説明

歩行型管理機

【課題】フロントロータリ式とリアロータリ式とでレイアウトを切り替え可能な管理機において、双方のレイアウトにおいて良好な重量バランスを実現する。
【解決手段】管理機10は、操縦ハンドル12と、ウェイトとして機能するバッテリー21と、車輪14と、回転する耕耘爪20を有するロータリ式耕耘装置13と、を備える。また、車輪14とロータリ式耕耘装置13は、車体前後方向に並んで配置されている。操縦ハンドル12は、車体前後方向での方向を転換可能である。そしてバッテリー21の重心21aは、操縦ハンドル12の方向転換操作に伴って、少なくとも車体前後方向での位置を移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前後振替可能なハンドルを備えた歩行型管理機における、前後重量バランスの改善に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ロータリ式耕耘装置と車輪を備え、作業者が手で押しながら耕耘作業等を行う歩行型管理機が知られている。この種の歩行型管理機は、例えば特許文献1から4に記載されている。このように耕耘装置と車輪を備えた管理機においては、耕耘装置を車輪の前方に設けるフロントロータリ式と、耕耘装置を車輪の後方に設けるリアロータリ式と、の2種類のレイアウトが考えられる。
【0003】
フロントロータリ式とリアロータリ式とでは耕耘装置の位置が異なるため、作業性や取り扱い性が異なる。例えばフロントロータリ式の管理機においては、耕耘装置が作業者側にないため安全性に優れ、耕耘装置で耕耘された後の地面を車輪で走行するため安定して走行できるという利点がある。一方のリアロータリ式の管理機においては、耕耘装置が作業者側にあるため、これをカバーで覆うなどの安全対策を厳重にする必要がある。またリアロータリ式では、耕耘されていない状態の地面を車輪が走行するため、地面の凹凸が激しい場合などは車体が傾いてしまい走行が不安定になる場合がある。
【0004】
またこの種の管理機には、培土器などのアタッチメントを車体後方に取り付けることができるように構成されている場合がある。フロントロータリ式の管理機では、耕耘装置とアタッチメントが車輪を挟んで配置されるため、耕耘装置とアタッチメントは互いに逆方向に上下移動することになる。このため、フロントロータリ式の管理機においては、アタッチメントを取り付けたときの作業が行いにくいという欠点があった。一方のリアロータリの管理機においては、耕耘装置の上下移動とアタッチメントの上下移動が一致するので、アタッチメントを取り付けての作業が行い易いという利点がある。
【0005】
以上のように、リアロータリ式の管理機とフロントロータリ式の管理機にはそれぞれ特徴があるので、作業者の好みや作業内容などに応じて、フロントロータリとリアロータリとを使い分けることができると良い。この点、特許文献1及び2は、ハンドルを前後振替可能な構成を開示している。この構成より、フロントロータリとリアロータリの2つのレイアウトを、1台の管理機で実現することができる。
【0006】
また、従来の管理機の駆動源はエンジンであったが、近年は電動モータを駆動源とした採用した管理機も提案されている(例えば特許文献3及び4)。この種の管理機は、電動モータへの電力供給源としてバッテリーを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公昭61−29547号公報
【特許文献2】特開2010−254157号公報
【特許文献3】特開2001−169602号公報
【特許文献4】特開2008−167671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、歩行型管理機においては、重心の位置によって作業性が大きく変化することが知られている。従って、車体の重量物のレイアウトは極めて重要である。
【0009】
例えば、フロントロータリ式の管理機の場合、地面から受ける反力によって耕耘爪が跳ね上がってしまうという課題がある。従って、フロントロータリ式の管理機においては、耕耘爪に対して上方から荷重を掛けることができる車体レイアウトが好ましい。この点、エンジンを駆動源とした従来のフロントロータリ式の管理機においては、耕耘装置の上方にエンジンを配置することが多かった。これにより、エンジンがウェイトの役割を果たし、耕耘爪の跳ね上がりを防止することができる。
【0010】
また、リアロータリ式の管理機の場合、回転する耕耘爪の反力によって車輪が地面から浮き上がってしまい、走行が安定しないという課題がある。従って、リアロータリ式の管理機においては、車輪に対して上方から荷重を掛けることができる車体レイアウトが好ましい。この点、エンジンを駆動源とした従来のリアロータリ式の管理機においては、車輪の上方にエンジンを配置することが多かった。これにより、エンジンがウェイトの役割を果たし、車輪の浮き上がりを防止することができる。
