説明

正本移転システム

【課題】 電子文書は紙の文書とは異なり複製が容易であるため、唯一性のある正本とその複製物である副本との区別がつけられず、そのままでは正本の所持者を特定することができず、ファイルの授受を行っても正本の授受とないらない。
【解決手段】 正当なファイルないしその複製物のうち正当な所持者の所持するものを真の正本とし、正当な所持者がだれであるかを示す情報と、ファイルが正本か否かを識別するための情報を併用する。それにより、ファイルに正本性が付与され、正本の所持者を特定できるようになり、ファイル授受に基づく正本の移転ができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイルの正本の移転に関する。
【背景技術】
【0002】
電子文書は紙の文書とは異なる特徴が多々あり、それに対応すべく様々な技術が開発されてきた。例えば改ざんが容易であるという特徴に対応すべく要約値(ハッシュ値)が用いられるようになった。また、電子署名により、ファイルの内容について責任を負う者が誰であるかを確認できるようになった。
【0003】
しかし、容易に複製され他者へ授受されるため、唯一性のある正本とその複製物である副本との区別がつけられず、正本の所持者を特定することができず、ファイルの授受を行っても正本の授受とないらない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ファイルに正本性を付与して正本と副本との区別を可能とし、ファイル授受に基づいて正本の移転が行われるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、正当なファイルないしその複製物のうち正当な所持者の所持するものを真の正本(以下、正本とする)とし、正当な所持者が誰であるかという情報とファイルが正本ないし正本授受の際の過渡的複製物(以下、過渡的正本とする)であるか否かという情報の二つの情報を併せて管理することにより、ファイルに正本性を付与しファイル授受に基づく正本の移転を行うことを特徴とする正本移転システムである。
【0006】
正当な所持者が誰であるかという情報とファイルが正本ないし過渡的正本であるか否かという情報のうちいずれか一つの情報だけではファイル授受による正本の移転を行うことができず、本発明により二つの情報を併用することでファイル授受による正本の移転を実現できる。
【0007】
本発明の一つの態様において、正本移転システムは、正当な所持者が誰であるかという情報として、正当な所持者のユーザーID(以下、正当所持者IDとする)を用いることを特徴とし、ファイルが、正本性を付与する対象たる従来の電子文書(以下、内容電子文書とする)に、正本ないし過渡的正本であるか否かを示すための属性値(以下、正副属性値とする)を付加したものであることを特徴とし、正本ファイルが、正本を指し示す正副属性値(以下、正本値とする)を有することを特徴とし、正本値に、ファイルの作成時に特定でない値が定められ、正本授受の際にそれまでとは異なった新たな値に定められることを特徴とし、正当所持者IDの指し示す者(以下、正当所持者とする)が正本値を有するファイルを所持している状態は、正当な所持者が正当なファイルを所持している状態であり、この状態にあるファイルを正本とすることを特徴とし、正本値を有していないファイルを副本とすることを特徴とし、正当所持者以外が正本値を有するファイルを所持している状態は、正本を正当所持者から受領した過渡的状態であり引き続いて正本の移転に関する処理(以下、正本移転処理とする)が行われる状態であり、この状態にあるファイルを過渡的正本とすることを特徴とし、正本移転処理において、正当所持者IDを受領者のユーザーIDに変更し、正本値をそれまでとは異なった新たな値に定め、受領者の所持するファイルの正副属性値を新しい正本値に書き換えることでそのファイルを正本とし、授与者の所持するファイルの正副属性値を古い値のままにしておくことでそのファイルを副本とすることを特徴とする。
【0008】
本発明では、授与者と受領者という対人関係において正本を捉え、それに関する情報を上記のように取り扱うことにより、ファイル授受に基づく正本の移転を実現している。
【0009】
