説明

欠陥検査装置及び欠陥検査方法

【課題】様々な欠陥を確実に検出し得る欠陥検査装置及び欠陥検査方法を提供する。
【解決手段】光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している照明パターンにより、被検査体12の被検査面20を照明する照明部18と、照明部の照明パターンにより被検査面を照明した状態で、被検査面を撮像する撮像部22と、撮像部により取得された被検査面の画像に基づいて、被検査面における欠陥を検出する処理部32とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、欠陥検査装置及び欠陥検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製品の表面における微小な傷や凹凸等の欠陥を検査する一般的な方法として、目視による検査がある。
【0003】
しかし、目視による検査は、検査者の熟練が必要であるとともに、見落とし等が生じる場合もある。
【0004】
また、要求される品質が高くなると、目視による検査で対応することが困難となる。
【0005】
そこで、様々な自動検査装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−18932号公報
【特許文献2】特開平8−285557号公報
【特許文献3】特許第3054227号公報
【特許文献4】特表平10−509238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、提案されている欠陥検査装置は、必ずしも確実に欠陥を検出し得ない場合があった。
【0008】
本発明の目的は、様々な欠陥を確実に検出し得る欠陥検査装置及び欠陥検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の一観点によれば、光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している照明パターンにより、被検査体の被検査面を照明する照明部と、前記照明部の前記照明パターンにより前記被検査面を照明した状態で、前記被検査面を撮像する撮像部と、前記撮像部により取得された前記被検査面の画像に基づいて、前記被検査面における欠陥を検出する処理部とを有することを特徴とする欠陥検査装置が提供される。
【0010】
実施形態の他の観点によれば、光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している照明パターンにより被検査体の被検査面を照明した状態で、前記被検査面を撮影することにより、前記被検査面の画像を取得し、取得された前記被検査面の前記画像に基づいて、前記被検査面における欠陥を検出することを特徴とする欠陥検査方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
開示の欠陥検査装置及び欠陥検査方法によれば、被検査体の被検査面を照明する照明パターンとして、光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している照明パターンを用いる。このため、傷のような方向性のある欠陥であっても確実に検出することができる。従って、様々な欠陥を確実に検出し得る欠陥検査装置及び欠陥検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、第1実施形態による欠陥検査装置を示す概略図である。
【図2】図2は、第1実施形態による欠陥検査装置の照明パターンの例を示す図(その1)である。
【図3】図3は、第1実施形態による欠陥検査装置の照明パターンの例を示す図(その2)である。
【図4】図4は、照明パターンにより照明した被検査面の一部を示す図である。
【図5】図5は、被検査面の各箇所における光強度を示すグラフである。
【図6】図6は、各方向に沿った光強度を示す図である。
【図7】図7は、比較例による照明パターンの例を示す図である。
【図8】図8は、第2実施形態による欠陥検査方法を示すフローチャートである。
【図9】図9は、各画素の輝度の例を示すグラフである。
【図10】図10は、第1実施形態の変形例(その1)による照明パターンの例を示す図(その1)である。
【図11】図11は、第1実施形態の変形例(その1)による照明パターンの例を示す図(その2)である。
【図12】図12は、第1実施形態の変形例(その2)による照明パターンの例を示す図(その1)である。
【図13】図13は、第1実施形態の変形例(その2)による照明パターンの例を示す図(その2)である。
【図14】図14は、第1実施形態の変形例(その3)による照明パターンの例を示す図(その1)である。
【図15】図15は、第1実施形態の変形例(その3)による照明パターンの例を示す図(その2)である。
【図16】図16は、第1実施形態の変形例(その4)による照明パターンの例を示す図(その1)である。
【図17】図17は、第1実施形態の変形例(その4)による照明パターンの例を示す図(その2)である。
【図18】図18は、第1実施形態の変形例(その5)による照明パターンの例を示す図(その1)である。
【図19】図19は、第1実施形態の変形例(その5)による照明パターンの例を示す図(その2)である。
【図20】図20は、第1実施形態の変形例(その6)による照明パターンの例を示す図(その1)である。
【図21】図21は、第1実施形態の変形例(その6)による照明パターンの例を示す図(その2)である。
【図22】図22は、第1実施形態の変形例(その7)による照明パターンの例を示す図(その1)である。
【図23】図23は、第1実施形態の変形例(その7)による照明パターンの例を示す図(その2)である。
【図24】図24は、第1実施形態の変形例(その8)による照明パターンの例を示す図(その1)である。
【図25】図25は、第1実施形態の変形例(その8)による照明パターンの例を示す図(その2)である。
【図26】図26は、第1実施形態の変形例(その9)による照明パターンの例を示す図(その1)である。
【図27】図27は、第1実施形態の変形例(その9)による照明パターンの例を示す図(その2)である。
【図28】図28は、第2実施形態による欠陥検査装置を示す概略図である。
【図29】図29は、第2実施形態による欠陥検査方法を示すフローチャートである。
【図30】図30は、参考例による欠陥検査装置を示す概略図である。
【図31】図31は、欠陥が傷である場合を示す図(その1)である。
【図32】図32は、欠陥が傷である場合を示す図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図30(a)は、参考例による欠陥検査装置を示す概略図である。
【0014】
被検査体112の表面には、塗装が施されており、塗膜113が形成されている。被検査体112の表面に異物117が付着している状態で塗装が施された場合には、塗膜113の表面に凸状の欠陥115が生じる。
【0015】
照明部118により形成される照明パターンは、被検査体112の被検査面120により反射されて、撮像部122に達するようになっている。
【0016】
図30(b)は、撮像部122により取得された画像を示している。図30(b)に示すように、欠陥115の箇所だけ輝度が変化している。
【0017】
従って、このようにして取得された画像を用いて、欠陥の検出を行うことが可能となる。
