフェノール単回投与の影響
実験動物は、5週齢の雄性GK/Jclラット、Zucker Fattyラットを用いた。5週齢から1週間、餌と水を自由摂取させたのち、前日から16時間絶食させた。その後、Sucrose (20%)を茶ポリフェノール(Vehicle,30,300mg/kg)とそれぞれ同時に経口投与し、投与前(pre)、投与後30、60、120分後の血糖値を測定した。採血は尾静脈から行い、小型血糖値測定機(グルテストエースR,株式会社三和化学研究所)で計測した。
【0081】
2)血糖値、Sucrose による糖負荷に対する茶ポリフェノール連続投与(給水瓶からの自由摂取)の影響
実験動物は、5週齢の雄性GK/Jclラット、Zucker Fattyラットを用いた。5週齢から1週間、餌と水を自由摂取させたのち、溶媒投与群(Vehicle )、30mg/kg投与群、300mg/kg投与群の3群に群分けし(表5参照)、6週齢からそれぞれを給水瓶に入れ自由摂取を開始した。
【0082】
【表5】
【0083】
血糖値測定と体重測定は投与0、5、10、21、49、70日目に、糖負荷試験は14、28、56日目に、インスリン耐性試験は75日目に、血液生化学検査と組織(肝臓、心臓、精巣周辺脂肪)質量測定は、80日目に行った。血糖値測定における採血は尾静脈から行い、小型血糖値測定機(グルテストエースR,株式会社三和化学研究所)で計測した。糖負荷試験は、前日から16時間絶食させた後、Sucrose (20%)を経口投与し、投与前(pre)、投与後30、60、120分後の血糖値を計測した。インスリン耐性試験は、4時間絶食させた後、インスリン(0.75U/kg)を腹腔内投与し、投与前(pre)、投与後60、120、180分後の血糖値を計測した。血液生化学検査については、麻酔下(pentobarbital 50mg/kg)で開腹し下大静脈から、予め血液の凝固を防ぐためにヘパリンを通したシリンジを用いて採血し、それから得られた血漿を臨床化学自動分析装置(スポットケムEZSP−4430,ARKRAY株式会社)で測定を行った。組織学的検討は、膵臓、肝臓組織をへマトキシリン・エオジン(HE)染色し、倒立顕微鏡下(倍率:50倍)で観察した。
【0084】
[実験結果]
<GK/Jcl ラット>
1)Sucrose による糖負荷に対する茶ポリフェノール単回投与の影響
茶ポリフェノール(30,300mg/kg)は、sucrose (20%)による血糖値上昇に対して用量依存的に抑制作用を示した(図9)。
【0085】
2)茶ポリフェノール連続投与(給水瓶からの自由摂取)の影響
2−1)給水瓶からの摂取量
GK/Jcl ラットの体重を0〜43日間は1匹あたり200g、44〜80日間は1匹あたり300gと想定し、予備試験より1日の摂水量が1匹あたり40mLであることを確認した。これらをもとに算出した用量が下記の表6の左欄に記載されている。しかし、茶ポリフェノールは苦味があるため、濃度依存的な摂水量の低下が認められた。300mg/kgでは、溶媒群に比べ、摂水量が約10mL低下した。したがって、最終濃度は下記の表6の右欄に記載の通りとなる。
【0086】
【表6】
【0087】
2−2)血糖値と体重に対する影響
茶ポリフェノール187mg/kg(設定濃度300mg/kg)は、投与の10、21日目において、飽食時の高血糖を有意に低下させた(図10A)。49、70日目では有意な低下作用は認められなかったが、その傾向は見られた。また、sucrose を負荷する前の絶食時の血糖値に対して、茶ポリフェノールは、いずれの用量も影響しなかった(図10B)。体重についても影響しなかった(図11)。
【0088】
2−3)sucrose による糖負荷
茶ポリフェノールは、投与の2、4週間目においてsucrose (20%)による血糖値上昇に対して影響しなかった(図12A,B)。しかし、8週間目において茶ポリフェノール23.8mg/kg(設定濃度30mg/kg)、187mg/kg(設定濃度300mg/kg)はsucrose (20%)による血糖値上昇を有意に抑制した(図12C)。
【0089】
2−4)インスリン耐性試験
茶ポリフェノールは、インスリン抵抗性に対して影響しなかった(図13)。
【0090】
2−5)組織質量(肝臓、心臓、精巣周辺脂肪)に対する影響
茶ポリフェノールは、肝臓、心臓、精巣周辺脂肪の質量に対して影響しなかった(表7)。
【0091】
【表7】
【0092】
2−6)血液生化学検査値に対する影響
総コレステロール値(T−Cho)、HDLコレステロール値(HDL−C)及び中性脂肪(TG)は茶ポリフェノールの影響はなかった。また、茶ポリフェノール23.8mg/kg(設定濃度30mg/kg)、187mg/kg(設定濃度300mg/kg)はGOT、GPT値に対して低下傾向を示した(表8)。
【0093】
【表8】
【0094】
2−7)膵臓、肝臓の組織学的検討
