正に荷電した部分を含有するポリマー複合体
本発明は、正に荷電した部分を含有するポリマー複合体を提供する。また、ポリマー送達システムを作出する方法、およびポリマー送達システムを使用して哺乳動物を治療する方法も開示する。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、2006年9月15日に出願された米国仮特許出願第60/844,944号明細書、2006年9月15日に出願された同第60/844,945号明細書、2006年11月27日に出願された同第60/861,349号明細書、2006年11月27日に出願された同第60/861,350号明細書、2007年4月13日に出願された同第60/911,734号明細書および2007年8月20日に出願された同第60/956,814号明細書の優先権の利益を主張し、それらのそれぞれの内容は、本明細書において参照により援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、正に荷電した部分を含有するポリマー複合体に関する。また、ポリマー送達システムを作出する方法、およびポリマー送達システムを使用して哺乳動物を治療する方法についても開示する。
【背景技術】
【0003】
これまでに、タンパク質、ペプチドなどのような生物学的に活性な部分の送達に使用される場合、ポリマーまたはポリマーを含有する複合体の正電荷を増加することが有益であることが分かっている。例えば、本発明の譲受人に譲渡された特許文献1は、単一の第二級または第三級アミン基が結合しているPEGおよび関連ポリアルキレンオキシドについて記載している。組み合わせることの目的は、アミンが導入されたポリマーに、複合体の効果をモジュレートするpIおよび/またはpHを付与させることであった。それ故、複合体に含まれる生物活性材料の等電点は、所望されるポイントに調整され得る。上記の特許文献1は、従来の活性化されたポリマーで観察される効果を妨害する溶液を提供し、ここで、しばしば、至適活性の損失に至る等電点の偏向が観察された。
【0004】
数年間の間、いくつかのオリゴヌクレオチド系の治療剤は、RNA干渉およびマイクロRNAの発見および開発、ならびにロックされた核酸(LNA)構造骨格の使用のような組成設計の改善によって例示されるいくらかの利点から利益を得ている。短鎖干渉RNA(siRNA)は、ほんの数年間の間に、研究用ツールから臨床治験における治療用薬剤にまで発展した。しかし、インビボでの送達がなお、オリゴヌクレオチド系の治療の治療可能性を十分に現実化するのに主な障壁になっている。現在、コンパートメント内直接注入および連続輸注がなお、主な投与経路である。その結果、治療目的で使用されるオリゴヌクレオチドの分野では、薬物送達技術の改善が求められている。
【0005】
オリゴヌクレオチドの高度に負に荷電した骨格のため、それらが細胞膜を横切り、それらの生物学的活性を示すことは、しばしば困難である。負電荷は、オリゴヌクレオチドが負に荷電した細胞膜に接近することを妨害し、それ故、エンドサイトーシスを減少する。これまでにも、この問題に取り組むために、オリゴヌクレオチドが、正に荷電したペプチド、カチオン性脂質またはカチオン性ポリマーに結合され、またはそれらと複合体化されている。結果は、完全に満足のいくものではなかった。それ故、さらなる改善が所望された。本発明は、このような必要性などに取り組んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,730,990号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の問題を克服し、薬物送達のための技術を改善するために、正に荷電した骨格を含有する新規のポリマー送達システムが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様では、式(I):
【化1】
【0009】
[式中
各Z1は、独立して、
【化2】
【0010】
であり;
各Z2は、独立して選択されるキャッピング基:
【化3】
【0011】
であり;
R1は、実質的に非抗原性のポリマーであり;
R2およびR'2は、独立して選択される正電荷含有ペプチドまたは窒素含有環状炭化水素部分であり;
R3およびR'3は、独立して選択される標的化剤であり;
R4は、生物学的に活性な部分であり;
B1、B'1およびB''1は、独立して選択される分岐基であり;
L1、L'1、L1''、L1'''およびL1''''は、独立して選択される二官能性リンカーであり;
L2、L'2およびL''2は、独立して選択される遊離可能なリンカーであり;
(a)は、正の整数、好ましくは、1〜約31、より好ましくは、約3〜約8、および最も好ましくは、1であり;
(b)は、0もしくは正の整数、好ましくは、約0〜約31、より好ましくは、約3〜約7であり;
(c)、(c')および(c'')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0、1、2もしくは3、およびより好ましくは、0もしくは1であり;
(d)、(d')、(i)、(i')および(i'')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0、1、2もしくは3、およびより好ましくは、0もしくは1であり;
(e)は、正の整数、好ましくは、1、2もしくは3、およびより好ましくは、1もしくは2であり;
(e')および(e'')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0、1、2もしくは3、およびより好ましくは、0、1もしくは2であり;
(f)および(f')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0、1、もしくは2、およびより好ましくは、0もしくは1であり;
(g)は、正の整数、好ましくは、約1〜約5、およびより好ましくは、1もしくは2であり;
(g')は、0もしくは正の整数、好ましくは、0もしくは約1〜約5の整数、およびより好ましくは、0、1もしくは2であり;
(h)および(h')は、独立して選択される正の整数、好ましくは、約1〜約8、より好ましくは、1、2、3もしくは4、および最も好ましくは、1もしくは2であり;
(b)が0ではなく、すべてのZ2がキャッピング基、
【化4】
【0012】
であるか、または組合せである場合、(g')は正の整数であることを条件とする]
化合物が提供される。
【0013】
ポリマー化合物の1つの好適な態様では、(a)および(b)の合計は、約1〜約32に等しい。
【0014】
いくつかの好適な実施形態では、ポリマー化合物には、以下に説明し、例示するような4アーム、8アーム、16アームおよび32アームのポリマーを含めることができる。より好ましくは、4アーム化ポリマーは、ポリマーアームの各末端において分岐部分と共に用いることができる。ポリマー化合物上に4アームおよび分岐部分を含有するポリマー化合物は、正に荷電した部分および/または生物学的に活性な部分を充填するための8つまでの官能部位を有することができる。
【0015】
好適な別の実施形態では、本明細書に記載のマルチアームポリマー化合物は、生物学的に活性な部分に結合した1つのポリマー末端、および正電荷含有部分に結合したそれぞれの他のポリマー末端を含有する。
【0016】
別の態様では、本明細書に記載のポリマー化合物は、例えば、正に荷電したペプチドおよびピペラジン系の部分を含有する。正電荷含有部分は、実質的に非抗原性のポリマーにさらなる正電荷を付与することが可能である。
【0017】
別の態様では、正に荷電したペプチドは、ポリマー化合物を細胞膜に透過させるのに役立ち得る。好適な正に荷電したペプチドは、例えば、TATのような細胞膜透過性ペプチド(CPP)であり得る。
【0018】
本発明のさらに別の態様では、負に荷電した生物学的に活性な分子を中和し、オリゴヌクレオチド、ロックされた核酸(LNA)、短鎖干渉RNA(siRNA)、アプタマー、リボザイム、DNAデコイなどのような生物学的に活性な部分の細胞内取り込みを改善するための正に荷電した骨格を含有するポリマー複合体が提供される。
【0019】
本発明のさらに別の態様では、生物学的に活性な部分は、遊離可能なリンカーを介して本明細書に記載の化合物のポリマー部分に結合される。遊離可能なリンカーには、ベンジル基脱離(benzyl elimination)系のリンカー、トリアルキル基ロック(trialkyl lock)系のリンカー、ビシン系のリンカー、ジスルフィド結合、ヒドラゾン含有リンカーおよびチオプロピオネート含有リンカーがあり得る。あるいは、遊離可能なリンカーは、細胞内で不安定なリンカー、細胞外リンカーおよび酸に不安定なリンカーである。
【0020】
本発明のさらに別の態様では、正に荷電した部分および標的化剤を、恒久的なリンカー(permanent linker)および遊離可能なリンカーを単独でまたは組合せて、これらを介して本明細書に記載の化合物のポリマー部分に連結することができる。好ましくは、恒久的なリンカーを介して、正に荷電したペプチドおよび標的化剤が連結される。インビボにおいて、複合体を目的の組織に誘導するために、RGDペプチド、葉酸、一本鎖抗体(SCA)などのような標的化剤を、本明細書に記載のポリマー化合物に結合させることができる。設計により、インビボでのオリゴヌクレオチドのような負に荷電した分子の標的化された送達のための新規なアプローチが提供され、これらの分子の細胞内取り込みが促進されて、より良好な治療効果を有するようになる。
【0021】
本発明のいくつかの好適な態様では、正に荷電したペプチドはまた、NGR、TNFαおよびTATのような標的化された罹患領域に特異的な治療用ペプチドであり得る。当業者は、正電荷を含有し、標的化された領域に特異的に送達することが可能な多様な治療用ペプチドを用いることができる。
【0022】
他の態様では、細胞透過性ペプチドを、例えば腫瘍部位への標的化された送達を目的として、TAT、RGD−TATおよびNGRなどのさまざまな正に荷電した標的化ペプチドのうちの1つで置換することができる。
【0023】
正に荷電した骨格を有するPEGリンカーを、オリゴヌクレオチドのような負に荷電した治療用分子と複合体化させる場合、オリゴヌクレオチドの負電荷を中和することができ、複合体の正味の電荷は正であり得る。マルチアームPEGを使用する場合、PEG複合体の全体的な形状は球形であり得る。PEGが水溶液において高度に水和される特性のため、正に荷電した骨格を有するマルチアームPEG複合体は、中心に包埋されたオリゴヌクレオチドを有する球状の「ミニ−ナノ粒子」の外観を呈する。
【0024】
負に荷電したオリゴヌクレオチドを中和することが可能な正に荷電した部分は、毒性を減少し、また、その細胞膜を透過することを容易にし、従って、オリゴヌクレオチドの送達を改善し得る。結果として、高度に負に荷電したオリゴヌクレオチドをインビボで送達することができ、毒性もより少ない。
【0025】
本発明のポリマー複合体の1つの利点は、高度に正に荷電したペプチドおよびTATのような細胞透過性ペプチドを結合させることによって、細胞内取り込みが改善されることである。さらに、当業者であれば、標的とされるペプチド、アプタマーおよび葉酸類などを結合させることによって、標的機能を達成することができる。
【0026】
別の利点は、プロドラッグからの負に荷電した分子の放出速度/部位を改変することができることである。本明細書に記載のポリマー化合物に結合した薬物は、改変された速度で放出され得、それ故、当業者が治療用ペプチドおよびオリゴヌクレオチドの所望されるバイオアベイラビリティを達成することを可能にする。負に荷電した治療用薬剤の放出の部位を改変することもでき、即ち、細胞の異なるコンパートメントにおける放出が可能である。それ故、本明細書に記載のポリマー送達システムは、十分量の負に荷電した治療用薬剤を、所望される標的領域、即ち、マクロピノソームおよびエンドソームにおいて選択的に利用可能にする。治療用薬剤の放出の単独および組合せでの時間的および空間的改変は、疾患の治療に有利であり得る。
【0027】
正に荷電した骨格を有するポリマー化合物は緩衝液の条件下で安定であり、オリゴヌクレオチドまたは他の治療用薬剤が、身体から必要以上に早く排泄されることもない。
【0028】
本発明のなおさらなる利点は、本明細書に記載の複合体が、トランスフェクション剤の非存在下で、癌細胞における十分に改善された細胞内取り込みおよび特異的mRNAダウンレギュレーションを可能にすることである。この技術は、オリゴヌクレオチド薬物のインビボ投与に応用することができる。例えば、本明細書に記載のアンチセンスBcl2オリゴヌクレオチド、Bcl2 siRNAまたは抗スルビビン(Survivin)LNAを含むPEG−オリゴヌクレオチドの細胞内取り込みは、トランスフェクション剤を伴わないヒト肺癌細胞による生来のアンチセンスBcl2オリゴヌクレオチドまたはBcl2 siRNAの細胞内取り込みより大きい。さらに、本明細書に記載の複合体は、トランスフェクション剤によって促進された細胞内取り込みと比較して、トランスフェクション剤の非存在下で、より高い細胞内取り込みを可能にした。
【0029】
他のおよびさらなる利点については、以下の説明から明らかであろう。
【0030】
本発明の目的のために、用語「残基」は、この用語が指す化合物の部分であって、即ち、別の化合物との置換反応を経た後に残留するPEG、オリゴヌクレオチドなどを意味するものと理解されるべきである。
【0031】
本発明の目的のために、用語「ポリマー残基」または「PEG残基」は、他の化合物、部分などとの反応を経た後に残留するポリマーまたはPEGの部分を意味するものと理解されるべきである。
【0032】
本発明の目的のために、用語「アルキル」は、直鎖の、分岐された、置換された、例えば、ハロ−、アルコキシ−、ニトロ−、C1-12、但し、好ましくは、C1-4アルキル類、C3-8シクロアルキル類または置換シクロアルキル類などを含むものと理解されるべきである。
【0033】
本発明の目的のために、用語「置換された」は、付加するか、または官能基または化合物内に含有される1つ以上の原子を1つ以上の異なる原子で置換することを含むものと理解されるべきである。
【0034】
本発明の目的のために、置換アルキル類は、カルボキシアルキル類、アミノアルキル類、ジアルキルアミノ類、ヒドロキシアルキル類およびメルカプトアルキル類を含み;置換アルケニル類は、カルボキシアルケニル類、アミノアルケニル類、ジアルケニルアミノ類、ヒドロキシアルケニル類およびメルカプトアルケニル類を含み;置換アルキニル類は、カルボキシアルキニル類、アミノアルキニル類、ジアルキニルアミノ類、ヒドロキシアルキニル類およびメルカプトアルキニル類を含み;置換シクロアルキル類は、4−クロロシクロヘキシルのような部分を含み;アリール類は、ナフチニルのような部分を含み;置換アリール類は、3−ブロモフェニルのような部分を含み;アラルキル類は、トリルのような部分を含み;ヘテロアルキル類は、エチルチオフェンのような部分を含み;置換へテロアルキル類は、3−メトキシ−チオフェンのような部分を含み;アルコキシは、メトキシのような部分を含み;フェノキシは、3−ニトロフェノキシのような部分を含む。ハロは、フルオロ、クロロ、ヨードおよびブロモを含むものと理解されるべきである。
【0035】
本発明の目的のために、「核酸」、「ヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」は、他で特定しない限り、一本鎖または二本鎖であるかどうかにかかわらず、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、およびそれらの任意の化学修飾物を含むものと理解されるべきである。
【0036】
本発明の目的のために、「正の整数」は、当業者による妥当性の範囲内にあると当業者に理解されるような整数を含むものと理解されるべきである。
【0037】
本発明の目的のための用語「有効量」および「十分量」は、効果が当業者によって理解されている所望される効果または治療効果を達成する量を意味するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施例1〜3に記載の合成の方法を図式的に示す。
【図2】実施例4〜13に記載の合成の方法を図式的に示す。
【図3】実施例14〜20に記載の合成の方法を図式的に示す。
【図4】実施例21〜26に記載の合成の方法を図式的に示す。
【図5】実施例27〜31に記載の合成の方法を図式的に示す。
【図6】実施例32〜34に記載の合成の方法を図式的に示す。
【図7】実施例35〜38に記載の合成の方法を図式的に示す。
【図8】実施例39〜41に記載の合成の方法を図式的に示す。
【図9】実施例42〜49に記載の合成の方法を図式的に示す。
【図10】実施例50〜53に記載の合成の方法を図式的に示す。
【図11】実施例54〜58に記載の合成の方法を図式的に示す。
【図12】実施例59〜62に記載の合成の方法を図式的に示す。
【図13】実施例63に記載の蛍光顕微鏡の画像を示す。
【図14】実施例63に記載の共焦点顕微鏡の画像を示す。
【図15】実施例64に記載の細胞内取り込みを示す。
【図16】実施例65に記載の細胞内取り込みを示す。
【図17】実施例66に記載のBcl2 mRNAダウンレギュレーションを示す。
【図18】実施例67に記載のスルビビンダウンレギュレーションを示す。
【図19】実施例68に記載のスルビビンダウンレギュレーションを示す。
【図20】実施例69に記載のスルビビンダウンレギュレーションを示す。
【図21】実施例70に記載のスルビビンダウンレギュレーションを示す。
【図22】実施例71に記載のスルビビンダウンレギュレーションを示す。
【図23】実施例72に記載のスルビビンダウンレギュレーションを示す。
【図24】実施例73に記載のインビボでのスルビビンダウンレギュレーションを示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
A.概観
本発明の1つの態様では、式(I):
【化5】
【0040】
[式中
各Z1は、独立して、
【化6】
【0041】
であり;
各Z2は、独立して選択されるキャッピング基:
【化7】
【0042】
であり;
R1は、実質的に非抗原性のポリマーであり;
R2およびR'2は、独立して選択される正電荷含有ペプチドまたは窒素含有環状炭化水素であり;
R3およびR'3は、独立して選択される標的化剤であり;
R4は、生物学的に活性な部分であり;
B1、B'1およびB''1は、独立して選択される分岐基であり;
L1、L'1、L1''、L1'''およびL1''''は、独立して選択される二官能性リンカーであり;
L2、L'2およびL''2は、独立して選択される遊離可能なリンカーであり;
(a)は、正の整数、好ましくは、1〜約31、より好ましくは、約3〜約8、および最も好ましくは、1であり;
(b)は、0もしくは正の整数、好ましくは、0〜約31、より好ましくは、約3〜約7であり;
(c)、(c')および(c'')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0、1、2もしくは3、およびより好ましくは、0もしくは1であり;
(d)、(d')、(i)、(i')および(i'')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0、1、2もしくは3、およびより好ましくは、0もしくは1であり;
(e)は、正の整数、好ましくは、1、2もしくは3、およびより好ましくは、1もしくは2であり;
(e')および(e'')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0、1、2もしくは3、およびより好ましくは、0、1もしくは2であり;
(f)および(f')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0、1、もしくは2、およびより好ましくは、0もしくは1であり;
(g)は、正の整数、好ましくは、約1〜約5、およびより好ましくは、1もしくは2であり;
(g')は、0もしくは正の整数、好ましくは、0もしくは約1〜約5の整数、およびより好ましくは、0、1もしくは2であり;
(h)および(h')は、独立して選択される正の整数、好ましくは、約1〜約8、より好ましくは、1、2、3もしくは4、および最も好ましくは、1もしくは2であり;
(b)が0ではなく、すべてのZ2がキャッピング基、
【化8】
【0043】
または組合せである場合、(g')は正の整数であることを条件とする]
のポリマー化合物が提供される。
【0044】
本発明の目的のために、U−PEGまたは(PEG)2−Lys型PEGが本明細書に記載のポリマー化合物の部分として用いられる場合を例外として、括弧に隣接する反復単位(a)および(b)は、括弧内に記載の基に結合したポリマーアームの全数を表すことができる。2ポリマーアームが存在するが、(a)および(b)の合計は、用いられるU−PEGに対し1もしくは3であり得る。(a)が1であり、(b)が0である場合、本明細書に記載のポリマー化合物は、mPEGを含むことができる。mPEGのポリマー末端は、正に荷電した部分および生物学的に活性な材料の両方に連結することができる。ビスPEGが本明細書に記載のポリマー化合物において用いられる場合、(a)および(b)の合計は2であり、ここで、(b)が1である場合、Z2はキャッピング基でも、または
【化9】
【0045】
でもない。
【0046】
本発明の1つの好適な態様では、(a)および(b)の合計は1〜32に等しく、それ故、ポリマー化合物は、好ましくは、32ポリマーアームまで、即ち、1、2、3、4、8、16もしくは32を含むことができる。本実施形態内において、ポリマー化合物は、好ましくは、1〜8ポリマーアームを含むことができ、ここで、(a)および(b)の合計は、1〜8であり得る。より好ましくは、ポリマー部分は4ポリマーアームを含み、ここで、(a)および(b)の合計は4である。
【0047】
さらに別の好適な態様では、本明細書に記載のマルチアームポリマー化合物は、生物学的に活性な部分に結合した1つのポリマー末端、ならびに正電荷含有部分および標的化剤に結合したそれぞれの残りのポリマー末端を含有する。あるいは、ポリマー部分のポリマーアームは、生物学的に活性な部分より正に荷電した部分の方に多く連結される。この特徴により、十分な正電荷を付与して、オリゴヌクレオチドのような生物学的に活性な部分の負電荷を中和することができる。
【0048】
本発明の目的のために、分岐基が本明細書に記載の化合物内に存在する場合、各ポリマーアームの遠位末端への分岐部分の後に存在する任意の部分は、分岐度によって倍加される(即ち、×2)。(h)および(h')は、分岐に従って作製される末端の数を表す。1つの実施形態では、(h)および(h')はそれぞれ2であり得、ここで、アスパラギン酸のような分岐基が用いられる。1つ以上の分岐基を含む他の実施形態では、(h)および(h)'は、2、3、4、6、8、12、16、18、32もしくはそれ以上であり得る。分岐部分は、少なくとも3つの官能基を含むことができる。アスパラギン酸のような3つの官能基を有する分岐部分がポリマーアームの末端に連結される場合、各ポリマーアームは、ポリマーアームの数の少なくとも2倍の官能部分を提供することができる。多数の分岐部分が、本明細書に記載の化合物内にあるものと考えることができる。別の実施形態では、用いられる分岐基が存在しない場合、(h)および(h')は1であり得る。
【0049】
さらに別の好適な実施形態では、4アーム化ポリマーを、ポリマーアームの各末端の分岐部分に連結することができる。ポリマー化合物上に4アームおよびアスパラギン酸のような分岐部分を含有するポリマー化合物は、正に荷電した部分および/または生物学的に活性な部分を充填するための8つの官能部位を有することができる。
【0050】
キャッピング基は、H、NH2、OH、CO2H、C1-6アルコキシおよびC1-6アルキルの中から選択することができる。好ましくは、mPEGのような線状ポリマーが本明細書に記載の化合物に用いられる場合、キャッピング基はメトキシを含有することができる。(b)が0ではなく、すべてのZ2部分がキャッピング基、
【化10】
【0051】
または組合せである場合、正に荷電した部分および生物学的に活性な部分が同じポリマーアーム上において用いられ得るように、(g')は少なくとも1である。
【0052】
本発明の1つの好適な態様では、(b)が0でない場合、各Z2は
【化11】
【0053】
を含み、それ故、本明細書に記載の化合物は、式(II):
【化12】
【0054】
で表される。すべてのポリマー末端は、活性化し、キャッピング基または
【化13】
【0055】
を含まない正に荷電した部分、標的化剤および/または生物学的に活性な部分に連結することができる。従って、この態様によって考えられるポリマーには、ビスPEG、U−PEGおよびマルチアームPEGが含まれる。
【0056】
好適な別の実施形態では、(a)は1である。(a)および(b)の合計は、1〜31の正の整数、好ましくは、1〜7、および最も好ましくは、4(4アームポリマー)であり得る。さらに別の好適な態様では、より多くのポリマー末端が、生物学的に活性な部分よりも正に荷電した部分を有して、オリゴヌクレオチドのような生物学的に活性な部分の負の電荷を十分に中和することができるように、(b)は(a)より大きい。
【0057】
本発明の目的のために、二官能性リンカー、分岐基、遊離可能なリンカー、正電荷含有部分および標的化剤の値が2に等しいかまたはそれを超える正の整数である場合、同じまたは異なる部分を用いることができる。(e)が2以上である、2つ以上の遊離可能なリンカーを含有する1つの実施形態では、遊離可能なリンカーは、同じであるかまたは異なり得る。特定の実施形態では、ベンジル基脱離系のリンカーは、本明細書に記載の化合物においてヒドラゾン含有リンカーの近接に存在する。別の実施形態では、同じまたは異なる正に荷電したペプチドを、同じポリマー末端において用いることができる。
【0058】
1つの好適な実施形態では、本明細書に記載の化合物は、式:
【化14】
【0059】
[式中
(n)は、約10〜約2300の整数であって、ここで、ポリマー部分の総分子量は、約2,000〜約100,000であり;
各Zは、Z1またはZ2であって、
ここで、
各Z1は、独立して、
【化15】
【0060】
であり;
各Z2は、独立して選択されるキャッピング基:
【化16】
【0061】
であり;
L2、L'2およびL''2は、独立して、ジスルフィド、ヒドラゾン含有リンカー、チオプロピオネート含有リンカー、ベンジル基脱離系のリンカー、トリアルキル基ロック系のリンカーおよびビシン系のリンカー、リソソーム切断性ペプチドおよびカテプシンB切断性ペプチドの中から選択される遊離可能なリンカーであり;
(c)、(c')および(c'')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0、1、2もしくは3、およびより好ましくは、0もしくは1であり;
(d)、(d')、(i)、(i')および(i'')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0、1もしくは2であり;
(e)は、正の整数、好ましくは、1もしくは2であり;
(e')および(e'')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0、1もしくは2であり;
(f')および(f'')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0、1もしくは2であり;
(g)は、正の整数、好ましくは、1もしくは2、より好ましくは、1であり;
(g')は、0もしくは正の整数、好ましくは、0、1もしくは2であり;
(h)および(h')は、独立して、正の整数、好ましくは、約1〜約8、より好ましくは、1、2、3もしくは4、および最も好ましくは、1もしくは2であり;
他のすべての変数は、先に定義したとおりであり、
すべてのZ2がキャッピング基、
【化17】
【0062】
または組合せである場合、(g')は正の整数であることを条件とする]で表される。ポリマー化合物が4ポリマーアームを有する場合、(n)は、4〜約455であり得る。当業者は、他のマルチアームポリマーについての任意選択的な(n)の値を理解することができる。好ましくは、すべてのZ2部分は、
【化18】
【0063】
である。
【0064】
分岐部分を含む活性化された4アームポリマーを、以下の式(IIIc')に例示する。
【化19】
【0065】
本発明の1つの好適な態様では、マルチアームポリマー複合体は、生物学的に活性な部分に結合した1つのポリマーアーム末端、および正電荷含有基に結合したそれぞれの他のポリマーアーム末端を含有する。
【0066】
本発明のさらなる態様では、マルチアームポリマー複合体は、生物学的に活性な部分に結合した1つのポリマーアーム末端、ならびに正電荷含有基およびターゲット剤(target agent)に結合したそれぞれの他のポリマーアーム末端を含有する。
【0067】
B.実質的に非抗原性のポリマー
本明細書に記載の化合物において用いられるポリマーは、好ましくは、水溶性ポリマーであり、ポリアルキレンオキシド(PAO)のように実質的に非抗原性である。
【0068】
本発明の1つの態様では、本明細書に記載の化合物は、線状、末端分岐またはマルチアーム化ポリアルキレンオキシドを含む。本発明のいくつかの好適な実施形態では、ポリアルキレンオキシドは、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールを含む。
【0069】
ポリアルキレンオキシドは、約2,000〜約100,000、好ましくは、約2,000〜約60,000の平均分子量を有する。ポリアルキレンオキシドは、より好ましくは、タンパク質またはオリゴヌクレオチドが結合する場合、約5,000〜約25,000、好ましくは、約12,000〜約20,000であり得、あるいは、医薬的に活性な化合物(1,500未満の平均分子量を有する小分子)が本明細書に記載の化合物において用いられる場合、約20,000〜約45,000、好ましくは、約30,000〜約40,000であり得る。
【0070】
ポリアルキレンオキシドは、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールを含む。より好ましくは、ポリアルキレンオキシドは、ポリエチレングリコール(PEG)を含む。PEGは、一般的に、構造:
−O−(CH2CH2O)n−
[式中、(n)は、約10〜約2,300の整数であり、マルチアームポリマーが使用される場合、ポリマーアームの数に依存する]で表される。あるいは、本発明のポリエチレングリコール(PEG)残基部分は、構造:
-Y71-(CH2CH2O)n-CH2CH2Y71-、
-Y71-(CH2CH2O)n-CH2C(=Y22)-Y71-、
-Y71-C(=Y72)-(CH2)a2-Y73-(CH2CH2O)n-CH2CH2-Y73-(CH2)a2-C(=Y72)-Y71-、および
-Y71-(CR71R72)a2-Y73-(CH2)b2-O-(CH2CH2O)n-(CH2)b2-Y73-(CR71R72)a2-Y71-
[式中:
Y71およびY73は、独立してO、S、SO、SO2、NR73または結合であり;
Y72は、O、S、またはNR74であり;
R71-74は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-19分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C2-6置換アルケニル、C2-6置換アルキニル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、C1-6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2-6アルカノイル、アリールカルボニル、C2-6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2-6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシおよび置換アリールカルボニルオキシの中から独立して選択され;
(a2)および(b2)は、0もしくは正の整数、好ましくは、0もしくは約1〜約6の整数、およびより好ましくは、1であり;
(n)は、約10〜約2300の整数である]
によって表すことができる。
【0071】
分岐またはU−PEG誘導体については、米国特許第5,643,575号明細書、同第5,919,455号明細書、同第6,113,906号明細書および同第6,566,506号明細書に説明されており、それらのそれぞれの開示内容は、本明細書において参照により援用される。そのような化合物の非限定的なリストは、以下の構造:
【化20−1】
【0072】
および
【化20−2】
【0073】
[式中:
Y61-62は、独立してO、SまたはNR61であり;
Y63は、O、NR62、S、SOまたはSO2であり
(w62)、(w63)および(w64)は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0もしくは約1〜約3の整数であり;
(w61)は、0もしくは1であり;
mPEGは、メトキシPEGであり
ここで、PEGは先に定義したとおりであり、ポリマー部分の総分子量は、約2,000〜約100,000であり;
R61およびR62は、独立して、R73に使用することができる同じ部分である]
で表されるポリマー系(i)〜(vii)に対応する。
【0074】
さらに別の態様では、ポリマーは、マルチアームPEG−OH、または日油株式会社(NOF Corp.)の薬物送達システムカタログ、第8版、2006年4月(その開示内容は、本明細書において参照により援用される)に記載されるような「スター型PEG」製品を含む。マルチアームポリマー複合体は、4以上のポリマーアーム、および好ましくは、4もしくは8ポリマーアームを含有する。
【0075】
例示および非限定の目的のために、マルチアームポリエチレングリコール(PEG)残基は、
【化21】
【0076】
[式中:
(x)は0および正の整数、即ち、約0〜約28であり;
(n)は重合度である]
であり得る。
【0077】
本発明の1つの特定の実施形態では、マルチアームPEGは、構造:
【化22】
【0078】
[式中、(n)は、正の整数である]で表される。本発明の1つの好適な実施形態では、ポリマーは、約5,000〜約60,000、および好ましくは、12,000〜40,000の総分子量を有する。
【0079】
さらに別の特定の実施形態では、マルチアームPEGは、構造:
【化23】
【0080】
[式中、(n)は、正の整数である]で表される。本発明の1つの好適な実施形態では、マルチアームポリマーの重合度(n)は、約5,000〜約60,000の総分子量を有するポリマーを提供するために約28〜約350であり、および好ましくは、12,000〜45,000の総分子量を有するポリマーを提供するために約65〜約270である。これは、ポリマー鎖における反復単位の数を表し、ポリマーの分子量に依存する。
【0081】
ポリマーは、米国特許第5,122,614号明細書または同第5,808,096号明細書に記載の活性化技術を使用して、適切に活性化されたポリマーに変換することができる。具体的には、そのようなPEGは、式:
【化24】
【0082】
[式中:
(u')は、約4〜約455の整数であり;
残基の3つまでの末端部分がメチルまたは他の低級アルキルでキャップ化される]
であり得る。
【0083】
いくつかの好適な実施形態では、すべてで4つのPEGアームを、芳香族基への結合を可能にするための適切な活性化基に変換することができる。変換前のそのような化合物として:
【化25−1】
【化25−2】
【0084】
が挙げられる。
【0085】
本明細書に含まれるポリマー物質は、好ましくは、室温で水溶性である。そのようなポリマーの非限定的なリストには、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコール類、ポリオキシエチレン化ポリオール類のようなポリアルキレンオキシドホモポリマー、それらのコポリマーおよびそれらのブロックコポリマーが含まれるが、但し、ブロックコポリマーの水溶性は維持される。
【0086】
さらなる実施形態において、およびPAO系のポリマーの代替物として、デキストラン、ポリビニルアルコール類、炭水化物系のポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリルアミド(HPMA)、ポリアルキレンオキシド類、および/またはそれらのコポリマーのような1つ以上の効果的に非抗原性の材料を使用することができる。また、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第6,153,655号明細書(その内容は、本明細書において参照により援用される)を参照のこと。当業者であれば、同じタイプの活性化がPEGのようなPAOについても本明細書に記載のように用いられることを理解するであろう。当業者であれば、上記のリストが単なる例示であること、および本明細書に記載の性質を有するすべてのポリマー材料が考慮されることをさらに理解するであろう。本発明の目的のために、「実質的にまたは効果的に非抗原性の」は、非毒性であり、かつ哺乳動物における免疫原性応答の誘発が認められないことが当該分野において理解されているすべての材料を意味する。
【0087】
いくつかの態様では、末端アミン基を有するポリマーを用いて、本明細書に記載の化合物を作製することができる。末端アミン類を含有するポリマーを高い純度で調製する方法については、米国特許出願第11/508,507号明細書および同第11/537,172号明細書(それらのそれぞれの内容は、本明細書において援用される)に記載されている。例えば、アジド類を有するポリマーは、トリフェニルホスフィンのようなホスフィン系の還元剤またはNaBH4のようなアルカリ金属ボロハイドライド還元剤と反応する。あるいは、脱離基を含むポリマーは、メチル−tert−ブチルイミドジカーボネートのカリウム塩(KNMeBoc)またはジ−tert−ブチルイミドジカーボネートのカリウム塩(KNBoc2)のような保護されたアミン塩と反応し、続いて、保護されたアミン基を脱保護する。これらのプロセスによって形成される末端アミン類を含有するポリマーの純度は、約95%より大きく、および好ましくは、99%より大きい。
【0088】
別の態様では、末端カルボン酸基を有するポリマーは、本明細書に記載のポリマー送達システムにおいて用いることができる。末端カルボン酸類を有するポリマーを高純度で調製する方法については、米国特許出願第11/328,662号明細書(その内容は、本明細書において参照により援用される)に記載されている。方法は、第1に、ポリアルキレンオキシドの第三級アルキルエステルを調製すること、続いて、そのカルボン酸誘導体への変換を含む。プロセスのPAOカルボン酸類の調製の第1の工程は、ポリアルキレンオキシドカルボン酸のt−ブチルエステルのような中間体を形成することを含む。この中間体は、カリウムt−ブトキシドのような塩基の存在下で、PAOをハロ酢酸t−ブチルと反応させることによって形成される。一旦、t−ブチルエステル中間体が形成されると、ポリアルキレンオキシドのカルボン酸誘導体は、92%を超える、好ましくは、97%を超える、より好ましくは、99%を超える、および最も好ましくは、99.5%純度を超える純度で容易に提供することができる。
【0089】
C.正電荷含有部分
本明細書に記載のポリマー化合物は、正に荷電したペプチドまたは窒素含有環状炭化水素を含有することができる。正電荷含有部分は、実質的に非抗原性のポリマーにさらなる正電荷を付与することが可能である。
【0090】
正に荷電したペプチドは、ポリマー化合物を細胞膜に透過させるのに役立ち得る。細胞透過性ペプチド(CPP)は、アルギニン、およびリジンのような正に荷電したアミノ酸を含有する。CPPはまた、本明細書に記載のポリマー化合物の標的化された送達を容易にする。
【0091】
本発明の1つの態様では、1つ以上のペプチドを、本明細書に記載の化合物において用いることができる。正に荷電したペプチドは、多くの異なる組合せで、化合物において用いることができる。例示および非限定の目的のために、至適な組合せが提供される。1つの実施形態では、2つのTAT配列のような複数単位のペプチドを、並べて結合させることができる。
【化26】
【0092】
[式中、
(w)は、約1〜約10、好ましくは、約3〜約7の正の整数であり;
(y)は約1〜約7の整数である]。
【0093】
別の実施形態では、分岐基を介して、2つ以上のペプチドのそれぞれを、ポリマーアーム末端のそれぞれに連結し、細胞内取り込みを促進することができる。
【化27】
【0094】
[式中、
(w)は約1〜約10の整数であり、
(y)は約1〜約7の整数である]。
【0095】
ペプチドは、約1〜約50の正に荷電したアミノ酸、好ましくは、約2〜約20、およびより好ましくは、3〜10を含有することができる。
【0096】
1つの好適な実施形態では、正に荷電したペプチドは、TAT、ペネトラチン(Penetratin)および(Arg)9のような細胞透過性ペプチド(CPP)を含む。Curr Opin Pharmacol.2006年10月;6(5):509−14、「Cell−penetrating peptides as vectors for peptide,protein and oligonucleotide delivery」(その内容は本明細書において参照により援用される)を参照のこと。
【0097】
1つの態様では、正に荷電したペプチドは、天然に存在するアミノ酸または天然に存在しないアミノ酸を含むことができる。好ましくは、ペプチドは、アルギニン、リジンおよび関連類似体を含む。ペプチドは、アミノ酸の無作為な配列、または天然に存在する細胞透過性ペプチドの部分もしくはそれらの誘導体であり得る。
【0098】
本発明の目的のために、本明細書に記載のポリマー化合物に考慮されるペプチドとして、ジスルフィド結合をさらに複合体化もしくは誘導するためのペプチドの末端におけるまたはペプチド内のシステインを挙げることができる。
【0099】
本発明の1つの好適な実施形態は、転写タンパク質のトランス活性化因子(TAT)の正に荷電したペプチドを含む。本発明の目的のために、用語「TAT」は、YGRKKRRQRRRのペプチド配列を含む転写活性化タンパク質のトランス活性化因子の部分、例えば、HS−CYGRKKRRQRRR−CONH2を意味するものと理解することができる。
【0100】
C−TAT:CYGRKKRRQRRR(配列番号1)
好適な別の実施形態では、正に荷電したペプチドは、(Arg)5のようなポリアルギニン、またはNH(Me)−Sar−Arg−Arg−Arg−Arg−Arg−CONH2(「Sar−(Arg)5」)であり得る。
【0101】
C−(Arg)9:CRRRRRRRRR(配列番号2)
本明細書に含めるのに適切な他のペプチドのグループは当業者に明らかであるが、但し、それらは、十分な数の正に荷電した基を含む。ペプチドの長さもまた、当業者の必要および(アミノ酸によって提供される)所望される正電荷基の数に従って変動する。
【0102】
いくつかの好適な実施形態、ペプチドは、その内部に、約1〜約50、好ましくは、約2〜約20、およびより好ましくは、約3〜約10正に荷電したアミノ酸を含有する。また、ツァオ,H.(Zhao,H.)ら、Bioconjugate Chem.,2005年,16:758−766(その内容は本明細書において参照により援用される)を参照のこと。
【0103】
正に荷電したペプチドをSCAのような標的部分に結合させる場合、SCAを正に荷電したペプチドに複合体化するために、リンカーを挿入することができる。当業者に公知のリンカーもまた、本明細書に記載の化合物内にあるものと考えられる。
【0104】
別の態様では、正電荷含有部分は、窒素含有環状炭化水素を含む。窒素含有部分は、式:
【化28】
【0105】
[式中、
(aa)は、約2〜約10の正の整数、好ましくは、2または3、およびより好ましくは、2であり;
(bb)は1、2もしくは3であり;
(cc)は1もしくは2であり;
(dd)は、約1〜約5の正の整数、好ましくは、1であり;
R101は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-19分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C2-6置換アルケニル、C2-6置換アルキニル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、C1-6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2-6アルカノイル、アリールカルボニル、C2-6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2-6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、および置換アリールカルボニルオキシの中から独立して選択され;
(q)は、約2〜約30の正の整数である]
に対応する。
【0106】
1つの好適な実施形態では、(q)は約3〜約18であり、それ故、ポリマーアームの各末端は、3〜18までの環状炭化水素単位を含有する。より好ましくは、(q)は、約3〜9である。
【0107】
1つの好適な実施形態では、窒素含有環状炭化水素は:
【化29】
【0108】
の中から選択することができる。窒素含有環状炭化水素部分は、好ましくは、ピペラジンを含有する。
【0109】
D.生物学的に活性な部分