【0018】
図31は、欠陥が傷である場合を示す図(その1)である。図31(a)は、照明パターンにより照明していない状態を示している。図31(b)は、照明パターンにより照明した状態を示している。
【0019】
図31(b)に示すように、欠陥115aの箇所の輝度が、欠陥115aの周囲の正常な箇所の輝度と相違している。
【0020】
図32は、欠陥が傷である場合を示す図(その2)である。図32(a)は、照明パターンにより照明していない状態を示している。図32(b)は、照明パターンにより照明した状態を示している。
【0021】
図32の場合には、欠陥115bの箇所の輝度が周囲の正常な箇所の輝度と相違していない。欠陥115bの箇所の輝度が欠陥115bの周囲の正常な箇所の輝度と相違していないのは、傷115bの長手方向に垂直な方向と照明パターンの光強度が均一な方向とが一致しているためである。
【0022】
このため、図32のような場合には、傷115bが存在しているにもかかわらず、傷115bを検出することが困難となる。
【0023】
このように、傷のような方向性のある欠陥115bの場合には、必ずしも確実に検出し得ない場合があり得る。
【0024】
[第1実施形態]
第1実施形態による欠陥検査装置及び欠陥検査方法を図1乃至図9を用いて説明する。
【0025】
(欠陥検査装置)
まず、本実施形態による欠陥検査装置について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態による欠陥検査装置を示す概略図である。
【0026】
図1に示すように、欠陥検査装置10は、被検査体12を支持するとともに被検査体12を移動させるステージ(支持部)14と、ステージ14を制御するステージ制御部16とを有している。
【0027】
ステージ14としては、例えばXYZθステージ等を用いる。ステージ14は、被検査体12の被検査面20の被検査領域が後述する照明パターンにより照明されるように、被検査体12の位置を設定する。ステージ14は、後述する照明部18により形成される照明パターンが被検査体12の被検査面20において正反射されて後述する撮像部22に達するように、被検査体12の被検査面20の角度を設定する。ステージ14は、被検査体12の被検査面20の面内方向に対して平行な方向に被検査体12を適宜移動させる。
【0028】
被検査体12としては、例えば携帯電話機等が挙げられる。
【0029】
なお、被検査体12は、携帯電話機に限定されるものではない。本実施形態による欠陥検査装置10は、様々な被検査体12の欠陥検査を行うことが可能である。
【0030】
被検査体12の被検査面20には、例えば塗装が施されている。被検査体12の被検査面20は、鏡面でなくてもよいが、所定の方向から照明される照明パターンの光の大部分を正反射することが好ましい。
【0031】
被検査体12の被検査面20に生ずる欠陥としては、例えば凸状の欠陥や傷等が挙げられる。
【0032】
欠陥検査装置10は、被検査体12の被検査面20の被検査領域を照明する照明部(パターン照明)18と、照明部を制御する照明制御部24とを有している。照明部18により形成される照明パターンとしては、光強度分布(輝度分布)が全方向(全方位)において周期的に徐々に変化している照明パターンを用いる。換言すれば、照明部18により形成される照明パターンとして、光強度分布が全方向において周期的に連続的に変化している照明パターンを用いる。
【0033】
図2及び図3は、本実施形態による欠陥検査装置の照明パターンの例を示す図である。
【0034】
図2及び図3は、以下のような式(1)、(2)で表される光強度分布I(x,y,t)の照明パターンである。
【0035】
I(x,y,t)=A/2×sin{θ(x,y)+t}+A/2 ・・・(1)
θ(x,y)=2π/a×{x−c/2×sin(2π/b×y)} ・・・(2)
式(1)、(2)において、xはx座標、yはy座標、tは変数(パラメータ、位相)、Aは振幅、a〜cは定数である。
【0036】
図2(a)は、tが0の場合である。図2(b)は、tがπ/2の場合である。図3(a)は、tがπの場合である。図3(b)は、tが3π/2の場合である。
【0037】
図2及び図3において、紙面左右方向はx方向であり、紙面上下方向はy方向である。
【0038】
図2及び図3から分かるように、いずれの照明パターンも光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している。
【0039】
このような光強度分布の照明パターンを形成する照明部18としては、例えば液晶ディスプレイ等が挙げられる。
【0040】
なお、液晶プロジェクタ等を用いて照明パターンを形成することも可能である。液晶プロジェクタは、液晶パネルの背面側に光源を配し、液晶パネルを透過した光を投射レンズを用いて投射するものである。液晶パネルに照明パターンを表示した状態で光源から光を照射することにより、照明パターンをスクリーンに投射することが可能である。この場合、照明パターンが投射されたスクリーンが照明部18として用いられる。
【0041】
欠陥検査装置10は、被検査体12の被検査面20を撮像する撮像部22と、撮像部22を制御する撮像制御部26とを有している。照明部18において形成された照明パターンからの光が被検査部12の被検査面20の被検査領域で正反射されて撮像部22に達するように、撮像部22が配置されている。撮像部22は、レンズ23と、図示しない撮像素子(光電変換素子)とを有している。撮像素子としては、例えばCCDイメージセンサ(Charge Coupled Device、電荷結合素子)等が用いられている。照明部18において形成された照明パターンは、被検査部12の被検査面20の被検査領域で正反射され、レンズ23を介して撮像素子面に結像される。このような撮像部22としては、例えばデジタルカメラ等を用いる。より具体的には、撮像部22として、モノクロデジタルカメラ等を用いる。撮像素子により光電変換が行われ、これにより被検査面20の画像が取得される。撮像部22により取得される画像における各画素の輝度は、二値の情報ではなく、多値の情報とする。撮像部22により取得される画像は、後述する記憶部28に記憶される。
【0042】
欠陥検査装置10は、欠陥検査装置全体を制御するとともに、所定の処理を行う装置制御部(処理装置)30を有している。装置制御部30は、所定のプログラムに基づいて各制御を実行する演算部(処理部)32と、演算部32が実行するプログラムや撮像部22により取得される画像等を記憶する記憶部28とを有している。記憶部28としては、例えばRAM(Random Access Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等が用いられる。また、装置制御部30は、ステージ制御部16、照明制御部24及び撮像制御部26との間で入出力を行うための入出力インターフェース34を有している。装置制御部30は、入出力インターフェース34を介して、ステージ制御部16、照明制御部24及び撮像制御部26を制御する。このような装置制御部30としては、例えば所定のプログラムがインストールされたパーソナルコンピュータ等を用いる。
【0043】
演算部32は、撮像部22により取得される画像を用いて、後述するようにして欠陥検査を行う。欠陥検査の結果は、例えば記憶部32等に記憶される。
【0044】