本発明の一つの態様において、正本移転システムは、正当所持者IDと正本値を管理する正本情報管理サーバーと、利用者の端末での処理を行うファイル制御プログラムとを備えることを特徴とし、正本情報管理サーバーに正当所持者IDを登録し、正本情報管理サーバーに登録されている正副属性値をもって正本値とすることを特徴とし、ファイル制御プログラムがファイルを開く際に、ファイルの所持者が正当所持者であるかの確認とファイルの正副属性値と正本情報管理サーバーの正本値との比較を行い、ファイルが過渡的正本の場合に引き続き正本移転処理を行うことを特徴とし、正本移転処理において、正当所持者IDとして受領者のユーザーIDを正本情報管理サーバーに登録し、正本値としてそれまでとは異なった新たな値を定めて正本情報管理サーバーに登録し、ファイルの正副属性値を新たに定めた正本値に書き換えることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、利用者の操作としてファイル授受やファイルを開くこと以外の特別な操作をすることなく、正本の移転を行うことができる。ファイル授受の例としては、メール添付やファイル転送のみならずCD−Rを介した受け渡しなども挙げられる。
【0011】
本発明の一つの態様において、正本移転処理の処理手順は、はじめに仮の正本値をそれまでとは異なった新しい値に定め、また受領者のユーザーIDを仮の正当所持者IDとし、これらを正本情報管理サーバーに仮登録し、その後にファイル内の正副属性値を上記の仮の正本値に書き換え、その後に仮の正本値、仮の正当所持者IDを真の値として正本情報管理サーバーに登録することであることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、ネットワークの切断などにより正本移転処理が中断された場合でも、再処理により確実に正本を移転することができる。
【0013】
本発明の一つの態様において、正本移転システムは、利用者のユーザー管理がなされており、かつ利用者の端末が起動していることを期待できる範囲の閉じた環境下において、正本情報管理サーバーを各自の端末に構築し、正本情報管理サーバーはその端末の関与するファイルに対してのみその役割を果たすことで、独立した正本情報管理サーバーを要しないことを特徴とする。
【0014】
本発明の一つの態様として、正本の改訂を認めるシステム形態において、正本情報管理サーバーに正本ファイル作成時点および正本受領時点の内容電子文書の要約値(ハッシュ値)を記録し、正本情報管理サーバーで正当所持者ID、正本値、上記要約値の履歴を管理し、ファイル内に正本ファイル作成時点および正本移転時点の内容電子文書を記録し、正本情報管理サーバーに内容電子文書の複写物をバックアップとして残すことにより、正本の改訂履歴を管理して内容電子文書の信頼性を高めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、ファイルに正本性を付与して正本と副本との区別を可能とし、ファイル授受に基づいて正本の移転が行われるシステムを提供できる。
【発明を実施するための最良の実施形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図12に基づいて説明する。
【0017】
図1は、システムの概略構成図である。正本情報管理サーバー10と利用者30の端末31がネットワーク20を介して接続されている。利用者30の端末31にファイル処理プログラム32がある。ファイル33は、内容電子文書35に正副属性値34を付加したものである。正本情報管理サーバー10に、正本値11と正当所持者ID12が登録される。正本移転処理中には、仮正本値13と仮正当所持者ID14が登録される。
【0018】
図2は、正当な所持者が正本を所持している状態を示した図である。正本情報管理サーバー10に登録されている正当所持者ID12の指し示す利用者UserA30が、正本情報管理サーバーに正本値11として登録されている正副属性値Xと同じ正副属性値34を有するファイル33を所持しており、これは正当な所持者が正本を所持している状態である。
【0019】
図3は、副本を所持している状態を示した図である。正本情報管理サーバー10に正本値11として登録されている正副属性値Xと利用者UserA30が所持するファイル33の正副属性値Zが異なっており、これは副本を所持している状態である。
【0020】
図4は、正本を正当な所持者から受領し正本移転処理が行われる前の過渡的状態を示した図である。正本情報管理サーバー10に登録されている正当所持者ID12の指し示す者ではない利用者UserB40が、正本情報管理サーバー10に正本値11として登録されている正副属性値Xと同じ正副属性値44を有するファイル43を所持しており、これは正本を正当な所持者から受領し正本移転処理が行われる前の状態である。
【0021】
図5は、正本移転処理により正本が移転した状態を示した図である。正本移転処理により、正本情報管理サーバー10の正本値11と正当所持者ID12が書き換えられ、利用者UserB40の所持するファイル43の正副属性値44が、正本情報管理サーバー10に正本値11として登録されている正副属性値Yに書き換えられており、これは正本移転処理により正本が移転した状態である。
【0022】