本明細書に記載の化合物は、多様な負に荷電した分子を送達するために使用することができる。ポリマー化合物は、細胞内取り込みならびに負に荷電した分子の生体内分布を改善する。負に荷電した分子として、医薬的に活性な化合物(1,500未満の平均分子量を有する小さな分子量の化合物)、酵素、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、モノクローナル抗体、一本鎖抗体およびペプチドを挙げることができる。生物学的に活性な部分は、−NH2含有部分、−OH含有部分および−SH含有部分であり得る。
【0110】
1つの好適な実施形態では、生物学的に活性な部分は、オリゴヌクレオチドを含む。
【0111】
本発明の範囲をより十分に理解するために、以下の用語を定義する。当業者であれば、用語「核酸」または「ヌクレオチド」が、他で特定しない限り、一本鎖または二本鎖であるかどうかにかかわらず、デオキシリボ核酸(「DNA」)、リボ核酸(「RNA」)、およびそれらの任意の化学修飾物に当てはまることを理解するであろう。「オリゴヌクレオチド」は、一般的に、例えば、約2〜約200ヌクレオチド、またはより好ましくは、約10〜約30ヌクレオチド長のサイズの範囲の比較的短いポリヌクレオチドである。本発明に従うオリゴヌクレオチドは、一般的に、合成核酸であり、他で特定しない限り、一本鎖である。用語「ポリヌクレオチド」および「ポリ核酸」はまた、本明細書において同義語として使用してもよい。
【0112】
本明細書において使用する用語「アンチセンス」は、遺伝子産物をコードするかもしくは制御配列をコードする特定のDNAまたはRNA配列に相補的であるヌクレオチド配列を指す。用語「アンチセンス鎖」は、「センス」鎖に相補的である核酸鎖に関して使用する。細胞の代謝の正常な操作において、DNA分子のセンス鎖は、ポリペプチドおよび/または他の遺伝子産物をコードする鎖である。センス鎖は、順に、任意のコードされた遺伝子産物の合成を指令するメッセンジャーRNA(「mRNA」)転写物(アンチセンス鎖)の合成のためのテンプレートとしての役割を果たす。アンチセンス核酸分子は、相補鎖の合成を可能にするウイルスプロモーターに対して逆方向の配向で目的の遺伝子を連結することによる合成を含む、当該分野において公知の方法によって産生してもよい。いったん、細胞に導入されると、この転写された鎖は、細胞から産生される天然の配列に結合して、二重鎖を形成する。次いで、これらの二重鎖は、その先の転写また翻訳のいずれも阻止する。この様式では、変異表現型を作製してもよい。標示「負」または(−)はまた、アンチセンス鎖を指すことが当該分野において公知であり、「正」または(+)はまた、センス鎖を指すことが当該分野において公知である。
【0113】
1つの好適な実施形態では、コンジュゲーションの選択範囲は、オリゴヌクレオチド(または「ポリヌクレオチド」)であり、コンジュゲーション後、標的をオリゴヌクレオチドの残基と称する。オリゴヌクレオチドは、ホスホロジエステル骨格またはホスホロチオエート骨格を有する既知のオリゴヌクレオチドおよびオリゴデオキシヌクレオチドのいずれかの中から選択することができる。
【0114】
オリゴヌクレオチド(類似体)は、オリゴヌクレオチドの単一の種に限定されないが、その代わりに、広範なそのような部分と作用するように設計され、リンカーは、ヌクレオチドの3'−または5'−末端、通常、PO4またはSO4基の1つ以上に結合することができることが理解される。オリゴヌクレオチドとして、アンチセンスオリゴヌクレオチド、短鎖干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、アプタマーなどが挙げられる。オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド誘導体は、約10〜約1000の核酸、および好ましくは、例えば、約2〜約200ヌクレオチド、またはより好ましくは、約10〜約30ヌクレオチド長のサイズの範囲の比較的短いポリヌクレオチドを含むことができる。加えて、オリゴヌクレオチドは、天然のホスホロジエステル骨格もしくはホスホロチオエート骨格またはLNA(ロックされた核酸)、PNA(ペプチド骨格を有する核酸)、トリシクロ−DNAのような他の任意の改変された骨格;デコイODN(二本鎖オリゴヌクレオチド)、RNA(触媒RNA配列)、リボザイム;Tides 2002、「Oligonucleotide and Peptide Technology Conferences」、2002年5月6〜8日、Las Vegas、ネバダ州および「Oligonucleotide & Peptide Technologies」、2003年11月18日および19日、Hamburg、独国(それらの内容は本明細書において参照により援用される)において開示されたもののようなスピーゲルマー(L−型オリゴヌクレオチド)、CpGオリゴマーなどを含有することができる。
【0115】
本発明に従うオリゴヌクレオチドはまた、場合により、当該分野において公知の任意の適切なヌクレオチド類似体および誘導体を含むことができ、以下の表1において列挙するものを含む。
【表1】
【0116】
本発明において考えられるオリゴヌクレオチドへの改変として、例えば、選択されたヌクレオチドへの付加、または所望のポリマーへのオリゴヌクレオチドの共有結合を可能にする官能基もしくは部分による選択されたヌクレオチドの置換、ならびに/あるいはさらなる電荷、極性、水素結合、静電相互作用、および官能性をオリゴヌクレオチドに組み入れる官能性部分の付加または置換が挙げられる。そのような改変として、2'−位糖改変、5−位ピリミジン改変、8−位プリン改変、環外アミンにおける改変、4−チオウリジンの置換、5−ブロモまたは5−ヨードウラシルの置換、骨格改変、メチル化、イソ塩基、イソシチジンおよびイソグアニジンのような塩基対の組合せ、ならびに類似体の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。また、オリゴヌクレオチド改変として、キャッピングのような3'および5'改変を挙げることもできる。例示的なヌクレオシド類似体の構造を以下に提供する。
【化30】
【0117】
フライヤー(Freier)およびアルトマン(Altmann);Nucl.Acid Res.,1997年、25,4429−4443およびウールマン(Uhlmann);「Curr.Opinion in Drug Development」、2000年、3(2),293−213(それらのそれぞれの内容は本明細書において参照により援用される)に記載のヌクレオシド類似体のさらなる例を参照のこと。
【0118】
本発明の1つの好適な態様では、オリゴヌクレオチドは、標的化された腫瘍細胞か、または抗癌治療剤に対する腫瘍細胞の耐性に関係するタンパク質をダウンレギュレートすることに関与する。例えば、癌治療のためのアンチセンスオリゴヌクレオチドによるダウンレギュレーションのためのbcl−2のような当該分野において公知の任意の細胞タンパク質を、本発明に使用することができる。2004年4月9日に出願された米国特許出願第10/822,205号明細書(その内容は本明細書において参照により援用される)を参照のこと。好適な治療用オリゴヌクレオチドの非限定的リストには、アンチセンスHIF−1αオリゴヌクレオチドおよびアンチセンススルビビンオリゴヌクレオチドが含まれる。
【0119】
オリゴヌクレオチドは、例えば、ジェナセンス(Genasense)(ゲンタ社(Genta Inc.,米国ニュージャージー州バークリー・ハイツ所在)より製造されるa/k/aオブリメルセンナトリウム)と同じまたは実質的に類似のヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドであり得る。ジェナセンスは、ヒトbcl−2 mRNA(ヒトbcl−2 mRNAは当該分野において公知であり、例えば、本明細書において参照により援用される米国特許第6,414,134号明細書において配列番号19として記載されている)の開始配列の最初の6コドンに相補的である18マーのホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド、TCTCCCAGCGTGCGCCAT(配列番号6)である。2000年8月、米国食品医薬品局(U.S.Food and Drug Administration)(FDA)は、ジェナセンスをオーファンドラッグと認定した。好適な実施形態として:
(i) アンチセンススルビビンLNA(配列番号3)
【0120】
(ここで、大文字はLNAを表し、「s」はホスホロチオエート骨格を表す);
(ii) アンチセンスBcl2 siRNA;
センス 5'-GCAUGCGGCCUCUGUUUGAdTdT-3'
(配列番号4)
アンチセンス 3'-dTdTCGUACGCCGGAGACAAACU-5'
(配列番号5)
(ここで、dTはDNAを表す);
(iii) ジェナセンス(ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド):
(配列番号6)
【0121】
(ここで、小文字はDNAを表し、「s」はホスホロチオエート骨格を表す);
(iv) アンチセンスHIF1αLNA(配列番号7)
5'-sTsGsGscsasasgscsastscscsTsGsTsa-3'
(配列番号7)
(ここで、大文字はLNAを表し、「s」はホスホロチオエート骨格を表す)
が挙げられる。
【0122】
LNAは、以下に示すような2'−O,4'−Cメチレンビシクロヌクレオチドを含む:
【化31】
【0123】
米国特許出願第11/272,124号明細書(発明の名称「LNAオリゴヌクレオチドおよび癌の治療(LNA Oligonucleotides and the Treatmemt of Cancer)」)ならびに同第10/776,934号明細書(発明の名称「スルビビン発現のモジュレーションのためのオリゴマー化合物(Oligomeric Compounds for the Modulation Survivin Expression)」)(それらのそれぞれの内容は本明細書において参照により援用される)において開示されたスルビビンLNAの詳細な説明を参照のこと。また、米国特許出願第10/407,807号明細書(発明の名称「HIF−1α発現のモジュレーションのためのオリゴマー化合物(Oligomeric Compounds for the Modulation HIF−1 Alpha Expression)」)および同第11/271,686号明細書(発明の名称「HIF−1A発現の阻害のための強力なLNAオリゴヌクレオチド(Potent LNA Oligonucleotides for Inhibition of HIF−1A Expression)」)(それらの内容もまた、本明細書において参照により援用される)を参照のこと。
【0124】
本明細書に記載の化合物において用いられるオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの5'または3'末端において、(CH2)wアミノリンカーで改変することができ、ここで、この態様における(w)は、好ましくは、約1〜約10、好ましくは、6の正の整数である。改変されたオリゴヌクレオチドは、以下に示すようなNH−(CH2)w−オリゴヌクレオチドであり得る。
【化32】
【0125】
[式中、(y)は、約1〜約7の整数である]
1つの好適な実施形態では、siRNAのセンス鎖の5'末端が改変される。例えば、ポリマー複合体において用いられるsiRNAは、5'−C6−NH2で改変される。本発明の1つの特定の実施形態は、以下の配列を有するBcl2−siRNAを用いる。
【0126】
センス 5'-(NH2-C6)GCAUGCGGCCUCUGUUUGAdTdT-3'
アンチセンス 3'−dTdTCGUACGCCGGAGACAAACU−5'◎
別の態様では、本明細書に記載の化合物として、ヒンダードエステル含有(CH2)wアミノリンカーで改変されたオリゴヌクレオチドを挙げることができる。米国仮特許出願第60/844,942号明細書(発明の名称「ヒンダードエステル系の生分解性リンカーを有するポリアルキレンオキシド(Polyalkylene Oxides Having Hindered Ester−Based Biodegradable Linkers)」)および同第60/845,028号明細書(発明の名称「オリゴヌクレオチド送達のためのヒンダードエステル系の生分解性リンカー(Hindered Ester−Based Biodegradable Linkers for Oligonucleotide Delivery)」)(それらのそれぞれの内容は参照により援用される)を参照のこと。ポリマー化合物は、アミノテイルを伴わずにオリゴヌクレオチドを遊離することができる。例えば、オリゴヌクレオチドは、以下の構造を有することができる:
【化33】
【0127】
さらに別の態様では、オリゴヌクレオチドは、(CH2)wスルフヒドリルリンカーで改変することができる(チオオリゴヌクレオチド)。チオオリゴヌクレオチドは、正に荷電したペプチドのシステインに直接、またはマレイミジル基を介して複合体化するために使用することができる。チオオリゴヌクレオチドは、構造SH−(CH2)w−オリゴヌクレオチドを有することができる。また、チオオリゴヌクレオチドとして、以下の構造を有するヒンダードエステルを挙げることができる:
【化34】
【0128】
オリゴヌクレオチドは、C6−NH2テイル、C6−SHテイルまたはヒンダードエステルテイルで改変することができる。改変されたオリゴヌクレオチドの例として:
(i) C6−NH2テイルで改変されたジェナセンス:
【化35】
【0129】
(ii) C6−NH2テイルで改変されたアンチセンスHIF1αLNA:
5'-NH2-C6-sTsGsGscsasasgscsastscscsTsGsTsa-3';
(iii) C6−NH2テイルで改変されたアンチセンススルビビンLNA:
5'-NH2-C6-smCsTsmCsAsastscscsastsgsgsmCsAsGsc-3';
(iv) C6−sHテイルで改変されたアンチセンススルビビンLNA:
5'-Hs-C6-smCsTsmCsAsastscscsastsgsgsmCsAsGsc-3';
(v) ヒンダードエステルテイルで改変されたジェナセンス:
【化36】
【0130】
が挙げられる。
【0131】
E.標的化剤
標的化剤を、本明細書に記載のポリマー化合物に結合させて、複合体をインビボで標的領域へ誘導することができる。標的化剤は、オリゴヌクレオチドのような負に荷電した生物学的に活性な部分に、標的領域、即ち、腫瘍部位において治療効果を有するようにする。オリゴヌクレオチドのような負に荷電した分子の標的化された送達は、より良好な治療効果を有するために、これらの分子の細胞内取り込みをインビボで促進する。所定の態様では、腫瘍部位への標的化された送達のために、いくつかの細胞膜透過性ペプチドを、さまざまな標的化ペプチドで置換することができる。
【0132】
本発明の1つの好適な態様では、標的部分、例えば、一本鎖抗体(SCA)または一本鎖抗原結合抗体、モノクローナル抗体、細胞接着性ペプチド、例えば、RGDペプチドおよびセレクチン、細胞膜透過性ペプチド(CPP)、例えば、TAT、ペネトラチンおよび(Arg)9、受容体リガンド、標的炭水化物分子またはレクチン、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド誘導体、例えば、ロックされた核酸(LNA)およびアプタマーなどは、細胞毒性薬を標的化された領域に特異的に指向させる。J Pharm Sci.2006年9月;95(9):1856−72「Cell adhesion molecules for targeted drug delivery」(その内容は本明細書において参照により援用される)を参照のこと。
【0133】
好適な標的部分として、一本鎖抗体(SCA)または抗体の一本鎖可変フラグメント(sFv)が挙げられる。SCAは、標的化している腫瘍細胞の特異的分子に結合するかまたはそれに結合することができる抗体のドメインを含有する。抗原結合部位を維持することに加えて、リンカーを介するPEG化SCAは、抗原性を減少し、血流中のSCAの半減期を増加することができる。
【0134】
用語「一本鎖抗体」(SCA)、「一本鎖抗原結合分子もしくは抗体」または「一本鎖Fv」(sFv)は、同義的に使用される。一本鎖抗体は、抗原に対する結合親和性を有する。一本鎖抗体(SCA)または一本鎖Fvsは、いくらかの方法で構築することができ、また既に構築されている。一本鎖抗原結合タンパク質の理論および産生に関する説明については、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第10/915,069号明細書および米国特許第6,824,782号明細書(それらのそれぞれの内容は、本明細書において参照により援用される)において見出される。
【0135】
典型的に、SCAまたはFvドメインは、26−10、MOPC 315、741F8、520C9、McPC603、D1.3、マウスphOx、ヒトphOx、RFL3.8sTCR、1A6、Se155−4、18−2−3、4−4−20、7A4−1、B6.2、CC49、3C2、2c、MA−15C5/K12GO、Oxなどとして文献においてそれらの力小が公知であるモノクローナル抗体の中から選択することができる。(ヒューストン,J.S.(Huston,J.S.)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:5879−5883(1988年);ヒューストン,J.S.(Huston,J,S,)ら、SIM News38(4)(補遺):11(1988年);マッカートニー,J.(McCartney,J.)ら、ICSU Short Reports10:114(1990年);マッカートニー,J.E.(McCartney,J.E.)ら、結果公表せず(1990年);ネーデルマン,M.A.(Nedelman,M.A.)ら、J.Nuclear Med.32(補遺):1005(1991年);ヒューストン,J.S.(Huston,J.S.)ら、「Molecular Design and Modeling:Concepts and Applications」、B部、J.J.ランゴン(J.J.Langone)編、Methods in Enzymology 203:46−88(1991年);ヒューストン,J.S.(Huston,J.S.)ら、「Advances in the Applications of Monoclonal Antibodies in Clinical Oncology」、エペネトス,A.A.(Epenetos,A.A.)(編)、London,Chapman & Hall(1993年);バード,R.E.(Bird,R.E.)ら、Science242:423−426(1988年);ベドジック,W.D.(Bedzyk,W.D.)ら、J.Biol.Chem.265:18615−18620(1990年);コルチャー,D.(Colcher,D.)ら、J.Nat.Cancer Inst.82:1191−1197(1990年);ギブス,R.A.(Gibbs,R.A.)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA88:4001−4004(1991年);ミレニック,D.E.(Milenic,D.E.)ら、Cancer Research51:6363−6371(1991年);パントリアーノ,M.W.(Pantoliano,M.W.)ら、Biochemistry30:10117−10125(1991年);チャウドハリーV.K.(Chaudhary,V.K.)ら、Nature339:394−397(1989年);チャウドハリーV.K.(Chaudhary,V.K.)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA87:1066−1070(1990年);バトラ,J.K.(Batra,J.K.)ら、Biochem.Biophys.Res.Comm.171:1-6(1990年);バトラ,J.K.(Batra,J.K.)ら、J.Biol.Chem.265:15198−15202(1990年);チャウドハリーV.K.(Chaudhary,V.K.)ら、Proc.Natl.Acad Sci.USA87:9491−9494(1990年);バトラ,J.K.(Batra,J.K.)ら、Mol.Cell.Biol.11:2200−2205(1991年);ブリンクマン,U.(Brinkmann,U.)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA88:8616−8620(1991年);シーサラム,S.(Seetharam,S.)ら、J.Biol.Chem.266:17376−17381(1991年);ブリンクマン,U.(Brinkmann,U.)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:3075−3079(1992年);グロックスヒューバー,R.(Glockshuber,R.)ら、Biochemistry29:1362−1367(1990年);スケッラ,A.(Skerra,A.)ら、Bio/Technol.9:273−278(1991年);パック,P.(Pack,P.)ら、Biochemistry31:1579−1534(1992年);クラックソン,T.(Clackson,T.)ら、Nature352:624−628(1991年);マークス,J.D.(Marks,J.D.)ら、J.Mol.Biol.222:581−597(1991年);イベルソン,B.L.(Iverson,B.L.)ら、Science249:659−662(1990年);ロバーツ,V.A.(Roberts,V.A.)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA87:6654−6658(1990年);コンドラ,J.H.(Condra,J.H.)ら、J.Biol.Chem.265:2292−2295(1990年);ラロシュ,Y.(Laroche,Y.)ら、J.Biol.Chem.266:16343−16349(1991年);ホルボエト,P.(Holvoet,P.)ら、J.Biol.Chem.266:19717−19724(1991年);アナンド,N.N.(Anand,N.N.)ら、J.Biol.Chem.266:21874−21879(1991年);フックス,P.(Fuchs,P.)ら、Biol Technol.9:1369−1372(1991年);ブライトリング,F.(Breitling,F.)ら、Gene104:104−153(1991年);ゼーハウス,T.(Seehaus,T.)ら、Gene114:235−237(1992年);タッキネン,K.(Takkinen,K.)ら、Protein Engng.4:837−841(1991年);ドレーアー,M.L.(Dreher,M.L.)ら、J.Immunol.Methods139:197−205(1991年);モッテズ,E.(Mottez,E.)ら、Eur.J.Immunol.21:467−471(1991年);トローネッカー,A.(Traunecker,A.)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA88:8646−8650(1991年);トローネッカー,A.(Traunecker,A.)ら、EMBO J.10:3655−3659(1991年);フー,W.F.S.(Hoo,W.F.S.)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:4759−4763(1993年)を参照のこと)。上記の刊行物のそれぞれは、本明細書において参照により援用される。
【0136】
標的基の非限定的リストには、血管内皮細胞増殖因子、FGF2、ソマトスタチンおよびソマトスタチン類似体、トランスフェリン、メラノトロピン、ApoEおよびApoEペプチド、フォン・ウィルブランド因子およびフォン・ウィルブランド因子ペプチド、アデノウイルスファイバータンパク質およびアデノウイルスファイバータンパク質ペプチド、PD1およびPD1ペプチド、EGFおよびEGFペプチド、RGDペプチド、葉酸塩などが含まれる。当該分野の当業者によって理解されている他の任意選択的な標的化剤もまた、本明細書に記載の化合物において用いることができる。
【0137】
好ましくは、標的化剤には、一本鎖抗体(SCA)、RGDペプチド、セレクチン、TAT、ペネトラチン、(Arg)9、葉酸などが含まれ、これらの薬剤の好適な構造のいくつかは、以下のとおりである:
C−TAT: (配列番号1) CYGRKKRRQRRR;
C−(Arg)9: (配列番号2) CRRRRRRRRR;
RGDは、直鎖または環状の:
【化37】
【0138】
であり得;
葉酸は、
【化38】
【0139】
の残基である。
【0140】
Arg9は、例えば、CRRRRRRRRRを複合体化するためのシステインを含むことができ、TATは、CYGRKKRRQRRRCのようなペプチドの末端においてさらなるシステインを付加することができる。
【0141】
本発明の目的のために、本明細書および図面において使用される略称は、以下の構造を表す:
(i) C-ジTAT=CYGRKKRRQRRRYGRKKRRQRRR-NH2;
(ii) 直鎖RGD=RGDC;
(iii) 環状RGD=c−RGDfC;
(iv) RGD−TAT=CYGRKKRRQRRRGGGRGDS−NH2;および
(v) Arg9
【0142】
F.遊離可能なリンカー
本発明の1つの好適な態様では、本明細書に記載の化合物は、遊離可能なリンカーに結合した生物学的に活性な部分を含有する。本発明の1つの利点は、生物学的に活性な部分を、制御された様式で遊離することができることである。
【0143】
遊離可能なリンカーの中には、ベンジル基脱離系のリンカー、トリアルキル基ロック系のリンカー(またはトリアルキル基ロックラクトン系)、ビシン系のリンカー、酸に不安定なリンカー、リソソーム切断性ペプチドおよびカテプシンB切断性ペプチドがあり得る。酸に不安定なリンカーの中には、ジスルフィド結合、ヒドロゾン(hydrozone)含有リンカーおよびチオプロピオネート含有リンカーがあり得る。あるいは、遊離可能なリンカーは、細胞内で不安定なリンカー、細胞外リンカーおよび酸に不安定なリンカーである。
【0144】
遊離可能なリンカーは、式:
【化39】
【0145】
−Val−Cit−、
−Gly−Phe−Leu−Gly−、
−Ala−Leu−Ala−Leu−、
−Phe−Lys−、
【化40】
【0146】
−Val−Cit−C(=O)−CH2OCH2−C(=O)−、
−Val−Cit−C(=O)−CH2SCH2−C(=O)−、および
−NHCH(CH3)−C(=O)−NH(CH2)6−C(CH3)2−C(=O)−
[式中、
Y11-19は、独立してO、SまたはNR48であり;
R31-48、R50-51およびA51は、水素、C1-6アルキル類、C3-12分岐アルキル類、C3-8シクロアルキル類、C1-6置換アルキル類、C3-8置換シクロアルキル類、アリール類、置換アリール類、アラルキル類、C1-6ヘテロアルキル類、置換C1-6ヘテロアルキル類、C1-6アルコキシ、フェノキシおよびC1-6ヘテロアルコキシの中から選択され;
Arは、アリールまたはヘテロアリール部分であり;
L11-15は、独立して選択される二官能性スペーサーであり;
JおよびJ'は、独立して標的細胞に能動的に輸送される部分、疎水性部分、二官能性連結部分およびそれらの組合せから選択され;
(c11)、(h11)、(k11)、(l11)、(m11)および(n11)は、独立して選択される正の整数、好ましくは、1であり;
(a11)、(e11)、(g11)、(j11)、(o11)および(q11)は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、1であり;
(b11)、(x11)、(x'11)、(f11)、(i11)および(p11)は、独立して0もしくは1である]
で表される。
【0147】
多様な遊離可能なリンカー、ベンジル基脱離系のものまたはトリアルキル基ロック系のものについては、例えば、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第6,180,095号明細書、同第6,720,306号明細書、同第5,965,119号明細書、同第6624,142号明細書および同第6,303,569号明細書(それらのそれぞれの内容は、本明細書において参照により援用される)に記載されている。ビシン系のリンカーについてもまた、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第7,122,189号明細書および同第7087,229号明細書ならびに米国特許出願第10/557,522号明細書、同第11/502,108号明細書、および同第11/011,818号明細書(それらのそれぞれの内容は、本明細書において参照により援用される)に記載されている。
【0148】
好ましくは、オリゴヌクレオチドは、酸に不安定なリンカーを介して、本明細書に記載の化合物のポリマー部分に連結される。いずれの理論にもとらわれずに述べれば、酸に不安定なリンカーは、細胞内、および特に、リソソーム、エンドソーム、またはマクロピノソームにおける親ポリマー化合物からのオリゴヌクレオチドの遊離を容易にする。
【0149】
本発明の別の態様では、正に荷電したペプチドおよび標的化剤はまた、酸に不安定なリンカーのような遊離可能なリンカーを介して本明細書に記載の化合物のポリマー部分に連結することができる。
【0150】
G.二官能性リンカー
本発明の別の態様では、正に荷電したペプチドおよび標的化剤を、恒久的なリンカーおよび遊離可能なリンカーを単独または組合せで介して本明細書に記載の化合物のポリマー部分に連結することができる。好ましくは、恒久的なリンカーを介して、正に荷電したペプチドおよび標的化剤が連結される。
【0151】
二官能性リンカーとして、アミノ酸またはアミノ酸誘導体が挙げられる。アミノ酸は、天然に存在するおよび天然に存在しないアミノ酸のものであり得る。天然に存在するアミノ酸の誘導体および類似体、ならびに当該分野において公知の多様な天然に存在しないアミノ酸(DもしくはL)、疎水性または非疎水性のものもまた、本発明の範囲内にあると考えられる。天然に存在しないアミノ酸の適切な非限定的なリストには、2−アミノアジピン酸、3−アミノアジピン酸、β−アラニン、β−アミノ−プロピオン酸、2−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸、ピペリジン酸、6−アミノカプロン酸、2−アミノヘプタン酸、2−アミノイソ酪酸、3−アミノイソ酪酸、2−アミノピメリン酸、2,4−アミノ酪酸、デスモシン、2,2−ジアミノピメリン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、N−エチルグリシン、N−エチルアスパラギン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロイソロイシン、N−メチルグリシン、サルコシン、N−メチル−イソロイシン、6−N−メチル−リジン、N−メチルバリン、ノルバリン、ノルロイシン、およびオルニチンが挙げられる。いくつかの好適なアミノ酸残基として、グリシン、アラニン、メチオニンおよびサルコシンが挙げられる。
【0152】
あるいは、二官能性リンカーは、
【化41−1】
【化41−2】
【0153】
[式中:
R21-29は、水素、C1-6アルキル類、C3-12分岐アルキル類、C3-8シクロアルキル類、C1-6置換アルキル類、C3-8置換シクロアルキル類、アリール類、置換アリール類、アラルキル類、C1-6ヘテロアルキル類、置換C1-6ヘテロアルキル類、C1-6アルコキシ、フェノキシおよびC1-6ヘテロアルコキシの中から選択され;
(t)および(t')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0もしくは約1〜約12の整数、より好ましくは、約1〜約8の整数、および最も好ましくは、1もしくは2であり;
(v)および(v')は、独立して0もしくは1である]
の中から選択することができる。
【0154】
好ましくは、二官能性リンカーは:
【化42−1】
【化42−2】
【0155】
[式中、(r)および(r')は、独立して0もしくは1であり、但し、(r)および(r')は、両方が同時に0になることはない]
の中から選択することができる。
【0156】
本発明のさらなる別の態様では、二官能性リンカーとして:
【化43】
【0157】
が挙げられる。
【0158】
これらの二官能基は、第2の因子を直接複合体化させ、従って、第2の因子に複合体化するための官能基に結合する必要性を排除する。
【0159】
別の実施形態では、二官能性リンカーは、上記で示した構造に対応する構造を含むが、但し、マレイミジル基の代わりに、ビニルのような基を有し、マレイミジルの代わりに、スルホン、アミノ、カルボキシ、メルカプト、チオプロピオネート、ヒドラジド、カルバゼートなどの残基を有する。
【0160】
H.分岐基
本明細書に記載の化合物のポリマーアーム末端は、生物学的に活性な部分、正に荷電した部分、および/または標的化剤の複数の充填を可能にするために、分岐することができる。好ましくは、分岐基は、正に荷電した部分が利用可能なさらなるポリマーアーム末端を提供する。
【0161】
分岐部分は、少なくとも3つの官能部分を有することができる。ポリマーアーム末端の数は、分岐の程度によって倍加される。3つの官能部分を有する分岐基がポリマー化合物に連結される場合、それは、連結のための2つの末端を提供する。分岐基は:
【化44】
【0162】
[式中、
R5は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-19分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C2-6置換アルケニル、C2-6置換アルキニル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、C1-6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2-6アルカノイル、アリールカルボニル、C2-6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2-6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、および置換アリールカルボニルオキシの中から独立して選択され;
(c1)、(c2)、(c3)、(c4)、(c5)、(c6)、(c'6)、(c''6)、(c7)および(c8)は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0もしくは約1〜10の整数、およびより好ましくは、0、1もしくは2であり;
(d1)、(d2)、(d3)、(d4)、(d5)および(d7)は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0もしくは約1〜約10の整数、およびより好ましくは、0もしくは約1〜約4の整数である]
の中から選択することができる。
【0163】
また、多様な分岐基については、共有の米国特許第6,153,655号明細書、同第6,395,266号明細書および同第6,638,499号明細書(それらのそれぞれの内容は、本明細書において参照により援用される)に記載されている。当業者に公知の他のすべての任意選択的な分岐基もまた、本明細書に記載の化合物内にあるものと考えられる。
【0164】
好ましくは、分岐基は:
【化45】
【0165】
を含む。
【0166】
より好ましくは、分岐基は、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、およびシステインを含む。
【0167】
さらなる態様では、1つ以上の分岐基を、ポリマーアームの各末端において用いることができる。
【0168】
I.式Iに対応する好適な実施形態
1つの好適な実施形態では、ポリマー化合物は、以下の式で表される:
【化46】
【0169】
[式中、
(e)は1もしくは2であり;
(e')は、0、1もしくは2であり;
(f')は、0もしくは1である]
【化47】
【0170】
[式中、(g')は、正の整数である]。
【0171】
例えば、本発明に従って調製される複合体には、以下のものがある:
【化48−1】
【化48−2】
【化48−3】
【化48−4】
【0172】
[式中、
C-TATは、-S-CYGRKKRRQRRR-CONH2の残基である;
NH-5'-C6-GSは、ジェナセンス、18量体のホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチドTCTCCCAGCGTGCGCCAT(配列番号1)の誘導体
【化49】
【0173】
であり;
S-5'-C6-NA-スルビビンは、
【化50】
【0174】
であり;
RGDは、
【化51】
【0175】
である]。
【0176】
本発明の1つの好適な実施形態では、ポリマー化合物は以下を含む:
【0177】
siRNA二重鎖のセンス鎖の5'末端は、PEGリンカーに複合体化するためのC6−アミノテイルに改変される。
【0178】
J.ポリマー送達システムの合成
一般的に、複合体は、多官能性リンカーに連続的にポリマー、細胞障害性薬剤、正電荷含有部分、および標的部分を結合させることによって、作製することができる。付加の正確な順序はこの順番に限定されず、当業者に明らかであるように、PEGが最初に多官能性リンカーに付加され、続いて、遊離可能に結合される細胞毒性薬の付加、続いて、正電荷含有部分およびモノクローナル抗体のような標的化剤の付加が行われる態様も認められる。この実施形態のいくつかの好適な態様に関する詳細を、以下の実施例に提供する。
【0179】
本発明の1つの態様では、OHまたは脱離基を含有するポリマー化合物を、最初に、遊離可能なリンカー部分を含有する求核部分と反応させ、次いで、遠位末端において官能基を含有する別の求核部分と反応させることができる。遊離可能なリンカーを、生物学的に活性な化合物と複合体化させることができ、官能基を、正電荷含有部分と連結させることができる。あるいは、生物学的に活性な部分および正電荷含有部分に複合体化したポリマー化合物を、標的部分とさらに反応させて、本発明の3つのすべての成分を含有する最終的なポリマー複合体を調製することができる。例えば、当業者であれば、ポリマー上の脱離基の数と比較して、より少ない等量の求核部分を使用して、リンカーおよび脱離基を含有するポリマー中間体を形成させることができる。この中間体は、正電荷含有部分とさらに反応させるか、あるいは、標的部分とさらに反応させて、生物学的に活性な化合物、正電荷含有部分、および標的化剤で多置換されたポリマー複合体を形成させることができる。
【0180】
あるいは、ポリマーを異なる基と反応させて、多様な求核部分に対して異なる化学反応性を提供することができる。例えば、カルボン酸末端のtert−Buエステルおよびメチルエステルのような異なる保護基を、選択的かつ段階的に脱保護して、細胞障害性薬剤のような異なる生物学的に活性な薬剤および標的化剤と複合体化すべき多様な程度の活性な基を提供することができる。図1に示すように、マレイミジル基およびスクシンイミジルエステルは、それぞれ、SHまたはNH2含有部分と選択的に反応することができる。
【0181】
本明細書に記載のすべての反応は、当業者に公知の必要な工程および条件による標準的な化学反応である。従って、本明細書に記載の合成反応は、過度の実験を必要としない。
【0182】
求核性化合物のPEGまたは他のポリマーへの結合は、当業者に周知の標準的な化学合成技術を使用して行うことができる。SC−PEG、PEG−アミン、PEG酸などのような活性化されたポリマーは、商業的供給源から得ることができるか、または過度の実験を伴うことなく、当業者によって合成することができる。
【0183】
求核性化合物のポリマー部分への結合は、カップリング剤の存在下で代替的に行われる。適切なカップリング剤の非限定的なリストには、例えばシグマ−アルドリッチ・ケミカル(Sigma-Aldrich Chemical)社のような商業的供給源から入手可能であるか、または既知の技術を使用して合成される1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)、任意の適切なジアルキルカルボジイミド類、2−ハロ−1−アルキル−ピリジニウムハロゲン化物(向山試薬)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDC)、プロパンホスホン酸環状無水物(PPACA)およびフェニルジクロロホスホネート類などが含まれる。
【0184】
好ましくは、反応は、塩化メチレン、クロロホルム、DMFまたはそれらの混合物のような不溶性溶媒で行われる。好ましくは、反応は、作製される任意の酸を中和するために、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、トリエチルアミンなどのような塩基の存在下で、行うことができる。反応は、約0℃から約22℃(室温)までの温度で行うことができる。本明細書に記載の方法によって調製されるいくつかの特定の実施形態は、以下を含む:
【0185】
1つの態様では、負電荷を中和し、オリゴヌクレオチドのような生物学的に活性な部分の細胞内取り込みを改善するための正に荷電した部分を有するポリマー化合物は、以下の別の態様を有することができる:
(i) オリゴヌクレオチドの5'−または3'−末端において(CH2)wアミノリンカーで改変されたオリゴヌクレオチド;
(ii) オリゴヌクレオチドの5'−または3'−末端において(CH2)wスルフヒドリルリンカーで改変されたオリゴヌクレオチド;
(iii) アミノテイルまたはチオテイルを伴わないオリゴヌクレオチドを遊離することができるヒンダードエステルを含有する(CH2)wアミノリンカーまたは(CH2)wスルフヒドリルリンカーで改変されたオリゴヌクレオチド;
(iv) 細胞内取り込みを促進するために、1つ以上の正に荷電したペプチド、例えば、TAT配列のような2つの正に荷電したペプチドを結合させることができる;
(v) 1つ以上の遊離可能なリンカーを結合させることができる。
【0186】
ヒンダードエステル含有オリゴヌクレオチドの形成に関する説明については、本発明の譲受人に譲渡された米国仮特許出願第60/845,028号明細書(発明の名称「オリゴヌクレオチド送達のためのヒンダードエステル系の生分解性リンカー(Hindered Ester−Based Biodegradable Linkers For Oligonucleotide Delivery)」)(その内容は、本明細書において参照により援用される)に記載されている。図2の反応スキームを参照のこと。
【0187】
K.治療の方法
上記を鑑みると、式(I)の本発明の化合物を含有する有効量の医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる、哺乳動物を治療する方法もまた、提供される。
【0188】
本発明の1つの特定の態様では、式(I)の本発明の化合物を含有する有効量の医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる、悪性腫瘍または癌を有する患者を治療する方法もまた、提供される。別の態様では、治療される癌は、次の1つ以上であり得る:固形腫瘍、リンパ腫、小細胞肺癌、急性リンパ性白血病(ALL)、膵臓癌、神経膠芽腫、卵巣癌、胃癌など。組成物は、新生物疾患を治療する、腫瘍量を減少する、新生物の転移を防止する、および哺乳動物における腫瘍の再発/新生物増殖を防止するのに有用である。
【0189】
本発明の別の態様は、哺乳動物における多様な病態の治療の方法を提供する。簡単に説明すると、正に荷電したPEGポリマーに結合することができる任意の生物学的に活性な部分を、そのような治療を必要とする哺乳動物に投与することができる。非複合体の状態で治療効果を有する任意のオリゴヌクレオチドなどは、本明細書に記載のように作製されるその複合体化された形態で使用することができる。
【0190】
例えば、投与されるプロドラッグとして使用される組成物の量は、その中に含まれる親分子に依存する。一般的に、治療方法において使用されるプロドラッグの量は、哺乳動物において所望される治療結果を有効に達成する量である。当然ながら、多様なプロドラッグ化合物の用量は、親化合物、インビボでの加水分解の速度、ポリマーの分子量などに依存して、いくらか変動する。
【0191】
本発明のさらなる態様では、ポリヌクレオチド(オリゴヌクレオチド)、好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチドを哺乳動物細胞に投与する方法が提供される。方法は、本明細書に記載のように調製される有効量の複合体を、治療される症状に送達することを含み、そのような症状に有効なポリヌクレオチドに依存する。例えば、複合体化されていないオリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンスBCL2オリゴヌクレオチド、アンチセンススルビビンオリゴヌクレオチド)が所定の癌または新生物細胞に対して有効性を有する場合、方法は、オリゴヌクレオチドを含有するポリマー複合体を、生来のオリゴヌクレオチドに感受性を有する細胞に送達することを含む。送達は、適切な医薬組成物の部分としてインビボで、またはエクスビボ環境で細胞に直接行うことができる。1つの特定の治療では、オリゴヌクレオチド(配列番号3、配列番号4および5、ならびに配列番号6、および配列番号7)を含むポリマー複合体を使用することができる。
【実施例】
【0192】
