説明

歌詞文字の立体表示機能を有するカラオケシステム

【課題】 演奏の進行に伴って歌詞文字を色変わりさせることなく歌唱タイミングを示すとともに、歌詞文字を正確に認識させる。
【解決手段】 それぞれ明度の異なる2つの立体ソース画像を設定し、当該2つの立体ソース画像を重ね合わせて視認させることにより、DFD錯視現象を用いて立体画像を表示する。楽曲毎に設定された歌詞描出データから歌詞文字画像の表示タイミングデータを取得して、歌詞文字画像の描出を行う歌詞描出制御手段38aと、歌詞描出データから歌唱位置データを取得して、歌唱位置を指示するために一の歌詞文字を区分し、歌唱済区分又は未歌唱区分のいずれか一方を、2つの立体ソース画像を用いて立体歌詞画像として表示する表示変換制御手段38bと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歌詞文字を立体的に表示可能なカラオケシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在一般的に普及しているカラオケシステムでは、カラオケ楽曲を演奏する際に、ディスプレイの画面に、楽曲の雰囲気に合わせた背景映像を映し出すとともに、演奏の進行に同期させて歌詞文字を表示することにより、歌唱者に対して歌唱タイミングを示すようになっている。
【0003】
例えば、歌詞文字は、これから歌唱する歌唱区分毎にブロック表示され、さらに歌唱タイミングを示すために演奏の進行に伴って色変わりするようになっている。歌唱者は、この歌詞文字の色変わりタイミングに合わせて歌唱を行うことにより、歌唱タイミングを容易に把握することができるので、カラオケシステムを用いた歌唱の楽しさを十分に味わうことができるようになっている。
【0004】
ところで、歌詞文字を色変わりさせて歌唱タイミングを示す場合には、これから歌唱する歌詞の文字列の色と、既に歌唱した歌詞の文字列の色とが異なるため、ディスプレイの画面に表示された歌詞文字全体を見た際に、歌詞文字が見にくくなる場合があった。
【0005】
このような不都合に対して、ディスプレイの画面に表示される歌詞文字の表示色を変更することなく、歌唱タイミングを示すことができる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されている技術は、歌詞文字列を指定する歌詞情報と、現在の歌唱位置を指定する歌唱位置情報とを含む楽曲データを記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された楽曲データを読み出して出力する制御手段と、制御手段によって出力された楽曲データに含まれる歌詞情報によって指定される歌詞文字列を表示するとともに、これに加えて、当該楽曲データに含まれる歌唱位置情報によって指定される位置に、現在の歌唱位置を表す歌唱位置表示体を表示する表示手段と、を備えたものである。すなわち、特許文献1に記載された技術では、演奏の進行に伴って、歌唱すべき歌詞文字の位置にアニメーションやカーソルを表示することにより、歌唱タイミングを示すようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−276182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1に記載された技術では、ディスプレイの画面に表示される歌詞文字の表示色を変更することなく、歌唱タイミングを示すことができる。しかし、歌唱タイミングを示すためにアニメーションやカーソルを表示しているため、これらの付加表示が邪魔になって、歌詞文字を正確に認識することができない場合がある。また、歌詞文字以外にアニメーションやカーソルを表示した場合には、それだけ背景映像を表示するための領域が狭くなってしまう。このため、せっかく楽曲の雰囲気に合わせた背景映像が映し出されているにも拘わらず、歌詞文字の色変わりが邪魔になってしまい、楽曲の演奏及び歌唱とともに背景映像を楽しませるという、カラオケシステムの目的を阻害することになってしまう。
【0008】
さらに、観衆となる聴取者は、歌唱者の歌唱を聴取するだけではなく、楽曲の雰囲気に合わせた背景映像を楽しむことになる。この際、演奏の進行に同期して歌詞文字が色変わりすると、特に色変わりする歌詞文字部分に注意が向いてしまう。一方、歌唱を行わない聴取者であっても、自ら知っている楽曲が演奏される際に歌詞を口ずさみたいという欲求もあり、この場合には、歌唱者だけではなく聴取者に対しても歌唱タイミングを示す歌詞文字の表示態様の変更を認識させる必要がある。