欠陥検査装置10は、操作者による操作入力を行うための入力部36を有している。入力部36としては、例えばキーボードやマウス等を用いる。
【0045】
欠陥検査装置10は、操作メニュー、撮像部22により取得された画像、演算部32により所定の処理を行うことにより得られる画像、欠陥検査の結果等の表示を行う表示部38を有している。表示部38としては、例えば液晶ディスプレイ等を用いる。
【0046】
こうして、本実施形態による欠陥検査装置10が形成されている。
【0047】
図4は、撮像部から観察した被検査面の一部を示す図(その1)である。図4(a)は、図2(a)の一部に対応している。図4(b)は、図2(b)の一部に対応している。図4(c)は、図3(a)の一部に対応している。図4(d)は、図3(b)の一部に対応している。
【0048】
図5は、被検査面の各箇所における光強度を示すグラフである。図5における横軸はtの値を示している。図5における縦軸は光強度(輝度)を示している。
【0049】
図5(a)は、図4(a)乃至図4(d)の各図における左側の丸印に対応している。図5(b)は、図4(a)乃至図4(d)の各図における左から2番目の丸印に対応している。図5(c)は、図4(a)乃至図4(d)の各図における右側の丸印に対応している。
【0050】
図5から分かるように、各箇所において光強度が正弦波状に変化する。
【0051】
図6(a)は、照明パターンにより照明された被検査面の一部を示す図(その2)である。
【0052】
図6(a)において実線を用いて示した方向は、図6における紙面左右方向に平行な方向であり、X方向である。図6(a)において破線を用いて示した方向は、紙面左右方向に対して45度の角度を為す方向である。図6(a)において一点鎖線を用いて示した方向は、紙面上下方向であり、Y方向である。図6(a)において二点差線を用いて示した方向は、紙面左右方向に対して135度の角度を為す方向である。
【0053】
図6(b)は、図6(a)の各方向に沿った光強度を示すグラフである。図6(b)における横軸は、図6(a)に示す各矢印の方向に沿った位置を示している。図6(b)における縦軸は、光強度(輝度)を示している。図6(b)における実線のプロットは、図6(a)において実線を用いて示した方向に対応している。図6(b)における破線のプロットは、図6(a)において破線を用いて示した方向に対応している。図6(b)における一点鎖線のプロットは、図6(a)において一点鎖線を用いて示した方向に対応している。図6(b)における二点鎖線のプロットは、図6(a)において二点鎖線を用いて示した方向に対応している。
【0054】
図6(b)から分かるように、いずれの方向においても、光強度が位置に応じて徐々に変化している。
【0055】
図7(a)は、比較例による照明パターンの例を示す図である。
【0056】
図7(b)は、図7(a)に示す線分に沿った光強度を示すグラフである。図7(b)における横軸は、図7(a)に示す線分に沿った位置を示している。図7(b)における縦軸は、光強度(輝度)を示している。
【0057】
図7(b)から分かるように、光強度が位置に応じて変化しない。
【0058】
このように、本実施形態によれば、被検査体12の被検査面20を照明する照明パターンとして、光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している照明パターンを用いる。このため、本実施形態によれば、傷のような方向性のある欠陥であっても確実に検出することができる。従って、本実施形態によれば、様々な欠陥を確実に検出し得る欠陥検査装置を提供することができる。
【0059】
(欠陥検査方法)
次に、本実施形態による欠陥検査方法について図1乃至図9を用いて説明する。図8は、本実施形態による欠陥検査方法を示すフローチャートである。
【0060】
まず、被検査体12をステージ14上に載置する(ステップS1)。
【0061】
次に、照明部18により形成される照明パターンが被検査体12の被検査面20で正反射されて撮像部22に達するように、被検査体12の角度を設定する(ステップS2)。被検査体12の角度の設定は、ステージ制御部16によりステージ14の角度を制御することにより行われる。
【0062】
次に、照明部18において形成される照明パターンの設定を行う(ステップS3)。照明パターンの設定は、例えば照明制御部24により行われる。照明パターンとしては、例えば、図2(a)に示すような照明パターン(第1の照明パターン)を用いる。
【0063】
次に、照明部18により形成される照明パターンにより、被検査体12の被検査面20の被検査領域を照明しながら、撮像部22により被検査体12の被検査面20を撮像する(ステップS4)。撮像部22により取得された被検査体12の被検査面20の画像(第1の画像)は、記憶部28に記憶される。
【0064】
撮像部22による撮影が行われた際には、撮影回数の値が記憶部28に記憶される。ここでは、第1回目の撮影が行われたため、撮影回数の値である1が記憶部28に記憶される。
【0065】
本実施形態では、図2(a)乃至図3(b)に示すような4つの照明パターンを用いて検査を行うため、撮影回数が4に達するまで撮影が行われる。この段階では、撮影回数が4に達していないため(ステップS5)、次の撮影に移行する。
【0066】
次の撮影においては、まず、照明部18において形成される照明パターンの設定を行う(ステップS3)。照明パターンの設定は、例えば照明制御部24により行われる。照明パターンとしては、例えば、図2(b)に示すような照明パターン(第2の照明パターン)を用いる。
【0067】
次に、照明部18により形成される照明パターンにより、被検査体12の被検査面20の被検査領域を照明しながら、被検査体12の被検査面20の被検査領域を撮像部22により撮像する(ステップS4)。撮像部22により取得された被検査体12の被検査面20の画像(第2の画像)は、記憶部28に記憶される。
【0068】
撮像部22による撮影が行われた際には、記憶部28内に記憶された撮影回数の値が更新される。ここでは、第2回目の撮影が行われたため、撮影回数の値である2が記憶部28に記憶される。
【0069】
この段階では、撮影回数が4に達していないため(ステップS5)、次の撮影に移行する。
【0070】
次の撮影においては、まず、照明部18において形成される照明パターンの設定を行う(ステップS3)。照明パターンの設定は、例えば照明制御部24により行われる。照明パターンとしては、例えば、図3(a)に示すような照明パターン(第3の照明パターン)を用いる。
【0071】
次に、照明部18により形成される照明パターンにより、被検査体12の被検査面20の被検査領域を照明しながら、被検査体12の被検査面20の被検査領域を撮像部22により撮像する(ステップS4)。撮像部22により取得された被検査体12の被検査面20の画像(第3の画像)は、記憶部28に記憶される。
【0072】
撮像部22による撮影が行われた際には、記憶部28内に記憶された撮影回数の値が更新される。ここでは、第3回目の撮影が行われたため、撮影回数の値である3が記憶部28に記憶される。
【0073】
この段階では、撮影回数が4に達していないため(ステップS5)、次の撮影に移行する。
【0074】
次の撮影においては、まず、照明部18において形成される照明パターンの設定を行う(ステップS3)。照明パターンの設定は、例えば照明制御部24により行われる。照明パターンとしては、例えば、図3(b)に示すような照明パターン(第4の照明パターン)を用いる。
