説明

欠陥検査方法及びその装置

【課題】高スループット化を図った欠陥検査方法及びその装置を提供することにある。
【解決手段】本発明は、回路パターン付きウェハ等の被検査物をr−θ(回転)ステージを用いて連続的に回転させながら、被検査物上の多数の領域の各々にストロボ光(パルス光)を照射し、該ストロボ光(パルス光)が照射された各領域内の2次元画像を検出し、該検出された各領域内の2次元画像と参照2次元画像と比較して欠陥検出を行う欠陥検査装置及びその方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ等の基板上の異物やスクラッチやパターン欠陥等の欠陥を検出する欠陥検査方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェハ欠陥を高速で、オンラインで、電気・光学的に検出する方法及び装置が米国特許第6693664号明細書(特許文献1)おいて知られている。該方法及び装置は、繰り返されるパルスレーザから短い光パルスで照明され、顕微鏡光学系を有する電気・光学カメラ系の視野を持ち、光学撮像系の焦点面において6個の検出器アンサンブルから形成された光検出器の表面を光学的に形成する焦点面アセンブリに、動くウェハの像を結像することを特徴とする。上記各アンサンブルは、4個の2次元CCD行列光検出器アレイを含み、該各2次元CCD行列光検出器は、200万画素の大きな行列の電子像を作り出す。そして、ウェハダイ欠陥として示される対応する画素の相違を見つけるために、撮像した視野と参照される他の視野とを比較する一般的な画像処理技術を用いて異なるCCD行列検出器から同時に生成された像が並列に処理される。
【0003】
また、欠陥検査装置としては特開2000−105203号公報(特許文献2)及び特開2004−177284号公報(特許文献3)が知られている。
【0004】
【特許文献1】米国特許第6693663号明細書
【特許文献2】特開2000−105203号公報
【特許文献3】特開2004−177284号公報
【特許文献4】US2005/0110987A1
【特許文献5】特開平10−318950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献2に記載された暗視野ウェハ検査装置は、線状照明、線状検出によるスループット優位性を特徴としているが、XYステージの走査速度向上およびセンサ・信号処理の処理速度の高速化に伴い、検査時間のうちステージ往復の折り返しに要する加速時間の占める割合が増加し、スループットのネックになりつつある。
【0006】
本発明の目的は、高スループット化を図った欠陥検査方法及びその装置を提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、ステージやセンサ等のキーパーツの低コスト化を図った欠陥検査方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、ウェハ等の被検査物をr−θ(回転)ステージを用いて連続的に回転させながら、被検査物上の多数の領域の各々にストロボ光を照射し、該ストロボ光が照射された各領域内の2次元画像を検出し、該検出された各領域内の2次元画像と参照2次元画像と比較して欠陥検出を行う欠陥検査装置及びその方法である。
【0009】
即ち、本発明は、r−θ(回転)ステージを用いてウェハ等の被検査物の全面を走査するように構成することで、ステージの折り返しが不要となり、XY走査方式と比較して検査時間の短縮を可能とし、さらに、ストロボ照射による2次元撮像を行うように構成することで、ウェハ等の被検査物の内外周の速度差による像の歪みを避けることができ、さらにステージの振動に対しても歪が生じないため、位置合せ処理の負荷を低減できる欠陥検査装置及びその方法である。
【0010】
また、本発明は、第1としては、複数の被検査物の各々について各回転ステージを用いて同時に被検査物全面を走査してストロボ照射による2次元撮像を同時に行い、得られた各々の画像を逐次比較して差異を欠陥として検出するように構成したことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、第2としては、一枚の被検査物について一つの回転ステージを用いて被検査物全面を走査してストロボ照射による2次元撮像を行って画像を蓄積し、該蓄積された個々の画像を幾何学変換(回転)および必要に応じて照合して被検査物画像を再構成し、ダイ比較又はセル比較により欠陥を検出するように構成したことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、回転ステージを用いて被検査物を連続的に回転させながら移動ステージを用いて前記被検査物の半径方向に相対的に移動して走査した状態で、前記被検査物上の走査軌跡に沿った多数の領域の各々にストロボ光を照射すると共に該ストロボ光が照射された各領域内の検査2次元画像を撮像する第1の過程と、該第1の過程で撮像された各領域内の検査2次元画像と該各領域内の検査2次元画像に対応する参照2次元画像とを比較して欠陥検出を行う第2の過程とを有することを特徴とする欠陥検査方法及びその装置である。
【0013】
また、本発明は、第1の被検査物を第1の回転ステージを用いて連続的に回転させると同時に第2の被検査物を第2の回転ステージを用いて連続的に回転させながら移動ステージを用いて前記第1の被検査物及び前記第2の被検査物の半径方向に相対的に移動して走査した状態で、前記第1の被検査物上の第1の走査軌跡に沿った多数の第1の領域の各々と前記第2の被検査物上の第2の走査軌跡に沿った多数の第2の領域の各々とにストロボ光を同時に照射すると共に該ストロボ光が照射された各第1の領域内の検査2次元画像と前記ストロボ光が照射された各第2の領域内の参照2次元画像とを同時に撮像する第3の過程と、該第3の過程で同時に撮像された前記各第1の領域内の検査2次元画像と前記各第2の領域内の参照2次元画像とを比較して欠陥検出を行う第4の過程とを有することを特徴とする欠陥検査方法及びその装置である。
【0014】
また、本発明は、回転ステージを用いて参照被検査物を連続的に回転させながら移動ステージを用いて前記参照被検査物の半径方向に相対的に移動して走査した状態で、前記参照被検査物上の走査軌跡に沿った多数の領域の各々にストロボ光を照射すると共に該ストロボ光が照射された各領域内の参照2次元画像を撮像して記憶する第5の過程と、回転ステージを用いて被検査物を連続的に回転させながら移動ステージを用いて前記被検査物の半径方向に相対的に移動して走査した状態で、前記被検査物上の走査軌跡に沿った多数の領域の各々にストロボ光を照射すると共に該ストロボ光が照射された各領域内の検査2次元画像を撮像する第6の過程と、該第6の過程で撮像された各領域内の検査2次元画像と該各領域内の検査2次元画像に対応する前記第5の過程で記憶された参照2次元画像とを比較して欠陥検出を行う第7の過程とを有することを特徴とする欠陥検査方法及びその装置である。
【0015】
また、本発明は、回転ステージを用いて被検査物を連続的に回転させながら移動ステージを用いて前記被検査物の半径方向に相対的に移動して走査した状態で、前記被検査物上の走査軌跡に沿った多数の領域の各々にストロボ光を照射すると共に該ストロボ光が照射された各領域内の検査2次元画像を撮像して記憶する第8の過程と、該第8の過程で記憶された各領域内の検査2次元画像を被検査物上の直交座標系に幾何学変換を行って前記各領域内の検査2次元画像をダイ単位又はセル単位で再構成して記憶する第9の過程と、該第9の過程で記憶されたダイ単位又はセル単位での前記各領域内の検査2次元画像同士を互に位置合せをしてダイ比較又はセル比較をして欠陥検出を行う第10の過程とを有することを特徴とする欠陥検査方法及びその装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高スループット化を図った欠陥検査装置及びその方法を実現することができる。
【0017】
また、本発明によれば、ステージやセンサ等の主要部品の低コスト化によって安価な欠陥検査装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係る欠陥検査装置及びその方法の実施の形態について図面を用いて説明する。本発明に係る欠陥検査装置及びその方法で欠陥を検査する対象としては、半導体ウェハ等の被検査物上に、基本的にフォトリソ工程や成膜工程やエッチング工程やCMP(Chemical Mechanical Polishing)工程などを経て回路パターン(図18に191として示す)が形成されたチップ(ダイ)が多数x−y座標系で配列されているものである。一方、回路パターン上の欠陥としては、異物等の凸状欠陥、スクラッチやボイド等の凹状欠陥、および短絡欠陥や形状欠陥等のパターン欠陥が考えられる。これらの欠陥を検出するためには、欠陥のない回路パターンから得られる参照画像信号が必要となる。
【0019】