【0009】
本発明は上述した事情に鑑み提案されたもので、演奏の進行に伴って歌詞文字を色変わりさせることなく歌唱タイミングを示すことができるとともに、歌詞文字を正確に認識させることが可能なカラオケシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の歌詞文字の立体表示機能を有するカラオケシステムは、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を備えている。すなわち、本発明の歌詞文字の立体表示機能を有するカラオケシステムは、カラオケ楽曲の演奏に伴ってディスプレイに表示させる歌詞文字の複数の構成要素毎に、それぞれ明度の異なる2つの立体ソース画像を用意し、当該2つの立体ソース画像を重ね合わせて視認させることにより、DFD(Depth−Fused 3−D)錯視現象を用いて、歌詞文字を立体歌詞画像として表示可能としたカラオケシステムであって、歌詞描出制御手段と、表示変換制御手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
歌詞描出制御手段は、楽曲毎に設定された歌詞描出データから、演奏に同期した歌詞文字画像の表示タイミングデータを取得し、当該取得したデータに基づいて、ディスプレイに表示される歌詞文字画像の描出を行うための手段である。表示変換制御手段は、歌詞描出データから、演奏に同期した歌唱位置データを取得し、一の歌詞文字において、所定の分割条件に基づいて設定された歌唱位置を指示するための各区分について、任意の歌唱位置の前後における歌唱済区分又は未歌唱区分のいずれか一方を、それぞれ明度の異なる2つの立体ソース画像を用いて立体歌詞画像として表示するための手段である。
【0012】
このような構成からなる歌詞文字の立体表示機能を有するカラオケシステムでは、歌詞描出制御手段の機能により、演奏の進行に同期して歌詞文字が表示されるとともに、歌唱タイミングを示すために歌詞文字の表示態様が変更される。この際、表示変換制御手段の機能により、所定の分割条件に基づいて設定された歌唱位置を指示するための各区分が、平面画像から立体画像となるように変換制御され、又は立体画像から平面画像となるように変換制御される。
【0013】
また、本発明の歌詞文字の立体表示機能を有するカラオケシステムは、上述した構成に加えて、表示変換制御手段の機能として、立体歌詞画像が表示された区分以外の区分については、それぞれ明度の異なる2つの立体ソース画像のいずれか一方のみを用いて平面歌詞画像を表示するように構成することが可能である。
【0014】
このような構成からなるカラオケシステムでは、立体歌詞画像を表示する場合には、それぞれ明度の異なる2つの立体ソース画像を用い、平面歌詞画像を表示する場合には、当該2つの立体ソース画像のいずれか一方のみを用いる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のカラオケシステムによれば、演奏の進行に従ってディスプレイの画面に表示される歌詞文字について、色変わりさせることなく、しかもカーソルやアンダーライン等の煩わしい表示を行うことなく、その歌唱タイミングを表示することができる。したがって、歌唱者に対しては、色変わりによらない画像変換により歌唱タイミングを認識させることができる一方、その他の利用者(聴取者)は、歌詞文字の色変わり表示やカーソル、アンダーライン等に煩わされることなく、楽曲の演奏及び歌唱とともに背景映像を楽しむことが可能となる。さらに、歌唱者だけではなく聴取者に対しても歌唱タイミングを示す歌詞文字の表示態様の変更を認識させることができるので、歌唱者とともに歌詞を口ずさみたいという聴取者の欲求を満足させることができる。
【0016】
また、CGを用いて3Dアニメーションにより擬似的な立体歌詞文字を表示することにより、本願発明と近似した効果が期待できるものの、現在では10万曲を超える楽曲を扱うカラオケシステムでは、映像作成技術者が、楽曲毎にそれぞれ個別に3Dアニメーションを作成しなければならず、莫大なコストや手間がかかり、現実的ではない。一方、本願発明では、楽曲毎の歌詞描出データに付帯しているフォントデータやその明度データを用いて立体歌詞文字を自動生成することができるため、予め楽曲毎にそれぞれ個別に立体歌詞文字を用意する必要がなく、コスト及び手間を大幅に削減することができる。