以下の実施例は、本発明のさらなる理解を提供するために役立つが、決して、本発明の範囲を限定することを意味しない。実施例において説明する太字の番号は、図1〜12に示す番号に対応する。実施例を通して、DCM(ジクロロメタン)、DIEA(ジイソプロピルエチルアミン)、DMAP(4−ジメチルアミノピリジン)、DMF(N,N'−ジメチルホルムアミド)、DSC(ジスクシンイミジルカーボネート)、EDC(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド)、IPA(イソプロパノール)、NHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)、PEG(ポリエチレングリコール)、SCA−SH(一本鎖抗体)、SN38(7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン)、TBDPS(tert−ブチル−ジプロピルシリル)、TEA(トリエチルアミン)のような略称を使用する。
【0193】
一般的手順。すべての反応は、乾燥窒素またはアルゴンの雰囲気下で稼動する。市販の試薬を、さらなる精製を伴わずに使用する。すべてのPEG化合物を、使用前に、減圧下またはトルエンからの共沸蒸留によって乾燥する。他で特定しない限り、バリアン・マーキュリー(Varian Mercury)300NMR分光計および溶媒として重クロロホルムを使用して、300MHzで1H NMRスペクトルおよび75.46MHzで13C NMRスペクトルを得た。化学シフト(δ)は、テトラメチルシラン(TMS)からのダウンフィールドで、百万分率(ppm)で報告する。
【0194】
HPLC方法。反応混合物ならびに中間体および最終生成物の純度を、ベックマン・コールター・システム・ゴールド(Beckman Coulter System Gold)(登録商標)HPLC機器によってモニターする。それは、0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)中アセトニトリルの10〜90%の勾配を1mL/分の流速で使用する、168ダイオード・アレイ(Diode Array)UV検出器を伴う、ZORBAX(登録商標)300SB C8逆相カラム(150×4.6mm)またはフェノメックス・ジュピター(Phenomenex Jupiter)(登録商標)300A C18逆相カラム(150×4.6mm)を用いる。
【0195】
実施例1.化合物3:
PBS緩衝液(5mL、pH7.8)中化合物2(10mg、1.7μmol)の溶液に、NOF corp.製Mal−PEG5k−NHS(100mg、17μmol)を添加し、室温で2時間、撹拌した。反応混合物を、水で20mLに希釈し、20mM Tris−HCl緩衝液、pH7.0(緩衝液A)で予め平衡化したポロス(Poros)HQ、強力な陰イオン交換カラム(10mm×1.5mm、ベットボリューム、約16mL)上に充填した。カラムを3〜4カラム容積の緩衝液Aで洗浄して、過剰なPEGリンカーを取り出した。次いで、生成物を、20mM Tris−HCl緩衝液、pH7.0、緩衝液B中0〜100%1M NaClの勾配で10分間、続いて、100%緩衝液B、10分間、10mL/分の流速で溶出させた。溶出した生成物を、HiPrep脱塩カラム(50mL)を使用して脱塩し、凍結乾燥して、化合物3を得た。収量6mg(オリゴ当量、60%)。
【0196】
実施例2.化合物4:
PBS緩衝液(6mL、pH7.0)中化合物3の溶液に、ペプチドC−Tat(5mg、3μmol)を添加し、室温で2時間、撹拌した。反応混合物を、水で20mLに希釈し、100mM K2HPO4、5M尿素緩衝液、pH6.5(緩衝液A)で予め平衡化したリソース(Resource)S、強力な陽イオン交換カラム(10mm×1.5mm、ベットボリューム、約16mL)上に充填した。カラムを3〜4カラム容積の緩衝液Aで洗浄して、非反応のPEG−オリゴ化合物を取り出した。次いで、生成物を、0〜100%2M KBr(緩衝液B)の勾配で、10分間、続いて、100%緩衝液Bで10分間、10mL/分の流速で溶出させた。溶出した生成物を、HiPrep脱塩カラム(50mL)を使用して脱塩し、凍結乾燥して、化合物4を得た。収量2mg(オリゴ当量、30%)。
【0197】
実施例3.化合物5:
PBS緩衝液(6mL、pH7.0)中化合物3の溶液に、ペプチドC−diTat(10mg、3μmol)を添加し、室温で2時間、撹拌した。反応混合物を、水で20mLに希釈し、100mM K2HPO4、5M尿素緩衝液、pH6.5(緩衝液A)で予め平衡化したリソース(Resource)S、強力な陽イオン交換カラム(10mm×1.5mm、ベットボリューム、約16mL)上に充填した。カラムを3〜4カラム容積の緩衝液Aで洗浄して、非反応のPEG−オリゴ化合物を取り出した。次いで、生成物を、0〜100%2M KBr(緩衝液B)の勾配で、10分間、続いて、100%緩衝液Bで10分間、10mL/分の流速で溶出させた。溶出した生成物を、HiPrep脱塩カラム(50mL)を使用して脱塩し、凍結乾燥して、化合物5を得た。収量2mg(オリゴ当量、30%)。
【0198】
実施例4.化合物6:
ブチルリチウム(1.6M、200mL)を、THF(500mL)中イソ酪酸エチル(35g)の溶液に、−78℃に添加し、溶液を1時間、同じ温度で撹拌した。1,5−ジブロモペンタン(100g)を添加し、混合物を室温まで加温した。混合物を室温で1時間撹拌し、重炭酸ナトリウム水溶液(500mL)に注いだ。有機層をエバポレートした。残渣をシリカゲルカラムによって精製し、ヘキサン中10%酢酸エチルで溶出させて、液体の化合物6(29.2g、収量36.7%)を得た。
【0199】
実施例5.化合物7:
エチル7−ブロモ−2,2−ジメチルヘプタノエート(化合物6、26.5g)を、DMF(500mL)中アジ化ナトリウム(13g)と共に100℃で2時間、加熱した。混合物を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムによって精製し、ヘキサン中10%酢酸エチルで溶出させて、液体の化合物7(20.5g、収量90.3%)を得た。
【0200】
実施例6.化合物8:
エチル7−アジド−2,2−ジメチルヘプタノエート(化合物7、20.5g)を、エタノール(500mL)中水酸化ナトリウム(10g、85%)と共に還流下で2時間、加熱した。混合物を濃縮し、水(400mL)を添加した。混合物を濃塩酸でpH2まで酸性にし、酢酸エチル(500mL)で抽出した。有機層を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムによって精製し、ヘキサン中50%酢酸エチルで溶出させて、液体の化合物8(17.1g、収量95%)を得た。
【0201】
実施例7.化合物9:
7−アジド−2,2−ジメチルヘプタン酸(化合物8、8g)をジクロロメタン(200mL)に溶解した。塩化オキサリル(6.4g)を添加し、混合物を2時間、還流し、エバポレートした。残渣をジクロロメタン(100mL)に溶解し、ピリジン(100mL)中3'−アセチルチミジン(5.85g)に溶解した。溶液を室温で24時間撹拌し、重炭酸ナトリウム水溶液(500mL)に注いだ。混合物をジクロロメタン(500mL)で抽出し、有機層を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムによって精製し、ジクロロメタン中5%メタノールで溶出させて、無色固体の化合物9(5.6g、収量61%)を得た。
【0202】
実施例8.化合物10:
5'−(7−アジド−2,2−ジメチルヘプタノイル)−3'−アセチルチミジン(化合物9、4.65g)を、メタノール(200mL)中、30psi下、Pd/C(10%、0.5g)の存在下、1時間で水素化した。混合物をろ過し、ろ過物をエバポレートして、固体の化合物10(4.4g、収量100%)を得た。
【0203】
実施例9.化合物11:
5'−(7−アミノ−2,2−ジメチルヘプタノイル)3'−アセチルチミジン(化合物10、4.4g)、トリエチルアミン(4mL)および4−メトキシトリチルクロリド(7.5g)を、ピリジン(100mL)中で10時間、撹拌した。メチルアミン(40%、10mL)を添加し、溶液を2時間、撹拌した。混合物を重炭酸ナトリウム水溶液(500mL)に注ぎ、ジクロロメタン(500ml)で抽出した。有機層を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムによって精製し、ジクロロメタン中5%メタノールで溶出させて、無色固体の化合物11(4.9g、収量71%)を得た。
【0204】
実施例10.化合物12:
アセトニトリル(50mL)中5'−(7−[(MMT−アミノ)−2,2−ジメチルヘプタノイル]チミジン(化合物11、4.9g)、N,N−テトライソプロピル−シアノエチルホスホルアミダイト(3g)およびテトラゾール(0.5g)を、1晩、撹拌した。混合物を重炭酸ナトリウム水溶液(500ml)に注ぎ、ジクロロメタン(500mL)で抽出した。有機層を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムによって精製し、ヘキサン中50%酢酸エチルで溶出させて、無色固体の化合物12(4.5g、収量71%)を得た。
【0205】
実施例11.化合物14:
化合物12をトリリンクバイオテクノロジーズ(Trilink Biotechnologies)、カリフォルニア州に移し、オリゴ合成における最後のモノマーとして使用した。合成後、Mmt基を脱保護し、RP−HPLCによってオリゴを精製し、PEGコンジュゲーションのために、遊離アミンとして化合物14を得た。
【0206】
実施例12.化合物15:
PBS緩衝液(5mL、pH7.8)中化合物14(10mg、1.7μmol)の溶液に、m30kSCPEG(520mg、17μmol)を添加し、室温で5時間、撹拌した。反応混合物を、水で50mLに希釈し、20mM Tris−HCl緩衝液、pH7.4(緩衝液A)で予め平衡化したポロス(Poros)HQ、強力な陰イオン交換カラム(10mm×1.5mm、ベットボリューム、約16mL)上に充填した。カラムを3〜4カラム容積の緩衝液Aで洗浄して、過剰なPEGリンカーを取り出した。次いで、生成物を、20mM Tris−HCl緩衝液、pH7.4、緩衝液B中0〜100%1M NaClの勾配で10分間、続いて、100%緩衝液B、10分間、10mL/分の流速で溶出させた。溶出した生成物を、HiPrep脱塩カラム(50mL)を使用して脱塩し、凍結乾燥して、化合物15を得た。収量6mg(オリゴ当量、60%)。
【0207】
実施例13.化合物16:
PBS緩衝液(5mL、pH7.8)中化合物14(10mg、1.7μmol)の溶液に、m30PEG−RNL8a−NHS(520mg、17μmol)を添加し、室温で5時間、撹拌した。反応混合物を、水で50mLに希釈し、20mM Tris−HCl緩衝液、pH7.4(緩衝液A)で予め平衡化したポロス(Poros)HQ、強力な陰イオン交換カラム(10mm×1.5mm、ベットボリューム、約16mL)上に充填した。カラムを3〜4カラム容積の緩衝液Aで洗浄して、過剰なPEGリンカーを取り出した。次いで、生成物を、20mM Tris−HCl緩衝液、pH7.4、緩衝液B中0〜100%1M NaClの勾配で10分間、続いて、100%緩衝液B、10分間、10mL/分の流速で溶出させた。溶出した生成物を、HiPrep脱塩カラム(50mL)を使用して脱塩し、凍結乾燥して、固体とした。収量5mg(オリゴ当量、50%)。
【0208】
実施例14.化合物17:
Boc−ext−アミン(1.7g、6.4mmol、1当量)を4mLのDMFに溶解した。この溶液を、15mLのNaHCO3飽和水溶液に添加し、次いで、0℃まで冷却した。次いで、マレイミド(1g、6.4mmol、1当量)を添加し、反応混合物を15分間撹拌し、続いて、30mLの水を添加した。反応を継続して、20分間、0℃で撹拌した。H2SO4の添加によってpHを3.5に調整し、続いて、ジクロロメタンで3回抽出を行った。合わせた有機層を0.1N HClで1回洗浄し、次いで、塩水で1回洗浄し、乾燥し、減圧下でエバポレートした。粗生成物を、酢酸エチル/ヘキサン、(8:2,v/v)を伴うカラムクロマトグラフィーによって精製した:13C NMR:δ 28.28,36.86,40.19,67.58,69.67,70.00,78.86,133.89,155.63,170.31。
【0209】
実施例15.化合物18:
5mL無水DCM中Boc−ext−マレイミド(0.1g)の溶液に、室温でTFA(2.5mL)を添加した。反応をTLCによってモニターし、1.5時間後に完了したことが決定された。溶媒を減圧下でエバポレートして、化合物18を得た:13C NMR:δ 37.26,39.98,66.12,68.36,69.77,69.83,134.11,160.44,171.01。
【0210】
実施例16.化合物19:
50mLの無水DCM中Bsmoc−Gly(0.5g、1.7mmol、1当量)および3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−ベンジル−OTBS(0.448g、1.7mol、1当量)の溶液に、DMAP(0.042g、0.34mol、5当量)を添加した。次いで、混合物を0℃まで冷却し、次いで、EDC(0.408g、0.002125mmol、0.8当量)を添加した。得られた濁った溶液を室温にまで加温し、1晩撹拌した。澄明な反応溶液を0.1N HClおよび水で洗浄した。合わせた有機層をMgSO4上で乾燥し、ろ過し、減圧下でエバポレートして、化合物19を得た:13C NMR(CDCl3−CD3OD,1:1,v/v)δ42.10,56.49,120.93,125.21,129.66,130.00,130.18,133.60,136.37,138.63,155.74,171.31。
【0211】
実施例17.化合物20:
5mLの無水DCM中化合物19(0.089g、0.163mmol、1.2当量)の溶液に、4−ピペリジノ−ピペリジン(0.0247g、0.147mmol、0.9当量)を室温で添加した。反応をTLCによってモニターし、4時間後、20k8アーム−SCPEG(2.72g、0.136mmol)を添加して、完了した。反応物を室温で1晩、撹拌した。溶媒を減圧下で部分的にエバポレートし、得られた残渣をエーテルから沈殿させ、続いて、DMF/IPAからの固体の再結晶化により、化合物20を得た:13C NMR:δ −5.53,16.02,18.05,25.04,25.62,42.01,63.87,63.95,67.31−72.85(PEG),125.66,129.14,138.36,146.02,151.00,155.96,167.65,168.112。
【0212】
実施例18.化合物21:
化合物20(1.07g、0.05mmol、1当量)およびアミノ−3,6−ジオキサオクタン酸マレイミド(amino-3,6-dioxaoctanoic maleimide)(0.60g、1.75mmol、35当量)を20mLのDCMに溶解し、続いて、氷浴中で冷却した。DIPEA(0.609mL、5.5mmol、70当量)を、7〜8のpHに到達するまで、添加した。反応を室温で6.5時間稼動させ、続いて、溶媒を減圧下で部分的に取り出した。次いで、固体をエーテルによって沈殿させ、フラスコを、冷蔵庫に1晩、貯蔵した。次いで、固体をろ過し、DMF/IPAから再結晶化して、化合物21を得た:13C NMR:δ −5.30,16.28,18.32,25.86,36.90,40.67,42.30,63.72,64.27,67.64,69.23−71.28(PEG),125.98,129.39,133.92,138.76,146.24,156.08,167.79,170.34。
【0213】
実施例19.化合物22:
化合物21(0.95g)を4mLのCH3CNおよび2mLの水に溶解し、続いて、10mLの酢酸を添加した。混合物を1晩、室温で撹拌し、続いて、減圧下で溶媒を取り出した。エーテルで固体を沈殿させ、次いで、DMF/IPAから再結晶化して、アルコールを得た:13C NMR:δ 15.93,36.58,40.35,41.98,63.37,63.60,67.31,68.21−70.88(PEG),126.46,129.31,133.69,138.67,146.27,155.79,167.58,170.05。脱保護したベンジルアルコール(1g、0.05mmol、1当量)を2mLのDMFおよび20mLのDCMに溶解し、続いて、溶液を0℃まで冷却した。DSC(0.1024g、0.4mmol、8当量)およびピリジン(0.029ml、0.36mmol、7.2当量)を添加した。反応混合物をゆっくりと加温して、1晩で室温にした。溶媒を減圧下で部分的に取り出し、続いて、エーテルで固体を沈殿させた。次いで、粗生成物をDMF/IPAから再結晶化した:13C NMR:δ 16.13,25.24,36.79,40.56,42.21,63.61,64.16,67.54,69.52−71.29(PEG),126.76,128.56,130.42,133.86,148.01,155.99,167.56,168.20,170.26。
【0214】
実施例20.化合物23a−I−R1(n=8、オリゴI=siRNA、R1=−C−TAT):
化合物22a(737mg、0.0369mmol)を、30mLのpH7.4 10×PBS緩衝液中siRNA(50mg、0.00368mmol)と反応させた。反応を室温で4時間、稼動させた。粗材料を、移動相A:20mmol Tris,pH7.0およびB:20mmol Tris,2M NaCl、pH7.0を伴うポロス(Poros)上で精製し、次いで、pH7.0リン酸緩衝液で脱塩した。収量16.6mg(オリゴ当量)。次いで、この材料の15mg(オリゴ当量)を、7mLのpH7.0リン酸緩衝液に溶解した。SH−TAT(64mg、0.039mmol)を窒素下で添加した。反応を1.5時間、稼動させ、続いて、ソース(Source)15S樹脂上で精製した。カラムを、緩衝液A(5M尿素、100mM KH2PO4、25%CH3CN、pH6.5)で平衡化した。生成物を緩衝液B(2M KBr)で溶出させた。回収した生成物を、水を伴うHiPrep脱塩カラム上で脱塩し、凍結乾燥した。収量2.4mg(オリゴ当量)。
【0215】
実施例20A.化合物23a−II−R1(n=8、オリゴII=FITC−ジェナセンス、R1=−C−TAT):
化合物22aをFITC−ジェナセンスと反応させ、続いて、実施例20に記載の同じ反応条件でHS−C−TATと反応させて、生成物を得た。
【0216】
実施例20B.化合物23a−II−R2(n=8、オリゴII=FITC−ジェナセンス、R1=−C−Arg9):
化合物22aをFITC−ジェナセンスと反応させ、続いて、実施例20に記載の同じ反応条件でHS−C−Arg9と反応させて、生成物を得た。
【0217】
実施例21.化合物24.
8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸トリフルオロ酢酸塩(0.50g、0.18mmol)を、12mLのアセトニトリル/水(1/1)に溶解した。この溶液のpHは約4であった。TEAを添加して、pHを8〜9の間に調整した。pHを8〜9の間で保持した。Bsmoc−OSu(0.61g、0.18mmol)の添加後、pHを6に降下させた。さらに、TEAeを添加して、pHを8〜9に戻した。反応混合物を室温で45分間、撹拌し、反応終了時にpHを8〜9の間に保持した。反応混合物を水(5mL)で希釈し、DCMで抽出して、任意の残留している出発物質を取り出した。水性の層を0.1N HClで酸性化し、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下でエバポレートして、淡黄色オイルの化合物24(0.45g、65%収量)を得た:13C NMR:δ 173.3,156.1,139.5,137.2,134.1,130.8,130.7,134.1,130.8,130.4,130.3,125.8,121.7,71.4,70.4,70.3,68.8,57.1,41.3,25.8。
【0218】
実施例22.化合物25:
40mLの無水DCM(40mL)中化合物24(0.41g、0.107mmol)および3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−ベンジル−OTBS(0.283g、0.107mmol)の溶液に、DMAP(26mg、0.021mmol)を添加した。反応混合物を0℃まで冷却し、次いで、EDC(0.245g、0.128mmol)を添加した。反応物を室温まで加温し、20時間、撹拌した。混合物を水で希釈し、DCMで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を減圧下でエバポレートして、0.65gの粗生成物を得た。酢酸エチル/ヘキサン(1:1、v/v)で溶出させるシリカゲルカラム上での精製により、化合物25(0.59g、88%収量)を得た:13C NMR:δ 168.2,155.4,146.2,139.5,138.9,136.9,129.4,126.2,125.2,121.3,70.2,69.9,68.1,64.4,56.4,41.1,26.1,25.9,18.5,16.6,16.5。
【0219】
実施例23.化合物26:
200mLの無水DCM中化合物25(363mg、0.6mmol、1.2当量)の溶液に、4−ピペリジノ−ピペリジン(90.9mg、0.54mmol、0.9当量)を室温で添加した。反応をTLCによってモニターし、4時間後、20k8アーム−SCPEG(10g、0.5mmol、1当量)を添加して、完了した。反応物を室温で1晩、撹拌した。溶媒を減圧下で部分的にエバポレートし、得られた残渣をエーテルから沈殿させ、続いて、DMF/IPAからの固体の再結晶化により、化合物26(9.1g)を得た:13C NMR(75.4MHz,CDCl3):δ−5.35,16.28,18.26,25.25,25.80,40.56,61.40,63.66,64.16,(68.05−73.64,PEG),125.92,129.26,138.64,145.99,151.21,156.01,167.88,168.20。
【0220】
実施例24.化合物27:
DIEAアミン(5.6mL、32.2mmol、70当量)を、200mLの無水DCM中化合物26(9.2g、0.46mmol、1当量)およびアミノ−3,6−ジオキサオクタン酸マレイミド(5.5g、16.1mmol、35当量)に、7〜8のpHに到達するまで、0℃で添加した。反応を室温で5時間稼動させ、続いて、溶媒を減圧下で部分的に取り出した。次いで、残渣をエチルエーテルの添加によって沈殿させ、フラスコを、冷蔵庫に1晩、貯蔵した。固体をろ過し、DMF/IPAから再結晶化して、化合物27(7g)を得た:13C NMR:δ −5.69,15.90,17.87,25.45,36.44,40.20,42.30,63.19,64.36,67.14,68.05−72.68(PEG),125.51,128.88,133.57,138.19,145.64,155.64,167.45,169.90。
【0221】
実施例25.化合物28:
化合物27(7g)を50mLのアセトニトリルおよび11mLの水に溶解し、続いて、22mLの酢酸を添加した。溶液を1晩、室温で撹拌し、続いて、減圧下で溶媒を取り出した。残渣をエーテルで沈殿させ、次いで、DMF/IPAから再結晶化した:13C NMR:δ 15.97,36.58,40.33,63.35,63.60,67.29,69.08−71.06(PEG),126.50,129.20,133.68,138.73,146.27,155.76,167.55,170.03。脱保護した化合物(7g、0.35mmol、1当量)を14mLのDMFおよび140mLのジクロロメタンに溶解し、続いて、溶液を0℃まで冷却した。DSC(717mg、2.8mmol、8当量)およびピリジン(0.204mmol、2.52mmol、7.2当量)を添加した。反応混合物をゆっくりと加温して、1晩で室温にした。溶媒を減圧下で部分的に取り出し、続いて、エチルエーテルで固体を沈殿させた。粗生成物をDMF/IPAから再結晶化した:13C NMR:δ 16.13,22.40,25.18,36.73,40.50,42.32,63.54,67.47,69.24−71.20(PEG),126.70,128.53,130.27,133.81,148.01,155.93,167.55,168.17,170.20。
【0222】
実施例26.化合物29:
化合物28(1.5g、0.075mmol)を、8mLのpH7.8リン酸緩衝液中HIF1−α(20mg、0.0036mmol)と反応させた。反応を室温で2時間、稼動させた。粗材料を、ソース(Source)15Q樹脂上で精製した。カラムを、緩衝液A(5M尿素、100mM KH2PO4、25%CH3CN、pH6.5)で平衡化する。生成物を緩衝液B(2M KBr)で溶出させる。回収した生成物を、水を伴うHiPrep脱塩カラム上で脱塩し、凍結乾燥した。生成物の収量17.7mg(オリゴ当量)。この生成物の8.85mg(オリゴ当量)を、5mLのPH7.0リン酸緩衝液中93mgのHS−TATと反応させた。生成物を、ソース(Source)15S樹脂上で精製し、脱塩した。収量1.7mg(オリゴ当量)。
【0223】
実施例27.化合物30:
ジオキサン(70mL)中4N HClの溶液を、BocCys(Npys)−OH(1、5g、13.32mmol)に添加した。懸濁液を室温で3時間撹拌し、次いで、700mLのエチルエーテルに注いだ。終了時まで減圧を適用することなく、粗フリット漏斗を介して、固体をろ過した。ケーキをエチルエーテルで洗浄(3×50mL)し、次いで、減圧下、室温で1晩、乾燥した。1H NMR(CD3OD)δ 8.93(1H,dd,J=1.5,4.7Hz),8.66(1H,dd,J=1.5,8.20Hz),7.59(1H,dd,J=4.7,8.2Hz),4.24(1H,dd,J=4.1,9.4Hz),3.58(1H,dd,J=4.1,14.9Hz),3.36(1H,dd,J=9.4,15.2Hz)。13C NMR (75.4MHz,CDCl3):δ 169.40,156.27,154.64,144.13,135.246,123.10,52.77,39.27。
【0224】
実施例28.化合物31a:
DMF/DCM(25mL/45mL)中化合物30(1.82g、5.55mmol)の溶液に、20k8アーム−PEG−SC(7.30g、0.35mmol)を添加した。次いで、DIEAを添加(3mL、16.8mmol)し、得られた懸濁液を、室温で5時間、撹拌した。反応混合物を減圧下でエバポレートし、次いで、DCM/Et2Oにより0℃で沈殿させた。固体をろ過し、次いで、80mLのDCMに溶解した。20mLの0.1N HClの添加後、混合物を5分間、撹拌し、次いで、分液漏斗に移し、有機層を分別し、再度、0.1N HCl(20mL)および塩水(20mL)で洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥し、ろ過し、減圧下でエバポレートした。残渣を、DCM/Et2Oにより0℃で沈殿させた。固体をろ過し、減圧オーブンにおいて、30℃で少なくとも2時間、乾燥した:13C NMR:δ 170.90,156.66,155.68,153.86,142.41,133.85,121.24,72.96−69.30,64.08,53.01,41.82。
【0225】
実施例29.化合物31b:
DMF/DCM(20mL/40mL)中化合物30(765mg、2.33mmol)の溶液に、20k4アーム−PEG−SC(6.0g、0.29mmol)を添加した。次いで、DIEAを添加(1.2mL、6.96mmol)し、得られた懸濁液を、室温で5時間、撹拌した。反応混合物を減圧下でエバポレートし、次いで、DCM/Et2Oにより沈殿させた。固体をろ過し、次いで、60mLのDCMに溶解した。15mLの0.1N HClの添加後、混合物を5分間、撹拌し、次いで、分液漏斗に移し、有機層を分別し、再度、0.1N HCl(15mL)および塩水(15mL)で洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥し、ろ過し、減圧下でエバポレートした。残渣を、DCM/Et2Oにより沈殿させた。固体をろ過し、減圧オーブンにおいて、30℃で少なくとも2時間、乾燥した:13C NMR:δ 170.76,156.53,155.57,153.85,142.37,133.79,121.23,72.44−69.30,63.99,52.95,45.36,41.82。
【0226】
実施例30.化合物32a−I(n=4、オリゴI=LNAスルビビン):
60mLのpH6.5リン酸緩衝液中C6−チオ−LNA−スルビビン(120mg、0.021mmol)の溶液に化合物31a(2.3mg、0.107mmol)を添加し、溶液を1時間、室温で撹拌した。反応の進行を、陰イオン交換HPLCによって確認した。反応混合物を、0.2μmのフィルターを介してろ過し、ポロス(Poros)陰イオン交換カラムに充填した。生成物を、pH7.0で緩衝系20mM Tris.HCl 2M NaClを使用する勾配で溶出させた。脱塩後の収量は80mg(オリゴ当量)であった。
【0227】
実施例30A:化合物32b−I(n=4、オリゴI=LNAスルビビン):
150mLのpH6.5リン酸緩衝液中C6−チオ−LNA−スルビビン(300mg、0.054mmol)の溶液に化合物31b(4.8g、0.273mmol)を添加し、溶液を1時間、室温で撹拌した。反応の進行を、陰イオン交換HPLCによって確認した。反応混合物を、0.2μmのフィルターを介してろ過し、ポロス(Poros)陰イオン交換カラムに充填した。生成物を、pH7.0で緩衝系20mM Tris.HCl 2M NaClを使用する勾配で溶出させた。脱塩後の収量は225mg(オリゴ当量)であった。
【0228】
実施例31.化合物33a−I−R1(n=8、オリゴI=LNAスルビビン、R=R1=−C−TAT):
化合物32a(80mgオリゴ当量、0.0142mmol)を、20mlの緩衝液(5M尿素、100mM KH2PO4)に溶解した。溶液を0℃、窒素下で冷却し、次いで、ペプチドC−TAT(329mg、0.198mmol)を添加した。濃い黄色が観察された。継続して、反応物を1.5時間、窒素雰囲気下、0℃で撹拌し、次いで、ソース(Source)15S樹脂を使用する陽イオン交換クロマトグラフィーによって精製した。カラム(10mm×10mm)を、3カラム容積の緩衝液A(5M尿素、100mM KH2PO4、25%CH3CN、pH6.5)で平衡化し、次いで、サンプルをカラムに充填した。生成物を緩衝液B(2M KBr)で溶出させた。回収した生成物を凍結乾燥し、50mM pH7.4のPBS緩衝液を伴うHiPrep脱塩カラム上で脱塩した。次いで、脱塩した溶液を、約1mg/mL(オリゴ当量)溶液に濃縮した。生成物の収量21.75mg(オリゴ当量)。
【0229】
実施例31A.化合物33a−I−R2(n=84、オリゴI=LNAスルビビン、R=R2=−C−Arg9):
化合物32aを、実施例31に記載の同じ反応条件でC−Arg9と反応させて、生成物を得た。
【0230】
実施例31B.化合物33a−I−R3(n=84、オリゴI=LNAスルビビン、R=R3=−C−TAT−RGD):
化合物32aを、実施例31に記載の同じ反応条件でC−TAT−RGDと反応させて、生成物を得た。
【0231】
実施例31C.化合物33b−I−R1(n=4、オリゴI、R=R1=−C−TAT):
化合物32b(20mgオリゴ当量、0.0035mmol)を、10mlの緩衝液(5M尿素、100mM KH2PO4)に溶解した。溶液を0℃、窒素下で冷却し、次いで、ペプチドC−TAT(52mg、0.0315mmol)を添加した。濃い黄色が観察された。継続して、反応物を1.5時間、窒素雰囲気下、0℃で撹拌し、次いで、ソース(Source)15S樹脂を使用する陽イオン交換クロマトグラフィーによって精製した。カラム(10mm×10mm)を、3カラム容積の緩衝液A(5M尿素、100mM KH2PO4、25%CH3CN、pH6.5)で平衡化し、次いで、サンプルをカラムに充填した。生成物を緩衝液B(2M KBr)で溶出させた。回収した生成物を凍結乾燥し、50mM pH7.4のPBS緩衝液を伴うHiPrep脱塩カラム上で脱塩した。次いで、脱塩した溶液を、約1mg/mL(オリゴ当量)溶液に濃縮した。生成物の収量12.5mg(オリゴ当量)。
【0232】
実施例32.化合物34:
DMF中8アーム20K−SCPEG(1当量)の溶液に、ペプチド(16当量)を添加した。次いで、DIEAを添加(32当量)し、得られた懸濁液を、室温で5時間、撹拌する。反応混合物を、DCM/Et2Oにより0℃で沈殿させる。固体をろ過し、次いで、水に溶解する。粗固体を、C18逆相クロマトグラフィーを使用して、精製する。生成物のピークを回収し、凍結乾燥して、固体とする。
【0233】
実施例33.化合物35:
化合物34をDMF中2%ヒドラジンの溶液に添加し、溶液を4時間、室温で撹拌する。反応混合物を逆相カラムに充填し、精製する。生成物のピークを回収し、凍結乾燥する。
【0234】
実施例34.化合物36:
化合物35(1当量)を、20mlの緩衝液(5M尿素、100mM KH2PO4)に溶解する。溶液を0℃、窒素下で冷却し、次いで、オリゴ(Oligo)−SH(8当量)を添加する。継続して、反応物を1.5時間、窒素雰囲気下、0℃で撹拌し、次いで、ソース(Source)15S樹脂を使用する陽イオン交換クロマトグラフィーによって精製する。カラム(10mm×10mm)を、3カラム容積の緩衝液A(5M尿素、100mM KH2PO4、25%CH3CN、pH6.5)で平衡化し、次いで、サンプルをカラムに充填する。生成物を緩衝液B(2M KBr)で溶出させる。回収した生成物を凍結乾燥し、50mM pH7.4のPBS緩衝液を伴うHiPrep脱塩カラム上で脱塩する。次いで、脱塩した溶液を、約1mg/mL(オリゴ当量)溶液に濃縮する。
【0235】
実施例35.化合物37:
ジクロロメタン中20k8アーム−PEGスクシンイミジルカーボネート(1当量)の溶液に、H−Cys(StBu)−OH塩酸塩(1当量)およびジイソプロピルエチルアミン(1当量)を添加する。反応物を室温で約5時間、撹拌した。溶媒を部分的に取り出し、続いて、エチルエーテルで沈殿させる。粗生成物をろ過によって回収し、2−プロパノールから結晶化する。
【0236】
実施例36.化合物38:
化合物37(1当量)およびアミノ−3,6−ジオキサオクタン酸マレイミド(35当量)を、ジクロロメタンに溶解し、続いて、氷浴中で溶液を冷却する。7〜8のpHに到達するまで、ジイソプロピルエチルアミン(70当量)を添加する。反応を室温で6.5時間稼動させ、続いて、溶媒を減圧下で部分的に取り出す。次いで、固体をエーテルによって沈殿させ、フラスコを、冷蔵庫に1晩、貯蔵する。次いで、固体をろ過し、DMF/IPAから再結晶化する。
【0237】
実施例37.化合物39:
化合物38(215mg、0.011mmol、1当量)を緩衝液(5M尿素、100mM KH2PO4)に溶解する。溶液を0℃、窒素下で冷却し、次いで、SH−TAT(250mg、14当量)を添加する。継続して、反応物を1.5時間、窒素下0℃で撹拌し、続いて、ソース(Source)15S樹脂上で精製する。カラムを、緩衝液A(5M尿素、100mM KH2PO4、25%CH3CN、pH6.5)で平衡化する。生成物を緩衝液B(2M KBr)で溶出させる。回収した生成物を凍結乾燥し、50mM PBS(pH7.4)を伴うHiPrep脱塩カラム上で脱塩する。次いで、脱塩した溶液を、約1mg/mL溶液に濃縮する。
【0238】
実施例38.化合物40:
水中8化合物39(1当量)の溶液に、ジチオールトレイトール(2当量)を添加する。反応物を室温で2時間、撹拌し、次いで、溶媒を取り出す。粗材料をイソプロパノールから結晶化し、次いで、100mMリン酸緩衝液、pH6.5中オリゴ−S−S−Py(3当量)と、室温で2時間、混合する。反応物をソース(Source)15S樹脂上で精製する。カラムを、緩衝液A(5M尿素、100mM KH2PO4、25%CH3CN、pH6.5)で平衡化する。生成物を緩衝液B(2M KBr)で溶出させる。回収した生成物を凍結乾燥し、50mM PBS(pH7.4)を伴うHiPrep脱塩カラム上で脱塩した。次いで、脱塩した溶液を、約1mg/mL溶液に濃縮する。
【0239】
実施例39.化合物41:
20k8アームPEG−OH(2.0g、0.1mmol)をDCM(20mL)に溶解した。TEA(1.62g、16.0mmol)を添加した。この溶液を、DCM(10mL)中アクリロイルクロリド(0.724g)に0℃で1時間、添加した。反応混合物を、0℃で1晩、撹拌した。この溶液をIPA/エーテル(250mL/250mL)に0℃で添加した。形成した固体をろ過した。湿潤固体をDCMに溶解し、0.4N HClで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、セライトを介してろ過した。溶媒を取り出し、残渣をDCM/エーテルから再結晶化した。13C NMR(75.4MHz,CDCl3):δ 165.5,130.5,127.8,71.0−67.1(PEG),63.2。
【0240】
実施例40.化合物42:
60mLのpH 8.0リン酸緩衝液中C6−チオ−LNA−スルビビン(100mg、0.018mmol)の溶液に化合物41(3.6g、0.18mmol)を添加し、溶液を1時間、室温で撹拌した。反応の進行を、陰イオン交換HPLCによって確認した。反応混合物を、0.2μmのフィルターを介してろ過し、ポロス(Poros)陰イオン交換カラムに充填した。生成物を、pH7.0で緩衝系20mM Tris.HCl 2M NaClを使用する勾配で溶出させた。脱塩後の収量は60mg(オリゴ当量)であった。
【0241】
実施例41.化合物43:
化合物42(8mg、0.0014mmol、オリゴ当量)を、3mLの緩衝液(5M尿素、100mM KH2PO4)中SH−TAT−RGD(111mg、0.0496mmol)と窒素下で混合した。反応を2時間、稼動させた。粗生成物をソース(Source)15S樹脂上で精製した。カラムを、緩衝液A(5M尿素、100mM KH2PO4、25%CH3CN、pH6.5)で平衡化する。生成物を緩衝液B(2M KBr)で溶出させる。回収した生成物をHiPrep脱塩カラム上で脱塩し、凍結乾燥し、57μgの収量を得た。
【0242】
実施例42.化合物46:
50mL無水酢酸エチル中1,2−ジ(ピリジン−2−イル)ジスルファン(化合物44)(8.8g、39.9mmol)に、暗所で3−メルカプトプロパン酸(4.2g、39.9mmol)を添加し、続いて、13滴のトリフルオロボランエーテラートを添加した。反応物を5時間、暗所で撹拌し、次いで、ろ過した。次いで、50mLの冷酢酸エチルを固体に添加した。次いで、ろ過物を回転蒸発(rotovaped)して化合物45の約50mL溶液とした。この溶液に、t−ブチルカルバゼート(4.8g、36.3mmol)を添加し、続いて、DCC(7.5g、36.3mmol)を添加した。反応物を、16時間、室温、暗所で撹拌し、次いで、それをろ過し、エバポレートし、ヘキサン類/酢酸エチルの1:1混合物を使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、8.1gの生成化合物46を得た。13C NMR:δ 170.1,158.9,155.2,149.5,137.0,121.1,120.4,81.5,34.9,33.7,28.2。
【0243】
実施例43.化合物47:
64mLのDCM中tert−ブチル2−(3−(ピリジン−2−イルジスルファニル)プロパノイル)ヒドラジンカルボキシレート(化合物46)(8.1g、24.6mmol)に、16mLのTFAを0℃で添加した。反応物を室温で1時間、撹拌した。反応の完了後、溶媒を回転蒸発し、次いで、残渣を20/300mLのDCM/Et2Oから0℃で沈殿させた。固体をろ過し、乾燥して、5.5gの化合物47を得た:13C NMR:δ 173.8,159.6,147.9,138.5,121.1,120.7,33.4,32.2。
【0244】
実施例44.化合物49:
30mLのDCM中3,3−ジエトキシプロパン−1−アミン(化合物48)(5.2g、35.3mmol)に、Fmoc−OSu(24g、70.6mmol)を、0℃で添加し、次いで、室温まで加温した。TLCによって出発物質が観察されなくなるまで、反応物を2時間、室温で撹拌した。次いで、反応物を30mLの脱イオン水で希釈した。水層を2×30mL DCMで抽出し、有機層を、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。粗材料を、溶出溶媒としてDCMを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、5.7gの化合物49を得た:13C NMR:δ 156.2,143.9,141.2,127.5,126.9,125.0,119.8,102.2,66.5,61.8,47.3,37.2,33.3,15.4。
【0245】
実施例45.化合物50:
化合物49(200mg)を、86%ギ酸(1.1mL)中、1時間、室温で撹拌した。ロタベイパー(Rotavapor)により室温、減圧下で溶媒を取り出し、残渣をDCM(30mL)に溶解した。溶液を水(30mL)で洗浄した。分別した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を完全に取り出して、白色固体の化合物50(145mg)を得た:13C NMR:δ 156.2,143.7,141.2,127.6,126.9,124.9,119.9,66.7,47.2,44.1,34.5。
【0246】
実施例46.化合物51:
化合物47(258.3mg、0.8746mmol)および化合物50(300mg、0.8746mmol)をTHF(15mL)に溶解した。モレキュラーシーブを添加した。反応は10分間で完了した。反応後、モレキュラーシーブをろ過した。溶媒を取り出し、残渣をエチルエーテルで洗浄して、粗化合物51(385mg)を得た。
【0247】
実施例47.化合物52:
さらなる精製を伴わずに、化合物51(270mg、0.53mmol)を、DMF(5.4mL)中10%(w/v)DMAP(0.54g)で、窒素下室温で8.5時間処置して、化合物52を得た。20k8アームSCPEG(650mg、0.033mmol)をその場で(in situ)反応混合物に添加した。反応物を室温で1晩、放置した。溶媒を取り出し、残渣をDCM/エーテルで沈殿させた。単離した湿潤固体を、アセトニトリル/IPAから2回再結晶化して、E異性体およびZ異性体を伴う化合物10(630mg)を得た:13C NMR:δ 172.1,166.8,159.7,159.1,156.0,149.1,149.0,144.8,136.9,136.7,120.7,120.3,119.7,119.3,78.0−69.2(PEG),63.5,37.6,37.5,34.4,34.1,33.2,32.8,32.4,32.1。
【0248】
実施例48.化合物54:
5mLのpH7.0リン酸緩衝液中C6−チオ−LNA−スルビビン(10mg、0.0018mmol)の溶液に化合物53(0.36g、0.018mmol)を添加し、溶液を1時間、室温で撹拌した。反応の進行を、陰イオン交換HPLCによって確認した。反応混合物を、0.2μmのフィルターを介してろ過し、ポロス(Poros)陰イオン交換カラムに充填した。生成物を、pH7.0で緩衝系20mM Tris.HCl 2M NaClを使用する勾配で溶出させた。脱塩後の収量は2mg(オリゴ当量)であった。
【0249】
実施例49.化合物55:
化合物54(3mg、0.00053mmol、オリゴ当量)を、1mLのpH7.0リン酸緩衝液中SH−TAT−RGD(16.7mg、0.00743mmol)と窒素下で混合した。反応を2時間、稼動させた。粗生成物をソース(Source)15S樹脂上で精製した。カラムを、緩衝液A(5M尿素、100mM KH2PO4、25%CH3CN、pH6.5)で平衡化する。生成物を緩衝液B(2M KBr)で溶出させる。回収した生成物をHiPrep脱塩カラム上で脱塩し、凍結乾燥した。
【0250】
実施例50.化合物56:
50mLの無水DCM中20k4アームPEGNHS(5g、0.25mmol)の溶液に、4−アミノプロピオンアルデヒドジエチルアセタール(0.04g、0.275mmol)を室温で添加した。反応混合物を室温で20時間、撹拌した。溶媒を減圧下でエバポレートし、粗化合物をアセトニトリル/IPAで結晶化して、白色固体の化合物56(4.7g)を得た:13C NMR:δ 168.17,155.87,151.38,101.37,70.21,69.89,63.46,61.29,45.22,36.78,33.24,25.19,15.12。
【0251】
実施例51.化合物57:
10mLの無水DCM中化合物30(0.36g、0.117mmol)の溶液に、DIPEA(0.40mL、0.233mmol)を室温で添加した。撹拌混合物に、30mLの無水DCM中化合物56(4.00g、0.0194mmol)の溶液を添加し、続いて、DMF(13mL)を添加した。反応混合物を室温で5時間、撹拌した。溶媒を減圧下でエバポレートし、得られた残渣を、DCM/エチルエーテルで沈殿させた。粗化合物をアセトニトリル/IPAで再結晶化して、白色固体の化合物57(3.6g)を得た:13C NMR:δ 170.74,156.53,155.49,153.75,142.27,133.69,121.08,101.44,70.66,69.70,69.17,63.89,63.51,62.71,61.34,53.37,52.91,45.27,41.74,36.84,33.27,25.15,15.15。
【0252】
実施例52.化合物58.