図6は、ファイル作成手順の概要を示すフローチャートである。S50、S51、S54の処理がファイル管理プログラムで行われ、S52、S53の処理が正本情報管理サーバーで行われる。
【0023】
ファイル管理プログラムにおいて、元となる内容電子文書を読み込み(S50)、正本情報管理サーバーに利用者のユーザーIDを伝達し正本値を要求する(S51)。
【0024】
引き続いて、正本情報管理サーバーにおいて、正本値として特定でない値を定めて登録し、正当所持者IDとしてユーザーIDを登録する(S52)。その後、ファイル処理プログラムに正本値を伝達する(S53)。
【0025】
それに続き、ファイル処理プログラムで、元となる内容電子文書に正本値を正副属性値として付加してファイルを作成する(S54)。
【0026】
図7は、ファイル処理ならびに正本移転処理の概要を示すフローチャートである。S60、S61、S67〜S72の処理がファイル管理プログラムにおいて行われ、S62〜S66、S73の処理が正本情報管理サーバーで行われる。
【0027】
ファイル管理プログラムにおいて、ファイルを開くこと(S60)が契機となり一連の処理が開始される。まず、ファイル管理プログラムから正本情報管理サーバーに利用者のユーザーIDと所持するファイルの正副属性値を伝達して、そのファイルが正本か過渡的正本か副本かを正本情報管理サーバーに問い合わせる(S61)。
【0028】
引き続き、正本情報管理サーバーにおいて、利用者のユーザーIDと正当所持者IDを比較し、ファイルの正副属性値と正本値を比較し、そのファイルが正本か過渡的正本か副本かの判定を行う(S62)。
【0029】
ここで、既に仮正当所持者ID、仮正本値の仮登録が行われていて、ファイル管理プログラムから伝達されたユーザーID、正副属性値に一致した場合は、以前行われた正本移転処理が「ファイル内の正副属性値の書き換え」(S71)より後ろで中断し再度処理が行われている場合(以下、書換後再処理とする)であるので、「正当所持者ID、正本値の登録変更」(S73)の処理に進む。
【0030】
過渡的正本であれば、利用者のユーザーIDを仮の正当所持者IDとし、仮の正本値としてそれまでとは異なった新たな値を定めて、仮登録する(S65)。正本が複数の者に授受された場合を考慮してユーザーIDごとに異なった仮正本値を用いる。既にそのユーザーIDに対して仮正本値が定められている場合は、以前行われた正本移転処理が「仮正当所持者ID、仮正本値の仮登録」(S65)より後ろで中断し再度処理が行われている場合であるので、登録されている仮正本値をそのまま用いる。
【0031】
そしてファイル処理プログラムに正本か過渡的正本か副本かの判定結果を伝達し、さらに過渡的正本の場合には仮正本値を伝達する(S66)。
【0032】
それに続き、ファイル処理プログラムにおいて、ファイルが正本であれば正本としての処理を行う(S69)。正本としての処理の内容は、内容電子文書45の種類に応じたアプリケーションによる処理である。ファイルが副本であれば副本としての処理を行う(S70)。ファイルが過渡的正本であれば、上記の仮の正本値でファイル内の正副属性値の書き換えを行い(S71)、書き換えが実施されたことを正本情報管理サーバーに伝達する(S72)。
【0033】
正本情報管理サーバーにおいては、書き換え実施の伝達を受けて、上記の仮正当所持者ID、仮正本値を真の値として正当所持者ID、正本値の登録変更を行い(S73)、これをもって、授与者から受領者に正本が移転したこととなる。
【0034】
そしてファイル処理プログラムにおいて、正本としての処理を行う(S69)。
【0035】
上記の一連の処理により、ファイル処理ならびに正本移転処理が行われ、ネットワークの切断などにより正本移転処理が中断された場合でも、再処理により確実に正本を移転することができる。
【0036】
図8は、図7のフローチャートの「仮正当所持者ID、仮正本値の仮登録」(S65)の後の状態を示した図である。
新たに定められた仮正本値13と、受領者40のユーザーIDのUserBが仮正当所持者ID14として仮登録されている。
【0037】
図9は、図7のフローチャートの「ファイル内の正副属性値の書き換え」(S71)の後の状態を示した図である。ファイル内の正副属性値44が、仮正本値13の正副属性値Yで書き換えられている。
【0038】
図10は、利用者のユーザー管理がなされており、かつ利用者の端末が起動していることを期待できる範囲の閉じた環境下に限り、正本情報管理サーバーを各自の端末に構築し、正本情報管理サーバーはその端末の関与するファイルに対してのみその役割を果たすことで、独立した正本情報管理サーバーを要しないシステム構成の概要を示した図である。UserA30の作成したファイルをUserB40が受領した場合、UserA30の端末31の正本情報管理サーバー81とUserBの端末41のファイル処理プログラム42が役割を果たす。