【0017】
また、立体歌詞画像を表示する場合には、2つの立体ソース画像を用い、平面歌詞画像を表示する場合には、2つの立体ソース画像のいずれか一方のみを用いる構成では、歌詞画像を表示するためのソース画像作成の手間やコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係るカラオケシステムの概略構成を示すブロック図。
【図2】歌詞文字の表示態様変更の様子を示す説明図。
【図3】第1の実施形態に係る歌詞文字の表示手順を示すフローチャート。
【図4】第2の実施形態に係る歌詞文字の表示手順を示すフローチャート。
【図5】DFD錯視現象による立体画像の表示原理を示す説明図。
【図6】歌詞文字の構成要素を用いた立体化原理を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<基本構成>
以下、図面を参照して、本発明の歌詞文字の立体表示機能を有するカラオケシステム(以下、カラオケシステムという)の実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態に係るカラオケシステムの概略構成を示すブロック図である。
【0020】
本発明の実施形態に係るカラオケシステム10は、図1に示すように、カラオケ本体21、カラオケリモコン装置22、マイクロホン23、スピーカ24、ミキシングアンプ25、ディスプレイ装置26を備えている。
【0021】
<カラオケリモコン装置>
カラオケリモコン装置22は、ユーザインタフェース機能を備えており、カラオケ本体21の送受信手段35に対して有線方式又は無線方式によりデータの送受信を行うようになっている。このカラオケリモコン装置22は、楽曲検索手段22aとして機能するプログラム、楽曲索引データベース22b、データの送受信を行うための電子回路及びプログラム、フラッシュメモリ等からなる記憶手段(図示せず)を備えている。このカラオケリモコン装置22に付帯するスイッチ類や、入出力表示部(図示せず)に表示される各種のアイコン等を操作することにより、選曲操作等が行われる。
【0022】
<楽曲検索手段/楽曲索引データベース>
楽曲検索手段22aは、利用者の指示に基づき、楽曲索引データベース22bを参照して楽曲を検索するためのプログラムからなる。楽曲索引データベース22bは、カラオケシステム10で演奏に供されるカラオケ楽曲についての属性情報を記述したデータベースであり、例えば、楽曲番号・曲名・歌手名・歌い出し部分の歌詞・流行時期・音楽ジャンル区分・デュエット曲か否かなど、種々の属性情報がこれに含まれている。
【0023】
<カラオケ本体>
カラオケ本体21は、中央制御手段31、ROM32、RAM33、HDD34、送受信手段35、予約管理手段36、音楽再生制御手段37、映像再生制御手段38を備えており、映像再生制御手段38は、歌詞描出制御手段38a及び表示変換制御手段38bを含んでいる。
【0024】
<中央制御手段>
中央制御手段31は、カラオケ本体21を総合的に制御するための手段であり、例えばCPU及びその周辺機器により構成されており、CPU等がROM32等に記憶されたアプリケーションプログラムに従って動作することにより、制御機能を発揮することができるようになっている。
【0025】
<ROM/RAM>
ROM32は、カラオケ本体21を構成する各機器を制御するためのアプリケーションプログラムデータや数値データを記憶するための機器で、例えば半導体メモリ等で構成される。また、RAM33は、アプリケーションプログラムや各種データを一時的に記憶する一時記憶領域として機能するもので、例えば半導体メモリ等で構成される。なお、物理的な半導体メモリによりRAM33を構成するのではなく、ハードディスク記憶装置等を用いて仮想的なRAM33を構成してもよい。本実施形態では、RAM33に、予約待ち行列33aが記憶されるようになっている。
【0026】
<HDD>