そこで、本発明に係る欠陥検査装置及びその方法は、まず検査時間の短縮を図るために、回路パターンが形成されたチップ(ダイ)が多数x−y座標系で配列されている半導体ウェハ等の被検査物をr−θ(回転)ステージを用いて連続的に回転させながら(螺旋状に走査しながら)、被検査物上の全面に亘って多数の領域の各々にストロボ光を照射し、該ストロボ光が照射された各領域内の検査2次元画像信号を検出し、該検出された各領域内の検査2次元画像信号と該各領域内の検査2次元画像信号に対して精位置合せされた各領域内の参照2次元画像信号とを比較して欠陥検出を行うことにある。
【0020】
即ち、本発明に係る欠陥検査装置及びその方法は、r−θ(回転)ステージを用いて、回路パターンが形成されたチップ(ダイ)が多数配列されている半導体ウェハ等の被検査物の全面を螺旋状に連続走査するように構成することで、XY走査方式と比較してステージの折り返しが不要となり、検査時間の短縮を可能とし、さらに、ストロボ照射による2次元撮像を行うように構成することで、ウェハ等の被検査物の内外周の速度差による像の歪みを避けることができ、さらにステージの振動に対しても歪が生じないため、位置合せ処理の負荷を低減できる。
【0021】
[第1の実施の形態]
本発明に係る欠陥検査装置及びその方法の第1の実施の形態は、同じプロセス工程を経た同一種の被検査物4a、4bの各々を載置する2つのθ(回転)ステージ3a、3bをrステージ(移動ステージ)2上に設けて同一種の被検査物4a、4bの各々を互に精位置合せした状態で同じように連続的に螺旋走査をさせ、該連続的に螺旋走査された被検査物4a、4bの各々の同じ領域17a、17bに対して同時にストロボ照射し、該同じ領域17a、17b内の一方から2次元アレイセンサにより検査2次元画像信号を取得し、他方から2次元アレイセンサにより検査2次元画像信号に対して比較して欠陥を検出するための精位置合せされた参照2次元画像信号を取得するように構成したことにある。
【0022】
図1は、本発明に係る欠陥検査装置及びその方法の第1の実施の形態を示した概略構成図である。第1の実施の形態は、基台1上にX方向に移動する共通のr(直線)ステージ2を搭載し、該rステージ(移動ステージ)2上に、同一の製造プロセスを経て同一種の回路パターンが形成されたウェハ等の被検査物4a、4bの各々を載置して回転するθ(回転)ステージ3a、3bを設けて構成する。なお、第1の実施の形態の場合、2次元アレイセンサ23aが2次元画像として撮像する領域と2次元アレイセンサ23bが2次元画像として撮像する領域とは画像処理で精密に補正しない場合には精位置合せされた同じ領域にする必要がある。勿論、画像処理で精密に補正する場合には、2次元アレイセンサ23aが2次元画像として撮像する領域と2次元アレイセンサ23bが2次元画像として撮像する領域とは粗位置合せされれば良い。そのためには、まず、被検査物4a、4bの各々をθステージ3a、3bの各々に載置した際、被検査物4a、4b上に形成された例えばチップ単位若しくは露光単位に設けられたアライメントマーク(図示せず)を基準とした被検査物4a、4bの中心とθステージ3a、3bの回転中心とを偏心しないように合わせる必要がある。そのためには、各θステージ3a、3b上に、被検査物を保持するチャックを偏心させる微動機構(図示せず)が必要となる。一方、θステージ3a、3bの各々に載置される被検査物4a、4bの各々の中心における、θステージ3a、3bの各々の回転中心に対する偏心量は、θステージ3a、3bの各々を所定の角度回転させてそのときの被検査物4a、4bの各々に形成された例えばチップ単位若しくは露光単位に設けられたアライメントマークの位置(移動軌跡)を光学的基準位置検出器(アライメントマーク位置検出器)5a、5bの各々で測定することによって全体制御部40が算出することが可能である。同時に、全体制御部40は、光学的基準位置検出器5a、5bの各々が測定するアライメントマークの位置を基に、θステージ3a、3bの各々の回転角度基準位置からの被検査物4a、4bの各々の回転角度ずれ量も算出することが可能である。勿論、この際、被検査物4a、4bの各々に形成されているノッチの位置を測定できるセンサを備え、該センサで測定されるノッチの向きを一定方向に粗合わせし、その後上述したように精合せ情報を算出しても良い。なお、被検査物4a、4bの各々には、アライメントマークを基準にして回路パターンが形成されたチップ(ダイ)が多数配列されているものとする。
【0023】
以上説明したように、全体制御部40からの指令により、θステージ3a、3bの各々の上に載置された被検査物4a、4bの各々は、θステージ3a、3bの各々に対して偏心量がステージコントローラ45を介して微動機構により補正され、回転角度基準位置に精位置合せされることになる。
【0024】
更に、検査時には、全体制御部40は、周速度がほぼ一定で(100mm/s程度〜1000mm/s程度の範囲)、被検査物4a,4b上を螺旋走査されるように、図8(a)に示すθステージ3a、3bの各々のエンコーダから得られる信号52に基づいてθステージ3a、3bの各々及びrステージ2をステージコントローラ45を介して制御することになる。なお、θステージ3a、3bの各々の回転速度とrステージ2の移動速度との関係は予め螺旋状に走査するようにプログラムによって決められているものとする。従って、被検査物4a、4b上において例えば60fps(カメラフレームレート)でストロボ撮像された2次元画像(例えば1画素(1.4μm□)×(7168画素×7168画素))の中心位置座標(x,y)は、f(r,θ)の関数で表わされることになる。rは被検査物4a、4bの中心からストロボ撮像された2次元画像の中心までの半径を示し、θは回転角度基準位置からストロボ撮像された2次元画像の中心までの回転角度を示す。そして、ストロボ撮像位置での周速度を例えば600mm/sにした場合、外周(半径r=約149mm)の回転速度は38.4rpm程度となり、内周(半径r=約10mm)の回転速度は543rpm程度となる。また、2次元アレイセンサ(カメラ)23a、23bの各々によりカメラフレームレート(例えば約60fps)で700回程度ストロボ撮像することによって、被検査物4a、4bの一枚の全面について撮像することが可能である。従って、本発明のようにr−θ走査によれば、13s(秒)/Work程度で検査を実行することが可能となる。
【0025】
第1の実施の形態は、このように精位置合せされた被検査物4a、4bの各々に対して、図8(b)に示す全体制御部40から得られるトリガ信号50に基づいて、同じ領域17a、17bにストロボ光(パルス光)を照射するストロボ光照射光学系10と、該同じ領域17a、17b内の2次元画像の各々を、図8(b)に示す全体制御部40から得られるトリガ信号51に同期させて検出する検出光学系(撮像光学系)20a、20bとが設けられる。
【0026】
ストロボ光照射光学系10は、図8(b)に示す全体制御部40から得られるトリガ信号50に基づいて、可視光、またはUV(Ultraviolet)またはDUV(Deep Ultraviolet)パルスレーザビームを、図8(c)に示すように出射するストロボ光源(パルスレーザ光源)11と、該ストロボ光源11から出射されたパルスレーザビームについてビーム径を拡大するビームエキスパンダ12と、該ビームエキスパンダ12で拡大したパルスレーザビームについて可干渉性を低減する可干渉性低減光学系13と、該可干渉性低減光学系13で可干渉性が低減されたパルスレーザビームを同一の照度になるように2つに分岐する分岐光学系14aと、該分岐光学系14aで分岐された一方のパルスレーザビームを被検査物4a上に10mm□(矩形)程度(図2(b)に示す。)または15mm○(楕円形も含む)程度(図2(a)に示す。)の領域17aに集光する集光光学系15aと、該集光光学系15aで集光されたパルスレーザビームを図8(d)に示すタイミングで、傾斜角度αで斜方照射(暗視野照明)する傾斜ミラー16aと、分岐光学系14aで分岐した他方のパルスレーザビームを反射するミラー14bと、該ミラー14bで反射したパルスレーザビームを被検査物4b上に10mm□(矩形)程度(図2(b)に示す。)または15mm○(楕円形も含む)程度(図2(a)に示す。)の領域17bに集光する集光光学系15bと、該集光光学系15bで集光されたパルスレーザビームを図8(d)に示すタイミングで、傾斜角度αで斜方照射(暗視野照明)する傾斜ミラー16bとを備えて構成される。従って、被検査物4aおよび被検査物4b上において対応する領域17aと領域17bとが、図8(b)に示す全体制御部40から得られるトリガ信号50に基づいて、同時にパルスレーザビームが図8(d)に示すタイミングでストロボ(パルス)照射されることになる。なお、ビームエキスパンダ12、可干渉性低減光学系13、及び集光光学系15a、15b等の具体的構成については後述する。ところで、異物等の凸状欠陥を検出する際には、上記傾斜角度(仰角度)αとしては、10度以下の1度〜7度程度の低角度が好ましく、スクラッチやボイド等の凹欠陥(配線パターン間の窪んだ箇所の異物も含む)及び短絡欠陥や形状欠陥等のパターン欠陥を検出する際には、上記傾斜角度αとしては、概ね45度〜55度程度の中角度から更にそれ以上の高角度にすることが好ましい。このように、検出する欠陥の種類に応じて傾斜角度αを変えることが好ましいので、図1に矢印で示すように、傾斜ミラー16a、16bの各々の上下位置及び傾き角度を変えることができる機構を備えることが好ましい。