【0075】
次に、照明部18により形成される照明パターンにより、被検査体12の被検査面20の被検査領域を照明しながら、被検査体12の被検査面20の被検査領域を撮像部22により撮像する(ステップS4)。撮像部22により取得された被検査体12の被検査面20の画像(第4の画像)は、記憶部28に記憶される。
【0076】
撮像部22による撮影が行われた際には、記憶部28内に記憶された撮影回数の値が更新される。ここでは、第4回目の撮影が行われたため、撮影回数の値である4が記憶部28に記憶される。
【0077】
この段階で撮影回数が4となるため(ステップS5)、以下のような処理に移行する。
【0078】
装置制御部30の演算部32は、以下のような式(3)に基づいて、γの値を各画素について求める(ステップS6)。
【0079】
γ(x,y)=2×[{I(x,y)−I(x,y)}+{I(x,y)−I(x,y)}0.5/{I(x,y)+I(x,y)+I(x,y)+I(x,y)} ・・・(3)
ここで、xは取得された画像における各画素のx座標であり、yは取得された画像における各画素のy座標である。I(x,y)は、tが0の照明パターン(図2(a)参照)により被検査体12の被検査面20を照明した状態で取得された画像における各画素の輝度である。I(x,y)は、tがπ/2の照明パターン(図2(b)参照)により被検査体12の被検査面20を照明した状態で取得された画像における各画素の輝度である。I(x,y)は、tがπの照明パターン(図3(a)参照)により被検査体12の被検査面20を照明した状態で取得された画像における各画素の輝度である。I(x,y)は、tが3π/2の照明パターン(図3(b)参照)により被検査体12の被検査面20を照明した状態で取得された画像における各画素の輝度である。
【0080】
こうして、各画素についてのγの値が求められることとなる。
【0081】
次に、装置制御部30の演算部32は、こうして求められたγ(x,y)と予め求められたγ(x,y)との差分Δγ(x,y)を各画素について求める(ステップS7)。
【0082】
差分Δγ(x,y)は、以下のような式(4)により表される。
【0083】
Δγ(x,y)=γ(x,y)−γ(x,y) ・・・(4)
γ(x,y)は、欠陥の存在しない被検査体12を用いて予め求められたものであり、以下のような式(5)で求められる。
【0084】
γ(x,y)=2×[{I04(x,y)−I02(x,y)}+{I01(x,y)−I03(x,y)}0.5/{I01(x,y)+I02(x,y)+I03(x,y)+I04(x,y)} ・・・(5)
ここで、xは予め取得された画像における各画素のx座標であり、yは予め取得された画像における各画素のy座標である。I01(x,y)は、tが0の照明パターン(図2(a)参照)により欠陥の存在しない被検査体12の被検査面20を照明した状態で予め取得された画像における各画素の輝度である。I02(x,y)は、tがπ/2の照明パターン(図2(b)参照)により欠陥の存在しない被検査体12の被検査面20を照明した状態で予め取得された画像における各画素の輝度である。I03(x,y)は、tがπの照明パターン(図3(a)参照)により欠陥の存在しない被検査体12の被検査面20を照明した状態で予め取得された画像における各画素の輝度である。I04(x,y)は、位相tが3π/2の照明パターン(図3(b)参照)により欠陥の存在しない被検査体12の被検査面20を照明した状態で予め取得された画像における各画素の輝度である。
【0085】
図9は、各画素の輝度の例を示すグラフである。図9において破線を用いて示したプロットは、欠陥が存在しない箇所(正常箇所)における輝度の例を示したものである。図9において実線を用いて示したプロットは、欠陥の箇所(欠陥箇所)における輝度の例を示したものである。
【0086】
図9から分かるように、欠陥が存在しない箇所においては、大きな振幅で輝度(光強度)が変化する。
【0087】
一方、欠陥の箇所においては、比較的小さな振幅で輝度が変化する。欠陥の箇所において輝度の振幅が小さくなるのは、欠陥の箇所においては光が散乱されるためである。
【0088】
このため、欠陥が存在しない箇所と欠陥の箇所との間において、Δγ(x,y)の値に比較的大きい差異が生じる。
【0089】
次に、装置制御部30の演算部32は、Δγ(x,y)が所定の閾値Thより大きい画素を抽出することにより、欠陥の箇所を抽出する(ステップS8)。欠陥の箇所においては、Δγ(x,y)が比較的大きいため、これにより欠陥の箇所を抽出することが可能となる。
【0090】
Δγ(x,y)が所定の閾値Thより大きい画素は、欠陥の箇所と考えることが可能である。演算部32は、Δγ(x,y)が所定の閾値Thより大きくなっている画素の座標を、欠陥の座標として記憶部28に記憶する。また、演算部32は、Δγ(x,y)が所定の閾値Thより大きくなっている画素の数に基づいて欠陥のサイズを求め、求めた欠陥のサイズを記憶部28に記憶する。
【0091】
なお、被検査体12の被検査面20が撮像部22の視野より大きい場合には、ステージ14を用いて被検査体12を順次移動させ、上記と同様にして、被検査体12の被検査面20の他の検査領域についても順次検査を行う(ステップS3〜S8)。
【0092】
次に、装置制御部30の演算部32は、合格か不合格かの判定を行う(ステップS9)。合格か不合格かの判定は、例えば検出された欠陥のサイズ等に基づいて行われる。例えば、欠陥のサイズが所定値より大きい場合には、合格(OK)と判断する。一方、欠陥のサイズが所定値より小さい場合には、不合格(NG)と判断する。
【0093】
こうして、本実施形態の欠陥検査方法が行われる。
【0094】
このように、本実施形態によれば、被検査体12の被検査面20を照明する照明パターンとして、光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している照明パターンを用いる。このため、本実施形態によれば、傷のような方向性のある欠陥であっても、確実に検出することが可能となる。従って、本実施形態によれば、様々な欠陥を確実に検出し得る欠陥検査方法を提供することができる。
【0095】
(変形例(その1))
次に、本実施形態の変形例(その1)による欠陥検査装置及び欠陥検査方法について図10及び図11を用いて説明する。
【0096】
本変形例による欠陥検査装置及び欠陥検査方法は、以下のようなパターンを用いるものである。
【0097】
図10及び図11は、本変形例による照明パターンの例を示す図である。
【0098】
図10及び図11は、以下のような式(6)、(7)で表される光強度分布I(x,y,t)の照明パターンである。
【0099】
I(x,y,t)=A/2×sin{θ(x,y)+t}+A/2 ・・・(6)
θ(x,y)=2π/a×{x−|c/2×sin(2π/b×y)|} ・・・(7)
なお、xはx座標、yはy座標、tは変数(パラメータ、位相)、Aは振幅、a〜cは定数である。
【0100】
図10(a)は、tが0の場合である。図10(b)は、tがπ/2の場合である。図11(a)は、tがπの場合である。図11(b)は、tが3π/2の場合である。
【0101】
図10及び図11から分かるように、いずれの照明パターンも光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している。従って、このような照明パターンを用いてもよい。