HDD34は、大容量記憶装置として機能するもので、楽曲データベース34a及び映像データベース34bが格納されている。なお、HDD34に替えて、あるいはHDD34とともに、データを書き替え可能なDVD等の大容量記憶装置を用いてもよい。
【0027】
楽曲データベース34aは、演奏データ(MIDI(登録商標)データ)及び歌詞描出データが同期されて構成される楽曲データについて、楽曲IDと対応付けてそれぞれ格納したデータベースである。演奏データは各楽曲の演奏データをデジタル化したものであり、歌詞描出データは演奏に同期した歌詞文字の表示タイミングデータ及び歌唱位置データを含んでいる。本実施形態では、歌詞描出制御手段38aにより、楽曲毎に設定された歌詞描出データから、歌詞文字の表示タイミングデータが取得される。また、表示変換制御手段38bにより、楽曲毎に設定された歌詞描出データから、歌詞文字の歌唱位置データが取得される。映像データベース34bは、演奏されるカラオケ楽曲に対応した背景映像を、当該カラオケ楽曲の楽曲IDに対応させた映像ファイルとして所定数格納したデータベースである。
【0028】
<送受信手段>
送受信手段35は、カラオケ本体21とカラオケリモコン装置22との間で、データの送受信を行うための電子回路及びプログラムからなる。本実施形態では、赤外線通信により、カラオケ本体21とカラオケリモコン装置22との間で、データの送受信が行われる。
【0029】
<予約管理手段>
予約管理手段36は、利用者により楽曲検索手段22aの機能を用いて選曲され、送受信手段35を介して受信した楽曲IDを、選曲順に演奏予約待ち行列33aとしてRAM33に格納し、管理するためのプログラムからなる。
【0030】
<音楽再生制御手段>
音楽再生制御手段37は、楽曲IDに基づいて楽曲データベース34aから抽出された演奏データをデジタル再生するとともにアナログ変換してミキシングアンプ25に出力するための電子回路である。ミキシングアンプ25は、マイクロホン23から入力された歌唱者の歌唱音声信号と、音楽再生制御手段37から送出される演奏音声信号とをミキシングするとともに、アンプ機能により増幅してスピーカ24より出力させるための装置である。
【0031】
<映像再生制御手段>
映像再生制御手段38は、カラオケ楽曲の演奏中に、映像データベース34bから抽出した映像データ及び楽曲データベース34aから抽出した楽曲データのうちの歌詞テロップデータ(歌詞文字データ)を、当該カラオケ楽曲の演奏データに同期させてディスプレイ装置26に出力するための電子回路である。また、映像再生制御手段38は、歌詞描出制御手段38a及び表示変換制御手段38bの機能を含んでいる。
【0032】
<歌詞描出制御手段>
歌詞描出制御手段38aは、楽曲毎に設定された歌詞描出データから、演奏に同期した歌詞文字画像の表示タイミングデータを取得し、当該取得したデータに基づいて、ディスプレイに表示される歌詞文字画像の描出を行うためのプログラムからなる。歌詞描出制御手段38aでは、カラオケ楽曲の演奏進行に従って歌詞文字の表示制御を行うが、この際、歌詞文字は、表示変換制御手段38bの機能により、平面画像から立体画像となるように変換制御され、又は立体画像から平面画像となるように変換表示される。
【0033】
<表示変換制御手段>
表示変換制御手段38bは、歌詞描出データから、演奏に同期した歌唱位置データを取得し、一の歌詞文字において、所定の分割条件に基づいて設定された歌唱位置を指示するための各区分について、任意の歌唱位置の前後における歌唱済区分又は未歌唱区分のいずれか一方を、それぞれ明度の異なる2つの立体ソース画像を用いて立体歌詞画像として表示するためのプログラムからなる。
【0034】
本実施形態では、DFD錯視現象を用いた立体画像表示方式を用いて、歌詞文字が立体表示されるが、この際、表示変換手段では、DFD錯視現象を用いた立体画像表示方式に合致する表示変換制御用データに基づいて、平面画像と立体画像との変換制御が行われる。立体画像の表示方式については、後に詳述する。
【0035】
<ディスプレイ装置>
ディスプレイ装置26は、カラオケ演奏時の映像、歌詞テロップ等を表示するための装置で、例えば、液晶ディスプレイ等により構成される。
【0036】
<歌詞文字の表示態様変更>
図2に歌詞文字の表示態様変更の様子を示す。上述したように、歌詞文字は演奏の進行に同期して表示されるとともに、歌唱タイミングを示すため、複数部分に区分された歌詞文字の各区分について、平面画像から立体画像となるように変換され、又は立体画像から平面画像となるように変換される。