茶ポリフェノールは、膵臓、肝臓の組織には影響しなかった(図14)。
【0095】
<Zucker Fattyラット>
1)Sucrose による糖負荷に対する茶ポリフェノール単回投与の影響
茶ポリフェノール(300mg/kg)は、sucrose (20%)による血糖値上昇を有意に抑制した(図15)。
【0096】
2)茶ポリフェノール連続投与(絵水瓶からの自由摂取)の影響
2−1)給水瓶からの摂取量
Zucker Fattyラットの体重を0〜43日間は1匹あたり300g、44〜80日間は1匹あたり500gと想定し、予備試験より1日の摂水量が1匹あたり40mLであることを確認した。これらをもとに算出した用量が下記の表9の左欄に記載されている。しかし、茶ポリフェノールは苦味があるため、濃度依存的な摂水量の低下が認められた。300mg/kgでは、溶媒群に比べ、摂水量が約10mL低下した。したがって、最終濃度は下記の表9の右欄に記載の通りとなる。
【0097】
【表9】
【0098】
2−2)血糖値と体重に対する影響
茶ポリフェノールは、飽食時、絶食時の血糖値に対して影響しなかった(図16A,B)。また、体重についても影響しなかった(図17)。
【0099】
2−3)sucrose による糖負荷
茶ポリフェノールは投与の2、4、8週間目においてsucrose (20%)による血糖値上昇に対して影響しなかった(図18A,B,C)。しかし、8週間目においては、茶ポリフェノール187mg/kg(設定濃度300mg/kg)によって抑制傾向が認められた(図18C)。
【0100】
2−4)インスリン耐性試験
茶ポリフェノールは、インスリン抵抗性に影響しなかった(図19)。
【0101】
2−5)組織質量(肝臓、心臓、精巣周辺脂肪)に対する影響
茶ポリフェノールは、肝臓、心臓、精巣周辺脂肪の質量に対して影響しなかった(表10)。
【0102】
【表10】
【0103】
2−6)血液生化学検査値に対する影響
総コレステロール値(T−Cho)、HDLコレステロール値(HDL−C)及び中性脂肪(TG)は茶ポリフェノールによって変化は見られなかった。また、茶ポリフェノール29.6mg/kg(設定濃度30mg/kg)はGOT、GPT値を有意に低下した。244mg/kg(設定濃度300mg/kg)もGPT値を有意に低下し、GOT値に対しても低下傾向を示した(表11)。
【0104】
【表11】
【0105】
2−7)膵臓、肝臓の組織学的検討
茶ポリフェノールは、膵臓、肝臓の組織には影響しなかった(図20)。
なお、総コレステロール(T−Cho)、高比重リポタンパクコレステロール(HDL−C)、トリグリセリド(TG:中性脂肪)、及びトランスアミナーゼ(GOT,GPT)の意義と正常値(人)を表12に示す。
【0106】
【表12】
【0107】
(3)マルトース及びでんぷんによる糖負荷に対する茶ポリフエノール単回投与の影響
[実験方法]
実験動物は、5週齢の雄性Wistarラットを用いた。5週齢から1週間、餌と水を自由摂取させたのち、前日から16時間絶食させた。その後、マルトース(Maltose)(20%)、でんぷん(20%)を茶ポリフェノールとそれぞれ同時に経口投与し、投与前(pre)、投与後30、60、120分後の血糖値を測定した。採血は尾静脈から行い、小型血糖測定機(グルテストエースR,株式会社三和化学研究所)で計測した。
[実験結果]
1)マルトースによる糖負荷に対する影響
茶ポリフェノールは、マルトース(20%)による血糖値上昇を用量依存的に抑制した(図21)。
2)でんぷんによる糖負荷に対する影響
茶ポリフェノールは、でんぷん(20%)による血糖値上昇を用量依存的に抑制した(図22)。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】各サンプル(茶ポリフェノールA、B、及びティーパウダー)のHPLCクロマトグラム(テアフラビン類分析用条件)(Max.Abs.)である。
【図2】各サンプル(茶ポリフェノールA、B、及びティーパウダー)のHPLCクロマトグラム(カフェイン分析用条件)(Max.Abs.)である。
【図3】Glucose ,Sucrose による血糖値上昇作用の経時的変化を表すグラフである。
【図4】Sucrose 負荷に対する茶ポリフェノール単回投与の影響を表すグラフである。
【図5】Theaflavin連続投与(自由摂取)による血糖値ならびに体重変化を表すグラフである。
【図6】糖負荷に対するTheaflavin連続投与(自由摂取)の影響を表すグラフである。
【図7】Theaflavin連続投与(経口投与)による血糖値ならびに体重変化を表すグラフである。
【図8】Sucrose 負荷に対するTheaflavin連続投与(経口投与)の影響を表すグラフである。
【図9】Sucrose 負荷に対する茶ポリフェノール単回投与の影響を表すグラフである。
【図10】茶ポリフェノール連続投与(自由摂取)による血糖値変化を表すグラフである。