【0102】
このように、本変形例においても、被検査体12の被検査面20を照明する照明パターンとして、光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している照明パターンを用いる。このため、本変形例によっても、様々な欠陥を確実に検出することができる。
【0103】
(変形例(その2))
次に、本実施形態の変形例(その2)による欠陥検査装置及び欠陥検査方法について図12及び図13を用いて説明する。
【0104】
本変形例による欠陥検査装置及び欠陥検査方法は、以下のようなパターンを用いるものである。
【0105】
図12及び図13は、本変形例による照明パターンの例を示す図である。
【0106】
図12及び図13は、以下のような式(8)、(9)で表される光強度分布I(x,y,t)の照明パターンである。
【0107】
I(x,y,t)=A/2×sin{θ(x,y)+t}+A/2 ・・・(8)
θ(x,y)=2π/a×[x−c/2×{|sin(2π/b×y)|}0.5] ・・・(9)
なお、xはx座標、yはy座標、tは変数(パラメータ、位相)、Aは振幅、a〜cは定数である。
【0108】
図12(a)は、tが0の場合である。図12(b)は、tがπ/2の場合である。図13(a)は、tがπの場合である。図13(b)は、tが3π/2の場合である。
【0109】
図12及び図13から分かるように、いずれの照明パターンも光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している。従って、このような照明パターンを用いてもよい。
【0110】
このように、本変形例においても、被検査体12の被検査面20を照明する照明パターンとして、光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している照明パターンを用いる。このため、本変形例によっても、様々な欠陥を確実に検出することができる。
【0111】
(変形例(その3))
次に、本実施形態の変形例(その3)による欠陥検査装置及び欠陥検査方法について図14及び図15を用いて説明する。
【0112】
本変形例による欠陥検査装置及び欠陥検査方法は、以下のようなパターンを用いるものである。
【0113】
図14及び図15は、本変形例による照明パターンの例を示す図である。
【0114】
図14及び図15は、以下のような式(10)、(11)で表される光強度分布I(x,y,t)の照明パターンである。
【0115】
I(x,y,t)=A/2×sin{θ(x,y)+t}+A/2 ・・・(10)
θ(x,y)=2π/a×[x−c/2×{|sin(2π/b×y)|}0.5] ・・・(11)
但し、式(11)は、sin(2π/b×y)≧0の場合である。
【0116】
θ(x,y)=2π/a×[x+c/2×{|sin(2π/b×y)|}0.5] ・・・(12)
但し、式(12)は、sin(2π/b×y)<0の場合である。
【0117】
なお、xはx座標、yはy座標、tは変数(パラメータ、位相)、Aは振幅、a〜cは定数である。
【0118】
図14(a)は、tが0の場合である。図14(b)は、tがπ/2の場合である。図15(a)は、tがπの場合である。図15(b)は、tが3π/2の場合である。
【0119】
図14及び図15から分かるように、いずれの照明パターンも光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している。従って、このような照明パターンを用いてもよい。
【0120】
このように、本変形例においても、被検査体12の被検査面20を照明する照明パターンとして、光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している照明パターンを用いる。このため、本変形例によっても、様々な欠陥を確実に検出することができる。
【0121】
(変形例(その4))
次に、本実施形態の変形例(その4)による欠陥検査装置及び欠陥検査方法について図16及び図17を用いて説明する。
【0122】
本変形例による欠陥検査装置及び欠陥検査方法は、以下のようなパターンを用いるものである。
【0123】
図16及び図17は、本変形例による照明パターンの例を示す図である。
【0124】
図16及び図17は、以下のような式(13)、(14)で表される光強度分布I(x,y,t)の照明パターンである。
【0125】
I(x,y,t)=A/2×sin{θ(x,y)+t}+A/2 ・・・(13)
θ(x,y)=π×sin(2π/a×x)×sin(2π/b×y) ・・・(14)
なお、xはx座標、yはy座標、tは変数(パラメータ、位相)、Aは振幅、a,bは定数である。
【0126】
図16(a)は、tが0の場合である。図16(b)は、tがπ/2の場合である。図17(a)は、tがπの場合である。図17(b)は、tが3π/2の場合である。
【0127】
図16及び図17から分かるように、いずれの照明パターンも光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している。従って、このような照明パターンを用いてもよい。
【0128】
このように、本変形例においても、被検査体12の被検査面20を照明する照明パターンとして、光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している照明パターンを用いる。このため、本変形例によっても、様々な欠陥を確実に検出することができる。
【0129】
(変形例(その5))
次に、本実施形態の変形例(その5)による欠陥検査装置及び欠陥検査方法について図18及び図19を用いて説明する。
【0130】
本変形例による欠陥検査装置及び欠陥検査方法は、以下のようなパターンを用いるものである。
【0131】
図18及び図19は、本変形例による照明パターンの例を示す図である。
【0132】
図18及び図19は、以下のような式(15)、(16)で表される光強度分布I(x,y,t)の照明パターンである。
【0133】
I(x,y,t)=A/2×sin{θ(x,y)+t}+A/2 ・・・(15)
θ(x,y)=2π×sin(2π/a×x)×sin(2π/b×y)×cos(2π/a×x)×cos(2π/b×y) ・・・(16)
なお、xはx座標、yはy座標、tは変数(パラメータ、位相)、Aは振幅、a,bは定数である。
【0134】
図18(a)は、tが0の場合である。図18(b)は、tがπ/2の場合である。図19(a)は、tがπの場合である。図19(b)は、tが3π/2の場合である。
【0135】
図18及び図19から分かるように、いずれの照明パターンも光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している。従って、このような照明パターンを用いてもよい。
【0136】
このように、本変形例においても、被検査体12の被検査面20を照明する照明パターンとして、光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している照明パターンを用いる。このため、本変形例によっても、様々な欠陥を確実に検出することができる。
【0137】
(変形例(その6))
次に、本実施形態の変形例(その6)による欠陥検査装置及び欠陥検査方法について図20及び図21を用いて説明する。
【0138】