【0037】
すなわち、図2に示すように、歌詞文字は予め設定された分割条件に基づいて複数ブロックに区分されている。図2に示す例では、歌詞文字は、その表示態様の変更方向である左右方向に5分割されている。そして、立体画像として表示されている歌詞文字が、歌唱タイミングに合わせて、左側のブロックから順に平面画像へと変換される。
【0038】
すなわち、t1の演奏区分では、最も左側のブロック1が平面画像として表示され、ブロック2からブロック5が立体画像として表示される。同様にして、t2の演奏区分に移行すると、ブロック1からブロック2が平面画像として表示され、ブロック3からブロック5が立体画像として表示される。さらに、t3の演奏区分では、ブロック1からブロック3が平面画像として表示され、ブロック4からブロック5が立体画像として表示される。このようにして、演奏の進行に伴って歌唱タイミングを示すために、複数ブロックに分割された歌詞文字が順次、立体画像から平面画像に変換される。なお、平面画像として表示されている歌詞文字が、歌唱タイミングに合わせて、順次、立体画像として表示されるようにしてもよい。また、歌詞文字の分割条件はどのようなものであってもよく、例えば、表示態様の変更方向に沿って2つ、3つ、4つ、5つ等の複数に分割してもよいし、1つの歌詞文字については全体として1ブロックとしてもよい。
【0039】
図3及び図4を参照して、歌詞文字画像の表示手順について説明する。図3は第1の実施形態に係る歌詞文字の表示手順を示すフローチャート、図4は第2の実施形態に係る歌詞文字の表示手順を示すフローチャートである。
【0040】
第1の実施形態に係る歌詞文字の表示手順では、立体歌詞画像を表示する場合には、それぞれ明度が異なる前側の液晶表示画用の立体ソース画像と、後側の液晶表示面用の立体ソース画像を用い、平面歌詞画像を表示する場合には、当該2つの立体ソース画像のいずれか一方のみを用いるようにしたものである。すなわち、図3に示すように、未歌唱区分については、それぞれ明度が異なる2つの立体ソース画像を用いて歌詞文字を表示する(S1)。これにより、歌唱者及び聴取者は、歌詞文字の未歌唱区分を立体画像として認識することができる。
【0041】
そして、歌唱位置に到達すると(S2)、2つの立体ソース画像のうちのいずれか一方を消去して歌詞文字を表示する(S3)。これにより、歌唱者及び聴取者は、歌詞文字の歌唱済区分を平面画像として認識することになる。
【0042】
第2の実施形態に係る歌詞文字の表示手順では、立体歌詞画像を表示する場合には、それぞれ明度が異なる前側の液晶表示画用の立体ソース画像と、後側の液晶表示面用の立体ソース画像を用い、平面歌詞画像を表示する場合には、別途用意した平面画像を用いるようにしたものである。すなわち、図4に示すように、未歌唱区分については、それぞれ明度が異なる2つの立体ソース画像を用いて歌詞文字を表示する(S11)。これにより、歌唱者及び聴取者は、歌詞文字の未歌唱区分を立体画像として認識することができる。
【0043】
そして、歌唱位置に到達すると(S12)、2つの立体画像を消去して、平面画像からなる歌詞文字を表示する(S13)。これにより、歌唱者及び聴取者は、歌詞文字の歌唱済区分を平面画像として認識することになる。
【0044】
<立体画像の表示方式>
立体画像の表示方式には種々の方式があるが、本実施形態では、DFD(Depth−Fused 3−D)錯視現象を利用した立体画像の表示方式を採用している。図5は、DFD錯視現象による立体画像の表示方法の説明図である。
【0045】
DFD錯視現象とは、図5に示すように、ディスプレイを視認する利用者から見て奥行きが重なるようにして、2枚の液晶表示面を設置し、表示したい立体画像を、前後それぞれの液晶表示面に視認者の位置から見て重なり合うような投影像として表示する。そして、視認させたい立体画像の奥行き位置に対応させて、2枚の液晶表示面にそれぞれ表示される画像の輝度比を変化させる。例えば、前側の液晶表示面に表示させる画像の輝度割合を高く設定し、後側の液晶表示面に表示させる画像の輝度割合を低く設定すると、利用者は立体画像が前面に近くなるような錯視を起こす。反対に、前側の液晶表示面に表示させる画像の輝度割合を低く設定し、後側の液晶表示面に表示させる画像の輝度割合を高く設定すると、利用者は立体画像が後面に近くなるような錯視を起こす。