【0027】
検出光学系(撮像光学系)20a、20bの各々は、各被検査物上の領域17aと領域17bに対応させて設けられ、各領域17a,17bから発生する反射散乱光や反射回折光を含む反射光を集光する対物レンズ21a、21bと、該対物レンズ21a,21bの各々で集光された2次元反射光を結像させる結像レンズ22a、22bと、該結像レンズ22a、22bの各々で結像された2次元画像を、全体制御部40から得られるトリガ信号51に基づいて上記ストロボ照射に同期して撮像する2次元アレイセンサ23a、23bとで構成される。なお、検出光学系20a、20bの各々には、図8(e)に示すタイミングで開閉される検出器シャッタ(図示せず)が設けても良い。勿論、2次元アレイセンサ23a、23bが高速で2次元画像信号を読み出すことが可能であれば、検出器シャッタは必ずしも必要としない。従って、欠陥が存在する場合、一方の2次元アレイセンサ(カメラ)からはストロボ(パルス)照射に同期して欠陥を含む検査2次元画像信号が検出されてA/D変換器でA/D変換され、他方の2次元アレイセンサ(カメラ)からはストロボ(パルス)照射に同期して欠陥を含まない参照2次元画像信号が検出されてA/D変換器でA/D変換されることになる。
【0028】
ところで、信号処理部は、A/D変換器30a、30b、比較処理部31及び欠陥判定部32等から構成される。
【0029】
そこで、比較処理部31において、2次元アレイセンサ(カメラ)23aから出力されてA/D変換器30aでA/D変換された2次元画像信号F(r,θ)と2次元アレイセンサ(カメラ)23bから出力されてA/D変換器30bでA/D変換された2次元画像信号G(r,θ)とを比較することにより、何れかの領域に欠陥が存在する場合には差画像信号(不一致画像信号)として検出されることになる。そして、欠陥判定部32は、比較処理部31から得られる差画像信号(F(r,θ)−G(r,θ))を基に欠陥判定基準(閾値)Thで判定することによって、できるだけ虚報を低減して被検査物上の真の欠陥情報(被検査物上の欠陥分布(欠陥位置座標も含む)や欠陥の特徴量(欠陥の大きさ(広さ)を示す面積や投影長、及び欠陥の濃淡値(諧調値)等))が差画像信号と共に得られることになる。
【0030】
なお、全体制御部40は、比較処理部31から得られる差画像(F(r,θ)−G(r,θ))、欠陥判定部32から得られる被検査物上の真の欠陥情報や欠陥判定基準(閾値)Th、各2次元アレイセンサ23a、23bから得られる2次元画像信号(F(r,θ),G(r,θ))、光学的基準位置検出器5a、5bの各々が測定するアライメントマークの位置情報を含む被検査物4a、4bのCAD情報、rステージ2の移動速度情報、θステージ3a、3bの回転速度情報等を記憶する記憶装置41と、被検査物4a、4bに関する品種情報(プロセス工程名も含む)や選択する欠陥検査条件(選択する欠陥判定基準(閾値)等を含む)等を入力する入力手段42と、上記記憶装置41に記憶された各種情報を表示する表示装置43とを接続して構成される。
【0031】
次に、可干渉性低減光学系13の具体的な実施例について図4を用いて説明する。即ち、第1の実施例である可干渉性低減光学系13aとしては、図4(a)に示すように、互に可干渉距離以上光路長を変えたファイバイ束によって構成することが可能である。また、第2の実施例である可干渉性低減光学系13bとしては、図4(b)に示すように、一次元的に可干渉距離以上光路長を変えた板状ガラス部材を積層して構成することも可能である。また、第3の実施例である可干渉性低減光学系13cとしては、図4(c)に示すように、二次元的に可干渉距離以上光路長を変えた角状若しくは棒状ガラス部材を積層して構成することも可能である。
【0032】
次に、ビームエキスパンダ12及び可干渉性低減光学系13を無くして可干渉性を低減したパルスレーザ光源及び集光光学系を含めた光学系について図5(a)及び(b)を用いて説明する。即ち、パルスレーザ光源11aとして、例えば半導体パルスレーザ光源を多数2次元的に配列して構成する。このように半導体パルスレーザ光源を多数2次元的に配列することにより、各光源から出射されるパルスレーザ光は互いに干渉しないので、集光レンズ61によって集光レンズ62の後側の焦点面に集光させ、集光レンズ62によって被検査物4a、4b上の各領域17a、17bにストロボ(パルス)照射することが可能である。図5(a)は、図1に示す構成の通り、異物等の凸状欠陥を検出するのに適する、被検査物4a、4bに対して傾斜した方向から斜方照射する場合を示す。図5(a)に示す場合、斜方照射する関係で、パルスレーザ光源11aの出射面を傾ける必要がある。図5(b)は、図1に示す構成とは異なり、スクラッチやボイド等の凹欠陥及び短絡欠陥や形状欠陥等のパターン欠陥を検出するのに適する、被検査物4a、4bに対してほぼ鉛直方向から落射照射する場合を示す。
【0033】
次に、第4の可干渉性低減光学系13dを備え、かつ図3(b)に示すようにほぼ均一な照度にするストロボ光照射光学系10について図6を用いて説明する。図6(a)は、ビームエキスパンダ12によって拡大したパルスレーザビームを例えば2次元に配列したマイクロレンズアレイ66で多数のパルスレーザビーム光束に分割し、各々を光ファイバー群等67で伝えて例えば2次元に配列したマイクロレンズアレイ68で受けることによって互に干渉しない多数のパルスレーザビーム光束に変換し、集光光学系15a、15bの各々で集光して傾斜した方向から被検査物4a、4b上の各領域17a、17bにほぼ均一な照度でストロボ(パルス)照射する場合を示す。図6(a)は、図1に示す構成の通り、異物等の凸状欠陥を検出するのに適する、被検査物4a、4bに対して傾斜した方向から斜方照射する場合を示す。図6(b)は、図1に示す構成とは異なり、スクラッチやボイド等の凹欠陥及び短絡欠陥や形状欠陥等のパターン欠陥を検出するのに適する、被検査物4a、4bに対してほぼ鉛直方向から落射照射する場合を示す。
【0034】
次に、被検査物4a、4b上の各領域17a、17bに亘って図3(b)に示すように、比較的均一な照度にする集光光学系15a、15bの他の具体的実施例について図7を用いて説明する。図7(a)は、図3(a)に示すように、ビームエキスパンダ12によって拡大したガウス照度分布を有するパルスレーザビームを凸レンズ71と凹レンズ72とを組み合せることによって均一な照度分布に変換して傾斜した方向から被検査物4a、4b上の各領域17a、17bにストロボ(パルス)照射する場合を示す。図7(a)は、図1に示す構成の通り、異物等の凸状欠陥を検出するのに適する、被検査物4a、4bに対して傾斜した方向から斜方照射する場合を示す。図7(b)は、図1に示す構成とは異なり、スクラッチやボイド等の凹欠陥及び短絡欠陥や形状欠陥等のパターン欠陥を検出するのに適する、被検査物4a、4bに対してほぼ鉛直方向から落射照射する場合を示す。
【0035】
次に、2次元アレイセンサ23a、23bの各々は、被検査物4a、4b上の各領域17a、17b内から結像させた2次元画像をストロボ撮像するために、被検査物4a、4bの各々の表面を検出光学系20a、20bの各々に対して自動合焦点制御を行う必要がある。そこで、自動合焦点制御の実施例について図9を用いて説明する。なお、図9は、一つのθステージ3と、一つのストロボ光照射光学系10と、一つの検出光学系20とを有する場合について示す。勿論、図1に示すように、被検査物4a、4bの各々に対応させて2つのθステージ3a、3bと、2つのストロボ光照射光学系10と、2つの検出光学系20a、20bとを設けた場合にも、θステージ3a、3bの各々に対応させて設けることによって適用することが可能となる。即ち、図9(a)、(b)に示す実施例の場合は、zステージ90a、90bの各々を設けた場合を示す。図1に示すように構成した場合、微動機構(図示せず)と同様にzステージ90a、90bの各々をrステージ2とθステージ3a、3bの各々との間に設けることが好ましい。また、図9(a)に示す実施例の場合、被検査物4a、4bの各々に対してAF照射光学系91a、91bの各々からスリット状パターン若しくは格子状(縞)パターンを斜め方向から(オフアクシス方式)、ストロボ光照射領域17a、17bには照射することなくストロボ光照射領域17a、17bの周囲に照射し、被検査物4a、4bの各々の上記ストロボ光照射領域17a、17bの周囲からのスリット状パターン若しくは格子状パターンの反射光像を位置検出器92a、92bの各々で合焦点位置からの変位量を検出し、該検出した変位量がなくなるようにステージコントローラ45を介してzステージ60を制御することによって被検査物4a、4bの各々のストロボ光照射領域17a、17bの自動合焦点位置を算出することが可能となる。また、図9(b)に示す実施例の場合は、zステージ90a、90bを上下に微動させて、AF照射光学系96a、96bの各々から対物レンズ21a、21bの各々を通して(TTL(Through The Lens)方式)、スリット状パターン若しくは格子状(縞)パターンをストロボ光照射領域17a、17bに投影することなくストロボ光照射領域17a、17bの周囲に投影し、被検査物4a、4bの各々の上記ストロボ光照射領域17a、17bの周囲からのスリット状パターン若しくは格子状パターンの反射光像をミラー110a、110bで反射させてAFイメージセンサ95a、95bで合焦位置を検出することによって被検査物4a、4bの各々のストロボ光照射領域17a、17bの自動合焦点位置を算出することが可能となる。なお、図9(b)に示す場合、検査中でのストロボ光照射は図1に示すように斜方照射するものとする。