本変形例による欠陥検査装置及び欠陥検査方法は、以下のようなパターンを用いるものである。
【0139】
図20及び図21は、本変形例による照明パターンの例を示す図である。
【0140】
図は、以下のような式(17)、(18)で表される光強度分布I(x,y,t)の照明パターンである。
【0141】
I(x,y,t)=A/2×sin{θ(x,y)+t}+A/2 ・・・(17)
θ(x,y)=π×sin(2π/a×x)×sin(2π/b×y)+2π/c×x ・・・(18)
なお、xはx座標、yはy座標、tは変数(パラメータ、位相)、Aは振幅、a〜cは定数である。
【0142】
図20(a)は、tが0の場合である。図20(b)は、tがπ/2の場合である。図21(a)は、tがπの場合である。図21(b)は、tが3π/2の場合である。
【0143】
図20及び図21から分かるように、いずれの照明パターンも光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している。従って、このような照明パターンを用いてもよい。
【0144】
このように、本変形例においても、被検査体12の被検査面20を照明する照明パターンとして、光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している照明パターンを用いる。このため、本変形例によっても、様々な欠陥を確実に検出することができる。
【0145】
(変形例(その7))
次に、本実施形態の変形例(その7)による欠陥検査装置及び欠陥検査方法について図22及び図23を用いて説明する。
【0146】
本変形例による欠陥検査装置及び欠陥検査方法は、以下のようなパターンを用いるものである。
【0147】
図22及び図23は、本変形例による照明パターンの例を示す図である。
【0148】
図22及び図23は、以下のような式(19)、(20)で表される光強度分布I(x,y,t)の照明パターンである。
【0149】
I(x,y,t)=A/2×sin{θ(x,y)+t}+A/2 ・・・(19)
θ(x,y)=π×sin(2π/a×x)×sin(2π/b×y)+2π/c×x+2π/d×y ・・・(20)
なお、xはx座標、yはy座標、tは変数(パラメータ、位相)、Aは振幅、a〜dは定数である。
【0150】
図22(a)は、tが0の場合である。図22(b)は、tがπ/2の場合である。図23(a)は、tがπの場合である。図23(b)は、tが3π/2の場合である。
【0151】
図22及び図23から分かるように、いずれの照明パターンも光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している。従って、このような照明パターンを用いてもよい。
【0152】
このように、本変形例においても、被検査体12の被検査面20を照明する照明パターンとして、光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している照明パターンを用いる。このため、本変形例によっても、様々な欠陥を確実に検出することができる。
【0153】
(変形例(その8))
次に、本実施形態の変形例(その8)による欠陥検査装置及び欠陥検査方法について図24及び図25を用いて説明する。
【0154】
本変形例による欠陥検査装置及び欠陥検査方法は、以下のようなパターンを用いるものである。
【0155】
図24及び図25は、本変形例による照明パターンの例を示す図である。
【0156】
図24及び図25は、以下のような式(21)、(22)で表される光強度分布I(x,y,t)の照明パターンである。
【0157】
I(x,y,t)=A/2×sin{θ(x,y)+t}+A/2 ・・・(21)
θ(x,y)=2π×sin(2π/a×x)×sin(2π/b×y)×cos(2π/a×x)×cos(2π/b×y)+2π/c×x ・・・(22)
なお、xはx座標、yはy座標、tは変数(パラメータ、位相)、Aは振幅、a〜cは定数である。
【0158】
図24(a)は、tが0の場合である。図24(b)は、tがπ/2の場合である。図25(a)は、tがπの場合である。図25(b)は、tが3π/2の場合である。
【0159】
図24及び図25から分かるように、いずれの照明パターンも光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している。従って、このような照明パターンを用いてもよい。
【0160】
このように、本変形例においても、被検査体12の被検査面20を照明する照明パターンとして、光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している照明パターンを用いる。このため、本変形例によっても、様々な欠陥を確実に検出することができる。
【0161】
(変形例(その9))
次に、本実施形態の変形例(その9)による欠陥検査装置及び欠陥検査方法について図26及び図27を用いて説明する。
【0162】
本変形例による欠陥検査装置及び欠陥検査方法は、以下のようなパターンを用いるものである。
【0163】
図26及び図27は、本変形例による照明パターンの例を示す図である。
【0164】
図26及び図27は、以下のような式(23)、(24)で表される光強度分布I(x,y,t)の照明パターンである。
【0165】
I(x,y,t)=A/2×sin{θ(x,y)+t}+A/2 ・・・(23)
θ(x,y)=2π×sin(2π/a×x)×sin(2π/b×y)×cos(2π/a×x)×cos(2π/b×y)+2π/c×x+2π/d×y ・・・(24)
なお、xはx座標、yはy座標、tは変数(パラメータ、位相)、Aは振幅、a〜dは定数である。
【0166】
図26(a)は、tが0の場合である。図26(b)は、tがπ/2の場合である。図27(a)は、tがπの場合である。図27(b)は、tが3π/2の場合である。
【0167】
図26及び図27から分かるように、いずれの照明パターンも光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している。従って、このような照明パターンを用いてもよい。
【0168】
このように、本変形例においても、被検査体12の被検査面20を照明する照明パターンとして、光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している照明パターンを用いる。このため、本変形例によっても、様々な欠陥を確実に検出することができる。
【0169】
[第2実施形態]
第2実施形態による欠陥検査装置及び欠陥検査方法を図2,図3,図28及び図29を用いて説明する。図1乃至図27に示す第1実施形態による欠陥検査装置及び欠陥検査方法と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0170】
(欠陥検査装置)
まず、本実施形態による欠陥検査装置について図28を用いて説明する。図28は、本実施形態による欠陥検査装置を示す概略図である。
【0171】
本実施形態による欠陥検査装置10aは、照明部18を移動させることにより、被検査体12の被検査面20の被検査領域を照明する照明パターンを適宜変化させるものである。
【0172】
図28に示すように、照明部18を移動させる移動機構(移動手段、移動部)40が設けられている。移動機構40は、照明制御部24により制御される。