クロロホルム中化合物57(0.70g、0.034mmol)の溶液に、(85%)ギ酸(0.15mL)を室温で添加した。反応混合物を室温で20時間、撹拌した。溶媒を減圧下でエバポレートした。粗オイルをエーテルでトリチュレートして、淡黄色固体の化合物58(0.65g)を得た:13C NMR: δ 170.72,161.87,160.59,156.59,55.57,153.76,142.33,133.75,121.14,70.30,69.75,69.19,68.59,63.98,63.75,62.77,61.40,53.55,52.93,45.31,43.88,41.76,34.26。
【0253】
実施例53.化合物59:
化合物58(53mg、0.026mmol)を、2mLのpH7.0リン酸緩衝液中C10−スルビビンヒドラジド(6mg、0.885μmol)と反応させた。反応を室温で2時間、稼動させた。粗材料を、移動相A:20mmol Tris,pH7.0およびB:20mmol Tris,2M NaCl、pH7.0を伴うポロス(Poros)上で精製し、次いで、水で脱塩した。収量1.5mg(オリゴ当量)。この材料の1.2mg(オリゴ当量)を、0.5mLの緩衝液(5M尿素、100mM KH2PO4)に溶解した。SH−TAT(2.3mg、0.00138mmol)を窒素下で添加した。反応を1.5時間、稼動させ、続いて、ソース(Source)15S樹脂上で精製した。カラムを、緩衝液A(5M尿素、100mM KH2PO4、25%CH3CN、pH6.5)で平衡化する。生成物を緩衝液B(2M KBr)で溶出させる。回収した生成物を、pH7.4 PBSを伴うHiPrep脱塩カラム上で脱塩し、凍結乾燥した。収量250μg(オリゴ当量)。
【0254】
実施例54.化合物60:
無水メタノール(5mL)中4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンズアルデヒド(1.36g、10mmol)の溶液に、1.0Mリチウムテトラフルオロボレート(0.3mL)を添加し、続いて、トリメチルオルトホーメート(1.378g、13mmol)を添加する。反応混合物を3時間、還流し、次いで飽和重炭酸ナトリウム(20mL)の添加によって、クエンチする。混合物を酢酸エチルで2回(60mL、30mL)抽出する。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム(20mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥する。ろ過後、溶媒を減圧下でエバポレートして、化合物60を得る。
【0255】
実施例55.化合物62:
無水DCM(100mL)中化合物61(10g、0.25mmol)の溶液に、化合物60(50.0mg、0.275mmol)を添加し、続いて、DMAP(33.6mg、0.275mmol)を添加する。混合物を1晩還流する。溶媒を減圧下でエバポレートし、残渣をDCM/エーテルで結晶化する。湿潤固体を単離し、CNCH3/IPAから再結晶化して、化合物62を得る。
【0256】
実施例56.化合物63:
無水DCM(100mL)中化合物62(10g、0.25mmol)の溶液に、化合物18(342mg、1.5mmol)を添加し、続いて、DMAP(183mg、1.5mmol)を添加する。混合物を1晩還流する。溶媒を減圧下でエバポレートし、残渣をDCM/エーテルで結晶化する。湿潤固体を単離し、CNCH3/IPAから再結晶化して、化合物63を得る。
【0257】
実施例57.化合物64:
化合物63(0.7g、0.0175mmol)をクロロホルム(0.6mL)に溶解する。ギ酸(85%、0.15mL)を添加する。混合物を1晩撹拌する。溶媒を減圧下でエバポレートし、残渣をDCM/エーテルで結晶化して、化合物64を得る。
【0258】
実施例58.化合物65:
化合物64を、pH7.0リン酸緩衝液中SH−TAT−RGDと窒素下で混合する。反応を2時間、稼動させる。粗生成物をソース(Source)15S樹脂上で精製する。カラムを、緩衝液A(5M尿素、100mM KH2PO4、25%CH3CN、pH6.5)で平衡化する。生成物を緩衝液B(2M KBr)で溶出させる。回収した生成物をHiPrep脱塩カラム上で脱塩し、凍結乾燥する。
【0259】
実施例59.化合物68:
115mLの無水DCM中8アームPEG−SC(5.5g、0.26mmol)の溶液に、化合物66(117.2mg、0.28mmol、1.1当量)を添加した。反応混合物を1晩撹拌し、次いで、60mLのTHF中化合物67(1.75g、4.52mmol、17.5当量)を添加し、混合物を室温で4日間、撹拌した。溶媒を減圧下で取り出し、得られた固体をIPAで2回、再結晶化して、化合物68(4.4g)を得た:13C NMR:δ 27.93,35.19,37.27,52.53,52.87,53.03,56.26,56.64,61.09,62.77,63.60,69.35−70.51(PEG),126.67,127.78,128.73,137.38,155.87,169.47。
【0260】
実施例60.化合物69:
化合物68をTFA/DCM溶媒混合物(50/100mL)に添加し、混合物を室温で1晩、撹拌した。溶媒を減圧下で取り出し、残渣をエチルエーテルの添加によって沈殿させた。固体をろ過し、IPAで再結晶化して、化合物3のカルボン酸(4.6g)を得た:13C NMR:δ 33.88,35.54,48.65,49.72,50.68,51.48,56.47,56.85,59.67,61.05,64.18,69.05−70.36(PEG),128.79,129.81,156.43,169.30.52mLの無水DCM中カルボン酸(3.3g、0.14mmol、1当量)および3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−ベンジル−OTBS(114mg、0.43mmol、3当量)の0℃の溶液に、DMAP(105mg、0.86mmol、6当量)およびEDC(110mg、0.57mmol、4当量)を添加した。反応混合物を室温で撹拌した。溶媒を減圧下で取り出し、残渣を、DCM/エチルエーテルで沈殿させた。得られた固体をろ過し、IPAから再結晶化して、化合物69(3g)を得た:13C NMR:δ −5.29,16.35,25.86,34.15,36.34,50.01,51.36,52.12,56.67,56.93,60.54,61.52,63.92,64.21,69.25−71.34(PEG),125.98,127.88,128.12,128.36,129.23,156.17,169.90。
【0261】
実施例61.化合物70:
化合物69(3g)を12mLのアセトニトリルおよび6mLの水に溶解し、続いて、30mLの酢酸を添加した。溶液を1晩、室温で撹拌し、続いて、減圧下で溶媒を取り出した。エーテルで固体を沈殿させ、次いで、DMF/IPAから再結晶化して、脱保護されたアルコールを得た。アルコール(2.7g、0.08mmol、1当量)を3mLのDMFおよび30mLのジクロロメタンに溶解し、続いて、溶液を0℃まで冷却した。DSC(170mg、0.65mmol、8当量)およびピリジン(46μL、0.57mmol、7.2当量)を添加した。反応混合物をゆっくりと加温して、1晩で室温にした。DCMを減圧下で部分的に取り出し、続いて、エーテルで固体を沈殿させた。次いで、固体を、DMF/IPAから再結晶化して、化合物70(2.3g)を得た。
【0262】
実施例62.化合物71:
PBS緩衝液(1.5mL、pH7.8)中オリゴ−NH2(3mg、0.5μmol)の溶液に、化合物70(140mg、5μmol)を添加し、室温で2時間、撹拌した。反応混合物を、水で10mLに希釈し、20mM Tris−HCl緩衝液、pH7.0(緩衝液A)で予め平衡化したポロス(Poros)HQ、強力な陰イオン交換カラム(10mm×1.5mm、ベットボリューム、約16mL)上に充填した。カラムを3〜4カラム容積の緩衝液Aで洗浄して、過剰なPEGリンカーを取り出した。次いで、生成物を、20mM Tris−HCl緩衝液、pH7.0、緩衝液B中0〜100%1M NaClの勾配で10分間、続いて、100%緩衝液B、10分間、10mL/分の流速で溶出させた。溶出した生成物を、HiPrep脱塩カラム(50mL)を使用して脱塩し、凍結乾燥して、化合物71を得た。収量2.2mg(オリゴ当量、73%)。
【0263】
生物学的データ
実施例63.化合物23a−II−R1のインビトロでの細胞内取り込み
癌細胞による細胞内取り込みを測定して、正に荷電した部分を含むPEGポリマーへのオリゴヌクレオチドの効果を決定した。本複合体(23a−II−R1)は、C−TAT(配列番号1)に結合した7アームおよび5'アンチセンスBCL−2オリゴヌクレオチド、TCTCCCAGCGTGCGCCAT、(配列番号6)に結合した1アームを含有する。対照複合体は化合物23a−II−R1に類似するが、正に荷電した部分TATを含有しない。化合物101のオリゴヌクレオチドおよび対照オリゴヌクレオチドの両方とも、供給者によって提供される方法によって、FITCで標識した。
【0264】
4枚のウェルプレート中10%FBS増殖培地を伴うA549ヒト肺癌細胞を、1晩、37℃でインキュベートした。細胞を試験化合物のそれぞれでトランスフェクトし、PBSで3回洗浄し、PBS中50%グリセロール(20mlの100%グリセロール+20mlのPBS)を添加して、スライド上の細胞を覆った。スライドを4℃で1晩貯蔵した。蛍光顕微鏡および共焦点顕微鏡を使用して、PEG−オリゴヌクレオチドの細胞内取り込みを示した。試験化合物の細胞内取り込みを、図13(蛍光顕微鏡画像)および図14(共焦点顕微鏡画像)に示す。
【0265】
データは、癌細胞が、正に荷電したポリマーに複合体化したオリゴヌクレオチドのような負に荷電した治療用薬剤を取り込むことを示す。データは、ポリマーの正電荷骨格は、治療用オリゴヌクレオチドが細胞膜を横切り、腫瘍細胞の標的部位に到達することを可能にすることを示す。
【0266】
実施例64.23a−II−R1の細胞内取り込みの効率
化合物23a−II−R1を使用して、トランスフェクション剤を伴うまたは伴わない化合物の細胞内取り込み効率を示した。6枚のウェルプレート中10%FBS増殖培地を含有する培地において、A549ヒト肺癌細胞を、1晩、37℃でインキュベートした。その後、培地を取り出し、細胞を、試験化合物のそれぞれを含有する1ml/ウェル10%FBS増殖培地で処置した。対照化合物は、ポリマーにもまた正に荷電した部分にも複合体化していないオリゴヌクレオチド、アンチセンスBCL−2オリゴヌクレオチド(配列番号7)である。対照および本化合物の両方ともFITCで標識して、化合物の細胞内取り込みを示した。
【0267】
結果を図15に示す。化合物23a−II−R1に結合したオリゴヌクレオチドは、トランスフェクション剤を伴わない対照オリゴヌクレオチドよりも多く細胞に採取された。培地がインビボでの環境に類似する血清を含有した場合、正に荷電したポリマーに複合体化したオリゴヌクレオチドの細胞内取り込みは、生来のオリゴヌクレオチドと比較して、有意に改善された。
【0268】
結果は、本ポリマーが、オリゴヌクレオチドのような負に荷電した治療用薬剤の標的細胞への送達を増加し、それ故、オリゴヌクレオチドに基づく治療は、この利点から利益を得ることができることを示す。
【0269】
実施例65.23a−II−R1および23a−II−R2の用量依存的細胞内取り込み
フローサイトメトリーを使用して、正に荷電したポリマーに複合体化したオリゴヌクレオチドの細胞内取り込み効率を示した。6枚のウェルプレート中10%FBS増殖培地を含有する培地において、A549ヒト肺癌細胞を、1晩、37℃でインキュベートした。その後、培地を取り出し、細胞を、化合物23a−II−R1および生来のオリゴヌクレオチド(配列番号6)のそれぞれを含有する1ml/ウェル10%FBS増殖培地で処置した。処置後、細胞を回収し、トリプシン処理し、1%BSA PBSで3回洗浄し、FACSを使用して分析した。化合物101のオリゴヌクレオチドおよび対照オリゴヌクレオチドを、FITCで標識した。
【0270】
結果を図16に示した。結果は、TAT(23a−II−R1)またはArg9(23a−II−R2)のいずれかを含有する正に荷電したポリマーに複合体化したオリゴヌクレオチドが、用量に依存して細胞に取り込まれたことを示す。臨床従事者は、患者の必要性に依存して治療用オリゴヌクレオチドの用量を調整するため、この特性は癌の治療において有利であり得る。
【0271】
実施例66.23a−I−R1のBCL2 mRNAダウンレギュレーション
本研究は、癌細胞に取り込まれるオリゴヌクレオチドが、癌に関与する特異的遺伝子発現をダウンレギュレートするかどうかを決定するために行った。A431細胞を、トランスフェクション剤を伴わずに、生来のオリゴヌクレオチドおよび化合物23a−I−R1でトランスフェクトした。正に荷電したポリマー複合体は、TATおよびBCL2 siRNAを含有する。
【0272】
BCL2 mRNAのRT−PCR分析を図17に示す。これらの結果は、化合物102および対照のオリゴヌクレオチドの両方が、ヒト肺癌細胞において、BCL2 mRNA発現を用量依存的にダウンレギュレートしたことを示す。正に荷電したポリマーに対するBCL2 siRNA複合体は、生来のBcl2 siRNAと比較して、有意に高いBCl2 mRNA発現のダウンレギュレーションを示した。
【0273】
結果は、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはsiRNAを含むPEG−オリゴヌクレオチド複合体が、治療剤としてのsiRNAの使用を可能にすることを示す。
【0274】
実施例67.A549細胞モデル(固形腫瘍、肺癌)における[RGD−TATC−S−S]7−20k8アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNAによるスルビビンmRNAダウンレギュレーション
本研究は、スルビビンmRNA発現に対する正に荷電したポリマーの効果を決定するために行った。A549ヒト肺細胞を、化合物33b−I−R4、33b−I−R5および33a−I−R3のそれぞれにより、1000nM、200nM、40nM、8nMおよび1.6nMの濃度で、トランスフェクトした。化合物33b−I−R4([線状RGD−S−S]3−20k4アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNA)および33b−I−R5([環状RGD−S−S]3−20k4アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNA)は両方とも、アンチセンススルビビンLNAを含有するが、正に荷電したペプチド(TAT)を含まない。化合物33a−I−R3([RGD−TATC−S−S]7−20k8アームPEG−SS−アンチセンススルビビンLNA)は、TATペプチドおよびアンチセンススルビビンLNAを含む。化合物のそれぞれで処置したA549細胞におけるスルビビンmRNA発現を、処置の翌日にRT−PCRによって測定した。
【0275】
TATペプチドを含む化合物は、トランスフェクション剤を伴わずに、スルビビンmRNA発現を有意にダウンレギュレートした。ダウンレギュレーションは、用量依存的であった。これらの結果を図18に示す。TATペプチドを伴わない化合物のアンチセンススルビビンLNAも、また生来のアンチセンススルビビンLNAのいずれも、スルビビンmRNA発現を阻害しなかった。データは、正に荷電したポリマーが、負に荷電したオリゴヌクレオチドを利用する処置に有益であることを示す。
【0276】
実施例68.DU145細胞モデル(固形腫瘍、前立腺癌)における[RGD−TATC−S−S]7−20k8アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNAによるスルビビンmRNAダウンレギュレーション
DU145細胞を、実施例67で使用したのと同じ化合物でトランスフェクトした。実施例67と同様に、TATペプチドを含有する化合物は、スルビビンmRNA発現の有意なダウンレギュレーションを示した。生来のアンチセンススルビビンLNAも、また正に荷電したペプチドを伴わない化合物のアンチセンススルビビンLNAのいずれも、DU145細胞においてスルビビンmRNA発現をダウンレギュレートしなかった。これらの結果を図19に示す。データは、正に荷電したポリマーは、多様なタイプの癌の治療に有益であり得ることを示す。スルビビンmRNAダウンレギュレーションは、DU145細胞における化合物33a−I−R1(TATC−S−S)7−20k8アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNA)を伴う研究によって同様に観察された。
【0277】
実施例69.A549細胞モデルにおける[(Arg)9C−S−S]7−20k8アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNAによるスルビビンmRNAダウンレギュレーション
A549ヒト肺癌細胞を、化合物33a−I−R2および生来のアンチセンススルビビンLNAのぞれぞれでトランスフェクトした。化合物33a−I−R2([(Arg)9C−S−S]7−20k8アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNA)は、細胞内で遊離可能なジスルフィド結合を介して、C(Arg)9に接続された7ポリマーアーム末端およびアンチセンススルビビンLNAに接続された1アーム末端を含む。生来のオリゴヌクレオチド(アンチセンススルビビンLNA)はまた、トランスフェクション剤リポフェクタミンでトランスフェクトした。
【0278】
(Arg)9を含む化合物は、トランスフェクション剤を伴わずに、スルビビンmRNA発現を有意にダウンレギュレートした。結果を図20に示す。データは、TATおよび(Arg)9のような正に荷電したペプチドを含有する本ポリマーが、治療用オリゴヌクレオチドを、細胞内の標的部位に送達させることを示す。オリゴヌクレオチド系の抗癌治療は、正に荷電したポリマーから利益を得ることができる。
【0279】
実施例70.細胞内で不安定なリンカーを含有する正に荷電したポリマーによるスルビビンmRNAダウンレギュレーション
A549細胞を、化合物59およびアンチセンススルビビンLNAダイマーのそれぞれでトランスフェクトした。C6−SHテイル(アンチセンススルビビンLNA−C6−S−S−C6−アンチセンススルビビンLNA)で改変されたアンチセンススルビビンLNAのダイマーもまた、トランスフェクション剤でトランスフェクトした。化合物59は、ヒドラゾン系の遊離可能なリンカーを含有する。mRNAダウンレギュレーション結果を図21に示す。
【0280】
ヒドラゾンリンカーを介してポリマーに結合されたアンチセンススルビビンLNAは、スルビビンmRNA発現をダウンレギュレートした。データは、ヒドラゾンリンカーを介して接続されたアンチセンスオリゴヌクレオチドが、細胞膜を横切った後、細胞内でポリマーから遊離され得ることを示す。それは、ポリマーが、ジスルフィド結合およびヒドラゾンをベースとするリンカーのような多様なタイプの遊離可能なリンカーを用いることができ、ポリマーからのアンチセンスオリゴヌクレオチドの遊離速度および部位を改変することができることを示す。
【0281】
実施例71.A549細胞モデルにおける[RGD−TATC−S−S]7−20k8アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNAによるスルビビンmRNAダウンレギュレーション
本研究は、標的化剤を含有する正に荷電したポリマーが、標的化剤を伴わない正に荷電したポリマーと同様に有効であり、それ故、標的化剤を含有するポリマーは、標的化された送達のために利用することができるかどうかを決定するために行った。A549細胞を、化合物33a−I−R1(TATC−S−S)7−20k8アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNAおよび33a−I−R3([RGD−TATC−S−S]7−20k8アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNA)のそれぞれでトランスフェクトした。化合物33a−I−R1および33a−I−R3では、7ポリマーアーム末端を、それぞれ、C−TATおよびC−TAT−RGDに接続した。細胞はまた、トランスフェクション剤を伴ってまたは伴わずに、SH−C6テイルで改変されたアンチセンススルビビンLNAでトランスフェクトした。標的化剤を伴うまたは伴わないポリマーの両方とも、スルビビンmRNA発現をダウンレギュレートした。結果を図22に示す。正に荷電したポリマーのこのような特徴は、オリゴヌクレオチド治療剤の標的剤指向性送達に有益である。
【0282】
実施例72.スルビビンmRNA発現の特異的阻害
本研究は、オリゴヌクレオチドが癌細胞膜を横切った後、遺伝子発現を選択的に阻害するかどうかを決定するために行った。
【0283】
A549ヒト肺癌細胞を、化合物33a−I−R1(TATC−S−S)7−20k8アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNA)、化合物33a−II−R1(TATC−S−S)7−20k8アームPEG−S−S−スクランブル化スルビビンLNA)および生来のアンチセンススルビビンLNAのそれぞれでトランスフェクトした。化合物33a−II−R1は、それがアンチセンススルビビンLNA内にミスマッチするヌクレオチドを含むことを除いて、化合物33a−I−R1に対応する(スクランブル化スルビビンLNA:5'-smCsGsmCsAsgsaststsasgsasasAsmCsmCst-3')。生来のアンチセンススルビビンLNAはまた、トランスフェクション剤でトランスフェクトした。結果を図23に示す。
【0284】
結果は、化合物33a−I−R1のアンチセンススルビビンLNAが、化合物33a−II−R1のミスマッチしているアンチセンススルビビンLNAおよび生来のアンチセンススルビビンLNAと比較して、スルビビンmRNA発現を有意に阻害したことを示す。ミスマッチしているヌクレオチドを含有するアンチセンススルビビンLNAは、スルビビン遺伝子発現を阻害しなかった。mRNAダウンレギュレーションは、特異的阻害である。この特徴は、癌の治療において、所望されない遺伝子発現を選択的にダウンレギュレートさせるのに望ましい。
【0285】
実施例73.Calu−6腫瘍におけるインビボでのスルビビンダウンレギュレーション
アンチセンススルビビンLNAを含有するPEGの3つの類似体のスルビビンダウンレギュレーション効率を、Calu6腫瘍細胞を異種移植したマウスで評価した。各グループを、化合物33a−I−R1(TATC−S−S)7−20k8アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNA)、化合物33a−I−R3([RGD−TATC−S−S]7−20k8アームPEG−SS−アンチセンススルビビンLNA)または化合物33a−I−R2([(Arg)9C−S−S]7−20k8アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNA)で処置した。処置後、マウスを屠殺した時に腫瘍組織を摘出し、スルビビンmRNA発現を測定した。アンチセンススルビビンLNAを含むすべての3つのポリマーは、生来のアンチセンススルビビンLNAと比較して、腫瘍組織においてスルビビンmRNA発現を有意に阻害した。結果を図24に示す。結果は、固形腫瘍のような癌の治療において、正に荷電したポリマーに接続されたオリゴヌクレオチドは、生来のアンチセンススルビビンLNAより有意に有効であることを示す。
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、2006年9月15日に出願された米国仮特許出願第60/844,944号明細書、2006年9月15日に出願された同第60/844,945号明細書、2006年11月27日に出願された同第60/861,349号明細書、2006年11月27日に出願された同第60/861,350号明細書、2007年4月13日に出願された同第60/911,734号明細書および2007年8月20日に出願された同第60/956,814号明細書の優先権の利益を主張し、それらのそれぞれの内容は、本明細書において参照により援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、正に荷電した部分を含有するポリマー複合体に関する。また、ポリマー送達システムを作出する方法、およびポリマー送達システムを使用して哺乳動物を治療する方法についても開示する。
【背景技術】
【0003】
これまでに、タンパク質、ペプチドなどのような生物学的に活性な部分の送達に使用される場合、ポリマーまたはポリマーを含有する複合体の正電荷を増加することが有益であることが分かっている。例えば、本発明の譲受人に譲渡された特許文献1は、単一の第二級または第三級アミン基が結合しているPEGおよび関連ポリアルキレンオキシドについて記載している。組み合わせることの目的は、アミンが導入されたポリマーに、複合体の効果をモジュレートするpIおよび/またはpHを付与させることであった。それ故、複合体に含まれる生物活性材料の等電点は、所望されるポイントに調整され得る。上記の特許文献1は、従来の活性化されたポリマーで観察される効果を妨害する溶液を提供し、ここで、しばしば、至適活性の損失に至る等電点の偏向が観察された。
【0004】
数年間の間、いくつかのオリゴヌクレオチド系の治療剤は、RNA干渉およびマイクロRNAの発見および開発、ならびにロックされた核酸(LNA)構造骨格の使用のような組成設計の改善によって例示されるいくらかの利点から利益を得ている。短鎖干渉RNA(siRNA)は、ほんの数年間の間に、研究用ツールから臨床治験における治療用薬剤にまで発展した。しかし、インビボでの送達がなお、オリゴヌクレオチド系の治療の治療可能性を十分に現実化するのに主な障壁になっている。現在、コンパートメント内直接注入および連続輸注がなお、主な投与経路である。その結果、治療目的で使用されるオリゴヌクレオチドの分野では、薬物送達技術の改善が求められている。
【0005】
オリゴヌクレオチドの高度に負に荷電した骨格のため、それらが細胞膜を横切り、それらの生物学的活性を示すことは、しばしば困難である。負電荷は、オリゴヌクレオチドが負に荷電した細胞膜に接近することを妨害し、それ故、エンドサイトーシスを減少する。これまでにも、この問題に取り組むために、オリゴヌクレオチドが、正に荷電したペプチド、カチオン性脂質またはカチオン性ポリマーに結合され、またはそれらと複合体化されている。結果は、完全に満足のいくものではなかった。それ故、さらなる改善が所望された。本発明は、このような必要性などに取り組んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,730,990号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の問題を克服し、薬物送達のための技術を改善するために、正に荷電した骨格を含有する新規のポリマー送達システムが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様では、式(I):
【化1】
【0009】
[式中
各Z1は、独立して、
【化2】
【0010】
であり;
各Z2は、独立して選択されるキャッピング基:
【化3】
【0011】
であり;
R1は、実質的に非抗原性のポリマーであり;
R2およびR'2は、独立して選択される正電荷含有ペプチドまたは窒素含有環状炭化水素部分であり;
R3およびR'3は、独立して選択される標的化剤であり;
R4は、生物学的に活性な部分であり;
B1、B'1およびB''1は、独立して選択される分岐基であり;
L1、L'1、L1''、L1'''およびL1''''は、独立して選択される二官能性リンカーであり;
L2、L'2およびL''2は、独立して選択される遊離可能なリンカーであり;
(a)は、正の整数、好ましくは、1〜約31、より好ましくは、約3〜約8、および最も好ましくは、1であり;
(b)は、0もしくは正の整数、好ましくは、約0〜約31、より好ましくは、約3〜約7であり;
(c)、(c')および(c'')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0、1、2もしくは3、およびより好ましくは、0もしくは1であり;
(d)、(d')、(i)、(i')および(i'')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0、1、2もしくは3、およびより好ましくは、0もしくは1であり;
(e)は、正の整数、好ましくは、1、2もしくは3、およびより好ましくは、1もしくは2であり;
(e')および(e'')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0、1、2もしくは3、およびより好ましくは、0、1もしくは2であり;
(f)および(f')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0、1、もしくは2、およびより好ましくは、0もしくは1であり;
(g)は、正の整数、好ましくは、約1〜約5、およびより好ましくは、1もしくは2であり;
(g')は、0もしくは正の整数、好ましくは、0もしくは約1〜約5の整数、およびより好ましくは、0、1もしくは2であり;
(h)および(h')は、独立して選択される正の整数、好ましくは、約1〜約8、より好ましくは、1、2、3もしくは4、および最も好ましくは、1もしくは2であり;
(b)が0ではなく、すべてのZ2がキャッピング基、
【化4】
【0012】
であるか、または組合せである場合、(g')は正の整数であることを条件とする]
化合物が提供される。
【0013】
ポリマー化合物の1つの好適な態様では、(a)および(b)の合計は、約1〜約32に等しい。
【0014】
いくつかの好適な実施形態では、ポリマー化合物には、以下に説明し、例示するような4アーム、8アーム、16アームおよび32アームのポリマーを含めることができる。より好ましくは、4アーム化ポリマーは、ポリマーアームの各末端において分岐部分と共に用いることができる。ポリマー化合物上に4アームおよび分岐部分を含有するポリマー化合物は、正に荷電した部分および/または生物学的に活性な部分を充填するための8つまでの官能部位を有することができる。
【0015】
好適な別の実施形態では、本明細書に記載のマルチアームポリマー化合物は、生物学的に活性な部分に結合した1つのポリマー末端、および正電荷含有部分に結合したそれぞれの他のポリマー末端を含有する。
【0016】
別の態様では、本明細書に記載のポリマー化合物は、例えば、正に荷電したペプチドおよびピペラジン系の部分を含有する。正電荷含有部分は、実質的に非抗原性のポリマーにさらなる正電荷を付与することが可能である。
【0017】
別の態様では、正に荷電したペプチドは、ポリマー化合物を細胞膜に透過させるのに役立ち得る。好適な正に荷電したペプチドは、例えば、TATのような細胞膜透過性ペプチド(CPP)であり得る。
【0018】
本発明のさらに別の態様では、負に荷電した生物学的に活性な分子を中和し、オリゴヌクレオチド、ロックされた核酸(LNA)、短鎖干渉RNA(siRNA)、アプタマー、リボザイム、DNAデコイなどのような生物学的に活性な部分の細胞内取り込みを改善するための正に荷電した骨格を含有するポリマー複合体が提供される。
【0019】
本発明のさらに別の態様では、生物学的に活性な部分は、遊離可能なリンカーを介して本明細書に記載の化合物のポリマー部分に結合される。遊離可能なリンカーには、ベンジル基脱離(benzyl elimination)系のリンカー、トリアルキル基ロック(trialkyl lock)系のリンカー、ビシン系のリンカー、ジスルフィド結合、ヒドラゾン含有リンカーおよびチオプロピオネート含有リンカーがあり得る。あるいは、遊離可能なリンカーは、細胞内で不安定なリンカー、細胞外リンカーおよび酸に不安定なリンカーである。
【0020】
本発明のさらに別の態様では、正に荷電した部分および標的化剤を、恒久的なリンカー(permanent linker)および遊離可能なリンカーを単独でまたは組合せて、これらを介して本明細書に記載の化合物のポリマー部分に連結することができる。好ましくは、恒久的なリンカーを介して、正に荷電したペプチドおよび標的化剤が連結される。インビボにおいて、複合体を目的の組織に誘導するために、RGDペプチド、葉酸、一本鎖抗体(SCA)などのような標的化剤を、本明細書に記載のポリマー化合物に結合させることができる。設計により、インビボでのオリゴヌクレオチドのような負に荷電した分子の標的化された送達のための新規なアプローチが提供され、これらの分子の細胞内取り込みが促進されて、より良好な治療効果を有するようになる。
【0021】
本発明のいくつかの好適な態様では、正に荷電したペプチドはまた、NGR、TNFαおよびTATのような標的化された罹患領域に特異的な治療用ペプチドであり得る。当業者は、正電荷を含有し、標的化された領域に特異的に送達することが可能な多様な治療用ペプチドを用いることができる。
【0022】
他の態様では、細胞透過性ペプチドを、例えば腫瘍部位への標的化された送達を目的として、TAT、RGD−TATおよびNGRなどのさまざまな正に荷電した標的化ペプチドのうちの1つで置換することができる。
【0023】
正に荷電した骨格を有するPEGリンカーを、オリゴヌクレオチドのような負に荷電した治療用分子と複合体化させる場合、オリゴヌクレオチドの負電荷を中和することができ、複合体の正味の電荷は正であり得る。マルチアームPEGを使用する場合、PEG複合体の全体的な形状は球形であり得る。PEGが水溶液において高度に水和される特性のため、正に荷電した骨格を有するマルチアームPEG複合体は、中心に包埋されたオリゴヌクレオチドを有する球状の「ミニ−ナノ粒子」の外観を呈する。
【0024】
負に荷電したオリゴヌクレオチドを中和することが可能な正に荷電した部分は、毒性を減少し、また、その細胞膜を透過することを容易にし、従って、オリゴヌクレオチドの送達を改善し得る。結果として、高度に負に荷電したオリゴヌクレオチドをインビボで送達することができ、毒性もより少ない。
【0025】
本発明のポリマー複合体の1つの利点は、高度に正に荷電したペプチドおよびTATのような細胞透過性ペプチドを結合させることによって、細胞内取り込みが改善されることである。さらに、当業者であれば、標的とされるペプチド、アプタマーおよび葉酸類などを結合させることによって、標的機能を達成することができる。
【0026】
別の利点は、プロドラッグからの負に荷電した分子の放出速度/部位を改変することができることである。本明細書に記載のポリマー化合物に結合した薬物は、改変された速度で放出され得、それ故、当業者が治療用ペプチドおよびオリゴヌクレオチドの所望されるバイオアベイラビリティを達成することを可能にする。負に荷電した治療用薬剤の放出の部位を改変することもでき、即ち、細胞の異なるコンパートメントにおける放出が可能である。それ故、本明細書に記載のポリマー送達システムは、十分量の負に荷電した治療用薬剤を、所望される標的領域、即ち、マクロピノソームおよびエンドソームにおいて選択的に利用可能にする。治療用薬剤の放出の単独および組合せでの時間的および空間的改変は、疾患の治療に有利であり得る。
【0027】
正に荷電した骨格を有するポリマー化合物は緩衝液の条件下で安定であり、オリゴヌクレオチドまたは他の治療用薬剤が、身体から必要以上に早く排泄されることもない。
【0028】
本発明のなおさらなる利点は、本明細書に記載の複合体が、トランスフェクション剤の非存在下で、癌細胞における十分に改善された細胞内取り込みおよび特異的mRNAダウンレギュレーションを可能にすることである。この技術は、オリゴヌクレオチド薬物のインビボ投与に応用することができる。例えば、本明細書に記載のアンチセンスBcl2オリゴヌクレオチド、Bcl2 siRNAまたは抗スルビビン(Survivin)LNAを含むPEG−オリゴヌクレオチドの細胞内取り込みは、トランスフェクション剤を伴わないヒト肺癌細胞による生来のアンチセンスBcl2オリゴヌクレオチドまたはBcl2 siRNAの細胞内取り込みより大きい。さらに、本明細書に記載の複合体は、トランスフェクション剤によって促進された細胞内取り込みと比較して、トランスフェクション剤の非存在下で、より高い細胞内取り込みを可能にした。
【0029】
他のおよびさらなる利点については、以下の説明から明らかであろう。
【0030】
本発明の目的のために、用語「残基」は、この用語が指す化合物の部分であって、即ち、別の化合物との置換反応を経た後に残留するPEG、オリゴヌクレオチドなどを意味するものと理解されるべきである。
【0031】
本発明の目的のために、用語「ポリマー残基」または「PEG残基」は、他の化合物、部分などとの反応を経た後に残留するポリマーまたはPEGの部分を意味するものと理解されるべきである。
【0032】
本発明の目的のために、用語「アルキル」は、直鎖の、分岐された、置換された、例えば、ハロ−、アルコキシ−、ニトロ−、C1-12、但し、好ましくは、C1-4アルキル類、C3-8シクロアルキル類または置換シクロアルキル類などを含むものと理解されるべきである。
【0033】
本発明の目的のために、用語「置換された」は、付加するか、または官能基または化合物内に含有される1つ以上の原子を1つ以上の異なる原子で置換することを含むものと理解されるべきである。
【0034】
本発明の目的のために、置換アルキル類は、カルボキシアルキル類、アミノアルキル類、ジアルキルアミノ類、ヒドロキシアルキル類およびメルカプトアルキル類を含み;置換アルケニル類は、カルボキシアルケニル類、アミノアルケニル類、ジアルケニルアミノ類、ヒドロキシアルケニル類およびメルカプトアルケニル類を含み;置換アルキニル類は、カルボキシアルキニル類、アミノアルキニル類、ジアルキニルアミノ類、ヒドロキシアルキニル類およびメルカプトアルキニル類を含み;置換シクロアルキル類は、4−クロロシクロヘキシルのような部分を含み;アリール類は、ナフチニルのような部分を含み;置換アリール類は、3−ブロモフェニルのような部分を含み;アラルキル類は、トリルのような部分を含み;ヘテロアルキル類は、エチルチオフェンのような部分を含み;置換へテロアルキル類は、3−メトキシ−チオフェンのような部分を含み;アルコキシは、メトキシのような部分を含み;フェノキシは、3−ニトロフェノキシのような部分を含む。ハロは、フルオロ、クロロ、ヨードおよびブロモを含むものと理解されるべきである。
【0035】
本発明の目的のために、「核酸」、「ヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」は、他で特定しない限り、一本鎖または二本鎖であるかどうかにかかわらず、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、およびそれらの任意の化学修飾物を含むものと理解されるべきである。
【0036】
本発明の目的のために、「正の整数」は、当業者による妥当性の範囲内にあると当業者に理解されるような整数を含むものと理解されるべきである。
【0037】
本発明の目的のための用語「有効量」および「十分量」は、効果が当業者によって理解されている所望される効果または治療効果を達成する量を意味するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施例1〜3に記載の合成の方法を図式的に示す。
【図2】実施例4〜13に記載の合成の方法を図式的に示す。
【図3】実施例14〜20に記載の合成の方法を図式的に示す。
【図4】実施例21〜26に記載の合成の方法を図式的に示す。
【図5】実施例27〜31に記載の合成の方法を図式的に示す。
【図6】実施例32〜34に記載の合成の方法を図式的に示す。
【図7】実施例35〜38に記載の合成の方法を図式的に示す。
【図8】実施例39〜41に記載の合成の方法を図式的に示す。
【図9】実施例42〜49に記載の合成の方法を図式的に示す。
【図10】実施例50〜53に記載の合成の方法を図式的に示す。
【図11】実施例54〜58に記載の合成の方法を図式的に示す。
【図12】実施例59〜62に記載の合成の方法を図式的に示す。
【図13】実施例63に記載の蛍光顕微鏡の画像を示す。
【図14】実施例63に記載の共焦点顕微鏡の画像を示す。
【図15】実施例64に記載の細胞内取り込みを示す。
【図16】実施例65に記載の細胞内取り込みを示す。
【図17】実施例66に記載のBcl2 mRNAダウンレギュレーションを示す。
【図18】実施例67に記載のスルビビンダウンレギュレーションを示す。
【図19】実施例68に記載のスルビビンダウンレギュレーションを示す。
【図20】実施例69に記載のスルビビンダウンレギュレーションを示す。
【図21】実施例70に記載のスルビビンダウンレギュレーションを示す。
【図22】実施例71に記載のスルビビンダウンレギュレーションを示す。
【図23】実施例72に記載のスルビビンダウンレギュレーションを示す。
【図24】実施例73に記載のインビボでのスルビビンダウンレギュレーションを示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
A.概観
本発明の1つの態様では、式(I):
【化5】
【0040】
[式中
各Z1は、独立して、
【化6】
【0041】
であり;
各Z2は、独立して選択されるキャッピング基:
【化7】
【0042】
であり;
R1は、実質的に非抗原性のポリマーであり;
R2およびR'2は、独立して選択される正電荷含有ペプチドまたは窒素含有環状炭化水素であり;
R3およびR'3は、独立して選択される標的化剤であり;
R4は、生物学的に活性な部分であり;
B1、B'1およびB''1は、独立して選択される分岐基であり;
L1、L'1、L1''、L1'''およびL1''''は、独立して選択される二官能性リンカーであり;
L2、L'2およびL''2は、独立して選択される遊離可能なリンカーであり;
(a)は、正の整数、好ましくは、1〜約31、より好ましくは、約3〜約8、および最も好ましくは、1であり;
(b)は、0もしくは正の整数、好ましくは、0〜約31、より好ましくは、約3〜約7であり;
(c)、(c')および(c'')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0、1、2もしくは3、およびより好ましくは、0もしくは1であり;
(d)、(d')、(i)、(i')および(i'')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0、1、2もしくは3、およびより好ましくは、0もしくは1であり;
(e)は、正の整数、好ましくは、1、2もしくは3、およびより好ましくは、1もしくは2であり;
(e')および(e'')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0、1、2もしくは3、およびより好ましくは、0、1もしくは2であり;
(f)および(f')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0、1、もしくは2、およびより好ましくは、0もしくは1であり;
(g)は、正の整数、好ましくは、約1〜約5、およびより好ましくは、1もしくは2であり;
(g')は、0もしくは正の整数、好ましくは、0もしくは約1〜約5の整数、およびより好ましくは、0、1もしくは2であり;
(h)および(h')は、独立して選択される正の整数、好ましくは、約1〜約8、より好ましくは、1、2、3もしくは4、および最も好ましくは、1もしくは2であり;
(b)が0ではなく、すべてのZ2がキャッピング基、
【化8】
【0043】
または組合せである場合、(g')は正の整数であることを条件とする]
のポリマー化合物が提供される。
【0044】
本発明の目的のために、U−PEGまたは(PEG)2−Lys型PEGが本明細書に記載のポリマー化合物の部分として用いられる場合を例外として、括弧に隣接する反復単位(a)および(b)は、括弧内に記載の基に結合したポリマーアームの全数を表すことができる。2ポリマーアームが存在するが、(a)および(b)の合計は、用いられるU−PEGに対し1もしくは3であり得る。(a)が1であり、(b)が0である場合、本明細書に記載のポリマー化合物は、mPEGを含むことができる。mPEGのポリマー末端は、正に荷電した部分および生物学的に活性な材料の両方に連結することができる。ビスPEGが本明細書に記載のポリマー化合物において用いられる場合、(a)および(b)の合計は2であり、ここで、(b)が1である場合、Z2はキャッピング基でも、または