【0036】
また、図9(c)に示す実施例の場合、図9(a)の場合と異なり、検出光学系20a、20bの各々を検出系コントローラ97により上下方向(z方向)に微動させて自動合焦点位置を算出することにある。また、図9(d)に示す実施例の場合、図9(b)の場合と異なり、検出光学系20a、20bの各々を検出系コントローラ97により上下方向(z方向)に微動させて自動合焦点位置を算出することにある。
【0037】
次に、図1に示すストロボ光照射光学系と異なる実施例について図10及び図11を用いて説明する。図10は、被検査物4a,4bの各々の領域17a、17bに高角度ストロボ光照射する場合を示す。即ち、例えば集光光学系15a、15bの各々でコリメータパルスレーザビームに変換してミラー18a、18bの各々で反射して対物レンズ21a、21b;21c、21dの各々と結像レンズ22a、22bの各々との間に設けられたビームスプリッタ24a、24b又はリング状のミラー24c、24dに入射させ、図11(a)、並びに図11(c)に示すように、対物レンズ21a、21b;21c、21dの各々によって高角度ストロボ光照射することになる。図11(a)は、被検査物4a,4bの各々の領域17a、17bに対してほぼ鉛直方向からストロボ光照射する場合を示し、図11(b)及び(c)は各対物レンズ21c、21dを2重リング状に形成し、各ミラー24c、24dもリング状に形成し、各リング状のミラー24c、24dで反射したパルスレーザビームを各対物レンズ21c,21dの外側リングで被検査物4a,4bの各々の領域17a、17bに対して高角度方向から平面的には様々な方向からストロボ光照射する場合を示す。
【0038】
なお、図11(d)(e)は、図1に示す構成において被検査物4a,4bの各々の領域17a、17bに対して4方向から斜方ストロボ光照射する場合を示す。このように4方向から斜方ストロボ光照射するためには、分岐光学系14a並びにミラー14bから得られるパルスレーザビームを夫々4つに分岐する光学系を有し、夫々4つに分岐されたパルスレーザビームを4方向から傾斜角度(仰角度)αで斜方ストロボ光照射する傾斜ミラーを4方向に設置する必要がある。図11(f)(g)は、図1に示す構成を示す。
【0039】
次に、被検査物4a,4bを相対的にr方向(半径方向)に移動させる機構の実施例について図12を用いて説明する。図12(a)は、図1に示す実施例と同様に、rステージ2をX方向に移動する実施例である。図12(b)は、rステージ2をX方向に移動する代わりに、ストロボ光照射光学系10、検出光学系20a及び20b並びに光学的基準位置検出器5a、5bの全体をrステージ(移動ステージ)100によりX方向に移動させる実施例である。しかしながら、図12(a)に示す実施例の方が、図12(b)に示す実施例に比べて機構的には簡単となる。
【0040】
次に、本発明に係る、被検査物4a、4bの各々に形成されたアライメントマーク(図示せず)を基準に精位置合せされた被検査物4a、4b上を同じように連続的に螺旋走査される同じストロボ光照射領域17a、17b内における、rステージ2に設けられたエンコーダ2e及びθステージ3a、3bの各々に設けられたエンコーダ3ae、3beから出力される極座標(r,θ)に基づいて精位置合せされた2次元アレイセンサ23aから出力されてA/D変換された2次元画像信号F(r,θ)と2次元アレイセンサ23bから出力されてA/Dされた2次元画像信号G(r,θ)とを比較処理する比較処理部31の実施例について図13を用いて説明する。即ち、図13(a)は、本発明に係る比較処理部31が、位置合せされた被検査物4a、4b上を同じように連続的に螺旋走査された状態で、精位置合せされて2次元アレイセンサ23aでストロボ撮像して得られる2次元画像信号F(r,θ)と2次元アレイセンサ23bでストロボ撮像して得られる2次元画像信号G(r,θ)とを比較処理する状態を示す。
【0041】
この場合、比較処理部31で比較処理される2次元画像信号(カメラフレーム信号)F(r,θ)および2次元画像信号(カメラフレーム信号)G(r,θ)は共に極座標を持っているため、比較処理が複雑となる。そこで、図15に示す如く、画像変換回路34a及び34bの各々において、座標検出回路36から得られる例えばカメラフレームの中心位置の極座標(rn,θn)又はp−q座標(pn=fp(rn,θn),qn=fq(rn,θn))を基に、図14に示す2次元画像信号Fn(rn,θn)および2次元画像信号Gn(rn,θn)の中心位置(rn,θn)での螺旋走査の接線方向をp方向、該接線方向に直角方向をq方向になるように移動及び回転させて(幾何学的変換して)、2次元画像信号Fn(pn,qn)および2次元画像信号Gn(pn,qn)に並べ変えて再構成することによって、比較処理部31では被検査物4a、4bの全面に亘って、螺旋状に走査してストロボ撮像されたカメラフレーム数についての2次元座標(p,q)を持った2次元画像信号F(p,q)および2次元画像信号G(p,q)同士の単純な比較処理を行うことが可能となる。なお、図14に示すように、2次元アレイセンサ23a、23bの各々でストロボ撮像して得られる2次元画像信号Fn(rn,θn)、Gn(rn,θn)の各々を、隣りの2次元画像信号Fn-1(rn-1,θn-1)、Gn-1(rn-1,θn-1);Fn+1(rn+1,θn+1)、Gn+1(rn+1,θn+1)の各々と重ねる領域OLを作れば、幾何学的変換して再構成する際(p方向に並べる際)、特にq方向の照合(位置合せ)が容易となる。
【0042】
また、図15には、2次元アレイセンサ23aでストロボ撮像してA/D変換器30aでA/D変換して得られる2次元画像信号F(r,θ)と2次元アレイセンサ23bでストロボ撮像してA/D変換器30bでA/D変換して得られる2次元画像信号G(r,θ)とを一旦極座標系の画像メモリ33aに記憶し、その後画像変換回路34a及び34bの各々において極座標(r,θ)を有する2次元画像信号F(r,θ)および2次元画像信号G(r,θ)から、螺旋走査の接線方向をp方向、該接線方向に直角方向をq方向になるように移動及び回転させて(幾何学変換させて)、p−q座標系を有する2次元画像信号F(p,q)および2次元画像信号G(p,q)に変換してp−q座標系の画像メモリ33bに記憶する。そして位置合せ回路35において、2次元画像信号F(p,q)と2次元画像信号G(p,q)との間の例えばp方向及びq方向との位置ずれ量を画素単位若しくは1画素単位以下で算出し、該算出した位置ずれ量を相対的に補正することによって2次元画像信号F(p,q)と2次元画像信号G(p,q)とを画像処理によって精位置合せ(濃淡値(諧調値)の合せ込みも含む)をすることが可能である。
【0043】
以上説明したように、位置合せ回路35から得られる2次元画像信号F(p,q)と2次元画像信号G(p,q)とは精位置合せがなされているので、欠陥判定部32は、比較処理部31から得られる差画像信号(F(p,q)−G(p,q))を基に欠陥判定基準(閾値)Thで判定することによって、できるだけ虚報を低減して被検査物上の真の欠陥情報(被検査物上の欠陥分布(被検査物上のx−y座標系(ダイ(チップ)が配列されている座標系)に変換した欠陥位置座標(x,y)も含む)や欠陥の特徴量(欠陥の大きさ(広さ)を示す面積や投影長、及び欠陥の濃淡値(諧調値)等))が差画像信号と共に容易に得られることになり、その欠陥判定結果を全体制御部40に提供できることになる。
【0044】
次に、高感度EMCCDを用いて形成された2次元アレイセンサ23a、23bの他の具体的実施例について図16を用いて説明する。即ち、2次元アレイセンサ23a、23bの各々は、図16(a)に示すように垂直レジスタ171と、水平レジスタ172と、該水平レジスタ172から得られる画素信号を増倍する電子増倍レジスタ173と、該電子増倍レジスタ173から出力する画素信号を増幅するアンプ174とから構成される。図16(b)には電子増倍レジスタ173において増倍される、電子増倍レジスタ173における電子の蓄積状態を示す図である。
【0045】
また、高感度EBCCDを用いて形成された2次元アレイセンサ23a、23bの具体的実施例について図17を用いて説明する。即ち、EBCCDは、光電変換面182を有する透明な板状部材181で真空チューブ183を密閉し、該真空チューブ183内にCCDセンサアレイ184を設け、更にCCDアレイセンサ184に接続されるリード185を設けて構成される。