【図11】茶ポリフェノール連続投与(自由摂取)による体重変化を表すグラフである。
【図12】Sucrose 負荷に対する茶ポリフェノール連続投与(自由摂取)の影響を表すグラフである。
【図13】インスリン耐性試験における茶ポリフェノール連続投与(自由摂取)の影響を表すグラフである。
【図14】膵臓、肝臓の組織像における茶ポリフェノール連続投与(自由摂取)の影響を表す顕微鏡写真(50倍)である。
【図15】Sucrose 負荷に対する茶ポリフェノール単回投与の影響を表すグラフである。
【図16】茶ポリフェノール連続投与(自由摂取)による血糖値変化を表すグラフである。
【図17】茶ポリフェノール連続投与(自由摂取)による体重変化を表すグラフである。
【図18】Sucrose 負荷に対する茶ポリフェノール連続投与(自由摂取)の影響を表すグラフである。
【図19】インスリン耐性試験における茶ポリフェノール連続投与(自由摂取)の影響を表すグラフである。
【図20】膵臓、肝臓の組織像における茶ポリフェノール連続投与(自由摂取)の影響を表す顕微鏡写真(50倍)である。
【図21】マルトース負荷に対する茶ポリフェノール単回投与の影響を表すグラフである。
【図22】でんぷん負荷に対する茶ポリフェノール単回投与の影響を表すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
新鮮アッサム種茶葉を2〜10倍量の水中でホモジナイズして泥状物とした後、これを20〜50℃の温度で30分〜6時間、高速で撹拌することにより空気を抱き込ませながら、激しく空気と接触させ酸化発酵させることにより茶カテキン類を酸化反応させた後、水の量に対して半量〜3倍量のエタノールを加えて撹拌した後、固形物をろ過し、得られたろ液を水溶液の状態になるまで濃縮し、生成した沈殿物をろ別し、ろ液を活性白土で処理して、ろ液中のカフェイン類を吸着した活性白土をろ別し、ろ液を多孔質のポリスチレン樹脂カラムに通した後、目的物を吸着した前記カラムを10〜60%濃度のエタノールで溶出し、30〜60%エタノール溶出画分から茶テアフラビン類を高濃度で回収することにより製造した茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含む組成物であって、糖類分解酵素阻害活性を有することを特徴とする機能性食品組成物。
【請求項2】
撹拌を、バッフルのない釜で、インペラー式撹拌機を斜めに設置し、または、馬蹄形プロペラ、格子型プロペラ、もしくはスクリュープロペラを用い高速で行う請求項1に記載の機能性食品組成物。
【請求項3】
茶カテキン類の酸化反応により製造した茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含み、かつカフェイン含量を1質量%以下とした組成物であって、糖類分解酵素阻害活性を有する請求項1または2に記載の機能性食品組成物。
【請求項4】
α−グルコシダーゼ阻害活性を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
【請求項5】
α−グルコシダーゼ阻害活性及びα−アミラーゼ阻害活性を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
【請求項6】
シュクラーゼ阻害活性を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
【請求項7】
マルターゼ阻害活性を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
【請求項8】
茶テアフラビン類を10質量%以上含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
【請求項9】
茶テアフラビン類を20質量%以上40質量%以下含有する請求項8に記載の機能性食品組成物。
【請求項10】
前記茶テアフラビン類として、テアフラビン、テアフラビン−3−ガレート、テアフラビン−3’−ガレート、及びテアフラビン−3,3’−ジガレートを含む請求項8または9に記載の機能性食品組成物。
【請求項11】
前記茶テアフラビン類として、テアフラビン2〜7質量%、テアフラビン−3−ガレート2〜7質量%、テアフラビン−3’−ガレート2〜10質量%、及びテアフラビン−3,3’−ジガレート2〜16質量%を含む請求項10に記載の機能性食品組成物。
【請求項12】
経口投与用であるα−グルコシダーゼ阻害活性を有する茶ポリフェノールを含む組成物である請求項1〜11のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
【請求項13】
連続経口投与用であるα−グルコシダーゼ阻害活性を有する請求項12に記載の機能性食品組成物。
【請求項14】