【化9】
【0045】
でもない。
【0046】
本発明の1つの好適な態様では、(a)および(b)の合計は1〜32に等しく、それ故、ポリマー化合物は、好ましくは、32ポリマーアームまで、即ち、1、2、3、4、8、16もしくは32を含むことができる。本実施形態内において、ポリマー化合物は、好ましくは、1〜8ポリマーアームを含むことができ、ここで、(a)および(b)の合計は、1〜8であり得る。より好ましくは、ポリマー部分は4ポリマーアームを含み、ここで、(a)および(b)の合計は4である。
【0047】
さらに別の好適な態様では、本明細書に記載のマルチアームポリマー化合物は、生物学的に活性な部分に結合した1つのポリマー末端、ならびに正電荷含有部分および標的化剤に結合したそれぞれの残りのポリマー末端を含有する。あるいは、ポリマー部分のポリマーアームは、生物学的に活性な部分より正に荷電した部分の方に多く連結される。この特徴により、十分な正電荷を付与して、オリゴヌクレオチドのような生物学的に活性な部分の負電荷を中和することができる。
【0048】
本発明の目的のために、分岐基が本明細書に記載の化合物内に存在する場合、各ポリマーアームの遠位末端への分岐部分の後に存在する任意の部分は、分岐度によって倍加される(即ち、×2)。(h)および(h')は、分岐に従って作製される末端の数を表す。1つの実施形態では、(h)および(h')はそれぞれ2であり得、ここで、アスパラギン酸のような分岐基が用いられる。1つ以上の分岐基を含む他の実施形態では、(h)および(h)'は、2、3、4、6、8、12、16、18、32もしくはそれ以上であり得る。分岐部分は、少なくとも3つの官能基を含むことができる。アスパラギン酸のような3つの官能基を有する分岐部分がポリマーアームの末端に連結される場合、各ポリマーアームは、ポリマーアームの数の少なくとも2倍の官能部分を提供することができる。多数の分岐部分が、本明細書に記載の化合物内にあるものと考えることができる。別の実施形態では、用いられる分岐基が存在しない場合、(h)および(h')は1であり得る。
【0049】
さらに別の好適な実施形態では、4アーム化ポリマーを、ポリマーアームの各末端の分岐部分に連結することができる。ポリマー化合物上に4アームおよびアスパラギン酸のような分岐部分を含有するポリマー化合物は、正に荷電した部分および/または生物学的に活性な部分を充填するための8つの官能部位を有することができる。
【0050】
キャッピング基は、H、NH2、OH、CO2H、C1-6アルコキシおよびC1-6アルキルの中から選択することができる。好ましくは、mPEGのような線状ポリマーが本明細書に記載の化合物に用いられる場合、キャッピング基はメトキシを含有することができる。(b)が0ではなく、すべてのZ2部分がキャッピング基、
【化10】
【0051】
または組合せである場合、正に荷電した部分および生物学的に活性な部分が同じポリマーアーム上において用いられ得るように、(g')は少なくとも1である。
【0052】
本発明の1つの好適な態様では、(b)が0でない場合、各Z2は
【化11】
【0053】
を含み、それ故、本明細書に記載の化合物は、式(II):
【化12】
【0054】
で表される。すべてのポリマー末端は、活性化し、キャッピング基または
【化13】
【0055】
を含まない正に荷電した部分、標的化剤および/または生物学的に活性な部分に連結することができる。従って、この態様によって考えられるポリマーには、ビスPEG、U−PEGおよびマルチアームPEGが含まれる。
【0056】
好適な別の実施形態では、(a)は1である。(a)および(b)の合計は、1〜31の正の整数、好ましくは、1〜7、および最も好ましくは、4(4アームポリマー)であり得る。さらに別の好適な態様では、より多くのポリマー末端が、生物学的に活性な部分よりも正に荷電した部分を有して、オリゴヌクレオチドのような生物学的に活性な部分の負の電荷を十分に中和することができるように、(b)は(a)より大きい。
【0057】
本発明の目的のために、二官能性リンカー、分岐基、遊離可能なリンカー、正電荷含有部分および標的化剤の値が2に等しいかまたはそれを超える正の整数である場合、同じまたは異なる部分を用いることができる。(e)が2以上である、2つ以上の遊離可能なリンカーを含有する1つの実施形態では、遊離可能なリンカーは、同じであるかまたは異なり得る。特定の実施形態では、ベンジル基脱離系のリンカーは、本明細書に記載の化合物においてヒドラゾン含有リンカーの近接に存在する。別の実施形態では、同じまたは異なる正に荷電したペプチドを、同じポリマー末端において用いることができる。
【0058】
1つの好適な実施形態では、本明細書に記載の化合物は、式:
【化14】
【0059】
[式中
(n)は、約10〜約2300の整数であって、ここで、ポリマー部分の総分子量は、約2,000〜約100,000であり;
各Zは、Z1またはZ2であって、
ここで、
各Z1は、独立して、
【化15】
【0060】
であり;
各Z2は、独立して選択されるキャッピング基:
【化16】
【0061】
であり;
L2、L'2およびL''2は、独立して、ジスルフィド、ヒドラゾン含有リンカー、チオプロピオネート含有リンカー、ベンジル基脱離系のリンカー、トリアルキル基ロック系のリンカーおよびビシン系のリンカー、リソソーム切断性ペプチドおよびカテプシンB切断性ペプチドの中から選択される遊離可能なリンカーであり;
(c)、(c')および(c'')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0、1、2もしくは3、およびより好ましくは、0もしくは1であり;
(d)、(d')、(i)、(i')および(i'')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0、1もしくは2であり;
(e)は、正の整数、好ましくは、1もしくは2であり;
(e')および(e'')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0、1もしくは2であり;
(f')および(f'')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0、1もしくは2であり;
(g)は、正の整数、好ましくは、1もしくは2、より好ましくは、1であり;
(g')は、0もしくは正の整数、好ましくは、0、1もしくは2であり;
(h)および(h')は、独立して、正の整数、好ましくは、約1〜約8、より好ましくは、1、2、3もしくは4、および最も好ましくは、1もしくは2であり;
他のすべての変数は、先に定義したとおりであり、
すべてのZ2がキャッピング基、
【化17】
【0062】
または組合せである場合、(g')は正の整数であることを条件とする]で表される。ポリマー化合物が4ポリマーアームを有する場合、(n)は、4〜約455であり得る。当業者は、他のマルチアームポリマーについての任意選択的な(n)の値を理解することができる。好ましくは、すべてのZ2部分は、
【化18】
【0063】
である。
【0064】
分岐部分を含む活性化された4アームポリマーを、以下の式(IIIc')に例示する。
【化19】
【0065】
本発明の1つの好適な態様では、マルチアームポリマー複合体は、生物学的に活性な部分に結合した1つのポリマーアーム末端、および正電荷含有基に結合したそれぞれの他のポリマーアーム末端を含有する。
【0066】
本発明のさらなる態様では、マルチアームポリマー複合体は、生物学的に活性な部分に結合した1つのポリマーアーム末端、ならびに正電荷含有基およびターゲット剤(target agent)に結合したそれぞれの他のポリマーアーム末端を含有する。
【0067】
B.実質的に非抗原性のポリマー
本明細書に記載の化合物において用いられるポリマーは、好ましくは、水溶性ポリマーであり、ポリアルキレンオキシド(PAO)のように実質的に非抗原性である。
【0068】
本発明の1つの態様では、本明細書に記載の化合物は、線状、末端分岐またはマルチアーム化ポリアルキレンオキシドを含む。本発明のいくつかの好適な実施形態では、ポリアルキレンオキシドは、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールを含む。
【0069】
ポリアルキレンオキシドは、約2,000〜約100,000、好ましくは、約2,000〜約60,000の平均分子量を有する。ポリアルキレンオキシドは、より好ましくは、タンパク質またはオリゴヌクレオチドが結合する場合、約5,000〜約25,000、好ましくは、約12,000〜約20,000であり得、あるいは、医薬的に活性な化合物(1,500未満の平均分子量を有する小分子)が本明細書に記載の化合物において用いられる場合、約20,000〜約45,000、好ましくは、約30,000〜約40,000であり得る。
【0070】
ポリアルキレンオキシドは、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールを含む。より好ましくは、ポリアルキレンオキシドは、ポリエチレングリコール(PEG)を含む。PEGは、一般的に、構造:
−O−(CH2CH2O)n−
[式中、(n)は、約10〜約2,300の整数であり、マルチアームポリマーが使用される場合、ポリマーアームの数に依存する]で表される。あるいは、本発明のポリエチレングリコール(PEG)残基部分は、構造:
-Y71-(CH2CH2O)n-CH2CH2Y71-、
-Y71-(CH2CH2O)n-CH2C(=Y22)-Y71-、
-Y71-C(=Y72)-(CH2)a2-Y73-(CH2CH2O)n-CH2CH2-Y73-(CH2)a2-C(=Y72)-Y71-、および
-Y71-(CR71R72)a2-Y73-(CH2)b2-O-(CH2CH2O)n-(CH2)b2-Y73-(CR71R72)a2-Y71-
[式中:
Y71およびY73は、独立してO、S、SO、SO2、NR73または結合であり;
Y72は、O、S、またはNR74であり;
R71-74は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-19分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C2-6置換アルケニル、C2-6置換アルキニル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、C1-6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2-6アルカノイル、アリールカルボニル、C2-6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2-6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシおよび置換アリールカルボニルオキシの中から独立して選択され;
(a2)および(b2)は、0もしくは正の整数、好ましくは、0もしくは約1〜約6の整数、およびより好ましくは、1であり;
(n)は、約10〜約2300の整数である]
によって表すことができる。
【0071】
分岐またはU−PEG誘導体については、米国特許第5,643,575号明細書、同第5,919,455号明細書、同第6,113,906号明細書および同第6,566,506号明細書に説明されており、それらのそれぞれの開示内容は、本明細書において参照により援用される。そのような化合物の非限定的なリストは、以下の構造:
【化20−1】
【0072】
および
【化20−2】
【0073】
[式中:
Y61-62は、独立してO、SまたはNR61であり;
Y63は、O、NR62、S、SOまたはSO2であり
(w62)、(w63)および(w64)は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0もしくは約1〜約3の整数であり;
(w61)は、0もしくは1であり;
mPEGは、メトキシPEGであり
ここで、PEGは先に定義したとおりであり、ポリマー部分の総分子量は、約2,000〜約100,000であり;
R61およびR62は、独立して、R73に使用することができる同じ部分である]
で表されるポリマー系(i)〜(vii)に対応する。
【0074】
さらに別の態様では、ポリマーは、マルチアームPEG−OH、または日油株式会社(NOF Corp.)の薬物送達システムカタログ、第8版、2006年4月(その開示内容は、本明細書において参照により援用される)に記載されるような「スター型PEG」製品を含む。マルチアームポリマー複合体は、4以上のポリマーアーム、および好ましくは、4もしくは8ポリマーアームを含有する。
【0075】
例示および非限定の目的のために、マルチアームポリエチレングリコール(PEG)残基は、
【化21】
【0076】
[式中:
(x)は0および正の整数、即ち、約0〜約28であり;
(n)は重合度である]
であり得る。
【0077】
本発明の1つの特定の実施形態では、マルチアームPEGは、構造:
【化22】
【0078】
[式中、(n)は、正の整数である]で表される。本発明の1つの好適な実施形態では、ポリマーは、約5,000〜約60,000、および好ましくは、12,000〜40,000の総分子量を有する。
【0079】
さらに別の特定の実施形態では、マルチアームPEGは、構造:
【化23】
【0080】
[式中、(n)は、正の整数である]で表される。本発明の1つの好適な実施形態では、マルチアームポリマーの重合度(n)は、約5,000〜約60,000の総分子量を有するポリマーを提供するために約28〜約350であり、および好ましくは、12,000〜45,000の総分子量を有するポリマーを提供するために約65〜約270である。これは、ポリマー鎖における反復単位の数を表し、ポリマーの分子量に依存する。
【0081】
ポリマーは、米国特許第5,122,614号明細書または同第5,808,096号明細書に記載の活性化技術を使用して、適切に活性化されたポリマーに変換することができる。具体的には、そのようなPEGは、式:
【化24】
【0082】
[式中:
(u')は、約4〜約455の整数であり;
残基の3つまでの末端部分がメチルまたは他の低級アルキルでキャップ化される]
であり得る。
【0083】
いくつかの好適な実施形態では、すべてで4つのPEGアームを、芳香族基への結合を可能にするための適切な活性化基に変換することができる。変換前のそのような化合物として:
【化25−1】
【化25−2】
【0084】
が挙げられる。
【0085】
本明細書に含まれるポリマー物質は、好ましくは、室温で水溶性である。そのようなポリマーの非限定的なリストには、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコール類、ポリオキシエチレン化ポリオール類のようなポリアルキレンオキシドホモポリマー、それらのコポリマーおよびそれらのブロックコポリマーが含まれるが、但し、ブロックコポリマーの水溶性は維持される。
【0086】
さらなる実施形態において、およびPAO系のポリマーの代替物として、デキストラン、ポリビニルアルコール類、炭水化物系のポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリルアミド(HPMA)、ポリアルキレンオキシド類、および/またはそれらのコポリマーのような1つ以上の効果的に非抗原性の材料を使用することができる。また、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第6,153,655号明細書(その内容は、本明細書において参照により援用される)を参照のこと。当業者であれば、同じタイプの活性化がPEGのようなPAOについても本明細書に記載のように用いられることを理解するであろう。当業者であれば、上記のリストが単なる例示であること、および本明細書に記載の性質を有するすべてのポリマー材料が考慮されることをさらに理解するであろう。本発明の目的のために、「実質的にまたは効果的に非抗原性の」は、非毒性であり、かつ哺乳動物における免疫原性応答の誘発が認められないことが当該分野において理解されているすべての材料を意味する。
【0087】
いくつかの態様では、末端アミン基を有するポリマーを用いて、本明細書に記載の化合物を作製することができる。末端アミン類を含有するポリマーを高い純度で調製する方法については、米国特許出願第11/508,507号明細書および同第11/537,172号明細書(それらのそれぞれの内容は、本明細書において援用される)に記載されている。例えば、アジド類を有するポリマーは、トリフェニルホスフィンのようなホスフィン系の還元剤またはNaBH4のようなアルカリ金属ボロハイドライド還元剤と反応する。あるいは、脱離基を含むポリマーは、メチル−tert−ブチルイミドジカーボネートのカリウム塩(KNMeBoc)またはジ−tert−ブチルイミドジカーボネートのカリウム塩(KNBoc2)のような保護されたアミン塩と反応し、続いて、保護されたアミン基を脱保護する。これらのプロセスによって形成される末端アミン類を含有するポリマーの純度は、約95%より大きく、および好ましくは、99%より大きい。
【0088】
別の態様では、末端カルボン酸基を有するポリマーは、本明細書に記載のポリマー送達システムにおいて用いることができる。末端カルボン酸類を有するポリマーを高純度で調製する方法については、米国特許出願第11/328,662号明細書(その内容は、本明細書において参照により援用される)に記載されている。方法は、第1に、ポリアルキレンオキシドの第三級アルキルエステルを調製すること、続いて、そのカルボン酸誘導体への変換を含む。プロセスのPAOカルボン酸類の調製の第1の工程は、ポリアルキレンオキシドカルボン酸のt−ブチルエステルのような中間体を形成することを含む。この中間体は、カリウムt−ブトキシドのような塩基の存在下で、PAOをハロ酢酸t−ブチルと反応させることによって形成される。一旦、t−ブチルエステル中間体が形成されると、ポリアルキレンオキシドのカルボン酸誘導体は、92%を超える、好ましくは、97%を超える、より好ましくは、99%を超える、および最も好ましくは、99.5%純度を超える純度で容易に提供することができる。
【0089】
C.正電荷含有部分
本明細書に記載のポリマー化合物は、正に荷電したペプチドまたは窒素含有環状炭化水素を含有することができる。正電荷含有部分は、実質的に非抗原性のポリマーにさらなる正電荷を付与することが可能である。
【0090】
正に荷電したペプチドは、ポリマー化合物を細胞膜に透過させるのに役立ち得る。細胞透過性ペプチド(CPP)は、アルギニン、およびリジンのような正に荷電したアミノ酸を含有する。CPPはまた、本明細書に記載のポリマー化合物の標的化された送達を容易にする。
【0091】
本発明の1つの態様では、1つ以上のペプチドを、本明細書に記載の化合物において用いることができる。正に荷電したペプチドは、多くの異なる組合せで、化合物において用いることができる。例示および非限定の目的のために、至適な組合せが提供される。1つの実施形態では、2つのTAT配列のような複数単位のペプチドを、並べて結合させることができる。
【化26】
【0092】
[式中、
(w)は、約1〜約10、好ましくは、約3〜約7の正の整数であり;
(y)は約1〜約7の整数である]。
【0093】
別の実施形態では、分岐基を介して、2つ以上のペプチドのそれぞれを、ポリマーアーム末端のそれぞれに連結し、細胞内取り込みを促進することができる。
【化27】
【0094】
[式中、
(w)は約1〜約10の整数であり、
(y)は約1〜約7の整数である]。
【0095】
ペプチドは、約1〜約50の正に荷電したアミノ酸、好ましくは、約2〜約20、およびより好ましくは、3〜10を含有することができる。
【0096】
1つの好適な実施形態では、正に荷電したペプチドは、TAT、ペネトラチン(Penetratin)および(Arg)9のような細胞透過性ペプチド(CPP)を含む。Curr Opin Pharmacol.2006年10月;6(5):509−14、「Cell−penetrating peptides as vectors for peptide,protein and oligonucleotide delivery」(その内容は本明細書において参照により援用される)を参照のこと。
【0097】
1つの態様では、正に荷電したペプチドは、天然に存在するアミノ酸または天然に存在しないアミノ酸を含むことができる。好ましくは、ペプチドは、アルギニン、リジンおよび関連類似体を含む。ペプチドは、アミノ酸の無作為な配列、または天然に存在する細胞透過性ペプチドの部分もしくはそれらの誘導体であり得る。
【0098】
本発明の目的のために、本明細書に記載のポリマー化合物に考慮されるペプチドとして、ジスルフィド結合をさらに複合体化もしくは誘導するためのペプチドの末端におけるまたはペプチド内のシステインを挙げることができる。
【0099】
本発明の1つの好適な実施形態は、転写タンパク質のトランス活性化因子(TAT)の正に荷電したペプチドを含む。本発明の目的のために、用語「TAT」は、YGRKKRRQRRRのペプチド配列を含む転写活性化タンパク質のトランス活性化因子の部分、例えば、HS−CYGRKKRRQRRR−CONH2を意味するものと理解することができる。
【0100】
C−TAT:CYGRKKRRQRRR(配列番号1)
好適な別の実施形態では、正に荷電したペプチドは、(Arg)5のようなポリアルギニン、またはNH(Me)−Sar−Arg−Arg−Arg−Arg−Arg−CONH2(「Sar−(Arg)5」)であり得る。
【0101】
C−(Arg)9:CRRRRRRRRR(配列番号2)
本明細書に含めるのに適切な他のペプチドのグループは当業者に明らかであるが、但し、それらは、十分な数の正に荷電した基を含む。ペプチドの長さもまた、当業者の必要および(アミノ酸によって提供される)所望される正電荷基の数に従って変動する。
【0102】
いくつかの好適な実施形態、ペプチドは、その内部に、約1〜約50、好ましくは、約2〜約20、およびより好ましくは、約3〜約10正に荷電したアミノ酸を含有する。また、ツァオ,H.(Zhao,H.)ら、Bioconjugate Chem.,2005年,16:758−766(その内容は本明細書において参照により援用される)を参照のこと。
【0103】
正に荷電したペプチドをSCAのような標的部分に結合させる場合、SCAを正に荷電したペプチドに複合体化するために、リンカーを挿入することができる。当業者に公知のリンカーもまた、本明細書に記載の化合物内にあるものと考えられる。
【0104】
別の態様では、正電荷含有部分は、窒素含有環状炭化水素を含む。窒素含有部分は、式:
【化28】
【0105】
[式中、
(aa)は、約2〜約10の正の整数、好ましくは、2または3、およびより好ましくは、2であり;
(bb)は1、2もしくは3であり;
(cc)は1もしくは2であり;
(dd)は、約1〜約5の正の整数、好ましくは、1であり;
R101は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-19分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C2-6置換アルケニル、C2-6置換アルキニル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、C1-6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2-6アルカノイル、アリールカルボニル、C2-6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2-6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、および置換アリールカルボニルオキシの中から独立して選択され;
(q)は、約2〜約30の正の整数である]
に対応する。
【0106】
1つの好適な実施形態では、(q)は約3〜約18であり、それ故、ポリマーアームの各末端は、3〜18までの環状炭化水素単位を含有する。より好ましくは、(q)は、約3〜9である。
【0107】
1つの好適な実施形態では、窒素含有環状炭化水素は:
【化29】
【0108】
の中から選択することができる。窒素含有環状炭化水素部分は、好ましくは、ピペラジンを含有する。
【0109】
D.生物学的に活性な部分
本明細書に記載の化合物は、多様な負に荷電した分子を送達するために使用することができる。ポリマー化合物は、細胞内取り込みならびに負に荷電した分子の生体内分布を改善する。負に荷電した分子として、医薬的に活性な化合物(1,500未満の平均分子量を有する小さな分子量の化合物)、酵素、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、モノクローナル抗体、一本鎖抗体およびペプチドを挙げることができる。生物学的に活性な部分は、−NH2含有部分、−OH含有部分および−SH含有部分であり得る。
【0110】
1つの好適な実施形態では、生物学的に活性な部分は、オリゴヌクレオチドを含む。
【0111】
本発明の範囲をより十分に理解するために、以下の用語を定義する。当業者であれば、用語「核酸」または「ヌクレオチド」が、他で特定しない限り、一本鎖または二本鎖であるかどうかにかかわらず、デオキシリボ核酸(「DNA」)、リボ核酸(「RNA」)、およびそれらの任意の化学修飾物に当てはまることを理解するであろう。「オリゴヌクレオチド」は、一般的に、例えば、約2〜約200ヌクレオチド、またはより好ましくは、約10〜約30ヌクレオチド長のサイズの範囲の比較的短いポリヌクレオチドである。本発明に従うオリゴヌクレオチドは、一般的に、合成核酸であり、他で特定しない限り、一本鎖である。用語「ポリヌクレオチド」および「ポリ核酸」はまた、本明細書において同義語として使用してもよい。
【0112】
本明細書において使用する用語「アンチセンス」は、遺伝子産物をコードするかもしくは制御配列をコードする特定のDNAまたはRNA配列に相補的であるヌクレオチド配列を指す。用語「アンチセンス鎖」は、「センス」鎖に相補的である核酸鎖に関して使用する。細胞の代謝の正常な操作において、DNA分子のセンス鎖は、ポリペプチドおよび/または他の遺伝子産物をコードする鎖である。センス鎖は、順に、任意のコードされた遺伝子産物の合成を指令するメッセンジャーRNA(「mRNA」)転写物(アンチセンス鎖)の合成のためのテンプレートとしての役割を果たす。アンチセンス核酸分子は、相補鎖の合成を可能にするウイルスプロモーターに対して逆方向の配向で目的の遺伝子を連結することによる合成を含む、当該分野において公知の方法によって産生してもよい。いったん、細胞に導入されると、この転写された鎖は、細胞から産生される天然の配列に結合して、二重鎖を形成する。次いで、これらの二重鎖は、その先の転写また翻訳のいずれも阻止する。この様式では、変異表現型を作製してもよい。標示「負」または(−)はまた、アンチセンス鎖を指すことが当該分野において公知であり、「正」または(+)はまた、センス鎖を指すことが当該分野において公知である。
【0113】
1つの好適な実施形態では、コンジュゲーションの選択範囲は、オリゴヌクレオチド(または「ポリヌクレオチド」)であり、コンジュゲーション後、標的をオリゴヌクレオチドの残基と称する。オリゴヌクレオチドは、ホスホロジエステル骨格またはホスホロチオエート骨格を有する既知のオリゴヌクレオチドおよびオリゴデオキシヌクレオチドのいずれかの中から選択することができる。
【0114】
オリゴヌクレオチド(類似体)は、オリゴヌクレオチドの単一の種に限定されないが、その代わりに、広範なそのような部分と作用するように設計され、リンカーは、ヌクレオチドの3'−または5'−末端、通常、PO4またはSO4基の1つ以上に結合することができることが理解される。オリゴヌクレオチドとして、アンチセンスオリゴヌクレオチド、短鎖干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、アプタマーなどが挙げられる。オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド誘導体は、約10〜約1000の核酸、および好ましくは、例えば、約2〜約200ヌクレオチド、またはより好ましくは、約10〜約30ヌクレオチド長のサイズの範囲の比較的短いポリヌクレオチドを含むことができる。加えて、オリゴヌクレオチドは、天然のホスホロジエステル骨格もしくはホスホロチオエート骨格またはLNA(ロックされた核酸)、PNA(ペプチド骨格を有する核酸)、トリシクロ−DNAのような他の任意の改変された骨格;デコイODN(二本鎖オリゴヌクレオチド)、RNA(触媒RNA配列)、リボザイム;Tides 2002、「Oligonucleotide and Peptide Technology Conferences」、2002年5月6〜8日、Las Vegas、ネバダ州および「Oligonucleotide & Peptide Technologies」、2003年11月18日および19日、Hamburg、独国(それらの内容は本明細書において参照により援用される)において開示されたもののようなスピーゲルマー(L−型オリゴヌクレオチド)、CpGオリゴマーなどを含有することができる。
【0115】
本発明に従うオリゴヌクレオチドはまた、場合により、当該分野において公知の任意の適切なヌクレオチド類似体および誘導体を含むことができ、以下の表1において列挙するものを含む。
【表1】
【0116】
本発明において考えられるオリゴヌクレオチドへの改変として、例えば、選択されたヌクレオチドへの付加、または所望のポリマーへのオリゴヌクレオチドの共有結合を可能にする官能基もしくは部分による選択されたヌクレオチドの置換、ならびに/あるいはさらなる電荷、極性、水素結合、静電相互作用、および官能性をオリゴヌクレオチドに組み入れる官能性部分の付加または置換が挙げられる。そのような改変として、2'−位糖改変、5−位ピリミジン改変、8−位プリン改変、環外アミンにおける改変、4−チオウリジンの置換、5−ブロモまたは5−ヨードウラシルの置換、骨格改変、メチル化、イソ塩基、イソシチジンおよびイソグアニジンのような塩基対の組合せ、ならびに類似体の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。また、オリゴヌクレオチド改変として、キャッピングのような3'および5'改変を挙げることもできる。例示的なヌクレオシド類似体の構造を以下に提供する。
【化30】
【0117】
フライヤー(Freier)およびアルトマン(Altmann);Nucl.Acid Res.,1997年、25,4429−4443およびウールマン(Uhlmann);「Curr.Opinion in Drug Development」、2000年、3(2),293−213(それらのそれぞれの内容は本明細書において参照により援用される)に記載のヌクレオシド類似体のさらなる例を参照のこと。
【0118】
本発明の1つの好適な態様では、オリゴヌクレオチドは、標的化された腫瘍細胞か、または抗癌治療剤に対する腫瘍細胞の耐性に関係するタンパク質をダウンレギュレートすることに関与する。例えば、癌治療のためのアンチセンスオリゴヌクレオチドによるダウンレギュレーションのためのbcl−2のような当該分野において公知の任意の細胞タンパク質を、本発明に使用することができる。2004年4月9日に出願された米国特許出願第10/822,205号明細書(その内容は本明細書において参照により援用される)を参照のこと。好適な治療用オリゴヌクレオチドの非限定的リストには、アンチセンスHIF−1αオリゴヌクレオチドおよびアンチセンススルビビンオリゴヌクレオチドが含まれる。
【0119】
オリゴヌクレオチドは、例えば、ジェナセンス(Genasense)(ゲンタ社(Genta Inc.,米国ニュージャージー州バークリー・ハイツ所在)より製造されるa/k/aオブリメルセンナトリウム)と同じまたは実質的に類似のヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドであり得る。ジェナセンスは、ヒトbcl−2 mRNA(ヒトbcl−2 mRNAは当該分野において公知であり、例えば、本明細書において参照により援用される米国特許第6,414,134号明細書において配列番号19として記載されている)の開始配列の最初の6コドンに相補的である18マーのホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド、TCTCCCAGCGTGCGCCAT(配列番号6)である。2000年8月、米国食品医薬品局(U.S.Food and Drug Administration)(FDA)は、ジェナセンスをオーファンドラッグと認定した。好適な実施形態として:
(i) アンチセンススルビビンLNA(配列番号3)
【0120】
(ここで、大文字はLNAを表し、「s」はホスホロチオエート骨格を表す);
(ii) アンチセンスBcl2 siRNA;
センス 5'-GCAUGCGGCCUCUGUUUGAdTdT-3'
(配列番号4)
アンチセンス 3'-dTdTCGUACGCCGGAGACAAACU-5'
(配列番号5)
(ここで、dTはDNAを表す);
(iii) ジェナセンス(ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド):
(配列番号6)
【0121】
(ここで、小文字はDNAを表し、「s」はホスホロチオエート骨格を表す);
(iv) アンチセンスHIF1αLNA(配列番号7)
5'-sTsGsGscsasasgscsastscscsTsGsTsa-3'
(配列番号7)
(ここで、大文字はLNAを表し、「s」はホスホロチオエート骨格を表す)
が挙げられる。
【0122】
LNAは、以下に示すような2'−O,4'−Cメチレンビシクロヌクレオチドを含む:
【化31】
【0123】
米国特許出願第11/272,124号明細書(発明の名称「LNAオリゴヌクレオチドおよび癌の治療(LNA Oligonucleotides and the Treatmemt of Cancer)」)ならびに同第10/776,934号明細書(発明の名称「スルビビン発現のモジュレーションのためのオリゴマー化合物(Oligomeric Compounds for the Modulation Survivin Expression)」)(それらのそれぞれの内容は本明細書において参照により援用される)において開示されたスルビビンLNAの詳細な説明を参照のこと。また、米国特許出願第10/407,807号明細書(発明の名称「HIF−1α発現のモジュレーションのためのオリゴマー化合物(Oligomeric Compounds for the Modulation HIF−1 Alpha Expression)」)および同第11/271,686号明細書(発明の名称「HIF−1A発現の阻害のための強力なLNAオリゴヌクレオチド(Potent LNA Oligonucleotides for Inhibition of HIF−1A Expression)」)(それらの内容もまた、本明細書において参照により援用される)を参照のこと。
【0124】
本明細書に記載の化合物において用いられるオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの5'または3'末端において、(CH2)wアミノリンカーで改変することができ、ここで、この態様における(w)は、好ましくは、約1〜約10、好ましくは、6の正の整数である。改変されたオリゴヌクレオチドは、以下に示すようなNH−(CH2)w−オリゴヌクレオチドであり得る。
【化32】
【0125】
[式中、(y)は、約1〜約7の整数である]
1つの好適な実施形態では、siRNAのセンス鎖の5'末端が改変される。例えば、ポリマー複合体において用いられるsiRNAは、5'−C6−NH2で改変される。本発明の1つの特定の実施形態は、以下の配列を有するBcl2−siRNAを用いる。
【0126】
センス 5'-(NH2-C6)GCAUGCGGCCUCUGUUUGAdTdT-3'
アンチセンス 3'−dTdTCGUACGCCGGAGACAAACU−5'◎
別の態様では、本明細書に記載の化合物として、ヒンダードエステル含有(CH2)wアミノリンカーで改変されたオリゴヌクレオチドを挙げることができる。米国仮特許出願第60/844,942号明細書(発明の名称「ヒンダードエステル系の生分解性リンカーを有するポリアルキレンオキシド(Polyalkylene Oxides Having Hindered Ester−Based Biodegradable Linkers)」)および同第60/845,028号明細書(発明の名称「オリゴヌクレオチド送達のためのヒンダードエステル系の生分解性リンカー(Hindered Ester−Based Biodegradable Linkers for Oligonucleotide Delivery)」)(それらのそれぞれの内容は参照により援用される)を参照のこと。ポリマー化合物は、アミノテイルを伴わずにオリゴヌクレオチドを遊離することができる。例えば、オリゴヌクレオチドは、以下の構造を有することができる:
【化33】
【0127】
さらに別の態様では、オリゴヌクレオチドは、(CH2)wスルフヒドリルリンカーで改変することができる(チオオリゴヌクレオチド)。チオオリゴヌクレオチドは、正に荷電したペプチドのシステインに直接、またはマレイミジル基を介して複合体化するために使用することができる。チオオリゴヌクレオチドは、構造SH−(CH2)w−オリゴヌクレオチドを有することができる。また、チオオリゴヌクレオチドとして、以下の構造を有するヒンダードエステルを挙げることができる:
【化34】
【0128】
オリゴヌクレオチドは、C6−NH2テイル、C6−SHテイルまたはヒンダードエステルテイルで改変することができる。改変されたオリゴヌクレオチドの例として:
(i) C6−NH2テイルで改変されたジェナセンス:
【化35】
【0129】
(ii) C6−NH2テイルで改変されたアンチセンスHIF1αLNA:
5'-NH2-C6-sTsGsGscsasasgscsastscscsTsGsTsa-3';
(iii) C6−NH2テイルで改変されたアンチセンススルビビンLNA:
5'-NH2-C6-smCsTsmCsAsastscscsastsgsgsmCsAsGsc-3';
(iv) C6−sHテイルで改変されたアンチセンススルビビンLNA:
5'-Hs-C6-smCsTsmCsAsastscscsastsgsgsmCsAsGsc-3';
(v) ヒンダードエステルテイルで改変されたジェナセンス:
【化36】
【0130】
が挙げられる。
【0131】
E.標的化剤
標的化剤を、本明細書に記載のポリマー化合物に結合させて、複合体をインビボで標的領域へ誘導することができる。標的化剤は、オリゴヌクレオチドのような負に荷電した生物学的に活性な部分に、標的領域、即ち、腫瘍部位において治療効果を有するようにする。オリゴヌクレオチドのような負に荷電した分子の標的化された送達は、より良好な治療効果を有するために、これらの分子の細胞内取り込みをインビボで促進する。所定の態様では、腫瘍部位への標的化された送達のために、いくつかの細胞膜透過性ペプチドを、さまざまな標的化ペプチドで置換することができる。
【0132】
本発明の1つの好適な態様では、標的部分、例えば、一本鎖抗体(SCA)または一本鎖抗原結合抗体、モノクローナル抗体、細胞接着性ペプチド、例えば、RGDペプチドおよびセレクチン、細胞膜透過性ペプチド(CPP)、例えば、TAT、ペネトラチンおよび(Arg)9、受容体リガンド、標的炭水化物分子またはレクチン、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド誘導体、例えば、ロックされた核酸(LNA)およびアプタマーなどは、細胞毒性薬を標的化された領域に特異的に指向させる。J Pharm Sci.2006年9月;95(9):1856−72「Cell adhesion molecules for targeted drug delivery」(その内容は本明細書において参照により援用される)を参照のこと。
【0133】
好適な標的部分として、一本鎖抗体(SCA)または抗体の一本鎖可変フラグメント(sFv)が挙げられる。SCAは、標的化している腫瘍細胞の特異的分子に結合するかまたはそれに結合することができる抗体のドメインを含有する。抗原結合部位を維持することに加えて、リンカーを介するPEG化SCAは、抗原性を減少し、血流中のSCAの半減期を増加することができる。
【0134】
用語「一本鎖抗体」(SCA)、「一本鎖抗原結合分子もしくは抗体」または「一本鎖Fv」(sFv)は、同義的に使用される。一本鎖抗体は、抗原に対する結合親和性を有する。一本鎖抗体(SCA)または一本鎖Fvsは、いくらかの方法で構築することができ、また既に構築されている。一本鎖抗原結合タンパク質の理論および産生に関する説明については、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第10/915,069号明細書および米国特許第6,824,782号明細書(それらのそれぞれの内容は、本明細書において参照により援用される)において見出される。
【0135】