【0039】
図11は、正本の改訂を認めるシステム運用において、ファイルが作成された時点の状態を示した図である。
ファイル33の作成時に、元の内容電子文書を、内容電子文書A2(35)と内容電子文書A1(36a)の二つに記録する。内容電子文書A1(36a)はファイル作成時点の書き換え不可な履歴として記録される。ファイル33が作成されてから授与するまでの正本の改訂は内容電子文書A2(35)に対して行われる。
正本情報管理サーバーには、ファイル33の作成時に、正本値11、正当所持者ID12が登録され、作成時の履歴17aが記録され、内容電子文書A1(18a)が記録される。
【0040】
図12は、正本の改訂を認めるシステム運用において、ファイルが授受され正本移転処理が完了した後の状態を示した図である。正本移転処理の際に、内容電子文書A2は内容電子文書A3にコピーされる。内容電子文書A2(46b)は、ファイル受領時点の書き換え不可な履歴として記録される。ファイル受領時から他の者に授与するまでの正本の改訂は内容電子文書A3(45)に対して行われる。正本情報管理サーバーには、ファイル受領時の正本移転処理において、正本値11、正当所持者ID12が登録され、受領時の履歴17bが記録され、内容電子文書A2(18b)が記録される。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば正本を特定できるので、例えば違法コピーソフトの問題解決手段となる。音楽ソフトや映像ソフトも正本を特定できるので著作権管理が容易に行える。その他、紙の文書により行われており、電子文書に正本性がなかったために出来なかったことが出来るようになる。例えば紙の回覧により行われていた業務フローは、これまでは業務システムにワークフローを組み込む必要があったが、ファイルに正本性があるため紙の回覧の代わりにファイルの回覧によって行えるので簡便に行うことができる。また別の例としては、正本ファイルに権利を担わせれば、ファイルの授受による権利移転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】システムの概略構成図である。
【図2】正当な所持者が正本を所持している状態を示した図である。
【図3】副本を所持している状態を示した図である。
【図4】正本を正当な所持者から受領し正本移転処理が行われる前の過渡的状態を示した図である。
【図5】正本移転処理により正本が移転した状態を示した図である。
【図6】ファイル作成手順の概要を示すフローチャートである。
【図7】ファイル処理ならびに正本移転処理の概要を示すフローチャートである。
【図8】仮正本値,仮正当所持者IDを仮登録した状態を示した図である。
【図9】ファイル内の正副属性値を、仮の正本値で書き換えた状態を示した図である。
【図10】独立した正本情報管理サーバーを要しないシステム構成の概要を示した図である。
【図11】正本の改訂を認めるシステム運用において、ファイルが作成された時点の状態を示した図である。
【図12】正本の改訂を認めるシステム運用において、ファイルが授受され正本移転処理が完了した後の状態を示した図である。
【符号の説明】
【0043】
10 正本情報管理サーバー
11 正本値
12 正当所持者ID
13 仮正本値
14 仮正当所持者ID
15 要約値
16 仮の値(正本値、正当所持者ID、要約値)
17a 作成時の履歴(正本値、正当所持者ID、要約値)
17b 受領時の履歴(正本値、正当所持者ID、要約値)
18a 内容電子文書のバックアップ
18b 内容電子文書のバックアップ
20 ネットワーク
30 利用者
31 端末
32 ファイル処理プログラム
33 ファイル
34 正副属性値
35 内容電子文書
36a 内容電子文書の履歴、作成時の記録
40 利用者(UserB)
41 端末(UserB)
42 ファイル処理プログラム(UserB)
43 ファイル(UserB)
44 正副属性値(UserB)
45 内容電子文書(UserB)
46a 内容電子文書の履歴、作成時の記録(UserB)
46b 内容電子文書の履歴、受領時の記録(UserB)
S50 内容電子文書読込
S51 正本値要求
S52 正当所持者ID、正本値の登録
S53 正本値の伝達
S54 ファイル作成
S60 ファイルを開く
S61 正本性問い合わせ
S62 正本性判定
S63 書換後再処理かの判断
S64 過渡的正本かの判断
S65 仮正当所持者ID、仮正本値の仮登録
S66 正本性判定結果と仮正本値の伝達
S67 過渡的正本かの判断
S68 正本かの判断
S69 正本としての処理
S70 副本としての処理