脂肪肝を改善させる機能を有する請求項1〜13のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
【請求項15】
新鮮アッサム種茶葉を2〜10倍量の水中でホモジナイズして泥状物とした後、これを20〜50℃の温度で30分〜6時間、高速で撹拌することにより空気を抱き込ませながら、激しく空気と接触させ酸化発酵させることにより茶カテキン類を酸化反応させた後、水の量に対して半量〜3倍量のエタノールを加えて撹拌した後、固形物をろ過し、得られたろ液を水溶液の状態になるまで濃縮し、生成した沈殿物をろ別し、ろ液を活性白土で処理して、ろ液中のカフェイン類を吸着した活性白土をろ別し、ろ液を多孔質のポリスチレン樹脂カラムに通した後、目的物を吸着した前記カラムを10〜60%濃度のエタノールで溶出し、30〜60%エタノール溶出画分から茶テアフラビン類を高濃度で回収することを特徴とする茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
【請求項16】
撹拌を、バッフルのない釜で、インペラー式撹拌機を斜めに設置し、または、馬蹄形プロペラ、格子型プロペラ、もしくはスクリュープロペラを用い高速で行う請求項15に記載の茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
【請求項17】
前記組成物中のカフェイン含量が1質量%以下である請求項15または16に記載の茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
【請求項18】
前記茶ポリフェノールが茶テアフラビン類を10質量%以上含有する請求項15〜17のいずれか1項に記載の茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
【請求項19】
茶テアフラビン類を20質量%以上40質量%以下含有する請求項18に記載の茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
【請求項20】
前記茶テアフラビン類として、テアフラビン、テアフラビン−3−ガレート、テアフラビン−3’−ガレート、及びテアフラビン−3,3’−ジガレートを含む請求項18または19に記載の茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
【請求項21】
前記茶テアフラビン類として、テアフラビン2〜7質量%、テアフラビン−3−ガレート2〜7質量%、テアフラビン−3’−ガレート2〜10質量%、及びテアフラビン−3,3’−ジガレート2〜16質量%を含む請求項20に記載の茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
【請求項1】
新鮮アッサム種茶葉を2〜10倍量の水中でホモジナイズして泥状物とした後、これを20〜50℃の温度で30分〜6時間、高速で撹拌することにより空気を抱き込ませながら、激しく空気と接触させ酸化発酵させることにより茶カテキン類を酸化反応させた後、水の量に対して半量〜3倍量のエタノールを加えて撹拌した後、固形物をろ過し、得られたろ液を水溶液の状態になるまで濃縮し、生成した沈殿物をろ別し、ろ液を活性白土で処理して、ろ液中のカフェイン類を吸着した活性白土をろ別し、ろ液を多孔質のポリスチレン樹脂カラムに通した後、目的物を吸着した前記カラムを10〜60%濃度のエタノールで溶出し、30〜60%エタノール溶出画分から茶テアフラビン類を高濃度で回収することにより製造した茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含む組成物であって、糖類分解酵素阻害活性を有することを特徴とする機能性食品組成物。
【請求項2】
撹拌を、バッフルのない釜で、インペラー式撹拌機を斜めに設置し、または、馬蹄形プロペラ、格子型プロペラ、もしくはスクリュープロペラを用い高速で行う請求項1に記載の機能性食品組成物。
【請求項3】
茶カテキン類の酸化反応により製造した茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含み、かつカフェイン含量を1質量%以下とした組成物であって、糖類分解酵素阻害活性を有する請求項1または2に記載の機能性食品組成物。
【請求項4】
α−グルコシダーゼ阻害活性を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
【請求項5】
α−グルコシダーゼ阻害活性及びα−アミラーゼ阻害活性を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
【請求項6】
シュクラーゼ阻害活性を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
【請求項7】