典型的に、SCAまたはFvドメインは、26−10、MOPC 315、741F8、520C9、McPC603、D1.3、マウスphOx、ヒトphOx、RFL3.8sTCR、1A6、Se155−4、18−2−3、4−4−20、7A4−1、B6.2、CC49、3C2、2c、MA−15C5/K12GO、Oxなどとして文献においてそれらの力小が公知であるモノクローナル抗体の中から選択することができる。(ヒューストン,J.S.(Huston,J.S.)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:5879−5883(1988年);ヒューストン,J.S.(Huston,J,S,)ら、SIM News38(4)(補遺):11(1988年);マッカートニー,J.(McCartney,J.)ら、ICSU Short Reports10:114(1990年);マッカートニー,J.E.(McCartney,J.E.)ら、結果公表せず(1990年);ネーデルマン,M.A.(Nedelman,M.A.)ら、J.Nuclear Med.32(補遺):1005(1991年);ヒューストン,J.S.(Huston,J.S.)ら、「Molecular Design and Modeling:Concepts and Applications」、B部、J.J.ランゴン(J.J.Langone)編、Methods in Enzymology 203:46−88(1991年);ヒューストン,J.S.(Huston,J.S.)ら、「Advances in the Applications of Monoclonal Antibodies in Clinical Oncology」、エペネトス,A.A.(Epenetos,A.A.)(編)、London,Chapman & Hall(1993年);バード,R.E.(Bird,R.E.)ら、Science242:423−426(1988年);ベドジック,W.D.(Bedzyk,W.D.)ら、J.Biol.Chem.265:18615−18620(1990年);コルチャー,D.(Colcher,D.)ら、J.Nat.Cancer Inst.82:1191−1197(1990年);ギブス,R.A.(Gibbs,R.A.)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA88:4001−4004(1991年);ミレニック,D.E.(Milenic,D.E.)ら、Cancer Research51:6363−6371(1991年);パントリアーノ,M.W.(Pantoliano,M.W.)ら、Biochemistry30:10117−10125(1991年);チャウドハリーV.K.(Chaudhary,V.K.)ら、Nature339:394−397(1989年);チャウドハリーV.K.(Chaudhary,V.K.)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA87:1066−1070(1990年);バトラ,J.K.(Batra,J.K.)ら、Biochem.Biophys.Res.Comm.171:1-6(1990年);バトラ,J.K.(Batra,J.K.)ら、J.Biol.Chem.265:15198−15202(1990年);チャウドハリーV.K.(Chaudhary,V.K.)ら、Proc.Natl.Acad Sci.USA87:9491−9494(1990年);バトラ,J.K.(Batra,J.K.)ら、Mol.Cell.Biol.11:2200−2205(1991年);ブリンクマン,U.(Brinkmann,U.)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA88:8616−8620(1991年);シーサラム,S.(Seetharam,S.)ら、J.Biol.Chem.266:17376−17381(1991年);ブリンクマン,U.(Brinkmann,U.)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:3075−3079(1992年);グロックスヒューバー,R.(Glockshuber,R.)ら、Biochemistry29:1362−1367(1990年);スケッラ,A.(Skerra,A.)ら、Bio/Technol.9:273−278(1991年);パック,P.(Pack,P.)ら、Biochemistry31:1579−1534(1992年);クラックソン,T.(Clackson,T.)ら、Nature352:624−628(1991年);マークス,J.D.(Marks,J.D.)ら、J.Mol.Biol.222:581−597(1991年);イベルソン,B.L.(Iverson,B.L.)ら、Science249:659−662(1990年);ロバーツ,V.A.(Roberts,V.A.)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA87:6654−6658(1990年);コンドラ,J.H.(Condra,J.H.)ら、J.Biol.Chem.265:2292−2295(1990年);ラロシュ,Y.(Laroche,Y.)ら、J.Biol.Chem.266:16343−16349(1991年);ホルボエト,P.(Holvoet,P.)ら、J.Biol.Chem.266:19717−19724(1991年);アナンド,N.N.(Anand,N.N.)ら、J.Biol.Chem.266:21874−21879(1991年);フックス,P.(Fuchs,P.)ら、Biol Technol.9:1369−1372(1991年);ブライトリング,F.(Breitling,F.)ら、Gene104:104−153(1991年);ゼーハウス,T.(Seehaus,T.)ら、Gene114:235−237(1992年);タッキネン,K.(Takkinen,K.)ら、Protein Engng.4:837−841(1991年);ドレーアー,M.L.(Dreher,M.L.)ら、J.Immunol.Methods139:197−205(1991年);モッテズ,E.(Mottez,E.)ら、Eur.J.Immunol.21:467−471(1991年);トローネッカー,A.(Traunecker,A.)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA88:8646−8650(1991年);トローネッカー,A.(Traunecker,A.)ら、EMBO J.10:3655−3659(1991年);フー,W.F.S.(Hoo,W.F.S.)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:4759−4763(1993年)を参照のこと)。上記の刊行物のそれぞれは、本明細書において参照により援用される。
【0136】
標的基の非限定的リストには、血管内皮細胞増殖因子、FGF2、ソマトスタチンおよびソマトスタチン類似体、トランスフェリン、メラノトロピン、ApoEおよびApoEペプチド、フォン・ウィルブランド因子およびフォン・ウィルブランド因子ペプチド、アデノウイルスファイバータンパク質およびアデノウイルスファイバータンパク質ペプチド、PD1およびPD1ペプチド、EGFおよびEGFペプチド、RGDペプチド、葉酸塩などが含まれる。当該分野の当業者によって理解されている他の任意選択的な標的化剤もまた、本明細書に記載の化合物において用いることができる。
【0137】
好ましくは、標的化剤には、一本鎖抗体(SCA)、RGDペプチド、セレクチン、TAT、ペネトラチン、(Arg)9、葉酸などが含まれ、これらの薬剤の好適な構造のいくつかは、以下のとおりである:
C−TAT: (配列番号1) CYGRKKRRQRRR;
C−(Arg)9: (配列番号2) CRRRRRRRRR;
RGDは、直鎖または環状の:
【化37】
【0138】
であり得;
葉酸は、
【化38】
【0139】
の残基である。
【0140】
Arg9は、例えば、CRRRRRRRRRを複合体化するためのシステインを含むことができ、TATは、CYGRKKRRQRRRCのようなペプチドの末端においてさらなるシステインを付加することができる。
【0141】
本発明の目的のために、本明細書および図面において使用される略称は、以下の構造を表す:
(i) C-ジTAT=CYGRKKRRQRRRYGRKKRRQRRR-NH2;
(ii) 直鎖RGD=RGDC;
(iii) 環状RGD=c−RGDfC;
(iv) RGD−TAT=CYGRKKRRQRRRGGGRGDS−NH2;および
(v) Arg9
【0142】
F.遊離可能なリンカー
本発明の1つの好適な態様では、本明細書に記載の化合物は、遊離可能なリンカーに結合した生物学的に活性な部分を含有する。本発明の1つの利点は、生物学的に活性な部分を、制御された様式で遊離することができることである。
【0143】
遊離可能なリンカーの中には、ベンジル基脱離系のリンカー、トリアルキル基ロック系のリンカー(またはトリアルキル基ロックラクトン系)、ビシン系のリンカー、酸に不安定なリンカー、リソソーム切断性ペプチドおよびカテプシンB切断性ペプチドがあり得る。酸に不安定なリンカーの中には、ジスルフィド結合、ヒドロゾン(hydrozone)含有リンカーおよびチオプロピオネート含有リンカーがあり得る。あるいは、遊離可能なリンカーは、細胞内で不安定なリンカー、細胞外リンカーおよび酸に不安定なリンカーである。
【0144】
遊離可能なリンカーは、式:
【化39】
【0145】
−Val−Cit−、
−Gly−Phe−Leu−Gly−、
−Ala−Leu−Ala−Leu−、
−Phe−Lys−、
【化40】
【0146】
−Val−Cit−C(=O)−CH2OCH2−C(=O)−、
−Val−Cit−C(=O)−CH2SCH2−C(=O)−、および
−NHCH(CH3)−C(=O)−NH(CH2)6−C(CH3)2−C(=O)−
[式中、
Y11-19は、独立してO、SまたはNR48であり;
R31-48、R50-51およびA51は、水素、C1-6アルキル類、C3-12分岐アルキル類、C3-8シクロアルキル類、C1-6置換アルキル類、C3-8置換シクロアルキル類、アリール類、置換アリール類、アラルキル類、C1-6ヘテロアルキル類、置換C1-6ヘテロアルキル類、C1-6アルコキシ、フェノキシおよびC1-6ヘテロアルコキシの中から選択され;
Arは、アリールまたはヘテロアリール部分であり;
L11-15は、独立して選択される二官能性スペーサーであり;
JおよびJ'は、独立して標的細胞に能動的に輸送される部分、疎水性部分、二官能性連結部分およびそれらの組合せから選択され;
(c11)、(h11)、(k11)、(l11)、(m11)および(n11)は、独立して選択される正の整数、好ましくは、1であり;
(a11)、(e11)、(g11)、(j11)、(o11)および(q11)は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、1であり;
(b11)、(x11)、(x'11)、(f11)、(i11)および(p11)は、独立して0もしくは1である]
で表される。
【0147】
多様な遊離可能なリンカー、ベンジル基脱離系のものまたはトリアルキル基ロック系のものについては、例えば、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第6,180,095号明細書、同第6,720,306号明細書、同第5,965,119号明細書、同第6624,142号明細書および同第6,303,569号明細書(それらのそれぞれの内容は、本明細書において参照により援用される)に記載されている。ビシン系のリンカーについてもまた、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第7,122,189号明細書および同第7087,229号明細書ならびに米国特許出願第10/557,522号明細書、同第11/502,108号明細書、および同第11/011,818号明細書(それらのそれぞれの内容は、本明細書において参照により援用される)に記載されている。
【0148】
好ましくは、オリゴヌクレオチドは、酸に不安定なリンカーを介して、本明細書に記載の化合物のポリマー部分に連結される。いずれの理論にもとらわれずに述べれば、酸に不安定なリンカーは、細胞内、および特に、リソソーム、エンドソーム、またはマクロピノソームにおける親ポリマー化合物からのオリゴヌクレオチドの遊離を容易にする。
【0149】
本発明の別の態様では、正に荷電したペプチドおよび標的化剤はまた、酸に不安定なリンカーのような遊離可能なリンカーを介して本明細書に記載の化合物のポリマー部分に連結することができる。
【0150】
G.二官能性リンカー
本発明の別の態様では、正に荷電したペプチドおよび標的化剤を、恒久的なリンカーおよび遊離可能なリンカーを単独または組合せで介して本明細書に記載の化合物のポリマー部分に連結することができる。好ましくは、恒久的なリンカーを介して、正に荷電したペプチドおよび標的化剤が連結される。
【0151】
二官能性リンカーとして、アミノ酸またはアミノ酸誘導体が挙げられる。アミノ酸は、天然に存在するおよび天然に存在しないアミノ酸のものであり得る。天然に存在するアミノ酸の誘導体および類似体、ならびに当該分野において公知の多様な天然に存在しないアミノ酸(DもしくはL)、疎水性または非疎水性のものもまた、本発明の範囲内にあると考えられる。天然に存在しないアミノ酸の適切な非限定的なリストには、2−アミノアジピン酸、3−アミノアジピン酸、β−アラニン、β−アミノ−プロピオン酸、2−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸、ピペリジン酸、6−アミノカプロン酸、2−アミノヘプタン酸、2−アミノイソ酪酸、3−アミノイソ酪酸、2−アミノピメリン酸、2,4−アミノ酪酸、デスモシン、2,2−ジアミノピメリン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、N−エチルグリシン、N−エチルアスパラギン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロイソロイシン、N−メチルグリシン、サルコシン、N−メチル−イソロイシン、6−N−メチル−リジン、N−メチルバリン、ノルバリン、ノルロイシン、およびオルニチンが挙げられる。いくつかの好適なアミノ酸残基として、グリシン、アラニン、メチオニンおよびサルコシンが挙げられる。
【0152】
あるいは、二官能性リンカーは、
【化41−1】
【化41−2】
【0153】
[式中:
R21-29は、水素、C1-6アルキル類、C3-12分岐アルキル類、C3-8シクロアルキル類、C1-6置換アルキル類、C3-8置換シクロアルキル類、アリール類、置換アリール類、アラルキル類、C1-6ヘテロアルキル類、置換C1-6ヘテロアルキル類、C1-6アルコキシ、フェノキシおよびC1-6ヘテロアルコキシの中から選択され;
(t)および(t')は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0もしくは約1〜約12の整数、より好ましくは、約1〜約8の整数、および最も好ましくは、1もしくは2であり;
(v)および(v')は、独立して0もしくは1である]
の中から選択することができる。
【0154】
好ましくは、二官能性リンカーは:
【化42−1】
【化42−2】
【0155】
[式中、(r)および(r')は、独立して0もしくは1であり、但し、(r)および(r')は、両方が同時に0になることはない]
の中から選択することができる。
【0156】
本発明のさらなる別の態様では、二官能性リンカーとして:
【化43】
【0157】
が挙げられる。
【0158】
これらの二官能基は、第2の因子を直接複合体化させ、従って、第2の因子に複合体化するための官能基に結合する必要性を排除する。
【0159】
別の実施形態では、二官能性リンカーは、上記で示した構造に対応する構造を含むが、但し、マレイミジル基の代わりに、ビニルのような基を有し、マレイミジルの代わりに、スルホン、アミノ、カルボキシ、メルカプト、チオプロピオネート、ヒドラジド、カルバゼートなどの残基を有する。
【0160】
H.分岐基
本明細書に記載の化合物のポリマーアーム末端は、生物学的に活性な部分、正に荷電した部分、および/または標的化剤の複数の充填を可能にするために、分岐することができる。好ましくは、分岐基は、正に荷電した部分が利用可能なさらなるポリマーアーム末端を提供する。
【0161】
分岐部分は、少なくとも3つの官能部分を有することができる。ポリマーアーム末端の数は、分岐の程度によって倍加される。3つの官能部分を有する分岐基がポリマー化合物に連結される場合、それは、連結のための2つの末端を提供する。分岐基は:
【化44】
【0162】
[式中、
R5は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-19分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C2-6置換アルケニル、C2-6置換アルキニル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、C1-6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2-6アルカノイル、アリールカルボニル、C2-6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2-6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、および置換アリールカルボニルオキシの中から独立して選択され;
(c1)、(c2)、(c3)、(c4)、(c5)、(c6)、(c'6)、(c''6)、(c7)および(c8)は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0もしくは約1〜10の整数、およびより好ましくは、0、1もしくは2であり;
(d1)、(d2)、(d3)、(d4)、(d5)および(d7)は、独立して0もしくは正の整数、好ましくは、0もしくは約1〜約10の整数、およびより好ましくは、0もしくは約1〜約4の整数である]
の中から選択することができる。
【0163】
また、多様な分岐基については、共有の米国特許第6,153,655号明細書、同第6,395,266号明細書および同第6,638,499号明細書(それらのそれぞれの内容は、本明細書において参照により援用される)に記載されている。当業者に公知の他のすべての任意選択的な分岐基もまた、本明細書に記載の化合物内にあるものと考えられる。
【0164】
好ましくは、分岐基は:
【化45】
【0165】
を含む。
【0166】
より好ましくは、分岐基は、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、およびシステインを含む。
【0167】
さらなる態様では、1つ以上の分岐基を、ポリマーアームの各末端において用いることができる。
【0168】
I.式Iに対応する好適な実施形態
1つの好適な実施形態では、ポリマー化合物は、以下の式で表される:
【化46】
【0169】
[式中、
(e)は1もしくは2であり;
(e')は、0、1もしくは2であり;
(f')は、0もしくは1である]
【化47】
【0170】
[式中、(g')は、正の整数である]。
【0171】
例えば、本発明に従って調製される複合体には、以下のものがある:
【化48−1】
【化48−2】
【化48−3】
【化48−4】
【0172】
[式中、
C-TATは、-S-CYGRKKRRQRRR-CONH2の残基である;
NH-5'-C6-GSは、ジェナセンス、18量体のホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチドTCTCCCAGCGTGCGCCAT(配列番号1)の誘導体
【化49】
【0173】
であり;
S-5'-C6-NA-スルビビンは、
【化50】
【0174】
であり;
RGDは、
【化51】
【0175】
である]。
【0176】
本発明の1つの好適な実施形態では、ポリマー化合物は以下を含む:
【0177】
siRNA二重鎖のセンス鎖の5'末端は、PEGリンカーに複合体化するためのC6−アミノテイルに改変される。
【0178】
J.ポリマー送達システムの合成
一般的に、複合体は、多官能性リンカーに連続的にポリマー、細胞障害性薬剤、正電荷含有部分、および標的部分を結合させることによって、作製することができる。付加の正確な順序はこの順番に限定されず、当業者に明らかであるように、PEGが最初に多官能性リンカーに付加され、続いて、遊離可能に結合される細胞毒性薬の付加、続いて、正電荷含有部分およびモノクローナル抗体のような標的化剤の付加が行われる態様も認められる。この実施形態のいくつかの好適な態様に関する詳細を、以下の実施例に提供する。
【0179】
本発明の1つの態様では、OHまたは脱離基を含有するポリマー化合物を、最初に、遊離可能なリンカー部分を含有する求核部分と反応させ、次いで、遠位末端において官能基を含有する別の求核部分と反応させることができる。遊離可能なリンカーを、生物学的に活性な化合物と複合体化させることができ、官能基を、正電荷含有部分と連結させることができる。あるいは、生物学的に活性な部分および正電荷含有部分に複合体化したポリマー化合物を、標的部分とさらに反応させて、本発明の3つのすべての成分を含有する最終的なポリマー複合体を調製することができる。例えば、当業者であれば、ポリマー上の脱離基の数と比較して、より少ない等量の求核部分を使用して、リンカーおよび脱離基を含有するポリマー中間体を形成させることができる。この中間体は、正電荷含有部分とさらに反応させるか、あるいは、標的部分とさらに反応させて、生物学的に活性な化合物、正電荷含有部分、および標的化剤で多置換されたポリマー複合体を形成させることができる。
【0180】
あるいは、ポリマーを異なる基と反応させて、多様な求核部分に対して異なる化学反応性を提供することができる。例えば、カルボン酸末端のtert−Buエステルおよびメチルエステルのような異なる保護基を、選択的かつ段階的に脱保護して、細胞障害性薬剤のような異なる生物学的に活性な薬剤および標的化剤と複合体化すべき多様な程度の活性な基を提供することができる。図1に示すように、マレイミジル基およびスクシンイミジルエステルは、それぞれ、SHまたはNH2含有部分と選択的に反応することができる。
【0181】
本明細書に記載のすべての反応は、当業者に公知の必要な工程および条件による標準的な化学反応である。従って、本明細書に記載の合成反応は、過度の実験を必要としない。
【0182】
求核性化合物のPEGまたは他のポリマーへの結合は、当業者に周知の標準的な化学合成技術を使用して行うことができる。SC−PEG、PEG−アミン、PEG酸などのような活性化されたポリマーは、商業的供給源から得ることができるか、または過度の実験を伴うことなく、当業者によって合成することができる。
【0183】
求核性化合物のポリマー部分への結合は、カップリング剤の存在下で代替的に行われる。適切なカップリング剤の非限定的なリストには、例えばシグマ−アルドリッチ・ケミカル(Sigma-Aldrich Chemical)社のような商業的供給源から入手可能であるか、または既知の技術を使用して合成される1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)、任意の適切なジアルキルカルボジイミド類、2−ハロ−1−アルキル−ピリジニウムハロゲン化物(向山試薬)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDC)、プロパンホスホン酸環状無水物(PPACA)およびフェニルジクロロホスホネート類などが含まれる。
【0184】
好ましくは、反応は、塩化メチレン、クロロホルム、DMFまたはそれらの混合物のような不溶性溶媒で行われる。好ましくは、反応は、作製される任意の酸を中和するために、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、トリエチルアミンなどのような塩基の存在下で、行うことができる。反応は、約0℃から約22℃(室温)までの温度で行うことができる。本明細書に記載の方法によって調製されるいくつかの特定の実施形態は、以下を含む:
【0185】
1つの態様では、負電荷を中和し、オリゴヌクレオチドのような生物学的に活性な部分の細胞内取り込みを改善するための正に荷電した部分を有するポリマー化合物は、以下の別の態様を有することができる:
(i) オリゴヌクレオチドの5'−または3'−末端において(CH2)wアミノリンカーで改変されたオリゴヌクレオチド;
(ii) オリゴヌクレオチドの5'−または3'−末端において(CH2)wスルフヒドリルリンカーで改変されたオリゴヌクレオチド;
(iii) アミノテイルまたはチオテイルを伴わないオリゴヌクレオチドを遊離することができるヒンダードエステルを含有する(CH2)wアミノリンカーまたは(CH2)wスルフヒドリルリンカーで改変されたオリゴヌクレオチド;
(iv) 細胞内取り込みを促進するために、1つ以上の正に荷電したペプチド、例えば、TAT配列のような2つの正に荷電したペプチドを結合させることができる;
(v) 1つ以上の遊離可能なリンカーを結合させることができる。
【0186】
ヒンダードエステル含有オリゴヌクレオチドの形成に関する説明については、本発明の譲受人に譲渡された米国仮特許出願第60/845,028号明細書(発明の名称「オリゴヌクレオチド送達のためのヒンダードエステル系の生分解性リンカー(Hindered Ester−Based Biodegradable Linkers For Oligonucleotide Delivery)」)(その内容は、本明細書において参照により援用される)に記載されている。図2の反応スキームを参照のこと。
【0187】
K.治療の方法
上記を鑑みると、式(I)の本発明の化合物を含有する有効量の医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる、哺乳動物を治療する方法もまた、提供される。
【0188】
本発明の1つの特定の態様では、式(I)の本発明の化合物を含有する有効量の医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる、悪性腫瘍または癌を有する患者を治療する方法もまた、提供される。別の態様では、治療される癌は、次の1つ以上であり得る:固形腫瘍、リンパ腫、小細胞肺癌、急性リンパ性白血病(ALL)、膵臓癌、神経膠芽腫、卵巣癌、胃癌など。組成物は、新生物疾患を治療する、腫瘍量を減少する、新生物の転移を防止する、および哺乳動物における腫瘍の再発/新生物増殖を防止するのに有用である。
【0189】
本発明の別の態様は、哺乳動物における多様な病態の治療の方法を提供する。簡単に説明すると、正に荷電したPEGポリマーに結合することができる任意の生物学的に活性な部分を、そのような治療を必要とする哺乳動物に投与することができる。非複合体の状態で治療効果を有する任意のオリゴヌクレオチドなどは、本明細書に記載のように作製されるその複合体化された形態で使用することができる。
【0190】
例えば、投与されるプロドラッグとして使用される組成物の量は、その中に含まれる親分子に依存する。一般的に、治療方法において使用されるプロドラッグの量は、哺乳動物において所望される治療結果を有効に達成する量である。当然ながら、多様なプロドラッグ化合物の用量は、親化合物、インビボでの加水分解の速度、ポリマーの分子量などに依存して、いくらか変動する。
【0191】
本発明のさらなる態様では、ポリヌクレオチド(オリゴヌクレオチド)、好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチドを哺乳動物細胞に投与する方法が提供される。方法は、本明細書に記載のように調製される有効量の複合体を、治療される症状に送達することを含み、そのような症状に有効なポリヌクレオチドに依存する。例えば、複合体化されていないオリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンスBCL2オリゴヌクレオチド、アンチセンススルビビンオリゴヌクレオチド)が所定の癌または新生物細胞に対して有効性を有する場合、方法は、オリゴヌクレオチドを含有するポリマー複合体を、生来のオリゴヌクレオチドに感受性を有する細胞に送達することを含む。送達は、適切な医薬組成物の部分としてインビボで、またはエクスビボ環境で細胞に直接行うことができる。1つの特定の治療では、オリゴヌクレオチド(配列番号3、配列番号4および5、ならびに配列番号6、および配列番号7)を含むポリマー複合体を使用することができる。
【実施例】
【0192】
以下の実施例は、本発明のさらなる理解を提供するために役立つが、決して、本発明の範囲を限定することを意味しない。実施例において説明する太字の番号は、図1〜12に示す番号に対応する。実施例を通して、DCM(ジクロロメタン)、DIEA(ジイソプロピルエチルアミン)、DMAP(4−ジメチルアミノピリジン)、DMF(N,N'−ジメチルホルムアミド)、DSC(ジスクシンイミジルカーボネート)、EDC(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド)、IPA(イソプロパノール)、NHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)、PEG(ポリエチレングリコール)、SCA−SH(一本鎖抗体)、SN38(7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン)、TBDPS(tert−ブチル−ジプロピルシリル)、TEA(トリエチルアミン)のような略称を使用する。
【0193】
一般的手順。すべての反応は、乾燥窒素またはアルゴンの雰囲気下で稼動する。市販の試薬を、さらなる精製を伴わずに使用する。すべてのPEG化合物を、使用前に、減圧下またはトルエンからの共沸蒸留によって乾燥する。他で特定しない限り、バリアン・マーキュリー(Varian Mercury)300NMR分光計および溶媒として重クロロホルムを使用して、300MHzで1H NMRスペクトルおよび75.46MHzで13C NMRスペクトルを得た。化学シフト(δ)は、テトラメチルシラン(TMS)からのダウンフィールドで、百万分率(ppm)で報告する。
【0194】
HPLC方法。反応混合物ならびに中間体および最終生成物の純度を、ベックマン・コールター・システム・ゴールド(Beckman Coulter System Gold)(登録商標)HPLC機器によってモニターする。それは、0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)中アセトニトリルの10〜90%の勾配を1mL/分の流速で使用する、168ダイオード・アレイ(Diode Array)UV検出器を伴う、ZORBAX(登録商標)300SB C8逆相カラム(150×4.6mm)またはフェノメックス・ジュピター(Phenomenex Jupiter)(登録商標)300A C18逆相カラム(150×4.6mm)を用いる。
【0195】
実施例1.化合物3:
PBS緩衝液(5mL、pH7.8)中化合物2(10mg、1.7μmol)の溶液に、NOF corp.製Mal−PEG5k−NHS(100mg、17μmol)を添加し、室温で2時間、撹拌した。反応混合物を、水で20mLに希釈し、20mM Tris−HCl緩衝液、pH7.0(緩衝液A)で予め平衡化したポロス(Poros)HQ、強力な陰イオン交換カラム(10mm×1.5mm、ベットボリューム、約16mL)上に充填した。カラムを3〜4カラム容積の緩衝液Aで洗浄して、過剰なPEGリンカーを取り出した。次いで、生成物を、20mM Tris−HCl緩衝液、pH7.0、緩衝液B中0〜100%1M NaClの勾配で10分間、続いて、100%緩衝液B、10分間、10mL/分の流速で溶出させた。溶出した生成物を、HiPrep脱塩カラム(50mL)を使用して脱塩し、凍結乾燥して、化合物3を得た。収量6mg(オリゴ当量、60%)。
【0196】
実施例2.化合物4:
PBS緩衝液(6mL、pH7.0)中化合物3の溶液に、ペプチドC−Tat(5mg、3μmol)を添加し、室温で2時間、撹拌した。反応混合物を、水で20mLに希釈し、100mM K2HPO4、5M尿素緩衝液、pH6.5(緩衝液A)で予め平衡化したリソース(Resource)S、強力な陽イオン交換カラム(10mm×1.5mm、ベットボリューム、約16mL)上に充填した。カラムを3〜4カラム容積の緩衝液Aで洗浄して、非反応のPEG−オリゴ化合物を取り出した。次いで、生成物を、0〜100%2M KBr(緩衝液B)の勾配で、10分間、続いて、100%緩衝液Bで10分間、10mL/分の流速で溶出させた。溶出した生成物を、HiPrep脱塩カラム(50mL)を使用して脱塩し、凍結乾燥して、化合物4を得た。収量2mg(オリゴ当量、30%)。
【0197】
実施例3.化合物5:
PBS緩衝液(6mL、pH7.0)中化合物3の溶液に、ペプチドC−diTat(10mg、3μmol)を添加し、室温で2時間、撹拌した。反応混合物を、水で20mLに希釈し、100mM K2HPO4、5M尿素緩衝液、pH6.5(緩衝液A)で予め平衡化したリソース(Resource)S、強力な陽イオン交換カラム(10mm×1.5mm、ベットボリューム、約16mL)上に充填した。カラムを3〜4カラム容積の緩衝液Aで洗浄して、非反応のPEG−オリゴ化合物を取り出した。次いで、生成物を、0〜100%2M KBr(緩衝液B)の勾配で、10分間、続いて、100%緩衝液Bで10分間、10mL/分の流速で溶出させた。溶出した生成物を、HiPrep脱塩カラム(50mL)を使用して脱塩し、凍結乾燥して、化合物5を得た。収量2mg(オリゴ当量、30%)。
【0198】
実施例4.化合物6:
ブチルリチウム(1.6M、200mL)を、THF(500mL)中イソ酪酸エチル(35g)の溶液に、−78℃に添加し、溶液を1時間、同じ温度で撹拌した。1,5−ジブロモペンタン(100g)を添加し、混合物を室温まで加温した。混合物を室温で1時間撹拌し、重炭酸ナトリウム水溶液(500mL)に注いだ。有機層をエバポレートした。残渣をシリカゲルカラムによって精製し、ヘキサン中10%酢酸エチルで溶出させて、液体の化合物6(29.2g、収量36.7%)を得た。
【0199】
実施例5.化合物7:
エチル7−ブロモ−2,2−ジメチルヘプタノエート(化合物6、26.5g)を、DMF(500mL)中アジ化ナトリウム(13g)と共に100℃で2時間、加熱した。混合物を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムによって精製し、ヘキサン中10%酢酸エチルで溶出させて、液体の化合物7(20.5g、収量90.3%)を得た。
【0200】
実施例6.化合物8:
エチル7−アジド−2,2−ジメチルヘプタノエート(化合物7、20.5g)を、エタノール(500mL)中水酸化ナトリウム(10g、85%)と共に還流下で2時間、加熱した。混合物を濃縮し、水(400mL)を添加した。混合物を濃塩酸でpH2まで酸性にし、酢酸エチル(500mL)で抽出した。有機層を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムによって精製し、ヘキサン中50%酢酸エチルで溶出させて、液体の化合物8(17.1g、収量95%)を得た。
【0201】
実施例7.化合物9:
7−アジド−2,2−ジメチルヘプタン酸(化合物8、8g)をジクロロメタン(200mL)に溶解した。塩化オキサリル(6.4g)を添加し、混合物を2時間、還流し、エバポレートした。残渣をジクロロメタン(100mL)に溶解し、ピリジン(100mL)中3'−アセチルチミジン(5.85g)に溶解した。溶液を室温で24時間撹拌し、重炭酸ナトリウム水溶液(500mL)に注いだ。混合物をジクロロメタン(500mL)で抽出し、有機層を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムによって精製し、ジクロロメタン中5%メタノールで溶出させて、無色固体の化合物9(5.6g、収量61%)を得た。
【0202】
実施例8.化合物10:
5'−(7−アジド−2,2−ジメチルヘプタノイル)−3'−アセチルチミジン(化合物9、4.65g)を、メタノール(200mL)中、30psi下、Pd/C(10%、0.5g)の存在下、1時間で水素化した。混合物をろ過し、ろ過物をエバポレートして、固体の化合物10(4.4g、収量100%)を得た。
【0203】
実施例9.化合物11:
5'−(7−アミノ−2,2−ジメチルヘプタノイル)3'−アセチルチミジン(化合物10、4.4g)、トリエチルアミン(4mL)および4−メトキシトリチルクロリド(7.5g)を、ピリジン(100mL)中で10時間、撹拌した。メチルアミン(40%、10mL)を添加し、溶液を2時間、撹拌した。混合物を重炭酸ナトリウム水溶液(500mL)に注ぎ、ジクロロメタン(500ml)で抽出した。有機層を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムによって精製し、ジクロロメタン中5%メタノールで溶出させて、無色固体の化合物11(4.9g、収量71%)を得た。
【0204】
実施例10.化合物12:
アセトニトリル(50mL)中5'−(7−[(MMT−アミノ)−2,2−ジメチルヘプタノイル]チミジン(化合物11、4.9g)、N,N−テトライソプロピル−シアノエチルホスホルアミダイト(3g)およびテトラゾール(0.5g)を、1晩、撹拌した。混合物を重炭酸ナトリウム水溶液(500ml)に注ぎ、ジクロロメタン(500mL)で抽出した。有機層を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムによって精製し、ヘキサン中50%酢酸エチルで溶出させて、無色固体の化合物12(4.5g、収量71%)を得た。
【0205】
実施例11.化合物14:
化合物12をトリリンクバイオテクノロジーズ(Trilink Biotechnologies)、カリフォルニア州に移し、オリゴ合成における最後のモノマーとして使用した。合成後、Mmt基を脱保護し、RP−HPLCによってオリゴを精製し、PEGコンジュゲーションのために、遊離アミンとして化合物14を得た。
【0206】
実施例12.化合物15:
PBS緩衝液(5mL、pH7.8)中化合物14(10mg、1.7μmol)の溶液に、m30kSCPEG(520mg、17μmol)を添加し、室温で5時間、撹拌した。反応混合物を、水で50mLに希釈し、20mM Tris−HCl緩衝液、pH7.4(緩衝液A)で予め平衡化したポロス(Poros)HQ、強力な陰イオン交換カラム(10mm×1.5mm、ベットボリューム、約16mL)上に充填した。カラムを3〜4カラム容積の緩衝液Aで洗浄して、過剰なPEGリンカーを取り出した。次いで、生成物を、20mM Tris−HCl緩衝液、pH7.4、緩衝液B中0〜100%1M NaClの勾配で10分間、続いて、100%緩衝液B、10分間、10mL/分の流速で溶出させた。溶出した生成物を、HiPrep脱塩カラム(50mL)を使用して脱塩し、凍結乾燥して、化合物15を得た。収量6mg(オリゴ当量、60%)。
【0207】
実施例13.化合物16:
PBS緩衝液(5mL、pH7.8)中化合物14(10mg、1.7μmol)の溶液に、m30PEG−RNL8a−NHS(520mg、17μmol)を添加し、室温で5時間、撹拌した。反応混合物を、水で50mLに希釈し、20mM Tris−HCl緩衝液、pH7.4(緩衝液A)で予め平衡化したポロス(Poros)HQ、強力な陰イオン交換カラム(10mm×1.5mm、ベットボリューム、約16mL)上に充填した。カラムを3〜4カラム容積の緩衝液Aで洗浄して、過剰なPEGリンカーを取り出した。次いで、生成物を、20mM Tris−HCl緩衝液、pH7.4、緩衝液B中0〜100%1M NaClの勾配で10分間、続いて、100%緩衝液B、10分間、10mL/分の流速で溶出させた。溶出した生成物を、HiPrep脱塩カラム(50mL)を使用して脱塩し、凍結乾燥して、固体とした。収量5mg(オリゴ当量、50%)。
【0208】
実施例14.化合物17:
Boc−ext−アミン(1.7g、6.4mmol、1当量)を4mLのDMFに溶解した。この溶液を、15mLのNaHCO3飽和水溶液に添加し、次いで、0℃まで冷却した。次いで、マレイミド(1g、6.4mmol、1当量)を添加し、反応混合物を15分間撹拌し、続いて、30mLの水を添加した。反応を継続して、20分間、0℃で撹拌した。H2SO4の添加によってpHを3.5に調整し、続いて、ジクロロメタンで3回抽出を行った。合わせた有機層を0.1N HClで1回洗浄し、次いで、塩水で1回洗浄し、乾燥し、減圧下でエバポレートした。粗生成物を、酢酸エチル/ヘキサン、(8:2,v/v)を伴うカラムクロマトグラフィーによって精製した:13C NMR:δ 28.28,36.86,40.19,67.58,69.67,70.00,78.86,133.89,155.63,170.31。
【0209】
実施例15.化合物18:
5mL無水DCM中Boc−ext−マレイミド(0.1g)の溶液に、室温でTFA(2.5mL)を添加した。反応をTLCによってモニターし、1.5時間後に完了したことが決定された。溶媒を減圧下でエバポレートして、化合物18を得た:13C NMR:δ 37.26,39.98,66.12,68.36,69.77,69.83,134.11,160.44,171.01。
【0210】
実施例16.化合物19:
50mLの無水DCM中Bsmoc−Gly(0.5g、1.7mmol、1当量)および3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−ベンジル−OTBS(0.448g、1.7mol、1当量)の溶液に、DMAP(0.042g、0.34mol、5当量)を添加した。次いで、混合物を0℃まで冷却し、次いで、EDC(0.408g、0.002125mmol、0.8当量)を添加した。得られた濁った溶液を室温にまで加温し、1晩撹拌した。澄明な反応溶液を0.1N HClおよび水で洗浄した。合わせた有機層をMgSO4上で乾燥し、ろ過し、減圧下でエバポレートして、化合物19を得た:13C NMR(CDCl3−CD3OD,1:1,v/v)δ42.10,56.49,120.93,125.21,129.66,130.00,130.18,133.60,136.37,138.63,155.74,171.31。
【0211】
実施例17.化合物20:
5mLの無水DCM中化合物19(0.089g、0.163mmol、1.2当量)の溶液に、4−ピペリジノ−ピペリジン(0.0247g、0.147mmol、0.9当量)を室温で添加した。反応をTLCによってモニターし、4時間後、20k8アーム−SCPEG(2.72g、0.136mmol)を添加して、完了した。反応物を室温で1晩、撹拌した。溶媒を減圧下で部分的にエバポレートし、得られた残渣をエーテルから沈殿させ、続いて、DMF/IPAからの固体の再結晶化により、化合物20を得た:13C NMR:δ −5.53,16.02,18.05,25.04,25.62,42.01,63.87,63.95,67.31−72.85(PEG),125.66,129.14,138.36,146.02,151.00,155.96,167.65,168.112。
【0212】
実施例18.化合物21:
化合物20(1.07g、0.05mmol、1当量)およびアミノ−3,6−ジオキサオクタン酸マレイミド(amino-3,6-dioxaoctanoic maleimide)(0.60g、1.75mmol、35当量)を20mLのDCMに溶解し、続いて、氷浴中で冷却した。DIPEA(0.609mL、5.5mmol、70当量)を、7〜8のpHに到達するまで、添加した。反応を室温で6.5時間稼動させ、続いて、溶媒を減圧下で部分的に取り出した。次いで、固体をエーテルによって沈殿させ、フラスコを、冷蔵庫に1晩、貯蔵した。次いで、固体をろ過し、DMF/IPAから再結晶化して、化合物21を得た:13C NMR:δ −5.30,16.28,18.32,25.86,36.90,40.67,42.30,63.72,64.27,67.64,69.23−71.28(PEG),125.98,129.39,133.92,138.76,146.24,156.08,167.79,170.34。
【0213】
実施例19.化合物22:
化合物21(0.95g)を4mLのCH3CNおよび2mLの水に溶解し、続いて、10mLの酢酸を添加した。混合物を1晩、室温で撹拌し、続いて、減圧下で溶媒を取り出した。エーテルで固体を沈殿させ、次いで、DMF/IPAから再結晶化して、アルコールを得た:13C NMR:δ 15.93,36.58,40.35,41.98,63.37,63.60,67.31,68.21−70.88(PEG),126.46,129.31,133.69,138.67,146.27,155.79,167.58,170.05。脱保護したベンジルアルコール(1g、0.05mmol、1当量)を2mLのDMFおよび20mLのDCMに溶解し、続いて、溶液を0℃まで冷却した。DSC(0.1024g、0.4mmol、8当量)およびピリジン(0.029ml、0.36mmol、7.2当量)を添加した。反応混合物をゆっくりと加温して、1晩で室温にした。溶媒を減圧下で部分的に取り出し、続いて、エーテルで固体を沈殿させた。次いで、粗生成物をDMF/IPAから再結晶化した:13C NMR:δ 16.13,25.24,36.79,40.56,42.21,63.61,64.16,67.54,69.52−71.29(PEG),126.76,128.56,130.42,133.86,148.01,155.99,167.56,168.20,170.26。
【0214】
実施例20.化合物23a−I−R1(n=8、オリゴI=siRNA、R1=−C−TAT):
化合物22a(737mg、0.0369mmol)を、30mLのpH7.4 10×PBS緩衝液中siRNA(50mg、0.00368mmol)と反応させた。反応を室温で4時間、稼動させた。粗材料を、移動相A:20mmol Tris,pH7.0およびB:20mmol Tris,2M NaCl、pH7.0を伴うポロス(Poros)上で精製し、次いで、pH7.0リン酸緩衝液で脱塩した。収量16.6mg(オリゴ当量)。次いで、この材料の15mg(オリゴ当量)を、7mLのpH7.0リン酸緩衝液に溶解した。SH−TAT(64mg、0.039mmol)を窒素下で添加した。反応を1.5時間、稼動させ、続いて、ソース(Source)15S樹脂上で精製した。カラムを、緩衝液A(5M尿素、100mM KH2PO4、25%CH3CN、pH6.5)で平衡化した。生成物を緩衝液B(2M KBr)で溶出させた。回収した生成物を、水を伴うHiPrep脱塩カラム上で脱塩し、凍結乾燥した。収量2.4mg(オリゴ当量)。
【0215】
実施例20A.化合物23a−II−R1(n=8、オリゴII=FITC−ジェナセンス、R1=−C−TAT):
化合物22aをFITC−ジェナセンスと反応させ、続いて、実施例20に記載の同じ反応条件でHS−C−TATと反応させて、生成物を得た。
【0216】
実施例20B.化合物23a−II−R2(n=8、オリゴII=FITC−ジェナセンス、R1=−C−Arg9):
化合物22aをFITC−ジェナセンスと反応させ、続いて、実施例20に記載の同じ反応条件でHS−C−Arg9と反応させて、生成物を得た。
【0217】
実施例21.化合物24.