【0046】
また、2枚の液晶表示面を前後に並べて設置するのではなく、2枚の液晶表示面を所定の角度で設置するとともに、両者の間にハーフミラーを設置して、各液晶表示面に表示される画像を、利用者から見て光学的に重なり合うようにしてもよい。
【0047】
なお、本実施形態では、2枚の液晶表示面を用いて歌詞文字を立体画像として表示している。この場合、これらの2枚の液晶表示面を用いて背景映像を表示してもよいが、さらに他の液晶表示面を用意して、この液晶表示面に背景映像を表示することにより、3つのレイヤーを重ね合わせて、背景映像と立体歌詞画像とを表示してもよい。
【0048】
図6を参照して、歌詞文字の構成要素を用いた立体化原理を説明する。図6は、歌詞文字の構成要素を用いた立体化原理を示す説明図である。DFD錯視現象を用いて歌詞文字を立体的に表示するには、図6に示すように、歌詞文字を複数のエッジを有する立体ソース画像として構成し、エッジ毎に明度のグラデーションを持たせる。そして、明度のグラデーションがそれぞれ異なる2つの立体ソース画像を、前後それぞれの液晶表示面に視認者の位置から見て重なり合うような投影像として表示することにより、歌詞文字を立体歌詞画像として表示することができる。
【0049】
<他の実施形態>
本発明のカラオケシステム10及びその周辺装置を構成する機器や手段は上述したものに限定されず、その利用目的に応じて、必要な機器や手段のみの構成としたり、適宜他の機器や手段を付加したりすることができる。また、各手段をそれぞれ別個のものとして構成するのではなく、複数の機能を統合した手段として構成してもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 カラオケシステム
21 カラオケ本体
22 カラオケリモコン装置
22a 楽曲検索手段
22b 楽曲索引データベース
23 マイクロホン
24 スピーカ
25 ミキシングアンプ
26 ディスプレイ装置
31 中央制御手段
32 ROM
33 RAM
33a 予約待ち行列
34 HDD
34a 楽曲データベース
34b 映像データベース
35 送受信手段
36 予約管理手段
37 音楽再生制御手段
38 映像再生制御手段
38a 歌詞描出制御手段
38b 表示変換制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケ楽曲の演奏に伴ってディスプレイに表示させる歌詞文字の複数の構成要素毎に、それぞれ明度の異なる2つの立体ソース画像を用意し、当該2つの立体ソース画像を重ね合わせて視認させることにより、DFD錯視現象を用いて、歌詞文字を立体歌詞画像として表示可能としたカラオケシステムであって、歌詞描出制御手段と、表示変換制御手段と、を備え、
前記歌詞描出制御手段は、楽曲毎に設定された歌詞描出データから、演奏に同期した歌詞文字画像の表示タイミングデータを取得し、当該取得したデータに基づいて、ディスプレイに表示される歌詞文字画像の描出を行い、
前記表示変換制御手段は、前記歌詞描出データから、演奏に同期した歌唱位置データを取得し、一の歌詞文字において、所定の分割条件に基づいて設定された歌唱位置を指示するための各区分について、任意の歌唱位置の前後における歌唱済区分又は未歌唱区分のいずれか一方を、前記2つの立体ソース画像を用いて立体歌詞画像として表示する、
ことを特徴とする歌詞文字の立体表示機能を有するカラオケシステム。
【請求項2】
前記表示変換制御手段は、前記立体歌詞画像が表示された区分以外の区分については、前記2つの立体ソース画像のいずれか一方のみを用いて平面歌詞画像を表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の歌詞文字の立体表示機能を有するカラオケシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−53345(P2011−53345A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200625(P2009−200625)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】