【0011】
このように、フロントロータリ式の管理機とリアロータリ式の管理機とでは、最適な重量バランスが異なる。このことは、フロントロータリ式とリアロータリ式を切り替え可能な管理機において問題となる。例えば特許文献1及び特許文献2の図1には、車輪の上方にエンジンが配置された構成が示されている。これは、この管理機をリアロータリ式で利用する場合は好ましいレイアウトであるが、フロントロータリ式で利用する場合、エンジンが耕耘装置の上方に無いので、当該エンジンの重量によって耕耘爪の跳ね上がり防止するという効果を期待できない不利なレイアウトとなる。即ち、特許文献1及び特許文献2の構成は、フロントロータリ式とリアロータリ式を切り替え可能であるとは言っても、その何れか一方では重量バランスが不利となるため、良好な作業性を実現することができない。
【0012】
以上のように、フロントロータリ式とリアロータリ式でレイアウトを切り替え可能な管理機においては、双方のレイアウトで最適な重量バランスを実現する事が困難であった。
【0013】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、フロントロータリ式とリアロータリ式とでレイアウトを切り替え可能な管理機において、双方のレイアウトにおいて良好な重量バランスを実現することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0014】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0015】
本発明の観点によれば、以下の構成の歩行型管理機が提供される。即ち、この歩行型管理機は、操縦ハンドルと、ウェイトと、車輪と、回転する耕耘爪を有するロータリ式耕耘装置と、を備える。また、前記車輪と前記ロータリ式耕耘装置は、車体前後方向に並んで配置されている。前記操縦ハンドルは、車体前後方向での方向を転換可能である。そして前記ウェイトの重心は、前記操縦ハンドルの方向転換操作に伴って、少なくとも車体前後方向での位置を移動する。
【0016】
このように、操縦ハンドルの切り替え操作に伴ってウェイトを移動させることにより、フロントロータリの場合であってもリアロータリの場合であっても最適な重量バランスを実現できる。
【0017】
上記の歩行型管理機は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この歩行型管理機は、1つ又は複数の電動モータと、バッテリーと、を備える。前記バッテリーは、前記電動モータに電力を供給する。前記車輪及び前記ロータリ式耕耘装置は、前記電動モータによって駆動される。そして、前記ウェイトは、前記バッテリーである。
【0018】
このように、バッテリーをウェイト代わりに利用することで、ウェイトとして新たな部材を設ける必要が無い。従って、歩行型管理機を軽量に構成することができる。しかも、バッテリーは、エンジンやモータなどに比べて配置自由度が高いので、上記のように重心位置を移動させるように構成することが容易である。
【0019】
上記の歩行型管理機は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記操縦ハンドルは、地面に対して略垂直に設定された回動中心軸まわりで回転することにより、車体前後方向での方向を転換する。前記バッテリーは、前記操縦ハンドルと一体回転する。
【0020】
この構成により、操縦ハンドルを回動中心軸まわりで回転させることで、バッテリーも回動中心軸まわりに回転するので、当該バッテリーの重心位置を車体前後方向で移動させることができる。
【0021】
上記の歩行型管理機は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記回動中心軸は、車体前後方向で前記耕耘爪の駆動軸と前記車輪の駆動軸との間の位置にある。前記操縦ハンドルは、作業者が握って操縦するための握り部を有している。そして、前記バッテリーの重心は、車体前後方向で、前記回動中心軸を挟んで前記握り部の反対側に位置している。
【0022】
この構成により、管理機をリアロータリ式で利用するのとき(操縦ハンドルを車輪とは反対側に向けたとき)には、バッテリーは車輪側に移動する。また、管理機をフロントロータリ式で利用するとき(操縦ハンドルを耕耘装置とは反対側に向けたとき)には、バッテリーは耕耘装置側に移動する。これにより、管理機をリアロータリ式で利用する場合であっても、フロントロータリ式で利用する場合であっても、最適な重量バランスを実現することができる。