マルターゼ阻害活性を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
【請求項8】
茶テアフラビン類を10質量%以上含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
【請求項9】
茶テアフラビン類を20質量%以上40質量%以下含有する請求項8に記載の機能性食品組成物。
【請求項10】
前記茶テアフラビン類として、テアフラビン、テアフラビン−3−ガレート、テアフラビン−3’−ガレート、及びテアフラビン−3,3’−ジガレートを含む請求項8または9に記載の機能性食品組成物。
【請求項11】
前記茶テアフラビン類として、テアフラビン2〜7質量%、テアフラビン−3−ガレート2〜7質量%、テアフラビン−3’−ガレート2〜10質量%、及びテアフラビン−3,3’−ジガレート2〜16質量%を含む請求項10に記載の機能性食品組成物。
【請求項12】
経口投与用であるα−グルコシダーゼ阻害活性を有する茶ポリフェノールを含む組成物である請求項1〜11のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
【請求項13】
連続経口投与用であるα−グルコシダーゼ阻害活性を有する請求項12に記載の機能性食品組成物。
【請求項14】
脂肪肝を改善させる機能を有する請求項1〜13のいずれか1項に記載の機能性食品組成物。
【請求項15】
新鮮アッサム種茶葉を2〜10倍量の水中でホモジナイズして泥状物とした後、これを20〜50℃の温度で30分〜6時間、高速で撹拌することにより空気を抱き込ませながら、激しく空気と接触させ酸化発酵させることにより茶カテキン類を酸化反応させた後、水の量に対して半量〜3倍量のエタノールを加えて撹拌した後、固形物をろ過し、得られたろ液を水溶液の状態になるまで濃縮し、生成した沈殿物をろ別し、ろ液を活性白土で処理して、ろ液中のカフェイン類を吸着した活性白土をろ別し、ろ液を多孔質のポリスチレン樹脂カラムに通した後、目的物を吸着した前記カラムを10〜60%濃度のエタノールで溶出し、30〜60%エタノール溶出画分から茶テアフラビン類を高濃度で回収することを特徴とする茶テアフラビン類を高濃度に含有する茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
【請求項16】
撹拌を、バッフルのない釜で、インペラー式撹拌機を斜めに設置し、または、馬蹄形プロペラ、格子型プロペラ、もしくはスクリュープロペラを用い高速で行う請求項15に記載の茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
【請求項17】
前記組成物中のカフェイン含量が1質量%以下である請求項15または16に記載の茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
【請求項18】
前記茶ポリフェノールが茶テアフラビン類を10質量%以上含有する請求項15〜17のいずれか1項に記載の茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
【請求項19】
茶テアフラビン類を20質量%以上40質量%以下含有する請求項18に記載の茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
【請求項20】
前記茶テアフラビン類として、テアフラビン、テアフラビン−3−ガレート、テアフラビン−3’−ガレート、及びテアフラビン−3,3’−ジガレートを含む請求項18または19に記載の茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
【請求項21】
前記茶テアフラビン類として、テアフラビン2〜7質量%、テアフラビン−3−ガレート2〜7質量%、テアフラビン−3’−ガレート2〜10質量%、及びテアフラビン−3,3’−ジガレート2〜16質量%を含む請求項20に記載の茶ポリフェノールを含む機能性食品組成物の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2009−82079(P2009−82079A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257342(P2007−257342)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(591253401)片岡物産株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(591253401)片岡物産株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
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