【0173】
初期状態においては、tが0の照明パターンにより被検査体12の被検査面20の被検査領域が照明されるように、照明部18の位置が設定される。これにより、被検査体12の被検査面20の被検査領域が、例えば図2(a)に示すような照明パターンにより照明される。
【0174】
次の段階においては、tがπ/2の照明パターンにより被検査体12の被検査面20の被検査領域が照明されるように、照明部18が移動される。照明部18の位置をa/4の距離だけ移動させることにより、tがπ/2の照明パターンにより被検査体12の被検査面20の被検査領域が照明されるようになる。これにより、被検査体12の被検査面20の被検査領域が、例えば図2(b)に示すような照明パターンにより照明される。
【0175】
次の段階においては、tがπの照明パターンにより被検査体12の被検査面20の被検査領域が照明されるように、照明部18が移動される。照明部18の位置を更にa/4の距離だけ移動させることにより、tがπの照明パターンにより被検査体12の被検査面20の被検査領域が照明されるようになる。これにより、被検査体12の被検査面20の被検査領域が、例えば図3(a)に示すような照明パターンにより照明される。
【0176】
次の段階においては、tが3π/2の照明パターンにより被検査体12の被検査面20の被検査領域が照明されるように、照明部18が移動される。照明部18の位置を更にa/4の距離だけ移動させることにより、tが3π/2の照明パターンにより被検査体12の被検査面20の被検査領域が照明されるようになる。これにより、被検査体12の被検査面20の被検査領域が、例えば図3(b)に示すような照明パターンにより照明される。
【0177】
照明部18としては、第1実施形態と同様に、例えば液晶ディスプレイ等が用いられる。
【0178】
また、第1実施形態において上述したように、液晶プロジェクタを用いて照明部18を形成することも可能である。
【0179】
また、上記のような光強度分布に対応するように各部の透過率分布が設定されたフィルタを面照明の出射側に配することにより、照明部18を形成してもよい。
【0180】
このように本実施形態によっても、光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している照明パターンが用いられる。このため、本実施形態によっても、様々な欠陥を確実に検出し得る欠陥検査装置を提供することができる。
【0181】
(欠陥検査方法)
次に、本実施形態による欠陥検査方法について図29を用いて説明する。図29は、本実施形態による欠陥検査方法を示すフローチャートである。
【0182】
まず、被検査体12をステージ14上に載置する(ステップS11)。
【0183】
次に、照明部18により形成される照明パターンが被検査体12の被検査面20の被検査領域で反射されて撮像部22に達するように、被検査体12の角度を設定する(ステップS12)。被検査体12の角度の設定は、ステージ制御部16によりステージ14の角度を制御することにより行われる。
【0184】
次に、照明部18の位置の設定を行う(ステップS13)。照明部18の位置の設定は、例えば照明制御部24が移動機構40を制御することにより行われる。ここでは、照明部18の位置を初期状態に設定する。これにより、被検査体12の被検査面20の被検査領域を、tが0の照明パターン(第1の照明パターン)(図2(a)参照)により照明することが可能となる。
【0185】
次に、照明部18により形成される照明パターンにより被検査体12の被検査面20を照明しながら、撮像部22により被検査体12の被検査面20を撮像する(ステップS14)。撮像部22により取得された被検査面20の画像(第1の画像)は、記憶部28に記憶される。
【0186】
撮像部22による撮影が行われた際には、記憶部28内に撮影回数が記憶される。ここでは、第1回目の撮影が行われたため、撮影回数である1が記憶部28内に記憶される。
【0187】
本実施形態においても、図2及び図3に示すような4つの照明パターンを用いて検査を行うため、撮影回数が4回に達するまで撮影が行われる。この段階では、撮影回数が4に達していないため(ステップS15)、次の撮影に移行する。
【0188】
次の撮影においては、まず、照明部18の位置の設定を行う(ステップS13)。ここでは、照明部18の位置をa/4だけ移動する。照明部18の移動は、照明制御部24が移動機構40を制御することにより行われる。これにより、被検査体12の被検査面20の被検査領域を、tがπ/2の照明パターン(第2の照明パターン)(図2(b)参照)により照明することが可能となる。
【0189】
次に、照明部18により形成される照明パターンにより被検査体12の被検査面20を照明しながら、撮像部22により被検査体12の被検査面20を撮像する(ステップS14)。撮像部22により取得された被検査体12の被検査面20の画像(第2の画像)は、記憶部28に記憶される。
【0190】
撮像部22による撮影が行われた際には、記憶部28内に撮影回数が記憶される。ここでは、第2回目の撮影が行われたため、記憶部28内に撮影回数である2が記憶される。
【0191】
この段階では、撮影回数が4に達していないため(ステップS15)、次の撮影に移行する。
【0192】
次の撮影においては、まず、照明部18の位置の設定を行う(ステップS13)。ここでは、照明部18の位置を更にa/4だけ移動する。これにより、被検査体12の被検査面20の被検査領域を、tがπの照明パターン(第3の照明パターン)(図3(a)参照)により照明することが可能となる。
【0193】
次に、照明部18により形成される照明パターンにより被検査体12の被検査面20を照明しながら、撮像部22により被検査体12の被検査面20を撮像する(ステップS14)。撮像部22により取得された被検査面12の画像(第3の画像)は、記憶部28に記憶される。
【0194】
撮像部28による撮影が行われた際には、記憶部28内に撮影回数が記憶される。ここでは、第3回目の撮影が行われたため、記憶部28内に撮影回数である3が記憶される。
【0195】
この段階では、撮影回数が4に達していないため(ステップS15)、次の撮影に移行する。
【0196】
次の撮影においては、まず、照明部18の位置の設定を行う(ステップS13)。ここでは、照明部18の位置を更にa/4だけ移動する。これにより、被検査体12の被検査面20の被検査領域を、tが3π/2の照明パターン(第4の照明パターン)(図3(b)参照)により照明することが可能となる。
【0197】
次に、照明部18により形成される照明パターンにより被検査体12の被検査面20を照明しながら、撮像部22により被検査体12の被検査面20を撮像する(ステップS14)。撮像部22により取得された被検査面12の画像(第4の画像)は、記憶部28に記憶される。
【0198】
撮像部22による撮影が行われた際には、記憶部22内に撮影回数が記憶される。ここでは、第4回目の撮影が行われたため、記憶部28内に撮影回数である4が記憶される。
【0199】
この段階で撮影回数が4となる。この後のステップS16〜S19は、上述した第1実施形態による欠陥検査方法におけるステップS6〜S9と同様であるため省略する。
【0200】
こうして、本実施形態の欠陥検査方法が行われる。
【0201】