【0023】
上記の歩行型管理機は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この歩行型管理機は、前記操縦ハンドルと一体回転するバッテリー台を備え、前記バッテリーは、このバッテリー台の上に搭載されている。そして前記バッテリーは、前記バッテリー台上での位置を調整可能である。
【0024】
これによりバッテリーの位置を微調整できるので、作業者の好みや作業状態に応じて最適な重量バランスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る管理機をフロントロータリ式のレイアウトとした場合の側面図。
【図2】管理機をリアロータリ式のレイアウトとした場合の側面図。
【図3】変形例に係る管理機の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1に示すのは、本発明の一実施形態に係る管理機10である。
【0027】
図に示すように、この管理機10は、ミッションケース11と、操縦ハンドル12と、ロータリ式耕耘装置13と、車輪14と、バッテリー21と、バッテリー台22と、を備えている。
【0028】
ロータリ式耕耘装置13と車輪14は、車体前後方向で並んで配置されている。ロータリ式耕耘装置13は、爪軸18から放射状に設けられた複数の耕耘爪20を有している。そして、この爪軸18を回転駆動することにより、耕耘爪20が回転して地面を耕耘するように構成されている。また前記車輪14は、車軸19に取り付けられている。車軸19を回転駆動することにより、車輪14が回転して管理機10の車体を走行させる構成である。
【0029】
この管理機10によって耕耘作業を行う際には、作業者は、操縦ハンドル12を握って歩きながら車体を走行させつつ、ロータリ式耕耘装置13による耕耘作業を行う。即ち、本実施形態の管理機10は、いわゆる歩行型管理機として構成されている。
【0030】
操縦ハンドル12は、その基端部分がバッテリー台22に固定されており、当該バッテリー台22から斜め上方に向けて延びるように設けられている。また、操縦ハンドル12の先端には、作業者が握るための握り部23が形成されている。
【0031】
バッテリー台22は、その上面がバッテリー搭載面となっている。バッテリー搭載面は地面に対して略水平になるように設けられており、当該バッテリー搭載面にはバッテリー21が搭載されている。
【0032】
ミッションケース11内には、ロータリ式耕耘装置13及び車輪14の駆動源である電動モータ15が配置されている。この電動モータ15には、前記バッテリー21から電力が供給される。また、ミッションケース11には、ロータリ側伝動ケース16と、車輪側伝動ケース17と、が連結されている。ロータリ側伝動ケース16の内部には、図略のロータリ側伝動軸が配置されている。車輪側伝動ケース17の内部には、図略の車輪側伝動軸が配置されている。電動モータ15が出力する回転駆動力は、ロータリ側伝動軸と車輪側伝動軸に分岐して伝達される。
【0033】
ロータリ側伝動ケース16からは、前記爪軸18が左右方向に突出して設けられている。電動モータ15の駆動力は、前記ロータリ側伝動軸を介してこの爪軸18に入力される。これにより、耕耘爪20が回転駆動される。また車輪側伝動ケース17からは、車軸19が左右方向に突出して設けられている。電動モータ15の駆動力は、前記車輪側伝動軸を介してこの車軸19に入力される。これにより、車輪14が回転駆動される。なお、電動モータ15から爪軸18及び車軸19への駆動伝達機構の構成としては、例えば特許文献4に記載されている構成を採用することができるが、特にこれに限定されるわけではない。
【0034】
次に、本実施形態の管理機10における特徴的な構成について説明する。
【0035】
本実施形態の管理機10において、バッテリー台22は、地面に対して略垂直に設定された回動中心軸24を中心として、回動できるように構成されている。このようにバッテリー台22を回動させることにより、当該バッテリー台22に固定されている操縦ハンドル12を車体前後方向で方向転換させることができる。即ち、操縦ハンドル12の握り部23の位置を、車体前後方向で移動させることができる。これにより、リアロータリ式のレイアウトとフロントロータリ式のレイアウトを切り替えて利用することができる。
【0036】
具体的には、操縦ハンドル12の握り部23が、車体前後方向で、車輪14を挟んでロータリ式耕耘装置13の反対側に位置する状態(図1の状態)とすれば、この管理機10をフロントロータリ式の管理機として利用することができる。一方、操縦ハンドル12の握り部23が、車体前後方向で、ロータリ式耕耘装置13を挟んで車輪14の反対側に位置する状態(図2の状態)とすれば、この管理機10をリアロータリ式の管理機として利用することができる。
【0037】
なお、管理機10をフロントロータリ式で利用する場合と、リアロータリ式で利用する場合とでは、車輪14及び耕耘爪20の回転方向を反対方向とする(即ち、フロントロータリ式の場合とリアロータリ式の場合とでは、電動モータ15の駆動方向を切り替える)。これにより、フロントロータリ式の場合であってもリアロータリ式の場合であっても、車体を前進させつつ適切に耕耘作業を行うことができる。また、管理機10は、ミッションケース11に対してバッテリー台22を固定する固定機構(図略)を有している。これにより、耕耘作業の最中などに、作業者の意図に反してバッテリー台22が回転してしまうことを防止できる。
【0038】
そして前述のように、本実施形態の管理機10においては、バッテリー台22の上にバッテリー21が搭載されている。従って、バッテリー台22を回動中心軸24まわりで回動させることにより、バッテリー21の重心21aの位置が移動することになる。本実施形態の管理機10は、このようにバッテリー21の重心21aの位置を移動させることで、フロントロータリとリアロータリの双方で、最適な重量バランスを実現したものである。以下、詳しく説明する。
【0039】
本実施形態の管理機10において、バッテリー台22の回動中心軸24は、車体前後方向で、爪軸18を通る鉛直線と、車軸19を通る鉛直線と、の間の位置に設定されている。一方、バッテリー21の重心21aは、車体前後方向で、回動中心軸24を挟んで握り部23の反対側に位置している。従って、バッテリー台22を回動させると、バッテリー21の重心21aは、車体前後方向で、回動中心軸24を挟んで握り部23の反対側に移動することになる。
【0040】
従って、本実施形態の管理機10をフロントロータリ式のレイアウトで利用する場合(図1の場合)、バッテリー21の重心21aは、車体前後方向で回動中心軸24よりもロータリ式耕耘装置13側に位置する。また、バッテリー21は、ロータリ式耕耘装置13よりも上方に配置されている。これにより、バッテリー21の重量によって、ロータリ式耕耘装置13に荷重をかけることができるので、耕耘爪20の跳ね上がりを防止できる。このように、本実施形態の管理機10をフロントロータリ式で利用する際には、バッテリー21の重心21aがロータリ式耕耘装置13の上方に位置する有利な重量レイアウトを実現することができる。
【0041】
一方、本実施形態の管理機10をリアロータリ式のレイアウトで利用する場合(図2の場合)、バッテリー21の重心21aは、車体前後方向で回動中心軸24よりも車輪14側に位置する。また、バッテリー21は、車輪14よりも上方に配置されている。これにより、バッテリー21の重量によって、車輪14に荷重をかけることができるので、車輪14の浮き上がりを防止できる。このように、本実施形態の管理機10をリアロータリ式で利用する際には、バッテリー21の重心21aが車輪14の上方に位置する有利な重量レイアウトを実現することができる。
【0042】
以上のように、本実施形態の管理機10では、重量物であるバッテリー21をウェイトとして利用することで、ロータリ式耕耘装置13又は車輪14に荷重をかけ、作業性を向上させることができる。
【0043】
そして本実施形態の構成によれば、管理機10をフロントロータリ式で利用する場合と、リアロータリ式で利用する場合とで、バッテリー21の重心21aが移動するので、フロントロータリ式とリアロータリ式の双方で最適な重量レイアウトを実現することができる。
【0044】
しかも、本実施形態の構成によれば、操縦ハンドル12の方向転換操作(バッテリー台22の回動操作)に伴って、バッテリー21が必然的に移動するため、バッテリー21を移動させるための操作は特に必要無い。即ち、フロントロータリとリアロータリを切り替える操作を行うだけで、最適な重量レイアウトを自動的に実現できる。
【0045】
なお、図1及び図2に示すように、本実施形態において、回動中心軸24は電動モータ15の近傍に設定されており、バッテリー21は電動モータ15の周囲に配置されている。この構成により、バッテリー台22を回動させたときに、バッテリー21が電動モータ15の周囲で位置を移動するようになっている。従って、バッテリー台22を回動させてバッテリー21を移動させたときに、バッテリー21と電動モータ15との距離が大きく変化することがないので、バッテリー21と電動モータ15との間の配線を単純化することができる。
【0046】
また、電動モータ15そのものはミッションケース11に固定されているので、バッテリー台22を回動させたとしても、電動モータ15が移動することはない。従って、電動モータから爪軸18及び車軸19までの駆動電動系は、バッテリー台22の回動の影響を受けない。これにより、バッテリー台22の回動機構を単純化することができる。
【0047】
以上で説明したように、本実施形態の管理機10は、操縦ハンドル12と、ウェイトとして機能するバッテリー21と、車輪14と、回転する耕耘爪20を有するロータリ式耕耘装置13と、を備える。また、車輪14とロータリ式耕耘装置13は、車体前後方向に並んで配置されている。操縦ハンドル12は、車体前後方向での方向を転換可能である。そしてバッテリー21の重心21aは、操縦ハンドル12の方向転換操作に伴って、少なくとも車体前後方向での位置を移動する。
【0048】
このように、操縦ハンドル12の切り替え操作に伴ってウェイト(バッテリー21)を移動させることにより、フロントロータリの場合であってもリアロータリの場合であっても最適な重量バランスを実現できる。
【0049】
また本実施形態の管理機10は、電動モータ15を備える。バッテリー21は、電動モータ15に電力を供給する。車輪14及びロータリ式耕耘装置13は、電動モータ15によって駆動される。そして、バッテリー21は、ウェイトとして機能する。
【0050】
このように、バッテリー21をウェイト代わりに利用することで、ウェイトとして新たな部材を設ける必要が無い。従って、管理機10を軽量に構成することができる。しかも、バッテリー21は、エンジンやモータなどに比べて配置自由度が高いので、上記のように重心位置を移動させるように構成することが容易である。
【0051】
また、本実施形態の管理機10は、以下のように構成されている。即ち、操縦ハンドル12は、地面に対して略垂直に設定された回動中心軸24まわりで回転することにより、車体前後方向での方向を転換する。バッテリー21は、操縦ハンドル12と一体回転する。
【0052】
この構成により、操縦ハンドル12を回動中心軸24まわりで回転させることで、バッテリー21も回動中心軸24まわりに回転するので、当該バッテリー21の重心21aの位置を車体前後方向で移動させることができる。
【0053】
また、本実施形態の管理機10は、以下のように構成されている。回動中心軸24は、車体前後方向で耕耘爪20の駆動軸(爪軸18)と、車輪14の駆動軸(車軸19)と、の間の位置にある。操縦ハンドル12は、作業者が握って操縦するための握り部23を有している。そして、バッテリー21の重心21aは、車体前後方向で、回動中心軸24を挟んで握り部23の反対側に位置している。
【0054】
この構成により、管理機10をリアロータリ式で利用するのとき(操縦ハンドル12を車輪14とは反対側に向けたとき)には、バッテリー21は車輪14側に移動する。また、管理機10をフロントロータリ式で利用するとき(操縦ハンドル12をロータリ式耕耘装置13とは反対側に向けたとき)には、バッテリー21はロータリ式耕耘装置13側に移動する。これにより、管理機10をリアロータリ式で利用する場合であっても、フロントロータリ式で利用する場合であっても、最適な重量バランスを実現することができる。
【0055】
次に、上記実施形態の変形例について、図3を参照して説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態と同一又は類似する構成については、図面及び要素名に上記実施形態と同一の符号を付して、説明を省略する。
【0056】
この変形例の管理機100では、バッテリー台22の上におけるバッテリー21の位置を、車体前後方向で調整可能に構成している。バッテリー21の位置を調整するための機構は適宜のものを採用することができる。例えば、バッテリー台22の上でバッテリー21をスライド可能に構成したスライド機構を設け、当該バッテリー21を車体前後方向でスライドさせるように構成することができる。このようにバッテリー台22の上でのバッテリー21の位置を移動可能に構成することにより、当該バッテリー21の重心21aの位置を、車体前後方向で適宜調整することができる。
【0057】
以上のように、本変形例に係る管理機100は、操縦ハンドル12と一体回転するバッテリー台22を備え、バッテリー21は、このバッテリー台22の上に搭載されている。そして、バッテリー21は、バッテリー台22上での位置を調整可能である。
【0058】
これによりバッテリー21の位置を微調整できるので、作業者の好みや作業状態に応じて最適な重量バランスを実現することができる。
【0059】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0060】
管理機が備えるバッテリーは、1つでも良いし、複数のモジュールに分割されていても良い。また、バッテリーが複数のモジュールに分割されている場合は、その一部のみが車体前後方向で移動する構成であっても良い。このように複数のモジュールの一部のみを移動させる場合であっても、バッテリー全体としてみたときの重心は車体前後方向で移動することになるので、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0061】
上記実施形態では、バッテリー21を電動モータ15の周囲に配置する構成としたが、これに限らず、電動モータ15は適宜の位置に配置することができる。また、上記実施形態では1つの電動モータ15でロータリ式耕耘装置13と車輪14の両方を駆動する構成としたが、これに限らず、例えば、ロータリ式耕耘装置用の電動モータと、車輪用の電動モータと、を別々に設けても良い。即ち、電動モータは複数あっても良い。
【0062】
上記実施形態では、地面に対して略垂直な回動中心軸24まわりで操縦ハンドル12(及びバッテリー21)を回転させる構成としたが、操縦ハンドル12を方向転換させるための構成はこれに限らず、適宜の構成を採用することができる。即ち、本願発明の特徴は、操縦ハンドルの方向転換に伴ってウェイトの重心が移動する点にあり、その方向転換のための機構の詳細は発明の本質的部分ではない。
【0063】
図面ではバッテリーが外部に露出した様子を図示しているが、バッテリーを覆うボンネットを設けても良いことはもちろんである。
【0064】
バッテリー台22は省略することもできる。この場合、例えば、操縦ハンドルにバッテリーを直接取り付ける構成としても良い。
【0065】
また、ウェイトはバッテリーに限らず、別途ウェイト部材を設けても良い。また、バッテリーの重さだけではウェイトとして十分でない場合、バッテリーとウェイト部材とを併用しても良いことはもちろんである。この場合、バッテリーとウェイト部材の両者を合わせた重心の位置が、操縦ハンドルの方向転換操作に伴って移動するように構成されていれば良い。
【符号の説明】
【0066】
10 管理機(歩行型管理機)
12 操縦ハンドル
13 ロータリ式耕耘装置
14 車輪
15 電動モータ
21 バッテリー(ウェイト)
21a バッテリーの重心
22 バッテリー台
23 握り部
24 回動中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操縦ハンドルと、
ウェイトと、
車輪と、
回転する耕耘爪を有するロータリ式耕耘装置と、
を備えた歩行型管理機であって、
前記車輪と前記ロータリ式耕耘装置は、車体前後方向に並んで配置され、
前記操縦ハンドルは、車体前後方向での方向を転換可能であり、
前記ウェイトの重心は、前記操縦ハンドルの方向転換操作に伴って、少なくとも車体前後方向での位置を移動することを特徴とする歩行型管理機。
【請求項2】
請求項1に記載の歩行型管理機であって、
1つ又は複数の電動モータと、
バッテリーと、
を備え、
前記バッテリーは、前記電動モータに電力を供給し、
前記車輪及び前記ロータリ式耕耘装置は、前記電動モータによって駆動され、
前記ウェイトは、前記バッテリーであることを特徴とする歩行型管理機。
【請求項3】
請求項2に記載の歩行型管理機であって、
前記操縦ハンドルは、地面に対して略垂直に設定された回動中心軸まわりで回転することにより、車体前後方向での方向を転換し、
前記バッテリーは、前記操縦ハンドルと一体回転することを特徴とする歩行型管理機。
【請求項4】
請求項3に記載の歩行型管理機であって、
前記回動中心軸は、車体前後方向で前記耕耘爪の駆動軸と前記車輪の駆動軸との間の位置にあり、
前記操縦ハンドルは、作業者が握って操縦するための握り部を有しており、
前記バッテリーの重心は、車体前後方向で、前記回動中心軸を挟んで前記握り部の反対側に位置していることを特徴とする歩行型管理機。
【請求項5】
請求項2から4までの何れか一項に記載の歩行型管理機であって、
前記操縦ハンドルと一体回転するバッテリー台を備え、
前記バッテリーは、前記バッテリー台の上に搭載されており、
前記バッテリーは、前記バッテリー台上での位置を調整可能であることを特徴とする歩行型管理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−223124(P2012−223124A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93311(P2011−93311)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】