【0046】
また、2次元アレイセンサ23a、23bとして、広ダイナミックレンジあるいは高感度あるいは高フレームレートなどの特徴を持つCMOS2次元アレイセンサを用いることも可能である。
【0047】
また、2次元アレイセンサ23a、23bの各々を、US2005/0110987A1(特許文献4)の明細書に記載されているマルチ2次元アレイセンサ(カメラ)で構成しても良い。このようにマルチ2次元アレイセンサで構成することによって各2次元アレイセンサは、ストロボ撮像視野を分割した2次元画像信号を同時に得ることが可能となり、単位時間当たりの撮像面積の向上を図ることが可能となる。しかしながら、マルチ2次元アレイセンサで構成する場合、該マルチの数に対応させてA/D変換器30、比較処理部31及び欠陥判定部32等を設けることが必要となる。
【0048】
次に、検出光学系20a、20bの各々の対物レンズ21a、21bに空間フィルタを設ける実施例について図18、図19を用いて説明する。被検査物4a、4bの各々は、図13に示すように2次元アレイセンサ23a、23bの各々のストロボ撮像視野が螺旋状に走査される関係で、斜方照射方向190に対して被検査物4a,4bに形成された回路パターン191の主要な直線成分の向きが矢印で示すように回転し、該回路パターンから生じる回折光パターンの干渉縞193が瞳面192上において194を中心に回転することになる。そこで、2次元アレイセンサ23a、23bの各々が上方検出NA195で撮像する場合において、上記回折光パターン193を遮光フィルタ(空間フィルタ)で遮光する場合には、遮光フィルタの遮光パターンを、194を中心にして各被検査物4a、4bの回転角θに対応させて(同期させて)回転させることが考えられる。図19(g)は、この空間フィルタ200の場合を示す。また、図1に示す上方検出と異なり、斜方検出NA196でストロボ撮像する場合において、上記回折パターン193を遮光フィルタ(空間フィルタ)で遮光する場合には、遮光フィルタの遮光パターンを、194を中心にして各被検査物4a、4bの回転角θに対応させて(同期させて)回転させることが考えられる。即ち、検出光学系(撮像光学系)20a、20bにおいて、回転ステージ3a、3bの回転に同期して回転する空間フィルタ200を対物レンズ21a、21bのフーリエ変換面に設けることが考えられる。
【0049】
その他、図19(a)〜図19(f)に示すような遮光パターンを有する遮光フィルタを切り替えて使用することが可能である。特に例えば液晶遮光フィルタを用いて各被検査物4a、4bの回転角θに対応させて適切な遮光パターンを発生させて遮光することが可能となる。
【0050】
次に、検出光学系20a、20bの光軸を、傾けて斜方検出する実施例について説明する。特に、異物等の凸状欠陥を検出する際には、斜方検出でも可能である。しかし、図18に示すように斜方検出NA196にしても被検査物4a,4bの回転に伴って回折パターンを回転して横切ることになるけれども、回折パターンの強度を弱めることは可能である。そのためには、斜方検出を斜方照射方向190に対して平面的に交差する方向(ほぼ直交する方向)から2次元アレイセンサ23a、23bの各々でストロボ撮像して2次元画像信号を検出するように構成すればよい。
【0051】
[第2の実施の形態]
次に、本発明に係る欠陥検査装置及びその方法の第2の実施の形態について説明する。即ち、第2の実施の形態において、第1の実施の形態と相違する点は、図20に示すように、θステージ3、ストロボ光照射光学系10及び検出光学系(撮像光学系)20を一つの組にして構成し、予め、参照2次元画像信号を取得しておいて、検査時には該取得された参照2次元画像信号と同様に取得される検査2次元画像信号との精位置合せを画像処理で行い、更に参照2次元画像信号を取得する時と検査2次元画像信号を取得する時とでストロボ光(パルス光)を照射する照度を合わせる点である。このように第2の実施の形態は、被検査物4上に配列されるチップがX方向とY方向との間において互に非対称に形成されている(90度回転させたときチップ配列が異なる)場合が考えられるため、予め被検査物上の全面に亘ってストロボ撮像視野から得られる参照2次元画像信号を取得して用意をしておく必要がある。
【0052】
また、被検査物4a上の欠陥を検出するためには、比較処理部31において、検査2次元画像信号F(r,θ)と上述したように予め用意された参照2次元画像信号G(r,θ)とをr−θ極座標系で比較する方法とp−q直交座標系で比較する方法が考えられる。しかしながら、r−θ極座標系で比較する方法は相対位置合せ等が複雑になるため、幾何学変換したp−q直交座標系で比較する方法が好ましい。
【0053】
そのために、検査時と同一種の参照被検査物4bをθステージ3上に載置して検査時と同様に図13に示すように螺旋状に走査させた状態で、参照被検査物4bの全面に亘って、パルスレーザビームを傾斜ミラー16で反射させて斜め方向からストロボ光照射領域17にストロボ光(パルス光)を照射し、該照射領域17内のストロボ撮像視野から得られる参照2次元画像信号を2次元アレイセンサ23でストロボ(パルス)撮像してA/D変換後、参照2次元画像信号Gn(rn,θn)を図14に示すように、その中心位置座標(極座標(rn,θn)又は幾何学変換された座標(pn=fp(rn,θn),qn=fq(rn,θn)))と共に画像処理部38内の一旦画像メモリ33aに記憶する。このように、画像メモリ33a内には、参照被検査物4bの全面に亘って、螺旋状に走査してストロボ撮像されたカメラフレーム数についての、参照2次元画像信号Gn(rn,θn)と例えばその中心位置座標(極座標(rn,θn)又は幾何学変換された座標(pn=fp(rn,θn),qn=fq(rn,θn)))とが記憶される。なお、幾何学変換された座標(pn=fp(rn,θn),qn=fq(rn,θn)))は、座標検出回路36において、θステージ3のエンコーダ3e及びrステージ2のエンコーダ2eから検出される極座標(rn,θn)を基にp−q座標系に幾何学変換することによって得られる。また、カメラフレーム(2次元画像)の位置座標として中心位置座標にしたが、4つの角の位置座標にしても良い。
【0054】
そして、図21に示すように、画像処理部38a内に設けられた画像変換回路34において、画像メモリ33aに記憶された極座標(r,θ)を有する参照2次元画像信号G(r,θ)から、螺旋走査の接線方向をp方向、該接線方向に直角方向をq方向になるように移動及び回転させて(幾何学変換させて)、p−q座標系を有する参照2次元画像信号G(p,q)に変換してp−q座標系の画像メモリ33bに記憶することによって、予め、検査時に比較する参照2次元画像信号G(p,q)がp−q座標系で取得できることになる。
【0055】
次に、被検査物4a上の欠陥検査についての実施例について説明する。まず、被検査物4aをθステージ3上に載置してθステージ3の回転角度基準位置及びrステージ2の基準位置に対する初期精位置合せを行う。即ち、被検査物4aをθステージ3上に載置して光学的基準位置検出器5で被検査物4a上に形成された複数箇所のアライメントマークの位置を測定し、全体制御部40は該測定結果に基づいてθステージ3と被検査物4aを吸着するチャックとの間に設けられた微動機構(図示せず)を、ステージコントローラ45を介して微動させて、アライメントマークを基準とした被検査物4aの中心とθステージ3の回転中心とを精位置合せを行い、更に、rステージ2を基準位置に精位置合せを行うと共に、θステージ3を回転角度基準位置に精位置合せを行うことによって、被検査物4aは、予め参照2次元画像信号G(r,θ)を取得した被検査物4bと精位置合せされることになる。
【0056】
次に、全体制御部40は、ステージコントローラ45を介して、θステージ3のエンコーダ3eから回転角度基準位置からの回転角度θを検出しながらθステージ3を回転させると共に、rステージ2のエンコーダ2eから基準位置からの変位rを検出しながら移動させ、ストロボ撮像位置でのp方向の周速度がほぼ一定(100mm/s程度〜1000mm/s程度の範囲)になるように制御して、検出光学系(撮像光学系)20の光軸が被検査物4a上を螺旋状に走査する。即ち、全体制御部40は、ストロボ撮像位置が被検査物4a上を螺旋走査されるように、図8(a)に示すθステージ3のエンコーダ3eから得られる信号52に基づいてθステージ3及びrステージ2を、ステージコントローラ45を介して制御することになる。なお、θステージ3a、3bの各々の回転速度とrステージ2の移動速度との関係は予めプログラムによって決められているものとする。従って、被検査物4a上において例えば60fps(カメラフレームレート)でストロボ撮像された2次元画像(例えば1画素(1.4μm□)×(7168画素×7168画素))の中心位置座標(x,y)は、f(r,θ)の関数で表わされることになる。rは被検査物4aの中心からストロボ撮像された2次元画像の中心までの半径を示し、θは回転角度基準位置からストロボ撮像された2次元画像の中心までの回転角度を示す。第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、2次元アレイセンサ(カメラ)23によりカメラフレームレート(例えば約60fps)で700回程度ストロボ撮像することによって、被検査物4aの一枚の全面について撮像することが可能である。従って、本発明のようにr−θ走査によれば、13s(秒)/Work程度で検査を実行することが可能となる。