S71 ファイル内の正副属性値の書き換え
S72 書き換え実施報告
S73 正当所持者ID、正本値の登録変更
81 端末に構築された正本情報管理サーバー
82 端末に構築された正本情報管理サーバー(UserB)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正当なファイルないしその複製物のうち正当な所持者の所持するものを真の正本(以下、正本とする)とし、正当な所持者が誰であるかという情報とファイルが正本ないし正本授受の際の過渡的複製物(以下、過渡的正本とする)であるか否かという情報の二つの情報を併せて管理することにより、ファイルに正本性を付与しファイル授受に基づく正本の移転を行うことを特徴とする正本移転システム。
【請求項2】
正当な所持者が誰であるかという情報として、正当な所持者のユーザーID(以下、正当所持者IDとする)を用いることを特徴とし、ファイルが、正本性を付与する対象たる従来の電子文書(以下、内容電子文書とする)を元にして、それに正本ないし過渡的正本であるか否かを示すための属性値(以下、正副属性値とする)を付加したものであることを特徴とし、正本ファイルが、正本を指し示す正副属性値(以下、正本値とする)を有することを特徴とし、正本値に、ファイルの作成時に特定でない値が定められ、正本授受の際にそれまでとは異なった新たな値に定められることを特徴とし、正当所持者IDの指し示す者(以下、正当所持者とする)が正本値を有するファイルを所持している状態は、正当な所持者が正当なファイルを所持している状態であり、この状態にあるファイルを正本とすることを特徴とし、正本値を有していないファイルを副本とすることを特徴とし、正当所持者以外が正本値を有するファイルを所持している状態は、正本を正当所持者から受領した過渡的状態であり引き続いて正本の移転に関する処理(以下、正本移転処理とする)が行われる状態であり、この状態にあるファイルを過渡的正本とすることを特徴とし、正本移転処理において、正当所持者IDを受領者のユーザーIDに変更し、正本値をそれまでとは異なった新たな値に定め、受領者の所持するファイルの正副属性値を新しい正本値に書き換えることでそのファイルを正本とし、授与者の所持するファイルの正副属性値を古い値のままにしておくことでそのファイルを副本とすることを特徴とする請求項1記載の正本移転システム。
【請求項3】
正当所持者IDと正本値を管理する正本情報管理サーバーと、利用者の端末での処理を行うファイル制御プログラムとを備えることを特徴とし、正本情報管理サーバーに正当所持者IDを登録し、正本情報管理サーバーに登録されている正副属性値をもって正本値とすることを特徴とし、ファイル制御プログラムがファイルを開く際に、ファイルの所持者が正当所持者であるかの確認とファイルの正副属性値と正本情報管理サーバーの正本値との比較を行い、ファイルが過渡的正本の場合に引き続き正本移転処理を行うことを特徴とし、正本移転処理において、正当所持者IDとして受領者のユーザーIDを正本情報管理サーバーに登録し、正本値としてそれまでとは異なった新たな値を定めて正本情報管理サーバーに登録し、ファイルの正副属性値を新たに定めた正本値に書き換えることを特徴とする請求項2記載の正本移転システム。
【請求項4】
正本移転処理の処理手順は、はじめに仮の正本値をそれまでとは異なった新しい値に定め、また受領者のユーザーIDを仮の正当所持者IDとし、これらを正本情報管理サーバーに仮登録し、その後にファイル内の正副属性値を上記の仮の正本値に書き換え、その後に仮の正本値、仮の正当所持者IDを真の値として正本情報管理サーバーに登録することであることを特徴とする請求項3記載の正本移転システム。
【請求項5】
利用者のユーザー管理がなされており、かつ利用者の端末が起動していることを期待できる範囲の閉じた環境下において、正本情報管理サーバーを各自の端末に構築し、正本情報管理サーバーはその端末の関与するファイルに対してのみその役割を果たすことで、独立した正本情報管理サーバーを要しないことを特徴とする請求項4記載の正本移転システム。
【請求項6】
正本の改訂を認めるシステム形態において、正本情報管理サーバーに正本ファイル作成時点および正本受領時点の内容電子文書の要約値(ハッシュ値)を記録し、正本情報管理サーバーで正当所持者ID、正本値、上記要約値の履歴を管理し、ファイル内に正本ファイル作成時点および正本移転時点の内容電子文書を記録し、正本情報管理サーバーに内容電子文書の複写物をバックアップとして残すことにより、正本の改訂履歴を管理して内容電子文書の信頼性を高めることを特徴とする請求項4または請求項5のいずれかに記載の正本移転システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate