正確な計測システム
本発明は、測定された流体の提供の効率、精度、再現性のため、流体と容器間の示差熱膨張/収縮を緩和するための緩和する測定装置、システム、ならびに、方法に関する。本発明は、流体と流体投与容器間の示差熱膨張/収縮の影響の下においても、正味体積ならびにその中に流体が収納されている流体投与容器のプランジャ位置を自動的に調整することを可能にする。
また、本発明は、調節されたプランジャ(11)の位置を検知するために測定駆動システムを駆動されることを可能にするとともに、流体投与容器(5)から正確な体積の流体の供給を実行するため、測定駆動システム自身が再度ゼロとなるよう駆動することを可能にする。かかる測定システムは、測定駆動部(14)の移動、ならびに、これによる流体投与容器からの流体の提供を正確/高精度で行うための流体投与容器内のプランジャの移動、を制御する手段を含んでいる。かかる測定システムは、当該測定システムにおけるデッドボリュームを緩和するようにしてもよい。
また、本発明は、調節されたプランジャ(11)の位置を検知するために測定駆動システムを駆動されることを可能にするとともに、流体投与容器(5)から正確な体積の流体の供給を実行するため、測定駆動システム自身が再度ゼロとなるよう駆動することを可能にする。かかる測定システムは、測定駆動部(14)の移動、ならびに、これによる流体投与容器からの流体の提供を正確/高精度で行うための流体投与容器内のプランジャの移動、を制御する手段を含んでいる。かかる測定システムは、当該測定システムにおけるデッドボリュームを緩和するようにしてもよい。
【発明の詳細な説明】
【関連出願との相互関係】
【0001】
ここで開示されている主題は、”正確な測定システム”という名称で2006年2月14日に出願済みの米国仮特許出願60/773、272であって、本出願の譲受人に譲渡された出願に基づき、米国特許法119(e)に規定された優先権を主張するものであり、その全体が参照のためここに取り込まれる。
【0002】
ここで開示されている主題は、同一人に譲渡された以下の出願であって、”電界シールドを有する分離放出タイプの電気流体力学式噴霧器(DISSOCIATED DISCHARGE EHD SPRAYER WITH ELECTRIC FIELD SHIELD)”という名称で2006年2月14日に出願済みの米国仮特許出願60/773、239であって、その全体が参照のためここに取り込まれるもの、に開示されている主題に関連する。
【技術分野】
【0003】
ここで記載される主題は、一般に測定システムに関し、具体的には、流体と、液体、溶液、散液(dispersions)、懸濁液(suspensions)、ゲル、ペーストならびに他の液体等の流動性を有する材料の制御された供給のための容器間の示差熱膨張/収縮の影響を緩和する正確な測定システムに関する。
【背景技術】
【0004】
薬品を吸入することにより病気を治療することは、何世紀にもわたって行われてきたが、20世紀半ばから大幅に進歩し成長を遂げてきた。医療界が、患者に対する管理にこの手順が有益であることを認識したことから、局所ならびに全身に有効な薬剤化合物の両方を供給するために、吸引治療を用いることが多くなっている。吸引処置を効果的に行うため、肺薬剤供給装置は、肺に対し、および、それを介して、効率的で安全かつ確実な薬剤供給を実行できなければならない。
【0005】
注射器ベースの測定システムは、その正確さと簡易さから測定システム技術においてよく知られている。しかし、圧縮可能なヘッドスペースをほとんど有しない、硬い注射器/薬瓶システムを有する測定システムにおいては、示差熱膨張/収縮(すなわち、流体と硬質注射器との間の異なる膨張または収縮)が、注射器または薬瓶に収納される流体の正味体積の変化を生じさせる。この体積の膨張および/または収縮は、流体の体積が膨張することで注射器から押し出されること、体積が収縮することで薬瓶内外部の空気を流入させること、あるいは、薬瓶内の空気を放出してしまうこと、薬瓶内の流体を気化させてしまうような小さい圧を薬瓶内に作り出すこと、のいずれをも阻止するため、注射器/薬瓶において調整しなくてはならない。これらの体積上の変化は、測定の精度に悪影響を与える。
【0006】
また、流体容器の排出口の下流に位置するバルブおよび/またはノズルを有する測定システムは、通常、容器の排出口とバルブ/ノズルを流体的に接続する空間または通路におけるデッドボリュームに関する問題を有している。このデッドボリュームは、流体の供給を不正確および/または不規則にしてしまう。デッドボリュームを有する測定システムは、供給前にユーザーによって手動で呼び水を入れることが可能であるが、これには、ユーザーに新たなステップを要求することになる。かかる手動呼び水システムにおいては、使用前に、ユーザーが測定システムに正しく呼び水を入れることができない場合もあり、これにより、流体の供給が不正確なものとなってしまう。
【0007】
示差熱膨張/収縮を考慮に入れ、および/または、測定が完了した流体の提供の効率、精度、再現性を確保するため、測定システムにおいてデッドボリュームを考慮にいれた装置、システム、ならびに方法が求められている。
【0008】
【特許文献1】米国仮特許出願 60/773、272
【0009】
【特許文献2】米国仮特許出願 60/773、239
【発明の開示】
【0010】
上述の欠点ならびに問題点を鑑み、測定システムにおいて、流体と容器間の示差熱膨張/収縮の影響を緩和するための装置、システムならびに方法を提供する。また、測定システムにおいてデッドボリュームに呼び水を入れる際に生じる問題を緩和するための装置、システムならびに方法が提供される。かかる装置、システムならびに方法は、測定された流体の提供の効率、精度、再現性を提供する。本技術は、特に、それに限定されるものではないが、注射器ベースの測定システムに非常に適している。
【0011】
本発明の一実施形態によると、正確な測定システムが提供される。かかる正確な測定システムは、供給される流体を収納し、体積を減少させることが可能な流体投与容器を含んでいる。また、かかるシステムは、流体投与容器に収納された流体の体積の変化に応じて自由に移動することができる可動部を含む。流体の正味体積は、流体投与容器と可動部により定義され、流体投与容器内の前記正味流体体積は、流体投与容器に対して可動部が移動すると変化する。可動部と選択的に接触するため測定駆動部が設けられる。開始点は、測定駆動部が再びゼロにされる(re-zeroed)点を備えている。かかる開始点は、そこで測定駆動部が、流体投与容器の可動部と係合する点、負荷がかかり始めた点、流体の供給が開始された点等を含んでいる。前記測定駆動部は、前記開始点から既知の量駆動され、これにより、可動部を移動させて流体投与容器の減少可能な体積を減少させ、流体投与容器から特定の量の流体が供給される。
【0012】
本発明の他の実施形態によると、示差熱膨張/収縮の影響を緩和する注射器ベースの測定システムが提供される。かかる注射器ベースの測定システムは、流体を収納するための内部容量を定義する注射器を含んでいる。かかる注射器は、前記注射器の前端において排出開口を備えている。ピストン型のプランジャは、注射器の後端における開口を通じて注射器内にスライド可能に設けられている。正味流体体積は、注射器内のプランジャの位置により定義される。当該正味流体体積は、注射器内のプランジャの移動とともに変化する。測定駆動部は、前記プランジャに選択的に係合し、外れ、当該測定駆動部は、注射器の前記後端における開口を通じてプランジャと係合するとともに、注射器から流体を放出するため前進する。当該測定駆動部は、注射器ベースの測定システムが使用されていない場合、プランジャを後退させることによりプランジャから外れる。前記プランジャは、注射器と注射器に収納された流体間の示差熱膨張および/または示差熱収縮を緩和するため、注射器内を軸方向にスライドすることが可能である。
【0013】
本発明の他の実施形態によると、流体の正確な計測を確保するため、測定システムにおける示差熱膨張の影響を緩和する方法が提供される。かかる方法は、容量を減少させることが可能な流体投与容器内に、投与される流体を収納するステップを含んでいる。流体を供給することにより前記減少可能な容量を減少させるため、前記流体投与容器内をスライド可能な可動部を設けるステップを含んでいる。また、動作モードにおいて、流体投与容器の前記減少可能な容量を減少させる原因となる可動部を移動させるため、可動部と選択的に係合可能な測定駆動部を設けるステップも含んでいる。さらに、可動部と測定駆動部間に間隔を設けるため、非動作モードにおいて測定駆動部が可動部から後退可能とすることにより、示差熱膨張の影響を緩和するステップも含んでいる。
【0014】
本発明の他の実施形態によると、かかるシステムならびに方法は、温度上昇および/または下降の結果生じる前記流体投与容器に収納された前記流体の体積の膨張および/または収縮に応じて、前記可動部が前後に移動可能とすることにより、前記流体投与容器と当該流体投与容器に収納された前記流体間の示差熱膨張および/または収縮の影響を緩和するステップを含んでいる。
【0015】
本発明の他の側面によると、かかるシステムならびに方法は、温度変化(通常は下降)の結果生じる前記流体投与容器に収納された前記流体の体積の収縮に応じて、前記可動部を前方に移動可能とすることにより、前記流体投与容器と当該流体投与容器内に収容された前記流体間の示差熱収縮の影響を緩和するステップを含んでいる。
【0016】
本発明の他の側面によると、かかるシステムならびに方法は、温度変化(通常は上昇)の結果生じる前記流体投与容器に収納された前記流体の体積膨張に応じて、前記可動部を後方に移動可能とすることにより、前記流体投与容器と当該流体投与容器内に収容された前記流体間の示差熱膨張の影響を緩和するステップを含んでいる。
【0017】
本発明の他の側面によると、かかるシステムならびに方法は、前記測定駆動部を用いて前記可動部を探索するステップならびに前記測定駆動部と前記駆動部との係合を検知するステップを含んでいる。前記測定駆動部と前記可動部が係合した場合に、前記流体を測定するための開始点を指定し、前記開始点から流体の投与量を測定するステップを含んでいる。
【0018】
本発明の他の側面によると、かかるシステムならびに方法は、前記開始点を指定する前に、前記ノズルのデッドボリュームに流体を充填するステップを含んでいる。
【0019】
本発明の他の側面によると、かかるシステムならびに方法は、前記測定駆動部の運動を検知するステップならびに前記流体投与容器から設定値の流体を投与するため、前記測定駆動部の前記運動を流体の前記設定値に関連づけるステップを含んでいる。
【0020】
本発明の他の側面によると、かかるシステムならびに方法は、エンコーダーディスクを前記測定駆動部を駆動する歯車列と係合させるステップならびに前記エンコーダーディスクにおける一以上のウインドウの数を数えるステップを含んでいる。一以上の各ウインドウが流体の設定値を表す。
【0021】
本発明の他の側面によると、かかるシステムならびに方法は、前記可動部と前記流体投与容器間との間に摩擦を生じさせる締まり嵌めを、当該可動部と当該流体投与容器間に設けるステップを含んでいる。ある実施形態において、かかるシステムならびに方法は、前記測定システムが、温度上昇に応じて、前記流体投与容器内で前記可動部を後方に移動させるのに必要とされる示差熱膨張スライド力であって、前記可動部と前記流体投与容器間の前記摩擦力を上回るものを有するよう指定するステップを含んでいる。前記示差熱膨張スライド力は、前記可動部と前記流体投与容器間の前記摩擦力を上回ることが好ましい。前記示差熱膨張スライド力は、前記バルブの破壊圧を下回ることがより好ましい。本発明の他の側面によると、かかるシステムならびに方法は、前記測定システムが、温度下降に応じて、前記流体投与容器内で前記可動部を前方に移動させるのに必要とされる示差熱収縮スライド力を指定するステップを含んでもよい。前記示差熱収縮スライド力は、前記可動部と前記流体投与容器間の摩擦力を上回ることが好ましい。
【0022】
本発明の他の側面によると、かかるシステムならびに方法は、前記測定システムの動作中、当該測定システムが、前記流体投与容器内で前記可動部をスライドさせるのに必要とされる動作スライド力を指定するステップを含んでいる。当該動作スライド力は、前記可動部と前記流体投与容器間の前記摩擦力を上回る。
【0023】
本発明の他の側面によると、かかるシステムならびに方法は、前記可動部と前記流体投与容器間に締まり嵌めを設けるステップならびに前記締まり嵌めを用いて、前記流体を前記流体投与容器内に密封するステップを含んでいる。当該方法は、さらに、前記可動部と前記流体投与容器間の接合部を密封するステップを含んでもよい。
【0024】
本発明のさらなる特徴ならびに効果は、添付した図面を参照しつつ、以下の具体的な実施形態の詳細な説明により明らかになる。
【例示的な実施形態の詳細な説明】
【0025】
本発明は、添付された図面と関連づけて読むと、以下の詳細な説明から最もよく理解される。以下の図面は、本発明の様々な具体的な実施形態ならびに様々な特徴を示している。
【0026】
本発明は、測定後の流体を、効率的で正確かつ高再現性で供給する装置、システム、ならびに、方法に関する。かかる測定システムは、流体投与容器と当該流体投与容器に収納された前記流体間の示差熱膨張および/または収縮を考慮したものであることが好ましい。また、当該測定システムは、流体投与容器排出口と下流のいずれかのバルブおよび/またはノズル間に存する、いずれのデッドボリュームに対する自身による呼び水(self-priming)を提供することが好ましい。ここで用いられる流体は、たとえば、液体、溶液、散液、懸濁液、ゲル、ペーストならびに他の流体等の流動性を有するいずれの材料を言う。
【0027】
具体的な実施形態の以下の説明は、注射器ベースの測定システムを有する、例示的な肺薬剤投与装置に注目しているが、本発明は、かかる装置、システム、ならびに、方法に限定されない。示差熱膨張および/または収縮を緩和する本発明は、制御され測定された量の流体であって、示差熱膨張および/または収縮が存するものを提供する、どのような測定システムおよび/または投与システムにも適用可能であると考えられる。たとえば、本発明は、ディスペンサーのような他の注射器ベースの測定システム、薬剤、医薬品、化粧品、水類(hydraulics)、オイル、燃料、石油製品、病原体、食品、洗浄剤、肥料、殺虫剤等のさまざまな対象物を搬送する測定システムにも適用可能であると考えられる。
【0028】
本発明は、流体と流体投与容器間の示差熱膨張/収縮の影響の下においても、正味体積ならびにその中に流体が収納されている流体投与容器のプランジャ位置を自動的に調整することを可能にする。また、本発明は、調節されたプランジャの位置を検知するために測定駆動システムを駆動させることを可能にするとともに、流体投与容器から正確な体積の流体の供給を実行するため、測定駆動システム自身が再度ゼロとなるよう駆動させることを可能にする。かかる測定システムは、測定駆動システムの移動、ならびに、これによる流体投与容器からの流体の投与を正確/高精度で行うための流体投与容器内のプランジャの移動、を制御する手段を含んでいる。
【0029】
流体投与容器に収納されている流体のいずれの熱膨張および/または収縮を考慮に入れ、正確な測定システムにより検出された当該熱膨張および/または収縮に対応する量に基づいて、投与される投与量(すなわち、測定駆動部の移動距離)を調節することにより、測定システムの精度をさらに高めるようにしてもよい。たとえば、究極の精度が要求される測定システムにおいては、流体の温度変化の結果生じる熱膨張および/または収縮が測定/検出され、熱膨張/収縮の測定/検出量に基づいて、供給される流体の量を調節してもよい。かかる究極の測定システムにおいては、測定駆動システムならびに測定駆動部の動作を決定し、調節するために、流体投与容器に収納される流体の特性/性質を測定/検出された流体の熱膨張/収縮条件とともに用いてもよく、これにより、流体投与容器からの流体の提供について高い精度を確保する。究極の精度を有する実施形態は、たとえば、毒性の流体、効き目の強い薬剤、高価な流体等を提供する測定システムに用いてもよい。
【0030】
たとえば、正確な測定システムの一実施形態においては、流体投与容器内のプランジャの位置を決定し、測定駆動システムを動作させ、たとえば、エンコーダホイールを完全に2回転させることにより、測定駆動部を用いてプランジャを進めるようにしてもよい。究極の計測システムのある実施形態においては、たとえば、プランジャの位置に加えて熱膨張/収縮の量を決定し、それに基づいて流体の測定を調節するようにしてもよい。かかる実施形態において、温度が上昇したために流体が10%膨張し、その熱膨張が測定駆動部の特定の移動に関連する場合、究極の計測システムは、当該熱膨張によって生じる移動距離を考慮して、測定駆動部が一定距離前進するよう供給を調節するようにしてもよい。
【0031】
示差熱膨張/収縮の影響を緩和するため、測定システムは、1回の服用量を投与するシステムおよび/または複数回の服用量を投与するシステムに適用可能である。複数回の服用量を投与するシステムを用いる場合、かかる測定システムは、装置が用いられていない場合(いちばん最初の使用前ならびに各使用後)に後退し、プランジャと接触しない(すなわち、係合しない)ことが好ましい。プランジャの位置は、温度変化を原因とする示差熱膨張/収縮の結果、使用していない間に移動してもよい。示差熱膨張/収縮の影響を緩和する測定システムは、服用量が管理される前に、測定駆動システムがプランジャの正確な位置を探査し、見つけ出すことを可能とする。この特徴によって、より効率的で正確かつ再現性の高い、体積測定後の流体を供給することを確保することが可能となる。
【0032】
同様に、1回の服用量を投与するシステムの場合も、装置が用いられていない場合(輸送ならびに保管中)に後退し、プランジャと接触しないことが好ましい。たとえば、示差熱膨張/収縮の結果、プランジャの位置が輸送/保管中に移動しているので、測定駆動システムは、使用前にプランジャを正確な位置に位置させる。流体圧を高めて気体を放出させ、あるいは、流体圧を低くして気化させるので、使用前にプランジャを引っ込めることにより漏れが防止される。繰り返しになるが、始動時にプランジャを正確な位置に位置させることにより、より効率的で正確かつ再現性の高い、体積測定を確保することができる。
【0033】
また、かかる測定システムは、使用前に呼び水を必要とするデッドボリュームを有する供給システムの悪影響を緩和することが好ましい。たとえば、流体投与容器の排出口の下流に位置するバルブおよび/またはノズルを有する供給システムにおいては、流体投与容器の排出口といずれかの下流バルブ(複数)および/またはノズル(複数)間の空間または流体通路にデッドボリュームが存在する。高性能の測定駆動システムを有する測定システムは、流体投与容器からバルブおよび/またはノズルまでの流体の供給について微細な制御を提供することができ、これにより、バルブの破壊圧を超える前にデッドボリュームに注入することによって装置自体で呼び水を入れ、測定された服用量の投与が開始される。
【0034】
図1、図2Aならびに図2Bは、収納する流体6の体積を定義する流体投与容器5を有する注射器ベースの測定システム1を示している。ここで用いられる流体投与容器は、たとえば、薬瓶、コンテナ、注射器、小袋(pouch)等、ある量の流体を収納するどのような収納容器を意味している。かかる流体投与容器5は、容量に再現性があることが好ましい。かかる流体投与容器は、流体投与容器5に収納された流体6を、当該流体投与容器5から放出することを可能にする排出開口7を含んでいる。図示したように、かかる排出開口7は、流体投与容器5の先端8に位置してもよい。
【0035】
前記流体投与容器5は、当該流体投与容器5の容量を減少することを可能にするメカニズムも含んでいる。図1、図2Aならびに図2Bに示すように、前記流体投与容器5は、後端10に開口9を含んでもよい。前記流体投与容器5の側壁12に対してプランジャ11がスライド可能となるよう、前記流体投与容器5内にプランジャ11がスライド可能に設けられている。ここで用いられるプランジャは、前記流体投与容器の容量を減少させるために用いられる流体投与容器の可動部であって、たとえば、プランジャ、ピストン型プランジャ、折りたたみ式側壁(collapsible sidewall(s))を言う。プランジャ11が前進すると、流体6を収納するための流体投与容器5の容量が減少する。図示された実施形態において、流体投与容器5の側壁12は硬く、当該側壁12内でプランジャ11がスライドしても動かない。また、流体投与容器5の側壁12は、硬いことが好ましい。流体投与容器5ならびにプランジャ11は、対応する形状を有しており、好ましい実施形態において、当該流体投与容器5ならびにプランジャ11は、ほぼ円筒形状である。
【0036】
図1、図2A、図2B、図5ならびに図6に示すように、測定システム1は、測定駆動システム46を含むようにしてもよい。ここで用いられている高性能および/または高い知能を持つ測定駆動システム46は、流体投与容器5から流体の供給を開始する前に、流体投与容器5の可動部11の位置を決定することが可能なシステムである。また、かかる高性能および/または高い知能を持つ測定駆動システム46は、装置が使用されていない場合、測定駆動部14が可動部11から外れることを許容することが好ましく、これにより、温度変化に応じて、可動部11が、流体投与容器5内を自在にスライドすることが許容される。ここで用いられる測定駆動部は、たとえば、主ネジ、ステム、レバー、ローラーまたは複数のローラー、ラック等の、流体投与容器5の可動部11を係合させ移動させるどのようなメカニズムでもよい。測定駆動システム46は、測定駆動部14の制御された動作を生じさせるために設けられ、これにより、流体投与容器5内のプランジャ11が、当該流体投与容器5に収納された流体6の供給を正確に行うことができる。
【0037】
図1は、測定駆動部14ならびにプランジャ11の一実施形態を示している。図1に示すように、測定駆動部14は、プランジャ11と選択的に係合し/外れる、ほぼ平らな端(すなわち、遠端)を含んでもよい。図1に示す測定駆動部14は、プランジャ11から外れている。
【0038】
図2Aならびに図2Bは、他の例示的な測定駆動部14およびプランジャ11、ならびに、測定駆動部14およびプランジャ11間の接合部を示している。図2Aならびに図2Bに示すように、プランジャ11は、測定駆動部14の対応する円形(凸面)部あるいは凸部14aを受ける円形(凹面)部あるいは凹部11aを含んでもよい。図2Aは、測定駆動部14がプランジャ11から外れた(すなわち、後退した)状態を示し、図2Bは、測定駆動部14がプランジャ11に係合(すなわち、接触)した状態を示している。
【0039】
プランジャ11と流体投与容器5の側壁12との間に、シール15を設けるようにしてもよい。かかるシール15は、流体投与容器5に収納された流体6が、プランジャ11と流体投与容器5の側壁12の間から流出するのをほぼ阻止する。流体投与容器5内のプランジャ11の締まり嵌めにより、必要なシールが提供される。これに代えて、ガスケットあるいはOリング型のシール等の別のシールを設けるようにしてもよい。たとえば、図1ならびに2Aに示すように、流体投与容器5とプランジャ11との間に複数のシール点15a、15bを設けるようにしてもよい。プランジャ11と流体投与容器5の内部との間の接合部を密封するよう密封することが好ましい。
【0040】
図1、図2Aならびに図2Bに示された実施形態において、測定駆動部14は、流体投与容器5が存する前方にプランジャ11をスライドさせるため、プランジャ11の背面と選択的に接触することができる主ネジを備えている。たとえば、高性能の測定駆動システム46が動作すると、測定駆動部14が前方に移動し、プランジャ11を探索する。測定駆動部14がプランジャ11に接触すると、それがプランジャ11に係合し始める。測定駆動部14とプランジャ11が係合すると、測定駆動部14は、プランジャ11を流体投与容器5側に押すための動作スライド力を提供する。測定駆動部14とプランジャ11の係合が検知されると、高性能の測定駆動システム46は、体積あるいは投与される服用量の測定を開始する。高性能の測定駆動システム46によるプランジャの制御された前方への動きは、流体6を収容するために流体投与容器5内で利用可能な体積(すなわち、正味流体体積)を減少させ、これにより、排出開口7を介して流体投与容器5内に収納された流体6の特定の量を投与させる。高性能の測定駆動システム46は、適切な電子機器およびソフトウエアにより制御してもよい。
【0041】
図示された例示的な実施形態において、前記測定システム1が肺薬剤投与装置70に組み込まれている場合、ノズル16を流体投与容器5の排出開口7と連通するよう設けてもよい(例えば、図1、図2A、図2B、図3ならびに図10参照)。また、流体投与容器5の排出開口7と、ノズル16が連通するよう流路17を設けるようにしてもよい。かかるノズル16は、測定システム1が機能する特定の用途に応じて、正しい形式による流体6の提供を促進する。例えば、肺薬剤投与装置70(図10参照)用には、ユーザーによって吸入される霧状物の放出を生成するようノズル16を設計してもよい。図示されるように、かかるノズル16は、霧状物の放出のため、環状に設けられた複数のスプレーサイト18を含んでもよい。本発明の示差熱膨張を考慮する測定システムに用いられる適切なノズルのさらなる詳細は、共に譲渡された出願であって、”電界シールドを有する分離放出タイプの電気流体力学式噴霧器(DISSOCIATED DISCHARGE EHD SPRAYER WITH ELECTRIC FIELD SHIELD)”という名称で2006年2月14日に出願済みの、出願人側整理番号VNTA−004、米国仮特許出願60/773、239であって、その全体が参照のためここに取り込まれるもの、に開示されている。
【0042】
図3は、ノズル16の領域における例示的な測定システムの詳細な図を示している。図示したように、正確な測定システム1は、どのようなノズルのデッドボリューム16aであっても、投与前にも少なくとも一部を充填することを可能にし、これにより、より正確な測定を確保することを補助する。かかる呼び水導入機能は、特に最初の動作と2回目の動作との間の投与内容物の均一性を向上させ、投与量の変動を減少させることに資する。測定駆動部によって、プランジャがイベントならびに自身の係合を探査することにより、少なくとも一部が充填されたノズルによる連続的な投与動作および/またはバルブのデッドボリューム16aとの間の動作による体積の変動を減少させることができる。バルブあるいはノズルの破壊圧まで測定駆動部がプランジャと係合することが検知されると、かかるデッドボリュームは流体によって充填することができる。破壊が検出された後で、所望の量の流体を測定してもよい。この機能により、同じ装置で1回の服用量ならびに2回(複数回)の服用量を処方することを可能としている。
【0043】
図1に示すように、流体投与容器5の排出開口7とノズル16との間にバルブ20を配置するようにしてもよい。かかるバルブ16は、流体投与容器5からの流体6の投与の制御を補助する一方通行の装置であることが好ましい。当該バルブ16は、熱による体積膨張の間、薬剤の浸出を防止するため、十分な破壊圧を有している。ある適切なバルブ装置は、プラグ型バルブを含んでいる。バルブ20は、複数のならびに繰り返しの投与周期を許容するよう設計され、構築されることが好ましい。例示的なプラグ型の一方通行のバルブ20においては、例えば、プラグ(図示せず)は、投与周期の終わりにプラグを閉位置にリセットするリセット機構(図示せず)を有して設けられる。かかるリセット機構は、重力(gravity)、網(tether)、バルブの一部の変更等の従来のいずれの手段を含んでいてもよい。
【0044】
バルブ20は、ごみ、埃、空気、細菌、その他等の異物が、流体投与容器に侵入するのを防止するよう設計してもよい。例えば、バルブは、流体投与容器内に異物が侵入することを防止するため、弾性シース型のバルブ、フラッパバルブ(flapper valve)、スリットバルブ、くちばし状バルブ(duck bill valve)等を含んでもよい。かかるバルブ20は、上述のパッシブ型バルブ、あるいは、アクテイブ型バルブを含んでもよい。アクテイブ型バルブを有する実施形態においては、例えば、測定駆動部14とプランジャ11の係合を検知すると、いずれのデッドボリュームを充填し、測定システム1に呼び水を導くため、前記バルブ20を開放してもよい。
【0045】
図1に示すように、流体投与容器5と流体投与容器5に収納されている流体6間の示差熱膨張/収縮は、流体投与容器5に対してプランジャ11をスライドさせる。温度の低下は、通常、それによりプランジャ11が測定駆動部14から離れる(図1の矢印22で示される)流体の収縮を生じさせる。この流体の体積収縮は、プランジャ11を引っ込める。かかるプランジャ11がこの流体の体積収縮に応じて自由に動けない場合に、プランジャ11を内側に引っ張ると、空気を排出し、あるいは、流体投与容器5内の流体が気相化するのに十分に低い流体投与容器圧力を生じさせる。これら後者の条件のいずれかは、流体投与容器5内に気泡を作り出すとともに、測定精度に悪影響をもたらすコンプライアンスを作り出す。本発明は、流体体積の収縮に応じて自由に移動するプランジャ11を設けることにより、この問題を解決する。流体投与容器5内の流体体積が収縮すると、流体体積の収縮によってプランジャ11は内側に引っ張られ、これにより、ほぼ硬質の流体投与容器と前記流体投与容器5に収納される流体6間の示差熱収縮の影響が緩和される。
【0046】
これとは逆に、温度の上昇は、通常、それによりプランジャ11を測定駆動部14方向に押す(図1の矢印23で示される)流体の膨張を生じさせる。かかるプランジャがこの流体の体積膨張に応じて自由に動けない場合、膨張した流体の体積は、流体6を流体投与容器5から供給(排出)する。本発明は、流体体積の膨張に応じて自由に移動するプランジャ11を設けることにより、この問題を解決する。流体投与容器5内の流体体積が膨張すると、流体体積の膨張によってプランジャ11は後方に押され、これにより、ほぼ硬質の流体投与容器と前記流体投与容器5に収納される流体6間の示差熱膨張の影響が緩和される。
【0047】
一例として、前記流体投与容器5に収納されている流体6がエタノールを含む場合、エタノールは、硬質ポリマー製の流体投与容器の膨張率である、約0から45℃の所望の装置記憶範囲を超える、ある比率で膨張する。例示的なエタノールベースの流体投与容器において、示差体積は、45℃の温度変化により約5%増加あるいは減少する。
【0048】
通常の一定体積測定システムに伴う、温度上昇による漏れ、あるいは、温度低下による放出、気相化を減少および/または防止するため、本発明は、実質的に一定の圧力を加え、温度変化によって流体が膨張および/または収縮すると体積が変化することを許容することにより、示差熱膨張/収縮の悪影響を緩和する。体積変化を可能とするため、流体投与容器5は、当該流体投与容器5内の流体6が膨張および/または縮小すると移動する可動部11を含んでいる。図示された実施形態において、流体投与容器内の可動部は、ピストン型のプランジャ11を含む。
【0049】
流体投与容器内の流体の膨張に応じてかかるピストン型のプランジャ11を後方にスライドさせるため、測定駆動システム46は、ピストンプランジャ11から離れるよう測定駆動部14を移動させ、これにより、プランジャ11が高温域を超えて後方に移動する。図示された実施形態において、測定駆動システムは、ピストンプランジャ11を後退させることが可能な測定駆動部14を含んでいる(図2A参照)。
【0050】
図2Aならびに図2Bは、示差熱膨張/収縮を緩和する、他の例示的な測定システム1を示している。図2Aに示すように、測定駆動部14は、プランジャ11から後退する。この非係合位置において、測定駆動部14とプランジャ11間に間隔25が存在する。かかる間隔25は、流体6が熱膨張する間、測定駆動部14と接触することなくプランジャ11が後方にスライドすることを可能にする。前記間隔25は、流体投与容器に収納された流体、測定システムの部品の素材、投与装置の予想される動作環境等に基づいて、全ての可能な膨張距離を考慮したサイズであることが好ましい。
【0051】
図2Bは、係合位置にある測定駆動部14を示している。係合位置において、測定駆動部14はプランジャ11と接触する。測定駆動部14の端部は、プランジャ11の後端上のあわせ面11に対応する形状を含むことが好ましい。図2Aならびに図2Bに示すように、測定駆動部14の端部は、円形のあわせ面14Aを含んでおり、プランジャ11の後端は、凹状のあわせ面11aを含んでいる。
【0052】
ある実施形態において、プランジャ11と測定駆動部14間のあわせ面11a、14aは、これら2つの部品間の係合の検知をさらに促進するよう設計されている。例えば、あわせ面11a、14aは、係合プロセス中に、前記2のあわせ面の間の抵抗を増加させる面(例えば、粗い表面)を備えてもよい。測定駆動部を駆動するのに必要とされるパワーが増加するので、かかるあわせ面は、前記2の面の間の抵抗を増加させ、モーター/測定駆動部の電流/トルクを増加させることになる。
【0053】
測定駆動部14とプランジャ11との係合を判断するため、検知メカニズム30が設けられる。測定駆動部14のプランジャ11に対する係合は、設定値として測定される正確および/または高精度な服用量を投与するため、増加する測定駆動部14の運動の開始点として測定駆動システムにより用いられる。正確な測定システム1は、一以上の流体の膨張/収縮、デッドスペース、バルブ20および/またはノズル16におけるコンプライアンス等を考慮可能であることが好ましい。このように、前記開始点は、抵抗あるいはコンプライアンスの除去(すなわち、読み水の導入)を介し、接触から流体の投与までのいずれの点であってもよい。
【0054】
かかる検知メカニズム30は、例えば、測定システム駆動モーター31に課せられた負荷を検知し、いつ測定駆動部14に負荷が課せられたか、負荷が課せられなくなったかについて判断する電子回路を含めるようにしてもよい。負荷が課せられていない状態から負荷が課せられた状態へと、いつ電流が増加したのかを判断するため、例えば、図4に示すように、モーター31から取り出される電流を監視してもよい。また、モーター31上の負荷の変化率(差)に基づいて開始点を決定してもよい。ある実施形態において、開始点は、図4に示すように、電流曲線が頂上で横ばいになる(すなわち、モーターに負荷が課せられている)点である。前記検知メカニズムは、例えば、測定駆動部がプランジャと接触している場合に電子回路を検知するスイッチ型センサー、測定駆動部がプランジャと接触している場合に光源からの投光および/または遮光を検知する光センサー、例えば、モーターの音声信号(すなわち、モーターはトルクが変化するとピッチが変化する)を検知する音感センサー、等の他のタイプのセンサーを含んでもよい。また別の実施形態において、かかる検知メカニズムは、トルク検知メカニズムを含めるようにしてもよい。
【0055】
流体投与容器から流体を投与する前にプランジャの位置を検知する高性能の測定駆動システム46は、測定システムの性能を向上させ、他の効果も提供する。例えば、測定駆動部を用いてプランジャの位置を検知することは、投与装置の製造中の最終組み立て工程における、測定駆動部の配置に対する解決策を提供することになる。測定駆動部をかなり正確に配置し、あるいは、ユーザーが使用前に測定システムに呼び水の導入をしておかなければならない。高性能の測定駆動システムは、流体の投与前にプランジャの位置を位置付けることができるので、本発明は、最終組み立て工程において、測定駆動部を特定の場所に配置することを要しないことでこの問題を解決する。
他の実施形態において、開始点は、流体の投与が開始された時点であって、そこから投与がカウント(測定)された点であってもよい。正確な投与量を測定するため、計数メカニズム40を用いてもよい。図示された実施形態において、回転エンコーダーディスク50(図5および図7示され、以下に詳しい説明が記載される)は、測定駆動部14の運動をカウントし、これにより、投与される流体6の量をカウントするために用いられる。
【0056】
例示的な測定兼検知回路図および論理フロー図を、図11ならびに図12に示す。ある実施形態において、測定システム1は、流体の位置に対するポンプの位置を検知/判断するため、いくつかの異なる方法を用いることが可能である。ある例示的な方法は、ポンプ(測定駆動部)が移動した距離を測定するために光センサーを用いる。他の検知手段は、モーターを回転させるのに必要な電流を計測してもよい。この電流値は、ポンプの抵抗に比例し、プランジャに係合する測定駆動部を表す。
【0057】
図示したように、測定システムならびに方法は、抵抗が全くない状態から流体を排出するまで移動するポンプ電流の履歴を作成するステップを含んでもよい。これらの履歴は、その後、それがどのようにポンプ位置と対応するかを判断するため分析される。図4は、例示的な履歴を示している。
【0058】
測定システムならびに方法は、次に、ポンプと流体がどこで関連するのかを判断するため、作成された測定システムの履歴を用いてもよい。図12は、ある例示的な測定システムの設計の分析に基づくこの方法を示している。エンコーダーの論理回路は、エンコーダーのホイールにギャップまたはウインドウにセンサーの光が当たると、デジタルパルスを作り出すフォトインタラプタを含んでもよい。マイクロコントローラーは、カウント数があらかじめ設定された数に達するまで、デジタルパルスの数をカウントする。このカウント数が、目標とする服用量を表す。
【0059】
測定システムならびにサポートシステムを制御し、動作させるため、検知メカニズム、計数メカニズム、モーター、歯車列(gear train)、測定駆動部等の適切なコントローラーまたはマイクロコントローラー80ならびに関連する電子回路81を用いてもよい(図11参照)。示差熱膨張/収縮、および/または、バルブ/ノズルのデッドボリュームの観点からも、効率的で正確かつ再現性の高い、体積測定後の流体を投与することを確保するために適切なソフトウエアならびに論理アルゴリズムも含まれている(図12参照)。
【0060】
図5ならびに図6は、示差熱膨張/収縮を緩和する測定システム1に用いることができる、例示的な測定駆動システム46を示している。このことは、測定システムが使用されていない場合、測定駆動部をプランジャから後退させる手段を設け、温度変化による流体の体積の変化に応じてプランジャが流体投与容器内を自由に移動することを許容する手段を設け、および/または、流体の投与前にプランジャを位置付ける手段を設ける、ことにより達成される。これらの特徴のそれぞれを達成するため、さまざまな手段/メカニズムを設けることが可能である。以下で、いくつかの例示的な手段/メカニズムについて説明する。
【0061】
図5ならびに図6に示すように、動力兼駆動システムは、モーター31、歯車列47、および測定駆動部14を含んでもよい。かかる動力兼駆動システムは、動力源45(図10)を含むようにしてもよい。かかる動力源45は、例えば、バッテリーを含んでもよい。モーター31は、動力源45と電気的に接続してもよい。かかるモーター31は、歯車列47を備えた一以上の歯車47a、47bを介して測定駆動部14に接続された出力シャフトを含んでいる。図示された実施形態において、歯車列47は、モーター31の回転運動に連結され、それを測定駆動部14の軸方向移動または線状(リニア)移動にする。かかる歯車列47は、測定駆動部14の速度に対するモーター31の速度を早め、および/または、遅くするよう設定してもよい。
【0062】
前記測定駆動部は、測定システムの部品間の示差熱膨張を許容するため、プランジャを後退させることが可能であることが好ましい。ある実施形態において、モーター31は可逆モーターであり、前記測定駆動部14と前記プランジャ11間に間隔25が存在するように、プランジャ11から測定駆動部を後退させる(図2参照)。これに代え、プランジャから測定駆動部を後退させる、適切な反転装置等の手段を設けるようにしてもよい。
【0063】
さらに、測定システムのより効率的な動作を提供するため、測定駆動部の速度が可変であることが好ましい。ある実施形態においては、複数あるいは可変速のモーター31を用いることにより、測定駆動部の速度が変更される。例えば、モーター31は、測定駆動部14がプランジャを探索し、測定駆動部14がプランジャと係合するまでの間、第一速、すなわち比較的高速で動作し、次に、モーター31が、制御された流体6の投与速度である比較的低速の第二速で動作可能な二速モーターを含んでもよい。このように、複数または可変モーターを有する装置は、より急速にプランジャを係合させるため高速を用いるようにしてもよい。
【0064】
図6は、動力兼駆動システムの背面を示している。図6に示すように、歯車列47は、ギアボックスハウジング48により保護されている。モーター31を動力源(図5または6に図示せず)に電気接続するとともに、モーター31に電力を提供するため、電気接点57が設けられている。動力兼駆動システムをハウジング(図示せず)に取り付けるため、取り付け機構58を設けるようにしてもよい。
【0065】
図5および図7は、投与量を制御するのに使用可能な、例示的なエンコーダーディスク50を示している。図5に示すように、エンコーダーディスク50は、測定駆動部14の移動距離に関連する当該エンコーダーディスク50の回転を測定するために使用可能な、ウインドウあるいは複数のウインドウ51を含むようにしてもよい。測定駆動部14の移動距離は、投与される流体6の量(すなわち、体積)を判断するために用いることができる。
【0066】
図7に示す好ましい実施形態において、エンコーダーディスク50は、複数のウインドウ51(開口、穴、スロット等)を備えている。図示したように、ウインドウ51は、エンコーダーディスク50の周囲52に配置される。シャフト53は、エンコーダーディスク50をエンコーダーディスクギア54に接続する。かかるエンコーダーディスクギア54は、測定駆動部14のための歯車列47と係合する(図5参照)。測定駆動部の歯車列47が回転すると、エンコーダーディスクの歯車列57も回転する。センサーの中を通り、または、通過するようウインドウ51が回転するような場合には、当該ウインドウ51を検出するため光学センサー等のセンサー(図示せず)を用いてもよい。例えば、かかるセンサーは、発光ダイオードと読み取り器等の光学センサーを含んでもよい。
【0067】
複数のウインドウ51を有するエンコーダーディスク50を備える効果は、より正確な投与が可能になることである。一般に、エンコーダーディスク50上のウインドウ51の数が多ければ多いほど、測定システムの潜在的な精度は高くなる。動作において、測定駆動部14は、プランジャに接触するまで前進する。これを、流体投与容器5から測定済みの量だけ流体6を投与する際の開始点として用いてもよい。プランジャに対する測定駆動部14の接触が検知されると、測定システム1は、例えば、エンコーダーディスク50が回転することにより基準点を通過するウインドウ51の数をカウントする等の、いくつかの方法で投与量を測定することができる。また、究極の精度が要求される測定システムにおいて、エンコーダーディスク50は、温度変化による流体体積の変化を考慮するため用いることができる程度十分に正確であればよい。このことから、(体積に対する)正確な服用量が投与される。また、このことは、正確な測定システム1が、正確な量だけでなく、より正確な投与量を投与することを可能にする。さらに、複数の長穴が設けられたエンコーダー50は、ソフトウエアを介し、投与量ならびに流量の変化を許容するようにしてもよい。これにより、前記装置は、他の可能性のある流体/化合物に用いることもできる。
【0068】
服用量を制御するための一つの方法は、エンコーダーディスク50が回転することによりセンサーを通過するウインドウ51の数をカウントすることである。他の方法は、エンコーダーディスク50を、例えば、一回完全に回転等の既知の量だけ回転させることである。測定駆動部14がプランジャ11に接触するまでプランジャ11の位置が判らないので、複数のウインドウ51を有するエンコーダーディスク50を用いると、起動時にウインドウの一つが確実に検知領域内に存する。一般に、ウインドウ51の数が多ければ多いほど、当該ウインドウがプランジャ係合における検知領域内に存在する確率が高くなり、より正確な測定がなされる。図7に示す例示的なエンコーダーディスク50において、当該エンコーダーディスク50は、各ウインドウが流体の既知の量を表すウインドウを20個含んでいる。
【0069】
図8は、例示的な測定駆動部14と例示的なピストンプランジャ11との間の係合の詳細を示している。測定駆動部14は、プランジャ11と接触し係合する当該測定駆動部14の検知を促進する片形状(tip-geometry)を含むことが好ましい。また、図8に示すように、測定駆動部14のあわせ面14aは、プランジャ11のあわせ面11aに対応する形状を有することが好ましい。図示したように、測定駆動部14は、円錐部14bならびに先細の肩部14c(すなわち、円錐部分)を含んでいる。接触接合部あるいはプランジャのあわせ面11aは、測定駆動部14の先細肩部14cの肩部分と接触する円錐部14bおよび先細表面11cを受け入れるための開口あるいは凹部11bを含む。測定駆動部14とプランジャ11間のあわせ面11a、14aの形状ならびにデザインは、良好な接触を確保するための案内機能(piloting function)も提供し、その間で摩擦による接触を形成することが好ましい。あわせ面のこのデザインならびに構造は、プランジャの検知を最適化するため、モーター電流の変化を増幅することを補助する。
【0070】
正確な測定システム1は、流体投与容器の固定部ならびに可動部により定義される縮小可能な体積内に流体6をシーリングするとともに、流体投与容器5の固定部に対して可動部11が移動(スライド)することを許容するデザインならびに構造を含むことが好ましい。このことから、流体投与容器ならびにプランジャのデザインは、流体投与容器内で液体構造の質を保つために十分なシーリング力を有するとともに、示差熱膨張/収縮に応じて、前記プランジャが、流体投与容器に対し自由に移動することを許容するスライド力を含んでもよい。ある実施形態において、流体投与容器ならびにプランジャのデザインは、例えば、温度に応じた流体投与容器とプランジャ間の直径の接合(diametral interface)に関して考慮すること、使用する可能性のある部品についての様々な素材について考慮することを含んでいる。流体投与容器ならびにプランジャのデザインは、スライド力(動作スライド力、膨張スライド力、収縮スライド力)ならびにシーリング力とともに、当該流体投与容器に収納される流体によって異なる。
【0071】
投与装置を正しく動作させるため、スライドの限界は、温度変化によって生じる示差熱膨張/収縮に応じて、プランジャ11が、流体投与容器5内を前後にスライドすることを許容しなければならない。求められるスライドの限界は、示差熱膨張中、バルブの破壊圧に達する前にプランジャの移動を確保するのに必要な力/圧力、ならびに、示差熱収縮中、環境大気圧によるプランジャの移動を確保するのに必要な力/圧力である。
【0072】
例えば、図示された注射器ベースの測定システムにおいて、示差熱膨張スライド力は、温度変化によって生じる示差熱膨張に応じてプランジャを後方にスライドさせるのに必要とされる力である。かかる示差熱膨張スライド力は、排出バルブの破壊圧を下回ることが好ましい。示差熱収縮スライド力は、温度変化によって生じる示差熱収縮に応じてプランジャを前方にスライドさせるのに必要とされる力である。かかる示差熱収縮スライド力は、利用可能な大気圧により生じる力を下回ることが好ましい。既知の素材ペアの摩擦係数によって増加されたシーリング力は、示差熱膨張スライド力および/または示差熱収縮スライド力を下回ることが好ましい。
【0073】
同様に、投与装置を正しく動作させるために、流体投与容器5内への汚染物質の侵入、および/または、流体投与容器5とプランジャ11間を介して当該流体投与容器5からの流体の排出を防止するよう、流体投与容器とプランジャ間の十分なシーリング力を含むことが好ましい。要求されるシーリングの限界は、流体投与容器内で液体構造の質を保つため、当該流体投与容器とプランジャ間に十分なシールを提供するのに必要とされる力/圧力である。
【0074】
図9は、注射器ベースの測定システム1に用いることができる、例示的なピストンプランジャ11の前面部を示す詳細図である。図9は、動作中に流体投与容器5内に配置が可能な、例示的なピストンプランジャ11を示している。図9に示すように、ある実施形態において、ピストンプランジャ11は、流体投与容器の側壁(図9には示されていない)方向に偏っている前方アーム60ならびに後方アーム61を含んでもよい。円筒状の注射器ならびにプランジャを有する注射器ベースの測定システム1において、アーム60、61は、半径方向外向きに偏っている。見てとれるように、前方ならびに後方アーム60、61の端部60a、61aは、流体投与容器5の側壁で最も多くの干渉を経験し、流体投与容器5の内部に流体を密封することを補助する。
【0075】
性能を最高に保つため、素材ストレスの緩和を介してプランジャ11と流体投与容器5間の干渉を最適化することが可能である。素材ストレスを緩和(クリープ)することにより、製造公差に対する設計上の感度を低下させる。また、組み立て当初、素材は、定常状態でリラックスした状態にあるので、素材ストレスを緩和するということは、部品を高い(すなわち、干渉の多い)側に基づいて制作することができる。
【0076】
図10は、電器流体力学(EHD)エアゾール技術を用いることにより、吸入用の医薬品を製造するための例示的な装置70を示している。電器流体力学(EHD)エアゾール投与に基づく肺装置は、肺に対し、ならびに、それを経由して、効率的で安全かつ確実な薬剤投与を行うことができる。
【0077】
図10に示すように、例示的な吸入装置70は、これらが協働して複数服用または単位服用装置の選択を提供する、格納ユニット71、投与量測定システム72、エアゾール生成ノズル73、動力源74、マイクロプロセッサー75、ならびにカバー76を含んでいる。ミスティックTMテクノロジー(MysticTM technology)(EHD)を用いる、図示されたかかる吸入装置70は、約80パーセントの薬物が、肺に到達する均等な粒子サイズのソフトな(等運動性の)霧状物を投与する。これは、液体推進手段あるいは他の加圧システムを使わないで達成される。
【0078】
ミスティックTMテクノロジー散布により作られた治療用ミストは、例えば、水性液体、非水性液体、ならびに、合成物質の懸濁液および生体化合物を含む、溶液あるいは懸濁液のいずれかで投与可能である。一般のEHD投与装置のスプレーノズル73において、流体は、そこで電荷が流体表面に蓄積される電界(例えば、小型のバッテリーにより生成された)を超えて流れる。流体がノズルに存する場合、表面電荷の反発力が流体の表面張力を超え、粒子がエアゾール状のソフトなミストを形成する。かかるエアゾールの散布粒子サイズは、薬剤の処方、処方流量、動作条件、電界等の複数の条件を調整することにより制御可能である。
【0079】
他の実施形態(図示せず)において、測定システムは、流体を含むための体積を定義する小袋を含んでもよい。かかる小袋は、体積を縮小可能であることが好ましい。前記小袋は、当該小袋に収納されている流体を当該小袋から排出することを可能にする排出開口を含んでいる。また、かかる小袋は、当該小袋の体積を減少させるメカニズムを含んでいる。たとえば、一以上のローラーが回転して小袋を圧迫し、これにより、小袋に収納された流体が排出開口を通じて排出されると、当該小袋の体積を減少することができるよう、前記小袋と係合する一以上のローラーを設けてもよい。前記小袋が前記一以上のローラーに対して移動し、前記一以上のローラーが前記小袋に対して移動するようにしても、および/または、小袋ならびにローラーが互いに対して移動するようにしてもよい。
【0080】
本発明によると、本実施形態における前記測定駆動システムを備える前記一以上のローラーは、測定装置が使用されていない場合、小袋から後退可能である。これにより、小袋と当該小袋に収納された流体間の示差熱膨張を緩和することが可能になる。
【実施例】
【0081】
正確な測定システム1の一実施形態の能力を、エタノール溶液を用いて評価した。図13Aは、例示的な温度循環履歴を示すグラフである。各テスト手順が異なる温度を有する、一連のテスト手順が行われた。例えば、テスト手順1は、25℃の温度を含み;テスト手順2は、5℃の温度を含み;テスト手順3は、25℃の温度を含み;テスト手順4は、40℃の温度を含み;テスト手順5は、15℃の温度を含み;テスト手順6は、30℃の温度を含んでいた。温度が変動すると、流体と投与装置との間に示差熱膨張/収縮が生じた。
【0082】
図13Bは、図13Aに対応する温度循環履歴中の、示差熱膨張/収縮を考慮していない測定システム(すなわち、高性能の測定駆動システムならびに測定駆動部がない測定システム)の投与量の性能を示すグラフである。図13Bで見られるように、テスト手順中、当該測定システムは、一定でない量を供給した。この貧弱な性能は、当該測定システムが示差熱膨張/収縮を考慮していないことによって引き起こされた。例えば、注射器ベースの測定システムにおいて、プランジャは、温度変化中に移動するので、測定駆動システムに対するプランジャの位置は不明であり、このことから正確な測定ができなかった。かかる測定システムは、サンプリング前に、ある温度を平衡化することが可能であった。
【0083】
図14Aは、図13Aと同様の例示的な温度循環履歴を示すグラフである。図14Bは、温度循環履歴中の示差熱膨張/収縮を考慮した測定システム(すなわち、高性能の測定駆動システムならびに測定駆動部を有する測定システム)の投与量の良好な性能を示すグラフである。図14Bに見られるように、測定システムの動作ならびに供給量は、各テスト手順中一定である。この良好な性能の理由は、測定システムが示差熱膨張/収縮を考慮しているからである。例えば、高性能の測定駆動システム46を有する注射器ベースの測定システム1において、ピストントンプランジャ11は、まず、測定駆動システム46により位置づけられ、流体供給のための開始点が設定される。次に、提案された服用量が管理される。示差熱膨張/収縮を考慮するための高性能の測定駆動システム46ならびに測定駆動部14を有する測定システム1は、より効率的で正確かつ再現性の高い測定を提供する。
【0084】
図15は、いくつかの例示的な、流体投与容器の硬質素材の熱膨張率を示すグラフである。流体投与容器5用の素材は、ピストンプランジャ11の素材、流体投与容器5に収納される流体、ならびに、測定システム1の他の部品の一部に基づいて決定することが好ましい。例えば、流体投与容器の素材は、好ましい熱膨張率、ピストンプランジャ素材についてよりよいトライボロジー挙動(better tribological behavior)、バルブのエラストマー(elastomers)について化学的互換性が低いこと等を有することが好ましい。
【0085】
図16Aならびに図16Bは、2つの異なる例示的な流体投与容器用素材の温度、ならびに、異なる流体投与容器の受け容量を有する流体投与容器の温度に応じて、測定駆動システム(すなわち、測定駆動部14)と流体投与容器の可動部(すなわち、プランジャ挿入部11)間で生じるギャップを示すグラフである。両図面に示すように、生じたギャップ、すなわち、測定駆動部14とプランジャ11間の間隔25は、温度が上昇するにつれ通常は小さくなる(例えば、プランジャが後退する)。しかし、流体投与容器がほとんど空の場合、流体投与容器は流体投与容器内の流体の体積と比べて比較的大きな構造なので、流体投与容器内にほとんど残りがない場合には、かかる一般論は通用せず、実際には、流体の体積が低い場合よりも流体投与容器が膨張することに注意すべきである(図17Bの投与回数0を参照)。また、流体投与容器5内の流体6の体積が増加するにつれて、生じたギャップ25も広がる。流体投与容器内の増加した流体の体積は、増加した投与回数によって表される。例えば、与えられたどのような温度においても、120回分の服用量を含む流体容器に生じるギャップ25は、60回分の服用量を有する流体容器のギャップより大きい。
【0086】
図16Aならびに図16Bは、異なる熱膨張率(CTE)を有する素材からできた2つの流体投与容器の比較を示している。図16Aの流体投与容器は、5.4x10-5cm/cm/℃の熱膨張率を有する環状オレフィン重合体組成物(Cyclic-Olefin co-polymer)製である。図12Bの流体投与容器は、2.0x10-4cm/cm/℃の熱膨張率を有するポリエチレン製である。見られるように、流体投与容器素材は、生じたギャップ、すなわち、測定駆動部14とプランジャ11間の間隔25に影響を有する。図16Aにおいて、約摂氏0度から45度の温度変化があると、環状オレフィン重合体組成物製の流体投与容器に生じたギャップ25は、約0.059インチ変動する。図16Bにおいて、約摂氏0度から45度の温度変化があると、ポリエチレン製の流体投与容器に生じたギャップ25は、約0.018インチ変動する。
【0087】
特定の実施形態に基づいてシステムならびに方法について説明してきたが、当業者であれば、上述の原理ならびに以下で定義される特許請求の範囲を逸脱することなく、修正ならびに変更を加えることが可能であることを認識する。したがって、開示された実施形態の範囲については、以下の特許請求の範囲を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、本発明の例示的な容器ならびに制御された量の流体を投与するシステムの断面図である。
【図2A】図2Aは、測定駆動部が係合していない状態の例示的な測定システムの断面図である。
【図2B】図2Bは、測定駆動部が係合した状態の、図2Aの例示的な測定システムの断面図である。
【図3】図3は、図2Aの例示的な測定システムの詳細図であって、ノズルのデッドボリュームを示すものである。
【図4】図4は、負荷が課せられていない、ならびに、負荷が課せられたモーターの状態を検知するための例示的な電流曲線を示すグラフである。
【図5】図5は、例示的な測定駆動システムならびに測定駆動部の正面斜視図である。
【図6】図6は、図5の例示的な測定駆動システムならびに測定駆動部の背面斜視図である。
【図7】図7は、服用量を制御するために用いられる例示的なエンコーダーディスクの斜視図である。
【図8】図8は、例示的なピストンと係合した例示的な測定駆動部を示す詳細断面図である。
【図9】図9は、注射器ベースの測定システムとともに用いることが可能なピストンプランジャの一部を示す詳細である。
【図10】図10は、例示的な投与装置を示している。
【図11】図11は、前記正確な測定システムに用いることができる、例示的な測定兼検知回路の電気配線図である。
【図12】図12は、流体に対する測定駆動部の位置を決定するため、正確な測定システムが、どのように用いられるかについてを表す例示的なフローチャートを示している。
【図13A】図13Aは、例示的な温度循環履歴を示すグラフである。
【図13B】図13Bは、高性能の測定駆動システムならびに測定駆動部を用いない場合の、前記温度循環履歴中における供給量に関する低い性能を示すグラフである。
【図14A】図14Aは、図13Aのものと同様の例示的な温度循環履歴を示すグラフである。
【図14B】図14Bは、高性能の測定駆動システムならびに測定駆動部を用いない場合の、前記温度循環履歴中における供給量に関する高い性能を示すグラフである。
【図15】図15は、いくつかの例示的な流体投与容器の材料の膨張率を示すグラフである。
【図16】図16Aならびに図16Bは、例示的な2つの異なる流体投与容器の材料の温度に応じて、測定駆動部とプランジャ挿入部との間に結果として生じた間隔を比較するグラフである。
【関連出願との相互関係】
【0001】
ここで開示されている主題は、”正確な測定システム”という名称で2006年2月14日に出願済みの米国仮特許出願60/773、272であって、本出願の譲受人に譲渡された出願に基づき、米国特許法119(e)に規定された優先権を主張するものであり、その全体が参照のためここに取り込まれる。
【0002】
ここで開示されている主題は、同一人に譲渡された以下の出願であって、”電界シールドを有する分離放出タイプの電気流体力学式噴霧器(DISSOCIATED DISCHARGE EHD SPRAYER WITH ELECTRIC FIELD SHIELD)”という名称で2006年2月14日に出願済みの米国仮特許出願60/773、239であって、その全体が参照のためここに取り込まれるもの、に開示されている主題に関連する。
【技術分野】
【0003】
ここで記載される主題は、一般に測定システムに関し、具体的には、流体と、液体、溶液、散液(dispersions)、懸濁液(suspensions)、ゲル、ペーストならびに他の液体等の流動性を有する材料の制御された供給のための容器間の示差熱膨張/収縮の影響を緩和する正確な測定システムに関する。
【背景技術】
【0004】
薬品を吸入することにより病気を治療することは、何世紀にもわたって行われてきたが、20世紀半ばから大幅に進歩し成長を遂げてきた。医療界が、患者に対する管理にこの手順が有益であることを認識したことから、局所ならびに全身に有効な薬剤化合物の両方を供給するために、吸引治療を用いることが多くなっている。吸引処置を効果的に行うため、肺薬剤供給装置は、肺に対し、および、それを介して、効率的で安全かつ確実な薬剤供給を実行できなければならない。
【0005】
注射器ベースの測定システムは、その正確さと簡易さから測定システム技術においてよく知られている。しかし、圧縮可能なヘッドスペースをほとんど有しない、硬い注射器/薬瓶システムを有する測定システムにおいては、示差熱膨張/収縮(すなわち、流体と硬質注射器との間の異なる膨張または収縮)が、注射器または薬瓶に収納される流体の正味体積の変化を生じさせる。この体積の膨張および/または収縮は、流体の体積が膨張することで注射器から押し出されること、体積が収縮することで薬瓶内外部の空気を流入させること、あるいは、薬瓶内の空気を放出してしまうこと、薬瓶内の流体を気化させてしまうような小さい圧を薬瓶内に作り出すこと、のいずれをも阻止するため、注射器/薬瓶において調整しなくてはならない。これらの体積上の変化は、測定の精度に悪影響を与える。
【0006】
また、流体容器の排出口の下流に位置するバルブおよび/またはノズルを有する測定システムは、通常、容器の排出口とバルブ/ノズルを流体的に接続する空間または通路におけるデッドボリュームに関する問題を有している。このデッドボリュームは、流体の供給を不正確および/または不規則にしてしまう。デッドボリュームを有する測定システムは、供給前にユーザーによって手動で呼び水を入れることが可能であるが、これには、ユーザーに新たなステップを要求することになる。かかる手動呼び水システムにおいては、使用前に、ユーザーが測定システムに正しく呼び水を入れることができない場合もあり、これにより、流体の供給が不正確なものとなってしまう。
【0007】
示差熱膨張/収縮を考慮に入れ、および/または、測定が完了した流体の提供の効率、精度、再現性を確保するため、測定システムにおいてデッドボリュームを考慮にいれた装置、システム、ならびに方法が求められている。
【0008】
【特許文献1】米国仮特許出願 60/773、272
【0009】
【特許文献2】米国仮特許出願 60/773、239
【発明の開示】
【0010】
上述の欠点ならびに問題点を鑑み、測定システムにおいて、流体と容器間の示差熱膨張/収縮の影響を緩和するための装置、システムならびに方法を提供する。また、測定システムにおいてデッドボリュームに呼び水を入れる際に生じる問題を緩和するための装置、システムならびに方法が提供される。かかる装置、システムならびに方法は、測定された流体の提供の効率、精度、再現性を提供する。本技術は、特に、それに限定されるものではないが、注射器ベースの測定システムに非常に適している。
【0011】
本発明の一実施形態によると、正確な測定システムが提供される。かかる正確な測定システムは、供給される流体を収納し、体積を減少させることが可能な流体投与容器を含んでいる。また、かかるシステムは、流体投与容器に収納された流体の体積の変化に応じて自由に移動することができる可動部を含む。流体の正味体積は、流体投与容器と可動部により定義され、流体投与容器内の前記正味流体体積は、流体投与容器に対して可動部が移動すると変化する。可動部と選択的に接触するため測定駆動部が設けられる。開始点は、測定駆動部が再びゼロにされる(re-zeroed)点を備えている。かかる開始点は、そこで測定駆動部が、流体投与容器の可動部と係合する点、負荷がかかり始めた点、流体の供給が開始された点等を含んでいる。前記測定駆動部は、前記開始点から既知の量駆動され、これにより、可動部を移動させて流体投与容器の減少可能な体積を減少させ、流体投与容器から特定の量の流体が供給される。
【0012】
本発明の他の実施形態によると、示差熱膨張/収縮の影響を緩和する注射器ベースの測定システムが提供される。かかる注射器ベースの測定システムは、流体を収納するための内部容量を定義する注射器を含んでいる。かかる注射器は、前記注射器の前端において排出開口を備えている。ピストン型のプランジャは、注射器の後端における開口を通じて注射器内にスライド可能に設けられている。正味流体体積は、注射器内のプランジャの位置により定義される。当該正味流体体積は、注射器内のプランジャの移動とともに変化する。測定駆動部は、前記プランジャに選択的に係合し、外れ、当該測定駆動部は、注射器の前記後端における開口を通じてプランジャと係合するとともに、注射器から流体を放出するため前進する。当該測定駆動部は、注射器ベースの測定システムが使用されていない場合、プランジャを後退させることによりプランジャから外れる。前記プランジャは、注射器と注射器に収納された流体間の示差熱膨張および/または示差熱収縮を緩和するため、注射器内を軸方向にスライドすることが可能である。
【0013】
本発明の他の実施形態によると、流体の正確な計測を確保するため、測定システムにおける示差熱膨張の影響を緩和する方法が提供される。かかる方法は、容量を減少させることが可能な流体投与容器内に、投与される流体を収納するステップを含んでいる。流体を供給することにより前記減少可能な容量を減少させるため、前記流体投与容器内をスライド可能な可動部を設けるステップを含んでいる。また、動作モードにおいて、流体投与容器の前記減少可能な容量を減少させる原因となる可動部を移動させるため、可動部と選択的に係合可能な測定駆動部を設けるステップも含んでいる。さらに、可動部と測定駆動部間に間隔を設けるため、非動作モードにおいて測定駆動部が可動部から後退可能とすることにより、示差熱膨張の影響を緩和するステップも含んでいる。
【0014】
本発明の他の実施形態によると、かかるシステムならびに方法は、温度上昇および/または下降の結果生じる前記流体投与容器に収納された前記流体の体積の膨張および/または収縮に応じて、前記可動部が前後に移動可能とすることにより、前記流体投与容器と当該流体投与容器に収納された前記流体間の示差熱膨張および/または収縮の影響を緩和するステップを含んでいる。
【0015】
本発明の他の側面によると、かかるシステムならびに方法は、温度変化(通常は下降)の結果生じる前記流体投与容器に収納された前記流体の体積の収縮に応じて、前記可動部を前方に移動可能とすることにより、前記流体投与容器と当該流体投与容器内に収容された前記流体間の示差熱収縮の影響を緩和するステップを含んでいる。
【0016】
本発明の他の側面によると、かかるシステムならびに方法は、温度変化(通常は上昇)の結果生じる前記流体投与容器に収納された前記流体の体積膨張に応じて、前記可動部を後方に移動可能とすることにより、前記流体投与容器と当該流体投与容器内に収容された前記流体間の示差熱膨張の影響を緩和するステップを含んでいる。
【0017】
本発明の他の側面によると、かかるシステムならびに方法は、前記測定駆動部を用いて前記可動部を探索するステップならびに前記測定駆動部と前記駆動部との係合を検知するステップを含んでいる。前記測定駆動部と前記可動部が係合した場合に、前記流体を測定するための開始点を指定し、前記開始点から流体の投与量を測定するステップを含んでいる。
【0018】
本発明の他の側面によると、かかるシステムならびに方法は、前記開始点を指定する前に、前記ノズルのデッドボリュームに流体を充填するステップを含んでいる。
【0019】
本発明の他の側面によると、かかるシステムならびに方法は、前記測定駆動部の運動を検知するステップならびに前記流体投与容器から設定値の流体を投与するため、前記測定駆動部の前記運動を流体の前記設定値に関連づけるステップを含んでいる。
【0020】
本発明の他の側面によると、かかるシステムならびに方法は、エンコーダーディスクを前記測定駆動部を駆動する歯車列と係合させるステップならびに前記エンコーダーディスクにおける一以上のウインドウの数を数えるステップを含んでいる。一以上の各ウインドウが流体の設定値を表す。
【0021】
本発明の他の側面によると、かかるシステムならびに方法は、前記可動部と前記流体投与容器間との間に摩擦を生じさせる締まり嵌めを、当該可動部と当該流体投与容器間に設けるステップを含んでいる。ある実施形態において、かかるシステムならびに方法は、前記測定システムが、温度上昇に応じて、前記流体投与容器内で前記可動部を後方に移動させるのに必要とされる示差熱膨張スライド力であって、前記可動部と前記流体投与容器間の前記摩擦力を上回るものを有するよう指定するステップを含んでいる。前記示差熱膨張スライド力は、前記可動部と前記流体投与容器間の前記摩擦力を上回ることが好ましい。前記示差熱膨張スライド力は、前記バルブの破壊圧を下回ることがより好ましい。本発明の他の側面によると、かかるシステムならびに方法は、前記測定システムが、温度下降に応じて、前記流体投与容器内で前記可動部を前方に移動させるのに必要とされる示差熱収縮スライド力を指定するステップを含んでもよい。前記示差熱収縮スライド力は、前記可動部と前記流体投与容器間の摩擦力を上回ることが好ましい。
【0022】
本発明の他の側面によると、かかるシステムならびに方法は、前記測定システムの動作中、当該測定システムが、前記流体投与容器内で前記可動部をスライドさせるのに必要とされる動作スライド力を指定するステップを含んでいる。当該動作スライド力は、前記可動部と前記流体投与容器間の前記摩擦力を上回る。
【0023】
本発明の他の側面によると、かかるシステムならびに方法は、前記可動部と前記流体投与容器間に締まり嵌めを設けるステップならびに前記締まり嵌めを用いて、前記流体を前記流体投与容器内に密封するステップを含んでいる。当該方法は、さらに、前記可動部と前記流体投与容器間の接合部を密封するステップを含んでもよい。
【0024】
本発明のさらなる特徴ならびに効果は、添付した図面を参照しつつ、以下の具体的な実施形態の詳細な説明により明らかになる。
【例示的な実施形態の詳細な説明】
【0025】
本発明は、添付された図面と関連づけて読むと、以下の詳細な説明から最もよく理解される。以下の図面は、本発明の様々な具体的な実施形態ならびに様々な特徴を示している。
【0026】
本発明は、測定後の流体を、効率的で正確かつ高再現性で供給する装置、システム、ならびに、方法に関する。かかる測定システムは、流体投与容器と当該流体投与容器に収納された前記流体間の示差熱膨張および/または収縮を考慮したものであることが好ましい。また、当該測定システムは、流体投与容器排出口と下流のいずれかのバルブおよび/またはノズル間に存する、いずれのデッドボリュームに対する自身による呼び水(self-priming)を提供することが好ましい。ここで用いられる流体は、たとえば、液体、溶液、散液、懸濁液、ゲル、ペーストならびに他の流体等の流動性を有するいずれの材料を言う。
【0027】
具体的な実施形態の以下の説明は、注射器ベースの測定システムを有する、例示的な肺薬剤投与装置に注目しているが、本発明は、かかる装置、システム、ならびに、方法に限定されない。示差熱膨張および/または収縮を緩和する本発明は、制御され測定された量の流体であって、示差熱膨張および/または収縮が存するものを提供する、どのような測定システムおよび/または投与システムにも適用可能であると考えられる。たとえば、本発明は、ディスペンサーのような他の注射器ベースの測定システム、薬剤、医薬品、化粧品、水類(hydraulics)、オイル、燃料、石油製品、病原体、食品、洗浄剤、肥料、殺虫剤等のさまざまな対象物を搬送する測定システムにも適用可能であると考えられる。
【0028】
本発明は、流体と流体投与容器間の示差熱膨張/収縮の影響の下においても、正味体積ならびにその中に流体が収納されている流体投与容器のプランジャ位置を自動的に調整することを可能にする。また、本発明は、調節されたプランジャの位置を検知するために測定駆動システムを駆動させることを可能にするとともに、流体投与容器から正確な体積の流体の供給を実行するため、測定駆動システム自身が再度ゼロとなるよう駆動させることを可能にする。かかる測定システムは、測定駆動システムの移動、ならびに、これによる流体投与容器からの流体の投与を正確/高精度で行うための流体投与容器内のプランジャの移動、を制御する手段を含んでいる。
【0029】
流体投与容器に収納されている流体のいずれの熱膨張および/または収縮を考慮に入れ、正確な測定システムにより検出された当該熱膨張および/または収縮に対応する量に基づいて、投与される投与量(すなわち、測定駆動部の移動距離)を調節することにより、測定システムの精度をさらに高めるようにしてもよい。たとえば、究極の精度が要求される測定システムにおいては、流体の温度変化の結果生じる熱膨張および/または収縮が測定/検出され、熱膨張/収縮の測定/検出量に基づいて、供給される流体の量を調節してもよい。かかる究極の測定システムにおいては、測定駆動システムならびに測定駆動部の動作を決定し、調節するために、流体投与容器に収納される流体の特性/性質を測定/検出された流体の熱膨張/収縮条件とともに用いてもよく、これにより、流体投与容器からの流体の提供について高い精度を確保する。究極の精度を有する実施形態は、たとえば、毒性の流体、効き目の強い薬剤、高価な流体等を提供する測定システムに用いてもよい。
【0030】
たとえば、正確な測定システムの一実施形態においては、流体投与容器内のプランジャの位置を決定し、測定駆動システムを動作させ、たとえば、エンコーダホイールを完全に2回転させることにより、測定駆動部を用いてプランジャを進めるようにしてもよい。究極の計測システムのある実施形態においては、たとえば、プランジャの位置に加えて熱膨張/収縮の量を決定し、それに基づいて流体の測定を調節するようにしてもよい。かかる実施形態において、温度が上昇したために流体が10%膨張し、その熱膨張が測定駆動部の特定の移動に関連する場合、究極の計測システムは、当該熱膨張によって生じる移動距離を考慮して、測定駆動部が一定距離前進するよう供給を調節するようにしてもよい。
【0031】
示差熱膨張/収縮の影響を緩和するため、測定システムは、1回の服用量を投与するシステムおよび/または複数回の服用量を投与するシステムに適用可能である。複数回の服用量を投与するシステムを用いる場合、かかる測定システムは、装置が用いられていない場合(いちばん最初の使用前ならびに各使用後)に後退し、プランジャと接触しない(すなわち、係合しない)ことが好ましい。プランジャの位置は、温度変化を原因とする示差熱膨張/収縮の結果、使用していない間に移動してもよい。示差熱膨張/収縮の影響を緩和する測定システムは、服用量が管理される前に、測定駆動システムがプランジャの正確な位置を探査し、見つけ出すことを可能とする。この特徴によって、より効率的で正確かつ再現性の高い、体積測定後の流体を供給することを確保することが可能となる。
【0032】
同様に、1回の服用量を投与するシステムの場合も、装置が用いられていない場合(輸送ならびに保管中)に後退し、プランジャと接触しないことが好ましい。たとえば、示差熱膨張/収縮の結果、プランジャの位置が輸送/保管中に移動しているので、測定駆動システムは、使用前にプランジャを正確な位置に位置させる。流体圧を高めて気体を放出させ、あるいは、流体圧を低くして気化させるので、使用前にプランジャを引っ込めることにより漏れが防止される。繰り返しになるが、始動時にプランジャを正確な位置に位置させることにより、より効率的で正確かつ再現性の高い、体積測定を確保することができる。
【0033】
また、かかる測定システムは、使用前に呼び水を必要とするデッドボリュームを有する供給システムの悪影響を緩和することが好ましい。たとえば、流体投与容器の排出口の下流に位置するバルブおよび/またはノズルを有する供給システムにおいては、流体投与容器の排出口といずれかの下流バルブ(複数)および/またはノズル(複数)間の空間または流体通路にデッドボリュームが存在する。高性能の測定駆動システムを有する測定システムは、流体投与容器からバルブおよび/またはノズルまでの流体の供給について微細な制御を提供することができ、これにより、バルブの破壊圧を超える前にデッドボリュームに注入することによって装置自体で呼び水を入れ、測定された服用量の投与が開始される。
【0034】
図1、図2Aならびに図2Bは、収納する流体6の体積を定義する流体投与容器5を有する注射器ベースの測定システム1を示している。ここで用いられる流体投与容器は、たとえば、薬瓶、コンテナ、注射器、小袋(pouch)等、ある量の流体を収納するどのような収納容器を意味している。かかる流体投与容器5は、容量に再現性があることが好ましい。かかる流体投与容器は、流体投与容器5に収納された流体6を、当該流体投与容器5から放出することを可能にする排出開口7を含んでいる。図示したように、かかる排出開口7は、流体投与容器5の先端8に位置してもよい。
【0035】
前記流体投与容器5は、当該流体投与容器5の容量を減少することを可能にするメカニズムも含んでいる。図1、図2Aならびに図2Bに示すように、前記流体投与容器5は、後端10に開口9を含んでもよい。前記流体投与容器5の側壁12に対してプランジャ11がスライド可能となるよう、前記流体投与容器5内にプランジャ11がスライド可能に設けられている。ここで用いられるプランジャは、前記流体投与容器の容量を減少させるために用いられる流体投与容器の可動部であって、たとえば、プランジャ、ピストン型プランジャ、折りたたみ式側壁(collapsible sidewall(s))を言う。プランジャ11が前進すると、流体6を収納するための流体投与容器5の容量が減少する。図示された実施形態において、流体投与容器5の側壁12は硬く、当該側壁12内でプランジャ11がスライドしても動かない。また、流体投与容器5の側壁12は、硬いことが好ましい。流体投与容器5ならびにプランジャ11は、対応する形状を有しており、好ましい実施形態において、当該流体投与容器5ならびにプランジャ11は、ほぼ円筒形状である。
【0036】
図1、図2A、図2B、図5ならびに図6に示すように、測定システム1は、測定駆動システム46を含むようにしてもよい。ここで用いられている高性能および/または高い知能を持つ測定駆動システム46は、流体投与容器5から流体の供給を開始する前に、流体投与容器5の可動部11の位置を決定することが可能なシステムである。また、かかる高性能および/または高い知能を持つ測定駆動システム46は、装置が使用されていない場合、測定駆動部14が可動部11から外れることを許容することが好ましく、これにより、温度変化に応じて、可動部11が、流体投与容器5内を自在にスライドすることが許容される。ここで用いられる測定駆動部は、たとえば、主ネジ、ステム、レバー、ローラーまたは複数のローラー、ラック等の、流体投与容器5の可動部11を係合させ移動させるどのようなメカニズムでもよい。測定駆動システム46は、測定駆動部14の制御された動作を生じさせるために設けられ、これにより、流体投与容器5内のプランジャ11が、当該流体投与容器5に収納された流体6の供給を正確に行うことができる。
【0037】
図1は、測定駆動部14ならびにプランジャ11の一実施形態を示している。図1に示すように、測定駆動部14は、プランジャ11と選択的に係合し/外れる、ほぼ平らな端(すなわち、遠端)を含んでもよい。図1に示す測定駆動部14は、プランジャ11から外れている。
【0038】
図2Aならびに図2Bは、他の例示的な測定駆動部14およびプランジャ11、ならびに、測定駆動部14およびプランジャ11間の接合部を示している。図2Aならびに図2Bに示すように、プランジャ11は、測定駆動部14の対応する円形(凸面)部あるいは凸部14aを受ける円形(凹面)部あるいは凹部11aを含んでもよい。図2Aは、測定駆動部14がプランジャ11から外れた(すなわち、後退した)状態を示し、図2Bは、測定駆動部14がプランジャ11に係合(すなわち、接触)した状態を示している。
【0039】
プランジャ11と流体投与容器5の側壁12との間に、シール15を設けるようにしてもよい。かかるシール15は、流体投与容器5に収納された流体6が、プランジャ11と流体投与容器5の側壁12の間から流出するのをほぼ阻止する。流体投与容器5内のプランジャ11の締まり嵌めにより、必要なシールが提供される。これに代えて、ガスケットあるいはOリング型のシール等の別のシールを設けるようにしてもよい。たとえば、図1ならびに2Aに示すように、流体投与容器5とプランジャ11との間に複数のシール点15a、15bを設けるようにしてもよい。プランジャ11と流体投与容器5の内部との間の接合部を密封するよう密封することが好ましい。
【0040】
図1、図2Aならびに図2Bに示された実施形態において、測定駆動部14は、流体投与容器5が存する前方にプランジャ11をスライドさせるため、プランジャ11の背面と選択的に接触することができる主ネジを備えている。たとえば、高性能の測定駆動システム46が動作すると、測定駆動部14が前方に移動し、プランジャ11を探索する。測定駆動部14がプランジャ11に接触すると、それがプランジャ11に係合し始める。測定駆動部14とプランジャ11が係合すると、測定駆動部14は、プランジャ11を流体投与容器5側に押すための動作スライド力を提供する。測定駆動部14とプランジャ11の係合が検知されると、高性能の測定駆動システム46は、体積あるいは投与される服用量の測定を開始する。高性能の測定駆動システム46によるプランジャの制御された前方への動きは、流体6を収容するために流体投与容器5内で利用可能な体積(すなわち、正味流体体積)を減少させ、これにより、排出開口7を介して流体投与容器5内に収納された流体6の特定の量を投与させる。高性能の測定駆動システム46は、適切な電子機器およびソフトウエアにより制御してもよい。
【0041】
図示された例示的な実施形態において、前記測定システム1が肺薬剤投与装置70に組み込まれている場合、ノズル16を流体投与容器5の排出開口7と連通するよう設けてもよい(例えば、図1、図2A、図2B、図3ならびに図10参照)。また、流体投与容器5の排出開口7と、ノズル16が連通するよう流路17を設けるようにしてもよい。かかるノズル16は、測定システム1が機能する特定の用途に応じて、正しい形式による流体6の提供を促進する。例えば、肺薬剤投与装置70(図10参照)用には、ユーザーによって吸入される霧状物の放出を生成するようノズル16を設計してもよい。図示されるように、かかるノズル16は、霧状物の放出のため、環状に設けられた複数のスプレーサイト18を含んでもよい。本発明の示差熱膨張を考慮する測定システムに用いられる適切なノズルのさらなる詳細は、共に譲渡された出願であって、”電界シールドを有する分離放出タイプの電気流体力学式噴霧器(DISSOCIATED DISCHARGE EHD SPRAYER WITH ELECTRIC FIELD SHIELD)”という名称で2006年2月14日に出願済みの、出願人側整理番号VNTA−004、米国仮特許出願60/773、239であって、その全体が参照のためここに取り込まれるもの、に開示されている。
【0042】
図3は、ノズル16の領域における例示的な測定システムの詳細な図を示している。図示したように、正確な測定システム1は、どのようなノズルのデッドボリューム16aであっても、投与前にも少なくとも一部を充填することを可能にし、これにより、より正確な測定を確保することを補助する。かかる呼び水導入機能は、特に最初の動作と2回目の動作との間の投与内容物の均一性を向上させ、投与量の変動を減少させることに資する。測定駆動部によって、プランジャがイベントならびに自身の係合を探査することにより、少なくとも一部が充填されたノズルによる連続的な投与動作および/またはバルブのデッドボリューム16aとの間の動作による体積の変動を減少させることができる。バルブあるいはノズルの破壊圧まで測定駆動部がプランジャと係合することが検知されると、かかるデッドボリュームは流体によって充填することができる。破壊が検出された後で、所望の量の流体を測定してもよい。この機能により、同じ装置で1回の服用量ならびに2回(複数回)の服用量を処方することを可能としている。
【0043】
図1に示すように、流体投与容器5の排出開口7とノズル16との間にバルブ20を配置するようにしてもよい。かかるバルブ16は、流体投与容器5からの流体6の投与の制御を補助する一方通行の装置であることが好ましい。当該バルブ16は、熱による体積膨張の間、薬剤の浸出を防止するため、十分な破壊圧を有している。ある適切なバルブ装置は、プラグ型バルブを含んでいる。バルブ20は、複数のならびに繰り返しの投与周期を許容するよう設計され、構築されることが好ましい。例示的なプラグ型の一方通行のバルブ20においては、例えば、プラグ(図示せず)は、投与周期の終わりにプラグを閉位置にリセットするリセット機構(図示せず)を有して設けられる。かかるリセット機構は、重力(gravity)、網(tether)、バルブの一部の変更等の従来のいずれの手段を含んでいてもよい。
【0044】
バルブ20は、ごみ、埃、空気、細菌、その他等の異物が、流体投与容器に侵入するのを防止するよう設計してもよい。例えば、バルブは、流体投与容器内に異物が侵入することを防止するため、弾性シース型のバルブ、フラッパバルブ(flapper valve)、スリットバルブ、くちばし状バルブ(duck bill valve)等を含んでもよい。かかるバルブ20は、上述のパッシブ型バルブ、あるいは、アクテイブ型バルブを含んでもよい。アクテイブ型バルブを有する実施形態においては、例えば、測定駆動部14とプランジャ11の係合を検知すると、いずれのデッドボリュームを充填し、測定システム1に呼び水を導くため、前記バルブ20を開放してもよい。
【0045】
図1に示すように、流体投与容器5と流体投与容器5に収納されている流体6間の示差熱膨張/収縮は、流体投与容器5に対してプランジャ11をスライドさせる。温度の低下は、通常、それによりプランジャ11が測定駆動部14から離れる(図1の矢印22で示される)流体の収縮を生じさせる。この流体の体積収縮は、プランジャ11を引っ込める。かかるプランジャ11がこの流体の体積収縮に応じて自由に動けない場合に、プランジャ11を内側に引っ張ると、空気を排出し、あるいは、流体投与容器5内の流体が気相化するのに十分に低い流体投与容器圧力を生じさせる。これら後者の条件のいずれかは、流体投与容器5内に気泡を作り出すとともに、測定精度に悪影響をもたらすコンプライアンスを作り出す。本発明は、流体体積の収縮に応じて自由に移動するプランジャ11を設けることにより、この問題を解決する。流体投与容器5内の流体体積が収縮すると、流体体積の収縮によってプランジャ11は内側に引っ張られ、これにより、ほぼ硬質の流体投与容器と前記流体投与容器5に収納される流体6間の示差熱収縮の影響が緩和される。
【0046】
これとは逆に、温度の上昇は、通常、それによりプランジャ11を測定駆動部14方向に押す(図1の矢印23で示される)流体の膨張を生じさせる。かかるプランジャがこの流体の体積膨張に応じて自由に動けない場合、膨張した流体の体積は、流体6を流体投与容器5から供給(排出)する。本発明は、流体体積の膨張に応じて自由に移動するプランジャ11を設けることにより、この問題を解決する。流体投与容器5内の流体体積が膨張すると、流体体積の膨張によってプランジャ11は後方に押され、これにより、ほぼ硬質の流体投与容器と前記流体投与容器5に収納される流体6間の示差熱膨張の影響が緩和される。
【0047】
一例として、前記流体投与容器5に収納されている流体6がエタノールを含む場合、エタノールは、硬質ポリマー製の流体投与容器の膨張率である、約0から45℃の所望の装置記憶範囲を超える、ある比率で膨張する。例示的なエタノールベースの流体投与容器において、示差体積は、45℃の温度変化により約5%増加あるいは減少する。
【0048】
通常の一定体積測定システムに伴う、温度上昇による漏れ、あるいは、温度低下による放出、気相化を減少および/または防止するため、本発明は、実質的に一定の圧力を加え、温度変化によって流体が膨張および/または収縮すると体積が変化することを許容することにより、示差熱膨張/収縮の悪影響を緩和する。体積変化を可能とするため、流体投与容器5は、当該流体投与容器5内の流体6が膨張および/または縮小すると移動する可動部11を含んでいる。図示された実施形態において、流体投与容器内の可動部は、ピストン型のプランジャ11を含む。
【0049】
流体投与容器内の流体の膨張に応じてかかるピストン型のプランジャ11を後方にスライドさせるため、測定駆動システム46は、ピストンプランジャ11から離れるよう測定駆動部14を移動させ、これにより、プランジャ11が高温域を超えて後方に移動する。図示された実施形態において、測定駆動システムは、ピストンプランジャ11を後退させることが可能な測定駆動部14を含んでいる(図2A参照)。
【0050】
図2Aならびに図2Bは、示差熱膨張/収縮を緩和する、他の例示的な測定システム1を示している。図2Aに示すように、測定駆動部14は、プランジャ11から後退する。この非係合位置において、測定駆動部14とプランジャ11間に間隔25が存在する。かかる間隔25は、流体6が熱膨張する間、測定駆動部14と接触することなくプランジャ11が後方にスライドすることを可能にする。前記間隔25は、流体投与容器に収納された流体、測定システムの部品の素材、投与装置の予想される動作環境等に基づいて、全ての可能な膨張距離を考慮したサイズであることが好ましい。
【0051】
図2Bは、係合位置にある測定駆動部14を示している。係合位置において、測定駆動部14はプランジャ11と接触する。測定駆動部14の端部は、プランジャ11の後端上のあわせ面11に対応する形状を含むことが好ましい。図2Aならびに図2Bに示すように、測定駆動部14の端部は、円形のあわせ面14Aを含んでおり、プランジャ11の後端は、凹状のあわせ面11aを含んでいる。
【0052】
ある実施形態において、プランジャ11と測定駆動部14間のあわせ面11a、14aは、これら2つの部品間の係合の検知をさらに促進するよう設計されている。例えば、あわせ面11a、14aは、係合プロセス中に、前記2のあわせ面の間の抵抗を増加させる面(例えば、粗い表面)を備えてもよい。測定駆動部を駆動するのに必要とされるパワーが増加するので、かかるあわせ面は、前記2の面の間の抵抗を増加させ、モーター/測定駆動部の電流/トルクを増加させることになる。
【0053】
測定駆動部14とプランジャ11との係合を判断するため、検知メカニズム30が設けられる。測定駆動部14のプランジャ11に対する係合は、設定値として測定される正確および/または高精度な服用量を投与するため、増加する測定駆動部14の運動の開始点として測定駆動システムにより用いられる。正確な測定システム1は、一以上の流体の膨張/収縮、デッドスペース、バルブ20および/またはノズル16におけるコンプライアンス等を考慮可能であることが好ましい。このように、前記開始点は、抵抗あるいはコンプライアンスの除去(すなわち、読み水の導入)を介し、接触から流体の投与までのいずれの点であってもよい。
【0054】
かかる検知メカニズム30は、例えば、測定システム駆動モーター31に課せられた負荷を検知し、いつ測定駆動部14に負荷が課せられたか、負荷が課せられなくなったかについて判断する電子回路を含めるようにしてもよい。負荷が課せられていない状態から負荷が課せられた状態へと、いつ電流が増加したのかを判断するため、例えば、図4に示すように、モーター31から取り出される電流を監視してもよい。また、モーター31上の負荷の変化率(差)に基づいて開始点を決定してもよい。ある実施形態において、開始点は、図4に示すように、電流曲線が頂上で横ばいになる(すなわち、モーターに負荷が課せられている)点である。前記検知メカニズムは、例えば、測定駆動部がプランジャと接触している場合に電子回路を検知するスイッチ型センサー、測定駆動部がプランジャと接触している場合に光源からの投光および/または遮光を検知する光センサー、例えば、モーターの音声信号(すなわち、モーターはトルクが変化するとピッチが変化する)を検知する音感センサー、等の他のタイプのセンサーを含んでもよい。また別の実施形態において、かかる検知メカニズムは、トルク検知メカニズムを含めるようにしてもよい。
【0055】
流体投与容器から流体を投与する前にプランジャの位置を検知する高性能の測定駆動システム46は、測定システムの性能を向上させ、他の効果も提供する。例えば、測定駆動部を用いてプランジャの位置を検知することは、投与装置の製造中の最終組み立て工程における、測定駆動部の配置に対する解決策を提供することになる。測定駆動部をかなり正確に配置し、あるいは、ユーザーが使用前に測定システムに呼び水の導入をしておかなければならない。高性能の測定駆動システムは、流体の投与前にプランジャの位置を位置付けることができるので、本発明は、最終組み立て工程において、測定駆動部を特定の場所に配置することを要しないことでこの問題を解決する。
他の実施形態において、開始点は、流体の投与が開始された時点であって、そこから投与がカウント(測定)された点であってもよい。正確な投与量を測定するため、計数メカニズム40を用いてもよい。図示された実施形態において、回転エンコーダーディスク50(図5および図7示され、以下に詳しい説明が記載される)は、測定駆動部14の運動をカウントし、これにより、投与される流体6の量をカウントするために用いられる。
【0056】
例示的な測定兼検知回路図および論理フロー図を、図11ならびに図12に示す。ある実施形態において、測定システム1は、流体の位置に対するポンプの位置を検知/判断するため、いくつかの異なる方法を用いることが可能である。ある例示的な方法は、ポンプ(測定駆動部)が移動した距離を測定するために光センサーを用いる。他の検知手段は、モーターを回転させるのに必要な電流を計測してもよい。この電流値は、ポンプの抵抗に比例し、プランジャに係合する測定駆動部を表す。
【0057】
図示したように、測定システムならびに方法は、抵抗が全くない状態から流体を排出するまで移動するポンプ電流の履歴を作成するステップを含んでもよい。これらの履歴は、その後、それがどのようにポンプ位置と対応するかを判断するため分析される。図4は、例示的な履歴を示している。
【0058】
測定システムならびに方法は、次に、ポンプと流体がどこで関連するのかを判断するため、作成された測定システムの履歴を用いてもよい。図12は、ある例示的な測定システムの設計の分析に基づくこの方法を示している。エンコーダーの論理回路は、エンコーダーのホイールにギャップまたはウインドウにセンサーの光が当たると、デジタルパルスを作り出すフォトインタラプタを含んでもよい。マイクロコントローラーは、カウント数があらかじめ設定された数に達するまで、デジタルパルスの数をカウントする。このカウント数が、目標とする服用量を表す。
【0059】
測定システムならびにサポートシステムを制御し、動作させるため、検知メカニズム、計数メカニズム、モーター、歯車列(gear train)、測定駆動部等の適切なコントローラーまたはマイクロコントローラー80ならびに関連する電子回路81を用いてもよい(図11参照)。示差熱膨張/収縮、および/または、バルブ/ノズルのデッドボリュームの観点からも、効率的で正確かつ再現性の高い、体積測定後の流体を投与することを確保するために適切なソフトウエアならびに論理アルゴリズムも含まれている(図12参照)。
【0060】
図5ならびに図6は、示差熱膨張/収縮を緩和する測定システム1に用いることができる、例示的な測定駆動システム46を示している。このことは、測定システムが使用されていない場合、測定駆動部をプランジャから後退させる手段を設け、温度変化による流体の体積の変化に応じてプランジャが流体投与容器内を自由に移動することを許容する手段を設け、および/または、流体の投与前にプランジャを位置付ける手段を設ける、ことにより達成される。これらの特徴のそれぞれを達成するため、さまざまな手段/メカニズムを設けることが可能である。以下で、いくつかの例示的な手段/メカニズムについて説明する。
【0061】
図5ならびに図6に示すように、動力兼駆動システムは、モーター31、歯車列47、および測定駆動部14を含んでもよい。かかる動力兼駆動システムは、動力源45(図10)を含むようにしてもよい。かかる動力源45は、例えば、バッテリーを含んでもよい。モーター31は、動力源45と電気的に接続してもよい。かかるモーター31は、歯車列47を備えた一以上の歯車47a、47bを介して測定駆動部14に接続された出力シャフトを含んでいる。図示された実施形態において、歯車列47は、モーター31の回転運動に連結され、それを測定駆動部14の軸方向移動または線状(リニア)移動にする。かかる歯車列47は、測定駆動部14の速度に対するモーター31の速度を早め、および/または、遅くするよう設定してもよい。
【0062】
前記測定駆動部は、測定システムの部品間の示差熱膨張を許容するため、プランジャを後退させることが可能であることが好ましい。ある実施形態において、モーター31は可逆モーターであり、前記測定駆動部14と前記プランジャ11間に間隔25が存在するように、プランジャ11から測定駆動部を後退させる(図2参照)。これに代え、プランジャから測定駆動部を後退させる、適切な反転装置等の手段を設けるようにしてもよい。
【0063】
さらに、測定システムのより効率的な動作を提供するため、測定駆動部の速度が可変であることが好ましい。ある実施形態においては、複数あるいは可変速のモーター31を用いることにより、測定駆動部の速度が変更される。例えば、モーター31は、測定駆動部14がプランジャを探索し、測定駆動部14がプランジャと係合するまでの間、第一速、すなわち比較的高速で動作し、次に、モーター31が、制御された流体6の投与速度である比較的低速の第二速で動作可能な二速モーターを含んでもよい。このように、複数または可変モーターを有する装置は、より急速にプランジャを係合させるため高速を用いるようにしてもよい。
【0064】
図6は、動力兼駆動システムの背面を示している。図6に示すように、歯車列47は、ギアボックスハウジング48により保護されている。モーター31を動力源(図5または6に図示せず)に電気接続するとともに、モーター31に電力を提供するため、電気接点57が設けられている。動力兼駆動システムをハウジング(図示せず)に取り付けるため、取り付け機構58を設けるようにしてもよい。
【0065】
図5および図7は、投与量を制御するのに使用可能な、例示的なエンコーダーディスク50を示している。図5に示すように、エンコーダーディスク50は、測定駆動部14の移動距離に関連する当該エンコーダーディスク50の回転を測定するために使用可能な、ウインドウあるいは複数のウインドウ51を含むようにしてもよい。測定駆動部14の移動距離は、投与される流体6の量(すなわち、体積)を判断するために用いることができる。
【0066】
図7に示す好ましい実施形態において、エンコーダーディスク50は、複数のウインドウ51(開口、穴、スロット等)を備えている。図示したように、ウインドウ51は、エンコーダーディスク50の周囲52に配置される。シャフト53は、エンコーダーディスク50をエンコーダーディスクギア54に接続する。かかるエンコーダーディスクギア54は、測定駆動部14のための歯車列47と係合する(図5参照)。測定駆動部の歯車列47が回転すると、エンコーダーディスクの歯車列57も回転する。センサーの中を通り、または、通過するようウインドウ51が回転するような場合には、当該ウインドウ51を検出するため光学センサー等のセンサー(図示せず)を用いてもよい。例えば、かかるセンサーは、発光ダイオードと読み取り器等の光学センサーを含んでもよい。
【0067】
複数のウインドウ51を有するエンコーダーディスク50を備える効果は、より正確な投与が可能になることである。一般に、エンコーダーディスク50上のウインドウ51の数が多ければ多いほど、測定システムの潜在的な精度は高くなる。動作において、測定駆動部14は、プランジャに接触するまで前進する。これを、流体投与容器5から測定済みの量だけ流体6を投与する際の開始点として用いてもよい。プランジャに対する測定駆動部14の接触が検知されると、測定システム1は、例えば、エンコーダーディスク50が回転することにより基準点を通過するウインドウ51の数をカウントする等の、いくつかの方法で投与量を測定することができる。また、究極の精度が要求される測定システムにおいて、エンコーダーディスク50は、温度変化による流体体積の変化を考慮するため用いることができる程度十分に正確であればよい。このことから、(体積に対する)正確な服用量が投与される。また、このことは、正確な測定システム1が、正確な量だけでなく、より正確な投与量を投与することを可能にする。さらに、複数の長穴が設けられたエンコーダー50は、ソフトウエアを介し、投与量ならびに流量の変化を許容するようにしてもよい。これにより、前記装置は、他の可能性のある流体/化合物に用いることもできる。
【0068】
服用量を制御するための一つの方法は、エンコーダーディスク50が回転することによりセンサーを通過するウインドウ51の数をカウントすることである。他の方法は、エンコーダーディスク50を、例えば、一回完全に回転等の既知の量だけ回転させることである。測定駆動部14がプランジャ11に接触するまでプランジャ11の位置が判らないので、複数のウインドウ51を有するエンコーダーディスク50を用いると、起動時にウインドウの一つが確実に検知領域内に存する。一般に、ウインドウ51の数が多ければ多いほど、当該ウインドウがプランジャ係合における検知領域内に存在する確率が高くなり、より正確な測定がなされる。図7に示す例示的なエンコーダーディスク50において、当該エンコーダーディスク50は、各ウインドウが流体の既知の量を表すウインドウを20個含んでいる。
【0069】
図8は、例示的な測定駆動部14と例示的なピストンプランジャ11との間の係合の詳細を示している。測定駆動部14は、プランジャ11と接触し係合する当該測定駆動部14の検知を促進する片形状(tip-geometry)を含むことが好ましい。また、図8に示すように、測定駆動部14のあわせ面14aは、プランジャ11のあわせ面11aに対応する形状を有することが好ましい。図示したように、測定駆動部14は、円錐部14bならびに先細の肩部14c(すなわち、円錐部分)を含んでいる。接触接合部あるいはプランジャのあわせ面11aは、測定駆動部14の先細肩部14cの肩部分と接触する円錐部14bおよび先細表面11cを受け入れるための開口あるいは凹部11bを含む。測定駆動部14とプランジャ11間のあわせ面11a、14aの形状ならびにデザインは、良好な接触を確保するための案内機能(piloting function)も提供し、その間で摩擦による接触を形成することが好ましい。あわせ面のこのデザインならびに構造は、プランジャの検知を最適化するため、モーター電流の変化を増幅することを補助する。
【0070】
正確な測定システム1は、流体投与容器の固定部ならびに可動部により定義される縮小可能な体積内に流体6をシーリングするとともに、流体投与容器5の固定部に対して可動部11が移動(スライド)することを許容するデザインならびに構造を含むことが好ましい。このことから、流体投与容器ならびにプランジャのデザインは、流体投与容器内で液体構造の質を保つために十分なシーリング力を有するとともに、示差熱膨張/収縮に応じて、前記プランジャが、流体投与容器に対し自由に移動することを許容するスライド力を含んでもよい。ある実施形態において、流体投与容器ならびにプランジャのデザインは、例えば、温度に応じた流体投与容器とプランジャ間の直径の接合(diametral interface)に関して考慮すること、使用する可能性のある部品についての様々な素材について考慮することを含んでいる。流体投与容器ならびにプランジャのデザインは、スライド力(動作スライド力、膨張スライド力、収縮スライド力)ならびにシーリング力とともに、当該流体投与容器に収納される流体によって異なる。
【0071】
投与装置を正しく動作させるため、スライドの限界は、温度変化によって生じる示差熱膨張/収縮に応じて、プランジャ11が、流体投与容器5内を前後にスライドすることを許容しなければならない。求められるスライドの限界は、示差熱膨張中、バルブの破壊圧に達する前にプランジャの移動を確保するのに必要な力/圧力、ならびに、示差熱収縮中、環境大気圧によるプランジャの移動を確保するのに必要な力/圧力である。
【0072】
例えば、図示された注射器ベースの測定システムにおいて、示差熱膨張スライド力は、温度変化によって生じる示差熱膨張に応じてプランジャを後方にスライドさせるのに必要とされる力である。かかる示差熱膨張スライド力は、排出バルブの破壊圧を下回ることが好ましい。示差熱収縮スライド力は、温度変化によって生じる示差熱収縮に応じてプランジャを前方にスライドさせるのに必要とされる力である。かかる示差熱収縮スライド力は、利用可能な大気圧により生じる力を下回ることが好ましい。既知の素材ペアの摩擦係数によって増加されたシーリング力は、示差熱膨張スライド力および/または示差熱収縮スライド力を下回ることが好ましい。
【0073】
同様に、投与装置を正しく動作させるために、流体投与容器5内への汚染物質の侵入、および/または、流体投与容器5とプランジャ11間を介して当該流体投与容器5からの流体の排出を防止するよう、流体投与容器とプランジャ間の十分なシーリング力を含むことが好ましい。要求されるシーリングの限界は、流体投与容器内で液体構造の質を保つため、当該流体投与容器とプランジャ間に十分なシールを提供するのに必要とされる力/圧力である。
【0074】
図9は、注射器ベースの測定システム1に用いることができる、例示的なピストンプランジャ11の前面部を示す詳細図である。図9は、動作中に流体投与容器5内に配置が可能な、例示的なピストンプランジャ11を示している。図9に示すように、ある実施形態において、ピストンプランジャ11は、流体投与容器の側壁(図9には示されていない)方向に偏っている前方アーム60ならびに後方アーム61を含んでもよい。円筒状の注射器ならびにプランジャを有する注射器ベースの測定システム1において、アーム60、61は、半径方向外向きに偏っている。見てとれるように、前方ならびに後方アーム60、61の端部60a、61aは、流体投与容器5の側壁で最も多くの干渉を経験し、流体投与容器5の内部に流体を密封することを補助する。
【0075】
性能を最高に保つため、素材ストレスの緩和を介してプランジャ11と流体投与容器5間の干渉を最適化することが可能である。素材ストレスを緩和(クリープ)することにより、製造公差に対する設計上の感度を低下させる。また、組み立て当初、素材は、定常状態でリラックスした状態にあるので、素材ストレスを緩和するということは、部品を高い(すなわち、干渉の多い)側に基づいて制作することができる。
【0076】
図10は、電器流体力学(EHD)エアゾール技術を用いることにより、吸入用の医薬品を製造するための例示的な装置70を示している。電器流体力学(EHD)エアゾール投与に基づく肺装置は、肺に対し、ならびに、それを経由して、効率的で安全かつ確実な薬剤投与を行うことができる。
【0077】
図10に示すように、例示的な吸入装置70は、これらが協働して複数服用または単位服用装置の選択を提供する、格納ユニット71、投与量測定システム72、エアゾール生成ノズル73、動力源74、マイクロプロセッサー75、ならびにカバー76を含んでいる。ミスティックTMテクノロジー(MysticTM technology)(EHD)を用いる、図示されたかかる吸入装置70は、約80パーセントの薬物が、肺に到達する均等な粒子サイズのソフトな(等運動性の)霧状物を投与する。これは、液体推進手段あるいは他の加圧システムを使わないで達成される。
【0078】
ミスティックTMテクノロジー散布により作られた治療用ミストは、例えば、水性液体、非水性液体、ならびに、合成物質の懸濁液および生体化合物を含む、溶液あるいは懸濁液のいずれかで投与可能である。一般のEHD投与装置のスプレーノズル73において、流体は、そこで電荷が流体表面に蓄積される電界(例えば、小型のバッテリーにより生成された)を超えて流れる。流体がノズルに存する場合、表面電荷の反発力が流体の表面張力を超え、粒子がエアゾール状のソフトなミストを形成する。かかるエアゾールの散布粒子サイズは、薬剤の処方、処方流量、動作条件、電界等の複数の条件を調整することにより制御可能である。
【0079】
他の実施形態(図示せず)において、測定システムは、流体を含むための体積を定義する小袋を含んでもよい。かかる小袋は、体積を縮小可能であることが好ましい。前記小袋は、当該小袋に収納されている流体を当該小袋から排出することを可能にする排出開口を含んでいる。また、かかる小袋は、当該小袋の体積を減少させるメカニズムを含んでいる。たとえば、一以上のローラーが回転して小袋を圧迫し、これにより、小袋に収納された流体が排出開口を通じて排出されると、当該小袋の体積を減少することができるよう、前記小袋と係合する一以上のローラーを設けてもよい。前記小袋が前記一以上のローラーに対して移動し、前記一以上のローラーが前記小袋に対して移動するようにしても、および/または、小袋ならびにローラーが互いに対して移動するようにしてもよい。
【0080】
本発明によると、本実施形態における前記測定駆動システムを備える前記一以上のローラーは、測定装置が使用されていない場合、小袋から後退可能である。これにより、小袋と当該小袋に収納された流体間の示差熱膨張を緩和することが可能になる。
【実施例】
【0081】
正確な測定システム1の一実施形態の能力を、エタノール溶液を用いて評価した。図13Aは、例示的な温度循環履歴を示すグラフである。各テスト手順が異なる温度を有する、一連のテスト手順が行われた。例えば、テスト手順1は、25℃の温度を含み;テスト手順2は、5℃の温度を含み;テスト手順3は、25℃の温度を含み;テスト手順4は、40℃の温度を含み;テスト手順5は、15℃の温度を含み;テスト手順6は、30℃の温度を含んでいた。温度が変動すると、流体と投与装置との間に示差熱膨張/収縮が生じた。
【0082】
図13Bは、図13Aに対応する温度循環履歴中の、示差熱膨張/収縮を考慮していない測定システム(すなわち、高性能の測定駆動システムならびに測定駆動部がない測定システム)の投与量の性能を示すグラフである。図13Bで見られるように、テスト手順中、当該測定システムは、一定でない量を供給した。この貧弱な性能は、当該測定システムが示差熱膨張/収縮を考慮していないことによって引き起こされた。例えば、注射器ベースの測定システムにおいて、プランジャは、温度変化中に移動するので、測定駆動システムに対するプランジャの位置は不明であり、このことから正確な測定ができなかった。かかる測定システムは、サンプリング前に、ある温度を平衡化することが可能であった。
【0083】
図14Aは、図13Aと同様の例示的な温度循環履歴を示すグラフである。図14Bは、温度循環履歴中の示差熱膨張/収縮を考慮した測定システム(すなわち、高性能の測定駆動システムならびに測定駆動部を有する測定システム)の投与量の良好な性能を示すグラフである。図14Bに見られるように、測定システムの動作ならびに供給量は、各テスト手順中一定である。この良好な性能の理由は、測定システムが示差熱膨張/収縮を考慮しているからである。例えば、高性能の測定駆動システム46を有する注射器ベースの測定システム1において、ピストントンプランジャ11は、まず、測定駆動システム46により位置づけられ、流体供給のための開始点が設定される。次に、提案された服用量が管理される。示差熱膨張/収縮を考慮するための高性能の測定駆動システム46ならびに測定駆動部14を有する測定システム1は、より効率的で正確かつ再現性の高い測定を提供する。
【0084】
図15は、いくつかの例示的な、流体投与容器の硬質素材の熱膨張率を示すグラフである。流体投与容器5用の素材は、ピストンプランジャ11の素材、流体投与容器5に収納される流体、ならびに、測定システム1の他の部品の一部に基づいて決定することが好ましい。例えば、流体投与容器の素材は、好ましい熱膨張率、ピストンプランジャ素材についてよりよいトライボロジー挙動(better tribological behavior)、バルブのエラストマー(elastomers)について化学的互換性が低いこと等を有することが好ましい。
【0085】
図16Aならびに図16Bは、2つの異なる例示的な流体投与容器用素材の温度、ならびに、異なる流体投与容器の受け容量を有する流体投与容器の温度に応じて、測定駆動システム(すなわち、測定駆動部14)と流体投与容器の可動部(すなわち、プランジャ挿入部11)間で生じるギャップを示すグラフである。両図面に示すように、生じたギャップ、すなわち、測定駆動部14とプランジャ11間の間隔25は、温度が上昇するにつれ通常は小さくなる(例えば、プランジャが後退する)。しかし、流体投与容器がほとんど空の場合、流体投与容器は流体投与容器内の流体の体積と比べて比較的大きな構造なので、流体投与容器内にほとんど残りがない場合には、かかる一般論は通用せず、実際には、流体の体積が低い場合よりも流体投与容器が膨張することに注意すべきである(図17Bの投与回数0を参照)。また、流体投与容器5内の流体6の体積が増加するにつれて、生じたギャップ25も広がる。流体投与容器内の増加した流体の体積は、増加した投与回数によって表される。例えば、与えられたどのような温度においても、120回分の服用量を含む流体容器に生じるギャップ25は、60回分の服用量を有する流体容器のギャップより大きい。
【0086】
図16Aならびに図16Bは、異なる熱膨張率(CTE)を有する素材からできた2つの流体投与容器の比較を示している。図16Aの流体投与容器は、5.4x10-5cm/cm/℃の熱膨張率を有する環状オレフィン重合体組成物(Cyclic-Olefin co-polymer)製である。図12Bの流体投与容器は、2.0x10-4cm/cm/℃の熱膨張率を有するポリエチレン製である。見られるように、流体投与容器素材は、生じたギャップ、すなわち、測定駆動部14とプランジャ11間の間隔25に影響を有する。図16Aにおいて、約摂氏0度から45度の温度変化があると、環状オレフィン重合体組成物製の流体投与容器に生じたギャップ25は、約0.059インチ変動する。図16Bにおいて、約摂氏0度から45度の温度変化があると、ポリエチレン製の流体投与容器に生じたギャップ25は、約0.018インチ変動する。
【0087】
特定の実施形態に基づいてシステムならびに方法について説明してきたが、当業者であれば、上述の原理ならびに以下で定義される特許請求の範囲を逸脱することなく、修正ならびに変更を加えることが可能であることを認識する。したがって、開示された実施形態の範囲については、以下の特許請求の範囲を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、本発明の例示的な容器ならびに制御された量の流体を投与するシステムの断面図である。
【図2A】図2Aは、測定駆動部が係合していない状態の例示的な測定システムの断面図である。
【図2B】図2Bは、測定駆動部が係合した状態の、図2Aの例示的な測定システムの断面図である。
【図3】図3は、図2Aの例示的な測定システムの詳細図であって、ノズルのデッドボリュームを示すものである。
【図4】図4は、負荷が課せられていない、ならびに、負荷が課せられたモーターの状態を検知するための例示的な電流曲線を示すグラフである。
【図5】図5は、例示的な測定駆動システムならびに測定駆動部の正面斜視図である。
【図6】図6は、図5の例示的な測定駆動システムならびに測定駆動部の背面斜視図である。
【図7】図7は、服用量を制御するために用いられる例示的なエンコーダーディスクの斜視図である。
【図8】図8は、例示的なピストンと係合した例示的な測定駆動部を示す詳細断面図である。
【図9】図9は、注射器ベースの測定システムとともに用いることが可能なピストンプランジャの一部を示す詳細である。
【図10】図10は、例示的な投与装置を示している。
【図11】図11は、前記正確な測定システムに用いることができる、例示的な測定兼検知回路の電気配線図である。
【図12】図12は、流体に対する測定駆動部の位置を決定するため、正確な測定システムが、どのように用いられるかについてを表す例示的なフローチャートを示している。
【図13A】図13Aは、例示的な温度循環履歴を示すグラフである。
【図13B】図13Bは、高性能の測定駆動システムならびに測定駆動部を用いない場合の、前記温度循環履歴中における供給量に関する低い性能を示すグラフである。
【図14A】図14Aは、図13Aのものと同様の例示的な温度循環履歴を示すグラフである。
【図14B】図14Bは、高性能の測定駆動システムならびに測定駆動部を用いない場合の、前記温度循環履歴中における供給量に関する高い性能を示すグラフである。
【図15】図15は、いくつかの例示的な流体投与容器の材料の膨張率を示すグラフである。
【図16】図16Aならびに図16Bは、例示的な2つの異なる流体投与容器の材料の温度に応じて、測定駆動部とプランジャ挿入部との間に結果として生じた間隔を比較するグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正確な測定装置であって、
投与される流体を収納し、体積を減少させることが可能な流体投与容器と、
前記流体投与容器に収納された前記流体の体積の変化に応じて自由に移動することができる可動部と、
前記流体投与容器に対して前記可動部が移動すると、前記流体投与容器内の正味流体体積が変化する正味流体体積と、
前記可動部と選択的に接触する測定駆動部と、
前記測定駆動部が再度ゼロにされる点を備えた開始点と、を備え、
前記測定駆動部は、前記開始点から既知の量駆動され、これにより、前記可動部を移動させて前記流体投与容器の減少可能な体積を減少させ、前記流体投与容器から特定の量の流体が投与されること、
を特徴とする測定装置。
【請求項2】
請求項1の測定装置において、前記開始点は、そこで、前記測定駆動部が、前記流体投与容器の前記可動部と係合する点を含むこと、
を特徴とする測定装置。
【請求項3】
請求項1の測定装置において、前記開始点は、流体の供給が開始された時点を含むこと、
を特徴とする測定装置。
【請求項4】
請求項1の測定装置において、前記開始点は、前記流体投与容器に呼び水がなされた(primed)時点を含むこと、
を特徴とする測定装置。
【請求項5】
請求項1の測定装置において、前記開始点は、前記測定駆動部に最大負荷がかかり始めた(fully loaded)点を含むこと、
を特徴とする測定装置。
【請求項6】
請求項1の測定装置において、当該正確な測定装置は、前記流体投与容器と当該流体投与容器に内に収納された前記流体間の示差熱膨張(differential thermal expansion)および/または収縮(contraction)に応じて、前記可動部を移動可能とすることにより、前記流体投与容器と当該流体投与容器に収納された前記流体間の示差熱膨張および/または収縮を緩和すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項7】
請求項6の測定装置であって、さらに、スライド力を有し、当該スライド力は、示差熱膨張中に排出バルブの破壊圧(cracking pressure)が加わる前に前記プランジャの移動を確保するために必要とされる力、ならびに、示差熱収縮中に周囲の大気圧による前記プランジャの移動を確保するために必要とされる力であること、
を特徴とする測定装置。
【請求項8】
請求項1の測定装置において、当該正確な測定装置は、前記流体投与容器と当該流体投与容器に収納された前記流体間の示差熱膨張に応じて、前記可動部を移動可能とすることにより、前記流体投与容器と当該流体投与容器に収納された前記流体間の示差熱膨張を緩和すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項9】
請求項8の測定装置であって、さらに、膨張スライド力を有し、当該膨張スライド力は、示差熱膨張中に排出口からの漏れが生じる前、前記可動部の移動を確保するために必要とされる十分に小さい力であること、
を特徴とする測定装置。
【請求項10】
請求項1の測定装置において、当該正確な測定装置は、前記流体投与容器と当該流体投与容器に収納された前記流体間の示差熱収縮に応じて、前記可動部を移動可能とすることにより、前記流体投与容器と当該流体投与容器に収納された前記流体間の示差熱収縮を緩和すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項11】
請求項10の測定装置であって、さらに、収縮スライド力を有し、当該収縮スライド力は、示差熱収縮中に排出口からの漏れが生じる前、前記可動部の移動を確保するために必要とされる十分に小さい力であること、
を特徴とする測定装置。
【請求項12】
請求項1の測定装置において、前記流体投与容器の前記可動部は、温度変化の結果生じる当該前記流体投与容器中の前記流体の正味体積の膨張に応じて、当該前記流体投与容器に対して移動し、および/または、逆の温度変化の結果生じる前記流体投与容器中の前記流体の正味体積の収縮に応じて、当該前記流体投与容器に対して移動すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項13】
請求項1の測定装置において、前記可動部と選択的に接触する前記測定駆動部は、さらに、
当該測定駆動部が、そこで前記流体投与容器の前記可動部と接触する接合位置、ならびに、
当該測定駆動部が、そこで前記流体投与容器の前記可動部と接触しない非接合位置、を備えること、
を特徴とする測定装置。
【請求項14】
請求項1の測定装置において、当該測定駆動部は、さらに、
モーターと、
前記モーターの出力シャフトと、
前記出力シャフトに接合された歯車列(gear train)と、ならびに
前記歯車列に係合された主ネジ(lead screw)と、を備えており、当該主ネジは、前記流体投与容器の前記可動部と選択的に接触すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項15】
請求項14の測定装置において、当該測定駆動部は、前記流体投与容器から後退し、当該流体投与容器の前記可動部と係合しないようにすることが可能であること、
を特徴とする測定装置。
【請求項16】
請求項15の測定装置において、前記モーターは、さらに、
反転可能なモーター、を備えており、
前記流体正味体積を減少させるため、前記測定駆動部を前記流体投与容器の前記可動部と係合させ、前方に押すよう前記モーターを順方向に動作させ、ならびに、
前記流体投与容器の前記可動部から前記測定駆動部を後退させるため、前記モーターを逆方向に動作させること、
を特徴とする測定装置。
【請求項17】
請求項15の測定装置において、前記測定駆動部は、前記測定装置の動作が予想される所定の温度範囲にわたって前記流体投与容器の前記可動部が膨張することを許容するのに十分な距離後退すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項18】
請求項14の測定装置において、当該測定駆動部は、複数のおよび/または可変速度で前進可能であること、
を特徴とする測定装置。
【請求項19】
請求項18の測定装置であって、さらに、
探索速度ならびに供給速度を含んでおり、
前記測定駆動部は、それが前記可動部に接触するまで、前記探索速度で前記流体投与容器の前記可動部の方向に前進し、ならびに
前記測定駆動部は、当該測定駆動部が前記流体投与容器の前記可動部に接触した後、前記供給速度で前進すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項20】
請求項19の測定装置において、前記モーターは、さらに、複数のおよび/または可変速度モーターを備えること、
を特徴とする測定装置。
【請求項21】
請求項1の測定装置であって、さらに、
前記測定駆動部が前記可動部に接触することを検知するセンサーを備えること、
を特徴とする測定装置。
【請求項22】
請求項21の測定装置において、前記センサーは、さらに、スイッチ型のセンサーを備えること、
を特徴とする測定装置。
【請求項23】
請求項21の測定装置において、前記センサーは、さらに、当該測定装置を駆動するモーターの電流を監視する電子回路ならびにアルゴリズムを備え、前記モーターに負荷がかかり始めると前記開始点が決定されること、
を特徴とする測定装置。
【請求項24】
請求項1の測定装置において、前記流体投与容器からの前記特定の量の流体は、さらに、服用量を含み、前記流体投与容器は、一以上の服用量を備え、当該測定装置は、ほぼ正確で再現可能な服用量を投与すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項25】
請求項1の測定装置において、前記流体投与容器からの前記特定の量の流体は、さらに、前記流体の設定値を含むこと、
を特徴とする測定装置。
【請求項26】
請求項1の測定装置であって、さらに、
流体が前記流体投与容器から流出することを可能にするための、前記流体投与容器内の排出開口と、ならびに
前記排出開口と連通するバルブとを備え、当該バルブは、当該バルブの閉鎖力(closing force)を超えるために、前記流体投与容器の前記可動部に対して適切な力が加えられるまで前記流体投与容器からの流体を阻止すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項27】
請求項26の測定装置において、示差熱膨張に応じて前記流体投与容器の前記可動部を移動させるために要求される力は、前記バルブの解放力(opening force)を下回ること、
を特徴とする測定装置。
【請求項28】
請求項1の測定装置において、示差熱収縮に応じて前記流体投与容器の前記可動部を移動させるために要求される力は、利用可能な大気圧を下回ること、
を特徴とする測定装置。
【請求項29】
請求項26の測定装置であって、さらに、
前記流体投与容器の前記排出開口と連通する流体通路と、ならびに、
前記流体通路と連通するノズルと、を備え、当該ノズルは、前記流体を霧状物(aerosol)として投与すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項30】
請求項1の測定装置であって、さらに、
前記流体投与容器の前記可動部と前記流体投与容器の固定部との間にシールを備え、
当該シールは、前記流体投与容器の前記可動部が、前記流体投与容器の前記固定部に対して移動することを可能にし、当該シールは、前記流体投与容器と前記可動部間の接合部において、前記流体投与容器内に異物が侵入すること、および/または、前記流体投与容器から流体が放出されることを実質的に阻止すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項31】
請求項1の測定装置において、当該測定装置は、さらに、
複数の歯ならびに回転軸を有するギアと、
前記ギアの片側から前記回転軸に沿って伸びる主ネジ(lead screw)と、を備えており、
当該主ネジは、前記ギアの回転より固定された対のネジ山とネジ止めされ、ならびに、
前記ギアの前記回転は、前記主ネジを軸方向に運動させること、
を特徴とする測定装置。
【請求項32】
請求項31の測定装置であって さらに、
前記測定駆動部の運動を測定するため、前記ギアにより駆動されるエンコーダーディスクと、
前記エンコーダーディスクの周囲に環状に配された複数のウインドウと、を備えたこと、
を特徴とする測定装置。
【請求項33】
請求項32の測定装置であって、さらに、
前記複数のウインドウを監視することにより、前記エンコーダーディスクの回転を検知するセンサー備え、
前記複数のウインドウのそれぞれは、前記流体の設定値を表すこと、
を特徴とする測定装置。
【請求項34】
請求項1の測定装置において、当該測定システムは、さらに、注射器ベース(syringe-based)の測定システムを備えており、
前記流体投与容器は、さらに、注射器を備え、
前記可動部は、さらに、前記注射器内にスライド可能に設けられたピストンプランジャを備え、
前記測定可動部は、さらに、主ネジを備え、
前記測定装置が使用されていない場合、当該主ネジは、前記注射器内の前記注射器と前記流体間の示差熱膨張および/または収縮に応じて、プランジャが前記注射器内を軸方向に移動することを可能にし、ならびに
前記注射器から前記流体を投与する前に、前記主ネジは、前記注射器内の前記プランジャの軸上に位置すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項35】
請求項1の測定装置において、前記流体投与容器内の前記流体は、さらに、エタノール溶液で調合された薬品を含むこと、
を特徴とする測定装置。
【請求項36】
請求項1の測定装置であって、さらに、モーターを備え、前記測定駆動部は、当該モーターに接続され、
前記測定駆動部は、さらに、あわせ面(mating surface)ならびに先端形状(tip geometry)を備え、
前記可動部は、さらに、あわせ面ならびに当該あわせ面および前記測定駆動部の先端形状に対応する形状を備え、ならびに
前記あわせ面ならびに前記先端形状は、前記モーターのモータ電流の変化を増幅することにより、前記測定駆動部と前記可動部との接触および係合の検知を促進すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項37】
請求項36の測定装置であって、当該測定駆動部は、さらに、主ネジを備え、前記主ネジの先端における前記あわせ面ならびに先端形状は、さらに、
円筒部と、
先細の肩部と、を備え、
前記可動部は、さらに、プランジャを備え、当該プランジャの後端における前記あわせ面ならびに前記先端形状は、さらに、
前記主ネジの前記円筒部を受ける開口と、
前記主ネジの前記先細の肩部に接触する先細面と、を備え、
前記円筒部ならびに前記開口は、良好な接触を確保する案内機能(piloting function)を提供し、前記先細の肩部ならびに前記先細面が、前記主ネジと前記プランジャ間で摩擦接触を形成すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項38】
示差熱膨張を緩和する注射器ベースの測定システムであって、当該注射器ベースの測定システムは、
流体を収納するための内部の体積を定義する注射器と、
前記注射器の前端における排出開口と、
前記注射器の後端における開口を通じて前記注射器内にスライド可能に設けられたピストン型のプランジャと、
前記注射器内の前記プランジャの位置により定義された正味体積であって、当該正味体積は、前記注射器内の前記プランジャの移動とともに変化するものと、ならびに、
前記プランジャに選択的に係合し、外れる(disengages)測定駆動部であって、当該測定駆動部は、前記注射器の前記後端における前記開口を通じて前記プランジャと係合するとともに、前記注射器から前記流体を放出するため前進し、当該測定駆動部は、前記注射器ベースの測定システムが使用されていない場合、前記プランジャから後退することにより前記プランジャから外れるもの、を備えており、
前記プランジャは、前記注射器と当該注射器に収納された前記流体間の示差熱膨張および/または示差熱収縮を緩和するため、前記注射器内を軸方向にスライドすることが可能であること、
を特徴とする測定システム。
【請求項39】
請求項38の注射器ベースの測定システムにおいて、前記測定駆動部は、さらに、動作ならびに非動作位置を備え、
前記注射器ベースの測定システムが動作していない場合、前記測定駆動部は、前記プランジャと接触せず、
前記注射器ベースの測定システムが動作している場合、前記測定駆動部は、前記プランジャを探索し、位置させ、ならびに、
前記注射器ベースの測定システムの動作中、前記測定駆動部は、前記プランジャと接触し、前記注射器内で前方に押し、前記測定駆動部が前記注射器内で前記プランジャを移動させ、前記排出開口を通じて流体が放出されると、前記正味体積が減少すること、
を特徴とする測定システム。
【請求項40】
請求項38の注射器ベースの測定システムであって、さらに、
前記注射器ベースの測定システムが動作していない場合、前記測定駆動部と前記プランジャ間に間隔を有し、
当該間隔は、前記注射器と当該注射器に収納された前記液体間の示差熱膨張に応じて、前記プランジャが前記注射器内で後方にスライドすることを可能にすること、
を特徴とする測定システム。
【請求項41】
請求項38の注射器ベースの測定システムであって、さらに、
前記注射器の前記排出開口と連通するバルブ、ならびに、
示差熱膨張スライド力を備え、当該示差熱膨張スライド力は、温度上昇の結果生じる示差熱膨張に応じて前記プランジャを後方にスライドさせるために必要とされる力であり、
前記示差熱膨張スライド力は、前記バルブの破壊圧を下回ること、
を特徴とする測定システム。
【請求項42】
請求項41の注射器ベースの測定システムにおいて、前記バルブは、前記測定駆動部が動作し、前記注射器から前記流体を前記バルブ内に強制的に排出させ、前記バルブの破壊圧を克服するために、前記プランジャを十分な距離前方に押すまで、前記注射器からの流体の漏れを実質的に阻止すること、
を特徴とする測定システム。
【請求項43】
請求項38の注射器ベースの測定システムであって、さらに、
示差熱収縮スライド力を備え、当該示差熱収縮スライド力は、温度下降の結果生じる示差熱収縮に応じて前記プランジャを前方にスライドさせるために必要とされる力であること、
を特徴とする測定システム。
【請求項44】
請求項43の注射器ベースの測定システムにおいて、前記示差熱収縮スライド力は、利用可能な大気圧を下回ること、
を特徴とする測定システム。
【請求項45】
請求項38の注射器ベースの測定システムであって、さらに、
前記注射器と前記プランジャ間の締まり嵌め(interference fit)と、
動作スライド力とを備え、当該動作スライド力は、前記注射器と前記プランジャ間の前記締まり嵌めの摩擦力を超えるのに必要とされる力であり、前記動作スライド力は、前記注射器内で前記プランジャを前方にスライドさせ、
前記動作スライド力は、前記プランジャと前記注射器の内壁間の摩擦力および前記注射器内の前記流体の圧力により生じる前記プランジャ上の抵抗力の合計を超えるのに必要とされる力と等しいこと、
を特徴とする測定システム。
【請求項46】
請求項38の注射器ベースの測定システムであって、さらに、
前記注射器と前記プランジャとの間に形成されたシールを備え、
当該シールは、前記注射器と前記プランジャ間を通じ前記注射器内部から前記液体が漏れることを実質的に阻止し、ならびに
前記プランジャと前記シールは、前記流体を前記注射器内に密封(seal)すること、
を特徴とする測定システム。
【請求項47】
請求項46の注射器ベースの測定システムであって、さらに、シーリング力を備え、
当該シーリング力は、前記注射器と前記プランジャ間を通じて前記液体が漏れるのを実質的に阻止するのに必要とされる力であり、ならびに
ある一対の素材についての摩擦係数により乗算される前記シーリング力は、前記測定駆動部により前記プランジャを前方に押すため与えられた動作スライド力を下回ること、
を特徴とする測定システム。
【請求項48】
請求項46の注射器ベースの測定システムであって、さらに、シーリング力を備え、
当該シーリング力は、前記注射器と前記プランジャ間を通じて前記液体が漏れるのを実質的に阻止するのに必要とされる力であり、
ある一対の素材についての摩擦係数により乗算される前記シーリング力は、温度上昇の結果生じる示差熱膨張に応じて前記プランジャを後方にスライドさせるために必要とされる力である示差熱膨張スライド力を下回り、ならびに
ある一対の素材についての摩擦係数により乗算される前記シーリング力は、温度下降の結果生じる示差熱収縮に応じて前記プランジャを前方にスライドさせるために必要とされる力である示差熱収縮スライド力を下回ること、
を特徴とする測定システム。
【請求項49】
流体の正確な計測を確保するため、測定システムにおける示差熱膨張の影響を緩和する方法であって、かかる方法は、
体積を減少させることが可能な流体投与容器内に投与される流体を収納するステップと、
前記流体が投与される原因となる前記減少可能な体積を減少させるため、前記流体投与容器内をスライド可能な可動部を設けるステップと、
動作モードにおいて、前記流体投与容器の前記減少可能な体積を減少させる原因となる前記可動部を移動させるため、前記可動部と選択的に係合可能な測定駆動部を設けるステップと、ならびに
前記可動部と前記測定駆動部間に間隔を設けるため、非動作モードにおいて、前記測定駆動部が前記可動部から後退可能とすることにより、示差熱膨張の影響を緩和するステップと、を備えること、
を特徴とする方法。
【請求項50】
請求項49の方法であって、かかる方法は、さらに、
温度上昇および/または下降の結果生じる前記流体投与容器に収納された前記流体の体積の膨張および/または収縮に応じて、前記可動部が前後に移動可能とすることにより、前記流体投与容器と当該流体投与容器に収納された前記流体間の示差熱膨張および/または収縮の影響を緩和するステップ、を備えること、
を特徴とする方法。
【請求項51】
請求項49の方法であって、かかる方法は、さらに、
温度下降の結果生じる前記流体投与容器に収納された前記流体の体積収縮に応じて前記可動部を前方に移動可能とすることにより、前記流体投与容器と当該流体投与容器に収納された前記流体間の示差熱収縮の影響を緩和するステップ、を備えること、
を特徴とする方法。
【請求項52】
請求項49の方法であって、かかる方法は、さらに、
温度上昇の結果生じる前記流体投与容器に収納された前記流体の体積膨張に応じて前記可動部を後方に移動可能とすることにより、前記流体投与容器と当該流体投与容器に収納された前記流体間の示差熱膨張の影響を緩和するステップ、を備えること、
を特徴とする方法。
【請求項53】
請求項49の方法であって、かかる方法は、さらに、
前記測定駆動部を用いて前記可動部を探索するステップと、
前記測定駆動部と前記可動部との係合を検知するステップと、
前記測定駆動部と前記可動部との前記係合、前記測定駆動部による前記可動部の移動、前記測定駆動部の負荷状態、ならびに、流体投与の開始、のいずれかにおいて前記流体を測定するための開始点を指定するステップと、ならびに
前記開始点から流体の投与量を測定するステップと、を備えること、
を特徴とする方法。
【請求項54】
請求項53の方法であって、かかる方法は、さらに、
前記探索ステップならびに前記開始点を指定する前に、前記ノズルのデッドボリューム(dead volume)に流体を充填するステップ、を備えること、
を特徴とする方法。
【請求項55】
請求項49の方法であって、かかる方法は、さらに、
前記測定駆動部の運動を検知するステップと、ならびに
前記流体投与容器から設定値の流体を投与するため、前記測定駆動部の前記運動を流体の前記設定値に関連づけるステップと、を備えること、
を特徴とする方法。
【請求項56】
請求項55の方法において、前記測定駆動部の運動を検知する前記ステップは、さらに、
エンコーダーディスクを、前記測定駆動部を駆動する歯車列と係合させるステップと、ならびに
前記エンコーダーディスクにおける一以上のウインドウであって、当該一以上のウインドウのそれぞれが流体の設定値を表すもの、の数を数えるステップと、を備えること、
を特徴とする方法。
【請求項57】
請求項49の方法であって、かかる方法は、さらに、
前記可動部と前記流体投与容器間との間に摩擦を生じさせる締まり嵌めを、当該可動部と当該流体投与容器間に設けるステップと、
前記測定システムが、温度上昇に応じて、前記流体投与容器内で前記可動部を後方に移動させるのに必要とされる示差熱膨張スライド力であって、前記可動部と前記流体投与容器間の前記摩擦力を上回るものを有するよう指定するステップと、
前記測定システムが、温度下降に応じて、前記流体投与容器内で前記可動部を前方に移動させるのに必要とされる示差熱収縮スライド力であって、前記可動部と前記流体投与容器間の前記摩擦力と、前記流体投与容器内の前記流体の圧力により生じ前記可動部に作用する前記可動部上の抵抗力との合計を上回るものを有するよう指定するステップと、を備えること、
を特徴とする方法。
【請求項58】
請求項57の方法であって、かかる方法は、さらに、
前記測定システムの動作中、当該測定システムが、前記流体投与容器内で前記可動部をスライドさせるのに必要とされる動作スライド力を指定するステップ、を備え、当該動作スライド力は、前記可動部と前記流体投与容器間の前記摩擦力と、前記流体投与容器内の前記流体の圧力により生じ前記可動部に作用する前記可動部上の抵抗力との合計を上回ること、
を特徴とする方法。
【請求項59】
請求項57の方法であって、かかる方法は、さらに、
前記可動部と前記流体投与容器間に締まり嵌めを設けるステップと、ならびに、
前記締まり嵌めを用いて、前記流体を前記流体投与容器内に密封するステップと、を備えること、
を特徴とする方法。
【請求項60】
請求項49の方法であって、かかる方法は、さらに、前記可動部と前記流体投与容器間の接合部を密封するステップを備えること、
を特徴とする方法。
【請求項1】
正確な測定装置であって、
投与される流体を収納し、体積を減少させることが可能な流体投与容器と、
前記流体投与容器に収納された前記流体の体積の変化に応じて自由に移動することができる可動部と、
前記流体投与容器に対して前記可動部が移動すると、前記流体投与容器内の正味流体体積が変化する正味流体体積と、
前記可動部と選択的に接触する測定駆動部と、
前記測定駆動部が再度ゼロにされる点を備えた開始点と、を備え、
前記測定駆動部は、前記開始点から既知の量駆動され、これにより、前記可動部を移動させて前記流体投与容器の減少可能な体積を減少させ、前記流体投与容器から特定の量の流体が投与されること、
を特徴とする測定装置。
【請求項2】
請求項1の測定装置において、前記開始点は、そこで、前記測定駆動部が、前記流体投与容器の前記可動部と係合する点を含むこと、
を特徴とする測定装置。
【請求項3】
請求項1の測定装置において、前記開始点は、流体の供給が開始された時点を含むこと、
を特徴とする測定装置。
【請求項4】
請求項1の測定装置において、前記開始点は、前記流体投与容器に呼び水がなされた(primed)時点を含むこと、
を特徴とする測定装置。
【請求項5】
請求項1の測定装置において、前記開始点は、前記測定駆動部に最大負荷がかかり始めた(fully loaded)点を含むこと、
を特徴とする測定装置。
【請求項6】
請求項1の測定装置において、当該正確な測定装置は、前記流体投与容器と当該流体投与容器に内に収納された前記流体間の示差熱膨張(differential thermal expansion)および/または収縮(contraction)に応じて、前記可動部を移動可能とすることにより、前記流体投与容器と当該流体投与容器に収納された前記流体間の示差熱膨張および/または収縮を緩和すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項7】
請求項6の測定装置であって、さらに、スライド力を有し、当該スライド力は、示差熱膨張中に排出バルブの破壊圧(cracking pressure)が加わる前に前記プランジャの移動を確保するために必要とされる力、ならびに、示差熱収縮中に周囲の大気圧による前記プランジャの移動を確保するために必要とされる力であること、
を特徴とする測定装置。
【請求項8】
請求項1の測定装置において、当該正確な測定装置は、前記流体投与容器と当該流体投与容器に収納された前記流体間の示差熱膨張に応じて、前記可動部を移動可能とすることにより、前記流体投与容器と当該流体投与容器に収納された前記流体間の示差熱膨張を緩和すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項9】
請求項8の測定装置であって、さらに、膨張スライド力を有し、当該膨張スライド力は、示差熱膨張中に排出口からの漏れが生じる前、前記可動部の移動を確保するために必要とされる十分に小さい力であること、
を特徴とする測定装置。
【請求項10】
請求項1の測定装置において、当該正確な測定装置は、前記流体投与容器と当該流体投与容器に収納された前記流体間の示差熱収縮に応じて、前記可動部を移動可能とすることにより、前記流体投与容器と当該流体投与容器に収納された前記流体間の示差熱収縮を緩和すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項11】
請求項10の測定装置であって、さらに、収縮スライド力を有し、当該収縮スライド力は、示差熱収縮中に排出口からの漏れが生じる前、前記可動部の移動を確保するために必要とされる十分に小さい力であること、
を特徴とする測定装置。
【請求項12】
請求項1の測定装置において、前記流体投与容器の前記可動部は、温度変化の結果生じる当該前記流体投与容器中の前記流体の正味体積の膨張に応じて、当該前記流体投与容器に対して移動し、および/または、逆の温度変化の結果生じる前記流体投与容器中の前記流体の正味体積の収縮に応じて、当該前記流体投与容器に対して移動すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項13】
請求項1の測定装置において、前記可動部と選択的に接触する前記測定駆動部は、さらに、