【0057】
第2の実施の形態は、被検査物4bに対して精位置合せされた被検査物4aに対して、図8(b)に示す全体制御部40から得られるトリガ信号50に基づいて、参照被検査物4bと同じ領域17にストロボ光照射光学系10により第1の実施の形態と同様なストロボ光(パルスレーザビーム)を照射し、該領域17内の検査2次元画像F(r,θ)を、図8(b)に示す全体制御部40から得られるトリガ信号51に同期させて検出光学系20により検出する。なお、ストロボ光照射光学系10におけるビームエキスパンダ12、可干渉性低減光学系13、集光光学系15、傾斜ミラー16等の具体的構成は、第1の実施の形態と同様である。また、検出光学系20における対物レンズ21、結像レンズ22、及び2次元アレイセンサ23等も第1の実施の形態と同様に構成される。
【0058】
以上説明したように、被検査物4aについては、被検査物4aをθステージ3上に載置し、図13に示すように螺旋状に走査させた状態で、被検査物4aの全面に亘って、パルスレーザビームを傾斜ミラー16で反射させて斜め方向からストロボ光照射領域17にストロボ光(パルス光)照射し、該ストロボ光(パルス光)の照射に同期して照射領域17内のストロボ撮像視野から得られる検査2次元画像信号を2次元アレイセンサ23でストロボ(パルス)撮像してA/D変換後、検査2次元画像信号Fn(rn,θn)を図14に示すように、その中心位置座標(極座標(rn,θn)又は幾何学変換された座標(pn=fp(rn,θn),qn=fq(rn,θn)))と共に図21に示す画像処理部38a内の一旦極座標系の画像メモリ33aに記憶する。このように、画像メモリ33a内には、被検査物4aの全面に亘って、螺旋状に走査してストロボ撮像されたカメラフレーム数についての、検査2次元画像信号Fn(rn,θn)と例えばその中心位置座標(極座標(rn,θn)又は幾何学変換された座標(pn=fp(rn,θn),qn=fq(rn,θn)))とが記憶される。なお、幾何学変換された座標(pn=fp(rn,θn),qn=fq(rn,θn)))は、座標検出回路36において、θステージ3のエンコーダ3e及びrステージ2のエンコーダ2eから検出される極座標(rn,θn)を基に例えばp−q座標系に幾何学変換することによって得られる。
【0059】
そして、図21に示すように、画像処理部38a内に設けられた画像変換回路34において、画像メモリ33aに記憶された極座標(r,θ)を有する検査2次元画像信号F(r,θ)から、螺旋走査の接線方向をp方向、該接線方向に直角方向をq方向になるように移動及び回転させて(幾何学変換させて)、p−q座標系を有する検査2次元画像信号F(p,q)に変換してp−q座標系の画像メモリ33bに記憶することによって、検査2次元画像信号F(p,q)がp−q座標系で取得できることになる。
【0060】
なお、上記p−q座標系の代わりに、第3の実施の形態で説明するように、被検査物4a上にダイが配列された方向(回路パターンの主要な成分が配列されている方向)であるx−y座標系に幾何学変換してもよい。
【0061】
次に、位置合せ回路35において、第1の実施の形態と同様に、画像メモリ33bに記憶されている例えば参照2次元画像信号Gn(pn,qn)を読み出して相対的に位置(±Δp,±Δq)をずらした参照2次元画像信号Gn(pn±Δp,qn±Δq)を作成し、該作成された参照2次元画像信号Gn(pn±Δp,qn±Δq)と画像メモリ33bから読み出された検査2次元画像信号Fn(pn,qn)とが最も一致する位置ずれ量(±Δp,±Δq)を少なくとも1画素単位以下で求め、該求められた位置ずれ量(±Δp,±Δq)を基にずらした参照2次元画像信号Gn(pn±Δp,qn±Δq)を作成することによって相対的に位置合せされた検査2次元画像信号Fn(pn,qn)と参照2次元画像信号Gn(pn±Δp,qn±Δq)とが取得されることになる。勿論、1画素単位以下の位置ずれ量については、欠陥判定部32において判定する欠陥判定基準(閾値)Thに濃淡値(諧調値)の差として反映することが可能である。また、中心位置座標(pn,qn)を中心にして回転方向にΔφずらした2次元画像信号を作成するには、画像変換回路34においてp−q座標系をΔφずらすことによって実現することが可能である。なお、x−y座標系での位置合せの詳細については、例えば特開平10−318950号公報(特許文献5)に記載されている。
【0062】
以上説明したように、位置合せ回路35から得られる2次元画像信号F(p,q)と2次元画像信号G(p,q)とは精位置合せがなされているので、欠陥判定部32は、比較処理部31から得られる差画像信号(F(p,q)−G(p,q))を基に欠陥判定基準(閾値)Thで判定することによって、できるだけ虚報を低減して被検査物上の真の欠陥情報(被検査物上の欠陥分布(被検査物上のx−y座標系に変換した欠陥位置座標(x,y)も含む)や欠陥の特徴量(欠陥の大きさ(広さ)を示す面積や投影長、及び欠陥の濃淡値(諧調値)等))が差画像信号と共に容易に得られることになり、その欠陥判定結果を全体制御部40に提供できることになる。
【0063】
特に、第2の実施の形態の場合、ストロボ撮像によって参照2次元画像信号を取得するときと、ストロボ撮像によって検査2次元画像信号を取得するときとでは、ストロボ光照射の照度が変化することが考えられるので、例えば分岐光学系14で分岐したストロボ光照射の照度を照度モニタ60で測定し、光量調整フィルタ61にフィードバックすることによって照度が変化しないように制御することが好ましい。また、照度モニタ60で測定される、参照2次元画像信号を取得するときと検査2次元画像信号を取得するときとの間のストロボ光照射の照度変化を欠陥判定部32において判定する欠陥判定基準(閾値)Thに濃淡値の差として反映することが可能である。また、画像処理部31内に、濃淡値調整回路(図示せず)を設け、照度モニタ60で測定されるストロボ光照射の照度変化を、参照2次元画像信号の背景信号の濃淡値及び検査2次元画像信号の背景信号の濃淡値に反映して背景信号の濃淡値の差が生じないようにすればよい。
【0064】
[第3の実施の形態]
次に、本発明に係る欠陥検査装置及びその方法の第3の実施の形態について図20及び図22を用いて説明する。即ち、第3の実施の形態において、第2の実施の形態と相違する点は、図20に示すように、θステージ3、ストロボ光照射光学系10及び検出光学系20を一つの組にして構成し、2次元アレイセンサ23でストロボ撮像される検査2次元画像信号を被検査物上に配列されたダイ内に形成された回路パターンの主要な成分の向きであるx−y座標に幾何学変換してダイ比較又はセル比較できるように並べ変え、該並べ変えられた検査2次元画像信号同士を精位置合せを行い、該精位置合せされた検査2次元画像信号同士をダイ比較又はセル比較をして欠陥を検出する点にある。
【0065】
第3の実施の形態の場合も、第2の実施の形態と同様に、2次元アレイセンサ23でストロボ(パルス)撮像してA/D変換後、検査2次元画像信号Fn(rn,θn)を図14に示すように、その中心位置座標(極座標(rn,θn)又は幾何学変換された座標(xn=fx(rn,θn),yn=fy(rn,θn)))と共に図21に示す画像処理部38内の一旦極座標系の画像メモリ33aに記憶する。このように、画像メモリ33a内には、被検査物4aの全面に亘って、螺旋状に走査してストロボ撮像されたカメラフレーム数についての、検査2次元画像信号Fn(rn,θn)と例えばその中心位置座標(極座標(rn,θn)又は幾何学変換された座標(xn=fx(rn,θn),yn=fy(rn,θn)))とが記憶される。なお、幾何学変換された座標(xn=fx(rn,θn),yn=fy(rn,θn)))は、座標検出回路36において、θステージ3のエンコーダ3e及びrステージ2のエンコーダ2eから検出される極座標(rn,θn)と、入力されるCAD情報48から得られる被検査物4a上に配列されているダイの座標情報(ダイ内の回路パターンの主要な成分の座標情報も含む)とを基にダイが配列されたx−y座標系に幾何学変換することによって得られる。
【0066】
そして、図22に示すように、画像処理部38b内に設けられた回転変換回路37において、画像メモリ33aに記憶された極座標(r,θ)を有する検査2次元画像信号F(r,θ)を、被検査物4a上のダイの配列方向であるx−y方向に回転させて(幾何学変換させて)、x−y座標系を有する検査2次元画像信号F(x,y)に変換してx−y座標系の画像メモリ33bに記憶することによって、図23に示すように、検査2次元画像信号F(x,y)がx−y座標系で取得できることになる。
【0067】