8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸トリフルオロ酢酸塩(0.50g、0.18mmol)を、12mLのアセトニトリル/水(1/1)に溶解した。この溶液のpHは約4であった。TEAを添加して、pHを8〜9の間に調整した。pHを8〜9の間で保持した。Bsmoc−OSu(0.61g、0.18mmol)の添加後、pHを6に降下させた。さらに、TEAeを添加して、pHを8〜9に戻した。反応混合物を室温で45分間、撹拌し、反応終了時にpHを8〜9の間に保持した。反応混合物を水(5mL)で希釈し、DCMで抽出して、任意の残留している出発物質を取り出した。水性の層を0.1N HClで酸性化し、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下でエバポレートして、淡黄色オイルの化合物24(0.45g、65%収量)を得た:13C NMR:δ 173.3,156.1,139.5,137.2,134.1,130.8,130.7,134.1,130.8,130.4,130.3,125.8,121.7,71.4,70.4,70.3,68.8,57.1,41.3,25.8。
【0218】
実施例22.化合物25:
40mLの無水DCM(40mL)中化合物24(0.41g、0.107mmol)および3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−ベンジル−OTBS(0.283g、0.107mmol)の溶液に、DMAP(26mg、0.021mmol)を添加した。反応混合物を0℃まで冷却し、次いで、EDC(0.245g、0.128mmol)を添加した。反応物を室温まで加温し、20時間、撹拌した。混合物を水で希釈し、DCMで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を減圧下でエバポレートして、0.65gの粗生成物を得た。酢酸エチル/ヘキサン(1:1、v/v)で溶出させるシリカゲルカラム上での精製により、化合物25(0.59g、88%収量)を得た:13C NMR:δ 168.2,155.4,146.2,139.5,138.9,136.9,129.4,126.2,125.2,121.3,70.2,69.9,68.1,64.4,56.4,41.1,26.1,25.9,18.5,16.6,16.5。
【0219】
実施例23.化合物26:
200mLの無水DCM中化合物25(363mg、0.6mmol、1.2当量)の溶液に、4−ピペリジノ−ピペリジン(90.9mg、0.54mmol、0.9当量)を室温で添加した。反応をTLCによってモニターし、4時間後、20k8アーム−SCPEG(10g、0.5mmol、1当量)を添加して、完了した。反応物を室温で1晩、撹拌した。溶媒を減圧下で部分的にエバポレートし、得られた残渣をエーテルから沈殿させ、続いて、DMF/IPAからの固体の再結晶化により、化合物26(9.1g)を得た:13C NMR(75.4MHz,CDCl3):δ−5.35,16.28,18.26,25.25,25.80,40.56,61.40,63.66,64.16,(68.05−73.64,PEG),125.92,129.26,138.64,145.99,151.21,156.01,167.88,168.20。
【0220】
実施例24.化合物27:
DIEAアミン(5.6mL、32.2mmol、70当量)を、200mLの無水DCM中化合物26(9.2g、0.46mmol、1当量)およびアミノ−3,6−ジオキサオクタン酸マレイミド(5.5g、16.1mmol、35当量)に、7〜8のpHに到達するまで、0℃で添加した。反応を室温で5時間稼動させ、続いて、溶媒を減圧下で部分的に取り出した。次いで、残渣をエチルエーテルの添加によって沈殿させ、フラスコを、冷蔵庫に1晩、貯蔵した。固体をろ過し、DMF/IPAから再結晶化して、化合物27(7g)を得た:13C NMR:δ −5.69,15.90,17.87,25.45,36.44,40.20,42.30,63.19,64.36,67.14,68.05−72.68(PEG),125.51,128.88,133.57,138.19,145.64,155.64,167.45,169.90。
【0221】
実施例25.化合物28:
化合物27(7g)を50mLのアセトニトリルおよび11mLの水に溶解し、続いて、22mLの酢酸を添加した。溶液を1晩、室温で撹拌し、続いて、減圧下で溶媒を取り出した。残渣をエーテルで沈殿させ、次いで、DMF/IPAから再結晶化した:13C NMR:δ 15.97,36.58,40.33,63.35,63.60,67.29,69.08−71.06(PEG),126.50,129.20,133.68,138.73,146.27,155.76,167.55,170.03。脱保護した化合物(7g、0.35mmol、1当量)を14mLのDMFおよび140mLのジクロロメタンに溶解し、続いて、溶液を0℃まで冷却した。DSC(717mg、2.8mmol、8当量)およびピリジン(0.204mmol、2.52mmol、7.2当量)を添加した。反応混合物をゆっくりと加温して、1晩で室温にした。溶媒を減圧下で部分的に取り出し、続いて、エチルエーテルで固体を沈殿させた。粗生成物をDMF/IPAから再結晶化した:13C NMR:δ 16.13,22.40,25.18,36.73,40.50,42.32,63.54,67.47,69.24−71.20(PEG),126.70,128.53,130.27,133.81,148.01,155.93,167.55,168.17,170.20。
【0222】
実施例26.化合物29:
化合物28(1.5g、0.075mmol)を、8mLのpH7.8リン酸緩衝液中HIF1−α(20mg、0.0036mmol)と反応させた。反応を室温で2時間、稼動させた。粗材料を、ソース(Source)15Q樹脂上で精製した。カラムを、緩衝液A(5M尿素、100mM KH2PO4、25%CH3CN、pH6.5)で平衡化する。生成物を緩衝液B(2M KBr)で溶出させる。回収した生成物を、水を伴うHiPrep脱塩カラム上で脱塩し、凍結乾燥した。生成物の収量17.7mg(オリゴ当量)。この生成物の8.85mg(オリゴ当量)を、5mLのPH7.0リン酸緩衝液中93mgのHS−TATと反応させた。生成物を、ソース(Source)15S樹脂上で精製し、脱塩した。収量1.7mg(オリゴ当量)。
【0223】
実施例27.化合物30:
ジオキサン(70mL)中4N HClの溶液を、BocCys(Npys)−OH(1、5g、13.32mmol)に添加した。懸濁液を室温で3時間撹拌し、次いで、700mLのエチルエーテルに注いだ。終了時まで減圧を適用することなく、粗フリット漏斗を介して、固体をろ過した。ケーキをエチルエーテルで洗浄(3×50mL)し、次いで、減圧下、室温で1晩、乾燥した。1H NMR(CD3OD)δ 8.93(1H,dd,J=1.5,4.7Hz),8.66(1H,dd,J=1.5,8.20Hz),7.59(1H,dd,J=4.7,8.2Hz),4.24(1H,dd,J=4.1,9.4Hz),3.58(1H,dd,J=4.1,14.9Hz),3.36(1H,dd,J=9.4,15.2Hz)。13C NMR (75.4MHz,CDCl3):δ 169.40,156.27,154.64,144.13,135.246,123.10,52.77,39.27。
【0224】
実施例28.化合物31a:
DMF/DCM(25mL/45mL)中化合物30(1.82g、5.55mmol)の溶液に、20k8アーム−PEG−SC(7.30g、0.35mmol)を添加した。次いで、DIEAを添加(3mL、16.8mmol)し、得られた懸濁液を、室温で5時間、撹拌した。反応混合物を減圧下でエバポレートし、次いで、DCM/Et2Oにより0℃で沈殿させた。固体をろ過し、次いで、80mLのDCMに溶解した。20mLの0.1N HClの添加後、混合物を5分間、撹拌し、次いで、分液漏斗に移し、有機層を分別し、再度、0.1N HCl(20mL)および塩水(20mL)で洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥し、ろ過し、減圧下でエバポレートした。残渣を、DCM/Et2Oにより0℃で沈殿させた。固体をろ過し、減圧オーブンにおいて、30℃で少なくとも2時間、乾燥した:13C NMR:δ 170.90,156.66,155.68,153.86,142.41,133.85,121.24,72.96−69.30,64.08,53.01,41.82。
【0225】
実施例29.化合物31b:
DMF/DCM(20mL/40mL)中化合物30(765mg、2.33mmol)の溶液に、20k4アーム−PEG−SC(6.0g、0.29mmol)を添加した。次いで、DIEAを添加(1.2mL、6.96mmol)し、得られた懸濁液を、室温で5時間、撹拌した。反応混合物を減圧下でエバポレートし、次いで、DCM/Et2Oにより沈殿させた。固体をろ過し、次いで、60mLのDCMに溶解した。15mLの0.1N HClの添加後、混合物を5分間、撹拌し、次いで、分液漏斗に移し、有機層を分別し、再度、0.1N HCl(15mL)および塩水(15mL)で洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥し、ろ過し、減圧下でエバポレートした。残渣を、DCM/Et2Oにより沈殿させた。固体をろ過し、減圧オーブンにおいて、30℃で少なくとも2時間、乾燥した:13C NMR:δ 170.76,156.53,155.57,153.85,142.37,133.79,121.23,72.44−69.30,63.99,52.95,45.36,41.82。
【0226】
実施例30.化合物32a−I(n=4、オリゴI=LNAスルビビン):
60mLのpH6.5リン酸緩衝液中C6−チオ−LNA−スルビビン(120mg、0.021mmol)の溶液に化合物31a(2.3mg、0.107mmol)を添加し、溶液を1時間、室温で撹拌した。反応の進行を、陰イオン交換HPLCによって確認した。反応混合物を、0.2μmのフィルターを介してろ過し、ポロス(Poros)陰イオン交換カラムに充填した。生成物を、pH7.0で緩衝系20mM Tris.HCl 2M NaClを使用する勾配で溶出させた。脱塩後の収量は80mg(オリゴ当量)であった。
【0227】
実施例30A:化合物32b−I(n=4、オリゴI=LNAスルビビン):
150mLのpH6.5リン酸緩衝液中C6−チオ−LNA−スルビビン(300mg、0.054mmol)の溶液に化合物31b(4.8g、0.273mmol)を添加し、溶液を1時間、室温で撹拌した。反応の進行を、陰イオン交換HPLCによって確認した。反応混合物を、0.2μmのフィルターを介してろ過し、ポロス(Poros)陰イオン交換カラムに充填した。生成物を、pH7.0で緩衝系20mM Tris.HCl 2M NaClを使用する勾配で溶出させた。脱塩後の収量は225mg(オリゴ当量)であった。
【0228】
実施例31.化合物33a−I−R1(n=8、オリゴI=LNAスルビビン、R=R1=−C−TAT):
化合物32a(80mgオリゴ当量、0.0142mmol)を、20mlの緩衝液(5M尿素、100mM KH2PO4)に溶解した。溶液を0℃、窒素下で冷却し、次いで、ペプチドC−TAT(329mg、0.198mmol)を添加した。濃い黄色が観察された。継続して、反応物を1.5時間、窒素雰囲気下、0℃で撹拌し、次いで、ソース(Source)15S樹脂を使用する陽イオン交換クロマトグラフィーによって精製した。カラム(10mm×10mm)を、3カラム容積の緩衝液A(5M尿素、100mM KH2PO4、25%CH3CN、pH6.5)で平衡化し、次いで、サンプルをカラムに充填した。生成物を緩衝液B(2M KBr)で溶出させた。回収した生成物を凍結乾燥し、50mM pH7.4のPBS緩衝液を伴うHiPrep脱塩カラム上で脱塩した。次いで、脱塩した溶液を、約1mg/mL(オリゴ当量)溶液に濃縮した。生成物の収量21.75mg(オリゴ当量)。
【0229】
実施例31A.化合物33a−I−R2(n=84、オリゴI=LNAスルビビン、R=R2=−C−Arg9):
化合物32aを、実施例31に記載の同じ反応条件でC−Arg9と反応させて、生成物を得た。
【0230】
実施例31B.化合物33a−I−R3(n=84、オリゴI=LNAスルビビン、R=R3=−C−TAT−RGD):
化合物32aを、実施例31に記載の同じ反応条件でC−TAT−RGDと反応させて、生成物を得た。
【0231】
実施例31C.化合物33b−I−R1(n=4、オリゴI、R=R1=−C−TAT):
化合物32b(20mgオリゴ当量、0.0035mmol)を、10mlの緩衝液(5M尿素、100mM KH2PO4)に溶解した。溶液を0℃、窒素下で冷却し、次いで、ペプチドC−TAT(52mg、0.0315mmol)を添加した。濃い黄色が観察された。継続して、反応物を1.5時間、窒素雰囲気下、0℃で撹拌し、次いで、ソース(Source)15S樹脂を使用する陽イオン交換クロマトグラフィーによって精製した。カラム(10mm×10mm)を、3カラム容積の緩衝液A(5M尿素、100mM KH2PO4、25%CH3CN、pH6.5)で平衡化し、次いで、サンプルをカラムに充填した。生成物を緩衝液B(2M KBr)で溶出させた。回収した生成物を凍結乾燥し、50mM pH7.4のPBS緩衝液を伴うHiPrep脱塩カラム上で脱塩した。次いで、脱塩した溶液を、約1mg/mL(オリゴ当量)溶液に濃縮した。生成物の収量12.5mg(オリゴ当量)。
【0232】
実施例32.化合物34:
DMF中8アーム20K−SCPEG(1当量)の溶液に、ペプチド(16当量)を添加した。次いで、DIEAを添加(32当量)し、得られた懸濁液を、室温で5時間、撹拌する。反応混合物を、DCM/Et2Oにより0℃で沈殿させる。固体をろ過し、次いで、水に溶解する。粗固体を、C18逆相クロマトグラフィーを使用して、精製する。生成物のピークを回収し、凍結乾燥して、固体とする。
【0233】
実施例33.化合物35:
化合物34をDMF中2%ヒドラジンの溶液に添加し、溶液を4時間、室温で撹拌する。反応混合物を逆相カラムに充填し、精製する。生成物のピークを回収し、凍結乾燥する。
【0234】
実施例34.化合物36:
化合物35(1当量)を、20mlの緩衝液(5M尿素、100mM KH2PO4)に溶解する。溶液を0℃、窒素下で冷却し、次いで、オリゴ(Oligo)−SH(8当量)を添加する。継続して、反応物を1.5時間、窒素雰囲気下、0℃で撹拌し、次いで、ソース(Source)15S樹脂を使用する陽イオン交換クロマトグラフィーによって精製する。カラム(10mm×10mm)を、3カラム容積の緩衝液A(5M尿素、100mM KH2PO4、25%CH3CN、pH6.5)で平衡化し、次いで、サンプルをカラムに充填する。生成物を緩衝液B(2M KBr)で溶出させる。回収した生成物を凍結乾燥し、50mM pH7.4のPBS緩衝液を伴うHiPrep脱塩カラム上で脱塩する。次いで、脱塩した溶液を、約1mg/mL(オリゴ当量)溶液に濃縮する。
【0235】
実施例35.化合物37:
ジクロロメタン中20k8アーム−PEGスクシンイミジルカーボネート(1当量)の溶液に、H−Cys(StBu)−OH塩酸塩(1当量)およびジイソプロピルエチルアミン(1当量)を添加する。反応物を室温で約5時間、撹拌した。溶媒を部分的に取り出し、続いて、エチルエーテルで沈殿させる。粗生成物をろ過によって回収し、2−プロパノールから結晶化する。
【0236】
実施例36.化合物38:
化合物37(1当量)およびアミノ−3,6−ジオキサオクタン酸マレイミド(35当量)を、ジクロロメタンに溶解し、続いて、氷浴中で溶液を冷却する。7〜8のpHに到達するまで、ジイソプロピルエチルアミン(70当量)を添加する。反応を室温で6.5時間稼動させ、続いて、溶媒を減圧下で部分的に取り出す。次いで、固体をエーテルによって沈殿させ、フラスコを、冷蔵庫に1晩、貯蔵する。次いで、固体をろ過し、DMF/IPAから再結晶化する。
【0237】
実施例37.化合物39:
化合物38(215mg、0.011mmol、1当量)を緩衝液(5M尿素、100mM KH2PO4)に溶解する。溶液を0℃、窒素下で冷却し、次いで、SH−TAT(250mg、14当量)を添加する。継続して、反応物を1.5時間、窒素下0℃で撹拌し、続いて、ソース(Source)15S樹脂上で精製する。カラムを、緩衝液A(5M尿素、100mM KH2PO4、25%CH3CN、pH6.5)で平衡化する。生成物を緩衝液B(2M KBr)で溶出させる。回収した生成物を凍結乾燥し、50mM PBS(pH7.4)を伴うHiPrep脱塩カラム上で脱塩する。次いで、脱塩した溶液を、約1mg/mL溶液に濃縮する。
【0238】
実施例38.化合物40:
水中8化合物39(1当量)の溶液に、ジチオールトレイトール(2当量)を添加する。反応物を室温で2時間、撹拌し、次いで、溶媒を取り出す。粗材料をイソプロパノールから結晶化し、次いで、100mMリン酸緩衝液、pH6.5中オリゴ−S−S−Py(3当量)と、室温で2時間、混合する。反応物をソース(Source)15S樹脂上で精製する。カラムを、緩衝液A(5M尿素、100mM KH2PO4、25%CH3CN、pH6.5)で平衡化する。生成物を緩衝液B(2M KBr)で溶出させる。回収した生成物を凍結乾燥し、50mM PBS(pH7.4)を伴うHiPrep脱塩カラム上で脱塩した。次いで、脱塩した溶液を、約1mg/mL溶液に濃縮する。
【0239】
実施例39.化合物41:
20k8アームPEG−OH(2.0g、0.1mmol)をDCM(20mL)に溶解した。TEA(1.62g、16.0mmol)を添加した。この溶液を、DCM(10mL)中アクリロイルクロリド(0.724g)に0℃で1時間、添加した。反応混合物を、0℃で1晩、撹拌した。この溶液をIPA/エーテル(250mL/250mL)に0℃で添加した。形成した固体をろ過した。湿潤固体をDCMに溶解し、0.4N HClで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、セライトを介してろ過した。溶媒を取り出し、残渣をDCM/エーテルから再結晶化した。13C NMR(75.4MHz,CDCl3):δ 165.5,130.5,127.8,71.0−67.1(PEG),63.2。
【0240】
実施例40.化合物42:
60mLのpH 8.0リン酸緩衝液中C6−チオ−LNA−スルビビン(100mg、0.018mmol)の溶液に化合物41(3.6g、0.18mmol)を添加し、溶液を1時間、室温で撹拌した。反応の進行を、陰イオン交換HPLCによって確認した。反応混合物を、0.2μmのフィルターを介してろ過し、ポロス(Poros)陰イオン交換カラムに充填した。生成物を、pH7.0で緩衝系20mM Tris.HCl 2M NaClを使用する勾配で溶出させた。脱塩後の収量は60mg(オリゴ当量)であった。
【0241】
実施例41.化合物43:
化合物42(8mg、0.0014mmol、オリゴ当量)を、3mLの緩衝液(5M尿素、100mM KH2PO4)中SH−TAT−RGD(111mg、0.0496mmol)と窒素下で混合した。反応を2時間、稼動させた。粗生成物をソース(Source)15S樹脂上で精製した。カラムを、緩衝液A(5M尿素、100mM KH2PO4、25%CH3CN、pH6.5)で平衡化する。生成物を緩衝液B(2M KBr)で溶出させる。回収した生成物をHiPrep脱塩カラム上で脱塩し、凍結乾燥し、57μgの収量を得た。
【0242】
実施例42.化合物46:
50mL無水酢酸エチル中1,2−ジ(ピリジン−2−イル)ジスルファン(化合物44)(8.8g、39.9mmol)に、暗所で3−メルカプトプロパン酸(4.2g、39.9mmol)を添加し、続いて、13滴のトリフルオロボランエーテラートを添加した。反応物を5時間、暗所で撹拌し、次いで、ろ過した。次いで、50mLの冷酢酸エチルを固体に添加した。次いで、ろ過物を回転蒸発(rotovaped)して化合物45の約50mL溶液とした。この溶液に、t−ブチルカルバゼート(4.8g、36.3mmol)を添加し、続いて、DCC(7.5g、36.3mmol)を添加した。反応物を、16時間、室温、暗所で撹拌し、次いで、それをろ過し、エバポレートし、ヘキサン類/酢酸エチルの1:1混合物を使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、8.1gの生成化合物46を得た。13C NMR:δ 170.1,158.9,155.2,149.5,137.0,121.1,120.4,81.5,34.9,33.7,28.2。
【0243】
実施例43.化合物47:
64mLのDCM中tert−ブチル2−(3−(ピリジン−2−イルジスルファニル)プロパノイル)ヒドラジンカルボキシレート(化合物46)(8.1g、24.6mmol)に、16mLのTFAを0℃で添加した。反応物を室温で1時間、撹拌した。反応の完了後、溶媒を回転蒸発し、次いで、残渣を20/300mLのDCM/Et2Oから0℃で沈殿させた。固体をろ過し、乾燥して、5.5gの化合物47を得た:13C NMR:δ 173.8,159.6,147.9,138.5,121.1,120.7,33.4,32.2。
【0244】
実施例44.化合物49:
30mLのDCM中3,3−ジエトキシプロパン−1−アミン(化合物48)(5.2g、35.3mmol)に、Fmoc−OSu(24g、70.6mmol)を、0℃で添加し、次いで、室温まで加温した。TLCによって出発物質が観察されなくなるまで、反応物を2時間、室温で撹拌した。次いで、反応物を30mLの脱イオン水で希釈した。水層を2×30mL DCMで抽出し、有機層を、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。粗材料を、溶出溶媒としてDCMを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、5.7gの化合物49を得た:13C NMR:δ 156.2,143.9,141.2,127.5,126.9,125.0,119.8,102.2,66.5,61.8,47.3,37.2,33.3,15.4。
【0245】
実施例45.化合物50:
化合物49(200mg)を、86%ギ酸(1.1mL)中、1時間、室温で撹拌した。ロタベイパー(Rotavapor)により室温、減圧下で溶媒を取り出し、残渣をDCM(30mL)に溶解した。溶液を水(30mL)で洗浄した。分別した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を完全に取り出して、白色固体の化合物50(145mg)を得た:13C NMR:δ 156.2,143.7,141.2,127.6,126.9,124.9,119.9,66.7,47.2,44.1,34.5。
【0246】
実施例46.化合物51:
化合物47(258.3mg、0.8746mmol)および化合物50(300mg、0.8746mmol)をTHF(15mL)に溶解した。モレキュラーシーブを添加した。反応は10分間で完了した。反応後、モレキュラーシーブをろ過した。溶媒を取り出し、残渣をエチルエーテルで洗浄して、粗化合物51(385mg)を得た。
【0247】
実施例47.化合物52:
さらなる精製を伴わずに、化合物51(270mg、0.53mmol)を、DMF(5.4mL)中10%(w/v)DMAP(0.54g)で、窒素下室温で8.5時間処置して、化合物52を得た。20k8アームSCPEG(650mg、0.033mmol)をその場で(in situ)反応混合物に添加した。反応物を室温で1晩、放置した。溶媒を取り出し、残渣をDCM/エーテルで沈殿させた。単離した湿潤固体を、アセトニトリル/IPAから2回再結晶化して、E異性体およびZ異性体を伴う化合物10(630mg)を得た:13C NMR:δ 172.1,166.8,159.7,159.1,156.0,149.1,149.0,144.8,136.9,136.7,120.7,120.3,119.7,119.3,78.0−69.2(PEG),63.5,37.6,37.5,34.4,34.1,33.2,32.8,32.4,32.1。
【0248】
実施例48.化合物54:
5mLのpH7.0リン酸緩衝液中C6−チオ−LNA−スルビビン(10mg、0.0018mmol)の溶液に化合物53(0.36g、0.018mmol)を添加し、溶液を1時間、室温で撹拌した。反応の進行を、陰イオン交換HPLCによって確認した。反応混合物を、0.2μmのフィルターを介してろ過し、ポロス(Poros)陰イオン交換カラムに充填した。生成物を、pH7.0で緩衝系20mM Tris.HCl 2M NaClを使用する勾配で溶出させた。脱塩後の収量は2mg(オリゴ当量)であった。
【0249】
実施例49.化合物55:
化合物54(3mg、0.00053mmol、オリゴ当量)を、1mLのpH7.0リン酸緩衝液中SH−TAT−RGD(16.7mg、0.00743mmol)と窒素下で混合した。反応を2時間、稼動させた。粗生成物をソース(Source)15S樹脂上で精製した。カラムを、緩衝液A(5M尿素、100mM KH2PO4、25%CH3CN、pH6.5)で平衡化する。生成物を緩衝液B(2M KBr)で溶出させる。回収した生成物をHiPrep脱塩カラム上で脱塩し、凍結乾燥した。
【0250】
実施例50.化合物56:
50mLの無水DCM中20k4アームPEGNHS(5g、0.25mmol)の溶液に、4−アミノプロピオンアルデヒドジエチルアセタール(0.04g、0.275mmol)を室温で添加した。反応混合物を室温で20時間、撹拌した。溶媒を減圧下でエバポレートし、粗化合物をアセトニトリル/IPAで結晶化して、白色固体の化合物56(4.7g)を得た:13C NMR:δ 168.17,155.87,151.38,101.37,70.21,69.89,63.46,61.29,45.22,36.78,33.24,25.19,15.12。
【0251】
実施例51.化合物57:
10mLの無水DCM中化合物30(0.36g、0.117mmol)の溶液に、DIPEA(0.40mL、0.233mmol)を室温で添加した。撹拌混合物に、30mLの無水DCM中化合物56(4.00g、0.0194mmol)の溶液を添加し、続いて、DMF(13mL)を添加した。反応混合物を室温で5時間、撹拌した。溶媒を減圧下でエバポレートし、得られた残渣を、DCM/エチルエーテルで沈殿させた。粗化合物をアセトニトリル/IPAで再結晶化して、白色固体の化合物57(3.6g)を得た:13C NMR:δ 170.74,156.53,155.49,153.75,142.27,133.69,121.08,101.44,70.66,69.70,69.17,63.89,63.51,62.71,61.34,53.37,52.91,45.27,41.74,36.84,33.27,25.15,15.15。
【0252】
実施例52.化合物58.