当該測定駆動部が、そこで前記流体投与容器の前記可動部と接触する接合位置、ならびに、
当該測定駆動部が、そこで前記流体投与容器の前記可動部と接触しない非接合位置、を備えること、
を特徴とする測定装置。
【請求項14】
請求項1の測定装置において、当該測定駆動部は、さらに、
モーターと、
前記モーターの出力シャフトと、
前記出力シャフトに接合された歯車列(gear train)と、ならびに
前記歯車列に係合された主ネジ(lead screw)と、を備えており、当該主ネジは、前記流体投与容器の前記可動部と選択的に接触すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項15】
請求項14の測定装置において、当該測定駆動部は、前記流体投与容器から後退し、当該流体投与容器の前記可動部と係合しないようにすることが可能であること、
を特徴とする測定装置。
【請求項16】
請求項15の測定装置において、前記モーターは、さらに、
反転可能なモーター、を備えており、
前記流体正味体積を減少させるため、前記測定駆動部を前記流体投与容器の前記可動部と係合させ、前方に押すよう前記モーターを順方向に動作させ、ならびに、
前記流体投与容器の前記可動部から前記測定駆動部を後退させるため、前記モーターを逆方向に動作させること、
を特徴とする測定装置。
【請求項17】
請求項15の測定装置において、前記測定駆動部は、前記測定装置の動作が予想される所定の温度範囲にわたって前記流体投与容器の前記可動部が膨張することを許容するのに十分な距離後退すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項18】
請求項14の測定装置において、当該測定駆動部は、複数のおよび/または可変速度で前進可能であること、
を特徴とする測定装置。
【請求項19】
請求項18の測定装置であって、さらに、
探索速度ならびに供給速度を含んでおり、
前記測定駆動部は、それが前記可動部に接触するまで、前記探索速度で前記流体投与容器の前記可動部の方向に前進し、ならびに
前記測定駆動部は、当該測定駆動部が前記流体投与容器の前記可動部に接触した後、前記供給速度で前進すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項20】
請求項19の測定装置において、前記モーターは、さらに、複数のおよび/または可変速度モーターを備えること、
を特徴とする測定装置。
【請求項21】
請求項1の測定装置であって、さらに、
前記測定駆動部が前記可動部に接触することを検知するセンサーを備えること、
を特徴とする測定装置。
【請求項22】
請求項21の測定装置において、前記センサーは、さらに、スイッチ型のセンサーを備えること、
を特徴とする測定装置。
【請求項23】
請求項21の測定装置において、前記センサーは、さらに、当該測定装置を駆動するモーターの電流を監視する電子回路ならびにアルゴリズムを備え、前記モーターに負荷がかかり始めると前記開始点が決定されること、
を特徴とする測定装置。
【請求項24】
請求項1の測定装置において、前記流体投与容器からの前記特定の量の流体は、さらに、服用量を含み、前記流体投与容器は、一以上の服用量を備え、当該測定装置は、ほぼ正確で再現可能な服用量を投与すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項25】
請求項1の測定装置において、前記流体投与容器からの前記特定の量の流体は、さらに、前記流体の設定値を含むこと、
を特徴とする測定装置。
【請求項26】
請求項1の測定装置であって、さらに、
流体が前記流体投与容器から流出することを可能にするための、前記流体投与容器内の排出開口と、ならびに
前記排出開口と連通するバルブとを備え、当該バルブは、当該バルブの閉鎖力(closing force)を超えるために、前記流体投与容器の前記可動部に対して適切な力が加えられるまで前記流体投与容器からの流体を阻止すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項27】
請求項26の測定装置において、示差熱膨張に応じて前記流体投与容器の前記可動部を移動させるために要求される力は、前記バルブの解放力(opening force)を下回ること、
を特徴とする測定装置。
【請求項28】
請求項1の測定装置において、示差熱収縮に応じて前記流体投与容器の前記可動部を移動させるために要求される力は、利用可能な大気圧を下回ること、
を特徴とする測定装置。
【請求項29】
請求項26の測定装置であって、さらに、
前記流体投与容器の前記排出開口と連通する流体通路と、ならびに、
前記流体通路と連通するノズルと、を備え、当該ノズルは、前記流体を霧状物(aerosol)として投与すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項30】
請求項1の測定装置であって、さらに、
前記流体投与容器の前記可動部と前記流体投与容器の固定部との間にシールを備え、
当該シールは、前記流体投与容器の前記可動部が、前記流体投与容器の前記固定部に対して移動することを可能にし、当該シールは、前記流体投与容器と前記可動部間の接合部において、前記流体投与容器内に異物が侵入すること、および/または、前記流体投与容器から流体が放出されることを実質的に阻止すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項31】
請求項1の測定装置において、当該測定装置は、さらに、
複数の歯ならびに回転軸を有するギアと、
前記ギアの片側から前記回転軸に沿って伸びる主ネジ(lead screw)と、を備えており、
当該主ネジは、前記ギアの回転より固定された対のネジ山とネジ止めされ、ならびに、
前記ギアの前記回転は、前記主ネジを軸方向に運動させること、
を特徴とする測定装置。
【請求項32】
請求項31の測定装置であって さらに、
前記測定駆動部の運動を測定するため、前記ギアにより駆動されるエンコーダーディスクと、
前記エンコーダーディスクの周囲に環状に配された複数のウインドウと、を備えたこと、
を特徴とする測定装置。
【請求項33】
請求項32の測定装置であって、さらに、
前記複数のウインドウを監視することにより、前記エンコーダーディスクの回転を検知するセンサー備え、
前記複数のウインドウのそれぞれは、前記流体の設定値を表すこと、
を特徴とする測定装置。
【請求項34】
請求項1の測定装置において、当該測定システムは、さらに、注射器ベース(syringe-based)の測定システムを備えており、
前記流体投与容器は、さらに、注射器を備え、
前記可動部は、さらに、前記注射器内にスライド可能に設けられたピストンプランジャを備え、
前記測定可動部は、さらに、主ネジを備え、
前記測定装置が使用されていない場合、当該主ネジは、前記注射器内の前記注射器と前記流体間の示差熱膨張および/または収縮に応じて、プランジャが前記注射器内を軸方向に移動することを可能にし、ならびに
前記注射器から前記流体を投与する前に、前記主ネジは、前記注射器内の前記プランジャの軸上に位置すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項35】
請求項1の測定装置において、前記流体投与容器内の前記流体は、さらに、エタノール溶液で調合された薬品を含むこと、
を特徴とする測定装置。
【請求項36】
請求項1の測定装置であって、さらに、モーターを備え、前記測定駆動部は、当該モーターに接続され、
前記測定駆動部は、さらに、あわせ面(mating surface)ならびに先端形状(tip geometry)を備え、
前記可動部は、さらに、あわせ面ならびに当該あわせ面および前記測定駆動部の先端形状に対応する形状を備え、ならびに
前記あわせ面ならびに前記先端形状は、前記モーターのモータ電流の変化を増幅することにより、前記測定駆動部と前記可動部との接触および係合の検知を促進すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項37】
請求項36の測定装置であって、当該測定駆動部は、さらに、主ネジを備え、前記主ネジの先端における前記あわせ面ならびに先端形状は、さらに、
円筒部と、
先細の肩部と、を備え、
前記可動部は、さらに、プランジャを備え、当該プランジャの後端における前記あわせ面ならびに前記先端形状は、さらに、
前記主ネジの前記円筒部を受ける開口と、
前記主ネジの前記先細の肩部に接触する先細面と、を備え、
前記円筒部ならびに前記開口は、良好な接触を確保する案内機能(piloting function)を提供し、前記先細の肩部ならびに前記先細面が、前記主ネジと前記プランジャ間で摩擦接触を形成すること、
を特徴とする測定装置。
【請求項38】
示差熱膨張を緩和する注射器ベースの測定システムであって、当該注射器ベースの測定システムは、
流体を収納するための内部の体積を定義する注射器と、
前記注射器の前端における排出開口と、
前記注射器の後端における開口を通じて前記注射器内にスライド可能に設けられたピストン型のプランジャと、
前記注射器内の前記プランジャの位置により定義された正味体積であって、当該正味体積は、前記注射器内の前記プランジャの移動とともに変化するものと、ならびに、
前記プランジャに選択的に係合し、外れる(disengages)測定駆動部であって、当該測定駆動部は、前記注射器の前記後端における前記開口を通じて前記プランジャと係合するとともに、前記注射器から前記流体を放出するため前進し、当該測定駆動部は、前記注射器ベースの測定システムが使用されていない場合、前記プランジャから後退することにより前記プランジャから外れるもの、を備えており、
前記プランジャは、前記注射器と当該注射器に収納された前記流体間の示差熱膨張および/または示差熱収縮を緩和するため、前記注射器内を軸方向にスライドすることが可能であること、
を特徴とする測定システム。
【請求項39】
請求項38の注射器ベースの測定システムにおいて、前記測定駆動部は、さらに、動作ならびに非動作位置を備え、
前記注射器ベースの測定システムが動作していない場合、前記測定駆動部は、前記プランジャと接触せず、
前記注射器ベースの測定システムが動作している場合、前記測定駆動部は、前記プランジャを探索し、位置させ、ならびに、
前記注射器ベースの測定システムの動作中、前記測定駆動部は、前記プランジャと接触し、前記注射器内で前方に押し、前記測定駆動部が前記注射器内で前記プランジャを移動させ、前記排出開口を通じて流体が放出されると、前記正味体積が減少すること、
を特徴とする測定システム。
【請求項40】
請求項38の注射器ベースの測定システムであって、さらに、
前記注射器ベースの測定システムが動作していない場合、前記測定駆動部と前記プランジャ間に間隔を有し、
当該間隔は、前記注射器と当該注射器に収納された前記液体間の示差熱膨張に応じて、前記プランジャが前記注射器内で後方にスライドすることを可能にすること、
を特徴とする測定システム。
【請求項41】
請求項38の注射器ベースの測定システムであって、さらに、
前記注射器の前記排出開口と連通するバルブ、ならびに、
示差熱膨張スライド力を備え、当該示差熱膨張スライド力は、温度上昇の結果生じる示差熱膨張に応じて前記プランジャを後方にスライドさせるために必要とされる力であり、
前記示差熱膨張スライド力は、前記バルブの破壊圧を下回ること、
を特徴とする測定システム。
【請求項42】
請求項41の注射器ベースの測定システムにおいて、前記バルブは、前記測定駆動部が動作し、前記注射器から前記流体を前記バルブ内に強制的に排出させ、前記バルブの破壊圧を克服するために、前記プランジャを十分な距離前方に押すまで、前記注射器からの流体の漏れを実質的に阻止すること、
を特徴とする測定システム。
【請求項43】
請求項38の注射器ベースの測定システムであって、さらに、
示差熱収縮スライド力を備え、当該示差熱収縮スライド力は、温度下降の結果生じる示差熱収縮に応じて前記プランジャを前方にスライドさせるために必要とされる力であること、
を特徴とする測定システム。
【請求項44】
請求項43の注射器ベースの測定システムにおいて、前記示差熱収縮スライド力は、利用可能な大気圧を下回ること、
を特徴とする測定システム。
【請求項45】
請求項38の注射器ベースの測定システムであって、さらに、
前記注射器と前記プランジャ間の締まり嵌め(interference fit)と、
動作スライド力とを備え、当該動作スライド力は、前記注射器と前記プランジャ間の前記締まり嵌めの摩擦力を超えるのに必要とされる力であり、前記動作スライド力は、前記注射器内で前記プランジャを前方にスライドさせ、
前記動作スライド力は、前記プランジャと前記注射器の内壁間の摩擦力および前記注射器内の前記流体の圧力により生じる前記プランジャ上の抵抗力の合計を超えるのに必要とされる力と等しいこと、
を特徴とする測定システム。
【請求項46】
請求項38の注射器ベースの測定システムであって、さらに、
前記注射器と前記プランジャとの間に形成されたシールを備え、
当該シールは、前記注射器と前記プランジャ間を通じ前記注射器内部から前記液体が漏れることを実質的に阻止し、ならびに
前記プランジャと前記シールは、前記流体を前記注射器内に密封(seal)すること、
を特徴とする測定システム。
【請求項47】
請求項46の注射器ベースの測定システムであって、さらに、シーリング力を備え、
当該シーリング力は、前記注射器と前記プランジャ間を通じて前記液体が漏れるのを実質的に阻止するのに必要とされる力であり、ならびに
ある一対の素材についての摩擦係数により乗算される前記シーリング力は、前記測定駆動部により前記プランジャを前方に押すため与えられた動作スライド力を下回ること、
を特徴とする測定システム。
【請求項48】
請求項46の注射器ベースの測定システムであって、さらに、シーリング力を備え、
当該シーリング力は、前記注射器と前記プランジャ間を通じて前記液体が漏れるのを実質的に阻止するのに必要とされる力であり、
ある一対の素材についての摩擦係数により乗算される前記シーリング力は、温度上昇の結果生じる示差熱膨張に応じて前記プランジャを後方にスライドさせるために必要とされる力である示差熱膨張スライド力を下回り、ならびに
ある一対の素材についての摩擦係数により乗算される前記シーリング力は、温度下降の結果生じる示差熱収縮に応じて前記プランジャを前方にスライドさせるために必要とされる力である示差熱収縮スライド力を下回ること、
を特徴とする測定システム。
【請求項49】
流体の正確な計測を確保するため、測定システムにおける示差熱膨張の影響を緩和する方法であって、かかる方法は、
体積を減少させることが可能な流体投与容器内に投与される流体を収納するステップと、
前記流体が投与される原因となる前記減少可能な体積を減少させるため、前記流体投与容器内をスライド可能な可動部を設けるステップと、
動作モードにおいて、前記流体投与容器の前記減少可能な体積を減少させる原因となる前記可動部を移動させるため、前記可動部と選択的に係合可能な測定駆動部を設けるステップと、ならびに
前記可動部と前記測定駆動部間に間隔を設けるため、非動作モードにおいて、前記測定駆動部が前記可動部から後退可能とすることにより、示差熱膨張の影響を緩和するステップと、を備えること、
を特徴とする方法。
【請求項50】
請求項49の方法であって、かかる方法は、さらに、
温度上昇および/または下降の結果生じる前記流体投与容器に収納された前記流体の体積の膨張および/または収縮に応じて、前記可動部が前後に移動可能とすることにより、前記流体投与容器と当該流体投与容器に収納された前記流体間の示差熱膨張および/または収縮の影響を緩和するステップ、を備えること、
を特徴とする方法。
【請求項51】
請求項49の方法であって、かかる方法は、さらに、
温度下降の結果生じる前記流体投与容器に収納された前記流体の体積収縮に応じて前記可動部を前方に移動可能とすることにより、前記流体投与容器と当該流体投与容器に収納された前記流体間の示差熱収縮の影響を緩和するステップ、を備えること、
を特徴とする方法。
【請求項52】
請求項49の方法であって、かかる方法は、さらに、
温度上昇の結果生じる前記流体投与容器に収納された前記流体の体積膨張に応じて前記可動部を後方に移動可能とすることにより、前記流体投与容器と当該流体投与容器に収納された前記流体間の示差熱膨張の影響を緩和するステップ、を備えること、
を特徴とする方法。
【請求項53】
請求項49の方法であって、かかる方法は、さらに、
前記測定駆動部を用いて前記可動部を探索するステップと、
前記測定駆動部と前記可動部との係合を検知するステップと、
前記測定駆動部と前記可動部との前記係合、前記測定駆動部による前記可動部の移動、前記測定駆動部の負荷状態、ならびに、流体投与の開始、のいずれかにおいて前記流体を測定するための開始点を指定するステップと、ならびに
前記開始点から流体の投与量を測定するステップと、を備えること、
を特徴とする方法。
【請求項54】
請求項53の方法であって、かかる方法は、さらに、
前記探索ステップならびに前記開始点を指定する前に、前記ノズルのデッドボリューム(dead volume)に流体を充填するステップ、を備えること、
を特徴とする方法。
【請求項55】
請求項49の方法であって、かかる方法は、さらに、
前記測定駆動部の運動を検知するステップと、ならびに
前記流体投与容器から設定値の流体を投与するため、前記測定駆動部の前記運動を流体の前記設定値に関連づけるステップと、を備えること、
を特徴とする方法。
【請求項56】
請求項55の方法において、前記測定駆動部の運動を検知する前記ステップは、さらに、
エンコーダーディスクを、前記測定駆動部を駆動する歯車列と係合させるステップと、ならびに
前記エンコーダーディスクにおける一以上のウインドウであって、当該一以上のウインドウのそれぞれが流体の設定値を表すもの、の数を数えるステップと、を備えること、
を特徴とする方法。
【請求項57】
請求項49の方法であって、かかる方法は、さらに、
前記可動部と前記流体投与容器間との間に摩擦を生じさせる締まり嵌めを、当該可動部と当該流体投与容器間に設けるステップと、
前記測定システムが、温度上昇に応じて、前記流体投与容器内で前記可動部を後方に移動させるのに必要とされる示差熱膨張スライド力であって、前記可動部と前記流体投与容器間の前記摩擦力を上回るものを有するよう指定するステップと、
前記測定システムが、温度下降に応じて、前記流体投与容器内で前記可動部を前方に移動させるのに必要とされる示差熱収縮スライド力であって、前記可動部と前記流体投与容器間の前記摩擦力と、前記流体投与容器内の前記流体の圧力により生じ前記可動部に作用する前記可動部上の抵抗力との合計を上回るものを有するよう指定するステップと、を備えること、
を特徴とする方法。
【請求項58】
請求項57の方法であって、かかる方法は、さらに、
前記測定システムの動作中、当該測定システムが、前記流体投与容器内で前記可動部をスライドさせるのに必要とされる動作スライド力を指定するステップ、を備え、当該動作スライド力は、前記可動部と前記流体投与容器間の前記摩擦力と、前記流体投与容器内の前記流体の圧力により生じ前記可動部に作用する前記可動部上の抵抗力との合計を上回ること、
を特徴とする方法。
【請求項59】
請求項57の方法であって、かかる方法は、さらに、
前記可動部と前記流体投与容器間に締まり嵌めを設けるステップと、ならびに、
前記締まり嵌めを用いて、前記流体を前記流体投与容器内に密封するステップと、を備えること、
を特徴とする方法。
【請求項60】
請求項49の方法であって、かかる方法は、さらに、前記可動部と前記流体投与容器間の接合部を密封するステップを備えること、
を特徴とする方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2009−526565(P2009−526565A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554228(P2008−554228)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/044497
【国際公開番号】WO2007/094833
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(591072086)バテル メモリアル インスティチュート (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/044497
【国際公開番号】WO2007/094833
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(591072086)バテル メモリアル インスティチュート (8)
【Fターム(参考)】
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