次に、位置合せ回路35において、画像メモリ33bにx−y座標系(被検査物上の座標系)で記憶されている例えば隣接したダイ又はセル(ダイ内には繰り返されるセルが存在するセル領域があるものとする。また、ダイ内を格子状に分割したセル領域も含む。)から得られる検査2次元画像信号Fn(xn,yn)と参照2次元画像信号Fn-1(xn-1,yn-1)とを読み出して他方の画像信号を相対的に位置(±Δx,±Δy)をずらした2次元画像信号Fn-1(xn-1±Δx,yn-1±Δy)を作成し、該作成された2次元画像信号Fn-1(xn-1±Δx,yn-1±Δy)と一方の2次元画像信号Fn(xn,yn)とが最も一致する位置ずれ量(±Δx,±Δy)を少なくとも1画素単位以下で求め、該求められた位置ずれ量(±Δx,±Δy)を基にずらした2次元画像信号Fn-1(xn-1±Δx,yn-1±Δy)を作成することによって相対的に位置合せされたダイ比較又はセル比較する検査2次元画像信号Fn(xn,yn)と参照2次元画像信号Fn-1(xn-1±Δx,yn-1±Δy)とが取得されることになる。勿論、1画素単位以下の位置ずれ量については、欠陥判定部32において判定する欠陥判定基準(閾値)Thに濃淡値(諧調値)の差として反映することが可能である。また、中心位置座標(xn,yn)を中心にして回転方向にΔφずらした2次元画像信号を作成するには、回転変換回路37において幾何学変換式(xn=fx(rn,θn),yn=fy(rn,θn))におけるx−y座標系をΔφずらすことによって実現することが可能である。
【0068】
更に、画像切出し回路39において、座標抽出部38から得られるダイ座標又はセル座標に基づいて位置合せ回路35で位置合せされた検査2次元画像信号と参照2次元画像信号とに対して比較する局所領域画像信号を切出する。このように切出された検査局所領域画像信号と参照局所領域画像信号との間で、比較処理部31でダイ比較又はセル比較をすることによって、第1及び第2の実施の形態と同様に欠陥を検出できることになり、その結果を全体制御部40に提供できることになる。
【0069】
本第3の実施の形態においても、図14に示すように、重ねてストロボ撮像する領域(OL)を作ることによって該領域から2次元画像信号としてダイも含めて回路パターンの配列情報(アライメント情報)が得られるので、CAD情報を基に回転変換回路37によってr−θの極座標系からx−y座標に変換する際、変換誤差(回転誤差)をなくすように照合することが可能となる。さらに、位置合せ回路35においても、該変換誤差(回転誤差)をなくするようにダイ比較又はセル比較する2次元画像信号同士の座標系(x、y)を照合することが可能となる。
【0070】
また、隣接するダイ又はセルから得られる2次元画像信号同士はストロボ光の照射強度(照度)に変化がなく被検査物上の回路パターンからの背景信号が略同一であるということで、図22に示す比較処理部31において、ダイ比較又はセル比較を、隣接するダイ又はセルから得られる2次元画像信号同士を比較するよう説明したが、必ずしも隣接する必要がなく、被検査物上の回路パターンからの背景信号が略同一であるダイ又はセルから得られる2次元画像信号同士を比較するようにすれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る欠陥検査装置及びその方法の第1の実施の形態を示した概略構成図である。
【図2】本発明に係る被検査物上にストロボ光(パルス光)を照射する各領域を示す図である。
【図3】本発明に係る被検査物上の各領域にストロボ光(パルス光)を照射した場合の照度分布を示す図である。
【図4】本発明に係るストロボ光照射光学系に備えられた可干渉性低減光学系の具体的な実施例を示す図である。
【図5】本発明に係るストロボ光照射光学系において、出射面において2次元に配列した光源を用いた実施例を示す図である。
【図6】本発明に係るストロボ光照射光学系において、可干渉性を低減し、且つ各照射領域に亘って照度分布をほぼ均一にする光学系の実施例を示す図である。
【図7】本発明に係るストロボ光照射光学系において、各照射領域に亘って照度分布をほぼ均一にする集光光学系の実施例を示す図である。
【図8】本発明に係る欠陥検査装置における各種タイミングを示す図である。
【図9】本発明に係る欠陥検査装置における合焦点制御系の各種実施例を示す図である。
【図10】本発明に係る、図1とは異なるストロボ光照射光学系を備えた欠陥検査装置及びその方法の第1の実施の形態を示した概略構成図である。
【図11】本発明に係るストロボ光照射光学系の各種実施例を示す図である。
【図12】本発明に係る被検査物の半径方向に移動させるrステージ(移動ステージ)の各種実施例を示す図である。
【図13】本発明に係る被検査物上を螺旋状に走査して走査軌跡に沿って多数の領域の各々内からストロボ撮像して2次元画像信号を取得する状態を説明するための図である。
【図14】本発明に係る被検査物上を螺旋状に走査して走査軌跡に沿って多数の領域の各々内からストロボ撮像して2次元画像信号を取得する際、重複させる部分を作り、しかもp−qの直交座標系について説明するための図である。
【図15】本発明に係る欠陥検査装置及びその方法の第1の実施の形態における信号処理部の実施例を示す図である。
【図16】本発明に係る検出光学系(撮像光学系)における高感度2次元アレイセンサの第1の実施例を示す図である。
【図17】本発明に係る検出光学系(撮像光学系)における高感度2次元アレイセンサの第2の実施例(EMCCD)を示す図である。
【図18】本発明に係る検出光学系(撮像光学系)において、被検査物の回転に伴って繰り返される回路パターンからの回折パターンの発生状態を示す図である。
【図19】本発明に係る検出光学系(撮像光学系)において、対物レンズのフーリエ変換面に設けられる各種空間フィルタを示す図である。
【図20】本発明に係る欠陥検査装置及びその方法の第2及び第3の実施の形態を示した概略構成図である。
【図21】図20に示す信号処理部についての第2の実施の形態を示す図である。
【図22】図20に示す信号処理部についての第3の実施の形態を示す図である。
【図23】図22に示す回転変換回路によって各領域内から得られる2次元画像信号をダイ比較又はセル比較が容易にするために被検査物上に配列されたダイのx−y直交座標系に並べ直した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
1…基台、2…rステージ(移動ステージ)、2e…エンコーダ、3、3a、3b…θステージ(回転ステージ)、3e、3ae、3be…エンコーダ、4、4a、4b…被検査物、5、5a、5b…光学的基準位置検出器(アライメントマーク位置検出器)、10…ストロボ光照射光学系、11…ストロボ光源(パルスレーザ光源)、11b…YAGレーザ光源、12…ビームエキスパンダ、13、13a〜13c…可干渉性低減光学系、14、14a…分岐光学系、14b…ミラー、15、15a、15b…集光光学系(集光レンズ)、16、16a、16b…傾斜ミラー、17、17a、17b…ストロボ光照射領域、18a、18b…ミラー、20、20a、20b…検出光学系(撮像光学系)、21、21a〜21d…対物レンズ、22、22a、22b…結像レンズ、23、23a、23b…2次元アレイセンサ、24a、24b…ビームスプリッタ、24c、24d…リング状ミラー、30、30a、30b…A/D変換器、31…比較処理部、32…欠陥判定部、33a、33b…画像メモリ、34、34a、34b…画像変換回路、35…位置合せ回路、36…座標検出回路、37…回転変換回路、38…座標抽出回路、39…画像切出し回路、40…全体制御部、41…記憶装置、42…入力手段、43…表示装置、45…ステージコントローラ、48…CAD情報、66、68…マイクロレンズアレイ、67…光ファイバー群、71…凸レンズ、72…凹レンズ、90a、90b…zステージ、91a、91b、96a、96b…AF照射光学系、92a、92b…位置検出器、95a、95b…AFイメージセンサ、97…検出系コントローラ、100…rステージ(移動ステージ)、110a、110b…ミラー、171…垂直レジスタ、172…水平レジスタ、173…電子増倍レジスタ、174…アンプ、181…板状部材、182…光電変換面、183…真空チューブ、184…CCDアレイセンサ、185…リード、191…回路パターン、193…回折光パターンの干渉縞、192…瞳面、195…上方検出NA、196…斜方検出NA、200…遮光フィルタ(空間フィルタ)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ステージを用いて被検査物を連続的に回転させながら移動ステージを用いて前記被検査物の半径方向に相対的に移動して走査した状態で、前記被検査物上の走査軌跡に沿った多数の領域の各々にストロボ光を照射すると共に該ストロボ光が照射された各領域内の検査2次元画像を撮像する第1の過程と、
該第1の過程で撮像された各領域内の検査2次元画像と該各領域内の検査2次元画像に対応する参照2次元画像とを比較して欠陥検出を行う第2の過程とを有することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項2】