クロロホルム中化合物57(0.70g、0.034mmol)の溶液に、(85%)ギ酸(0.15mL)を室温で添加した。反応混合物を室温で20時間、撹拌した。溶媒を減圧下でエバポレートした。粗オイルをエーテルでトリチュレートして、淡黄色固体の化合物58(0.65g)を得た:13C NMR: δ 170.72,161.87,160.59,156.59,55.57,153.76,142.33,133.75,121.14,70.30,69.75,69.19,68.59,63.98,63.75,62.77,61.40,53.55,52.93,45.31,43.88,41.76,34.26。
【0253】
実施例53.化合物59:
化合物58(53mg、0.026mmol)を、2mLのpH7.0リン酸緩衝液中C10−スルビビンヒドラジド(6mg、0.885μmol)と反応させた。反応を室温で2時間、稼動させた。粗材料を、移動相A:20mmol Tris,pH7.0およびB:20mmol Tris,2M NaCl、pH7.0を伴うポロス(Poros)上で精製し、次いで、水で脱塩した。収量1.5mg(オリゴ当量)。この材料の1.2mg(オリゴ当量)を、0.5mLの緩衝液(5M尿素、100mM KH2PO4)に溶解した。SH−TAT(2.3mg、0.00138mmol)を窒素下で添加した。反応を1.5時間、稼動させ、続いて、ソース(Source)15S樹脂上で精製した。カラムを、緩衝液A(5M尿素、100mM KH2PO4、25%CH3CN、pH6.5)で平衡化する。生成物を緩衝液B(2M KBr)で溶出させる。回収した生成物を、pH7.4 PBSを伴うHiPrep脱塩カラム上で脱塩し、凍結乾燥した。収量250μg(オリゴ当量)。
【0254】
実施例54.化合物60:
無水メタノール(5mL)中4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンズアルデヒド(1.36g、10mmol)の溶液に、1.0Mリチウムテトラフルオロボレート(0.3mL)を添加し、続いて、トリメチルオルトホーメート(1.378g、13mmol)を添加する。反応混合物を3時間、還流し、次いで飽和重炭酸ナトリウム(20mL)の添加によって、クエンチする。混合物を酢酸エチルで2回(60mL、30mL)抽出する。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム(20mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥する。ろ過後、溶媒を減圧下でエバポレートして、化合物60を得る。
【0255】
実施例55.化合物62:
無水DCM(100mL)中化合物61(10g、0.25mmol)の溶液に、化合物60(50.0mg、0.275mmol)を添加し、続いて、DMAP(33.6mg、0.275mmol)を添加する。混合物を1晩還流する。溶媒を減圧下でエバポレートし、残渣をDCM/エーテルで結晶化する。湿潤固体を単離し、CNCH3/IPAから再結晶化して、化合物62を得る。
【0256】
実施例56.化合物63:
無水DCM(100mL)中化合物62(10g、0.25mmol)の溶液に、化合物18(342mg、1.5mmol)を添加し、続いて、DMAP(183mg、1.5mmol)を添加する。混合物を1晩還流する。溶媒を減圧下でエバポレートし、残渣をDCM/エーテルで結晶化する。湿潤固体を単離し、CNCH3/IPAから再結晶化して、化合物63を得る。
【0257】
実施例57.化合物64:
化合物63(0.7g、0.0175mmol)をクロロホルム(0.6mL)に溶解する。ギ酸(85%、0.15mL)を添加する。混合物を1晩撹拌する。溶媒を減圧下でエバポレートし、残渣をDCM/エーテルで結晶化して、化合物64を得る。
【0258】
実施例58.化合物65:
化合物64を、pH7.0リン酸緩衝液中SH−TAT−RGDと窒素下で混合する。反応を2時間、稼動させる。粗生成物をソース(Source)15S樹脂上で精製する。カラムを、緩衝液A(5M尿素、100mM KH2PO4、25%CH3CN、pH6.5)で平衡化する。生成物を緩衝液B(2M KBr)で溶出させる。回収した生成物をHiPrep脱塩カラム上で脱塩し、凍結乾燥する。
【0259】
実施例59.化合物68:
115mLの無水DCM中8アームPEG−SC(5.5g、0.26mmol)の溶液に、化合物66(117.2mg、0.28mmol、1.1当量)を添加した。反応混合物を1晩撹拌し、次いで、60mLのTHF中化合物67(1.75g、4.52mmol、17.5当量)を添加し、混合物を室温で4日間、撹拌した。溶媒を減圧下で取り出し、得られた固体をIPAで2回、再結晶化して、化合物68(4.4g)を得た:13C NMR:δ 27.93,35.19,37.27,52.53,52.87,53.03,56.26,56.64,61.09,62.77,63.60,69.35−70.51(PEG),126.67,127.78,128.73,137.38,155.87,169.47。
【0260】
実施例60.化合物69:
化合物68をTFA/DCM溶媒混合物(50/100mL)に添加し、混合物を室温で1晩、撹拌した。溶媒を減圧下で取り出し、残渣をエチルエーテルの添加によって沈殿させた。固体をろ過し、IPAで再結晶化して、化合物3のカルボン酸(4.6g)を得た:13C NMR:δ 33.88,35.54,48.65,49.72,50.68,51.48,56.47,56.85,59.67,61.05,64.18,69.05−70.36(PEG),128.79,129.81,156.43,169.30.52mLの無水DCM中カルボン酸(3.3g、0.14mmol、1当量)および3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−ベンジル−OTBS(114mg、0.43mmol、3当量)の0℃の溶液に、DMAP(105mg、0.86mmol、6当量)およびEDC(110mg、0.57mmol、4当量)を添加した。反応混合物を室温で撹拌した。溶媒を減圧下で取り出し、残渣を、DCM/エチルエーテルで沈殿させた。得られた固体をろ過し、IPAから再結晶化して、化合物69(3g)を得た:13C NMR:δ −5.29,16.35,25.86,34.15,36.34,50.01,51.36,52.12,56.67,56.93,60.54,61.52,63.92,64.21,69.25−71.34(PEG),125.98,127.88,128.12,128.36,129.23,156.17,169.90。
【0261】
実施例61.化合物70:
化合物69(3g)を12mLのアセトニトリルおよび6mLの水に溶解し、続いて、30mLの酢酸を添加した。溶液を1晩、室温で撹拌し、続いて、減圧下で溶媒を取り出した。エーテルで固体を沈殿させ、次いで、DMF/IPAから再結晶化して、脱保護されたアルコールを得た。アルコール(2.7g、0.08mmol、1当量)を3mLのDMFおよび30mLのジクロロメタンに溶解し、続いて、溶液を0℃まで冷却した。DSC(170mg、0.65mmol、8当量)およびピリジン(46μL、0.57mmol、7.2当量)を添加した。反応混合物をゆっくりと加温して、1晩で室温にした。DCMを減圧下で部分的に取り出し、続いて、エーテルで固体を沈殿させた。次いで、固体を、DMF/IPAから再結晶化して、化合物70(2.3g)を得た。
【0262】
実施例62.化合物71:
PBS緩衝液(1.5mL、pH7.8)中オリゴ−NH2(3mg、0.5μmol)の溶液に、化合物70(140mg、5μmol)を添加し、室温で2時間、撹拌した。反応混合物を、水で10mLに希釈し、20mM Tris−HCl緩衝液、pH7.0(緩衝液A)で予め平衡化したポロス(Poros)HQ、強力な陰イオン交換カラム(10mm×1.5mm、ベットボリューム、約16mL)上に充填した。カラムを3〜4カラム容積の緩衝液Aで洗浄して、過剰なPEGリンカーを取り出した。次いで、生成物を、20mM Tris−HCl緩衝液、pH7.0、緩衝液B中0〜100%1M NaClの勾配で10分間、続いて、100%緩衝液B、10分間、10mL/分の流速で溶出させた。溶出した生成物を、HiPrep脱塩カラム(50mL)を使用して脱塩し、凍結乾燥して、化合物71を得た。収量2.2mg(オリゴ当量、73%)。
【0263】
生物学的データ
実施例63.化合物23a−II−R1のインビトロでの細胞内取り込み
癌細胞による細胞内取り込みを測定して、正に荷電した部分を含むPEGポリマーへのオリゴヌクレオチドの効果を決定した。本複合体(23a−II−R1)は、C−TAT(配列番号1)に結合した7アームおよび5'アンチセンスBCL−2オリゴヌクレオチド、TCTCCCAGCGTGCGCCAT、(配列番号6)に結合した1アームを含有する。対照複合体は化合物23a−II−R1に類似するが、正に荷電した部分TATを含有しない。化合物101のオリゴヌクレオチドおよび対照オリゴヌクレオチドの両方とも、供給者によって提供される方法によって、FITCで標識した。
【0264】
4枚のウェルプレート中10%FBS増殖培地を伴うA549ヒト肺癌細胞を、1晩、37℃でインキュベートした。細胞を試験化合物のそれぞれでトランスフェクトし、PBSで3回洗浄し、PBS中50%グリセロール(20mlの100%グリセロール+20mlのPBS)を添加して、スライド上の細胞を覆った。スライドを4℃で1晩貯蔵した。蛍光顕微鏡および共焦点顕微鏡を使用して、PEG−オリゴヌクレオチドの細胞内取り込みを示した。試験化合物の細胞内取り込みを、図13(蛍光顕微鏡画像)および図14(共焦点顕微鏡画像)に示す。
【0265】
データは、癌細胞が、正に荷電したポリマーに複合体化したオリゴヌクレオチドのような負に荷電した治療用薬剤を取り込むことを示す。データは、ポリマーの正電荷骨格は、治療用オリゴヌクレオチドが細胞膜を横切り、腫瘍細胞の標的部位に到達することを可能にすることを示す。
【0266】
実施例64.23a−II−R1の細胞内取り込みの効率
化合物23a−II−R1を使用して、トランスフェクション剤を伴うまたは伴わない化合物の細胞内取り込み効率を示した。6枚のウェルプレート中10%FBS増殖培地を含有する培地において、A549ヒト肺癌細胞を、1晩、37℃でインキュベートした。その後、培地を取り出し、細胞を、試験化合物のそれぞれを含有する1ml/ウェル10%FBS増殖培地で処置した。対照化合物は、ポリマーにもまた正に荷電した部分にも複合体化していないオリゴヌクレオチド、アンチセンスBCL−2オリゴヌクレオチド(配列番号7)である。対照および本化合物の両方ともFITCで標識して、化合物の細胞内取り込みを示した。
【0267】
結果を図15に示す。化合物23a−II−R1に結合したオリゴヌクレオチドは、トランスフェクション剤を伴わない対照オリゴヌクレオチドよりも多く細胞に採取された。培地がインビボでの環境に類似する血清を含有した場合、正に荷電したポリマーに複合体化したオリゴヌクレオチドの細胞内取り込みは、生来のオリゴヌクレオチドと比較して、有意に改善された。
【0268】
結果は、本ポリマーが、オリゴヌクレオチドのような負に荷電した治療用薬剤の標的細胞への送達を増加し、それ故、オリゴヌクレオチドに基づく治療は、この利点から利益を得ることができることを示す。
【0269】
実施例65.23a−II−R1および23a−II−R2の用量依存的細胞内取り込み
フローサイトメトリーを使用して、正に荷電したポリマーに複合体化したオリゴヌクレオチドの細胞内取り込み効率を示した。6枚のウェルプレート中10%FBS増殖培地を含有する培地において、A549ヒト肺癌細胞を、1晩、37℃でインキュベートした。その後、培地を取り出し、細胞を、化合物23a−II−R1および生来のオリゴヌクレオチド(配列番号6)のそれぞれを含有する1ml/ウェル10%FBS増殖培地で処置した。処置後、細胞を回収し、トリプシン処理し、1%BSA PBSで3回洗浄し、FACSを使用して分析した。化合物101のオリゴヌクレオチドおよび対照オリゴヌクレオチドを、FITCで標識した。
【0270】
結果を図16に示した。結果は、TAT(23a−II−R1)またはArg9(23a−II−R2)のいずれかを含有する正に荷電したポリマーに複合体化したオリゴヌクレオチドが、用量に依存して細胞に取り込まれたことを示す。臨床従事者は、患者の必要性に依存して治療用オリゴヌクレオチドの用量を調整するため、この特性は癌の治療において有利であり得る。
【0271】
実施例66.23a−I−R1のBCL2 mRNAダウンレギュレーション
本研究は、癌細胞に取り込まれるオリゴヌクレオチドが、癌に関与する特異的遺伝子発現をダウンレギュレートするかどうかを決定するために行った。A431細胞を、トランスフェクション剤を伴わずに、生来のオリゴヌクレオチドおよび化合物23a−I−R1でトランスフェクトした。正に荷電したポリマー複合体は、TATおよびBCL2 siRNAを含有する。
【0272】
BCL2 mRNAのRT−PCR分析を図17に示す。これらの結果は、化合物102および対照のオリゴヌクレオチドの両方が、ヒト肺癌細胞において、BCL2 mRNA発現を用量依存的にダウンレギュレートしたことを示す。正に荷電したポリマーに対するBCL2 siRNA複合体は、生来のBcl2 siRNAと比較して、有意に高いBCl2 mRNA発現のダウンレギュレーションを示した。
【0273】
結果は、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはsiRNAを含むPEG−オリゴヌクレオチド複合体が、治療剤としてのsiRNAの使用を可能にすることを示す。
【0274】
実施例67.A549細胞モデル(固形腫瘍、肺癌)における[RGD−TATC−S−S]7−20k8アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNAによるスルビビンmRNAダウンレギュレーション
本研究は、スルビビンmRNA発現に対する正に荷電したポリマーの効果を決定するために行った。A549ヒト肺細胞を、化合物33b−I−R4、33b−I−R5および33a−I−R3のそれぞれにより、1000nM、200nM、40nM、8nMおよび1.6nMの濃度で、トランスフェクトした。化合物33b−I−R4([線状RGD−S−S]3−20k4アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNA)および33b−I−R5([環状RGD−S−S]3−20k4アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNA)は両方とも、アンチセンススルビビンLNAを含有するが、正に荷電したペプチド(TAT)を含まない。化合物33a−I−R3([RGD−TATC−S−S]7−20k8アームPEG−SS−アンチセンススルビビンLNA)は、TATペプチドおよびアンチセンススルビビンLNAを含む。化合物のそれぞれで処置したA549細胞におけるスルビビンmRNA発現を、処置の翌日にRT−PCRによって測定した。
【0275】
TATペプチドを含む化合物は、トランスフェクション剤を伴わずに、スルビビンmRNA発現を有意にダウンレギュレートした。ダウンレギュレーションは、用量依存的であった。これらの結果を図18に示す。TATペプチドを伴わない化合物のアンチセンススルビビンLNAも、また生来のアンチセンススルビビンLNAのいずれも、スルビビンmRNA発現を阻害しなかった。データは、正に荷電したポリマーが、負に荷電したオリゴヌクレオチドを利用する処置に有益であることを示す。
【0276】
実施例68.DU145細胞モデル(固形腫瘍、前立腺癌)における[RGD−TATC−S−S]7−20k8アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNAによるスルビビンmRNAダウンレギュレーション
DU145細胞を、実施例67で使用したのと同じ化合物でトランスフェクトした。実施例67と同様に、TATペプチドを含有する化合物は、スルビビンmRNA発現の有意なダウンレギュレーションを示した。生来のアンチセンススルビビンLNAも、また正に荷電したペプチドを伴わない化合物のアンチセンススルビビンLNAのいずれも、DU145細胞においてスルビビンmRNA発現をダウンレギュレートしなかった。これらの結果を図19に示す。データは、正に荷電したポリマーは、多様なタイプの癌の治療に有益であり得ることを示す。スルビビンmRNAダウンレギュレーションは、DU145細胞における化合物33a−I−R1(TATC−S−S)7−20k8アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNA)を伴う研究によって同様に観察された。
【0277】
実施例69.A549細胞モデルにおける[(Arg)9C−S−S]7−20k8アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNAによるスルビビンmRNAダウンレギュレーション
A549ヒト肺癌細胞を、化合物33a−I−R2および生来のアンチセンススルビビンLNAのぞれぞれでトランスフェクトした。化合物33a−I−R2([(Arg)9C−S−S]7−20k8アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNA)は、細胞内で遊離可能なジスルフィド結合を介して、C(Arg)9に接続された7ポリマーアーム末端およびアンチセンススルビビンLNAに接続された1アーム末端を含む。生来のオリゴヌクレオチド(アンチセンススルビビンLNA)はまた、トランスフェクション剤リポフェクタミンでトランスフェクトした。
【0278】
(Arg)9を含む化合物は、トランスフェクション剤を伴わずに、スルビビンmRNA発現を有意にダウンレギュレートした。結果を図20に示す。データは、TATおよび(Arg)9のような正に荷電したペプチドを含有する本ポリマーが、治療用オリゴヌクレオチドを、細胞内の標的部位に送達させることを示す。オリゴヌクレオチド系の抗癌治療は、正に荷電したポリマーから利益を得ることができる。
【0279】
実施例70.細胞内で不安定なリンカーを含有する正に荷電したポリマーによるスルビビンmRNAダウンレギュレーション
A549細胞を、化合物59およびアンチセンススルビビンLNAダイマーのそれぞれでトランスフェクトした。C6−SHテイル(アンチセンススルビビンLNA−C6−S−S−C6−アンチセンススルビビンLNA)で改変されたアンチセンススルビビンLNAのダイマーもまた、トランスフェクション剤でトランスフェクトした。化合物59は、ヒドラゾン系の遊離可能なリンカーを含有する。mRNAダウンレギュレーション結果を図21に示す。
【0280】
ヒドラゾンリンカーを介してポリマーに結合されたアンチセンススルビビンLNAは、スルビビンmRNA発現をダウンレギュレートした。データは、ヒドラゾンリンカーを介して接続されたアンチセンスオリゴヌクレオチドが、細胞膜を横切った後、細胞内でポリマーから遊離され得ることを示す。それは、ポリマーが、ジスルフィド結合およびヒドラゾンをベースとするリンカーのような多様なタイプの遊離可能なリンカーを用いることができ、ポリマーからのアンチセンスオリゴヌクレオチドの遊離速度および部位を改変することができることを示す。
【0281】
実施例71.A549細胞モデルにおける[RGD−TATC−S−S]7−20k8アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNAによるスルビビンmRNAダウンレギュレーション
本研究は、標的化剤を含有する正に荷電したポリマーが、標的化剤を伴わない正に荷電したポリマーと同様に有効であり、それ故、標的化剤を含有するポリマーは、標的化された送達のために利用することができるかどうかを決定するために行った。A549細胞を、化合物33a−I−R1(TATC−S−S)7−20k8アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNAおよび33a−I−R3([RGD−TATC−S−S]7−20k8アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNA)のそれぞれでトランスフェクトした。化合物33a−I−R1および33a−I−R3では、7ポリマーアーム末端を、それぞれ、C−TATおよびC−TAT−RGDに接続した。細胞はまた、トランスフェクション剤を伴ってまたは伴わずに、SH−C6テイルで改変されたアンチセンススルビビンLNAでトランスフェクトした。標的化剤を伴うまたは伴わないポリマーの両方とも、スルビビンmRNA発現をダウンレギュレートした。結果を図22に示す。正に荷電したポリマーのこのような特徴は、オリゴヌクレオチド治療剤の標的剤指向性送達に有益である。
【0282】
実施例72.スルビビンmRNA発現の特異的阻害
本研究は、オリゴヌクレオチドが癌細胞膜を横切った後、遺伝子発現を選択的に阻害するかどうかを決定するために行った。
【0283】
A549ヒト肺癌細胞を、化合物33a−I−R1(TATC−S−S)7−20k8アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNA)、化合物33a−II−R1(TATC−S−S)7−20k8アームPEG−S−S−スクランブル化スルビビンLNA)および生来のアンチセンススルビビンLNAのそれぞれでトランスフェクトした。化合物33a−II−R1は、それがアンチセンススルビビンLNA内にミスマッチするヌクレオチドを含むことを除いて、化合物33a−I−R1に対応する(スクランブル化スルビビンLNA:5'-smCsGsmCsAsgsaststsasgsasasAsmCsmCst-3')。生来のアンチセンススルビビンLNAはまた、トランスフェクション剤でトランスフェクトした。結果を図23に示す。
【0284】
結果は、化合物33a−I−R1のアンチセンススルビビンLNAが、化合物33a−II−R1のミスマッチしているアンチセンススルビビンLNAおよび生来のアンチセンススルビビンLNAと比較して、スルビビンmRNA発現を有意に阻害したことを示す。ミスマッチしているヌクレオチドを含有するアンチセンススルビビンLNAは、スルビビン遺伝子発現を阻害しなかった。mRNAダウンレギュレーションは、特異的阻害である。この特徴は、癌の治療において、所望されない遺伝子発現を選択的にダウンレギュレートさせるのに望ましい。
【0285】
実施例73.Calu−6腫瘍におけるインビボでのスルビビンダウンレギュレーション
アンチセンススルビビンLNAを含有するPEGの3つの類似体のスルビビンダウンレギュレーション効率を、Calu6腫瘍細胞を異種移植したマウスで評価した。各グループを、化合物33a−I−R1(TATC−S−S)7−20k8アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNA)、化合物33a−I−R3([RGD−TATC−S−S]7−20k8アームPEG−SS−アンチセンススルビビンLNA)または化合物33a−I−R2([(Arg)9C−S−S]7−20k8アームPEG−S−S−アンチセンススルビビンLNA)で処置した。処置後、マウスを屠殺した時に腫瘍組織を摘出し、スルビビンmRNA発現を測定した。アンチセンススルビビンLNAを含むすべての3つのポリマーは、生来のアンチセンススルビビンLNAと比較して、腫瘍組織においてスルビビンmRNA発現を有意に阻害した。結果を図24に示す。結果は、固形腫瘍のような癌の治療において、正に荷電したポリマーに接続されたオリゴヌクレオチドは、生来のアンチセンススルビビンLNAより有意に有効であることを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
で表される化合物であって、
[式中、
各Z1は、独立して、
【化2】
であり;
各Z2は、独立して選択されるキャッピング基:
【化3】
であり;
R1は、実質的に非抗原性のポリマーであり;
R2およびR'2は、独立して選択される、正電荷含有ペプチドまたは窒素含有環状炭化水素部分であり;
R3およびR'3は、独立して選択される標的化剤であり;
R4は、生物学的に活性な部分であり;
B1、B'1およびB''1は、独立して選択される分岐基であり;
L1、L'1、L1''、L1'''およびL1''''は、独立して選択される二官能性リンカーであり;
L2、L'2およびL''2は、独立して選択される遊離可能なリンカーであり;
(a)は、正の整数であり;
(b)は、0もしくは正の整数であり;
(c)、(c')および(c'')は、独立して0もしくは正の整数であり;
(d)、(d')、(i)、(i')および(ii)は、独立して0もしくは正の整数であり;
(e)は、正の整数であり;
(e')および(e'')は、独立して0もしくは正の整数であり;
(f)および(f')は、独立して0もしくは正の整数であり;
(g)は、正の整数であり;
(g')は、0もしくは正の整数であり;
(h)および(h')は、独立して正の整数であり;
(b)が0ではなく、すべてのZ2がキャッピング基:
【化4】
であるか、または組合せである場合、(g')は正の整数であることを条件とする]、
化合物。
【請求項2】
式:
【化5】
で表されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
(a)および(b)の合計が約1〜約32であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
(a)および(b)の合計が2、3、4、8、16、もしくは32であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Z2がキャッピング基であり、(a)および(g')が1であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
(a)が1であり、(b)が1〜7の正の整数であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
前記生物学的に活性な部分が、−NH2含有部分、−OH含有部分および−SH含有部分からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記生物学的に活性な部分が、医薬的に活性な化合物、酵素、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、モノクローナル抗体、一本鎖抗体およびペプチドからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
前記生物学的に活性な部分がオリゴヌクレオチドを含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
前記オリゴヌクレオチドが、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ロックされた核酸(LNA)、短鎖干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、アプタマー、ペプチド核酸(PNA)、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴヌクレオチド(PMO)、トリシクロ−DNA、二本鎖オリゴヌクレオチド(デコイODN)、触媒RNA(RNAi)、スピーゲルマー、CpGオリゴマーおよびこれらの組合せからなる群より選択されることを特徴とする、請求項7に記載の化合物。
【請求項11】
前記生物学的に活性な部分が、アンチセンスBcl−2オリゴヌクレオチド、アンチセンスHIF−1αオリゴヌクレオチド、およびアンチセンススルビビンオリゴヌクレオチドからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
前記ペプチドが、約1〜約50の正に荷電したアミノ酸を含有すること特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
前記ペプチドが、約2〜約20の正に荷電したアミノ酸を含有すること特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
前記ペプチドが、CYGRKKRRQRRR(配列番号1)またはCRRRRRRRRR(配列番号2)を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
前記窒素含有環状炭化水素が、式:
【化6】
で表され、
[式中
(aa)は、約2〜10の正の整数であり;
(bb)は1、2もしくは3であり;
(cc)は1もしくは2であり;
(dd)は、約1〜約5の正の整数であり;
R101が、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-19分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C2-6置換アルケニル、C2-6置換アルキニル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、C1-6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2-6アルカノイル、アリールカルボニル、C2-6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2-6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アルカノイルオキシおよびアリールカルボニルオキシからなる群より独立して選択され;
(q)は、約2〜約30の正の整数である]、
ことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
前記窒素含有環状炭化水素が:
【化7】
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
前記標的化剤が、モノクローナル抗体、一本鎖抗体、細胞接着ペプチド、細胞透過性ペプチド、受容体リガンド、標的炭水化物分子またはレクチン、およびオリゴヌクレオチドからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
前記標的化剤が、RGDペプチド、セレクチン、TAT、ペネトラチン、(Arg)9および葉酸からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
B1およびB'1が、
【化8】
からなる群より独立して選択され、
[式中、
R5は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-19分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C2-6置換アルケニル、C2-6置換アルキニル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、C1-6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2-6アルカノイル、アリールカルボニル、C2-6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2-6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシおよび置換アリールカルボニルオキシからなる群より独立して選択され;
(c1)、(c2)、(c3)、(c4)、(c5)、(c6)、(c'6)、(c''6)、(c7)および(c8)は、独立して0もしくは正の整数であり、
(d1)、(d2)、(d3)、(d4)、(d5)および(d7)は、独立して0もしくは正の整数である]、
ことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
B1およびB'1が、
【化9】
からなる群より独立して選択されることを特徴とする、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
L1およびL'1が、アミノ酸およびアミノ酸誘導体からなる群より独立して選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
L1およびL'1が、
【化10−1】
【化10−2】
からなる群より独立して選択され、
[式中:
R21-29は、水素、C1-6アルキル類、C3-12分岐アルキル類、C3-8シクロアルキル類、C1-6置換アルキル類、C3-8置換シクロアルキル類、アリール類、置換アリール類、アラルキル類、C1-6ヘテロアルキル類、置換C1-6ヘテロアルキル類、C1-6アルコキシ、フェノキシおよびC1-6ヘテロアルコキシからなる群より独立して選択され;
(t)および(t')は、独立して0もしくは正の整数であり;
(v)および(v')は、独立して0もしくは1である]、
ことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
L1およびL'1が:
【化11】
からなる群より独立して選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
L2およびL'2が、ベンジル基脱離系リンカー、トリアルキル基ロック系リンカー、ビシン系リンカー、酸に不安定なリンカー、リソソーム切断性ペプチドおよびカテプシンB切断性ペプチドからなる群より独立して選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
前記酸に不安定なリンカーが、ジスルフィド、ヒドラゾン含有リンカーおよびチオプロピオネート含有リンカーからなる群より選択されることを特徴とする、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
L2およびL'2が:
【化12】
−Val−Cit−、
−Gly−Phe−Leu−Gly−、
−Ala−Leu−Ala−Leu−、
−Phe−Lys−、
【化13】
-Val-Cit-C(=O)-CH2OCH2-C(=O)-、
-Val-Cit-C(=O)-CH2SCH2-C(=O)-、および
-NHCH(CH3)-C(=O)-NH(CH2)6-C(CH3)2-C(=O)-
からなる群より独立して選択され、
[式中、
Y11-19は、独立してO、SまたはNR48であり;
R31-48、R50-51およびA51は、水素、C1-6アルキル類、C3-12分岐アルキル類、C3-8シクロアルキル類、C1-6置換アルキル類、C3-8置換シクロアルキル類、アリール類、置換アリール類、アラルキル類、C1-6ヘテロアルキル類、置換C1-6ヘテロアルキル類、C1-6アルコキシ、フェノキシおよびC1-6ヘテロアルコキシからなる群より独立して選択され;
Arは、アリールまたはヘテロアリール部分であり;
L11-15は、独立して選択される二官能性スペーサーであり;
JおよびJ'は、独立して標的細胞に能動的に輸送される部分、疎水性部分、二官能性連結部分およびそれらの組合せの中から選択され;
(c11)、(h11)、(k11)、(l11)、(m11)および(n11)は、独立して選択される正の整数であり;
(a11)、(e11)、(g11)、(j11)、(o11)および(q11)は、独立して0もしくは正の整数であり;
(b11)、(x11)、(x'11)、(f11)、(i11)および(p11)は、独立して0もしくは1である]、
ことを特徴とする、請求項24に記載の化合物。
【請求項27】
前記キャッピング基が、H、NH2、OH、CO2H、C1-6アルコキシおよびC1-6アルキルからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
R1が、直鎖、分岐鎖またはマルチアーム化ポリアルキレンオキシドを含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
前記ポリアルキレンオキシドが、直鎖、分岐鎖またはマルチアーム化ポリエチレングリコール、および直鎖、分岐鎖またはマルチアーム化ポリプロピレングリコールからなる群より選択されることを特徴とする、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
前記ポリアルキレンオキシドが:
-Y71-(CH2CH2O)n-CH2CH2Y71-、
-Y71-(CH2CH2O)n-CH2C(=Y22)-Y71-、
-Y71-C(=Y72)-(CH2)a2-Y73-(CH2CH2O)n-CH2CH2-Y73-(CH2)a2-C(=Y72)-Y71-、および
-Y71-(CR71R72)a2-Y73-(CH2)b2-O-(CH2CH2O)n-(CH2)b2-Y73-(CR71R72)a2-Y71-
からなる群より選択され、
[式中:
Y71およびY73は、独立してO、S、SO、SO2、NR73または結合であり;
Y72は、O、S、またはNR74であり;
R71−73は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-19分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C2-6置換アルケニル、C2-6置換アルキニル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、C1-6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2-6アルカノイル、アリールカルボニル、C2-6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2-6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシおよび置換アリールカルボニルオキシからなる群より独立して選択され;
(a2)および(b2)は、独立して0もしくは正の整数であり;
(n)は、約10〜約2300の整数である]、
ことを特徴とする、請求項28に記載の化合物。
【請求項31】
前記ポリアルキレンオキシドが、式、−O−(CH2CH2O)n−のポリエチレングリコールを含んでなり、
[式中、(n)は、約10〜約2,300の整数である]
ことを特徴とする、請求項28に記載の化合物。
【請求項32】
R1が、約2,000〜約100,000の平均分子量を有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項33】
R1が、約5,000〜約60,000の平均分子量を有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項34】
R1が、約5,000〜約25,000または約20,000〜約45,000の平均分子量を有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項35】
式:
【化14】
で表され、
[式中、
(e)は、1もしくは2であり;
(e')は、0、1もしくは2であり;
(f')は、0もしくは1である];
【化15】
[式中、(g')は、正の整数である]
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項36】
式:
【化16】
[式中
各Zは、Z1またはZ2であって、
ここで、
各Z1は、独立して、
【化17】
であり;
各Z2は、独立して選択されるキャッピング基:
【化18】
であり;
L2、L'2およびL''2は、独立して、ジスルフィド、ヒドラゾン含有リンカー、チオプロピオネート含有リンカー、ベンジル基脱離系リンカー、トリアルキル基ロック系リンカーおよびビシン系リンカー、リソソーム切断性ペプチドおよびカテプシンB切断性ペプチドからなる群より選択される遊離可能なリンカーであり;
(c)、(c')および(c'')は、独立して0もしくは正の整数であり;
(d)、(d')、(i)、(i')および(i'')は、独立して0もしくは正の整数であり;
(e)は、正の整数であり;
(e')および(e'')は、独立して0もしくは正の整数であり;
(f)および(f')は、独立して0もしくは正の整数であり;
(g)は、正の整数であり;
(g')は、0もしくは正の整数であり;
(h)および(h')は、独立して正の整数であり;
他のすべての変数は、先に定義したとおりであり、
すべてのZ2がキャッピング基:
【化19】
またはこれらの組合せである場合、(g')は正の整数であることを条件とする]
ことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項37】
【化20−1】
【化20−2】
【化20−3】
【化20−4】
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項38】
請求項1に記載の化合物を有効量で、それらを必要とする哺乳動物に投与することを含んでなる、治療方法。
【請求項39】
有効量の請求項1に記載の化合物を有効量で、それらの治療を必要とする細胞に送達することを含んでなる、ポリヌクレオチドを哺乳動物細胞に投与する方法。
【請求項1】
式(I):
【化1】
で表される化合物であって、
[式中、
各Z1は、独立して、
【化2】
であり;
各Z2は、独立して選択されるキャッピング基:
【化3】
であり;
R1は、実質的に非抗原性のポリマーであり;
R2およびR'2は、独立して選択される、正電荷含有ペプチドまたは窒素含有環状炭化水素部分であり;
R3およびR'3は、独立して選択される標的化剤であり;
R4は、生物学的に活性な部分であり;
B1、B'1およびB''1は、独立して選択される分岐基であり;
L1、L'1、L1''、L1'''およびL1''''は、独立して選択される二官能性リンカーであり;
L2、L'2およびL''2は、独立して選択される遊離可能なリンカーであり;
(a)は、正の整数であり;
(b)は、0もしくは正の整数であり;
(c)、(c')および(c'')は、独立して0もしくは正の整数であり;
(d)、(d')、(i)、(i')および(ii)は、独立して0もしくは正の整数であり;
(e)は、正の整数であり;
(e')および(e'')は、独立して0もしくは正の整数であり;
(f)および(f')は、独立して0もしくは正の整数であり;
(g)は、正の整数であり;
(g')は、0もしくは正の整数であり;
(h)および(h')は、独立して正の整数であり;
(b)が0ではなく、すべてのZ2がキャッピング基:
【化4】
であるか、または組合せである場合、(g')は正の整数であることを条件とする]、
化合物。
【請求項2】
式:
【化5】
で表されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
(a)および(b)の合計が約1〜約32であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
(a)および(b)の合計が2、3、4、8、16、もしくは32であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Z2がキャッピング基であり、(a)および(g')が1であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
(a)が1であり、(b)が1〜7の正の整数であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
前記生物学的に活性な部分が、−NH2含有部分、−OH含有部分および−SH含有部分からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記生物学的に活性な部分が、医薬的に活性な化合物、酵素、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、モノクローナル抗体、一本鎖抗体およびペプチドからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
前記生物学的に活性な部分がオリゴヌクレオチドを含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
前記オリゴヌクレオチドが、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ロックされた核酸(LNA)、短鎖干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、アプタマー、ペプチド核酸(PNA)、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴヌクレオチド(PMO)、トリシクロ−DNA、二本鎖オリゴヌクレオチド(デコイODN)、触媒RNA(RNAi)、スピーゲルマー、CpGオリゴマーおよびこれらの組合せからなる群より選択されることを特徴とする、請求項7に記載の化合物。
【請求項11】
前記生物学的に活性な部分が、アンチセンスBcl−2オリゴヌクレオチド、アンチセンスHIF−1αオリゴヌクレオチド、およびアンチセンススルビビンオリゴヌクレオチドからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
前記ペプチドが、約1〜約50の正に荷電したアミノ酸を含有すること特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
前記ペプチドが、約2〜約20の正に荷電したアミノ酸を含有すること特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
前記ペプチドが、CYGRKKRRQRRR(配列番号1)またはCRRRRRRRRR(配列番号2)を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
前記窒素含有環状炭化水素が、式:
【化6】
で表され、
[式中
(aa)は、約2〜10の正の整数であり;
(bb)は1、2もしくは3であり;
(cc)は1もしくは2であり;
(dd)は、約1〜約5の正の整数であり;
R101が、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-19分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C2-6置換アルケニル、C2-6置換アルキニル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、C1-6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2-6アルカノイル、アリールカルボニル、C2-6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2-6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アルカノイルオキシおよびアリールカルボニルオキシからなる群より独立して選択され;
(q)は、約2〜約30の正の整数である]、
ことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
前記窒素含有環状炭化水素が:
【化7】
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
前記標的化剤が、モノクローナル抗体、一本鎖抗体、細胞接着ペプチド、細胞透過性ペプチド、受容体リガンド、標的炭水化物分子またはレクチン、およびオリゴヌクレオチドからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
前記標的化剤が、RGDペプチド、セレクチン、TAT、ペネトラチン、(Arg)9および葉酸からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
B1およびB'1が、
【化8】
からなる群より独立して選択され、
[式中、
R5は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-19分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C2-6置換アルケニル、C2-6置換アルキニル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、C1-6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2-6アルカノイル、アリールカルボニル、C2-6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2-6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシおよび置換アリールカルボニルオキシからなる群より独立して選択され;
(c1)、(c2)、(c3)、(c4)、(c5)、(c6)、(c'6)、(c''6)、(c7)および(c8)は、独立して0もしくは正の整数であり、
(d1)、(d2)、(d3)、(d4)、(d5)および(d7)は、独立して0もしくは正の整数である]、
ことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
B1およびB'1が、
【化9】
からなる群より独立して選択されることを特徴とする、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
L1およびL'1が、アミノ酸およびアミノ酸誘導体からなる群より独立して選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
L1およびL'1が、
【化10−1】
【化10−2】
からなる群より独立して選択され、
[式中:
R21-29は、水素、C1-6アルキル類、C3-12分岐アルキル類、C3-8シクロアルキル類、C1-6置換アルキル類、C3-8置換シクロアルキル類、アリール類、置換アリール類、アラルキル類、C1-6ヘテロアルキル類、置換C1-6ヘテロアルキル類、C1-6アルコキシ、フェノキシおよびC1-6ヘテロアルコキシからなる群より独立して選択され;
(t)および(t')は、独立して0もしくは正の整数であり;
(v)および(v')は、独立して0もしくは1である]、
ことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
L1およびL'1が:
【化11】
からなる群より独立して選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
L2およびL'2が、ベンジル基脱離系リンカー、トリアルキル基ロック系リンカー、ビシン系リンカー、酸に不安定なリンカー、リソソーム切断性ペプチドおよびカテプシンB切断性ペプチドからなる群より独立して選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
前記酸に不安定なリンカーが、ジスルフィド、ヒドラゾン含有リンカーおよびチオプロピオネート含有リンカーからなる群より選択されることを特徴とする、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
L2およびL'2が:
【化12】
−Val−Cit−、
−Gly−Phe−Leu−Gly−、
−Ala−Leu−Ala−Leu−、
−Phe−Lys−、
【化13】
-Val-Cit-C(=O)-CH2OCH2-C(=O)-、
-Val-Cit-C(=O)-CH2SCH2-C(=O)-、および
-NHCH(CH3)-C(=O)-NH(CH2)6-C(CH3)2-C(=O)-
からなる群より独立して選択され、
[式中、
Y11-19は、独立してO、SまたはNR48であり;
R31-48、R50-51およびA51は、水素、C1-6アルキル類、C3-12分岐アルキル類、C3-8シクロアルキル類、C1-6置換アルキル類、C3-8置換シクロアルキル類、アリール類、置換アリール類、アラルキル類、C1-6ヘテロアルキル類、置換C1-6ヘテロアルキル類、C1-6アルコキシ、フェノキシおよびC1-6ヘテロアルコキシからなる群より独立して選択され;
Arは、アリールまたはヘテロアリール部分であり;
L11-15は、独立して選択される二官能性スペーサーであり;
JおよびJ'は、独立して標的細胞に能動的に輸送される部分、疎水性部分、二官能性連結部分およびそれらの組合せの中から選択され;
(c11)、(h11)、(k11)、(l11)、(m11)および(n11)は、独立して選択される正の整数であり;
(a11)、(e11)、(g11)、(j11)、(o11)および(q11)は、独立して0もしくは正の整数であり;
(b11)、(x11)、(x'11)、(f11)、(i11)および(p11)は、独立して0もしくは1である]、
ことを特徴とする、請求項24に記載の化合物。
【請求項27】
前記キャッピング基が、H、NH2、OH、CO2H、C1-6アルコキシおよびC1-6アルキルからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
R1が、直鎖、分岐鎖またはマルチアーム化ポリアルキレンオキシドを含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
前記ポリアルキレンオキシドが、直鎖、分岐鎖またはマルチアーム化ポリエチレングリコール、および直鎖、分岐鎖またはマルチアーム化ポリプロピレングリコールからなる群より選択されることを特徴とする、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
前記ポリアルキレンオキシドが:
-Y71-(CH2CH2O)n-CH2CH2Y71-、
-Y71-(CH2CH2O)n-CH2C(=Y22)-Y71-、
-Y71-C(=Y72)-(CH2)a2-Y73-(CH2CH2O)n-CH2CH2-Y73-(CH2)a2-C(=Y72)-Y71-、および
-Y71-(CR71R72)a2-Y73-(CH2)b2-O-(CH2CH2O)n-(CH2)b2-Y73-(CR71R72)a2-Y71-
からなる群より選択され、
[式中:
Y71およびY73は、独立してO、S、SO、SO2、NR73または結合であり;
Y72は、O、S、またはNR74であり;
R71−73は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-19分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C2-6置換アルケニル、C2-6置換アルキニル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、C1-6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2-6アルカノイル、アリールカルボニル、C2-6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2-6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシおよび置換アリールカルボニルオキシからなる群より独立して選択され;
(a2)および(b2)は、独立して0もしくは正の整数であり;
(n)は、約10〜約2300の整数である]、
ことを特徴とする、請求項28に記載の化合物。
【請求項31】
前記ポリアルキレンオキシドが、式、−O−(CH2CH2O)n−のポリエチレングリコールを含んでなり、
[式中、(n)は、約10〜約2,300の整数である]
ことを特徴とする、請求項28に記載の化合物。
【請求項32】
R1が、約2,000〜約100,000の平均分子量を有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項33】
R1が、約5,000〜約60,000の平均分子量を有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項34】
R1が、約5,000〜約25,000または約20,000〜約45,000の平均分子量を有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項35】
式:
【化14】
で表され、
[式中、
(e)は、1もしくは2であり;
(e')は、0、1もしくは2であり;
(f')は、0もしくは1である];
【化15】
[式中、(g')は、正の整数である]
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項36】
式:
【化16】
[式中
各Zは、Z1またはZ2であって、
ここで、
各Z1は、独立して、
【化17】
であり;
各Z2は、独立して選択されるキャッピング基:
【化18】
であり;
L2、L'2およびL''2は、独立して、ジスルフィド、ヒドラゾン含有リンカー、チオプロピオネート含有リンカー、ベンジル基脱離系リンカー、トリアルキル基ロック系リンカーおよびビシン系リンカー、リソソーム切断性ペプチドおよびカテプシンB切断性ペプチドからなる群より選択される遊離可能なリンカーであり;
(c)、(c')および(c'')は、独立して0もしくは正の整数であり;
(d)、(d')、(i)、(i')および(i'')は、独立して0もしくは正の整数であり;
(e)は、正の整数であり;
(e')および(e'')は、独立して0もしくは正の整数であり;
(f)および(f')は、独立して0もしくは正の整数であり;
(g)は、正の整数であり;
(g')は、0もしくは正の整数であり;
(h)および(h')は、独立して正の整数であり;
他のすべての変数は、先に定義したとおりであり、
すべてのZ2がキャッピング基:
【化19】
またはこれらの組合せである場合、(g')は正の整数であることを条件とする]
ことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項37】
【化20−1】
【化20−2】
【化20−3】
【化20−4】
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項38】
請求項1に記載の化合物を有効量で、それらを必要とする哺乳動物に投与することを含んでなる、治療方法。
【請求項39】
有効量の請求項1に記載の化合物を有効量で、それらの治療を必要とする細胞に送達することを含んでなる、ポリヌクレオチドを哺乳動物細胞に投与する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2010−503414(P2010−503414A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528518(P2009−528518)
【出願日】平成19年9月15日(2007.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/078598
【国際公開番号】WO2008/034123
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(505354899)エンゾン ファーマスーティカルズ インコーポレイテッド (28)
【氏名又は名称原語表記】ENZON PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月15日(2007.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/078598
【国際公開番号】WO2008/034123
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(505354899)エンゾン ファーマスーティカルズ インコーポレイテッド (28)
【氏名又は名称原語表記】ENZON PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】
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