このように、照明部18を移動させることにより、被検査体12の被検査面20の被検査領域を照明する照明パターンを変化させるようにしてもよい。本実施形態によっても、光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している照明パターンを用いるため、様々な欠陥を確実に検出し得る欠陥検査方法を提供することができる。
【0202】
[変形実施形態]
上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0203】
例えば、第2実施形態では、図2及び図3に示すような照明パターンにより被検査体12の被検査面20の被検査領域を照明する場合を例に説明したが、照明パターンは図2及び図3に示すような照明パターンに限定されるものではない。例えば、図10及び図11に示すような照明パターンにより被検査体12の被検査面20の被検査領域を照明するようにしてもよい。照明パターンを順次移動させることにより、図10及び図11に示すような照明パターンにより被検査体12の被検査面20の被検査領域を順次照明することが可能である。また、図12及び図13に示すような照明パターンにより被検査体12の被検査面20の被検査領域を照明するようにしてもよい。照明パターンを順次移動させることにより、図12及び図13に示すような照明パターンにより被検査体12の被検査面20の被検査領域を順次照明することが可能である。また、図14及び図15に示すような照明パターンにより被検査体12の被検査面20の被検査領域を照明するようにしてもよい。照明パターンを順次移動させることにより、図14及び図15に示すような照明パターンにより被検査体12の被検査面20の被検査領域を順次照明することが可能である。
【0204】
上記実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0205】
(付記1)
光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している照明パターンにより、被検査体の被検査面を照明する照明部と、
前記照明部の前記照明パターンにより前記被検査面を照明した状態で、前記被検査面を撮像する撮像部と、
前記撮像部により取得された前記被検査面の画像に基づいて、前記被検査面における欠陥を検出する処理部と
を有することを特徴とする欠陥検査装置。
【0206】
(付記2)
付記1記載の欠陥検査装置において、
前記照明部は、前記照明パターンを順次変化させ、
前記撮像部は、前記照明パターンが変化する毎に前記被検査面を順次撮像し、
前記処理部は、前記撮像部により取得された前記被検査面の複数の画像に基づいて、前記被検査面における欠陥を検出する
ことを特徴とする欠陥検査装置。
【0207】
(付記3)
付記1記載の欠陥検査装置において、
前記照明部を移動させる移動機構を更に有し、
前記撮像部は、前記照明部が移動する毎に前記被検査面を順次撮像し、
前記処理部は、前記撮像部により取得された前記被検査面の複数の画像に基づいて、前記被検査面における欠陥を検出する
ことを特徴とする欠陥検査装置。
【0208】
(付記4)
光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している照明パターンにより被検査体の被検査面を照明した状態で、前記被検査面を撮影することにより、前記被検査面の画像を取得し、
取得された前記被検査面の前記画像に基づいて、前記被検査面における欠陥を検出する
ことを特徴とする欠陥検査方法。
【0209】
(付記5)
付記4記載の欠陥検査方法において、
前記被検査面の画像を取得する際には、前記照明パターンを順次変化させ、前記照明パターンが変化する毎に前記被検査面の画像を順次取得し、
前記被検査面における欠陥を検出する際には、取得された前記被検査面の複数の前記画像に基づいて前記被検査面における欠陥を検出する
ことを特徴とする欠陥検査方法。
【0210】
(付記6)
付記4記載の欠陥検査方法において、
前記被検査面の画像を取得する際には、前記照明パターンを移動させ、前記照明パターンが移動する毎に前記被検査面の画像を順次取得し、
前記被検査面における欠陥を検出する際には、取得された前記被検査面の複数の前記画像に基づいて前記被検査面における欠陥を検出する
ことを特徴とする欠陥検査方法。
【符号の説明】
【0211】
10、10a…欠陥検査装置
12…被検査体
14…ステージ
16…ステージ制御部
18…照明部
20…被検査面
22…撮像部
23…レンズ
24…照明制御部
26…撮像制御部
28…記憶部
30…装置制御部
32…演算部
34…入出力インターフェース
36…入出力部
38…表示部
40…移動機構
112…被検査体
113…塗膜
115、115a、115b…欠陥
117…異物
118…照明部
120…被検査面
122…撮像部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している照明パターンにより、被検査体の被検査面を照明する照明部と、
前記照明部の前記照明パターンにより前記被検査面を照明した状態で、前記被検査面を撮像する撮像部と、
前記撮像部により取得された前記被検査面の画像に基づいて、前記被検査面における欠陥を検出する処理部と
を有することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の欠陥検査装置において、
前記照明部は、前記照明パターンを順次変化させ、
前記撮像部は、前記照明パターンが変化する毎に前記被検査面を順次撮像し、
前記処理部は、前記撮像部により取得された前記被検査面の複数の画像に基づいて、前記被検査面における欠陥を検出する
ことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項3】
請求項1記載の欠陥検査装置において、
前記照明部を移動させる移動機構を更に有し、
前記撮像部は、前記照明部が移動する毎に前記被検査面を順次撮像し、
前記処理部は、前記撮像部により取得された前記被検査面の複数の画像に基づいて、前記被検査面における欠陥を検出する
ことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項4】
光強度分布が全方向において周期的に徐々に変化している照明パターンにより被検査体の被検査面を照明した状態で、前記被検査面を撮影することにより、前記被検査面の画像を取得し、
取得された前記被検査面の前記画像に基づいて、前記被検査面における欠陥を検出する
ことを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項5】
請求項4記載の欠陥検査方法において、
前記被検査面の画像を取得する際には、前記照明パターンを順次変化させ、前記照明パターンが変化する毎に前記被検査面の画像を順次取得し、
前記被検査面における欠陥を検出する際には、取得された前記被検査面の複数の前記画像に基づいて前記被検査面における欠陥を検出する
ことを特徴とする欠陥検査方法。

【図1】
image rotate

【図5】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate


【公開番号】特開2012−230005(P2012−230005A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98665(P2011−98665)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】