前記第1の過程における前記被検査物上の走査軌跡が螺旋状走査軌跡であることを特徴とする請求項1記載の欠陥検査方法。
【請求項3】
第1の被検査物を第1の回転ステージを用いて連続的に回転させると同時に第2の被検査物を第2の回転ステージを用いて連続的に回転させながら移動ステージを用いて前記第1の被検査物及び前記第2の被検査物の半径方向に相対的に移動して走査した状態で、前記第1の被検査物上の第1の走査軌跡に沿った多数の第1の領域の各々と前記第2の被検査物上の第2の走査軌跡に沿った多数の第2の領域の各々とにストロボ光を同時に照射すると共に該ストロボ光が照射された各第1の領域内の検査2次元画像と前記ストロボ光が照射された各第2の領域内の参照2次元画像とを同時に撮像する第3の過程と、
該第3の過程で同時に撮像された前記各第1の領域内の検査2次元画像と前記各第2の領域内の参照2次元画像とを比較して欠陥検出を行う第4の過程とを有することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項4】
回転ステージを用いて参照被検査物を連続的に回転させながら移動ステージを用いて前記参照被検査物の半径方向に相対的に移動して走査した状態で、前記参照被検査物上の走査軌跡に沿った多数の領域の各々にストロボ光を照射すると共に該ストロボ光が照射された各領域内の参照2次元画像を撮像して記憶する第5の過程と、
回転ステージを用いて被検査物を連続的に回転させながら移動ステージを用いて前記被検査物の半径方向に相対的に移動して走査した状態で、前記被検査物上の走査軌跡に沿った多数の領域の各々にストロボ光を照射すると共に該ストロボ光が照射された各領域内の検査2次元画像を撮像する第6の過程と、
該第6の過程で撮像された各領域内の検査2次元画像と該各領域内の検査2次元画像に対応する前記第5の過程で記憶された参照2次元画像とを比較して欠陥検出を行う第7の過程とを有することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項5】
回転ステージを用いて被検査物を連続的に回転させながら移動ステージを用いて前記被検査物の半径方向に相対的に移動して走査した状態で、前記被検査物上の走査軌跡に沿った多数の領域の各々にストロボ光を照射すると共に該ストロボ光が照射された各領域内の検査2次元画像を撮像して記憶する第8の過程と、
該第8の過程で記憶された各領域内の検査2次元画像を被検査物上の直交座標系に幾何学変換を行って前記各領域内の検査2次元画像をダイ単位又はセル単位で再構成して記憶する第9の過程と、
該第9の過程で記憶されたダイ単位又はセル単位での前記各領域内の検査2次元画像同士を互に位置合せをしてダイ比較又はセル比較をして欠陥検出を行う第10の過程とを有することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項6】
前記ストロボ光として、可干渉性を低減したパルスレーザ光であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つに記載の欠陥検査方法。
【請求項7】
被検査物を載置して回転する回転ステージと、
前記被検査物の半径方向に移動する移動ステージと、
前記回転ステージを用いて前記被検査物を連続的に回転させながら前記移動ステージを用いて前記被検査物の半径方向に相対的に移動して走査した状態で、前記被検査物上の走査軌跡に沿った多数の領域の各々にストロボ光を照射するストロボ光照射光学系と、
該ストロボ光照射光学系でストロボ光が照射された各領域内の検査2次元画像を撮像する撮像光学系と、
該撮像光学系で撮像された各領域内の検査2次元画像と該各領域内の検査2次元画像に対応する参照2次元画像とを比較して欠陥検出を行う信号処理部とを備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項8】
前記被検査物上の走査軌跡が螺旋状走査軌跡であることを特徴とする請求項7記載の欠陥検査装置。
【請求項9】
第1の被検査物を載置して回転する第1の回転ステージと、
第2の被検査物を載置し、前記第1の回転ステージと同期して回転する第2の回転ステージと、
前記第1の被検査物及び前記第2の被検査物の半径方向に移動する移動ステージと、
前記第1の被検査物を前記第1の回転ステージを用いて連続的に回転させると同時に前記第2の被検査物を前記第2の回転ステージを用いて連続的に回転させながら前記移動ステージを用いて前記第1の被検査物及び前記第2の被検査物の半径方向に相対的に移動して走査した状態で、前記第1の被検査物上の第1の走査軌跡に沿った多数の第1の領域の各々と前記第2の被検査物上の第2の走査軌跡に沿った多数の第2の領域の各々とにストロボ光を同時に照射するストロボ光照射光学系と、
該ストロボ光照射光学系によりストロボ光が照射された各第1の領域内の検査2次元画像と前記ストロボ光照射光学系によりストロボ光が照射された各第2の領域内の参照2次元画像とを同時に撮像する第1及び第2の撮像光学系と、
該第1の撮像光学系で撮像された前記各第1の領域内の検査2次元画像と前記第2の撮像光学系で前記第1の撮像光学系と同時に撮像された前記各第2の領域内の参照2次元画像とを比較して欠陥検出を行う信号処理部とを備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項10】
被検査物を載置して回転する回転ステージと、
前記被検査物の半径方向に移動する移動ステージと、
前記回転ステージを用いて前記被検査物を連続的に回転させながら前記移動ステージを用いて前記被検査物の半径方向に相対的に移動して走査した状態で、前記被検査物上の走査軌跡に沿った多数の領域の各々にストロボ光を照射するストロボ光照射光学系と、
該ストロボ光照射光学系でストロボ光が照射された各領域内の検査2次元画像を撮像する撮像光学系と、
該撮像光学系で撮像された各領域内の検査2次元画像を記憶する記憶手段と、
該記憶手段に記憶された各領域内の検査2次元画像を直交座標系での各領域内の検査2次元画像に幾何学変換する幾何学変換回路と、
該幾何学変換回路で幾何学変換された直交座標系での各領域内の検査2次元画像と該直交座標系での各領域内の検査2次元画像に対応する参照2次元画像とを比較して欠陥検出を行う信号処理部とを備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項11】
被検査物を載置して回転する回転ステージと、
前記被検査物の半径方向に移動する移動ステージと、
前記回転ステージを用いて前記被検査物を連続的に回転させながら前記移動ステージを用いて前記被検査物の半径方向に相対的に移動して走査した状態で、前記被検査物上の走査軌跡に沿った多数の領域の各々にストロボ光を照射するストロボ光照射光学系と、
該ストロボ光照射光学系でストロボ光が照射された各領域内の検査2次元画像を撮像する撮像光学系と、
該撮像光学系で撮像された各領域内の検査2次元画像を記憶する第1の記憶手段と、
該第1の記憶手段に記憶された各領域内の検査2次元画像を前記被検査物上の直交座標系での各領域内の検査2次元画像に幾何学変換して前記各領域内の検査2次元画像をダイ単位又はセル単位で再構成する変換回路と、
該変換回路でダイ単位又はセル単位で再構成された各領域内の検査2次元画像を記憶する第2の記憶手段と、
第2の記憶手段に記憶されたダイ単位又はセル単位での前記各領域内の検査2次元画像同士を互に位置合せをしてダイ比較又はセル比較をして欠陥検出を行う信号処理部部とを備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項12】
前記ストロボ光照射光学系において、前記照射するストロボ光として、可干渉性を低減したパルスレーザ光で構成することを特徴とする請求項7乃至11の何れか一つに記載の欠陥検査装置。
【請求項13】
前記ストロボ光照射光学系において、前記被検査物上の走査軌跡に沿った多数の領域の各々にストロボ光を斜方照射するように構成したことを特徴とする請求項7乃至11の何れか一つに記載の欠陥検査装置。
【請求項14】
前記撮像光学系において、前記回転ステージの回転に同期して回転する空間フィルタを対物レンズのフーリエ変換面に設けたことを特徴とする請求項7乃至11の何れか一つに記載の欠陥検査装置。
【請求項15】
前記撮像光学系において、2次元アレイセンサを設けて構成したことを特徴とする請求項7乃至11の何れか一つに記載の欠陥検査装置。
【請求項16】
前記ストロボ光照射光学系において、前記被検査物上に照射するストロボ光の照度を測定する照度モニタを設けて構成したことを特徴とする請求項7乃至11の何れか一つに記載の欠陥検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2007−327815(P2007−327815A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−158331(P2006−158331)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】